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Cellwizeが3200万ドルを調達、通信事業者や提携する事業者の5Gサービス導入及び運用を後押し
モバイル業界における5Gのカバレッジマップが理論上のものとしてではなく現実的なものとして徐々に移りゆく中(消費者にとっても同様のことが言えるかもしれない)、通信事業者にとって負担の大きい移行に伴う手間とコストを軽減するサービスを提供する企業が今注目を集めている。
マルチベンダー環境の中で5Gネットワークを運用する通信事業者向けに、データを自動化・最適化するプラットフォームを構築したスタートアップ、Cellwize(セルワイズ)が3200万ドル(約34億円)の資金調達を行った。同社はこの資金を活用し、より多くの地域での事業拡大を推し進め、研究開発に投資して同社の主力製品であるCHIMEプラットフォームをさらに強化する予定だ。
この資金調達は、Cellwizeに投資を行う企業の顔ぶれと、同社の推進力の大きさにおいて注目に値する。
シリーズBラウンドはIntel Capital 、Qualcomm Ventures LLC、Verizon Ventures (Verizonの一部でありVerizon Media経由でTechCrunchを所有)、Samsung Nextが共同出資しており、また小売、金融サービス、通信などの分野で複数のブランドを所有するポルトガルのコングロマリットであるSonaeやDeutsche Telekomなど、既存の株主も参加している。
こういった後援者たちの存在がCellwize の成長を裏付けている。イスラエルに拠点を置き、ダラスとシンガポールでも事業を展開している同社によると、現在同社はVerizonやTelefonicaを含む約40の通信事業者にサービスを提供しており、16か国で300万の携帯サイト、8億人の加入者をカバーしているという。
同社は企業評価額を公開していないが、これまでに投資家から5650万ドル(約60億円)を調達している。
5Gには通信事業者、ベンダー、携帯電話メーカー、モバイルエコシステムのその他事業から多くの期待が寄せられている。無線データの高速化と効率化により、消費者やビジネスのための新サービスが生まれ、人だけでなくIoTネットワークもカバーし、収益の新たなチャンスが開かれると考えられているからだ。
健康リスクに対する懸念が取り上げられ、そのリスクのほとんどは時間の経過とともに否定されるようになったが、5Gの技術的な問題点の1つはその実装の難しさにある。
通信事業者がより近い距離により多くの機器を配置する必要があるだけでなく、無線アクセスネットワーク(RAN:デバイスが通信事業者のネットワークとどのように連結するかを制御する)でハイブリッドシステムを実行することになる可能性が高いという点や、2G、3G、4G、LTEなどのレガシーネットワークを5Gと同時に管理しなければならない上に5Gだけでも複数のベンダーと作業を行うことになるという点で、移行には非常に大きなコストと手間がかかる。
CellwizeのCHIMEプラットフォームはクラウド上でAIやその他の技術を活用し、データを最適化及び監視して新たな5Gネットワークを設定し、さらにサードパーティ開発者が統合するためのAPIも提供するオールインワンツールとして機能する。同社はこのプラットフォームを、通信事業者が5Gへの移行の際によりオープンショップ型のアプローチで運用できるようにするための橋渡し役として位置づけている。
CEOのOfir Zemer(オフィール・ゼマー)氏は次のように語っている。「従来のRAN市場では大企業が優位に立っていましたが、5Gはモバイル業界全体の運営方法を変えつつあります。これらの従来のベンダーは通常、自社の機器にプラグインするソリューションを提供し、サードパーティの接続を許可しないため、閉鎖的で限定的なエコシステムが形成されています。大手事業者にとってもまた、1つのベンダーに縛られるのは好ましくありません。技術的にもビジネス面でも、この仕組みが自社のイノベーションの阻害要因になると考えているからです」。
Cellwizeは通信事業者がマルチベンダーのエコシステムの中でRANを計画、展開、管理できるようにするオープンなプラットフォームを提供。「当社のソリューションに対する需要は非常に高く、5Gの導入が世界的に増加し続けていることから、当社の製品に対する需要は今後も拡大していくと予想されます」と同氏は言う。
ゼマー氏は以前、通信事業者がRANでデータを管理するために独自の製品を自社で構築すれば、「5Gのサポートに苦労するだろう」と述べている。
これは単なる口先だけの言葉ではない。主要な点で競合するIntelとQualcommの両社がこのラウンドに投資しているという事実は、Cellwizeが自らをモバイルアーキテクチャーにおけるスイスのような存在であると考えていることを裏付けている。また両社ともに、それぞれの通信事業者の顧客に対する優先順位を考えると、自社の技術と簡単かつ完全に統合できるサービスを価値のあるものと見ているということを示している。
Intel Capitalの副社長兼シニアMDであるDavid Flanagan(デビッド・フラナガン)氏は発表文中で次のように述べている。「過去10年間、Intelのテクノロジーは、通信業界が俊敏でスケーラブルなインフラストラクチャーとともにネットワークを変革することを可能にしてきました。複雑性の高い無線アクセスネットワークの管理が課題となっている中、Intelがサービスプロバイダーやプライベートネットワークにクラウドアーキテクチャーのメリットをもたらすため、AIベースの自動化機能を活用するCellwizeのテクノロジーの可能性に大きな期待を抱いています」。
Qualcomm Ventures Israel およびEuropeのMDでQualcomm Israel Ltd.のシニアディレクターであるMerav Weinryb(メラブ・ヴァインリーブ)氏は、「Qualcommは5G拡大の最前線に立ち、コネクティビティの新時代を切り開く強固な技術のエコシステムを構築しています。RANの自動化およびオーケストレーションのリーダーであるCellwizeは、5G展開において重要な役割を果たしています。当社はQualcomm Venturesの5Gグローバルエコシステムファンドを通じてCellwizeをサポートし、世界各地で5Gの導入を拡大、促進していきたいと考えています」と述べている。
ここが重要な点である。現在5Gの展開は非常に少なく、時折5G の展開に関する今ひとつぱっとしないレポートを読むと、現時点では現実というよりも単なるマーケティングのように感じることがある。しかし、ほぼ設立当初の2013年から同社で勤めるゼマー氏(同氏は同社の共同創設者ではなく、実際のところ創設者らは共に同社を去っている)は、実際に通信事業者らと繰り返し会議を行なっているし、同氏自身、近い将来の成功を確信している。
「今後5年以内にモバイル接続の約75%が5Gによって駆動され、26億もの5Gモバイル契約とともに世界人口の65%にサービスが提供されることになるでしょう。5Gテクノロジーは非常に大きな可能性を秘めていますが、現実にはあらゆる技術、アーキテクチャー、バンド、レイヤー、RAN/vRANプレーヤーで構成される非常に複雑な技術でもあります。当社は世界中のネットワーク事業者と協力して、RANプロセス全体を自動化することで、次世代ネットワークの展開と管理の課題を克服し、顧客への5Gの提供を成功させるための支援を行っていきます」と同氏は抱負を語る。
関連記事:アップルが5G対応のiPhone 12シリーズを日本時間10月14日午前2時に発表へ、待望のオーバーイヤーヘッドフォンも?
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:5G 資金調達
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(翻訳:Dragonfly)
Googleマップに新型コロナ情報が追加、Googleアシスタントのドライビングモードがついに登場
米国時間11月17日、Google(グーグル)はGoogleマップのアップデートを発表し、新型コロナ関連の機能をいくつか追加した他、テイクアウトやデリバリーオーダーの状態を見られるようになり、待望のGoogleアシスタント・ドライビングモードがついにやってきた。
同社はGoogleマップの新たな統計情報も公開した。例えばGoogleはマップに毎日5000万件の改訂を加えている、ただしこれにはユーザーのレビュー、写真、レーティングなどのユーザー生成コンテンツも含まれている。また同社は、「popular times(訪問数の多い時間帯)」情報を世界2000万カ所で提供している。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連の発表は2つ。まず、グーグルはiOS版GoogleマップのCOVID-19レイヤーを改訂し、地域の累積検出件数や地方自治体の新型コロナ情報へのリンクなどの新しい情報を加えた。次に、Googleマップは公共交通機関が現在どのくらい混雑しているかをリアルタイムで知らせられるようになり、ユーザーは混み合った電車やバスを避けることができるようになった。これはGoogleマップユーザーからのリアルタイムフィードバックに基づくもので、いまでもマップが店舗やレストランの混雑状況を表示しているのを知っている人なら想像できるだろう。
ちなみに、パンデミック下でデリバリーサービスは結局のところ爆発的に伸びている(ただし未だに利益を上げるのには苦労している)。モバイル版Googleマップは、テイクアウトやデリバリー注文の配達状態をリアルタイムで表示できるようになった。現在米国、カナダ、ドイツ、オーストラリア、ブラジル、インドで利用できる。この機能を使うためには、AndroidまたはiOSのGoogleマップから注文する必要がある。
Android Auto対応の車を持っていないGoogleマップユーザーにとって、Googleアシスタントの新しいドライビングモードは待ちに待った機能だ。グーグルが初めてこの機能について話した(未訳記事)のは2019年5月のI/Oデベロッパー・カンファレンスだったが、よくあるように、I/Oで発表された機能は市場に出回るまで時間がかかる。当初は2019年夏に公開の予定だった。
その目的は、ドライバーは電話があったことの通知を受け、テキストメッセージをGoogleアシスタントに読み上げさせ、音楽を制御する、このすべてをGoogleマップの中で行えるようになること。アシスタントを完璧に使いこなすことで、ドライバーの注意散漫を減らすことができる。現時点でこの新しいモードを利用できるのは米国のAndroidユーザーだけで、使える機能もまだ限られている。グーグルは今後機能を増やしていくことを約束しているが、このモードにどの機能が追加されるのかはわかっていない。
関連記事:Google Assistant is coming to Google Maps
カテゴリー:ネットサービス
タグ:Google、Googleマップ、新型コロナウイルス、Googleアシスタント
画像クレジット:Fernando Trabanco Fotografía / Getty Images
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)
業務用電話システムをアプリへと統合するOpenPhoneが14.6億円を調達
コミュニケーションツールは急速に進化していて、私たちは、個人生活のためのあらゆるソーシャルメディアを手にしている。Slack(スラック)は同僚とのチャットに使えるし、Discord(ディスコード)はゲームその他のコミュニケーション用だ。もし誰かと(ほぼ)目を合わせたければ、Zoom(ズーム)やFaceTime(フェイスタイム)がある。
しかし業務用電話機は、ほとんど過去の状態に留まったままだ。OpenPhone(オープンフォン)がそれを変えようとしている。
米国時間11月17日、1400万ドル(約14億6000万円)のシリーズAラウンドを発表した同社は、私たちが日々使用しているものと同じ、最新のコミュニケーション機能を業務用電話機にもたらそうとしている。今回のラウンドは、Craft VenturesのDavid Sacks(デビッド・サックス)氏が主導し、Slow Ventures、Kindred Ventures、Y Combinator、Garage Capital、 Chapter One Venturesが参加した。
OpenPhoneを使用することで、従業員たちは自分自身のスマートフォンやコンピューターから、電話をかけたり、SMSを送ったり、ビジネスコンタクトの相手に関する共有情報を追加することができるようになる。さらに、このアプリを使うことで、組織はプラットフォームを横断する共同作業を行うことができる。例えば会社または部門は、単一の共有電話番号と個別の個人電話番号を持つことができる。また、組織全体で連絡先に関する情報を共有および同期することも可能だ。
資金調達の発表と同時に、OpenPhoneはHubSpot(ハブスポット)やZapier(ザピアー)との新しい統合を含むプラットフォームのいくつかの新機能もリリースしている。またアプリには国際通話、チームメイト間のグループメッセージング、検索機能、OpenPhoneの使用状況に関する分析機能も提供されている。
同社は、消費者の77%がビジネスコミュニケーションにSMSを使用し、中小企業の80%以上が仕事の通話に個人用の携帯電話を使用していると主張している。にもかかわらず、レガシーなソリューションは、メッセージング機能を持たない非常に複雑な電話機であることが多い。
とはいえ、OpenPhoneと争うように、業務用電話システムを21世紀らしいものにしようと考えている競合相手は複数存在している。例えばRingCentral(リングセントラル)とDialPad(ダイアルパッド)の2社は、業務用電話システムをクラウド化し、それぞれ4400万ドル(約45億9000万円)と2億2000万ドル(約229億2000万円)を調達した。SequoiaやA16Zなどが含まれる2社への投資家のリストは、とても印象的なものだ。
基本プランではOpenPhoneのコストは、ユーザー1人あたり月額10ドル(約1042円)だが、より複雑なユースケースではより高価なオプションが提供される。スタートアップは、ボトムアップアプローチのために組織内の個人に直接販売することも行う。
「これまでのところ最大の課題は、ノイズを減らすことです」と、共同創業者で最高経営責任者(CEO)のMahyar Raissi(マヒヤール・ライシ)氏は語った。「当社の戦略は、スタートアップ企業向けにOpenPhoneを構築することです。なぜなら彼らはやがて成長し、サービスを提供することが難しくなっていく可能性がある小さな企業だからです。もし私たちがそうした企業に対してシステムを構築することができるなら、それはほとんどのユースケースで適用できる可能性のある種類のソリューションだということを意味します」。
OpenPhoneのチームは11人の従業員で構成されている。女性メンバーは25%を超えたところで、同じ比率の非白人従業員がいる。従業員11人のうち共同創業者たちを含む4人は、第一世代の移民だ。
同社は、2020年3月のパンデミックの始まり以来、売上高は3倍になり、ローンチ以降、750万件以上の通話と1730万件以上のメッセージを扱っている。
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:OpenPhone、資金調達
画像クレジット:OpenPhone
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(翻訳:sako)
TiDBを開発するオープンソースデベロッパーPingCAPがシリーズDで約282億円を調達
NewSQLデータベースのTiDBで知られるオープンソースソフトウェア開発のPingCAPが、シリーズDで2億7000万ドル(約281億6000万円)を調達した。TiDBはHTAP(Hybrid Transactional and Analytical Processing)をサポートし、決済やeコマースサービスなど増加する大量のデータ処理が必要な急成長中の企業をターゲットにしている。
このラウンドはGGV Capital、Access Technology Ventures、Anatole Investment、Jeneration Capital、5Y Capital (以前のMorningside Venture Capital)が主導した。他にCoatue、Bertelsmann Asia Investment Fund、FutureX Capital、Kunlun Capital、Trustbridge Partnersが参加し、以前に投資していたMatrix Partners ChinaとYunqi Partnersも参加した。
今回の調達で、PingCAPのこれまでの調達金額は3億4160万ドル(約356億3000万円)になった。前回5000万ドル(約52億1500万円)を調達したシリーズCは、2018年9月に発表されていた。
PingCAPによれば、TiDBは世界中でおよそ1500社に採用されているという。採用している企業には、Square、PayPay、eコマースアプリのShopee、ビデオ共有プラットフォームのDailymotion、チケット予約プラットフォームのBookMyShowなどがある。TiDBは同一データベース内でOLTP(Online Transactional Processing、オンライントランザクション処理)とOLAP(Online Analytical Processing、オンライン分析処理)を扱い、PingCAPは他の分散データベースよりリアルタイム分析を高速に実行できるとしている。
2020年6月にPingCAPは、Amazon Web ServicesとGoogle Cloud上のフルマネージドの「TiDB as a Service」であるTiDB Cloudをリリースした(PR Newswireリリース)。同社はさらにプラットフォームを追加し、調達した資金でTiDB Cloudのグローバルでのユーザー数を増やす計画だ。
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:PingCAP、資金調達
画像クレジット: Photographer is my life. / Getty Images
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(翻訳:Kaori Koyama)
中国のオープンソソースソフトウェアに投資家が殺到しZillizが約45億円を調達
長年にわたり、中国の企業創設者や投資家はオープンソースソフトウェアにはほとんど興味を示さなかった。収益性の高いビジネスモデルとは思われていなかったからだ。だが、Zilliz(ジリズ)が資金調達した最新のラウンドを見ると、そうした態度に変化が起きていることがわかる。創立3年目になるこの中国のスタートアップは、非構造化データの処理を行うオープンソースソフトウェアを開発しているが、先日、4300万ドル(約45億円)のシリーズBラウンドをクローズした。
今回の投資により、Zillizの現在までの調達額は5300万ドル(約55億円)を超え、オープンソース企業としては、世界的にも大きない規模となる。歴史的に名高いプライベートエクイティーファンドHillhouse Capitalが主導し、Trustbridge Partners、Pavilion Capital、そして以前から投資を行なっている5Y Capital(元Morningside)とYunqi Partnersが参加している。
オープンソースが効率的なソフトウェア開発戦略であることに投資家たちが気づき始め、Zillizを支援するようになったのだと、Zillizの創設者でCEOのCharles Xie(チャールズ・シェイ)氏は、深圳で開かれたオープンソースミートアップにてTechCrunchに話した。このイベントでは、彼はLinux Foundation(リナックス財団)傘下の LF AIの中国人初の取締役会会長として講演を行なっていた。
「投資家たちは、この数年、Elastic(エラスティック)からMongoDB(モンゴディービー)まで、世界のオープンソース企業の好成績なエグジットを成功させています」と彼は語る。
「スターロード(シェイ氏のニックネーム)は、まず私たちに、未来のデジタル時代におけるデータ処理に関する彼のビジョンを話しました。私たちはクレイジーな考えだと感じましたが、信じることにしたのです」と、5Y Capitalのパートナー、Liu Kai(リウ・カイ)氏はいう。
この分野への投資には、1つ注意点がある。最初の3年か5年で利益を期待してはいけないということだ。「しかし、8年から10年のサイクルで見れば、これらの(オープンソース)企業は1000億ドル (10兆円)規模の評価額を得るまでになる」とシェイ氏は考えている。
Oracle(オラクル)でソフトウェアエンジニアとして6年務めた後、シェイ氏は米国を去り、故郷の中国に戻ってZillizを立ち上げた。近ごろの中国人起業家のご多聞に漏れず、シェイ氏はそのスタートアップの社名を英語にして、「創設当初からグローバル」だという信念をそこに刻み込んだ。Zillizは上海で設立されたが、目標は今後12カ月以内に「確固としたテクノロジーと製品」を提供できるようになり、本社をシリコンバレーに移すことだとシェイ氏は語る。中国は、有能なエンジニアの人件費が安く、分子構造から人々の購買行動、音声情報、動画コンテンツに到るまで、非構造化データが爆発的に増加しているという両面において、理想的なスタート地点だった。
「この地域の非構造化データの量は、人口と経済活動のレベルに比例しているため、中国が最大のデータソースである理由が簡単にわかります」とシェイ氏は話す。
同時に中国では、モバイルインターネットとAIの開発が急速に進んでいる。特に実生活での応用が顕著に発達していることから、中国がデータ処理ソフトウェアに最適な実験場なのだとシェイ氏は主張する。
いまのところ、Zillizのオープンソース製品Milvus(ミルバス)は、GitHub(ギットハブ)で4440回以上「スター」付けされ、コントリビューターおよそ120人、世界中の法人ユーザー約400社を惹きつけている。その半数は中国国外のユーザーだ。同社は広告費をまったく使わず、むしろGitHubやReddit(レディット)など、開発者のオンラインコミュニティーで積極的に活動することによりユーザーを獲得してきた。
今後Zillizは、新たな資金を使って海外で人材を集め、オープンソースエコシステムの拡大、クラウドベースの製品とサービスの研究開発を行う予定だ。2021年後半の収益化の開始にともない、いずれこれらが収益を生み出すことになる。
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Zilliz、オープンソース、中国
画像クレジット:Zilliz founder and CEO Charles Xie
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(翻訳:金井哲夫)
悪夢のようなグループのスケジュール調整を解決するUndockが1.7億円を調達
過去10年、多くのスタートアップがミーティングや電話のスケジュール調整の仕方を刷新しようと試みてきた(そして多くが失敗に終わった)。しかし我々はカレンダーに関するルネッサンスの真っ只中にいるようだ。Google(グーグル)やOutlook(アウトルック)など現在使用されているものは賢くなる一方で、Calendly(カレンドリー)のような新規参入組は急成長している。
Entrepreneurs Roundtable Acceleratorが支援するスタートアップ(未訳記事)であるUndock(アンドック)はこの業界に参入しようとしている。
Undockはこのほど160万ドル(約1億7000万円)のシードラウンドをクローズした。このラウンドにはLightship Capital、Bessemer Venture Partners、Lerer Hippeau、Alumni Ventures Group、Active Capital、Backstage CapitalのArlan Hamilton(アラン・ハミルトン)氏、PayPal / LinkedInのSarah Imbach(サラ・インバッハ)氏、その他何人かのエンジェル投資家が参加した。
現在のUndockは、グループの全員がUndockを使っているかどうかに関わらず、電子メール内でグループの互いの都合をシームレスにチェックできるChromeエクステンションだ。創業者でCEOのNash Ahmed(ナッシュ・アーメッド)氏はこれを可能にするテクノロジーについて詳細を明かすつもりはない。しかし見たところ、Undockをまだ利用していないユーザーは、グループ内の全員にとって都合のいい時間を自動で見つけるのに、一時的に自分のカレンダーを個々のミーティングリクエストにリンクすることができる。または、グループのメンバーが提案した時間を確認して、メンバーにとって都合のいい時間にマークをつけられる。
これはUndockにとってほんの始まりに過ぎない。同社は2021年第1四半期に機能フル装備のカレンダーを立ち上げる計画だ。搭載される機能にはカレンダーイベント内でのコラボ編集や、ビデオ会議埋め込みといったものがある。
アーメッド氏によると、他のサービスと差異化を図っている最も重要なポイントは、互いの都合にフォーカスし、電子メールクライアント内でそれを実行できることにある。
スケジュール調整はUndockではいつでも無料で利用できるが、機能のフル利用(正式にリリースされたとき)では、ユーザー1人あたり月10ドル(約1050円)〜とさまざまな料金が設定される見込みだ。UndockはSlack(スラック)のモデルを拝借し、情報保持に対して課金するサービスとなる。
「最も困難な点は、間違いなく顧客教育です」とアーメッド氏は話し、一部のユーザーはプロダクトのシンプルさに混乱したと説明した。「オートコンプリートのようなものだと伝えました。初期のユーザーは電子メールを確認し、次に何をするのか、あるいはUndockやChromeエクステンションに戻らなけれなならないのかと尋ねるでしょう。そして当社は『いいえ、ただタイプし続けて』といわなければならないでしょう」。
黒人女性が創業したUndockのチーム数は18人だ。うち28%が女性、22%が黒人、11%がLGBTQで、経営陣のダイバーシティーはさらに豊かだ。
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Undock、資金調達
画像クレジット:Undock
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(翻訳:Mizoguchi)
macOS Big Surが公開された
Appleのデスクトップソフトウェアアップデート11.0は、未来のMacの基礎を築く
ついにその日が来た。永遠に待ちぼうけを食らわされるかと思わせた、macOSの最新バージョンBig Sur(ビッグ・サー)が、やっと到着したのだ。想像上の産物ではなかったのだ。確かにいまさら時間についてあれこれ言うのは無意味だが、WWDCでの発表から本日(米国時間11月12日)のリリースまで、実に5ヶ月近くの長い時間がかかった。
間違いなく、それにはたくさんの理由がある。なにより今年は、できるだけ丁寧に扱うべき特別な年だった。またこれは、デスクトップオペレーティングシステムにとって、かなり大きな年次アップデートでもあった。そして、もちろんこれは、この14年間に行われた、Appleのハードウェアに対する最大の変更である新しいARMベースのMacのために、公式に開発されたmacOSの最初のバージョンなのだ。
私は6月以降、開発者や少数の怖いもの知らずたちと肩を並べて、私の所有するマシンの1台でこのオペレーティングシステムのベータ版を利用してきた。私たちがヒーローだとは言わないが、そうではないとも言わない。結局のところ、それは自分で口にすべきことではないだろう。
今回のアップデートでは、数多くのデザイン上のアップデートがもたらされているが、その多くが、macOSとiOSの間の境界線をぼかすという長年の流れに沿ったものだ。この先Appleシリコンが次世代のMacを牽引するにつれて、その流れはますます強まるだろう。少なくともその流れは、ずっと以前にAppleのソフトウェアデザインのポールポジションを取ったiOSの観点からは理にかなったものだ。iOSは、最終的にはデスクトップへ導入された多くの機能を、まず最初に実装してきた。
変更の多くは微妙なものだ。メニューバーの背がより高くより半透明になり、背景も変更され、システムの明暗モードが切り替わる際に変化する。Finder(ファインダー)のDock(ドック)が画面の下部から少し上に浮かぶようになり、メニューには少し余裕の場所が差し込まれた。ウィンドウにも多少の余裕が生まれ、メールやカレンダーなどの自社製アプリには新しいシンボルが散らばっている。
アイコンの形状は、よりiOS風のスクワーコー(squircle、スクエア+サークルからの造語で、角の丸まった正方形のこと)デザインに変化したし、全体に微妙な変更が加えられている、たとえば「メール」のアイコンには、ほとんど見えないテキストでAppleの本社の住所である「Apple Park, California 95014」が書き込まれている。他の多くの変更と同様に、ここでの要点は、Big Sur全体とAppleのエコシステム全体に一種のスタイルとしての一貫性を提供することだ。
しかし、Finderに対する最も直接的で明らかな変更は、コントロールセンターの追加だ。この機能は、iOS/iPadOsから直接借用されたもので、シンプルでクリーンで半透明な一時ウィンドウを画面の右上に表示する。個々のコントロールパネルは、メニューバーに直接ドラッグアンドドロップすることができる。Touch Barと一緒に導入されたコントロールセンター機能のようなものを思い出させるが、何よりも大きなボタンやスライダーは、画面に手を触れるようにと誘いかけてくる。こうなるとAppleが、Appleシリコンを内蔵した未来のタッチスクリーン式Macの基盤を築き始めている、という想像を振り払うことは本当に難しい。
嘘は言わないが、私は「通知センター」をきちんと使ったことはない。Appleがいくつか前のアップデートから、通知センターをデスクトップに持ち込もうと考えた理由は理解できるが、とにかくモバイルのようには一元化されていなかった。それは私の普段のワークフローにもフィットしなかった。Appleはこの機能を調整し続けていて、今回はかなり大掛かりな改修となった。残りの多くのアップデート同様に、それはAppleがスペースをどのように使用するかにかかっている。
今回のアップデートで(専用のボタンではなく)メニューバーの日付と時刻をクリックすることで通知センターにアクセスできるようになった。ここで最も魅力的な2つの変更は、通知とウィジェットがグループ化されたことだ。ここでもiOSからの借用が行われていて、通知がグループごとに積み重ねられるようになった。積み重ねられた通知をタップすると、下に向かって展開される。左肩に表示された「X」をクリックして通知を消すこともできる ―― だがやはり、もしスワイプして消すことができれば、もっと満足できるだろう。また、通知項目と対話する機能も注目できる。通知の中から、直接メッセージに返信したり、ポッドキャストを聴くことができる。ワークフローの一部としてそうした機能をすでに使用している人にとっては、これは素晴らしい機能追加だ。
システムはまた、新しいウィジェットを通知と同じ列に追加して、最新バージョンのiOSのやり方に寄せている。現在、このウィジェットには、カレンダー、天気、ポッドキャストなどのApple製アプリと、App Storeを介して利用可能な追加のウィジェットが含まれる。ウィジェットの追加と削除、およびサイズ変更を行うことができる。十分な余地のある画面では、他のアプリケーションで作業している間、開いたまま固定するために、それらを最上位にピン留めしておくことができれば便利だろう。
サウンドも、全体的にアップデートされている。新しく録音された起動チャイムと同様に、変更はほとんど微妙なものだ。より顕著な変化は、ファイルの移動を行うときなどに感じることができる。素敵なハミングサウンドだ、これはこれまでの、冷たいバネのような音よりも快適だ。以下の動画には、私にはまとめる時間がなかったサウンドのすてきな一覧がまとめられている:
Apple製アプリには、いくつかの重要なアップデートが加えられている。Safari(サファリ)のアップデートはその中でも、ウェルカムページを始めとして、最大のものだ。バックグラウンド画像は、自分のライブラリにあるものや、Appleが事前に選択した写真を使って設定することができる。もう少しダイナミックなものがあると良いのだが。たとえば事前に手作業で選んでおいた画像やAIを使ってライブラリから選んだ最高の画像を順番に切り替えてくれるとか。まあとはいえ今回の実装は良くできているし、タブをオープンしたときに馴染みのあるものが目に入るのは好ましい(私の個人的なケースでは、私のアパートに家賃も払わずに住んでいるウサギの画像だ)。
さらに、ホームページのカスタマイズとして、お気に入り、頻繁に訪問するサイト、リーディングリスト、さらにはSafari がブロックしたトラッカーの数などがわかるプライバシーレポートなどを表示することができる。プライバシーレポートをクリックすることで、ブロックされた特定のトラッカーの詳細プロファイルや、トラッキングを行っているサイトが表示される。どうやら私のコンピューターからSafariを使って訪れたサイトの80%はトラッカーを使っているようだ、うげっ。
Safariに組み込まれた翻訳機能は、Chrome(クローム)に対抗するための素晴らしい一歩だ。翻訳サービスの分野ではGoogle(グーグル)が長年のリーダーを務めてきていた。AppleのブラウザSafariは、モバイルでは大きな市場シェアを持っている(iOSのデフォルトのブラウザであることが大きな理由だ)が、デスクトップ市場の調査では、シェアは8〜10%のどこかに落ち着くことが多い。とはいえ、現在翻訳機能はベータ版であり、現在翻訳されるのは、英語、スペイン語、簡体字中国語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、ブラジルポルトガル語などに限られている。もちろんAppleがそのリストを更新し続けることは間違いない。
私が高く評価したいのは、タブの上にマウスを置くと表示される、ウェブサイトのプレビューだ。これは、タブを使いすぎる傾向のある私たちにとって、素晴らしい追加機能だ。今では多くの、いやほとんどの人がそうした傾向を持っているのではないかと思う。またAppleは、タブにサイトのファビコンも追加した。これもまた、サイトを素早く識別する役に立つはずだ。
内部の改良も同時に行われ、サイトのレンダリングが速くなり、電力利用効率も向上した。Appleは、Safariを使えば、Firefox(ファイアフォックス)やChromeに比べて、ストリーミングビデオの再生時に、バッテリー寿命を最大3時間程度伸ばせるはずだという。これはとても大きな違いのように見えるが、間違いなくApple製ソフトウェアを使用する利点はあるだろう。たとえ同社が今でもデスクトップ市場のシェアを広げるための、急坂を登っている最中であるとしても。「マップ」は、AppleがGoogleからかなり厳しい競争を強いられている、また別の場所だ。最新データでは、Googleマップは67%前後の市場シェアを握っている。Appleからの提供は、明らかに遅いスタートだったが、AppleはGoogleに追いつくためにかなり必死の努力を重ねている、そして今では、いくつかの点ではGoogleを上回るようになった。
もちろん、そうしたアップデートの多くは、パンデミックが起こっていないときならもっとチェックしやすいものだ。まあしばらくの間は、360度ルックアラウンド機能(Apple謹製Googleストリートビュー対抗機能)のようなもので、代わりに楽しむのが良いだろう。機能は比較的限られているものの、屋内マップも使える。空港や屋内ショッピングモールなどの一部のスポットで、その機能をチェックすることができる。その他の主な追加には、充電ステージ経由の移動を計画できる電気自動車ルート案内、サイクリングルート案内、主要都市の渋滞地域に関するマップなどがある。
「メッセージ」へのアップデートのいくつかは、ここで言及する必要があるだろう。その多くは、iOSの最新バージョンでも導入されたものだ(OS間で同等性が実現されることは稀だったが、おそらく今後はより一般的になるだろう)。今回の場合、なぜAppleがこうしたものを一度にロールアウトしたかったのかは明らかだ。
このアップデートにより、デスクトップ全体でのメッセージの堅牢性が向上した。追加された機能には、ミー文字エディタやスタンプ、紙吹雪やレーザーなどのメッセージ効果、改善された写真選択機能などがある。会話はアプリの上に固定でき、グループチャットは改善されて、グループ写真、特定のメッセージへのインライン返信、@記号でユーザーに通知する機能などが含まれるようになった。それはSlackの代替ではないし、そうなろうともしていない。
ベータが数ヶ月続いて、Big Surはついに皆の手に届いた。アプリやシステムへの重要なアップグレードが目立つが、Appleの視点から見てさらに重要な点は、ARMを搭載したMacの最初の基礎を築き、同社の主要な2つのオペレーティングシステム間の統一に向けてその行進を続けているということだ。
関連記事:
・macOS 11.0 Big Sur preview(未訳記事)
・Here’s everything Apple announced at the ‘One More Thing’ event today(未訳記事)
・新macOS Big Surは米国時間11月12日に提供スタート
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画像クレジット:Brian Heater
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(翻訳:sako)
Appleが先週から起こっていたGatekeeperの脆弱性を修正
Apple(アップル)は、先週起こったmacOSのGatekeeperバグの再発を防ぐ次のステップを説明する同社ドキュメントページ(Appleサポートページ)を更新した。Rene Ritchie(レナ・リッチー)氏が発見している(Twitter投稿)。アップルは来年にかけて修正を実施する計画だという。
先週、アップルは厳しい配信日を迎えた。同社はmacOSのメジャーアップデート「macOS Big Sur」(未訳記事)をリリースしたが、その後、アップルはサーバー側の問題に悩まされた。
今回の問題は、Macがサードパーティ製アプリケーションを開発者認証を確認できない(未訳記事)ために起動できないというものだ。この機能はGatekeeperと呼ばれ、正規のアプリを装ってマルウェアアプリをダウンロードしていないことを確認してくれる。証明書が一致しない場合、macOSはアプリを起動できないようにする。
Hey Apple users:
If you're now experiencing hangs launching apps on the Mac, I figured out the problem using Little Snitch.
It's trustd connecting to https://t.co/FzIGwbGRan
Denying that connection fixes it, because OCSP is a soft failure.
(Disconnect internet also fixes.) pic.twitter.com/w9YciFltrb
— Jeff Johnson (@lapcatsoftware) November 12, 2020
現在、多くの人がセキュリティ機能のプライバシーへの影響を懸念している。アップルは、ユーザーがMacで起動したすべてのアプリのログを残し、アプリの使用状況に関する情報を集めているのだろうか?
サーバーは暗号化を義務付けていないため、その疑念に関する回答は簡単だ。Jacopo Jannone(ヤコポ・ジャノーネ)氏がこの暗号化されていないネットワークリクエストを傍受し、アップルが密かにユーザーを監視していないことを突き止めている(Jacopo Jannone氏ブログ)。Gatekeeperは本当にいわれていることを行っているだけだった。
「これらのチェックから得たデータを、アップルユーザーやそのデバイスに関する情報と組み合わせたことはありません。チェックから得たデータを、個々のユーザーがデバイス上で起動または実行しているものを知るために使用することはありません」と同社は記している(Appleサポートページ)。
アップルはさらに一歩進んで、同社の次のステップについても伝えている。同社は先週から、サーバー上のIPアドレスの記録を停止している。Gatekeeperのためにこのデータを保存する必要はない。
「これらのセキュリティチェックには、ユーザーのApple IDやデバイスのIDは含まれていません。さらにプライバシーを保護するため、開発者IDの証明書チェックに関連するIPアドレスの記録を停止しました。収集されたIPアドレスがログから削除されるようにします」とアップルは書いている。
最後に、アップルはネットワークリクエストのデザインを見直し、ユーザー側のオプトアウトオプションを追加している。
それに加えて、今後1年間でセキュリティチェックにいくつかの変更を加える予定です。
・開発者ID証明書の失効チェックのための新しい暗号化されたプロトコル
・サーバ障害に対する強力な保護
・ユーザーがこれらのセキュリティ保護からオプトアウトするための新しいプリファレンス
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Apple、macOS
画像クレジット:Apple
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(翻訳:TechCrunch Japan)
MirantisがKubernetesのIDEであるLensに拡張API導入、新たなKubernetes配布系発表
この夏、Dockerのエンタープライズ事業のオーナーであるMirantisは、Kubernetesのクラスターを管理するためのIDEのようなデスクトップアプリケーションLensを買収した。その際、MirantisのCEOであるAdrian Ionel(アドリアン・イオネル)氏は、モダンなアプリケーションをすばやく作ることができるツールをエンタープライズに提供したい、と語っていた。米国時間11月12日、同社はその方向に新たな一歩を踏み出す、Lensの拡張APIを立ち上げた。これによりLensの能力が最初に比べて格段に向上する。
MirantisはLensのアップデートに加えて、k0sという新しいオープンソースプロジェクトも発表した。同社によると、それは「モダンで100%アップストリームの、特別な機能は何もないシンプルなKubernetesディストリビューションで、妥協のない設計とパッケージングが行われている」という。
k0sは、カーネル以外ではOSへの依存性もない最適化された単一のバイナリだ。アップストリームのKubernetesをベースとするk0sは、IntelとArmのアーキテクチャをサポートし、Linuxホストのすべて、またはWindows Server 2019のワーカーノードで動く。このような要求を元にチームは、k0sはローカルな開発クラスターやプライベートなデータセンター、通信事業者のクラスター、ハイブリッドクラウドのソリューションなど、 事実上どんなユースケースにも使うことができると主張している。
「Kubernetesが使われるさまざまなユースケースのための、モダンで堅牢で多芸なベースレイヤーを作りたかった。何も余計な部分のないアップストリームのKubernetesを利用して、典型的なクラウドベースのデプロイメントから多様なエッジやIoTのケースに至るまで、それらのさまざまなユースケースに十分対応できる多芸なシステムだ。私たちのこれまでの経験から、OSのディストリビューションが違うたびにメンテナンスとセットアップとパッケージングが違うというものにはしたくなかった。そこでパッケージングのモデルは単一のバイナリにして、debやrpmなどパッケージングのフレーバーの違いにわずらわされることなく、コアな問題に集中できるようにした」とMirantisの上級主席技術者でk0sを開発したJussi Nummelin(ユシ・ヌンメリン)氏は述べている。。
もちろんMirantisも、ディストリビューションのゲームにちょっと参戦したことがある。同社初期となる2013年には、初期のメジャーなOpenStackディストリビューションの1つを、結局開発してしまった。
Lensといえば、その新しいAPIは来週、KubeConにタイミングを合わせたかのようにローンチし、開発者が自分のサービスを拡張して、Kubernetesを統合した他のコンポーネントやサービスをサポートできるようになる。
Lensのオープンソースプログラムを共同で創始し、いまではMirantisの技術長であるMiska Kaipiainen氏(ミスカ・カイピアイネン)は次のように語っている。「拡張APIはテクノロジーのベンダー間のコラボレーションを可能にし、Lensをクラウドネイティブな開発のための機能が完全に揃ったIDEにする。そしてそれをさらに、限りなく拡張強化できる。あなたがベンダーなら、Lensが何万人ものKubernetesデベロッパーに到達できる最良のチャンネルを提供し、製品のこれまで存在し得なかったような流通と配布が可能になる。それと同時にLensのユーザーは、高品質な機能と技術および統合を、前よりずっと容易に享受できる」。
同社はすでにCNCFの人気プロジェクトとクラウドネイティブのエコシステムの中のベンダーたちと協力して、それらとの統合を作っている。それにはKubernetesのセキュリティのベンダーAquaとCarbonetesや、APIのゲートウェイメーカーAmbassador LabsとAIOpsの企業Carbon Relayが含まれる。VenafiやnCipher、Tigera、Kong、そしてStackRoxなども、彼らの機能拡張に取り組んでいる。
「Lensへの拡張APIの導入はKubernetesのオペレーターとデベロッパーにとってゲームチェンジャーだ。なぜならそれは、クラウドネイティブツールのエコシステムを育て、ユーザーは超簡単にそれらを、Kubernetesのコントロールのフルパワーの中で使用できる。今後はKubeLinterをLensと統合して、よりシームレスなユーザー体験を実現したい」とStackRoxのソフトウェアエンジニアでKubeLinterを開発したViswajith Venugopal(ヴィスワジット・ヴェヌゴパール)氏はいう。
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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Mirantis、Kubernetes
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)
Pythonの作者Guido van Rossum氏がMicrosoftに入社
プログラミング言語Pythonを作ったGuido van Rossum氏が今日(米国時間11/12)、引退生活をやめてMicrosoft(マイクロソフト)のDeveloper Divisionに入ったことを発表した。
Van Rossum氏は、最後はDropboxの社員だったが、同社に6年半在席したのち、昨年10月に引退した。しかし明らかに、その引退を長く続けるつもりはなかったようだ。彼によると、Microsoftでは、Windowsの上だけでなく一般的に、Pythonの使用を確実に改善していくという。
Microsoftのスポークスパーソンによると、とくに共有すべき詳細情報はないけれども、van Rossum氏が本当にMicrosoftに入社したことは確実だそうだ。スポークスパーソンは曰く、「彼がDeveloper Divisionの一員になったことはすばらしい。MicrosoftはPythonのコミュニティに寄与貢献し、共に成長することにコミットしており、Guidoの入社は、そのコミットの反映である」。
オランダ出身の彼は、のちにPythonになるものの開発を1989年に始めた。90年代半ばには彼はアメリカで、アメリカ国立標準技術研究所に勤めながらその言語の開発を積極的に続け、その後はさまざまな企業を転々とした。たとえばBeOpenではPythonLabsのディレクターになり、ZopeやElemental Securityにも在籍した。Dropboxに行く前は2005年から2012年までGoogleにいた。そこで彼は社内で使うコードレビューツールMondrianを開発し、App Engineの開発にも関わった。
[Guido van Rossum: 引退は退屈だと分かったからMicrosoftのDeveloper Divisionに入った。何をするのかって?候補が多すぎて一言では言えないね! でもPythonの使用を確実に改善していくだろう(Windowsの上だけではなくて)。ここにはオープンソースが大量にある。今後にご期待を。]
今のPythonは、もっとも人気のあるプログラミング言語のひとつであり、たとえばAIの研究者のためのデファクトスタンダードだ。
ほんの数年前なら、van Rossum氏がMicrosoftに入るなんて考えられなかっただろう。同社のオープンソースへのアプローチは、それぐらい不評だった。でも今やそれがすっかり変わって、今日のMicrosoftは他社と共にもっとも積極的なオープンソースへの企業コントリビューターだ。それに、今やGitHubのオーナーでもある。Rossum氏がMicrosoftで何をするのか、いまいちよく分からないが、彼は「選択肢が多すぎる」と言っているし、「ここには大量のオープンソースがある」のだそうだ。
プレゼンソフトmmhmmのMac版が一般公開、学生・教員はプレミアムツールが1年無料
Evernote創業者のPhil Libin(フィル・リービン)氏が開発しているプレゼンテーションソフトウェアのmmhmmが、米国時間11月12日にベータ版ではなくなった。mmhmmアプリの正式版をMacで利用できるようになっている。
mmhmmは背景を変える、ビデオを再生する、画像を追加する、フィルターを使うなど、クールなエフェクトでビデオ通話を楽しめるソフトウェアだ。登場以来ずっと招待制だったが、誰でも利用できるようになった。
無料アプリのリリースと同時に、プレミアムツールも登場した。
プレミアムツールには、カスタマイズ可能なルーム、プレゼンター用コントロール、レーザーポインタなどのアドオンが含まれている。プレミアムツールは7日間無料で試用でき、試用終了後はこれらのツールを1日1時間利用できる。プレミアムツールの価格は年額99ドル(約1万400円)、または月額9.99ドル(約1050円)だが、無料でもビデオチャット、録画、コラボレーション、デフォルトの背景とシンプルなプレゼンターモードでの基本的なプレゼンテーションを利用できる。
重要なポイントとして、mmhmmはプレミアムツールを学生と教員には1年間無料で提供することにした。
正式版リリースにともない、新機能もいくつか追加されている。ビッグハンドモード(ビデオ通話参加者が目を引くビジュアルで反応できる)、mmhmmのバーチャルグリーンスクリーン表示の改善、クリエイティブサービスなどだ。
ビッグハンドモードはApple(アップル)の新しいM1チップ搭載Macでのみ動作する。
クリエイティブサービスは、mmhmmにとっての新しい収益チャネルだ。大規模イベントなどの開催者に対して高品質なオーダーメイドのサービスを提供する。
現時点でmmhmmはmacOSでのみ利用できるが、同社はWindows向けのベータ版を開発中だ。
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:mmhmm
画像クレジット:mmhmm
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(翻訳:Kaori Koyama)
ニュースアプリNewsDigestが居住地域の新型コロナ新規感染者数・事例を確認できる「第三波アラート」提供
報道ベンチャーのJX通信社は11月12日、同社速報ニュースアプリ「NewsDigest」上において、「新型コロナ感染事例マップ」を強化し、ユーザー居住地域の新規感染者数・感染事例をプッシュ通知で確認できる「第三波アラート」の提供を開始した。
同機能は、NewsDigestアプリ(Android版・iOS版)内下部の「コロナ・防災」タブにおいて、無料で利用可能。「新型コロナ感染事例マップ」ならびに「第三波アラート」で利用できる機能は下記の通り。
- 居住地や勤務先の地域を、都道府県ならびに市町村で登録
- 新型コロナ感染事例マップでは、登録した都道府県の、直近1週間の感染者の増加数、人口10万人あたり新規感染者数などをリアルタイムに確認可能
- 登録した都道府県における当日の最新の感染者数や、クラスター発生などの速報をプッシュ通知で受け取れる(第三波アラート)
ニュース速報アプリNewsDigestでは、2020年4月より「新型コロナウイルス感染事例マップ」を提供。自治体や企業による正式な発表情報(一次情報)を基に、感染事例・消毒の状況などをめぐる最新・正確な情報提供を目指している。
提供意図
- 一般市民が自ら感染リスクを確認できる手段の提供
- 感染事例をめぐるデマ・風評被害の防止
- 個人情報を送信せずに接触リスクを確認できるアプリの提
NewsDigest新型コロナ感染事例マップでできること
- 約1万超の箇所・のべ2万5000人超(11月12日時点)の感染事例に関連する場所の情報をピンポイントに網羅
- 消毒されている場合は、その旨も明記
- 情報の日付をもとに、その前後にユーザー自身がその場所に立ち寄っていないかを自らチェック可能
- GPS位置情報で、ユーザーが今いる場所の近隣の感染事例を確認可能。ユーザーの移動履歴などが保存されない、プライバシーに配慮した仕組み
- GPSによる位置情報機能は、NewsDigestのアプリ上で位置情報の使用を許可しているユーザーのみ利用可能。アプリがユーザーの許可なく位置情報を取得・使用することはない
JX通信社は、報道分野に特化したテックベンチャー。
国内の大半の報道機関のほか官公庁、インフラ企業などにSNS発の緊急情報を配信する「FASTALERT」(ファストアラート)、一般消費者向けの速報ニュースアプリ「NewsDigest」、自動電話情勢調査などのサービスを提供している。
新型コロナウイルス感染症をめぐっては、国内でいち早く2月16日より、国内感染状況の統計をまとめた「新型コロナウイルス感染状況マップ」を公開。累計1000万人以上のユーザーが利用しているという。また、LINE、Yahoo!、SmartNewsといった国内主要プラットフォーム各社にも最新の新型コロナウイルス関連統計データの提供を行っている。
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・ウシオ電機と東芝ライテックが一般照明器具など紫外線除菌・ウイルス抑制装置を共同開発、2021年1月販売目指す
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カテゴリー: ソフトウェア
タグ: COVID-19(用語)、JX通信社、新型コロナウイルス(用語)、日本
Apple Silicon MacではiOSアプリも動作する
米国時間11月10日、Apple(アップル)は新しいApple Silicon Macが従来より幅広い範囲のアプリを実行する能力を持つことについて詳しく話した。iOSデベロッパーがモバイルアプリのMac互換バージョンを公開していない場合でも実行できる。同社によると、新型Macに搭載されたmacOS Big Sur(ビッグ・サー)は、ユニバーサルアプリ(Apple SiliconとIntel Macの両方に対応するように作られたネイティブバイナリーを含む)だけでなく、ユニバーサルにアップグレードされていないその他のアプリも動作させることができる。
これは、新型Macが史上初めて、ユーザーのiPhone / iPadアプリを実行できることを意味している、とアップルは語った。この変革によってMacで利用できるアプリの選択肢は大きく広がる。
アップルはどうやってこれが可能になったのかをイベントで説明した。Rosetta 2(ロゼッタ2)と呼ばれる新技術が、IntelベースMac向けに作られたアプリがM1(Apple Siliconファミリー初のメンバー)上で動くのを助ける、と同社は語った。アップルは、グラフィック志向のアプリはRosetta 2を使った時のほうがIntelで動いたときよりも性能が向上するとまでいっている。
さらにアップルはイベントで、HBO MacとAmong UsといったiPhone / iPadアプリが新型シリコンMacで動作するところを披露してみせた。
アップルは他のデベロッパーが自社アプリを新型Mac対応にする計画を話しているところをビデオで紹介した。Panic、Cinema 4D、Baldur’s Gate 3、Hopscotch、mmhmm、Shapr3Dなどだ。
しかし9to5Macの記事によると、アップルはデベロッパーが新しいユニファイドアプリストアからオプトアウトすることを認めるらしい。Apple Silicon向けの新しいMac App Storeに自社アプリを提供しないデベロッパーとして9to5MacはGoogle(Gmail、Googleドライブ、Googleマップ)、Facebook(Facebook、Instagram、Messenger、WhatsApp)、Amaaon(Prime Video)、Snapchat、およびDisney+の名前を挙げている。
ただし、このオプトアウトは一時的な方策かもしれない。
アップルはユニバーサル・アプリ(Apple SiliconとIntelプロセッサーの両方に向けて作られたアプリ)について、さらに詳しく語った。ユニバーサルアプリを最初に公開する企業には、Omni GroupとAdobeが入っている。AdobeはユニバーサルバージョンのLightroomを2020年12月に、Photoshopを2021年に公開する予定だ。
ユニバーサルアプリのダウンロードは、App Storeでもウェブからでも可能になるとアップルはいう。。
もちろんアップルは自社アプリをすべてM1に最適化しており、macOSに含まれるアプリだけでなく、Pages、Numbers、Keynote、GarabeBand、iMovie、LogicPro、Final Cut Proなど、同社が提供している他のアプリも対象だ。
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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Apple、Apple Silicon、Mac、Apple Mac Event、アプリ
画像クレジット:Apple
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )
新macOS Big Surは米国時間11月12日に提供スタート
Apple(アップル)が米国時間11月10日に発表したところによると、同社の次期デスクトップおよびノートパソコン向けOS、macOS Big Surは米国時間11月12日にリリースされる。
カリフォルニアをテーマにしたMacOS Big Surには、新しいユーザーインターフェース、新機能、パフォーマンス改善が盛り込まれる。
iOS 14の機能の多くも移植されている。これには改善されたメッセージスレッドとインライン返信、再設計されたマップアプリが含まれる。macOS Big Surには新しいコントロールセンターが搭載されており、画面明るさやボリューム、Wi-FiとBluetoothへのすばやくアクセスできるようになる。
Safariにも待望の刷新が施されている。新しいプライバシー機能とセキュリティ機能が搭載されており、ウェブ上でトラッカーが追跡するのを防ぐインテリジェンス追跡防止機能や、以前に侵入されたパスワードを使わないようにするパスワード監視機能などが組み込まれている。
macOS Big Surの動作の模様は、TechCrunchのBrian Heater(ブライアン・ヒーター)記者が8月に試している(未訳記事)。
MacOS Big Surは、2013年以降のMacとMacBookでサポートされる。
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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Apple、Apple Silicon、Mac、Apple Mac Event、macOS
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(翻訳:塚本直樹 / Twitter)
WWWの父ティム・バーナーズ=リー氏のInruptがプライバシープラットフォームSolidのエンタープライズ版をリリース
World Wide Web(ワールド・ワイド・ウェブ、WWW)のオリジナル開発者Tim Berners-Lee(ティム・バーナーズ=リー)氏のスタートアップであるInrupt(インラプト)が、米国時間11月9日、プライバシープラットフォームSolid(ソリッド)のエンタープライズ版を発表した。これにより、大規模な組織や政府が、ユーザー自身がデータを制御することのできるアプリケーションを開発することができる。
バーナーズ=リー氏は、常にウェブは自由で開放的であるべきだと信じてきたが、大規模な組織は過去20年間にわたって成長を続け、私たちのデータを使ってお金を稼いでいる。彼は人びとが自分のデータを制御できるようにしたいと考えた。MITで開発されたオープンソースプロジェクトSolid(MITサイト)は、そのプロセスの第一歩だった。
彼は3年前に、そのオープンソースプロジェクトを基盤としたスタートアップInruptを起業し、会社の経営のためにJohn Bruce(ジョン・ブルース)氏を採用した。2人が、ウェブサイトの開発方法を変えることなく、データの所有権を移転するという同じビジョンを共有していたからだ。Solidを使用しても、開発者はサイトの構築に普段と同じ標準と手法を使うことが可能で、開発されたアプリケーションはどのブラウザでも動作する。Solidが目指しているのは、データパワーのバランスを変えて、それをユーザーの手へと導くことだ。
「お待たせしました、私たちは苦労の結晶としての、最初の重要テクノロジーをリリースします。大規模な組織の中で大規模に展開できるSolidのエンタープライズ版です」とブルース氏は説明する。
このアプローチの背後にある核となるアイデアは、ユーザー自身がパーソナルオンラインデータストア (Personal Online Data Store、Pods)と呼ばれる、オンラインストレージエンティティ内のデータを制御するということだ。エンタープライズ版は、Podsを管理するSolid Server(ソリッドサーバー)で構成され、開発者はSDKを使用してアプリケーションを開発することでPodsを利用して、税金の支払いや、医療サービス機関とのやりとりなどの特定の仕事を実行するために必要なデータに、アクセスすることができる。ブルース氏は、エンタープライズ版はオープンソース版Solidプロジェクト仕様と、完全に互換性があると指摘している。
同社は、米国時間11月9日のリリースに先立ち、英国のBBCや国民保健局、ベルギーのフランドル地方政府などのいくつかの大規模な組織と協力してきた。
これがどのように機能するかを理解するための例に、英国国民保健局が開発している患者と相互作用するためのアプリケーションでは、Solidを使う患者たちが、自分自身の健康データを制御することが可能になっていることが挙げられる。「患者は医師、家族、または在宅介護者に対して、Solid Podsから特定のデータを読み取ることを許可したり、医師が患者のケアを改善するために読むことができる、介護メモや観察記録を追加する許可を与えることができます」と同社は説明する。
このやり方と従来のウェブまたは携帯電話アプリとの違いは、誰がこうした情報にアクセスできるかを決めるのはユーザー自身であるということだ。アプリケーションの所有者はユーザーに対して許可を求め、かつユーザーはどのような条件下で許可を与えるのかを明確にしなければならない。
同スタートアップは2017年にローンチし、これまでに約2000万ドル(約20億7000万円)を調達している。ブルース氏とバーナーズ=リー氏は、これを根付かせるためには、使いやすく、標準に準拠していて、かつ大規模な処理を行える能力をもつ必要があることを理解していた。誰でもオープンソース版のSolidをダウンロードして利用することができるが、エンタープライズ版は彼らがこれまで協力してきたような大企業が必要とするようなサポート、セキュリティ、スケールを、大組織が手に入れることができる。
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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:ティム・バーナーズ=リー、Inrupt
画像クレジット:Photographer is my life. / Getty Images
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(翻訳:sako)
アップルがiOS 14.2をリリース、100以上の絵文字とLiDARで近くの人を検知する新機能を搭載
Apple(アップル)は米国時間11月15日、iOS 14.2をリリースした。アップデートには複数の新機能だけでなく、いくつかの重要なバグ修正とセキュリティの更新が含まれているが、特に今回のリリースでは100以上の新しい絵文字の追加がアピールされている。
絵文字にはトランスジェンダーの旗、涙を浮かべた笑顔、つままれた指、2人が抱き合う姿、いくつかの昆虫や動物、変装した顔などが含まれている。新バリエーションとしては、サンタクロースやミセスクロースの代わりに、性別を問わないMxクロースが追加された。タキシードは男性に限定されなくなり、ベールは女性に限定されなくなっている。タキシードを着た女性とベールをかぶった男性の絵文字を一緒に送ることができる
今回のリリースでは、iPhone 12 ProとPro Maxを使う目が不自由なユーザーのためのアクセシビリティ機能も追加されている。内蔵するLiDARセンサーにより、iPhoneのカメラの視界にいる人の存在と距離を検出することができるようになっている。
目の前に6フィート以上離れた人がいる場合や人が近づいてきた場合にそれぞれ別のアラートを出す機能は新型コロナウイルスのパンデミックが収束しても有用だろう。ステレオオーディオのアラートだけでなく、人が近づくにつれて速くなる触覚パルスを設定することも可能だ。
またiOS 14.2では、新しい壁紙や、音量が大きすぎる場合のヘッドフォンのオーディオレベル通知、AirPlayのコントロールのデザイン変更といったマイナーな機能も追加されている。
アップルはHomePod Miniを発表した際、同社は家にいる別のアップルユーザーと会話ができる新しいインターカム機能について触れたが、今回のソフトウェアアップデートではiPhone、iPad、Apple Watch、AirPods、CarPlayのインターカムサポートが追加されている。
AirPodsは最適化されたバッテリー充電ができるようになった。これは、iPhoneの最適化されたバッテリー充電と同じように動作するものだ。寝る前にAirPodsの電源を入れても、フルスピードで充電されることはない。その代わりに、iPhoneに目覚める直前にAirPodsを100%に充電するように指示できるため、バッテリー寿命が改善するはずだ。
またアップルは、iPadOS 14.2とwatchOS 7.1もリリースしている。韓国とロシアのApple Watchユーザーは、最新のApple Watchで心電図機能を試せるようになっている。
アップデートの際は、必ずデバイスのバックアップをとっておこう。iPhoneまたはiPadで設定アプリを開き、上部のアカウント情報をタップし、iCloudのバックアップが最新のものであることを確認しよう。または、iOSデバイスをコンピュータに接続して、iTunesまたはFinderで手動バックアップを行うこともできる。設定アプリを開き、「一般」から「ソフトウェアアップデート」を選択することでアップデートを始めることができる。
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タグ:Apple、iOS、iOS 14
画像クレジット:Apple
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(翻訳:TechCrunch Japan)
メイン州ポートランドで顔監視を禁じる住民投票が可決
いまは米国時間11月3日に行われた選挙結果ことで、心も頭も忙しいと思うが、でもそのかげでメイン州ポートランドでは、プライバシー擁護派の小さいけど重要な勝利があった。メイン州の地方紙Bangor Daily Newsによると、ポートランド市は行政と警察による顔認識技術の使用を禁じる住民投票を可決した。
その趣旨は次のとおりだ。
ポートランドにおける公務員による顔監視を禁じる条例は、ポートランド市とその各部局および職員が、公衆のいかなる集団や成員に対しても、いかなる顔監視ソフトウェアでも、その使用と認可を禁じ、また公衆の成員に顔監視データが不法に収集/利用された場合には訴訟できる権利を提供するものである。
これは、11月3日夜に同市で議決された4つの進歩的な政策の1つだ。市議会を通過したその他の政策は、時給15ドル(約1560円)の最低賃金と、家賃増額の上限などとなる。同様の法案は、サンフランシスコとボストン、そしてオレゴンのポートランド市でも議会を通過した。オレゴンのポートランド市は2020年9月に、かなり包括的な禁令を成立させている。
一方、ワシントンDCでは今週初めに、顔認識を利用した逮捕があった(The Washington Post記事)。その人物は、Twitter(ツイッター)上の画像を使って特定されたという。
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タグ:顔認証
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)
Bridgefyが抗議行動や災害時にエンド・ツー・エンドで暗号化メッセージをやりとりできるアプリを公開
BluetoothとWi-Fiを革新的に使ってオフラインでメッセージをやり取りするBridgefyは、管理体制の厳しい当局によってインターネットの利用が制限されている中でも世界中の多くの抗議行動参加者が連絡を取り続けられるアプリとして知られるようになった。
最近ではナイジェリアとタイの活動家が支援者に対してBridgefyをダウンロードするように推進し、2019年には香港の抗議行動参加者がこのアプリをダウンロードして、当局による携帯電話サービスやデータ接続の検閲に対抗した。Bridgefyによれば、ここ1年で200万ダウンロードに達したという。そして現地時間10月30日にはトルコとギリシャが大きな地震に見舞われ、それ以降にこれらの地域でアプリのダウンロード数が急速に増えている。
Bridgefyは活動家にとって重要な新機能であるエンド・ツー・エンドのメッセージの暗号化を搭載したメジャーアップデートを公開した。この新機能により利用者はデータ通信を利用できないときでも安全にメッセージを送受信できる。この機能にはWhatsAppやFacebook Messengerでも利用されている暗号化プロトコルのSignalが使われる。
2014年に創業者たちがメキシコシティの地震で連絡が取れなくなった問題を認識して、Bridgefyを始めた。2017年にはTechCrunch Disruptに登壇した(未訳記事)。モバイルアプリとしてスタートし、数年後には他のアプリがインターネット接続なしで動作できるようにするためのSDKを追加した。現在、BridgefyのSDKはユーザー数に基づく年間サブスクリプションモデルで企業にライセンスされ、40社以上の決済、メッセージング、ゲーム、ソーシャルメディア、出会い系、災害対応アプリと統合されている。技術的にはGoTennaやチャットアプリのFirechatなどが競合だが、Bridgefyは活動家たちの間で知名度を上げている。
Bridgefyは現在シードラウンドの調達中で、Twitter共同創業者のBiz Stone(ビズ・ストーン)氏、Alchemist Accelerator、GAN Venturesなどの投資家からすでに80万ドル(約8400万円)を調達した。
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Bridgefy
画像クレジット:Bridgefy
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(翻訳:Kaori Koyama)
AppleのSiriが米国大統領選の投票日を11月8日と思いこんでいたことが判明
米国大統領選挙の投票日、エレクションデーがいつなのかは誰もが知っているはずだった。どんなに世情にうとい人間でも知らないわけにいかなかったはずだ。ここ数週間、両陣営、メディアとも「2020年11月3日」という投票日を連呼し続けてきたからだ。
ところが驚いたことにSiriだけは知らなかった。米国時間11月3日朝にApple(アップル)のスマートアシスタントに「ハッピー・エレクションデー!」と呼びかけるとSiriは「エレクションデーは今日ではありません」と答えた。TechCrunchのルーカス・マトニー記者のツイートによれば、Siriは投票日を11月8日だと思い込んでいた(クロセック記者の下のスクリーンショットが修正前と修正後)。
アップルは大慌てでこの失態を修正したが、Siriどうしてこういう早合点をしたかは興味ある問題だ。2020年の大統領選は11月3日だったが、上院議員の半数と下院議員を選出する中間選挙は2022年11月8日に予定されている。
「デモクラシー」の語源は古典ギリシャ語の「デモス・クラティア」つまり「民衆の支配」という意味だが、11月8日は米国のデモクラシーがどんな騒ぎを引き起こすかを観察する絶好のチャンスとなるはずだ。
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Apple、Siri、米国大統領選挙
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)