人工知能に潜む5つのバイアス

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【編集部注】著者のKristian HammondはNarrative ScienceでR&Dに従事する主任科学者兼共同創業者である。Krisはまた、ノースウェスタン大学のコンピュータサイエンスの教授でもある。

私たちは何かと、マシン、特にスマートマシンを、冷静に計算しバイアス(偏り、偏見)がないものと考える傾向がある。私たちは、自動運転車は、運転手と無作為な歩行者の間の生死の決定に対して、好みを持っていないと考えている。また私たちは、信用調査を実施するスマートシステムは、収入やFICOスコアなどの真にインパクトのある指標以外は無視しているものと信頼している。そして私たちは、学習システムは、バイアスのないアルゴリズムによって動作しているのだから、常に真理に基づいた地点に達するものだと考えている。

機械の厳格な視点の外側は感情的であるはずはないと考える人もいる。また機械は人間のバイアスから自由であるはずだと思う人もいる。そしてその中間として、機械は客観的だという見方がある。

もちろん、そんなことは全くない。現実には、純粋にバイアスのない知的システムは非常に少ないだけでなく、バイアスにも複数の源泉がある。これらのバイアス源には、システムを訓練するために使用するデータバイアス、「現場」でのインタラクションを介したバイアス、偏向出現バイアス、類似性バイアス、そして相反する目標に対するバイアスが挙げられる。これらの源泉のほとんどは意識されることがない。しかし、インテリジェントシステムを構築して展開する際には、意識しながら設計し、可能なら潜在的な問題を避けるためにも、そうしたバイアス源を理解することが不可欠だ。

データ駆動型バイアス

自ら学習するシステムの場合、出力は受け取ったデータによって決まる。これは別に新しい洞察ではなく、文字通り何100万ものデータによって駆動されるシステムを私たちが見る際に、忘れられがちなことである。圧倒的な量のデータは、任意の人間のバイアスを圧倒するだろうというのがこれまでの考えだった。しかしトレーニングセット自身が歪んでいたときには、結果も同じように歪んでしまうのだ。

最近では、この種のバイアスは、ディープラーニング通した画像認識システムに見ることができる。ニコンのアジア人の顔に対する混乱や、HPの顔認識ソフトウェアにおける肌色認識の問題といったものは、どちらも歪んだトレーニングセットからの学習の産物であるように思える。どちらも修正可能であり、かつ意図的ではないが、これらはデータのバイアスに注意を払わない場合に発生する可能性のある問題を示している。

顔認識以外にも、現実世界に影響を及ぼす厄介な例が他にもある。仮釈放者、犯罪パターン、または従業員候補者の再犯率の予測のためのルールセットを構築するために使用される学習システムは、潜在的に負の影響を与える。歪んだデータを用いてトレーニングを受けた場合、あるいはデータはバランスが取れていても意思決定にバイアスがかかっていた場合には、バイアスも永続化する。

インタラクションを介したバイアス

サンプルセットを一括して調べて学習するシステムもある一方で、インタラクションを通じて学習する種類のシステムも存在する。この場合には、システムとインタラクションを行うユーザーのバイアスによって、システムのバイアスが引き起こされる。このバイアスの顕著な例は、ユーザーとのやりとりから学ぶように設計されたTwitterベースのチャットボットであるMicrosoftのTayだ。残念なことにTayは、Tayに人種差別主義者と女性差別を教え込んだユーザコミュニティの影響を受けた。要約して言えば、コミュニティはTayに対して攻撃的な発言を繰り返しツイートし、その結果、Tayはそれらの攻撃的発言を反応のための材料として使うようになったのだ。

Tayがひとかどの人種差別主義者になって、Microsoftがシャットダウンするまでには、わずか24時間しかかからなかった。Tayの人種差別的暴言はTwitterの中に限られていたが、それは実世界への影響の可能性を示唆しているものだ。人間のパートナーと共同で意思決定を行い、そして学ぶインテリジェントなシステムを構築する際には、更に問題のある状況で、同様に悪いトレーニング問題が発生する可能性がある。

ではその代わりに、インテリジェントなシステムに、時間をかけて指導する人たちとパートナーシップを結ばせればどうだろうか?融資の可否を決定する、あるいは仮釈放の可否を決定するマシンに対する、私たちの不信を考えて欲しい。Tayが教えてくれたことは、そのようなシステムが、それらを訓練する人々の意見を反映して、良くも悪くも、その環境と人びとの偏見を学ぶことである。

偏向出現バイアス

ときには、パーソナライゼーションを目的としたシステムによる意思決定が、私たちの周りにバイアスの「バブル」を作り出すことがある。このバイアスが働いている様子を見るためには、現在のFacebook以上に相応しい場所はない。Facebookのトップページで、ユーザーは友人たちの投稿を見て、彼らと情報を共有することができる。

残念ながら、データフィードの分析を使用して他のコンテンツを提示するアルゴリズムは、ユーザーが既に見た好みのセットに一致するコンテンツを提供する。この効果は、ユーザーがコンテンツを開いたり、 「いいね!」したり、共有したりするにつれて増幅される。その結果得られるのは、ユーザが既に「信じていること」に向かって歪められた情報の流れである。

それは確かにパーソナライズされ、しばしば安心もさせるものだが、それはもはや私たちがニュースと考えるようなものではない。これは情報のバブルであり、「確証バイアス」(仮説や信念を検証する際にそれを補強する情報ばかりを集め、それに反する情報を無視または集めようとしない傾向)のアルゴリズムバージョンなのだ。システムが自動的にそれを実行してくれるので、ユーザは自分の信念と矛盾する情報から自分で身を守る必要はない。

理想的な世界では、インテリジェントなシステムとそのアルゴリズムは客観的なものだろう

ニュースの世界に対しては、こうした情報のバイアスの影響は厄介だ。しかし、企業における意思決定を支援する方法としてソーシャルメディアモデルを考えた場合、情報バブルの出現をサポートするシステムは、私たちの思考を歪める可能性がある。自分のように考える人々からの情報しか得ていないナレッジワーカーは、対照的な視点を決して見ることはなく、選択肢は無視して拒否する傾向がある。

類似性バイアス

時にバイアスは、単に設計されたように動作するシステムの生産物そのものである。例えばGoogleニュースは、ユーザーの問い合わせに合致するストーリーを、関連するストーリーとセットで提供するように設計されている。これはまさに設計された通りの結果で、とても上手く働いている。もちろん、得られた結果は、お互いの確認と裏付けをする傾向のある、類似したストーリーのセットになる。つまり、Facebookで見たパーソナライズバブルと似ている、情報のバブルを得ることになる。

ここには確かにこのモデルによって強調される、ニュースの役割とその拡散に関連する問題が存在している — 最も明白な問題は情報へのバランスのとれたアプローチだ。「編集制御」の不在は、幅広い状況を調べることになる。類似性は、情報の世界では強力なメトリクスだが、それは決して唯一のものではない。異なる視点は、意思決定のための強力なサポートを提供する。問い合わせや既存の文書に「類似する」結果しか提供しない情報システムは、独自のバブルを生成する。

例えイノベーションと創造の視点に対する、縮小、反対、矛盾であっても、類似性バイアスは、特に企業では受け入れられる傾向にあるものの一つだ。

相反する目標バイアス

時には、特定のビジネス目的のために設計されたシステムが、全く予期されなかったバイアスを持つことがある。

たとえば、求職者に対して仕事の説明を提供するように設計されたシステムを想像してみて欲しい。ユーザーが仕事の説明をクリックすると、システムによって収益が発生する。当然、アルゴリズムの目標は、最高のクリック数を得るジョブ記述を提供することになる。

結局のところ、人びとは自分のセルフイメージに合った仕事をクリックする傾向があり、そのイメージは単に選択肢を示すだけでステレオタイプの方向に強化することができる。例えば、「看護」と「医療技術者」というラベルが付けられた仕事を提示された女性は、最初の方に向かう傾向がある。仕事が彼らのために最適という理由ではなく、ステレオタイプがイメージされて、自分自身をそのイメージに重ねるからである。

ステレオタイプの脅威が行動に及ぼす影響は、仕事に結びついたステレオタイプ(例えば、性別、人種、民族)に関する個人の知識に合致する仕事の提示が、より多くのクリックに結びつくことである。その結果、クリックスルーの行動に基づく学習コンポーネントを持つサイトは、ステレオタイプをより強化する機会を提示する方向に変化する傾向がある。

マシンのバイアスは人間のバイアスだ

理想的な世界では、インテリジェントなシステムとそのアルゴリズムは客観的なものだろう。残念なことに、これらのシステムは私たちによって構築され、その結果、私たちのバイアスを反映してしまう。バイアス自体と問題の源泉を理解することで、わたしたちはシステムを積極的に設計してバイアスを回避することができる。

おそらく、完全に客観的なシステムやツールを作成することはできないだろう、しかしそれらは、少なくとも私たち自身よりはバイアスが少なくなるだろう。そうなれば、おそらく選挙が私たちに不意打ちを食らわすこともないだろうし、通貨はクラッシュしないだろうし、パーソナライズされたニュースのバブルの外の人たちと、コミュニケーションを行うことができるだろう。

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(翻訳:Sako)

人間に話しかけるようにファイルの検索ができる「Findo」が700万ドルを調達

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ファイルやEメールがどこかにあるのだが、その場所が分からない。これは誰しもが抱える問題だろう。テック業界で働く人々にとっては特にそうだ。そんな時、理想を言えばEメールの受信ボックスやGoogle Docsにこのように尋ねたいと思うことだろう。「この前受け取ったプレゼン資料を探してほしい。送ってくれた人の名前は忘れたけど、彼とは昨年にNYCで会っているはずだ。バイオテックに関するプレゼンテーションだった」。人間にこのように尋ねるのは可能だが、機械では不可能だ。

この会話の問題は、機械が何かを探すために必要なキーワードを人間が思い出せないというところにある。それに加えて、最近では複数のEメールアカウントを持つのが当たり前になり、ファイルの置き場所が増えたことも問題の1つだ。

2013年にこの問題に気づいたのが、Findoの共同創業者であるDavid Yangだ。そして彼は現CEOのGary FowlerとFindoを立ち上げることになる。Garyは東ヨーロッパの主要アクセラレーターの1つであるGVA Launch Gurusを設立した人物としても知られている。

トップに掲載した写真に写っているYangは、少し特殊な経歴を持つ起業家だ。彼は21歳の時にモスクワでABBYYという会社を立ち上げている。ABBYYはその後、世界でも有数のAIを利用したOCR(光学文字認識装置)企業として成長し、1300人の従業員と16のオフィスを持つまでに成長した。シリコンバレーにも100人の従業員がいる。

テック業界のベテランたちへ:彼はあのCybikoを発明した人物でもある。Cybikoは当時10代の若者向けに開発された小型のワイアレス・コミュニケーションPCで、スマートフォンの前身となったデバイスだ。(私はこのCybikoが大好きだった!周りの友達にも普及しさえすれば、、)

そして今、Yangはドキュメントの検索システムに取り組んでいる。

彼が立ち上げたFindoはシードラウンドで追加の100万ドルを調達し、このラウンドでの合計調達金額は700万ドルとなった。それに加え、同社のプロダクトがPDFファイル向けのソリューションを提供するFoxitのソフトウェアに統合されることもすでに決まっている。

今回のシードラウンドに参加した投資家は、ABBYYの創業投資家、Flint Capital Venture Fund、戦略的な出資者として参加したFoxit、そして金額と名称は非公開ながら、ドキュメント・スキャナー業界から出資に参加した者もいる。

FindoのプロダクトがFoxitのソフトウェアに統合されることで、4億2500万人のFoxitユーザーはPDFファイルをトピック別に分類したり、類似ファイルの検索や比較をしたり、キーワードや送信者の名前を覚えていなくてもPDFファイルを検索したりすることが可能になる。このような機能に加えて、PDFの編集機能も備わっている。

Findoは、Dropbox、Evernote、Gmail、Google Drive、OneDrive、Outlook、Yahoo Mail、iCloud、そしてノートパソコンやデスクトップPCのローカルドライブに対応した「スマートサーチ・アシスタント」だ。Findoには5つの「フォームファクター」が用意されている:Webアプリ、iOSモバイルアプリ、チャットボット(Slack、Facebook Messenger、Skype、Telegramに対応)、Chrome拡張機能、iMessageアプリだ。

Findoは人間の言葉を理解することができる:人間に対して話しかけるようにファイルを検索することが可能なのだ。例えば、「1ヶ月前にボストンにいる人から送ってもらったプレゼン資料を探してほしい」だとか、「ユナイテッド航空で予約したサンフランシスコ行きのチケットを探してほしい」というような具合だ。

ユーザーが自身のEメールアカウントやローカルストレージなどをFindoに認識させると、Findoはユーザーのデータをインデックス化する。利用されるインデックスはキーワード・インデックスと「セマンティック・インデックス」の2種類だ。Findoはファイルの内容から企業名、人物名、ローケーション、ミーティングの要点、イベント、アジェンダ、各種チケット、請求書などのデータのまとまりを抽出し、それを全てつなぎあわせて「知識グラフ」を構築する。

Macに搭載されたSpotlightで同じことができるだろうか?SpotlightではローカルファイルやEメールの検索をすることはできるが、Evernoteの検索はできない。ローカルストレージと同期されていないDropbox内のファイルを検索することもできない。さらに、FindoではSpotlightで検索できないようなファイルも検索可能だ。

「ロンドンの”あの人”の電話番号を探してほしい」。このようにFindoに尋ねれば、Findoはロンドンという情報に関連する人物の電話番号を探してくれる。例えば、ロンドンに拠点を持つ企業に勤める人物の電話番号を探すというような具合だ。すべてのユーザーで共有のセマンティックインデックスを構築するGoogleとは違い、Findoは何億ものプライベートなセマンティックインデックスを、何百もの言語向けに構築することを目指している。

これまで3年間のあいだ極秘とされてきた同社のプラットフォームは今日から公開が始まっている。

同社のスポークスパーソンによると、「4つ以上のアカウントを連携するユーザーのリテンション率が特に高い」という。

Findoのプロダクトは現在、WebiOSアプリ版、そしてMessenger、Slack、Skype、Telegramに対応したチャットボット版、さらにChrome拡張機能版が公開されている。

6ヶ月以内に作成されたファイルの検索ができるAdvanced Planは月額4.99ドル、すべての期間に作成されたファイルの検索できるUltimate Planは月額9.99ドルで提供されている。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

LINEでメール送受信・タスク管理ができるチャットボット「SwingBot」がリリース

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日本のスタートアップであるBHIが、本日10月20日よりLINEでメールの送受信やタスク管理ができるチャットボット「SwingBot」をリリースする。LINE上で動作するパーソナルアシスタントによって、非実用的で重要度の低い情報を自動的に省き、重要度の高い情報だけを届けることが目的だ。

SwingBotの機能はLINEで直接メールの送受信をする機能と、タスク管理機能だ。

LINEで直接メールの送受信、タスク管理も

Gmailやキャリアメールを受け取ると、チャットボットがLINEで通知してくれる。メールアプリに移動することなくLINE上で直接メールに返信することも可能だ。BHI株式会社のCEOである日昔 靖裕氏によれば、「チャット上で直接メールの送受信ができるのは、これが世界初」だという。

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もう一つのメイン機能であるタスク管理機能では、Googleカレンダーなどのサービスと統合することでチャットボットがその日の予定やタスクを教えてくれる。「今日の予定は?」などと質問することでチャットボットが回答したり、「〇〇をタスクに追加」と伝えれば、LINEから直接タスクを追加することが可能だ。
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既存サービスとの連携でチャットボットの精度アップ

スケジュール管理ができるチャットボットのx.aiなど、最近ではプロダクティビティ系のチャットボットが次々に誕生している。そのような状況のなかで、SwingBot独自の強みとは何だろうか。それは、BHIが提供する既存サービスのSwingmail(メールアプリ)とSwingdo(タスクアプリ)の存在だ。

メールアプリのSwingmailでは、メールとFacebookメッセージ、TwitterのDM、アプリ経由でかけたFaceTimeなどの通話履歴を全部まとめて見ることができる。他のメールアプリとの違いは、コミュニケーションする相手ごとにアプリ横断的にすべての履歴を管理することができるという点だ。現在、Swingmailは連携アカウントが計10万、メール総数は6000万通という実績を持っている。Swingmailについては過去にTechCrunchでも紹介している

Swingmailの特徴の一つに、重要度の高いメールを自動で認識するという機能がある。例えば、Swingmailでは「ユーザーがその相手とすでに連絡を取っている」という事実によってメールの重要度を認識するようになっている。このSwingmailと連携してSwingBotを利用することで、チャットボットが重要度の高いメールだけを通知することが可能なのだ。

また、タスクアプリのSwingdoではタスクと位置情報が紐づけられている。これにより、ユーザーの現在位置情報をもとにボットが自動的にタスクの優先順位を変更し、それを通知するということが可能になっている。「将来的には、他社と連携してユーザーの位置をもとにレストランをオススメしたりなどの機能が可能になると考えている」と日昔氏は話す。

つまり、「過去を管理するSwingmail、未来を管理するSwingdo」があるからこそSwingBotが生きてくるのだ。「SwingBotがもつ一番の参入障壁とは、私たちはすでにサーバーサイドで複数のサービスを同期をして、リアルタイムで通知をするという形をすでに構築しているということなのです」。

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また、既存サービスを運用するなかで、当初の想定とは違ったユーザーから受け入れられていることが分かったと日昔氏が教えてくれた。

「最近受け入れられているのが、キャリアメールを捨てられない人達。それと、最近ではMVNOに乗り換えた人たちが結構いて、そこで付与されたメールをSwingmailで連携するという例が多いです。これは、30代の主婦などのユーザー層です」。

既存サービスが必ずしもフリーランサーなどの「仕事をするユーザー」だけでなく、主婦層などにも受け入れられているという点を考えれば、どちらかと言えばプライベート用のチャットという感が強いLINEで動作するSwingBotも広く受け入れられる可能性は高いだろう。

こうしたユーザー層のさらなる取り込みを目指し、Swingmailでは最近、mineo、Y!mobile、 楽天メールなどのMVNOメールとの連携も可能になった。同社は今後もMVNOとの連携を進めていくとしている。

海外へも積極的に展開

既存サービスのSwingmailでは、北米やイギリス、オーストラリア、北欧などの海外にも積極的に展開してきた。今回リリースするSwingBotについても、「言語の問題があるので英語圏に限られてしまうが、海外展開は積極的に狙っていきたい」とのこと。また、それに併せて他のチャットアプリへの対応も進めていく。まずは10月第4週目にSlack、12月にはFacebook Messenger版をリリースする予定だ。

SwingBotは「年内に20万アカウントの獲得」を目標としており、「そこまでくれば、サブスクリプション型や広告型のマネタイズも見えてくる」と日昔氏は語る。

既存サービスおよびSwingBotの更なる拡大のため、同社は11月に資金調達を予定している。

Heekはウェブサイトを製作できるチャットボット

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スタートアップのHeekは、ウェブサイトの製作をチャットの会話と同じくらい簡単にしようとしている。同社の会話型インターフェイスではチャットボットがいくつかの質問をユーザーに投げかける。ユーザーのビジネス、製作しようとしているウェブサイトについての質問だ。そして、その質問の答えによってカスタマイズされたデザイン候補の中から気に入ったものを選択できるというわけだ。製作プロセスが進むにつれて、チャットボットがユーザーの負担を軽減するための助け舟も出してくれる。

現存するチャットボットの多くはWebサービスとの相性が良いとは言えない。また、チャットボットならではの制限的な性質からイライラさせられることも多い。

しかし、ウェブサイトを会話をしながら製作するというHeekのアイデアは、プロのWebデザイナーを雇う資金を持たなかったり、基本的なWeb製作サービスも難しいと感じる小規模ビジネスのオーナーに受け入れられる可能性は高いだろう。screen-shot-2016-10-03-at-10-40-19-am

Heekを利用するのは驚くほど簡単だ。Heekのウェブサイトでスタートボタンをクリックすると、チャットボットがユーザーの名前、会社の名前、ビジネスのタイプなどを質問する。その後、チャットボットがおすすめするデザインのテンプレートを選択するのだ。テンプレートのタイプには、Eコマース向けのデザインや、有名人向けのサイト、チャリティ向け、サービス業向け、ニュースや食べ物、音楽、スポーツ、教育、ペットなどの「メディア/エンターテイメント」向けのデザインなどがあり、選択肢は豊富に用意されている。

サイトのカテゴリーに沿ったテンプレートは、「Next design」、「Previous design」と書かれたボタンをクリックすることで選択することができる。

Webサイトに必要な要素をユーザー自身が考える代わりに、Heekがアイテムをおすすめしてくれる。例えば、会社の住所やコンタクトフォーム、ページを移動すためのナビゲーションメニューを追加するようにおすすめしてくれるのだ。提案されたアイテムを導入するためには、「OK」ボタンをクリックするだけでいい。導入しない場合には、「No thanks」をクリックする。するとHeekが次の提案をしてくれる。

製作するサイトの種類によっては、より高度なカスタマイズをすることも可能だ。ユーザー自身の写真をアップロードしたり、製品情報や価格などを追加することができる。

しかし、Webサイトのデザインがすべてテキスト・ベースのやり取りで完了するわけではない。写真を取り換えたり、テキストを編集するためにはWeb版のビルダーを使う必要がある(スクリーンの右側に編集中のサイトの見た目が表示されるようになっている)。

写真やテキストの編集に関する明確な説明はないが、カーソルを写真に合わせると「写真を編集」という文字が表示されるなど、比較的操作は分かりやすいだろう。同じく、テキストをクリックすると文字を編集することができ、フォントやサイズ、見た目(太文字やイタリック文字)の変更をすることも可能だ。

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提供されるテンプレートは柔軟にカスタマイズすることもできる。大半の「WYSIWYG(What you see is what you get、見たままが得られる)」Webサイト・ビルダーのように、数多く用意されたサイトの部品をドラッグ・アンド・ドロップでカスタマイズすることが可能だ。

しかし、Heekを利用するうえでテキストや写真の編集について頭を悩ませる必要はない。「箱から出したらすぐ使える」Heekでは、テキストの例文や写真素材を提供してくれるため、サイト製作の面倒くささをより軽減してくれる。

Heekの利用料金は月に30ドル、年間契約ならばひと月あたり25ドルだ。この料金にはWebサイト製作サービス、専用のドメイン名、サーチエンジン最適化、そしてカスタマーサポートも含まれている。

しかし、Heekが本当に優れているのはサービスを試してみるために料金を支払ったり、アカウントを作成することが必要ない点だ。Webサイトのスタートボタンを押せば、すぐにサイト製作に取り掛かることができる。完成するまでにまだ時間が必要なのであれば、その後14日間は無料でサービスを利用することができ、Webサイトもそのまま維持される。

Heekは昨年の終わりにNicolas Fayonによって創立された。FayonはFacebookページのカスタマイズ・ツール、PageYourselfを開発する会社を共同創業した経歴を持つ人物だ。

「私たちがすぐに気がついたのは、(中小規模のビジネスオーナーは)オンライン上のプレゼンスという点に関して、皆が同じ問題を抱えているということです。時間的なリソース、そしてWeb製作に関する知識の無さです」とFayonは創業の理由を説明している。「私たちはその問題の解決策を考えてきました。そして、その解決策とは他のエージェンシーが提供するものと同等のサービスを、安価に提供することだと気づいたのです」。

また、Heekのチャットボットを利用するユーザーが増えれば増えるほど、ボットは賢くなっていくとFayonは語る。

今、同社はWix、Weebly、GoDaddy、Squarespaceなど、Webサイト製作サービスを手掛ける数多くの企業の一つとなった。しかも、Heekはこれらの競合が提供する従来のドラッグ・アンド・ドロップ形式のビルダーよりもシンプルなサービスをつくり上げた。これらの会社の代わりにHeekの競合となるのは、Powerpointのように簡単にサイトを製作できるというコンセプトを持つPageCloudなどの新しいサービスだろう。The Disrupt NY 2016の勝者であるAlexaSiteもまた、声だけでWebサイトの編集をするというアイデアを持ったプロジェクトだ。しかし、あくまでAlexSiteはハッカソンのプロジェクトであり、現在すでに利用可能なサービスではない。

Heekはこれまでベータ版のみの提供であったが、先週にバージョン1をリリースし、これまでに約2500人のユーザーがHeekを利用しているとFayonは話す。

10名のチームを抱えるHeekはパリを拠点とし、過去にフランスのOK Investから70万ユーロを調達している。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

「ボット倫理」が問題になるのはこれから

The meeting of the toy of the robot of the tinplat

【編集部注】著者のAmir ShevatはSlackの開発者リレーションの責任者。

ボットは私たちの生活の一部になってきている。朝目覚めると、私はAlexaにブラジルのサンバを再生するように伝え、Amyにミーティングのセットアップを任せ、Slackで現在の状況とレポートを知る。ボットビルダーたちと同様にユーザーたちも、ボットが私たちの生活の不可欠な一部であることを理解し始めている。しかし、これらの新しいハイテク友人たちを支配するルールは何だろう?

所有権

人びとが訊ねるべきでありながら、結局訊ねることのない1つの大きな質問は、「このボットは私をサーブしているのか?あるいはサービスプロバイダーをサーブしているのか?」というものだ。言い換えれば、「このボットは私の関心を中心に振る舞っているのか、それとも他の誰かの関心が中心にあるのか?」ということだ。食品注文ボットは高価だったり/低品質だったりするアイテムを推薦してくるのか、あるいは最適価格の高品質食品をお勧めしているのか?人事部(HR) ボットは私をサーブしているのか、それとも会社なのか?保険ボットは保険金請求を行おうとする私を手助けしてくれるのか、それともそれを妨害しようとしているのか?

知的財産権の問題も存在している:ボットによって作られた、あなたの写真をコラージュに仕立てた作品/写真は、誰が所有しているのか?あなたのショッピングの嗜好を所有しているのは誰なのか?

パーソナルアシスタントボットはユーザーの立場でヒントを出し、一方業者代理ボットに話しかければ、業者の立場でヒントが出されてくる。ユーザーとサービスプロバイダの違いは常に明らかとは言えず、またしばしば想定もされなければ、考えられることもない。GmailやFacebook上の写真を考えてみよう ‐ 誰がそのデータを所有しているのか?同じ質問は私たちボットにも向けられる。

私の所有権に対する立場は – 私はユーザーによる所有権に意味がある場合もあれば、サービスプロバイダーが所有権を明確に主張できる場合もあると考えている。

鍵となるのは、誰が何を所有していて、どれが利用者の選択によって提供されているサービスなのかが、明確で透明であることだ。

プライバシー

所有権がどうであるかに関わらず、プライバシーの問題が存在する。あるボットは、情報を他のボットや人間の監督者と共有することができるのか?情報は匿名化されるべきか?ユーザーは忘れられる権利を持っているのか?基本的に、ユーザー/ボット間に機密保持契約はあるのか?

プライバシーに対する私の立場は ‐ 特に断りのない限り、ボットは暗黙的にあなた個人のプライベートな情報を機密として扱うように委託されたものと考える(Chris Messinaは、法執行機関の行為や緊急避難の際には幾つかの例外があることを指摘してくれた)。透明性も同様に鍵となる。Slackにボットを投入する際には、私たちは開発者に対してプライバシーポリシーを作成し、公表することを要求している。

一般的に ボットビルダーは、ユーザ情報を可能な限りプライベートな状態に維持する必要がある。

広告のためのデータの使用

これは、プライバシーと所有権のサブセットであり、かつ議論の対象として非常に重要なトピックである。ボットビルダーたちは、今もまだボットを収益化する方法を模索しているならばボットは広告を配信することはできるのだろうか?広告を最適化するために、直接またはAPIを介して、ボットはあなたの提供したデータを使用することはできるのだろうか?

広告に対する私の立場は – 私は、ユーザーに利益をもたらす強烈で明示的な目的がないかぎり、ボットは広告を表示すべきではないと考えている。例えB2Cプラットフォームに限ったとしても。私は ボットが、新しいトラッキングピクセルになるところを見たくない。ボットは、明示的にそうするように指示されない限り、何かをクリックして購入するようにユーザーを促すべきではない。

罵倒と共感

このトピックは、おそらく独立した記事を必要とするだろう。ボットの会話特性のために、彼らははるかに罵倒の対象になりやすい。Botnessと呼ばれるボットビルダーの集会では、ほとんどのボット開発者が、人びとはあらゆる種類の罵倒を試みると報告している。ボットを呪う言葉を投げつけるとことから実際にボットに被害を与えるところまで。

これは重いトピックであり、双方向の課題である。

ボットは罵倒対象なのか?

ボットは他の物体と同じようなものなのか?彼らは、現代社会の新たな「サンドバッグ」なのだろうか?ボットは人間にとって呪いと罵倒の対象なのだろうか?

ボットの罵倒に対する私の立場は ‐ 「罵倒できる」ことと「罵倒する」こと、私は両者に微妙な違いを観る。少なくともAIが個性と感情を手に入れるまでは、あなたは本当の意味でボットを罵倒することは「できない」。 ボットは気にもせず、あなたの呪いの言葉も、ユーザーが入力しがちな他のちんぷんかんぷんな文言と一緒にフィルタリングされるだけだ。一方私は社会として、私たちはボットを罵倒してはならないと思っている。ボットを罵倒することで、人間は他人に対しても罵倒を行い易くなると考えている。これは明らかに困ったことだ。

人間はサービスを共感をもって扱うべきだ – 一般的に、共感を失うことは、人間にとって悪い傾向なのだ。開発者は如何なる罵倒の言葉も、無視するか、丁寧に包まれた反応で対応する必要がある。

ボットが人間を罵倒する必要があるのか?

ボットは人間にスパムを送ったり嫌がらせをすることはできるのか?ボットは人間に害を与えることはできるのか?あるいは口答えをしたり?ボットは呪いの言葉を投げ返す必要があるのか?ソフトウェアは、自分自身を守るための権利を持っているのか?

攻撃的なボットに対する私の立場は – 私はすでにボットは人間に害を与えるべきではないことを物語る事実について書いている;そこには、スパム、ハラスメント、その他の色々な形の痛みが含まれている。私はボットもAIも同じように、こうしたタイプの攻撃を正当化できる理由はないと考えている(セキュリティに関する議論はまた別にある)。また、私は正面からユーザーに答えようとすることが、人間の攻撃性を和らげる最も効果的な方法だとも思っていない;単純に「そのリクエストは処理できません」と返したり、人間の罵倒を単に無視したりすることの方が、より効果的なUXとなるだろう。

一般的に、私は会話インタフェース内の共感が、ボットのデザインと、よくあるベストプラクティスの柱の一つであるべきだと思っている。

ジェンダーと多様性

ボット女性のボットまたは男性のボットであるべきだろうか?人種的に多様なボットを持つ必要があるだろうか?宗教的に多様なボット持つ必要は?

ジェンダーと多様性に関する私の立場は – 私は、開発者は多様性についてとても真剣に考えるべきだと思っている。ボットは性別を持つべきではないと思うボット開発者もいる – これは英語圏の国では上手くいくかもしれないが、その他の多くの言語圏では上手くいかない。すべてのものが性別を持っている言語が沢山存在している – 物体や人物を性別に言及することなく参照することができないのだ。だから、英語ボットは「it」で良いかもしれないが、多くの国ではそうではない。

会話UIは人間に向かい合うことを想定しているので、ユーザーは性別スペクトル上のどこかにボットを位置づけようとする (他の多様性の属性も同様だ)。

開発者は何をすべきか?私は、もし可能なら、開発者はユーザーにボットの性別(およびその他の多様性の属性)を選択できるようにすべきだと思う。その例の1つが、x.aiのAmy/Andrewボット構成だ。

人間-ボット/ボット-人間のなりすまし

私が話している相手は、ボットなのか、それとも人間なのか?このボットは、人間のように行動しようとしているのか?ユーザーは、人間またはソフトウェアに話しかけているという事実について、知っているまたは気にすべきなのだろうか?

「人間なりすまし」に対する私の立場は – エンドユーザーにとって、人間に対して話しているのか、それともボットに対して話しているのかの区分がとても重要である主要なユースケースが、健康から金融まで沢山存在していると思っている。

一般的には、透明性がベストプラクティスだと考える。そして人間は(一般的なガイダンスとして)ボットのふりをするべきではない(その逆に関しても同じである)。

透明性と共感が、すべての問題への解決策

以上に挙げた課題のほとんどは、今日業界では対応が行われていない。もちろん悪い意図からそうなっているわけではなく、単に意識の欠如によるものだ。共感性と透明性を念頭に、開発者がこれらの問題に対処すれば、楽しく倫理的な体験をユーザーに提供することができるだろう。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: YAGI STUDIO/GETTY IMAGES

ローンチ5年で10億ユーザー、Facebookメッセンジャーの過去と未来

How Facebook Messenger clawed its way to 1 billion users   TechCrunch

Facebookがメッセンジャーのダウンロードを強制させるという賭けに成功した。その反動にかかわらず、20ヶ月の間にメッセンジャーはユーザー数を倍にし、開始から5年でユーザー数は10億人に到達した。メッセンジャーはFacebookや、Facebookが買収したWhatsApp、GoogleのYoutubeなどで構成される10億ユーザークラブに参加した。

メッセンジャーアプリは他にも印象的な記録を残してきた。毎月170億枚の写真が送信され、ユーザーと企業の間で10億メッセージのやりとりがなされている。また、毎日3億8000万のスタンプと2200万のGIFが送信されている。そしてVoIP電話全体の内10%はメッセンジャー経由とのことだ。メッセンジャーが新しく開設したチャットボットのプラットフォームには現在1万8000チャットボットが存在し、2万3000のデベロッパーがFacebookのWit.ai ボットエンジンに登録してきた。

ユーザー数10億人という節目となる記録はFacebookが企業、デベロッパーのメッセンジャーのプラットフォームへの関心を引くことを容易にする。メッセンジャーの普及が進むことは次のようなことを意味する。新たにメッセンジャーを利用し始めた他のユーザーの存在が、未だにSMSやメッセンジャーの競合サービスを使っている人にメッセンジャーをより便利なアプリだと思わせるのだ。

Facebookのようなネットワーク効果を持っている企業は他に類を見ない。

Facebook Messenger Team

David Marcus氏とマーク・ザッカーバーグ氏がロゴをかたどったメッセンジャチームの万歳をリードしている

メッセンジャーは元Googleの社員が起ち上げたチャットアプリBelugaを元に名前だけ変えて始めたものだ。FacebookはBelugaを2011年の3月に買収している。「10億人ものユーザーを獲得するなんて想像もできませんでした。しかし、それを実現したいとは思っていました。それが私たちのビジョンでした。世界中の人々をそのようにつなげたかったのです」Beluga共同創業者のLucy Zhang氏はそう語る。

「みんなが飛び上がってこのことを祝うと思っていますよね」Facebookの現在のメッセンジャーの責任者David Marcus氏はそう語る。「しかし、サービスをユーザーに提供すること、正しいものを作ること、問題なく運用すること、人々の日々の生活を支援することなど一層の責任が発生します」。

すべての人がメッセンジャーのユーザー数10億人突破のお祝いに参加できるようにしている。風船の絵文字をFacebook上で送ると画面上でユーザー数10億人突破を祝うライトアップを見ることができる。

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ユーザー数10億人への道のり

Zhang氏とMarcus氏は、派手な機能、利用のしやすさ、地味だがパフォーマンスの向上につながることまでの全てに継続的なイテレーション(分析、設計、開発、テストのサイクルを回すこと)を行ったことがメッセンジャーの発展につながったと語る。以下に時系列でメッセンジャーのこれまでの変遷を紹介する。

Beluga

Belugaは「グループ」ではなく「ポッド」を持っていた

Belugaは「グループ」ではなく「ポッド」を持っていた

2010年、グループチャットが人気を獲得し始めていたが、SMSはひどい有様だった。同年に開催されたTechCrunch Disruptのハッカソンで生まれたGroupMeは勢い良く成長した。しかし、GroupMeはネイティブアプリではなくコストの高いSMSに依拠していた。

2010年の7月、Belugaはデータ通信のチャットに焦点を当てて設立され12月までに大きく成長した。「友達のそばにいたいという私たち自身の希望、要望から生まれました」とZhang氏は語る。その時、Facebookチャットはどちらかというと非同期のメッセージサービスで、Facebookアプリの中に埋もれていたために快適さに欠けていた。Facebookはメッセージに特化したアプリをリリースする機会を得るためにBelugaを2011年の3月に買収した。

 メッセンジャーのファースト・バージョン

「メッセンジャーのファースト・バージョンをリリースするのに3、4ヶ月を費やしました」とZhang氏は回想する。その当時、メッセンジャーのチームメンバーはZhang氏、共同創業者のJonathan Perlow氏(現Facebook社員)、Ben Davenport氏、そしてエンジニア1名、プロダクトマネージャー1名、デザイナー1名だった。

メッセンジャーは2011年の8月にサービスの提供を開始した。デスクトップ、モバイルなどの異なるプラットフォームでメッセージを送受信することができるものだった。写真と位置情報の共有以外の今でもメッセンジャーにあるいくつかの機能を備えていた。その1年後には既読機能を実装し、まるで顔を合わせて話しをしているかのようなチャットへと変化した。

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左がメッセンジャーファースト・バージョン、右が現在のメッセンジャーのデザイン

Facebook本体のアプリから分離した初めてのアプリとして、メッセンジャーアプリは1つの重要な機能に特化したシンプルなモバイルプロダクトの価値を証明した。

使いやすくなったメッセンジャー

Facebookはメッセンジャー普及のために戦略を練ってきた。ユーザーがやりたいコミュニケーションができるようにフレキシブルさを追加してきた。2012年から2013年までの間に、メッセンジャーを利用するのにFacebookアカウントを必要とする条件を撤廃し始めた。Facebook友達でない場合、電話番号を利用してSMS経由で連絡を取ることができるようにした。VoIP電話をコミュニケーションツールとして当たり前のものとするための賭けに打って出た。メッセンジャーのデザインは本元のFacebookとは異なり、操作スピード、シンプルさを追求するためより洗練されたものとなった。

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メッセンジャーはデザインの一新でアイデンティティーを得た

アプリダウンロードの強制

How Facebook Messenger clawed its way to 1 billion users 2TechCrunchメッセンジャーのサービス提供開始から3年間の成長は停滞していた。しかし2014年4月、Facebookがユーザー数2億人到達を発表する少し前、同社の高圧的な告知によりコミュニティーがざわついた。その告知とはFacebookアプリからチャット機能をなくし、代わりに強制的にメッセンジャーをダウンロードさせるというものだった。この強制の言い分としてはメッセンジャーアプリによって、ユーザー間でのやり取りがより早くなり、メッセージを見逃すことも少なくなるということだった。

ユーザーは腹を立てている。Facebookがスマホのホームスクリーンを占有しようとしているとしてFacebookを責めた。ユーザーは1つのアプリでも十分快適だったのに、なぜFacebookのアプリを2つも利用しなければならないのだろうか?メッセンジャーの平均的なレビューは星1つとなったがAppストアでダウンロード数がトップにもなった。

Facebookは膨らみすぎたアプリからメッセンジャーを解放することで、新たにメッセンジャーにたくさんの機能を追加することができるようになった。そして結果的に、ユーザーもついてきたのだ。ユーザーはメッセンジャーを頻繁に使うようになった。もしメッセンジャーがFacebookアプリに埋め込まれたままだったとしたら、メッセンジャーを開く手間にストレスを感じるほどにだ。2014年の11月までにユーザー数は5億人に到達した。

スピードの必要性

さほど関心を集めなかったが、2014年の末にFacebookはメッセンジャーの大幅な技術的改良を実施した。数十億のメッセージがやりとりされる規模においては、ミリ秒の短縮はメッセージの送受信に大きな差を生み出す。私がここで説明する言葉より表現豊かに、メッセンジャーチームはユーザー間の送受信における遅延を減らすためのパフォーマンス、安定性に対して多くの時間を費やしたとMarcus氏は語った。Marcus氏はPayPalの会長を務めた人物で、Paypalを退任後に初めて取り組んだのがメッセンジャーのプロジェクトだった。

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ユーザーが送信したメッセージがどのような状況にあるのか分かりやすくするため、メッセンジャーはメッセージの横に小さなサークル(円のマーク)を設置した。サークルが空白の表示は送信中であること、空白にチェックマークが表示されれば送信完了、サークルに色とチェックマークが付けば相手に届いたこと、サークルにプロフィール写真が表示されると相手がメッセージを読んだことを示す。繰り返すが、これは小さなことかもしれないが、これによりSMSで発生していたようなコミュニケーションにおける曖昧さを排除することができた。それは2014年初めにFacebookがWhatsAppを買収した後からMessengerにとって問題となっていたことだった。

アプリとビデオ

2015年はメッセンジャーが単なるチャット以上の存在になった年だ。SMSを時代遅れなものとし、現代風のメッセンジャーを通してユーザーの生活を支えるように改良がなされた。ビデオがいたるところで盛り上がりを見せ始めていたが、ビデオチャットはFaceTime、GoogleHangoutsのような限られたプラットフォームのみだったところで、メッセンジャーはビデオチャットを開始した。Marcus氏はビデオチャットを実装したことがメッセンジャーが電話に代わる多機能なコミュニケーションツールになるきっかけになったとしている。

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メッセンジャーのプロダクト責任者Stan Chaudonovsky氏がビデオチャットを実演

FacebookはVenmo風の個人間で送金ができる機能をメッセンジャーに追加した。そしてF8デベロッパー・カンファレンスにおいてメッセンジャー・プラットフォームについて明らかにした。そのプラットフォームでは、Giphyのようなコンテンツを共有することを始め、最終的にUberの車を呼んだり航空会社のカスタマーサービスを受けることができるようになった。2016年内には、チャットボットのデベロッパーやニュースメディアもメッセンジャーに参加するだろう。また、Facebookはたらい回しにされ苛々させられる電話のカスタマーサービスの代わりにメッセンジャーを使うことを法人に提案している。

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メッセンジャー・プラットフォーム

 

有用であることが先、おもちゃではない

ユーザーがチャットボットに慣れ始めているところだが、世界中のユーザーがメッセンジャーを利用できるようにすることに再び焦点を当てている。「全ての人が電話を持っているように思いがちですが、世界のすべての国には当てはまらないのです」とMarcus氏は語る。

Marcus氏は、最近のメッセンジャーの成長の理由についてアカウントの切り替え機能を実装し始めたことを挙げる。一家で1台の電話を共有しているような発展途上国の家族全員が自分のアカウントでメッセンジャーを使うことができる。

メッセンジャーは電話番号の代わりとなるため、メッセージリクエストを実装した。これはユーザーが誰にでもメッセージを送ることを可能にし、知らない人からのメッセージはフィルタリングして別の受信箱へと選り分ける門番のようなものだ。新しくなったメッセンジャーではユーザ名、短縮URL、QRコードでよりシンプルにユーザー同士がお互いに見つけることができるようになった。
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メッセンジャーのこれらの特徴は、誰かと連絡するために任意の連絡先情報を必要とすることから、幅広く使われている名前だけでコミュニケーションができる世界への抜本的な転換を示す。良くも悪くも電話番号を聞くというような気まずい質問をする必要がなくなる一方、受信者は話したくない人をブロックすることも容易になる。

失速するSMSをついに葬り去ることに期待して、先日FacebookはAndroidユーザーがメッセンジャー上でSMSの送受信をできるようにした。今月7月にはFacebookはさらに高度なセキュリティが必要な送受信のためにエンドツーエンドの暗号化機能「秘密の会話」を実装した。

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メッセンジャーの未来

これらの着実な発展で、Facebookメッセンジャーは競合である他のモバイルメッセージアプリよりも一歩抜きん出ている。KakaoTalkは5000万人ユーザー、Kikは1億7500万人ユーザー、LINEは2億1800万人ユーザーだ。今のところ、メッセンジャーの最大の競合は、メッセンジャーが営業できない中国拠点の7億6000万人ユーザーを持つWeChatだ。そしてメッセージを送るためというよりは話題を共有したり、写真を送ることで人気のあるアプリ1日1億5000万人の利用ユーザーを持つSnapchatだ。

WhatsAppがいる中国を除く地域では、Facebookのメッセンジャーはチャット市場の覇権争いで優位に立つだろう(打たれ強いSMSを除く)。Marcus氏は以下の様に結論付ける。もともとのテキストメッセージのスタンダードを打ち壊すには、メッセンジャーを徹底的に普及させなければならない。ユーザーの友達が1人でもメッセンジャーを利用していないだけで、ユーザーをiMessageやAndroidのメールに引き戻してしまうからだ。

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Sheryl Sandberg氏とDavid Marcus氏

「1つのプラットフォームに話したい人がほとんどいる場合、電話番号は必要なくなります。名前で彼らを見つけることができるし、さらに多くのものを送ることができて、ビデオ電話も可能です」。Marcus氏は自信を持って、「メッセンジャーはこの世界にとって重要なコミュニケーションツールになりつつあると信じています」と言う。

 

現在、メッセンジャーが必要としていることに関して、Marcus氏は「一番必要なのは時間です。メッセンジャーに対して多くの人が持つイメージを変えなければならないのです。多くの人は、電話番号を持っていないFacebookの友達にメッセージを送る手段と考えています。10億人を超えるユーザーの考え方を変えるために多くのことをしなければならないのです。しかし徐々にですが、その方向に進みつつあります」と語った。

これまでの人類の歴史で、無料でここまで活発に多くの人がつながったことはない。10億人が名前とインターネットアクセスのほか何も必要なく、簡単にコミュニケーションを取ることができるのだ。歴史的に「恐怖」というのは分離や未知から発生する副産物であった。しかしメッセンジャーによって私たちはより簡単にお互いを知ることができるようになるのだ。

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原文

(翻訳:Shinya Morimoto)

 

あなたの節約を実現するために、個人向けファイナンスボットTrimが220万ドルを調達

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これまでUberに毎月いくら払っているか気にしたことはあるだろうか?新しくリリースされた Trim charbot答をSMSで教えてくれる。

Trim は各種のサブスクリプションを管理する手助けもするし、支出のアラートを設定したり、銀行の残高のチェックもしてくれるのだ。しかしアプリは提供されていない。ただボットを介してのみSMSやFacebookに連動することができるのだ。

「モバイルバンキングアプリでできることのうち、お金を動かすこと以外はTrimを使って行うことができますよ」と語るのはCEO兼共同創業者のThomas Smythだ。彼は仲間のエール卒業生Daniel Petkevichと一緒にビジネスを設立し、サンフランシスコに拠点を置いた。

アシュトンカッチャーはこのコンセプトを信用し、Sound Venturesを通して彼らの220万ドルの資金調達ラウンドに参加している。ラウンドはEniac Venturesが主導していて、Version One VenturesとCore Innovation Capitalも一緒に参加している。

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「私は平均的なアメリカ人家族のために熱意を持って資産管理を提唱し、状況に変化をもたらそうとするThomasとDanielのようなチームの支援が大好きなのです」と語ったのはEniacのジェネラルパートナーであるTim Youngだ。

Trimは7か月前に開始されたが、当初は不要なサブスクリプションを特定してキャンセルすることに焦点を当てていた。チームは、これまでTrimの利用者たちは600万ドルの節約をできただろうと見積もっている。

今回より多くの機能を追加して、Smythは彼らのサービスがバンキングアプリだけではなく、個人ファイナンスアプリの代わりにもなることを期待している。彼は「人はメッセージング・インターフェースを使うのが好き」という信念を持っているからだ。

このサービスは無料だが、Smythは最終的にはプレミアム機能に課金することによって収益を上げるつもりだと語った。

Facebookがchatbotsを立ち上げて以来、わずか数ヶ月しか経っていないが、 多くの企業は、それがヒットするかどうかを見るためにコンセプトを色々試しているところだ。顧客サービスからニュースダイジェストまで、利用者はロボットとのコミュニケーションを介してAIによって裏打ちされた応答を得ることができる。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

解析サービスのユーザーローカル、クリムゾンG、YJ、EVから数億円を調達してAI事業を強化

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ウェブサイトのアクセス解析やビッグデータ解析サービスを提供するユーザーローカルは7月20日、クリムゾングループ、YJキャピタル、East Venturesからの資金調達を実施したことを発表した。詳細な金額は非公開だが、数億円に上るとしている。ユーザーローカルは2015年5月にもYJキャピタル、East Venturesから合計2億6000万円の資金調達を実施している。

ユーザーローカルは2007年に設立して以来、ユーザーのマウスの動きやタップなどをヒートマップで可視化する「User Insight」、ソーシャルメディアのマーケティング分析・管理ツール「Social Insight」、メディア運用者向けに記事コンテンツの分析ツール「Media Insight」などを提供してきた。これらの分析プラットフォームは20万以上のサイトで活用されており、ビジネス面でも「非常に好調に回っている状況」(ユーザーローカル代表取締役社長の伊藤将雄氏)

また同社は5月から人工知能ボットAPIを開発。これはプログラミングを行わなくともSNSの設定だけでLINE、Facebook、Twitter、Slackといった主要サービスにチャットボットを実装できるサービスだ。正式ローンチの時期は明記されていないが、サイトでは事前申し込みを受け付けており、すでに4000人の開発者に提供して、クローズドなテストが進められているという。

今回の資金調達は、この人工知能分野の拡充に向け、ディープラーニングや機械学習インフラの人材の採用を進める予定だ。2015年5月の資金調達以降、同社がさらにこの領域に踏み込むことに決めたと言っても過言ではない。伊藤氏は提供予定のプロダクトは「チャットボットだけではない」としているが、数カ月のうちにもプロダクトの正式ローンチを示唆した。

TechCrunchでは直近にもZEALSがメディア向けに提供するボット開発運用ツール「BOT TREE for MEDIA」などを紹介しているが、ボット用のAIエンジン、チャットのUIを利用したサービス(実は裏側はAIだけでなく、人力だったりすることもあるのだけど)などは国内でもその数を増やしつつあるようだ。

なお今回出資したクリムゾングループは代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏の個人資産管理会社。実は伊藤氏はユーザーローカルの設立以前に事業を楽天に売却した経験がある。そこからの繋がりもあって今回の出資に至っているようだ。