ピルのオンライン診察アプリ「スマルナ」のネクストイノベーションが法人向け健康支援プログラムを開始

ピルのオンライン診察アプリ「スマルナ」のネクストイノベーションが法人向け健康支援プログラムを開始

女性向けオンライン診察サービス「smaluna」(スマルナ)運営のネクストイノベーションは9月15日、働く女性を応援する法人向け健康支援プログラム「スマルナ for Biz」の開始を発表した。

働く女性が健やかに活躍できる社会の実現のため、企業担当者・社員の声やサービスを通して得られる各種データを活かして、ライフステージに応じた健康支援サービスを拡充していき、2021年9月までに100社の導入を目指す。9月15日時点での導入予定企業は、オールアバウト、g-wic、日清食品ホールディングス、ネオラボ、Mahalo。

スマルナ for Bizでは、ピルのオンライン診察アプリ「スマルナ」を活用し、月経困難症やPMS(月経前症候群)など女性特有の悩みを持つ社員向けにピルの服薬支援やオンライン相談を受け付けるという。また、啓発コンテンツの提供やウェルネスセミナーを実施する。

「オンライン診療・相談窓口」では、リモートワークにも対応した医師によるオンライン診察と、薬剤師や助産師による女性向けの無料オンライン相談窓口を提供。「ウェルネスセミナー」では、女性社員だけでなく、男性社員・管理職・人事向けの女性の健康に関するセミナーを実施する。また、導入後のパフォーマンスや満足度など、オンライン診察導入の効果を測定するレポートを提供する「サーベイ」なども用意している。

スマルナとは、2018年6月にリリースされた、オンライン診察でピルを処方するアプリ。生理や性の悩みを抱える方と医師をオンライン上で直接つないでピルを届けるほか、助産師・薬剤師が相談を受け付ける医療専門家相談窓口を設けている。主に10代〜30代の女性が利用しているという。

ピルのオンライン診察アプリ「スマルナ」のネクストイノベーションが法人向け健康支援プログラムを開始

ネクストイノベーションは、医師や薬剤師など医療にバックグラウンドを持つ人材が集まり、2016年6月に創業。インターネットを用いた遠隔医療サービスの企画および運営している。「世界中の医療空間と体験をRedesign(サイテイギ)する」をミッションに掲げ、ICTの活用により医師、看護師、薬剤師などの医療者と生活者をつなぐことで、診察だけでなく健康管理支援から未病対策など利用者の生活スタイルや健康状態に寄り添うサービス提供を目指す。

シンガポールの介護スタートアップHomageが日本のヘルスケアIT大手インフォコムとの戦略的提携発表

シンガポールを拠点とする介護とテレヘルスの企業であるHomageが、世界進出に向けて大きな一歩を踏み出した。米国時間9月14日、同社は日本最大のヘルスケアIT事業を運用する情報通信技術企業であるInfocomからの戦略的投資を受けたと発表した。Infocomのソリューションは、日本の13000あまりのヘルスケア施設で利用されている。

米国時間9月15日のDisruptの一部として放送が予定されている本誌インタビューで、Homageの共同創業者でCEOのGillian Tee(ジリアン・ティー)氏は「日本は世界で最も高齢化が進んでおり、高齢者が必要とする介護を受けられるようにするためには、インフラの構築から始めなければならないことが問題だ」と語っている。彼女によると、Infocomも日本の介護施設のためのプラットフォームを構築中であり、日本の介護者不足を解決しなければならないという点で両社のミッションは共通しているという。

Homageは、新たなアジア市場への参入を目標に2020年に、シリーズBを調達した(未訳記事)。現在シンガポールとマレーシアで営業している同社は、長期的なリハビリや介護サービスを必要としている患者、特に高齢者を主な対象としている。この市場は日本とよく似ている。日本では全人口の5人に1人が65歳以上だ。次の10年間では3人に一人になると予想(The Diplomat記事)され、介護サービスのニーズも特に深刻になる。

今回の提携ではHomageとInfocomの地域的なパートナーシップが含まれており、Homageは日本でのサービス提供を開始し、Infocomは東南アジアでのサービス提供を拡大することができる。Homageのサービスには、介護者とクライアントをマッチングするプラットフォームやオンラインコンサルティングや往診を含む在宅医療サービスが含まれており、Infocomの技術は、デジタルヘルスケアや放射線医療、調剤、医用画像、病院の情報管理など幅広い分野をカバーしている。

この戦略的投資に関する声明の中で「独自の最先端技術と介護分野での市場におけるリーダーシップを考えると、Homageは理想的なパートナーだと考えている。東南アジア市場だけでなく地域的な事業成長も目指している」とInfocomの常務執行役員でヘルスケア事業本部長の久保井基隆氏は述べている。

カテゴリー:ヘルステック

タグ:Homage Infocom 日本

画像クレジット:Eriko Koga / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップルがスマートウォッチ「Apple Watch Series 6」「Apple Watch SE」を発表、9月18日発売

アップルがスマートウォッチ「Apple Watch Series 6」「Apple Watch SE」を発表、9月18日発売

アップルは9月16日、スマートウォッチ「Apple Watch Series 6」、「Apple Watch SE」を発表した。それぞれ発売は9月18日予定。

Apple Watch Series 6の税別価格は、GPS+Cellularモデルが5万3800円から、GPSモデルが4万2800円から。Apple Watch SEは、GPS+Cellularモデルが3万4800円から、GPSモデルが2万9800円から。

Apple Watch Series 6

Apple Watch Series 6は、血中酸素濃度センサーと常時表示Retinaディスプレイを搭載。

Apple Watch Series 6の裏蓋にあるクリスタルには、緑色と赤色のLEDと赤外線LEDの4つのクラスターと、4つのフォトダイオードが組み込まれており、これらが血中酸素濃度センサーとして機能している。LEDが手首の血管を照射すると、フォトダイオードがその反射光の量を読み取る。これらは、血中酸素濃度アプリとの連携により、体に取り込まれた酸素レベルのチェックをはじめ、通常よりも高い(または低い)心拍数を検知した時のアラート発信に利用可能。現在の心拍数を測定することもできる。

アップルがスマートウォッチ「Apple Watch Series 6」「Apple Watch SE」を発表、9月18日発売

常時表示Retinaディスプレイはスリープ状態にならず、画面の情報をいつでも確認可能。表示領域は、44mmケースが368×448ピクセル、40mmケースが324×394ピクセル。腕を下げている場合でもApple Watch Series 5に比べて最大2.5倍明るく、屋外でも視認しやすくなっている。

また、iPhone 11搭載SoC「A13 Bionic」をベースとする64bitデュアルコアプロセッサー「S6 SiP」を採用しており、最大20%高速化しており、18時間のバッテリー駆動時間を実現した。「Ultra Wide Band」(UWB)と呼ばれる無線通信に対応するU1チップおよびアンテナを内蔵しており、自動車の鍵としての利用も想定している。50メートルの耐水性能も備える。

アルミニウムケース、ステンレススチールケース、チタニウムケースといったケース3種類およびカラーバリエーション、各種バンドも発表された。

Apple Watch SE

Apple Watch SEは、いわばApple Watch Series 6の廉価版にあたり、Retinaディスプレイを搭載。血中酸素濃度センサー(血中酸素濃度アプリ)と電気心拍センサーは採用していないものの、高心拍数と低心拍数の通知や現在の心拍数測定は可能。

またプロセッサーは、64bitデュアルコアプロセッサー「S5 SiP」を内蔵している。50メートルの耐水性能も備える。

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Appleがフィットネスのサブスクリプションサービス「Fitness+」を発表

Apple(アップル)は、フィットネスのサブスクリプションサービス、Fitness+をスタートする。年間わずか80ドルでユーザーはワークアウトやインストラクターの指導、音楽などを、Apple WatchやiPadを通じて利用できる。

Fitness+の価格は月額9.99ドル、年額79.99ドル。AppleはApple Watchの購入者に3ヶ月間無料で同サービスを提供する。家族5人まで、追加料金なしでFitness+を利用できる、と9月15日のイベントで同社が言っていた。サービスはオーストラリア、カナダ、アイルランド、ニュージーランド、英国、および米国で今年中にスタートする(日本語版注:日本での提供は未定)。

Fitness+のサービスは、Apple Watchですでに測定可能な心拍数、消費カロリー、走行速度、走行距離などのさまざまな健康データに基づいて作られている。このサービスには、iPhone、iPadまたはApple TVで見ることのできる数多くのワークアウトビデオが入っている。ユーザーがビデオを開始すると、Apple Watchの対応するワークアウトアプリが自動的に動き出す。

画像クレジット:Apple/スクリーンショット


ユーザーのヘルスデータは、ワークアウトビデオを見ている画面にリアルタイムで送られる。数値はワークアウトの進行にあわせて変化していく。たとえば、ビデオでトレーナーがユーザーに、心拍数を測ったり、走る速さを確認するように言うと、その数値が大きく表示されてよく見えるようになる。

画像クレジット:Apple/スクリーンショット


Appleの専属トレーナーが社内のFitness+スタジオから毎週新しいワークアウトを提供すると同社は言っている。ビデオには、ヨガ、自転車、トレッドミルでのウォーキングとランニング、筋力や体幹のトレーニングなどがある。これらのワークアウトをどんな場所でもどんな器具を使ってもできるようにすることが狙いだ。

ワークアウトが終わると、ユーザーのApple Watchのセンサーから取得したデータのサマリーが表示される。Apple Musicの登録ユーザーは、ワークアウトの間に流れた音楽を保存して後で聞くことができる。

画像クレジット:Apple/スクリーンショット


Appleはイベントで、このデータは保護されていると語った。Fitness+を使っている間、カロリーやワークアウトの記録がApple IDと紐付けられて保存されることはない。

Fitness+は、Appleがサブスクリプション製品のエコシステム構築に力を入れている最新の事例だ。ますます競争の激しくなっている分野への参入でもある。Fitbitは自社のハードウェアと結びつけた独自サービスを提供している会社の一つにすぎない。フィットネスアプリも山ほど出ている。たとえば、Aaptivは、トレーナーが指導する室内外のフィットネス、ウェルネスのセッションをユーザーに提供しているスタートアップで、今年4月に 新たな資金調達を完了した。

画像クレジット:Apple/スクリーンショット

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Carbon HealthとColorの創業者はコロナ禍に米国医療を最先端にする力を見出す

新型コロナウイルスによるパンデミックは、米国における医療の2つの相反する現実を露呈させた。1つは、高額で複雑な治療を得意とする医療システムと、地域レベルでの十分なアクセスを提供できない医療システムだ。

公衆衛生インフラへのアクセスの欠如は、米国にとって最大の課題かもしれない。しかしながらこの現実は、ヘルスケアスタートアップにとってのチャンスも生み出している、とCarbon HealthとColorの創業者たちは、米国時間9月14日から始まったTechCrunch Disrupt 2020で語った。

Colorの創業者でCEOのOthman Laraki(オスマン・ララキ)氏はDisruptのTech, test and treat: Healthcare startups in the COVID-19 era(テクノロジーと検査と処置:COVID-19の時代のヘルスケアスタートアップ)で「ヘルスケアを誰にでも利用しやすくすることを考えると、費用に注目しがちであり、それは間違いなく大きな問題だ。しかしヘルスケアを利用しやすくするためには、ヘルスケアをそれが生活の一部となっている人たちへ実際に届けることです。恵まれない人びとのコミュニティなどでは、費用よりもアクセス性の方が大きな問題であるケースが多くあります」。

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プライマリケアのスタートアップであるCarbon HealthとColorは、すでにこの問題に取り組んでいる。Carbon Healthの場合は、質の高いプライマリケアを地域レベルで実現する同社のビジネスモデルが、それにより新型コロナイルス流行に対して早い段階での洞察を与えた。

Carbon Healthには現在、25のプライマリケアの拠点が25あり、共同創業者でCEOのEren Bali(
エレン・バリ)氏は早ければ2020年2月に、中国の武漢からCOVID-19に似た症例の患者が直接クリニックに訪れるようになったという。

Carbon Healthの技術プラットフォームは、患者が訪れる前に問診し、それにより重要なデータを収集して、事前に患者の症状や問題を評価する。このような早期の洞察により、Carbon Healthに2つの選択肢が残されていた。閉鎖して新型コロナの嵐が過ぎ去るのを待つか、その嵐に飛び込むかという選択肢だ。バリ氏によると、Carbon Healthは後者を選んだ。

ララキ氏とバリ氏のTechCrunch Disruptにおける9月14日のコメントは、両社のビジネスモデルと成長の過程をよく表現している。新型コロナウイルスはただ、そのスピードを速めただけだ。

今週初めにCarbon Healthは、ポップアップ方式のクリニックを新たに立ち上げた。クリニックは現在、ブルックリンとマンハッタン、ロサンゼルス、サンフランシスコそしてシアトルにある。今後数週間でデトロイトなどにも開設され、最終的には1カ月に10万人の患者に対応できる100カ所の新型コロナウイルス検査施設を新たに立ち上げる。サンフランシスコのクリニックでは、ColorがCarbon Healthと提携している。

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一方、パンデミックが全米を吹き荒れる中でColorは、新型コロナウイルス検査をめぐる物流やとサプライチェーンの制約を緩和するためのプラットフォームを構築した。ベイエリアで大規模な自動化された検査ラボを運営する同社は、同地区での検査の75%を処理している。

今日でも、このようなハイパーローカルレベルの医療には限界がある。例えば手術が必要な人は病院へ行かなければならないが、そこまで数時間かかることもある。

「手術まで『エッジ』で行えるようになるのは、そう簡単なことではありません。しかし現在起きていること、そして今後10年間で起きるであろうことは、真の意味でのエッジ分散型の医療を実現につながるものなのではないでしょうか」とララキ氏は手術を例に説明する。

このアイデアは、テクノロジーによってヘルスケアが費用対効果の高いモデルでコミュニティに取り込まれることが可能になり、よりアクセスしやすくなるというものだ。「現在の米国ではまだ存在していないが、実際にアイデアは実現され初めていると考えています。根本的にはテクノロジーの問題だと思います」とララキ氏は付け加えた。

カテゴリー:ヘルステック

タグ:COVID-19 Carbon Health Color

画像クレジット: Carbon Health

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N95マスクをリチャージして再利用可能にする技術をイスラエルとインドの研究者が発表

パンデミックによってN95マスクはあっという間に世界で最も求められるリソースの1つになった。エッセンシャルワーカーが、何十億ものマスクを使い切ったからだ。しかし新たな研究が、使い捨てではなくリチャージできるN95マスク、あるいは最高の性能を維持できるものにつながるかもしれない。

イスラエル工科大学Technion(テクニオン)とインドのタタ基礎研究所の研究者らが提案するシステムは、期待されているような除菌タイプのものではない。その代わりに、時間が経つと性能が落ちるというN95マスクの特徴にフォーカスしている。

N95マスクは、粒子がごく小さなファイバーの中で捉えられるメカニカルなフィルタリングと、静電気を帯びている表面に粒子が吸い寄せられる静電気フィルタリングの両方を活用している。ゴム風船を頭の上に擦り付けるとくっつくという昔ながらのトリックのようなものだが、ミクロン単位の世界の話だ。

この2つの方法を組み合わせることでN95マスクは効果を得ているが、他の電気と同じように空気や湿気に触れ、時間が経つにつれて静電気は失われてしまう。UVや高温による除菌はメカニカルフィルターが小さなペトリ皿になるのを防ぐのに役立つかもしれないが、ウイルスの侵入を防ぐ第2のバリアとして機能する静電気を保つのには役立たない。

Physics of Fluid誌で発表された論文の中で、テクニオンのDov Levine(ドヴ・レヴァイン)氏とタタ基礎研究所のShankar Ghosh(シャンカー・ゴーシュ)氏は、リチャージによりN95マスクのフィルターの機能を棚から出したばかりのものに近いレベルに戻せることを示している。その方法は、フィルターを2つのプレート状の電極の間に置いて強い電磁を浴びせるというものだ。

「マスクに与えられる静電気の量は、チャージ時間によって大きく変わる。1000ボルトで60分間チャージすれば、新品とほぼ同じ量になる」と論文にはある。

セルフチャージするN95マスクのプロトタイプ。

ただ、ヘルスケアワーカーがシフトが終わる毎にマスクを分解するとは考えにくい。これを行うサービスと特別なマスクのタイプが(もし効果的であればの話だが)できるかもしれない一方で、研究チームは常に自動でリチャージするバッテリー内蔵マスクの可能性も研究した。

失われたマスクの電気をリアルタイムに充足するのに役立つソリューションが理想的だ。このセクションでは、リチャージ方法の論理拡張として、マスクがチャージされた状態を保てる概念実証のメソッドを提供する。

フィルターの材料が電気を保ち、そのために効果的にフィルタリングできるテクニックをテストした。必要とされる電流は極めて小さく、大型バッテリーは不要であるため、コンパクトで実用的なソリューションは実現可能だ。

上の写真にあるのがプロトタイプで、開発チームは有効であることを確かめている。

もちろん、展開の用意はまだできていない。IEEE SpectrumはN95マスクの開発者であるPeter Tsai(ピーター・ツァイ)氏に意見を求めた(IEEE Spectrum記事)。ツァイ氏は、フィルタリング効果をテストする研究チームの方法は「かなり疑わしい」が、研究の他の部分は問題ないとの考えを示した。

明日あるいは来週にも病院で使用されるというわけではないが、研究チームは「我々のメソッドは実際に利用可能な設備や材料で実行でき、都市部と地方の両方で展開できる」と論文に書いている。徹底的にテストされれば、こうしたリチャージ可能なマスクがあらゆるところに登場することになるかもしれない。そうなることを願おう。

カテゴリー:ヘルステック

タグ:N95マスク

画像クレジット:Justin Chin/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

チャット相談サービス「メンヘラせんぱい」がキャバ嬢と臨床心理士に相談できる新プランを提供

チャット相談サービス「メンヘラせんぱい」がキャバ嬢と臨床心理士に相談できる新プランを提供

メンヘラテクノロジーは9月11日、チャット相談サービス「メンヘラせんぱい」において、2020年キャバ嬢と臨床心理士に相談できる新プラン「メンヘラせんぱい SP.」をリリースした。

メンヘラせんぱい SP.では、キャバ嬢・臨床心理士・公認心理師の中から、好きなせんぱいを選んでチャットで相談できる。料金は30分1000円から。

メンヘラせんぱいは、辛いときにいつでも安心して使えるチャット相談サービス。相談に乗ってくれるのは、選考テスト(通過率約20%)をクリアした聞き上手な女性ユーザー。先輩に相談するような感覚で安心して利用できるという。

これまで同サービスの主な利用目的は「話を聞いてもらうこと」だったが、「具体的なアドバイスがほしい」というニーズにも応えられるよう、新プランとしてメンヘラせんぱい SP.をリリースした。

キャバ嬢せんぱいの特徴は、現在もしくは過去3ヵ月以内に、キャバクラ・スナック・ラウンジなどで働いていた、盛り上げ上手な女性。キャバ嬢せんぱい・ぼたんさんの場合は、ホステス歴6年で、現在も高級クラブで働いているという。

臨床心理士せんぱいの特徴は、臨床心理士・公認心理師の資格を保有しており、専門的な知識を使った対応が可能な女性としている。臨床心理士せんぱい・ももさんの場合は、スクールカウンセラーとして学生さんの相談にのったり、心療内科・精神科のクリニックでカウンセリングをしてきたという。

なお、リリースに先立ち募集していたメンヘラせんぱい SP.のモニターは、2020年9月27日まで応募可能。応募条件は、女性・9月中にメンヘラせんぱい SP.を体験可能な方・体験後のアンケートに協力できる方。詳細は「メンヘラせんぱい SP. モニター応募」を参照。

メンヘラテクノロジーによると、メンヘラが落ち込んだり、辛くなったとき、すぐに安心して相談できる相手がいないという課題があるという。公共団体やNPOが運営する無料の相談窓口もあるものの、相談の受け手の負担が大きいこともあり、受け手が非常に不足している状況にある。このような背景を踏まえ、メンヘラテクノロジーでは、いつでもすぐに、安心して利用できるチャット相談サービス「メンヘラせんぱい」の開発に取り組んでいるという。

2018年8月設立のメンヘラテクノロジーは、「幸せに病める世界をつくる」を夢に掲げ、サービスの開発に挑戦しているスタートアップ企業。落ち込んだり、辛くなったり、悲しかったりすることは人間にとって大事なことだと考え、「病む」ことや「メンヘラ」であることを受け入れ、幸せになれる方法を模索している。

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Carbon Healthが簡易の新型コロナ検査クリニックを全米で100カ所立ち上げ

プライマリケアヘルステックのスタートアップCarbon Health(カーボン・ヘルス)が「オムニチャネル」のヘルスケアアプローチに新たな要素を加えた。すでにサンフランシスコ、LA、シアトル、ブルックリン、マンハッタンで展開し、そして間もなくデトロイトでも立ち上げる新しいポップアップのクリニックというモデルだ。今後数週間か数カ月以内に米国内の他の主要都市でも展開し、最終的には新型コロナウイルス検査サイトが新たに100カ所設置される。これにより、1カ月あたり10万人を検査する能力が加わることになる。

これまでのところ、Carbon Healthはベイエリアにある既存の施設でのCOVID-19対応に注力し、またゲノミクスのスタートアップColor(カラー)、そして自治体とのコラボレーションを通じてサンフランシスコ州とその周辺でポップアップの検査サイトを展開してきた。そしていま、Carbon HealthのCEOで共同創業者Even Bali(イーブン・バリ)氏は、これまでに学んだことを全米レベルで展開するときがきたと考えている、と筆者とのインタビューで語った。フレキシブルで素早い検査サイトの展開だ。実際、同社はこの目標に向けて3月から取り組みを始めていたとのことだ。

「当社は2月に新型コロナに対応し始めた。文字通り中国・武漢からの患者が当社のクリニックに来ていたからだ」とバリ氏は話した。「すぐにパンデミックになると思った。部分的には政府の対応の失敗のために、自分たちができるだろうと思われること全てをやろうと決めた」

それはCarbonが事業を展開する地元でできそうなことから始まった。しかし、バリ氏とチームは早い段階で、より広範に取り組みを展開する必要があると認識した。実行にあたっては、Carbonは初期の体験を活かすことができた。

「当社はオンサイトで検査を行い、高齢者ホームを訪問し、企業の再開にも協力した」とバリ氏は話した。「現時点で当社はこれまでに20万回超の新型コロナ検査を独自に行ったと思う。Carbon Healthが部分的に協力したサンフランシスコの取り組みも含めれば、ベイエリアの検査の半分以上を当社が行ったはずだ。なので、当社はすでに可能な限りスケール展開しているが、あるとき物理的に場所の限界に近づいていた。そして3月にポップアップでよりモバイルなクリニックを多く展開するアイデアを思いついた」

ブルックリンにあるCarbon Healthの新型コロナ検査ポップアップクリニックの内部

これを実現しようと、Carbon Healthは十分に検査サービスが提供されていなかったコミュニティに対応するために町から町へと移動できるモバイルトレイラーの活用も始めた。それが今回のモデルのプロトタイプのようなものになった。マンション建設地で現場監督のオフィスとして使われているもののような建設用トレイラーを一新し、医療関係者が新型コロナ検査を行うのに必要な設備や用品を備えた。それはかなり一時的なソリューションであり、Carbon Healthはより目的に適し、素早く展開するのに役立つ大量製造が可能なカスタムデザインでメーカーと協業している。

Carbon Healthは、駐車場のスポットをフードサービスや物流拠点といった事業場所に変える、SoftBank(ソフトバンク)が支援するスタートアップReef Technologies(リーフ・テクノロジーズ)と提携している。そして同社が今回取り組むのはCarbonのクリニックだ。これは地元当局の許可や不動産の規制といった複雑なものをクリアするのに大いに役立つ、とバリ氏は話した。つまり、Carbon Healthのポップアップクリニックは、従来の永久設置型のクリニックを開所するときに時間がかかるプロセスを回避できることを意味する。

このモデルを活用する1つのアドバンテージがコストだ。多くの人が従来型のクリニックに比べれば高価ではないと思うかもしれないが、それほどコストがかからないというわけではない。少なくともカスタム製造され、ボリューム生産による経済性が得られるまではそうだ。しかしスピードは大きな利点だ。こうした特殊な状況でCarbon Healthが先を考えるのに役立っている。パンデミック後、あるいは新型コロナワクチンを接種するようになったときに、こうしたポップアップクリニックはどのように使われるのか、といったことだ。バリ氏は「かなりの数が必要とされる承認を受けたワクチンは、検査よりも体制が整わなければ管理が必要になる」と指摘した。

ブルックリンにあるCarbon Healthの新型コロナウイルス検査のポップアップクリニックの外観

一方で、新型コロナ以外の診療の需要は依然としてあり、Carbon Healthのポップアップモデルは従来のプライマリケアと遠隔診療のギャップを埋めることができるかもしれない。

「遠隔診療がいいソリューションとなっていない場合、ビデオによる医師の診察はほぼ満足するものだが、診断のためのテストをする必要があるということが問題だ。管理が必要かもしれないし、医師の指示のもとに看護師ができる本当にシンプルな身体検査を必要としているかもしれない。なので、こうした場合を考えると、あらゆる受診の90%はビデオでの医師の診察と、現場の看護師で対応できる」

新型コロナのテストは全米において急がれる重要なものであり、新型コロナワクチンの展開ができるだけ早くそれに置き換わることを願う。しかしパンデミックが収まった後でも、ヘルスケアは大きく変わる。Carbon Healthのモデルはケアをあらゆるところで展開するという需要に対応する、より永久的で実行可能な方法になりえる。

>画像クレジット:Carbon Health

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(翻訳:Mizoguchi

遠隔医療や医薬品デリバリーを手掛けるTruepillが在宅医療検査サービスに参入、年末までに200億円超の売上目指す

遠隔医療および薬局での調剤から配送までのフルフィルメント・サービスを他企業に提供するTruepillは、遠隔医療サービスを提供するHims and Hers、避妊薬や緊急避妊薬などのデリバリーサービスを提供するNurx、医療薬割り引きクーポンを提供するGoodRx、および以前の顧客で遠隔医療サービスを提供するRoなどの企業の各サービスを強化する第3のサービスとして在宅医療検査を開始する。

このサービスの拡大に向けた資金調達は、Oak HC/FTが主導する投資家からの7500万ドル(約80億円)の新規資金調達ラウンドで、Optum Ventures、TI Platform Management、Sound Ventures、Y Combinatorが参加する。

新たなリード投資家であるOak HC/FTの共同創業者でありマネージング・ディレクターのAnnie Lamot(アニー・ラモット)氏は「遠隔医療の診療報酬が変更されたことで、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)企業に対する風向きが変わりました」と語る。

Truepillはラボでのテストを拡大することで、従来は医師のオフィスにリモートで限定されていたサービス一式を提供可能になる。より多くの患者が遠隔医療に適応することで、この種の選択肢はより魅力的になるだろう。

遠隔医療への移行は、新規参入者にとっても同様だ。特に優先順位が診療報酬側のサービスに対する料金ではなく、価値に基づいたケアにシフトし、消費者がより低コストのオプションを要求し始めると、既存事業者も同じケアを消費者に提供する必要があることがわかってきている。

ヘルスケア分野で長年投資を行ってきたラモット氏は「ターゲットを絞ったヘルスケアプランによって、より良いケアを提供できるようになると思います」と述べている。そしてTruepill の経営陣も確かにそう願っている。共同創業者のUmar Afridi(ウマル・アフリディ)氏とSid Viswanathan(シド・ビスワナサン)氏は、LinkedInで知り合った。ビスワナサン氏が面識のないアフリディ氏にメールを送り付けたのが始まりだ。当時、アフリディ氏はシアトル近郊のスーパーマーケットのFred Meyer(フレッドメイヤー)で処方箋を詰める薬剤師として働いていた(Forbes記事)。

当初、Truepillの成長は、Hims、Nurx、および脱毛治療、勃起不全治療薬、避妊薬を希望する人々の選択的な健康ニーズに焦点を当てたほかのD”Cヘルスケア企業のような薬剤師としての役割から来ていた。

当初Truepillの成長は、Hims、Nurx、その他の消費者向け医療企業の薬剤師としての役割から始まり、脱毛治療、勃起不全治療、避妊を望む人々の選択的な健康ニーズに応えることに焦点を当てていた。

会社が成長するにつれて、野望も大きくなった。ビスワナサン氏によると、Truepillは年末までに最大2億ドル(212億円)の売上を計上する見込みで、その売上はD2C者企業、保険会社、医療機関などの顧客から均等にもたらされるという。

「当社の薬局からラボの検査部門に至るまで、すべての業務はホワイトラベル化されています。オンライン診療のteladocで、そのサービスを利用できます。ヘルスケアの80%はデジタルチャネルで行われようとしています。我々、この分野のプラットフォーム企業を構築するのに最適な立場にいます」とビスワナサン氏は説明する。

家庭での検査は、そのプラットフォームの重要な構成要素だ。Truepillは年末までにこのサービスをローンチする予定で、ラボのテスティングプロバイダーと協力して数百の在宅テストを提供している。同社は、糖尿病、心臓病、慢性腎臓病などの慢性疾患を管理するための検査に重点を置くとのこと。ちなみに、これらは投資家から大きな関心を集めている分野だ。消費者やデジタル治療ソリューションを提供する企業を支援し、これらの疾患の治療に役立てている。

ビスワナサン氏は声明で「包括的で効果的なデジタルヘルスケア体験を実現するには、保険適用範囲の広い薬局、自宅での検査、そして遠隔医療の3つの柱が不可欠です。当社の一連のソリューションに診断薬を追加することで、Truepillという1つのプラットフォームを通じて、患者さんに直接医療を提供することができるようになります。当社は、医療の80%がデジタル化された未来を想定しています。APIに接続されたインフラス基盤の上に、診断、遠隔医療、および薬局が構築されたTruepillは、デジタル化を力強く後押しします」と述べた。

画像クレジット:Fanatic Studio

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Pelotonがエクササイズバイク上位モデルBike+とトレッドミルTreadを発売、価格はいずれも約26万円

Pelotonは、家庭用スマートジムのラインアップとして、Bike+とTreadの2つの新製品を発表した。どちらも価格は2495ドル(約26万5000円)と同じだ。新しいエクササイズバイクのBike+は、Pelotonのオリジナルのステーショナリーサイクルのプレミアムバージョンとして加わり、オリジナルモデルは1895ドル(約20万円)に値下げされて継続販売される。どちらの製品も9月8日の正式発表に先立ち、先週Bloombergがリークしたものだ。

新しいPeloton Bike+は、23.8度回転する、HD解像度のタッチスクリーンディスプレイを搭載する。左右方向に180度移動することもでき、自転車をオフにしている間でも画面(およびPelotonのリモートワークアウト指導やクラスの範囲)を使えるようになっている。4つのスピーカーを内蔵したサウンドシステムを搭載するほか、アップルの「Gymkit」にも対応しており、ワンタップでApple Watchと接続してワークアウトを同期させることも可能だ。心拍数や呼吸数などの目標指標に応じて自転車の抵抗値を計測するAuto-Followレジスタンスシステムも搭載されている。

前述のとおり、Bike+は2495ドルで販売されるが、これは新たに値下げされたエントリーレベルのBikeよりも約600ドル高い価格設定となっている。米国、カナダ、ドイツでは9月9日から発売され、分割払いプランも用意される。なおPelotonは、既存の自転車と同様に30日間のホームトライアルを実施する予定だ。

同様に新しいTreadも、分割払い可能でトライアル期間も設けられている。米国とカナダでは2021年初頭に発売される予定だが、英国ではもう少し早く、具体的には2020年12月26日に発売される。ドイツでも発売予定だが、同社によると2021年の後半になるという。

Treadには、23.8インチのHDタッチスクリーンが備わっている。回転はしないがチルト機能を備えており、床でトレーニングすることなどを想定して上下に50度傾けることができる。同社によると新しいTreadは「ほとんどのソファより小さい」サイズで幅157×高さ172×奥行き83cm。伝統的なトレッドミルのベルトのように見えるが、同社によると一般的なトレッドミルとは異なり、前面のカバーはなく外観はスッキリしている。

Pelotonはまた「Bike Bootcamp」と呼ばれる新しい種類のクラスを発表した。これは、有酸素運動に加えて、より包括的な全身運動を提供するための筋力トレーニングを含むクラスとなる。同社は、家庭用エクササイズプログラムのワンストップショップになりたいと考えているようだ。

Pelotonの製品を最近購入した人の中には、この新製品の登場前に購入したことを後悔している人がいるかもしれない。同社によると、30日間のホームトライアル期間中のユーザーや、まだバイクが届くのを待っているユーザーを対象に、オリジナルのエクササイズバイクの350ドルの値下げぶんを即座に自動返金するとのこと。また、このグループに該当し、アップグレードモデルを希望するユーザーは差額を支払えば交換できる。

一方、最近購入したばかりではないが、まだ新しいギアが欲しいというユーザーのために、Pelotonは現在バイクを所有している方を対象に700ドルのリベートと、ヨガ&トレーニング用のアクセサリーセットを提供し、新しいバイクの引き取り時には古いバイクを無料で引き取ってくれる下取りサービスを提供している。アップグレードのインセンティブとしては悪くない。

画像クレジット:Peloton

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(翻訳:TechCrunch Japan)

皮膚がん検診にAIを活用する英国拠点のSkin Analyticsが5.5億円を調達

人工知能を活用した皮膚がん検診サービスを開発している英国拠点のスタートアップ、Skin Analytics(スキンアナリティクス)がシリーズAで400万ポンド(約5.5億円)の資金を調達した。このラウンドはHoxton Venturesがリードし、NestaとMustard Seed Venturesの各VCが参加した。

Skin Analyticsは、米国民の健康に重要な影響を与える可能性のある新技術を迅速に追跡するプログラムの一環として、米食品医薬品局(FDA)から「Breakthrough Device Designation」(ブレークスルーデバイスの指定)を受けており、調達した資金を利用して米国での事業を拡大する計画だ。

同社はまた、バーミンガム大学病院と共同で世界初の「AIを利用した」クリニカルパス(ケアプロセスを標準化する医療管理手法)も発表しており、英国の国民医療サービスでのパートナーシップも継続する。

Skin Analyticsは、EU加盟国へ輸出する際の安全基準条件を満たすことを示すCEマークの医療機器を提供しており、複数の研究によって皮膚がん、前がん性や良性の病変を「皮膚科医と同じレベルまで」を特定できる技術を持つ。この技術を使うことで、皮膚科医の診断負担を軽減でき、医療システムや保険会社が皮膚科医の能力を高められるかもしれない。

Skin Analyticsの創業者であるNeil Daly(ニール・デイリー)氏は「簡単に言えば、皮膚がんは世界で最も一般的ながんであり、発生率は世界中で増加している」と説明する。皮膚科医が世界的に不足しているという事実と重ね合わせると「皮膚がんをどのように特定し、どのように対処するかが課題になっています」と続ける。

デイリー氏によると「Skin Analyticsが開発した臨床的に有効なAIシステムは、深刻な皮膚がんだけでなく、開業医やさまざまな良性病変によって治療できる前がん病変も特定できる」という。「我々の技術を使う場所にもよりますが、Skin Analyticsのサービスを利用することで入院患者の数を40~60%減らすことができます。つまり我々は医師不足の皮膚科の負担を軽減し、皮膚科医が予約のために何カ月も待たされることが多い炎症性皮膚疾患の患者などのほかの患者に集中できるようになります。また、皮膚がんの治療費を削減して、ほかの場所でのケアの改善に割り当ることができます」と続ける。

皮膚がんはAIの進歩と相まって大きな社会問題であるため、デイリー氏は当初はこの分野に取り組んでいる企業が多く、2014年には競合他社が約50社と爆発的に増えたことを振り返りつつ「技術がいかに複雑であるか、臨床企業としての運営がいかに困難であるかという現実に直面したため、いまでは3、4社を除いてすべてが消滅しています」と説明したうえで、新たな競争相手が出現していることも付け加えた。

「実際のところ、私たちはAIを開発するうえで失敗から学ぶことに多くの時間を費やしてきた」とデイリー氏は同社サービスの重要な差別化要因を挙げた。「優れたアルゴリズムを開発したとしても、現実の世界でテストした場合に十分なパフォーマンスが伴わないことが多いのです。そして、これはプロスペクティブな臨床研究(臨床試験を開始した時点から未来に向かって情報を集める研究)でしか得られません。私たちはそういった臨床研究を実施しただけでなく、アルゴリズムを改善し続けるためのデータも取得・解析し続けています。これには近道はありません。テストをして、改善して、繰り返す必要があります。

もう1つの重要な差別化要因は、医療のように高度に規制された業界とそれに伴うプロセスでは「成功するまでごまかすことはできない」という点だ。「企業としてこのようなプロセスを受け入れる必要がありますが、それには時間も手間もかかります」と同氏。「医療機器を開発する企業は、安全性が重要視される環境の中で迅速にイノベーションを起こす方法を見つけなければなりませんが、当社のチームがその能力を構築し、それを継続してきたことを非常に誇りに思います」と締めくくった。

画像クレジット:Skin Analytics

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(翻訳:TechCrunch Japan)

新興国市場向けのマイクロヘルス・生命保険を開発するBIMAが約32億円を追加調達

新型コロナウイルスの世界的な大流行と、その蔓延を遅らせるための社会的な距離の取り方に新たな重点が置かれるようになったことで、遠隔でのヘルスケアを可能にするテックサービスが注目されている。米国時間9月7日、新興市場をターゲットにマイクロインシュランス(低価格・低コストの保険)とヘルスケアサービスを構築しているBIMAが、サービスに対する需要の急増に対応するための資金調達を発表した。

同社はストックホルムとロンドンを拠点とする、生命保険と健康保険、遠隔医療サービスを提供するスタートアップ。新型コロナウイルスによる需要増加を受け、サービスを拡充させるための資金として3000万ドル(約32億円)を調達した。同社は現在、健康保険を利用可能な遠隔医療サービスを提供しているが、病気を管理するための健康プログラムや薬局での割引などのサービスなども拡充しており、今後はさらに多くのサービスを取り込んでいく計画のようだ。

この動きは、最近2億3000万ドル(約245億円)を調達した中国のWaterdrop(未訳記事)など新興国をターゲットにしたほかの保険系スタートアップと同じ戦略だ。Waterdropがクラウドファンディングを含めて構築しているサービス内容を見ると、BIMAが今後どのようなサービスを追加する可能性があるのかを予想できる。

今回のラウンドは新規投資家である中国のCreditEase Fintech Investment Fund(CEFIF)がリードしており、既存投資家のLeapFrog Investmentsとドイツ保険大手のAllianz(アリアンツ)も参加している。なおAllianzは、BIMAの前回の9700万ドル(約103億円)の資金調達ラウンドにも参加(未訳記事)していた。同社は今回の評価額を公表していないが、前回のラウンドでは3億ドル(約320億円)の評価を得ており、その後大きく成長した。

BIMAは現在、200万件の遠隔医師による診察を記録し、3500万件の保険や健康保険を保有しており、過去2年間で顧客基盤を1100万人まで拡大している。現在、アフリカではガーナ、タンザニア、セネガル、アジアではバングラデシュ、カンボジア、インドネシア、マレーシア、パキスタン、フィリピン、スリランカの10カ国で事業を展開中だ。

米国やヨーロッパでは、Lemonade(レモネード)のように上場企業に成長したインシュアランステックのスタートアップが数多く誕生しているが、BIMAが注目されるのは「そのターゲットが誰であるか」という点にある。

BIMAが注目しているのは、より高い経済層や可処分所得のある層、経済が安定している先進国市場の人々ではない。むしろ、1日10ドル以下で生活し、病気や怪我のリスクが高い、十分なサービスを受けていない家庭に焦点を当てており、「顧客の75%が初めて保険サービスを利用する人々です」とBIMAは説明する。

同社のCEOを務めるGustaf Agartson(グスタフ・アガートソン)氏と共同創業者のMathilda Strom(マチルダ・ストロム)氏はインタビューで「遠隔医療と保険はこれまで以上に必要とされており、新型コロナウイルスの感染蔓延は新興国の消費者と政府にこれらのタイプの製品の認知度と受け入れを加速させました。BIMAの遠隔医療サービスは利用率がほぼ2倍になっています」と語った。「BIMAは新型コロナウイルスの感染者を保険でカバーしています。この病気で苦しんだ人や亡くなった人の家族に保険金を支払ってきました」とストロム氏は付け加えた。

また、新型コロナウイルスの感染蔓延で忙殺されている保健当局とも連携している。パキスタン政府やインドネシア政府は現在、BIMAを利用して医師による遠隔診察やチャットを顧客に提供することで、医療サービスの負荷を軽減している。

BIMAは、中間所得層がまだ形成されていない発展途上国をターゲットにしている。通貨価値が不安定で、インフラが未整備であることから、参入のハードルが高いと考えられるているが、一方で競争がなく、急速に成長している需要を取り込めるため、BIMAの事業はより実りのあるものになる可能性がある。

「新型コロナウイルスは、病気の蔓延を防ぐための遠隔医療の価値と、安心のための保険の重要性を家庭にもたらしました」とアガートソン氏は声明の中で述べている。「デジタルソリューションとヒューマンタッチを通じ、BIMAはこのような困難な時期に安心感をもたらすツールなどを使って、手の届きにくい地域社会にサービスを提供することができました。今回調達した資金は、事業の拡大とサービスに対する需要を満たすための事業拡大に投下します」と続けた。

中国の投資家であるCreditEaseが今回のラウンドに参加したことは興味深い。保険の提案を中心にオールインワンの医療サービスを提供するというアイデアは、中国市場で培われてきたものだ。米国では、企業が提供する健康保険である健康維持機構(HMO、Health maintenance organization)でのサービス開発が進んでいるにもかかわらず、同様のモデルを開発しようとするスタートアップが世界的にも比較的少ないため、その点でもBIMAは際立っている。

CreditEaseのマネージングパートナーであるDennis Cong(デニス・コン)氏は声明で「BIMAの革新的なマイクロ保険と遠隔医療サービスの統合は、新興国市場における大きなアンメットニーズ(治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ)を満たすために重要で、現在の新型コロナウイルスの感染蔓延によってその価値はさらに高まっています」と述べている。さらに「私たちは、既存の主要株主とともに、BIMAの意義深い旅に参加する機会を得られたことを大変うれしく思いますし、同社が事業を成長させ、サービスを提供する市場においてリーダーとしての地位を拡大していくことを支援します」と続けた。

LeapFrog InvestmentsのパートナーであるStewart Langdon(スチュワート・ラングドン)氏は「BIMAが提供している市場は広大であり、医療サービスに対する需要は非常に大きいです」と語る。「BIMAの独自サービスにより、新興市場の消費者は多くの医療および保険サービスを1つの使いやすいプラットフォームで利用できるようになります。これには、BIMAのサービスを利用しなければ保護されず、危険にさらされることになる何百万もの保険の新規購入者に対する保護も含まれます」と同氏。

Allianzの投資部門であるAllianz XのCEOを務めるNazim Cetin(ナジム・セチン)氏は声明で「BIMAとのパートナーシップを継続し、発展途上国市場において遠隔医療と遠隔医療サービスを共同で提供できることをうれしく思います。これらのサービスに対する需要は今後も増加すると考えており、当社の経験とネットワークを活用したサポートを提供することで、市場におけるBIMAの主導的地位を明らかにしていきたいと考えています」と述べている。

カテゴリー:ヘルステック

タグ:BIMA 資金調達 InsurTech / インシュアテック

画像クレジット:BIMA

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(翻訳:TechCrunch Japan)

超高解像X線イメージセンサーおよびカラーカメラ開発の静岡大発スタートアップ「ANSeen」が10.8億円を調達

超高解像X線イメージセンサーおよびカラーカメラ開発の静岡大発スタートアップが10.8億円を調達

目に見えないものの可視化をビジョンに掲げる静岡大学発スタートアップ「ANSeen」は9月7日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資および融資により9億円の資金調達を行ったと発表した。また、NEDOの助成対象事業者に選定され、約1.8億円の助成を受けることが決定した。

引受先はCYBERDYNEおよび同社子会社運営のCEJファンド、環境エネルギー投資、DRONE FUND、信金キャピタル、静岡キャピタル。融資は商工組合中央金庫や浜松いわた信用金庫からによるもの。

今回の資金調達により、超高解像X線イメージセンサーおよびX線カラーカメラの量産設備を導入し、2021年中に量産体制を構築し、非破壊検査や歯科検査装置への搭載を目指す。またCYBERDYNEとの資本提携を通じ、超高解像X線カラーカメラのサイバニクス産業での応用・事業化を推進する。

サイバニクスとは、人・ロボット・情報系が融合複合した新しい学術領域という。医療、福祉、生活、職場、生産分野において、人と情報系とロボット系を機能的に繋ぎ、物理的・情報的・生理的インタラクションを実現するとしている。サイバニクスは、筑波大学山海嘉之教授 (CYBERDYNE代表取締役社長)が人支援を目的として創成し、「Society 5.0」を牽引するコア技術領域でもあるという。

X線の色情報を取得可能な超高解像度X線イメージセンサを搭載したX線カラーカメラ

X線の色情報を取得可能な超高解像度X線イメージセンサを搭載したX線カラーカメラ

同社センサーは、X線の波⻑を⾒分けることができるため、材料識別を実現することが可能。従来の空港でのX線検査などで使用されている簡易的な疑似カラーとは異なり、食品と爆発物の違いなど物理的な違いを表現可能なため、従来では可視化が困難であった自動車や鉄道など金属鋳造部品などの可視化を実現可能としている。

また同社は、2020年に新たに設けられた新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による令和2年度「研究開発型ベンチャー支援事業/Product Commercialization Alliance」助成事業(PCA)に採択された。PCAは、研究開発で培った技術を活用した製品・サービスの事業化を支援する取り組みで、提案から数年後に継続的な売上が見込める企業への助成事業となっている。

同社は、これまでに同機構の助成事業で開発してきたX線イメージセンサーとその製造技術の事業化の蓋然性の高さを評価された結果と考えており、PCA事業により、量産技術の実用化をより確実なものとし、今後の事業をさらに加速的に進めていくとしている。

2011年4月設立のANSeenは、「Making Invisible Visible」、目に見えないものの可視化をビジョンに掲げる静岡大学発スタートアップ。

同社はX線の特徴を存分に引き出し、X線のフォトンひとつを捉える究極のイメージングを可能とする超高解像度X線イメージセンサー、および当該イメージセンサを搭載したX線カラーカメラを開発した。

医療技術スタートアップのuMotifが7億円超を調達、新型コロナで患者自身がフィードバックする遠隔臨床研究が加速

医療技術スタートアップのuMotifは、患者が治療や治験のために自分自身をモニターし、それをプラットフォームにフィードバックすることで、臨床研究へのより迅速なアプローチを可能にするアプリを開発した。現在、英国の既存投資家であるAlbionVCが主導し、ノルウェー・オスロを拠点とするDNV-GLや既存のエンジェル投資家も参加しているシリーズA投資ラウンドで500万ポンド(約7億500万円)を調達した。今回のラウンドを経て調達資金の総額は750万ポンド(約10億5800万円)となった。

uMotifのプラットフォームは、患者がデータを提出するために病院などのサイトに行かなければならない中央集権的な研究に徐々に取って代わられつつある、ライフサイエンス企業に販売されている。この傾向は明らかに新型コロナウイルスの感染蔓延によって加速しているようだ。uMotifは、現在26カ国で進められている研究で使用されており、皮膚科や希少疾患からがんや心臓病まで、25以上の治療分野に渡って臨床から現実の環境までを網羅している。最大の研究では、1万3000人以上の参加者の痛みのレベルや状態を追跡した。この研究はBBCで取り上げられ、ネイチャー誌にも掲載された。

競合他社としてはほぼ米国を拠点とする企業で、SnapIOT、Medable、Clinical Inkなどの組織や、その他の大手プラットフォーム企業などがある。

uMotifのCEO兼共同創業者であるBruce Hellman(ブルース・ヘルマン)氏は声明で「今回の新たな資金調達は当社の開発を急速に加速させ、最終的には顧客がより早く新しい治療法を患者さんに届けるための一助となるでしょう」と述べている。

アルビオンVCの副社長パートナーであるAndrew Elder(アンドリュー・エルダー)博士は「臨床試験中に信頼性の高い患者データにアクセスできることは、これまで以上に重要な意味を持ちます。uMotifのプラットフォームは、すべてのステークホルダーにとってウィンウィンであり、このプラットフォームは、何百万人もの患者に治療法を提供するためのスピードと効率に革命を起こす可能性と勢いを持っています」と述べた。

画像クレジット:uMotif

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ソフトバンク・ビジョン・ファンド2がデジタル療法のBiofourmisへの100億円超投資をリード

AIによるデータ分析とバイオセンサーを結びつけて治療の進捗をモニターするBiofourmisが、いま世界で最も注目を集めている投資家からの資金を調達した。このデジタル療法企業はシンガポールで起業し、現在本社はボストンにある。同社は米国時間9月2日間、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2がリードする1億ドル(約106億円)のシリーズCを完了したことを発表した。既存投資家であるOpenspace VenturesとMassMutual Ventures、Sequoia Capital、およびEDBIもこのラウンドに参加した。

同社のこの前の資金調達の発表は、2019年5月の3500万ドル(約3億7000万円)のシリーズA(未訳記事)で、これはSequoia IndiaとMassMutualがリードした。後者は、Massachusetts Mutual Life Insurance Companyのベンチャーキャピタル部門だ。

Biofourmisのプラットホームは、AIを使った健康分析と着用型のセンサーを組み合わせて、ヘルスケアのプロバイダーによる患者の回復の進捗や薬などの処置の効果の判定を助ける。同社は2015年にCEOのKuldeep Singh Rajput(クルディープ・シン・ラージプート)氏と専務取締役のWendou Niu(ウェンドゥ・ニュー)氏が創業した。同社によると今回の投資は、東南アジアのヘルスケアスタートアップへの投資額としてこれまでで最大である。同社は、ボストンとシンガポールのほかに、スイスとインドにもオフィスがある。

同社のシリーズAの資金調達以来、Biofourmisは一連のパートナーシップにより成長を続けた。その主なパートナーは、7社の製薬企業と10社の医療システムだ。Novartis、AstraZeneca、Mayo Clinicなどの有名企業も含まれる。買収もいくつか行い、それにはバイオセンサーのBiovotionとガン患者のためのデジタル療法企業であるGaido Healthが含まれる。

今回の資金の主な用途は、心臓病や呼吸器疾患、腫瘍、痛みなどの新しい治療法を検証し、市場に持ち込むことだ。Biofourmisはまた、米国とアジア太平洋市場、特に中国と日本への拡張を計画している。

Biofourmisの本日の発表によると、今後同社は経営を、Biofourmis Therapeuticsと Biofourmis Healthの2本立てにする。前者Biofourmis Therapeuticsは、AstraZenecaや中外製薬などとのパートナーシップにより、医薬処置の効果を増強するためのソフトウェアを作る。そしてBiofourmis Healthは、同社の本拠地的医院として、ヘルスケアのプロバイダーが患者の急性期治療からの回復過程をリモートでモニターできるようにする。Biofourmis Healthは特に、心臓病と冠動脈疾患、呼吸器疾患、およびがんにフォーカスする。

EDBIはシンガポールの政府系投資企業で、ヘルスケアなど、国の産業の進歩に寄与するようなスタートアップを探している。EDBIのBiofourmisへの投資は政府としての戦略的投資でもあり、同社の技術による新型コロナウイルス再発(Channel News Asia記事)の対処が期待されている。

昨年の7月に発表されたソフトバンク・ビジョン、ファンド2は、AIを利用する技術に約12兆円を投資することを目的に創設された。最初のビジョン・ファンドは巨額の損失に直面しているが、その多くはWeWorkとUberから発生している。そこで今では、ヘルスケアなど特定の市場に集中するビジョン・ファンド2のパフォーマンスが注目されている(CNBC記事)。これまでヘルスケアの分野では、薬のデリバリーのAlto(Business Insider記事)、ライフサイエンスのKarius(Kariusプレスリリース)などに投資済みだ。これらの投資も、やがてその効果が判定される。

プレス向けの声明でSoftBank Investment AdvisersのパートナーであるGreg Moon「グレッグ・ムーン)氏は「医療の未来は予測的ヘルスケアにある」と信じている。そして「Biofourmisは、デジタル療法の進歩にAIと機械学習によるモデルを用いる技術の先頭を歩んでいる」と続けた。

画像クレジット: Biofourmis

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

肺がん患者同士が匿名で治療法を共有できるPeer Medical

Peer Medicalには大きな使命がある。創業者で連続起業家のEd Spiegel(エド・シュピーゲル)氏は父親を肺がんで亡くした後、肺がん患者がよりよい方法で病気に対処できるようにすることを誓った。このスタートアップこれまでに、その画期的なアプローチのために120万ドル(約1億2750万円)のシード資金調達し、瞬く間に患者を増やしている。

同社は、肺がん患者が匿名で治療法を共有することを可能にする。これにより、ガン患者は自分と同じような人を見つけ、どの治療法や処置が最も効果的かを知ることができる。患者は、バイオマーカー、病期、年齢、性別で検索し、検証された治療法や類似の体験を確認できる。

今回の資金調達ラウンドは、オランダ・アムステルダムを拠点とするPartners in Equity(PiE)が主導した。PiEは、オランダの決済ユニコーンであるAdyenにシードキャピタルを投資したことで知られており、ロンドン拠点のSeedcampがエンジェル投資家と並んで参加した。

Peer Medicalでは、患者の電子カルテを1分以内に登録可能で、そのアドバイザーには、UCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)で胸部腫瘍学の責任者であるDavid Jablons(デビッド・ジャブロン)博士とデューク大学の応用ゲノミクスと精密医学の責任者であるGeoffrey Ginsburg(ジェフリー・ギンズバーグ)博士が含まれている。

シュピーゲル氏が創業したFacebookを利用したアパートレンタルの紹介管理ツールを開発するRentMineOnlineは、10年前に登場した「シェアエコノミー」のスタートアップの1つであり、ロンドン拠点でヨーロッパ向けベンチャーキャピタルであるSeedcampの最初の投資、そして最初のイグジットでもあった。

実際のところPeer Medicalのアイデアは、10年前にシュピーゲル氏の父親の3年間の肺がんとの闘病中、唯一の介護者だった同氏のもとに浮かんできた。同氏は、大学時代の友人で、父親が肺がんで他界したのを見たことがある人に会った後、このアイデアを思いついたと私に話してくれた。彼らは治療情報のノートを共有・比較したところ、非常に多くの情報を埋もれていた可能性があることに気づいたそうだ。

「それはまるで、神よ、あの時に知っていればよかったのに!」という感じです。残念ながら、私はその経験を生かせませんでしたが、いまなら「電子介護者」のようなものを利用して父を助けることができたでしょう。

オンラインフォーラムに参加して、シュピーゲル氏は助けを求めている患者を見つたが、彼らが持っている知識を含む一元化された検索可能なデータベースの必要性に気付いたそうだ。昨年、米国だけでも170万人以上の新たながん患者が診断されている。多くの場合、患者の情報は混乱していたり不完全であったり、古くなっていたりする。医療記録の携帯性は普及しつつあり、治療を支援するうえで今後は極めて重要になるだろう。

「運転手のあなたが、ナビアプリのWazeを使って他のドライバーからの情報を共有し、完璧なルートにたどり着くためにほかのすべての人から学んでいるのと少し似ています」とシュピーゲル氏は説明する。「未来は確かに電子カルテの共有ですが、それは1999年にオンラインでクレジットカードを使い始めたときと同様の大きな一歩です。おのおのが自分の記録を持っていて『ほかに誰がわたしのようになっているのだろうか」』と続けた。もちろん、アップルの「ヘルスケア」アプリのように大手企業がすでに実現しており、EpicやCernerのような企業が牽引するオンライン病院ポータルの成長もある。

Peer Medicalには、匿名で混沌としていない患者のためのFacebookのサポートグループとGoogle検索以外には、伝統的な意味での競合相手がいない。2000年代初頭に設立されたPatientsLikeMeは、カルテの側面を活用しておらず、1億ドルを調達した後、2017年にUnited Health Careに売却した。

Peer Medicalには、匿名で無秩序ではない患者のためのFacebookサポートグループ やGoogle検索以外に、伝統的な意味でのライバルはいない。2000年初頭に設立されたPatientsLikeMeは、医療記録の側面を活用しておらず、2017年に1億ドル(約106億円)を調達した後、2019年にUnited Health Careに買収された。

Seedcampの共同創業者であるReshma Sohoni(レシュマ・ソーニ)氏は「エドはSeedcampの最初のコホート企業の一員であり、私たちの最初の成功したイグジットを返してくれました。エドと彼のチームを2回目に支援し、また別の成功したベンチャーをポートフォリオに加えることができてワクワクしています。残念ながら、私はまた、ガンで親を亡くした経験があり、このような困難な時期を乗り切るために、このようなツールがいかに重要であるかを実感しています。私たちは、患者が匿名性を保ちながらも、他の人から学ぶことができることを本当に気に入っています」とコメントしている。

SeedcampのマネージングパートナーであるCarlos Eduardo Espinal(カルロス・エドゥアルド・エスピナル)氏は、「Seedcampでは、これはまさに私たちが投資したいタイプのコミュニティです。人々、この場合は患者と介護者であり、がんと闘うという共通の目標によって結ばれています。検証済みで匿名化された医療記録をプールし、個々の治療パスを最適化するためにそれらを使用するこのコミュニティを構築するエドとPeer Medicalチームを支援できることに興奮しています」と語る。

ちなみに、Facebook上でアパートの紹介を行っていたRentMineOnlineは、不動産管理ソフトウェア会社である Real Page(リアルページ)に(NASDAQ:RP)に売却されている。
画像クレジット:Ed Spiegel

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Semalytixが世界最大の患者の体験をまとめたデータセット構築を目指し5.4億円調達

患者の実体験の深い理解に役立てるAIを活用したデータツールを製薬会社に提供する、ドイツのビーレフェルトに拠点を置くスタートアップのSemalytix(セマリティクス)が、シリーズAで430万ユーロ(約5億5000万円)を調達した。

ベンチャーキャピタルのbtov Partnersがラウンドをリードし、既存投資家からFly Venturesと未公表のエンジェルが参加した。Semalytixは、注入されたキャッシュで製薬会社と、さらにより広範なヘルスケア市場での事業開発を拡大する。

Semalytixは、研究グループであるSemantic Computing(セマンティックコンピューティング)からスピンアウトする形で2015年に設立された。データおよびAIアナリティクスのスタートアップとして売り出し中だ。同社は、新薬や治療法の開発に役立つ現実に即した情報を提供したいと考えている。Semalytixの主力製品である「Pharos」は患者に関する研究ツールでブログ、フォーラム、ソーシャルメディアなどの形で一般に公開されている非構造化データを取得して整理し、アルゴリズムを適用する。そして満たされていない患者のニーズ、治療の体験、病気が患者の生活に与える影響の深刻度に関する情報を提供する。

「我々のビジョンは、患者に関する洞察を医薬品開発における北極星のようなKPIとすることだ」とSemalytixの共同創業者兼CEOのJanik Jaskolski(ジャニク・ジャスコルスキー)氏は筆者に語った。「新しい規制イニシアチブ(および世論のプレッシャー)により、製薬会社は創薬において患者中心主義を貫いていると証明する必要がある。意思決定に患者の視点を組み込み、治療が現実世界で価値を生み出すという証拠を提供する必要がある。患者にとっての価値は、例えば血糖値がさらに3%低下するということではない。生活の質を向上させて、子供たちともっと遊ぶことができるか、単純に日々の仕事が楽になるのかに関心がある」。

しかしジャスコルスキー氏は、患者の洞察に関する根拠を入手するのは難しいと主張する。「患者は尋ねられると多くの場合、医師ならどういうかということを考えるため、病気が自分の生活にどう影響するか、改善するには何が必要かについて本心とは異なる話をする。医師や病院のデータを分析しないのはこのためだ。代わりにオンラインで入手できる世界中の患者の本物の声に注目している」。

SemalytixのAIは、非常にスケーラブルな方法で何百万ものオンライン患者の体験を識別し、読み込み、要約できるという。11の異なる言語をカバーし、データをさまざまな疾患ごとにオンライン上の目的母集団に変換することも可能だ。「WHO(世界保健機関)、FDA(米食品医薬品局)、EMA(欧州医薬品庁)にヒントを得たアルゴリズム研究ツールにより、分析を製薬業界にとって透明かつ科学的に意味のあるものにした」とジャスコルスキー氏は付け加えた。

画像クレジット:Semalytix

電子カルテや患者の登録情報のようなデータソースはすでにスタートアップから多くの注目を集めているが、ジャスコルスキー氏は今日存在する非構造化患者データの最大の情報源はなお見逃されているという。同氏は非構造化患者データが「患者のケアを改善し、新しい治療法の発見につながる可能性」を持っており、臨床試験の開発に役立つ情報を提供し、稀な症状に対する新しい治療法の開発を加速することさえ可能だと主張する。

Semalytixのビジネスモデルは実証済みだ。同社はプラットフォームにアクセスできる法人向けライセンスを販売している。企業は疾患ごとに12カ月以上の条件でライセンスを購入できる。「ライセンスにより疾患固有のサブグループ分析や母集団の評価ができるだけでなく、さまざまな疾患の重症度、治療体験、生活の質に基づくコホートを作成することができる」とジャスコルスキー氏は付け加えた。

「今後、プラットフォームにもっと多くの疾患を取り入れ、製薬会社だけでなく保険者(payer)やヘルスケアの規制当局側にも患者に関する一連の独自データを提供したいと考えている」。

カテゴリー:ヘルステック

タグ:Semalytix 資金調達

画像クレジット:Semalytix

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(翻訳:Mizoguchi

ねこIoTトイレ「toletta」のトレッタキャッツが月額798円の新プラン「ライトプラン」を提供開始

ねこIoTトイレ「toletta」のトレッタキャッツが月額798円の新プランを提供開始

スマートねこトイレ「toletta」(トレッタ)を手がけるトレッタキャッツは9月1日、月額798円の新プラン「ライトプラン」の提供を開始すると発表した。同社サイトにおいてトレッタ本体の購入および到着後、専用アプリを利用し申し込める。

今回提供のライトプランは、自宅においてトイレチェックを始められる最低限の機能を提供するシンプルな内容のもの。月額料金は他プランと比べ低価格となっており、ねこを何頭登録しても追加料金はかからない。

ねこIoTトイレ「toletta」のトレッタキャッツが月額798円の新プランを提供開始

トレッタは、尿量や体重をスマホで管理できるスマートトイレ「toletta」と、獣医師LINE相談などの健康サポートがセットになったサブスクリプションサービス。トイレ本体の初期費用と月額プランからなる「SaaS Plus a Box」モデルを採用しており、2019年3月のサービス開始からの愛用ねこ頭数が5000頭を突破した。

ねこIoTトイレ「toletta」のトレッタキャッツが月額798円の新プランを提供開始

ねこIoTトイレ「toletta」のトレッタキャッツが月額798円の新プランを提供開始

ペット関連市場は年々成長しており、2019年度のペット関連市場は約1兆5700億円、21年度には1兆6000億円強まで伸びる見込み(矢野経済研究所)。さらに、コロナ禍に伴う巣ごもり消費を追い風に、ペット需要は急拡大しているという。

トレッタは、「自宅でできるペットの健康管理」のニーズに応えるべく、ねこのトイレチェックを始めやすいシンプル・低価格な月額プランとして、ライトプランの提供を開始するとした。

またライトプラン誕生を記念し、9月1日〜9月30日の期間中、ねこグッズ(3000円相当)を詰め合わせた「トレッタ素敵便」をプレゼントするキャンペーンを開催している。詳細は「3,000円相当のねこグッズが当たる!トレッタ素敵便キャンペーン」ページを参照。

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糖尿病コントロールアプリのUndermyforkが4200万円調達、米国にも進出

糖尿病を患っている人が「time-in-range(血糖トレンド)」を改善したり、症状をうまくコントロールしたりするのをサポートする糖尿病トラッキングアプリのUndermyfork(アンダーマイフォーク)がシードラウンドで40万ドル(約4200万円)を調達した。

AltaIR Capital,、AltaClub、Runa Capitalが出資した。Undermyforkの共同創業者Mike Ushakov(マイク・ウシャコフ)氏の前の会社Metabar(メタバー)も数年前にYandexに買収される前(未訳記事)に、Runaの出資を受けている。

Undermyforkのアプリは食事の写真と、継続して作動するブドウ糖モニター(CGM)デバイスから得られるブドウ糖データを合体させる。目的は、ユーザーが食事と血糖値の変化を関連付けられるようにすることだ。具体的には、血糖トレンドにフォーカスしている。血糖トレンドとは、経過中にどれくらいの時間で血糖レベルを理想的な範囲に入れるかを示すもので、近代の糖尿病管理においては最も重要なメトリックと考えられている。

「アプリで、糖尿病を抱える人がライフスタイルや食習慣を見直し、血糖トレンドを改善するのをサポートしたい」とウシャコフ氏はいう。「Undermyforkはかなりシンプルなツールだ。食事の写真と、ブドウ糖データにともなうインスリンデータと結びつけ、どの食事が安全でない血糖レンジにつながっているのかをユーザーがはっきりと認識できるようにする」。

「血糖値データをチェックできるだけでなく、データを解釈して生活を改善できる有用な結論に行き着くように糖尿病の人をサポートする。血糖のためのGoogle分析ともいえる」。

より広汎にいうと、Undermyforkは継続的なブドウ糖モニターデバイスが、数年のうちに従来使われてきた指先を針で刺し血液を採取しての測定器に置き換わるとみている。ブドウ糖モニターのデフォルトアプリという地位を確立するというのが戦略だが、達成するにはブドウ糖モニターが収集するデータへのアクセスを確保する必要がある。

「Undermyforkはブドウ糖モニターのデータに頼っている。なので、そうしたデータを提供するパートナーを必要とする」とウシャコフ氏は説明した。「今月、ラウンドのクローズと同時に、米国のブドウ糖モニター製造をリードしているDexcom(デクスコム)と提携した。当社は現在、DexcomのレトロスペクティブAPIにアクセスできる。ユーザーがDexcomのクラウドからUndermyforkアプリに直接データをストリームできる」。

この提携はまた、Undermyforkの米国での事業展開にもつながった。特筆すべきは、欧州を拠点とするチームがほぼリモートであることだ。ウシャコフ氏はアムステルダムにいて、共同創業者の Eugene Molodkin(ユージーン・モロドキン)氏はサンクトペテルブルグ、他のチームメンバーはドイツ、オランダ、ロシア、スロバニア、イスラエルに居住している。

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画像クレジット:Undermyfork

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(翻訳:Mizoguchi

アマゾンが手首装着型アクティビティトラッカー「Halo Band」とメンバーシッププログラムを発表

Amazon(アマゾン)が、Halo(ハロ)という名のまったく新しいメンバーシッププログラムを開始した。米国時間8月27日より、特別リクエストを通して早期アクセスが開始されたこのHaloサービスには、6カ月で64.99ドル(約6950円)のメンバーシップの中に、サービスそのものと新しい手首装着型アクティビティトラッカー「Amazon Halo Band」(アマゾン・ハロ・バンド)が含まれている。アマゾンは、それが一般公開されるときには、標準的な価格は99.99(約1万700円)ドルになる予定だとしている。

Haloサービスは、スマートフォンのカメラとAmazon Haloアプリだけで、体脂肪率を含む包括的な健康指標を、標準的なヘルストラッキングガジェットやアプリよりも多く提供しようとするものだ。同社は、コンピュータービジョンと機械学習における独自の先進技術を利用して、こうしたことを可能にしたと述べている。アマゾンは、アップロードされた写真を、ディープニューラルネットワークベースを使って処理することで、利用者の身体を背景から分離し、体脂肪の「ホットスポット」と呼ばれる体脂肪率を測定しやすい場所を分析して、体の3Dモデルを生成する。そこで利用者は、スライダーを使用して体脂肪率を上下に調整することで、体脂肪の増加または減少が体型にどのような影響を与えるかを確認することができる。

アマゾンによると、そのテクノロジーは医師が臨床現場で利用できるほど正確な基準を満たすことができると主張していて、その精度はスマート体重計を含むその他の家庭内手段に比べて、現在最大2倍程度正確だという。

一方、Amazon Halo Bandは小型で優美な手首装着型のデバイスで、活動量、皮膚の温度、睡眠状態(REM、浅い睡眠や深い睡眠など)などを含むその他の健康指標をキャプチャできる。デバイスは加速度計、心拍数モニター、2つのマイクを備え、耐水性がある。内蔵バッテリーは90分の充電で最長1週間持続し、スタイルを切り替えるためのさまざまなバンドアクセサリーと互換性がある。

アマゾンが活動量、睡眠、体脂肪率に加えて測定するもう1つのユニークな指標は「Tone」(トーン、声調)と呼ばれるものだ。これが、Halo Bandにマイクが搭載されている理由だ。それは利用者の声をモニタリングし、機械学習を適用して「エネルギーや積極性」などの要因を決定する。Amazonはこれによって、たとえば、「難しい仕事の電話が、家族とのコミュニケーションにおける積極性の低下につながるかどうか」といったユニークな洞察を提供できるようになると述べている。

言うまでもなく歴然とした懸念は、Amazon Haloがその洞察を引き出すために、個人データに対してこれまでにないアクセスを求めていることだ。アマゾンが集めようとしているのは、利用者の睡眠の時間帯、長さ、質についての情報や、心拍数や体温などのバイオメトリクスデータ、どこで運動するかに関する情報だ。そして、あなたの肉体構造についての非常に正確で詳細な情報までもが含まれている。言うまでもなく、利用者の声調がどのようなものであり、それが利用者のどんな心的状態を表現しているかの情報も対象だ。

同社はHaloについてのリリースの中で、HaloとBandの両者が「プライバシーを念頭に置いて」開発され、利用者のボディスキャンデータは処理が済んだ後に、保存されているサーバーから自動的に削除されると述べている。その後、それらのデータは利用者の電話内にのみローカルに保存される。同社は、利用者がそれらを共有することを選択しない限り「利用者以外誰にも見られない」という。さらに、すべての健康データは「転送中もクラウド内でも暗号化されていて」、顧客はいつでもデータを削除できるとしている。同社によれば、音声や発話のデータそのものは、電話自体でローカルに分析され、処理後すぐに削除されるため、顧客自身も含めて誰もそれらを聞くことはないという。

そうであったとしても、これはアマゾンに多くの信用と情報を提供することになる。生データは保護されているかもしれないが、収集された洞察は、たとえ匿名化されていたとしても、プロダクト提案を調整する力の点でアマゾンにより多くの価値を提供することは明らかであり、急成長しているヘルスケアビジネスなどに、さらなるチャンスを提供するだろう。とはいえ、これまでもAmazon Alexa音声アシスタントとエコシステムが、顧客の行動を思いとどまらせたようには見えないで、どれだけ多くの人が健康へのアドバイスと引き換えに、さらに多くの情報をアマゾンと共有することになるのかを見るのは興味深い。

画像クレジット:Amazon

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(翻訳:sako)