メッセージアプリTelegramのダウンロード数が10億回超え、全世界で15番目

Sensor Tower(センサータワー)によると、人気のインスタントメッセージングアプリTelegram(テレグラム)が、グローバルでのダウンロード数10億回を超えるエリートアプリの仲間入りを果たした。

ドバイに本社を置き、2013年にアプリの提供を開始したTelegramは8月27日にマイルストーンを達成した、とSensor TowerはTechCrunchに明らかにした。Telegramの主要ライバルであるWhatsAppにとってもそうだが、インドはTelegramの最大のマーケットだ。世界で2番目に大きいインターネット市場であるインドでのTelegramダウンロード回数は全体の約22%を占めている、とSensor Towerは説明した。

「インドに次ぐのはロシアとインドネシアで、全体に占める割合はそれぞれ10%と8%です。Telegramのインストールは2021年に加速し、2021年上半期は2億1470万回に達しました。これは2020年上半期の1億3300万回より61%増えています」と付け加えた。

インストール回数がそのままアプリのアクティブユーザーベースとはならないことは記すに値するだろう。例えば2021年初めの時点でのTelegramの月間アクティブユーザー数は5億人だった。しかし、WhatsAppのプライバシー規則を巨大なユーザーベースに反映させる際の不手際と同時に起こったTelegramのダウンロード数の増加は、Telegramが直近の数四半期でさらに注目を集めたことをうかがわせる。

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2021年初めに10億ドル(約1098億円)超を調達したTelegramは、ダウンロード数が10億回を超えた世界で15番目のアプリだとSensor Towerは述べた。同社によると、他のアプリにはWhatsApp、Messenger、Facebook、Instagram、Snapchat、Spotify、Netflixなどがある(Sensor TowerはAndroidデバイスにプレインストールされている大半のGoogleアプリのインストールは追跡していない)。

Telegramはコメントの求めに応じなかった。

画像クレジット:Chris Ratcliffe/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブックが10周年を迎えたメッセンジャーに新機能追加、リアルタイム体験のための「結合組織」を目指す

Facebook(フェイスブック)は、Messenger(メッセンジャー)の誕生から10周年を記念して、投票ゲーム、Word Effects(ワード・エフェクト)、連絡先の共有、Facebook Pay(フェイスブック・ペイ)による誕生日プレゼントなど、いくつかの新機能を発表した。また楽しい機能だけでなく、Facebookは、音声通話やビデオ通話を、独立したMessengerアプリから、Facebookアプリに戻す方法のテストも行っている。

「Facebookアプリのメッセージング体験の中で、音声およびビデオ通話のテストを行っています。これは人々が、どのアプリを使っているかに関わらず、通話ができるようするためのものです」と、Facebookの担当者はTechCrunchに語った。「これによって、Facebookを利用している人々は、今いる場所で簡単にコミュニティとつながることができるようになります」。

Facebookの歴史において、これまでMessengerアプリは独立した体験として運営されてきたが、Facebookでは現在、Messengerを独立した存在としてではなく、Facebookが現在開発している多くの新しい体験を支える基礎的な技術として捉え始めているという。

「私たちは、Watch Together(ウォッチ・トゥゲザー)、Rooms(ルームズ)、Live Audio Rooms(ライブ・オーディオ・ルームズ)など、リアルタイムな体験に力を入れてきました。そしてMessengerについても、表面的にどう見えるかは関係なく、結合組織として考え始めています」と、Facebookの広報担当者は語っている。「これはテストですが、もっと大きなビジョンは、Messengerでアクセスできないコンテンツやコミュニティを解放することであり、Facebookアプリが、より共有されたリアルタイムな体験になっていくことです」。

Facebookが、この数カ月の間に、その根底となるコミュニケーションインフラストラクチャの統合を進めていることを考えると、同社が最終的に、デスクトップアプリの中にMessengerを使った新機能にアクセスするためのタッチポイントを増やそうとしていることは当然と言える。

この点についてコメントを求められた広報担当者は、現時点で発表できる情報はないと答えた。しかしながら、このテストは、Facebookのサービス全体でより多くのリアルタイム体験を可能にするという、Facebookの広範なビジョンの一環であると言及した。

新たな統合が進められているにも関わらず、Messengerのスタンドアロン版がなくなることはない。

Facebookでは、メッセージングや音声およびビデオ通話体験において「フル機能」を求める人は、引き続きMessengerアプリを使って欲しいと述べている。

画像クレジット:Messenger

投票、Word Effects、連絡先の共有など、今回発表された新機能については、家族や友人とのつながりを維持するというMessengerの機能を讃えることが目的だ。

新たに導入された投票調査ゲームの遊び方はこうだ。ユーザーたちはグループチャットで「投票」をタップし「最もやりそうなこと」タブを選択する。そして「最も飛行機に乗り遅れる可能性が高い人は?」とか「最も誕生日に贈り物をしてくれる可能性が高い人は?」などの質問を選択し、その回答の候補者としてチャット参加者から1人の名前を選び、票を送信する。

連絡先の共有は、友達のFacebookの連絡先を、Messengerで簡単に他の人と共有できるようになった。誕生日プレゼントは、お祝いとしての送金を、Facebook Payを介してMessengerで送信できるようになるというもの。他にもバースデーソングのSoundmojis(音文字)や、「Messenger is 10!(Messengerは10周年!)」ステッカーパック、新しい風船が飛ぶ背景、メッセージエフェクト、ARエフェクトなど、Messengerの2桁の節目を祝う「誕生日表現ツール」が用意されている。

関連記事:Facebook Messengerが絵文字機能を強化、サウンド付きも

画像クレジット:Messenger

Word Effectsという新機能は、ユーザーがあらかじめ手動でフレーズを設定しておくと、そのフレーズを含むメッセージを送信した際に、それに付随する絵文字が画面上に浮かび上がるというもの。例として、Messengerでは「happy birthday」というフレーズに合わせて、紙吹雪の絵文字が画面上に浮かび上がるWord Effectsを公開している。(これは大した機能ではないが、つまらない絵文字の新たな使い方として注目されるかもしれない)。この機能は今すぐに使えるようになるわけではなく、現時点では先行プレビューされただけだ。

Facebookが発表した新機能は合計で10種類に上り、そのほとんどが今から使えるようになっている。

Messengerはこの10年間で大きく進化した。

10年前、Facebookは、元Google(グーグル)の社員3人が起ち上げた小規模なグループメッセージングのスタートアップ「Beluga(ベルーガ)」を買収した(当時、機能的なグループスレッドはシロクジラくらい希少なものだったらしい。シンプルな時代だった)。その数カ月後、同社は独立したメッセージングアプリであるMessengerを発表した。

しかし、Messengerが誕生して3年が経過した頃、これはもはやFacebook体験のオプション的な付加物ではなく、外出先で友人と連絡を取りたい人にとってはダウンロード必須のアプリとなっていた。

Facebookはメインのアプリ内でメッセージを送信するオプションを廃止し、代わりにMessengerを使用するようユーザーに指示した。この理由について、Facebookは当時「2つの異なるモバイルメッセージングシステムを持つことによる混乱を解消したかった」と、TechCrunchに語っていた。

その数カ月前、Facebookは190億ドル(約2兆900億円)を投じてWhatsApp(ワッツアップ)を買収し、その世界中のユーザーを大量に獲得した。FacebookアプリからMessengerを分離させることは物議を醸したが、3年後の2017年に同アプリのユーザー数は12億人を突破した。

現在、Facebookは「メタバース」企業に進化したいと宣言しており、米国時間8月19日、反トラスト法違反で提訴されたのと同じ日に、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はバーチャルリアリティを驚くほどつまらない方法で応用した製品を発表した。「Horizon Workrooms(ホライズン・ワークルーム)」と名付けられた、いわゆるバーチャル会議室だ。このメタバースは、Facebookのプラットフォームチームが構築した技術によって実現されると、Messenger担当副社長のStan Chudnovsky(スタン・チュドノフスキー)氏は指摘している。しかし、このメタバースの中にいる人々は、依然としてMessengerのようなプラットフォームを必要とするだろうと、同氏は付け加えた。

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「非同期のコミュニケーションは今後も存在し続けるので、メタバースでもメッセージングがなくなることはないと思います」と、チュドノフスキー氏は語った。その時、チャットに参加できない人にも、メッセージを送る必要は依然としてあるからだと、同氏は説明する。さらにメタバースの実現によって、この種のコミュニケーションはさらに盛んになると、チュドノフスキー氏は考えている。メッセージングのテクノロジーは、携帯電話、現実の生活、そしてメタバースの間の架け橋として役立つからだ。

「増えることはあっても減ることはないでしょう。なぜなら、メッセージングは、新しいプラットフォームが登場するたびに成長し続けるものだからです」と、チュドノフスキー氏は語っている。

画像クレジット:Messenger

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(文:Amanda Silberling、Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックが10周年を迎えたメッセンジャーに新機能追加、リアルタイム体験のための「結合組織」を目指す

Facebook(フェイスブック)は、Messenger(メッセンジャー)の誕生から10周年を記念して、投票ゲーム、Word Effects(ワード・エフェクト)、連絡先の共有、Facebook Pay(フェイスブック・ペイ)による誕生日プレゼントなど、いくつかの新機能を発表した。また楽しい機能だけでなく、Facebookは、音声通話やビデオ通話を、独立したMessengerアプリから、Facebookアプリに戻す方法のテストも行っている。

「Facebookアプリのメッセージング体験の中で、音声およびビデオ通話のテストを行っています。これは人々が、どのアプリを使っているかに関わらず、通話ができるようするためのものです」と、Facebookの担当者はTechCrunchに語った。「これによって、Facebookを利用している人々は、今いる場所で簡単にコミュニティとつながることができるようになります」。

Facebookの歴史において、これまでMessengerアプリは独立した体験として運営されてきたが、Facebookでは現在、Messengerを独立した存在としてではなく、Facebookが現在開発している多くの新しい体験を支える基礎的な技術として捉え始めているという。

「私たちは、Watch Together(ウォッチ・トゥゲザー)、Rooms(ルームズ)、Live Audio Rooms(ライブ・オーディオ・ルームズ)など、リアルタイムな体験に力を入れてきました。そしてMessengerについても、表面的にどう見えるかは関係なく、結合組織として考え始めています」と、Facebookの広報担当者は語っている。「これはテストですが、もっと大きなビジョンは、Messengerでアクセスできないコンテンツやコミュニティを解放することであり、Facebookアプリが、より共有されたリアルタイムな体験になっていくことです」。

Facebookが、この数カ月の間に、その根底となるコミュニケーションインフラストラクチャの統合を進めていることを考えると、同社が最終的に、デスクトップアプリの中にMessengerを使った新機能にアクセスするためのタッチポイントを増やそうとしていることは当然と言える。

この点についてコメントを求められた広報担当者は、現時点で発表できる情報はないと答えた。しかしながら、このテストは、Facebookのサービス全体でより多くのリアルタイム体験を可能にするという、Facebookの広範なビジョンの一環であると言及した。

新たな統合が進められているにも関わらず、Messengerのスタンドアロン版がなくなることはない。

Facebookでは、メッセージングや音声およびビデオ通話体験において「フル機能」を求める人は、引き続きMessengerアプリを使って欲しいと述べている。

画像クレジット:Messenger

投票、Word Effects、連絡先の共有など、今回発表された新機能については、家族や友人とのつながりを維持するというMessengerの機能を讃えることが目的だ。

新たに導入された投票調査ゲームの遊び方はこうだ。ユーザーたちはグループチャットで「投票」をタップし「最もやりそうなこと」タブを選択する。そして「最も飛行機に乗り遅れる可能性が高い人は?」とか「最も誕生日に贈り物をしてくれる可能性が高い人は?」などの質問を選択し、その回答の候補者としてチャット参加者から1人の名前を選び、票を送信する。

連絡先の共有は、友達のFacebookの連絡先を、Messengerで簡単に他の人と共有できるようになった。誕生日プレゼントは、お祝いとしての送金を、Facebook Payを介してMessengerで送信できるようになるというもの。他にもバースデーソングのSoundmojis(音文字)や、「Messenger is 10!(Messengerは10周年!)」ステッカーパック、新しい風船が飛ぶ背景、メッセージエフェクト、ARエフェクトなど、Messengerの2桁の節目を祝う「誕生日表現ツール」が用意されている。

関連記事:Facebook Messengerが絵文字機能を強化、サウンド付きも

画像クレジット:Messenger

Word Effectsという新機能は、ユーザーがあらかじめ手動でフレーズを設定しておくと、そのフレーズを含むメッセージを送信した際に、それに付随する絵文字が画面上に浮かび上がるというもの。例として、Messengerでは「happy birthday」というフレーズに合わせて、紙吹雪の絵文字が画面上に浮かび上がるWord Effectsを公開している。(これは大した機能ではないが、つまらない絵文字の新たな使い方として注目されるかもしれない)。この機能は今すぐに使えるようになるわけではなく、現時点では先行プレビューされただけだ。

Facebookが発表した新機能は合計で10種類に上り、そのほとんどが今から使えるようになっている。

Messengerはこの10年間で大きく進化した。

10年前、Facebookは、元Google(グーグル)の社員3人が起ち上げた小規模なグループメッセージングのスタートアップ「Beluga(ベルーガ)」を買収した(当時、機能的なグループスレッドはシロクジラくらい希少なものだったらしい。シンプルな時代だった)。その数カ月後、同社は独立したメッセージングアプリであるMessengerを発表した。

しかし、Messengerが誕生して3年が経過した頃、これはもはやFacebook体験のオプション的な付加物ではなく、外出先で友人と連絡を取りたい人にとってはダウンロード必須のアプリとなっていた。

Facebookはメインのアプリ内でメッセージを送信するオプションを廃止し、代わりにMessengerを使用するようユーザーに指示した。この理由について、Facebookは当時「2つの異なるモバイルメッセージングシステムを持つことによる混乱を解消したかった」と、TechCrunchに語っていた。

その数カ月前、Facebookは190億ドル(約2兆900億円)を投じてWhatsApp(ワッツアップ)を買収し、その世界中のユーザーを大量に獲得した。FacebookアプリからMessengerを分離させることは物議を醸したが、3年後の2017年に同アプリのユーザー数は12億人を突破した。

現在、Facebookは「メタバース」企業に進化したいと宣言しており、米国時間8月19日、反トラスト法違反で提訴されたのと同じ日に、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はバーチャルリアリティを驚くほどつまらない方法で応用した製品を発表した。「Horizon Workrooms(ホライズン・ワークルーム)」と名付けられた、いわゆるバーチャル会議室だ。このメタバースは、Facebookのプラットフォームチームが構築した技術によって実現されると、Messenger担当副社長のStan Chudnovsky(スタン・チュドノフスキー)氏は指摘している。しかし、このメタバースの中にいる人々は、依然としてMessengerのようなプラットフォームを必要とするだろうと、同氏は付け加えた。

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「非同期のコミュニケーションは今後も存在し続けるので、メタバースでもメッセージングがなくなることはないと思います」と、チュドノフスキー氏は語った。その時、チャットに参加できない人にも、メッセージを送る必要は依然としてあるからだと、同氏は説明する。さらにメタバースの実現によって、この種のコミュニケーションはさらに盛んになると、チュドノフスキー氏は考えている。メッセージングのテクノロジーは、携帯電話、現実の生活、そしてメタバースの間の架け橋として役立つからだ。

「増えることはあっても減ることはないでしょう。なぜなら、メッセージングは、新しいプラットフォームが登場するたびに成長し続けるものだからです」と、チュドノフスキー氏は語っている。

画像クレジット:Messenger

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(文:Amanda Silberling、Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

WhatsAppがスマホなしで動作するマルチデバイス機能をテスト

Facebook(フェイスブック)傘下のインスタントメッセージサービスであるWhatsAppが、ついに重要な機能の改善を公開する。長年にわたってユーザーからの要望のトップだったと同社が認める機能だ。

米国時間7月14日、WhatsAppは新しいマルチデバイス機能に関して限定的なパブリックベータテストを公開すると発表した。

このアップデートにより初めて、登録済みのスマートフォンの電源が切れていてもインターネットに接続していなくても、WhatsAppを最大4台のデバイスで利用できる。WhatsAppの広報担当者はTechCrunchに対し、この複数のデバイスの中に別のスマートフォンを含めることはできないと述べた。

WhatsAppはブログの投稿で「各コンパニオンデバイスはWhatsAppに独立して接続します」と説明している。

全世界で20億人以上に使われているWhatsAppは、すでに複数デバイスでの使用をサポートしている。1人のユーザーが、例えばウェブブラウザやコンピュータのデスクトップアプリから同時にサービスにアクセスできる。しかし現在は複数デバイスで使う際にスマートフォンがインターネットに接続している必要がある。

WhatsAppは次のように説明している。

スマートフォンがすべての処理をする必要があるため、コンパニオンデバイスの速度が落ち、特にスマートフォンの接続が不安定な場合やバッテリー残量が少ない場合、アプリのプロセスがスマートフォンのOSによって強制終了された場合に頻繁に接続が切れます。また、一度に1台のコンパニオンデバイスしか動作しません。例えばPCでメッセージをチェックしながらPortal(Facebookのビデオ通話デバイス)で通話をすることはできません。

WhatsAppの新しいマルチデバイスアーキテクチャではこうした制限が取り除かれます。スマートフォンを信頼できる情報源にする必要がなくなると同時に、ユーザーのデータをシームレスかつセキュアに同期しプライバシーを守ります。

米国時間7月14日に公開されたホワイトペーパー(PDF)で、WhatsAppはこの機能の仕組みを概説し、公開までにこれほど時間がかかった理由を示している。

同社は複数のデバイスを使ってもエンド・ツー・エンドの暗号化を維持してメッセージが同期される新しいテクノロジーを開発してきたとし、これは市場では今のところほとんど実現されていない離れ業だという。

画像:WhatsApp

同社は次のように説明している。「これを実現するために、我々はWhatsAppのアーキテクチャを再考し新しいシステムを設計して、スタンドアローンのマルチデバイスエクスペリエンスでありながらプライバシーとエンド・ツー・エンドの暗号化を守っています。個々のメッセージが確立されたペアワイズ暗号化セッションを利用して各デバイスで別々に暗号化されます。メッセージが配信された後はサーバーに保管されません」。

広報担当者によれば、この機能によってユーザーのためのクラウドバックアップに変更はないという。担当者はさらに「メッセージや他のアプリのデータをユーザーのデバイス間で同期するメカニズムは、クラウドバックアップからは独立しています」と補足し、ホワイトペーパーにプロトコルが詳しく説明されていると述べた。

この機能を全ユーザーに公開する時期について具体的な日程は計画されていない。同社はTechCrunchに対し、この機能をまず既存のベータユーザーに公開すると述べた。今後数カ月でアプリの安定版を利用する一部のユーザーに対し、許可を得てベータ機能を公開する計画だ。

@WhatsAppに期待されるセキュリティをすべて実現しています。我々はデータを同期しつつエンド・ツー・エンドの暗号化を維持する新しいテクノロジーを開発しました。メッセージの履歴、連絡先の名前、スターを付けたメッセージなどをデバイス間でシームレスに同期できます。詳しくはこちら。

近いうちに「リンクされたデバイス」画面にベータに参加するオプションが表示されます!

これはWhatsAppが現在開発している多くの機能の1つだ。同社はiPad専用アプリや2020年に導入した消滅モード機能にも取り組んでいる。現在はメッセージが7日間で消えるように設定できるが、この機能を拡張して写真やビデオを1回だけ表示できるようにする計画だ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookWhatsAppメッセージングアプリ

画像クレジット:WhatsApp

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(文:Manish Singh、翻訳:Kaori Koyama)

AWSが米国家安全保障局お墨付きの暗号化メッセージングサービスWickrを買収

Amazon(アマゾン)のクラウドサービスであるAmazon Web Services(AWS)が、暗号化されたメッセージ事業に参入する。AWSは米国時間6月25日、政府や軍、企業向けのサービスを提供しているメッセージングアプリ「Wickr(ウィッカー)」を買収したと発表した。Wickrは、米国家安全保障局(NSA)が定めたセキュリティ基準を満たす唯一の「コラボレーションサービス」であると、同社では主張している。

AWSはWickrの運営をそのまま継続し、AWSの顧客にそのサービスを「事実上即座に」提供すると、AWSのバイスプレジデントで最高情報セキュリティ責任者(CISO)を務めるStephen Schmidt(スティーブン・シュミット)氏は、このニュースを報告するプログ記事で書いている。

短い発表の中で金銭的条件は開示されていない。調査会社PitchBook(ピッチブック)のデータによると、Wickrの資金調達総額は6000万ドル(約66億5000万円)に満たない(3000万ドル以下との評価額も記されているが、これはかなり古い推定値のようだ)。一方、アマゾンのクラウドエンタープライズ部門であるAWSは、電子商取引とオンラインサービスの巨大企業にとって強大な存在となっている。AWSの前四半期の売上は、前年同期比32%増の135億ドル(約1兆5000億円)で、純利益は81億ドル(約9000億円)だった。

アマゾンが、政府機関に安全なサービスを提供しているメッセージングプロダクトを買収したこのタイミングは、Microsoft (マイクロソフト)がTrump(トランプ)政権時代に米国防総省から獲得した100億ドル(約1兆1080億円)規模のクラウド契約「JEDI」をめぐる争いに引き続き巻き込まれている時期でもある。

この買収が、アマゾンが自社のサービスを充実させるために、より多くのインフラやサービスを構築しようとする取り組みの一環なのか、それとも、JEDIの契約獲得の有無にかかわらず、アマゾンが引き続き政府機関という市場に働きかけかけようとする兆候なのかはわからない。

また、この動きはアマゾンがメッセージング分野への進出を、これまで以上に推進している可能性も示唆している。これは同社に待望されていたことだという声もある。

AWSでは現在、Amazon Chime(アマゾン・チャイム)というコミュニケーションサービスを提供しており、組織でのミーティングやチャット、ビジネスコールなどを可能にしている。しかし、これはあまり知られていない製品で、ライバルサービスであるSlack(スラック)やMicrosoft Teams(マイクロソフト・チームズ)ほどの影響力を持てずにいる。また、Wickrのようなエンド・ツー・エンドの暗号化にも力が入れられていない。

アマゾンは、2017年にもメッセージング製品を開発中と報じられたが、それはより一般消費者に向けたものだったようだ。同社は多くのソーシャルメディア関連の特許も保有している。

2021年になると、メッセージングサービスには、暗号化やプライバシー保護機能など、2017年にはあまり重要な要素ではなかった考慮すべき事項が山ほどある。また、メッセージング全般においてますます高度化が進んでいる。

アマゾンが興味を持ちそうな分野については、特に以下の4つが上げられる。1. Wickrをビジネスサービスとして提供し、現在の使い方を継続する。2. 他のAWSサービスのように、他の企業が自社のアプリで利用できる「メッセージング・アズ・ア・サービス」を構築する。3. Wickrのインフラ上に消費者向けのメッセージングアプリを構築する。4. Echoに接続するサービスを増やし、より大きなソーシャルコマース/インタラクティブプレイに向けて機能を拡張する。あるいは上記のすべてを実行する。

今回の買収について、AWSのCISOであるシュミット氏は次のように述べている。「この種のセキュアな通信へのニーズは加速しています。新型コロナウイルス感染流行の影響もあり、ハイブリッドな就業環境への移行が進む中、企業や政府機関では多くの遠隔地をつなぐ通信を保護したいという要望が高まっています。Wickrの安全性が高いコミュニケーション・ソリューションは、企業や政府機関がこのような就業形態の変化に対応するために役立ち、AWSが顧客やパートナーに提供するコラボレーションや生産性向上のためのサービスが、ますます充実することになります」。

Wickrのウェブサイトに掲載された告知には、次のように書かれている。「10年前の創業以来、当社は世界中の幅広い業種の組織にサービスを提供するまでに成長しました。AWSとともに、当社のソリューションを、お客様やパートナーのために、次のレベルに引き上げることを楽しみにしています」。

2011年にサンフランシスコで設立されたWickrは、自らを「最も安全な」ビデオ会議とコラボレーションのプラットフォームと表現している。他ののコラボレーションツールでは、ユーザーのデバイスから企業のサーバーに送信されるメッセージは暗号化されるが、それらの通信は暗号化されない状態で保存される。Wickrはエンド・ツー・エンドの暗号化を採用しているため、会話の両端にいる人のみが暗号化を解除してメッセージを読むことができる。またWickrには、ユーザーが開封から数秒という短い時間でメッセージを自動消去できる「削除タイマー」を設定する機能も備わっている。

同社は最近、人々の大規模なオンライン・コミュニケーションへの移行にともない、企業向け展開にも大きく力を入れている。2021年2月には、企業や政府機関がネットワーク外部にいる業務上重要なパートナーとエンド・ツー・エンドの暗号化を用いて安全に通信できる「Global Federation(グローバル・フェデレーション)」という機能を導入した。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:AWS買収Amazonメッセージ

画像クレジット:Pedro Fiúza/NurPhoto / AP

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(文:Carly Page, Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

G7のうち5カ国の政府が使う暗号化メッセージングアプリ「Wire」が約22.9億円調達

エンド・ツー・エンド暗号化されたメッセージングアプリおよびサービスを提供するWire(ワイヤ)は、UVC Partnersが主導するシリーズBラウンドで2100万ドル(約22億9000万円)の資金を調達した。数年前に同社が語ったように、Wireはこれまで以上にエンタープライズ市場に注力しているという。

Wireは消費者向けアプリとしてスタートしたが、他のメッセージングアプリのように何億人もの顧客を獲得することはできなかった。だからといって、Wireが悪い製品というわけではない。

このアプリでは、テキストメッセージ、写真、ビデオ、音声メッセージにより、他のユーザーと安全に会話することができる。また、他のユーザーとビデオ通話を開始したり、ファイルを送信することも可能だ。Wireは1対1の会話だけでなく、ルームでのグループチャットにも対応している。

デフォルト設定では、すべてがエンド・ツー・エンド暗号化されている。これは、同社がユーザーの会話を解読できないこと、裁判所に引き渡せないこと、会話が潜在的なハッカーにさらされないことを意味する。安全性を確認できるよう、ソースコードはGitHubで公開されている。

2019年、同社はTechCrunchの取材に対し、資金調達のために米国に持株会社を設立すると語った。その目的は、企業顧客にさらに力を入れ、収益性に向けた明確な道筋を見つけることだった。そして、この焦点は当時から変わっていない。

WireのCEOであるMorten Brogger(モーテン・ブロガー)氏は、筆者にこう語った。「ビジネスの進化を振り返ってみると、3年前は収益も顧客もゼロでしたが、今日はBラウンドを発表し、Gartner(ガートナー)のような企業に使われるエンタープライズブランドとして明確に認知されるようになりました。これは、私が非常に誇りに思っていることの1つです」。

「また、収益を生み出すエンタープライズビジネスに焦点を当てることで、WhatsApp(ワッツアップ)のように、最終的にデータを収益化するモデルにしか頼れないという状況を回避できると思います」と同氏は付け加えた。

そして、収益拡大に関してはこれが功を奏しているようだ。現時点で、Wireの顧客数は1800人。この1年で同社の顧客数は50%近く増加している。

同社は大企業や政府機関など、潜在的なユーザー数が多い大規模顧客に焦点を当てている。現在、G7のうち5カ国の政府がWireを使用している。全体として、2020年には収益が3倍になった。

メッセージングレイヤーセキュリティ(Messaging Layer Security、MLS)への取り組みに加えて、Wireは電話会議やリアルタイムのインタラクションの改善にも注力している。同社は、メッセージングアプリやリアルタイムコラボレーションアプリは徐々に集約されていくと考えている。そしてこのスタートアップは、さまざまなシーンでうまく機能するサービスを提供したいと考えている。

コラボレーション分野でも、エンド・ツー・エンド暗号化サービスがこれから増えることが予想される。Wireは従業員数90名とまだ比較的小規模であり、それは成長とイテレーションの余地があることを意味する。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Wire資金調達メッセージングアプリ暗号化

画像クレジット:Wire

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

顧客との会話型エクスペリエンスを支えるメッセージプラットフォームGupshupが約109億円調達しユニコーンに

15年前にインドで起業し、事業者が顧客とテキストを通じてやり取りするのをサポートしているスタートアップが米国時間4月8日、ユニコーンのステータスを獲得し、また黒字であることを明らかにした。

サンフランシスコ拠点のGupshupはシリーズFラウンドでTiger Global Managementから1億ドル(約109億円)を調達し、評価額は14億ドル(約1529億円)になった。

Gupshupは会話型のメッセージプラットフォームを運営しており、10万超の事業者やデベロッパーがユーザーや顧客にサービスを提供するためのメッセージや会話のエクスペリエンスを構築するのにGupshupを使っている。

2011年にシリーズEを完了し、これまでに計1億5000万ドル(約163億円)を調達したGupshupは、同社の顧客が毎月60億件超のメッセージを送っていると話す。

「メッセージと会話型エクスペリエンスのビジネス使用の増加は、事実上、あらゆる顧客接点を変革しているエキサイティングな現代のトレンドです」とTiger Global Managementのパートナー、John Curtius(ジョン・カーティス)氏は声明で述べた。「Gupshupは異なるプロダクト、クリアで持続可能なモート(堀)、確かな実績を持つ経験豊かなチームでこの分野で勝利を収めるユニークな位置につけています。マーケットリーダーシップに加え、Gupshupのスケール、成長、収益性の組み合わせが我々を引きつけました」。

しかし、インドの数千万のユーザーが異なる理由でGupshupを記憶している。Gupshupの創業後6年は、インドのユーザーが友人にグループメッセージを送れることで最も知られていた(これらの安いテキストと他のスマートなテクニックによって、10年前に何千万というインド人が電話で互いに連絡を取り合っていた)。

そのモデルは結果的に維持できなかった、とGupshupの共同創業者でCEOのBeerud Sheth(ビールード・シェス)氏はインタビューでTechCrunchに語った。

「そのサービスを続けるために、Gupshupはメッセージ料金を負担していました。当社はモバイルオペレーターに費用を払っていました、一度スケールを拡大すれば、そうしたメッセージに広告を掲載するという考えでした。要するに、メッセージの量が増えるにつれ、オペレーターは価格を下げると思っていましたが、実際はそうではありませんでした。また、規制当局はメッセージに広告を掲載することができないと指摘しました」とシェス氏は回顧した。

そうしてGupshupは方向性を変えることにした。「当社はメッセージの費用を持つことも、ユーザーベースで収益化を図ることもできませんでした。しかし高パフォーマンスなメッセージのための高度な技術を持っていました。それで、当社は消費者モデルから法人モデルへと転換しました。高度なレベルのメッセージを送る必要があり、その費用を払える銀行やeコマース企業、航空会社などへのサービス提供を始めました」とシェス氏は話した。同氏はフリーランスワークプレイスElanceを1998年に共同で創業してもいる。

Gupshupは新しいメッセージチャンネルへと拡大してきた。ここには会話型のボットが含まれる。また、事業者が顧客に対応するのに自分たちのWhatsAppチャンネルを準備して運用するのをサポートしている。

シェス氏は、銀行、eコマース、旅行、ホスピタリティ、その他の部門の大手企業の多くがGupshupのクライアントだと話した。これらの企業は、顧客に決済情報や認証コードなどを送るのにGupshupを使っている。「これらは広告的なメッセージでもなければ販促のメッセージでもありません。コアなサービス情報です」と述べた。

年間ランレート1億5000万ドル(約163億円)だったGupshupは、提供するサービスを拡大し、さらに多くのマーケットで顧客を取り込むのに新たに調達した資金を使う。10年前にインドで目にした似たような事業者のユースケースが多くの新興マーケットで展開されていて、ビジネスメッセージプラットフォームにとって成長機会が広がっているとシェス氏は話した。

「Gupshupの使命は事業者がモバイルメッセージと会話型のエクスペリエンスを通じて顧客対応をさらに良いものにするのをサポートするツールを構築することです。使命を達成すべく取り組む中で、イノベーティブでカテゴリーを定義づけるような世界中の企業に多額かつ堅牢、成功的な支援をしてきた経歴を持つTiger Globalから出資を受けられることをうれしく思います」と述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Gupshupインドユニコーン資金調達メッセージ

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

好きなアプリでの「会話的メディア」を実現するHollerが40億円調達

創設者にしてCEOのTravis Montaque(トラビス・モンタキュー)氏が「会話的メディアの企業」と呼ぶHoller(ホラー)が、シリーズB投資3600万ドル(約40億円)を調達したことを発表した。

会話的メディアとは聞き慣れない言葉かも知れないが、みなさんがすでにHollerのテクノロジーを使っている可能性は十分にある。例えばVenmo(ベンモ)での支払い時にGIFステッカーを貼り付ける際、、ステッカーの検索や、アプリ上での話の内容に則したおすすめステッカーの提示は、実際にはHollerが行っている(ウィンドウの下を見ると小さくPowered by Hollerと書かれているのがわかる)。

モンタキュー氏は、2016年にメッセージングに軸足を移したが、そもそも同社はニュースと動画コンテンツのアプリの企業としてスタートしたと同氏は語る。彼は、メッセージングは「オンラインで最も重要なエクスペリエンス」だと主張する。なぜなら「親しい人たちとコミュニケーションを行う場所だから」という。

さらに彼は「1992年に最初のメッセージが送信されて以来、テキストメッセージというエクスペリエンスにイノベーションが起きていないのが不思議だ」と語る。

そこでHollerは、PayPal(ペイパル)が所有するVenmoやThe Meet Group(ザ・ミート・グループ)などの提携企業と協力し、それらのアプリのメッセージ部分に、より魅力的なコンテンツを導入する事業を行っている。つまり同スタートアップは、モンタキュー氏の言葉を借りれば「至る場所で会話を豊かにする」ことを目指しているという。

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そこにはアートと科学が関わってくると彼はいう。アートは、上質なステッカーやGIFアニメの制作とキュレーション。科学は、Hollerの「おすすめ」AIテクノロジーというかたちで示されている。これは、ユーザーの会話や話の流れに沿った最適なコンテンツを提案するというものだ。デートアプリで送るようなステッカーやGIFアニメを、仕事のチャットで使うのは場違いだ。モンタキュー氏は、こうしたその場の状況に応じたアプローチにより、ユーザーのプライバシーを尊重した形で賢い提案ができるのだと話す。

「未来はアイデンティティではなくコンテンツにあると思っています」と彼はいう。「なぜなら、私はアンソニーのことを知る必要はなく、ただランチに行きたい人を知りたいだけだからです。あなたがメキシコ料理を食べたい気分だということさえわかれば、過去にメキシカンレストランに行った10回すべての彼の局面を知る必要はないのです」。

Hollerは、HBO Max、IKEA(イケア)、Starbucks(スターバックス)などのブランドと提携し、ブランドのステッカーやGIFアニメを制作してコンテンツの収益化を図っている。これらは同社のコンテンツライブラリーに加えられる。モンタキュー氏によれば、同スタートアップは、それらブランドのために、数々の指標を用いて、それらのキャンペーンの効果の測定も行っているという。

Hollerのコンテンツは、現在、月あたり7500万ユーザーが利用している。1年前は1900万ユーザーだった。収益は226パーセント増加したと彼は話している(どうやら2020年は、同社でも初めての収益の急激な伸びを経験したようだ)。

今回の投資により、同スタートアップの総調達額は5100万ドル(約56億4000万円)に達した。このシリーズBラウンドは、CityRock Venture PartnersとNew General Market Partnersが共同で主導し、 Gaingels、Interplay Ventures、Relevance Ventures、Towerview Ventures、WorldQuant Venturesが参加した。

「Hollerは、単に革新的テクノロジーの企業というだけではありません」とCityRockの経営パートナーOliver Libby(オリバー・リビー)氏は声明の中で述べている。「トラビス・モンタキュー氏の洞察力に優れたリーダーシップの下、Hollerは、ソーシャルメディアにおける倫理の新時代を大胆に象徴し、本質的な多様性、包括性、帰属感を反映しています」。

モンタキュー氏(テック企業の黒人CEOとして、2020年TechCrunchに、業界の多様性を高める方法について寄稿してくれた)は、Hollerは今回の資金を、製品と広告モデルの継続的な開発に使うと話している。ステッカーとGIFアニメの制作もその1つだが、現在は新しいメディア形式を作り出そうと模索している。

「私たちは新しい種類のコンテンツ消費パラダイムを発明したいのです」と彼は話していた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Holler資金調達メッセージGIFステッカー

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(文:Anthony Ha、翻訳:金井哲夫)

気が散らないメッセージングアプリ「Quill」、どこからともなく現れSlackに迫る勢い

Slackが2013年に公開した統合しやすくGIFにも対応したチャットプラットフォームは職場のコミュニケーション風景を瞬く間に一変させた。それから10年と経たずに、最初は大きな成長と利用増、次いで大規模なVCラウンドとバリュエーション既存プラットフォームとの物議を醸した競争、その後の上場Salesforceによる277億ドル(約3兆20億円)の買収で、同社はビッグテックの仲間入りを果たした。こうしたサイクルが一巡した現在、Slackを震撼させているQuillの視界は良好だ。

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米国時間2月23日、どこからともなくQuillという新しいアプリが静かに公開された。ウェブの他、MacOS、Windows、Linux、Android、iOSで利用できる。

QuillはSlackのようなメッセージングアプリで、職場の同僚の間で業務の状況を連絡しあったり、プロジェクトについて話し合ったりできる。そして(またもやSlackと同じように)料金プランにはフリーミアムサービスと、1ユーザーあたり月額15ドル(約1626円)でより多くのメッセージ履歴とストレージを利用できる有料プランがある。企業向けのプランも用意されるようだ。

Slackとは違って(という意味が暗に込められているように思えるが)、Quillは気を散らさずに済む方法でメッセージを伝達する。そのため相手に時間をかけさせず、集中力やエネルギーを奪うこともない。Quillは自らを「集中している人たちのためのメッセージングサービスと謳っている。

Quillには同僚とのチャット、チャンネルの作成、他のアプリとの統合、ビデオや音声による会話など、Slackと同じ機能がたくさんあるが、私の同僚が冗談でいうには「Slackに似ているけど、こっちのほうがカラフル!」だそうである。他にも、文字通り気を散らさないことに焦点を合わせるような機能を備えている。

「毎日何千件ものメッセージをチェックしないと遅れをとってしまうような状況にほとほと嫌気がさしていて、それまでの対面のコミュニケーション方法のさらに上を行いくチャットの手段を構築したのです」。とQuillnoはそのウェブサイトに記載している。「より良く考えられたチャット手段。それがQuillです」。

例えば「構造化チャンネル」では、チャットをウォーターフォール式のスレッドで表示せずに、さまざまな会話を1つのチャンネルの中にスレッドとして表示する。アプリの自動ソート機能は、今参加しているアクティブな会話をそうでない会話よりも上に表示してくれる。通知の制限があるため、集中しなければならないものを差異化することができる。例えば送信者は設定を変更して(!!を使って)、これは重大なメッセージなので相手に応答してもらいたい、と知らせることができる。ビデオチャットではテキストメッセージのまま継続できるサイドバーも自動的に有効になる。

業務外のソーシャルなチャット用に別のチャンネルを作ることもできる。またすでに開始した会話を操作できる機能もある。開始済みの会話をスレッドに再キャストして、すばやくメッセンジャーに返信できる。簡単でわかりやすいやり方で重要事項をチャンネルの一番上にピン止めできるし、会話が開始された後で新しいスレッドを作れるのに加えて、チャンネルやスレッド間でメッセージを移動することも可能だ。

また、SMSや電子メールを使ってQuillのチャットを操作することもでき、Slackのように、他のアプリの通知機能をプロセスに統合する機能も提供されている。

まだ、音声チャンネル用のClubhouse風の機能や、エンド・ツー・エンドの暗号化、コンテキストベースの検索(キーワード検索はすでに利用可能になっている)、ユーザープロファイルといった機能の追加も準備中だ。

「高負荷」を管理する

このアプリは3年近くの間秘密裏に開発されていた。プロジェクトには日の目を見ないものもあるだろうが、このアプリは成り立ちとコンテクストがひと味違っていたのだ。

まず初めに、QuillはStripeの元クリエイティブディレクターであるLudwig Pettersson(ルートヴィヒ・ペッターソン)氏が創設した。同氏が手がけた決済会社の主力製品とプラットフォームが持つシンプルさは高く評価されていた(このシンプルさは後にサービスの代名詞になり、商業的な拡大にひと役買った)。

同氏が関わっていたことで、Quill開発の取り組みは多少なりとも注目を集めたかもしれない。Slackといくつかの巨大な、Microsoft(マイクロソフト)やFacebook(フェイスブック)など資金力のあるライバルたちに完全に占拠されていたかのように見えた状況にあって、Quillはまだほんの構想に過ぎなかった時期に、すでにシードラウンドで200万ドル(約2億1680万円)をSam Altman(サム・アルトマン)氏(当時Y Combinatorの責任者だった)とGeneral Catalystから調達していた。

次いで、同社はIndex VenturesのSarah Cannon(サラ・キャノン)氏が主導したシリーズAで1250万ドル(約13億5480万円)を調達し、合計の調達額は1450万ドル(約15億7150万円)となった。TechCrunchが当時報じたように、同社のシリーズAの時価総額は6250万ドル(約67憶7400万円)に上った。

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これに加えて、Quillの誕生とペッターソン氏とチームのメンバーがアイデアを思いついた背景にはこんな話がある。聞いた話によると、アイデアのそもそもの発端はメッセージングアプリが持つ、特にSlackのような職場のコミュニケーションツールが与えてくれるコミュニケーションのマジックをかたちにすること、ただしよくありがちな気が散るようなやり方やフラストレーションの溜まるやり方はしない、ということだった。

2018年の時点ですでにSlackはビッグな製品であり、時価総額は70億ドル(約7623億円)を超え、数百万人ものユーザーがいた。しかしながら、生産性とは真逆であると評する人も徐々に増えつつあった。「起きているすべてのことをSlackで追跡するのは大変な作業で、注意が散漫になってしまいます。ネットワーク効果があるためSlackはパワフルになったけれども、そもそも高負荷システムとしてデザインされたわけではありませんでした」。Quillの噂を初めて聞いた2018年に、何か知っているかアルトマン氏に尋ねたとき、同氏はそのように答えた。同氏は当時、Y CombinatorとOpenAIの両方で責任者を務めていた。

Stripe、後にOpenAI(Stripe退職後の1年間を過ごした)でのペッターソン氏の仕事ぶりに「衝撃」を受けたとアルトマン氏はいう。ペッターソン氏が「Slackのより優れたバージョン」を作ろうと提案すれば、もうそれは「信頼できるアイデア」なのであって、たとえ製品の影もかたちもなくても十分に支援するに足るものだったからだ。

気を散らさないことに力を入れているアプリが今日、ファンファーレを奏でることなく粛々と公開されるのは何とも似つかわしい。これで十分用が足りるのだから、もう宣伝に注意を奪われることはないでしょう?とでもいうようだ。

いずれにせよ、これから同社がどのように勢いを増していくのかに注目したい。すでにTechCrunchは今回の投資に関するサラ・キャノン氏へのインタビューをIndexに打診し、回答を待っているところだ。ペッターソン氏へのインタビューも試みているが、2018年の8月にアプリの噂を聞きつけて以来ずっと同氏への取材を試みてきたことから、(今回の話も)期待薄であるとお知らせしなければならない。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Quillメッセージングアプリ

画像クレジット:Quill

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

iMessageなど15種のメッセージをまとめて送受信できるPebble創業者が開発したアプリ「Beeper」

数十年前、Trillian(トリリアン)と呼ばれるソフトウェアプログラムは、インターネットユーザーがICQ、AIM、MSN Messenger(MSN メッセンジャー)など複数のIM(インスタントメッセンジャー)ネットワークと1つのウィンドウでやり取りする方法を取り入れた。

現在、Pebble(ペブル)の創設者で Y Combinator(Yコンビネータ)のパートナーであるEric Migicovsky(エリック・ミンコフスキー)氏は、このコンセプトを再検討しているが、今回は現代のチャットアプリケーションへのアクセスを集中化することに焦点を当てている。

新しく立ち上げられたアプリ「Beeper(ビーパー)」を通じて、ユーザーはWhatsApp(ワッツアップ)、Telegram(テレグラム)、Signal(シグナル)、Instagram(インスタグラム)、Twitter(ツイッター)のDM、Messenger(メッセンジャー)、Skype(スカイプ)、Hangouts(ハングアウト)などを含む15種類のメッセージングサービスに接続することができ、さらにはちょっとした裏ワザを使えばiMessage(アイメッセージ)にも接続することができる。

ミンコフスキー氏は、スマートウォッチの先駆的企業だったPebbleが、Fitbit(フィットビット)に買収される前、同社で働いていた時にユニバーサルチャットアプリのアイデアを最初に思いついたという。

「本当はPebbleでiMessageを送信できるようにしたかったのですが、iMessageのAPIがないため、その方法を見つけることができませんでした」と、ミンコフスキー氏は説明する。しかし、同氏は2年前にMatrix(マトリクス)というプロトコルを知り、Beeperのアイデアが頭に浮かんだという。「BeeperのすべてはMatrixの上に構築されています。Matrixはオープンソースの暗号化されたメッセージングプロトコルです」と、同氏はいう。

ミンコフスキー氏はMatrixのことを、ほとんど「ハッカーのもの」と表現しているが、開発者の間では、Matrixの人気が出始めていると、同氏は考えている。Matrixは基本的に、開発者が「bridge(ブリッジ)」を使用して他のチャットネットワークに接続することができるAPIを提供している。このブリッジと呼ばれるソフトウェアを介して、1つのメッセージングサービスから別のサービスへ、メッセージを送受信できる。

「私はそれを知ったとき、『Matrixを使ってTrillionを作ることができるんじゃないか』と思いました」と 、ミンコフスキー氏は語っている。

画像クレジット:Beeper

ミンコフスキー氏は、Matrixのチャットルームで知り合ったMatrixのコントリビューターであるTulir Asokan(チューリル・アソカン)氏と、サイドプロジェクトとしてBeeperに取り組み始めた。

Beeper(以前はNovaと呼ばれていた)をすべての異なるチャットアプリで動作させるために、彼らは各アプリをつなぐ「ブリッジ」を構築しなければならなかった。このコードはオープンソースで、Gitlab.com/Novaでも公開されている。

「どんなコードを実行しているかを知ることは、人々にとって非常に重要だと我々は考えています。だから、すべてオープンソースなのです。人々はそれを調べることができます」と、ミンコフスキー氏は述べている。「そのおかげで、人々はサービスへのアクセス料として月額10ドル(約1040円)をBeeperに支払う必要もなくなります。自分たちが何をするのかわかっていれば、自分たちのサーバーでブリッジを動かすことも可能です」。

Beeperでは、すべてのメッセージングプラットフォームごとにそれぞれ独自の設定が必要だが、iMessageを動作させるのが最も複雑だった。その解決策は次のように、控えめにいっても少々ややこしい。

それは実際、Beeperがユーザーに古い脱獄済みのiPhone 4S(iPhone 4Sは安いので)を送付し、それをブリッジとして機能させるというものだ。iPhoneにインストールされたコードは、iMessageが保存されているデータベースファイルを読み書きする。iPhoneはメッセージを自分の秘密鍵で暗号化し、Beeperのネットワークを介して送信するため、Beeper(会社)は、ユーザーが送信したメッセージを読み取ることはできない、とミンコフスキー氏はいう。

このプロセスによりAndroid、Windows、LinuxのユーザーもiMessageを使うことができるようになる。しかし、BeeperがiMessageを利用できるようにした方法はこれだけではない。常時接続のデバイスを持っているMacユーザーは、iPhone 4Sを使う代わりに、Beeper Macアプリをインストールしてブリッジとして機能させることもできる。

ミンコフスキー氏は、Apple(アップル)による強制シャットダウンや訴訟を恐れていないという。

「彼らに何ができるでしょうか?」と、ミンコフスキー氏は修辞疑問文で尋ねた。

Appleが何らかの方法で、Beeperがユーザーに脱獄済みのiPhoneを提供することを阻止したとしても、同社は顧客をコミュニティサイトのCraigslist(クレイグスリスト)にリダイレクトし、そこで同社から古いiPhoneを手に入れるようにすることができる。一方、ソフトウェア自体はオープンソースであり、ユーザーの自宅のiPhone上で実行されている。だから、実際にBeeperがiMessage自体に「ハッキング」しているわけではない。

「メッセージングの自由という現在の状況を考えると、Appleが自分たちのユーザーとケンカを始めるのは正気の沙汰ではないと思います」と、ミンコフスキー氏は付け加えた。さらに同氏は、欧州委員会がGDPR(EU一般データ保護規則)と同じように、すべての企業が他のプラットフォーム向けにメッセージングをオープンにすることを義務づける法案に取り組んでいることに注目する。

「この法案が通れば、法的にBeeperが行うようなことをする人をブロックできなくなります」と、ミンコフスキー氏は指摘した。

画像クレジット:Beeper

Beeperはもちろん、iMessageのロックダウンを突破しようとすることに注力した最初のスタートアップでもなければ、唯一のスタートアップでもない。たとえばAirMessageweMessageのように、過去には他のアプリがこれを試みてきた。しかし、これらのアプリは限られた適用に留まっている。また、チャットアプリケーションを一元化しようとしているのも、Beeperだけではない。Texts.comも同様のシステムを開発している。

そうはいっても、Beeperの登録者数は、ミンコフスキー氏が予想していたよりも多かったと同氏はいう(具体的な数字は明らかにしなかったが)。その結果、ユーザーの登録に時間がかかっているという(そのため、我々は実際にBeeperを使用できておらず、その使い勝手や要望などは語ることができない)。

競合他社と比べて、Beeperが優位に立つ可能性があるのは、何が優れたユーザーエクスペリエンスになるのかを理解していることだろう。Pebbleは最終的に、200万本以上のスマートウオッチを販売した

Beeperは現在、検索、スヌーズ、アーカイブ、リマインダーなどの機能を備えており、MacOS、Windows、Linux、iOS、Androidで動作する。

長期的には、他のチャットアプリのようにテキストやメディア、ステッカー、絵文字を共有するだけでなく、それ以上のことができるプラットフォームを、ミンコフスキー氏は構想している。チームは、人々がBeeperの上に、より多くのツールやアプリを構築できるプラットフォームを作ろうとしている。それはGmailのプラグインのようなシステムだ。たとえばユーザーがチャット内からカレンダーにイベントをスケジュールできるツールや、あるいはClearbit(クリアビット)のように、特定のユーザーとの最近のメッセージを複数のプラットフォームにまたがって表示できるツールも可能かもしれない。

ミンコフスキー氏は、Beeperの開発資金の詳細についても言及しなかったが、Beeperは彼にとって次のステップ、つまり新しい会社としてそこで働く可能性があるのではないかと尋ねると、「そうなるかもしれません」と答えた。

「今のところ、私はYC(Yコンビネータ)での時間を楽しんでいます。すばらしい仕事です。YCで一緒に働いているすべての企業から刺激を受けています。ベンチャーキャピタルの仕事の一部は、クールなものを作り上げてそれを起ち上げたすべての起業家たちと話をすることです。私は少し嫉妬しています」と、同氏は認めた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:メッセージチャットツールオープンソースBeeperPebble

画像クレジット:Beeper

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(翻訳:TechCrunch Japan)

WhatsApp対抗のインドHikeがメッセージングアプリからの撤退を発表

WhatsApp(ワッツアップ)に対抗するインドのスタートアップ企業は、メッセージングから完全に移行することになった。

Tencent(テンセント)、Tiger Global(タイガーグローバル)、SoftBank(ソフトバンク)から投資を受け、2016年に14億ドル(約1450億円)と評価されたHike Messenger(ハイク・メッセンジャー)は2021年1月初め、メッセージングアプリのStickerChat(スティッカーチャット)を閉鎖すると発表した(StickerChatのユーザーには、先週末にこれを報せる通知が届いた)。

Kavin Bharti Mittal(カヴィン・バーティ・ミタル)氏が設立したこのスタートアップは今月、Vibe(ヴァィブ)とRush(ラッシュ)と呼ばれる2つの仮想ソーシャルアプリに軸足を移すと、インドの通信大手Airtel(エアテル)の会長Sunil Bharti Mittal(スニル・バーティ・ミタル)の息子である同氏は語った。

カヴィン氏は2021年1月初めに投稿した一連のツイートで、インドが欧米企業の事業展開を禁止しない限り、世界第2位の市場に浸透する国産メッセンジャーをインドが所有することはないだろうと語った。「グローバルネットワークの影響が強すぎる」と同氏はいう。WhatsAppはインドで4億5000万人以上のユーザーを獲得し、同国をユーザー数で最大の市場としている。

ミタル氏は、仮想世界を構築する機会について「安価で高速なデータとパワフルなスマートフォンに制約されない今日の世界ではるかに良いアプローチ」と表現した。

Hikeのメッセンジャーサービスの終了は、Signal(シグナル)とTelegram(テレグラム)がこの数週間で数千万人のユーザーを増やした時期と重なる。WhatsAppがデータ共有ポリシーの更新を計画していることから、多くのWhatsAppファンが2020年1月中に代替サービスを検討することになったのだ。「(TelegramとSignalの)どちらも非常に優れています。両者とも独立したサービスとして、Facebook(フェイスブック)の製品と違い、(より消費者に合わせようという)正しい意欲を持っています」と、今月初めにミタル氏はツイートした

近年、Hikeはインドの若い人たちに応えるために、ステッカーや絵文字に賭けてきた。2019年後半に行われたTechCrunchとの会合で、ミタル氏はこのスタートアップ企業が、プラットフォーム上でステッカーの導入に注力しており、パーソナライズされたステッカーの開発を自動化することに取り組んでいると語っていた。

2020年に設けられた別の会合でミタル氏は、人間の感情を表現した絵文字やHikeLandと呼ばれる仮想の溜まり場を披露した。VibeはHikeLandのリブランド版であり、ミタル氏が述べたように、Hikeが開発した絵文字は2020年1月初めに新しいアプリの両方でユーザーが引き続き利用できるようになるという。

これまでに2億6000万ドル(約270億円)以上を調達してきたHikeは2020年、十分な滑走路を持つことができたとミタル氏は語り、このスタートアップが1年後にはより多くの資金を調達する可能性があることをほのめかした。

Hikeはまた、Creo(クレオ)というスタートアップを買収して独自OSを構築しようと企てたこともある。2018年にHikeは、インターネットデータ通信が遅い低価格のAndroidスマートフォンを持つユーザーに対応することを目的としたTotal OSを発表した。

しかし、同社は後にこのプロジェクトを終了した。低価格を売りにする新たな通信事業者のReliance Jio(リライアンス・ジオ)が登場し、AirtelとVodafone(ボーダフォン)にネットワークのモバイルデータ料金を引き下げるように促したことから、インドのデータ問題は解決し、Total OSは市場で必要とされなくなったと、ミタル氏はTechCrunchに語っている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Hike Messengerメッセージングアプリインド

画像クレジット:Anindito Mukherjee / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

プライバシーポリシーへの懸念で欧米で人気のSignalとTelegramは中国国内でも(いまのところ)拡大中

WhatsApp(ワッツアップ)のプライバシーポリシーに対する懸念から、欧米では何百万人ものユーザーがSignal(シグナル)やTelegram(テレグラム)に移行しているが、WeChat(ウィーチャット、微信)が長い間支配し、政府がオンラインコミュニケーションに強い影響力を持っている中国でも、暗号化された2つのアプリのユーザー数がわずかに増加している。

WhatsAppが、親会社であるFacebook(フェイスブック)とデータを共有することを、ポップアップ通知によってユーザーに知らせたことを受けて、ユーザーは別の暗号化されたプラットフォームへと脱出を始めた。Telegramはその公式Telegramチャンネル上で、米国時間1月10日から13日の間だけでユーザーが2500万人増加したと発表した。一方でSignalは数十カ国でApp StoreとGoogle Play Storeのトップに急上昇したことを、TechCrunchは早々に取り上げていた

この移行が加速したのは、米国時間1月7日にElon Musk(イーロン・マスク)氏が、その4000万人のTwitter(ツイッター)のフォロワーに対して、エンド・ツー・エンドの暗号化メッセンジャーへの関心をさらに煽るようなツイートでSignalをインストールするよう促したことがきっかけだ。

中国におけるTelegramとSignalの成長は、WhatsApp が主流のチャットアプリである地域における人気の急上昇ほどは顕著ではないものの、この成長は、WeChatの代替となるものがまだ中国に様々なかたちで存在していることを思い出させてくれる。

調査会社Sensor Tower(センサー・タワー)のデータによれば、Signalは中国時間1月8日から12日までの間に中国のApp Storeから9000件の新規ダウンロードが行われた。これは1月3日から7日までの期間と比較して500%の増加だった。一方、Telegramは中国時間1月8日から12日の間に1万7000回ダウンロードされ、1月3日から7日の期間と比べて6%増加した。WhatsAppの成長は停滞し、両期間で1万ダウンロードを記録した。

センサータワーの推計によると、Telegramの中国のApp Storeにおける総インストール数は約270万回で、一方Signalのダウンロード数は45万8000回、WhatsAppのダウンロード数は950万回となっている。

中国でTelegram、Signal、WhatsAppにアクセスできるという事実を知って、驚く人もいるかもしれない。しかし、中国の検閲判断は、恣意的で一貫性がないこともあり得る。検閲モニターサイトのApple Censorship(アップル・センサーシップ)が示しているように、中国のApp Storeでは、主要な欧米のメッセンジャーは現在でもすべてが利用可能だ。

Android(アンドロイド)の場合はもっと複雑な状況になっている。中国ではGoogleのサービスの大部分がブロックされており、AndroidユーザーはTencent(テンセント、腾讯)やBaidu(バイドゥ、百度)などの現地企業が運営するAndroidアプリストアに戻っている。TelegramもSignalも、こうしたサードパーティーによるAndroidストアには置かれていないが、仮想プライベートネットワーク(VPN)などを使って、中国のグレート・ファイアウォール(GFW)迂回できるユーザーは、Google Playにアクセスして暗号化されたメッセンジャーをインストールすることができる。

次の課題は、これらのアプリを実際に使うことだ。主要なチャットアプリはすべて、北京の検閲組織からわずかに異なる扱いを受けている。Signal のように、VPN を必要とせずに完全に動作するものもある。ユーザーからの報告によれば、WhatsAppは中国ではVPNを使わずに動作することもあるものの、読み込みが非常に遅いとのことだ。そして、FacebookはVPNがないとまったく機能しない。

「一部のウェブサイトやアプリは、当局がウェブサイトやアプリをブロックしたり、破壊しようと考える一定数の閾値にユーザーが達するまで、手つかずのまま放置される可能性があります」と語るのは、中国のインターネットをモニターする組織でありApple Consorshipも運営する、Great Fireの責任者であるCharlie Smith(チャーリー・スミス)氏(仮名)だ。

「おそらく今回のWhatsAppからの大量移行の前には、Signalは中国ではそれほど多くのユーザーを持っていませんでした。それによって当局がSignalの制限を考慮した可能性がある場合には、先週の間に状況が変わった可能性があります」とスミス氏は付け加えた。

2017年に制定されたサイバーセキュリティ法に従うなら、中国で合法的に運営するためには、企業は中国国内でデータを保管し、セキュリティのスポットチェックのために当局に情報を提出しなければならない。たとえばAppleは、現地のクラウドプロバイダーと提携し、中国のユーザーのデータを保管している。

この要件は、SignalやTelegramなどの海外アプリが中国当局とどのようなやりとりをしているのかに関する疑問を投げかけている。Signalは、旧英国の植民地に対する北京の統制強化に対する懸念が高まった際には、香港警察にデータを引き渡したことはなく、引き渡すデータもなかったと語っている

スミス氏によれば、中国におけるSignalのようなアプリに対する最大の圧力は、Appleからやってくるという。Appleは中国当局への情報提供に対して、常に投資家や活動家から常に攻撃されている。

近年、米国の巨大企業Appleは、中国でのアプリの取り締まりを強化し、VPNプロバイダーRSSフィードリーダーポッドキャストアプリなどの、中国のユーザーがフィルタリングされていない情報へのアクセスを許可するサービスに狙いを定めている。また、Appleはここ数四半期には、何年も放置してきた多数の未認可ゲームを追放してきた。

「Appleは、当局が検閲したいと考えるアプリを先回りして検閲してきた歴史を持っている」とスミス氏は観察している。「Apple独自の判断にせよ、または当局からの要請に直接対応したものにせよ、もしAppleが中国でSignalを削除することを決定した場合には、中国のAppleユーザーは安全なメッセージングの選択肢を失うことになります」。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:メッセージ暗号化SignalTelegramWhatsApp中国

画像クレジット:Yves Dean/Getty Images

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(翻訳:sako)

リアルタイムでテキストが表示されるが履歴は残らないZ世代向けメッセージングアプリ「Honk」

新しいモバイルアプリHonk(ホンク)は、友だちとのメッセージのやり取りをもっと対話的でリアルタイムな体験にすることを目指している。テキストを虚空に向かって放り投げて反応が来ることを期待するのではなく、Honkのメッセージは入力するそばからライブで表示され、チャット履歴は残らず保存ボタンもない。相手とその場で会話している感覚だ。そしてもし、今すぐ相手の注目を引きたい時は、「Honk」を送ることができる。チャットへの参加を促す見落としようのない通知だ。

もっと緊急の場合は、スパムのようにHonkボタンを繰り返し押すこともできる。そうすると友だちがアプリを開いていなければ通知が送られ、開いていればカラフルな絵文字の洪水が送られる。

アカウントを作り、プロフィール写真やユーザー名の設定、友だちの追加を行なったら、リストから友だちの名前を選んでメッセージを送ることができる。

Honkのチャット画面に入ると、大きな吹き出しが2つ出る。上にあるグレーの吹き出しには友だちのメッセージが表示され、ブルーの吹き出しには自分がテキストをタイプする(色とテーマは変更可能)。

入力ボックスにタイプし始めると、相手にはリアルタイムでテキストが表示される。ひと息ついたり打ち間違えを修正するところなど、普通なら見られることのないものも送られる。この「ライブタイピング」体験は、過去の通信テクノロジーを彷彿させる。初期のインスタントメッセージングアプリICQや、革新的コラボレーションツールだった Google Waveなどだ。

Honkでは、自分の想いを伝えるために160文字が与えられ、画面右の吹き出しの下には文字数がカウントダウンされいくところが見える。しかし、メッセージを送るための「Send(送信)」ボタンはない。相手は、テキストをタイプされたところをすでに見ているからだ。代わりに二重矢印の「refresh(リフレッシュ)」ボタンを押し画面をクリアして次のメッセージを書く。

絵文字を入力したり、写真を撮ったり、カメラロールの写真を送るためのボタンもある。Honkの絵文字は、単独で送られるのではなく、iMessageの「Send with Echo(エコーで送信)」エフェクトのように、大きな絵文字が一時的に相手の画面いっぱいに表示される。

個々チャットの中で絵文字を好きな単語やフレーズに割り当てる「Magic Words」機能を使えば、タイプしている途中でエフェクトを起こすことができる。会話ごとにチャットテーマをカスタマイズしたり、あまりたくさん受け取りたくない相手からの通知をオフにすることもできる。

会話は一切保存されず、履歴を見返すこともできない。これは、SnapchatやMessengerのVanish Mode(日本では未提供)などに似ている(Honkはセキュリティに関する立場を明らかにしていないので、リスクの高いコンテンツを送るときは気をつけたほうがいい)。

そしてもちろん、誰かの注意を引きたいときは、「Honk」ボタンをタップして相手の画面を通知で溢れさせることができる。

ここまで読んで、なんだかバカバカしいと思った人は、おそらくHonkメッセージ体験のターゲット層ではない。

このアプリは明らかにティーンエージャー主体の若者を狙っている。その証拠に、Honkの初期設定で年齢を聞かれる時、リストから正確な年齢を選ぶようになっているが、年齢選択肢の最後にあるのは 「21+」で、これが「年長者」に用意された枠だ。自分たちをネットのトレンドセッターだと思っているミレニアル世代はちょっと傷つくかもしれない。

とはいえ、Honkの狙いは「Z世代」(1990年代後半以降のネット世代)を取り込むことのようだ。実際、TikTokでも彼らに向けてマーケティングを行なっていて、すでに1万4000以上の「いいね」がついている。最初の動画をアップロードされたのは米国時間12月22日のことだ。HonkのファウンダーであるBenji Taylor(ベンジ・テイラー)氏はTwitter(Twitter)で、東海岸の2020年12月23日午後時点で、55万回の「Honk」が送られたことも発表した。

ウェブサイトによると、Honkはソフトウェア会社でアプリケーションパブリッシャーのLos Feliz Engineering (LFEの旗艦製品であり、同社はNaval Ravikant、Elad Gil、Brian Norgard、David Tisch、Jeff Fagnan、Ryan Hoover、Sarah Downey、Josh Hannah、Sahil Lavingiaらから出資を受けている。

「このアプリのデザインは並外れて素晴らしい」とProduct Huntのファウンダーで、Weekend Fundの出資者であるRyan Hoover(ライアン・フーバー)氏がHonkについて語った。「テイラー氏のチームは、アニメーションからサウンドまで細かい部分までよく目を配っている。スピードにも特別に力を注いでいる」と付け加えた。

テイラー氏はTechCrunchのインタビュー依頼を断り、現在チームは製品開発に全力を注いでいるとだけ語った。

「私たちは時間をかけてHonkの開発を続けてきました。メッセージングを楽しくし、人々が関係を深められる新しいクリエイティブなコミュニケーション方法を提供することを目指しています」とテイラー氏はTechCrunchに話した。「もともと私たちは自分たちや友だちのために、小さなチームでこれを作ってきました。もし、気に入ってくれる人たちがいるなら、こんなにうれしいことはありません」と彼はいった。

なお、Honkは開業直後の新規登録と多くの利用による負荷で苦闘している。Honkユーザーは、アプリがときどきオフラインだというが実際にはそうでないなどのバグを報告している。Honkは問題を認識しており、現在解決に取り組んでいるとTwitterで言った。

HonkアプリはiOS向けに無料公開されている。アプリ内購入はなく、その他の明確なビジネスモデルも今のところ見られない。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:HonkZ世代メッセージングアプリ

画像クレジット:Honk(TechCrunchで編集済み)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook