介助が必要な高齢者の送迎サービス、オンワードが1億6000万円を調達

UberとLyftは、家を出るのに介助を必要としたり、病院の待合室から家に帰るのに付き添いを必要とする人を輸送するためのサービスではない。たとえば、Uberは患者が医療機関に行くのを手伝うUber Healthを立ち上げたが、ドライバーは患者のアシスタントを念頭に置いているわけではない。そこに目をつけて参入したのがOnward(オンワード)だ。

Royal Street VenturesMatchstick Ventures、JPK Capitalから150万ドル(約1億6000万円)をシード調達したOnwardは、数カ月前にサンフランシスコのベイエリアで高齢者が安全に目的地に移動するのを手伝うために設立された。UberやLyftと異なり、Onwardはドアツードアの往復の移動を提供し、孤立しがちな高齢者に自由を提供することを目的としている、とOnwardの共同創業者マイク・ルイス(Mike Lewis)氏はTechCrunchに対し語った。

Onwardのアイデアは、アルツハイマー病を患った義理の母親に関するルイス氏の個人的な経験からきている。この経験で、ルイス氏と共同創業者のナダル・アクノク(Nader Akhnoukh)氏は、年をとるということ、そして運転のようなこれまでやれていたことをできなくなったときに高齢者がいかに孤独を感じるか、考えざるを得なかった。

「やれていたことをできなくなる瞬間は、悲しく、恐ろしい」とルイス氏は語る。

Onwardは3タイプの顧客を抱える。運転ができなくなった高齢者、手術や眼科検査など医療的な理由で運転ができない人、そして家族や親しい人のために移動手段を提供できない介護者だ。

UberやLyftと同様、Onwardのドライバーも契約労働者だ。しかし大きな違いは、Onwardのドライバーは少なくとも1時間あたり20ドルという時間給で報酬が支払われる。現在のところ、ドライバーは25人超いる。皆、心肺蘇生や痴呆対処の訓練を受け、身元確認と車両の検査も受けている。

Onwardはまた、ドライバーが車椅子のたたみ方を知っていることを約束している。しかし一部のドライバーは電動車椅子の人のみ輸送できる。Onwardは、来年の今頃までにドライバーが数百人規模になっていることを期待している。ルイス氏はまた、会社が大きくなるのに伴い、電動車椅子の利用者を輸送できる車両の台数も増やしたい、と語っている。

利用者は1時間あたり35ドルの使用料を払う。輸送の最低利用は1時間で、これはたとえば診察が終わるのをドライバーに待っていてもらう必要がある人向けの設定だ。最初の1時間をすぎると、あとは分単位で課金される。

時間制の料金には往復の送迎、それから目的地でのドライバーの待機、乗り降りする場所でのドアツードアの介助、お気に入りのドライバーの指名が含まれる。

Onwardは3月にサンフランシスコのベイエリアで最初の乗車を提供した。年内はサンフランシスコでの展開と、もう1カ所でのサービス立ち上げに専念する計画だ。これまでにOnwardの利用は500回を数えている。

イメージクレジット: Onward

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(翻訳:Mizoguchi)

SpaceX運営の学生向けコンペティションは「10kgのカーブしたトンネルで行われる」とイーロン・マスク氏

イーロン・マスク氏は、彼の会社SpaceXが過去4年間にわたって運営してきた、Hyperloop学生エンジニアリングコンペティションの内容を変えることを計画している。来年のコンペティションは10kmの長さのトンネルで行われることになるとTwitterで発信した。それによれば、現在SpaceXのホーソンHQにある、4分の3マイル(約1.2km)の直線のテストトンネルではなく、カーブしたトンネルを使うことになる。

今年のHyperloopポッドコンペティション決勝戦の会場で、現地時間7月21日の早い時間に、Boring Company(ボーリングカンパニー)のスティーブ・デービス(Steve Davis)社長が、現在のトンネルは「200m」延長されるだろうと語っていたことを考えると、これは大きな変化だ。ただし、SpaceXがどこでどのようにこれを開催するつもりなのかははっきりしていない。

デービス社長とマスク氏は7月21日の決勝のステージ上で、現在のトンネルの延長について議論したが、それはどちらかと言えば、来年行うちょっとした延長についてのように聞こえた。マスク氏はこの先3年のうちに、Boring Companyの手によって、学生チャレンジに使うことができるような、より長いトンネルを掘削できるという考えを進めているようだった。

「これから1年で、十分長くて直線の地下トンネルを掘削できるとは思いませんが、3年かければ必ず達成できると思っています」とマスク氏はコンペティションの合間のQ&Aタイムで答えた。「それで、これから3年を思い描いてみましょう、少なくとも数マイルは完成している筈です。そうなれば、実際に事を進めることができます」。

マスク氏はまた、Boring Companyのメインミッションである、トンネル掘削に関する新しいエンジニアリングコンペティションを始める可能性を語って、聴衆を盛り上げた。

「おそらくトンネル掘削コンペティションを開催するするとができるでしょう、それが良いかもしれませんね」とマスク氏は語った。「トンネル掘削コンペティションを検討します」と彼は数秒考えた後に締めくくった。

その後、会場にいた学生チームのメンバーのひとりから出されたフォローアップ質問に答えるかたちでマスク氏はこう語った「トンネル掘削は極めて面白いテーマだと思いますよ。先ほどお話ししたように、主な課題は、どのように効果的にトンネルを掘削するのか、特にどのように補強セグメントを入れて土を効果的に除去するかです。それは予想以上に困難です」。

現在の掘削技術は、氷河の進むようなペースでしか管理できない。マスク氏はもし私たちが歩く速度の10分の1とか、3時間で1マイル(約1.6km)の速度で掘削できるようになったなら、地下輸送の3Dネットワーク構築の可能性に大きな変化がもたらされるだろうと語った。

7月21日の夜に行われた彼のツイートによれば、マスク氏はテストトンネルの長さを大幅に延伸する方法を思いついたらしい。だがそれに先立って出された、私たちがいつ十分な長さの地下トンネルを掘ることができるのかについてのコメントを考慮すると、その延伸方法は地下トンネルを使ったものではまだなさそうだ。

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(翻訳:sako)

Lyftのドックレス電動自転車シェアリングが紆余曲折を経てサンフランシスコにやってきた

テック企業が自治体を告訴するとき、テック企業の流行り廃りが早いことを考慮しても、解決をみるのは稀だ。たとえ一時的なものでもだ。Lyftは6月初めに、サンフランシスコ市がLyftに与えるはずだった自転車シェアリングプログラム展開の独占的な権利の10年契約を反故にしたとして市を訴えた。

そして今、サンフランシスコ市はLyftにドックレスの電動自転車を展開する暫定的な許可を与え、他のオペレーターへの許可は控えている。Lyftは公式には7月19日に展開を開始した。

「新しい電動自転車をサンフランシスコの利用者と共有できることに興奮している」とLyftのマイクロモビリティポリシーの責任者であるCaroline Samponaro(キャロライン・サムポナーロ)氏は声明文で語った。「我々は今日から自転車の提供を開始する。SFMTAの許可を辛抱強く待っていたライダーに感謝したい」。

訴訟では、Lyftは仮の差し止めや、市がドックレス自転車シェアリングレンタルの操業許可を発行するのを阻止する保全処分を模索した。裁判所がLyftの保全処分の求めを却下した一方で、一時的にサンフランシスコ市交通局がドックレスの許可をLyft以外の事業者に発行するのを差し止めることを認めた。ただし、Lyftに最初に申し込みをするチャンスを与えてはいない。

サンフランシスコ市交通局によると、「Right of First Offer(第三者に優先して申し込みができる権利)」と呼ばれる全体的なプロセスは数カ月を要する。だからこそLyftに、かつてFord GoBikeとして知られていたステーションベースのサービスを通じて提供されていた従来の自転車に加えてドックレスでハイブリッドの電動バイク最大1900台を展開する暫定的な許可を出すことに決めた。

「これらの新しい自転車は、Lyftが4月に電動バイクを除去してからBay Wheelsが直面している利用可能な自転車がないという深刻な問題を解決することにつながる」とサンフランシスコ市交通局はブログ投稿に書いている。「必然的に暫定許可は将来の拡大の可能性に向けてLyftと交渉する中で従来のシステムを機能的にすることになる」。

訴訟は、サンフランシスコ市がステーションなしの自転車を展開する許可を模索する事業者の申し込みをさらに受けるかもしれない、と発表したことに端を発している。しかしながらサンフランシスコ市は、契約はドックレスの自転車シェアに適用されるのではなく、ステーション型の自転車シェアのみに適用されると言っている。結局、裁判官は「合意はドック型・ステーション型とステーションなし・ドックレス自転車の相違点を明らかにしていない。それゆえに原告であるLyftは契約期間中は、ステーション型だろうがステーションレスだろうが『従来の』自転車を無条件に展開できる」としてLyftの側に立った。

裁判はまだ続行中である一方で、サンフランシスコ市交通局はより確かなサービスを確保しようと、最大500台のステーションレス自転車を展開するJUMPの許可を延長した。

TechCrunchはUber/JUMPにコメントを求めていて、反応があり次第アップデートする。

イメージクレジット: TC/MRD

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(翻訳:Mizoguchi)

BMWは中国市場にさらに食い込む、自動運転でBaiduに続きテンセントと提携

中国はBMWにとって最大のマーケットだ。そしてこのドイツの自動車メーカーは、中国の要求の多い消費者を引きつけためには、将来のモデルはしっかりと自動運転能力をサポートするものでなけれればならないことを知っている。

しかし中国でそうしたものをつくるのはほとんど不可能だ。自動運転を実現するには部分的に高解像度のマッピングに頼っていて、これは広範の地理情報を必要とする。法律で外国企業は中国のパートナー企業なしに中国のデータを扱うことはできないことになっている。Apple(アップル)はユーザーの電子メールやテキストメッセージ、その他の形での中国におけるデジタルのデータを保存するために中国企業と協業している。

これが刺激となって、BMWのテンセントとの新たな提携に結びついたようだ。WeChatでよく知られ、クラウドコンピューティング事業を拡大しつつある中国のテック大企業であるTencent(テンセント)は米国時間7月19日、BMWのためにデータコンピューティングとストレージプラットフォームを準備していると語った。ロイターは、両社が今年末までに北京近くの海に面している都市・天津市にコンピューティングセンターを立ち上げる計画だと報じた。

この2社の提携に先立ち、BMWは世界最大の乗用車マーケットである中国でデータを拡大させている。GoogleマップのライバルでBMWが出資するHereは、2月に中国のナビゲーションサービスNavinfoと提携した。この提携ではHereが現地でデータを収集するのをNavinfoがサポートする。 NavinfoとTencentの両社が3年前にHereのわずかな株式を購入していたのはおそらく偶然ではないだろう。

BMWは中国の道路のデータに詳しくなりつつあり、このデータを新たに設立した配車サービスベンチャーに応用しない手はない。

TencentにとってBMWとの提携は大きな幸運となるかもしれない。というのもTencentの主力のゲーム事業は当局の圧力を受けてこのところ困難を抱えていたからだ。「輸送業界でTencentはデジタルトランスフォーメーションにおいて自動車会社をサポートするのに注力する」とTencentのクラウドスマート産業部門のトップであるDowson Tong(ダウスン・トン)氏は発表文で述べた。

もう一つの提携

BMWはこれまでにも車両を自動化するために他の中国テック企業との提携を模索している。同社は、中国最大の検索エンジンを展開しているBaidu2014年から自動運転について協業してきた。

昨年10月、BMWがBaiduの自動運転オープンプラットフォームであるApolloに加わり、両社は提携を強化した。この提携は、中国の李克強首相がドイツを訪問してアンジェラ・メルケル首相に面会したときに発表され、大きな外交的意味合いを持つことになった。その際、Baiduの会長Zhang Yaqin(チャン・ヤーキン)氏は「この提携は中国マーケットと結びつく自動運転テクノロジーの開発を加速させるものだ」と語った。

一方、BMWのTencentとの関係は、TencentのKeen Security Labも関わっての自動運転の安全性やテストのための共同研究など、Baiduとは別の意味を持つ。

BaiduとTencentは主力事業では基本的に競合しない。しかし両社とも、車内エンターテイメントや自動運転といったモビリティの将来に向けた取り組みを進めている。中国ではライバル同士のテック企業が同じパートナーを持つことは珍しいことではない。BMWの広報はTechCrunchに対し、「コラボレーションで重なっているところはない。それぞれの分野で最高の企業と協力している」と語った。

実際、Tencentとの提携は一見、より包括的なもののようだ。広報によると、Tencentは「BMWの自動運転研究と開発の全プロセスをサポートするITアーキテクト、ツール、そしてプラットフォームを提供する」。そしてBaiduとの提携について、広報は他に10社のパートナーが関わっている自動運転安全の白書に取り組んでいるとの例を示した。

これは、Baiduとの提携は緩やかなものであることの間接的な表現かもしれない。自ら自動運転のAndroidと広告しているApolloに参加しているのはBMWだけでなく、世界中の100社超の自動車関連会社が名を連ねている。

大きなネットワークが相互にやり取りし、それは今後につながっていくかもしれない。しかし深く掘り下げた“コラボレーション”を妨げるものにもなるかもしれない。中国の自動運転ユニコーンであるMomentaの創業者のCao Xudong(カオ・シェートン)氏は以前TechCrunchに対し、自動車部門のコラボレーションは「深みのある、資源集約型のコラボレーションを必要とし、提携する企業が少ないほうが意義は大きいと考えられている」と語った。

同様に運転の将来に関して独自の計画を展開したいテック大企業Alibabaはどうだろうか。eコマースとクラウドコンピューティングを展開している同社は国営車メーカーSAICとすでに親しい関係にあり、自動運転ソリューションを生み出すためにBanmaというジョイントベンチャーを立ち上げた。この提携からわかるのはBMWがオートメーションでAlibabaと提携することはないだろうということだ、と中国の自動運転スタートアップのある従業員は話している。

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(翻訳:Mizoguchi)

トヨタがオリンピック向け新モビリティシステム「APM」を発表

2020年の東京オリンピック、パラリンピックではさまざまな競技に何十万もの人々が集中することが予想されている。東京の交通インフラは厳しい試練にさらされることになる。トヨタ自動車は競技を観戦するために都市内を移動する大勢の人々にどのような手段をすべきかという難問に解を与えようと努力中だ。

先週、トヨタは東京オリンピックに向けて、APM(アクセセシブル・ピープル・ムーバー)と呼ばれる交通システムを作る計画を明らかにした。トヨタによればAPMの目的は、あらゆる人々にモビリティを提供することにあるという。高齢者、ハンディキャップのある人々、妊婦、子供連れに家族などこれまで公共交通機関を利用しにくかった層にも容易に利用できる交通手段を提供し、いわゆるいわゆる「ラストワンマイル」問題を解決することが目的だ。

トヨタではオリンピック施設を中心に200台のAPMでネットワークを構築する計画。これには通常の移動手段となる「基本モデル」と体調不良となった人々むけの「救護モデル」が準備される。基本モデルはバッテリー駆動の比較的低速な電気自動車だ。乗客は観衆と競技スタッフを対象としており、競技施設周辺での比較的短距離の移動を目的とする。乗車定員はドライバーを含めて6名だ。乗客が車椅子を利用している場合はシートを畳むなどして座席配置を変え、2列目が利用できるようにする。

 

「救護モデル」は救急車に近く、熱中症で倒れるなどした人々を搬送することを念頭に置いている。座席を取り払ってストレッチャー2台を置くスペースを作ることができる。

これらAPM車両はトヨタが2020年のオリンピック向けに準備しているさまざまな新しいモビリティ・システムや一例に過ぎない。トヨタは介助ロボットe-Palette車両などが含まれる。e-Palletteは人やモノの輸送だけでなく、構成要素を柔軟に組み換えることによって物販など多目的に活用できるMaaS(モビリティアズアサービス)を目指している。

 

この他トヨタでは2017年にタクシー用車両の新型モデル、JPN Taxiの販売を開始している。これは従来のセダン型とは異なる1.5ボックス・デザインで車椅子が利用できるのが特長だ。Toyota i-ROADは立ち乗り専用の前2輪、後ろ1輪のユニークなデザインの三輪車だ。これは警備や案内などのオリンピックのスタッフをターゲットしているという。

トヨタでは東京の湾岸や羽田空港周辺など、道路の整備状態が良好な地域で自動運転車の実証実験を行う予定だ。またTOYOTA Concept-iでは人工知能を利用して人間を認識し対話が可能な自動車もテストされる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

自動運転技術のAutoXは欧州でもロボタクシー事業展開を目指す

香港とカリフォルニア州サンノゼに拠点を置く自動運転車技術のAutoXは、これまで自動運転車によるグローサリー配達を手がけてきたが、今やAVサプライヤーとロボタクシーにも事業を拡大している。

そして今度は欧州へ進出しようとしている。

AutoXは、2020年末までに欧州でロボタクシー試験サービスを展開しようと、破産したSaabの資産を購入したスウェーデンの電気自動車メーカーNEVSと提携した。専門的な提携のもと、AutoXは2017年のCESアジアで発表されたNEVSのInMotionコンセプトにインスピレーションを得ている次世代の電気車両に自動運転技術を搭載する。

次世代車両はNEVSがスウェーデン・トロルヘッタンで開発していて、自動走行するNEVS車両のテストは2019年第3四半期の開始が見込まれている。同社によると、車両は来年欧州で公道を走るようになる。

よくX教授と呼ばれているAutoXの創業者でCEOのJianxiong Xiao(ジアンシャオ・シャオ)氏は、この特殊な車両は自動運転タクシーサービスにうってつけだと述べた。というのも、車両は特殊使用のために作られていて、ガスを排出せず、1日24時間使用することができ、そして道路を走る車の数を減らせるかもしれないからだ。

両社は最終的にグローバルでかなりの数のロボタクシーを展開したい考えだ。

NEVSとの提携は、AutoXが今やデリバリーサービスより自動運転車両テクノロジーに精力的に取り組んでいることを意味している。AutoXは2016年に創業され、当初は自動運転車両を主にグローサリーの配達に使うことにフォーカスしていた。昨年8月、AutoXはGrubMarket.comと地元の高級グローサリーストアDeMartini Orchardと提携し、サンノゼの限られたエリアでグローサリー配達とモバイルストア事業を開始した。

そして、これまでにベンチャーや戦略的投資家から約5800万ドル(約65億円)を調達しているAutoXはこのほど事業を拡大した。同社は車メーカーに自動運転車両技術を提供し、自前のロボタクシー事業を立ち上げたいと考えている。

6月、AutoXはロボタクシーに客を乗せて輸送する許可をカリフォルニア州当局から取得した2番目の企業になった。AutoXはカリフォルニアのロボタクシーサービスをxTaxiと呼んでいる。

カリフォルニア公益事業委員会はまた、Pony.aiとWaymo、そしてZooxに州の自動運転車両乗客サービスパイロットに参加する許可を出しているが、このパイロットでは各社は有償でのロボタクシー乗車を提供することは禁止されている。

X教授は以前、彼のミッションは自動運転車両を皆に提供することだ、と語っていた。そうした意味で、今回の事業拡大は驚きではないだろう。同社が目指すゴールは、経済的(そしてより良い)ハードウェアを活用することで達成できるかもしれない。同社は光感知とライダーとして知られている測量レーダーを活用している。しかし自動運転車両にたくさんの高価なライダー装置を搭載する代わりに、AutoXは解像度が優れているとされるカメラに頼っている。そして同社が所有するAIアルゴリズムが全てをつなげる。

今のところ、カリフォルニアでのxTaxiパイロットは限定的となる見込みだ。サンノゼで展開されているデリバリーサービスと同じくらいの範囲で、5平方マイルほどの広さで展開される。しかし同社は明らかに、規模と展開エリアを拡大するという野心を持っている。AutoXは社員115人超を抱えているが、今年50人超を新たに雇用する計画だ。

同社はサンノゼ市当局と別のパイロットをダウンタウンで立ち上げようと準備を進めている。詳細はまだ明らかにされていないが、このパイロットは早ければ来月初めにもローンチされる。

AutoXはまた、中国・深圳市でもロボタクシーサービスを展開する許可を取得している。同社が独自にサービスを展開するのか、あるいはNEVSと展開するという欧州モデルをとるのかは明らかではない。AutoXが中国でBYDと提携するのはあり得ることだ。AutoXはすでに同社のAV技術をBYDの車両に搭載するために中国企業と作業を進めている。

イメージクレジット: AutoX

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(翻訳:Mizoguchi)

LiveWireで考えるハーレー・ダビッドソンの電動シフト

ハーレー・ダビッドソンは、9月にその初の量産型電動バイク「LiveWire」を発売する予定だ。そのとおり、内燃機関、クロムと鋼鉄に関わる米国のシンボルが完全電動二輪車に向かうのだ。

1903年にミルウォーキーで創業されたハーレー・ダビッドソンは、2018年になってシリコンバレーオフィスを開設した。これはオートバイから自転車そしてキックボードに至る将来の電動車両のラインアップ追加の計画のもとに行われた。これらの動きによって、HDもまた、グローバルモビリティの変革の中で自らを再定義している既存の移動車両メーカーの仲間に加わった。

TechCrunchは、ニューヨークのフォーミュラEレーストラックで、EVへの転換に関して同社の上級管理職と話し、LiveWireに試乗する機会に恵まれた。

このバッテリー駆動のハーレーは、時速0〜60マイル(0〜約97km)の加速を3秒で行い、最高時速は110マイル(約177km)に達し、60分で充電を完全に終了する。標準小売価格はそれは2万9799ドル(約320万円)だ。

このオートバイの15.5 kWhのバッテリーとモーターは、146マイル(235km)の都市範囲で105馬力と86 ft-lbs(116.6Nm)のトルクを生み出す。都市と高速道路走行を組み合わせた場合は、95ft-lbs(128.8Nm)。

Harley Davidson Livewire static 1

ハーレー・ダビッドソンは、ガソリンバイクのミニマリズムとは対照的な形で、LiveWireを開発した。同社のEVテクノロジー担当チーフエンジニアであるショーン・スタンリー(Sean Stanley)氏によれば、この電動バイクには性能とアプリベースの接続性を管理するために、5つのプロセッサが搭載されている。

LiveWireのタブレット型ダッシュボードはスマートフォンと同期し、プリセットおよびカスタマイズされたデジタルライディングモードを可能にする。利用者はダッシュボードやスマートフォンから、LiveWireの出力、充電状態、トラクションコントロール設定、そしてABSブレーキ特性を調整し監視することができる。このEVは、ナビゲーション機能を持ち、音楽再生、ヘルメット通信、および着信電話を受けるためのBluetoothシステムを備えている。

ハーレーダビッドソンのバイクは、そのエンジンの特徴的な音で有名だ。なのでLiveWireの機械的動作から生み出される特徴的な電動サウンドも当然存在している。「私たちはそれを最適化するために多くの時間を費やしました。音は電気モーター、トランスミッションそして駆動系の組み合わせからやってきます」とスタンリー氏は説明した。

家庭用コンセントでLiveWireに電力を供給することも可能だし、Tesla車に電力を供給するのと同じ急速充電ネットワーク(ChargePointなど)を使用することで、高速道路走行に向かうこともできる。

ハーレー・ダビッドソンはまた、LiveWireディーラーにも充電ステーションを追加しており、先週にはElectrify Americaとの提携により、新規購入者に500kWを無償で提供することを発表した。同社は電動シフトを行うことで、伝統的なオートバイ会社の間でEVリーダーとして正面に飛び出すことになる。これはこの象徴的な米国の会社を、電動バイクスタートアップとの競争から守ることになる。

有名なガソリンバイクメーカーは電動バイクの取り込みが遅れている。大メーカーである、ホンダ、カワサキ、BMWのいずれもが、公道用の電動モーターサイクルを米国内では提供していない。これに対してKTMはFreeride E-XCオフロードモーターサイクルを2018年に発売し、ほどなくそのジュニア版を、完全電動スーパークロスレーシングクラスのために発売する。

関連記事:Supercross to debut first EV class and tap startups to go digital(未訳)

ハーレーの電動への動きが起きたのは、会社の収益が減少し、電動二輪車市場が停滞したことを受けてのことだ。

米国のオートバイ産業は、リーマンショック以降極めて悪い状況に置かれてきた。2008年以降、40歳未満の購買層による急激な落ち込みによって、新規売上は約50%減少していて、以来一度も回復していない。

LiveWire Charging Harley DavidsonUBSのロビン・ファーリィ(Robin Farley)氏のようなアナリストたちは、高齢のベビーブーマー世代よりも、よりテクノロジーに精通したミレニアル世代の嗜好に訴えることの方が、ハーレーダビッドソンにとって優先されるべきであると主張している。

ここ数年、電動バイクのスタートアップたちは、若い世代の興味を再び喚起するモデルを生み出し、その一方でガソリンバイクの乗り手に対して乗り換えを促してきた。カリフォルニアを拠点とするZeroなどの企業は、新しいライダーを引き付けるためにより多くのハイテク機能を提供することに加えて、ガソリン駆動のオートバイと比較したときの、価格、航続距離、充電時間、およびパフォーマンスのギャップを埋めることにずっと取り組んでいる。同スタートアップは、1万8995ドルのSR/Fモデルの出荷を始めた。これは潜在的にLiveWireの競争相手となる。市街地の航続距離は161マイル(約259km)、充電時間は1時間、そして最高速度は時速124マイル(約時速200km)である。

また別の電動バイクのスタートアップFuellは1万995ドルのFlowを発売する。こちらは0〜60(0〜97km)の加速が2.7秒、航続距離150マイル(約241km)、そして充電時間は30分だ。発売は今年まずヨーロッパで行われ、次に米国が続くと、創業者のエリック・ビュエル(Erik Buell)氏は語っている。

Harley Davidson LiveWire Trackそれでは、市場での競争はさておき、ハーレー・ダビッドソンのLiveWireの乗り心地はどのようなものだろうか。ニューヨークのフォーミュラEサーキットを十数回走行することで、しっかりとした第一印象を得ることができた。LiveWireは、電動バイクのエクスペリエンスとなりつつあるものそのものだ。ほとんど騒音の起きない鋭い加速とともに、風を切り裂いて進むことができる。

LiveWireとガソリンバイクの最大の違いは、そのモンスター級のトルクと、途切れることのない前進である。マシンはギアを1つしか持っていないので、クラッチもシフト操作も存在しない。スロットルから後輪に動力を機械的に伝達するためには、バッテリー、プロセッサーそして駆動系だけが必要で、これまで必要だった仕掛よりも大幅に少ない。あとはスロットルを回して走り始めるだけだ。

ハーレーダビッドソンがこのアドレナリン誘発マシンのLiveWireを発表するときに注目したいものがいくつかある。1つ目は、競合可能でより安価な電動バイクを発売するZeroなどのスタートアップ競合企業と比較した場合の、2万9000ドルという価格の市場競争力だ。同社のポール・ジェームズ(Paul James)氏(ビデオ参照)は、性能とハーレーのサービスならびにディーラーネットワークが、Zeroに対するLiveWireの有利な点だと語った。買い手が納得したかどうかは、売上によってすぐにわかるだろう。

ハーレーダビッドソンのEVへの進路は、ガソリンオートバイ産業を電気に向ける刺激を生み出す可能性もあるだろう。その場合は、同社は追い詰められたメーカーの立場から自ら破壊者へと転身したことになる。

そして、LiveWireのリリースよりさらに重要なのは、ハーレー・ダビッドソンが次に提供するものだ。同社は、近い将来に、より軽量で低価格の電動バイクはもちろん、電動キックボードや電動自転車を発売することを明言している。

今年の春のイベントで、ハーレー・ダビッドソンのプロダクト担当副社長であるマーク・マカリスター(Marc McAllister)氏は、同社がオンデマンドの都市型モビリティ時代向けの製品を開発しながらも、プレミアムモーターサイクル企業に留まり続ける必要があることを強調した。

ハーレー・ダビッドソンのLiveWireはその方向への跳躍だ。しかし同社の次の電動二輪車のラウンドとそれに対する市場の反応が、人びとがある場所から別の場所へと移動する手段が変革していく中における同社の立ち位置について、より多くのことを教えてくれるだろう。

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(翻訳:sako)

ボーイングのQ2決算は737 Max墜落事故で5000億円損失

ボーイング737 Maxの大失態は、同社の評判に暗い影を落としただけでなく、財政的にも大きな打撃を与えている。

シアトル拠点の航空機メーカーは、737 Max機の度重なる墜落事故のために、税引き後49億ドルという莫大な損失を計上したと 発表した。ボーイングはこの負債について「737 Max墜落に関連する顧客への補償やその結果起きた遅延などによる」と言っている。

ボーイングは第2四半期決算を来週報告する予定だ。同社の株価は米国時間7月18日にこの発表があった後の時間外取引で2%高だった。

「当社は今も737 Maxの安全な航行を取り戻すことに集中している」とボーイングCEO Dennis Muilenburg氏が声明で語った。「今はボーイングにとって歴史的な瞬間。われわれの飛行機を利用する乗客や乗務員の安全は当社にとってなによりも重要だ。MAXの墜落事故は大きな逆風であり、今四半期にもたらした財務的影響は、現在の課題を示すとともに、将来の財務リスクへの対応に役立つだろう」

1株当り8.74ドルという損失が、202.7億ドルに達すると予想される同社のQ2売上から得られる利益を吹き飛ばしてしまうことは間違いない。

この膨大な負担もまだ始まりに過ぎないかもしれない。将来の売上や会社の評判に与える事故の影響や、悲惨な事故を繰り返さないための検証がまだまだ続く。

現在ボーイングは、737 Maxの規制当局による承認を2019年第4四半期と見込んでいるが、事故の影響はさらに続くだろうと認識している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

トヨタが中国CATLとEV用バッテリー供給と技術開発で提携

トヨタ自動車が電気自動車の野心的な世界売上目標を達成するには、バッテリーの安定供給だけでは足りない。競争力を維持するためには、より高品質なリチウムイオン電池を利益率を圧縮することなく手に入れる必要がある。

同社は中国の電気自動車バッテリーサプライヤーのCATLに答えを求めた。米国時間7月17日に両社は、製品品質の向上およびバッテリーの再利用とリサイクルを目指し、新技術の開発から供給の確定までバッテリーエコシステムをのさまざまな範囲をカバーする提携を発表した。

6月にトヨタは、CATL(Contemporary Amperex Technology、徳時代新能源科技)および電気自動車メーカーのBYDとバッテリー購買に関する提携を結ぶ計画を発表した。 今回の新しい契約は、両社の関係を拡大するものだ。

両社はこの提携について、バッテリーの安定供給は不可欠でありバッテリー技術はもっと発展、進歩しなくてはならないという共通認識から生まれたと語った。CATLは自社のバッテリー開発・供給能力をトヨタの電気自動車とバッテリーの開発技術を融合するつもりだと共同発表の中で両社は言った。

すでにパナソニックは、トヨタにハイブリッドおよびハイブリッドプラグイン向けにバッテリーを供給している。しかし、事実上あらゆるメーカーがポートフォリオミックスに電気自動車を加えていることを踏まえると、EVの目標を達成するためにはそれだけでは足りない。かつて電気自動車を生産していた主要企業はTesla(テスラ)と日産の2社だけだったが、今はそうではない。アウディとジャガー・ランドローバーは新しい全電動自動車を発表した。そして大きな動きがすぐに続く。フォルクスワーゲンは、2025年までに20車種以上の全電動モデルを開発し100万台以上販売する計画を持っている。

一方トヨタは2025年までに全世界売上の半分を電気自動車が占めると発言した(これは年間の電気自動車売上約550万台に相当する)。こうしたEV計画はレクサスなど他のトヨタブランドや他の自動車メーカーにも波及している。

同社は、2025年までにレクサスの全モデルに電動バージョンを作ると発表した。6月にトヨタとスバルは、中・大型乗用車のバッテリー電動車向けプラットフォームの共同開発、およびCセグメント(中小型実用車)電動SUVモデルを共同開発し、それぞれのブランドで販売する計画を発表した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

テスラの自動運転オプション、8月に最大約100万円値上げ

Tesla(テスラ)車に搭載する自動運転機能オプションがさらに値上げされる。まだ完全に実用化されていないこの機能の値を同社が上げるのは、この数カ月間で2回目だ。

TeslaのCEO、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は火曜日、完全自動運転オプションの価格が8月16日から最大1000ドル(約108万円)上がる、とツイートした。将来完全に自動運転能力を有するようになるとMusk氏が約束しているフルセルフドライビング(FSD)は現在6000ドル(約650万円)する。

Musk氏は以前、FSDは「何回か値上げされるだろう」と語っていた。5000ドルから6000ドルになった最初の値上げは5月1日に実行された。以前のツイートでMusk氏は、値上げ額は全部で3000ドルちょっとくらいになるかもしれない、と言っていた。つまり、Tesla車購入者は今回の値上げ以降もさらに値が上がることを覚悟しなければならない。

これは戦略の一環で、値上げのツイートに続き、Musk氏は「FSDオプションは数カ月ごとに値上げされるだろう。早く購入するとトクだ」とも発信した。

Tesla車は自動運転ではない。最終的にフル自動運転になるまで、高度運転支援システムは改善され続ける、とMusk氏は約束している。

Tesla車には、アダプティブ・クルーズ・コントロール(定速走行・車間距離制御装置)とレーン・ステアリングを提供する高度運転支援システム「Autopilot」が標準装備されている。Teslaはかつてこの機能も有料で販売していたが、2019年4月にスタンダードにした。

Autopilotよりも高機能なバージョンがFSDだ。FSDには、パーキング機能の「Summon」や、インターチェンジや車線変更を含む、高速道路の出口車線へ車を誘導するアクティブガイダンスシステムNavigate on Autopilotがある。ドライバーがナビゲーションシステムに目的地を入力すると、Navigate on Autopilotを利用できるようになる。

Teslaは2016年10月に、全ての車に「フル自動運転」に必要なハードウェアが装備されるだろう、と発表した。その後同社はハードウェアについて修正し、2019年春から新車には新カスタムコンピューターチップが搭載されている。

ゆくゆくは自動運転を提供するというオプションをTeslaが有料で提供するようになってから3年近くがたつ。そして顧客はまだ待たされ続けている。

TeslaはNavigate on Autopilotと広範なFSDの改善を無線でのソフトウェアアップデートを通じて続けている。Teslaはウェブサイトで、FSDは間もなく信号や停止サインを認識して反応できるようになり、街中の道路でも自動運転ができるようになる、と案内している。

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(翻訳:Mizoguchi)

Uberの空飛ぶタクシー事業のパートナー会社が27億円を調達

Uber Airが展開しようとしている空飛ぶタクシー事業を現実のものとするためには、車両の面でパートナーが必要だ。Uberが昨年提携したKarem Aircraft(カレム・エアクラフト)はこのほど、空飛ぶタクシーの新スピンオフのためにシリーズAで2500万ドル(約27億円)を調達した。このラウンドは韓国財閥のハンファシステムが主導した。

「安全で静か、そして効率的という空飛ぶタクシーをつくるためのKaremのテクノロジーに我々は興奮している」とUber Elevate(ウーバー・エレベート)の責任者であるEric Allison(エリック・アリソン)氏は発表文で述べた。「Karemの新たな空飛ぶタクシー会社へのハンファの投資は、Karemが開発を進めているButterfly(バタフライ)の実用化を加速するものだ。近い将来、ダラスやロサンゼルス、メルボルンで客を乗せることを楽しみにしている」。

Uberはこの空飛ぶタクシーのテストを来年にも開始し、2023年にカリフォルニア州のロサンゼルス、テキサス州ダラス・フォートワースとフリスコ、オーストラリアのメルボルンでUber Airを商業展開したい意向だ。

Karemの新ベンチャー会社は電動垂直離着陸機、特に空飛ぶタクシー向けのButterflyに専念する。

Butterflyは翼と尾翼に4つの大きなローターを搭載しているクアッドチルトローター。垂直に離発着するというヘリコプターの能力に、固定翼機のスピードと飛行レンジを組み合わせたようなものだ。Butterflyはまた、RPMが変わるローターのおかげで、より効率的に飛べるようにも設計されている。

「Karemの最高のスピードローターテクノロジー、ハンファの事業スケール、 Uberのライドシェアネットワークにより、新たな会社はButterflyの実用化に完全に専念できるようになる」と新ベンチャーのCEOであるBen Tigner(ベン・ティグナー)氏は発表文で述べた。「顧客が我々の空飛ぶタクシーで渋滞の上を飛びながら通勤することができるようになる日を楽しみにしている。Karem Aircraftは引き続き軍事向けの需要にも対応する。我々のテクノロジーは2つの異なる、しかし重要なユースケースに適用できるので、各企業が長期の成功に向けて進んでいると確信している」。

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(翻訳:Mizoguchi)

フォードとフォルクワーゲンがEV開発で提携、プラットフォームを共用

自動車メーカーのFord(フォード)とVolkswagenVW、フォルクスワーゲンは米国時間712日、さまざまなエリアを包括する提携を発表した。ここには、オートノミー(VWArgo AIへの新たな投資を通じて)と電気自動車(EV)開発でのコラボレーションが含まれている。このEVタイアップではフォードが、欧州で生産・販売される欧州マーケット向けの少なくとも1つの完全EVを開発するために、VWの今後展開される消費者向けEVに使用されるMEBプラットフォームを活用する。

MEBは、VWが将来を大きく賭けているものだ。MQBプラットフォームがVW内燃機関エンジン車で使用されたように、MEBすべての電動モデルで使用されるものだ。こうしたプラットフォームはモジュラーで、さまざまな車両タイプをカバーするフレキシブルさを備え、モデルに応じた再開発のためのコストを大きく抑制するのに貢献する。

MEBプラットフォームはVWAudi(アウディ)SEAT(セアト)、Skoda(シュコダ)などを含むVWグループの自動車メーカーから2019年から2023年にかけて発売されるさまざまな車両に使用される計画だ。MEBを使用するVWグループ外の自動車メーカーとしてはフォードが初となる。フォードは現段階で確固たる計画があるのは1つだけと明言していて、その後さらに拡大するかは最初のコラボの行方による、としている。

フォードは、MEBを使用した最初のモデルだけで欧州マーケットで6年間に60万台超を販売する計画だ。そしてプレスリリースではまた、MEBプラットフォームをベースに開発する2モデルについて検討しているとも述べている。フォードはリリースで、今回の発表は現在進行形のEV開発全体の一部であり、 Mustang(ムスタング)Explorer(エクスプローラ)を含む米国マーケットモデルの欧州への輸入の動きは継続する、とも記している。両社とも現在同様それぞれに独立した経営を維持する。

この2社の提携についての詳細は今月初めにロイターが報じたが、今回両社が正式に認めた。VWはまた、ドイツスタートアップe.GoMEBを使って車両を開発しているとも以前報じられたが詳細は明らかになっておらず、具体的なリリース時期や大量生産の意図を伴うVWグループのテックを使った車両開発を行う企業としてはフォードが初となる。

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(翻訳:Mizoguchi)

自動運転技術を車いす利用者向けにチューニングしたシャトルカー

輸送や交通の自動化を目指すMay Mobilityが、いわゆる自動運転技術に関しては単なるアクセシビリティー以上のものを実現しようとしている。その同社は最近、自動運転シャトル車の車いすバージョンの開発を始めた。そのプロトタイプのテストが最初の供用予定地オハイオ州コロンバスで行われ、コミュニティの人びとからのさまざまなフィードバックを集めた。

車いす利用者のための乗車と下車の便宜および、シャトルの走行中の安全確保が設計に導入されている。最初に得られたフィードバックからは乗下車のためのが補助スロープがもっと長くて傾斜がゆるくないといけないことが分かった。関連して、乗車と下車のための停車場の設計にも、問題があった。

本格供用に向けて改善点がまだいろいろあるが、最初のパイロット的運用はもうすぐコロンバスとプロビデンス、およびグランドラピッズで行われる予定だ。

同社によると最終的には、そのソリューションは少なくとも、今の公共交通機関における車いす介助方式と同等、とユーザーに感じてもらえるものでなければならない。

may mobility alisyn malek

May Mobilityの共同創業者でCOOであるAlisyn Malek氏が2019年7月10日のTechCrunch Sessions: Mobilityに登場

May Mobilityの共同創業者でCOOのAlisyn Malek(アリサイン・マレック)氏は、TechCrunch Sessions: Mobilityでこう語った。「どうやって、交通を誰にとっても容易なものにできるだろうか?この問題意識の中でとくに重要なのが誰にとってもの部分だ」。

このような低速の電気自動車に関しては、米国など多くの国でまだその設計や安全性機能に関して明確な指針や規制がない。そこで同社が考えたのが、障害者向けの設計に関して最初からコミュニティと協働することだ。自動運転車を作っている企業のほとんどが「まるで決まり文句のように、これまで自動車に乗れなかった人でも乗れるようになる」と言う。しかし実際には、そんなアクセシビリティーのために具体的で現実的な工夫を実装しているところはほとんどない。

しかしごく一部の企業、例えばライドシェアサービスのLyftは、自動運転車を開発しているAptivおよび全米視覚障害者連合とパートナーして、目の不自由な人でも利用できる自動運転車サービスを設計している。しかしMay Mobilityのシャトルサービスは、ひとつの会社や機関としての完全な管理体制の中で商用のコミュニティサービスとして展開できる。つまり同社のアクセシビリティー対策は、既存のバス会社やタクシー会社、もしくは一部の行政サービスなどでもすぐに採用して実用化できる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

スクーターシェアのBirdがパリで1000人雇用へ

スクータースタートアップのBirdがフランスのマーケットに意味深長な方法で将来を賭けている。パリに欧州最大のオフィスを設ける計画で、2021年半ばまでにBirdは1000人を雇用する。この1000というのは同社にとってここ数年意味のある数字だ。

パリというのは、Bird、そして一般にすべてのスクータースタートアップにとって重要なマーケットだ。パリは比較的小さな街で、面積でいえばサンフランシスコよりも小さい。しかし人口密度の高い街でもある。そしてもちろん、わずか数日のためにパリにやって来る観光客が大勢いる。

だからこそ、12社もの企業がスクーターシェアリングサービスをパリで展開している(そう、12社もだ)。しかしつい最近、Les Échosはそうした企業の多くがパリをすでに離れたと報じた。Lime、Bird、Circ、Dott、Jump、そしてB-Mobilityはまだ展開している。

この業界は資金が豊富で、Birdは競争を勝ち抜くためにかなりの額をすでに調達している。しかし資金は1つの要素にすぎない。

パリにオフィスを設置するというのは、Birdがパリというマーケットに真剣であることを市当局に示すのに重要な意味を持つ。先月、パリ市はパリでサービスを展開するスクーター企業数を制限すると発表した。市は事業許可を2、3社に絞るつもりだ。もちろんBirdはそのうちの1社になることを狙っている。

Birdはまた、安全性についてユーザーを教育するのにパリに置くハブを活用する。安全トレーニングセッションに参加した人には無料のヘルメットを提供する計画だ。

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(翻訳:Mizoguchi)

ミシガン大学の巨大な自動運転車実験施設「Mcity」を見てきた

Mcity(エムシティ)は次世代自動運転テクノロジーを実験するために、ミシガン大学がアン・アーバーに設置した13万平方mにおよぶ大型実験場だ。TechCrunchのビデオチームはMcityを訪問し、アソシエート・ディレクターであるGreg McGuire(グレッグ・マクガイアー)氏に話を聞くことができた。われわれのインタビューに答えてマクガイアー氏はMcityの成り立ちやビジョンについて話してくれた。

Mcityは公的機関と企業が協調して運営する施設で、自動運転車やインターネット接続自動車などのテクノロジーを現実の町を模した施設で実験し、社会に成果を還元することを目的としている。ミシガン大学TRI(運輸研究所)、連邦運輸省、ミシガン州交通局などの公的組織と自動車メーカー、交通テクノロジーの研究機関が一体となって運営されている。この4年間で2700万ドルの運営資金を確保した。

さまざまな研究が行われており、中でも特に安全性の研究に力を入れているが、最近では車酔いの防止や適切な座席レイアウトなどの問題にも取り組んでいる。施設内の移動にも自動運転のミニシャトルバスが利用されている。シャトルは黄色の標識で示される専用ルートを走り、Shuttle Stopと表示された場所に停車する。

メンバーは60社にも上るためMcityは個別のテクノロジーではなくビジョンや運営方針に関して合意を得ようとしている。メンバー企業は実験から得られた膨大なデータをプールして共有している。「上げ潮になればすべての船が浮く」というたとえの通りだという。

【 Japan編集部追記】トヨタ自動車は自動車テクノロジーの研究で長年ミシガン大学と密接な関係を保ってきたが、同社の米国における研究開発拠点、Toyota Motor North America R&DはMctiyの西1.8kmに隣接している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

BMWは初のフル電動ミニクーパーSEを発表

フル電動のミニクーパーは、かつて1度デモされたことがあり、EVファンの夢となっていた。それが、ようやく誰でも買える車となる。最初から電動車として設計された駆動系を備え、もっとも競合が激しいクラスの市場に投入される。この新しいミニクーパーSEは、Mini(ミニ)ブランドとして初の小型電気自動車で、フル充電での走行距離は235〜270 km(146〜168マイル)を実現している。最大50kWでの急速充電が可能だ。

クーパーSEは、0-60mph(約96.5km/h)の加速に、7秒ちょっとしかかからない。馬力で言えば181HPに相当する。電気自動車としては共通のメリットだが、加速はやはりすばらしい。発進してから37mph(約59.5km/h)に到達するのにも、わずか3.9秒だ。

もちろん、こうした数字が表す性能は、TeslaのModel Sには(そしてModel 3にさえ)とうてい及ばない。航続距離も比べるべくもない。こうした点は、やはり足かせになるかもしれない。それでも、伝統的な3ドアのミニクーパーのデザインは、それだけで人を引きつけるものがある。価格的にも、3万2500ユーロの基本価格から換算して3万6400ドル(約396万円)に抑えられている。購入を考えている人にとっては、ちょっと贅沢、といった範囲に収まる魅力的なものに感じられるだろう。

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機能的にも、回生ブレーキの効き具合をドライバー自身が調整できるという点で、BMWグループとして最初の電気自動車となっている。アクセルペダルから足を離したときに、どの程度減速されるかを細かく調整できるのだ。特にガソリン車から乗り換える人にとっては安心な機能だ。もちろん、パフォーマンスを最大限に引き出したいという人にとっても有効だろう。

BMWグループは、なるべく早い時期に納車を開始したいとしているが、現状の見込みでは2020年の3月頃からになりそうだという。すでに予約が殺到している状況のようだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

電気自動車の電池をインターネットからリアルタイム管理するクラウドサービス

ドイツの著名な機械器具メーカーボッシュ(Bosch)が、電気自動車の電池の寿命をインターネット上から管理しモニタするクラウドソフトウェアサービスを立ち上げる。

同社取締役のMarkus Heyn博士が、声明でこう述べている。「Boschは電気自動車のバッテリーをクラウドに接続する。そのデータに基づくサービスにより、バッテリーの性能を大きく向上してその寿命を延ばす」。

EVのユーザーはリモートで電池の状態を監視および管理でき、その損耗を最大20%減らせる、とBoschは言っている。

このソフトウェアサービスは電池の充電時間をリアルタイムで計測し、これまでの充電回数や、急な加速や減速によるストレス、気温などのデータも集める。そしてそれらのデータに基づいて次の充電を最適化し、またドライバーに電池の長寿命利用についてアドバイスをする。

このクラウドサービスの最初の顧客企業は、中国のライドシェアの大手DiDiだ。同社は厦門(アモイ)で、Boschのソフトウェアを有効にした車の一群を展開する。

このツールは現状の静的データを提供するだけでなく、DiDiなどの企業ユーザーの車両管理担当者に電池の損耗や、交換適期、今後の最適再充電時期などの予測を提供する。これにより、各車両のベストパフォーマンスを維持する。

Heyn博士は声明でこう述べている。「強力な電池が長寿命になれば、電気自動車を企業が採用しやすくなる」。

Boschが挙げるアドバンテージは3つある: (1)電池の長寿命化、(2)修理間隔を長くしてメンテナンスを楽にする、(3)充電の適正管理により電池の好調高能力を長時間維持する。

画像クレジット: Bosch

 
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

フォルクスワーゲンとオートデスクが最先端技術満載の「ワーゲンバス」を復刻

フォルクスワーゲンはオートデスクと協力して、同社最大級の研究開発施設の設立20周年を記念して、同社の象徴ともいえるVWマイクロバスを復刻した。外見はレトロだが中身は最新技術が満載だ。電動パワートレインを採用したたのほか、「ジェネラティブデザイン」を使って大幅な軽量化を実現している。

これは、デザイナーがソフトウェアを使って、性能や利用できる材料、製造に何を使うかなどの要件に応じて、自動的にデザインを創造(生成?)するデザイン方法のことだ。

今回復刻の鍵となったのは、スペースと重量を節約してマイクロバスのエネルギー効率を高めることだった。その結果生まれたのが、生物的ともいえるホイールのデザインで、標準的ホイールより18%の軽量化に成功した。ハンドルとサイドミラーのベース、後部座席の脚部にも同様の、製造したというより成長させたような構造を採用した。

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軽量、強度、組み立てやすさに加えて、プロジェクトに参加したデザイナーたちは、ジェネラティブテザインによって、ユーザーがもっと触りたくなるものを作りたかったと言った。それは一般的な車で見られる実用的な支持構造にはないものだ。

このプロジェクトには、オートデスク(GMやNASAジェット推進研究所ともジェネラティブデザインで協力したことがある)とフォルクスワーゲンのInnovation and Engineering Center California(IECC)両方のエンジニアとデザイナーが参加した。ただしこれはデモンストレーション用のコンセプトカーなので、実際にこの樹木のようなバスを買える日がすぐに来るわけではない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

DiDiがロールスロイスを最長3泊4日、料金100万円まで無料になるキャンペーンを実施

DiDiモビリティジャパンは7月8日、「#夢をかなえる100万円タクシー」キャンペーンを開始した。キャンペーン期間中に同社のTwitter公式アカウント(@DidiJapan)をフォローのうえ、ハッシュタグ「#夢をかなえる100万円タクシー」を付けて「DiDiタクシーでかなえたい夢(夢の投稿は任意)」を投稿すればいい。キャンペーン期間は7月15日の23時59分までで、当選人数は非公表で若干名とのこと。

利用できるのはロールスロイスのみだが、目的地はDiDiの営業エリア以外でもOKなので全国各地に行ける。なお、当選した100万円ぶんを通常のDiDi対応タクシーに利用することはできない。当選しなかった場合でも、もれなく100円ぶんのクーポンが付与される。

応募条件については注意が必要だ。当たり前だが、DiDiとTwitterのアカウントを持っていること。また、Twitterは公開されているアカウントのみが対象で、非公開アカウントからの応募は無効。当選者には7月末頃までにTwitterのダイレクトメッセージで連絡されるが、後日都内で平日昼間に打ち合わせが必須となる。さらに当選者は、顔出しの写真・動画の掲載が可能で、同社所定の出演同意書への同意も必要だ。

ロールスロイス乗車時の料金の課金方法や当選後にかかる経費(打ち合わせに向かうための交通費)などについては現在問い合わせ中で、回答が届き次第記事をアップデートする。

フォルクスワーゲンの電動レーシングカーがグッドウッドでも記録更新

英国で毎年行われる自動車レースイベント、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードのヒルクライム記録が20年ぶりに破られた。しかも同じ週末の間に2度も。

新たなレコードホルダーは、フォルクスワーゲンの電動レーシングカー「ID R」だ。ドライバーのロマン・デュマ(Romain Dumas)氏が運転した同車は、英国南部グッドウッドの1.86kmトラックを41.18秒で周回し記録を打ち立てた。デュマ氏は翌日同じトラックを39.90秒で走り自身の記録を更新した。

著名なヒルクライムのかつての記録は、1999年にニック・ハイドフェルド(Nick Heidfeld)氏が780馬力の燃焼エンジン車、マクラーレン・メルセデス「MP4/13」で達成した。ハイドフェルド氏は41.6秒でこのトラックを走った。

フォルクスワーゲンのID R(およびデュマ氏)は、ニュルブルクリンク ノルドシュライフェおよびパイクスピークで最近新記録を達成したばかりで波に乗っている。ID Rは、ニュルブルクリンク ノルドシュライフェのコースを6分05秒336で走り電気自動車の新記録を樹立した。従来の記録は2017年にピーター・ダンブレックが電気自動車の「Nio」に乗って達成した。

このフォルクスワーゲン ID Rは、グッドウッドのヒルクライムに特化して改造されていた。バッテリーを小いさくして重量を減らし、モーターの出力は短距離スプリントに最適化された。ドラッグリダクションシステム(空気抵抗抑制システム)はニュルブルクリンクの高速セクション向けに設計された。

この何が重要なのか? このレーシングカーはフォルクスワーゲンの電動自動車プラットフォーム「ID」のテストベッドで看板でもある。

フォルクスワーゲンは、同社の電動コンセプトカーとしてこのIDシリーズを数年前から前面に押し出している。シリーズ中の1台、ID.3 を生産する準備も進めている。同社はID.3を年間10万台販売する目標をもっている。

ID.3ハッチバックは、フォルクスワーゲンの新しい電動自動車アーキテクチャーであるModule Electric Drive Toolkit(MEB)を使って作られた最初のモデルだ。2016年に導入されたMEBは、柔軟なモジュラーシステム(共通部品の集合とも言える)で、電動自動車を効率よく高い費用対効果で生産するために作られたと同社は言っている。

他の車種もすぐに続くだろう。フォルクスワーゲンは20種類以上の完全電動車の製品化を計画している。2025年までに年間100万台の電気自動車を販売することが目標だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook