SpaceXの大型宇宙船Starshipが3度目の試験飛行で高度10kmまで上昇〜着陸に成功

SpaceXは、開発中の重量級再利用型宇宙船「Starship(スターシップ)」で現行10番目の試験機体となる「SN10」を打ち上げた。SpaceXが開発施設を置くテキサス州ボカチカから離陸したStarship SN10は、約10kmの高さまで上昇した後、摩擦を利用した着陸降下に向けてマヌーバを行い、体勢を立て直した。

この高度を飛んだ過去2台のStarship試験機体とは異なり、約6分間の飛行は火の玉になって終了することはなかった。SN10は意図したとおり、着陸に向けた姿勢転換マヌーバを完了させ、落下速度を減速させて軟着陸した。ロケットは垂直姿勢を保ったまま、無傷のままだ(更新:とはいえ、ロケットは着陸してから数分後に着陸パッド上で静止している間に爆発したのだが、これは潜在的に漏れが原因であった可能性がある)。

これはすばらしい結果であり、SpaceXのライブストリームによると、すべて「計画どおり」とのことだ。しかし、前回と前々回の爆発後、どうしてすぐにここまで来れたのだろうか?それはこのロケットの開発方法によるところが大きい。すべてのロケット開発には予期せぬ出来事や最良ではない結果が付き物だが、SpaceXの仕事にはいくつか平均的な宇宙船メーカーと異なる点がある

まず、この開発をオープンに行っていることだ。ボカチカの施設は、基本的にはいくつかの小さな建物、コンクリートのパッド、貯蔵タンク、足場があるだけだ。公道に非常に近く(テスト中は閉鎖され、周辺地域は避難している)、人々はクルマで近くまでやって来てカメラを構え、そこで行われていることを撮影することができる。これは、従来のロケットメーカーの一般的なやり方とはまったく違う。

そして2番目、SpaceXの創業者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が、SpaceXが迅速にStarshipの試作機を製造して試験を繰り返す開発戦略を追求することに対して、一切ブレないことだ。つまり、一般的なロケットメーカーのように、各テストを行った後に一度引き下がって、数カ月に及ぶ長期的な分析を行ってから別の仕様のロケットを製作して飛ばすのではなく、SpaceXでは少しずつ改良を加えた複数の試作機を、同時進行で製造・組み上げていることを意味する。

画像クレジット:SpaceX

この日、最初の打ち上げの試みは、短いエンジン点火の後に中断された。ロケットの計器が、マスク氏のいう「保守的」に反するわずかに高い推力値を示したからだ。これに対し、実際にSpaceXが考案した修正策は、試験中止を回避するため、限界値を高く調整することだった。

同社が飛行と着陸に成功した後に起こった爆発の原因について、これから調査を行うことは間違いない。だが、開発のこの段階において、SpaceXにとって最も重要な事項が、すべて成功したことに変わりはない。Starshipの次なる課題は、テスト飛行の高度をさらに上げることだろう。もちろん最終的には軌道に到達することが目標だが、その前にSpaceXは大気圏内に留まりながらも、今回の試験飛行をはるかに上回る打ち上げを、何度か試すことになるだろう。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Rocket Labが再利用可能な衛星打ち上げ用大型ロケットを発表、最大積載量8トン

SPAC(特別買収目的会社)との合併による上場のニュースだけでは十分ではなかったようで、Rocket Labは米国3月1日、開発中の新たなクラスのロケットを発表した。Neutronと呼ばれるロケットは最大8トンを軌道へと運搬することができる。同社が現在使用しているロケットElectronの最大積載量300kgをはるかに超える。NeutronはSpaceXのFalcon 9ブースターと違って海上ランディングプラットフォームから打ち上げられるように設計されており、1段目部分は完全に再利用可能だ。

Neutronは大型のマルチ衛星コンステレーションを立ち上げる顧客からの増大する需要に応えるべくデザインされる、とRocket Labは話す。これまでよりも大きな積載量での運搬は、衛星コンステレーションをすばやく軌道に乗せるためにより多くの小型衛星を一度に打ち上げられることを意味する。同社によると、この積載容量だと現在予測されている2029年までの打ち上げの98%に対応でき、国際宇宙ステーションへの物資供給にも使える。同社はまた、有人宇宙ミッションにも使えるとし、これは同社にとって初の飛行士が乗り込める宇宙船を開発するという野心も示している。

NeutronはRocket Labの顧客ベースを大きく拡大することになりそうだ。そして効率と再利用性にフォーカスした設計のため、現在使用しているElectronよりもコストや経済性で優れる。Neutronはバージニア州ワロップス島にある同社の施設から打ち上げられる予定となっている。施設にはすでに発射台が設置され、2024年までに最初のNeutron打ち上げを実施できると予想している。ロサンゼルスにある本社とワロップス島の打ち上げ場に加え、Rocket Labは新しいロケットを大量生産するために米国にNeutron生産施設も建設する予定だ。

SpaceXのFalcon 9の打ち上げ能力には及ばないが、それでもNeutronはFalcon 9より少ないペイロードを月や宇宙のはるか向こうに運ぶことができるロケットとなるよう意図されている。民官の組織が今後10年でかなりの量、そしてさまざまな衛星コンステレーションを軌道に乗せるとの予測があり、現在、中型ロケットはかなり大きな関心を集めている。衛星コンステレーションはコスト、そして通信から地球観測までを網羅するという点でかなりメリットがある。別のロケット打ち上げスタートアップRelativity Spaceも、最初の小型ロケットを補うためにより大型のロケットを開発するという似たような計画を発表したばかりだ

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タグ:Rocket Labロケット

画像クレジット:Rocket Lab

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

Relativity Spaceが完全再利用可能な新しい大型ロケットの建造計画を発表

Relativity Space(レラティビティー・スペース)は、2021年後半からの打ち上げを予定している小型ロケットTerran 1の次に計画しているものを明らかにした。それはTerran Rという、Terran 1の20倍の積載量を持つずっと大型の軌道投入ロケットだ。これにはもう1つ、小さな兄と違う点がある。完全に再利用可能といことだ。SpaceXのFalcon 9とは異なり、第1段から第2段まで、すべてが再利用型になる。

私はRelativity SpaceのCEOで創設者でもあるTim Ellis(ティム・エリス)氏に、Terran Rについて、またこの宇宙スタートアップの仕事にいつから就いているのかを話を聞いた。エリス氏は、Y Combinator(ワイ・コンビネーター)に参加していたときから、実際に大型ロケットやその他の構想があったと話す。

「5年前、Relativityを創設したとき、SpaceXのロケットの打ち上げと着陸、国際宇宙ステーションとのドッキングを見るたびに刺激を受けていました。また火星へ行くという考えは、人類の未来にとって極めて重要であり、地球やそれ以外の場所での人類の体験を大いに拡大させる可能性があります」とエリス氏は私に語った。「しかし、人類が宇宙船から火星表面に歩いて出た瞬間、すべてのアニメーションが暗転してしまいます。そこで、火星に産業基地を建設するためには、3Dプリント技術がどうしても欠かせないと私は確信したのです。そして、その未来を実現するためには、数十また数百の企業を触発する必要がありました」。

Relativity Spaceの長期的な目標は、常に変わらず「最終製品の3Dプリント企業」となることだ。軽量ロケットのTerran 1は、その理念に基づいて市場に送り出される最初の3Dプリント製品に過ぎない。

「3Dプリントは、航空宇宙のための私たちの新しい技術スタックです。これはこの60年間、基本的に変わっていないとみんなが感じているものを、大きく書き換えます」と彼は話す。「これは、工場設置型の工作機械、サプライチェーン、何百何千ものパーツ、手作業、遅い改良スピードに置き換わるオートメーションと、地球の未来に必要だと私が信じているものを提供します」。

20トン以上のペイロードを地球低軌道に打ち上げる能力を持つTerran Rも、地球上で使用するための宇宙航空向けの機器を含む数々の製品を生み出そうというRelativity Spaceの長期目標における「次なる論理的なステップ」に過ぎない。エリス氏によれば、地球低軌道までの最大積載量が1250キログラムというTerran 1への消費者からの強い需要と、現在打ち上げられている衛星の平均的なサイズを合わせて考慮すると、大型のローンチビークルは理に適っているという。いわゆる「小型」衛星への恩恵はあるものの、現在作られているコンステレーションは、1基で500キログラムを超えるものが多いとエリス氏は指摘する。Terran Rなら、拡大しつつあるそうした軌道上の宇宙船ネットワークのための衛星を、もっとたくさん同時に打ち上げられるようになるということだ。

Terran Rで使われる予定の高推力エンジンの燃焼試験(画像クレジット:Relativity Space)

「Terran 1とロケットの構造はほぼ同じで、同じ推進剤を使い、同じ工場の同じプリンターで、同じ航空電子工学を用いて、同じチームが建造します」とエリス氏は次期ロケットについて説明した。つまり、Terran Rの機能が現行の小型ロケットとは大きく異なり、特に完全に再利用型になるとしても、同社にとって新しい製造ラインの立ち上げは比較的簡単であることを表している。

前述のとおり、Terran Rは、第1段、第2段とも再利用可能となる。SpaceXのFalcon 9の第1段(液体燃料式のロケットブースター)は再利用型だ。それは宇宙に到達して第2段を切り離すなり、すぐに方向転換して大気圏に突入し、エンジンを噴射して着陸する。Falcon 9の第2段は使い捨て型、つまり基本的に宇宙用語でいうところのゴミであり、廃棄され、いずれ軌道から外れて大気圏に再突入して燃え尽きる。

SpaceXにも、Falcon 9の第2段を再利用型にする計画はあった。しかし、耐熱材を追加すれば重量が増し、目標とする経済性は得られないとわかった。Terran Rの仕様に詳しいエリス氏は、3Dプリントに対応する非常に珍しい素材をユニークなかたちで使うこと、ジェネレーティブデザインを控えめに採用すること、それらがRelativity Spaceのロケットの第2段を、持続可能な形で再利用できるようにすることを、それとなく話してくれた。

「これも完全に3Dプリントで建造するので、従来の製造方式では使えなかった特別な素材や幾何学的デザインを採用する予定です」とエリス氏。「見た目はとにかく非常に複雑で、Terran Rの設計を従来方式で作ろうとしたら、大変なことになります。しかしそれが、再利用性の高いロケットを生み出すのです。最高の再利用型ロケットの建造に大いに寄与してくれました」。

Terran Rには、Relativity Spaceが開発している第2段用の新型エンジンが使われる予定だ。これも現在のTerran 1のエンジンと比べるとユニークなものになる。やはり3Dプリントで作られるのだが、銅製のスラストチャンバーを採用して全体的な出力と噴射能力を高めるとエリス氏は言っていた。木曜日の夕方にエリス氏に話を聞いた時点で、同社はすでにこの新型エンジンの初の耐久テストを完全に成功させていた。本格的な建造への重要な一歩だ。

エリス氏は、年内にはTerran Rのもっと詳しい情報を公開する述べていたが、製造工場にある大型3Dプリンターは、すでに新型ロケットのサイズに合わせて調整してあるとも教えてくれた。「変えたのはソフトウェアだけです」と彼はいう。また、同社がエンジンテストのためにNASAと使用契約を結んでいるステニス宇宙センターの試験場は、Terran Rのサイズのロケットの試験が可能だとも話していた。どうやら、この新型ロケットの開発を彼は急いでいるように思える。

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タグ:Relativity Spaceロケット3Dプリント

画像クレジット:Relativity Space

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(文:Darrell Etherington、翻訳:金井哲夫)

再利用型ロケットを次の段階へ引き上げるStoke Spaceが9.7億円のシード資金調達

多くのロケット打ち上げ業者は、宇宙に人や物を運ぶ際のコストや遅延を減らす最良の方法が、再利用型のロケットだと考えている。SpaceX(スペースエックス)やRocket Lab(ロケット・ラボ)は、宇宙の入口までペイロードを運搬するロケットの第1段を再利用型にしてみせた。そして今、Stoke Space Technologies(ストーク・スペース・テクノロジーズ)は、再利用可能な第2段を開発していると話す。これはペイロードを軌道やその先にまで運ぶものだ。同社はその実現に向けて、シード投資910万ドル(約9億6600万円)を調達した。

安全に地球に帰還できる第1段の設計だけでも決して簡単なものではないが、第1段は特定の高度と速度にまでしか到達できない。さらに速度を増して軌道にまで昇るようなことはしない。そのため、比較的単純な挑戦でもある。第1段が燃え尽きた後を引き継ぐ第2段は、ペイロードをさらに加速し目標の軌道へと導く。ということは普通に考えても、第2段を地球に戻すには、もっとずっと長い距離を、もっとずっと高速に移動させなければならない。

Stokeは、再利用可能な第2段の開発は可能であるばかりか、数十年にわたって宇宙産業に成長をもたらすには、低コストな宇宙経済の構築が欠かせないと考えている。同社のチームは、Blue Origin(ブルー・オリジン)でNew Glenn(ニューグレン)とNew Shepard(ニューシェパード)のロケット本体とエンジンの開発に関わった人物や、SpaceXでFalcon(ファルコン)9のためのMerlin(マーリン)1Cエンジンの開発に関わった人物などで構成されている。

「私たちの設計理念は、単に再利用可能であるばかりでなく、運用面でも再利用可能なハードウェアをデザインすることです。つまり、改修の手間を減らしてターンアラウンド時間を短縮するということです。そうした再利用性は、最初からデザインしておかなければなりません」と、Stokeの共同創設者であるCEOのAndy Lapsa(アンディー・ラプサ)氏はいう。

画像クレジット:Stoke Space Technologies

機体は弾道再突入の後に動力着陸を行うということ以外に、Stokeは重量が何トンにもなる精密機器である第2段ロケットを、400キロメートルの高さから時速2万8000キロメートルほどの速度で安全に下ろすという神業を実現させる、工学面の話も手法も公表していない(ただラプサ氏はGeekWireに対して「上質で高性能な安定したインジェクター」がエンジンの、さらにはその周辺のシステムの要になると話していた)。

そのような高速での再突入は大変に危険なため、着陸用の他に、減速用の燃料も残しておけばよいではないかと考えるのが普通だ。だがそれではペイロードを積む以前に機体の重量と複雑性が増してしまい、積載能力を落としてしまいかねない。

「再利用型システムは、本質的に使い捨てシステムよりも複雑になるのは事実です」とラプサ氏。「しかし、ミッションのコスト削減と可用性の向上が望めるなら、その複雑性にも価値はあります」

他の打ち上げ業者が指摘するとおり、再突入では大量の金が燃え尽きる。しかし今のところ最も安全な対策は、第1段を生かすことしかない。第2段も決して安くはないため、どの業者も、できれば再利用したいと考えているはずだ。もしそれがうまくいけば、打ち上げコストを劇的に下げることができる。

Stokeが約束しているのは、第2段を帰還させるだけではなく、それを持ち帰って翌日にはまた飛ばせるようにすることだ。「あらゆる打ち上げハードウェアは、飛行機と同等の頻度で何度も再利用できます。ゼロ改修で24時間ターンアラウンドです」。

打ち上げと着陸の際にロケットがどれだけ摩耗す損傷するかを考えれば「ゼロ改修」は夢物語だと感じる人も多いだろう。SpaceXの再利用型第1段はターンアラウンドがとても短いが、着陸地点で燃料を詰め替えて、すぐに発射ボタンが押せるというような簡単な話ではない。

しかもStokeでは、小型の低コスト人工衛星がよく投入される地球低軌道よりも高い場所まで飛べる、再利用型ロケットのサービスも目指している。静止軌道投入、月や他の惑星との往復も計画されている。

「静止トランスファー軌道、静止軌道への直接投入、月遷移軌道や地球脱出ミッションは、当初は一部再利用型や使い捨て型のロケットで行われますが、それらに使われる機体は、いずれは地球低軌道への完全再利用ミッションで使われたものと、まったく同じものが使われるようになります。将来の発展型モデルは、これらの(さらに他惑星への着陸)ミッションに応じてデザインを拡張できるようにして、完全再利用を実現します」とラプサ氏は話す。

野心的な主張だ。現在のロケット業界の動向がどうあれ、非現実的だといわれても仕方ない。だがこの業界は10年前に人々が想像していたよりもずっと速いペースで進歩してきた。その改革をもたらしたのは、非現実的な野心だったように思われる。

Stokeがシードラウンドで調達した9億6600万円は、これからのいくつかのステップを実現するために使われるが、この業界の事情に詳しい方なら、決められた時間内に開発とテストを行うには、もっとずっと大きな資金が必要になることはご承知だろう。

今回のラウンドはNFXとMaC Venturesが主導しYC、Alexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏のSeven Seven Six、Joe Montana(ジョー・モンタナ)氏のLiquid2、Trevor Blackwell、Kyle Vogt、Charlie Songhurstその他が参加している。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:金井哲夫)

積層造形によるロケット燃料の商業化を目指すFirehawk Aerospaceがシード資金2.6億円調達

画像クレジット:Firehawk Aerospace

ロケット燃料テクノロジーのスタートアップFirehawk Aerospaceは、新ラウンド120万ドル(約1億3000万円)を調達し、既存のシード資金と合計して250万ドル(約2億6000万円)のベンチャー資金を得た。ラウンドはColby Harlowが運営するダラスを拠点とするベンチャーキャピタルのHarlow Capital Managementがリードした。投資を機に同社はFirehawkの取締役会に加わる。

2020年9月のTC Disruptは初めて完全にリモートで開催されたが、Firewhawkはそのスタートアップバトルフィールドの最終選考に残った。積層造形(簡単にいえば高度な3Dプリント)を利用して開発された新種のハイブリッド燃料は、ロケット打ち上げの安全性や製造・輸送コストを大幅に向上させるのが狙いだ。ハイブリッド燃料は液体燃料と固体固体燃料を組み合わせたもので、アイデアとしては新しいものではない。しかし従来のテクノロジーでは、既存の完全固体、完全液体燃料の代替となるだけのメリットを実現できなかった。

同スタートアップの最高科学責任者であるRon Jones(ロン・ジョーンズ)氏は、2種類の新しいアプローチで制限を突破したという。1つは硬質ポリマータイプの燃料を使用すること、もう1つは液体を型に注入して硬化を待つという現在の方法に代わって、積層造形を使用して燃料構造を作成することだった。

現在、Firehawkはシード資金を利用して商業化に必要な規模でテクノロジーをテストし、パートナーシップと潜在顧客を発見していく予定だ。また、テキサス州とオクラホマ州の両施設で研究開発と製造事業を拡大していく予定だという。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:滑川海彦@Facebook

ヴァージン・オービットが改造747からロケットを宇宙へ発射する様子を公開

Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)は米国時間1月17日日曜日に試験飛行を行い、宇宙と軌道に到達するという目標を達成しただけでなく、NASA向けのペイロードを搭載した初の商業ミッションも達成し、大きな成功を収めた。打ち上げはあらゆる面で成功を収め、同社は商用と防衛の両方の顧客に向けた小型ペイロードの打ち上げプロバイダーになる道を進んでいる。

動画では、LauncherOneロケットがCosmic Girlから切り離される瞬間を見ることができる。Cosmic Girlは旅客機のボーイング747を改造した機体で、通常の航空機の滑走路から離陸し、巡航高度まで上昇してロケットを発射し、その後、ロケットはエンジンに点火して宇宙へと飛行する。Virgin Orbitの発射モデルは従来の垂直離陸ロケットと比較して、軌道に小型ペイロードを運ぶ際の障壁を減らすように設計されており、今回の成功したテスト飛行はそのモデルがうまくいくことを証明している。

Virgin Orbitは実際に宇宙と軌道上に到達したことで、小規模ではあるが成長中の民間打ち上げ企業のグループに加わった。これはまだ供給よりも需要の方がはるかに多い小型衛星打ち上げ市場にとって、大きなニュースとなるはずだ。同社はまた、SpaceX(スペースX)のような既存の宇宙開発企業とはまったく異なるサービスを提供する。LauncherOneの設計は衛星通信事業者にとって、よりオンデマンドでレスポンスが高く、迅速な打上げサービスを提供することになる可能性がある。

関連記事:ヴァージン・オービットが輸送用航空機を利用する打ち上げでオービット(軌道)到達に初成功

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翻訳:塚本直樹Twitter

ヴァージン・オービットが輸送用航空機を利用する打ち上げでオービット(軌道)到達に初成功

Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)は米国時間1月17日、LauncherOne(ランチャーワン)ロケットを初めて軌道上に打ち上げることに成功。数機の人工衛星を搭載し、NASAに代わって地球低軌道へ運ぶための実証ミッションを達成させた。これは小型衛星の打ち上げを目的とする同社にとって重要なマイルストーンであり、初めて同社の輸送用航空機 / 小型ペイロード軌道輸送ロケットのハイブリッド空中打ち上げシステムが、意図した通りに機能することを示した。この成功により、同社の打ち上げシステムは間もなく商業運用を開始することになるはずだ。

これはヴァージン・オービット社にとって軌道到達を目指す2度目の挑戦だった。最初の軌道飛行テストは2020年5月下旬に行われたが、この時はLauncherOneロケットが「Cosmic Girl(コズミック・ガール)」(ボーイング747を改造したもので、ロケットを打ち上げ高度まで輸送する空母機)から切り離された直後にエンジンの自動安全停止装置が作動して終わった。その原因となったエラーの特定を含め、1度目のテストから多くのことを学んだ同社は、修正を施して今回のミッションに臨んだという。

ヴァージン・オービットのCosmic Girlは、東部標準時1月17日午後2時(日本時間1月18日午前4時)前に離陸し、午後2時40分頃にその翼からLauncherOneを放出。LauncherOneは意図した通りに「クリーンな分離」を行った後、自身のロケットエンジンに点火し、最大の空気力学的圧力(航空宇宙業界ではmax Q[最大動圧点]と呼ばれている)を受けるところまで急速に加速した。LauncherOneのメインエンジンは燃焼終了後に切断され、ペイロードステージが分離、カルマンラインを越えて、初めて宇宙空間に突入した。

東部標準時午後2時49分頃に軌道に到達した後、これから約30分で小型衛星のペイロードをリリースする予定だ。ミッションのこのあたりの結果については、後ほど記事を更新してお伝えするが、すでにこれはヴァージン・オービットのチームにとって重要なマイルストーンであり、大きな成果を上げたといえる。

小型衛星打ち上げ市場におけるヴァージン・オービットのユニークな価値提案は、輸送機から空中でロケットを発射するというアプローチを採用するため、従来の滑走路からの離着陸が可能であるということだ。これにより、打ち上げ場所の融通性が高まり、地理的条件や衛星を運ぶ目標位置の点で顧客のニーズに対応できるようになる。

2017年、ヴァージン・オービットはVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)から分離独立し、小型ペイロードの軌道打ち上げに特化した。ヴァージン・ギャラクティックはその後、商業的な有人宇宙飛行を提供するという独自のミッションに完全に専念することになった。2021年初めには、ヴァージン・オービット自体が、VOX Space(ヴォックス・スペース)という独自の子会社を設立。これは米国の国家安全保障のために、LauncherOneを使って小型衛星を運ぶことを意図したものだ。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ブルーオリジンが2021年初ミッションで乗員カプセルの打ち上げと着陸に成功

民間宇宙航空企業のBlue Origin(ブルーオリジン)は、2021年の最初のミッションを開始し、西テキサスで「New Shepard(ニューシェパード)」ロケットを35万フィート(約106km)強の中高度まで打ち上げた。今回使用したブースターはこれが初飛行であり、ロケットに搭載されたカプセルに装備されている新しい乗員の安全性や制御、そして快適性のための各システムも、初めて飛行中にテストされた。また、「Mannequin Skywalker(マネキン・スカイウォーカー)」と呼ばれる実際の人間と同サイズのテスト用ダミーも搭乗しており、飛行中と着陸中の情報を記録していた。

ストリーミング動画と同社からのコメントによると、今回のテストは、打ち上げからブースター分離、着陸燃焼の制御、着陸、そして乗員カプセルがパラシュートを使って地球の大地に帰還するまで、すべて上手くいったようだ。このミッションでは実際に人間が搭乗していたわけではないが、代わりに世界中の子供たちから寄せられた5万枚の絵葉書が積まれていた。公式に(カーマン・ラインを超えて)宇宙に行ったこれらの絵葉書は、ブルーオリジンの非営利団体「Club for the Future(未来のためのクラブ)」を通じて子供たちに返却される。

今回のミッションは、実際にブルーオリジンが民間人を乗せた準軌道宇宙飛行の商用化を開始した際にどうなるかを示すためのものであり、それがいつ実現するかというタイムラインはまだ決まっていない。今回の打ち上げでは、乗員に重要なミッション中の情報を伝える警報システムや、無重力空間を飛行中に乗員を保護する新しい壁の内張、乗船中の快適性を高める騒音や振動の減衰などがテストされた。また、このカプセルには、飛行中にカプセル内の空気を乗員にとって安全に保つための、二酸化炭素吸収装置も搭載されていた。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

英Skyroraが複数回のエンジン停止・再点火が可能で一度の打ち上げで様々な任務をこなすロケット「スペースタグ」をテスト

英国の宇宙技術スタートアップ企業であるSkyrora(スカイローラ)は、現在のところ英国内からロケットを打ち上げることができる唯一の民間企業だ。2020年のクリスマスイブには、スコットランドのFife(ファイフ)にある同社の試験施設で、新しいロケットに搭載されたエンジンの第3段階の静的燃焼テストが行われた。このロケットは最終的に衛星を目的の場所まで運ぶことになる。しかし、さらに興味深いのは、このロケットが軌道上で何度もエンジンを再噴射し、1度の飛行で複数のミッションを行うことができるということだ。これは「Space Tug(スペースタグ)」と呼ばれ、宇宙ゴミを撤去したり、すでに衛星が軌道上にある場合にはメンテナンスをするなど、宇宙空間で様々な任務を行うことができる。

Skyroraは、Seraphim Capital(セラフィム・キャピタル)による初期の「Space Camp(スペース・キャンプ)」促進プログラムの1つに参加していた。

スペースタグは、英国で開発された初の「ミッション・レディ」なロケットであり、軌道に乗れば自力で任意の場所まで航行でき、複数回の停止なども可能だ。

このスペースタグには、3Dプリントで作られた推力3.5kNのエンジンが搭載されており、打ち上げ時の第1段階では、廃プラスチックから作られた環境に優しい燃料(エコセン)を使用する。

Skyrora社のCEOであるVolodymyr Levykin(ウォロジミール・レヴィキン)氏は次のようにコメントしている。「Skyrora XLロケットのこの面に関しては、我々はわざと沈黙を守っていました。この段階に到達させるためには大きな技術的課題があり、すべてのテストで満足のいく結果が得られるようにしたかったからです。それが今、達成しました。良いニュースが本当に不足している現在の状況で、私たちはこのことを世界に伝えるべき時だと感じています。【略】我々の目標は、英国の大地から最も環境に優しい方法で効率的な打ち上げを行うだけでなく、一度の打ち上げで、これまで複数回の打ち上げが必要とされてきたレベルの作業を行うことができるようにすることです」。

宇宙飛行士のTim Peake(ティム・ピーク)卿は、次のようにコメントしている。「Skyroraのような企業が、英国を『打ち上げ国』にするという野心を持ち続けているのは素晴らしいことです。前進し、そのエンジニアリング能力への投資を継続的に行うことで、彼らは見事なマイルストーンを達成し、英国はその恩恵を受け続けています。衛星を精密な軌道に送り込む軌道上作業機としての機能を実現する第3段階の完全燃焼試験を実施したことで、Skyroraは打ち上げ準備に一歩近づきました。この機体はまた、衛星の除去、燃料補給、交換、軌道上からのデブリ除去などの重要な業務もできるようになる予定です」。

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タグ:Skyroraイギリスロケット

画像クレジット:Skyrora

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(翻訳:TechCrunch Japan)

イーロン・マスク氏「SpaceXは発射台のアームでSuper Heavyブースターを回収する」

SpaceXはロケットブースターを回収、再利用するために現在と大幅に異なるアプローチを試みると創業者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は述べた。発射台のアームが打ち上げ前のロケットを支えて安定させている。マスク氏は開発中の大型ブースターをこのアームを利用してキャッチしようと考えている(Twitter投稿)。現在のFalcon 9ブースターはエンジンを逆噴射し、組み込みの脚を展開して着陸する。しかし極めて大きな次世代ロケットであるSuper Heavyでは脚を廃止するのが目標(Twitter投稿)だとマスク氏は述べた。

Super Heavyも減速のためにロケットを逆噴射するが、姿勢制御には本体上部に装備されているグリッドフィンを利用する。このフィンをブースターのキャッチに利用する。つまりブースターが着陸する寸前に発射台のアームをグリッドフィンに引っかけるわけだ。この方法では、非常に精密な姿勢制御が必要になる。Super Heavyから着陸脚を完全に省くことができればコストと重量の両方を大幅に節約できる。

マスク氏が指摘したもう1つの利点は、Super Heavyブースターがそのまま元の発射台に定置されることだ。ブースターの上段に新しいペイロードを搭載したStarship宇宙船をセットすれば「1時間以内(Twitter投稿)」に再飛行が可能になる(SpaceXは現在、Starship宇宙船の開発とテストを実施中)。

Starship宇宙船とSuper Heavyブースターの目標は、現在のFalcon 9(およびFalcon Heavy)と比べてさらに再利用を進めたシステムだ。Starshipをジェット旅客機のように定期的かつ頻繁に飛行させることをマスク氏は目標としている。地球上の2点間を結ぶ超高速飛行、地球軌道付近のミッション、月(や最終的には火星)への長距離ミッションなどだ。 火星に「維持可能な植民」を行うためにはこうした能力が必須となる。今回提案された新しい着陸方法はこうした目標を達成するためSuper Heavyで迅速な再飛行サイクルを確立するためのものだという。

Starshipのプロトタイプは現在、テキサス州ボカチカで建設およびテストされている。2019年、SpaceXはここでは試作宇宙船の飛行テストを繰り返してきた。同社はSuper Heavyブースターを開発中だが、マスク氏は同システムの各部分の飛行試験を数カ月以内に開始できるよう全力で取り組んでいると述べている。

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タグ:SpaceXイーロン・マスク宇宙船ロケット

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ロケット打ち上げスタートアップAstraのロケットが宇宙へ

ロケット打ち上げスタートアップAstra(アストラ)は、周回軌道に実際に達したエリート企業の一員となった。これは予想よりも随分速い達成だ。同社のRocket 3.2テストロケット(そう、「ロケット」と呼ばれるロケットなのだ)は、今日のアラスカ州コディアックからの打ち上げで、カーマンラインを超えた。カーマンラインとは地球の大気圏と宇宙空間の境界とされる海抜高度100キロメートル(62マイル)地点である。

今回は、Astraの軌道飛行テストシリーズの第2回目となる。同社は9月にRocket 3.1テスト機を打ち上げている。同社の定義によるとその飛行で大量のデータが得られたため、テストは成功とされているが、ロケットは宇宙に達することも軌道に乗ることもなかった。Astraによれば、Rocket 3.1も3.2も、3回に及ぶ打ち上げ計画の一環であり、3回目の試みが終わるまでには、軌道高度に達する予定という。

Astraは、カリフォルニア州イーストベイでロケットを作っている小型衛星打ち上げスタートアップだ。同社の工場は、最終的にはランチャーを大量生産できるように設計されている。同社のモデルはSpaceX(スペースX)やRocket Lab(ロケットラボ)のような既存オプションよりも小さな機体を使用しているが、比較的安価に反応性が高く短いターンアラウンドの打ち上げサービスを提供することを目標としている。宇宙行きのリムジンではなく、バスといったところだろうか。同社はVirgin Orbit(バージンオービット)のような企業とより直接的な競合関係にある。ちなみにVirgin Orbitはまだ打ち上げロケットで宇宙には行っていない

AstraのRocket 3.2第2段から見た宇宙

 

これはAstraのロケットプログラムにとって非常に大きな勝利でありマイルストーンだ。問題のあった9月の打ち上げ(同社ではオンボードガイダンスシステムの問題と結論付けている)から比較的短い期間で立て直しを実現させたのだから尚更だ。3か月以内に問題を修正し、精力的に打ち上げを成功させたことは、技術的に大変に素晴らしい功績だ。これは平常時でも目覚ましいことであるのに、同社においては新型コロナという課題に直面しているなかでの達成である。

同社はここまでの達成を予想していなかったという。同社は開発プログラムで軌道飛行に達するまでの7段階を定義していたが、今日は第1にカウントとリフトオフ、第2にマックスQ(地球の大気圏内での飛行で ロケットの動圧が最大に達するポイント)に達すること、そして第3に第1段の主エンジンの分離を達成することを予想していた。今日の打ち上げが成功と判断されるのはここまでであったのだが、CEO兼創業者のChris Kemp(クリス・ケンプ)氏は打ち上げ後の電話で「ロケットはそのまま飛行し続けた」と語っていた。

Rocket 3.2は分離に成功し、第2段はカーマンラインを超えて大気圏外へ到達した。その後もさらに進み上段点火を達成したが、その6分後に上段エンジンが停止した。その後もロケットは目標軌道高度の390キロメートルに達した。だが速度は毎時7.2キロメートルで、起動速度に必要な7.68キロメートルにわずか0.5キロメートル足りなかった。

Astraは、この段階での推進剤の配合は宇宙での現場テストでしか見極めることができないと強調。残りの速度を達成するには、上段推進剤の混合比を調整するだけだと言及している。ケンプ氏は今後数か月以内でこれを実現させ、来年初めにはペイロードの再実験を開始できると自信を見せている。これにはハードウェアやソフトウェアの変更は不要で、変数を微調整するだけとのことだ。

画像クレジット:Astra担当John Kraus

 

ケンプ氏は、コスト削減のために膨大な量のオートメーションを採用することに焦点を当てた同社のアプローチが今回の成功の鍵だと付け加えている。

「私たちはまだ創業してから約4年の企業で、チームにはわずか100人程度しかいません」とケンプ氏。「このチームは、成功までの道のりで数多くの課題を克服してきました。コディアックに向かう際に、新型コロナに感染して隔離に入ったメンバーがいました。このためにチーム全員が隔離となり、代わりにバックアップチームがコディアックに向かいました」。これが実現できたのは、打ち上げチームがたった5名で構成されていたためだ。

「当社ではたった5人のチームで打ち上げサイト全体とロケットを準備し、ものの数日で打ち上げが可能です」とケンプ氏は言う。チームは文字通りたった5名で、ロケットの荷降ろしから組立まで、現場でのすべての作業がこの5人で行われる。残りはカリフォルニア州のミッションコントロールからクラウドを通してリモートで実施されるという。

ペイロードを搭載した最終軌道試験飛行を目前に、同社は現在カリフォルニア州に位置する同社工場にてRocket 3.3の調整を行っている。その後は設計と技術の急進的な進化を通じてコストを削減し、パフォーマンスを向上させることに重点を置いて、打ち上げたRocketの各バージョンを繰り返し適用し続けていく予定だ。

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(翻訳:Dragonfly)

SpaceXのプロトタイプロケットが着陸時に大爆発、しかし飛行テストは成功

 

現行のロケット「Falcon」の後継機にSpaceXはまた一歩近づいた。同社の宇宙船「Starship」のプロトタイプ「SN8」が米国時間12月10日、テキサス州南部にあるSpaceXの開発施設で、上空12.5kmまで上昇するという、現在進行中の宇宙船開発プログラムの中で重要なマイルストーンを達成したのだ。

離陸から約2分後、スターシップに搭載されている3基のRaptorエンジンのうちの1基は停止したが、このプロトタイプロケットは上昇を続けた。続いて3分後には、もう1つのエンジンが停止。1基のみが点火し稼働している状態となった。ロケットは上を向いたまま上昇を続けていたものの、どのくらいの高さまで上昇したのか、動画フィードからはわからなかった。そして4分30秒を過ぎた頃、3基目のエンジンが炎上し、スターシップは機体を水平にしながら地上に向けて自由落下を始めた。

ロケットが地上に近づくとエンジンが再点火し、再び垂直に姿勢を戻して落下速度を遅めた。しかし、予想よりも少し勢いよく着陸したため、爆発を起こしロケットは炎に包まれた。それでもテストは成功であり、SpaceXや多くの観察者の予想よりも上手くいった。ストリーム上ではSpaceXの管制室からチームの成功を祝福する声が聞かれた。

爆発と宇宙船の全損で終わった飛行は、成功したように見えないかもしれないが、まったく新しい宇宙船を設計しそのテストを行っていることを考えれば、間違いなく成功だ。SpaceXはこの試験飛行ではおそらくその目的のすべてを達成できないだろうと予想していたし、同社のElon Musk(イーロン・マスク)CEOは今週初めにTwitterで、目標高度は達成するかもしれないが、他のことはあまり期待していないと述べていた。だが、目標高度は達成されたようであり、機体を水平にして着陸時に再び正しい向きに戻す「ベリーフロップ」と呼ばれる動きを制御することもできた。ただ、着陸の際に少々スピードが速すぎたのだ。

今回のテストで、チームが多くの貴重なデータを収集したことは間違いなく、現在はそこで学んだことを次の試行の改善に役立てようとしている。SpaceXはすでに「SN9」と「SN10」という2機のプロトタイプを完成させており、実際に次のテストに向けて準備ができているのだ。これらのプロトタイプは、この日飛行したSN8と比較してもすでに改良されており、チームは今回の飛行とテスト中に得られたデータに基づいて、迅速に追加の改良を施す予定だ。

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画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:TechCrunch Japan)

小型・安価な独自衛星打ち上げロケットを開発するドイツのIsar Aerospaceが95億円調達

航空宇宙産業はスタートアップの世界からの爆発的な活動の広がりを見てきたが、そこでは聡明なエンジニアたちが、大企業の下で働くよりも、ますます野心的になるベンチャー投資家から資金を調達して自分でスタートアップを起業し、壮大な計画を現実的なビジネスに変換する道を選んでいる。そんな中、最も新しい展開として、ミュンヘンのスタートアップが、ヨーロッパの宇宙技術業界で最高額の投資ラウンドによる資金調達を成功させた。

極めて小型で、現在市場で活躍している大型ロケットよりも安く超小型衛星の打ち上げができるロケットを開発するIsar Aerospace(イザー・エアロスペース)は、7500万ユーロ(約94億7000万円)を調達した。同社は、この資金を使って研究開発と建造を継続し、その過程で、2022年初頭に最初の商業打ち上げを実施する計画だ。

際立って画期的な設計のロケットを提供するだけではないが、打ち上げに成功すれば、Isarはヨーロッパの宇宙関連企業として初めて、世界の衛星市場で戦える確実な衛星打ち上げロケットのメーカーとなる。

今回のラウンドは、Lakestarrが主導するシーリズBで、以前からの支援者であるEarlybirdとVsquared Venturesも大きく貢献していると同社は話している。Earlybirdと戦略的支援者であるAirbus Venturesは、前回、2019年12月にクローズした1700万ドル(約17億7000万円)のラウンド(Isar Aerospaceリリース)を主導している。

このスタートアップは、名門ミュンヘン工科大学(TUM)からスピンアウトして生まれた。共同創設者のDaniel Metzler(ダニエル・メッツラー)氏、Josef Fleischmann(ヨーゼフ・フライシュマン)氏、Markus Brandl(マーカス・ブランドル)氏は、みなTUMで工学を学んだ。中でもフライシュマン氏には、Isar創設前にちょっと自慢できる出来事があった。彼は、米国で行われたHyperloop(ハイパーループ)のコンペにTUMチーム(Isar Aerospaceリリース)の一員として参加した。その功績により、米国の有名ベンチャー企業から非常に興味深い仕事に誘われたのだが、彼はドイツに帰り、自身の会社を立ち上げることを選んだ。それがIsar Aerospaceだ。

メッツラー氏はインタビューの中で、データソースの増強や刷新のために衛星技術を利用したい、または利用する必要に迫られた企業の累積需要が非常に大きいと説明していた。政府や通信事業者にそうした需要があることは簡単に想像がつくが、ナビゲーション、GPS、地図製作の専門家、農業関連産業、メディアおよびインターネット企業、その他、宇宙でしか実現し得ない高速かつ遠距離のデータアクセスを必要とする団体などもそこに含まれる。

問題は、衛星を軌道に乗せる現行技術は、費用も時間もかかりすぎることだ。

ロケットは大型で、打ち上げ頻度も低い。その積載スペースを確保するためには、長い準備期間と大量の投資が必要になる。運良くそれが叶っても、技術的問題や天候によって突然中止になることもある。

こうした問題は、SpaceX(スペースX)のような民間企業の成長でなんとか対処しようとしてきた。ロケットを量産し、広い場所にたくさんの発射台を備えて打ち上げ回数を増すことで、需要に応えるという方法だ。

だが、Isarのアプローチはまったく違う。新しい方式の打ち上げ台に加え、小型で安価な新型ロケットの建造だ。こうすることで、多くの団体がより安く、より簡単に柔軟に衛星の打ち上げを予約できるようになるという考えだ。目標は1000kg以上のペイロードを打ち上げることだ。

Isarのシステムに使用されている革新的な技術の中には、現在のロケットで通常使われているものとは異なる、軽い燃料を使う推進システムがあるとメッツラー氏は話す。また、ロケットの建造費用を低く抑える、新しいシンプルな設計アプローチの採用もその1つだ。

メッツラー氏によると、現在の衛星打ち上げ料金の相場は1kgあたり3万ドルから4万ドル(約310万円から420万円)だという。「私たちはさら斬り込んで、1kgあたり1万ドル(約104万円)を目指します」

この提案は「顧客からの問い合わせ」がすでに5億ドル(約520億円)に達しているほど魅力的なものだとIsarはいう。つまりそれは、同社の打ち上げ事業が開始された場合の売上げとなるであろう、緩い予約のようなものだ。

同社は、衛星打ち上げが需要対応の明らかなボトルネックだと考えている。

「週に1度宇宙に行くことは、3年前から準備してきた打ち上げ計画とはまったくの別物です」と彼は、現状と比較したIsarが想定すべき未来について語った。また彼は、Isarでは持続可能性を念頭にロケットを作っているとも話していた。地上で回収して再利用できない部分が1つでもあるなら、大気圏で完全に燃え尽きて、一切の残骸が出ないようにロケットを設計するべきだと考えている。

長期的には、Isarは宇宙探査や別の分野の開発にも乗り出す可能性がある。そうした意欲的なロードマップ(この場合はスカイマップか?)には、投資家も喜んで支援するだろう。

「私たちは、ヨーロッパの民間宇宙開発を目指すIsar Aerospaceを、最大手機関投資会社として支援できることを誇りに思います。地球低軌道の超小型衛星は、今後数十年間、計り知れないイノベーションとビジネスの可能性をもたらす主要な基盤技術となります。そのため、次なる技術革新を傍観者として眺めていたくなければ、ヨーロッパに競争力のある宇宙産業を持たなければならないのです」と、Earlybirdの共同創設者Hendrik Brandis(ヘンドリック・ブランディス)氏はいう。「特にこれだけの規模のラウンドを完全にドイツの資金だけで支援できたことを、私は誇りに思います。これは、近年この国でスタートアップとベンチャー投資産業が確実に育っている明白な証です」。

カテゴリー:宇宙
タグ:Isar Aerospaceロケット人工衛星ドイツ資金調達

画像クレジット:Isar Aerospace

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXが100回目のFalcon 9打ち上げに成功、新Cargo DragonをISSへ

米国時間12月6日、SpaceXは21回目となるNASAの商用再補給サービス(CRS)ミッションを行い、新しいDragonカプセル宇宙船をISS(国際宇宙ステーション)に打ち上げた。新しいCargo Dragonは前回よりも輸送能力が大きく、ISSと完全に自律してドッキングすることが可能になっている。

今回の打ち上げは、再設計されたCargo Dragonにとって初の打ち上げであり、NASAとの契約を更新したSpaceXの新たなCRSミッションにとっても初のミッションとなる。Cargo Dragonには宇宙ステーションとその乗組員のための物資と、そこで行われている研究のための実験用品や機器の両方を6400ポンド(約2902kg)搭載されている。新バージョンのCargo Dragonは、SpaceXの以前の貨物宇宙船より20%多く物資を運ぶことができ、実験材料の温度管理輸送のための動力付きロッカーの数が倍となっている。

新しいCargo DragonはCrew Dragonの改良版で、5月に行われたDemo-2ミッションと2020年11月のCrew-1フライトの間に宇宙飛行士をISSに運んでいる。搭乗中の宇宙飛行士を守るために早期の中心が必要な場合、Falcon 9からカプセルを迅速に遠ざけるための推進力を与えるCrew Dragonに搭載されていたSuper Dracoエンジンの取り外しなどが改良点となっている。また、これまでのCargo Dragonは3回までしか再利用できなかったが、新バージョンは5回に増えている。

今回の打ち上げは、SpaceXにとって100回目の商業用ロケットであるFalcon 9の離陸成功であり、そのうち43回は回収、改修されたブースターで行われている。日曜日のミッションにはFalcon 9の第1ステージ回収も含まれており、これまでに合計4回飛行している。これはSpaceXにとってこれまでに68回成功したブースター着陸となる。

CRS-21の次のステップは、米国時間12月7日月曜日の夜に予定されているCargo DragonとISSの間のランデブーだ。カプセルは、ISSの新しいドッキングアダプターの1つと自律的にドッキングするよう特別に設計されている。このアダプターは11月にCrew Dragonがドッキングしたときから存在しているため、今回のCargo Dragonは2台目のドッキングとなる。

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タグ:SpaceXNASACargo Dragonロケット

画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:TechCrunch Japan)

宇宙スタートアップAevumが世界初の完全自動軌道ロケット打ち上げドローンを公開

大きなロケットを大量の燃料を燃やした噴射力で垂直に打ち上げるだけが、宇宙にモノを送り込む方法ではない。スタートアップ企業のAevum(エイブム)は、水平に離着陸できる無人飛行機と、小さなペイロードを高高度まで運ぶ第2段とを組み合わせ、あとはペイロード自身で宇宙まで飛行させるという画期的なローンチビークルの形式で、その型を多方面から打ち破ろうとしている。

Aevumのモデルは、実際には基盤技術の新分野を大きく切り拓いたというわけでないと、CEOのJay Skylus(ジェイ・スカイラス)氏はいう。米国時間12月3日のRavn Xランチビークルの公式発表に先立ち、私は同氏に話を聞いていた。これまでにNASA、Boeing(ボーイング)、Moon Express(ムーン・エクスプレス)、Firefly(ファイヤーフライ)など宇宙産業の数々の有名企業やスタートアップで働いてきたスカイラス氏は、Aevumは、ほとんど既存の技術で成立する、ほぼ再利用可能な完全自動の小型ペイロード放出システムに特化した企業だと私に話した。

彼がいうように、Raven Xは現在あるジェット機とそうかけ離れた形状をしているわけでもなく、明らかにPredator(プレデター)などの地球上ですでに運用されている無人航空機とよく似た印象がある。このローンチビークルは、全長が80フィート(約24m)、翼幅は60フィート(約18m)、ペイロードを含めた最大総重量は5万5000ポンド(約25トン)。 いまのところ、このシステムの70%が再利用可能だが、比較的近い将来の目標は、再利用率が95%になるよう改良を重ねていくことだとスカイラス氏は話していた。

画像クレジット:Aevum

Raven Xの放出システムは、即応放出が可能なデザインになっており、小型衛星をわずか180分間で軌道に載せることができる。しかもその後、別の衛星を搭載して再び軌道に放出するための準備を短時間で整える能力も有する。同機は民間航空会社が使っているものと同じ、普通のジェット燃料を使用する。また、「実質的にどんな天候でも」離着陸が可能だとスカイラス氏はいう。離着陸も、普通の1マイル(約1.6km)滑走路を備えた飛行場ならどこでも行えるという。つまり理論上は、世界中で使われているどの空港でも離着陸可能ということだ。

他のロケット打ち上げスタートアップとAevumが決定的に違う点は、彼らが提示しているものは理論ではなく、また開発中のものでもないということだ。Raven Xには、すでに有料顧客がある。米国政府との10億ドル(約1040億円)の契約もその1つだ。最初のミッションは、米空軍のASLON-45小型衛星の打ち上げだ(2021年後半を予定)。さらに、今後9年間に20のミッションを実行する契約を、米空軍宇宙ミサイルシステムセンターと交わしている。事実、Aevumの量産型ローンチビークルの納入はすでに始まっているとスカイラス氏は話していた。

米国防省は、もう長い間、即応可能で短いターンアラウンドで打ち上げができるローンチシステムを懸命に探してきた。それは、Astra(アストラ)などの企業の目標と合致する。Astraは当初、DARPA(米国防高等研究計画局)による同様システムのコンテストに応募し、Rocket(ロケット)小型ランチャーで契約を勝ち取ることを目標にしていた(その後コンテストは勝者を出さずに終了)。Aevumのシステムには、基本的に既存の航空施設で完全に運用できるという付加的な利点もある。しかも、Virgin Orbit(バージン・オービット)が採用している打ち上げモデルと見た目はよく似ているものの、人間のパイロットを搭乗させる必要もパイロットを危険にさらす恐れもまったくない。

Aevumは、Raven Xを提供するだけでもない。打ち上げサービスで端から端までの徹底したロジスティックスを取り仕切ることも目指している。それには、ペイロードの輸送と組み付けも含まれる。これらの作業は既存の打ち上げサービスを提供する企業では見過ごされがちであったり、手薄になっている部分だとスカイラスス氏は話す。その上、ペイロードを製造する企業の多くは、稼動状態の小型衛星を実際に軌道に載せるまでの作業が、費用と時間のかかる複雑な仕事であることを知らないという。同スタートアップはまた、組み付けサービスにおいては「一から作り直す」ことはしない。スカイラス氏によると、同社は幅広い既存企業と提携しており、どこもこの分野で十分な実績を誇っているからだ。ただ、スカイラス氏が公共セクターと民間セクターの両方で想定しているような消費者向けサービスを提供しようという動機も必要性も、これまでなかっただけだ。

もうSpaceX(スペースX)のような企業は必要ないとスカイラス氏はいう。むしろ、SpaceXのおかげで、これでは政府機関との大型契約や、限られた数の大手既存ロケット企業のミッションに協力するという閉鎖的な形でのみ生きてこられた航空宇宙企業が潤うようになった。それらの企業は、費用対効果の高い通信ソリューション、環境観測、輸送、防衛などの目的の小型衛星をはじめとするペイロードを軌道に送り込む市場が大きく拡大し、オープンに仕事ができるようになった。

Aevumのソリューションは明白で確実な需要に対して、リスクプロファイル、再利用性、コスト、柔軟性といった側面に利益をもたらす形で応えるものだと、はっきり聞こえる。同社が実利を得る初めてのミッションは、潜在顧客も競合他社も、しっかり見ておく必要がある。

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タグ:Aevumロケット

画像クレジット:Aevum

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(翻訳:金井哲夫)

Rocket Labが打ち上げ後のブースター回収に初成功!

ニュージーランドにも拠点を置くロケット打ち上げ会社であるRocket Lab(ロケット・ラボ)は米国時間11月20日、ペイロードを軌道に乗せた後にElectronのブースターを安全に落下させて回収し、再使用可能ロケットへの一歩を踏み出した。上の画像は、ブースターをパラシュートで安全に落下させている様子だ。

ロケットの第1段、つまり地上から宇宙までペイロードを運ぶブースターを再利用することで、打ち上げコストを大幅に削減できる可能性がある。数百万ドル(数億円)もの費用をかけて製造されるロケットは何十年もの間、再突入時に分解され放棄されてきた。

SpaceX(スペースX)は何度かの失敗の後、2015年にFalcon 9ロケットの回収を初めて成功させ、ドローン船に着陸(未訳記事)させた。使用済みの第1段は2017年に初めて再打ち上げられた(未訳記事)。

Rocket LabのPeter Beck(ピーター・ベック)CEOは2019年に、使用済みブースターを回収する独自の方法を試みると発表した。Falcon 9のような複雑な推進力で制御する着陸の代わりに、ブースターはパラシュートにより安全に降下し、着水前にヘリコプターで捕獲するというものだ。

画像クレジット:Rocket Lab

しかし今日のミッションでは、最初の試みとしては少し野心的すぎるとして、ヘリコプターのステップをスキップした。約30機の人工衛星と3Dプリントされたノーム(精霊の人形)を大気圏の端に投入した後、Electronのブースターは地球に戻り、約2時間後に着水した場所も確認された。

打ち上げ後に公開されたRocket Labのプレスリリースによると、ブースター降下と回収は計画どおりに実施された。

打ち上げの約2分半後、標準的なミッション手順に従ってElectronの第1段と第2段が高度約80kmで分離されました。Electronの第1段エンジンが停止すると、反応制御システムがブースターの向きを180度変え、再突入に最適な角度に調整し、地球に帰還する際の「壁」として知られる膨大な熱と圧力に耐えられるようにしました。小型パラシュートは降下中の第1段階の抗力を増加させ安定させるために展開され、その後に大きなメインパラシュートが最後の高度1km時点で展開されました。そして、第1段は計画通りに着水しました。Rocket Labの回収チームがブースターを同社の生産施設に送り返し、エンジニアがステージを点検して将来の回収ミッションに役立つデータを収集します。

「本日、チームが達成したElectronの第1段の回収は、決して離れ業というわけではありません。Rocket Labの多くのチームの多大な努力の結果、Electronを再使用可能なロケットにするための大きな一歩として、その成果を見ることができて興奮しています」とベック氏は語る。

打ち上げのリプレイは以下で見ることができる。

関連記事:Rocket Labが次に打ち上げるのは小型衛星30基とゲーム業界のレジェンドが搭乗料金を支払ったノーム人形

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タグ:Rocket Labロケット人工衛星
画像クレジット:Rocket Lab

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

Rocket Labが次に打ち上げるのは小型衛星30基とゲーム業界のレジェンドが搭乗料金を支払ったノーム人形

Rocket Lab(ロケット・ラボ)の次のミッションは、同社のKick Stage(キック・ステージ)スーペスタグを使って数十基の衛星を軌道に乗せ、同時に、Value Software(バリュー・ソフトウエア)のGabe Newell(ゲイブ・ニューウェル)氏が持ち込んだ3Dプリントによるガーデンノーム人形も宇宙に運ぶ。これは新しい製造技術のテスト用なのだが、ゲーム業界のレジェンド、ニューウェル氏による慈善活動でもある。

打ち上げは、ニュージーランドの打ち上げ場の現地時間で16日以降に設定されている。いまだ無名のこのミッション(Rocket Labはこれまですべてのミッションに小粋な名称を与えてきた)だが、同社にとって「最も多様性に富む」もとになると広報資料には書かれていた。

合計で30基の衛星を、Rocket Lab独自のKick Stage放出プラットフォームから放出する。Kick Stageは他社のスペースタグと同じく、特定の予備軌道に到達した際に第2段ロケットから切り離され、ペイロードをそれぞれ固有の軌道に送り込むというものだ。Rocket Labが一度に打ち上げる衛星の数としては、今回が最大となる。

そのうち24基は、Swarm Technologies(スウォーム・テクノロジーズ)の超小型衛星SpaceBEE(スペースビー)だ。サンドウィッチ程度の大きさの通信衛星で、IoTのためのローコストで低帯域幅のグローバルなネットワーク構築に使われる。

だが最も奇抜なペイロードは、なんといっても「ノーム・チョンプスキー」だろう。こいつの搭乗料金はValue Softwareの社長であるニューウェル氏が支払った。3Dプリントで作られたこの人形は、大気圏再突入で燃え尽きるまでKick Stageに固定される。これは、人気PCゲーム「Haif-Life」シリーズに登場するアイテムのレプリカだ。「ロード・オブ・ザ・リング」など数多くの映画制作に関わったエフェクトスタジオWeta Workshop(ウェタ・ワークショップ)が制作した。便利に使える可能性のある新しいコンポーネントの印刷技術のテストであると同時に、「世界のゲーマーの革新性と創造性へのオマージュ」でもある。

しかしもっと大切なこととしてニューウェル氏は、打ち上げを視聴した人から1ドルずつStarship Children’s Hospital(スターシップ子ども病院)への寄付を募ることにしている。なので、みなさんもぜひ今回の打ち上げを見て欲しい(現在、ニューウェル氏に詳しい話を聞かせて欲しいと打診中)。

この他に、TriSept(トライセプト)、Unseenlabs(アンシーンラボズ)、Auckland Space Institute(オークランド宇宙研究所)の衛星も搭載される。オークランド宇宙研究所のものは、ニュージーランドで初となる学生が製作した宇宙船だ。

Rocket Labでは、見込み客がサービスやコンポーネントをあちこち探し回らずに済むよう、すべてが1つに収まった打ち上げプラットフォームの開発に力を入れてきた。同社CEOのPeter Beck(ピーター・ベック)氏によれば、理想は基本的な骨組みだけ持ち込めば、後はすべて同社が面倒を見るというかたちだという。

画像クレジット:Rocket Lab

「小型衛星の運用者は、相乗りミッションで打ち上げる際に、軌道で妥協する必要はありません。今回のミッションでは、30基の衛星それぞれにオーダーメイドの宇宙への道を提供できることに対して私たちは胸を躍らせています。私たちがKick Stageを開発したのはそのためです。どのミッションでも注文どおりの軌道に乗せることができるよう、また、宇宙船の推進装置を開発したり、サードパーティーのスペースタグを使うといった余計な手間、時間、コストを排除できるようにです」とベック氏は広報資料で述べている。

Rocket Labでは、先日、自前の衛星First Light(ファースト・ライト)も打ち上げた。ベック氏の言葉を借りれば「ウザイこと」なく軌道に載せられることを証明するためだ。

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タグ:Rocket Labロケット人工衛星

画像クレジット:Rocket Lab

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(翻訳:金井哲夫)

ロケット打ち上げスタートアップAstraの最初の打ち上げは第一段階の燃焼失敗、あと2回のテスト飛行で軌道上を目指す

米国カリフォルニア州アラメダを拠点とするロケット打ち上げスタートアップのAstra(アストラ)は、天候やその他の問題のために何度も計画を遅延した後、米国時間9月12日にアラスカを拠点とする施設から最初の軌道上テストミッションを打ち上げる機会をようやく得た。

米国太平洋標準時午前8時19分(日本時間8月13日午前0時19分)に行われたAstraの「Rocket 3.1」試験機の打ち上げは成功したが、軌道に乗るずっと前の第1段階のエンジン燃焼中に飛行は終了した。

Astraはこのフライトで、軌道に到達することをいきなり目指していたわけではない。同社は、今回を含む3回以内のテストフライトで軌道に到達することを目標としており、今回の最初のミッションの前には「主な目標は第一段階での良好な燃焼に達すること」だと述べていた。実施には第一段階の燃焼までは到達しなかったが、同社は取得したデータの最初の評価を踏まえ「ロケットは非常によく機能した」とブログに書いている。

ミッションは早期に終了したように見えるもののためにそれが上昇すると、ロケットの不要な前後のふらつきのビットのために、アストラは言った、車両の自動安全システムによってエンジンの停止を引き起こした。これは、アストラが安全な故障を確実にするために取った手順が設計通りに機能していることを意味するので、実際には良いニュースでもあります。上のビデオでは、ロケットのエンジンのライトが飛行中に消え、しばらくして地上に衝突して火の玉が発生しているのがわかります。
Astraによると「ロケットが上昇する際に、意図せずに前後に揺れが生じ、自動安全システムによってエンジンが停止したため、ミッションは早期に終了した」という。一方で、同社の安全装置が設計どおりに動作することを証明したという点ではは良いニュースでもある。上のビデオを見ると、飛行中にロケットのエンジンの光が消え、しばらくして地上に衝突した火の玉が見える。

SpaceXを含め、まったく新しいロケットの最初の飛行のほとんどが計画どおりには進まないことは珍しいことではない。SpaceXの創業者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏がTwitterでAstraチームに激励の言葉をかけている。同様に、Rocket LabのPeter Beck(ピーター・ベック)氏も支持を表明した。

なお、Astraが困難な状況下で活動していることは言うまでもない。新型コロナウイルスの感染蔓延のために、1週間ほど前にアラスカに配備された発射システムをで6人のチームで動かす必要があった。

Astraは今回の打ち上げで多くの貴重なデータを得られ、もちろんそれを次の打ち上げの精度を高めるために使える。同社は、3回のテスト飛行の2回目に向けて「今後数週間かけて」データを確認・解析をっすめるようだ。Rocket 3.2はすでに完成しており、次のトライを待っている。

画像クレジット:Astra / John Kraus

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Rocket LabはCapella Spaceの衛星打ち上げに成功し通常の打ち上げ稼働状態に復帰

Rocket Lab(ロケット・ラボ)は、ペイロードを失うという前回のミッション失敗を経て、正常な打ち上げ稼働状態に復帰した。わずか1カ月の間に、Rocket Labは前ミッションに使用されたElectron(エレクトロン)ロケットの欠陥を洗い出して問題点を修正。米国時間8月31日には、クライアントであるCapella Space(カペラ・スペース)のSequoia(セコイア)衛星を載せた打ち上げを、ニュージーランドの発射施設で成功させた。

Rocket Labの今回の「I Can’t Believe It’s Not Optical(光学画像じゃないなんて信じられない)」ミッションは、同社Electronロケットの14回目の打ち上げとして、日本時間8月31日12時5分に同社専用の発射台から打ち上げられた。Sequoia衛星は、スタートアップのCapella Spaceが開発した合成開口レーダー(SAR)衛星のコンステレーションで、一般の顧客が利用可能となる。展開が完了すると、このコンステレーションは1時間ごとに地球の高精細画像の提供を開始する。光学センサーではなくレーダーを使用することで、雲に覆われていたり、暗くなっている部分でも正確な画像が得られる。

関連記事:Rocket Lab clear to launch again after first mission failure attributed to electrical fault(未訳記事)

今回の打ち上げは、すべて計画通りに進んだように見える。ElectronはCapella Spaceの衛星を無事に打ち上げ、目標の軌道に放出できた。Capellaはこれまで、この衛星をSpaceX(スペースエックス)のFalcon 9(ファルコン・ナイン)ロケットの相乗りミッションで打ち上げるつもりでいたのだが、フライトの遅延を受けて、Rocket Labの独自ミッションとして打ち上げる方向に切り替えたのだ。

7月4日のRocket Labの事故の原因は、比較的小さな問題だった。電気的な故障が発生したため、安全対策としてロケットが停止したに過ぎない。調査の結果、システムの中の1つの部品が、本来行われるべき厳格なストレステストを経ていなかったことが判明した。Rocekt Labは、できるだけ短い時間で打ち上げ業務を通常の稼動状態に戻せるよう、将来そして現在ストックされているすべてのElectronロケットに速やかに修正を加えた。

Rocket Labでは、Electronのブースターを複数のミッションで再利用可能にする回収システムの開発にも取り組んでいるが、今回の打ち上げでは、このシステムに関連するテストは盛り込まれなかった。同社では、年内に予定されている残りの打ち上げのいずれかで、ブースター回収の実験を行いたいと考えている。

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カテゴリー:宇宙

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(翻訳:金井哲夫)

Rocket Labは驚異的な回復力で早ければ8月27日に商用打ち上げを再開

Rocket Lab(ロケット・ラボ)は、7月4日の打ち上げ失敗でペイロードを失ったものの、驚異的な復活を遂げ、わずか8週間で次なる商用専用ミッションの打ち上げウィンドウを設定した。ニュージーランド現地時間で8月27日午後3時5分から12日間となる。

7月末、Rocket Labは、1カ月にわたる内部調査と事故原因の特定を行った後、打ち上げ事業の再開に欠かせないFAA(米連邦航空局)の認可を得た(未訳記事)ことを明らかにした。原因は、それまで問題なく作動していたが、なぜか厳密かつ慎重なテストを受けていなかったひとつの部品にあった。Rocket Labの創設者でCEOのPeter Beck(ピーター・ベック)氏は、製造工程の比較的単純な変更によって問題は軽減でき、現在のElectron(エレクトロン)ロケットの部品の改良も可能になると話している。

Rocket Labがこの問題解決に迅速に対応し、打ち上げスケジュールを再開できた理由には、この問題の性質も関係している。エラーは早期に発生し、Electronロケットのエンジンを安全に停止させたことで、目標の軌道に到達できなかった。だが、ロケットは爆発を逃れ、いかなる危険な事態にも至らなかった。つまりそのことが、エンジン停止後も、失敗の原因となった問題のデータを楽に取り出せるようにしてくれたわけだ。

他社の場合、打ち上げ失敗から立ち直るまでには、もっと長い時間がかかる。SpaceX(スペースエックス)は、2016年、Facebook(フェイスブック)のインターネット衛星を搭載したのFalcon 9(ファルコン・ナイン)の打ち上げ直前の事故から、正常な打ち上げスケジュールに戻るまで4カ月を要した。ただし、先に説明したとおり、失敗の種類はまったく異なる。

とは言え今回の件は、お金を払ってくれた顧客に、苦い体験からわずか1カ月後にサービスを再開できるよう設定されたRocket Labのモデルの回復力と柔軟性を示した。この事故が、ブースター回収により部分的に再利用可能なロケットの開発を遅らせることにはならない。

画像クレジット:Rocket Lab

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(翻訳:金井哲夫)