あなたの体の内部の3Dモデルを見せてくれるKlarismoが$2.1Mを調達、病気になってからMRIしたって遅い!

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MRIなどのボディースキャン情報から人間の3Dモデルを作るKlarismoが、210万ドルの資金を獲得し、Y Combinatorからローンチした。

Klarismoにネットでアクセスして3Dモデルを作ってもらうと、体の内部構造がよく分かるようになる。ただしサービスを利用するためには、MRIスキャンなどのスキャンデータをKlarismoに提供する必要がある。3Dモデルもネット上で画像として提供され、経時的にこのサービスを利用すると、筋肉が増えたなとか、体脂肪が減ったななど、体の時系列的な変化を見ることができる。脾臓など、内蔵の形や色の変化も分かる。

CEOのMarcus Fosterは語る: “このサービスを利用すると、体の内部が分かる。減量や増量、筋肉の増強などに努力しているアスリートにとっては、とても役に立つサービスだと思う。体の、自分が見たい部分の変化を知ることができるサービスは、これが今のところ唯一だ。筋肉の組織の一つ一つが手に取るように分かるし、体内の脂肪の減り具合も分かる。ほかの方法では、それを見ることはできない。今までに見たことのないやり方で、自分の体を見ることができるんだ”。

しかもそんな3D画像データは、個人ばかりでなく、保険会社や医薬関連の企業にとっても利用価値が大きい。それまでは、そんな大企業ですら、人の体の内部を簡便に見る方法を持っていなかった。3Dモデルを作るための元データはKlarismoのものではないから、ほかの企業がもっと高値で入手することも、できるだろう。

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Klarismoは今、いくつかの検査機関とパートナーしてボディースキャンのデータを得ている。データの借り賃は、一体につき250ドルだ。今後はもっともっと多くの、そしてメジャーな、検査機関とパートナーして、世界中の何千何万ものスキャンデータを入手したい、また、できるだけ多くの人びとに、日常的なボディースキャンを習慣づけたい、とFosterは言っている。

3Dモデルが完成したら、ユーザがたとえば、“脾臓を見たい”と入力すると、その部分の立体像を見せてくれる。

Foster自身がこれまで、何度も自転車で事故に遭ったし、脳には腫瘍がある。そこで彼は、誰もが簡単に体の内部を見られる方法がほしい、と思うようになった。

“これまでは、スキャンが終わると、X線技士がわずか2行ぐらいの所見を書き、それに基づいて治療が処方された。患者自身がそのデータを見ることはないから、体の内部の詳細はわからないままだ”、とFosterは語る。

“しかも、実際に病気になってからスキャンすることが圧倒的に多いから、遅すぎるのだ。病気になれば、何らかの症状がある。たとえば癌ではステージ3でスキャンすることが多いが、それでは手遅れなのだ。もっと健康な時点から、定期的にスキャンしてくれるところがあれば、それがいちばん良いのだけど、身近にそんな便利な検査機関がないところが多い”。

Y Combinatorの夏季クラスの生徒としてもらう資金のほかに、同社はKhosla Venturesやlowercase capital、そしてAtomicoからも資金を得ている。

彼によると、体の3Dデータがもたらすもうひとつの利点が、医学研究の進歩だ。研究目的で利用されるとき、データは匿名化されるが、それは研究の支障にはならない。実際に死体解剖などをしなくても、簡単かつ頻繁に体の内部を見られることは、医学教育も大きく進歩させるだろう。新しい治療法の発見も、より早くなるはずだ。

“スキャンデータが今後何十万〜何百万体ぶんも集まれば、その研究資料としての重要性や利用価値は計り知れない。それだけのデータをどうやって集めるか、という方法論も重要だが、ぼくの関心は、そこから作れる新しい消費者製品にある。Klarismoのサービスも、元々は消費者製品がねらいだけどね”。

アップデート: 競合の状況などを追記。

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RNA診断のCofactor GenomicsがY Combinatorに‘入学’、DNAよりも正確でリアルタイムな遺伝子検査を目指す

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このところY Combinatorは、計算生物学や生物情報科学の分野にも手を広げているが、今回はその孵化器の中に、かつてHuman Genome Projectの作業を手がけたこともある人たちによる、RNA試験の実験的開発企業Cofactor Genomicsを迎えた。

DNAと人体を構成する蛋白質との中間に位置するRNAは、DNAよりも正確でリアルタイムな診断を可能にする、と同社は主張する。DNAはあくまでも情報的であり、したがって予測的予報的な存在だ…将来の疾病の可能性は分かるが、今どうなっているかは教えてくれない。

RNAはしかも、食べ物や生活環境などの変化とともに、動的に変化する。

同社のCEO Jarret Glasscockはこう述べる: “RNAの方が、健康のバロメーターとして優れていると思う。動的に変化するから、疾病の早期診断が可能だ。DNAは予報的だが、RNAでは細胞の分子署名が早めに分かる”。

6年前にミズーリ州セントルイスで創業された同社は、すでに大手製薬企業9社と契約している。また国立衛生研究所から、約150万ドルの補助金を得ている。

彼らのRNA診断技術はとくに、癌や心臓疾患、アルツハイマー病などの早期発見を簡単な血液検査だけでできる点で、期待されている。料金などはまだ気の早い話だが、来年には診断サービスを供用開始したい、と考えている。

協同ファウンダのGlasscock、Dave Messina、Jon Armstrongらは、中西部出身の彼らが、今回シリコンバレーとのご縁ができたことによる、新たなビジネス機会に恵まれることを、期待している。

“田舎者とバカにされることはないけど、でもバレーとのコネでイメージがアップすることは確実だね”、とGlasscockは語る。

CofactorはRNAだが、ここ数年シリコンバレーでは、DNA診断企業への投資が一種のブームになっている。たとえばColor Genomicsは、乳がん遺伝子BRCA1とBRCA2を同定し、Counsylは、その人物の子どもに遺伝するかもしれない劣性遺伝子を検査する。

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デジタル時代に最適なヘルスケア

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編集部記Brian TilzerはCrunch Networkのコントリビューターである。彼は、CVS Healthのchief digital officerを務めている。

私たちはデジタルの時代に生きている。それはもう誰もが知っていることだろう。アメリカ人の3人に2人はスマートフォンを所有し、人口の86%以上はインターネットにつながっている。デジタルは私たちの人との付き合い方、働き方や買い物の方法にまで浸透したにも関わらず、健康管理についてはまだ始まったばかりだ。

70%のインターネットのユーザーは、健康に関連する情報をオンラインで検索したことがある。(自己診断で慌ててWebMD.comのサイトを見たことがあるだろう?)しかし、健康管理のためのアプリをスマートフォンにダウンロードしたことがある人は5人に1人だ。数ヶ月前の統計では、健康関連のアプリのダウンロード数はAppleのApp Storeの累計アプリダウンロード数のたった2.8%だった。

パーソナルなテクノロジーとパーソナルな健康管理が統合されることは、この上なく重要なことのはずだが、未だにこの2つはバラバラなことが分かる。パーソナルなテクノロジーは急激に普及したが、ヘルスケアはまだ追いついていない。デジタル時代は、パーソナルな健康管理をどのように促進することができるのだろうか?

スマートフォンを遠隔での診断ツールとして使用する未来を想像してみてほしい。

パーソナルな健康管理にテクノロジーを埋め込むべきだろう。デジタルテクノロジーはどこにでもあり、柔軟に構築することができるため、ヘルスケア企業にとってカスタマーのいる場所が彼らとの接点になる。コンシューマーは自分や愛する人の健康情報を個人専用のダッシュボードで管理し、ウェブやモバイル経由で簡単にアクセスできるようになる。スマートフォンのビーコン技術で、例えば薬局を訪れた際に、利用できるクーポンやリマインダを通知することもできるだろう。薬局や医療の専門家にテキストメッセージで質問し、タイムリーに1対1対のコミュニケーションを取って、必要な回答が得られる未来も想像できる。

処方を守ることで3000億ドルの節約に

最も明らかで深刻な問題を解決するのにテクノロジーは手を貸すことができる。処方された医薬品をその通りに患者が摂ることをサポートするテクノロジーだ。パーソナルなテクノロジーや法人向けテクノロジーは急速に進化を遂げたが、医者が患者に医薬品を処方し、薬局から患者に医薬品を届け、医療の専門家が患者の治療を処方通りに進める方法は、数十年間ほとんど変わっていない。医療業界が行動を起こし、古い運営手順をデジタル時代に合ったものに変えるべきだろう。

より多くのカスタマーがモバイル経由でオンラインのヘルスケア企業とつながってきている。それらのカスタマーは他と比べ、全体的に治療が処方通りに進んでいる。テクノロジーの力でトラック技術やコミュニケーション方法が改善すれば、治療が処方通りに行われないことで毎年医療システムにかかる3000億ドルの負担を削減することができる。そして結果的に何千、何万の命を救うことにもつながる。

この問題を解決するためのツールやインフラは既に私たちの指先に整っている。Apple Watchといったウェアラブルが更に普及することで、患者にとって有益で、邪魔にならない方法で処方薬の摂取を促し、処方薬がなくなれば補充する簡単な方法が整うだろう。生体情報を計測する技術が内蔵されているということは、ゆくゆくは心拍数の変化といった情報で、医療従事者が患者の処方薬の摂り忘れを探知できるようになるかもしれない。

FoursquareやNikePlusをとてつもなく有名にしたゲーミフィケーションのアプローチをヘルスケアの分野に活かす方法も検討されている。例えばMango Healthのアプリは、患者が処方薬を正しく摂るごとにポイントを付与し、溜まったポイントはギフトカードに交換したり、寄付として贈ることができる。

デジタルヘルスの未来像

これは始まりに過ぎない。スマートフォンを遠隔での診断ツールとして使用する未来を想像してみてほしい。例えば、端末にプラスチックの部品を付けて耳鏡にする。子供の耳の発症部位を自宅で撮影し、データベースの何千もの情報と照らし合わせたり、治療のためにすぐに病院の予約を取ったりすることもできるだろう。

デジタルツールをこれまでにない新しい方法で活用しようとしているプレイヤーが多く現れている。デジタルの未来の一部をここで紹介したい。

インターネットとつながるデバイスとコミュニティー
物のインターネットの分野は、デジタルでの健康管理を促進するだろう。iHealthは血圧計から簡単に使える体重計まで、インターネットにつながる多様なデバイスを製作している。健康に関する情報の計測や集積が簡単になり、情報へのアクセスも容易になる。

別の企業では1つの課題に特化している。例えば、Care TRXは吸入器をインターネットにつなげることに注力している。重要なのは、それらのデバイスと生成されるデータの周りに十分なエコシステムが構築されることだ。

歩数や心拍数を計測できることはとても頼もしいことだ。健康に関連したデータが患者自身だけでなく、医者、看護士、薬剤師やその他の同じ課題に直面する人と共有でき、より深い分析や比較検討が行われるようになることで、患者の健康状態をより素早く改善に導き、多くの人の助けとなるだろう。

革新的なビジネスモデルを構築する
糖尿病患者のための血糖値の計測器を製作するLivongoのような企業は、コンシューマーに直接提供するのではなく保険会社と協力することで患者が治療に沿う手助けをしている。

一般的な自動車保険のモデルと同様、患者は治療に沿う程度で変動する補助金に賄われたデバイスが提供される。デジタルな健康管理ツールをコンシューマーに直接提供して利用料を得るのではなく、今までにない方法を検討することで、本当に必要とする人が確実にソリューションを得られるようになるだろう。

デジタル健康管理への投資
スタートアップだけが変化を起こそうとしているのではない。大企業も彼らのリソースと専門性を活かす方法を模索している。Appleは新しいヘルスケアのアプリケーションの可能性を探しているデジタルテクノロジー企業の代表格だ。前述のApple Watchは、市場にもたらした革新的なヘルスケアデバイスの内の1つだ。

Phillipsもまた素晴らしい企業だ。Phillipsは10年以上に渡り、インターネットとつながるデバイスの分野を牽引してきた。そして彼らは、健康管理テクノロジー分野への造詣も深い。同社は、健康状態の診断と画像の研究においてMITと5年に渡る2500万ドル規模の提携を発表したばかりだ。

もちろん、ヘルスケアの分野で活躍することになるのはスタートアップやデジタル企業だけではないだろう。健康管理の分野にはまだ多くの可能性が眠っていて、人々の健康的な生活を促進する新しいデジタルサービスやツールを提供することで利益を得ることができるだろう。それは、最新で最良のモバイル端末と健康管理を統合したサービス、あるいはリモート診断技術、生体情報の計測のようなものかもしれない。今まで以上に、医療分野のプレイヤー、小売、テクノロジー企業、コンシューマーが互いに協力し、デジタル時代のテクノロジーとヘルスケアの連携について考えるべきだろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

ジョンズ・ホプキンス大学、生体組織検査用にナノメーターサイズのロボットを開発

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ナノメーターサイズのロボットを使って、非侵襲的に体内の組織片を採集する方法が動物実験段階にあるらしい。開発したのはジョンズ・ホプキンス大学のDavid Gracias教授だ。上の写真にあるヒトデ型のロボットを体内に送り込み、そして小さなサンプルを収集する。その組織を使ってさまざまな検査を行うわけだ。

このロボットは体温、pHレベル、あるいは特定の酵素などに反応するようになっている。すなわち、予め設定しておいた条件が満たされる場所に到着すると、このロボットは形を変えて組織の採取を行うのだ。

たとえば特定の温度に反応するようにしたロボット群を結腸に送り込む。ロボットは温度を検知して結腸の位置を認識し、そして形を変えてサンプルを獲得する。

送り込んだロボットのすべてがサンプルを獲得できるわけではない。ただしロボットは数千の単位で送り込み、そのうちの3分の1程度が組織片を取得することで、十分な検査対象が入手できるのだそうだ。

現在、動物実験には成功して、人間の治療に用いるための準備を進めているところなのだとのこと。動作精度を高め、さらに小型化することで、脳や血管など、身体の各所で利用できるようにしたいと考えているそうだ。

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(翻訳:Maeda, H

医薬品配達スタートアップのPillPackが5000万ドルを調達し、薬局に取って代わる

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調剤製薬の配達スタートアップ PillPackは、今回行ったシリーズCのグロースラウンドで5000万ドルを調達した。医薬品の小売店事業を開始し、RiteAidやWalgreensといった既存の薬局に取って代わる計画だ。

このスタートアップは2013年にローンチし、ユーザーのドアの前まで定期的に医薬品を届けるサービスを展開している。ユーザーは毎回薬局に足を運んで、医薬品を取りに行く必要がなくなる。PillPackは、保険会社と医師と組み、必要な医薬品をまとめ、独自のパッケージに封入する。個別のユーザーに合わせた処方薬やビタミン剤、その他のカウンター越しに受け取る医薬品を分類し、2週間ごとにユーザーが指定する配達先へと届ける。

PillPackはこれまでの2年間、堅実で順調なグロースを見せてきた。アメリカの48の州に渡りサービスを展開し、100万を超える医薬品のパッケージを送付した。彼らは配達分野でのサービスを展開しているが、今回新たに物理的な薬局をサービスの一環に加える。スタートアップとしては珍しい取り組みで、従来の小売販売を行うドラッグストアに対抗する。

しかし、医薬品の配達を行う潜在的な競合は多い。Healのような医者のオンデマンドサービスでも、医者の診療を受けた後に、必要な医薬品が自宅まで届けられる。忘れられているかもしれないが、タクシーを呼ぶサービスと類似したスタートアップのSidecarも近い内に、医薬品をユーザーの自宅まで届けるサービスを開始すると伝えている。医薬品関連のサービスで物理的な店舗の展開は、PillPackにとって他の競合にはないサービスの差別化につながるかもしれない。

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CEOのTJ Parkerは、この新しいドラッグストアは、見逃されている既存の薬局での体験に更にプラスするものだと話す。彼の目標は、昔ながらの近所の気さくな薬剤師を取り戻し、「カスタマーにとって更に心地よい体験」を提供することだとTechCrunchの電話取材に応えた。

資金のほとんどは、物理的な薬局を大きな都市部に設置することと、今後の業務拡大を見据えて、セールス、エンジニア、オペレーションの拡充に使用する予定だ。設置する薬局には2つの役目がある。PillPackが自宅に送付するより早くユーザーが医薬品を手に入れられるようににすることと、知識豊富な薬剤師にいつでも相談することができるようにすることだ。

Parkerは具体的にどこに薬局を設置するかについては口を閉ざしたが、大きな都市であるサンフランシスコかニューヨーク辺りを検討しているそうだ。PillPackの初の薬局は今年の終わり頃までには出店し、運営を開始したいという。

Charles River Ventures (CRV)が今回のラウンドを牽引し、Accel Partners、Menlo Ventures、Atlas VentureとSherpa Venturesも参加した。PillPackは昨年、累計1275万ドルを調達している。今回の調達額を合わせると、累計で6275万ドルを調達したことになる。

PillPackの役員にCRVのGeorge ZacharyがAccel PartnersのFred Destin、Atlas VentureのJon KarlenとFounder CollectiveのDavid Frankelらに加わり、ディレクターを務めることになった。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

幼児の夜驚症を防ぐLullyがシードで$2.1Mを調達、そのほかの睡眠障害にも取り組む

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夜驚症を防ぐデバイスを作っているLullyが、210万ドルのシードラウンドを終了した。同社はまた、明日(米国時間6/2)行われるアクセラレータHighway 1のデモデーにも登場し、今月中にはデバイスのベータを終えたバージョンをローンチする予定だ。

Lullyはスマートフォンのアプリとペアになった製品で、子どものベッドのマットレスの下に入れておく。夜になり、夜驚症が一般的に多い時間帯になると、親のスマートフォンに通知が来るので、親はデバイスのスイッチを入れに行く。

デバイスは子どもの下でしばらく振動して、夜驚症に導きやすい睡眠パターンの発生を防ぎ、子どもと親の両方に安心の夜をもたらす。

 

Lullyは数か月前に150家族を対象にベータテストを行い、累計5000夜のテストの結果、平均70%の睡眠改善率を達成、80%は怖い夢を見なくなった。

今のニューバージョンでは、親がいちいちスイッチをon/offしなくてよい。デバイスが自動的に子どもが良くない睡眠パターンに入ったことを検知し、自動的に自分のスイッチを入れる。

今Lullyのチームは、そのほかの睡眠障害の解決にも取り組んでいる。たとえば生後4〜6か月の子どもの75%は、夜間の不眠現象があり、それは一種の症状と見なされている。

Lullyの次の製品は、この月齢期の子どもたちを対象にする。また夜驚症対策も、自動化機能をさらに充実する。

Lullyについて詳しく知りたい人は、こちらへ

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スマートフォンを使った超ズーム撮像技法によるDNAリモート測定方法が開発された

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カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者たちが、スマートフォンの超接近撮像技法によるDNAの画像化と測定の方法を作り出した。このツールは3Dプリントで作った小さなボックスが高倍率の顕微鏡となり、幅2ナノメートルほどの小さな物でも見ることができる。

“たとえて言えば、DNAはの大きさは人間の髪の毛の1/50000の細さだ。現在、DNA分子の画像化には、巨大で高価な光学顕微鏡が必要で、よほど高度な研究施設でなければ導入できなかった。それに比べると、私が作ったデバイスの部品は相当安い”、と、このプロジェクトに関わったUCLAのAydogan Ozcan教授は言っている。

発表文から引用しよう:

このデバイスは、各種の癌と、アルツハイマー病のような神経系の疾患の遠隔診断、および、感染症における耐薬性の検出に利用されることを意図している。このカメラを使うためには、最初に目的のDNAを蛍光性タグで隔離しラベル付けすることが必要である。Ozcanによれば、このような検査手続きはリソースの限られた遠隔地でも可能である。

DNAをスキャンするために当グループはコンピュータのためのインタフェイスと、その同じスマートフォン上で動くWindows用スマートアプリケーションを開発した。スキャンして得た情報はOzcanの研究室にあるサーバに送られ、DNA分子の長さが計測される。接続の状態が良ければ、すべてのデータの処理に要する時間は10秒弱である。

今の方法では必要な機材やコンピュータがかさばりすぎて移動性がないから、これは現場の研究者にとって神様からの贈り物のようだ。チームは今このツールを使って、マラリア関連の耐薬性の検出を行っている。

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GoogleとJohnson & Johnsonが共同でロボットがアシストする手術台を開発

GoogleとJohnson & Johnsonが、両社のパートナーシップにより、ロボットがアシストする高度な手術台を開発する、と発表した。この共同事業には両社の“能力と知財と専門的知識・技術”が注入され、Johnson & Johnsonの子会社で医療機器のメーカーEthiconも参加する。

発表声明の骨子は、ロボットを利用して人間外科医を、置換するのではなく補助する点にある。それが少なくとも、このパートナーシップの現段階の主題だ。発表声明から、その趣旨的な部分を引用してみよう:

ロボットがアシストする外科手術は、侵襲性がきわめて低い手術技法であり、外科医には手術行為の間により大きなコントロールとアクセスと正確性を提供し、一方患者にはトラウマと恐怖を最小化し、術後の快癒を早める。両社は新しいロボットツールの開発を探究し、外科医と手術室の専門スタッフに、今日最良の医療機器技術と最先端のロボット工学システム、および画像とデータの分析技術を組み合わせた能力を提供する。

ロボットがアシストする手術では一般的に、人間外科医がコンピュータや遠隔操作機器を介して器具をコントロールする。それにより、人間の手が行う場合よりも細かいコントロールと精度が得られる。またその手術は、手が行う場合よりも侵襲性が少なく、したがって回復も早い。

ここに記述されている新しい手術台は、おそらく、手術関連のデータ収集や分析にも利用されるものと思われる。それらのデータの蓄積が、今後長期的には、治療技術や外科技術の向上に貢献するだろう。これまで、一部のロボットアシスト手術でGoogle Glassが利用されたが、今回のGoogleの参加は、ロボットアシスト手術の運用コストの低減にも寄与することが期待される。

出典: Business Insider

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パーキンソン病の患者が作った病態自己管理アプリMyHealthPalは研究機関へのデータ提供も目指す

【抄訳】

ウェアラブルは、その開発と利用の進展とともに、保健医療方面の応用への関心が急速に拡大している。アプリやデバイスによる健康管理が、徐々に日常化しつつある。毎日、状態を監視する必要のある患者は、とりわけ、このハードとソフトの組み合わせから得る利益が大きい。そしてもちろん、今は多くのスタートアップがこの流れに乗ろうとしている。

今日ステルスを脱したiOSアプリ+プラットホームのMyHealthPalは、ユーザに長期的な健康管理機能を提供するが、最初はとくにパーキンソン病に焦点を当て、またこれと同様の疾病も対象にする。

【中略】(投資関連)

ファウンダのMike Barlowは、2年前の41歳のとき、パーキンソン病と診断された。そして彼は、治療の効果を自分で管理し、測定し、症状の変化をチェックし、各日の気分や食事やエクササイズなどを記録する便利な方法がないことに気づいた。

そこで彼が作ったMyHealthPalは、患者の日々の各種データを、その患者用のダッシュボードに記録し表示する。

類似のアプリとしてmpowerやGluko、GlucoSuccessなど(主に糖尿病関連)がある。AppleのHealthKitとResearchKitも忘れてはならない。NEAをはじめVCたちも、こういう、個人の健康管理分野に着目している。

しかしmyHealthPalは、その疾病の患者自身がそのほかの患者のために設計した、という点が、大きなメリットだ。

myHealthPalでは、ユーザが自分のデータを匿名化して寄贈すると謝礼として売上の一部をもらえ、それが研究機関や介護施設などへユーザの名前で寄付される。それはまさに、患者たちのための共有経済だ。

この件でMyHealthPalはEUや合衆国のプライバシー規則へのコンプライアンスを重視し、また同社の技術は、合衆国の電算化医療情報保護のための法律HIPAAにも準拠している。

CEOのMary Keane-Dawsonは、こう言う: “最終的にMyHealthPalはデータ分析のプラットホームになり、研究者たちがここで大量のデータを利用できるようになる。そういう展望があるからこそMyHealthPalは、投資家と医学研究機関の両方が関心を持つビジネスなのだ”。

今現在、ニューヨークの高名な病院、Mount Sinai Hospitalで試験を行っている同社は、今後イギリスと合衆国のそのほかの機関やチャリティーなどと連携していく予定だ。

これをあえて‘市場’と呼ぶなら、不幸にしてとても大きな市場だ。国連の世界保健機構(WHO)によると、慢性疾患(パーキンソン病、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、過敏性腸症候群、HIV/AIDS、アルツハイマー病など)の患者は全世界で4億2100万人もいる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa


Yコン出身のNotable Labsは、カスタマイズされた医学検査で脳腫瘍の治療を目指す


Matt de Silvaが Thiel Capital でヘッジファンドのマネジャーとして働いていた2013年の秋、彼の父が脳腫瘍、それも侵攻性の多形性膠芽腫を患っていることを知った。

この種類の腫瘍の治療方法は限られている。de Silvaの父親は、化学療法と放射線治療を行ったとしても余命が3ヶ月から6ヶ月しかないと宣告された。この種の腫瘍を患う人の時間は15ヶ月程しか残されていない。

de Silvaはその事実に打ちのめされたが、父により良い治療を見つけることを決意した。他の治療法について調べる中で、彼は1つのアイディアに辿り着いた。それは侵攻性の腫瘍に対抗するために、既に認可されている医薬品の分子構造の組み合わせを活用することだった。

「調査する中で、多くの医師と患者がこのアプローチに対して前向きであることが分かったのですが、それを行うには充分なデータがありませんでした。」と彼は言った。

このことはde Silvaを後押しした。彼は、親友で医学部準備教育課程の学生のPete Quinzioと組み、YCの出資を受け、Notable Labsを立ち上げた。Notable Labsは、脳腫瘍患者に対し、それぞれに適した検査を行うことでアメリカ食品医薬品局が承認している化合物の最適な組み合わせを導きだす。これはすぐに医師によって処方することができる。

通常、このようなアイディアがスケールすることは難しい。開発には膨大な時間と費用がかかり、データも充分に揃えるにはそれなりの期間が必要だ。新しい医薬品が手に入れられるようになるまで、平均で29億ドルの費用と12年もの期間を要する。そこまでできたとしても、その間に腫瘍が変異し、その医薬品が効果的でなくなることもある。

Notable Labsは、研究室での運頼みの実験や時間を削減する為に、別のYCの出資を受けるAtomwiseの予測分析手法を使用する。そしてカスタマイズされた装置で、短い時間に何千もの組み合わせの医薬品を検証することを可能にした。

調査する中で、多くの医師と患者がこのアプローチに対して前向きであることが分かったのですが、それを行うには充分なデータがありませんでした。

— Notable Labs 共同ファウンダー、Matt de Silva

2014年の8月、Notable LabsはFounders Fund、First Round Capitalと、Steve Caseが率いる非営利組織のAccelerate Brain Cancer Cureから出資を受けた。Notable Labsは研究者を初めてUCSFから迎え、サンフランシスコのSOMA地区にあるオフィスビルの一階のシェア研究所を借りて活動している。

de Silvaは、シェア研究所内で彼らが借りているデスクスペースやシェア研究所の自由に使用できる高額な設備を紹介して回った。その後、彼らが研究に使用している保存室へと行き、Pythonで走るカスタマイズされた機械の説明をした。

一人の研究者が青いゴム手袋をはめ、ガラスで区切られた実験エリア内でシャーレに乗せた腫瘍細胞を扱っている所だった。de Silvaは、部屋の隅に置かれた保冷庫から赤い溶液で満たされた透明な箱を取り出した。その箱は、ちょうどサンドイッチを入れるタッパー程度の大きさだった。

「液体の中に小さな浮遊物があるのが見えますか?これは、父の腫瘍の細胞です。」と彼は説明した。

de Silvaは脳腫瘍の細胞とそれらの変異した細胞は検証に適していると言う。「これらは、一定のスピード、それも早いスピードで3次元のスフェロイドを形成し、実際の腫瘍をシミュレートします。」と彼は言う。

各種の変異した細胞でも検証を行うことができ、Notable Labsの方法を用いれば、無数にある医薬品の組み合わせを、その場でそれぞれの患者に則したものにアップデートすることができる。

de Silvaは、今度はたくさんの小さな四角に区切られた黒い容器を取り出すと、それぞれの四角の窪みに液体と細胞を入れると説明した。細胞は容器の下の方に沈み、様々なテストが行われる特別な機械へと入れられる。窪みの中には、それぞれ別の組み合わせの化合物が入れられ、どれが腫瘍に対して効果があったかを検証する。医薬品の効果、安全性、腫瘍の抑制といった点から優先すべき医薬品を導きだす。その情報は患者の医師の判断の為に伝えられる。

現在Notable Labsの研究対象は、脳腫瘍の治療に焦点が当てられている。それにはいくつか理由があるが、de Silvaにとって最も重要なことは、脳腫瘍の患者は治療方法の選択肢が乏しいことを解決するということだ。

残念ながらNotable Labsが、de Silvaの父親の病を治す最適な組み合わせの医薬品を見つけるには時間が足りなかった。彼の父が脳腫瘍に屈したのは、一週間半前のことで、それは脳腫瘍の診断を受けてからちょうど15ヶ月のことだった。

父を亡くしてまだ日も浅いが、それでも始まったばかりのスタートアップを前に進められる理由についてde Silvaに聞いた。彼は、父のような脳腫瘍を患う人により良い治療を届けたいという思いが今まで以上に強くなったと答え、その声には固い決意が感じられた。

「父のおかげでNotable Labsがあります。」と彼は言った。

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(翻訳:Nozomi Okuma / facebook


新薬の候補物質をスパコン+ニューラルネットで迅速に見つけるAtomwise

カリフォルニア州Mountain Viewの彼のアパートから電話に出たAtomwiseの協同ファウンダAlex Levyは、“医者や薬屋に行かなくても、自分の家で、はしかの治し方が分かるんだよ”、と言った。

Y Combinatorの今の‘在学生’であるAtomwiseは昨年、一般的によくある疾患や、希少疾患の治療法を見つけるためのプロジェクトを10以上ローンチした。いずれも、治療に費用や時間がかかりすぎる病気だ。同社はエボラ出血熱ではIBMと協働し、はしかの治療法ではカナダのダルハウジー大学と共同研究をした。Levyによると、同社は、多発性硬化症の治療薬候補を見つけるために、わずか数日で820万種の化合物を調べた。

一般的に、新薬を開発して市場に出すまでには平均12年の年月と約29億ドルの費用を要する。開発される薬のうち、めでたく家庭の薬棚に収まるのは、ごくわずかだ(治験にまで行くのは5000件の研究開発案件のうち、わずか1つ)。

まだ存在しない仮説的な薬を調べることもできる。

—-Atomwise協同ファウンダAlex Levy

Atomwiseは、スーパーコンピュータと人工知能と、何百万もの分子構造を調べる特殊なアルゴリズムを使って、新薬発見のローコスト化を実現しようとしている。

“それはまるで超人の脳みたいに、何百万もの分子を分析してそれらの作用を、数年ではなく数日で調べる”、とLevyは言う。その仮想薬物発見プラットホームは、ディープラーニングを行うニューラルネットワークがベースだ。それは、既存の薬の分子構造と作用に関する何百万ものデータポイントを自分で学習するところから、仕事を開始する。

Atomwiseが使っているディープラーニング技術は、GoogleのDeepMindと同じようなタイプだが、応用の対象が医薬品という重要な分野だ。症状と治療薬のペアを見つけていくこの技術は、理論的にはまだ存在しない、今後ありえるかもしれない病気の治療薬を見つけて、何百万もの命を救うかもしれない。

“まだ存在すらしていない仮説的な薬を調べることもできる”。とLevyは言う。“新しいウィルスが登場すると、Atomwiseはその弱点を見つけて仮説的な治療法を素早く特定し、テストできる”。

また、現在市場に出回っている薬の化学構造をあらためて調べて、既存の疾患の治療可能性を見出すこともある。Atomwiseは今、FDAに承認され市場に出回っている薬の分子構造を調べて、エボラ治療薬の候補を見つけようとしている。

[写真: 細胞上で増殖するエボラウィルス]

今、多くの医療専門家たちが、今後20年で抗生物質耐性菌が急増して、あらゆる抗生物質が効かなくなり、巨大な医療危機をもたらす、と警告している。Atomwiseのスーパーコンピュータは、そんな手強い菌にも効く薬を見つけるかもしれない。

Atomiseが見つけた化合物がいきなり家庭の薬棚にやってくるわけではないが、しかし大量の分子構造を調べて候補を見つけるという作業を、コンピュータが短時間でやってくれることは、ありがたい。原理的には人間研究者は、そのあと、つまり候補物質を調べるという作業だけをやればいいから、新薬発見〜市場化に要する時間も短縮されるはずだ。

ただしAtomwiseはまだ若い企業で、治験にまで行った薬はまだ一つもない。製薬業界にとっては、大助かりな技術と思えるけど。

“もちろん試験は必要だけど、そこに至りつくまでの推量的作業を、すべてうちが代行できる”、とLevyは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa


民間遺伝子検査スタートアップ23andMeをFDAがやっと認可…今回はブルーム症候群のみ

合衆国食品薬品管理局(U.S. Food and Drug Administration, FDA)は23andMeに、ブルーム症候群(Bloom Syndrome)の遺伝子検査キットの販売を認めた。

ブルーム症候群は希少な劣性の遺伝子疾患で、背が低いことと、がんになりやすい性向がその特徴だ。この疾患を持つ子の親には、その症状がまったくない。

23andMeは、医療機関等ではなく消費者に直接、遺伝子検査を提供しているので、個人が自分の遺伝子にブルーム症候群の形がある/ないことをチェックでき、その疾患を持つ子が生まれないように努めることもできる。

23andMeは2013年に、家庭用遺伝子検査キットの販売を停止するよう命令された。FDAの承認を得るための必要条件を、満たしていなかったからだ。そのキットは254種の疾病マーカーを検査できた。FDAはこれらのキットを医療器具と分類し、一般大衆に売るためには認可が必要、とした。今回のように医師の承認なくFDAがこの種の検査を承認したのは、初めてのことだ。

FDAはブルーム症候群のキャリアスクリーニングテストをclass IIに分類している。それは、消費者直販をするためには特別のコントロールが必要、という意味だ。このキットは発売前のFDAによるレビューを、免れている。

FDAのCenter for Devices and Radiological Healthの、標本検査室長Alberto Gutierrez, Ph.D.は、“消費者が直接、自分や家族の個人的遺伝子情報を、FDAに認可された専門企業等から得なければならない必要性はほとんどない、とFDAは信じている”、と言っている。原則として23andMeのような民間企業はなくてもよい、という立場だ。

今回の承認は対象がブルーム症候群というたった一つの遺伝子異状に限られている。しかし今後は、そのほかのタイプの遺伝子検査も認められるかもしれない。23andMeのCEO Anne Wojcickiはブログ記事で、“今回の認可により、今後の公的認可申請のための足がかりができた”、と書いている。

彼女は曰く、“この認可は一つのキャリアのステータスを検査するだけだが、今後はもっと多くの検査の認可を得て、総合的なプロダクトを揃え、合衆国の顧客に健康情報を提供していきたい。それが、うちの使命だ”。

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ほとんどの種類のAIDSウィルス(HIV)の細胞付着を阻止できる新しい化合物を発見

HIVを阻止する新しい化合物が、すでに30年にも及ぶAIDSワクチンの研究に対する答かもしれない。

National Institute of Allergy and Infectious Diseases(国立アレルギーおよび感染症研究所)の科学者たちによると、彼らが発見した新しい化合物は、通常の抗体のような蛋白質を細胞中に作るが、そのY型の頭部が、AIDSを起こすウィルスに対するブロッカー(遮断因子)として働く。

HIVはスパイクにおおわれていて、細胞内の二つのレセプターに付着しようとする。抗体は一つのタイプのスパイクをブロックできるが、ほかはできない。新しい化合物は、eCD4-IGという蛋白質を作り、ウィルスが細胞に付着しようとするときに、両方の接合スパイクをブロックする。

ウィルスをブロックするこれまでの方法は、さまざまな抗体のミックスにより、1〜2種類のウィルスをブロックできた。しかしこの方法は、効率が悪いことが多かった。

この新しい実験的な化合物は、猿に対するテストで、もっとも毒性の強い種類のHIVに対しても有効、と実証された。テストで新しい化合物を投与された4匹の猿は、昨年いっぱい何度も再感染を試みられたが、今でもHIV陰性だ。このプロジェクトを進めている科学者たちは、それが有効なAIDSワクチンが得られた証だ、と信じている。

プロジェクトの指導研究官、ドクターMichael Farzanは、声明文の中で、“われわれの化合物はこれまで記述があるものの中では、もっとも幅広くもっとも強力な侵入阻止素材だ”、と言っている。

National Institute of Allergy and Infectious Diseasesの部長であるドクターAnthony S. Fauciも、Farzanに同意している。彼は、“それはとてもすばらしいし、その方法にはきわめて将来性がある。今はまだ動物実験の段階だが、今後はヒトで治験して効果を検証する必要がある”、とNew York Times紙に語っている。

この研究の初出は、Nature誌だ。

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Google、健康医療関連情報もナレッジグラフで提供開始

Googleはセマンティック検索を進化させ、検索用語により深く関連する内容を通常の検索結果よりも前に表示するといったサービスを強化しつつある。そしてこの度、健康関連の検索についてもセマンティック検索の機能を取り入れることを決断したようだ。

Googleによると、Googleプロダクトからの検索のうち、20件に1件は健康関連のものであるらしい。

具体的には健康関連の検索について「ナレッジグラフ」を表示していくという話で、こちらのブログでアナウンスされている。GoogleのプロダクトマネジャーであるPrem Ramaswami曰く、病気の症状を入力する際には医療的な情報を求めている人が多く、そのニーズに対応しようとしているのだとのこと。

一般的な症状や治療法などに加え、緊急を要する症状なのか、伝染の可能性はあるのか、とくに気をつけなければならない年齢はどのくらいなのかなどといった情報も提供していきます。いくつかの症例については協力機関から入手した詳細なイラストで症状を解説します。まずナレッジグラフ経由で基本的な情報を入手すれば、その後に検索すべき内容や、医者に問い合わせるべき内容をわかりやすく把握できると思うのです。

Ramaswamiによれば、Googleは「複数の医師」と協力し「役立ちそうな情報を丁寧に集めている」とのこと。「協力してくれる医師たちや、ウェブ上にあるさまざまな医療系サイトからの情報を集めたもので、集約して情報を提示するナレッジベースの内容についてもGoogle社内の医師やメイヨークリニックによって精査しています」ということらしい。

健康関連の情報については、Googleで検索してみても、間違った情報ばかりが表示されるという悪評もあった。Googleとしては、そうした評判に対抗して、正確な情報を提供できるような仕組みを整えようとしているのだろう。

そしてもちろん、健康関連というのは今後のデジタルサービス(とくにモバイル分野)において主要な戦場になるという見込みもあるのだろう。この分野に早い段階から注力することにより、スタンダードとしての地位を獲得したい狙いもある。医者にいって「ネットでも調べてみたのですが」などと言っても、現在はほとんど相手にされないという状況だ。そういう状況が近く変わるのかもしれない。

(もちろんGoogleのこのサービスは医療行為の代替を目指すものではないと強調している。利用者の知識を「深める」ためのものであるとのこと。ただしそうは言ってもGoogleは最近、ライフサイエンス分野に深い関心を示してはいる。そうした中、提供される情報も「医療行為」に近いものとなっていくことは考えられる)

当初は一般的な症例を案内する程度のものとなるが、それはほんのはじまりに過ぎないと言えるだろう。医療界の百科事典的な存在として機能していきたいという狙いがあるはずだ。今後もさらに医療健康系に力を入れてWebMDなどが存在感を示している領域にも進出していくことになるだろう。

現在のところは英語のみの対応だ。しかしRamaswamiは次のようにも言っている。

取り扱う病状の範囲を広げるだけでなく、多言語対応も進めていきたいと考えています。凍傷やテニス肘、あるいは麻疹の症状について、世界中の人々にGoogleアプリケーションを通じた情報提供を行なっていく予定です。

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(翻訳:Maeda, H


生体サンプルによらず血液でリアルタイムにがんを検査するGuardant Healthが$50Mの新資金を獲得

バイオプシー(biopsy)をせずに血液でがんを検査するテスト方法Guardant360を提供しているGuardant Healthが今日(米国時間2/3)、シリーズCで5000万ドルを調達したことを発表した。これで同社の資金調達総額は9000万ドルになる。今回のラウンドはLightspeed Venture Partnersが仕切り、Formation 8と、これまでの投資家Khosla VenturesSequoia Capitalが参加した。

同社が血液によるがん検査を初めて商業化し、Guardant360を立ち上げたのは約1年前だ。それはバイオプシーによらず、同社独自のDNA配列を利用することによって、同社によれば、がん細胞内の遺伝子の変異が医師にとってよく分かるようになる。

これまで医師たちは、バイオプシーを採ってラボに送り、検査させていたが、それは結果が出るまでに時間がかかっていた。しかもがん細胞は変異して従来の治療が効かなくなることがあるが、医師が、ある治療法が実際に有効かどうかを事前に知ることは難しい。Guardant360は、血流の中に入り込んだ腫瘍片のDNAを取り出し、その腫瘍のゲノムを配列して、それにマッチする正しい治療法を見つける。

Guardant360は、バイオプシーの代わりに血液を使ってリアルタイムで、乳、肺、皮膚、および前立腺のがんを検査する初めての商用製品だ。

世界のがん検出市場は、利益性も高い。その売上規模は2020年に1690億ドル近くになる、と予想されている。IlluminaやSequenom、Foundation Medicineなども、同様の、血液によるがん検査の開発を計画中であると言っている。Guardant Healthによれば、腫瘍学者/専門医の中でハイテクによるソリューションを利用している者はわずか30%だそうだ。

同社は今回の資金を、会社の成長と、医師たちに対する同社製品の普及活動に充てていきたい、としている。Guardant HealthのCEO Helmy Eltoukhyは、“この新たな資金により事業の規模を拡大して、バイオプシーフリーの血液検査に対する大きな需要に応え、医師たちが患者にとって効果の高い治療法を見つけるお手伝いをしたい”、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


DeNA、ヘルスケア領域での”次の一手”は健保向けサービス-住友商事と合弁で

2014年には遺伝子解析サービス「MYCODE」を開始してヘルスケア領域に踏み込んだディー・エヌ・エー(DeNA)だが、今度は健康保険組合向けの事業を開始する。DeNAは2月3日、住友商事と合弁会社を設立し、新サービス「KenCoM(ケンコム)」を4月から提供することをあきらかにした。

合弁会社の社名はDeSC ヘルスケア(ディーエスシーヘルスケア)、3月設立予定で、資本金は3億円。出資比率はDeNAは51%で住友商事が49%。代表者代表取締役社長にはディー・エヌ・エー ヘルスケア事業部事業部長の大井潤氏が就任する。大井氏はMYCODEを運営するDeNAライフサイエンスの代表も兼任する。

KenCoMでは、利用者の健康データを一元管理し、利用者の健康度に応じた情報提供を行うという。具体的には、健康診断情報を取り込んで時系列で管理・閲覧したり、その健康データや興味・関心もとにユーザーごとに最適なコラムやニュースを提供する。DeNAいわく「これまでに培ってきたゲームや各種サービスのノウハウを活用し、より健康に関心を持って飽きることなく続けていただく仕掛けが随所に盛り込まれます」とのことだ。

厚生労働省では現在、健康保険組合に対してレセプト(医療報酬明細)等のデータの分析、そしてその分析に基づく組合加入者の健康保持増進にむけた「データヘルス計画」の策定と実行を求めているという。DeNAで現在、複数の健保組合に対して導入を提案している。


病院の救急部門のリソース必要量を予測するAnalyticsMD

【抄訳】

AnalyticsMDY Combinatorの今年の新卒で、難しいけどとても重要な問題に挑戦している。それは、病院のスタッフによる、リソースのアロケーションに関する選択を最適化して、仕事の効率を上げると同時に患者のケアをより充実させることだ。ファウンダたちは、自分たちのプロダクトを“病院やヘルスケアシステムのための航空交通管制官”、と呼んでいる。

そのサービスは、リアルタイムの分析に基づいて、求められている変化を予測し、スタッフやベッドの増員増設をそれが実際に必要になる前に配備できるようにする。それによって、救急室の待ち時間が一定の限度を超えたり、患者のケアの質が劣化することを未然に防止する。それはHIPAAに準拠したSaaSで、サンフランシスコベイエリアの大型病院をはじめ、いくつかの医療機関がすでに採用している。

AnalyticsMDの心臓部は大規模な機械学習による予測エンジンで、協同ファウンダのBrent NewhouseとMudit Gargによれば、それが、電子的医療記録や、スタッフ充足システム、外来患者数、ベッドのセンサ、緊急呼び出しボタンのデータ、天候情報、季節的疾病情報、地域のイベント情報などなど雑多なデータ信号を全変域にわたり摂取して、そこにリソースの需要予測に結びつくパターンを見つける。

その基本的なコンセプトは、“マシンに十分な量のデータと学習アルゴリズムを与えてやれば、パターンを見つけるか、少なくとも、今後起こりそうなことを適正な精度で見つけ出す”、というもの。実際にAnalyticsMDは、ベッドの増設必要量などを、実際に必要になる一日前までに予測できる。

またそのソフトウェアはリソースの需要の確率を計算するだけでなく、それらの増員増設に伴う費用と、医療サービスの質や患者の満足度も算定する。そしてそれらに基づいて、意思決定のためのリコメンデーションを出力する。

“予測の生成には不確実な面が必ずあるので、意思決定のための最終出力には、新規リソース導入の費用やメリットといった別の要素も加味しなければならない”、とGargは述べる。

“生産技術の分野から借りた考え方だけど、患者の数が23人になります、という特定の値を出すことよりも、重要なのは予測の分布だ。その分布空間の次元に、費用や満足度などがあるから、それらを勘案して最終的なリコメンデーションを作る”、とNewhouseが言葉を足した。

“予測の分布の履歴を知っていれば、最適費用や最小費用に基づいて比較的無難な意思決定を導ける。明日の患者の数が正確にわからなくても、費用に基づいて、保守的に行くならこれ、十分余裕を見るならこれ、というリコメンデーションができるのだ”。

複数のデータ信号をダッシュボード上に視覚化して見せるソフトウェアは多いが、しかしそれでは、スタッフがそこから何かを正しく判断することが難しい。AnalyticsMDのように、データの解釈==リソースの需要予測までやってくれて、しかも一定の幅のあるリコメンデーションを出力するサービスは、新しいと言える。

【後略】

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薬の治験のセットアップと管理を支援するSaaS goBaltoが$12Mを調達

薬の治験をより容易に、そしてより迅速にするサービスgoBaltoが今日(米国時間1/20)、Mitsui Global InvestmentとDolby Family Venturesから新たに1200万ドルを調達した、と発表した。

これで2008年にサンフランシスコで創業されたgoBaltoの資金調達総額は3100万ドルになる。同社の企業向けSaaSは、治験の初めの部分を管理する。そこでは製薬会社が、治験を行う場所を編成し、患者を見つけ、当局に許可を申請しなければならない。

多くの企業やその研究部門がExcelのスプレッドシートやメール、電話などを駆使してそのタスクを行いがちだが、goBaltoはその全過程がより円滑に効率的に流れるよう、図っていく。治験は複数の国にまたがって行われることが多いので、これまでは最大で18か月も要していた。

同社はこの新たに得た資金を、55か国にわたるグローバルなカスタマサービスと技術的サポート、マーケティング、および製品開発とその工程の改善に充てていく。goBaltoは今そのソフトウェアの、治験のための適切な場所と患者の確保を支援する部分の改良に注力している。

同社によると、今行われている大手製薬会社による治験のおよそ半数が、少なくとも部分的には、goBaltoを利用している。

goBaltoのCEO Sujay Jadhavは同社のソフトウェアのことを、“治験のためのTurboTaxであり、インテリジェントなワークフローがソリューションに導く。その過程全体を自動化できる”、と説明している。

これまでの治験のやり方に比べて、goBaltoを使った場合には治験に要する時間が最大で30%節減されるので、製薬会社や研究機関は新薬をより早く市場に投入できる、という。

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光療法で頭髪を成長させるiGrowはまるでSFのようにクール、というかSF映画の小道具のよう

おヘアがうすくなってきた方に、朗報。Apira Scienceという新進企業が、低光療法(low-light therapy)…弱い光(レーザー、赤外線など)を当てる療法…で、もうすぐあなたのヘアを育て、お顔のお肌も若返らせてくれる。

信じられない?

私もそう思ったから、同社の製品iGrow(ヘア用)とiDerma(お肌用)をチェックしてみた。

同社によると、この技術はFDAの承認を得ており、大規模な試験により有効性を実証している。とはいえ、光療法で髪を伸ばし、肌をきれいにする、というアイデアは比較的新しい。

製品にはiPodにつなぐヘッドフォンがついている。ユーザはiGrowとiDermaの両方を、週に4回、各回25分以上装着しなければならないから、賢明なアクセサリだ。

お肌が若返るiDermaはまだ開発中で、その予価は300から400ドル。iGrowは600ドルあまりだ。

詳しくはここで

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ウェアラブルとコラボレーションで保健医療が変わる

[筆者: Unity Stoakes]

編集者注記: Unity Stoakesは、StartUp Healthの協同ファウンダで社長。

デジタルヘルスケア市場の勃興とともに、大手テクノロジ企業はそこにビジネス機会を求めて、パートナー探しの動きを開始している。

12月の初めには、Google Glassのチップの提供企業がTexas InstrumentsからIntelに変わった。またGlassをヘルスケアワーカーや医師たちの仕事の現場に持ち込むことを考えているGoogleは、Glassを使って電子的な健康データを記録閲覧するアプリケーションを、ローンチするかもしれない。

IntelとGoogleという巨大テクノロジ企業が協力して、ウェアラブル技術のヘルスケアへの利用を進めていくという動きには、将来性が感じられる。しかしそれに対する業界全体のコラボレーションは、まだ始まったばかりだ。

ウェアラブルの今の利用はもっぱら活動追跡(activity-tracker)に集中していて、ヘルスケアへの本格的な応用はまだまだこれからだ。ヘルスケアの消費者化という動きと、それを自らのプロダクトやサービスで促進しようとするテクノロジ企業の姿勢は確かに見られるが、今もっとも積極的に初期的なイノベーションが進んでいるのは、ウェアラブルによるヘルスケアの革新だ。

ヘルスケアという業態には、法や政府による規制と、製品開発に要する時間が長い、という二つの重荷がある。成功するプロダクトを市場に出すことは、大企業にとっても、生まれたばかりのスタートアップにとっても、ともに困難な課題だ。スタートアップにはアドバイザーと仲間とお金が必要だし、大企業には‘買ってすぐに使える’イノベーションを抱えた起業家が必要だ。今日のヘルスケア市場には、前例のない大きな変化が起きようとしているので、大企業とスタートアップのどちらにとっても、目の前に挑戦と機会の両方が横たわっている。

弊社のポートフォリオ企業の一つである、初期的段階のウェアラブルスタートアップBASIS Scienceを見てみよう。BASISは起業家たちのネットワークと彼らのイノベーションに助けられ、継続性のあるサポートインフラストラクチャを獲得して、順調にスケールしていた。そのため2014年の3月には、Intelによる買収につながった。

ウェアラブルのイノベーションは今日、活動追跡を超えて生活の質の改善や、ウェアラブルだからこそできる貴重なデータの収集や利用へと広がっている。たとえばMC10は、家庭用診断/モニタリングツールをいくつか開発しており、その中にはリモートでスマートフォンからモニタできる赤ちゃん用のパッチもある。

Googleは製薬会社のNovartisとパートナーしてスマートコンタクトレンズを開発している。主に、装着者の血糖値をモニタすることが目的だ。Oxitoneは世界初の‘健康ブレスレット’を作り、それを使うと、肺や心臓関連の異状を継続的に監視できる。またCeroraのヘッドセットは、脳震盪など脳の傷害や、アルツハイマー病の診断などができる。

Intelがヘルスケアに進出したことは、今の時代が、ビッグデータ分析や多様なセンサやインターネットに接続したデバイスによって、ヘルスケアの革命が始まっている時代であることを、物語っている。そこに、多くのビジネス機会があることは、疑う余地もない。

私たちが今生きているこの世界は、身の回りのあらゆること/ものにテクノロジが浸透していきつつある世界だ。ベッドも車も冷蔵庫も、かなたのアプリケーションやプロダクトが私たちのことをより良く理解するためのデータを集めて送る。これからは起業家たちが、そういう多様なイノベーションを製品化して、ヘルスケア産業と新しいエキサイティングな方法でパートナーし、共にヘルスケアを作り変えていくだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))