“高級輸入車も売れる”C2Cの中古車マーケット「Ancar」が4億円を調達、カギは整備工場とのネットワーク

中古車を個人間で売買できるマーケットプレイス「Ancar」。同サービスを展開するAncarは10月29日、ベクトル、AGキャピタル、クロスベンチャーズ、個人投資家らを引受先とした第三者割当増資により総額4億円を調達したことを明らかにした。

同社にとっては2016年10月に日本ベンチャーキャピタルやニッセイ・キャピタルから約2億円を調達して以来、約2年ぶりの資金調達となる。今回調達した資金を基に新機能開発や人材採用、マーケティングを強化していく方針。具体的には購入ユーザー向けのローンやリース機能の追加、クレジット決済機能の導入などを進めるという。

近年メルカリを筆頭に、オンライン上にて個人間でモノや情報を売り買いできるC2Cマーケットプレイスが増えてきた。Ancarはその中古車特化版のサービスと言えるだろう。

一般的な中古車売買の構造では、売り手と買い手の間に買取業者やオークション業者、販売店など複数のプレイヤーが介在する。そのため中間コストが余分にかかり、売り手の売却額と買い手の購入額の間に大きな開きが出ていた。

Ancarの場合は買い手と売り手を直接マッチングするため、中間業者に支払う手数料を削減できるほか、消費税も非課税。結果的に従来の仕組みに比べると売り手は高く売りやすく、買い手は安く買いやすい。売買が成約した際にのみ双方から5%ずつ、合計10%のシステム利用料がAncarに支払われるモデルだ。(任意のオプション代のほか、輸送料や名義変更などの諸費用は別途買い手が負担)。

とはいえ、このような特徴は何もAncarに限った話ではなく、C2Cのサービス全般に言えること。それこそメルカリ上でも中古車の個人間売買はされているし、GMOカーズの「クルモ」や中古車の買取・販売大手のIDOM(ガリバー)が展開する「ガリバーフリマ」など特化型のフリマサービスも存在する。

中間コストや消費税をカットできるのはAncarの特徴のひとつではあるものの、それ以上に同サービスのウリと言えるのが購入前後のサポートだ。

「(扱っている商材が)車という特性上、高額であると同時に命に関わるものでもある。だからこそ売買のハードルを下げながらも、安全性や信頼性の担保も必要。ユーザーにとって安心できる場所じゃないと、高単価の車種を売買するのは難しい」(Ancar代表取締役の城一紘氏)

Ancarでは初期から売買のハードルとなる手続き面のサポートや、安全性を担保するための情報開示を行ってきた。

売り手ユーザーは車の写真を撮影し基本情報を入れればすぐに出品できる反面、買い手が購入前に整備工場へ無料で点検依頼できる機能も実装。気になった車の状態を第三者のプロに診断してもらえる仕組みを整えた。また車の輸送はもちろん、Ancarでは名義変更や車庫証明もサポートする。

中古車の売買に特化したC2Cサービスではいくつか近しいサポートを行っているものはあるが、事前点検から一連の工程をまるっとカバーしているのは珍しい。この仕組みを実現する上で不可欠な要素が、全国にある自動車整備工場とのネットワークだ。

Ancarでは2016年に整備工場の検索サービス「Repea(リペア)」をリリース。全国約1000店舗の整備工場と提携することで、ユーザーが車を取引する際のサポートはもちろん、アフターケアも充実させることができている。

結果的にAncarで売買される中古車の平均成約単価は約250万円と高く、城氏も「高級輸入車が多いのはひとつの特徴」と話す。

もちろん良い仕組みが整っていても肝心のユーザーが集まらなければビジネスとしては成立しないため、Ancarでは前回の調達以降、売り手ユーザーの集客や出品体験の改善に注力。1年前と比べて売却価格の査定件数や出品台数も約20倍に増え「暗闇の中で試行錯誤を続けてきた結果、出品量の確保については目処が立ち始めてきた」(城氏)という。

そんな状況下での今回の資金調達。集めた資金は出品者集めを加速させるためのマーケティング強化に加え、購入者側の体験改善に向けた新機能開発やそれに関わる人材採用に用いる計画だ。

たとえば購入者に対しては現在の現金振込のみの決済方法だけでなく、ローンの提供やクレジット決済の対応を早ければ2018年内に開始する予定。Repeaに登録されている整備工場とユーザーをAIでマッチングする機能などを導入していく計画もあり、サービス間の連携を強化して購入後のケアを受けやすい仕組みを整える。

また車を保有するにあたってのハードルと言える保管場所の問題や、保有コスト、次の買主が決まるまでの駐車場問題に関しても、それらを解決するサービスを新たに始める方針だ。

「Ancarというサービスだけではこの仕組みは成り立たない。Repeaと両方がうまく回ってこそ、ユーザーにとって安心でき、価値のあるサービスになる。そういった意味では単に中古車の売買を効率化したいわけではなく、買った後のメンテナンスや困りごとの解決など、ユーザーのカーライフをトータルでサポートしていきたい」(城氏)

NY発ライドシェア 「Via」街や交通機関との“パートナーシップ”を重視した日本戦略とは

海外と比較すると、ここ日本においてライドシェアは圧倒的に盛り上がりが足りていない。タクシー業界による猛反対や、第二種運転免許を持たないドライバーが運賃を取って自家用車に乗せる“白タク”と呼ばれる行為が禁止されていることがその背景にある。だがそんな状況にも関わらず、2012年にニューヨークで設立されたライドシェア・スタートアップのViaは2018年8月に日本での実証実験を開始した。

写真左がTechCrunch Japan編集部の菊池大介、右がViaのDavid Adelman氏

同社でVice President of Global Partnershipsを務めるDavid Adelman氏によると、Viaのミッションは「世界で最も効率の良いオンデマンドでダイナミックなシャトルサービスOSを街、タクシーやバス会社、交通機関などに提供する」こと。他社とは違い既存の業界などとのパートナーシップを重要と考え、争うことなく「共に成長すること」がViaの戦略であるため、日本での定着・成長も大いに期待できると話す。加えて、日本の社会的課題を解決することに関しても同社はとても意欲的だ。

Adelman氏は10月17日、幕張メッセで開催されたCEATEC Japan 2018にて「米国テクノロジー最前線 – Society5.0に向けたMobilityの可能性」と題されたアメリカ大使館主催のキーノートセッションに登壇し、僕がモデレーターを務めた。当日のセッションの内容も踏まえた上でViaの日本での戦略を紹介したいと思う。

これまでに420億円もの資金を調達しているViaのライドシェア数は2013年から累計で4000万以上、月間ライドシェア数も200万以上あるという。ニューヨーク、ワシントンDC、アムステルダム、ロンドン、そしてシカゴでの会員数はおよそ100万人。アメリカとヨーロッパ以外でもオーストラリアやニュージーランドで同社のシステムが使われている。

前置きが長くなったが、ここでViaのサービスが一体どのようなものなのか、説明したい。まず乗客はアプリを使い乗車を予約。アルゴリズムは1、2秒ほどで乗客とドライバーをマッチングし、乗客には「バーチャル・バスストップ」と呼ばれる乗車位置に移動するように指示が来る。乗客は最寄りの交差点などまで歩く必要があるが、これはViaの特徴の一つだ。車両に同じ方向に向かう乗客5、6人ほどを乗せるSUVを使うので、家の前まで迎えに行くなどの“寄り道”を省くことで目的地までなるべく短いルートで進むことができる。

ニューヨーク、ワシントンDC、アムステルダム、ロンドン、そしてシカゴで提供しているのは自社が直接Cに向けて提供するサービスで、アメリカでは「Via」、ヨーロッパではメルセデス・ベンツとのジョイントベンチャー「ViaVan」として展開。他の地域ではパートナーと共にサービスを展開する形を取っている。

水色のエリアでは「Via」もしくは「ViaVan」、青色のエリアではパートナーと連携したサービスを展開している。

パートナーには乗客・ドライバー向けアプリだけでなく、アルゴリズムやノウハウも提供する。アルゴリズムやブランディングはパートナーに合わせてカスタマイズさせるのだという。その一例が8月1日より森ビルと共同で実証実験を行なっている「オンデマンド型シャトルサービス」の「HillsVia」。実証実験は2019年7月末までの1年間実施される予定だ。

森ビルが料金を負担し、社員が無料で乗れるようにすることで、禁止とされている“一般車両への相乗り”の実験を可能とした。ドライバーは一般人ではなく、運転手派遣会社のプロたちだ。

HillsViaを通じ、森ビルは「Via社独自開発のアルゴリズムを採用することで、交通渋滞や環境負荷など都市交通が抱える課題の解決に寄与すると共に、都市における移動手段の選択肢を増やすことで、より豊かな都市生活を実現すること」を目指す。

メルセデス・ベンツがこの実証実験の趣旨に賛同し、最新の車両を提供。言うまでもなく、ダイムラーはViaに出資している。ドライバーを含め7人が乗れる最新の車両が4台用意されており、東京都港区を中心とした所定エリア内で平日の午前8時から午後7時半の間で走らせている。僕も都内で何回か走行中のHillsViaバンを目撃したが、見るからに“高級”なので是非乗ってみたいと思ったほどだ。

この実証実験では森ビル社員約1300名を実証実験の対象者とし、出勤時、外出時、帰宅時などの利用を通じて様々なデータを取得することでサービスの有用性と発展性を検証する。社員はViaが森ビルのために用意したスマホアプリを使い、現在地と目的地を設定。同じ方向へ向かう同僚などと共に乗車する。

Adelman氏いわく、森ビルとの実証実験の開始以降、同様のシステムの導入について「数々の企業」から声がかかっており、すでに導入に向けて動き始めているという。だが、Viaの日本でのミッションは従業員用のシャトルを提供するだけに止まらない、と同氏は付け加えた。「日本では規制が厳しいため、他の国々で行なっているようなサービスを展開するのは安易ではない」ものの、将来的には同社のサービスをこの国でも「誰もが利用できるようにしたい」(Adelman氏)

ここ日本においてライドシェアは僕たち若者や働く世代だけでなく、高齢者にとっても便利なサービスとなるだろう。田舎だとバス停まで遠かったりするので、家の近くまで来てくれるライドシェア ・サービスは重宝されるのではないだろうか。上で説明した通り、Viaのサービスはパートナーに合わせてカスタマイズが可能なので、スマホが使えない高齢者に合わせて電話予約ができるようにしたりできる。

パートナーによっては、たとえばテキサス州の都市アーリントンと共に展開し、乗客を商業施設や病院などへと運ぶサービスでは、車椅子に乗る人でも乗車が可能な車両も用意がある。レガシーなタクシーやバスにViaの持つテクノロジー、アルゴリズムやビッグデータなどを組み合わせることで、より効率的・効果的なオペレーションが可能となるなるわけだ。「モビリティーの課題をテクノロジーで解決するのがViaのミッションだ」とAdelman氏は話していた。

ソフトバンクと中国の滴滴出行が7月に設立した合弁会社DiDiモビリティジャパンは、日本においてはタクシー会社にプラットフォームを提供する形で動いている。Uberでさえ都市部では配車アプリとして使われているケースが大半だ。一方、新たに日本エントリーを果たしたViaは街、タクシーやバス会社、交通機関などにプラットフォームを提供する経験が豊富。すでに日本のタクシー会社や自治体などとの協議も進めているみたいなので、今後の展開に期待したい。

日本でも数々のライドシェア系サービスが誕生してきているし、Lyftの日本参入も噂されている。規制が厳しいこの国でライドシェアの文化がどのように定着・発展していくのか、今後も目が離せない。

マネーフォワードが新たにクーポンアプリ提供へ、日々の買い物がおトクになる「tock pop」を11月に公開

個人向けの家計簿アプリやビジネス向けのクラウドサービスなどを展開するマネーフォワード。同社は10月26日、新サービスとしてクーポンアプリ「tock pop(トックポップ)」を準備していることを明らかにした。同サービスは11月26日にリリース予定で、本日より事前登録の受付を始める。

tock popはグルメやレジャー、美容・健康、エンターテイメントなどさまざまなサービスの割引や優待が受けられるクーポン情報アプリだ。まだ正式ローンチ前ということもあるだろうけれど、説明やキャプチャを見ている限りはかなりシンプルな設計の模様。「お店を見つける」「クーポンを選ぶ」「クーポンを見せる」という3ステップで、毎日のお買い物がおトクになるという。

マネーフォワードでは2012年5月の設立以降、個人向けの自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」を運営してきた。つい先日には利用者数が700万人を突破したことを発表。ユーザーのお金の管理や収支改善をサポートしている。

一方で「お得な情報を知りたい」「もっと節約に繋げたい」といった利用者の要望もあったため、その声に応えるサービスとして今回tock popを開発するに至ったようだ。

将来的にはクーポンの印刷やクーポンを探すといった手間を省略し、マネーフォワードの家計データに基づいて個々のユーザーに適切なクーポンを提供する仕組みを予定しているという。

ちなみに同社は「TechCrunch Tokyo 2013」のスタートアップバトルに参加した1社。代表取締役社長CEOの辻庸介氏には昨年のTechCrunch Tokyoにもスピーカーの1人として登壇してもらっている。いよいよ今年のTechCrunch Tokyoまで20日を切った。スタートアップの熱いピッチや起業家達のセッションをぜひお見逃しなく。

ポケモンGOに新機能、ゲーム起動しなくてもタマゴを孵化できる「いつでも冒険モード」が追加

Niaticは10月26日、スマホゲーム「Pokémon GO」に新機能「いつでも冒険モード」を追加すると発表した。Nianticは追加時期について「間もなく」としている。この機能は、ゲームを起動していなくても歩行距離の記録と計測が行えるというもの。これまでポケモンの進化や強化に必要なアメを手に入れたり、ポケモンのタマゴを孵化させるためにはプレイヤーがゲームを起動しながら現実世界で歩く必要があったが、このモードを有効にすることで、スマホをポケットに入れたまま歩くだけでよくなる。

さらに、この新機能では週ごとの歩行距離の統計を取ることができ、その週に何キロ歩いたかや、タマゴの孵化やポケモンのアメ獲得の進捗などの重要な記録を「トレーナープロフィール」から確認することが可能。毎週設定される目標を達成すると、“ご褒美”を貰うこともできる。健康管理のためにウォーキングをするという読者にとっては嬉しい機能だろう。

いつでも冒険モードはゲーム内でいつでも設定可能で、iOS端末では「Apple Health」、Android端末では「Google Fit」と連動する。

Niantic CEOのジョン・ハンケ氏は同社ブログのなかで、「(いつでも冒険モードは)アプリを開いていなくても記録ができるために、スマートフォンの電池にも優しく、トレーナーのみなさんの毎日をいつでも冒険に変えることができます。将来的には、Nianticの他のサービスにおいても同様の機能を導入したいと考えています」と語った。

グロービス経営大学院が在校生や卒業生起業家に投資するG-Growthを開始、1号案件はクラウドRPAのBizteX

グロービス経営大学院は10月26日、在校生または卒業生が起業したスタートアップを対象とする投資プログラム「GLOBIS Alumni Growth Investment」(G-Growth)を始めることを明らかにした。1社あたり最大で1億円を投資するという。

グロービスでは2003年よりオリジナルMBAプログラムのGBDAをスタート。同プログラムを前身として2006年にグロービス経営大学院を開学した。GBDAも合わせるとMBAプログラムの累計卒業生は3800名を突破。近年では在校生や卒業生が起業したスタートアップが投資家から出資を受け、事業を加速させる事例が増えているという。

これまでも最大1000万円を出資するビジネスプランコンテスト「GLOBIS Venture Challenge」の開催や2000名以上が参加する公認クラブ活動「グロービス・アントレプレナーズ・クラブ」の運営支援を行なっていたが、こうした動きをさらに後押しする取り組みとして、新たに投資プログラムを開始するに至ったようだ。

G-Growthの対象となるのはグロービス経営大学院のMBAプログラムの在校生と卒業生、そしてGDBAの卒業生が起業したスタートアップで、かつ高い成長性が期待できる企業。累計1億円以上の調達実績があることを条件とし、売上が伸びて規模拡大に向けた資金を必要とするステージのスタートアップに1000万~1億円を投資する。

今回同プログラムのスタートと合わせ、投資第1号としてクラウドRPAサービス「BizteX cobit」を展開するBizteXに2000万円を出資したことが明らかになった。BizteX代表取締役の嶋田光敏氏は2015年度の卒業生。同社は今年の8月にシリーズAで約4億円の資金調達を実施済みだ。

バイオ、オフィス版「SUUMO」、ハイテク義足など——東大IPC起業支援プログラムが第3回目の支援先を発表

東京大学関連のイノベーション・エコシステムの発展を目指し投資活動を行なっている東京大学協創プラットフォーム(東大IPC)。同社は10月26日、起業を目指す現役東大生生や東大の卒業生、起業をしてまもない東京大学関連ベンチャーに対して事業化資金や経営支援を提供する「東大IPC起業支援プログラム」の新たな支援先を発表した。

3回目となる今回は計4チーム(2社はすでに法人化)が選出。バイオ関連の研究を応用したスタートアップ2社のほか、ロボット技術を活用したハイテク義足を手がけるチームや、機械学習を用いてオフィス探しの効率化を実現するプロジェクトが名を連ねる。

簡単にではあるけれど、各チームについて紹介していきたい。

ジェリクル : 独自のハイドロゲルを用いた医療技術の研究開発

ジェリクルは独自のハイドロゲルを体内に打ち込むことで、いろいろな疾患を治す治療法を研究・開発しているバイオスタートアップだ。

同社のコアな技術は生体適合性が高く(99%の水と1%のポリマーでできている)、かつ生成と分解を独自に制御できるゲルを作れること。体内でゲルを生成するだけでなく治療後の分解までをコントールすることで、ゲルを用いた医療技術「Gel Medicine」の概念を実現していきたいという。

具体的には治療をすると長時間痛みを伴ったり、1週間うつ伏せ状態が続いたりといった「従来の技術でも治すことはできるものの、治療が大変だった疾患」にこの技術を用いることで、QOLの高い治療法を開発することが当面の目標。まずは下肢静脈瘤という疾患に対して、従来のレーザーや接着剤を使った治療よりも患者への負荷が少ない治療法の実現を目指す。

ジェリクルの母体となっているのは東京大学の酒井崇匡准教授の研究。同社で代表取締役CEOを務める増井公祐氏は酒井氏の研究室の出身だ。増井氏は大学卒業後にITベンチャーのレバレジーズで新規事業の立ち上げや事業部長などを担った後、2018年8月に同社を創業している。

estie : AIを活用したオフィス版の「SUUMO」

estieはAIを活用して事業用の不動産賃貸をよりシンプルにしようとしているチームだ。たとえるならオフィス版の「SUUMO」のようなプロダクトと言えるかもしれない。

それこそ個人向けの賃貸ではSUUMOや「HOME’S」を始めオンライン上で情報を集め、自分にあった物件を探したり比較したりすることはごく普通のことだろう。一方でオフィス賃貸の場合はオフラインの要素が残り、人と人との関係で成り立っている側面が強いという。

estieでは個人向けの賃貸と比べて物件に関するデータにアクセスしづらいことが課題だと考え、オフィス賃貸に関するデータを収集し、オンライン上に押し上げるような仕組みを構想。AIを活用することでテナントにマッチしたオフィスをレコメンドできるようなプロダクトを開発中だ。

チームメンバーは全員東大の出身で、不動産業界のバックグラウンドがあるメンバーやエンジニアらが集まる。年内を目処にプロダクトをローンチ予定。

アグロデザイン・スタジオ : 農薬版の創薬スタートアップ

近年、医薬業界ではAIなども用いた創薬スタートアップが登場してきているけれど、“農薬業界”はまだまだ未開拓の領域と言えるだろう。アグロデザイン・スタジオは農薬の研究開発に取り組む農薬版の創薬スタートアップだ。

代表取締役の西ヶ谷有輝氏が東大や農研機構で研究していた農薬シーズの実用化に向けて2018年3月に創業。現在は土壌にいるバクテリア(細菌)を倒す薬剤である「硝化抑制剤」の開発を進めている。

西ヶ谷氏によると硝化抑制剤は撒くと環境負荷が減るという不思議な効果があるのだという。これは農業で使われる肥料の半分ほどしか作物に吸収されず、残りの半分がバクテリアの餌となり、その排出物が地球環境を汚染する物質に繋がっているからなのだそう。硝化抑制剤はそのバクテリアを倒すため、肥料の無駄がなくなり、環境の負荷も下がるという構造だ。

そんな力を持つ硝化抑制剤だけれど、効果が非常に弱いために大量に使わねばならず、それが残留農薬の問題に繋がってしまっていた。アグロデザイン・スタジオでは残留問題を解決するべく、少し撒くだけで足りる強力なパワーを持った独自の硝化抑制剤を開発した。

菌のみが持つ酵素だけに効く薬剤をデザインすることで毒性を抑制。仮に人が摂取しても健康に支障をきたさない安全な薬剤の実用化を進めている。

BionicM : ロボット技術を活用したハイテク義足

BionicMはロボット技術を活用することで、足に障害のあるユーザーのモビリティを高めるハイテクな義足を開発している。

現在流通している義足の多くはバッテリーやモーターを搭載しているものがまだ少なく、ユーザーは自分の力を使って義足を動かさなければならない。それによって疲れやすかったり階段の上り下りが大変だったりするほか、障害物にぶつかった際に膝の部分が折れて転んでしまいやすいという課題があったという。

BionicMが現在開発中の「SuKnee」では様々なセンサーによって歩行環境やユーザーの意図を検知し、楽に歩けるようにアシストする。転倒を防止する機能や、歩行時だけではなく椅子から起立する際のアシスト機能も搭載。ロボット技術によってユーザーの負担を軽減しつつ、より自由に移動できるような義足を目指している。

チームでリーダーを務める孫小軍氏は子供の頃に足を切断した経験があり、自身も義足のユーザーだ。交換留学で日本を訪れ東大の大学院を卒業後、ソニーに入社。エンジニアとして働いていたが、既存の義足の課題を解決するべく東大の博士課程に進学し、ロボット義足の研究に取り組んでいる。

累計で10チームが採択、4社は資金調達に成功

今回紹介した4チームも含め、東大IPC起業支援プログラムではこれまで10チーム(7社と3チーム)が採択。過去に紹介したヒラソル・エナジーソナスなど4社がVCなどによる資金調達を実現したという。

同プログラムは1年に2回実施していて、次回は2019年4〜5月頃から公募を始める予定。複数の事業会社と連携し、支援規模を従来の数倍に拡大する計画もあるという。なお前回採択された3社についてはこちらの記事で紹介している。

TechCrunch TokyoにTwitterの若きProduct Lead、Kayvon Beykpour氏が登壇!

今年も11月15日(木)と11月16日(金)に渋谷ヒカリエで開催する日本最大級のスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2018」。本日は追加で登壇者が決定したのでみなさんにお知らせしたい。みなさんも良くご存知のソーシャル・ネットワーキング・サービス「Twitter」からProduct LeadのKayvon Beykpour氏に来場していただくこととなった。Twitterが何なのかは説明不要だと思うので省略させていただこう。

Kayvon Beykpour氏

Beykpour氏はライブ配信アプリ「Periscope」の共同創業者で、2018年6月にTwitterのProduct Leadに就任したばかりだ。タイムライン、ビデオ、通知から健全性や安全性までコンシューマー・プロダクト戦略の全てを監督している。

11月にTechCrunch Tokyoが開催されるころには就任後約5ヵ月となるので、今後のTwitterの方向性について“詳しく”話を聞けるタイミングになっているのではないかと思う。Twitterにとって日本は非常に大きなマーケットなので、この国での利用者動向がプロダクトの進化にどのように貢献しているのかも気になるところだ。聞きたいことはいくらでもあるので、みなさんも当日のセッションをワクワクしながら待っていて欲しい。

現在、一般来場者向けの「前売りチケット」(3万円)、創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップ企業の皆さんに向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、創業3年未満のスタートアップ企業を対象とした2日間のデモブース出展の権利と2名ぶんの参加チケットがセットになった「スタートアップデモブース券」(3万5000円)の3種類のチケットを販売中だ。

Beykpour氏以外に決定している登壇者は今のところ以下の通り。

  • Harinder Takhar氏/Paytm Labs CEO
  • Heather Sittig氏/Relola CEO
  • Jim Adler氏/TOYOTA AI Ventures マネージングディレクター
  • Jonathan Palley氏/Spire CEO
  • Julio Avalos氏/GitHub チーフ・ストラテジー・オフィサー兼ジェネラル・カウンセル
  • Long N. Phan氏/Top Flight Technologies CEO
  • 小泉文明氏/メルカリ 取締役社長兼COO
  • 中山一郎氏/PayPay 社長
  • 西田真樹氏/Bytedance 副社長
  • 林 隆弘氏/HEROZ 代表取締役CEO
  • 堀江裕介氏/dely 代表取締役
  • 向井秀明氏/楽天AirMap 代表取締役CEO
  • 芳川裕誠氏/Treasure Data CEO

それぞれのセッションの詳細やTechCrunch Tokyo 2018のスケジュールについては追って記事を公開する予定なので、楽しみに待っていてほしい。なお、前売りチケットは10月31日までの販売、スタートアップデモブース券は残りわずかとなっている。

チケット購入はこちらから

楽天と西友が「楽天西友ネットスーパー」を正式オープン――最短4時間で配達、楽天IDとの連携も

楽天と西友は10月25日、協働で運営するネットスーパー事業「楽天西友ネットスーパー」をグランドオープンした。

同サービスは強固な会員基盤(楽天ID数は約9900万)やECの知見を持つ楽天と、実店舗での生鮮食品の販売などスーパーマーケット運営のノウハウを持つ西友の強みを活用した事業。1月に楽天とウォルマートが発表した戦略的提携の一環だ。

楽天では同サービスの大きな特長として「豊富な品揃え」「顧客のニーズに応える十分な配送キャパシティ」「楽天IDとの連携」の3点をあげる。

品揃えに関しては西友がこれまでも軸にしてきた生鮮食品をはじめとする食品や日用品のほか、時短ニーズに対応したカット野菜や半調理食品、ミールキットなどの簡便商品を提供。加えて「楽天市場」で人気のお取り寄せグルメや、「Rakuten Ragri」の有機野菜・有機野菜サラダなど最大2万品目を取り扱う。

配送面では西友の実店舗からユーザー宅への配送に加え、千葉県柏市のネットスーパー専用センター、都内数カ所に設置した配送拠点を本格稼動。専用センターには冷蔵・冷凍庫を完備し、常温・冷蔵・冷凍の3温度帯で商品を保管するという。

同サービスは16の都道府県で展開。エリアによっても異なるが、注文から最短4時間で商品が届くような設計で、午後3時までに注文すれば当日配達が可能だ。注文した日から3日後までの午前10時から午後10時まで、6つの時間帯で配達日時を指定することもできる。

また楽天IDとの連携によって、登録済みの住所やクレジットカード情報などを利用することで購入までの手間を削減。「楽天スーパーポイント」を決済時に活用することも可能だ。なお購入金額100円につき楽天スーパーポイントを1ポイント進呈するという。

楽天では「楽天と西友は、楽天西友ネットスーパーのサービス提供を通じ、日本のお客様のニーズにきめ細やかに応えることで、ネットスーパーのリーディングカンパニーを目指してまいります」としている。

ソフトバンクとヤフーのスマホ決済サービス「PayPay」が「Alipay」とのサービス連携を開始

ソフトバンクとヤフーの合弁会社であるPayPay(ペイペイ)は10月25日、同社が提供するバーコードを活用した実店舗でのスマホ決済サービス「PayPay」と中国のアント フィナンシャル サービスグループが提供するモバイルおよびオンライン決済プラットフォーム「Alipay」がサービス連携を開始したと発表した。この連携により訪日中国人はAlipayを起動し店舗に掲示されたPayPayのQRコードをスキャンすることで決済することが可能となる。

日本を訪れる中国人観光客は年々増え続けており、2017年には約735万人が来日、インバウンド消費額は1.6兆円に達した。そのため、今回の連携の目的は中国本土などから来日したAlipayユーザーがPayPay加盟店で決済できるようにすることで「PayPay加盟店への訪日中国人の来店を促し、インバウンド消費の取り込みを支援する」ことだ。Alipayの中国国内でのアクティブユーザー数は7億人以上だという。

PayPayは10月5日にバーコードを活用した実店舗でのスマホ決済サービス「PayPay」の提供をスタートした。同社はソフトバンクとヤフーが日本国内でキャッシュレス決済の普及を促進することを目的に6月に設立。ソフトバンク・ビジョン・ファンドの出資先である、インドの決済サービス事業者Paytmとも連携してサービスを提供することでも話題を集めた。

11月15日・16日に渋谷ヒカリエで開催されるTechCrunch TokyoにはそんなPayPayの代表取締役、中山一郎氏、そして同社CTOでPaytm LabsのCEOも務めるハリンダー・タカール氏にご登壇いただく。

壇上では、後発のスマホ決済サービスとしての戦い方や、欧米や中国などに比べ普及が遅いと言われる日本におけるスマホ決済の未来について聞きたいと思う。お得な前売りチケットは10月31日までの販売となっているので気になる方はこのチャンスを逃さないでほしい。

チケット購入はこちらから

Y Combinator出身のサイバーセキュリティー・スタートアップTemplarbitが日本参入

左から、Bjoern Zinssmeister氏、Matthias Kadenbach氏

Y Combinator卒業生のコンビ、Bjoern Zinssmeister氏とMatthias Kadenbach氏が率いるサイバーセキュリティー・スタートアップTemplarbitは今月、日本市場にプロダクトを展開することを発表した。10月2日よりTemplarbitの全機能をあらゆる日本企業が利用可能となった。

Templarbitはソフトウェアをサイバー攻撃やデータ漏洩から保護するAIを使ったセキュリティー・ソリューション「Templarbit」を開発・提供している。最近では205 Capital、そしてY CombinatorやLightspeed Venture Partnersから3億円を調達した。

Templarbitはサイバー攻撃からアプリケーションを守るセキュリティー特化型プラットフォームで、Cross-site Scripting (XSS)、インジェクション攻撃、クリックジャッキング、DDoS攻撃などからアプリケーションを保護し、早期の脅威検知や脆弱性検査を可能とする。AIがデータを分析し、拡張性のある防御を構築。 同社の独自データと機械学習モデルを組み合わせ活用することによって実現されている。

Templarbitはその気軽さも1つの特徴だ。アプリケーションサーバーにエージェントをインストールすることで簡単にアプリケーションスタックへとデプロイできる。アプリケーション層を通過したデータをTemplarbitが分析し、不審な動きなどは管理画面にリアルタイムにレポートされる。

Templarbitが日本市場に参入したのにはワケがある。TemplarbitのCEOであり共同創業者のZinssmeister氏は「日本は非英語圏で最も多くのサイバー攻撃を受けている国の一つ」だからだとその理由を説明した。

「翻訳ツールの進化により、ハッカー達はより簡単にウェブサイト上で何が起こっているのか理解することができるようになった。ここ数年で日本でもサイバー攻撃が急増したのはそれが原因だ。だが、日本では残念ながらサイバーセキュリティーに対する投資が充分に行われていないと考えている。小規模な地方の銀行などはプロのハッカー集団などに対応するための準備が整っていない」(Zinssmeister氏)

アメリカでは2013年に顧客のクレジットカードとデビットカードのアカウント約4000万件が盗まれたTargetの事件が引き金となり、多くのECサイトがサイバーセキュリティーに大きな投資をしてきた。それを踏まえた上で日本とアメリカを比較すると「日本は6年から8年ほど遅れているのでは」とZinssmeister氏は警告する。

Zinssmeister氏は12ヵ月に渡り日本市場参入への準備を進めてきた。ローンチに際し同氏は「日本のテクノロジー業界、特に東京のテック・コミュニティーは非常に寛大でお互いにサポートしていることを知り、私達もその恩恵を受けてきた」とコメント。「日本では競合が少なくセキュリティー分野のニーズが高い。だが、国外初のマーケットとして日本は選んだことは私たちにとっては非常に難しいチャレンジとなるだろう」と付け加えた。

「アメリカの創業者は国外の文化に関する理解が乏しい。ヨーロッパやオーストラリアと同じ戦略で日本に挑むのは筋違いだ。日本の特殊なビジネスカルチャーを深く理解する必要がある。アメリカと違い日本では人間関係が重要で“推薦”が必要となってくる。それが原因で多くの米国企業がこの国で苦戦するのでは」(Zinssmeister氏)

Zinssmeister氏は10年ほどカリフォルニア州に住んでいるがドイツ出身だ。ヨーロッパと日本のビジネスシーンでは「保守的」だという意味で似ているため、日本でビジネスを展開する上で彼自身のバックグラウンドが大いに役立っているという。ローンチまでの準備は数年かかると予想していたが、12ヵ月で日本でのベースを築き上げることに成功した。

そんなZinssmeister氏は4ヵ月に一回ほどのペースで日本に訪れている。今では大手テック企業やEコマース、スタートアップなどを含む数々のビジネスがTemplarbitに興味を持ち始めているという。「私たちはまだ小さな会社だが、Templarbitの独自性と美しいUIが高い評価を得ている」(Zinssmeister氏)日本では特にUIのシンプルさ・使いやすさが重要視されていると同氏は話していた。

Templarbitはデータ漏洩やサイバー攻撃などの情報をまとめたBreachroomというブログを運営していたりもする。同社は日本ではまだローンチしたばかりだが、今後の成長を大いに期待したい。Templarbitではスタートアップ向けのプラン「Startup Security Program」も用意されているので、これも注目を集めるにはもってこいのフックとなるだろう。

VCの投資先管理を簡単にする「FUNDBOARD」が事業会社や個人投資家向けにもサービス開始

投資家向けの未上場株の管理ツール「FUNDBOARD」を開発するケップル。同社は10月25日より、これまでベンチャーキャピタル(VC)に特化して提供していたFUNDBOARDの対象を拡大し、事業会社および個人投資家も利用できるようにする。

FUNDBOARDはスタートアップと投資家のコミュニケーションを効率化することを目的として始まったサービスだ。2017年7月にベータ版をリリース後、ユーザーからのフィードバックも踏まえてデザイン面などのアップデートを実施。まずは投資家用の正式版を2018年8月よりVCに対して提供してきた。

特徴はこれまでエクセルやドロップボックスなど複数のツールやファイルに散らばっていた投資先に関する情報を、一元的に管理できること。

各投資先に「投資済」「投資検討中」などステータスを設定したり、事業ドメインや紹介ルートなどタグをつけて整理することが可能だ。面談の内容、投資委員会議事録、日報といったレポートや多数の投資先から受け取ったファイルも全て投資先ごとに紐づいて格納されていくので、複数の場所に散らばって「重要なファイルがすぐに見つからない」といったこともない。

サービス上から投資先に対してファイルの提出や受け取り依頼をする機能(投資先の担当者に一時URL付きのメールが送信され、FUNDBOARDのユーザーじゃなくても閲覧できる仕様)や、投資実績として株価、保有株数、発行済株数などを登録することでポートフォリオをグラフ化する機能も備える。

VCや事業会社など属性によって若干プランの違いはあれど、これらの機能を現在は1ユーザー約1万円ほどのユーザー課金モデルで提供している。

ケップル代表取締役の神先孝裕氏によると、ローンチから約2ヶ月半でだいたい15ファンドほどに導入されているとのこと。エクセルなどでは大変だった投資先の情報管理を、タグなども使いながら柔軟に整理できる点に1番価値を感じてもらえているという。

「(各VCが)登録する投資先件数が想定していた以上に多かった。たとえば投資済みの案件は十数社でも、実際に繋がりのある起業家のリスト自体は何百件とかそれ以上になることもある。そのリストや関連するファイルを管理するのはかなり大変なこと。それがシンプルに整理でき、かつ各投資先に紐づけてメモやレポートも残せる点が好評だ」(神先氏)

本日より事業会社向けにも正式に提供を始めるにあたって、関連会社や子会社の管理を行える機能を追加。また組織全体およびメンバー単位で投資検討の進捗管理を行える「投資検討管理機能(パイプライン機能)」も導入した。

この機能では検討中の投資先ごとに投資予定日や予定額、投資ステップを管理することができ、集計された内容はグラフ化される。投資予定額を含めた投資総額が月単位で出力されるので、半年先までの投資予定額と投資余力を把握できるほか、各担当者ごとに抱えている案件の進捗を見える化することも可能だ。

「継続的に投資をしているVCや複数人の担当者がいるVCでは、直近で誰が何件の案件を抱えていて、それぞれがどんなステータスなのかを見える化することが重要。たとえば3ヶ月後に全体でどのくらいの投資をする予定があるのか、どのくらいの投資余力があるのか目処をつけたいというニーズは多い」(神先氏)

このパイプライン機能はVCなどと話をしていても、よく聞かれることの多かった機能なのだそう。FUNDBOARDの導入を進める際にも、この機能がひとつのポイントとなってセールスフォースと比較されることも何度かあったのだという(セールスフォースではパイプラインの管理ができるため)。

FUNDBOARDでは今後も投資家向けの新機能を追加していく予定。加えて2019年の上旬を目処にスタートアップ向けのサービスも提供していく計画だ。そのタイミングで現在は投資家ユーザーが手入力しているような情報が自動でアップデートされるような仕組みを取り入れ、両者間の情報管理やコミュニケーションの負担を削減していきたいという。

「そういった世界観を実現するためにも、まずは投資家向けに手入力でも十分便利で価値のあるプロダクトをしっかりと作りこんでいきたい」(神先氏)

2018年度版「RPAカオスマップ」が公開

ホワイトカラー業務の効率化・自動化の取組みを行うRPA(Robotic Process Automation)の領域は、ここ数年で大きく動きを見せている。2017年11月にはソフトバンクが国内RPA大手のRPAホールディングスへの出資を発表。共同でこの領域へと本格的に参入する意志を示した。

市場調査などをを手がけるITRの調べによれば、国内のRPA市場は2021年には82億円になると予測する。少子高齢化により労働人口が今後減少すると考えられる日本において、RPAツールの普及は起こるべくして起きたトレンドなのかもしれない。

そんななか、RPA導入支援などを行うPeaceful Morningは、RPA領域でしのぎを削る企業・サービスをまとめた「2018年度版日本のRPAカオスマップ」を発表した。これによれば、日本のRPA市場において多くのプレイヤーを抱えるのは「ソフトウェアベンダー」と「連携技術」の領域だ。ソフトウェアベンダーには、2018年8月に実施した4億円の資金調達ラウンドについてTechCrunch Japanでも紹介したBizteXも含まれる。

Peaceful Morningによれば、RPA領域を網羅したカオスマップはこれが日本初という。来年以降のカオスマップでこの領域がどのように変化していくかに注目しよう。

Apple 渋谷がリニューアル!10/26のオープンに先駆け店内の様子をレポート

eng-logo-2015改装のため2017年に閉店したApple 渋谷が帰ってきます。以前と変わらない、渋谷公園通り沿いのあの場所で、10月26日(金)午前8時にリニューアルオープンします。

ちなみに2018年はApple ストアのオープンが相次いでいます。4月のApple 新宿、8月のApple 京都に続き、Apple 渋谷で3店舗目。

関連記事:
Apple新宿が4月7日(土)にオープン。新宿マルイ本館の1階、都内4店舗目
アップル京都店は8月25日朝10時オープン。京都生まれゲーム特集も

そんなApple 渋谷のリニューアルオープンに先駆け、10月24日にプレス向け内覧会が開催されましたので、ここでひと足お先に店内の様子をお届けします。

というわけで、リニューアルオープンまでもう間もなく。せっかくなのでiPhone XRの実機はApple 渋谷へ見に行ってみますかね。

Engadget 日本版からの転載。

SmartHRにiPad専用アプリが登場、ガラケーのみの従業員でも勤務先で入力可能に

クラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供するSmartHRは10月24日、飲食・小売業などの店舗向けに、従業員の入社手続きに必要な情報を収集できるiPad専用アプリを公開した。

SmartHRは、企業が行う社会保険・労働保険の手続きを自動化することを目指す、クラウド型の人事労務ソフトウェアだ。総務省が提供するAPIと連携し、役所への申請をウェブ上からできるようにする。労務手続きや労務管理を簡易化し、経営者や人事担当者の業務改善、本来注力すべき採用や制度作りに取り組めるようにするのがプロダクトの狙いだ。

SmartHRは、今日、資金調達の発表があった「One Tap BUY」と同じく、2015年11月に開催されたTechCrunch Tokyo 2015のスタートアップバトルに出場し、最優秀賞を獲得している。

その追加機能となるiPadアプリ「店舗管理者向けスマートHR」は、入社手続きに必要な情報を従業員自身が、店舗内などで共有されているiPadを使って入力することができる、というもの。

従来は人事労務担当者が入社する人へ、SmartHRから招待メールを送信し、従業員はPCやスマートフォンからログインして情報を入力する必要があった。

しかし、SmartHRの利用企業が1万7000社を超える規模になり、さまざまな業態のユーザー企業へも利用が広がっている。中でもアルバイトやパートスタッフの比率が多く、入退社が頻繁な飲食・小売業でも利用が拡大。そうした状況下で、PCやスマートフォンを持っていない人が入社した場合、従業員自身がSmartHRに情報を入力ができず、書類での煩雑な作業が残ってしまうという課題があった。

この課題を解消すべく開発されたのが、今回発表された店舗管理者向けスマートHRだ。

同アプリはSmartHRの既存利用企業は追加費用なしで使える(iPad端末の準備は必要)。

SmartHRでは、9月に開催したイベント「SmartHR Next 2018」で、外部サービスとの連携強化や拡張機能ストア公開など、プラットフォーム化構想を打ち出している。その際に「ガラケーしか持たない従業員が多い企業でもSmartHRが利用できるようなiPadアプリ」の提供についても触れられていた。

同社では「今後も多様なニーズに応えながら、必要なときに必要なアプリケーションををインストールして使えるSmartHRのプラットフォーム化を進める」としている。さらに同社代表取締役の宮田昇始氏のブログによれば、プラットフォーム化構想とは別に、新規事業をつくる予定もあるようだ。

“エネルギー革命”を推進するエネチェンジに昭和シェルや住商らが7億円を出資、連携強化でさらなる事業成長へ

エネルギー関連の事業を複数手がけるENECHANGE(エネチェンジ)は10月24日、昭和シェル石油や住友商事ら7社が同社に総額約7億円分の資本参加をしたことを明らかにした。

今回の資本参加は普段TechCrunchで紹介することの多い第三者割当増資によるものではなく、既存株主(VC)が所有する株式の一部を下記の7社が買い取った形。これらの会社とは業務提携も実施しているという。

  • 昭和シェル石油
  • 住友商事
  • 大和証券グループ
  • 東京ガス
  • 北陸電力
  • Looop
  • SK GAS Co. Ltd.(韓国)

これまでENECHANGEでは2015年5月にエプコやB Dash Venturesから、同年12月に日立製作所と環境エネルギー投資から、2017年2月にオプトベンチャーズやIMJ Investment Partnersみずほキャピタルからそれぞれ資金調達を実施。VCをメインに累計で10億円以上を集めてきた。

ENECHANGE代表取締役会長の城口洋平氏いわく、今回の取り組みは「様々な事業会社とパートナーシップを結んで事業をさらに成長させることに加え、上場やその先を見据えた資本政策の一環でもある」とのこと。

その背景も含めてENECHANGEのこれまで、そして今後の方向性について城口氏に話を聞いた。

比較サイトからの脱却、デジタル化事業が成長

ENECHANGEは2015年4月に設立されたスタートアップだ(当初はエネチェンジでスタート、2018年5月に社名を英語表記に変更)。ケンブリッジ大学発で電力データ解析を専門とする研究所「ケンブリッジ・エナジー・データ・ラボ」がルーツになっていて、そこから電力比較サービスを切り出す形で始まった。

同社が事業領域として設定しているのは、Deregulation(自由化)、Digitalisation(デジタル化)、Decentralisation(分散化)、Decarbonisation(脱炭素化)という“エネルギーの4つのD”に関するものだ。

現在は自由化とデジタル化に関する2つの事業を運営。前者についてはエネルギーマネジメント事業として家庭向けの電力・ガス比較サービス「エネチェンジ」や、法人向け電力会社切り替えサービスの「エネチェンジBiz」が軸になる。

後者についてはエネルギーテック事業として電力・ガス小売事業者向けのマーケティング支援サービス「EMAP」やスマートメーターの解析サービス「SMAP」などを展開してきた(2017年7月に英国のスマートメーターデータ解析ベンチャーSMAP ENERGYと経営統合。なお同社も同じ母体からスピンアウトして始まった会社で、城口氏が共同創業者兼CEOを務める)。

電力・ガス小売事業者向けのマーケティング支援サービスEMAP (Energy Marketing Acceleration Platform)

もともとはエネルギーマネジメント事業の売上比率が高く、いわゆる“比較サイト運営会社”のイメージが強かったけれど、年を重ねるごとに売上におけるエネルギーテック事業の比率が上昇。2018年度の数値では、エネルギーテック事業の売上が4割を超える見込みだ。

そういった背景もあり「電気の比較サイトによる切り替え事業の一本足から脱却できてきた」(城口氏)状態だという。

また売上・利益ともに拡大していて2017年度の売上は5億円強。今年度についてはあくまで見込みであるけれど、売上は10億円を超え、通期で初の黒字化も実現できる勢いだという。

強力なパートナーを迎えてENECHANGEは第2章へ

そんな状況下において、今回新たに7社がENECHANGEの株主となった。

冒頭でも触れた通りこれまではVCからの調達がメインで事業会社は日立製作所くらいだったけれど、今回の7社は全て事業会社。それもエネルギー関連の大手企業が揃っている。

城口氏によると、エネルギーマネジメント事業が軸となっていたこれまでは事業会社ではなくVCからの調達を重視していたそう。それは電力やガス比較、切り替えサービスを運営していく上で、特定の会社の色がついてしまうのを避けていたからだ。

ただここ1〜2年ほどでエネルギーテック事業が伸び、会社としても4つのDをドメインに掲げ、自由化以外の取り組みを強化していくフェーズに変わってきた。そういった意味で城口氏は「今回の資本業務提携がENECHANGEの第2章の始まり」とも話す。

「この分野においては、ようやく大手企業と相互戦略的なパートナーシップを結べる段階まで会社を持って来ることができた。これからは強固な顧客基盤やインフラを持つ各社と連携を取りながら、今まで以上にデジタル化、分散化、脱炭素化を進めていく局面になる」(城口氏)

データ解析サービスのSMAPの一機能

たとえばSMAPを通じたスマートメーターデータの解析サービスは今後の注力ポイントのひとつ。スマートメーターの普及やデータ活用は世界的に見ても日本が進んでいる分野のため、ここで培った知見やサービスは海外にも展開できる。今回韓国のSK GASが株主に加わっているのは、アジアでの事業展開を加速させる意図もあるからだ。

また自由化に関するエネルギーマネジメント事業に関しては金融機関グループとの連携を強める計画。すでに株主であるみずほキャピタルと連携して、彼らの法人顧客に向けてエネチェンジBizの展開を進めてきた。これが上手くいっているそうで、今後も地域金融機関グループとのパートナーシップを強化して事業を加速させていきたいという。

IPOやその後を見据えてVC比率を抑える判断

第三者割当増資ではなく既存株主からの株式買取という形で新たなパートナーを迎えたのは、上場やその先を見据えた上でVCの持ち株比率を抑える意味もあるようだ。

「初期にスピード感を持って事業を成長させていくためにVCからの調達を進めると、VCの持ち株比率は当然高まる。一方で彼らが上場後に一気に放出するのがみえてしまえば、今度は上場後の株価維持が大変になってしまう。経営者として向こう10年の経営を見据えたときに、VCの持ち株比率を上げすぎると苦しくなると考えた」(城口氏)

城口氏によるとENECHANGEではVCの持ち株比率が30%を超えていたそう。この半年は今後の同社にとって戦略的なパートナーシップが重要になることや、それが事業の成長にも繋がることも踏まえて、各VCと時間をかけて話を進めてきたそうだ。

結果的には各VCから一部の株式を売ってもらうことでまとまったそう。これによって「新たにいいパートナーに加わってもらいつつ、(VCの持ち株比率が下がることで)いろいろな資本政策のオプションも残せるのではないか」(城口氏)と話す。

今年に入ってからは欧州のエネルギーテックスタートアップと日本のエネルギー企業との提携を目指すアクセラレータープログラムを始めたり、中古蓄電池ソリューション技術を展開するイギリスの「BrillPower」とタッグを組んだりと新しい取り組みも始めているENECHANGE。

今回のパートナーシップを機に、世界のエネルギー革命に向けた同社の事業はさらに加速していきそうだ。

スマホ証券One Tap BUYが東海東京FHらから19.5億円を調達、出資者との連携でサービス向上目指す

スマホ証券取引アプリ「One Tap BUY」を提供するOne Tap BUYは10月24日、第三者割当増資により総額19.5億円の資金調達を実施したことを明らかにした。新たに株主に加わったのは東海東京フィナンシャル・ホールディングス。既存株主のソフトバンク、みずほ証券も追加出資を行った。

同社が提供するOne Tap BUYはスマホから手軽に株式投資ができるアプリ。スマホを3タップするだけで、1000円から株式売買が可能だ。米国株、日本株のそれぞれ30銘柄を扱うほか、ETFにも投資できる。

One Tap BUYでは今回の資金調達を機に、提供するサービス群を東海東京フィナンシャル・グループの戦略的パートナーである地方銀行や証券会社向けに提供していく意向。またこれまでの出資者も含め、より緊密な連携を図り、顧客の利便性・付加価値向上を目指すとしている。

ちなみに東海東京FHは今年に入ってから、4月にはおつり投資の「トラノコ」を運営するTORANOTECに出資。8月にはロボアドバイザー「THEO」提供のお金のデザインにも出資している。各社のユーザーである若年層や新規投資家を取り込みつつ、サービス連携を図りたいものとみられる。

One Tap BUYは2013年10月の設立。2015年12月に第一種金融商品取引業者として登録され、2016年6月1日にサービス提供を開始した。“誰でも株式投資ができる”サービスを目指して、これまで投資をしたことがない投資家層へアプローチし、ユーザーを拡大。現在の口座開設数は13万口座を超える。

2016年7月にはソフトバンクから10億円、2017年2月にはみずほキャピタルやみずほ証券らから15億円を調達。2017年11月にはソフトバンクやヤフーらから25億円を調達している。

なお、One Tap BUYはサービス開始以前の2015年11月に開催されたTechCrunch Tokyo 2015のスタートアップバトルに出場し、審査員特別賞とAWS賞を受賞している。今年も間もなくTechCrunch Tokyo 2018が開催される。お得な前売りチケットの販売期間は10月31日まで。スタートアップ各社の熱いバトルを見たい方はぜひ、お見逃しなく。

空飛ぶクルマをどう実現するかーー米Top Flightに加え、楽天ドローン事業を束ねる向井氏登壇決定

空飛ぶクルマの開発を目指す米Top Flightが今年の「TechCrunch Tokyo」に登壇することはすでにお伝えした通りだ。そのTop Flight CEOのLong Phan博士とともに登壇いただくスピーカーが決定したのでお知らせしたいと思う。楽天グループ子会社で無人航空機管制プラットフォームの開発・提供を手がける楽天AirMapで代表取締役を務める向井秀明氏だ。

楽天は2017年3月、米AirMap社とのジョイントベンチャーである楽天AirMapを設立。同社が提供する無人航空機管制(UTM)プラットフォームにより、空域の安全を担う空港や地方自治体などの空域管理者は、管轄内におけるドローン飛行状況を把握し、ドローン飛行への承認の自動化やドローン運行者へのSMSや電話を使った直接連絡が可能となる。また、ドローン操縦者は近隣の飛行エリアの規則を照会して作成した飛行計画を、近隣の空港や当局に共有することができる。

向井氏は、楽天AirMapのCEOを務めると同時に楽天ドローン事業の責任者でもある。国交省、経済産業省の「空の移動革命に向けた官民協議会」にも出席するなど、日本におけるドローンビジネスの真っ只中にいる人物だ。

当日のセッションでは、Top FlightのLong博士に彼らがもつドローン技術や優位性を聞きつつ、向井氏にはドローンをどう日本で活用しうるのか、規制はどうなるのかなどを聞きたいと思っている。TechCrunch Tokyoの開催まで残りあとわずか。チケットは以下のリンクから購入できる。

チケット購入はこちらから

ヤフオク!などでAndroidのChromeから指紋認証ログインが可能に

eng-logo-2015ヤフーは10月23日、「ヤフーが推進するパスワードを使用しないログインの取り組み」を紹介する記者説明会を開催しました。

(代表画像は発表会で実施したデモの様子。端末の指紋認証を利用してヤフオク!にログインしています)

はじめにIDソリューションマネージャーの伊藤雄哉氏がYahoo! JAPANのセキュリティの現状について解説。Yahoo! JAPAN IDのログインユーザー数は今年6月時点で4433万ユーザーで、ログイン回数は月間で約1億3000万回にのぼると説明しました。

現状の課題として、セキュリティ面では外部サービスでのパスワード漏洩によるリスト攻撃のリスク、ユーザビリティの面では、パスワードを忘れてしまうことや入力のしにくさがあるとのこと。

ヤフーはこの課題を解決する手段として、生体認証デバイスなどを利用して、安全なログインを実現する規格「FIDO2」の認定を9月に取得。本日からヤフーのサービスに、指紋認証などの生体認証を使用してログインできるようになりました。

指紋認証によるログインが可能なのは、Android 7.0以上かつChromeバージョン70以上、FIDO2の認証を得た端末のみとなります。FIDO2に対応したデバイスの普及によってこのログイン方法が普及すれば、大文字と小文字を組み合わせた長いパスワードの呪縛から開放されそうですね。

Engadget 日本版からの転載。

CAMPFIREが金融サービス「CAMPFIRE Bank」開始、支援者への融資など対象領域を拡大へ

クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」を軸に、プロジェクト起案者向けの融資サービス「CAMPFIRE レンディング」やフレンドファンディング「polca」などお金に関する複数の事業を展開してきたCAMPFIRE。

同社は10月23日より金融サービス「CAMPFIRE Bank」の提供を開始した。

CAMPFIRE Bankは個人・法人問わずCAMPFIREでプロジェクトを実施したユーザー、支援したユーザーを対象に、上限200万円の融資を行うサービスだ。2017年7月に開始したCAMPFIREレンディングでは起案者者のみが融資の対象となっていたが、それを支援者にまで広げることになる。

具体的には起案者向けの融資サービスとして、従来のCAMPFIREレンディングを「CAMPFIREステップアップローン」の名称に改め提供。支援者向けの融資サービスとして「CAMPFIREユーザーローン」もスタートする。

CAMPFIREステップアップローンは過去にCAMPFIREで「All-or-Nothing」または「All-in」のいずれかでクラウドファンディングを実施し、資金調達に成功したことがあるユーザーが対象。商品の追加制作費やイベントの追加開催費など、プロジェクト終了後の資金ニーズに応える。

一方のCAMPFIREユーザーローンは過去にCAMPFIREでプロジェクトを支援し、リターンを購入したことがあるユーザー向けのサービス。限定個数が設定されている高額なリターンを支援する場合など、急遽発生した資金ニーズに対応するためのものだ。

双方とも借入上限金額は200万円で貸付利率が8〜15%(年利)。返済期間は最大12ヶ月になる。

特徴はCAMPFIRE独自の支援者による評価を軸とした「評価型与信モデル」を採用していること。過去のクラウドファンディングにおける支援実績をスコアリングして与信材料のひとつとしているため、起案者の場合は支援者数や支援金額を集めているほど、支援者の場合はクラウドファンディングを支援しているほど借入条件がよくなるという。

CAMPFIREでは今後、ソーシャルレンディング事業を含む金融サービスの新規開発や、アジアを中心とした海外融資事業の展開も計画。引き続き「資金調達の民主化」を目指して事業を広げていく方針だ。

Beyond Nextが2号ファンド設立、大学・研究機関発シードに加えカーブアウト投資も視野に

独立系ベンチャーキャピタルのBeyond Next Venturesは10月22日、同社にとって2つめとなる基幹ファンド、BNV2号ファンド(Beyond Next Ventures2号投資事業有限責任組合)を組成したことを明らかにした。設立日は10月1日。設立時点では、第一生命保険、みずほ証券、三菱UFJ銀行、損害保険ジャパン日本興亜、三井住友銀行の5社が出資に参加する。調達金額は非公開だが、総額約55億円となった1号ファンドより大きい規模となるという。

Beyond Next Ventures代表取締役社長の伊藤毅氏は、2014年に大手VCのジャフコを退職し、同社を創業。大学/研究機関発の技術系ベンチャーへの投資を行うVCとして、2015年2月に1号ファンド(Beyond Next Ventures1号投資事業有限責任組合)を立ち上げ、2016年にクローズした。

1号ファンドでは、これまでに技術系スタートアップ23社に投資を実施。その投資対象は、ライフサイエンス、ヘルスケア、ロボットなどの先端分野だ。TechCrunch Japanで取り上げたところだと、例えば、キュア・アップサスメドといった医療機器としてのアプリ開発スタートアップや、手術支援ロボットベンチャーのリバーフィールド、ハイテク衣料のXenomaなどがある。

また同社は、2016年8月に複数の大手事業会社とともに、アクセラレーションプログラム「BRAVE」をスタート。実用化・事業家を目指す技術シーズを対象に、知識やノウハウと人的ネットワークを提供する事業化支援にも取り組む。2017年4月には社会人が働きながら事業化を目指す「Innovation Leaders Program(イノベーションリーダーズプログラム)」の提供も開始した。2018年からは、東京都からの委託を受け、創薬系スタートアップの起業や成長を支援するアクセラレーションプログラム「Blockbuster TOKYO(ブロックバスタートーキョー)」も運営している。

Beyond Next Venturesでは、2号ファンドでも引き続き、大学・研究機関の持つ優れた技術シーズを基にした、シードステージのスタートアップを対象に投資・支援活動を行っていくという。さらに企業が持つ有望技術を独立して事業化させる、カーブアウト投資なども実行していく構えだ。

TechCrunch Japanでは、代表の伊藤氏に2号ファンド設立についてコメントを確認中。追って掲載する予定だ。