脱着式バッテリーでどこでも充電可能――イタリア発の小型EV車「BIRO」を試乗してきた

イタリア発の小型電気自動車「BIRO(ビロ)」は、ビジネスやプライベートでも街中で使うのを想定してデザインされたクルマだ。2017年4月、BIRO Japanは販売店「BIRO STORE Osaka」をオープンしている。今回、TechCrunch JapanでもBIROを体験しに行って来た。

小型電気自動車のBIROの特徴は、なんといってもそのコンパクトさだ。全長174cm、全幅103cm、全高156.5cmで、自動車用の駐車スペースになら4台のBIROを停めることができるという。

BIROのバッテリーは固定式と脱着式の2タイプある。このバッテリーは家庭用の電源で充電ができる。脱着式のバッテリーは、車体から取り外して自宅やオフィスなどでも充電できる仕組みだ。持って見るとかなりの重量があるが車輪と伸縮可能な取っ手が付いているので、スーツケースのように持ち運ぶことができる。バッテリーは2時間から4時間程度で充電が完了し、約55km走行できるという。

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座席は2つあるが、日本では道路運送車両法により定員は1名となっている。エアコン機能はないが、ドアを取り外して走行することもできるという。荷物を置く場所はあまりなく、座席の下か助手席に載せるしかないのは気になった。

実際に永田町で試乗してみたところ、車体が小さいのでかなり小回りが利く印象だ。これなら長年ペーパードライバーの私でも、混み合っている駐車場などでも無理なく駐車できそうだと思った。また乗った時に左ハンドルだと気づいたのだけれど、車体が小さいためか運転するのに特に違和感は感じなかった。

小型電気自動車「BIRO」を手がけるエストリマは2008年にイタリアで設立。日本では、カツラダモータースがBIRO Japanを運営し、2017年4月にBIROの販売店「BIRO STORE Osaka」をオープンした。価格は150万円からで、オプションでフレームやボンネットの色を変えることもできる。

メルカリが「メルチャリ」で自転車シェアリングに参入、リリースは2018年を予定

フリマアプリ「メルカリ」を軸に、地域コミュニティアプリ「メルカリ アッテ」、本・CD・DVD特化フリマアプリ「メルカリ カウル」、ブランド品特化フリマアプリ「メルカリ メゾンズ」といった新サービスにも積極的に取り組んできたメルカリ。

そのメルカリが次に始めるのは、自転車シェアリングのようだ。メルカリは9月7日、2018年初頭のサービス開始を目指し、自転車シェアリング事業「メルチャリ」の検討を開始したことを明らかにした。運営を担当するのはメルカリ アッテなどと同様、子会社のソウゾウだ。

メルチャリはアプリを使って街中にあるシェア自転車を気軽にレンタルできるサービス。2018年初めから都心部での展開を開始し、順次展開エリアを広げていく予定だという。東京都での展開については「どこからスタートかはまだ分かりませんが、もちろん検討対象には入っています」(メルカリのグループ会社、ソウゾウ代表取締役の松本龍祐氏)とTechCrunch Japanの問い合わせに回答している。

自転車シェアリングといえば中国で爆発的に普及したサービスで、特に「Mobike」と「ofo」の2社の知名度が高い。Mobikeはすでに日本に上陸済みで、2017年6月には福岡県でモバイク・ジャパンを設立。8月23日に札幌市でサービスを開始している。一方のofoもソフトバンク コマース&サービスと手を組み、9月以降に東京と大阪からサービスを開始する予定だ。

国内企業ではNTTドコモが2014年10月から千代田区など自治体と共同でスタートしたコミュニティーサイクルの実証実験を行っており、東京7区のほか横浜、仙台、広島など10強の地域でサービスを展開している。

無料SIMカードとインバウンド旅行者向けアプリを提供するWAmazingが10億円調達

インバウンド旅行者向けアプリの「WAmazingアプリ」を提供するWAmazingは9月7日、リード投資家のANRIBEENEXT、およびSBIインベストメントみずほキャピタルSony Innovation FundBEENOSオプトベンチャーズ静岡キャピタルなどから総額約10億円の資金調達を実施した。

なお、エンジェル投資家の青柳直樹氏、有安伸宏氏らも本ラウンドに参加している。

写真右がWAmazing代表取締役の加藤史子氏

同社が手がけるWAmazingアプリ(iOS/Android)は、インバウンド旅行者向けにさまざまなサービスを提供するモバイルアプリだ。主な機能として、タクシー配車、日本での旅行ツアーやアクティビティの予約手配と決算機能、そして宿泊施設の予約機能などがある。

宿泊施設予約は8月14日から始まったばかりの新しい機能だが、すでに国内1万軒以上の宿泊施設を予約することができるという。

WAmazing代表取締役の加藤史子氏は、この新しい機能について「現在、WAmazingのユーザーの日本滞在平均日数は6日間程度。宿泊は、ほぼすべてのユーザーからニーズがある分野だ。宿泊場所が明確になることで、そこまでの交通や周辺観光などに展開しやすいことから、導入を決めた」と話す。

WAmazingアプリの機能については、こちらの記事も参考にしていただきたい。

無料SIMカードが集客のカギ。9月からは中部国際空港でも

インバウンド旅行者向けに魅力的な機能を提供するWAmazing。しかし、WAmazingの一番の特徴は、同社が空港で配布する無料のSIMカードだ。これまでにも同社は成田空港でSIMカードの配布を行ってきたが、9月1日からは新たに中部国際空港でも配布を開始した。

15日間有効のこのSIMカード、容量は500MBで、旅行者が自分の国であらかじめアプリをダウンロードしておけば誰でも利用することができる。追加料金を支払うことでデータ量の追加や期間延長も可能だ。

これは、空港についてすぐに交通情報などを調べる必要がある旅行者にとっては非常に嬉しい特典だろう。このSIMカードがアプリの集客のために一役買っているというわけだ。

ただ、加藤氏はサービスリリースの2017年1月から今までを振り返り、無料SIMカード配布にはなかなか苦労したと話す。

「SIM受取機といったハードウェアやアプリなどのソフトウェアも含め、開発着手から3ヶ月弱でリリースした。そのため、正直、不具合も色々とあった。最初の1ヶ月くらいは社員がシフトを組んで、土日も含めて成田空港のSIM受取機のまわりでひっそりとユーザーの様子を見守る、という状態だった」(加藤氏)

そんな苦労もありながら、WAmazingアプリはこれまでに約3万5000人のユーザーを獲得。そのうち実際に日本を訪れた(SIMを受け取った)のは1万2000人だ。

「無料SIMカードを受け取れるからといって、入国空港を変える人はいないと思う。そのため、設置空港を増やすことがそのままユーザー数の増加に直結する」とも加藤氏は話す。

また、WAmazingはアプリの配信国も広げていきたい構えだ。現在はインバウンド旅行者が多い香港と台湾に特化してアプリを開発しているが、今後はそれに加えて韓国、中国本土、タイにも拡大していくそうだ。早ければ年内にも中国本土への拡大を目指す。

2016年7月に創業のWAmazingは今回調達した資金を利用して、サービス拡大のための開発、人材確保を進めるとしている。

「今回の資金調達は、それぞれの戦略実行を高いクオリティで一気に推進していくための人材の採用やユーザー数を拡大するためのマーケティングアクセルを踏むために必須となる推進力となる。訪日外国人旅行者にワンストップで日本の魅力を堪能できるサービスを提供したい、そして、それにより観光産業を日本の基幹産業にしたい」(加藤氏)

テックビューロがジャフコらから16億円調達、「VCとICOは共存する」

テックビューロが、シリーズBラウンドで約16億円の資金を調達した。調達方法は第三者割当、引受先はジャフコが運用する投資事業組合が約15億円、インフォテリアが約1億円。調達した資金は同社の仮想通貨取引所Zaif、プライベートブロックチェーン技術mijinをはじめ事業の整備拡充に充てる。同社の今までの累計調達額は約25.4億円となる。

ご存じのようにジャフコは日本最大のベンチャーキャピタル(VC)で審査基準も厳しい。出資にあたり交渉や調査には数カ月をかけ、ジャフコ社長の豊貴伸一氏自身が検討に参加したとのことだ。また今回出資するインフォテリアは2016年4月に実施した資金調達にも参加しており、ブロックチェーン関係事業でのシナジーを狙う。

テックビューロでは調達した資金の使途として、下記の各項目を挙げている。

  • 経営基盤の拡充、人員増強
  • Zaif取引所のインフラとサービスの拡充
  • プライベートブロックチェーン技術mijinによるクラウド型BaaSサービスCloudChainの整備
  • mijinライセンスとCloudChainの販売体制を世界で拡充
  • 米国拠点の拡大、欧州、アジア拠点の設置。スイス、シンガポール、マレーシアなどを検討している。
  • 新規事業投資とM&A

リストの1番目には経営基盤、2番目に仮想通貨取引所Zaifの拡充が挙がっている。2017年4月から施行された仮想通貨法(改正資金決済法)の元では仮想通貨取引所Zaifの運営は金融庁の監督下に置かれることになるが、それに伴い財務基盤の強化が求められ、監査などの支出も増える模様だ。資金調達の背景の一つには取引所としての規制対応がある。

プライベートブロックチェーン技術mijinによるクラウド型BaaSサービスCloudChainは、商用クラウドサービスとしてmijinの機能を提供するものである。

COMSAは「自前」で資金を集める

調達資金の使途のリストに挙げられていないが、COMSAについて述べておく必要があるだろう(関連記事)。同社のプロダクト(Zaif、mijin)や経験をフル活用したシステムであり、直接の使途ではないが今回の資金調達とも深く関係する事案だからだ。

COMSAは同社が発表したICO(Initial Coin Offering、仮想通貨技術を応用したトークンの発行と販売による資金調達手段)プラットフォームである。COMSA自体のシステム開発やCOMSA対応のサービス拡張運営は、今回の資金調達とは別にCOMSA自体のICOにより調達するとしている。「会社はOSで、COMSAはアプリケーションのようなもの」とテックビューロ代表取締役の朝山貴生氏は説明する。テックビューロという会社組織とCOMSAでは資金も別々に管理することになる。

同社は9月5日、ICOプラットフォームCOMSAのプレセールに対して個人投資家の千葉功太郎氏が100万ドル相当のビットコインを直接投資したことを発表している。また、3社の機関投資家が出資することを表明している。第三者割当増資により調達した資金とは別勘定でCOMSAにも資金が蓄積されつつある。

「ICOはVCと競合しない、むしろ共存発展できる」

ICOはまだ世の中での理解が十分に進んでいない段階といえる。朝山氏は「ICOのメリットはネットワーク効果、そしてトークンエコノミーの効率の良さだ」と話す。ICOには仮想通貨を使い国境を越えて手軽に参加でき、機関投資家だけでなく個人でも参加が容易だ。ICOの参加者は、ICOで立ち上がったプロジェクトの初期利用者でもある。資金と顧客ネットワークの両方をロケットスタートで早い段階に揃えられることができる。これがICOの価値だ。

ICOが十分に発達するならVCは不人気になる、といった論調も一部にあるが、「VCとICOは、世間で思われているように競合するものではない。むしろ協働、共存できる」と朝山氏は説明する。実際、日本最大手のVCであるジャフコがCOMSAを推進するテックビューロに投資し、個人投資家の千葉功太郎氏がCOMSAに出資していることがその証拠だという訳だ。審査が厳しいVCが出資した株式会社の社会的信用は、ICO参加者にとってもプラスに働くといえる。

ICOの効率性は悪用される場合もある。人気が過熱し、詐欺的な案件も増えている。プロダクトがローンチされないままのICOプロジェクトも多い。プロジェクトの成功確率が低いことは必ずしも悪いことばかりではなく、冒険的なプロジェクトに挑戦できる可能性があるということでもあり、スタートアップの成功確率が小さいという話とも似ている。ただし、ICOの場合はプロダクトがない構想段階なのに数億円といった資金を手にできる場合があり、特にモラルハザードを起こしやすい構造がある。

ICOをめぐり、世界各国で最近多くの動きがあった。7月25日に米SEC(証券取引委員会)は、2016年のThe DAOを「有価証券にあたり規制対象となる」と位置づけ、類似するICOは規制する方向性を示した。シンガポールとカナダの規制当局も同様の方針を打ち出している。9月4日、中国の中央銀行である中国人民銀行は中国国内のICOを「大部分は詐欺」と断じて一律停止、過去の案件も調査のうえ場合によっては返金を命じるとの厳しい措置を打ち出した。同じ日、ロシア連邦中央銀行も、仮想通貨とICOは「高リスク」と警告する文書を公開している。ICO過熱への警戒から、各国の規制当局が動いている形だ。もっとも規制強化の話ばかりではなく、エストニアでは8月22日に政府公認のICO計画を公表している。

COMSAに話を戻すと、テックビューロは「実業」がある案件に絞ることで成功事例を作っていく立場だと説明している。COMSAではICO協議会を設置してICO案件を審査し、特に初期段階では成功確率が高い案件を主に実施する考えだ。米SEC基準で有価証券に相当しないトークン(例えばサービス利用時に利用料を割り引いてくれるトークンなど)を設計していく。

前述した海外での規制強化は、詐欺的な案件や有価証券に準じる性格のトークンを対象としたものだ。そうではない健全なICOには「むしろ良い動きだ」と朝山氏は説明している。

テックビューロは今までトークンエコノミーというキーワードで多くの試みをしてきた。トークン発行サービスZaica、タレントの卵を応援するトレーディングカード的なICOであるBitGirls、それにZaifの優良利用者に配布したZaifトークンなどだ。COMSAは、これらの試みから得られた知見を投入したプロジェクトといえる。

シリーズBを終えた同社の今後の活動により、ICOやトークンエコノミーの分野で経験と知見、そして成功事例が蓄積されていくことを期待したい。

ゲーム実況プラットフォームTwitchが東京にオフィスを開設、日本に本格進出

ライブビデオでも今や一大ジャンルとなったゲーム実況。そのプラットフォームというと、日本ではYouTubeやニコニコ動画の名前が真っ先に挙げられることだろう。そんな日本に、世界的なゲーム実況プラットフォームであり、コミュニティも提供するTwitchが、ついにオフィスを設立することを明らかにした。

Twitchはアメリカ・サンフランシスコを本拠とする、ソーシャルビデオプラットフォームの会社だ。2011年、ライブ配信サイトのJustin.tvからゲームカテゴリーを切り出して誕生。2014年には9.6億ドルでAmazonに買収されたが、そのままのブランドでサービスを継続して提供している。

Twitchの新しい日本オフィスは東京に置かれ、APACディレクターであるレイフォード・コックフィールドIII世(以下、レイ)氏が着任する。今回のオフィス新設により、日本市場への展開を継続的に行い、さらにゲーム以外のジャンルへの拡張も進める、とTwitchでは説明している。ゲーム以外のジャンルとして具体的には、イラストや音楽などの創作活動のコミュニティやアニメ、プロレスなどの分野で、既に日本国内の関連ブランドやクリエイターと提携を進めており、年内にもいくつかの発表を行うようだ。

冒頭にも挙げたYouTubeやニコニコ動画のほかにも、クリエイター向けコミュニティとしてはPixivなども根づく日本への進出で、Twitchに勝算はあるのか。レイ氏は、昨年開催されたTechCrunch Tokyo 2016に登壇した際に「アジアでは、コミュニティとインタラクションが肝だ」「日本ではデータ収集と言語のローカライズを進めてきたが、これからは外資のサービスだと気づかれないぐらいのサービスを提供していきたい」「コミュニティ第一主義を採り、コミュニティは大切にするが、競合の存在はサービス拡大には影響はない」と意気込みを語っていた

今回のオフィス開設にあたり、レイ氏は「日本のコミュニティに対する私たちのコミットメントを示すとともに、アニメやプロレス、オタクカルチャーといったさまざまな分野で、ゲームと同様のコンテンツを日本の皆様に楽しんでいただけるようになることを、とてもうれしく思う」とコメントしている。

日産リーフのワールドプレミア、ここで動画配信――日本時間午前9:30から

日産の新しいリーフが公開されるワールドプレミアはこの後〔日本時間午前9:30から 〕ライブで配信される。すでに各種の情報が出ているリーフだが、正式に詳細が確認できるのはこれが最初の機会となる

今回の新しいリーフはメジャーアップデートであり、全電気自動車となる。大手自動車メーカーによって製造され、実際に販売される全電気自動車としては最初のプロダクトの一つとなるはずだ。2018年モデルの日産リーフには40kWhの容量のバッテリーが搭載され、1回の充電で240kmを走行できるという。バッテリーは60kWh、航続距離320kmまでアップグレードできる。

性能としてはTesla Model 3とは同クラスではないし、2017年のChevrolet Bolt EVほどでもない。しかし日産リーフはProPILOT半自動ドライビング・システムを搭載し、SAEレベル2の自動運転が可能だ。これにはレーン保持、加速、減速のコントロールなどが含まれる。

ストリーミングが始まるのを待つ間、下のスライドショーで日産から公開されたリーフの画像を何枚か見ることができる。

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    The new Nissan LEAF, packed with our most available advanced technologies, will be revealed September 6, 2017, in Japan (September 5 in the U.S.). The redesigned next-generation LEAF will amaze your senses and raise the bar for the electric vehicle market. As a 100% electric vehicle with zero tailpipe emissions, the new Nissan LEAF, an icon of Nissan Intelligent Mobility, offers a quiet and refreshing experience while driving.
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    NASHVILLE (Aug. 17, 2017) – Less than a week after its global debut, the next-generation Nissan LEAF begins making public appearances at National Drive Electric Week events across the U.S. Consumers in eight cities will get an up-close look at the second-generation LEAF. Nissan LEAF is the official sponsor of National Drive Electric Week for the third straight year. “The timing couldn’t be better. Bringing LEAF to some of the most enthusiastic EV advocates just days after its global debut is the perfect way to kick things off for this technology-packed car,” said Brian Maragno, director, Nissan EV Marketing and Sales Strategy.
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    NASHVILLE (Aug. 17, 2017) – Less than a week after its global debut, the next-generation Nissan LEAF begins making public appearances at National Drive Electric Week events across the U.S. Consumers in eight cities will get an up-close look at the second-generation LEAF. Nissan LEAF is the official sponsor of National Drive Electric Week for the third straight year. “The timing couldn’t be better. Bringing LEAF to some of the most enthusiastic EV advocates just days after its global debut is the perfect way to kick things off for this technology-packed car,” said Brian Maragno, director, Nissan EV Marketing and Sales Strategy.
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    Nissan is bringing the all-new 2018 Nissan LEAF to the inaugural Technology in Motion (TIM Detroit) exhibition and conference in Detroit. The three-day event will be one of the first opportunities to see the next-generation LEAF electric car following its global unveil.

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

「農業」「検査」などBtoB領域は日本にもチャンス——ドローン市場の可能性をDrone Fund代表に聞いた

編集部注: AIやIoTなどと並んで今後大きな産業になると期待されているドローン。「ドローンビジネス調査報告書2017」によると、日本国内のドローン市場規模は2017年度で533億円。そして5年後の2022年度には約4倍の2116億円にまで成長すると予測されている。

この調査におけるドローン市場は「機体」「ドローンを活用したサービス」「周辺サービス」の3つに分けられていて、中でも今後大きく伸びていくのがドローンを活用したサービスだ。2017年度の時点で全体の40%を占め、2022年には約70%までになるという。

そこで今回は2017年6月1日にドローンスタートアップに特化した「Drone Fund」を立ち上げ、すでに10社を超えるドローン企業に投資をしているドローンビジネスの専門家、千葉功太郎氏に国内を中心としたドローン市場の現状や課題、そして今後の展望について聞いた。なおDrone Fundについては設立時に紹介しているので、詳しくはそちらを参照いただきたい。

日本はこの2年で「ドローンの意識が高い国」になった

ドローンとは、無人航空機の総称。2015年7月に閣議決定された改正航空法での定義で言えば、「航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により、飛行させることができるもの」のことを指す。

航空法が改正されたきっかけとも言えるのが、2015年の4月に起こった、首相官邸へのドローン落下事件。実際あの事件をきっかけにドローンを知ったという人もいるはずだ。それから現在までの2年間で国内のドローンビジネスは、「認知」「規制」という2つの軸で急速に発展してきた。

まず2015年以前は一部の人しか知らなかったドローンが、この2年ほどで広く認知された。新しい産業が一定の認知を得るということは想像以上に難しい。たとえば近年注目を集める技術のひとつである「ブロックチェーン」でも、まだまだ認知が高いとはいえないだろう。

もちろん事件があってよかったと喜ぶことはできないが、ドローンを知る人が増え国も本気で向き合うきっかけになったことは間違いない。

結果として前述のとおり航空法が改正され、ドローンに関する規制も設けられた。ドローンビジネスの面では世界を追いかける立場の日本だが、法整備については他国と比べても先進国だといえる。日本はこの2年で「ドローンの意識が高い国」になってきたということだ。

インフラや農業など、BtoBのソリューション市場で大きく発展

規制の関係もあって一般人が日本国内でドローンを飛ばす機会というのはまだ多くなく、BtoCの分野では遅れているのが現状だ。機体の開発などハード面でも中国が圧倒的で、中でも市場を牽引するDJIが拠点を置く中国・深センが強く、日本は今後もBtoCの分野では苦戦するかもしれない。

一方で日本はビジネスにおけるドローンの活用に寛容で、BtoBの領域が成長してきている。特に注目したいのが「農業」「検査」「測量」といったBtoBのソリューション市場。一見地味な分野ではあるが市場規模も大きく、かつ日本が勝てる可能性もある。

というのもこの分野において日本は「課題先進国」だからだ。国内の労働力人口は今後さらに減少していくことが確実で、特に農業を含む一次産業では従事者不足が問題となっている。加えて橋やトンネル、鉄道、水路といったインフラの老朽化は進み、この分野ではさらなる人員が必要だ。

人間だけではもたない時代では、これまで人間がやっていた仕事をAIやロボティクス、ドローンで補っていかないといけない。そもそも人手が足りないのだから「人の仕事を奪わずにすむ」というのは大きい。

農業分野では生育状況の調査や農薬散布でドローンの活躍が期待されている。ドローンで空から畑や田んぼを撮影し、データを解析することで生育状況のムラなどを把握。それを元に別のドローンで農薬を撒いていく。インフラ検査では橋の下やトンネルといった危険な場所や、下水道管のように検査しづらかった場所で活用が見込まれる。今までは問題が起こった後で対応していたような場面でも、事前にドローンで検査し状況を把握することで、先回りして対応できるようにもなる。

このような課題は日本にとってのビッグイシューであり、ビジネスとしてもインパクトが大きい。国内ではロボティクスやAIと比べてドローンが注目されたのは最近だが、日本のドローン企業がいち早くソリューションを提供することができれば、世界でも戦えると考えている。

課題は「リスクマネー」「経営手法」「技術プロデュース」

可能性があるとはいえ、現時点では中国などと比べると日本は「ドローン後進国」だ。他の産業に比べ日本でドローンスタートアップが育ってない理由は以下の3つが大きい。

  • リスクをとって投資する投資家が少ないこと
  • スタートアップ的な経営手法が根付いていないこと
  • 技術のプロデュースが不十分であること

国内ではドローンの歴史が浅く、ドローンスタートアップに投資をする投資家がまだ少ない。インターネット業界では資金調達をして赤字でもやりたいことだけに集中するという選択も珍しくないが、ドローンスタートアップではそのような文化がない。

スタートアップというよりは個人事業に近い印象で、撮影など受託仕事をしながら数人でほそぼそと事業を回しているところも多い。資金調達をして人員を増やし、急成長やエグジットを目指していくというスタートアップ的な考え方も根付いていないのが現状だ。

また技術や専門家は存在するものの、個々が単体で存在していてその力を十分に活用しきれていない。そのような技術をプロデュースし、上手く組み合わせることができれば市場はもっと成長していくと考えている。これはスタートアップや個人に限った話ではなく、大企業に眠っている技術もある。

たとえば自動車メーカー向けに素材を提供している素材メーカーや、燃料電池を開発している企業。現在はドローンに使われていないが、非常に技術力が高くドローンに転用できるものも多い。しかしドローンに活用できると気づいていないために、眠ってしまっている。日本のドローンスタートアップを育てるためには、このような技術を持つ大企業を巻き込むことも必要だ。

ここ最近では日本を代表するような大企業もドローンに注目していて、東京電力とゼンリンが掲げる「ドローンハイウェイ構想」などはその代表といえるだろう。

インターネットのように、ドローンが当たり前になる社会

世界はもちろん日本でもこれから数年でドローン市場が急速に成長していく。個人的には5年先、つまり2022年頃にはインターネットに接続されたドローンが当たり前のように空を飛び、さまざまな産業に活用される「ドローン前提社会」が実現しうると考えている。

想像しがたいかもしれないが、今でこそ当たり前となっているインターネットも1990年代後半は非常に限定的なもので、一般の人が日常的に使うものとは考えられていなかった。数年後に携帯電話が普及しモバイルインターネットという概念が生まれた当初も現在とはまったく違い、たとえば電車で携帯電話をいじっていれば「盗撮をしているのでは」と疑われるような時代だった。

現在の国内ドローン市場はまさに90年代後半のインターネットバブル前夜と同じような状況にある。現政府のロボット政策の中にはドローンも組み込まれていて、未来投資会議でもドローンの活用には度々言及されるなど期待値も大きい。

それもあってドローンの技術革新のスピードは著しく、技術的には2020年代に都市で多数の自立飛行ドローンが活躍する社会(レベル4)を目指せるレベルだ。どちらというと社会実装が追いついていないため、法整備とともに先の携帯電話の事例のように社会の許容度がどこまで変化するかがポイントになるだろう。

順調にいけば2022年のドローン市場は、インターネットが常時接続されるようになった2002~2004年のような状況になる。常時接続が当たり前になったことで、SNSを筆頭にさまざまなサービスが誕生しインターネット業界は爆発的に成長を遂げた。

ドローン市場においてもインターネットに接続されたドローンが当たり前となることで、それを前提とした今では想像できないようなサービスも生まれていくはずだ。

千葉功太郎

慶應義塾大学環境情報学部卒業後、株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)に入社。2000年より株式会社サイバードでエヴァンジェリスト。2001年に株式会社ケイ・ラボラトリー(現 KLab株式会社)取締役就任。

2009年株式会社コロプラに参画、同年12月に取締役副社長に就任。採用や人材育成などの人事領域を管掌し、2012年東証マザーズIPO、2014年東証一部上場後、2016年7月退任。

現在、慶應義塾大学SFC研究所 ドローン社会共創コンソーシアム 上席所員、株式会社The Ryokan TokyoのCEO、国内外インターネット業界のエンジェル投資家、リアルテックファンド クリエイティブマネージャー、Drone Fund General Partner を務める。

俳優の山田孝之氏が取締役CIO――インフルエンサーとファンを繋ぐライブコマース「me&stars」を今冬ローンチ

トランスコスモスはコールセンターやEC、デジタルマーケティング分野での事業を展開しているが、インフルエンサーを巻き込んでライブコマース事業にも打って出るようだ。

トランスコスモスは本日、俳優の山田孝之氏と共にライブコマース事業を手がけるミーアンドスターズを設立したことを発表した。山田孝之氏はミーアンドスターズの取締役CIO(Chief Innovation Officer)に就任する。ライブECプラットフォーム「me&stars」は今年冬頃にサービスの提供を開始する予定だ。

me&starsは、「スターとファンをダイレクトに繋ぐライブキャストオークション」という位置づけだ。me&starsは本日のプレスリリースで、サービス内容について以下のようにコメントしている。

順次多彩なスター、インフルエンサーとのタイアップによって、さまざまなプレミアムコンテンツを提供していきます。またプレミアムコンテンツとしてはモノの提供だけでなく、スターとファンとのリアルな体験も用意されており、これまでに手にできなかった貴重な時間も販売・提供します

インフルエンサーを起用したライブコマースと言うと、メルカリが2017年7月にリリースしたライブフリマ機能が記憶に新しい。ライブフリマ機能のリリース時、メルカリは田村淳氏、道端アンジェリカ氏、藤森慎吾氏といったタレントを起用してライブコマース配信を行なっていた。ただ、メルカリの場合、メルカリのユーザーにライブフリマ機能を知ってもらうプロモーションの意味合いが強かっただろう。メルカリは有名人に限らず、一般ユーザーにも順次配信機能を提供するとしている。

他にもライブコマースサービスにはCandeeが手がける「Live Shop!」などがあるが、me&starsのサービスはどちらかというと、タレントや声優とファンを繋ぐライブストリーミングサービス「SHOWROOM」のようなファンビジネスに近いと言えるかもしれない。

B向け人工知能業界をまとめたカオスマップ(2017年下期版)が公開

AI専門メディアの「AINOW」は9月5日、B向けに人工知能関連ビジネスを展開する企業をまとめたカオスマップを公開した。

このカオスマップに掲載されている企業は190社。なかでも「解析系」の領域には最も多くの企業が分類されていて、その数は60社となる。

マップ上では総合開発の領域が一番大きいように見えるけど、中身をみると結構幅広い企業が掲載されているから、アンケートでいうところの「その他」に似た分類という印象。それでも、トヨタから105億円という巨額の資金調達を実施したPreferred Networksなど、有力なAIスタートアップもここに含まれている。

このカオスマップを公開したAINOWは、「今まで大規模で扱うことが難しいとされていたビッグデータを可視化・分析をすることで新たなビジネスに繋げることができ、各企業がビッグデータの活用に注目」しており、その影響から解析系に分類される企業が増えたのではないかとしている。

音声認識技術のフェアリーデバイセズ、Amazon Echoとそっくりなスマートスピーカーで市場参入

音声認識・音声対話プラットフォームの「mimi」を提供するフェアリーデバイセズは9月4日、企業向けに提供するホワイトレーベル・スマートスピーカー「Fairy I/O Tumbler(以下、Tumbler)」を発表した。

Fairy I/O Tumbler

Amazon Echoによく似たタンブラー型スマートスピーカーのTumblerは、フェアリーデバイセズが提供するホワイトレーベル・ハードウェア製品群「Fairy I/O」シリーズの第1弾プロダクトだ。

高さ14.5cm、直径7.5cmのTubmlerには音声入出力機能はもちろん、気温、湿度、気圧、照度センサーなどが搭載されている。

一方で、これまでにフェアリーデバイセズが提供してきたmimiは、音声認識システムを構築するために必要なテクノロジーを揃えたソフトウェアスタックだ。マイクアレイ・フロントエンド処理機能を担う「mimi XFE」、音声認識機能の「mimi ASR」、話者識別機能の「mimi SRS」などから構成されている。

mimiはこれまでにシャープが販売するロボット家電「COCOROBO」に搭載されるなどの実績があり、同社のリリースによれば、これまでにmimiを搭載した製品は累計で180万台に到達したという。

同社が今回発表したTumblerは、mimiの性能を最大限に発揮することを目的として開発されたデバイスだという。

必要なものを取捨選択

Tumblerに加え、フェアリーデバイセズはオープンな理念をもった技術的スタックの「Fairy Cognitive Technology Open Stack(以下、CTOS)」を発表している。

ソフトウェアのmimiとハードウェアのFairy I/Oを含んだ技術スタックであるCTOSを利用することにより、音声認識システムの開発者は、システムの開発に必要とされる各要素技術にアクセスすることができるだけでなく、必要なものとそうでないものを取捨選択しながら自社の技術も織り交ぜるというようなシステム開発が可能になる。

また、フェアリーデバイセズが提携する外部パートナーが保有する技術も利用可能だ。現在、CTOSではエーアイが開発する多言語音声合成技術を利用することができる。

CTOSの概要図

フェアリーデバイセズ代表取締役の藤野真人氏はリリースの中で、「大手IT各社が、スマートスピーカー製品を中心としたエコシステムを拡大している。しかし、それらのエコシステムに加わった場合、強い技術的制約を受けるため、真に目的とする音声対話システムを作ることは、ほぼできないと言っても過言ではない」と語り、そのような制約から開放された枠組みを提供することで、新しい価値を生み出すことができると話している。

DeNAからタクシー配車アプリが登場——横浜の限定エリアで実用実験、AI活用で需給予測も

自動運転バスや宅配便の自動運転プロジェクト「ロボネコヤマト」など、自動車関連テクノロジーの開発にも積極的に乗り出しているDeNA。2017年1月には「ロボットタクシー」をともに手がけていたZMPとの業務提携を解消したものの、同時に日産と自動運転車両の交通サービスのプラットフォーム開発を発表しており、自動車に関するサービスやソリューションを提供する事業を進めている。

そのDeNAが、今度はAIを活用したタクシーの配車アプリ「タクベル」の実用実験を開始する。この実験は横浜市と神奈川県タクシー協会との協力によるもので、横浜市の中区、西区およびJR横浜線沿線の東神奈川~長津田周辺の限定エリアを対象に、9月12日から10月31日まで実施される。実験中は、専用端末を搭載したタクシー約200台(1日に走行する車両は100台程度)が走行。DeNAは、神奈川県内では2018年1月以降での実用化を目指しており、神奈川県以外の地域へも順次導入を進めたい考えだ。

タクシーの配車アプリといえば、日本交通の子会社JapanTaxiが提供する「全国タクシー」が先行している分野だ。全国タクシーは6月の時点で、ダウンロード数が300万件を突破。エリアは47都道府県をカバーし、全国のタクシー台数の5分の1以上に対応している。また決済手段も増えていて、事前のネット決済のほかに、ウォレット機能による乗車中の支払いも可能だ。

後発となるタクベルでは、指定場所へのタクシーの配車依頼や、周辺を走行中のタクシーを表示する機能など、既存の配車アプリに搭載されている機能に加え、迎車地点で乗客と乗務員が効率よく出会えるよう、お互いの現在地を確認できる機能や、定型メッセージを送り合える機能が備わっている。決済は事前に登録したクレジットカードを利用するネット決済と車内決済を選択することが可能だ。

さらに、タクベルではAIを活用した「需給予測システム」が導入される予定だ。この需給予測システムは、運行中の車両から収集するビッグデータと、タクシー需要に関連する各種データを解析し、乗務員にリアルタイムに需給予測情報を提供するという。

タクベルは、iOSのみでの提供を予定。9月12日16時以降、こちらからアプリのダウンロードが可能になる。ダウンロードは無料。

DeNAでは、タクベルの提供により「将来的にはタクシーと乗客のマッチングを効率化し、乗りたい時により早くタクシーが見つかる環境を目指す」「タクシーの新たな需要を掘り起こすことにより、更なる深刻化が想定されるタクシー乗務員の労働力不足の課題解決に貢献したい」としている。

スマホでアクセサリーを製作・販売できる「monomy」運営元が1.2億円を調達

スマホ上で手軽にアクセサリーの製作から販売までできる、ものづくりマーケット「monomy」。運営元のFUN UPは8月31日、ベクトルと2名の個人投資家を引受先とした第三者割当増資により、総額1.2億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

FUN UPは過去にコロプラ元取締副社長の千葉功太郎氏、ソウゾウ代表取締役の松本龍祐氏、楽天元代表取締役副社長執行役員の島田亨氏など複数のエンジェル投資家から合計数千万円を調達している。また同社は今回資金調達と合わせて、島田氏がFUN UPの社外取締役に就任したことも明かした。

登録後3カ月で4000件投稿するユーザーも

FUN UPは2011年にヤフー出身の山口絵里氏が立ち上げたスタートアップで、2016年8月にmonomyを正式にローンチした。monomyの特徴は面倒な手間や投資をすることなくスマホ上で気軽にオリジナルアクセサリーを作り、そのデザインを公開し、販売できることだ。

販売できるといっても、ユーザーはアクセサリーのデザイン案をアプリで作成し、投稿するだけ。素材集めやアクセサリー製作、決済、発送といった手間のかかる作業はmonomy側で担当。アクセサリーが売れた場合には、販売代金の10%をインセンティブとして受け取れる。高度な知識や技術は必要なく、在庫を抱えるリスクもない。気軽にアクセサリー作りに挑戦できることもあり、小学生のユーザーもいるのだという。

自分で作った商品を売るサービスは「minne」「Creema」といったハンドメイドマーケットや「メルカリ」をはじめとするCtoCのフリマサイトなどが存在する。それに比べて商品を作ることに焦点をあてたアプリを目にする機会はあまりなかった。

「ユーザー数や販売数よりも、ユーザーあたりの投稿数といった既存ユーザーのアクティブ率や満足度を重視してきた。新規ユーザーの登録後1週間の平均投稿数が30〜40件ほどに伸び、3カ月で4000件ものデザインを投稿するユーザーもいる。累計で100件以上投稿しているユーザーも600人を超えるなど、アクティブ率はかなり上がってきた」(山口氏)

monomyユーザーの多くはまず純粋にアクセサリー作りを楽しんだ上で、自分の作品を購入したり他ユーザーの作品を購入する。作品の投稿経験はなく購入経験だけがあるユーザーは、わずか3.6%だけだ。また「想定していたより他者の作品を購入している」と山口氏が話すように、自分で作品を投稿・購入している作り手の44.7%が、他ユーザーの作品も購入しているという。

今回山口氏の話を聞いていて興味深かったのが、作品が売れてインセンティブを取得したユーザーの換金率はわずか0.5%だということ。インセンティブを元手に自分や他ユーザーが作った作品を購入する人がほとんどで、monomyで手にしたお金をmonomyで使うという1つの経済圏のようなものができあがってきている。

正式リリースから約1年が経ち、現在monomyに投稿された作品は50万点を越えた。今後は引き続きアクティブ率を重視しながら、ユーザー数の増加も目指していくという。

今後は海外展開や横展開に加え、他ECとの連携も検討

monomyでは今回の資金調達も受けて、新たに海外展開と横展開を進める。

海外展開についてはすでにアメリカやアジアなど海外からmonomyへの流入が一定数あり、日本人のユーザーと同様積極的に作品を投稿しているという。商品を購入したいという問い合わせもあり、海外版のリリースを考えている。

あわせて靴やメガネなど、以前から構想としてかかげていた別領域への横展開も今後進めていく。これまで構築してきたmonomyのモデルを生かし、工場や職人とも連携しながらさまざまな領域における「ものづくりマーケット」を目指していく。

ものを「作る」部分で事業を広げていきながら、「売る」部分については他のコマースサービスとの協業も検討する。

「デザイン性が高いものを作れることがmonomyの特徴であり目指しているところ。作ったものを売れるサービスは他にもあり、ユーザーにとってはより売れる場所に出品できたほうが良い。たとえばAPI連携でmonomy上から他サイトに出品できるような機能を追加するなど、他社との協業も考えている」(山口氏)

直近では指定された予約数を達成すると割引価格で商品を購入できる「GOOD BUY」という共同購入機能をmonomy内でリリース。商品をより買いやすい・売りやすい仕組みも導入してはいるが、monomyが重視するのはあくまで作りやすいという部分。「販売をものすごく頑張るということは考えていない」(山口氏)という。

“3ステップで給料を前払い”、ミレニアル世代に向けた「Payme」が本日ローンチ

2017年はお金にまつわる面白いアプリがたくさん誕生した。CASHTimebankpolcaなどがその代表例だろう。そんななか、社会人なら誰にとっても身近な存在である「給料」に着目したサービスが生まれた。

本日ローンチした給料前払いサービス、「Payme」だ。

同時に、その運営会社であるペイミーは9月4日、インキュベイトファンドエウレカ創業者の赤坂優氏、ペロリ元代表取締役の中川綾太郎氏、CAMPFIRE代表の家入一真氏から総額5200万円を調達したと発表した。

ペイミーは今回調達した資金を給料前払いサービスの原資として利用するとしている。

企業がPaymeを導入することで、そこに勤める従業員は将来受け取る分の給料を先に受け取ることができるようになる。引っ越し、冠婚葬祭、アクシデントなど、給料日までに高額な出費があるときなどに便利だ。

ただ、給料前払いサービス自体は新しいものではない。三菱東京UFJ銀行もフレックスチャージという名で同様のサービスを展開しているし、enigmaが提供するenigma payもある。

では、それらのサービスとPaymeの違いはなんだろうか?24歳でPaymeを創業したCEOの後藤道輝氏によれば、それは若い世代でもストレスなく使えるUI/UXだという。

「既存のサービスは使いづらく、優しくない。Paymeはミレニアル世代によるミレニアル世代のためのサービスです」(後藤氏)

ミレニアル世代が使いやすく、とっつきやすいUI/UXを

取材時にサービスの流れを見せてもらったのだけれど、Paymeの使い方はたしかに簡単だった。必要なのは3ステップだけだ。

まず、会社で利用しているメールアドレスを入力し、アカウントのパスワードを設定する。すると、事前に企業から提供された従業員データと給与データをもとに、前払い可能額が表示される(正社員であれば給与全額の70%程度)。

あとは「申請」ボタンをクリックして銀行口座を指定すると、最短即日で前払いされた給料を受け取ることができる。

手数料は3〜6%を予定していて、企業の信用度によって変動するという。

Paymeを導入する企業側のメリットとしては、前払い制度を導入することで求人の応募数が上がったり、従業員満足度が向上したりなどが考えられる。もちろん、初期の導入時にPaymeと従業員管理システムとのすり合わせる必要があるなど、多少の作業は必要になる。

後藤氏によれば、Paymeはサービスローンチ時点ですでに20社への導入済みだ。具体的な企業名は非公開だが、「半分はIT系の企業だが、いわゆる『町の商店』のような規模の企業にも導入されている」のだそうだ。

VC投資業務の経験もある24歳起業家

「50年間変わっていない給料を変えたい」と話す後藤氏は、1992年生まれの24歳。

彼はEast Venturesでベンチャー投資業務に携わったあと、メルカリCAMPFIREを経てDeNAに中途入社した。そのDeNAの戦略投資推進室で約1年間勤務したのち、2017年7月にペイミーを創業した。

ローンチ当初は給料前払いサービスとして始まるPaymeだが、将来的には貸金業と第2種金融業を取得したいと後藤氏は語る。

そうすることで、給料データをもとにした貸金サービスを展開したり、Paymeをプラットフォーム化してユーザーから集めた資金を前払い用の原資にし、そのお金が生み出したリターンをユーザーにも分配するなどの構想があるようだ。

ペイミー代表取締役の後藤道輝氏

日本人がシリコンバレーで起業したFlyDataが400万ドルを調達して、日本オフィスを開設

2011年に米国シリコンバレーで創業したスタートアップ企業「FlyData」が、未来創生ファンド、アマノ、ニッセイ・キャピタルから総額400万ドルのシリーズAラウンドの資金調達を8月中にクローズしたことを発表した。既存投資家のニッセイは追加投資となる。FlyDataは2015年7月に約2億円のブリッジ資金調達をしているなど累計調達額は900万ドル超となる。

FlyDataが提供する主力製品の「FlyData Sync」は企業が持つデータベースをクラウド上にリアルタイムに反映して分析するためのSaaS製品だ。以前、TechCrunch Japanでは「データ駆動型組織になるための5つの構成要素」という記事を掲載したが(読んでないなら、すぐ読むべきだ)、企業が使うシステムではデータが分散していたり、アクセス権限がなかったり、分析に向かない形式であることが多い。FlyDataが提供するのは、企業がデータを活用するための基盤となる「常に最新状態の単一のデータ」をクラウド上で維持するためのサービスだ。

RDMSと呼ばれるデータベースはExcelでいう行(レコード)単位でのアクセスに最適化されている。行の読み書きは高速だが、列をまとめて傾向を調べるといった処理は苦手だ。特にデータ量が増えた場合には処理が遅くなる。本格的なITシステムであれば、高価なデータウェアハウス製品を導入し、さらに高額なコンサルフィーを払ってBIを導入するということになる。

FlyData Syncを利用すると、稼働中のRDMSのログから日々生まれる差分情報を監視して、これをAmazonのクラウド版データウェアハウスといえる「Amazon Redshift」にリアルタイムで反映し続けることができる。クラウド上のデータに対して任意のBIツールを組み合わせて使える。例えば、TableauやQuickView、Redash、Tibco、DOMOなどが利用できる。元のITシステムに変更は不要で、RDBMSに対してはリード操作すらかけないというのがポイントだそうだ。というのも、SIerが組んだシステムだと、たとえリード処理だけであってもデータベースに「触るな」と言われることがあるのが現実だからだ。

収益の8割以上が米国市場、日本でも拠点を構えて販売を本格化

FlyDataの顧客は米国を中心に世界に現在は約60社。FlyDataファウンダーの藤川幸一氏によれば、SaaSビジネスで最も金払いが良いのは米国。その結果、今のところは収益の8割以上が米国となっている。「アメリカのSaaSビジネスだと75%が米国というのが普通なので、弊社はやや高めです。東南アジアは『高い』といってSaaSにあまりお金を払ってくれません。人件費の違いですね。エンジニアの人件費が高いから米国はSaaSにお金を払う」(藤川氏)。創業者はもとよりメンバーに日本人が多いものの、現在日本市場の売上は1割程度。そこで日本でも市場を拡大するべく、8月末に東京・御徒町にオフィスを開設。技術の分かるソリューション営業など採用を進めているそうだ。「すでに5人くらいは日本で動き始めています」(藤川氏)

FlyDataファウンダーの藤川幸一氏。まだほとんど空っぽの東京・御徒町のオフィスも「すぐに社員でいっぱいにしますよ」と話す

導入顧客は、しっかり資金調達をしているスタートアップ企業が多く、顧客企業には99designs、Vivid Seats、InVision、MoveOnなどがある。日本の導入事例だとクラウドワークスやSansanのほか、マッサージのチェーンの「りらく」がある。りらくでは、それまで全国500店舗のCSVデータを本部に送ってデータに反映していたものをFlyData Syncを使ってRedshiftに反映。「毎日1時間各店舗で割いていた時間が削減され、エリア・マネージャーが店舗を回るときにも、リアルタイムでTableauからKPIを引き出して現場にフィードバックできるようになった」(藤川氏)という。「入社1年目の経営企画の社員でも使えます。以前は自分たちがどういうデータを持っているかも知らなかったが、専門家でなくても自分たちがほしいデータや知見を引き出せる」とデータ駆動のビジネスのメリットを語る。

今回資金調達に加えてFlyDataでは、AI研究者の東京大学の松尾豊氏が、個人としてアドバイザーに就任。データ処理の準備の部分にディープラーニングを適用する研究開発を進めるとしている。

インスタの投稿から飲食店を探せる「Tastime」、複数のエンジェル投資家から4050万円を調達

行きたいレストランをグルメサイトやグーグルで探すのはもう古いらしい。Tripboxが手がけるのInstagramの写真から飲食店を検索できるアプリ「Tastime(テイスタイム)」だ。本日、Tripboxは4050万円を第三者割当増資を実施した。引受先はDas Capital、EastVenturesの他、家入一真氏、中川綾太郎氏、佐藤裕介氏、田村淳氏といった個人投資家が参加している。

Tastimeのアプリを開くと、シズル感のあるピザや寿司などの料理の写真一覧が表示される。写真をクリックすると、その料理を提供する店舗の営業時間や連絡先、所在地の地図を確認することができる。エリアやレストランのジャンルを絞って飲食店を探すことも可能だ。

2017年3月にアプリの提供を開始して以来、アプリのダウンロード数は5万5000を超えたとTripboxは説明する。

今回、調達した資金はサービス対象地域の拡大に合わせ、開発やプロモーション、イベント開催に注力するという。具体的には、現在サービスを提供している東京・大阪以外に京都、名古屋、福岡の国内主要都市に加え、ハワイ、韓国、台湾、香港など海外都市にも対象地域を拡大する計画だ。

Tripboxは2016年4月に設立し、2017年4月にはDas Capital、Fablic代表取締役の堀井翔太氏らから1500万円の資金を調達している。

スマート乾電池「Mabeee」の開発元が1億円を調達、小型省電力デバイスでB2B事業に注力

TechCrunch Tokyo 2015に出展時の様子

ノバルスは、乾電池をスマートにするIoT端末「Mabeee(マビー)」を開発している。本日、ノバルスはニッセイ・キャピタルを引受先として1億円を調達した。

Mabeeeは単3電池型の端末で、単4電池を中に入れ、スマホアプリと連携して使う。例えばプラレールにMabeeeを装着すると、アプリで電車のオンオフを切り替えたり、走行スピードを変えたりできるようになる。

ノバルスは2015年4月に設立し、シードファイナンスとしてICJ(インクルージョン・ジャパン)から資金調達を実施(金額は非公開)した。2016年9月にはニッセイ・キャピタルとみずほキャピタルより1.2億円を調達している。今回の調達は既存株主から再び出資を受けた形だ。

Mabeeeは2016年8月より一般販売を開始。価格は4980円。現在は600以上の店舗で販売するまでに至ったという。ただ、今回の調達はC向けの販売強化ではなく、B2B事業の展開に力を入れるためのようだ。

ノバルスは本日のプレスリリースで以下のようにコメントしている。

「MaBeeeで培った小型・省電力製品開発技術を基軸に、IoT市場におけるB2B事業への展開のため、新規デバイス開発、SDKなどのソフトウェア開発、クラウド開発などの開発費用及びB2Bアライアンスに向けたマーケティング費用、人材強化費用への充当を予定しています」。

小型、省電力IoTモジュール

音楽メディア「block.fm」創業のm-flo☆Taku氏が考える分散型メディアの理想形

block.fmは、音楽グループm-floの☆Taku氏が手がけるダンスミュージックに特化したメディアだ。block.fmは2011年11月に設立し、アーティストやDJによるラジオ番組の他、記事や動画コンテンツを配信している。2017年8月24日にサービスの全面リニューアルと共に、個人投資家より5000万円の資金調達を行なったことを発表した。そして本日、block.fmはSpotifyと協力し、Spotifyでのオフィシャルコラボプレイリスト「Hangover Detox」を開設し、9月3日から配信を開始すると伝えた。

今回TechCrunch Japanは、m-floのDJ、☆Taku氏ことblock.fmのファウンダーで代表取締役を務める高橋拓氏にblock.fmを創業した経緯や今後の展開について話を聞いた。

block.fmはウェブ、iOS、Androidでラジオ番組を中心に記事や動画コンテンツを配信している。ラジオ番組は24時間ストリーミングで3チャンネルあり、月50本ほどの番組を自社制作している。番組はオンデマンド形式で聞けるが、生放送番組も3、4本ある。block.fmは音楽を軸に次に来る新しいものを紹介するメディアで、コンセプトは「遊び、遊び方、遊び場所」と高橋氏は言う。

ラジオ番組だけを集めたアプリやニュース記事を読むことだけに特化しているアプリが多い中、block.fmは聞くタイプのコンテンツと読むコンテンツがサービス内に同居している。また、block.fmは自社の専用ウェブサイトとアプリを展開しているものの、同時にFacebook LiveやPeriscope、Instagramストーリーなどにもコンテンツを配信する分散型メディアの側面を持つのも特徴だ。今回、Spotifyでオフィシャルチャネルを持つに至ったのもそうした施策の一環という。

ラジオ番組や記事といったコンテンツ形式、あるいはSNSやストリーミングサービスといったプラットフォームは「どれも表現するためのキャンバス」と捉えていると、高橋氏はblock.fmのコンテンツの配信方針について説明する。

「ウェブメディアの中でインスタだけとか、フェイスブックだけにこだわるのではないような気がしています。極端な話をすると、文字原稿も動画も音もコンテンツはコンテンツ。表現方法が違うだけで、コアな情報はどれでも表現できるし、どんな手法でもできなきゃいけない時代であると感じています。それはスマホが出てきたからです。そうしたことを全部できるのが、一番理想的なメディアの発信の仕方なんじゃないかと考えています」。

アーティストにとってストリーミングサービスは敵か、味方か?

少し話はそれるが、SpotifyやApple Musicに代表されるストリーミングサービスでは利益の分配率を巡り、楽曲提供に否定的なアーティストも多くいる。block.fmではSpotifyと組んでいるが、m-floというアーティストとしての立場からはストリーミングサービスをどのように捉えているのか。

髙橋氏は「ストリーミングは別に正義でも悪でもなく、単なるプラットフォーム」と自身の見解を述べる。「ストリーミングサービスだけで収入を得ようとしても採算は合わない。これは始まる前からも分かっていたことです。ただ、今の音楽のUXの中で、音楽との出会いを作る場所として、ストリーミングサービスは必要なものだと考えています」。

m-floでは所属するエイベックスと相談し、楽曲は全てストリーミングサービスで配信する方針であり、「そこで収入を得るというよりは、いかに自分たちのプロモーションの場に活用できるかを考えています」と話す。

音楽とメディア、続ける理由

高橋氏はm-floでの音楽活動を19年間続けているが、m-floもblock.fmも、良いものを紹介したいという共通の思いがあって行なっていることと話す。

「m-floはJ-popというフィールドで活動していますが、m-floではJ-popではありえないものをどうやって広げるかというアティチュードでやってきました。自分の好きなものの楽しさをもっと知ってもらいたいという気持ちでやっています。そうした意味で音楽活動とblock.fmの活動はリンクしています」。

もともとblock.fmの取り組みを始めたのは8年くらい前のことだったという。当時メインストリームではなかったテクノや電子音楽を紹介するメディアはなく、世界に通用する才能を持つ日本のクリエイターが先に海外で取り上げられ、発表されてしまうことに課題を感じていたと髙橋氏は言う。アーティストが表現する場がないのなら、自分たちでやろうと始めたのがblock.fmだった。

block.fmは8月24日に個人投資家から5000万円を調達していて、これが彼らにとって初めての調達だった。調達した資金はサービス開発とコンテンツの拡充に充てる計画だ。また、サービスの多言語化も行い、海外展開も視野に入れているという。現段階では日本語コンテンツしか提供していないが、すでに海外のリスナーもいるのだそうだ。具体的にどの市場に進出するかは決めていないが、まずは英語に対応してユーザーの反応を見た上で判断したいと高橋氏は話す。

block.fmは今後もコンテンツを作れる団体であり続けたいと高橋氏は言う。スマホの登場で、記事コンテンツなら読む場所が紙からウェブへと移り変わってきているのと同じように今後もそうした変化はあるかもしれないが、コンテンツを作る団体はこれからも必要とされていくと高橋氏は話す。

「block.fmをラジオ、記事、イベント、楽曲を制作するクリエイターが集まるコンテンツのソリューションサービスを提供し、自分たちのブランドをしっかりと作っていきたいと考えています」と高橋氏は話している。

 

レシピ動画の「クラシル」、タイアップ広告に続いて広告配信プラットフォームの提供を開始

複数の企業が多額の資金を投入しながら、しのぎを削りあっているレシピ動画市場。TVCMを実施するdelyの「kurashiru(クラシル)」とエブリーの「DELISH KITCHEN(デリッシュキッチン)」を筆頭に、クックパッドの「クックパッド料理動画」やBuzzFeed Japan の「Tasty Japan(テイスティージャパン)」などがある。

この盛り上がりをみせるレシピ動画市場は、認知度拡大・獲得のフェーズから徐々に次のフェーズへと向かっていくのかもしれない。クラシルを提供するdelyは、9月1日よりkurashiruを対象とした広告配信プラットフォーム「kurashiru ads」の運用を開始した。

kurashiru adsではクラシルの広告掲載領域の最上部に配信できる純広告「Premium Ads」と、インフィード型の運用型広告「Network Ads」の2種類を提供。どちらも静止画・動画に対応する。すでに展開しているタイアップ広告には出稿できなかった企業を開拓することで、新たな収益源の確立を目指す。

サービスの成長に比例した収益化目指す

これまでクラシルの収益源の柱となっていたのは、2016年5月から始めているタイアップ広告だ。たとえばレシピの中で食品メーカーの調味料や、飲料メーカーの商品を使うというもの。dely代表取締役の 堀江裕介氏によると「タイアップ広告は商品がスーパーの棚に置かれ、その後売れた時にはじめて成果となる。売れた要因を特定しづらいこともあり、効果測定が難しく当初は苦戦した」そうだ。

ただテレビCMの実施などでユーザー数が増加しタイアップ動画の反響がで始めると、クラシルで動画を作ると「売り上げが増える」「担当者が商品を棚に置く」という評判が広がるようになったという。当初は1本ごとの受注が多く単価も数百万前半だったが、最近では初めから数本単位・合計数千万円の受注も増えてきているという。

タイアップ広告が伸びていく一方でアパレルメーカーや美容品メーカーといった、食品業界以外の企業からクラシルに広告を出したいという問い合わせも増加。業種を広げる広告メニューの検討を進める中で生まれたのが、今回始めたkurashiru adsだ。kurashiru adsは新たな顧客を開拓することに加え、タイアップ広告にはないメリットがあるという。

「タイアップ広告はMAU(月間のアクティブユーザー)やimp数(広告の表示回数)が増えたからといって、それに比例して売り上げがあがるタイプの広告ではない。どちらかという広告主や代理店における認知度や、流行っている・イケているというイメージが売り上げに影響する。クラシルではユーザーの継続率やアクティブ率に自信を持っているからこそ、トラフィックが伸びれば安定した収益が上がる仕組みを作りたかった」(堀江氏)

認知度をとる戦いから、ユーザーのエコノミクスに合わせる戦いへ

堀江氏に今後の方向性を聞くと、まずこれからの半年は「ARPU(1ユーザー当たりの平均収益)をどこまで高められるか何がその要因になるのか、kurashiru adsも含めやりながら戦略を考えていくフェーズ」になるという。クラシルでは広告に加えて2016年8月からユーザー向けに有料プランも提供しているが、まずは広告事業を伸ばしていく方針だ。

delyにはフリークアウト・ホールディングス代表取締役社長の佐藤裕介氏や、アトランティスの創業者でもある連続起業家の木村新司氏、ユナイテッド取締役の手嶋浩己氏といった広告に詳しい面々が投資家として参画している。広告事業を展開する際に彼らのサポートが受けられるのは大きなメリットだろう。

今回興味深かったのは「今後レシピ動画市場は認知度獲得の戦いから、いかにユーザーのエコノミクスに合わせていけるかという、より本質的な戦いになるのではないか」という堀江氏の見解だ。

「Webサービスというのは、データのマッチングだと思っている。ユーザーにどのようなコンテンツをマッチングするか、どのような広告情報を出していくか。やればやるほどその精度は高くなるため、自社で広告や有料課金などに取り組みデータを貯めてきた。これからの半年では『やったことがない』をなくしていき、完成度を高めていきたい」(堀江氏)

TVCMの影響もあり、レシピ動画はIT業界の外にも認知が広がってきているように感じる。これからは獲得したユーザーの心をいかにつかみ、ビジネスとして大きくしていくのか。レシピ動画市場は次のフェーズに進んでいきそうだ。

シリコンバレー発のアクセラレーター・Plug and Playが日本で始動、大企業と組んだ支援プログラム

左から、江原伸悟氏、フィリップ・誠慈・ヴィンセント氏、矢澤麻里子氏

米・シリコンバレーに本拠地を置き、2006年から10年以上にわたってアクセラレーター・投資家として活躍するPlug and Play。シリコンバレーのサニーベールにあるアクセラレーション施設の「Plug and Play Tech Center」には、米国内外から多くのスタートアップや、彼らを支援する大手企業(公式パートナー)が集まっている。現在では世界10カ国でアクセラレーションを実施。毎年約150社のスタートアップに出資しており、その中にはDropboxPayPal、最近ではLendingClubといった名前が並ぶ。

そんなPlug and Playが日本法人のPlug and Play Japanを設立。国内での活動を本格化した。日本法人の代表には、米国のPlug and PlayにてIoTやモビリティ領域のアクセラレーションを担当していたPhillip Seiji Vincent(フィリップ・誠慈・ヴィンセント)氏が就任。また、Venture Partner/取締役に元サムライインキュベートの矢澤麻里子氏が、Program Manager/プログラムマネジャーとして元楽天の江原伸悟氏がそれぞれ就任する。

Plug and Play Japanでは、第1期となる日本でのアクセラレーションプログラムについても発表している。プログラムには公式パートナーとして、三菱UFJ銀行、東急不動産、電通、パナソニック、SOMPO Digital Lab、富士通、フジクラが参画。Fintech、IoT、InsurTech(保険領域)の3つのテーマを主軸にして、日米中心に約20〜25社のスタートアップを採択。メンタリングや事業ノウハウ、オフィス環境の提供、パートナーによる支援などを行う。募集期間は9月1日より9月15日まで。プログラムは11月8日より3カ月間を予定する。申し込みは同社のサイトから。またプログラム開始に先駆け、10月には東京・渋谷に東急不動産とともにコワーキングスペースを開設する。

この数年で「オープンイノベーション」という言葉を随分聞くようになったが、まだまだ言葉ばかりが先行している状況といっても過言ではない。スタートアップと大企業で実証実験をやったら、その後に本格的な提携もなくプロジェクトは終了なんてケースも耳にする。Plug and Play Japanのメンバーもそういった状況は認識しているとのことで、米国や海外でかれらが手がけて北大企業とスタートアップの連携を日本でも実現したいと考えているようだ。同社は渋谷に完成する新拠点を軸に、大企業とスタートアップ、日本と米国やその他のエリアを結ぶ「イノベーションのプラットフォームを作っていく」(ヴィンセント氏)としている。

またアクセラレーションプログラムやコワーキングスペースの運営に加えて、スタートアップへの投資も進める予定だ。「日本ではシードマネー(の出資を)受けやすくなってきたが、(全ての)スタートアップが育っているかというと、また違う。あくまで投資は手段。それに加えて大企業との連携やグローバルなメンターのアドバイスなどでスタートアップを支援していく」(矢澤氏)

リコーから新しい360°カメラ、THETA V――4K、スペーシャル・オーディオに水中ハウジングも

リコーが360°カメラをバージョンアップした。新しいモデルはTHETA Vと呼ばれ、4Kビデオ録画、より高い没入感を得られるスペーシャル・オーディオ録音、ライブストリーミングなどをサポートする。

リコーのTHETAは360°カメラのパイオニアであり、高い人気を得ていたが、ここしばらくバージョンアップがなかった。今回の新モデル登場でTHETAは待ち望まれていた現代化を果たした。

リコー THETA VはまたWiFiデータ転送速度を大幅にアップし、現行モデルの2.5倍とした。露出とホワイトバランスの正確性も改良されダイナミックレンジも広げられた。リコーはこれによってあらゆる照明条件下で従来より質の高い画像が得られるとしている。またこうした高度なテクノロジーは同社のPentaxデジタル一眼レフ・スリーズから移植したものだという。

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THETA Vは4Kビデオに加えて14メガピクセルの静止画を撮影し、内蔵の19GBフラッシュメモリに保存する。この容量は静止画なら4800枚、4K動画なら約40分に相当する。記録フォーマットはH.264ビデオコーデックをサポートする。ユーザーは専用アプリを用いBluetooth LEを介してスマートフォンからTHETA Vを操作できる。Wi-Fiで接続すればデータ転送速度は速くなる。

THETA Vのもう一つの新機能はソフトウェア・プラグインのサポートだ。つまりリコーは将来プラグインを投入することによってTHETA Vに新しい能力を追加できる。このシステムを活用した最初のプラグインはリモート再生機能だ。これはカメラで撮影した画像をテレビその他、接続可能なデバイス上でミラーリング再生するもの。

サラウンド録音できるスペーシャル・オーディオもクールな機能だ。360°カメラにはきわめて有効だが、THETA Vのライバルには内蔵されている例は少ない。能力は実際にテストしてから判断したいが、VR再生には特に重要となる機能だ。

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リコーでは、別売のアクセサリーとして3Dオーディオを録音できるマイク・キット(269.99ドル)、水深10メートル程度まで対応できる水中ハウジングを用意している。

THETA Vの価格は429.95ドル。今日(米国時間8/31)からリコーのウェブサイトを始めとする通常のチャンネルから発売される。 3Dマイクは同時に発売されるが、水中ハウジングの発売は10月になる。価格は199.95ドル。

リコーが 2013年にオリジナルのTHETAを発売して以後、360°カメラにはライバルが多数登場した。今週発表されたInsta360 Oneはその最新の例だ。しかしTHETA Vはリコーの製品だけあって高品質で信頼性も高く、消費者向け360°カメラとして最高の実績を持っている。発売開始でこの分野の競争はさらに激しくなりそうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+