建設業界に健全な競争環境を―、3年ぶりの資金調達でシェルフィーが仕掛ける業界革新

施工主と施工業者をマッチングするプラットフォームを提供するスタートアップ企業のシェルフィーが、ジェネシア・ベンチャーズ、ベクトル、Skyland Ventures、個人投資家を引受先とする第三者増資により、総額1億円の資金調達を行ったことをTechCrunch Japanへの取材で明らかにした。

1億円の追加資金調達といえば、いまの日本のスタートアップ界では決して大きな金額ではない。資金調達が3年前のシード資金1500万円のみといえば、なおさらそう思う読者も少なくないことだろう。

シェルフィー創業者の呂俊輝(ろい・しゅんき)氏によれば今回の資金調達は「月額制から成果報酬へ」というビジネスモデルの転換のために行ったもので、一時的にキャシュフローが変わることに備える打ち手だという。創業以来、想定外のトラブルで社員の給与遅配という最悪の事態に青ざめることもある「自転車操業状態」(呂氏)だったことに比べると、1億円の資金のバックアップがあることで経営が安定。「最近顔色がよく元気だと言われます。よく眠れるんです」と笑う。

シェルフィー創業者の呂俊輝氏

「いつも月末にお金がなくて。常にお金がなかった。売上は安定して伸びていたのですが、月額制課金といっても1年一括前払いで頂いていたのでキャッシュフローで心配がつきなくて。ああ、今月はあと2社集めてこないと資金ショートだ、というような状態がずっと続いていました」

そんなシェルフィーは創業依頼、3年間かけて業界関係者の懐に深く入り込み、小さなピボットを積み重ねてきた。

建設業界のビジネスを効率化し、不要な中間マージンを吹き飛ばす。そのはずが、気づけば自分たちも上乗せされた手数料として図らずも中間マージンを取る側になってしまっていた。マネタイズしなければ生き残れないという現実がありつつも、業界の透明化と効率化を図るはずだったという理想のギャップからたどり着いたのは、課金モデルを大きく変える必要性。新しい課金モデルを根付かせて事業を大きく伸ばすために必要だったのが今回の資金調達だという。

ニーズを知り、信頼を勝ち取るために業界に深く潜入

シェルフィー創業者の呂CEOは「わらしべ長者」のように少しのキッカケをつかんで業界に入り込むのが得意なようだ。

「起業当初は右も左も分かりませんでした。でも、初めてお客さんとなってくれた1社目の施工業者の方が、現場を見せてくれたんです。工事現場って立入禁止のテープが張ってあるじゃないですか? あのテープ、あれを越えて中に入れてくれたんです。創業してまだ1週間目のことでした。うれしかったですね。『ああ、業界に受け入れられたんだ』って(笑)。いまもその方には本当に感謝しています」

テック系業界に身をおいていると勘違いしがちだが、伝統的な産業では「IT」に対する風当たりが強いこともある。

「(ライブドア創業者の)堀江さんの逮捕で『IT業界』のイメージが止まっているんです。地方の施工業者に営業に行っても、最初は『胡散臭いやつら』と見られて相手にされない。まあ、こちらはITの若造じゃないですか」

「ただ、ぼくらは施工のことはすごく勉強しているわけです。例えば木の加工手法の専門的な話なんかをすると、なんだお前たちITなのに俺たちの業界のことを良く分かってるじゃないかって感じで打ち解けて。それで飲みに連れて行ってもらったりするうちに、いろいろと教えていただけたりするんです。最初の壁を超えると後は話が早い」

業界の中から商習慣の革新に挑戦中

現在シェルフィーは東京、大阪、福岡など9都市に300社の施工業者を顧客として抱えている。全国には約3万の施工業者があるので伸びしろはまだ大きいが、顧客数や事業拡大よりも優先しているのが「施工案件のコンペを正常に開催するというイノベーションを起こすこと」という。逆にいえば、現在の建築業界のコンペは歪んでいる、というのが呂CEOの見立てだ。

シェルフィーが扱う建築案件の多くは、飲食、小売、ファッションなどの店舗。保育園や病院もある。実は全国チェーンを展開する大手が新規店舗を開くというケースが多いという。東京に本社があって、たいていは「店舗開発部」というような専門部署がある。この専門部署が「困っている」のだという。

バブル期に84兆円規模あった建設市場は直近で50兆円規模に落ち込んでいる。そこに2013年の東北震災やオリンピック需要もあって、いまは需給が逼迫。施工を請け負える業者を探すのが難しくなっているのだそうだ。

そんなこともあってシェルフィーでは「店舗開発ナイト」と名付けたディープな業界関係者向けイベントを主催し、業界の担当者間のノウハウ共有も支援しているという。

「店舗開発部は、どこも悩みは同じなんです。見積もりの適正価格が分からない、コンペの最後で施工主側の社長が出てきてプランをひっくり返す、後輩教育が難しい、そもそも依頼できる施工業者を探すのに困っている、といったことです」

例えば飲食チェーンが富山県に新規出店するというとき、担当者が出張して施工業者を探すのは負担が大きい。シェルフィーは典型的なツー・サイド・プラットフォームだが、地道に地方へ営業を行って施工業者を顧客として開拓していったことが奏功した。2014年の創業以来、発注総額は150億円に積み上がっていて、そこから得た「施工主」「施工業者」の両方の悩みと本音を知り尽くしたことが強みだと呂CEOはいう。

自転車操業でも売上増にコミットした意地と苦労

シェルフィーは2014年の創業以来、基本的に自己資金で事業を育ててきた。1500万円のシード資金はすぐに底をつき、VCからの出資話も頓挫するという苦労をしている。

「実は以前に1億円の資金調達の予定もあったんです。それが最後にVCに断わられてしまって……。そこからですよね、よし、自分たちで稼ぐぞ、外部に頼らないぞといってメンバーの意識が変わったのは。VCにプレゼンした事業計画の売上推移を何がなんでも達成するぞって」。

売上を作るために、1つ1つの案件をいわゆる「手売り」したことが、結果として業界の本質的問題への直感として結晶し、3年経過してみて呂CEOの信念に結び付く。

「最初は全部マッチングを人力でやっていたので、どちらかと言うと人材紹介ビジネスに近かったんです。施工業者ごとにシェルフィーの担当営業マンがいて、施工の依頼案件に対して施工業者の稼働状況とか得意地域とか、そういうのを勘案しながらマッチングしていました」

「施工主と施工業者は『顔合わせ』といって、受注の前に互いにニーズや条件を確認するミーティングをするのですが、そこに同席して司会進行もシェルフィーでやったりして(笑)。そうやって一件一件成約をしていました」

「ITリテラシーはどうか、何に困っているのか。そうしたニーズを知りたかったんです。だから、現場に入ってガッツリやってきました」

本音を言わない依頼主と受注側が、透明化と効率化のボトルネック

日本人らしい話だが、「顔合わせ」では、なかなか両サイドとも本音は言わないという問題があるという。施工主はやりたいことを言わないし、施工業者は工期がきつくても「できます」と言いがち。さらに言うと、発注者側は自分たちのニーズを把握していないことも多い。海外では施工主はプロジェクト・マネージャーを雇い、専門家が業者と交渉することが多いそうだが、日本では専門家のサービスに対価を支払うという商習慣や文化がない。

そこでシェルフィーがやったのは案件ごとの詳細な聞き取り情報のデータ化と透明化。

支払いサイトや支払い方法(現金か手形か)に始まり、図面、予算や工期はどうか、初出店か、ターゲット利用者は誰か、特に力を入れたい部分は何かといった100項目以上にわたる聞き取り調査シートを案件ごとに用意して可視化。項目には担当者の人柄なんていう項目もあるそうだ。いい人か悪い人かではなく、積極的に提案をする業者か、どちらかというと言われたことを的確にやるタイプかといった違いで、これは発注者側にとっては重要な情報なのだとか。

現在はこうした標準化されたフォーマットから最適な業者をランキングするアルゴリズムを開発。地域や得意領域、実績のある店舗の種類や業種といったことから施工業者を選び出せるようになっているという。

横浜の案件なら横浜の業者が良いし、マルイ系ショッピングモールの実績があるなら、マルイ系の案件のマッチ度が高いといったスコアで判断をしている。このランキングに基いて上位50〜60社の施工業者に案件メールを一斉送信する。人気案件だと3社というコンペの枠は数十秒で埋まるという。

案件終了後には20項目にわたる相互評価も行い、その結果はランキングにも反映される。

さらに、これまで施工実績がないために案件獲得が難しかったものの、実力的には施工可能というマッチングも生まれてきているそうだ。施工管理会社は専門化が進みがちで、何度かアパレルを手がけるとアパレルの案件ばかりが来るようになる。しかし、本当のところアパレルを手掛けたことがあれば、実はカフェも上手に施工できるというような組み合わせがある。シェルフィーは、そうした知見をためてマッチングの効率化を進めているそうだ。

「出店時期は業種ごとに重なりがちです。例えばアパレルばかりやってると繁忙期に左右されたりします。だから施工業者が業種の幅を広げるのは意味のあることなんです。ただ、未経験の業種の初めの1件目の案件受注というのは難しい。そこをお手伝いしている形です」

マッチングの最適化ということでいえば、これまで施工の工程やプレイヤーのかかわり方から難しかったことも可能になりつつあるという。例えば、納期は伸びるものの家具を中国に発注できる施工業者や、木工工場を持っていて金属にこだわらなければ安く良い家具が作れるというようなことがある。施工主のこだわりポイントを事前に詳細に聞いておくことで、何が重要で何が必須でないかを分かったマッチングができる。「これまでオフィスのパーティションなんかでも、後50センチずらせば安くできるのに、それが設計デザイナーに伝わらなくて高くなるということがありました。そういったところの『翻訳』は大事です」。

自分たちの手数料が余計に中間マージンを引き上げてしまう結果に

施工業者を1社ずつ開拓し、施工案件を1つ1つ積み重ねた3年間。累計発注額は150億円を超えた。現在シェルフィーでは平均案件単価が1500万円(30〜40坪の案件)で月間4〜8億円、年間100億円規模の発注額を積み上げているそうだ。

建設業界の案件は「施工主→施工管理会社→(実際の工事を行う)専門業者」というふうに流れる。施工主には自宅を建てる個人も含まれるが、実はここは日本では建売住宅が主流のため大きな市場ではなく、85%は店舗需要。年に10万店舗の新規出店や移転があるという。その下流工程といえる専門業者側のプラットフォームとしては、スタートアップのツクリンクがある。だだ、発注者側の「上流を透明化するところに最大のニーズとインパクトがある」というのが呂CEOの考えだ。

シェルフィーは当初は施工業者から15万円の固定フィーを得る月額制ビジネスを展開してきた。それを2016年末から転換。コンペにおける報酬制に変えようとしている。どういうことか。

問題だったのは施工業者側のインセンティブや、不透明な見積もり習慣だ。

当初シェルフィーでは施工費の5%を受け取るモデルを展開したが、そうすると、施工業者は自分たちの手数料にさらに5%を上乗せしてコンペに案を出すだけになってしまった。2000万円の案件に対してシェルフィーの手数料が100万円とすると、最初から2100万円としてコンペに出してしまうということが起こったのだそうだ。

透明化をして仲介手数料を下げるために始めたプラットフォームビジネスなのに、逆のことが起こった。そこで15万円の月額固定料金として、施工業者に安定して送客する月額課金制に変えてみた。それでもやはり「ぼくらが中間搾取の一部になってしまった」(呂CEO)という。それでは案件ごとの単価が上がるため「シェルフィー案件」はコンペに負けることにもなっていた。

月額課金制度を廃止して、コンペ参加費用を徴収するモデルへ

結局、日本の建設業界のコンペというのは情報が不透明で、「安くて良いプラン」で競争すべき理由が欠けているたのだ。コンペというのは発注側の上司や社長を納得させるためのポーズに成り下がっていて、あらかじめ「(発注側として)いくらなら出せる?」というのに合わせてプランを出すようなコンペすらあるという。アイミツを取ったということを言うためだけに「発注はできなくて申し訳ないけど、2000万円の金額の見積もりを作ってもらえないか?」という依頼が施工業者に来たりする、そんなおかしな商習慣まであるという。

「コンペの理想は、施工業者が得意分野で値段を切り詰めたり、資材も安いものを調達するなど努力をすることです。では、どうすれば努力をするか? 勝たないと損だという状況を作ることです。新しい課金モデルでは、まずコンペの参加費用として施工費の1%をコンペに参加する3社から徴収します。月額制だとコンペに負けても別に損はしません。コンペ参加費用を取れば、勝たなければ損なので良いプランを提案するインセンティブになります」

「コンペに勝ったら成果報酬として2%いただきます。合計3%の手数料ですが、仲介業者は5〜10%取るのが一般的なので、これでもまだ安いんです。しかも、従来は5〜10社でコンペしていたのを3社だけに絞る。勝率は悪くないですし、チェーン店展開の案件が取れれば、続く案件の受注にも繋がる可能性がある。施工業者にしてみたら高くはないんです」

コンペに負けると損をするという課金モデルへの変更は、一部の施工業者から反発もあったという。すんなりと受け入れられるものではなかったが、2016年末に開始した新課金モデルの移行は今回の資金調達と前後して完了しつつある。

シェルフィーには現在15人正社員と3人のインターンが在籍している。毎年4月には新卒入社も含めて全社員にストックオプションを配っているそうだ。新しい課金モデルで業界の変革に挑戦し、今回の仮説と方程式が正しいことが証明された段階で、次回は大きく不動産や商社などシナジーのある事業会社から大きく資金を調達をする。そして、ゆくゆくは200億円程度での上場を目指すしたい、と呂CEOは話している。

建設業界のコンペのあり方を変えて「公正公平なプラットフォームを作りたい」というシェルフィーの挑戦は現在進行系だが、業界特化プラットフォームの作り方としても、今後に注目だ。

ホームセキュリティー提供のSecualがLIXILに続き、NHN CAPITALより資金調達

Secual(セキュアル)は工事なしで窓やドアに取り付けるIoT端末を使ったホームセキュリティーサービスを提供している。Secualは本日、NHN CAPITALより第三者割当増資を実施した。調達金額は非公開だ。

Secualを利用するには、窓やドアに専用の「センサー」を貼り付け、「ゲートウェイ」端末とスマホアプリとを連携する。セキュリティーをオンにしている時にセンサーが窓やドアの開閉や衝撃を検知するとゲートウェイからアラームが鳴り、アプリにも通知する仕組みだ。

今回Secualに出資したのは2017年7月にNHN JAPANのCVCとして設立したNHN CAPITALだ。Secualが彼らにとっての第一号案件となる。

NHN JAPANの完全親会社は、韓国に拠点を置くインターネット企業NHN Entertainment Corp.だ。NHNグループは韓国、日本、中国、台湾、タイ、シンガポール、アメリカなどで電子決済、Eコマース、アドテクノロジー関連事業やコンテンツサービスを手がけている。

SecualはNHNグループ各社と協業することで、「センシングデータに対してより高度な分析を実現し、アラート通知の精度向上をはじめとするデータ利活用を推進しつつ、データインフラの安全性向上とコスト抑制の両立を図ります」とプレスリリースでコメントしている。

また、NHNグループのネットワークを活かしてSecual製品のアジア展開を目指すとSecualの代表取締役を務める青柳和洋氏は話す。NHN Entertainment Cort. は韓国ですでにTOAST CAMというセキュリティーカメラを提供していて、セキュリティーサービスへの需要があると言う。

Secualはイグニション・ポイントからスピンオフした会社で、2015年6月に設立。同月にウィルグループインキュベートファンドからシード資金を調達し、2015年8月にはMakuakeのクラウドファンディングキャンペーンで600万円を超える資金を集めた。2015年12月にはアドベンチャー、AMBITIONらから総額6000万円を調達。2016年5月にもベクトル、インベスターズクラウドから総額1億5000万円を調達している。2017年4月にはワイヤレス・ブロードバンドサービスを提供するワイヤレスゲートとの資本提携を実施した。

また、つい先日の8月29日、SecualはLIXILとの資本業務提携を発表している。資本提携では総額1億円を調達したとのこと。LIXILと協業では、「次世代の窓」をコンセプトとした一般住宅向け窓および周辺製品の企画、開発を行う計画だ。

 

面倒な日程調整はチャットボットが代行——「オートーク」運営元が数千万円の資金調達

「人手のかかる機械的な作業をテクノロジーで代替・最適化できないか」、AIやチャットボットといった最新の技術を活用しながらこの課題に取り組むスタートアップが増えている。日程調整をチャットボットで代行する「オートーク」を手がける、RegulusTechnologies(レグルステクノロジーズ)その1社だ。同社は8月31日、500 Startups JapanとKLab Venture Partnersから数千万円規模の資金調達を実施したことを明らかにした。

RegulusTechnologiesが手がけるのは、個人向けのオートークと企業向けの「オートークビズ」。このどちらにも共通するのが「手間のかかる作業をオートメーション化することで、人間の生産性を高める」というテーマだ。

個人向けのオートークは、チャットボット型のパーソナルアシスタントのような位置付けのサービス。GoogleカレンダーやOutlookカレンダーと連携しておくだけでチャットボットがユーザーの予定を把握し、日程調整する。ユーザーがやることはメールやDMで専用URLを相手に共有することだけだ。

企業向けのオートークビズはアルバイト採用時などに、担当者が応募者と日程調整をする際の手間を削減するもの。7月のリリース以降すでに複数の上場企業への導入実績があるという。

「ある企業の方から『アルバイトの応募があっても、面接まで来てくれない人が多くて困っている』という課題を聞いたことがきっかけ。通常は採用担当者が電話やメールで面接日の調整をするが、ここに時間がかかっている。チャットボットで代行できれば、応募後すぐにコミュニケーションがとれると考えた。応募者の熱量が高ければ面接に来てくれる確率もあがるし、チャットボットであれば採用担当者の負担も抑えられるのではないかと」(RegulusTechnologies代表取締役・伊藤 翼氏)

伊藤氏によると、たとえば飲食店では店長がアルバイトの面接を担当することも多く、すぐに連絡をとりたくても本来の業務が忙しく対応に時間がかかってしまうケースもあるそう。大量の応募があれば面接日程の調整だけで膨大な工数が割かれ、担当者の大きな負担になってしまう。

その課題を解決するべく、オートークビズでは担当者はカレンダーの更新と確認をするだけ。日程調整から当日のリマインドまではチャットボットが代行する。

「自動化とはいってもどこかの段階で人手がかかるサービスも多い。オートークビズの場合は面接を実際に行うまで、応募者と担当者が直接やりとりをすることは一切ないというのが特徴」(伊藤氏)

RegulusTechnologiesでは今回調達した資金をもとに人材採用やサービスの改善を進めていく。オートークについては日程調整時にレストランへの送客などを行う機能や、社内外の日程調整に使えるビジネス版の展開についても検討しているという。

写真左から、RegulusTechnologies共同創業者の塚由 恵介氏と伊藤 翼氏

RegulusTechnologiesはエンジニアの伊藤氏と、デザイナーの塚由恵介氏によって2016年に創業されたスタートアップ。伊藤氏は過去に複数のスタートアップに参画し、その際にチャットボットの開発にも携わった経験を持つ人物。塚由氏もFablic在籍時にフリマアプリ「フリル」のデザイナーを務めるなど、様々なプロダクトをデザインしてきた。

「自動化を意識しすぎるとコミュニケーションがドライになるので、キャラクターを用いるなどドライにならないように設計している。今後も気軽に使えて、面倒な作業も自動化されるサービスを目指していく」(伊藤氏)

独立系VCのANRIが総額60億円規模の新ファンド、シードステージとハイテク領域に注力

ANRIパートナーの佐俣アンリ氏(左)と鮫島昌弘氏(右)

YouTuberの支援やマネジメントを手がけるUUUMが8月30日に東証マザーズ市場に上場し、買い注文殺到で取引が成立せずに初日を終えたことが話題になったが、そんなUUUMにもシード期(創業期)から出資しているのが独立系ベンチャーキャピタルのANRIだ。そのANRIが第3号となる総額60億円規模のファンドを立ち上げる。

新ファンドの名称は「ANRI 3号投資事業有限責任組合」。LP(Limited Partner)としてミクシィやグリー、アドウェイズ、VOYAGE GROUP(いずれも2号までに出資している)、ヤフーといったネット企業に加えて、中小機構、みずほ銀行、西武信用金庫などが出資。現時点で約50億円を集めており、最終的に60億円規模までファンドを拡大する予定だ。すでに3号ファンドからの投資もスタートしており、これまで14社に対して投資を完了している。

シードステージのスタートアップに注力

UUUMのほかにも、クラウドワークスやペロリ、コネヒト、コインチェック(当時の社名はレジュプレス)、U-NOTEといったイグジット済み企業のほか、ラクスル、コイニー、スマートドライブ、CLUE、ハコスコなどに対してシードステージから投資を行ってきたANRI。新ファンドでも引き続き、シード、アーリーステージのスタートアップに対する投資に注力するという。

「60億円もあればミドル、レイターステージの投資もやると思われるが、あくまでシードに特化する。シードマネーというのはまだまだ足りない。歯を食いしばって投資をしているシードVCというのは少ない」(ANRIパートナーの佐俣アンリ氏)。大規模な独立系VCやCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)、大学系VCなどがこの数年で立ち上がってスタートアップに流れる資金は全体としては増加しているが、その一方でイグジットまで時間がかかり、成功確率で言えば低くなるシードステージの投資についてはより一層の資金が必要だと語る。

シード投資とは言え、投資額については最大5億円(フォロー投資含む)までを想定しているという。「『シード投資は500万円』と誰が決めたわけでもない。たとえばイグジットした起業家がもう一度起業にチャレンジしたいとなった時などには、『1億円投資する』と言えるようにしたい」(佐俣氏)

本郷に拠点、ハイテク領域の支援も

またシード投資とあわせて強調するのが、大学や学術機関発のハイテク系スタートアップへの投資だ。元UTEC(東京大学エッジキャピタル)で、自身も東京大学の大学院で電波天文学を修めた研究畑出身の鮫島昌弘氏が昨年からパートナーとしてファンドに参画。これまで拠点としていた東京・渋谷に加えて、東京大学のある本郷にも拠点を立ち上げて、大学発のハイテクスタートアップへの投資やインキュベーションを進めている。今後は20代を対象としたアソシエイトの採用も検討しているという。

「Y Combinatorも数年前からバイオ領域への投資を進めているが、最近では日本でも宇宙やバイオといった領域での投資を進めているファンドがある。米国ではハイテクノロジーとインターネットが結びついてきている。日本では今までこれが分断されていたが、いよいよ(結びつく時期が)来る」(佐俣氏)

「ハイテク領域にもまだまだシードマネーが足りない。それはPOC(Proof of Concept:概念の実証)を越えるまでの研究は、あくまで公的な研究費などで行っていたから。『ここから1000万円あれば(実用化まで)いけるのに……』という事例は多い」(鮫島氏)

とはいえウェブサービスなどとは違い、ハイテク領域はピボットが難しい領域。倒産率だって高くなる。これについてはANRIでも想定しており、「基本的には死屍累々の領域。(リスクをとって)挑戦するための投資をしていくことをファンドの設計に組み込んでいる」(佐俣氏)としている。

さらに弁護士や弁理士、クラウド会計サービスなどと連携。シード期では社内に持ちにくいバックオフィス機能や法務などを支援していくほか、投資家が起業家予備軍の人材に対してビジネスプランを提案するインキュベーションプロジェクトなども展開する予定だとしている。

スマホを使って自宅の外からエアコンを操作する「Nature Remo」が予約開始

「Nature Remo」

スマートフォンアプリを通じてエアコンや家電のリモコンをコントロールできるNatureのIoTプロダクト「Nature Remo(ネイチャー リモ)」。これまでクラウドファンディングサイトなどに限定して提供されていたこのプロダクトが、いよいよ一般向けに提供されることになった。

Natureの日本法人であるNature Japanは8月29日、Nature Remoの予約受付を開始した。定価は1万3000円。10月からの正式発売を予定しているが、現在は特別価格として9980円で予約中だ。特別価格は限定数を達成したら終了するとしている。

Nature Remoは、専用のスマホアプリを使って、戸外からエアコンをはじめとした家電のリモコン操作ができるIoT製品。WiFiや赤外線の送受信機能に加えて、人感、温度、湿度、照度などのセンサーを備える。

Nature Remoのアプリイメージ

電源を入れ、アプリとのペアリングやWiFi、リモコンの送受信(リモコンをNature Remoに向けて信号を送って認識させる)といった設定を行えば使用の準備は完了。帰宅前に室内の温度を確認してエアコンをONにしたり、外出時に消し忘れた家電の電源を戸外からOFFにしたりといった操作が可能になる。また、GPSを使って、特定エリアに入った、もしくは特定エリアから出たタイミングで家電の電源をON・OFFするといった「ルール」の設定も可能だ。

IFTTTにも対応しており、IFTTT経由でGoogleアシスタントやAmazon Echoなどと連携することもできる。APIも近日公開予定だという。ダイキンやパナソニックをはじめ、三菱電機、日立、東芝、富士通、シャープなど各社のエアコンに対応するのも特徴だ。

Natureは、ハーバード大学発のスタートアップ。Nature Japanの代表取締役も務めるファウンダーでCEOの塩出晴海氏がハーバード大学のMBA課程在籍中に、同じくファウンダーでCTOの大塚雅和氏と立ち上げた。2017年5月にはNature Remoをクラウドファンディングサイトの「Kickstarter」で発表。MakuakeやIndiegogoといったクラウドファンディングサイトとあわせて、総額2000万円以上の資金を集めた。

ぴったりの建築家やリノベ業者を探せるSUVACOが1億8000万円を調達

理想通りの家を作るためには、それを実現できる建築家やリノベーション会社を見つける必要がある。SUVACOは注文住宅やリノーベションを依頼したい施工主と住宅のプロを結びつけるマッチングサイトを提供している。

本日、SUVACOは中部日本放送(CBC)、モバイル・インターネットキャピタルが運営するファンドから総額1億8000万円の第三者割当増資を実施した。

SUVACOのサイトでは、依頼したい仕事(注文住宅かリノベーション/リフォームか)と地域を選択して、建築家やリフォーム会社を検索することができる。気になる建築家や会社を見つけたら、プロフィールから対応可能な業務や特徴、手がけた住宅事例などを確認し、資料請求や問い合わせができる仕組みだ。

SUVACOでは専任のアドバイザーによる専門家の紹介サービスも提供している。これは例えば、「自然素材に詳しい専門家を教えてほしい」といったユーザーの要望を聞き取り、アドバイザーが適任の専門家を数社紹介するサービスだ。

他にもSUVACOでは扶桑社とリノベーション事例や体験談、セミナー情報などを発信するリノベーション情報サイト「リノベりす」を運営している。

今回、調達した資金は経営基盤を強化と機能、コンテンツの拡充に充てる予定、とSUVACOはリリースに記載している。また、SUVACOは本格的な全国展開を目指し、まずは東海・名古屋地区に拠点を設立する計画だという。今回の調達ラウンドには東海、名古屋地区に強い基盤を持つCBCが参加しているが、SUVACOは彼らと協働して、リノベーションの魅力について情報発信を行っていくとしている。

SUVACOは2013年4月設立。2014年3月にフジ・スタートアップ・ベンチャーズとモバイル・インターネットキャピタルより総額1億2000万円の第三者割当増資を実施している。

ファッションの着回し提案アプリ「クローゼット」運営元が1.8億円を調達

頻繁に会う同級生や同僚に毎日同じ服を着ていると思われたくないと思う女性は多いだろう。同じトップスを着るにとしても、合わせるボトムスや小物を変えて、様々なバリエーションを作る「着回し力」が大事になるが、毎朝新しい洋服のコーデを考えるのは負担だ。

STANDING OVATIONが提供するクローゼットアプリ「XZ(クローゼット)」は、ユーザーが互いに着回しアイデアを共有できるようにすることでこの悩みを解決しようとしている。

本日、STANDING OVATIONは総額1.8億円の第三者割当増資を実施した。引受先はファッション&テクノロジー1号投資事業組合(大手繊維商社である豊島系列のファンド)、D4V(デザインコンサルティング会社IDEOとGenuine Startupsの合弁VC)、ボルテージ、 メサイアキャピタル、エンジェル投資家、既存投資家のアイスタイルグループだ。

XZは、自分の持っているファッションアイテムを登録して、コーデを作成、共有して楽しむアプリだ。カレンダー機能では、毎日の洋服のコーデを記録することができ、過去に何を着たかを把握できる。

ただ、XZは自分のクローゼットのみをデジタル化するアプリではなく、「ユーザー間で1つのデジタルクローゼットを共有しているイメージ」とSTANDING OVATION代表取締役CEOを務める荻田芳宏氏は説明する。ユーザーは、自分も手持ちアイテムに限らず、他のユーザーが登録したアイテムを使ってコードを作成することができる仕組みだ。

2014年9月にアプリをローンチ以来、アプリダウンロード数は43万、アイテムの登録数200万点、コーデのアイデア提案は約60万点以上になったという。

XZはこれまでユーザーコミュニティーの拡大に注力してきたが、今後はB2CとC2Cのコマース機能を搭載することでアプリ上だけでなく、実際にファッションアイテムがユーザー間で流通するようにしたい考えだと言う。最終的に目指しているのは、「ファッションアイテムの持続可能な循環モデル」と荻田氏は言う。

日本での洋服の廃棄量は年間100万トンに及ぶと言われていて、たんすの中にしまわれて活躍していない服も多くある。XZではコーデを切り口に洋服を着回す方法を提案したり、ユーザー間でアイテムを売買できるコマース機能を搭載したりすることで、こうした使っていないファッションアイテムを流動化できるようにしたい考えだ。今回調達した資金は、この構想を実現するためにサービス開発と運営費に充てる予定、と荻田氏は言う。

STANDING OVATIONは2014年1月設立。「TechCrunch Tokyo 2014」のスタートアップバトルのファイナリストでもある。シードラウンドでSkyland Venturesから調達し、2015年7月にはgumi ventures、DBJキャピタル、アイスタイルグループより総額1.4億円の調達を行なっている。

STANDING OVATION代表取締役CEOの荻田芳宏氏

お金の貸し借りメモアプリ「よろペイ」、運営元が4億円調達——ICO関連事業の展開も視野に

グローバル・ブレイン代表取締役の百合本安彦氏(左)とPopshoot代表取締役CEOの大山敏浩氏(右)

お金の貸し借りを「メモ」として残したり、そのメモの通りにお金を請求・支払いしたりできるアプリ「よろペイ」。サービスを提供するPopshootがグローバル・ブレイン、グリー、マネックスグループ代表執行役社長CEO松本大氏(松本氏は、East VenturesとSkyland Venturesとともにシードラウンドで出資している)、その他エンジェル投資家数名から総額4億円の資金を調達したことを明らかにした。

LINE PAYやpaymo、Kyashなどさまざま手法で個人間での決済や送金を実現するサービスが登場しているが、よろペイはお金の貸し借りをメモするという特性からか、ライブなどのチケットや、旅行の宿泊費・交通費などのメモ、請求に使われるのが多いという。「メモされた金額の総額も伸びていますが、個人間決済のGMV(Gross Merchandise Value:総流通総額)も順調に推移しています」(Popshoot代表取締役CEOの大山敏浩氏)

Popshootでは今回調達した資金でよろペイのユーザー数拡大と新サービス導入に向けた研究開発を進める。また、個人間決済事業を起点に周辺領域の事業に参入する予定だとしている。「レンディングや株式投資、暗号通貨などの領域に参入する予定です。話題のICO関連事業も上場企業をパートナーに迎えて準備を進めています。貸し借りを記録したメモというのはある種デジタルな通貨の一種とも考えられるので、法定通貨を一部リプレイスすることが可能ですし、様々な事業の展開余地があると感じています」(大山氏)

エンジェル投資家の有安氏、AWS、SmartHR、PAY.JPと連携した特典プログラムを出資先に提供

VCが企業と連携し、出資先のスタートアップに特典プログラムを提供する例はあるが、個人のエンジェル投資家が同様の取り組みをすることはあまりない。でも、それが日本で始まるみたいだ。

エンジェル投資家として知られる有安伸宏氏は8月28日、彼が出資するスタートアップに対してAWSと連携した特典プログラムを提供するとTwitter上で発表した。

さらに有安氏は、AWSとの連携に加えて、決済サービスのPAY.JPとクラウド労務サービスのSmartHRと提携することもTechCrunch Japanに明かした。

この3社との提携によって、有安氏が出資するスタートアップは以下の特典プログラムを利用することができる(SmartHRについては、現在支援内容を検討中で9月にリリース予定だという):

AWS

*AWSが定める要件を満たすスタートアップに限る

  • 最大 1 年間有効な 100,000 USD の AWS プロモーションクレジット、または、最大 2 年間有効な最大 15,000 USD の AWS プロモーションクレジット
  • 最大 2 年間有効な、最大 10,000 USD の AWS ビジネスサポートプランクレジット
  • AWS Business Essentials のオンラインまたは個人トレーニング (600 USD 相当)
  • AWS Technical Essentials のオンラインまたは個人トレーニング (600 USD 相当)
  • セルフペースラボに使用できる 80 コース分のクレジット (80 USD 相当)

PAY.JP

  • 2.59%の手数料で決済を組み込むことが可能(プログラム名は「PAY.JP Seed」)

エンジェル投資家、有安伸宏

念の為に説明しておくと、自身も起業家である有安氏は2007年にコーチ・ユナイテッドを創業。2013年に同社の全株式をクックパッドに売却する。のちに投資家に転身した。2015年に共同設立したTokyo Founders Fundを通してVC投資を行うとともに、個人としてエンジェル投資も行っている。

先週8月25日に上場承認がおりたばかりのマネーフォワードにも創業初期から出資しているし、その他にも決済サービスのAnyPayなど40社を超える企業に出資してきた。

有安氏はTechCrunch Japanの取材に対し、「経営現場にいない投資家が、起業家に対して本質的に貢献できることはそう多くはない。それはエンジェル投資家も同じ。その前提に立って、スタートアップに対して何か実質的で『リアル』なサポートはできないかな、と日々考えているなか、AWSの畑さん(畑浩史氏)からお声がけいただいた」と話す。

AWSとの提携の話が進むなか、サポートの幅を広げたいと考えた有安氏が、PAY.JPを運営するBASEの鶴岡裕太CEOとSmartHRの宮田昇始CEOに話を持ちかけ、これら3社との提携が実現したそうだ。

ジェフ・べソスやピーター・ティールなど、米国のエンジェル投資家がもつ影響力は大きい。でも、個人である有安氏を中心にした新しい取り組みの誕生は、日本でもエンジェル投資家の存在感が大きくなっていること表しているのかもしれない。

3Dプリント作品プラットフォームRinkakを運営、カブクが13億円超で双葉電子工業に買収

3Dプリントプロダクトマーケットプレイス「Rinkak」などを運営するカブクは本日、双葉電子工業の連結子会社となることを発表した。8月25日に、双葉電子工業がカブクの発行済株式を取得する株式譲渡契約を締結し、9月上旬を目処に連結子会社となる予定だ。双葉電子工業が株式の90%を所得する。取得価額は13億5500万円だ。

2013年1月に創業したカブクはRinkakの他、産業用3Dプリンティングから切削、板金などにも対応可能なオンデマンド製造サービス「Kabuku Connect」、工場向け受発注管理システム「Kabuku MMS」などを提供している。

カブクは2013年6月に最初の資金調達を行った(金額は非公開)。同年、TechCrunch Tokyo 2013スタートアップバトルのファイナリストに選出。2014年6月、サイバーエージェント・ベンチャーズ、ニッセイキャピタル、フジ・スタートアップ・ベンチャーズか2億円を調達した。2015年11月にはシリーズAとしてグローバル・ブレイン、電通デジタル・ホールディングス、三井住友海上キャピタルらから7.5億円を調達している。累計の調達額は9.5億円以上となる。

カブクを買収する双葉電子工業は1948年設立。電⼦部品や電⼦機器、生産器材の設計から製造、販売を行なっている東証一部上場企業だ。双葉電子工業は長年モノづくりの合理化を推進してきたが、2017年5月に発表した中期経営計画で、今後はハードのみならず、「ハードにソフト要素を付加した新たな価値の創出を図っていく」と発表した。今回のカブクの買収は、その実現のためにIoT、AI などのソフトウェアの開発力を獲得することを意図しているという。

カブクは今回の子会社化について下記のようにプレスリリースに記している。

両社は、双葉電子工業がこれまで培った生産技術力や製造業ビジネス基盤とカブクのデジタル製造プラットフォーム、高度なソフトウェア開発力と企画力の連携により、国内だけでなくグローバルにも通じるデジタル製造プラットフォームの構築を強力に推進してまいります。また、これまで培った製造業領域における知見や顧客基盤を活用し、新たなデジタル製造ビジネスを創出してまいります。

2017年3月期のカブクの売上高は1億800万円、経常損失は3億5900万円となっている。

“24時間待てば無料”のマンガアプリ「マンガトリガー」が資金調達

iOS向けマンガアプリの「マンガトリガー」を運営するナンバーナインは8月28日、パチンコ遊技機などを開発する東証1部上場のフィールズから資金調達を実施したと発表した。金額は非公開だが、調達額は億単位に上るという。同社は今回のラウンドで、総額2億円規模の調達を目指すとしている。

同社は今回の資金調達を通じ、フィールズが持つ知的財産やマンガ制作のノウハウを活かしたコンテンツ開発力の強化、およびレコメンドシステムの開発を目指す。

マンガトリガーのコンセプトは「漫画のセレクトショップ」。毎年1万点以上の新刊が市場に並ぶと言われるマンガ市場だが、その膨大な数の中から厳選したオススメ作品をユーザーに届けるというのがそのコンセプトの意味だ。

編集部からのオススメだけでなく、サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏や堀江貴文氏(自身もファウンダーとして参画)といった「マンガ好き」の著名人たちのオススメ作品を読めるというのも特徴の1つだ。

ナンバーナイン代表の小林琢磨氏は「マンガトリガーはあえて掲載する作品を絞る事で、他の漫画アプリでは埋もれてしまっている良質な作品をピックアップし、著名人のオススメなどの後押しをすることで、出会った事の無い面白い漫画に出会える機会を作っている」と語る。

現在、マンガトリガーには約100作品が掲載され、同アプリのダウンロード数は現在約5万6000件。MAUは約1万4000人だ。

読者ごころをくすぐる料金体系

広告を表示する代わりに無料でマンガを読めるという競合アプリも存在するが、マンガトリガーは1枚120円のコインを購入する課金方式を採用している。そのため購読中に広告は表示されない。

ただし、マンガトリガーでは一部作品を除いて、「24時間待てば1話分を無料で読める」という機能を導入している。これはいわば本屋での“立ち読み”的な機能だ。

「どんな内容なのか分からないから、ちょっと見てみたい」というユーザーの希望をかなえながら、「面白ければ早く読むために課金する」というアクションを起こさせるうまい仕組みだと思う。

今後の展開について小林氏は、「今後は性別や年齢、趣味嗜好に合わせてTOP画面に掲載される作品を変えたりといった独自のレコメンド機能を実装していく。レビューなどのキュレーションメディアとしての側面も強化したい。」と語る。

ナンバーナインは2016年11月の設立。2017年4月にはEast Venturesと個人投資家などから3500万円を調達している。

住宅ローン借り換えで平均480万円節約――「モゲチェック」が2.5億円調達

住宅ローンの借り換えサービスなどを展開するMFSは8月28日、オプトベンチャーズグロービス・キャピタル・パートナーズを引受先とした第三者割当増資を実施した。調達金額は2億5000万円だ。

同社は今回調達した資金を利用して、新サービスの開発、人員拡大、マーケティングの強化、全国対応のオペレーション構築に注力するとしている。

MFSの主力サービスは、2015年6月にリリースした住宅ローンの借り換え支援サービス「モゲチェック」だ。

低金利がつづく日本ではローンの借り換えによってメリットを得られる人が多いものの、「面倒くさい」「分からない」などの理由で借り換えを行っていない人が多い。MFSのリリースによれば、日本の住宅ローン残高は200兆円、1200万件の規模だというが、そのうち過半数の600万件が割高な金利のまま運用されつづけているという。

そういった人たちが得られるであろうメリットを視覚化し、借り換えを促すのが「モゲチェック」の役割だ。

また、MFSは2017年1月、この「モゲチェック」に続く新たなサービスである「モゲスコア」をリリースした。これは、年収や家族構成など10項目を参考にして、ユーザーが住宅ローンをいくらまで借りられるのかを算出するサービスだ。「モゲスコア」の詳細については以下の記事を参考にしていただきたい。

住宅ローンいくらまで借りれる? 10項目による自動診断をMFSが開始

リアル店舗モデル vs B2B2Cモデル

日本のスタートアップ業界にはMFSと同様のサービスを展開する競合が存在する。2017年6月に8000万円の資金調達を発表したWhatzMoneyだ。

でも、両社のアプローチにはちょっと違いがある。

MFSのリアル店舗

「モゲチェック」をローンチした直後のMFSは、エンドユーザーに借り換え支援アプリを直接提供するというビジネスモデルだった。

しかし、その後同社はリアル店舗を利用したビジネスに方向転換する。

コストはかかるが、直接相談できる対人コンサルを起用することでコンバージョン率をできるだけ高めようというのがMFSのアプローチだ。

TechCrunch Japanが前回取材したときの話では、店舗に来店した人の6〜7割が実際にローンの借り換えを行っているのだとか。現在は新宿、銀座、横浜の3店舗が稼働中で、累計相談件数は1000件、金利削減額の平均は480万円だ。

一方のWhatzMoneyは、ユーザーとのあいだにリフォーム会社などの事業会社を挟んだ“B2B2Cモデル”を採用。事業会社をエンドユーザーとの接点として利用しながらマーケティング費用を抑えるための戦略だ。

同じ住宅ローンの借り換えというビジネスを展開する両社だが、このアプローチの違いは非常におもしろいと思う。

2009年に創業のMFSは、2015年9月にマネックスなどから9000万円を調達。2016年6月には今回のラウンドにも参加したグロービス・キャピタル・パートナーズから2億円の資金調達を実施している。

今回を含むMFSの累計調達金額は約5億4000万円となる。

わりかんアプリ提供「paymo」のAnyPay、9月からICOコンサルティング事業に参入

わりかんアプリの「paymo」やオンライン決済サービス「AnyPay」を提供するAnyPay。同社は8月28日、ICO(Initial Coin Offering:仮想通貨による資金調達)のコンサルティング事業へ参入することを明らかにした。9月にも事業を開始する。

最近テック系メディアを中心に、その名前を聞くことが増えたICO。海外では、2017年に入って調達額が急増、200億円近くを調達する企業も出ているという。直近ではエストニアが政府主導でのICOを計画しているということでも話題になったばかり。

一方で日本の状況を見てみると、テックビューロが日本の仮想通貨法をベースにしたICOプラットフォーム「COMSA」を発表するなどしているが、ICOを実施している、もしくは実施予定の企業はまだまだ少ない。米国のThe DAOの事例などもあり、法規制などを考慮した設計も必要になる。

AnyPayは、日本は既存の金融システムが優秀であり、また新しいモノについて懐疑的なところがある。さらに過去にマウントゴックス社の事件などもあって投機目的以外でまだまだ仮想通貨に対してネガティブな考えもあると分析。その上でICOは実施企業にとって資金調達のコストが低く、調達規模の自由度が高く、グローバルである。また投資家にとっては、高いキャピタルゲインを得られる可能性があるとメリットを説明する。

今回のICOコンサルティング事業では、通常の資金調達に必要な検討事項に加えて、ICOで必要な法律や会計観点でのサポート、トークン発行・組成、国内外へのPRなどをAnyPayが国内外の有識者や取引所と組んで行う。これに先駆けて、仮想通貨発行事業者と連携して、仮想通貨の発行システムも開発しているという。料金についてはプランにより異なるが、「ICOでの調達額の何パーセント」といった設計もあり得るとしている。

ICO実施の支援を行う対象は、スタートアップや未上場の中小企業など、資金調達需要の高い企業を優先する。また将来的には著名人などのプロジェクトについても対応していくことを検討中だ。ターゲットとするエリアは設定せず、グローバルに展開するという。

AnyPay代表取締役社長の木村新司氏

AnyPayでは今回の事業を展開する理由として、これまでFinTech領域の事業を展開してきたこと、またAnyPay、代表取締役社長の木村新司氏個人それぞれでFinTechや仮想通貨領域への投資を行ってきたこと、またそこで培ったリレーションがあるからだと説明する。

実際にICOを実施してトークンを発行しても、それが流通する取引所がないと流動性が生まれず、トークンの価値にならない。そういった点についてパートナーと協力することで補完できる、ということも強みだと木村氏は語る。例えば日本の取引所であるbitFlyerも木村氏の投資先の1社だ。

また仮想通貨では、詐欺の可能性が疑われる、いわゆる「詐欺コイン」の存在もあるが、社内のコンサルタントチームで(ICOする)事業内容を精査することで、これを防ぐとしている。

案件についての詳細は非公開だったが、すでに計画中の企業もいるとのこと。AnyPayではこの事業を通じて、年内にも2社程度のICOを支援する予定だ。なお、自社のICOについては、現状予定がないとしている。

スタートアップのみなさま、「TechCrunch Tokyo 2017」にブースを出展しませんか?

11月16日と17日に渋谷ヒカリエでスタートアップイベント「TechCrunch Tokyo 2017」を開催する。ヒカリエのメインホールでは、今年注目のスタートアップによるピッチコンテスト「スタートアップバトル」や海外や国内の起業家を迎えたセッションを予定している。

そして、ホール外のホワイエとホールBへと続く通路はブースエリアとなっていて、ここには創業3年未満(2014年10月以降に創業)スタートアップのためのデモブース出展枠を用意している。

TechCrunch Tokyoの来場者には起業家や投資家といったスタートアップ業界のコア層のみならず、TechCrunch Japanの読者に多いアーリーアダプター層も多く集まる。デモブースを出展することで、こうした潜在顧客やユーザーにアピールすることができるだろう。 近年では大企業からの来場者も増え、嬉しいことにデモブースでの出会いから法人顧客の獲得に繋がったという話もらちらほら聞いている。

スタートアップデモブース2日通し券の価格は3万5000円。このチケットには2名分の入場チケットが含まれている。ただ、申し込み条件は創業3年未満(2014年10月以降に創業)のスタートアップ企業のみだ。この機会にぜひ出展を検討してみてほしい。

なお、上場企業の子会社や、創業3年以上の外資系企業の日本法人の出展は対象外とさせて頂いている。また、公序良俗に反する、イベント趣旨に沿わないなど、出展内容によってはお断りさせていただく場合があるので、ご了承ください。

スタートアップデモブースのチケット購入はこちらから

ネットだからこそ健全な議論を——ウォンテッドリー批判記事騒動について双方に聞いた

8月10日に東証マザーズ市場への上場承認が下りたばかりのウォンテッドリー。同社のIPOの内容についてはネット上では賛否両論あるようだが、そんなウォンテッドリーのIPOを分析したブログエントリーがGoogleの検索結果から消え、そのブログエントリーのURLをシェアしたツイートまでもが消えるという事態が起こった。一体どういうことか。

ブログがGoogleの検索結果から消えた

きっかけになったのは「Wantedly(ウォンテッドリー)のIPOがいろいろ凄いので考察」というブログエントリー。バリュエーションやストックオプションの設計など、同社のIPOの内容を分析した上で、「ゴールを成し遂げられたのは素晴らしい」と評価しつつ、「これではココロオドラない(編集部注:ウォンテッドリーは「シゴトでココロオドルひとをふやす」をミッションにしている)」「やりがい搾取感が否めない」といった文言で批判して注目を集めていた。

だがそのブログエントリーが8月25日になってGoogleの検索結果から削除され、さらにそのブログエントリーのURLをシェアしていたTwitterの投稿の多くが非表示となった。ウォンテッドリーは当該のブログエントリー内に同社代表取締役社長の仲暁子氏の写真が掲載されていたため、米国のデジタルミレニアム著作権法(DMCA:Digital Millennium Copyright Act)に基づいて著作権侵害のコンテンツとして当該ブログをGoogle、Twitterに申請していたからだ。

これに対してネット上では「言論を封じるために、DMCAに基づいた削除を行ったのではないか」という声が上がった。以前、「同様の手段を用いて自社の悪評を消したのではないか」と激しく批判された別の会社もあった。上場が決まり社会の公器たるべき企業として果たして正しい対応だったのか、と問う声が大きい。

ウォンテッドリーはTechCrunchの取材に対して、「一部ブログ記事で利用されていた画像に関しまして、引用に当たるかどうかは様々な解釈がある上で、有識者に意見をいただきながら、社内で協議した結果、弊社に関する画像を無断で引用されているとの判断に至りました。昨日(8月24日)、弊社からGoogle、Twitterに削除申請を行い、現在に至っている次第です。多くの皆さまに、ご迷惑とご不安をおかけしてしまったことを深くお詫び申し上げます」とコメント。TwitterでのURLのシェアについても、「リンクが問題ではなく、OGイメージ(OGPで表示される画像)が著作権侵害だった」としている。

一方で、著作権保護の観点以外に削除の意図はなかったのかという質問に対して、「他に意図はありません」と答えた。加えてウォンテッドリーでは8月25日午後、自社サイト上に「当社が行った著作権侵害による削除申請につきまして」と題した声明も発表している。

執筆者への事前連絡はなし

当該ブログを書いたINST代表取締役の石野幸助氏にも話を聞いた。石野氏は「まさか自分のブログがGoogleから削除されると思わなかった」と話した上で、今回の同社の対応について「(言論を封じるなどとは)特には何も思いませんでした。デリケートな時期なので対応に追われていたのかな、と」コメント。石野氏は以前にもウォンテッドリーに関するブログエントリーを書いており、その際にはウォンテッドリーからタイトル変更などの依頼があったそうだが、今回同社からの連絡はなかったという。

ただし問題となっている画像については「Twitterから『著作権侵害だよ』と言われていたので削除しました。Google検索で1位に出てきたものを使い、著作権のことは意識はしておりませんでした。著作権侵害と言われれば、その罰は受けないといけない」(石野氏)とのことだった。エントリーが攻撃的ではないかという意見もあるが、「全く恨みもありませんし、ただ単にIPOに対しての感想を書いたまで、という認識です」と説明した。

求められるのは健全な議論

当事者間の対話を含めて、この騒動の解決方法は他にあったと思う。騒動に関する対応を除いて言えば、ソーシャル時代の新しい人材サービスが黒字で上場することの意味は大きいとも思う。

この騒動についてはすでに各所で報じられ、ソーシャルメディアやブログでもさまざまな意見が挙がっているが、最後にマイナースタジオ代表取締役CEOの石田健氏がニュース解説サイト「The HEADLINE」に書いた内容を紹介したい。石田氏はイグジット経験のある起業家であり、過去にはメディア研究の個人ブログなども執筆していた。起業家とメディア、両側から騒動を分析した内容だと思ったからだ。

石田氏は、仲氏自身がWantedlyのプロフィールページで画像の無断利用をしているのではないかと指摘(編集注:現在は差し替えられている)。一方で、既存の画像を使って新たなコンテンツを生み出すこと自体はインターネットが生み出したミームの1つであるため、「さまざまな問題を個別具体的に考えていく必要がある」と語る。そういえば、今回問題になった画像は、TechCrunchもウォンテッドリーから提供を受けて使用している画像だった。

石田氏のエントリーは次のように締めくくられている。「今回ウォンテッドリー社がおこなったように、著作権やDMCAという仕組みを恣意的に解釈して、自社に都合の良い様に利用することは決して望ましいものではありません。未だ未整備で、議論の余地があるインターネットの著作権だからこそ健全な議論が求められますし、仕組みの悪用は決して認められるものではないでしょう」

photo by stanze

クラウド会計のマネーフォワードが9月29日にマザーズ上場へ

家計簿アプリなどを提供するマネーフォワードは本日、マザーズへの上場が承認されたことを発表した。上場日は9月29日だ。

マネーフォワードは個人と企業向けにいくつかサービスを展開している。個人向けには銀行、クレジットカード、証券会社、ポイントなどの口座のデータをまとめる自動家計簿サービス「マネーフォワード」を提供している。法人向けには「MFクラウドシリーズ」としてバックオフィス業務の自動化、効率化するMFクラウド会計、MFクラウド確定申告といったSaaSサービスを提供している。

マネーフォワードは2012年5月設立以来、複数回の資金調達を実施している。2013年3月、早稲田情報技術研究所および創業メンバーを引受先として1億円を調達。2013年10月、ジャフコより5億円を調達した。その後、2014年12月にはジャフコ、クレディセゾン、ソースネクスト、三井住友海上キャピタル、電通デジタル・ホールディングス、GMO VenturePartnersらから15億円の大型調達を実施。2015年8月、SBIホールディングス、静岡銀行、既存株主らから総額10億円を調達。2016年10月にもみずほFinTechファンド、三越伊勢丹イノベーションズ、Fenox VC、東邦銀行、北洋銀行、群馬銀行、福井銀行、滋賀銀行らから総額約11億円を調達している。調達総額は42億円以上となる計算だ。

本日公表された有価証券報告書によると、2016年11月期(第5期)の売上高は15億4217万円、経常損失が8億8259万円だった。

また、株式の保有比率についてはマネーフォワードのファウンダーで代表取締役社長CEOを務める辻庸介氏が19.95%、取締役執行役員の浅野千尋氏は9.47%、取締役執行役員CISOの市川貴志氏は6.6%、取締役執行役員でマネーフォワードFintech研究所長を務める瀧俊雄氏は3.36%などとなっている。

「CASH」運営のバンクが売買価格比較サイト「ヒカカク!」へ出資、サービス連携へ

バンク代表取締役兼CEOの光本勇介氏(左)とジラフ代表取締役社長の麻生輝明氏(右)

サービス再開、そして約2時間で1000万円のキャッシュ化完了と、何かと話題を振りまいている買取アプリ「CASH」。その運営元のバンクは8月25日、買取価格比較サイト「ヒカカク!」運営のジラフへ出資したことを明らかにした。金額は非公開だが数百万円程度。ジラフは今回のラウンドで数千万円規模の調達を目指す。

ヒカカク!は2014年9月スタートの二次流通品の買取価格比較サイト。スマートフォンやカメラ、ゲームソフトなどの買取価格を比較・検索することができる。現在、月間利用者数は120万人を突破。買取商品数は90万件以上、買取口コミ数は1.5万件以上の日本最大級の買取比較サービスとなっている。ジラフによると、月間流通総額(見積もりから推定成約率を加味した金額。見積もり自体はもっと大きい規模で行われているとのこと)も1億円を超えているという。

今後はヒカカク!が持つ各種二次流通企業の買取価格データをCASHの査定などに活用していくほか、CASHとヒカカク!の連携、協業を進めていくとしている。現在CASHでキャッシュ化(買取)に対応するのはファッションアイテムが中心だが、今後は他ジャンルに拡大する際、ヒカカク!の持つ買取価格データは査定額の算定などにも影響する貴重なデータになるだろう。なおこの発表に先かげて、オークション売買価格データを持つオークファンがバンクとの提携を発表している

Galaxy Note 8発表、歴代最大&最高性能のペン対応フラグシップ

eng-logo-2015米国ニューヨークのイベント Unpacked 2017で、サムスンがペン対応スマートフォン Galaxy Note シリーズの最新作 Galaxy Note 8 を発表しました。

先代 Note 7の全数リコール騒ぎは未発売の日本でさえ話題になりましたが、Galaxy Note 8は汚名の返上とブランドの復活を賭けた機種であり、これまで以上に注目される責任重大な製品です。

Gallery: サムスンGalaxy Note 8 公式製品写真 | 24 Photos

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春のGalaxy S8 / S8+ から継承した『インフィニティ・ディスプレイ』は、歴代最大の6.3インチに大型化。またGalaxyで初めてデュアルカメラを採用しました。無二の個性であるS-Pen も筆圧感知4096段階、ペン先0.7mm径に進化。

中身についても、歴代最大の6GB RAMを搭載するなどスペック番長ぶりは健在。縦長の大画面と細かい操作がしやすいペン、高い処理能力から、快適なマルチタスクを売りにしたプロフェッショナル向け、一番でかくて高性能なやつが欲しいパワーユーザー向けの大型スマホです。

Galaxy S8+, Galaxy Note 8, Galaxy S8を並べて比較画像

Galaxy Note 8の主な仕様と特徴は、

・6.3インチQuad HD+ 有機ELディスプレイ

縦横比はS8 / S8+ と同じ縦長の18.5:9。6.3インチと聞くと片手端末には収まらない大きさに思えますが、これは最近のハイエンドスマホのトレンドに則って上下の余白を細く、画面を縦に伸ばしたため。画面は歴代ノートと同等の幅を確保しつつ、本体幅は細くなりました。

大画面で重量級のスマホではありますが、たとえば大型スマホとしてイメージしやすい iPhone 7 Plus (16:9で5.5インチ液晶)より、本体幅は細くなっています。(Note8は74.8mm、iPhone 7 Plusは77.9mm)。

同じ『インフィニティ・ディスプレイ』の Galaxy S8 / S8+ は画面も側面もなだらかなカーブで「磨かれた小石」のようなホールド感を売りにしていましたが、Note 8はペンを使いやすいよう画面はエッジ近くまで平らで側面の丸みも急。全体にスクエアな印象になりました。

前面の多くが画面なのでぱっと見ではS8+とそっくりですが、よりカクカクしたほうがNote 8です。実際に持って比べると、側面フレームのソリッドな手触りと貫禄の重さ(195g!)で違いが分かります。

Gallery: Galaxy Note 8 ファーストインプレッション

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・Galaxy 初のデュアルカメラ搭載

背面が広角+望遠2倍構成のデュアルカメラに。春のS8 / S8+ はディスプレイとスタイルについてはハイエンドスマホの最先端でしたが、デュアルカメラだけは流行に乗り遅れていた感がありました。

デュアルカメラは両方ともRGBの通常カメラで画角が違い、両方を使って奥行き推測から一眼レフのようなボケ味を得られる Live Focus に対応します。iPhone でいうところのポートレートモード。

Live Focus は撮影時から背景のボケ具合を確認してスライダーで調整できるほか、撮影後にも再フォーカスできることが売り。

広角側はF1.7レンズ、デュアルピクセルAF、12MP。明るいレンズとデュアルピクセルの高速な位相差オートフォーカスはS7から引き継ぎ。S7 / S8 のメインカメラはレンズと撮像素子の明るさから特に暗所に強かったため、Note 8でようやくデュアルの芸と画質の良いとこどりが実現しました。

望遠側は広角側の2倍。レンズF値は2.4、こちらも12MP。サムスンはデュアルカメラで先行するiPhone を引き合いに出して、Note 8 では両方のカメラとも光学手ブレ補正に対応することをアピールしています。

Gallery: Galaxy Note 8 カメラ作例(Live Focusモード他)

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・スタイラスS Pen は筆圧検出4096段階、ペン先0.7mm、ペンも防水

NoteのアイデンティティであるS Pen も、(主にNote 7段階で) 大きく進化。ペン先は0.7mmと細くなり、紙のノートと比較すれば小さな画面でもより書きやすくなりました。筆圧感知は4096段階。

ペンを使った飛び道具的な機能としては、画面オフの状態からペンを抜けばそのまま画面にさっとメモできるスクリーンオフメモが最大100画面分に進化。頻繁にメモを取る職業はもとより、何か書くもの書くもの……とおろおろすることがなくなります。

2in1 PCなどではペン対応の機種も増えていますが、S Pen は本体に収納できること、ペンを持ったままタッチ操作への持ち替えも容易(短く細い副作用)なども特徴。

ウェブやアプリのスクリーンショットにささっと手書きを加えて保存共有したり、ペン先で正確にテキストを選択して翻訳したり、といった独自のペン機能も進歩しており、手書きをアニメGIFに保存して送れる Live Message などが加わりました。

手書きメモや本格的な絵が書けることが本来の売りですが、ペン先で正確に操作できることも、タブレットやPCに比べれば画面が狭いスマホでは意外と重宝します。

特に Note 8 は高性能を活かしたマルチタスクをアピールしていますが、画面分割やポップアップでは各アプリの面積が狭くなるため、指よりペン先で操作したほうが快適です。

・マルチタスク推し

Android 7.0でOS機能に追加される前から、Noteシリーズは大画面とマルチタスクを独自の売りとしてきました。Note 8 では画面分割に加えて、サブアプリの必要部分だけ切り取って並べる、メインアプリを全画面にしてサブをポップアップする、などさまざまな方法でマルチタスクが可能。

さらに新たな機能として、アプリのペアを記録して同時にマルチタスク状態で起動できる App Pair なる小ネタが加わりました。

Androidの画面分割マルチタスクは使いようによってPCライクで便利な一方、アプリを切り替えるうちに必要な組合せが崩れてしまうことが多く、並べるのが面倒で結局切り替えるようなこともありました。

App Pair は細かなマルチタスク時のレイアウトまでは記録してくれませんが、ユーザーで独自に設定もでき、ホームに戻らずエッジパネルから一発で切り替えられる便利機能です。

そのほか、

・IP68防水防塵
・10nmプロセスの Exynos プロセッサまたは Snapdragon 835 (地域により異なる)
・6GB RAM
・64GB~地域により128GB / 256GBストレージ
・マイクロSD拡張対応
・3300mAhバッテリー(S8+の3500mAhより、ペンを本体収納できるぶん少ない)
・本体サイズ 162.5 x 74.8 x 8.6mm
・重さ195g
・Bluetooth 5.0
・ ギガビットLTE対応
・USB Type-C
・3.5mmヘッドホン端子あり
・無線充電対応
・出荷時OSはAndroid 7.1

など。

本体色はブラック、ブルー、ゴールド、S8から加わったオーキッドグレー(やや紫ががった灰色)の4色が基本。地域により異なります。

発売は米国で明日24日から予約受付開始、9月15日から発売予定です。価格は地域やキャリアにより異なり未詳ながら、S8 / S8+ 以上のハイエンドなお値段になることはほぼ確実。

価格もサイズも重さもどう考えても万人向けではありませんが、デカくてもいい、むしろ一番画面の大きいやつが欲しいパワーユーザー向けの端末です。

Engadget 日本版からの転載。

サービスを再開したばかりの「CASH」、2時間あまりで1000万円のキャッシュ化を完了

キャッシュ化の上限に達したこと旨が表示されたCASHの画面

今朝サービス再開のニュースを報じたばかりの(質屋アプリあらため)買取アプリの「CASH」だが、驚くようなペースで利用されているようだ。サービス再開からわずか2時間あまりで、本日分の上限額である1000万円(再開したCASHでは、初月で3億円・1日1000万円でキャッシュ化の上限額を設定している)のキャッシュ化を完了したという。

バンク代表取締役兼CEOの光本勇介氏によると、アプリをアップデートしたのは本日の10時。そこから2時間17分(137分)で1000万円の枠がなくなったという。

それまでにCASHで査定された回数は1万6615回、実際にキャッシュ化されたアイテム数は4372個(キャッシュ率26%)、1分あたりキャッシュ化されたアイテムが31個で、金額にすると7万2993円、1回あたりの平均キャッシュ金額は2355円とのこと。

ちなみにこのCASH、まだiOS向けにしかアプリをリリースしておらず、ユーザー数も5万人程度。もちろんサービス開始初日ということで、物珍しさもあるし、リサーチ的に利用しているユーザーも少なくないとは思うけれども、光本氏が語る「少額資金のニーズ」が期待ができるスピードだ。

CASHは「メルカリ疲れ」を救うのか

ところでサービス再開のニュースでは触れなかった話だが、光本氏は「メルカリ疲れ」なんて言葉でも、CASHのニーズがあるのではないかと語っていたのが面白かったのでここでご紹介しておく。

メルカリやFRILといったフリマアプリは、これまで個人間売買の主流でもあったオークションサービスと比較しても格段に使いやすくなっているし、匿名配送などにも対応が始まっている。だけれども、出品者と購入者でのコミュニケーションが必須だし、購入、送付、両者の評価といったフローで入金までに時間がかかる。何より全ての商品が売れるか分からない。こういったコミュニケーションや時間に疲れてしまうという声がある、という話だ。

実際にソーシャルメディアで検索すると、「(買取サービスの査定額は)フリマアプリで売るよりも安くなるが、便利」という声があるのも事実だ。別にどちらがいいという話でもないが、少なくとも必要なくなったものを素早く現金化するための選択肢が広がるというのは、ユーザーとしては歓迎できる話ではないだろうか。

ビットコイン開発のど真ん中にいるBlockstreamのサムソン・モウ氏がTechCrunch Tokyoに登壇

11月16日、17日の2日間にわたって渋谷・ヒカリエで開催予定のテック・イベント「TechCrunch Tokyo 2017」の登壇者が決まりつつあるので、順次お知らせしたい。まず1人目は、ビットコインやブロックチェーン関連の開発で知られるBlockstream社のCSO(Chief Strategy Officer)、サムソン・モウ氏(Samson Mow)だ。

Blockstream CSOのサムソン・モウ氏

Bitcoin Coreほかサイドチェーン技術に取り組むBlockstream社

Blockstreamは、ビットコインそのものと言えるオープンソース・プロジェクト「Bitcoin Core」の主要開発者が所属することでも知られる2014年設立のカナダ・モントリオール拠点のスタートアップ企業だ。BlockstreamのCEOであるアダム・バック(Adam Back)博士は、ビットコインのアイデアの根幹にもある「proof-of-work」(Hashcash)を1997年に発明した暗号学者としても知られている。

Blockstreamが開発しているのはサイドチェーン関連のプロダクトだ。ビットコインのような暗号通貨を実現している実体はブロックチェーンと呼ばれる分散型台帳だが、いろいろ制約がある。悪意がある犯罪者集団ですら自由に参加できてしまうネットワークであるのに、台帳の改ざん防止が暗号論的に担保されている、というのがブロックチェーンのブレークスルーだったわけだが、そこにはトレードオフがあった。トランザクション性能があがらず、スケールしないという問題だ。現在、ビットコインによる送金が確実になったと見なされるまでには6ブロックを生成する時間、1時間かそれ以上が必要だ(ビックカメラやメガネスーパーなどのビットコイン決済は少額決済を全手に0承認で即時送金しているので念のため)。

だったらビットコインのチェーンの横に、別のチェーンを接合して、そちらで処理をすればいいじゃないかというアイデアがある。「サイドチェーン」と総称されるものだ。

Blockstreamが開発する「Lightning」は、ビットコイン開発者コミュニティー全体で策定と実装が進んでいる「Lightning Network」(LN)と呼ばれるマイクロペイメントのためのサイドチェーンだ。LNは取引をするユーザー同士が専用のチャンネルを作り、そのチャンネル上で決済を行うというアイデアに基づいている。LN上の一連の決済は、チャンネルを閉じるときなどに、まとめてビットコインのチェーンに書き戻される。LNはラフな合意に基づく仕様があって、実装自体は数種類あるという極めてインターネット的な開発が進んでいる。LNを使うと0.00000001BTC(現在の価格だと0.004円)というきわめて少額の決済がデバイス間で即時に可能となる見込みで、BlockstreamもLNの1つを開発している。

Blockstreamが開発するサイドチェーンには「Liquid」というのもある。こちらは取引所間で流動性を持たせるための「ストロング・フェデレーション」と呼ぶ技術を開発しているそうだ。ビットコイン同様のビザンチン頑健性(Byzantinerobust)を持ちつつ、商用に耐えうるプライバシー(決済するアセットの種類や量が外部から分からない)を実現している、とホワイトペーパーにある。

そうそう、もう1つ、Blockstream関連でぶっ飛んだニュースが8月15日にあった。人工衛星からビットコインのブロック情報を地球上にばらまき続けることで、ネット接続のない地域でもブロックチェーンの恩恵に預かれるようにしようという試みだ。一瞬ネタなのかと思うような話だが、すでに動き出していて、ここからステータス情報をみることもできる。

で、ビットコインに何が起こっていて、今後何が起こるのか?

モウ氏が配っている「UASF」の帽子

さて、Blockstreamのサムスン・モウ氏だが、彼はUASF(User-Activated SoftFork)を強く支持するとした活動で知られている。今年夏の分裂騒動の根底にはハッシュパワーの偏りという問題があった。端的に言えば、ハードウェアに大金を突っ込めば、ビットコインのあり方や未来の方向性に対して大きな声を持ててしまうという問題だ。一部の強大なマイナーたちが自己利益最大化のためにビットコインの仕様を左右してしまうという懸念が出てきた。

個人の利用者にはもはや「投票権」はなくなっているかに思える。そこで使われたのがUASFだった。マイニングをしなくても、自分が支持する仕様(機能)を持つ実装のノードを立てることはできる。そうしたノードがネットワーク全体で増えれば、結果として参加者全体の声が反映された意思決定ができる。UASFの呼びかけは多くの共感者に支持された。それまでマイナーたちが拒否していたSegWit仕様は、こうして有効化されたのだ。ちなみにSegWitは、いまこの記事が出たのとほぼ同じタイミング(日本時間で8月24日)でビットコインのネットワーク上で稼働を始めたということで、関係者の間で、ちょっとしたパーティー気分が広がっている。SegWitは前述のLNを実装するためにも必要な技術ピースだったから、これは大きなニュースだ。

時間とともにハッシュパワーの偏りが起こって、それがコミュニティー運営にとって政治的問題に発展した。そうなる未来をビットコイン発明者のナカモト・サトシは予見できなかったのだろうか?こんなぼくの素朴な質問を来日中だったサムスン氏にぶつけたところ、

「サトシは神様じゃないからね」

という答えと苦笑いが返ってきた。ビットコインには設計・運営上の欠点がある。しかし、UASFを可能にした「version bits」と呼ばれる仕組みが考えられたのは2015年のこと、実際にBitcoin Coreに実装されてリリースされたのが2016年であることを考えると、コミュニティー運営のための仕組み自体も改善を進めていることが分かる。こうした改善は「BIP」(Bitcoin Improvement Proposals)と呼ばれる標準化されたプロセスを通して今も引き続き行われている。

プレイヤーごとに異なる思惑と欲望が交錯するビットコイン。とかく価格の暴騰と暴落ばかりが話題になりがちだが、内部ではもっとダイナミックな開発と変化が起こっている。そうした変化の渦中にいて、ビットコインの明るい未来を信じ、活発に発言をしている人物の1人がサムスン・モウ氏だ。

今後も暗号通貨やトークンエコノミーにおいて、ビットコインは基軸通貨的な役割を果たし続けることになるだろう。その来し方、現在、近未来のことを、サムスン・モウ氏には語っていただこうと考えている。今ならまだ一般チケット4万円のところ、超早割チケット1万5000円が販売中なので、以下のページから参加登録してほしい。

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