電動キックボードシェア「LUUP」が東京駅・銀座・日本橋エリアでサービス提供開始

電動キックボードシェア「LUUP」が東京駅・銀座・日本橋エリアでサービス提供開始

Luupは10月11日、電動キックボードシェアアプリ「LUUP」(Android版iOS版)について、東京駅・銀座・日本橋エリアで提供を開始したと発表した。

同社は、2021年4月より「新事業特例制度」の認定を受け、電動キックボードのシェアリングサービスを開始している。都内では渋谷区、新宿区、品川区、世田谷区、港区、目黒区でサービスを提供しており、今回、千代田区と中央区で同制度の認定を受けたことで、東京駅・銀座・日本橋エリアを新たにサービス対象に追加した。同エリアの主要なポートは以下の通り。

東京駅・銀座・日本橋エリアの主要ポート

  • 丸の内トラストシティ:住所:東京都千代田区丸の内一丁目8番1号及び3号。利用可能台数:14台。利用開始時期:10月11日
  • 丸ビル:住所:東京都千代田区丸の内二丁目4番1号。利用可能台数:8台。利用開始時期:10月中下旬
  • 新丸ビル:住所:東京都千代田区丸の内一丁目5番1号。利用可能台数:10台。利用開始時期:10月中下旬
東京駅・銀座・日本橋エリアのポートイメージ

東京駅・銀座・日本橋エリアのポートイメージ

「LUUP」サービス詳細

  • 利用可能エリア(都内):渋谷区、新宿区、品川区、世田谷区、港区、目黒区、千代田区、中央区(2021年10月11日現在)
  • 利用料金:110円/初乗り10分、16.5円/分(税込)
  • 利用条件:電動キックボードの利用条件は、アプリから「運転免許証登録」と「走行ルールの確認テスト」の満点合格となっている。小型電動アシスト自転車のみの利用の場合は、これら対応は不要
  • 保険:対物賠償、対人賠償、利用者のケガが保険の対象

Luupでは、電動キックボードに乗車するすべての方に、事前の免許登録と走行ルールの確認テストの満点合格を義務付けるとともに、同意書への同意、禁止事項に関する注意喚起の画面をご利用の度に表示しているという。

また、実証実験中の走行ルールや道路交通法に対する違反行為が認められた際には、アカウントの無期限停止を含む厳正な対処を行っている。人と乗り物と街、それらすべてが共生できる社会の実現のため、ルールに沿った走行を呼びかけている。

 

【コラム】プライバシーを侵害しないモビリティデータの共有

近年、米国の各都市では、歩道に電動スクーターや自転車が並んでいるのがよく見られるようになった。

電動スクーターの市場規模は、2025年には400億ドル(約4兆4500億円)を超えると予想されており、米国人は2010年以降、3億4200万回以上もシェアサイクルや電動スクーターで移動している。

マイクロモビリティサービスは、潜在的に機密性の高いユーザーの正確な位置情報を含む大量のモビリティデータを生成する。モビリティサービスから得られるデータは、交通政策やインフラ政策の指針となる貴重でタイムリーな情報を提供するが、企業間や政府機関との間で機密性の高いモビリティデータを共有するには、まずプライバシーや社会的信用の問題が解決されなければ正当化することはできない。

革新的なモビリティオプションは、交通機関の隙間の移動に関するラストマイル交通問題を解決する機会を都市に提供しており、これらのサービスから得られるデータはさまざまな生産的な用途がある。

これらのサービスから得られるデータは、都市計画者が利用者の安全を確保するために、保護された自転車レーンなどの交通改善を設計するのに役立つ。また、モビリティデータにアクセスすることで、地域の支援者や政府関係者は、特定の地域にどれだけのモビリティデバイスがあるかをほぼリアルタイムで知ることができ、その地域が過密状態やサービス不足にならないように制限を設けることができる。また、これらのデータは、企業と市政府間のコミュニケーションを効率化し、モビリティサービスが都市のイベントや緊急事態に迅速に対応することを可能にする。

しかし、デジタル化されたモビリティサービスが収集し、政府との共有を要求できるデータの粒度と量については、プライバシーに関する確かな懸念がある。

例えば、ロサンゼルス市交通局とロサンゼルス市を相手取った最近の訴訟では、市がMobility Data Specificationを通じて電動スクーターの走行データを収集していることが、米国憲法修正第4条とカリフォルニア州電子通信プライバシー法に違反していると主張している。下級裁判所はこの訴訟を棄却したが、電子フロンティア財団と北カリフォルニアおよび南カリフォルニアのアメリカ自由人権協会(ACLU)は最近、連邦控訴裁判所にこの訴訟の復活を求めている。

さらに、最近カリフォルニア州議会に提出された法案では、モビリティデータを公的機関や契約者と共有する前に、特定の条件を満たすことが求められている。この法案では、データを共有できるのは、交通計画を支援するため、または利用者の安全を守るために限られている。また、この法案では、共有できる移動データは24時間以上経ったものでなければならないとしている。

ほぼリアルタイムの位置情報データは、安全性や規制強化の目的を果たすために必要とされることが多いが、このデータは個人の生活の親密な部分を明らかにする可能性があるため、非常にセンシティブなものである。位置情報データのパターンは、個人の習慣、対人関係、宗教上の慣習などを示す可能性があるからだ。

特定の個人やデバイスに関連付けられた位置情報データを「非識別化」することが可能な場合もあるが、正確な位置情報の履歴を持つデータセットを完全に匿名化することは非常に困難だ。大人数のパターンを高度に集約した位置情報データであっても、意図せずにセンシティブな情報が漏えいする可能性はある。

2017年には、フィットネスアプリ「Strava」のユーザーの動きを示す「グローバルヒートマップ」によって、機密扱いの場所に配置されている軍人の位置情報が誤って公開された。位置情報データは、たとえ非識別化または集計されたものであっても、データが保護され、非公開であることを保証するために、チェックとコントロールの対象であるべきだ。

地方自治体やモビリティ企業は、ユーザーのプライバシーに関するこうした問題に真剣に取り組んでいる。この数カ月間、Future of Privacy Forumは米国自動車技術者協会(SAE)のMobility Data Collaborativeや官民の関係者と協力して、プライバシーに配慮した方法でモビリティデータを共有したいと考えている組織が考慮すべき点に焦点を当てた、交通機関に合わせたプライバシー評価ツールを作成した。

モビリティデータ共有アセスメント(MDSA)は、官民を問わず、組織がデータ共有のプロセスにおいて、慎重かつ綿密な法律とプライバシーの検討を行うための運用ガイダンスを提供する。このツールを使ってモビリティデータを共有する組織は、モビリティデータ共有契約の設計に、プライバシーと公平性への配慮を組み込むことができる。

MDSAの目的は、個人のプライバシーを保護し、地域社会の利益と公平性を尊重し、一般市民への透明性を促進する責任あるデータ共有を可能にすることだ。オープンソースで、相互運用性があり、カスタマイズ可能で、ガイダンスを含む自主的なフレームワークを組織に提供することで、モビリティデータの共有に対する障壁を減らすことができる。

これはMDSAツールの最初のバージョンであり、特に地上のモビリティデバイスと位置情報に焦点を当てている。電動スクーターなどのモビリティ・ビークルには車載カメラが搭載されていて、将来的には、MDSAがモビリティデバイスによって集められたイメージやビデオについてのガイダンスを追加することも可能だ。

MDSAツールはオープンソースでカスタマイズ可能なので、この種のモビリティデータを共有する組織は、画像を含むセンサーやカメラのデータを共有する際のリスクとメリットを考慮して編集することができる。

マイクロモビリティサービスは、仕事、食料、医療へのアクセスを向上させる上で重要な役割を果たす。しかし、企業や政府機関がモビリティデータを他の組織と共有する際には、共有するデータの精度、即時性、種類など、考慮すべき複数の要素がある。企業は、バイアスの可能性を考慮した上で、これらの要素を、慎重かつ構造的に評価しなければならない。

それが、都市をより安全かつ迅速に移動できるよう、短期的にはサービスのメリットを最大化し、長期的にはインフラを構築する、モビリティデータの活用の鍵となる。

編集部注:執筆者のChelsey Colbert(チェルシー・コルベール)氏はFuture of Privacy Forum(FPF)のポリシーカウンセル。自動運転車、ライドシェアリング、マイクロモビリティ、ドローン、配送ロボット、モビリティデータ共有などを含むモビリティと位置情報に関するFPFのポートフォリオを担当している。

画像クレジット:Anna Lukina / Getty Images

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(文:Chelsey Colbert、翻訳:Yuta Kaminishi)

Unagiの新スクーターは音声経路案内やGPS機能付き、約27万円から

Unagi Scooters(ウナギスクーターズ)は、初のスマートスクーターとうたうModel Elevenを発表した。音声で流れる経路案内、リモートキル(遠隔オフ)、そして高度運転支援システム(ADAS)センサーなど多くの興味深い機能を搭載している。

ビルトインのBluetoothスピーカーを使って音楽やポッドキャストを流したり、目的地にたどり着くのにターンバイターンの経路案内を聴いたりすることができる。Unagiは自社のiOSとAndroidのアプリにナビゲーション機能を持ってくるのにGoogleと協業した。行き先を選んでからスマホをしまうと、オーディオシステムから経路案内の音声が流れ、ディスプレイに方向指示のシグナルが表示される。

セキュリティ面では、盗難を予防するためのモーションセンサーアラーム、そしてGPSトラッキングがある。盗難されたスクーターをアプリで遠隔から使えなくすることもできる。

おそらく、Model Elevenの最も目を引く機能は、高価格バージョンにある高度運転支援システムセンサーだ。スクーターは人、停止サイン、停止ライト、車両、その他の物体の違いを見分けることができる、とUnagiは話す。オーディオシステムとタッチスクリーンディスプレイを通じて潜在的な衝突も警告する。

UnagiはModel Elevenを開発するのに工業デザイナーYves Béhar(イヴ・べアール)氏の協力を仰いだ。カーボンファイバーを使用しているおかげで、このモデルは市販されているものの中で最も軽量のフルサスペンションスクーターだと同社は話す。折り畳み式のこのスクーターは、同社の既存のデュアルモーターシステム、交換可能なバッテリーシステム、そして必要な時に簡単に交換できる、同社がいうパンクしないタイヤを搭載している。

スタンダードのModel Elevenの価格は2440ドル(約27万円)。高度運転支援システムのモデルは2860ドル(約31万7000円)だ。UnagiはまずIndiegogoキャンペーンでプレオーダーを受け付けるが、Best Buyのようなところも現在Unagiのスクーターを販売していて、Model Elevenが今後そうした小売店で扱われたとしても驚きではない。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のKris HoltはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Unagi Scooters

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(文:Kris Holt、翻訳:Nariko Mizoguchi

電動キックスクーターの安全性をモニターするSuperpedestrianが危険運転を検知・制御のためNavmatic買収

電動キックスクーターの運営会社Superpedestrian(スーパーペデストリアン)は、マイクロモビリティ運営会社による車両の位置特定と、その動きのリアルタイム補正を助けるスタートアップNavmatic(ナヴマティック)を買収した。

両社とも、2021年6月に成立した買収の詳細を明かしていない。取引の関係者によると、買収価格はNavmaticによる2020年6月の400万ドル(約4億4100万円)の設立資金調達の、最後の資金調達ラウンドとそう変わらない。

Navmaticの買収は、Superpedestrianにとって車両の安全システムを強化するために当該スタートアップのスーパーフュージョン技術を採用できることを意味する。新しいシステムはPedestrian Defense(ペデストリアン・ディフェンス)と呼ばれ、安全でない乗り方(一方通行の道路を逆走、無茶な進路変更、歩道の走行、急ブレーキの繰り返しなど)を検知する。また、スクーターを減速または停止させてリアルタイムで利用者に知らせるか、その行動を正す。利用者は利用終了時に、カスタマイズされた安全トレーニングに使用する安全評価を受け取る。上手な乗り方をしていれば割引を受けられるが、常習的に安全でない乗り方をする利用者はブラックリストに載ってしまう。

スクーター関連の事故が増える中、クルマが関与する交通事故の大半の場面で活躍するであろう新たなテクノロジー企業を紹介する。Spin(スピン)Voi(ヴォイ)は、同様に利用者を見張り、歩行者を守るためにさらなる技術手段を導入した。といっても、Navmaticのように位置特定ソフトウェアに注力したのではなく、コンピュータビジョンのスタートアップであるDrover AI(ドローヴァーAI)とLuna(ルナ)に目を向けた。非妨害性カメラを搭載したSpinとVoiの車両は、Superpedestrianのものとは違って、ある程度の精度を伴って歩行者を検知する。Superpedestrianの良さは、スクーターの細かい動きに関するデータを通じて利用者の行動を精確に理解するところだ。

「現在の課題はスクーターに関連する弱者、つまり歩行者、障害者、ベビーカーを押す人を守ることです」と、SuperpedestrianのCEOであるAssaf Biderman(アサフ・ビダーマン)氏はTechCrunchに語る。「そのため、非常に正確な位置、利用者の行動の特徴付け、コンテキストアウェアネスが必要です。利用者が他者の通行権を邪魔していないか?利用者がデータを正しくトレーニングすれば、カメラは必要ありません」。

ビダーマン氏は、SuperpedestrianがマイクロプロセッサとNavmaticのソフトウェアをLINKスクーターのオペレーティングシステム上で実行しており、Superpedestrianのすべてのマップがそこで機能していると話す。そのソフトウェアはグラウンドトゥルースで高精度なマップの視界を含め、さまざまなセンサーでトレーニングされている。乗車中、スクーターから取得されたデータを分析するリアルタイム計算がマイクロプロセッサのエッジで行われ、GPS生データ、多次元の慣性感知、車両の動力学を組み合わせて、車両の位置と動きを非常に精確に計算する。

「Navmaticのソフトウェアがあれば、位置検知が著しく向上し、スクーター運転者や小型車両のわずかな動きでさえすぐに分析できるようになります」とビダーマン氏は語る。「現在、その反応時間は0.7秒です」。

Superpedestrianのディベロップメント&パブリックアフェア部門ディレクター、Paul White(ポール・ホワイト)氏によると、車両の位置の正確性向上は局地的な条件に応じて70~90%である。

両社は、そのような精確な位置データを車両動作の制御機能と組み合わせると、視界に関する潜在的に安価で確実に拡張可能な優れた解決策となると話す。

「1台のスクーターに1000ドル(約11万円)や2000ドル(約22万円)のLiDARを搭載するわけにはいきませんよね?」とビダーマン氏はいう。「センサーフュージョンがあれば、夜に視界が悪くなったり、カメラが汚れたり、何度も故障したりするなどの制限や、反射や影の影響を受けるGPSの制限を克服できます。できるだけ多くのセンサーを組み合わせることで、それぞれの良いところを享受し、学習と改善を続けることができるのです」。

参考に、ドローバーAIとルナの技術により、スクーター運営会社はデータに基づき利用者の動きを制御することもできる。しかしこの能力はまだSpinとVoiがコンピュータビジョンを使用しているすべての都市で利用されているわけではない。Navmaticのチップはスクーターとオペレーティングシステムを共有しているが、例えばドローバーAIのものはスクーターのOSと直接通信する個別の車載IoTユニットで稼働する。この機能は現在サンタモニカでSpinにより試験的に利用されている。Voiは警報音を用いて歩道の歩行者に知らせるルナの技術をケンブリッジで試験利用したばかりだが、今度はスクーターを減速する方法を模索している。

Superpedestrianはオペレーティングシステムからハードウェアまでフルスタックを所有することにより、オフザシェルフのオペレーティングシステムを購入する他の運営会社と比べて優れた車両の制御性を誇る。

「当社の技術を他社のものと統合する上で、たくさんの課題がありました。他社はコード行を変える必要があるたびに、製造業者に連絡しなければならなかったのです。変更まで1週間もかかります」。NavmaticのCEOで共同設立者のBoaz Mamo(ボアズ・マモ)氏はTechCrunchに語る。

この買収へのSuperpedestrianのソフトウェアファーストのアプローチは、現在会社への投資者の1人であるEdison Partners(エディソン・パートナーズ)のパートナー、Dan Herscovici(ダニエル・エルスコビッチ)氏にとっても魅力的だった。

「スクーター企業による他の買収のほとんどは、市場シェアにとって遊びのようなものです」と彼はいう。「マイクロモビリティ企業が車両を強化するためにIPとテクノロジーに頼ることは滅多にありません」。

エルスコビッチ氏は、Superpedestrianが歩行者の安全と都市の法令遵守の問題を解決するため市場で多くのソリューションを吟味し、自らも技術を開発することを検討していたと話す。製品化までの時間と速く行動する必要性のバランスを取ると、都市の許可を失う恐怖が絶えず頭をよぎる。Navmaticの買収は正しい判断のように見えた。

「マイクロモビリティ分野については3つの大きな顧客層がいると考えています」とエルスコビッチ氏はいう。「まずは利用者。マイクロモビリティ企業は一番に利用者のことを考えますね。彼らをどうやって惹きつけ、乗り続けてもらうか?次に都市や自治体。最後に忘れられがちなのは利用者以外。道路を共有している人達です。業界は安全規則に基づいて利用者の行動を修正する道を模索していて、この買収はその力を解き放つと思います」。

マモ氏は、都市が利用者の移動方法や、優れたインフラ上の決断を下す方法について見識を得る可能性を、ペデストリアン・ディフェンスが切り開くことも指摘している。

ビダーマン氏は、Superpedestrianが2021年約5万台のスクーターを製造しており、12月からすべての新車に新しいテクノロジーを搭載すると述べた。2022年はアップグレードした車両を新規開拓する都市に展開し、同社がすでに営業活動を行う都市の旧モデルと入れ替え始める。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

電動キックボードシェアの「Luup」が森トラストやESG特化型ファンドなどから約20億円調達

電動キックボードシェアの「Luup」が森トラストやESG特化型ファンドなどから約20億円調達

電動キックボードや小型電動アシスト自転車など「電動マイクロモビリティ」のシェアリングサービス「LUUP」(ループ、Android版iOS版)を展開するLuupは8月17日、合計約20億円の資金調達を発表した。引受先は、森トラスト、Open Network Lab・ESG1号投資事業有限責任組合(DGインキュベーション)をはじめとする新規の投資家、VC・事業会社を含む複数の既存投資家。また今後のさらなる事業拡大に向けて、複数の投資家候補との協議を継続する。

調達した資金により、持続可能な社会の構築に向けマイクロモビリティ事業の開発を強化する。プロダクトが持つデータをより活用し、素早い仮説検証ができる開発体制の構築、LUUP開発の加速にとどまらないマイクロモビリティ事業の研究開発を進めるという。

Luupによると、東京・大阪エリアにおいて多くのポートを獲得し、街なかでLUUPを見つけるチャネルが増えたものの、機体をシェアして利用することや、電動キックボードの走行は概念が新しく、まだハードルが高いのが現状という。今後はよりスムーズに走行できる機体の開発や、利用者が不安のない状態でLUUPの利用し始めらえる体験の構築に注力するとしている。

また、LUUPの存在が利用者の移動のハードルを下げ、これまで気づいていなかった街の魅力に気づくきっかけとなることを目指すという。そのため例えば、グループ走行への対応や、目的地に合わせて最も効率のよいポートを推薦する機能にも挑戦する。

海外には路上で貸し出し・返却をするモデルが多くある一方、Luupは路上ではなく決められたポートを利用するモデルを採用している。特に都市部では人々の移動に偏りがあり、時間帯によって機体の配置密度に偏りが生まれることから、今後は、需給データのさらなる分析を通して、機体の最適配置・最適充電のためのオペレーションモデルの構築やダイナミックプライシングなどの構築を行うという。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:ESG(用語)シェアリングエコノミー(用語)電動キックスクーター(用語)マイクロモビリティ(用語)モビリティ(用語)Luup(企業)資金調達(用語)日本(国・地域)

ポルシェ、ヤマハが電動モビリティのオンライン販売を行うRidepandaに出資

電動マイクロモビリティのオンラインディーラーであるRidepanda(ライドパンダ)が、375万ドル(約4億1600万円)の資金調達を発表した。この資金は、同社のeコマースおよびB2Bソリューションを発展させるため、エンジニアリング、プロダクト、デザインの各チームの増強に使用される予定だ。また、同社は配送業者や、電気自動車を購入した従業員に通勤手当を支給する企業との戦略的パートナーシップを強化したいとも考えている。

2020年は電動アシスト自転車や電動スクーターの販売が急増した。Bicycle Associationは、新型コロナウイルスが2020年1月から10月までの間に英国のサイクリング経済に与えた影響を詳しく調査しているが、そのリポートによると、電動アシスト自転車の販売台数は2倍以上に膨れ上がったことが明らかになった。Deloitte(デロイト)は、2023年には電動アシスト自転車の販売台数が全世界で4000万台を超え、220億ドル(約2兆4000億円)以上を生み出すと予測している。電動マイクロモビリティの選択肢増加にますます追い風が吹いている市場において、Ridepandaの事業は、一般消費者向けと商用(配達業務やレンタル事業)向けの両方で、電動アシスト自転車、電動キックスクーター、電動スクーターの販売を牽引する可能性がある。

「自動車による移動の60%は5マイル(約8キロメートル)以内です。その程度の移動であれば、もっと良い方法があると、私たちは考えています」と、Ridepandaの共同創業者でCEOを務めるChinmay Malaviya(チンメイ・マラヴィヤ)氏は、TechCrunchに語った。「電気自動車は1つの解決策ですが、私たちが提供する車両は、もっと安く、より扱いやすく、より手軽に乗れて、より実用的で、渋滞にも強く、収納しやすく、駐車しやすく、充電しやすく、環境にやさしく、健康にも良いので、より楽しく乗れると思います」。

サンフランシスコを拠点に米国48州に出荷しているRidepandaは、Segway-Ninebot(セグウェイ – ナインボット)の電動キックスクーターから、Aventon(アヴェントン)の電動アシスト自転車、Niu(ニウ)の電動オートバイまで、さまざまな電動軽車両を提供している。2019年の創業以来、同社は販売した車両の台数を明らかにしていないが、マラビヤ氏はTechCrunchに「4桁の数字」だと語った。

共同創業者でCTOのCharlie Depman(チャーリー・デップマン)氏によると、電動アシスト自転車が最も人気があり、電動キックスクーターがそれに続くという。電動スクーターにはまだ成長の余地があるが、このカテゴリの販売が伸びない理由の1つは、現在も解決されていない新型コロナウイルスの影響による部品供給不足の問題があるためではないかと、デップマン氏は考えている。

Ridepandaは、サイトに掲載している各車両を事前に審査し、すべてのパーツが高品質で修理や交換が容易であることを確認している。故障した電動キックスクーターを従来の自転車店に持ち込んで、苦い経験をした人なら、その有益性が非常によくわかるだろう。

Ridepandaのサイトにアクセスすると、洗練されたレコメンデーションエンジンが、都市部での通勤や郊外でのレジャーなど、それぞれのユーザーの用途に合った最適な乗り物を選ぶのを手伝ってくれる。

「当社のお客様の5分の1は、当社のサイトを訪れたときに、自分がどんな種類の乗り物を求めているのかを知らないのです」と、デップマン氏はTechCrunchに語った。「当社では、お客様のユースケースや好みの機能に応じて、ランク付けされたおすすめの車種を紹介します。そこからそれぞれの車種のページに移動すると、当社についての詳しい説明や、メンテナンスプランやロードサイドアシスタンスなどを提供しており、安心して所有していただくことができます。基本的には自動車を所有するのと同じくらい簡単ですが、普通はこのようなインフラの多くは、電動軽車両を所有するためには用意されていません」。

車両は顧客に直接配送され、顧客は自分で組み立てるか、訓練を受けた技術者が家に来て自宅で組み立てるかを選択できる。

同社では、今回調達した資金によって、このような受注から納車までのフルフィルメントプロセスの自動化や「PandaCare(パンダケア)」アプリによるアフターサービスの構築など、ユーザーと直接関わるアプローチを改善していきたいと考えている。

PandaCareは、メンテナンスやロードサイドアシスタンス、延長保証など、すべてのサービスを提供する当社のフラッグシップディーラーシップです」と、デップマン氏は語る。「理想としては、このアプリを使ってすべてのサービスにアクセスできるようになることです。例えば、メカニックを呼んで自分の車両の修理をしてもらったり、あるいは予防的なメンテナンスの必要を、オーナーや当社に通知することで、車両の寿命を伸ばすこともできるでしょう」。

Ridepandaは製品面でも、地域に合わせてパーソナライズすることを目指している。このような電動軽車両を取り巻く法規制は州によって違い、購入時に支給される補助金も州ごとに異なるからだ。

2021年2月、オレゴン州選出のEarl Blumenauer(アール・ブルーメナウアー)議員は、Electric Bicycle Incentive Kickstart for the Environment(環境のための電動アシスト自転車奨励金導入)法案を提出した。これは新しい電動アシスト自転車を購入する際に、30%の還付可能な税額控除を行うというものだ。この法案はまだ議会を通過していないが、もし可決されれば、これをきっかけに購入を検討する人は増えるだろう。それにともなう販売増加の促進に一役買いたいと、Ridepandaは望んでいる。

マラヴィヤ氏によると、Ridepandaはサンマテオ郡の電力会社であるPeninsula Clean Energy(ペニンシュラ・クリーン・エナジー)と提携し、地域の電動アシスト自転車奨励金を展開することで、低所得者層が購入時に利用できるようにしているという。

「私たちは、技術的なパートナーとして、また消費者にとっては、これらの奨励金をや補助金をシームレスに統合することで、その利点を簡単に利用できる精選されたプラットフォームとして、当社がどのような役割を果たすことができるかを、非常に楽しみにしています」と、マラヴィヤ氏は語っている。

マラヴィヤ氏によれば、2020年のシード資金調達の延長となる今回の375万ドルのラウンドは、Porsche Ventures(ポルシェ・ベンチャーズ)、Yamaha Motor Ventures(ヤマハ・モーター・ベンチャーズ)、Poeza Ventures(ポエザ・ベンチャーズ)が主導し、Lime(ライム)の共同創業者であるエンジェル投資家のToby Sun(トビー・サン)氏と、シリコンバレーのVCであるGeneral Catalyst(ジェネラル・カタリスト)が参加したという。

「これらのパートナーシップから私たちが得られるものはたくさんあります」と、マラヴィヤ氏は語る。「ヤマハからは、ディーラーシップやサプライチェーンの管理から、実際に自転車やスクーターを提供するまで、どのようにやっているかを学ぶことができるでしょう。ポルシェも同じです。ポルシェはハイエンドの電動アシスト自転車も発売しましたが、ディーラーシップや製品へのアクセス、さらにはブランディングの面でも協力できることを楽しみにしています。Proezaからは、サプライチェーンに関する専門知識を得られることを非常に期待しています。また、これらの企業について重要なこととして、ポルシェの本社はドイツにあり、ヤマハは日本、Proezaはラテンアメリカにあることも挙げられます。私たちが米国以外の地域に進出する際には、大きな助けとなるでしょう」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Ridepanda資金調達電動キックスクーター電動自転車eコマース

画像クレジット:Ridepanda

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォードのマイクロモビリティ子会社Spinが初の自社開発電動キックスクーター「S-100T」発表

Ford(フォード)のマイクロモビリティ子会社であるSpin(スピン)は、同社初のカスタムデザインによる電動キックスクーターを発表した。同社によると、この「S-100T」は最も安全で丈夫なスクーターであり、独占的なパートナーシップ戦略を目指す都市の注目を集めることが期待されている。

2021年7月にサクラメントでサービスを開始する際には、25台の新型S-100Tスクーターを既存の車両と一緒に配備する。8月までにS-100Tを350台に増やし、年末までには数千台以上を市場に投入したいと考えていると、同社の広報担当者は述べている。

新たに加わったS-100Tの他に、Spinが展開している車両にはオリジナルのS-100と3輪のS-200、そして電動アシスト自転車のS-300がある。これらの車両はSegway-Ninebot(セグウェイ – ナインボット)やOkai(欧凱)との提携によって製造されているが、Spinは多様な車両を維持するために、これらのパートナーシップを継続していく予定だ。

Spinは2019年から独自のスクーターの開発に取り組んできた。当時、路上で使われていたスクーターの多くは既製品で、すぐに壊れてしまものばかりだった。Los Angeles Times(ロサンゼルス・タイムズ)の記事によると、LA地区で使われていたBird(バード)のスクーターは126日しかもたなかったという。

「その時、当社の創業者たちは、Spin自体のためのみならず業界全体のために、電動スクーターの耐久性がどうあるべきかについての新たな基準を、実際に設定しようと決めました」と、Spinの製品担当バイスプレジデントを務めるMaxime Veron(マキシム・ヴェロン)氏はTechCrunchに語った。「そこで私たちは、最もタフなスクーターを作ることを目指し、それがS-100Tのデザイン、製造、テストの指標となりました」。

S-100Tの「T」は「tough(頑丈)」を意味すると、ヴェロン氏は付け加えた。

「私たちは非常に厳しいテストを行いました。それは業界の基準をはるかに超えたもので、拷問と言えるほどです。だからこそ、S-100Tは他の電動スクーターの2倍の寿命が期待できるのです」と、同氏は語っている。

S-100の寿命が約1年半であるのに対し、S-100Tには3年以上の寿命をSpinは見込んでいる。これは400項目にもおよぶ安全性・耐久性テストを実施した結果によるもので、多くのテストは車両がバラバラになるまで行われ、これによって-20℃の厳寒から65℃の高温まで耐えられる車体が出来上がったという。

スクーターの寿命の短さは、そのシェアリングサービスを展開する企業にとって収益を上げることが難しい主な理由の1つとなっている。それが、Spinが耐久性を重視したスクーターの設計を行っている理由だ。

「耐久性は収益性の面で最大の武器です」と、ヴェロン氏はいう。「スクーターが長持ちすることで当社のボトムライン(純利益)と、乗り心地を気に入った顧客を惹き付けるという意味でトップライン(売上)の両方に貢献します」。

S-100Tの設計はモジュール化されており、1つのフレームで構成されているため、耐久性が高く、修理や部品交換が容易で、車両の寿命と持続性に貢献できると、ヴェロン氏は語っている。

この設計とSpinが車両を所有することによって、長い製品寿命とその後のリサイクルまで含めた優れた企業戦略も可能になる。

「耐久性が第一ですが、当社ですべてをコントロールしているため、製品が寿命を終えた後まで含むすべての重要なチェックポイントを、時間をかけて改善していくことができるでしょう」と、ヴェロン氏は述べている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:FordSpin電動キックスクーター

画像クレジット:Spin

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Birdがシェア用電動自転車をローンチ、シェア事業者向けアプリも公開

Bird(バード)は、世界の250以上の都市で展開しているeキックスクーター(電動キックスクーター)に加えて、シェア用電動自転車(電動アシスト自転車)を導入することを発表した。また、シェアマイクロモビリティを提供するBirdは、地域のシェア自転車や電気モペットのプロバイダーたちや交通機関のアプリが、Birdのアプリを統合することができる「Smart Bikeshare」(スマートバイクシェア)という名のプラットフォームを同時に立ち上げた。

Birdの創業者でCEOであるTravis VanderZanden(トラヴィス・ヴァンダーザンデン)氏は声明の中で「シェアeキックスクーターは、世界で1億5000万回のゼロエミッション移動を提供し、シェアマイクロモビリティを都市における環境にやさしい交通手段の中心へと押し上げました」という。「私たちは、都市と移動者の間で急速に高まっている、持続可能な交通手段への要求に応えるため、シェア方式のBird Bike(バードバイク)とSmart Bikeshareのプラットフォームを立ち上げました。私たちが拡大したい市場では年間50億回の移動が予想されています」。

今回の発表は、Birdがバッテリーが改善された新型キックスクーター「Bird Three」(バード・スリー)を発表してからわずか1カ月後のことだ。同社の広報担当者によると、マイクロモビリティの巨人であるBirdの電動自転車は、最初の市場の1つとして2021年後半にオハイオ州クリーブランドで展開される予定だ。Birdの声明によると、この電動自転車は2021年、北米、イタリア、スペイン、ドイツ、アイルランド、フランスの一部の都市で利用可能になる予定だ。Birdは、ローンチする電動自転車の台数や具体的なローンチ日程については言及していない。

またBirdは、この電動自転車が同社で設計・製造されているのかどうか、または設計・製造されていない場合には、どのメーカーと協力しているかについても回答をしていない。

Bird Bikeは、75ポンド(約35kg)のフレームにステップスルーデザインを採用していて、20%の勾配のある坂道でも登ることができるという。前カゴ、大きな空気式タイヤ、そしてBirdの乗り物に必要なジオフェンシング(地域限定機能)や診断機能が搭載されている。

Bird Bikeは、Birdの最初の自転車ではない。2019年の夏には、同社はBird Cruiser(バードクルーザーを発表した)。これは自転車とモペットを掛け合わせた、2人乗りの電動自転車だ。しかし同社の広報担当者は、パンデミックが発生した2020年、この試験的な試みを中止することにしたと語っている。

すでにBirdの自転車シェアプラットフォームは、イタリアのeモペット会社「Zig Zag」との間で協業が始まっていて、Birdのアプリ内では、Zig Zagの車両と一緒に表示される。Birdは、世界中の他のマイクロモビリティ企業と協力していきたいと考えており、たとえば米国内ではNorth American Bikeshare Association(北米バイクシェア協会)などの団体と交渉を進めているという。

だがBirdは、Birdのアプリで予約された場合に、現地オペレーターの利益の一部を受け取るかどうかについての質問には答えなかった。

同社の発表によると、Birdのバイクシェア・プラットフォームにより、同社は「地域のシェア自転車やeモペットのプロバイダーと統合した最初のキックスクーター事業者」となる。またBirdは現在のところ、サードパーティのeキックスクータープロバイダーを自社アプリに統合する予定はないということだ。

Birdが地域のeキックスクーター事業者と提携せず、電動自転車や電動モペット事業者とプラットフォームを共有するならば、実際に複数事業を立ち上げるという苦労をすることなく、複数事業の存在感を示すことができるだろう。少なくとも、これらのコラボレーションにより、Birdは、乗り手ががどこでどのようにさまざまな車両を利用しているかをよりよく把握することができる。これは、Birdが投資すべき新たなモビリティ形態を決定するのに役立つだけでなく、特にヨーロッパにおけるBirdの拡大計画にも役立つだろう。

Birdは、これが同社のバイクシェア・プラットフォーム戦略の一環であるかどうかには答えていない。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Bird電動キックスクーター電動自転車

画像クレジット:Bird

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(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

すべての街を「駅前化」するインフラを目指す電動マイクロモビリティシェアの「Luup」が7.5億円を調達

すべての街を「駅前化」するインフラを目指す電動マイクロモビリティシェアの「Luup」が7.5億円調達

「街中を『駅前化』するインフラをつくる」とのミッションのもと電動マイクロモビリティのシェアリングサービス「LUUP」(ループ、Android版iOS版)を展開するLuupは5月19日、第三者割当増資による7億5000万円の資金調達を2021年4月に実施したと発表した。引受先は、Spiral Capital Japan Fund 2号投資事業有限責任組合をリード投資家に、ANRI3号投資事業有限責任組合、ENEOSイノベーションパートナーズ、アダストリア、非公開の投資家複数名。このラウンドは2021年夏に最終クローズの予定で、現在も投資家候補との協議を続けている。同時に、LUUPの設置を希望する全国の企業の募集も開始した。

LUUPは現在、東京の渋谷、新宿、六本木(赤坂から虎ノ門も含む)、大阪のキタ、ミナミの計5カ所でサービスを運営。街中を「駅前化」とは、駅からちょっと遠いなと感じる場所へ楽に行ける交通インフラの構築を意味しているそうだ。Luupの取締役兼CEOの岡井大輝氏によれば、同社は創設からこれまで2年半の間、アライアンス、省庁、自治体との協議が先行し、プロダクト開発とオペレーションがそれに続く形だったが、4月23日、電動キックボードのヘルメット着用義務を免除する政府の特例制度の認可を受け本格的なシェアリングサービスを開始したことで、次のフェーズに入ったという。今後は、プロダクト開発を先行させ、アライアンスやオペレーションがそれに続く形になる。

今回の投資を受け、同社はサービスエリア拡大とともに、安全で便利な新しい機体の開発も進めてゆく。将来的には、高齢者も簡単に安全に乗ることができるモビリティーの導入も目指すとのこと。そのための、営業部長とテックリードの募集も行っている。

また、今ラウンドに参加したENEOSイノベーションパートナーズとアダストリアとは、将来の協業も視野に入れている。ENEOSとは電動マイクロモビリティーのエネルギー供給体制の構築を、カジュアルファッションのSPAブランドを展開するアダストリアとは、移動手段までを含めた店舗展開で協力してゆく予定だ。

画像クレジット:Luup

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:資金調達(用語)電動キックスクーター(用語)マイクロモビリティ(用語)Luup日本(国・地域)

カラフルなシェア電動スクーターDottが約92億円調達、スペイン・英国やバイクシェアへ拡大

Dott(ドット)は中央ヨーロッパ時間4月20日、新たに8500万ドル(約91億9000万円)のシリーズB資金調達を完了した。今回のラウンドは、エクイティと資産担保デットファイナンスを組み合わせたもので、ベルギーの投資会社Sofinaが主導した。Dottは、ヨーロッパの都市で見かけるカラフルな電動キックスクーターで知られるマイクロモビリティのスタートアップだ。

同社は、5カ国で3万台の電動スクーターを運用している。ユーザーはモバイルアプリをダウンロードすると、アプリを通じてスクーターのロックを解除できる。同社は、ロック解除料と1分ごとの料金を徴収している。

Dottは設立当初、自らを資本効率が高く、持続可能な電動スクーター企業と位置づけていた。Dottは、Bird(バード)やLime(ライム)に比べて資金調達額が少なく、運営面でも異なるアプローチをとっている。

例えばDottはこれまで、車両の充電や修理を行うための倉庫を自社で保有してきた。同社はサードパーティのロジスティクス業者とは提携していない。Dottは、ロジスティクス担当従業員の自社チームを独自に採用している。

また、Dottはスクーターの修理、再利用、リサイクルを可能な限り行っている。交換可能なバッテリーと電気トラックにより、同社は事業を展開する都市でのCO2排出量を可能な限り低く抑えようとしている。

その結果Dottは、パリとリヨンで入札を経て営業許可を獲得した。全体では、フランス、イタリア、ベルギー、ドイツ、ポーランドの十数都市で事業を展開している。欧州の競合企業であるTier(ティア)はより積極的に事業を拡大しており、2020年11月に2億5000万ドル(約270億2000万円)を調達した

Sofinaに加え、EQT Ventures、Prosus Ventures、Aberdeen Standard Investments、Estari、Expon Capital、Felix Capital、FJ Labs、Invest-NL、McRock Capital、Quadiaなどの新規および既存投資家が今ラウンドに参加している。

このたびの資金調達により、同社は電子スクーターにとどまらず、新たにバイクシェアサービスを展開する予定だという。Dottはすでにそのeバイクの画像を公開している。このサービスは2021年夏に開始される予定だ。

またDottは、スペインや英国を皮切りに他の都市や国への展開も計画している。このように、Dottは一度に100の都市でサービスを立ち上げようとは思っていない。徐々に新しい都市でのサービスを展開している。現在同社は、すべての都市でEBIT(利払前・税引前利益)黒字となっており、Dottはおそらくその状態を維持したいと考えているのだろう。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:電動キックスクーター 欧州

その求人情報からNYCとロンドンの電動キックスクーターパイロット参加企業が見えてきた

Twitterでのつぶやき、そして求人情報からLime(ライム)やSuperpedestrian(スーパーペデストリアン)といった企業が、スクーターシェアリングサービスにとって最後のフロンティアであるロンドンとニューヨーク市でのサービス展開の準備を進めていることがうかがえる。

求人情報をチェックすると、企業のウェブサイトやLinkedInでLimeやDott(ドット)がロンドンでのサービス開始を準備していて、一方でLimeとSuperpedestrian、そしておそらくSpin(スピン)もニューヨークでの立ち上げを準備している。求人情報はこうした企業が切望している事業許可を与えられたという決定的な証拠ではないが、どの企業が許可を勝ち取りそうかは示している。

都市居住者が社会的距離が取れる移動手段を模索していた2020年夏に、ロンドンの交通当局とニューヨーク市議会はそれぞれ電動スクーターのパイロット事業を承認した。ロンドンのパイロット事業は2021年初めに開始するはずだった。そしてNYCはもともと3月1日に立ち上げられる予定だった。しかしいずれの都市もどの企業に許可を与えるかまだ決まっていない。情報筋によると、ロンドンは5月6日の市長選が終わるまで発表しないようだ。NYCの交通当局はコメントを却下した。

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ロンドンではDott、Tier、Lime?

ロンドンのパイロット事業では、Dott(ドット)とLime、そしておそらくTier(ティア)が展開することになるとの憶測がある。DottとLimeのウェブサイトにある情報、LinkedInプロフィール、そして採用ページでロンドンのポジションで募集をかけている。業界情報筋はTechCrunchに、すでになくなっているが、Tierのホームページにはロンドンでの求人が掲載されていたと話した。

英国でまだ事業を展開していないDottは「英国でゼロから事業を立ち上げる」ための英国居住のオペレーションマネジャーを募集している。同社はまた「Dottの英国マーケットのための声」となる公共政策マネジャーも募集している。

Dottのウェブサイトにあるサービスエリアを示すマップでは、ロンドンのところに小さな黄色い旗が立っている。旗をクリックすると「ページが見つかりません」のエラーメッセージが表示される。

世界をあっという間に席巻しているようにみえるモビリティ企業Limeは、すでにJumpの電動自転車という形態で昨夏からロンドンで事業を展開している。LinkedInの新たな求人からするに、Limeは事業拡大の準備をしているようだ。

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同社のLinkedInページではロンドン拠点のゼネラルマネジャーを募集していて、業務には「英国のマーケット成長を支える運用インフラ」の構築・実行がある。この求人は1週間前に投稿され、同社は積極的にLinkedInで人材募集をかけている。

約1カ月前に、Limeはロンドン拠点のオペレーション・マネジャーの職の募集をかけ、まだリクルート中のようだ。

LinkedInでの求人からするに、Voiもまだパイロット事業のレースに残っているかもしれない。4月8日に同社はロンドンで6カ月限定のアンバサダーとスーパーバイザーの募集を追加した。これは現場での役割のようで、その職務が一時的であるというのはロンドンでの1年間のパイロット事業と関係があるかもしれない。同社が展開している英国の他の都市を管理するためにロンドンに置く人材を探しているだけ、ということもあり得る。

Birdはすでにロンドンのオリンピック公園で夏からサービスを展開しており、道路や歩道でのスクーター使用に関するロンドンの規制を変更するためのロビー活動を積極的に行った。オリンピック公園で展開しているためにBirdのサービス展開マップはロンドンを目立たせているのかもしれないが、同社がロンドンでのオペレーションと英国全体のオペレーションを管理するオペレーションアソシエートを募集していることがことをややこしくしている。

ニューヨークはLime、Superpedestrian、その他

画像クレジット:Lime

LimeはNYCにすでに馴染みがある。同社jは電動自転車をクイーンズのロックアウェイで展開してきた。そして現在、メカニックオペレーションスペシャリストの2つの職種で求人をかけている。Lime電動スクーターのマネジメント、メンテナンス、展開・回収と業務説明にはある。

マサチューセッツ州ケンブリッジ拠点のSuperpedestrianは自社ウェブサイトとLinkedInで4件の求人をかけている。NYC居住を理想とするCEO補佐役を探している。また、ゼネラルマネージャーの職も募集していて、この職には「ニューヨークとニュージャージーにおけるスクーターシェアリングを成長・成功させること」が求められている。

LinkedInでSuperpedestrianはNYCでの2つの職種で求人を出している。まず1つが1週間ほど前に投稿された、スクーター充電や安全点検、スクーターの展開、スクーターの修理・組み立てを管理するオペレーションアソシエートだ。もう1つが1カ月前に投稿されたスクーターメカニックだ。しかし公平を期していうとこの求人には「当社がNYCでのオペレーションを許可された場合」という注意書きが含まれる。

Spinもまた(1週間ほど前)ニューヨーク拠点のオペレーション人材の求人を出した。職務は「Spinの日々のオペレーション、ドライバーとメカニクスの管理、高効率なオペレーションチームの構築」だ。Ford傘下のSpinがNYCのパイロット事業の認可を得たことを正確に示してはいないが、募集をかけている職は立ち上げ業務に関わっているようにみえる。求人情報はまた、新規採用がSpin車両の構築・展開につながっていることをにおわせている。

欧州では大規模に展開しているが米国では今からというVoi(ボイ)はNYCが米国参入の足がかりとなることを望んでいる。同社はNYCの業務の求人を一切出していないが、求人情報にある勤務地のドロップダウンメニューにはNYCが含まれている。

最後にBirdだが、同社はニューヨーク勤務の求人2件をLinkedInに出し、推測の混乱に輪をかけている。4週間前に投稿され、今も積極的採用をかけているゼネラルマネジャーの職はかなりニューヨークに関われる人物を求めているようだ。4月7日に投稿されたオペレーションアソシエートの職務がNYCでの勤務になるのかどうかについては、やや曖昧なものとなっている。

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タグ:電動キックスクーターロンドンニューヨークLimeSuperpedestrianLinkedIn

画像クレジット:Photo by TOBIAS SCHWARZ/AFP via Getty Images / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

電動キックスクーターシェアのLimeがアプリ不要の乗車機能を展開、予約料金も撤廃

Lime(ライム)はさらに多くの利用者を引きつけようと、電動キックスクーターをアプリのダウンロードなしに借りることができるなど、いくつかの新機能を展開する。

マイクロモビリティ企業の同社は米国時間3月24日、新規ユーザーにとっての障壁をなくしてスクーターへのアクセシビリティを向上させるためにデザインされた一連の機能を発表した。新機能には最長10分間の無料スクーター予約、最寄りのスクーターのレコメンデーション、ダークモードでのアプリ閲覧オプションなどが含まれる。

アプリ不要のエクスペリエンスはすでに同社の130のマーケットの半分超で提供されており、デベロッパーが使用状況をモニターし、分析している。この機能は電動スクーターでのみ利用できる。同社デベロッパーによると、無料の車両予約とレコメンデーションの機能は、同社の全マーケットで電動スクーターと電動自転車を借りるときに使うことができる。

「アプリやアプリに関連する機能を構築するために当社はライダーのフィードバックを使います」とシニアプロダクトマネジャーのVijay Murali(ヴィジャイ・ムラリ)氏はTechCrunchに話した。アプリストアのレビュー、機能あるいは機能の欠如についての顧客からのクレーム、顧客調査、世界中のライダーとの研究セッションなどを参考にしてデベロッパーが新機能に取り組む際の方向性を決める。最新のアップデートについて、同社のチームは顧客が求めている3つの項目で目標を設定した、とムラリ氏は話した。

「まず1つは、多くのユーザーがこの新たな交通手段を試す用意ができているものの、アプリをダウンロードしたりコミットしたりしたくないということでした」と同氏は述べた。「2つめは、当社の車両を頻繁に利用している人が持つ価格に関する懸念。そして3つめが特に大都市で最も近くにある車両を簡単に見つけられるようにすることでした」。

現在、顧客がアプリを立ち上げると、最寄りの車両へと案内され、無料で予約するオプションが提供される。これについて、ムラリ氏はスクーターに飛び乗るプロセスを合理化し、乗車を毎日の習慣にするのをサポートする、と語った。

アプリなしでの乗車機能は、マイクロモビリティの利用が初めてという人、アプリをダウンロードする容量がスマホに残っていない、あるいは高い国際データプランを使っている人向けだ。

この機能を使うには、顧客はカメラアプリでQRコードをスキャンする必要があり、そうすることでAppleのApp ClipsあるいはAndroidのInstant App機能につながる。すると顧客は乗車を確認し、Apple PayかGoogle Payを使って乗車を開始できる。テクニカル的にいうと、ユーザーは実際にはミニアプリをダウンロードしている。フルバージョンのアプリが100MBなのに対して、ミニバージョンはたったの10MBで、スマホに留まるのは8時間のみだ。平均的なライダーにとって、その作業はファイルやアプリをスマホで開けるかのようだ。アプリをダウンロードし、アカウントを作って決済方法を設定して使用方法を読むのには5分ほどかかるが、ミニアプリは30秒しかかからず、ずっと早い。

この機能は結果的にLimeアプリのダウンロードを少なくし、そのためユーザーデータも減少する。しかし現時点では販促により関心があると同社は話す。

「比較的高いダウンロードへの変換率も目の当たりにしています」と別のシニアプロダクトマネジャーZach Kahn(ザック・カーン)氏は述べた。「手間、そして決済方法や車両を選択する必要性を抑制すると、コンバージョンが増し、最初の乗車でそれなりの割合を占めます」。

同氏は、アプリなしの乗車を経由してLimeを利用するようになった人のコンバージョンレートを明らかにしなかった。ムラリ氏は、Limeがコストを排除した時にテストを行っている都市の多くのライダーが車両の予約をし始めたと語った。以前は予約の浸透率は低く、3%ほどだった。

「すべては、社会の異なるセグメントの人々、特にサービス提供が不十分のエリアの人々がLimeの車両にアクセスする際の障壁を少なくするためです」とムラリ氏は話した。「サービス浸透が不十分のコミュニティでは、スクーターに乗車するのにいくらかかるかというのが真っ先にきます。ですので、そうした不要な予約料金を排除することは、人々をもっと乗ろうという気にさせます」。

Uber(ウーバー)とAlphabet(アルファベット)の出資を受けているLimeはブロンクスで展開されるニューヨーク市のパイロット電動スクータープログラムを獲得しようとしている企業の1社だ。ブロンクスは多くの低所得コミュニティを抱え、公共交通手段が乏しいところだ。各企業はそれぞれにユニークなセールスポイントを持っている。例えばSuperpedestrian(スーパーペデストリアン)はファーストクラスの安全機能とジオフェンスコンプライアンスの強化を選んでいる。しかしLimeの優位点は純然たるサイズと新機能をすばやく実行できる能力にあるとムラリ氏は話す。

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AIで電動キックスクーターを安全性をリアルタイムでモニターするSuperpedestrianが米国内で事業拡大

「当社はライダーファーストというだけではなく、どうやってそれを実行するかを正確に理解していて、そうした機能や改善がアプリで起こるようにします」とムラリ氏は述べた。「それが他社と差別化を図っている点です。どれくらいのスケールと早さで、どれほど重要な進展を遂げているか。たとえば当社はApp Clipsというかたちの新しいテックを持っていて、最初にそれをテストしてマーケットに持ってきて、そしていまあらゆるマーケットで展開中です」。

声明の中で、Lime はアプリレスの乗車を提供する初のマイクロモビリティ企業だと主張した。しかしAppleはSpinからのスクーターを借りてApp Clipsを宣伝したようだ。SpinもまたニューヨークのRFP(提案依頼書)に応じた。同社の広報担当は、同社が将来App Clipsエクスペリエンスを電動キックスクーターに持ってくるためにAppleと協業していると話した。

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タグ:Lime電動キックスクーター

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

AIで電動キックスクーターを安全性をリアルタイムでモニターするSuperpedestrianが米国内で事業拡大

自己診断ソフトウェアを搭載した電動キックスクーターを製造しているスタートアップSuperpedestrian(スーパーペデストリアン)は、今後2週間で新たに10都市へと大幅に事業を拡大するのに備えてプロダクトをアップグレードしている。

Superpedestrianは安全性の問題をどのように処理しているかという点でマイクロモビリティ分野における新進気鋭のプレイヤーとだと考えられている。同社は車両に搭載されるAIを開発した。このAIはスクーターの安全問題をリアルタイムでモニターして正す。そうしたアップグレードを提供するコードネーム「Briggs」という次世代のオペレーティングシステムはLINK電動スクーターの世界中の車両にアップロードされる。アップグレードにはジオフェンス能力や電池寿命の改善が含まれ、安全や信頼性を保証できるパートナーを探している自治体にとってSuperpedestrianをより魅力的なものにしている。

「スクーターマーケットは短い期間に多くの点でB2CからB2G(business-to-government)にシフトしました」とハーバード大学ケネディ政治大学院タウブマン公共政策センターの客員研究員であるDavid Zipper(デイビッド・ジッパー)氏は述べた。「自治体はスクーター事業者に認める許可の件数を減らす傾向にあります。これは、減りつつある利用可能な認可の1つを獲得しようと、スクーター事業者にこれまで以上にプレッシャーをかけています。テクノロジーが栄枯盛衰する中で、企業が自らをどう位置付けるかということが重要です」。

Superpedestrianは、ニューヨーク市などの都市との提携を獲得しようと争っている勝ち目の薄そうな電動スクーター企業の1社だ。ニューヨーク市はブロンクスでの電動スクーターパイロットプログラムの詳細を間もなく発表する。BirdやLime、Voiといった大手マイクロモビリティ企業も応札した。

Superpedestrianは現在、シアトル、オークランド、サンノゼ、サンディエゴといった米国の都市、そしてマドリッドやローマなどの欧州の都市で事業を展開している。

「自治体は、当社の100%のコンプライアンスに好感を抱いています」とSuperpedestrianのコミュニケーション担当EMEAディレクターRoss Ringham(ロス・リングハム)氏はTechCrunchに語った。「当社はこれまでに一度もマーケットから批判されたり、一時停止措置を受けたり、追放されたりしたことはありません。いいサービスを提供するために当局と協力することが重要だと確信しています」。

市当局は現在、スクーターが歩道に散乱しているという苦情を最も憂慮している。なので、歩道を空けたり、壊れたスクーターをすぐに診断し、誰かを派遣して回収させることはSuperpedestrianにとってアピールポイントとなる、とジッパー氏は話した。

LINKスクーターは Vehicle Intelligent Safety (VIS)システムで駆動している。車両1000台のヘルスチェックを乗車中ずっと行うために、VISはAIと73のセンサー、5つのマイクロプロセッサを組み合わせている。ソフトウェアは常に自己診断と自己修正をし、ブレーキ問題、電池温度の不均衡、内部ワイヤーの切断、透水といったものがないか目を光らせている。

「シートベルトがかつてクルマにとってそうだったように、VISはスクーターの安全性において大きな変化です。2013年以来、400万マイル(約643万km)超のテストとサービスを洗練しました」とリングハム氏は話した。「その結果、当社の車両のリコールや製造欠陥は世界中でゼロです」。

新たなアップデートではジオフェンスリアクションが22%早くなり、オンボードジオフェンスのキャパシティが3倍に、そしてジオフェンスの精度が7倍アップしている。これは、スクーターが乗車禁止ゾーンをこれまで以上に認識でき、速度を落としたり特定のエリアでの乗車や駐車を禁止したりすることでライダーコンプライアンスを改善することを意味する。

LINKのシステムのスピードと精度は、こうしたコンピューテーションがスクーターそのものでリアルタイムに行われている結果だ。LINKのシステムはジオフェンス関連の問題が感知されてからわずか0.7秒、最初の感知場所から4.6mで反応する。他のスクーター会社はジオフェンスを計算して遂行するのにクラウドコンピューティングに頼る傾向にある。これだと歩行者エリアや交通量の多いエリアでライダーがスピードを出して走行するのをやめさせるには遅すぎるかもしれない。

「当社の競合相手は通常、既製品を購入してホワイトラベルのアプリを使います」とリングハム氏は話した。「当社はそうしたやり方で安全性を他社に任せたりはしていません。つまり、当社のオペレーションや世界中の車両からの情報は、絶えず改善するために当社のエンジニアリングチームによって使われます」。

Bird、Atom、Joyrideといった企業は、独立したオペレーターが自前のライドシェアを立ち上げたり、車両を管理したりできるホワイトラベルのOSを提供しているが、LINKでみられるような安全性に特化したテックを提供している同業他社は多くない。

創業者でCEOのAssaf Biderman(アサフ・バイダーマン)氏によると、パフォーマンスを高めるためにエンジニアリングのチームがアップデートの度に詳細なログを引き出すため、スクーターは時間を追うごとにスマートになる。LINKのオンボードソフトウェアから集められる集合化・匿名化されたデータは、この新たな交通手段をサポートするためにより良いインフラをデザインできるよう市当局とも共有される。

「もし提携する当局が新たなアイデアを持っていれば、VISのおかげで当社は簡単にそれを追加できます」とバイダーマン氏は声明で述べた。「これはライダーのために車両を常に改善し、歩行者保護を強化し、都市に堅牢な安全性能を提供します。当局は市民に何も要求しないでしょう」。

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タグ:Superpedestrian電動キックスクーター

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi