バイデン政権は新たな暗号資産規の法制化でこの世界を変えることができる

米国政府は、フィンテックとブロックチェーンの法制化を怠ってきた。

この4年間、法律の枠組みが皆無であったため、私たちの暗号通貨関連製品の開発と展開という事業は、生死の境をさまよう状態が続いている。フィンテックとブロックチェーンの業界には、個人から大手銀行から政府に至るまで、あらゆる人々が本当に困っている問題を解決する製品の構想や、それを実現する能力を持つイノベーターが控えている。しかし、明確な道が示されない限り、こうした製品は成長できず、その能力を最大限に発揮できるまでに拡大することも叶わない。

法制化は、推理ゲームであってはならない。米証券取引委員会がビットコン(BTC)もイーサリアム(ETH)も安全ではないと宣言した2019年以降、この業界は停滞したままだ。不明朗のままでは、ブロックチェーンによるイノベーションはこの2つの通貨に限定されてしまう。この業界は、そんなに狭いものではない。法律がないままでは、暗号通貨とブロックチェーンが提供できる膨大な可能性は飼い殺し状態が続く。

新政権は、政治スペクトラム全体の議員に、明確な政策と法案を策定する新たなチャンスを提供している。それにより、銀行、フィンテック業界、企業が暗号通貨を保有できるようになり、それを使った効率化と顧客体験の改善が可能になる。

私たちは身近な歴史に学ぶことができる。1991年、Al Gore(アル・ゴア)上院議員が主導する超党派の取り組みにより高性能コンピューターおよび通信法(HPCCA)が可決され、George H.W. Bush(ジョージ・H・W・ブッシュ)大統領の署名により法律として成立した。

この法律が、Amazon(アマゾン)、eBay(イーベイ)、Yahoo(ヤフー)、Google(グーグル)といった企業の躍進に道を拓き、米国を初期のインターネットリーダーに押し上げた。1993年にはウェブブラウザが登場し、その直後の1994年にはドットコム時代が到来。そこで米国はイノベーションの象徴的存在としての地位を固めた。

ブラウザはあらゆるものを変えた。新たな雇用、新しい経済的好機、新しい技術分野を生み出した。これらは、30年前には想像もつかなかったものだ。1991年の「Fortune 500」のトップ100の企業を見ると、テック企業はほとんどレーダーに映らず、IBMだけが唯一のテック企業として入っていた。2020年までの間にその景色は劇的に変化し、トップ100リストは、Microsoft(マイクロソフト)、Apple(アップル)、Alphabet(アルファベット)、Facebook(フェイスブック)、Salesforce(セールスフォース)などのテック企業が独占するようになった。

トップ100に数えられたテック企業は、300万件に迫る雇用の創出に貢献し、その多くが市場の価値を高めている。2020年は前代未聞の年であったにも関わらず、DoorDash(ドアダッシュ)、Snowflake(スノーフレーク)、Asana(アサナ)、Palantir(パランティア)のように、テック企業の順調なIPOも続いている。

Google、iPhone、Uber、Salesforce、Spotify、Postmatesなどの製品やサービスはごく当たり前のものとなったが、多くはHPCCAのお陰で実現している。そして今、私たちは、暗号通貨によるイノベーションを目指す超党派の取り組みが生まれるチャンスを目の当たりにしている。公共と民間の支援を得て、明確な法律の枠組みを作ろうというものだ。法律があれば、イノベーターは新製品が作りやすくなり、他国に対する米国の競争力が維持され、さらなる投資を呼び込むことが可能になる。

仮想通貨とブロックチェーンの導入事例が増えていることには議論の余地がない。Paypal(ペイパル)、Square(スクエア)、Robinhood(ロビンフッド)などの大手企業は仮想通貨に力を入れ、それをメインストリームに押し上げようとしている。これらのブランドによって有効性が実証されたなら、暗号通貨の利便性と暗号通貨による企業と顧客に向た優れたけサービスへの興味は、さらに増してゆくだろう。

Ripple(リップル)、Coinbase(コインベース)、Gemini(ジェミニ)、DCG、Chainalysis(チェイナリシス)といった主要暗号通貨企業は、現在米国に本拠地を置いている。ところが、法規が曖昧であるために、これらの新進企業家たちは米国でのイノベーションを起こせずにいる。一方、他の国々は法制化の枠組みを明確化する動きを見せている。起業家や企業が、そうした明確な法律のある地域を選び、米国での新たな店舗開設を思い留まってしまうことにもなりかねない。

プレイしているゲームのルールがわかれば、私たちは最良のプレイ、つまりイノベーションを継続できる。今はまだ始まったばかりだ。開発者はオープンソースのテクノロジーを元に製品を開発できる。起業家は新しい企業を立ち上げて製品を作ることができる。そして投資家はそうした企業に投資できる。

私たちには、この米国で創設され成長する、最高の暗号通貨企業とブロックチェーン企業を欲している。そこから米国国民のための価値と好機が生み出される。インターネットの黎明期と同じだ。5年後10年後にこの産業がどんな姿になるかはわからないが、柔軟な枠組みがあれば、可能性は計り知れない。

バイデン政権には、新しい政策と新しい法律の策定を刺激し、今後幾世代にもわたってフィンテックと暗号通貨のイノベーションを加速させる明確な指針を打ち出せる大きなチャンスがある。バイデン政権には、次のことが期待される。

  • デジタルバンキングのための国の免許制度を作る(シンガポールのデジタルバンキング免許のようなもの)。これによりフィンテック企業の暗号通貨の導入、貸し付け、支払いの認可が円滑化される。現在の米国企業は州ごとに免許を取得しなければならず、そのための法務関係の経費は数百万ドル(数億円)にのぼり、何年もの時間が費やされる。
  • デジタル資産、デリバティブ(スマートコントラクトを使用)、ステーブルコインの明確な分類を定義する。
  • 超党派の公共および民間セクターのグループを作る。ここでは、テクノロジーに精通したAndrew Yang(アンドリュー・ヤング)氏のようなリーダーが指揮を執り、HPCCAがインターネット企業に貢献したように、フィンテック企業に資する象徴的な法案を共同で策定する。
  • 米証券取引委員会の議長に、顧客と市場を守りつつ、本当に進歩したイノベーションを起こす方法を理解した人物を据える。私たちが証券取引委員会から聞かされてきたイノベーションに関するリップサービスは、単なるリップサービスでしかなかった。現在の証券取引委員会が関与した暗号通貨プロジェクトは、すべてが破産に追い込まれるか、役に立たないトークンを抱えて放置されるなどして、米国から逃げていってしまった。

政治家や規制当局が、私たちの業界が直面している問題をどう扱うかは別として、私たちは、フィンテックを利用する人たちの数を確実に急速に増やし、ブロックチェーン製品が消費者と市場を適切に保護しつつ、継続的に最上級のソリューションを得られるよう、政府との協力を続けなければならない。

そのテクノロジーが、今ここにあることは確かだ。議員たちが、それに巨大な金融業界の発展を促すパワーがあることを理解してくれるよう期待する。HPCCAと同じく、懸命な法律が、私たちの顧客と市場の両方を守ると同時に、誇りある米国企業による世の中を一変させてしまうようなイノベーションを可能にする。

【編集部注】著者のAsheesh Birla(アシシュ・バーラ)はRipple(リップル)のRippleNetジェネラルマネージャー。

カテゴリー:フィンテック
タグ:暗号資産ジョー・バイデンアメリカ

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(翻訳:金井哲夫)

米大統領のTwitterアカウントは政権交代後にフォロワーなしから再スタート

この国(米国)では、激しい選挙戦の末にも、大統領府が平和的に権力を移譲することが長年続いているが、ある事情からこの伝統が2021年1月20日にも続くかどうか、多くの人が疑問を抱いている。現職の大統領は、声高に抗議しているものの、法的手段を講じても失敗した場合には退陣することに同意(The Washington Post記事)している(現時点では、それが確実だと思われる)。

だが、パスワードの平和的な移譲を指導している憲法は、もちろんどこにもない。不思議なことに、この国の先人たちはTwitter(ツイッター)というものを予測する先見の明を持っていなかったのだ。トランプ氏が大統領府を去る際に、彼のアカウントがどうなるのか、Twitterはすでに概説している。すなわち、彼は政治的人物であることにともなう保護を失うのだ。

TwitterのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)CEOは、2020年11月の議会公聴会でこれを指摘した。「アカウントが世界のリーダーではなくなった場合、その特定のポリシーは適用されなくなります」という。しかし、次期大統領はどうなるのだろうか?バイデン氏への移行はどうなるのだろうか?そしてトランプ氏がほのめかしているように、@Potusの公式アカウントを快く手放さなかった場合、どうなるのだろうか?

トランプ政権は、@POTUSと@WhiteHouseのTwitterアカウントとフォロワーを次期大統領に移譲することを拒否したため、バイデン氏はゼロからスタートしなければならないとのこと。2016年のオバマ政権からの好意的意思表示とは反対に。

彼はこの選挙の結果を受け入れようとはしていないし、特に3300万人のフォロワー(確かに、トランプ氏のメインアカウントの半分以下だが)を持つプラットフォームを喜んで手放すようなタイプではない。

Twitterのコミュニケーションおよび政府・ニュース担当チームのNick Pacilio(ニック・パシリオ)氏は、この問題について「Twitterはホワイトハウスのアカウント移譲に関連する多くの面について、バイデン移行チームと継続的な協議を行っています」とTechCrunchに声明を出している。

同社は、おそらく当然ながら直接質問には答えていないが、The Wall Street Journal紙が指摘するように、次期政権チームとの連携は十数個のアカウントを移譲する際の問題をすべて回避する簡単な方法だ。報じられているように既存のツイートは削除され、次期政権のツイートはゼロからスタートすることになる。現職大統領のフィードの分極化した性質を考えれば、バイデン・チームにとってそれは結局、好ましいことだ。

バイデン氏のデジタルディレクター(The Hill記事)によると、大統領とホワイトハウスのアカウントはフォロワー数がゼロにリセットされ、オバマ前大統領からトランプ現大統領に移行した際とは異なるという。ドナルド・トランプ氏の個人的なTwitterアカウントは、すでに1人の著名なフォロワーを失っている。今週初め、ジャック・ドーシーCEOは、バイデン氏やKamala Harris(カマラ・ハリス)次期副大統領を含む他の著名な政治家とともに、現大統領をアンフォローした(Daily News記事)。

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タグ:Twitterジョー・バイデンドナルド・トランプ米国大統領選挙

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(翻訳:TechCrunch Japan)

バイデン時代のテクノロジー

ハイテク産業を愛したオバマ政権で8年間を過ごした次期大統領Joe Biden(ジョー・バイデン)氏だが、トランプ政権による4年間の中断を経た今、この長い蜜月時代に終止符が打たれたようだ。

2020年、テクノロジー界に警告が発せられている。2016年米大統領選挙におけるロシア政府の介入疑惑を皮切りに、ソーシャルメディアにはびこる危険性が飛躍的に高まり、市民を幻滅させたり過激化させたりするような過激主義や誤報が各地で充満するようになった。最大手のデータブローカー集団らは潜在的な競合他社をどんどん買収してさらに権力を増し、他の追随を許すことなく巨大化の道を進んでいる。共和党と民主党が一丸となってテクノロジーを規制する計画を推進するほどにまで事態は悪化している。

過去10年間、広告を通して世界中の情報業者が悠々と巨大企業へと成長することを許し続けてきた世界。これが大きな間違いだったとやっと気づいたのが現在だ。

バイデンとビッグテック

バイデン氏の選挙活動においてテクノロジーへの課題はさほど重要視されておらず、Elizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)氏がビッグテックへの反発を選挙戦の会話中に持ち出したのにも関わらず、バイデン氏はハイテク問題への言及をほぼ避け続けてきた。テクノロジー産業全般に対する同氏の姿勢は謎に包まれているが、分かっていることもいくつかある。

次期大統領はトランプ政権のGoogleに対する独占禁止法違反訴訟を引き継ぎ、 Facebook、 Amazon、Appleへの訴訟を追加していく可能性さえあると言われている。しかし同氏の選挙活動の初期資金調達に元GoogleのCEOであるEric Schmidt(エリック・シュミット)氏の後ろ盾があったこともあり、バイデンチームがFacebookのような企業を公然と攻撃するのと比べると、Googleとの関係性はより複雑だと考えられる。

バイデン氏が大統領候補としてノミネートされて以来数か月が経った今、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏とトランプ氏率いるホワイトハウスとの仲の良さが、バイデン政権に継承される可能性の低さは明白だ。9月までにバイデン陣営はザッカーバーグ氏に対して、Facebookが選挙を巡る偽情報の「最大の宣伝者」であると非難する痛烈な書簡を書いており、この熱は未だ解消されていないようだ。バイデン氏の副コミュニケーション・ディレクターは、Facebookが民主主義を「破壊した」として批判している。この4年間Facebookがトランプ政権の寵愛を受けるために行ってきた多くの決断を、同社は後悔することになりそうだ。

それでも、テック業界全体を悲観視する必要はない。ビッグテックがすべてではないのだ。全く新しい産業を切り開き、連邦政府の金をたっぷりと注ぐことになるかもしれない気候計画(上院の統制力の欠如はともかく)のほか、電気通信や交通機関、エネルギー効率の高い住宅計画といった国のインフラを活性化させる計画など、バイデン氏の計画にはさまざまな明るい兆しを見ることができる。

また独占禁止法は通常、テクノロジー界からは脅威とみなされることが多いが、最大手ハイテク企業らによる長年の反競争的な行為によってイノベーションへの多くの道が閉ざされてきたため、今ではスタートアップ全般にとっては返ってメリットとも言える。議会、州、連邦政府が有意義な規制をまとめることができれば、これまでなら買収して吸収されたり、テクノロジー界の中核をなすメガ企業に真っ向から潰されたりしていたであろうスタートアップ企業に、喜ばしい道が開けるかもしれない。

次期副大統領Kamala Harris(カマラ・ハリス)氏にも可能性を見出すことができる。テクノロジー分野出身のハリス氏は、オフィスにベイエリア風を吹かせることになるだろう。最も興味深いのはハリス氏の義理兄弟であるTony West(トニー・ウェスト)氏の存在だ。ウェスト氏はUber(ウーバー)の最高法務責任者であり、Lyft(リフト)やUberのようなギグエコノミー企業に対して、正社員に与えられる福利厚生を労働者に与える必要性を免除する、カリフォルニア州の「Proposition(プロポジション) 22」を推進する上で同氏は重要な役割を果たした。ハリス氏は組織労働者のサイドにつき、この問題に対してはウェスト氏の反対側に立った

テック業界におけるハリス氏の人間関係に関しては完全には明らかになっていないが、どうやら4年前のHillary Clinton(ヒラリー・クリントン)氏当選の流れの中で財務省や商務省ポストの有力候補だったSheryl Sandberg(シェリル・サンドバーグ)氏とは友好的な関係にあるようだ。

バイデン政権はまた、テクノロジー界の権力者らと、あらゆる種類の密かなつながりを持つことになる。その多くはオバマ政権で任務に就き、その後シリコンバレーに進出した顔ぶれだ。元オバマ大統領の環境保護庁長官で現在AppleのLisa Jackson(リサ・ジャクソン)氏や、元オバマ大統領のスポークスマンで現在Amazonのグローバル企業担当副社長のJay Carney(ジェイ・カーニー)氏が良い例だ。

テック業界からの人材流入

バイデン政権の人事移行リストにはテック業界からの人物名が大勢見られるが、業界における最近の実績を理由に引き抜かれたわけではなく、オバマ政権時代からそのまま引き継がれた名前が多い。例えば、同リストにはUberの最高信頼セキュリティ責任者であるMatt Olsen(マット・オルセン)氏の名前が挙げられているが、これは配車サービス業界における同氏の深い知識が認められたというよりも、オバマ政権下での諜報機関での経験が評価されたものである。

このリストにはFacebookやGoogleの出身者は含まれていないが、Chan Zuckerberg Initiative(チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ)のメンバー4人と、Eric Schmidt(エリック・シュミット)氏による慈善プロジェクトSchmidt Futures(シュミット・フューチャーズ)のメンバー1人が含まれている。このリストには、米政府初のCTOを務めたAneesh Chopra(アニーシュ・チョプラ)氏や、以前にTwitterやGoogleで勤務し、オバマ政権下で副最高技術責任者を務めたNicole Wong(ニコール・ウォン)氏が含まれており、オバマ政権時代との継続性も示唆されている。また、デジタルサービス機関の18Fで働いていた人物の名前や、公共問題を解決するためにハイテク界から人材を借りているUSDSからの名前も含まれている

他にもAirbnbのDivya Kumaraiah(ディブヤ・クマライア)氏とClare Gallagher(クレア・ギャラガー)氏、LyftのBrandon Belford(ブランドン・ベルフォード)氏、StripeのArthur Plews(アーサー・プレウス)氏、DellのCTO であるAnn Dunkin(アン・ダンキン)氏など、テック業界からの名前が挙がっている。この顔ぶれは新政権の空き枠を埋めるのに一役買うと思われるが、実際誰が内閣に招聘されるかははっきりしない。

内閣におけるテクノロジー

政権移行チームについてあれこれ推測したりバイデン氏の過去の発言を読み込んだりする以外、今我々は待つことしかできない。組閣人事によって政権の優先事項を読み取ることができるだろうが、今は噂話だけが頼りである。

噂の一部をお伝えしよう。元HPとeBayのCEOであり、失敗に終わった短編ストリーミングプラットフォームQuibiの舵取りをしていた Meg Whitman(メグ・ホイットマン)氏は、商務省における党派を超えた選択肢の代表的存在ではあるものの、Quibiでの失敗はあまり幸先の良いものではない。

Eric Schmidt(エリック・シュミット)氏の名前はホワイトハウスでの何からの技術作業部会のリーダーとして浮上しているが、Googleに対する連邦反トラスト法の訴訟や、ビッグテックに対する法的対処の可能性を考慮すると、あまり幸運とも言えないチョイスである。財務長官候補として名前が挙がっているAlphabetの取締役メンバーRoger Ferguson(ロジャー・ファーガソン)氏は、金融企業の現職を退任したばかりのため、さらにさまざまな推測が飛び交っている。

オバマ政権下の労働局で勤務していたSeth Harris(セス・ハリス)氏も、内閣ポジションに就く可能性を示唆するリストにどうにか紛れ込んでいる。すでにバイデン氏の政権移行に関与しているハリス氏は、「従業員と独立したコントラクターの間のグレーゾーンを占める人々のため」の「新しい法的カテゴリー」を提案し物議を醸している。LyftはどうやらProp 22が通過した後、具体的に彼の論文を引用したようだ。労働に関する法律は今、非常に注目度の高い問題であり、ハリス氏が部門の舵取を任命された場合、労働活動家の間で論争に火が付く可能性が高いだろう。実際、Bernie Sanders(バーニー・サンダース)氏自身も同役割のため活動中と言われている。

その一方で、カリフォルニア州の司法長官Xavier Becerra(ハビエア・ベセラ)氏が司法省の閣僚級の役職に就く可能性があると言われている。ベセラ氏はハイテク業界の出身ではないが、現在Googleに対する独占禁止法違反訴訟を抱えているカリフォルニア州の司法長官として同州に駐在している。Bloombergとの最近のインタビューにおいて、バイデン政権下での反トラスト問題について同氏はイノベーションを阻害するテック業界の「巨人」について非難しており、反競争的な行為を繰り返すテック企業に圧力をかけることについて州の司法長官は「主導権を握っている」と述べている。

「結局のところ皆、競争を望んでいますよね。実際、イノベーションを望むならば、競争は不可欠なのです」とベセラ氏は言う。連邦議会のため司法長官のオフィスを去った次期副大統領ハリス氏の後を継いだベセラ氏は、再度ハリス氏の後を追い、1月にハリス氏が上院を去った際の空席を埋めることになるのかもしれない。

結論として、全体的におなじみの名前がいくつか登場しているのは確かだが、2020年は2008年ではない。過去10年間に出現した巨大テック企業問題は、非常にデリケートな課題だ。バイデン政権からどのような優先順位が付けられるにせよ、オバマ時代の技術系出身者の黄金時代は終わり、我々は新たな時代に直面しているのだ。

関連記事:バイデン次期大統領の気候変動対策はグリーンニューディールに依存しない

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:ジョー・バイデン 政治

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(翻訳:Dragonfly)

バイデン次期大統領の気候変動対策はグリーンニューディールに依存しない

グリーンニューディールは、多くの民主党議員が推し進めている気候関連イニシアチブの広範な決議案である。しかしそれがなくとも、Joe Biden(ジョー・バイデン)次期大統領には、インフラや景気刺激策の一環として、意欲的なエネルギー転換計画を進める多くの機会があるだろう。

専門家、投資家、次期大統領のアドバイザーによると、共和党が上院の支配を維持することができたとしても、議会が初仕事として取り組むことになるインフラや景気刺激策の法案に、気候に優しい政策を組み入れるチャンスはいくらかあるようだ。

これは、地球規模の気候変動の原因となる温室効果ガスの排出量を削減する技術に注力している既存企業や相次ぐスタートアップにとっては朗報だ。そして、Mitt Romney(ミット・ロムニー)氏のような穏健派の共和党員でさえ頑なな態度を示す気候問題にも関わらず、前述のような変化が起きる可能性がある。

11月、ロムニー氏は報道番組「Meet the Press(ミート・ザ・プレス)」で、「多くの人が、保守的な原則が依然として我が国の世論の大部分を占めていると言っていることは知っています」と述べ、「私は、皆さんがグリーンニューディール政策の可決を望んでいるとは思いません。また、皆さんが石炭、石油、ガスの撤廃を望んでいるとは思っていませんし、すべての人へのメディケアや増税など、経済を減速させる政策には興味がないと思っています」と続けた。

既に、現在の市況により、石油、ガス、エネルギーの大手企業の中には、再生可能エネルギーへの移行を余儀なくされている企業もある。これらの企業が米国内の製油所の閉鎖を始めると、これらの雇用に対する代替案の整備へのプレッシャーを議会はますます強く感じることになるだろう。

例えば、11月初めにShell(シェル)はルイジアナ州にあるプラントを閉鎖し、約650人の従業員を解雇すると発表した。閉鎖は主に新型コロナウイルス感染症のパンデミックによってもたらされた石油需要の減少によるものだが、オランダに本社を置くシェルも、英国に本社を置く同業のBPも、化石燃料の消費は2019年にピークを迎え長期的な減少に向かうと考えている

米大手の石油・ガス企業といえども、新型コロナウイルス感染症の経済的影響や世界規模の化石燃料離れに対する免疫を持ち合わせてはいなかった。Chevron(シェブロン)とExxonMobil(エクソンモービル)の大手2社の株価は、石油業界の需要の急激な減少と他の下げ要因が考慮され、この1年で下落している

一方、米国の大手電力会社の中には、化石燃料を使用した発電の段階的な廃止に取り組んでいるところもある

再生可能エネルギーへの移行は、少なくともここ米国では、政府の指導があまりなくても、すでに市場が後押しする形で進行している。このような背景から、問題は、政府が再生可能エネルギーへの移行を支援すべきかどうかではなく、米国の雇用を救うためにどれだけ早く刺激策を実行できるかということである。

次期大統領のアドバイザーも、「[近いうちに]出てくるであろう本当に重要な気候関連の政策の多くは、実際には再生可能エネルギーに関連するものではないだろう」と語っている。

では、景気刺激策はどのようなものになるのだろうか。どのように配分され、何を財源とするのだろうか。

画像クレジット:Artem_Egorov/Getty Images

 

景気刺激、新型コロナウイルス感染症、そして気候変動

バイデン次期大統領は、次期政権の最初の優先事項をすでに詳しく述べている。既に23万8000人(記事執筆時点)を超える米国人が死亡した新型コロナウイルス感染症パンデミックの対策が何よりも優先されるが、パンデミックへの対応によって引き起こされた景気低迷への対応もすぐに後に続くだろう。

アナリストやアドバイザーによると、気候に優しいイニシアチブは、その取り組みの過程で大きな存在感を示し、化石燃料ビジネスの老舗企業だけでなく、新しいテクノロジー企業にも恩恵をもたらす可能性があるという。

今年の初め、バイデン陣営のアドバイザーは「問題を再燃させることなく私たちが確実に前に進む絶好の機会となる計画に資金を投入していく」と語っている。

手にした何兆ドルもの資金がどのように使われるのかを推測するには、短期、中期、長期の目標について考えると良いだろう。

短期的には、できるだけ早く始められる「shovel-ready(ショベル・レディ)な」プロジェクトに力が注がれるだろう。例えば、環境のための改築や建物の改修、水道設備や電力網の修理とアップグレード、電気自動車の製造に対するインセンティブを増やすこと、環境修復や埋め戻しプロジェクトのための資金を増やす計画などのイニシアチブだ。

これらの支出は、いくつかの試算によると総額7500億ドル(約78兆円)に達する可能性があり、国内経済に長期的な利益をもたらす可能性のある産業や製造業を中心に米国人の雇用を回復させるのに役立つだろう。低所得者の農山村部や都市部のコミュニティを支援するために全米各地に設けられた政府指定のオポチュニティ・ゾーンを対象とした支出については特にそう言える。

これらの取り組みにオポチュニティ・ゾーンを組み込めば、資金をさらに迅速に活用する機会となる。また、テック要素を含むインフラプロジェクトの優先順位を高く定める方法があれば、技術的なリスクを克服してきたスタートアップにとって、より望ましい環境が整う。

「政策、特に連邦政府の政策を立案するときはいつでも、達成したい目標に適したインセンティブを設けなければならない」とバイデン氏のアドバイザーは述べる。

中長期的な目標は、より新しいテクノロジーに依存する場合があるため、計画や開発に時間がかかる可能性が高く、また、連邦政府の資金を受けて建設を開始する以前に、自治体や州のレベルで計画手続きを踏まなければならない。

さまざまな業種の労働市場に向けた労働力を準備するために、これらのプロジェクトには、開発、および労働者の訓練や再教育のための資金として、さらに600億ドル(約6兆2000億円)が費やされると予想される。

義務ではなくインセンティブによる促進

バイデン政権の気候政策が直面する最大のリスクの1つは、トランプ政権下で任命された、ますます保守層に共感的になる司法から法的な異議申し立て受ける可能性があることだ。

そのような異議申し立てにより、バイデンチームは、規制の鞭よりもビジネスに優しい飴を採用することの経済的利益を強調せざるを得なくなるかもしれない。

次期大統領のアドバイザーは、「可能な限り、市場が自ら解決策を見いだし、いつでもまず、義務化ではなくインセンティブに委ねるのが望ましい」と述べた。

今週のニュースで報じられたように、Pfizer(ファイザー)が新型コロナウイルス感染症のワクチンについて良好な結果を得たことから、現政権下で進行中のワクチン開発計画の中に有望なモデルがいくつかあることが判明した。

ファイザーは保健福祉省の「ワープ・スピード作戦」には参加していないが、同社は、ワクチンの市場を保証する20億ドル(約2100億円)の契約を政府と結んだ

コネチカット州のクリス・マーフィー上院議員が言及しているような官民パートナーシップは、特に石炭からの脱却によって最も打撃を受けるであろう地域を中心に、気候変動の分野でも採用される可能性がある。

特にダコタ州、モンタナ州、ウェストバージニア州、ワイオミング州など、化石燃料からの転換によって最も打撃を受けるであろう地域では、その支出保証の一部は、放棄された天然ガスの井戸や石炭採掘事業の環境修復という形で提供されるかもしれない。その中には、過去数十年間にエンジニアリング会社や石油会社が培ってきたものと同様のスキルを要する、新しい地熱エンジニアリングプロジェクトの開発によるものもあるだろう。

また、水素をベースとした経済にも明るい兆しがある。水素をベースとした経済は、国内にある石油やガスのインフラや専門知識を活用して、よりクリーンなエネルギーの未来へと移行することができる(注:必ずしもクリーンなエネルギーの未来とは限らないが、以前よりもクリーンになることは確かだ)。

既に日本のような国では、石油を水素燃料に置き換えるための基盤の構築が進められており、このようなインセンティブに基づいたプログラムや官民パートナーシップは、いくつかの業界のスタートアップにとっても大きな後押しとなるだろう。

Electrical transmission grid and power plant

画像クレジット:Cameron Davidson/Getty Images

 

富を分かち合う(農山村部編)

バイデン政権が制定する政策は、経済的機会に広く取り組む必要があり、選挙キャンペーン中に提案された計画の多くは、その必要を満たすものだった。政権移行に向けたウェブサイトによると、なかでも重要な提案の一つは、「取り残された地域社会の優良な組合員や中産階級の雇用を創出し、汚染の影響を受ける地域社会の過ちを正し、農山村部、都市部、部族など、私たちの偉大な国家全体から最高のアイデアを打ち出す」というものであった。

電力網や公益事業のインフラに早期に重点を置くことで、米国全土に雇用創出の大きな機会が生まれ、テクノロジー企業にとっても後押しとなる可能性がある。

エネルギーと気候に焦点を当てたベンチャーキャピタル、Congruent Ventures(コングレント・ベンチャーズ)の共同設立者であるAbe Yokell(エイブ・ヨーケル)氏は、「この国の電力インフラは古く、老朽化しており、安全ではない。インフラの観点から見ると、送配電は切実にアップグレードを必要としているのに、長い間、十分な資金が投入されてこなかった。そしてそれは、再生可能エネルギーを米国全土に普及させることと、あらゆるものの電化を実現することに直結している」と述べている。

電気インフラの再生と、電力や水道の新しいブロードバンド機能や監視技術を組み合わせることは、Verizon(ベライゾン、TechCrunchの親会社)や他のネットワーク企業に大きな利益をもたらすだろう。さらに、公益事業会社にとってはありがたいことに、料金を調整する方法が整備されることになる。

インフラをアップグレードするこのようなプロジェクトは、コストがかさんでますます使い物にならなくなっている石炭関連資産を再利用する方法を見つけるのにも役立つ。

ヨーケル氏は次のように語る。「石炭を燃やす意味はもうない。資金がないにもかかわらず、発電所は責務上の理由から石炭を燃やし続けているが、現役の炭鉱でさえも閉鎖したいとみんな思っている」。

ヨーケル氏によると、これらの炭鉱を廃止し、エネルギー貯蔵を使用して分散型エネルギーグリッドのノードとして再利用することができれば、石炭プラントが以前行っていたように、電気容量の平滑化を行うことができ「大勝利」となる。エネルギー貯蔵の導入は、かつてはコストの問題だった。しかし「今では立地の問題だ」と同氏は言う。

より新しい効率的なテクノロジーを使って古い水力発電資産で再発電することは、「ショベル・レディ」プロジェクトで再生事業を大きく進展させるもう一つの方法であり、スタートアップがこの動きの恩恵を受けることができる分野でもある。それはまた、農山村部のコミュニティに雇用をもたらすことにもつながる。

インフラへの投資は、都市部でも農山村部でも有望だが、刺激策の効果はそれだけでは終らない。

農山村地域には、バイデン政権移行チームが指摘するように「気候に配慮した農業や、放棄された油田や天然ガス田を埋め戻したり、放棄された石炭、石材、およびウランの鉱山を再生利用したりする25万人分の雇用を含む回復と保護の分野」でビジネスチャンスがある。また、石油産業の労働者にとっては、新しく成長しているテクノロジーを駆使した地熱エネルギー産業で職を得る大きなチャンスがある

トランプ政権下で急増した農業助成金は、気候により一層の焦点を当てた形で継続される可能性がある。トランプ政権が2020年の間に農家に配る予定の460億ドル(約4兆8000億円)と同程度の補助金が、単にそのまま農家に支給されるのではなく、「カーボンファーミング(炭素貯留農法)」への補助金という形で支払われると予測される。炭素貯留農法への補助金を約束して農場の票を取り込むことは、炭素価格(政府関係者の間ではほとんど失敗している)をめぐる議論を再開するきっかけになるかもしれない。炭素貯留農法以外にも、生体材料、コーティング、さらには食品などに利用される合成生物学の急速な技術革新により、米国中西部の大規模なバイオ燃料発酵槽や原材料を活用する新たなバイオ製造業が誕生する可能性がある。

さらに、水圧破砕法の本格化や石油価格の高騰に後押しされて鉄道インフラが拡大すれば、全米への鉄道輸送が可能な他の分野の製造業を発展させる機会と可能性が広がる。

Volkswagen(フォルクスワーゲン)は、2019年11月13日水曜日、電気自動車計画の北米拠点となるテネシー州で、8億ドル(約830億円)規模の工場拡張に着工した。画像クレジット:Volkswagen

 

富を分かち合う(都市編)

地方経済活性化に有効な支出策は、米国の大都市にも同様に適用できる。電気自動車を中心としたインセンティブや、車両のアップグレードを義務付ける連邦政府の指令を通じて自動車産業を活性化させる動きは、自動車メーカーと関連OEMメーカーにとって絶大な効果があるだろう。

都市インフラのための官民パートナーシップは、まずアップグレードの計画と管理のために確保された資金から支援を受けることができる。そうすることで、全米のスタートアップによる新技術の採用が促進されると同時に、その実装の過程で相当数の新たな雇用が創出される可能性がある。

都市経済の再活性化と気候政策が交錯しうる大きな分野の1つは、耐気候構造化、エネルギー効率の高い電化製品の設置、建物の改修といった、比較的地味な分野だ。

不動産管理会社Jonathan Rose Companies(ジョナサン・ローズ・カンパニーズ)の環境影響担当ディレクター、Lauren Zullo(ローレン・ズーロ)氏は次のように述べている。「どの地方自治体も、グリーン経済や低炭素経済への移行に高い関心を寄せており、都市は民間の不動産部門と提携する方法を本気で模索している。建築物がグリーン経済とは無関係ではいられないことが分かっているためだ。そして、地元の建物を改修するあらゆる仕事は、そのまま地元の経済活動になる」。

グリーンレトロフィット(既存の建築物を環境への配慮に基づいて改修すること)や分散型再生可能エネルギーの導入に資金を投入することは、地域経済、特に気候変動の最前線にいるコミュニティを優先的に支援する地域経済にとって、大きな追い風となる。

ズーロ氏は、オバマ政権の第1期に可決された2009年の米国復興・再投資法(American Recovery and Reinvestment Act of 2009)に言及し、次のように語った。「多くの投資が復興法に基づいてこのような形で行われてきた。多くの[資金]は、低所得者向けの住宅や手頃な価格の住宅に割り当てられた低所得者向けの耐気候構造化を中心に支出された。[これらの]資金により、エネルギー消費量を30%から50%削減することができ、光熱費の節約が達成できたことは、対象のコミュニティに変革をもたらした」。

これらのプログラムの重要性について、ズーロ氏は、さらに次のように説明した。「低所得者は、公共料金やエネルギーコストの負担が不釣り合いに大きい。低所得者層のコミュニティに割り当てる、または彼らを対象にする形で提供できる、あらゆる種類の省エネの機会は、単に二酸化炭素排出量だけでなく、それらの低所得者層のコミュニティの生活や成功にも影響を与える」。

財源の確保

このように控えめな法案でさえ、景気刺激策の財源は何か、どのように配分されるのかという質問にバイデン政権が答えることができなければ、議会を通過させることはできないだろう。

ツイートの中で、政治評論家のMatthew Yglesias(マシュー・イグレシアス)氏は、国には「アイスクリームパーティーを開く余裕がある」、つまり、共和党は減税を続け、それと同時に政府は景気刺激策への支出を続けることができる、と述べた。

「[金利]は非常に低いのです。国は、我々はいくつかの有望な事業に投資し、減税で『相殺』するアイスクリームのオプションを買う余裕があります」とイグレシアス氏はツイートしている。

バイデンのアジェンダには「この有望な事業に投資し、富裕層への課税によってそれを回収しよう」というようなもので溢れています。

しかし、金利は非常に低いのです。国は、我々はいくつかの有望な事業に投資し、減税で「相殺」するアイスクリームのオプションを買う余裕があります。

-Matthew Yglesias (@mattyglesias)2020年11月10日

大恐慌の初頭にHerbert Hoover(ハーバート・フーバー)政権が設立した復興金融公社(Reconstruction Finance Corporation、RFC)のように、議会は、資金を分配するための組織を設置することもできるだろう。復興金融公社は、Franklin Delano Roosevelt(フランクリン・デラノ・ルーズベルト)政権下で拡大され、破綻の危機にある金融機関や農場、企業などに資金を分配することができるようになった。

この制度自体が成功だったかどうかは定かではないが、RFCは、連邦預金保険公社や関連する商品金融公社(RFCとは異なり、現存する)とともに、1940年代に米国が大恐慌から脱却し、世界が戦争に巻き込まれる中で製造業を促進するための基礎を築いた。

現在まで長年にわたり存続している商品金融公社は、政府が設立したいと考えているインフラストラクチャ金融公社のモデルになるかもしれない。

一部の投資家はこのアイデアを支持している。インフラ分野のある投資家はこう語る。「これは、州、地方自治体、または民間企業に資金を渡し、地方債や通行料で賄うことができる近代的なインフラプロジェクトを提案している事業体への多額の補助金付き融資を、州、地方自治体、または民間企業レベルで引き受けられるようにするということだ。これにより、インフラへの投資を希望し、関連する技術的な要件を有する可能性があるどの事業でも融資が受けられる環境が整う」。

一部の投資家は、インフラ銀行を通じた融資から得られる資金を産業のリショアリング(海外に移した生産拠点を自国内に戻すこと)に充て、企業からの潜在的な税収で融資コストの一部を相殺することを提案した。このような施策の中には、融資が地元の金融機関を通じて行われるようになれば、さらなる経済的恩恵をもたらすものもあるだろう。

都市インフラを中心に投資するベンチャーキャピタルファンドUrban.us(アーバン・ドット・アス)のマネージングパートナーであるMark Paris(マーク・パリス)氏は、「これらの資金を提供するための手段をどうするか。実は、既存のアーキテクチャが使える。それは地方債市場だ」。

インフラの答え

バイデン政権は、トランプ政権の気候変動政策の流れを反転させるための手段には事欠かないが、これらの連邦政策の変更の多くは法廷論争に発展する可能性が高い。

David Roberts(デヴィッド・ロバーツ)氏はVox(ヴォックス)の記事の中で、バイデン氏が米国経済の脱炭素化に向けた道筋に沿って取ることができる直接的な政策のいくつかについて、非常にわかりやすく説明している。それらには、トランプ大統領が取り消しまたは縮小した125を超える気候・環境規制を復元すること、環境保護庁と協力してオバマ時代のクリーンパワープラン(電力事業者向けの二酸化炭素排出削減に関する政策)の拡大版を新しく策定すること、運輸省による新しい燃費基準の開発を推進すること、そしてカリフォルニア州独自の非常に積極的な車両基準を支持することが含まれる。

また、バイデン氏は、投資のための金融モデルに気候リスクを織り込むよう金融市場を促すことにより、気候に優しいビジネスへの投資や化石燃料からの撤退をさらに促進できる、とロバーツ氏は指摘する

米国最大の金融サービス機関のいくつかは、すでにそのような取り組みを行っており、石油・ガス会社は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響で株価が下落し、需要が急落する中、再生可能燃料や無公害燃料への移行の必要性と格闘している。

昨年Mother Jones(マザー・ジョーンズ)氏が示唆したように、トランプ政権が移民を国家安全保障上の緊急事態と宣言したのと同様に、バイデン政権が気候変動を国家安全保障上の緊急事態と宣言することもあり得る。そうなれば、バイデン氏は経済を再構築し、産業政策に直接影響を与える広範な権限を持つことになる。

国家気候緊急事態を宣言すれば、バイデン氏は次期大統領のエネルギー計画を構成するインフラ構想の多くを実現するために必要な権限を手にすることになるが、それを支持する国民の信認が得られるとは限らない。

その一歩を踏み出す前に、バイデン氏は、まず立法面で手を尽くそうとするかもしれない。ねじれ状態にある議会では、それはインフラ、雇用、産業インセンティブに焦点を当てることを意味する。

バイデン氏は9月の演説で「気候変動の影響は選択できません。それは党派的な現象ではないからです。それは科学です。私たちの対応も同じでなければなりません。科学に基づいて、共に行動する。全員で取り組むことが必要です」と述べた。

そして次のように続けた。「これらは雇用を創出し、気候変動を緩和し、遅くとも2050年までの排出実質ゼロを軌道に乗せるための具体的で実行可能な政策です。インフラに投資して、それをより強く、より回復力のあるものにすると同時に、気候変動の根本原因に取り組むことができます」。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:ジョー・バイデン 環境問題

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(翻訳:Dragonfly)

ビル・ゲイツ氏が米国が気候変動対策のリーダーになるための案を公表し3630億円規模の予算を提言

Microsoft(マイクロソフト)の共同創設者で世界有数の富豪であり、世界有数の貢献を果たした慈善事業家であるBill Gates(ビル・ゲイツ)氏は、自身のブログで気候変動との戦いで米国がリーダーシップを取るための広範な新提案を公表した

「私たちは世界の物理経済を変革しなければならず、それが、他のさまざまな物事と相まって、創意工夫、資金、連邦政府の関心を強力に呼び込みます。必要な研究を推進できる資源を持つ国は、この国以外にはありません」とゲイツ氏は書いている。

Joe Biden(ジョー・バイデン)新政権が政府を引き継ごうというこの時期は、ゲイツ氏が提言を行うには絶好のタイミングだった。引退間際のDonald Trump(ドナルド・トランプ)政権は、ことさら気候変動対策に抵抗して規制を緩和し、気候変動対策を目的とした国際協定からも脱退(未訳記事)し、人為的な気候変動の脅威を認めれば多くのものを失う産業界のまことしやかな論拠に傾倒し、科学を一蹴してしまった。

ゲイツ氏は、クリーンエネルギー研究のための支出を25億ドル(約2600億円)と大幅に増やして、政府の医療向け支出と並ぶ35億ドル(約3630億円)に引き上げるよう訴えている。それによりクリーンエネルギー化計画を進めつつ、37万件以上の雇用を創出(Breakthrough Energy記事)できるとゲイツ氏は指摘する。

ゲイツ氏によれば、米国人は政府が気候変動関連の研究に充てている予算よりも多くの金額を、わずか1カ月で消費しているという。

単に研究予算を増やせというだけでなく、マイクロソフトで身を立てたこの大富豪は、「エネルギー改革のための国立研究所」のネットワーク構築も呼びかけた。

「気候変動解消のためのイノベーションを導く上で米国が世界に貢献できることの中で、これがもっとも重要」だとゲイツ氏は書いている。

世界のバイオ医療研究に最も多く出資しているゲイツ氏は、米国立衛生研究所をモデルにした特定分野の個別の研究所をとりまとめるエネルギーイノベーション研究所の設立を提言した。1つは輸送の脱酸素化研究所が想定されるが、その他にも、エネルギー貯蔵、再生可能エネルギー、二酸化炭素の回収と管理などが考えられるとゲイツ氏。

さらに同氏は、各団体は研究所から生まれたイノベーションの商品化を推進すべきだと話す。「研究所の中で電気の新しい貯蔵方法を開発するだけでは不十分です。何らかのインパクトをもたらすためには、現実社会で実用性のある手に入れやすいものでなければなりません。それを確かなものにする最良の方法は、研究者たちに、エンドユーザーを念頭に置いて研究を開始するように促すことです」。

そして、こうした研究所を国中に作るようゲイツ氏は求めている。それはちょうど、米エネルギー省やNASAが、米国各地に研究施設を分散させているのと同じだ。

研究施設の設立と予算の倍増に加え、ゲイツ氏は税制優遇措置と、より多くのクリーンエネルギーのためのツールの市場を創設できるエネルギー基準作りも提案している。

現在すでに、Clean Energy Innovation and Jobs Act(クリーンエネルギー改革および雇用法、Breakthrough Energy記事)やAmerican Energy Innovation Act(アメリカエネルギーイノベーション法)(Breakthrough Energy記事)が米国議会で成立されようとしている。これらは米国連邦政府を、より集中的な対策へ迅速に向かわせる助けとなるとゲイツ氏は考えている。しかし、この2つの法案はどちらも膠着状態にある。

ゲイツ氏の気候変動対策の提言書には、米国の大手企業40社も署名し、より強力に気候変動対策をとるよう訴える次期バイデン政権への公開書簡も添えられている(Breakthrough Energy記事)。

「私たちのコミュニティも、私たちの経済も、破壊的なパンデミックのみならず気候変動によるコスト上昇を耐え忍んでいます」と署名した企業は訴える。「前代未聞の山火事、洪水、ハリケーンなどの異常気象は、命と生活に深刻な影響を与えています。今行動しなければ、未来の世代は、環境、経済、健康の面でさらに大きな損害を被るこになると科学が証明しています」。

米国時間12月3日、医学雑誌The Lancet(ザ・ランセット)は、環境激変、公害、気候変動に関連する健康被害の大規模調査の報告書を公開した。

熱波、大気汚染、異常気象は人間の健康被害を増大させていると報告書は伝えている。National Public Radio(npr記事)も伝えていたが、同報告書では死亡、疾病、化石燃料の燃焼との間に明確な因果関係があることを示している。

「炭素を排出する活動や政策は大気汚染、食品の品質低下、住宅の質の低下を招き、それが恵まれない人々に特に過大な健康被害を与えている」とThe Lancetの報告書の著者は分析している。

分断された政府であっても、米国の温室効果ガス排出量削減に向けてバイデン政権にできることは多い。

TechCrunchでもお伝えした(未訳記事)が、インフラ関連の刺激策には、そのすべてにおいて、気候変動緩和関連テクノロジー導入のための予算を大きく取ることが可能だ。

「短期的に発生が予想される大量の深刻な気候関連の問題に【略】実際には再生可能エネルギーは影響しません」と、次期大統領のアドバイザーは話している。

だが、2021年1月、ジョージア州の決選投票の結果、現在は共和党優位の上院で、民主党が与党の座を奪取できたなら、強力な気候変動対策(ゲイツ氏の提言も含まれる可能性がある)が議題にのぼることが期待される。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Bill Gates気候変動ジョー・バイデン

画像クレジット:Mark Lennihan / AP

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(翻訳:金井哲夫)

​トランプ政権が中国最大の半導体メーカーSMICを防衛ブラックリストに追加

Reutersの報道によると、世界最大級のチップメーカーの1つであるSMICは、米国防総省が中国軍が所有または支配している企業として指定する予定の企業に含まれている。2020年11月初め、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は、2021年1月11日に施行予定の米国の投資家が防衛ブラックリストに載っている企業から証券を購入することを禁じる大統領令に署名した(米政府リリース)。

​SMICはReutersに対する声明で「米国政府との建設的かつオープンな交渉」を継続し、「中国軍と関係がなく、軍での使用や使用者のために製造しない」と述べている。

市場調査会社TrendForceによると、SMICは中国最大の半導体メーカーであり、世界の半導体ファンドリ市場の約4%を占めているという。​米国における同社の顧客にはQualcomm、Broadcom、Texas Instrumentsなどがある。

​現在、防衛ブラックリストには31社が登録されている(米国防総省リリース)。​Reutersによると、SMICは国防総省が追加を計画している4社のうちの1社だ。​他にはChina Construction Technology、China International Engineering Consulting Corp(中国国際工程諮詢公司)、China National Offshore Oil Corp(CNOOC、中国海洋石油集団)が計画されている。

​同社は2019年5月にニューヨーク証券取引所から上場廃止となったが、今回の決定は限られた取引量と高い管理コストが理由であり、米中貿易戦争や米国政府によるHuawei(ファーウェイ)や他の中国のハイテク企業のブラックリスト掲載とは異なると述べていた。

​SMICはすでに輸出規制の影響を受けており、主要な設備を米国のサプライヤーから購入することができない。​2020年10月初め、同社は株主に対して(Bloomberg記事)、米産業安全保障局が定めた輸出規制は、同社の生産に「重大な悪影響」をもたらす可能性があると述べていた。

​今回の大統領令と、国防ブラックリストに新たな企業が追加される可能性は、ファーウェイ、ZTE、ByteDanceなどに対して、トランプ政権が中国政府や軍との関係を理由に国家安全保障上の脅威となる可能性があると中国のハイテク企業に対して強硬な姿勢を示していることと一致している。​しかし、Joe Biden(ジョー・バイデン)氏が2021年1月20日に大統領に就任した後、現政権が行っている多くの政策の先行きは不透明だ。

​TechCrunchはSMICにコメントを求めている。

関連記事:中国最大のチップメーカーがニューヨーク証券取引所上場廃止へ

カテゴリー:ハードウェア
タグ:SMICドナルド・トランプジョー・バイデンアメリカ中国

画像クレジット:Su Weizhong/VCG / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

バイデン・ハリスチームが政権移行に向けついに.govドメインを取得

ついに。ほぼ3週間が過ぎただけだが、「バイデン・ハリス」への移行が正式に始まった。

米一般調達局は米国時間11月23日、バイデン・ハリスチームの選挙運動から政権への移行を承認した。同チームはオフィススペースなどの政府のリソースだけでなく、機密事項のブリーフィングや安全なコンピュータへのアクセスも可能になった。それらとともに、輝く新しい.govドメインも与えられる。

移行手続きは法律のあいまいな部分であり、滅多に議論されることはない。これは主に、去りゆく政府と来たるべき政権が平和的に権力を移譲し、政府の継続性を維持しようとするからだ。このプロセスは一般調達局が正式に開始する。あまり知られていないこの連邦機関は、政府の基本的な機能を司っており、次期政権が政府に入るための資金、ツール、リソースを受け取ることを可能にする。

しかし今回は、トランプ陣営が選挙に異議を唱えて多数の訴訟を起こし、同局のトップであるEmily Murphy(エミリー・マーフィー)氏は正式な移行期間の開始に消極的だった。

ミシガン州が選挙結果を承認した後、マーフィー氏はついに11月23日に移行を承認した。

これまで、バイデン・ハリスチームはbuildbackbetter.comを移行ウェブサイトのホスト先として使用していた。現在はbuildbackbetter.govがホストしている。2008年当時のオバマ・バイデン次期政権が使用したptt.govドメインは使っていない。

The Wall Street Journalは先週、バイデン・ハリスチームがメールとコラボレーションにGoogle Workspaceを使用しており、スタッフがアカウントへのログインにハードウェアセキュリティキーを必要とすることでセキュリティを確保していると報じた。企業ならその設定で十分かもしれないが、セキュリティの専門家は政府のサイバーセキュリティサポートの欠如がバイデン陣営を攻撃に対してより脆弱にしている可能性があると懸念を示していた。

ドメインに関してあまり重くとらえる人はいないと思われるが、.govドメインへの移行は、陣営のサイバーセキュリティの取り組みにおける重要な前進を示している。.govドメインがホストする政府の複数のドメインは、乗っ取りやなりすましを防ぐために強化されている(米政府リリース)。簡単にいえば、通常のウェブホスティングサービスよりもはるかに強靭だ。

バイデン氏は、このドメインは変化を表しているとツイートした。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:Joe Bidenアメリカ

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

トランプ氏は負けを認めないがバイデン氏への政権移行は進む

​空前の数の郵送投票で、2020年の選挙結果が出るまで例年より少し長くかかった。しかし、米国人は「選挙週間」と予想をしていたが、11月は「選挙ドラマの月」になり、各州がJoe Biden(ジョー・バイデン)氏の勝利を認定していた(npr記事)にもかかわらず、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は選挙結果をにケチをつけ、政権移行プロセスを遅らせようとする前代未聞の取り組みを始めた。

米国時間11月23日、トランプ大統領はについに選挙結果を受け入れたように見えたが、言葉はそうではなかった。それは確かに敗北宣言ではなかったが、おそらくこれまでで最も近いものだった。

​「……我が国の最大の利益のために、エミリーと彼女のチームが最初の手順に関して必要なことを行うことを奨め、私のチームにも同じことをするように話した」とトランプ氏はツイートし、GSA(米一般調達庁)のEmily Murphy(エミリー・マーフィー)長官が、ホワイトハウスは移行を阻止する決定に影響を与えなかったと明言したばかりの主張と矛盾している(Twitter投稿)ようだった。​一般調達庁は選挙結果を正式なものとし、連邦レベルでの移行を行う役割を担っている。

​バイデン次期大統領の政権移行は、障害にもかかわらず進められており、次期大統領は、新型コロナウイルス(COVID-19)を管理下に置く計画(nature記事)の一部について述べ、任命を予定している担当官の名前を挙げた(The New York Times記事)。​しかし、GSAのトップがこの移行のために630万ドル(約6億6000万円)の連邦資金を出すことを拒否したため、バイデン氏はいくつかの重要な点で手詰まりになっている。​選挙結果を認めないというマーフィー氏の極めて異例な拒否は、大統領当選者が安全な政府デバイスにアクセスし、パンデミック対応に関与している機関を含む連邦機関から説明を受けることができないようにしている。

​バイデン氏の政権移行を軌道に乗せることとは別に、トランプ大統領の発言とGSAの協力の遅れは、米国がまた別の重要な方法で前進する助けになるかもしれない。​ここ数週間、選挙に関する陰謀説がインターネットを混乱させ(未訳記事)、トランプ支持者の多くが主要なソーシャルネットワークを非難し、選挙結果をユーザーに思い出させ、一部の偽情報が厳重に取り締まられた。こうした陰謀説はトップダウンで広まることが多く、トランプ大統領は、郵便投票や投票機を使った詐欺だという根拠のない主張を叫んだ(Bloomberg記事)。

ネット上の大統領支持者たちは当分の間、この選挙に固執すると思われるが、トランプ氏の後を追う可能性は高い。少なくとも今のところ、トランプ氏は負けを認めるようだ。

カテゴリー:その他
タグ:米国大統領選挙ドナルド・トランプジョー・バイデン

画像クレジット:Photo by Mark Makela/Getty Images / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NEDOがバイデン次期大統領の技術イノベーション・気候変動政策の情報を整理・分析した短信レポート公開

NEDOがバイデン次期大統領の技術イノベーション・気候変動政策の情報を整理・分析した短信レポート公開

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は11月18日、短信レポート「バイデン次期大統領で変わる米国の技術イノベーション・気候変動政策」を公開した

米国第46代大統領になるジョー・バイデン氏は、トランプ大統領とは大きく異なる技術イノベーション政策および気候変動政策を公約に掲げている。NEDOはこうした変化について、様々な分野で発信されている客観的な情報を整理・分析したTSC Foresight短信レポートとして公表。日本と関わりの深い米国の新たな方向性を注視しつつ、NEDOはこのレポートを基にあらゆる領域で議論を深め、「イノベーション・アクセラレーター」としての役割を強化することで、世界的な課題解決に貢献するとしている。

技術イノベーション政策部分

バイデン次期大統領は「Innovate in America」(アメリカでのイノベーション)を政策として掲示。3000億ドル(約32兆円)を新産業・技術の研究開発に投資し、数百万人分の質の高い雇用を創出するとしており、アメリカの世界的なリーダーシップを確保したい考え。技術流出には慎重なものの、国際的な枠組みを重視する姿勢も見せる。米国第一主義を推し進めたトランプ大統領とは異なり、米国の技術イノベーション政策を強化しながらも、より一層同盟国重視の姿勢に転じる見込み。

NEDOがバイデン次期大統領の技術イノベーション・気候変動政策の情報を整理・分析した短信レポート公開

NEDOがバイデン次期大統領の技術イノベーション・気候変動政策の情報を整理・分析した短信レポート公開

 

気候変動政策部分

バイデン次期大統領は、大胆な気候変動対策を講じることで気候変動に伴う不平等の是正を追求するという、環境正義の基本思想を持つ。現政権が離脱したパリ協定への復帰も公約に掲げており、また遅くとも2050年までに、米経済全体でCO2排出量をゼロにすることも表明している。具体的施策として、大規模なインフラ整備などからなる「クリーンエネルギー/持続可能インフラ計画」を発表し、4年間で約215兆円を投入する計画。さらに気候変動に焦点をあてた省庁横断的な先進研究プロジェクト機関として「ARPA-C」(Advanced Research Projects Agency focused on Climate)新設を表明し、米国の気候変動政策は大きく前進すると予測。

NEDOがバイデン次期大統領の技術イノベーション・気候変動政策の情報を整理・分析した短信レポート公開

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カテゴリー: その他
タグ: ジョー・バイデン / Joe Biden(人物)政策Policyアメリカ(国・地域)

米次期大統領バイデン氏の首席補佐官にスタートアップに好意的なロン・クレイン氏内定

米国の次期大統領Joe Biden(ジョー・バイデン)氏は長年の同僚であり側近であるRon Klain(ロン・クレイン)氏を首席補佐官に選んだとNew York Timesが報じた。クレイン氏は現在、ベンチャーキャピタル企業Revolution(レボリューション)の上級副社長を務めている。

クレイン氏はオバマ政権時代に、副大統領だったバイデン氏の首席補佐官を2年間務め、2011年に首席補佐官職を辞してRevolutionに移った。Revolutionは前AOLのCEOで創業者のSteve Case(スティーブ・ケース)氏が興した会社だ。Revolutionはコメントの求めに応じていない。

もしクレイン氏が2度目のホワイトハウス入りを果たすとなれば、バイデン氏は35年以上の知り合いを引き込むことになる。この2人が最初に一緒に働いたのはバイデン氏が上院議員だった1989年で、クレイン氏はハーバード大学法科学院を卒業したばかりだった。同氏は、2014年10月から2015年2月までホワイトハウスのエボラ対策責任者を務め、またオバマ大統領やクリントン大統領、その他にもAl Gore(アル・ゴア)氏、John Kerry(ジョン・ケリー)氏、Hillary Clinton(ヒラリー・クリントン)氏の討論アドバイザーとしても活躍した。

クレイン氏の指名は、スタートアップとバイデン・ハリス政権の間で起こり得る緊張を和らげるかもしれない。バイデン氏はテック産業に規制を課すと明言しており、これはGoogle(グーグル)、Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)といった大企業にマイナスの影響を与えるかもしれない。クレイン氏は、規制がいかにスタートアップ分野における主要なイノベーションを妨げるかについてTechCrunch(未訳記事)で語ったことがある。同氏はまた政治に焦点を当てたスタートアップにフォーカスしているインキュベーターアクセラレーターのHigher Ground Labs(ハイアー・グラウンド・ラブズ)をサポートする取り組みも主導してきた。クレイン氏の指名はテック大企業に大きな影響は与えなさそうだが、バイデン氏の最側近の1人がスタートアップに甘い点を持っていることには変わりはない。

カテゴリー:その他
タグ:Joe BidenRon Klain米国大統領選挙

画像クレジット:WHITE HOUSE POOL (ISP POOL IMAGES) / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

米大統領選、ジョー・バイデン氏が当選確実

緊張の票集計週間を経て、Joe Biden(ジョー・バイデン)氏はペンシルベニア州を制し、次期米国大統領選挙の接戦を抜け出した。重要な州で勝利を収め、現職の候補を振り切って当選に必要な選挙人270人以上を獲得した。

バイデン氏はウィスコンシン州、ミシガン州、ペンンシルベニア州など2016年の大統領選でDonald Trump(ドナルド・トランプ)氏が抑えた鍵を握る州を奪還した。トランプ氏は前回に続きフロリダ州とオハイオ州で勝利したが、当選にはつながらなかった。バイデン氏はまた一般投票数でも何百万票もリードした。その多くは郵便によるもので、今回は記録的な数となった。

バイデン政権で副大統領を務めるKamala Harris(カマラ・ハリス)氏は、初の女性、しかも有色人種の副大統領と、多くの点で歴史を作ることになる。同氏はカリフォルニア州選出の上院議員で、同州で司法長官も務め、テック産業が盛んな同州でキャリアを築きあげた。

分断はさておき、2020年の選挙は多くの米国民にとって悪名高いものになりそうだ。誤情報の嵐、拡大された郵便投票システムの運命に対する恐れ、米国において23万人超の命を奪った新型コロナウイルスに代表されるように、近年において最も奇妙な選挙だった。バイデン氏の選挙活動は投票を呼びかけるためにドアをノックして直接顔を合わせる代わりに、車に乗ったまま、そしてデジタルのキャンペーンを展開することを余儀なくされた。

また、そうした状況は完璧な誤情報エコシステムを作りだした。11月4日朝のトランプ大統領の誤った勝利宣言や、いまも続く民主党による投票不正があったという主張などが状況をさらに悪化させた。トランプ大統領は選挙結果を受け入れるつもりはないようだ。しかし最終的には票がものをいい、ジョー・バイデン氏が2021年1月20日から大統領となる。

慣習上の民主主義の規範をはねのけながら大統領の座に居座っても、トランプ大統領の決断は最終的な結果にはほとんど影響しない。今後どのようなことがあろうと、米国は誤情報、政治的緊張そして政治的動機による暴力が溢れかえる新たな、そして前例のない不確実な時代に突入する。

元副大統領の勝利により、4年間のトランプイズムは終焉を迎える。しかしその残響は米国政治のあらゆるところに何十年も残るだろう。そうした中で、ジョー・バイデン氏は政治的領域を超えたありそうもない民主党の連合の影響力を利用する計画で新たな時代を切り開く。上院は、2021年1月に対決するジョージア州の結果まではどちらに転ぶかわからない。

バイデン氏は抜本的な気候変動対策や、より多くの米国人をカバーするヘルスケアの拡大、Medicareのような公的選択肢の提供といった計画を示してきた。しかしそうした壮大な計画のほとんどを実行できるかどうかは、民主党上院によるところが大きくなる。民主、共和いずれの党もテック業界に対する規制を積極的に検討すると予想されていたことから、テック政策がどうなるのかTechCrunchは注目していく。

しかし上院の協力はなくても、新大統領は最も必要とされている点において迅速かつ重大な影響を及ぼすことができるだろう。それは新型コロナウイルスパンデミックだ。このウイルスとの戦いにおける国のプランが欠如し続け、またホワイトハウスが新型コロナを軽視してマスク着用を推奨しなかったこともあり、新型コロナは米国中でコントロール不能な状態になり、多くの死亡者をともなう厳しい冬が待ち構えている。

カテゴリー:ニュース
タグ:米国大統領選挙アメリカジョー・バイデン

画像クレジット:OLIVIER DOULIERY/AFP via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi