アーティストに大きなチャンスをもたらすはずだったWeb3、蔓延する作品の盗難や肖像権の侵害で評価に傷

Jillian C. York(ジリアン・C・ヨーク)氏はNFT(非代替性トークン)にはなりたくなかった。

ベルリン在住の作家で活動家ヨーク氏は、電子フロンティア財団のInternational Freedom of Expression(言論の自由を守り促進することを目的とするNGO)でも中核を担っている。どういうわけか、彼女の名前はいわゆるCypherpunk(サイファーパンク)の1人としてウィキペディアにも掲載されている。Cypherpunkはセキュリティ、暗号技術、プライバシーを推奨する活動家だ。ヨーク氏はこの3つを支持してるが、それらを自身の最も重要な関心事としたことはない。

「もちろん、ウィキペディアのリストから自分を削除することはできません。ですが私は、暗号技術を支持してはいますが、自分をCypherpunkだと思ったことはありません」と同氏はいう。同氏はウィキペディアの編集ルールを尊重しているため、自身が参加したくもないグループに強制的に参加させられてしまったわけだ。

ところが、2021年のクリスマスイブに、ウィキペディアに掲載されているヨーク氏と多数のセキュリティ賛同者およびCypherpunkたちがトークンマーケットOpenSea(オープンシー)にNFTとして登場したのだ。これらのトークンには、そのCypherpunkの想像画が含まれている。ヨーク氏のトレーディングカードには、回路や指紋とおぼしき背景から彼女の署名のトレードマークである坊主頭がちらっとのぞいている。またヨーク氏は、自分が参加したくないもう1つのグループにも属してしまっている。自分のアートや作品を盗まれてNFTを作成されてしまった人たちのグループだ。同氏は激怒している。理由は2つある。1つは、クリエイターが使用した写真は著作権保護されており、実は彼女の資産ではなかったこと。

もう1つは、名前のスペルが間違っていたことだ。

トレーディングカードはプロの写真家が撮影した写真をもとにしたもので、Jillion Yorkという名前が入っていた。また、こうしたNFTコレクションには、ヨーク氏と同氏の仲間たちに加えて、セキュリティ界隈ではすでに忘れ去られたRichard Stallman(リチャード・ストールマン)やJacob Appelbaum(ジェイコブ・アッペルバウム)などの名前もあった。トレーディングカードに描かれたヨーク氏と数人の人たちは、そうした人たちと一切関わりたくないという考えだった。

「私はこうしたものを一切認めていませんし、削除して欲しいと思っています」とヨーク氏は12月26日にツイートしている。他の多くの支持者や被害者も同様のコメントを寄せている。OpenSeaとNFTクリエーターの間で何度もやり取りが行われた末、ItsBlockchain(イッツブロックチェイン)という会社が要求に応え、すべてのNFTを削除した。

分散化資産を破壊するために中央の管理会社にアクセスする必要があるという現実を多くの人達が皮肉だと感じている。

「まったくばかげているし、疲れます。Web3のデジタル資産という新たな領域では、他人のアイデンティティーをその人の許可なくトークン化し、取引可能な商品として営利目的で販売できるというのですから」とNew Republic(ニュー・リパブリック)の編集者Jacob Silverman(ジェイコブ・シルバーマン)は書いている

ヨーク氏の試練は始まるのとほぼ同時に終わった。NFTのクリエーターHitesh Malviya(ヒテシュ・マルビヤ)氏がヨーク氏や他の被害者たちと連絡を取り、NFT画像を取り下げることに同意したのだ。数日後、これらの画像は削除され、代わりにMedium(ミディアム)の投稿が掲載された。この投稿でマルビヤ氏は次のように述べている。「我々のチームは暗号技術に関する若者達のコミュニティに、Cypherpunkという存在が、今日までにブロックチェーンテクノロジーの発展において果たした重要な役割について知ってほしかったのです」。

「残念ながら、多くのCypherpunkたちがこの考えに反対し、どのような形であれ参加を拒否しました。ですから我々はすべてのCypherpunkたちに、彼らに無許可でNFTを作成したことを謝罪しました」と同氏は説明した。

筆者がNFTについて、また個人の写真と情報、とりわけ他人のアートを金もうけに使うことができると思った理由を尋ねると、マルビヤ氏は不機嫌そうに次のように語った。

「我々はNFTにおける肖像権保護法については認識していませんでした。市場は規制されていないからです」と同氏は直接のメッセージで語った。「我々は3カ月間、人手と時間をかけて教育用のシリーズとこのNFTコレクションを作成しました。今回のことはいい教訓になりました。質問の答えになっていれば幸いです。コメントは以上です」。

今回の事態とそれに関するさまざまなコメントは、拡大しつつも混乱を招いているWeb3の一側面を表している。すべてのものが許可を必要としないなら、誰かの肖像、アート、データを使う際に許可を必要とするのは一体どのような場合だろうか?何より、Tシャツのデザインから裸体まで、何でもNFTに変えようとする輩に歯止めをかけるにはどうすればよいのだろうか?

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残念ながら、ヨーク氏のようなケースは決して今始まったことではなく、クリエーターを一攫千金狙いのNFTクリエーターから守ることを目的とするまったく新しい産業とツールチェーンが作成されている。

2021年4月、NFTを使った別の大規模な窃盗事件が発生した。アーティストQing Han(ここではQuinni[クイニー])の作品が盗まれ、ヨーク氏のケースと同じプラットフォーム、OpenSeaに再投稿されたのだ。クイニーは健康と慢性病に対する芸術的な見方でファンから愛されていたが、2020年2月にがんで亡くなった。クイニーの死後も、彼女の兄と仲間のアーティストZe Han(ツェ・ハン)氏がクイニーのソーシャルメディアアカウントを維持し、彼女の作品を投稿した。

1年後、泥棒たちがクイニーの作品を匿名で投稿した。ファンからの激しい抗議の後、作品はOpenSeaを含むさまざまなNFTをサイトから取り下げられ、表面上はすべての作品がブロックチェーンから削除された。クイニーの兄はこの件の後、NFTサイトへの参加を拒否している。

「今回の件では、クイニーのアート作品が無許可で販売されていたことを確認のため申し上げておきます」とハン氏はTwitterに書いている。「クイニーのアートが販売されている合法的な場所はありません」(これは今後変わるかもしれないが)。

今回の件で、多くのクリエーターたちがNFTに関して教訓を学んだ。デベロッパーたちは暗号資産にまったく興味のない多くのクリエーター向けにたくさんのツールを作成した。こうしたツールは、彼らが盗まれたアートに気づけるように、窃盗が発生していることを強調するTwitterのフィードをポップアップ表示する

オンライン共有コミュニティDeviantArt(デヴィアントアート)のある重要人物は、大規模なアート盗難に詳しい。

「当社はこのプラットフォーム上で5億点を超えるアートをホスティングしています」とDeviantArtのCMOであるLiat Karpel Gurwicz(カーペル・ガーイッジュ)氏はいう。「当社は何年にも渡って、盗難事件を扱ってきました。別に今始まったことではありません。実際の規制がかけられる前から、オンラインアートコミュニティとして、盗難には常に対処してきました」。

最近同社はブロックチェーン上のユーザーアートを検索するボットを開発した。このボットは、OpenSeaなどの人気のNFTサイトに掲載されているアートを、登録済みユーザーの画像と比較する。また、機械学習を使用して、DeviantArtのサーバーにすでに投稿されているアートに似たアートを見つける。さらには、アーティストにOpenSeaやその他のプロバイダーへの連絡方法を表示することで、削除プロセスも簡素化する。

DeviantArtのCOOであるMoti Levy(モティ・レビー)氏によると、このシステムはまだ、正規所有者によって投稿されたアートと窃盗犯によって投稿されたアートを識別しないという。

「ほぼ完全に一致するアートを見つけた場合は、ユーザーに最新情報を伝えます」と同氏はいう。「そのアートが、そのユーザーのNFTである場合もあります。誰が作成したのかはわかりません」。

このDeviantArt Protect(デヴィアントアートプロテクト)というツールは成功しつつある。すでに8万件の著作権侵害ケースを見つけており、2021年11月から12月半ばまでに送信された通知は4倍増となっている。DeviantArtは、NFTクリエーターたちがすべてのアートをまとめて盗むことができないようにボット対策ツールも追加した。

皮肉にも、NFTを販売している分散化市場は1つまたは2つのプロバイダーの周りに集約され始めている。最も人気のあるプロバイダーOpenSeaでは、ヨーク氏やクイニーのようなケースに専念する完全削除チームを設置した。

DeviantArtは、2022年1月初めの3億ドル(約346億円)のラウンドの後、評価額が130億ドル(約1兆5592億円)に達し、軌道に乗った。同社はNFT市場では並外れた最大のプレイヤーで、アクティブユーザー数は推計126万人、NFTの数は8000万点を超える。DappRadar(ダップレーダー)によると、DeviantArtで過去30日間に行われた取引の総額は32億7000万ドル(約3776億7000万円)、取引件数は2億3300万件に達する。ライバル会社Rarible(ラリブル)の同期間の取引総額は1492万ドル(約17億2000万円)だった。

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OpenSeaはエコシステムにおける自社の立場をオープンにしており、アーティストからの取り下げ要求にもできる限り迅速に対応していると主張している。

「他人のパブリシティー権を侵害するNFTを販売するのは、当社のポリシーに反しています」とOpenSeaの広報担当者はいう。「当社は、肖像権の侵害であるという通知を受けた場合にアカウントを停止したり使用禁止にするなど、こうした違法行為に対して定期的に複数の方法で対応してきました」。

興味深いことに、OpenSeaはディープフェイクについても断固たる措置を取っているようだ。同社はディープフェイクを同意なしの私的画像(NCII、non-consensual intimate imagery)と呼んでいる。この問題はまだ広く表面化していないが、インフルエンサーやメディア界のスターにとっては有害なものになる可能性がある。

「当社はNCIIに対しては一切容認しない方針で対処しています」と同社はいう。「NCIIまたはその類の画像(ある人物に故意に似せて修正された画像も含む)を使用したNFTは禁止しています。またそうした作品を投稿したアカウントは迅速に使用禁止にしています。当社は顧客サポート、信頼性、安全性、サイト保全性を維持するための取り組みを積極的に拡充し、コミュニティとクリエーターを保護し支援できるように迅速に対応しています」。

しかし、こうしたOpenSeaの取り組みに対し、多くのアーティストたちは満足していない。アーティストたちの多くは、自分たちの作品や仲間の作品がNFTプラットフォーム上で盗まれる事態になる前から、NFTに対して懐疑的だった。多くのユーザーたちが依然としてOpenSea上に自分たちの作品を見つけており、これに対して公に苦情を申し立てると、OpenSeaなどのプラットフォームの正式な窓口担当者と称するサポート詐欺師たちが押し寄せてくるという。

こうした混乱のため、DeviantArtのレビー氏によると、同社はNFTを探索してはいるものの提供するのは断っているという。実際、同氏はユーザーはNFTを欲しがっているとは思わないと考えている。

「長期的には、Web3は興味深いですし可能性もあると思いますが、アーティストを保護し支持するようなもっと良い方法で展開すべきです。アーティストを危険にさらすような方法には絶対に賛成できません」。

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(文:John Biggs、翻訳:Dragonfly)

リアルな宇宙の「お宝」も付いているランボルギーニのNFT、2月1日にオークション開始

Lamborghini(ランボルギーニ)は、非代替性トークン(NFT)の分野にスーパーカーを投入する。しかし、NFTコミュニティを代表するようになった、コンピュータ設計された霊長類ベースのTwitterアバターとは異なり、ランボルギーニは暗号資産の提供において物理的世界とデジタル世界の架け橋となっている。

正確には、世界の「外側」だが。

NFT PRO、RM Sotheby’sとの提携の下、ランボルギーニは2月1日から2月4日まで、デジタルとフィジカルがリンクした5組のアートを自社の専用NFTウェブサイトでオークションにかける。

ランボルギーニは、NFTを導入しているNike(ナイキ)、Samsung(サムスン)、その他のテック企業の輪に加わる。例えば、Twitter(ツイッター)では、NFTの所有者が、特別なプロフィール写真の六角形のフレームを使ってお気に入りのNFTを披露することができるようになっている。Reddit(レディット)も最近、ユーザーが自分の作品をプロフィール画像として設定できるようにしてNFTに足を踏み入れた

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他の多くのNFTとは異なり、ランボルギーニのアート作品には、デジタル作品と対になる5つの有形アイテムが用意されている。これらの物理アイテムは、NFTブームが去ったとしても、その価値を持ち続けるはずだ。

ランボルギーニは、共同研究プロジェクトの一環として、2020年に国際宇宙ステーションにカーボンファイバーを送った。そのカーボンファイバーのごく一部を収めた物理的なSpace Keyは、オークションの落札者が手にして自慢できるものになる。

カーボンファイバーは特別なケースに収められ、それぞれQRコードが刻まれている。このQRコードは、刺激的な写真で機械の世界を際立たせる一連の作品で知られるアーティストFabian Oefner(フェビアン・エーフナー)氏が制作したデジタルアート作品に対応する。

デジタル作品は、地球の写真の上に浮かび上がるランボルギーニUltimateが爆発するというものだ。「Space Time Memory」と名付けられたこの作品は、ランボルギーニ車両のパーツの写真1500枚を使っている。宇宙船が地球から飛び立つのを真似てデジタル処理で組み立てられており、宇宙に向かう車両の後ろに小さな機械部品が軌跡を描く。背景の地球は、成層圏まで飛ばした気象観測気球で撮影したものだ。

5つの画像はそれぞれ微妙に異なっている。これらを組み合わせると、動きのある魅力的な画像の連続となる。

つまり、かなりすばらしいGIFに仕上がっている。

画像クレジット:Fabian Oefner/Lamborghini

「私にとって、Space Time Memoryは、人生で作る思い出のアナロジーです」とアーティストたちは声明で述べた。それがどんな意味であれ、とても壮大に見える。少なくとも、漫画のサルのJPEGよりもはるかに興味をそそるものだ。

ランボルギーニのCEOであるStephan Winkelmann(ステファン・ヴィンケルマン)氏はTechCrunchに、自身と同社にとってNFTはコミュニティとその若い精神、そしてデザインだと語った。同氏は、NFTのコミュニティが、少なくともNFTの世界に挑戦するためにランボルギーニに注目していると指摘し「というのも、我々の顧客が非常に革新的で、このようなことを調べていることを知っているからです。だから、彼らは同じように考える人たちと話をしているのです」と述べた。

同社はまた、エーフナー氏からこのプロジェクトの話を持ちかけられた。実際、複数の代理店がNFTの制作を打診してきたという。しかし、このアーティストの存在が、契約に導いたのかもしれない。エーフナー氏側は、2018年からMiuraを含むランボルギーニ車両を使って作品を制作している。エーフナー氏とランボルギーニは売上を折半する予定だ。

ランボルギーニはこの販売を評価し、その結果次第では今後さらにNFTを制作する可能性もある。それでも、ヴィンケルマン氏は、ランボルギーニが性急にNFTに手を出すことはないと強調した。

「我々が持つ最高の価値はブランドなので、非常に慎重に行動しなければなりません」と語った。

NFTがリアルな要素を持つ理由について同氏は、自動車メーカーの世界は非常にフィジカルであり、そのことを決して忘れてはならないと述べた。フィジカルとデジタルの組み合わせが、同氏とランボルギーニの好奇心を引きつけた。

注目を浴びることを好む顧客層によって繁盛しているランボルギーニにとって、NFTのオークションは華やかさも兼ね備えていなければならない。人類の宇宙探査というテーマを継続するために、ランボルギーニのSpace Time Memoryオークションは75時間50分続く予定だ。これは、アポロ11号が地球を離れ、月の軌道に乗るまでに要した時間と同じだ。

もしオークションが成功すれば、ランボルギーニが宇宙や月にアイテムを送り、将来のデジタルアート作品とリンクさせるきっかけになるかもしれない。これを実現するために、同社が将来、月飛行でSpaceX(スペースエックス)と組まないという理由はない。

しかし、3月初旬に7年間の宇宙旋回を終えて月に衝突する見込みのSpaceXのFalcon 9ブースターが注目されなくなるまで、ランボルギーニは待ちたいと思うかもしれない。

NFT、スーパーカー、そして宇宙開発に関していえば、クラッシュは常に悪い言葉だ。

画像クレジット:Lamborghini

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Nariko Mizoguchi

バンクシーの作品を燃やしたBurnt FinanceがDeFi志向のNFTオークションサービスを開始

Burnt Finance(バーント・ファイナンス)は、実物のBanksy(バンクシー)の作品を燃やしてNFT(非代替性トークン)を作成し、それを「通常の」オープンなアート市場価格の2倍に相当する40万ドル(約4600万円)で販売するというスタントをやってのけた暗号資産スタートアップだ。

NFTのオークションはもっと改善できるという考えに基づき、同社は2021年、そのSolana(ソラナ)ブロックチェーン上に構築された分散型オークションプロトコルのために、300万ドル(約3億5000万円)の資金を調達した。このラウンドは、Multicoin(マルチコイン)とAlameda Research(アラメダ・リサーチ)が主導し、マルチチェーンネットワーク「Injective Protocol(インジェクティブ・プロトコル)」の中核的貢献者であるInjective Labs(インジェクティブ・ラボ)がインキュベートした。

現在はより本格的になっている。

Burnt Financeは今回、ブロックチェーンゲームや伝統的なゲームなどの幅広いポートフォリオを開発・販売しているAnimoca Brands(アニモカ・ブランズ)の主導でシリーズAラウンドを実施し、800万ドル(約9億2000万円)を調達した。

このラウンドには他にも、Multicoin Capital(マルチコイン・キャピタル)、Alameda Research、DeFiance(デファイアンス)、Valor Capital Group(ヴァロー・キャピタル・グループ)、Figment(フィグメント)、Spartan Capital(スパルタン・キャピタル)、Tribe Capital(トライブ・キャピタル)、Play Ventures(プレイ・ベンチャーズ)、HashKey(ハッシュキー)、Mechanism Capital(メカニズム・キャピタル)、DeFi Alliance(デファイ・アライアンス)、Terra(テラ)などが参加した。

これらの投資家の中でも、2017年からブロックチェーン分野に投資しているMulticoinは、おそらく最もよく知られている企業の1つだろう。同社はSolanaやNEAR(ニア)、そしてSignal(シグナル)のP2P決済に使われているMobileCoin(モバイルコイン)など、いくつかの重要なプロジェクトに投資してきた。

Burnt Financeは今回、独自のNFTマーケットプレイスを英語とオランダ語で立ち上げ、Buy Now(すぐ買う)オークションを提供し、NFTレンディング、ステーキングインセンティブをともなう流動性マイニング、細分化、GameFi(ゲームファイ)などのDeFi(分散型金融)機能を統合することで、NFTのハブとなることを目指している。

これにより、NFTへのパーミッションレス(自由参加型)なアクセスが可能となり、低い手数料と高速性を実現できると同社は主張しており、すでに「16万人のユーザー」が順番待ちリストに名前を連ねているという。

Burnt Financeによると、同社の「Spark(スパーク)」テストネットでは、7日間で1億ドル以上の取引量を処理したという。

同社では、Terraやその他のEVM互換のレイヤー1プロトコルを含む追加のブロックチェーンに拡大することも計画している。

Animoca Brandsの共同設立者であるYat Siu(ヤット・シウ)氏は、次のようにコメントしている。「パーミッションレスのエコシステムで資産を鋳造・取引することは、オープンなメタバースの経済的基盤にとって非常に重要です」。

DappRadar(ダップレーダー)によると、NFTの世界市場は2021年に約220億ドル(約2兆5000億円)に達したという。伝統的なオークションハウスであるChristie’s(クリスティーズ)やSotheby’s(サザビーズ)もNFTの分野に進出している。

Burnt Financeは開かれたドアを押している。NFTの売上は、2021年12月だけで4億ドル(約460億円)に達した

競合他社には、もちろんレベルはさまざまだが、OpenSea(オープンシー)、SuperRare(スーパーレア)、Rarible(ラリブル)、NiftyGateway(ニフティゲートウェイ)などがある。しかしながら、Burntは明らかにまだ非常に初期の段階ではあるものの、Solanaを使い、DeFiの領域を狙うことで、より大きなプレイヤーたちを追い越そうとしている。

画像クレジット:Burnt Banksy

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Womboの「Dream」は言葉で絵を描くことができるAI搭載のアートアプリ

この10年間、AIの現実を変える力はますます忙しくなっている。コンピュータービジョンを利用した3Dジオラマ、流行を仕掛けるスタイル転写、バイラルな写実的自撮りチューニング自撮りレタッチフェイススワップ、そしてもちろんディープフェイク、その他にも自撮りフィルター(ああ、「Disneyfying=ディズニー化する」カートゥーンレンズ!)による軽薄な(そして愉快な)楽しいものもたくさんある。

AIを使ったビジュアルリミックスは、注目を集めることができることを繰り返し証明してきた。しかし、AIが生成した効果の目新しさがなくなると、「注目」を維持することが難しくなる(自撮りレタッチアプリにはそのような問題はなく、リアリティを高める機械学習の需要は絶え間なくある)。

この間のAIを利用した合成メディアの発展で最も注目すべきは、これまで以上に強力なモバイル処理ハードウェアに助けられ、これらのビジュアルエフェクトの速度が向上したことだ。

完成までの待ち時間を大幅に短縮できるようになったこと。これは、ニューラルネットワークやGAN(Generative Adversarial Networks、敵対的生成ネットワーク)の創造性とパワーを製品化(そして潜在的には収益化)するためのゲームチェンジャーだ。つまり、機械学習のフレームワークが、レタッチやリフレーミング、あるいは生成的なモデリングを行い、そのインスピレーションを人間のプロンプトから得ている。

過去10年間、アプリを使ったビジュアルリミックスのほとんどは、AIを使った純粋な画像生成に対して、レタッチ、リスタイリング、オーグメンテーションに焦点を合わせてきたが、これも変わりつつある。

カナダのスタートアップWombo(ウォンボ)は、社名を冠したAI活用リップシンキング・ビデオ・アプリで注目を集めたが、最近、DreamiOSAndroid)という別のアプリを立ち上げた。この新アプリはAIを使って、テキストのプロンプトに基づいてオリジナルの「アートワーク」を制作する。

超、超シンプルだ。何を描いてほしいか、ただ言葉で表現する。例えば「恐ろしい木」とか「史上最悪のサンドイッチ」などと言って、提供される選択肢(神秘的、バロック、ファンタジーアート、スチームパンクなど)からスタイルを、あるいは「スタイルなし」を選び、作成を押すだけだ。

すると、文字通り数秒(筆者が数えたのは20秒以下)で、完成した「アートワーク」が表示される。

待っている数秒間は、AIの動きを垣間見ることができるので、退屈することはない。アプリにはモデリングが急速に進化していく様子が映し出される。スターターマークから、人間離れした速さでキャンバスに肉付けされ、あっという間に別の完成した構図に到達する。

生成された作品の中には、ちょっと感動するようなものもある。そうでないものもある。

しかし、もちろん、2つのプロンプトが同じ画像を生成することはない。なので、気に入ったものができるまで、同じプロンプトで新しい画像を求め続けることができる。

要するに、クリスマスカード作家やパルプフィクションのイラストレーターは、もう引退できる。

今や誰もが「アーティスト」だ。

とはいえ、実際のアーティストが心配することはあまりないはずだ。というのも、人間の頭脳と身体によって作られた芸術は、世界中に「マシンアート」が溢れれば、その価値は高まる一方だからだ(NFTが作られるたびに「デジタルアート」という言葉の意味が薄れていくように…)。

Dreamアプリの「アート」の質は確かにばらつきがある。長くて複雑なプロンプトはアプリを困惑させるようだ。なので、要求する内容によって、アウトプットの質が変わることがある。

「スタイル」は、多くの模倣がある中でひとつの包括的なスタイルがあるとすれば、具体的で正確というより、抽象的で歪んだものになる傾向があるようだ。ポートレートを依頼しても、写実的に描かれることはない。また、現実よりも幻想的に描かれる(例えば、「聖母子像」のプロンプトでは、暗号化されたボッティチェリではなく、悪名高いスペインの教会の修復に失敗したものに近い作品が提供された)。

しかし、その制作の速さには感心させられる。恐ろしいほどだ。

  1. Dream1

  2. Dream2

  3. Dream3

  4. Dream4

  5. Dream5

  6. Dream6

 

新鮮なアートワークが表示されるとすぐに、このアプリはそれを売ろうとする。「プリントを買う」というオプションがポップアップ表示される。ウェブショップにリンクする、視覚的なトリックを実際の売上に変える巧妙な方法のように見える(「カスタムWomboドリームプリント」を提供しており、マットポスターは20ドル=約2300円から、フレーム付きプリントは45ドル=約5200円からだ)。

もし、このスタートアップが、20秒もかからない処理を20ドル以上の売上に変えることができれば、ちょっとしたお金のパイプラインを作ることになる。

11月末までに、1000万枚以上の画像がすでにユーザーによって作成された。(一方、Google Playアプリは提供開始から1カ月ほどで100万回超のダウンロードを記録している)。

とはいえ、どんな種類のアートでも、ましてや心ない機械が生成した画像であっても、ほとんどの人はそれを飾るための壁のスペースは限られている。なので、こうしたランダムな作品の大半は、しっかりとバーチャルに留まることになる(「AIアート」は、NFTの完璧なネタになるかもしれないが…)。

「AIアート」がファッションや文化的価値においてどのような位置づけになるかは、もちろん興味深い問題だ。

クリップアートやストックフォトより優れているのは確かだ。Dreamアプリが出力する作品は、Ikea(イケア)で買える平均的な「アート」プリントよりも興味深いものになる可能性もある。しかし、その結果は、むしろ気持ち悪いもの、あるいは派生的なもの、あるいは下品なもの、あるいはただ単に奇妙なものであることもある。

そして、それはアートなのか? それとも、数学的プロセスの視覚的出力に過ぎないのか? コードにはそのようなものがないため、本当の感情やアイデンティティあるいは魂の感覚を解釈することができない、人間の創造的スキルの抽象化だろうか? アプリは、ただ言われたことをやっているだけだ。

そして、あなたは本当にコード化された抽象的なものを壁に飾りたいだろうか?

おそらくそうかも? 特に美的感覚に優れていれば。しかし、それはアートなのか、それともただの壁紙なのか? Womboは「アート」プリントではなく、Dream AIの壁紙や印刷されたマウスマット、Tシャツ(商品)を販売すべきなのかもしれない…。

あれこれ考えることがある。

いくつかはっきりしているのは、AIが生成するアートは、遊んでいてとても楽しいということだ。それは、ある種の視覚的な刺激だ。想像力のためのおもちゃだ。

また、間違いなくこの先も存在し続ける。芸術という主観的なテーマにおいて、「より良い」とはどういう意味かにもよるが、AIモデルは今後も「さらに良くなり」続ける(おそらく、生成的なアートのモデルは、その人がイメージしているものに近づいたり、個人的にユニークあるいは意味があると感じるまで微調整できるよう、機械が出力したものをカスタマイズ調整するツールを提供して、ユーザーをクリエイティブなプロセスに完全に参加させることによって、より成功的な結果をおさめるかもしれない。言い換えれば、よりハイブリッドな創作プロセスが、よりパワフルで感動的なアート的結果を生み出すかもしれない)。

また、このような芸術的なAIが今後多数存在し、それぞれが学習データから異なる「フレーバー」や「キャラクター」の視覚的出力を生成することになるだろう。あるいは、異なる「スタイル」を持つアート系AIも出てくるだろう(しかし、おそらく「専門性」の方がコード化されたマークに近い)。

GANベースの画像生成AIツールは他にもたくさんあり、処理速度はずっとずっと遅いのだが、筆者はPixrayのシステムの大ファンであることを白状する(ピクセルアートの出力は特にかわいい)。だが、Womboはこの技術を応用して収益を上げるのが最も早かったようだ。

現実を変える機械学習の次の10年は、かなりの旅になることだろう。

画像クレジット: Natasha Lomas/TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

アンドリーセン・ホロウィッツのケイティ・ハウン氏、暗号資産で同社が成功した道のりを語る

Katie Haun(ケイティ・ハウン)氏がNFT(非代替性トークン)の支持者であるということは驚きではない。元連邦検察官で、現在はAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ / a16z)で強力な暗号化の実践を共同で先導しているこの人物は、少なくとも2018年にa16zがDapper Labs(ダッパー・ラブズ)を最初に支援したときからこの技術についてを学んでおり、今ではかなり貴重な存在となっている。

バンクーバーに拠点を置くDapper Labsは当時、CryptoKitties(クリプトキティ)と呼ばれる収集可能なデジタル猫ゲームで知られており、暗号コミュニティ外の人々を困惑させていた。2021年Dapperはブロックチェーン上でNBA Top Shot(NBAトップショット)という、スポーツファンがコレクション性の高いハイライトクリップを売買できるサービスを提供したことでブレイクしたが、むしろこれも全体の構想から見ればマイナーなユースケースであると、先に筆者が主催したサンフランシスコのイベントでハウン氏は話している。

広範囲をカバーした今回のインタビューで、ハウン氏は、現在集中しているNFTのユーザー層がこれから爆発的に増えると同氏が考えている理由を説明し、またNFTを収入源にしている比較的少数のクリエイターのみがNFTの恩恵を受けているという考えを否定した。また、a16zが導入した技術革新により、同社の暗号化投資の75%を占めるトークンを20%割引で購入できるようになった仕組みを説明し、さらには2019年にa16zが行ったように、すべてのベンチャー企業が登録投資顧問になるべきか否かというトピックについても話してくれた。以下では長さを調整するために編集を行っている。また、以下にフルインタビューを掲載している。

TC:a16zがNFTへのさまざまな期待について投資家に伝えていること、そして今後の筋道について。

根本的にNFTは、消費者やコンテンツ制作者にとって、インターネットのビジネスモデルを劇的に変えるものだと思っています。なぜ消費者にとって重要なのか?例えば今「Fortnite(フォートナイト)」のスキンを買ったとして、それなのに後にこのゲームがなくなったらどうでしょう。……しかしそれでは、自分のアイテムなどを別のプラットフォームに持っていくことができ、どこでも使うことができたとしたらどうでしょうか。これは消費者にとって非常に大きな力となります。消費者の手に直接パワーが戻るのですから。

また、コンテンツ制作者にとってもすばらしいことです。デジタル上の希少な商品であるトークンをプログラムすることで、今後のすべての取引において金銭的利点を得ることができるからです(そしてその過程で30%を取る中間業者を排除することができます)。これがクリエイターの経済にどんな影響を与えるか想像してみてください。今はデジタルアートに注目が集まっていますが、2022年の今頃は音楽の世界でどのような障壁が取り除かれるのかという話になっていると思います。

ハウン氏は現在、音楽関連のNFTに注目しており、シンガーソングライターのBillie Eilish(ビリー・アイリッシュ)を例にミュージシャンとNFTの間にどんな可能性があるか(場合によっては、すでに起こっているか)を話した。

ビリー・アイリッシュは当初インターネット上で一部のファンによって発掘されました。しかし、彼女を有名にした初期のファンたち、つまり彼女の本当のファンたちは、彼女のスターダムを共有できたでしょうか?まったくできていません。実際、彼女のスターダムを共有できなかっただけでなく、彼女がブレイクしたことで彼らの状況は悪化したと言えるでしょう。チケットの値段が上がり、スタジアムには長蛇の列ができ、コンサートは完売です。ところがもし、彼女を発見し、初期の彼女の成功に寄与した人々が、NFTやスマートコントラクトを通じて、ビリー・アイリッシュの成功に関連する何かを保有していたとしたらどうでしょうか。例えば、彼女がSpotifyに曲を録音した後に、関連するスマートコントラクトNFTを作成し、そういったファンにライブへの永久アクセス権を与えたり、彼女と一緒にツアーに参加したり、あるいは将来的に彼女のロイヤリティの一部を受け取れる権利を与えたりすることが考えられます。これで突然、レコード会社や弁護士、中間業者だけでなく、ファンも経済的な利益を共有することになります。

Twitch(ツイッチ)ではわずか1%のストリーマーが収益の半分を占めているというデータが流出したが、少数の人のみが経済的な利益を得ることができるようになっており、クリエイターにとっては、結局は現在と同じような経済状況になるのかというトピックについて。

2021年11月11日に開催されたStrictlyVCのイベントに登壇したケイティ・ハウン氏(画像クレジット:Dani Padgett)

これらのビジネスモデルは、まだ非常に初期の段階にあります。しかし、暗号化アーキテクチャの分散型システムについては、これで生計を立てられることがわかっており、このことはNFTですでに見られています。Beeple(ビープル)になって大金持ちにならなくても、生計を立てることは可能です。私はNFTをいくつか所有していますが、その中には、OpenSea(オープンシー)で買った、仕事を辞めてデジタルアートをプログラミングしている女性アーティストのものも含まれています。彼女はスマートコントラクトをプログラムしていて、私がこれらのNFTをあなたに販売したら、彼女はその販売額の一部を受け取ることができます。そしてあなたがそれを別の人に販売して、高い価格で評価されたら、彼女はその販売額からロイヤリティを受け取ることができるのです。

米国人の多くが生活費の支払いに苦しんでいる中、NFTは一部のお金に余裕のある購買層を中心に普及しているという認識を我々は持っている。この点についてハウン氏は、NFTが金持ちの道楽だと思われているのはもっともだが、この技術はまだ始まったばかりだと説明する。

NFTに関して言えばイノベーションの現状を、最終状態として判断しないことがとても重要だと思っています。おっしゃることはよくわかりますし、私自身もそういった現状を目にしています。しかしそれは物理的な世界でも同様で、ステータスシンボルという点では多くの米国人が苦労している一方で、高級車やロレックスを買える人がいるという状況が起きています。そのためデジタル界も大差ないでしょう。物理的な高級品があるように、現実の世界にも人々が所有したいと思う一般的な商品があり、そうしたより一般的な商品がデジタルの世界でも増えていくようになるのではないでしょうか。

ある時点から、話はa16zのディールフローに転換した。Coinbase(コインベース)とOpenSeaの2つの取締役会に在籍しているハウン氏は、そのおかげで暗号の世界で何が、誰が盛り上がっているのかをよく見ることができると説明する。

この世界の中心にいることができ、とても恵まれていると思います。私たちはエコシステムの最前列に座っていますが、それはChris Dixon(クリス・ディクソン)氏と私の2人が、長年にわたってCoinbaseの取締役を務めてきたからです【略】Coinbase Ventures(コインベース・ベンチャーズ)も運営されていますが、【略】Coinbase Venturesに売り込みにこない暗号化プロジェクトはほとんどありません。私はOpenSeaでも現在役員を務めていますが、彼らは記録的な取引量を達成し、世界最大のNFTマーケットプレイスになった他、ベンチャー投資も行っています。このようにこの分野の大物たちとのつながりがあるだけで、彼らが取引をすることで、我々にも取引の流れが作られているのです。

当然暗号は非常にグローバルなものであり、現時点で我々はまさにグローバルな存在になっています。直近の暗号化ファンドでの投資のうち、少なくとも50%は海外からの投資だと思います。しかしだからこそ「CoinbaseやOpenSeaの役員を務めているから大丈夫」などと安心していてはいけないのです。多くの創業者がAndreessen Horowitzの名前を聞いたことがないような、さまざまな国の、さまざまなプロジェクトに対してオープンマインドでいなければなりません. . .私たちはここにいることが当たり前だと思っていますが、世界の他の地域の人々は私たちのことを聞いたことがないのです。私たちの価値を知らないのです。

場合によっては飛行機に乗らなければならないこともあります。Kiva(キヴァ)やMercy Corps(メルシー・コープス)のようなNGO、Deutsche Telekom(ドイツテレコム)のような企業、Stanford(スタンフォード)やBerkeley(バークレー)のような大学やイスラエルのTechnion(テクニオン)大学をはじめとする世界中の多くの大学など、世界中の参加者に当社のプルーフオブステークシステムを委ねるデリゲートプログラムも開拓してきました. . . これまですばらしい取引が行われてきたからといって、それが今後も続くと期待して甘んじているわけではありません。暗号化投資家の市場は確実に拡大しています。

同社が店頭での直接取引を含むトークンへの投資を多く行っている理由についても話が出た。そのような取引において、a16zが何らかの優先的な地位を得ているのかどうか、またCoinbaseやOpenSeaのような従来の株式取引から会社がシフトしていった理由は何なのか、そして、こうした取り決めに反発し始めたのは、暗号化の創業者たち自身なのかどうかについても質問した。以下はそれに対するハウン氏の答えである(ハウン氏は株式取引が完全になくなったわけではなく、より多くのVCが株式取引を求めて競争を始めたために価格が高騰したのだと指摘している)。

もし優先的なレートを提供してくれる店頭窓口を知っているなら教えて欲しいものです。店頭の場合我々はその場で買っているだけで、特別な扱いは受けていません。どちらかというと. . .すべて店頭取引になってプロトコルの創設者は我々が投資家であることさえ知らないというような市場にはしたくないという意識が強いですね。

また、プロトコルが特定のベンチャーキャピタルの投資家を希望する場合もありますが、これは急速に変化しているので機敏に対応する必要があります。プロトコルの創設者が私たちの参加を強く望んでいた場合、実際に3年前、トークン環境の初期段階で私たちに割引をしてくれました。しかしこれは暗号化のエコシステムでは非常に不評でした。なぜVCの投資家がコミュニティよりも割安にならなければならないのか、と。

その懸念を払拭するために「それならロックアップをしてください。私たちは7年〜10年を見据えられる忍耐強い投資家であり、暗号化ヘッジファンドを運営しているわけではありません」と提案したわけです。例えばもし20%の割引を欲しいとしたら、その代わりに4年間、場合によってはそれ以上、それ以下の間ロックアップされることになるかもしれません。これは、私たちがさまざまなトークンディールにもたらした1つのイノベーションです。しかしロックアップと引き換えに割引を受けたプロトコルのため、私たちはたくさんの仕事をしてきたのです. .

この質問は重複するが、同氏がOpenSeaとCoinbaseの両方の取締役に就任していることについても質問が投げられた。その意図は、OpenSeaはNFTマーケットプレイスであり、暗号資産取引所のCoinbaseも最近NFTマーケットプレイスのようなものを作る計画を発表しているため、この2社が衝突しかねないのではないだろうか、というものだ。実際、CoinbaseのCEOであるBrian Armstrong(ブライアン・アームストロング)氏は先週の決算説明会で、NFTの市場は同社の暗号資産事業に匹敵するか、それ以上の規模になる可能性があると考えていると述べている。

ハウン氏はどのようにしてこの複雑な状況をやりのけているのか、さらにはCoinbaseがOpenSeaを買収するのではないかと質問すると、2つ目の質問に対しては首を横に振り、2社の衝突について次のように説明した。

それは悲観的な見方ですね。私は両者が衝突しているとは思っていません。まず第一に、Coinbaseがどのような計画を立てているかはまだ発表されていません。NFT分野で何かをすることを検討していると発表しただけで、それが何になるのかはまだわかりません。

ブライアン・アームストロングが数年前に言っていたことを覚えていますが、取引スペースに競合他社が参入し始めたとき、彼は「これはすばらしい」と言っていました。私は自分が何を見逃しているのか疑問に思ったところ彼は「これはパイが大きくなっている証拠です。大きなチャンスであり、他の人もそれに気づいているんです」と言ったのです。

同様にNFTの領域は非常に巨大なので、多くのプレイヤーが活躍できる余地があると思っています。私はこの領域で活躍する最先端の企業2社の役員を務められることを大変幸運に思っています。両社が衝突しかねないなどとは思いません。もちろん、もしそのような展開になったり、エコシステムがそのように進化したりした場合、元連邦検察官として私が対処しなければならないことになるでしょう。

暗号の創始者たちに注目されたければ、ベンチャー企業は登録投資顧問になる必要があるかどうかという質問についてハウン氏は明言を避けたものの、理に適っているのではとほのめかす。

暗号化専用ファンドはすべてRIAとして登録されています。今では多くのファンドが存在していますが、すべてRIAとして登録されているのです。規制状況が非常に不確実な今、トークンを保有したいのなら賢明なことでしょう。

画像クレジット:Dani Padgett

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

【コラム】NFTと未来美術史「NFTはウォーホルたちのポップアートに最も近い存在だ」

私は美術史家として「近代美術」の市場の変遷について幅広い研究を行ってきた。そしてその私に言わせてみれば、NFTには今、世代を超えた何かが起こっていると断言できる。

天文学者が新しい銀河の誕生を目撃しているようなもので、美術史家としては非常にエキサイティングな時代である。Cryptopunks(クリプトパンク)、Bored Ape(ボアードエイプ)、Beeple(ビープル)が達成した数百万ドル(数億円)という偉業は、美術品オークションの歴史における長い前例を打ち破り、我々が今デジタル文化と暗号資産をめぐる構造の転換点に近づきつつあるということを示唆している。

その転換点が近づいているのは間違いないのだが、現在最も注目されているNFTの運命は驚くほどに不明瞭だ。このようなサイクルのいくつかを間近で見てきた私が自信を持って言えることは、アートトレンドがアートヒストリーになるかどうかを決定づけてきた要素が今日のNFTには欠けており、十分な執筆活動が行われていないということある。

これまでに長期的な評価(および市場価値)を維持することができたムーブメントとは、美術館や大学など、名声を引き出し、知識を生み出している機関に自らを結びつけることに成功したものだけである。

つまり、先にタイムズスクエアで開催されたNFT.NYCは、ダウンタウンのSotheby’s(サザビーズ)やアップタウンのMoMA(ニューヨーク近代美術館)とどのような関係にあるだろうか。あるいは、世界有数の近現代美術プログラムと言われているコロンビア大学の美術史・考古学学科との関係はどうなのか?

NFTの世界ではこのような疑問さえも不要なのかもしれない。ゴールデングローブ賞やニューヨーク大学の映画学校に、TikTok(ティックトック)で人気のコンテンツの価値を判断してもらおうとは誰も思わないだろう。

しかし私は、NFTの価値を長期的に育てようとする真剣な試みはなされないだろうという見解には懐疑的である。数十億ドル規模のエコシステムを組織化して整理しようとしないなどというのは、あまりにもリスクが高すぎる。ゲートキーパーやテイストメーカーは有機的に発生するものであり、NFTの世界よりも数百年も前から600億ドル(約6兆8300億円)規模のアート市場には、強力なゲートキーパーやテイストメーカーがすでに存在しているのである。

実際にアーティスト、コレクター、キュレーター、学者の関係性が、勝者と敗者、先見者と模倣者、貴重な遺産と一過性の流行を選別し、過去数世紀にわたってどの美術史が生き残るのかという断層線を形成してきた。そしてNFTの世界では、この知的価値と金銭的価値の交わりが、ほとんどの人が考えている以上に重要な意味を持つと私は確信を持っている。

美術史的に見て現在のNFTの立場に最も近いものは、おそらく1960年代初頭に劇的に現れたポップアートだろう。Jasper Johns(ジャスパー・ジョーンズ)やAndy Warhol(アンディ・ウォーホル)などのアーティストたちが突如として現れ、スクリーンプリントやリトグラフなどの技術的で既成概念にとらわれないメディアを用いてカラフルでわかりやすいイメージを制作するため、本格的に取り組んだのである。

意図的かどうか別として、この動きによりオールドマスターの世界から締め出されていた成り金層にかつてないほどの大量の作品を売り込むことができた。スープ缶を印刷した50枚の作品は、フェルメールの1作品よりもはるかに多くの市場行動を支えることができたのである。

ジョーンズとウォーホルの成功が持続したのは、Leo Castelli(レオ・カステリ)氏というディーラーの努力によるところが大きい。同氏は現代美術史の中で最も影響を与えた人物でありながら、その名が広く知られていない人物である。

私の調査によると、カステリ氏は自分の仲間の作品が美術館の壁に飾られ、学術論文の題材になるよう熱心に働きかけ、時には倫理的・法的規範に背くような努力をしていたことが明らかになっている。ここで重要なのは、彼の努力によって新たな重要な声の波が押し寄せたことだ。カトリック信者の若いアメリカ人だけでなく、最初にオープンになった同性愛者たちの声も響き始めたのである。一騒動起きることは避けられないが、歴史をリアルタイムに書くことで、必要な変化の扉を開くことができるのである。

ポップアートによって起きた美術館のエコシステムの活性化は、今回の民主化のエピソードとは明らかに対照的である。1980年代の「絵画への回帰」は、オークションを重要視するNFTのダイナミクスを予兆するようなもので、アートディーラーのMary Boone(メアリー・ブーン)氏とSotheby’sのCEOのAlfred Taubman(アルフレッド・トーブマン)氏は先物取引や信用買いに似た手法を開拓したが、これはブロックチェーン以前のアートオークション空間における最も偉大なイノベーションである。彼らは事実上、二次市場の火にガソリンを注いだわけだが、その作業をサポートする学術的、制度的マトリックスには大きな関心が払われず、彼らが煽ったセンセーションはほとんど忘れ去られてしまったのである。

こういったことは長期的に見ると非常に重要なことである。数年後、数十年後、数百年後、暗号資産の使用量は必然的に増加していくことになる。現在、地球上のほぼすべてのインタラクションは何らかの形でテクノロジーに媒介されており、記録される通貨はそのメディアに固有のものになる可能性がますます高くなっている。このように長期的な可能性を探れば、NFTの持つ表現力だけでなく、学術的な知識創造の基本的な手段を再考する大きな機会となるだろう。

ここには非常に豊かな可能性が潜んでおり、高等教育に危機の波が押し寄せていることを考えればなおさらのことである。例えば政治学者が分散型自律組織(DAO)の一部として実験的な投票メカニズムを操作する機会を得ることを想像してみて欲しい。あるいは、歴史家が芸術的な再構築によってアーカイブ記録の隙間を埋める作業をするというのはどうだろうか。

広範囲の研究から世界を変えるような発見が生まれることもある。投票の仕組みが実験的なものから政府の中心的なものへと変化し、最終的には包括的な気候変動対策や無価値な立法への必要性を取り除いてくれるかもしれない。このようなアイデアを生み出すNFTの世界も、学術界とのコラボレーションによってのみ重要な意味を持つものを生み出せるのだ。歴史上の産物として美術館に保存(そして市場評価)される価値のあるものを。

現時点では、分散化されたイーサの中にオープンな可能性が残されている。理想的には社会全体に最良の純効果をもたらしながらどのようにして実践を歴史に変えていくのかは、未だ大きな疑問である。

編集部注:本稿の執筆者Michael Maizels(マイケル・マイゼル)氏は美術史家。創造性、テクノロジー、経済学の交差点で働く学際的な研究者で、戦後美術史におけるビジネスモデルの進化に関する新しい研究に関する著書を2021年中に出版予定。

画像クレジット:PixelChoice / Getty Images

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(文:Michael Maizels、翻訳:Dragonfly)

暗号化チャットアプリSignal開発者がNFTの潜在的な脆弱性にスポットライト、購入すると「ウ〇コ絵文字」に変わるNFT公開

暗号化チャットアプリSignal開発者がNFTの潜在的な脆弱性にスポットライト、購入すると「ウ〇コ絵文字」に変わるNFT公開

TBA via Getty Images

セキュアなメッセージングアプリ「Signal」の創業者で暗号化技術のエキスパート、モクシー・マーリンスパイク氏が、表示するプラットフォームによって紐付けられた画像データの見え方が変わってしまうNFTをリリースしました。また、そのNFTは購入したのウォレットにウ〇コの絵文字( )を表示するとのこと。

NFTは、アート作品や貴重なメディアデータのオリジナル性と所有権を証明するためにブロックチェーン上に保存されるトークンのこと。デジタル鑑定書とでも言えばわかりやすいかもしれません。

しかし、マーリンスパイク氏がリリースしたNFT「At my whim, #1」は、他の誰かがそれを購入した際にデジタルウォレット内にウ〇コの絵文字が表示されます。さらにNFTプラットフォームのOpenSeaと、NFT販売所のRaribleそれぞれで、紐付けられたはずの画像の見え方が異なるとのこと。

マーリンスパイク氏はこのNFTを使った悪戯について、紐付けられたものの所有権を証明するはずのNFTが持つ脆弱性にスポットライトを当てることが目的だとしています。

NFTは技術的にはブロックチェーン上に保存されるユニークなデジタルトークンです。しかしほとんどの場合、実際にそこに保存されるのは記録だけで、アート作品などのデータは別のどこかに保管されることになります。

つまり、NFTに高額の代金を支払ってオリジナルデータとされる画像を購入したつもりでも、肝心のオリジナルデータはブロックチェーンとは異なるところにあり、保存先のなすがままに「いつでもNFTの画像を別のものに差し替えられる」可能性があるということです。

マーリンスパイク氏はOpenSeaおよびRaribleの説明書きに「あなたはこのファンクションコール」を所有しているかもしれませんが、私はファンクションそのものを所有しています」と記しています。

(Source:Moxie Marlinspike(Twitter)Engadget日本版より転載)

現代アートEC運営のTRiCERAが1.9億円調達、アジア・北米顧客増加に向けコンテンツ・機能開発・プロモーションを強化

現代アートEC運営のTRiCERAが1.9億円調達、アジア・北米顧客増加に向けコンテンツ・機能開発・プロモーションを強化

グローバルアートマーケットプレイス「TRiCERA ART」を運営するTRiCERAは10月7日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による1億9000万円の資金調達を発表した。引受先は、KUSABI、DGインキュベーション(デジタルガレージグループ)、ポーラ・オルビスホールディングス、SMBCベンチャーキャピタル、マネックスベンチャーズ。デジタルガレージグループとマネックスベンチャーズはシードラウンドに続いての追加出資。

調達した資金により、アーティストのさらなる獲得と、世界中で顧客をより増加させるためのコンテンツ強化、機能開発・プロモーション強化を行う。具体的にはアジア・北米を中心とした顧客の獲得、UI/UXの向上、そして人材の採用を積極的に進める。

2018年11月設立のTRiCERAは、「創造力に国境なんてない」を理念に、日本やアジア諸国をはじめ、世界中のアーティストが自由形式にアート作品を発表・販売できるTRiCERA.NETを2019年3月より運営。

2021年9月末現在TRiCERA ARTは、4800名を超えるアーティストが参加し、総出品数3万点を超えるアートプラットフォームに成長したという。アーティストの国籍は半数以上が日本以外となっているほか、月間流通総額も前年比3〜5倍と伸びているそうだ。現代アートEC運営のTRiCERAが1.9億円調達、アジア・北米顧客増加に向けコンテンツ・機能開発・プロモーションを強化

「NFT」セッションでスタートバーンの施井泰平氏がTC Tokyo2021登壇決定

「NFT」セッションでスタートバーンの施井泰平氏がTC Tokyo2021登壇決定12月2、3日にオンラインで開催される「TechCrunch Tokyo 2021」。本年度は、期間中、7つのテーマで国内・海外のスピーカーを招いたセッションが行われる。

このうち「NFT」をテーマにしたセッションでは、スタートバーン代表取締役の施井泰平氏が登場する。

同社は、「アート×テクノロジー」を理念に掲げアート領域でのブロックチェーン活用に取り組むスタートアップ。ブロックチェーン技術およびNFTを利用し、アート作品の証明書や来歴の管理などアートの流通を支えるインフラ「Startrail」、アート作品の真正性と信頼性を守るためのブロックチェーン証明書「Cert.」、またコンテンツを取り扱う企業を対象にNFT事業の構築支援サービスを展開している。

NFT事業では、コンテンツの価値継承においては権利や情報の長期的な管理が重要となることから、現状のNFT市場の課題であるサービス同士の互換性と、サービスを横断した二次流通・利用の管理を実現したという。

施井氏は1977年生まれで、少年期をアメリカで過ごす。東京大学大学院学際情報学府修了。2001年に多摩美術大学絵画科油画専攻卒業後、美術家として「インターネットの時代のアート」をテーマに制作、現在もギャラリーや美術館で展示を重ねる。2006年よりスタートバーンを構想、その後日米で特許を取得。大学院在学中に起業し現在に至る。2021年にアートビート代表取締役就任。講演やトークイベントにも多数登壇。

すでに参加者チケットは発売中。参加者チケットは2日間の通し券で、他の講演はもちろん新進気鋭のスタートアップがステージ上で熱いピッチを繰り広げるピッチイベント「スタートアップバトル」もオンラインで楽しむことができる。

チケット購入

本記事執筆時点では「超早割チケット」は税込2500円、2021年12月31日までアーカイブ配信も視聴できる「超早割チケット プレミアム」は税込3500円となっている。また、スタートアップ向けのチケット(バーチャルブース+チケット4枚セット)は後日販売予定だ。

オンラインでの開催で場所を問わず参加できるため、気になる基調講演を選んで視聴することもしやすいはず。奮ってご参加いただければ幸いだ。また、10月18日まで「超早割チケット」で安価で購入できるのでオススメだ。

プレミアムデジタルアート・NFTプラットフォームNiioが約16.4億円調達、サムスンとの戦略的パートナーシップ締結受け

テルアビブを拠点とするデジタルアートプラットフォーム「Niio」は、先週発表されたSamsung Display(サムスン・ディスプレイ)との戦略的パートナーシップにともない、1500万ドル(約16億4000万円)のシリーズAラウンドを調達したことを発表した。

このラウンドは、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)とCatterto(キャタルトン)のジョイントベンチャーであるL Catterton(Lキャタルトン)、Entrée Capital、Pico Venture Partnersが共同で主導したもの。さらに、Saga VCをはじめ、一流のアーティスト、アートコレクター、美術館、ギャラリスト、MoMA(ニューヨーク近代美術館)やGuggenheim(グッゲンハイム美術館)などの機関の評議会委員、オンラインギャンブル起業家であり、NFTにも投資しているShalom McKenzie(シャロム・マッケンジー)氏などが参加した。シリーズAの前に、Niioは最初に戦略的エンジェルから800万ドル(約8億7000万円)を調達し、続いて2017年に機関投資家からシードラウンドを行っていた。

Niioは今回の資金を、アーティストコミュニティの拡大と、アプリ対応のサブスクリプション・購入プラットフォームの拡張に使用するとのこと。ブロックチェーンベースのこのプラットフォームには、NFTやその他のデジタルアート資産の取引が可能なマーケットプレイスが含まれる予定だ。

Niioの共同創業者兼CEOであるRob Anders(ロブ・アンダース)氏は、次のように述べた。「デジタルアートは、NFTの爆発的な成長により市場が加速し、主流のメディアとして受け入れられるようになりました。人々がいま経験している変化は、文化にとってここ数十年で最も社会的に重要な瞬間であり、これまでにない方法で新しい種類のアートにアクセスし、スクリーン上で体験できるようになっています」。

Niioの技術は、ユーザーがデジタルアート作品をあらゆるデジタルスクリーン上でストリーミングすることを可能にし、音楽やエンターテインメントのストリーミングサービスがアルバムや映画に対して行ってきたのと同様に、アートとプラットフォーム構築との間のギャップを埋めるものだ。

前出のアンダース氏とOren Moshe(オレン・モシェ)氏によって2014年に設立されたNiioは、アクセシブルなストリーミング配信サービスと、公開マーケットプレイスや個人間取引を通じて、アーティストやギャラリー、コンテンツ所有者から直接、エディション化されたNFTアートワークを購入できる機能を組み合わせています、とアンダース氏はTechCrunchに語った。

Niioは、2021年末にサブスクリプションサービスを開始し、続いてNFTマーケットプレイスを開設する予定だ。これにより、アートの専門家からなるグローバルコミュニティに支えられたNiioは、デジタルアートメディアのための最も包括的なエンド・ツー・エンドのソリューションとなり、プレミアムデジタルアートに誰もがいかなるスクリーンからでも簡単にアクセスできるようになる。

約6000のギャラリー、機関、アーティストからなるグローバルコミュニティにNiioのツールを提供することで、Niioのプラットフォームとブロックチェーンは、アーティストが自分の作品を配信、管理、収益化、保存することを可能にする。

Niioは、クリエイティブコミュニティとアーティストがライフワークを公開、管理、保護する能力を尊重し、サポートするために、すべてのアーティストが同社のツールを永遠に無料で利用できるとしている。

Niioの共同創業者であるモシェ氏はこう述べている。「当社は、何よりもまずアーティストに力を与え、彼らの作品をデジタルで体験し、世界中で入手できるようにするというプラットフォームのビジョンを実現しました。6000人以上のアーティストが、ライフワークの公開、管理、保護、収益化を可能にする当社に信頼を寄せてくれていることに感謝しています」。

アンダース氏によれば、過去2〜3年の間に、約1万社のグローバル企業がNiioのプラットフォームを利用しているという。それらの顧客はギャラリー、美術館、スタジオ、アートスクールなどのアート関係者から、ラグジュアリーブランド、ホテルチェーン、不動産デベロッパーなど多岐にわたっており、プラットフォーム上で提供されている1万5000点のプレミアム作品から厳選されたアートストリームを、30カ国以上の公共スペースや場所で数百万人に向けて配信していると同氏は述べている。

アンダース氏は「スマートテレビは10億台以上の市場があり、当社のパートナーであるサムスンは市場の30~40%を占めているため、当社は『ラストマイル』提案をすることができます」とも語った。

デジタルアートの市場規模は、2025年には約500億~1000億ドル(約5兆4600億〜約10兆9200億円)になると予測されている。

L Catterton Growth FundのマネージングパートナーであるMichael Farello(マイケル・ファレロ)氏はこう述べている。「デジタルアートは、L Cattertonが長年注目してきた分野です。当社はデジタルアートの将来性に非常に期待しており、この分野を継続的に評価した結果、Niioにたどり着きました。サブスクリプションとNFTの両方を提供する彼らのプラットフォームアプローチと、批評家とアーティストのコミュニティで築かれた評判、そしてサムスンとのパートナーシップによる評価が相まって、彼らを市場のリーダーにすることを確信しています」。

画像クレジット:After Indifference by Siebren Versteeg, Commissioned by Niio

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)