トランプ大統領就任時の米国が中国人留学生に発行したビザは4月以来99%減少との報道

Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領がさまざまな手を尽くして外国人を米国から締め出そうとしてきたことは周知の事実であり、高い技術を持つ外国人労働者向けのH-1Bビザプログラムの最近の大改訂(The Wall Street Journal記事)によって、雇用者はH-1B労働者に高い給与を支払うことを強制され、申請者の資格を得るのに必要な学位の種類の範囲が狭められたのもその一例だ。この行動はすでに多数の訴訟の引き金(The Wall Street Journal記事)となっている。

それでも、2020年世界中の学生に発行された米国ビザが、これほど劇的に減少したことには驚く人もいるだろう。米国国務省のデータを挙げたNikkei Asia(日経アジア)の最新記事によると、中国本土の申請者に対して4~9月の間に発行されたF-1学生ビザはわずか808件で、2019年同時期に発行されたF-1学生ビザ、9万410件より99%少なかった。他の国の学生についても状況は変わらず、インドの学生に発行されたF-1ビザは88%、日本の学生は75%、韓国の学生は75%、メキシコの学生は60%それぞれ前年から減少している。

いったい何が起きているのか?いくつかの要因が重なっているようだ。

新型コロナウイルスはもちろんその1つで、家族は子どもたちを米国に送り出すことにいっそう躊躇している。米国の新規感染者数は11月1日だけでも9万3581件で、一方中国は24件、インドは3万8000件、日本は486件、韓国は97件、メキシコは3762件だった。

人種問題もある。多くのアジア人とアジア系アメリカ人が、ドナルド・トランプ氏の新型コロナウイルスを巡る発言は自分たちが生活全般で直面している人種差別を悪化させていると指摘し、「kung flu(カンフー・インフルエンザ)」や「China virus(中国ウイルス)」などの言葉を使われたという回答が多数(ScienceDaily記事)あった。ワシントン州立大学研究チームの最新の研究によると、新型コロナウイルスパンデミック以来増えている人種差別の報告は、健康被害の報告とも一致している(日経アジアは、すでに米国で学んでいる学生も標的となっていると指摘し、米国から出ていけと罵倒された23歳の中国人女性の話を掲載している)。

中国によるワシントンでのスパイ活動への積極的な注目も大きな役割を果たしていると同誌はほのめかし、米国ビザ取得が困難なために一部の中国人学生はカナダなど別の国に向かっていると推測している。

例えばMike Pompeo(マイク・ポンペオ)国務長官は7月にリチャード・ニクソン図書館で行った演説で、「我々は両手を広げて中国国民を歓迎したが、中国共産党は我々の自由で開かれた社会を利用しただけだった。中国は我々の記者会見、研究センター、高校、大学、さらにはPTA集会にまで(USA TODAY記事)活動員を送り込んだ」と語った。

中国人学生に対する反発に限っていえば、トランプ政権では新しいことではないが、ここ数カ月間かなりエスカレートしている。2018年から、国務省は特定の研究分野で学ぶ中国人大学院生のビザを1年間に制限し(The New York Times記事)、経過後は再申請が必要とした。この動きはオバマ政権時代に中国人に5年間の学生ビザを保証した政策(The White Houseリリース)を撤回するものだった。

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Twitterがペンシルベニアの投票に対する最高裁の判決を攻撃するトランプのツイートを隠す

選挙後の数日以内に起きることを選挙前夜のツイートで予告したDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は、それによって米国時間11月2日の夜に、選挙に関するTwitter(ツイッター)のポリシーの制約を踏み越えてしまった。

そのツイートでトランプ大統領は、郵便による投票は郵便の消印の日付が選挙当日から3日後までを有効とする(The New York Times記事)というペンシルベニア州の方針を認める最高裁の裁定に毒づいた。共和党は最近の数週間、重要な州すべてに対して、露骨で激しい法的攻撃を仕かけていた。それは大統領の再選のチャンスを広げようとする、身勝手な努力だ。

Twitterはペンシルベニアの郵便投票に関する大統領の間違った主張を押し戻し、それを誤報警告の背後に隠し、ツイートを「異議が唱えられている」とした。さらに同社は、引用ではないリツイートを無効にした。隠されたツイートへのリプライも、見ることはできるが制約がある。

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Donald J. Trump:ペンシルベニアの投票に関する最高裁の裁定は非常に危険だ。それは過激で野放しの欺瞞を許容し、わが国の司法システムの全体を破壊するだろう。またそれは、街中に暴力をもたらすだろう。対策が必要だ。
Twitter:郵便投票が安全で堅固である理由を知ろう。

Facebook(フェイスブック)は再投稿されたメッセージを削除しなかったが、投票システムの信頼性を強調するラベルをつけた。公開3時間後に、トランプ大統領のフェイスブック投稿には63000の「いいね!」と13000のコメントがついた。

郵便による投票と本人による投票はどちらも、米国で長い信頼性の歴史がある。どの投票方法でも、投票者の詐欺行為はきわめて稀である。(投稿内容は上記、Twitterと同様。)

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暗号通貨詐欺師がトランプ大統領の選挙事務所ウェブサイトをハッキング

トランプ大統領選挙事務所のウェブサイトの一部が、米国時間10月27日の午後、ほんの数分間だけハッキングされ、大統領に敵対する身元不明の人物によってページの一部分が、暗号通貨詐欺と思しき内容に置き換えられた。「トランプとその一族への完全アクセス」とか「最も内部的な秘密の会話、極秘情報」といったハッカーの主張が書かれていたものの、実際にそれが曝露された気配はない。

この事件はGabriel Lorenzo Greschler(ゲイブリエル・ロレンゾ・グレシュラー)氏(Twitter投稿)がTwitter(ツイッター)で最初に指摘した。米国太平洋時間の午後4時少し前に発生したと思われる。犯人たちはdonaldjtrump.comのサーバーのバックエンドに侵入し、通常のコンテンツの上に「このサイトは押収されました」というFBIの警告をもじったメッセージを表示するための、難読化した長いJavaSriptのコードを挿入した。

「世界は、トランプ大統領が毎日拡散するフェイクニュースに飽き飽きしている。世界が真実を知るときが来た」と、改ざんされたサイトには書かれていた。

「新型コロナウイルスの起源」に関する内部情報や、その他のトランプ大統領の信用を失わせる情報を持っていると主張するハッカーは、暗号通貨Monero(モネロ)の2つのアドレスを提示した。モネロは簡単に送金できるが、トラッキングが難しい暗号通貨であり、こうしたいかがわしい活動によく使われる。

一方は「極秘情報」を公開して欲しい人が入金するアドレスで、もう一方は秘密のままにしておきたい人が入金するアドレスだ。締め切りは提示されていなかったが、そこに振り込まれた暗号通貨の合計金額を比較し、多かったほうの意見に従ってデータを処理するという形式だ。

ページには、存在しないドメインのメールアドレス(planet.gov)に関連付けられたPGP公開鍵によるサインが入っていた。

このウェブサイトは、ハッキングが発覚してから数分以内に通常の状態に戻された。このページ以外に不正アクセスされたことを示す証拠は発見されておらず、寄付者名簿などは無事だった。同選挙事務所のコミュニケーションディレクターであるTim Murtaugh(ティム・ムータフ)氏は発覚直後にハッキングを確認(Twitter投稿)したが、機密データの漏洩はなく、現在、法執行機関の捜査に協力していると話している。

返金不能な怪しいアドレスに暗号通貨を送らせるというのは、オンライン詐欺の常套手段だ。有名人のTwitterアカウントなど閲覧数の多いプラットフォームを悪用し、ほんの短期間だけ表示されることが多い。今回も同じ手口だ。しかも、わずか数分間で削除された。

どこかの国家による攻撃を示唆するものはない。党派心溢れる口調のようにも感じられるが、トランプ・プラットフォームへの首尾一貫した攻撃とは到底思えない。選挙事務所や選挙関連のウェブサイトは、トランプのような重要人物と関連していながら、ホワイトハウスの公式サイト「whitehouse.gov」と違ってセキュリティが甘いため、ハッカーの格好のターゲットになる。言葉使いから英語を母国語としない人の仕業のようにも見えるが、それ以外に外国からのハッキングであることを示す証拠はない。

トランプ大統領は、つい先日もハッキングの被害に遭っている。大統領のTwitterアカウントが、彼のパスワード(maga2020!)を推測した人物に一時的に乗っ取られた。しかし、大統領がダイレクトメッセージを気にするような人間でなかったのは幸いだった。もしそうなら大騒ぎになっていただろう。そしてそう、トランプのホテルも以前にハッキングされている

最近になってトランプ大統領は、どう見ても勘違いとおぼしきこんな宣言をした。「誰もハッキングはされない。ハッキングするには知能指数が197必要で、パスワードのおよそ15%を知らなければならない」。

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オランダのセキュリティ専門家がアクセスに成功したトランプ大統領のTwitterパスワードは「maga2020!」

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タグ:ドナルド・トランプハッキングMonero

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(翻訳:金井哲夫)

オランダのセキュリティー専門家がアクセスに成功したトランプ大統領のTwitterパスワードは「maga2020!」

オランダのセキュリティー専門家が、トランプ大統領のTwitter(ツイッター)アカウント、@realDonaldTrumpのパスワードを推測してアクセスすることに成功したと言っている。パスワードは “maga2020!” だった。

GDI Foundationのセキュリティー研究者でセキュリティー脆弱性を見つけて報告するDutch Institute for Vulnerability Disclosure(オランダ脆弱性公表機関)の代表を務めるVictor Gevers氏はTechCrunchに、大統領のアカウントパスワードを推測し、5回目の試みで成功したと語った。

アカウントは2段階認証で保護されていなかったため、Gevers氏のアクセスを許してしまった。

ログイン後同氏は、国土安全保障省サイバーセキュリティ・イン フラストラクチャセキュリティ庁(CISA)の一部門であるUS-CERTにメールでセキュリティー欠陥を報告し、TechCrunchはそのメールを確認した。Gevers氏によると、大統領のTwitterパスワードはその後すぐに変更された。

トランプ氏のTwitterアカウント内部のスクリーンショット(画像クレジット:Victor Gevers)


Gevers氏がトランプ大統領のTwitterアカウントにアクセスしたのはこれが2度目だ。

1度目は2016年で、Gevers氏はふたりの研究者と共に、2012年のLinkedIn侵害事件で流出したデータからトランプ氏のパスワードを抽出、解読した。研究者らはトランプ氏のテレビ番組 “The Apprentice”のキャッチフレーズだったパスワード、”yourefired” で彼のTwitterアカウントに入れることを確認した。Gevers氏はオランダの地元当局に問題を報告し、トランプ氏がパスワードの安全性を高める方法を助言した。当時提案したパスワードのひとつが “maga2020!” だったと彼は言った。それが何年も後に通用するとは「思っていなかった」とGevers氏は言った。

オランダのニュース機関、Vrij Nederlandがこのニュースを最初に報じた

Twitter広報担当者のIan Plunkett氏は声明で次のように語った。「われわれはこの主張を裏付ける証拠を、本日オランダで報じられた記事を含め何も見ていません。当社は米国の政府機関や選挙に関連する注目すべきTwitterアカウントについて、積極的にアカウントのセキュリティー対策を行っています」

Twitterは9月に、政治候補者や政府アカウントのセキュリティー強化を行うと発表し、2要素認証の利用も推奨するが強制はしないと言った。

トランプ氏のアカウントは、大統領就任後に新たな保護によって堅牢になったといわれているが、具体的な保護方法についてTwitterは公表していない。7月にTwitterのネットワークに侵入し、『管理ツール」を使って著名人アカウントを乗っ取り、暗号通貨詐欺を働いたハッカー集団は、トランプ氏のアカウントにアクセスしなかった。

ホワイトハウスおよびトランプ陣営の広報担当者はすぐにコメントしなかったが、報道によるとホワイトハウスのJudd Deere副報道官は、本件について「まったく真実ではない」と言いながら、大統領のソーシャルメディア・セキュリティーについてのコメントを拒んだ。CISAの広報担当者は報道内容を確認していない。

「自分のツイートで国際的問題や株式市場の崩壊を起こせる人物がそんな簡単なパスワードを使い、二要素認証を行っていなかったとは信じられない」と英国サリー大学のAlan Woodward教授は語った。「彼のアカウントは2016年にハックされていながら、ほんの数日前に誰もハックされていないと彼が言ったのは、ビンテージ2020級の皮肉だ」

過去にGerver氏は、顔認識データベースをウィグル人イスラム教徒の追跡に使った事象やオマーンの証券取引所の脆弱性などのセキュリティー事象を報告している。

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トランプ大統領がSNSルールに再違反、新型コロナはインフルより「はるかに致死力が弱い」と虚偽の主張を投稿

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「誰もハッキングされない」と主張するトランプ氏のホテルは2度もハックされている

米国時間10月19日にアリゾナ州ツーソンで行われた選挙戦の集会でDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は「誰もハッキングされない」と述べた。毎日のようにセキュリティに関する記事を書いている者でなくても、それはおかしいと思うだろう。

「ハッキングされない。ハックされるためにはIQ197を持つ誰かが必要で、その人はみんなのパスワードの15%ほどを把握していなければならない」とトランプ大統領はいう。C-SPANの政治編集者であるSteve Scully(スティーブ・スカリー)氏のTwitterアカウントが一時停止された件を参照して、トランプ氏はホワイトハウスの元通信部長であるAnthony Scaramucci(アンソニー・スカラムチ)氏にツイートを送った後、今週、彼のTwitterアカウントがハッキングされたと虚偽の主張を認めた。

上のリツイートに引用されている大統領のおよそ20語の発言には、いろいろな問題がある。まず、「he」としているがハッカー全員が男性ではないというのはさておき(そう仮定するのは性差別だ)、まったく対照的な2つのセンテンスをうまく言い繕っただけでなく、またトランプ氏は、自分のホテルチェーンが2度ハックされたことにも触れなかった。1つは2014年から2015年(DOJ発表)までの1年間に1回、そしてもう1つは2016から2017年(DOJ発表)までの1年間で1回だ。

私たちがこれを知っているのは、トランプ大統領のビジネスは各違反の後に、州の規制当局に報告することになっているからで、彼らはそれを守っている。

どちらの事件でもトランプ氏のホテルの顧客はクレジットカードのデータを盗まれた。2つ目の侵入はSabreと呼ばれるサードパーティの予約システム(Sabreリリース)のせいにされ、宿泊客の名前、電子メール、電話番号なども公開されてしまった。

今回の発表では、影響を受けた人の数は明らかにされていない。「誰でもない」といえば十分だろう。

トランプ氏の選挙運動の広報担当者は、コメントの求めに応じなかった。

「誰もハッキングされていない」という発言は、一見無害に見えるかもしれないが、そう主張するのは危険だ。何かの製品について「ハッキング不可能」(未訳記事)とか「耐ハック性」であると言っているのと同じくらい悪い。サイバーセキュリティに関する仕事をしている人に聞けば、そのような保証をすることができる人や会社はいないというだろう。

絶対的なセキュリティは存在しない。しかし趣旨と違う意味に取る人は、それを自分のセキュリティについて考えないことの言い訳にするだろう。でも、パスワードマネージャーは使うべきだし、できるところでは二要素認証に従うべきだ。IQが197なくてもハッカーになってあなたのアカウントを盗むことはできるから、セキュリティの基本を守ることが重要だ。彼らは、油断している者を狙うのだから。

絶対的な安全は存在しない。しかし、何も違うことを知らない人にとっては、自分のセキュリティを考えない言い訳になってしまい。パスワードマネージャーを使うべき(未訳記事)であり、可能な限り、二要素認証をオンにするべきだ(未訳記事)。セキュリティの基本を守ることが重要だ。ハッカーは、あなたのアカウントに侵入するために197のIQスコアを必要としない。彼らが必要とするのは、あなたが警戒心を緩めることだ。

トランプ氏のいう「誰もハッキングされない」が真実なら、最初の大統領選で彼が言った体重180kgのハッカー(The New York Times記事)はどうなったんだろうか?

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Facebookがミシガン州ウィットマー知事誘拐計画に関わった民兵組織を排除

FBIのショッキングな宣誓供述書(The Detroit News記事)から「複数の州知事を対象とした暴力行為」を計画していたグループの摘発に関する詳細が明らかになった。これには、ミシガン州知事Gretchen Whitmer(グレチェン・ウィットマー)氏の誘拐または殺害計画も記されていた。この国内テロ集団は、Facebookのグループ、プライベートなイベント、さらにFBIは名指ししていないが少なくとも2つの暗号化チャットアプリを利用して組織されていた。

民主党選出のウィットマー氏は今年の初め、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えようと外出制限を実施したことから、政治的右派の間に広がる反ロックダウン感情のはけ口として、格好の攻撃目標にされていた。宣誓供述書には、6月に対面で行われた会合で、グループのメンバーが「『暴君』の殺害または現職知事の『誘拐』について話し合っていた」と書かれている。この誘拐計画に関わった13人が起訴された(米司法省リリース)。

このグループでは、考え方が共通するミシガン州の民兵組織、いわゆるWolverine Watchmen(ウルヴァリン・ウォッチメン)が接触した時点からメンバーが増加している。6月、Facebookは、反政府運動「ブーガルー」に関連するグループの一斉排除を行った際(Vox記事)に、当時その名前は公表しなかったものの、ウルヴァリン・ウォッチメン・グループも同プラットフォームから削除(未訳記事)している。ウルヴァリン・ウォッチメンは、去年の11月から今年の6月までの7カ月間、Facebook上でメンバーを募集していた。

「本日、私たちは暴力的な米国の反政府ネットワークを危険組織に指定し、当プラットフォームから追放します」と当時Facebookは公表し、暴力的なブーガルー・グループと「緩やかに連携する」ブーガルー運動とを区別していた。

Facebookは、6カ月前に最初に法執行機関に通報するなど、FBIの捜査に「積極的」な役割を果たしたと話している。FBIは、この活動のことをソーシャルメディア上で知るようになり、グループ内の情報の収集もソーシャルメディアに依存したと述べている。

「私たちは、人や公共の安全に危険が差し迫っているとを確認した時点でコンテンツを削除し、アカウントを停止し、即座に法執行機関に通報しました」とFacebookの広報担当者はTechCrunchに語った。「我々は現在継続中の捜査の初期段階から、FBIに積極的に接触し、協力してきました」。

TechCrunchは、このミシガン州の民兵組織に参加した人は、Facebookグループに仲介されたのか否かを尋ねたが同社から返答は得られなかった。8月、Facebookはミシガン州の多数の民兵グループをFacebookとInstagram(インスタグラム)から排除しているが、その中にはMichigan Liberty Militia(ミシガン・リバティー・ミリティア)、Michigan Militia Corps(ミシガン・ミリティア・コープス)、さらにウルヴァリンを名乗るほかのグループも含まれていた。

このグループの主催者の一人と目されるAdam Fox(アダム・フォックス)氏は、今年の初め、プライベートなFacebookグループでライブストリーミング配信を行い、ミシガン州の規制によりスポーツジムの閉鎖が続いていると訴えていた。その動画でフォックス氏は、ウィットマー知事を「This tyrant bitch」(この暴君ばばあ)と呼び、「とにかく、なんとかしなければ」と呼び掛けていた。

4月、トランプ大統領は、バージニア州、ミネソタ州、ミシガン州の外出規制に抗議する人たちを称賛した(未訳記事)。この3つの州の知事は民主党所属だ。このような初期の活動の多くはFacebook上で組織されていたのだが、ウィットマー知事を嫌う感情は、他のソーシャルネットワークや従来メディア(Fox News記事)を通じて右派の間で急速に蔓延していった。

ドナルド・J・トランプ:私はミシガンが大好きだ。この忌まわしいパンデミックにあたり、彼らのために我々が大いなる仕事をしているのは、そのためでもある。だが諸君の知事、グレッチェン・間抜け・ウィットマーにはまったく困ったものだ。さっぱり理解できない。自分の能力不足の責任をキミたちに押しつけているのと同じだ。

同グループは、ミシガン州警察の施設を攻撃する考えでいたが、7月にはウィットマー氏を同氏が私的に所有する別荘か、夏用の知事公館から誘拐する計画に落ち着いた。この決定が下された同日に、フォックス氏はプライベートなFacebookページにこう書いている。「みんな、忙しくなるぞ。今が愛国心を示すとき。時間と金と地と汗と涙を捧げよう。これから始まる。準備せよ!」。

同グループは、ウィットマー氏を私的「裁判」にかけてその場で殺害する計画から、誘拐に切り替えた。その後の数カ月の間に、彼らはウィットマー氏の別荘を調査し、武器を揃え、誘拐のための詳細な兵站計画を立てた。近所の橋を爆破して警察の注意を逸らすなどといったアイデアも上がっていた。彼らはこうした計画の詳細を、暗号化チャットで話し合っていた。

宣誓供述書には「フォックスは数回にわたり、国政選挙投票日である2020年11月3日までにウィットマー知事を誘拐するとの意志と願望を表明している」と書かれている。

また宣誓供述書は、ウィスコンシン州とミシガン州の民兵組織が計画メンバーの訓練を実施したとの詳細も明らかにしている。そこには、「黒色火薬、風船、導火線、ボールベアリングを使用し」簡易爆弾を製作し、火器と戦闘の訓練も実施したと書かれていた。彼らはその技の写真と動画を「Facebookのディスカッション」で共有していたことも宣誓供述書は示している。

Facebookの変化

一部の過激派の活動に対するFacebookの態度は、この数カ月間で劇的に変化した。同プラットフォームでは武装政治グループが長期にわたり勢力を伸ばしてきたが、8月に「軍事化された社会運動」(Facebookリリース)と同社が呼ぶこの活動に対して厳しい態度に出た。そしてまさに今週、FacebookはQAnon(キューアノン)と呼ばれるトランプ支持の陰謀論グループを大幅に追放し、軍事用語を使って投票者を威嚇する行為を禁じるとの発表を行った。

同社のこのところの突然のポリシー変更が、このテロ計画の影響によるものなのかを尋ねたが、Facebookは直接の返答は得られていない。また、この国内テロ計画がFacebookグループを使ってメンバーを募りオンラインでつながっていたのか、またはすでに実生活で顔見知りのメンバー同士の連絡用に使われていたのかも、定かではない。

過激派に詳しい研究者たちは、ずっと以前からFacebookのアルゴリズムによる「おすすめ」がユーザーを危険な思想に、そして危険な行動に傾かせるとの懸念を表明してきた。

民兵組織もその他の国内の過激派グループも、近年Facebookで人を集める方法に長けてきた。ひとたびメンバーとつながり、公共の団体などを通じて身元が確認されたユーザーは、中核的な仲間に加えられる。それは時にプライベートなFacebookグループのかたちをとっている。白人至上主義者と結びついている暴力的な極右グループであるThe Proud Boys(ザ・プラウド・ボーイズ)は、こうした人集め戦略に長けた最たる例(未訳記事)だ。

ユーザーは、以前はグループの活動の横のボックスに表示されていたFacebookのアルゴリズによる「おすすめ」によって、これらの過激派グループに導かれる。Facebookページでは、そうしたおすすめは、今でもメインの投稿の脇に現れ、「関連するページ」にユーザーを導くかたちになっている。

Facebookは、2018年末にThe Proud Boysを追放した。しかし暴力を好むグループは、身を低くして活動を続け、2020年においても同プラットフォーム上で大きな存在感を維持している。州ごとに存在し、Facebookを通じて武器を手配したり戦闘訓練を行う数々の「愛国者」組織や反政府ブーガルー・グループ(Vox記事)などがそうだ。

6月にFacebookはブーガルー・グループの「暴力的なネットワーク」を禁止(未訳記事)したが、他のグループはブーガルー運動に関連した合言葉で組織され、生き残っている。TechCrunchが特定したブーガルー・ページは、「決してブーガルーではない」と自称しているが、今週の時点でもまだBoogaloo Boys(ブーガルー・ボーイズ)のワッペンを販売し、暴力的なネタを掲載していた。

この手の活動を追いかけている研究者と報道関係者にとって残念なのは、公開グループの参加人数を検索ページで簡単に調べられるオプションをFacebookが廃止してしまったことだ。

Facebookは先日、公開グループのリーチを拡大(未訳記事)して、より多くのユーザーの目に触れるようにする計画を発表した。「公開グループの投稿は、Facebook内外でより広く行き渡るようになり、より多くの人がそれを見つけ、会話に参加できるようになりました」とFacebookはそのお知らせに書いていた。

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(翻訳:金井哲夫)

Facebookの投票者威嚇ポリシー改定でトランプ氏は「武装した」選挙立会人を募集できない

Facebook(フェイスブック)は米国時間10月7日の投稿で、今後同社は「軍事的」表現の使用、および「選挙管理者あるいは有権者に対する威嚇、支配、権力行使」を意図した選挙立会いを促すコンテンツを今後一切認めないことを表明した。Facebookは今回の規則改定について、ポリシー作成に関わった公民権運動専門家らを称えた。

Facebookのコンテンツ・ポリシー担当副社長を務めるMonika Bickert(モニカ・ビッカート)氏は記者会見で新ルールの詳細を説明し、改定規則が「Army」(軍隊)や「Battle」(戦争)などの単語を用いた投稿を禁止していることを挙げた。この単語の選択は、トランプ陣営が投票日の選挙立会いのために「Army for Trump」(トランプのための軍隊)を募集していることに直接狙いをつけたものと見られる。先月、ドナルド・トランプ・ジュニア氏はFacebookなどのソーシャルプラットフォームに投稿したビデオで「トランプ選挙防衛作戦」に「今すぐ参加せよ」と支援者に呼びかけた。

「新しいポリシーの下では、もしあのビデオが再び投稿されれば間違いなく削除します」とビッカート氏は明言した。「『組織的妨害』あるいは武器を携帯して投票所に行くことを求める呼びかけは以前から削除対象であり、拡張されたポリシーは投票者への脅威への対処をさらに完全にするもの」だと同氏。Facebookは拡張ポリシーを今後適用していくが、すでに掲載されているコンテンツは、トランプ・ジュニア氏の投稿を含めて影響を受けない。

選挙立会いは公正な選挙を保証するための正当な手続きだが「『不正投票』や『仕組まれた』選挙などという根拠のない主張の証拠探しのために立会人を武装させる」という話は前例がなく、むしろ投票者への威嚇行為に近い(ロイター記事)。選挙立会いの法律は州によって異なり(NSCL記事)、立会人の人数や身分証明の方法について制限を設けている州もある。

トランプ氏は、破れた時に選挙結果を受け入れるかどうかの発言を何度も拒んできた。これは米国における平和的な権力の移行に対する前例のない脅威をもたらす行為だ。投票日が近づくにつれ、ソーシャルメディア会社や投票の権利擁護団体が不安で目を離すことができない数多くの懸念の一つでもある。

「ドナルド・トランプは選挙の公正性に興味などない、興味があるのは投票者の抑圧なのです」と VoteAmericaの創業者であるDebra Cleaver(デブラ・クリーバー)氏がトランプ陣営の選挙立会いへの取組みを評してコメントしてている。「武装した自警団員を投票時に送り込むというのは存在しない問題を解決する方法です。肌の色が黒や茶色の人が投票することを問題だと信じているなら別ですが」とも続けた。

Facebookは政治広告に関する規則にも変更を加えている。同社は選挙直後の政治広告を許可しないこととした。混乱や虚偽の主張を避けるためだ。

「広告は意見を表現する重要な方法の1つですが、11月3日の選挙終了後、米国内での社会問題、選挙管理、および政治に関わる広告の掲載をすべて一時的に停止する予定です。これは混乱と乱用を減らすためです」とFacebookの公正性担当副社長を務めるGuy Rosen(ガイ・ローゼン)氏はブログに書いている。「これらの広告が再び許可されたときにはFacebookから広告主に知らせる」と同氏は付け加えた。

さらにFacebookは、いつもと異なる選挙日の夜に、同社アプリがどのように見えるかを見せてくれた。同社はInstagramとFacebookアプリのトップに、選挙の状況を示す通知を表示し、誤った主張の事実確認作業を強化する。

画像クレジット:Facebook

これらのメッセージは「開票作業が終わっていない」ことをユーザーに再認識させ、結果について信頼ある合意が得られたあと「勝者の当選が確実になった」メッセージに切り替える。今年は当日中に選挙結果が明らかになるかどうかわからないため、ユーザーは11月3日より後にもこれらのメッセージを見る可能性がある。もし候補者が早まった勝利宣言を行った場合、Facebookは警告ラベルを付加する。

Facebookは、現在同社がバイラル・コンテンツ審査システムを使用していることも話した。誤情報などの有害コンテンツが最終的に削除される前に何千回も閲覧されてしまうことを防ぐための対策だ。Facebookによると、同社は「選挙シーズンを通して」このツールを活用しており、同社がルールを破ったコンテンツを検出し、拡散を食い止めるための対策を講じるセーフティーネットとして役立てている。

選挙前最後の月に、Facebookは誤情報を始めとする有害な選挙コンテンツの監視に対するためらいがなくなっている。同社は10月6日、過去4年間蔓延していたQAnon(キューアノン)と呼ばれる親トランプ陰謀論のコンテンツを禁止することを発表した。またFacebookは、トランプ大統領が複数日の入院を終えた直後にCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)はインフルエンザより「はるかに致死性が低い」と主張した投稿も今週削除した

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Twitterは「選挙結果前の勝利宣言」など権力の平和な移行に反するツイートも取り締まる
Facebookは全プラットフォームで米国の陰謀論グループQAnonを締め出しへ

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画像クレジット:Photo by Yasin Ozturk/Anadolu Agency via Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookは全プラットフォームで米国の陰謀論グループQAnonを締め出しへ

Facebook(フェイスブック)は米国時間10月6日、同社が運営するいくつものソーシャルプラットフォームでのQAnon(キューアノン)関連コンテンツの禁止範囲を拡大(Facebookリリース)した。これまでも、「『暴力を煽る議論』を行うQAnon関連グループを禁止していたが、それをさらに進めたものだ」と同社は話している。

QAnonの暴力的なコンテンツを禁止するのみならず「QAnonを代表するあらゆるFacebookページ、グループ、Instagramアカウント」も対象としたFacebookの今回の措置は、ますます対立が激化する選挙に先立ち、そのプラットフォームを浄化しようとするソーシャルネットワークの同巨大企業の強硬手段だ。

QAnonは、トランプを支持するための数々の陰謀論を無秩序に押し広める団体であり、米国人有権者の間に広く根付いている。その熱狂的な信奉者たちは、異常で支離滅裂な信念体系に執着するあまり危険な行為に及んでは、テロ活動として起訴(ABC News記事)されている。BuzzFeed Newsは先日、QAnonを「集団妄想」と呼ぶことを決めた。この陰謀集団の空虚で愚かで危険な信念を、的確に言い表した言葉だ。

QAnonの抑え込みを目指すFacebookのこの取り組みには効果があるだろうが、時期が遅すぎた。昨年の1年間で、陰謀論を振りまくキワモノ集団に過ぎなかったQAnonは、驚くほど大きな政治的思想団体に発展し、米国議会議員の候補者を擁立するまでになっている(The Guardian記事)。彼らを成長させたのは、同好の仲間を引き合わせる機能を本質的に備えたソーシャル・ネットワークだ。その機能が偽情報を広め、次第に過激な思想へと利用者を感化していくことが何度も繰り返し指摘されてきた。

7月、Twitter(ツイッター)は、「オフラインの危害」の懸念を理由に、QAnonに対して独自の対応に出た。同社はQAnonのコンテンツを格下げし、トレンドページとアルゴリズムによる「おすすめ」から排除した。Twitterのポリシー変更は、Facebookの以前の対応と同様、QAnonのコンテンツを完全に禁止するまでには至らなかったものの、その増殖を抑えることはできた。

他の企業は、Alphabet(アルファベット)のYouTubeと同様、外部の監視者による同種の批判を受けている、YouTubeはアルゴリズムを見直し、大量のコンテンツの中から怪しいものをより的確に排除できるようにしたと話しているが、実験の結果は確実とは言い難いものだった(Wired記事)。

FacebookやTwitterなどのソーシャル・プラットフォームも、選挙を前にして作為と虚偽に満ちた政権に対抗し、ルールを変更した(未訳記事)。その同じ政権が、投票のセキュリティーと、20万人以上のアメリカ人の命を奪ったウイルスに関するデマや偽情報を拡散している。この2社の対策には、とくに危険なこれら2つの偽情報の威力を弱めるだけの価値はあったが、積極的な措置ではなく後手の対応であったため、そのポリシー上の決断は危険なコンテンツの拡散を抑えるには遅きに失した。

Facebookの新ルールは、米国時間10月6日から有効となる。同社は広報資料で、これから「ルールに従いコンテンツを削除してゆく」と話しているが、QAnon自体を排除する取り組みには「時間がかかる」とのことだ。

Facebookの今回の変化は、何に後押しされたものなのか?同社によると、QAnonの暴力的なコンテンツを引っ張り出したときに、「西海岸の山火事は一部のグループが引き起こした、などという陰謀論をはじめ、さまざまな形で現実の災難に結びつけられた別のQAnonコンテンツ」が見つかったという。先日、山火事が発生したオレゴン州では、Facebookプラットフォームで広がった偽情報のために、アンティファ(ファシズムに反対する人を真正面から軽蔑した呼称)が州に火を放ち、不法に道路を封鎖(CNN記事)しているというウソを住民たちが信じてしまった。

Facebookが運営するいくつものプラットフォームで、QAnonをどれだけ効果的に排除できるか、今はまだわからない。だが、私たちはそこに注目していく。

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トランプ大統領がSNSルールに再違反、新型コロナはインフルより「はるかに致死力が弱い」と虚偽の主張を投稿

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(翻訳:金井哲夫)

トランプ大統領がまたSNSのルールに違反、新型コロナはインフルエンザより「はるかに致死力が弱い」と虚偽の主張を投稿

Facebook(フェイスブック)とTwitter(ツイッター)は米国時間10月6日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はインフルエンザより「はるかに致死力が弱い」と主張したDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領の投稿に対して行動を起こした。トランプ氏は、新型コロナウイルス検査陽性後に治療を受けていたウォルターリード医療センターでの複数日にわたる滞在からホワイトハウスに戻ったわずか数時間後にそのツイートを発信し、同じメッセージをフェイスブックに投稿した。

フェイスブックは10月9日、トランプ氏の投稿を直ちに削除し、同社は「新型コロナウイルスの重大性に関する誤った情報を削除するためにこの投稿を削除した」と説明した。ツイッターはそのツイートを、新型コロナの誤解を招く情報や誤情報の発信に関する同プラットフォームの規則を破ったという警告で覆った。

「このツイートは新型コロナウイルスに関する誤解を招く健康情報を主張し、新型コロナの誤解を招く情報に関する当社のポリシーに違反したため、公共の利益に関する警告をツイートの手前に配置しました」とツイッター広報担当者は語った。

トランプ大統領の投稿を削除することは稀だが、フェイスブックにとって初めてではなかった。2020年8月にフェイスブックは、子供は新型コロナウイルスに対して「ほぼ免疫がある」と同氏が主張する自身がシェアしたビデオを削除した。その動画はFox News(フォックス・ニュース)で放映されたものだった。

ツイッターでは、トランプ氏のツイートは「著しく制限された」扱いを受けることになる。つまり、説明のないリツイートやいいね!、リプライなどができず、ただし掲載は続ける、なぜなら公共の利益に適うため、という意味だ。ツイッターが措置を講じるまでの間に、そのツイートは5万9000回リツイートされ、18万6000のいいね!がついた。


フェイスブック、ツイッターともに、パンデミック関連誤情報の拡散に関するポリシーを2020年に新たに作成した。パンデミック初期の頃、新型コロナウイルスはインフルエンザ並み、という誤った主張はトランプ氏と彼の支持者が繰り返す口癖だった。しかしウイルスが数カ月にわたって米国各地を襲ってから、新型コロナはインフルエンザのようなものという主張の嘘がいっそう明白になった。

新型コロナウイルスについてはまだ多くのことがわかっていないが、患者の体内で侵略的で予測不可能な経路を通ることが可能であり、肺以外の重要臓器を攻撃し、感染した人たちはいまだに完全には研究や理解もされていない健康障害が長期間続くこともある。トランプ氏の主治医は、大統領はウイルスとの戦いで「まだ困難を脱していない可能性がある」と語った。

この数カ月間、SNSでの大統領の虚偽発言は、郵便による投票というパンデミック下の投票で多くの米国人が依存しているシステムの安全性に関する嘘へと移行してきた。

しかし、酸素補給と3種類の実験的治療を受けた病院での複数日にわたる滞在後1日と経たないうちに、トランプ氏自身がウイルスの診断を受けたことは、この国の経済を破壊し20万以上の命を奪った健康への脅威に少しでも真剣に取り組む意志を意味しないことが明らかになった。

むしろトランプ氏はツイッター、フェイスブックなどのプラットフォームに政治戦争を仕掛け続ける構えだ。選挙結果が彼にチャンスを与えればの話だが。すでにトランプ氏は、ソーシャルメディアがユーザー生成コンテンツの責任を回避するための重要な法規定である通信品位法第230条を廃止する意向を表明している。

トランプ氏は、10月6日にインフルエンザは新型コロナウイルスより悪いと発言した彼の投稿に対してツイッターとフェイスブックが措置を講じた後、「REPEAL SECTION 230!!!」(230条を廃棄せよ!!!)とツイートしている。

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次回のテック大手企業の公聴会では米通信品位法230条が争点になる

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

次回のテック大手企業の公聴会では米通信品位法230条が争点になる

またしてもテック企業大物CEOの公聴会が開催されるようだ。米上院商務委員会は米国時間10月1日木曜日、TwitterのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏、FacebookのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏、AlphabetのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏に対する議会への召喚状を出すことを決定した。ソーシャルメディアの最高経営責任者たちを召喚するという異例の決定は、現代の米国の歴史の中で最も争われている米国大統領選挙に向けて、政治的にも不安定なイベントをスケジュールに追加したことになる。

公聴会は、通信品位法の第230条に焦点を当てることになるだろう。

興味のない読者には無味乾燥に聞こえるかもしれないが、この法律は政治的にも技術業界にとってもかなり重要な話題だ。法律上の盾に小さな変更が加えられているように見えるかもしれないが、その影響は後生まで影響が残るかもしれない。

委員会のRoger Wicker(ロジャー・ウィッカー)委員長は、米国人が「コンテンツの節度を守るには、これらの企業のトップから完全な説明を受けることが必要である」ために公聴会を開催する決定を「必須」とした。

驚くべきことに最高経営責任者(CEO)を召喚する決定は全会一致でした。民主党のMaria Cantwell(マリア・キャントウェル)上院議員も、当初はこの決定に反対していたが最終的にいは賛成に回った。キャントウェル氏は以前、召喚状を発行するというアイデアを「異常な」ステップと呼んでいたが、これは「企業の誤報や嫌がらせをプラットフォームから削除するための努力を冷ます」ことを目的としたものだった。

米上院商業委員会の共和党員には、ウィッカー氏、Ted Cruz(テッド・クルーズ)氏、John Thune(ジョン・チューン)氏、Rick Scott(リック・スコット)氏が含まれる。一方で委員会の民主党員には、カントウェル氏、Amy Klobuchar(エイミー・クロブチャー)氏、Brian Schatz(ブライアン・シャッツ)氏、Kyrsten Sinema(カーステン・シネマ)氏が含まれている。

230条はどうものなのか?

230条は一般的に、Facebookのアカウントやコメント欄からYelpやAmazonのレビューまで、ソーシャルインターネットを確立にした法的インフラとみなされている。短い法律ではあるが、2020年にはますます物議を醸しており、法律家たちは大企業の力を制限するための手段として模索している。

共和党員は、第230条の法的保護を解体することは、反保守的な偏見を受けたソーシャルメディア企業を罰するための方法であると見ている。

重要なのは、トランプ大統領と司法長官のWilliam Barr(ウィリアム・バー)氏が230条を攻撃することに特に関心を示していることだ。今年の初めトランプ大統領は、自身の虚偽の主張を法を脅かす大統領命令で和らげたとして、Twitterを激しく非難した。命令はほとんど意味なさなかったが、トランプ大統領が230条に焦点を当てたことで、バー司法省と彼の指示に従うことを熱望している議会共和党にとっての課題が決まった。この命令は米連邦通信委員会(FCC)の関与をも促した。

米司法省は6月、この法案を児童虐待のような「不正内容」を排除するための取り組みだとして、同法を弱体化させる「一連の具体的な改革案」の基礎を示した。先月、バー司法長官はこれらの提案を盛り込んだ法案を議会に提出した。

民主党は最近になって、230条を追いかける考えに取りかかったが、その理由は異なっている。右派は主に政治的検閲について不満を表明しているが、民主党の議員たちは、230条の変更をソーシャルメディア上で蔓延し続ける虚偽情報やその他の有害なコンテンツについて、プラットフォームに責任を負わせる方法だと見ている。

230条を狙った法案

リンゼイ・グラハムの法案「EARN IT Act」は、おそらくこれまでのところ、230条をターゲットにした法案として最もよく知られています。この法案のトーンダウンされたバージョンは委員会を通過したが、まだ上院の全会派には提出されていない。

6月には、召喚状を発行する委員会のメンバーであるジョン・チューン上院議員とブライアン・シャッツ上院議員が、PACT法として知られる超党派の230条法案を提出したが、これは主にモデレーションの透明性に焦点を当てたものだった。

問題をさらに混乱させるために、今月初めにはトランプ大統領が「230条を直ちに廃止するように」と自身の党に呼びかけた数時間後に、230条に焦点を当てたグラハム氏が後援した別の法案が登場した。しかし、その提案は超党派の後援を得ていなかった。

次の大きなテック公聴会で何が起ころうと、そして230条法案のすべてで何が起ころうと、技術の重要な法的盾を変えるために何かをしようという超党派の意欲があることは明らかだ。

明確なのは、このような基本的な法律に手を加えることは、私たちが知っているようにインターネットに大きな波紋をもたらす可能性があり、軽々しく請け負うべきものではないということ。230条は、次のテック企業大手の公聴会では、その場しのぎにされることになるだろう。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:ドナルド・トランプ大統領、Twitter、Facebook、Alphabet、Section 230

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Twitterはトランプ氏が新型コロナで死ぬことを願っているツイートの削除をユーザーに要請

ドナルド・トランプ大統領の新型コロナウイルスの陽性が判明したニュースが駆け巡ったあと、同ウイルスによって引き起こされる病気で大統領が死ぬことを公に願ったツイートが、この24時間の間にTwitterを賑やかな場所にした。ある投稿は微妙なニュアンスで、またあるものはより直接的な内容だった。

Twitterは、トランプ大統領に限らず誰に対しても死や重篤な身体的危害や致命的な病気を願ったり、希望したりするツイートを許可していないことを人々に注意喚起を出した。Twitterは米国時間10月2日、「このポリシーに違反するツイートは削除する必要がある」とコメントしている。しかし、これは自動的に削除するということを意味するものではないことも明らかにした。自動的に対処される誤報していたサイトもあった。ユーザーアカウントが停止されるという意味ではない。

Motherboardは、Twitterの声明を引用して、ユーザーアカウントが停止になると報じた。これはTwitter自身の公式声明とは少し異なる。

トランプ氏は10月2日の夜、妻のメラニア・トランプ大統領夫人とともに新型コロナウイルスの陽性反応が出たことをツイートした。ホワイトハウスの医師ショーン・コンリー氏は10月2日に、新型コロナウイルスとしてより一般的に知られていることが多いSAR-Cov-2ウイルスの陽性結果を確認するメモを発表した。トランプ氏は、数日間の治療のためにウォルター・リード医療センターに向かっていた10月3日の夕方、ヘリコプターに搭乗するところを目撃された。

この影響を受け。Nasdaq(ナスダック)を含む主要な取引所で10月3日に株式が暴落した。このニュースはすべての主要な米国の指数に下向きの圧力をかけたが、最も影響が大きかったのがハイテク株だった

カテゴリー:ネットサービス
タグ:トランプ大統領、新型コロナウイルス、Twitter

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(翻訳:TechCrunch Japan)

トランプ米大統領の新型コロナ感染を受けて米株価が下落

トランプ大統領とその家族、主要スタッフのメンバーが新型コロナウイルスの陽性反応を受けたことを受け、米国株が売られている。このニュースは一夜にして出てきたもので、すべての主要な米国kの指数に重くのしかかっており、テック株も例外ではない。この記事を書いている時点で、この混乱の状況は以下のとおりだ。

  • ダウ工業株平均:先物は1.5%下落
  • S&P 500:先物は1.63%下落
  • ナスダック総合指数:先物は2.32%下落

ベッセマー・クラウド・インデックスのような小規模でより特定のバスケットの株式は市場前に同様の数字を発表しないため、このニュースとそれがもたらす可能性のある政治的不安定化が、最も高く飛んだハイテク産業の株式に与える正確な影響を見ることはできない。

周辺の関連情報を集めると、Datadogはマイナス2.9%。Salesforce(セールスフォース)はマイナス1.8%。Zoomはマイナス1.7%。Crowdstrikeはマイナス3.2%など。要するに、SaaSやクラウド株はテック株に比べてあまりいい結果にはなっていないようだ。

最近の直接上場銘柄であるPalantirはマイナス3.8%、Aasanaはマイナス3.4%となっている。そのほか最近のIPO銘柄も同様に下落しており、その中ではJFrogは取引開始前にマイナス5.8%、Snowflakeは市場前取引にマイナス4.6%だ。

トランプ大統領の診断を受けて株式市場が苦しんでいる理由は想像に難くない。すでに不安定な選挙が間近に迫っており、複雑な要因が投資家の信頼に悪影響を与えている。それは株にとって悪いことだ。完全に健康な大統領が 景気刺激策を実行に移すには絶好の機会となる。景気刺激策は、現在の混乱によって弱体化する可能性があるし、まだまだ続くかもしれない。

TechCrunchは日が続くにつれて市場に目を光らせるが、あなたの個人口座が日の初めよりも日の終わりのほうが良く見えることを期待しないでほしい。

カテゴリー:パブリック・ダイバーシティ
タグ:株式市場新型コロナウイルスドナルド・トランプ

画像クレジット:MarsYu / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Facebookは米国選挙結果の「非合法性を主張する」広告を受け付けない

米国時間9月8日の第1回大統領討論会で、2020年米国選挙に対する脅迫のひときわ陰湿で鮮明な態度が見られた後、Facebookは選挙関連広告に関する新しいルールをさらに明確化した。

Facebookは同サービスの政治広告規則を拡張し「選挙結果の非合法性を主張する」あらゆる広告を禁止した。「投票方法を不正あるいは誤っていると主張する、あるいは投票者の個別事象を取り上げて選挙結果の非合法性を主張する」行為もこれに含まれる。

Facebookのプロダクト管理責任者で同社の事業整合性チームを率いるRob Leathern氏が、Twitterでこの変更を宣言した。

Facebookは、ユーザーの投票意欲をそぐ広告、郵送による投票その他の合法的方法を攻する広告、不正投票が蔓延していると暗示する広告、偽の医療情報で安全な投票を脅かす広告、および結果が投票日の夜すぐにわからないから選挙は無効だと示唆する広告を禁止することも述べた。

TwitterとFacebookはいずれも、選挙結果前の勝利宣言の扱いについて 新たなガイドラインを最近発表した。しかしFacebookの規則は、そのような主張が広告の中でなされた場合だけに適用されるようだ。TechCrunchはFacebookに、広告以外に候補者の通常アカウントで発言された場合の扱い方について質問している。

Twitterが政治広告を全面禁止した(The Daily Beast記事)に対して、Facebookはどのような政治広告をいつ許すかについてルールを微調整している。Facebookは、選挙、社会問題、および政治に関する広告を10月27日以降受け付けないと以前発表したが、それ以前から掲載されている政治広告は継続が許される(Facebookビジネスヘルプセンター)。

関連記事:Twitterは「選挙結果前の勝利宣言」など権力の平和な移行に反するツイートも取り締まる

すでにFacebookは、トランプ大統領とその支持者に端を発する、11月米国選挙の完全性に対する攻撃の氾濫に取り組んでいる。29日夜の討論会でトランプ大統領は、郵送方式はすでに信頼があり不在者投票に広く用いられている郵送方式はすでに信頼があり不在者投票に広く用いられているが、郵送による投票に再び疑問を投げかけ(CNN記事)、もし負けたときに選挙結果を受け入れるかどうかを約束することを拒んだ。

前例のないパンデミックで移動が困難になる中、郵送による投票は新しい発想ではない。コロラド、オレゴンなど複数の州が郵便を利用した選挙をすでに実施しており、郵便による投票はすでに全国で行われている不在者投票の拡大バージョンにすぎない。


9月30日、トランプ大統領はニューヨーク州で業者の印刷ミスによる不完全な投票用紙が配布されたことに関する陰謀論の種(NPR記事)をまいた。州は投票用紙を再発行することを決めているが、トランプ氏はこの事象を郵便による投票が「ペテン」である証拠だと主張した。その証拠に裏付けはない。(未訳記事)。

トランプ大統領の米国選挙への攻撃は、ソーシャルネットワークにとって前例のない挑戦であるが、それは国全体にとっての挑戦でもあり、近代において行政権の平和的移行が現職大統領によって脅かされる事態は起きたことがない。

画像クレジット:Pavlo Conchar/SOPA Images/LightRocket via Getty Images / Getty Images

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Facebook、Donald Trump、2020 ELECTION

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

トランプ政権のTikTok禁止令が予想どおり遅れる

米国の連邦裁判所は、TikTokの禁止措置は米国時間9月28日の月曜日には予定どおり発効しないと発表した。禁止を遅らせる動きは予想されていたもので、裁判所が禁止の合法性とトランプ政権が主張するようにアプリが国家安全保障にリスクをもたらすかどうかを検討する間、米国居住者はアプリの使用を続けられる。

ドナルド・トランプ米大統領が8月初旬に2つの行政命令に署名してから数週間、政府は、北京に本社を置く親会社のByteDance(バイトダンス)がユーザーデータを中国政府に引き渡すのではないかとの懸念から、人気のショートムービーアプリを閉鎖すると脅してきた。一方、米国だけでも1億人のユーザーを持つTikTokは、この主張を長い間否定してきた。

TikTokは9月18日に米政権に対して最初の訴訟を起こし、米国時間9月24日の木曜日には、9月27日の日曜日の夜に発効する禁止を阻止するために、直前の差止命令を提出した。9月25日金曜日、政府は封印された動議で差止命令を却下するよう裁判所に求めたが、政府はその後、いくつかの修正を加えて公開動議として再提出した。差止命令に関する公聴会は9月27日の日曜日朝に開かれた。公聴会は、裁判官のCarl J. Nichols(カールJ.ニコルズ)が主宰するDC地方裁判所で聞かれている。

9月27日日曜日の判決で裁判所は、正式な意見書は「ちょうど2つの反対当事者に非公開で渡された」とその決定だけを明らかにした。政府の動議に含まれる機密事項のため、最終的な意見書が公表される前に、当事者は9月28日月曜日までに修正を求めることができる。

今回の決定は、米国で最も急成長しているソーシャルアプリの将来をめぐる争いが続く中の最新のエピソードに過ぎない。先週末にByteDanceと米国政府の間で合意された取引により、両者の間の膠着状態は解消されたと思われていたが、買い手であるOracle(オラクル)とByteDanceの間で争われていた詳細を巡って、取引がこじれてしまった。

米政権は8月6日に初めてTikTokに対する措置を開始し、トランプ大統領は執行命令で、アプリが米国民にとって不合理な国家安全保障上のリスクをもたらすと主張した。この命令は、同じ日に発表された同様の命令を反映したもので、中国に拠点を置くTencent(テンセント)が所有する人気のメッセンジャーアプリ「WeChat」にも制限を課した。

先週末、サンフランシスコの連邦判事は、商務省のWeChat禁止令を差し止める命令を下した。TikTokは、WeChat訴訟と同様の主張をしており、自身の訴訟でも同様の結果を期待していた。

2つの訴訟の違いの1つは「原告」だ。WeChatの訴訟では、WeChatのユーザーグループがアプリの使用禁止は言論表現を傷つけると主張して訴訟を起こした。TikTokは政府との戦いを自ら代表している。

NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

中国は米国企業へのTikTok買収を認めず、合意に達しない状況を「ゆすり」と呼ぶ

9月20日とされていたTikTokの売却の期限はとっくに過ぎているが、関係者はまだ取引条件で合意に達していない。TikTokの親会社であるByteDanceと買い手であるOracleとWalmartは、アプリの将来的な所有権について相反するメッセージを出しており(未訳記事)、投資家とユーザーを混乱させている。一方、TikTokの売却に対する中国政府の不服は、日増しに明らかになっている。

OracleとWalmartが「いじめとゆすり」でTikTokを効果的に買収することを可能にする「汚い」「不公平」な取引を中国が承認する理由がないと、9月23日に中国共産党の公式英字新聞であるChina Dailyに掲載された社説は激しく非難している。

この社説では、2020年に10億ドル(約1050億円)の収益が見込まれているTikTokの成功に対して「明らかにワシントンが不安を感じている」と主張し、米国が「国のセキュリティを口実にしてこのショートビデオ共有アプリを禁止させたのだ」という。

この公的メッセージに対してByteDanceの受け取り方は複雑だろう。これまで同社は、中国政府と無縁であることを証明しようとしてきた。西側諸国で同社が自由に活動するための前提条件だ。

中国政府はすでに一連の輸出規則を修正して、TikTokの取引を複雑にしてきており、特定のAI技術を外国に売ることを制限している。ByteDanceも中国の国営メディアも、合意に技術移転は含まれない、と述べている。

トランプ政権は、納得できる条件に達しなければTikTokのダウンロードを禁ずるといっているが、現在すでに米国には1億のユーザーがいる。トランプ政権はTencentのWeChatの閉鎖も計画したが、しかしそれはサンフランシスコの地裁がブロックした

市場調査企業のSensor Towerによると、TikTokの米国におけるインストール数は、App StoreとGoogle Playを合わせて1億9800万、米国でのWeChatのインストールは2014年以来2200万近い。TikTokは米国に巨大なユーザーベースがあるが、WeChatを使っているのは主に中国に家族などがいる中国語を話すコミュニティの人びとだ。中国では欧米のチャットアプリが禁じられていることが多いため、WeChatが主流のメッセンジャーだ。

アプリ禁止の締め切りである9月20日の直前に中国の商務省は、TikTokとWeChatに対する「いじめをやめよ」と米国に呼びかけた(China Daily記事)。そして、止めなければ「中国企業の正統な権利と利益を保護するために対抗措置をとる」と通告している。

対抗策といえば、2019年に米国が通信機器大手のHuawei(ファーウェイ)に対する一連の不利益な措置を発表したとき中国は、「市場のルールに従わず」しかも「中国企業の正統な権利と利益を一血ル敷く損なう」外国企業と個人を対象とした「信頼できない企業リスト」を公表する(未訳記事)と明言したが、そのリストはまだ明らかになっていない(Reuters記事)。

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カテゴリー:ニュース

タグ:TikTok ByteDance WeChat ドナルド・トランプ 中国

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国政府によるテンセント関連企業排除の次期ターゲットはゲーム会社

米国オンラインゲーム業界の大手企業数社が、中国のマルチビリオンダラー企業であるTencent(テンセント)との関係に関する情報提供を求める書簡を米国政府から受け取った。

米国商務省は、同じ中国企業の人気メッセージング・支払いアプリであるWeChatの新規ダウンロードを禁止する動きを見せている一方で、Epic Games(エピックゲームズ)、Riot Games(ライオットゲームズ)をはじめとする米国のゲーム会社に対して、会社のデータセキュリティー方針およびTencentとの関係を尋ねる書簡を送った(Bloomberg記事)。

Bloombergは本件に詳しい筋の情報として「財務省が代表を務める対米外国投資委員会が、これらの企業が米国顧客の個人情報をどのように扱っているかに関する情報を求めている」と報じた。

Tencentは世界最大のゲーム会社であり、ロサンゼルス拠点のRiot Gamesを傘下にもつほか、米国で最も人気のあるバトルロワイヤルゲームであるFortnite(フォートナイト)の開発元のEpic Gamesの株式の40%を保有するなど、複数の米国ゲーム会社に出資している。

この要求は米国政府がTencentに対して米国ゲーム会社の株式を売却させようとする圧力の前兆とも考えられ、中国製ソーシャルメディア・ネットワークTikTokを排除する同様の動きに続くものだ。

TikTok(テックトック)騒動の中心にあるのは、大人気のソーシャルメディア会社がユーザーデータをどのように扱い、そのデータがTikTokの親会社である中国のBytedance(バイトダンス)にどう悪用されれるのかという点だ。そして米国時間9月18日の発表でWilbur Ross(ウィルバー・ロス)商務長官は「TikTokのソーシャルメディアサービスと同じことがTencentのゲーム会社にも当然あてはまる」と強く主張した。

「本日の行動は、我々の国家安全保障を万全に保ち『中国共産党から米国国民を守るためにはどんなことでもする』というトランプ大統領の姿勢を改めて証明するものだ」とロス氏は声明で語った。そして「大統領の指示に従い、中国による米国市民の個人データの不正な収集と戦うと同時に、国家の価値と民主的ルールに基づく規範を推進し、米国の法律と規制を積極的に施行するべく重要な行動を起こした」と続けた。

テクノロジー企業が世界経済産出量におけるシェアを拡大する中、Facebook(フェイスブック)を始めとするソーシャルメディア企業は中国市場への参入を拒否されている。一部には、米国政府によるTikTokの米国資産売却の強要は、米国企業が中国国内市場で経験したのと同じ制約を中国企業に課そうとするものだと見る向きもある。

セキュリティーの懸念は、ネットワーキング・通信テクノロジー開発のHuawei(ファーウェイ)など、中国のさまざまなテクノロジー企業に対する米国の貿易制限の中心になってきた。

同じ議論をゲーム業界に広げることは、トランプ大統領の在任期間中に続いている米中貿易戦争の新たな火種になりかねない。しかしこれは、兵器システムなどを除き、歴史的にテクノロジー分野の大部分で海外競合他社の参入に門戸を開いてきた市場に壁を築こうとする前例のない試みだ。

Tencentの投資先は300社を超えており、前述のようにRiot Gamesは2011年に株式の93%を買収したあと2015年に完全子会社化した。さらに、企業価値170億ドルのゲームテクノロジーデベロッパーであるEpic Games(CNBC記事)や、Call of Dutyなどの開発元、Activision Blizzard(
アクティビジョン・ブリザード)の大株主でもある。

米国内で事業を展開する海外企業の経済活動を制約するトランプ政権によるあらゆる行動が、この国のテクノロジー産業に意図しない影響を与えかねない。

競争の激しいソーシャルメディア分野からTikTokが消えることで、表面上利益を得ると思われる企業の経営トップでさえ米国政府のアプローチを非難している。

米国時間9月18日、Instagram(インスタグラム)CEOのAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は政府の発表をTwitterで非難(未訳記事)した。米自由人権協会(ACLU)も直ちに発表を非難した。同協会の国家安全保障プロジェクトのディレクターであるHina Shamsi(ヒナ・シャムシ)氏は声明で、「この命令は米国で2つのソーシャルメディアプラットフォーム上で重要な取引を行う人々の米国憲法修正第1条で保証された権利を侵害している」と語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ギャング資本主義と米国の中国イノベーションの盗用、これは正しい道なのか

かつて、米国と中国の経済を見分けるのは「簡単」だった。一方は革新的で、他方はクローンを作っていた。一方は自由市場で、他方は政党とその指導者に賄賂を要求(The New York Times紙)していた。一方は世界のトップの頭脳を引き付ける働きをして、才能のある人たちを受け入れた。他方は、あなたを扇動罪で投獄する前に空港のバックルームに連れて行った(それはどちらもだが)。

これまで、このように比較はいつも簡単にできていて詳細がわからなくても少なくとも方向性は正確だった。

しかし今では、爆発するバッテリーを輸出した国は(The Atlantic記事)は量子コンピューティングを開発しているし、インターネットを開拓した国は空から落ちる飛行機を作っている

TikTokの成功にはさまざまな要因があるが、率直に言ってそれを標的にするには米国の恥さらしでしかない。何千人もの起業家と何百人ものベンチャーキャピタルがシリコンバレーやほかの米国のイノベーションハブに群がり、次の素晴らしいソーシャルアプリを探したり、自分たちで作ったりしている。

しかし、ユーザーの成長と投資家のリターンの法則は偶然にも中国・北京の海淀区(かいでんく)にある。中国のローカルアプリ「抖音」(Douyin)やTikTokのような海外アプリを通じたByteDance(バイトダンス)は、過去10年に消費者に多くのものを還元している(今シーズンのIPOがすべてエンタープライズSaaSであるのには理由があるのだ)。

これは国家の産業政策だけには頼れない勝利と言える。半導体やそのほかの資本集約型産業では、中国政府が数十億ドルのインセンティブを提供して開発を促進できるが、ByteDanceはアプリを構築しているだけで、それを世界中のアプリストアで配信している。Apple Developerアカウントを持つすべての開発者が利用できるのとまったく同じツールを使っている。TikTokのような消費者向けアプリを作って普及させようという「Made in China 2025」(米戦略国際問題研究所レポート)の計画はない、というよりも文字どおり消費者向けの成功のための計画は立てられない。むしろTikTokは、何億人もの人が中毒になるような完成度の高い製品を自ら開発したのだ。

中国がGoogle(グーグル)やAmazon(アマゾン)のような海外の競争相手から市場参入障壁を介して業界を守ったように、米国はいま、TikTokのような海外の競争相手から既存の既存企業を守ろうとしている。共産党が何年も前から要求してきたように、ジョイントベンチャーやローカルクラウドデータの主権を要求しているのだ。

さらにトランプ大統領はByteDanceに50億ドル(約5227億円)の納税を要求(Bloomberg記事)しているようで、若者の愛国教育に資金を提供すると表明している。もちろん大統領はいろいろと注文を付けているが、少なくとも50億ドルの価格は、Oracle(オラクル)のプレスリリースで確認されている(税収が実際に何に使われるのかは推測だが)。最近の香港の抗議行動を(Reuters記事)を長く追っていると、愛国的な若者の教育が2012年のデモのきっかけになったことを覚えているだろう。巡り巡ってくるものは巡り巡ってくると私は思う。

開発経済学者は「キャッチアップ」戦略、つまり中間所得層の問題を後回しにして、欧米との格差を縮めるために各国が選択できる戦術について話すのが好きだ。しかし、いま私たちが必要としているのは、米国の「遅れを取り戻す」戦略を説明してくれる先進国の経済学者だ。なぜなら、私たちはほとんどすべての面で遅れをとっている。

TikTokのここ最近の動向とそれ以前のHuawei(ファーウェイ)の問題が示すように、米国はもはや多くの重要な戦略市場においてテクノロジーの最先端を走っていない。中国本土の企業は、5Gやソーシャルネットワークなど多様な分野で世界的に勝利を収めているが、政府の直接の介入がなければ米国やヨーロッパのハイテク企業はこれらの市場を完全に失っていただろう。たとえ介入があったとしても、まだ失う可能性がある。台湾では、TSMCがIntel(インテル)をすで抜き去り、最先端の半導体製造で1、2年のリードを奪っている。

つまり、最近では中国の歴史や神話を盗み出してまともな映画にすることすらできないのだ。そして、後れを取る戦略は続いている。米国のイノベーションの最大の源泉を破壊しようとしている政権からの移民規制は、新型コロナウイルスの感染蔓延と相まって、留学生の移住者数は米国史上最大の減少につながっている(Axios記事)。

なぜそれが重要なのか?比較的最近のデータによると、米国では電気工学の大学院生の81%が外国人留学生であり、コンピュータサイエンスでは79%が外国人留学生であり、ほとんどの工学・技術分野では、その数は過半数を超えている(Inside Higher Ed記事)。

このような留学生がずっと家にいてくれれば「米国人もなんとか最先端の枠に入るれるだろう」という幻想を信じるのは素晴らしいが、実際のところはどうなのだろうか?イチゴ狩りや給食サービスの労働者に当てはまることは、電気工学を学ぶの大学院生にも当てはまるのだ。しかし、いわゆる 「米国人」 はこうした仕事を望んでいない。これらは大変な仕事であり、報酬面では実入りの少ない仕事であり、米国の労働者や学生が一般的に持っていない粘り強さを必要とする。これらの産業では大量の外国人労働者が従事しているが、それはまさに国内の誰も外国人労働者の役割を引き受けたがらないからだ。

才能があればあるほど、イノベーションも生まれてくる。このような頭脳の源泉が米国のトップ・イノベーション・ハブに宿ることなく、それがどこに行くのだろうと考えているのだろうか。かつて、スタンフォードやマサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピュータ・サイエンティストになりたいと思っていた人は、窓際に座って地平線を眺めながら日が沈むのを待っていたわけでないのだ。まして、いまはインターネットの時代であり、彼らはどこにいても、どんなツールやリソースを使ってでも、夢に向かって出発できる環境が整っている。

シードアクセラレーターであるY Combinatorが主催するプログラムの最近の参加者を見ていると、将来の偉大なスタートアップ企業となりそうなグループ、ますます米本土以外の地域からやってくるようになってきていることがわかる。何十人もの賢くて優秀な起業家たちは、米国への移住を考えているわけではなく、むしろ自国の市場が自慢の大国よりも技術革新や技術進歩に対してオープンであることを正しく認識している。フロンティアは米国で閉ざされ、他の場所に移ってしまったのだ。

では、米国、そしてヨーロッパにはいったい何が残っているのだろうか?柔軟性に欠ける企業のトップが、世界最高の技術との競争を避けるために外部の技術革新をブロックするという視野の狭い政策が、経済的な災いのレシピではないのなら、私はそれが何なのか分からない。

しかし、少なくとも米国の若者は愛国心を持っているはずだ。

画像クレジット:Thomas Peter – Pool  / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

トランプ政権指示のWeChat配布禁止を米連邦地裁が拒否、現在もダウンロード・利用可能

数日前、米国商務省は8月にトランプ大統領が署名した執行命令を受けて、米国のユーザーによるTikTokとWeChatのダウンロードを中止することを目的とした、一連の規則を発表した。TikTokは米国時間8月19日、Oracle(オラクル)やWallmart(ウォルマート)との投資・クラウドサービス契約に署名したことで、ダウンロード禁止の実施を少なくとも1週間遅らせたことで、ギリギリのところで猶予を得た。しかし、WeChatは事実上、本日(米国時間8月20日)に、ダウンロードといくつかのサービスの禁止が実行されることになっていた。

いま、中国語圏のコミュニティで広く使われ、中国に拠点を置くTencent(テンセント)が所有するソーシャルアプリの将来をめぐる戦いに新たなしわ寄せが来ている。サンフランシスコの連邦地裁判事は、禁止が米市民の自由な言論権を損なっていると主張するWeChatユーザーの訴訟を受け、全国的な禁止を一時的に停止した。その裁判である「U.S. WeChat Users Alliance v. Trump」は進行を許可されることになる。

米国時間9月19日に発表された短い意見書の中で、米国のLaurel Beeler(ローレル・ビーラー)判事は、政府の訴えは修正第1条の根拠に弱点があること、政府が産業をコントロールするために既存の法律の中で行動する権限があること、禁止が米国の中国語圏コミュニティに与えるであろう損害と比較して全体的にあいまいであることを主張した。

ビーラー判事の見解は以下のとおり。

確かに政府の包括的な国家安全保障上の利益は重要である。しかし、この記録では、政府は中国の活動が国家安全保障上の重大な懸念を引き起こしていることを立証しているが、米国のすべてのユーザーに対するWeChatの効果的な禁止がこれらの懸念に対応しているという証拠はほとんど示されていない。また、原告が指摘しているように、オーストラリアが行ったように政府のデバイスからWeChatを禁止したり、データセキュリティに対処するために他の手段を講じたりするなど、完全な禁止に代わる明白な選択肢がある。

訴訟手続きの可能性と禁止が実施された場合の即時の損害を考慮して、裁判官は商務省のアプリ禁止命令の実施に対する全国的な差止命令を開始した。

商務省はこの展開に対応する機会を得ることになるが、命令を編集するか、裁判所を通じて他の手段を追求するか、あるいは命令を完全に取り消すことを選択するかどうかは、近日中に判明することになるでしょう。

画像クレジット:Drew Angerer / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

オラクルとウォルマートのTikTok事業買収をトランプ大統領が容認、TikTok Globalとして米証券取引所上場へ

「まあ、それは無意味だった」。

セキュリティ上の懸念という見当違いの名目で、米国の自由貿易の概念を低下させ、数十億ドル規模の企業数社を引き連ね、裸の欲のために恥をかかせ、米国政府に利益の一部を要求した後、ここ数週間見てきたTikTokの物語はついに終わったようだ。

米国時間9月19日の夜遅くに発表された一連の発表によると、TikTokの取引は、実際には米国大統領の主要な支持者のクラウドインフラ事業をあと押しするための政治的に有利な取引であったことが示されている。

クラウドインフラサービスにおけるOracle(オラクル)は、AWS、Alphabet(アファベット)、マイクロソフトに次ぐ業界4位だが、上位3社に比べると規模は小さい。そのオラクルが、新会社名「TikTok Global」として米国の証券取引所に上場する前の投資ラウンドで、パートナーの米小売大手Wallmart(ウォルマート)とともにTikTokに20%の株式を取得することになるだろう。

TikTokの声明によると「オラクルはTikTokの「信頼できるテクノロジーパートナー」となり、米国のすべてのユーザーデータのホスティングと、米国の国家安全保障要件が完全に満たされるように関連するコンピュータシステムの安全性を確保する責任を負うことになります」とのこと。「TikTokは現在、商業的なパートナーシップについてもウォルマートと協力している」と続けた。

一方オラクルは、米政府、米国財務省、議会からのTikTokに対する懸念はすべて、同サービスがクラウドプロバイダーとしてオラクルを選択したこととは無関係であることを示した。オラクルは声明の中で「TikTokによるこの技術的な決定は、ビデオ会議サービスのZoomが最近、ビデオ会議の容量の大部分をOracle Public Cloudに移行したことに大きく影響された」と述べている。

CNBCのAlex Sherman(アレックス・シャーマン)記者は所有権構造の内訳を次のようにツイートしている。

TikTok Globalの所有権の件について詳しい人によると、オラクルが12.5%、ウォルマートが7.5%、TikTokの親会社であるByteDanceが残りの80%を取得する。しかし、ByteDanceの所有権の40%は米国のベンチャーキャピタルからの資金調達で、トランプ政権はこの取引を「大多数の米国ドル」として計算している(これらの数字は、もちろんポストIPOの周りに移動する可能性がある)

この取引は、米国の消費者とTikTokのアルゴリズムや米国内の意見に影響を与えるために使用される方法について、実際にセキュリティ上の懸念を持っている人々以外のすべての人に利益をもたらします。

ByteDanceは米国企業の所有権を維持し、オラクルは不振に陥っているビジネスを後押しするために巨大なクラウド顧客を獲得。ウォルマートは物を売るために十代の若者にアクセスできるようになり、米国の顧客データは安全ではなくなった。結局のところ、今は外国人ではなく米国の捕食者の手に渡っているだけだ

もちろん、データのプライバシーとセキュリティは大きな懸念事項だが、TikTokに関しては必ずしもそうではない。さらに、中国政府はすでに米国の顧客に関するあらゆるデータを入手している可能性が高い。

多くのオブザーバーにとってTikTokの本当の懸念は、同社の中国の所有者が、コンテンツの宣伝や抑制のためにアルゴリズムを操作するように中国政府から圧力をかけられる可能性があるということだ。インターネット大手を含む中国の企業は、中国の諜報・クラウドセキュリティ法に従うことが義務付けられており、データに関するすべての政府の命令を完全に遵守しなければならない。

商務省は声明の中で「最近の前向きな動きを踏まえ、Wilbur Ross(ウィルバー・ロス)商務長官はトランプ大統領の指示により、2020年9月20日に発効していたTikTokモバイルアプリケーションに関連した行政命令13942に基づく特定取引の禁止を、2020年9月27日午後11時59分まで延期する」と述べている。つまり、1週間の猶予が与えられたわけだ。

オラクルの共同最高経営責任者(CEO)を務めるSafra Catz(サフラ・キャッツ)氏(画像クレジット:Albin Lohr-Jones/Pool via Bloombergx / Getty Images)

この騒動は何のために起こされたものなのか?これらの悪ふざけの中で最高の投資収益を得るのは、ほぼ間違いなくオラクルの共同最高経営責任者(CEO)を務めるSafra Catz(サフラ・キャッツ)氏のトランプ氏への投資だ。キャッツ氏はトランプ政権への多額の寄付者であるだけでなく、2016年には政権移行委員会にも加わった。ありがたいことに、米国がTikTokを中国のクローン資本主義から救ってくれたことには感謝しよう。そして彼がワシントンDCのクローン資本主義を享受していることを願うばかりだ。

画像クレジット:Albin Lohr-Jones/Pool via Bloombergx / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

トランプ大統領がTikTokめぐるOracle提案の「コンセプト」を承認

ドナルド・トランプ大統領は、人気のショートムービーアプリTikTok(ティクトック)の米国事業に関するOracle(オラクル)案の「コンセプト」を承認した(Bloomberg記事)。

報道によると、トランプ大統領は9月19日、ノースカロライナでの選挙集会に向けてホワイトハウスを出発する際、「このディールを承認した」と語った。「コンセプトとしてこのディールを承認した」と話したとされている。

親会社Bytedance(バイトダンス)からのTikTok米国事業のスピンアウトは、TikTokのデータの取り扱いポリシー、そして米国での人気が国家安全保障上の脅威となっているという理由でトランプ政権が要求したものだ。

TikTokと中国を切り離そうというトランプ大統領の動きは、TikTokユーザーのいたずらによって大成功となるはずだったオクラホマシティでの選挙集会が失敗し、選挙対策責任者だったBrad Parscale(ブラッド・パースケール)氏が解任される事態を招いた。

米国は安全上の脅威となるいくつかの中国テクノロジー企業のオペレーションの縮小を模索してきた。実際、TikTokのスピンアウトを要求した大統領令には、メッセージサービスWeChat(ウィーチャット)の米国事業の停止も含まれた。WeChatは中国最大のテクノロジー企業の1つであるTencent(テンセント)が所有している。そして米政府は通信・ネットワークテクノロジー開発のHuawei(ファーウェイ)もターゲットにしてきた。

財務長官Steven Mnuchin(スティーブン・ムニューシン)氏が今週初めに出した声明によると、TikTokのディールが承認されれば、その一環としてTikTok Globalという新会社が設立される。

新会社はテキサスに置かれ、最大2万5000人を雇用して50億ドル(約5230億円)を米国の教育に提供するとトランプ大統領が語った、とBloombergは報じた。

TikTokの米国事業の大半はいまロサンゼルスで展開されている。

トランプ政権は中国テック企業の米国オペレーションのディスラプトを引き続き進めていて、意を同一にする不可思議な仲間たちがTikTokのディールに反対するために団結している。

米国自由人権協会(ACLU)とFacebook(フェイスブック)傘下のInstagram(インスタグラム)の責任者は9月18日、TikTokとWeChatの禁止に反対する声明を出した。

「この命令は、2つのソーシャルメディアプラットフォーム上でコミュニケーションを取ったり重要な処理を行ったりする能力を制限することで憲法修正第1条に違反している」とACLUの国家安全保障プロジェクトのディレクターHina Shamsi(ヒナ・シャムシ)氏は声明で述べた。

米国テック企業の所有を通じた中国の影響に対する包囲網は、Tencentが支援する米国ゲーム業界トップ企業の多くにも及んでいるとのことだ。

こうした動きは米国のテック企業にとってかなりの悪影響を及ぼすかもしれないとInstgramの責任者Adam Mosseri(アダム・モセリ)氏は9月18日のツイートの中で指摘した。

「米国によるTikTok禁止は、より断片化された国家インターネットの方向に進む大きなステップになりえる。これは国境を越えて事業を展開することで恩恵を受けてきた米国のテック企業にとって悪いことだ」とモセリ氏は書いた。

画像クレジット: Alex Wong / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi