Mediumがパートナープログラムを改訂、新たな資格要件と紹介ボーナス制度を開始

編集方針の変更従業員の大量退職など、2021年になってさまざまな出来事が相次ぐ中、Mediumは米国時間8月11日、プラットフォーム上のライターらがコンテンツを収益化するためのMediumパートナープログラムの仕組みを大幅に変更することを発表した。

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2012年に設立されたMediumがパートナープログラムを開始したのは2017年のこと。以来、同プラットフォームは20万人以上の寄稿者に2800万ドル(約31億円)を支払ってきた。当初Mediumは、同社の会員がライターのコンテンツを読むのに費やした時間に応じて支払いを行っていた。Mediumの会員は月額5ドル(約550円)または年額50ドル(約5500円)を支払えば、有料コンテンツを含むプラットフォーム上のすべての投稿を読むことが可能だ。さらに各会員の購読料の一部が彼らが読んだライターへと分配される仕組みで、例えば同社の会員があるライターの作品を読むのに10%の時間を費やした場合、そのライターは会員のレベニューシェアの10%を受け取ることになる。

読まれた時間に応じた収益はこれまでと変わらないものの、Mediumは今後、紹介プログラムによる新たな収益方法を開始する。

これまでは、あるライターの記事を読んでいた読者が30日以内に有料会員に移行した場合、そのライターには、その読者が作品を読んだ時間分のクレジットが付与されていた。新しいモデルでは、パートナープログラムのライターは個人用の紹介ランディングページを持つことになる。このページを経由してMediumの購読を購入した読者がいる場合、ライターはその会員が有料会員であり続ける限りその会員の購読料の半分を受け取ることができるという仕組みになる(そこから2.9%+0.30ドル[約33円]の支払い処理手数料が差し引かれる)。つまり、あるライターが自分を通して100人の読者がMediumの月額会員に登録したとすると、そのライターには月額227ドル(約25000円)の報酬が支払われることになる。

画像クレジット:Medium

ただし、パートナープログラムに参加するには100人のフォロワーがいること、Mediumで少なくとも1本の記事を公開していること、特定の地域に住んでいることなど、より厳しい条件が課せられることになる。また、こういった新しい資格要件を満たしていても、6カ月間何も新作を公開しなければパートナーの資格を失う可能性がある。それでも、これまでの仕組みではパートナーになっただけでは金銭的な報酬は保証されておらず、フォロワー数の少ないパートナーの中には毎月の収入が数円という人もいたというから、これはある種の改善である。既存のパートナーは2021年末まで現在のステータスを維持できるが、それまでにフォロワーが100人に達していない場合は削除されることになる。

またMediumは近い将来、最低支払額を10ドル(約1100円)に設定する予定だという。つまりライターが1カ月に10ドル未満しか稼げなかった場合、その分の報酬は翌月に繰り越され、最低10ドルが貯まってから支払われることになる。

Mediumはこれまで会員数について口を閉ざしてきたが、CEOのEv Williams(エヴァン・ウィリアムズ)氏はTechCrunchに対し11月、その会員数は「数十万人」であると述べている。Axiosによると2021年3月までのMediumの会員数は72万5000人とのことだが、Digidayは以前、Mediumが2020年までに100万人の会員数を達成したいと考えていたことを報じている。2017年に設立された競合のSubstackは、9月の時点で25万人の有料会員を抱えており、その2カ月後に6500万ドル(約71億円)のシリーズBラウンドを調達している。Mediumが最後にベンチャー資金を調達したのは2016年で、5000万ドル(約55億円)のシリーズCラウンドである。

Substackや新参のGhostのようなプラットフォームは、有料購読者の数に応じてライターに報酬を支払っている。Mediumの新しいレベニューシェアモデルも同様に、読者をプラットフォームに誘導することがライターのインセンティブになっているものの、Mediumの取り分は約50%である。ライターの個別ニュースレターへの直接購読に対しては、Substackは10%、Ghostは月9ドル(約990円)を受け取っている。SubstackやGhostの読者は複数の個別ニュースレターを購読しているかもしれないが、Mediumの購読者は月5ドルまたは年間50ドルの料金を支払うだけで、ウェブサイトの全コンテンツにアクセスが可能だ。

競争の激しいニュースレタービジネスの世界。6月にはFacebookが厳選された寄稿者によるBulletinというニュースレタープラットフォームを立ち上げ、2021年初めにはTwitterがRevueを買収。そして先週、QuoraがQuora+というマネタイズプラットフォームを発表している。会員費はMediumと同じ価格設定となっており、またMediumと同様、Quora+の購読者はライターが有料化を選択した全コンテンツにアクセスが可能。ライターはコンテンツへのエンゲージメントに応じて報酬を受け取ることができる。さらにライターはQuora上でユーザーが作成した出版物のようなSpacesに有料の記事を書くこともでき、Quoraはその支払いの5%を受け取っている。

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画像クレジット:Medium

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

​​​​アダルト系SNSのOnlyFansが「職場安全」なアプリを宣伝、約1098億円超の評価額で資金調達目指す中

アダルトコンテンツクリエイターがオーディエンスを通じて直接マネタイズできるプラットフォーム「OnlyFans(オンリーファンズ)」は、同社がiOSとGoogle Playで提供しているSFW(safe-for-work、職場でも安全)なアプリ「OFTV」をプッシュしている。広告なしのこのアプリは2021年1月にローンチされ、料理のチュートリアルやヨガのルーティン、インタビューなど、OnlyFansのクリエイターたちによる800以上のビデオを共有している。しかし、同社が既存のOnlyFans顧客ではない人々にリーチすることを目指してアプリをマーケティングするのは、今週が初めてになる。

「OFTVにはアダルトコンテンツはありません。収益化されておらず、クリエイターの収益に直接影響を与えないため、アプリストアに参入することができるのです」とOnlyFansのCEOであるTim Stokely(ティム・ストークリー)氏はBloombergに語った。App StoreとGoogle Playはいずれもポルノを禁止しているが、(Redditのような)ユーザー生成コンテンツを含むアプリの場合、NSFW(職場危険)コンテンツはそのように表示され、デフォルトでは非表示になっている限り、アプリストアに滑り込める。OnlyFansサイトはウェブ上に存在するため、AppleのApp StoreやGoogle Playでは承認されていない。

画像クレジット:OFTV(screenshots by TechCrunch)

OnlyFansは利益を上げているが、今後も成長を続けるために、10億ドル(約1098億円)以上の評価額で資金調達を目指している。Bloombergによると、OnlyFansは、アダルトな評判を気にする広告主を募るために、よりメインストリームなプラットフォームになりたいと考えているようだ。​​​​​​ヒップホップミュージシャンのCardi B(カーディ・B)やプロボクサーのFloyd Mayweather Jr.(フロイド・メイウェザー・ジュニア)といった有名人もOnlyFansに参加している。また、2020年3月、このアプリは「クリエイティブ・ファンド」を立ち上げ、4人の音楽アーティストに活動補助金として2万ポンド(約300万円)の報酬を与えた。さらに、同アプリがブログで紹介している「ライジングスター」には、ソングライター、フォトグラファー、スタイリスト、パーソナルトレーナー、シェフなどが含まれている。度同社がSFWクリエイターにスポットライトを当てようとしている姿勢は明らかであり、OFTVのプロモーションもそれを裏付けている。

同社のプラットフォームは2016年の設立以来、クリエイターに30億ドル(約3294億円)以上を支払っており、特に2020年は、パンデミックによる経済的逼迫の中で多くの人がOnlyFansに収入源を求めたことから、収益が553%以上も増加した。OnlyFansはクリエイターの収益から20%を徴収しているが、比較的にPatreon(パトレオン)は5~12%、Cameo(カメオ)は25%を徴収している。仮に(NSFWコンテンツなども考慮に入れた上で)OnlyFansがアプリストアに受け入れられたとしても、プラットフォームの20%に加えてアプリストアの手数料が30%余分にかかることになるので、クリエイターにとっては良いことではないかもしれない。しかし、OFTVはコンテンツを販売したり、未承諾のユーザーがビデオをアップロードすることを許可していないため、その目的は、ポルノではないOnlyFansのコンテンツをより盛り上げることにあるようだ。

SFWクリエイターにアピールするためには、OnlyFansのイメージを払拭する必要があるかもしれないが、それよりも重要なのは、プラットフォームがクリエイターにとって特に収益性の高い空間であることを示すことだろう。OnlyFansの売上高を見ればわかるが、それはプラットフォーム自体よりも、クリエイター経済の成長やコンテンツの性質にかかっているのかもしれない。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:OnlyFansアプリクリエイター収益化NSFWSNS

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

Q&AプラットフォームQuoraで専門知識の収益化が可能に

この5月、Yahoo! Answers(ヤフー!アンサーズ)が2005年以来続いたネットQAの歴史の幕を閉じた。だがそれを横目に、当初は質疑応答サイトとして始まり、今ではブログを組み込むように拡張されたQuora(クオーラ)が、そのプラットフォームをクリエイターにとってより魅力的なものにしようとしている。

Quoraは「広告だけでもキャッシュフローがプラスになる軌道に乗っています」と発表しているので、プラットフォームが現在黒字ではないことが示唆されている。しかし、Quoraは、クリエイターの経済に関わりサブスクリプションを活用することを、利益を上げる方法と見なしている。

QuoraのCEOであるAdam D’Angelo(アダム・ダンジェロ)氏は「私たちは、知識の共有をクリエイターにとって、より経済的に持続可能なものにしたいと考えています」と、ブログ投稿に書いている。「いまでも多くの方々に、やる気をもって、ただ知識を共有するためにQuoraでの書き込みに時間を費やして貰えていますが、経済的正当性があればより多くの人たちにより多くの知識を共有して貰えるでしょう」。

Quoraの最初の新製品はQuora+(クオラプラス)だ。サブスクライバーは月額5ドル(約549円)または年額50ドル(約5489円)を支払うことで、 クリエイターが有料と指定したコンテンツにアクセスすることができる。これらは、広告のないMediumが、そのメンバーシッププログラムに対して課金する額と同じだ。

サブスクライバーは、特定の選択したクリエイターに支払うのではなく、Quoraに対して支払う。そして、各サブスクライバーの支払いは「各サブスクライバーがコンテンツを消費している量に比例して、クリエイターに分配されます。またサブスクライバーのフォロー数が多いライターとスペースにはより多く分配が行われます」とのことだ。クリエイターには、Quora+コンテンツに対して動的ペイウォールを有効にするオプションが与えられる。これは、Quoraが有料メンバーシップに転換する可能性が高いと考えた無料ユーザーに対して特定の投稿をアクセス可能にする機能だ。また、それとは別にアルゴリズムを使用して、ケースバイケースで特定のユーザーに対してコンテンツをペイウォールするかどうかを決定する「アダプティブ」ペイウォールオプションも用意される。これは、クリエイターがコンテンツを収益化することと、読者を増やして新しい潜在的なサブスクライバーを見つけることのバランスを取るのに役立つはずだ。

QuoraはTechCrunchに対して、Quora+の実験がまだ続いており、サブスクリプションから何パーセントの手数料を取るかは決定していないと語った。

もう1つのオプションは、Quoraにユーザーが投稿する記事のように、クリエイターがスペースに有料記事を書くことだ。この場合Quoraはサブスクリプション料金のうちの5%を受け取る。料金はクリエイター自身の裁量で決めることができる。これに対して、ライバルである読者直販ブログプラットフォームのSubstack(サブスタック)はライターの売上の10%を受け取っているので、Quoraは良い代替手段となるだろう。Ghost(ゴースト)のような他のプラットフォームは ライターに月額9ドル(約988円)の利用料金を要求するが、ライターの収益はそのまま渡される。もし月額180ドル(約1万9757円)以上を稼ぐ著者なら、GhostはQuoraよりも収益性が高くなる。

「プラットフォームの開発と運用のほとんどに対して必要な資金を広告収入から十分得ることができるので、将来的に料金を引き上げることなく、最小限の料金で持続的に取り組むことができます」とダンジェロ氏は書いている。一方、Substackには広告がない。

Quoraは、2017年に8500万ドル(約93億3000万円)を調達した後18億ドル(約1975億7000万円)の評価額に達した、当時プラットフォームの月間ユーザー数は1億9000万人だった。ダンジェロ氏のブログ投稿によれば、現在毎月3億人以上がQuoraを使用している。こうしたユーザー数の増加にもかかわらず、Quoraは2020年1月にベイエリアとニューヨーク市のオフィスのスタッフの一部を解雇した(人数非公開)。

スペースサブスクリプションは、米国を含む25か国(今回日本は含まれていない、ブログ中には他の国にも順次展開されると書かれている)の英語ユーザー向けに米国時間8月5日より開始される。またQuora+の展開はそれほど迅速には行われない、これはQuoraがプラットフォームをテストし、サブスクライバーとクリエーターにとって最適なやりかたを決定するために、選択したライターの招待を行うためだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Quoraクリエイター収益化サブスクリプション

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(文: Amanda Silberling、翻訳:sako)

ファンの楽園に異変、Tumblrのベータサブスクリプション機能にユーザーが猛反発

Tumblr(タンブラー)ユーザーはしばしばそのコミュニティをネット界の荒れ地になぞらえるが、それは間違っていない。7万件のリアクションがあったテキスト投稿がそれを物語っている。「私のお気に入りのソーシャルメディアサイトはTumblr。有名人を認証するシステムも、投稿を宣伝するアルゴリズムもないから、有名人の居場所はない。彼らにとっては、無法者たちが集う荒野なのだ」。

それでも、Tumblrは他のソーシャルメディア企業同様、ユーザーがこれからも難解なファンアートや、ナンセンスでくだらない投稿や「続きを読む」ボタンの下に隠された赤裸々な日記エントリーを共有できるようにするために、収益を確保して事業を継続することが必要だ。Tumblrは先に、Post+(ポストプラス)サブスクリプション機能の限定ベータテストを発表した。計画通りに進めば、Tumblrのユーザーは、毎月3.99ドル(約440円)、5.99ドル(約660円)、9.99ドル(約1100円)のいずれかに設定された料金を支払う購読者に対し、有料会員限定コンテンツを提供できるようになる。

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画像クレジット:Tumblr

このような形で収益化を図るソーシャルメディアプラットフォームは、Tumblrが最初ではない。Twitter(ツイッター)はSuper Follows(スーパーフォロー)Tip Jar(チップジャー)機能を展開しており、YouTube(ユーチューブ)も投げ銭機能について発表した。Instagram(インスタグラム)もツイッターのスーパーフォローのように、ユーザーが「独占ストーリー」を作成できる機能を実装しようとしている。とはいえ、Tumblrの雰囲気にぴったり合っているWil Wheaton(ウィル・ウィトン)Neil Gaiman(ニール・ゲイマン)のような例外を除けば「無法者の集まる荒野」のようなプラットフォームを誇りにしてきたコミュニティを抱えるウェブサイトにおいて、有料会員限定コンテンツへの動きが手放しに歓迎されることはなかった。

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マネタイズは諸刃の剣だ。Tumblrのアーティストにとって、ブログにPatreon(パトレオン)やKo-fi(コーフィ)のようなサードパーティサイトへのリンクを貼り、熱心なフォロワーが有料限定コンテンツへのアクセスを購入したり、投げ銭を送ったりすることを可能にするのは、別に野暮なことではない。そういうわけで、Tumblrにとってポストプラスが収益を生み出すわかりやすい方法に思えたのだろう。フォロワーを別のウェブサイトに誘導する代わりに、自社のプラットフォームでファンがクリエイターをサポートする仕組みを作り、そのうちの5%を徴収するのだ。ツイッターの新しいマネタイズツールでは収益の3%、YouTube(ユーチューブ)やTwitch(ツイッチ)のような動画がメインのプラットフォームではそれぞれ30%と50%を徴収していることを考えれば、決して理不尽な比率ではない。でも、Tumblrはツイッターではないし、ユーチューブでもツイッチでもないのだ。他のプラットフォームと違って、Tumblrでは他の人のフォロワー数を見ることができず、認証済みアカウントの制度もない。人気の投稿をした人のフォロワー数が100人なのか10万人なのかは誰もわからないが、ユーザーはそのスタイルを望んでいる。ポストプラスではその点が変更され、ブロガーのユーザー名の横にツイッターの青いチェックマークに似たアイコンが表示されるようになるのだ。

Tumblrのポストプラス対象クリエイターのプロフィール

Tumblrは、厳選された一部のクリエイターにポストプラス機能を公開した。その1人が、ライター兼宇宙物理学者であるKaijuno(カイジュノ)だ。今回Tumblrはこのポストプラス機能を、多くのユーザーが重要なお知らせを確認するスタッフブログではなく、この製品専用の新しいブログで発表した。そのため、自分たちのお気に入りソーシャルメディアサイトが資本主義を優先する地獄に変わることを望んでおらず、怒りに燃えたTumblrユーザーが、24歳のこのブロガーを攻撃の対象とした。この機能の使用を許可された公開ユーザーの大多数にも、同じような攻撃が発生した。カイジュノがポストプラスのベータテストに関連して殺人予告を受けたため、Tumblrのスタッフが事態に介入し、ポストプラスユーザーに対する嫌がらせを糾弾した。

Tumblr側は「みなさんの好みや熱中していること、心配していることについて、それが受け入れにくく思えるものであっても、私たちは喜んで耳を傾けますから、それをお知らせください。喜んでお聞きします。私たちにとって耐え難いのは、今日の午後以降それらのクリエイターたちを対象とした嫌がらせや脅しがあったことです。【略】彼らは機能をテストしているだけです」とスタッフブログで書いている。

このメッセージが投稿される前に、Tumblrの担当スタッフがカイジュノと連絡を取り、炎上の状況について直接調査を行っているとはいえ、Tumblrのサービスを利用したことですでに脅しを受けているユーザーに対して、Tumblrができることはそれぐらいしかない。

カイジュノはTechCrunchに対して「いけにえの子羊にされた気分です。ポストプラスについては事前に通知されず、一部の人だけに機能を公開しました。私としては、コンテンツに対する支払手段の選択肢を用意して、医療費の足しにしようかと考えていましたが、気が付いたら、自分たちがバカにされたと感じているユーザーたちの攻撃対象になってしまいました。Tumblrのユーザーはサイトにどんな変更があっても気に入らないので、多少の炎上があるとは思っていました。とはいえ、炎上の標的は主にスタッフで、ベータテストの参加者は炎上することは、まずないだろうと考えていました」と話した。

Tumblrのユーザーが、マネタイズをそこまで大きな脅威だと考えるのはなぜか。問題は、その機能がクリエイターを支援するために役立つかどうかではなく、Tumblrがこの種のサービスをホストできるかどうかだ。Tumblrをこよなく愛する複数のベテランユーザーがTechCrunchに対して指摘したのは、2020年後半にブログがスパムボットにハッキングされ、Ray-Ban(レイバン)のサマーセールの広告がひっきりなしに投稿された事件である。

カイジュノは「Tumblrのウェブサイトのコーディングはあまり優れたものではなく、機能が壊れやすくなっています。Tumblrに財務情報を預けるなら、なんでも炎上するでしょうね」と付け加える。

Tumblrユーザーが懸念する別の点は、ポストプラスがプライバシーに与える影響だ。限定ベータテストでは、ポストプラスユーザーがブログ購読中のユーザーをブロックするには、Tumblrのサポートに必ず連絡する必要がある。これでは、購読ユーザーから嫌がらせがあった場合に、ブロガーが危険にさらされる可能性がある。

Tumblrの広報担当者はTechCrunchに対し「米国のクリエイター全員にサービスが提供される2021年の秋までに、ポストプラスのクリエイターが自分で購読者を直接ブロックできるようにする予定です」と語った。

オンライン依存度が非常に高いZ世代は、Tumblr利用者の48%を占めているが、彼らはスタッフの給与とサーバーを維持するために、十分な収入がなければプラットフォームの存続は期待できないこともよくわかっている。2018年にすべての「閲覧注意」コンテンツを禁止した際、Tumblrは月間ページビューのほぼ3分の1を失っている。それ以来、同サイトの月間トラフィック量が上向かない状況が続いている。

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画像クレジット:SimilarWeb

Tumblrの元従業員がTechCrunchに語ったところによれば、ポストプラスとして発表された機能も、最初は投げ銭機能として始まったらしい。ところが、Tumblrの上層部はそのプロジェクトを、ユーザーコミュニティの意見を聞くこともなく、サブスクリプション限定サービスの開始へと方向転換させたようだ。

Tumblrのブログnormal-horoscopes(ノーマルホロスコープ)のクリエイターは「投げ銭であれば、大きな機能改善になったと思います」と書いている。彼らはTumblrで獲得してきたコアオーディエンスに支えられる形で、パトレオンからの収入で生計を立てているが、ビジネスにポストプラスを新たに導入する必要性を感じていない。「(パトレオンのような)外部サービスのほうが、オプションが豊富で特典も多く、利用しやすい価格設定です。クリエイターとしても、オーディエンスに公開する方法を選ぶことができます」。

だが、全体的に言って、サブスクリプション購入者限定サービスに対するTumblr利用者の見方は異なるようだ。ファンの文化が栄えるサイトにおいて、ファンアートやファンフィクションのクリエイターは、二次創作物を有料サービスで公開することに懸念を感じている。ポストプラスは公開することを推奨しているが、これは法律面で問題となってしまうのだ。有名なファンフィクションサイトのArchive of Our Own(アーカイブ・オブ・アワ・オウン)に至っては、パトレオンやコーフィのような支払いサイトからリンクを貼ることをユーザーに禁じているほどだ。

「ビジネスや企業アカウントに加えて、コンテンツよりも収益を優先するユーザーたちにとって、マネタイズ機能の組み込みは魅力的でしょう。この機能は、プラットフォームの文化を変えてしまいます」とノーマルホロスコープはいう。

現在、不満を抱くユーザーたちがフォロワーに対して、ポストプラスのフィードバックアンケートで自分たちの不満を表明するよう、Tumblrのあちこちで促している。このことはスタッフも歓迎している。

Tumblrの広報担当者は、TechCrunchに対して「新しい機能を立ち上げる時には、その機能でTumblrの利用方法がどのように変わるのかについて、建設的なディスカッションが行われることを期待しています。全員の意見がポジティブということはないと思いますが、それでいいのです。建設的な批判があると、サービスを生み出す原動力になるため、最終的にはTumblrの環境を改善できるようになるでしょう」と語っている。

Tumblrのコミュニティは何年もの間、プラットフォームで自然な収益システムを構築できるかという問題を抱えてきた。Tumblrのユーザーは、Tumblrのスタッフに不信感を抱きながらも、Tumblrのサイトを守りたいという感覚を持っている。これが、Facebook(フェイスブック)のようなソーシャルメディアの絶対権力者とは違うところだ。フェイスブックなら、綿密な調査も行わずにサービスの中心にeコマースを据えてしまうことができる。一方、Tumblrのポルノ禁止令による甚大な影響から3年経った今も、ソーシャルネットワークをユニークなものにしているユーザーたちを見捨てて成長していくことは、Tumblrにとって難しいようだ。

Reddit(レディット)やDiscord(ディスコード)のようなプラットフォームでは、トップ投稿者の報酬となるコインや特別な絵文字の販売など、デジタル商品の販売によって運営を継続している。財務面のニーズは企業ごとに異なっているとはいえ、Tumblrがポストプラスによるマネタイズを選択したことは、Tumblrが自社のユーザーコミュニティの願いを十分に理解していないことを如実に示すものだと言えるだろう。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TumblrSNS収益化クリエイターサブスクリプション

画像クレジット:Hieu Vu Minh/Unsplash(modified by TechCrunch)

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

フェイスブックが予想を上回る第2四半期決算を発表、今後は広告事業への「逆風」を警告

Facebook(フェイスブック)は、第2四半期の決算を米国時間7月28日に発表した。その売上高は290億ドル(約3兆1800億円)と、アナリストの予想を上回った。

この世界最大のソーシャルメディア企業は、2021年度の第2四半期の売上高が、前年同期の186億ドル(約2兆400億円)から50%増となる278億ドル(約3兆500億円)と予想されていた。1株当たり利益は3.61ドル(約396円)と、こちらも予想を上回った。

新型コロナウイルスの世界的流行に見舞われた1年を経て、経済的に半正常な状態に戻った最初の決算期に、Facebookは予想通りユーザー数の増加を達成させた。3月末時点で、Facebookは各アプリのネットワーク全体で28億5000万人の月間アクティブユーザーを抱えていた。第2四半期末(6月30日)の時点では、月間アクティブユーザー数はほぼ予想された通りの29億人となっている。

米国時間7月28日の朝、375ドル(約4万1200円)で始まった同社の株価は、決算発表後に360ドル(約3万9500円)まで下落した。

好調な四半期を終えたにもかかわらず、Facebookは今後の変化について警告している。これはすなわち、今四半期の売上高290億ドルのうち285億ドル(約3兆1300億円)を占める巨大な広告事業が受ける影響の件だ。Facebookは同社の事業を脅かすものとして、特にApple(アップル)のモバイルOSに導入されたプライバシー機能を強化するアップデートを挙げている。

「2021年には、規制やプラットフォームの変更による広告ターゲティングの逆風が強まると、私たちは引き続き予想しています。特に最近のiOSのアップデートは、第2四半期よりも第3四半期に大きな影響を与えるでしょう」と、同社は投資家向け報告で見通しを述べている。

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FacebookのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは、同社の投資家向けオンライン会見で、広告収入への依存度を下げる計画を指摘。コンテンツクリエイターを惹きつけ、支援するための取り組みを拡大していること、特にeコマースに関する計画について述べた。「当社のプラットフォームを、クリエイターが生計を立てるための最良の場所にしたいと考えています」と、ザッカーバーグ氏は語り、2023年からクリエイターツールの収益化を開始する計画があることを明らかにした。

ザッカーバーグ氏はまた、VRを使ったソーシャル体験に対するFacebookの壮大な野望も強調し「バーチャルリアリティは、ソーシャルなプラットフォームになるでしょう。だからこそ、私たちはそれを構築することに集中しているのです」と語った。

このオンライン会見の中で、ザッカーバーグ氏は、バーチャルリアリティをベースとしたソーシャルネットワークでは、衣服やアバターなどのデジタル商品を収益化することが可能だというFacebookの見通しについても語った。Facebookは、バーチャルなソーシャルネットワークが相互に接続されたウェブの概念を「metaverse(メタバース)」と呼んでいる。これは、1992年に出版されたNeal Stephenson(ニール・スティーヴンスン)の未来派SF小説「Snow Crash(スノウ・クラッシュ)」に因んだものだ。

Facebookが水曜日にどのような報告を予定していたかに関係なく、同社が財務的に強大な存在であることに変わりはない。西洋諸国での悪評やユーザーの不信感は、同社の収益を悪化させるほどのものではなく、同社の広告事業は相変わらず市場を圧倒しているように見える。米国で意義ある反トラスト法改正が行われたり、競合他社が急成長しない限り、Facebookの行く手を阻むものはほとんどない。前者については、議会の党派的な対立を考えると、ホワイトハウス関与しているとはいえ、未だ望みは薄いかもしれない。しかし後者については、Facebookにもついに脅威が迫っている。

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これまで長年の間、Facebookに適当な競合となるソーシャルメディアプラットフォームが現れるとは、想像が難しかった。市場を支配している同社には、競合他社を買収したり、そのイノベーションを大胆にコピーする悪癖があったためだ。しかし今、TikTok(ティックトック)がまさにそんな存在になりつつあることは明らかだ。YouTube(ユーチューブ)は巨大だが、Facebookとは並行して共存しながら成熟し、互いに補完的な体験を提供しているため、脅威となるような直接的な競合ではなかったのだ。

調査会社Sensor Tower(センサー・タワー)のデータによると、TikTokは2020年7月に月間アクティブユーザー数が7億人に達し、2021年7月初めには全世界でのダウンロード数が30億回を超えた。これはFacebook傘下ではないアプリとしては初の快挙だ。もし、この中毒性の高い短編動画アプリが、若いユーザーがInstagram(インスタグラム)をはじめとするFacebook傘下のプラットフォームに費やしている長い時間の一部をうまく吸い上げ、その過程において企業にとっても快適なホームとなることができたら、メンロパークから出てきた青い巨人はついに寝不足になるかもしれない。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook決算発表広告クリエイター収益化VRメタバース

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

TumblrがZ世代のクリエイターのためのサブスクサービスPost+を開始

Twitter(ツイッター)がSuper Follows(スーパーフォロー)を開始し、YouTube(ユーチューブ)が新しいマネタイズツールを追加し、Instagram(インスタグラム)がeコマースを導入するなど、ソーシャルメディア界はクリエイターが生計を立てるための新しい方法で盛り上がっている。この争いにTumblr(タンブラー)も、ユーザーがコンテンツを収益化できるようにする初の試みであるPost+(ポストプラス)で参入する。Post+は米国時間7月22日より限定ベータ版として開始されるが、当初はTumblr自身が厳選した米国内のクリエイターに限定される。

TwitterのSuper Followsのように、TumblrのPost+ではオリジナルアート作品、個人のブログ記事、二次創作のファン作品など、クリエイターが有料化したいコンテンツを選択することができる。クリエイターは、サブスク専用コンテンツの価格を月額3.99ドル(約440円)から始めて、さらに5.99ドル(約660円)、9.99ドル(約1100円)と段階的に設定することができる、Tumblrは、クリエイターの利益から5%を徴収する。

Post+でコンテンツを作成するプロセスは、他のTumblrの投稿と同じだ。クリエイターはビデオ、オーディオクリップ、テキスト投稿、画像などの投稿が、有料購読者専用であることを示すボックスにチェックを入れるだけだ。

画像クレジット:Tumblr

Tumblrの広報担当者は、TechCrunchに次のように語った「TumblrのPost+はプロや1万人以上のフォロワーを持つ人だけのものではなく、インターネット上でお金になるコンテンツの限界を押し広げるものになります。たとえばネタ作家、ミームクリエイター、アーティスト、ファンフィクション作家、上記のすべての人々、そしてその間にいる人たちが、ファンコミュニティを構築しながらコンテンツを作成し、Post+で報酬を得ることができるようになります」。

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2010年の発売日に「The Hunger Games(ハンガー・ゲーム)」の最終巻を読んだことをライブブログで書き込んだミレニアル世代にとって、Tumblrは過去の遺物のように思えるかもしれない。2007年に設立されたこのプラットフォームは、これまでさまざまな変化を遂げてきた。2013年にTumblrはYahoo(ヤフー)に11億ドル(約1212億円)で買収され、その後YahooはVerizon(ベライゾン)に買収された。

画像クレジット:SimilarWeb

しかし、2018年12月にTumblrに大規模な変化が訪れ、プラットフォームはすべての露骨な性的表現のあるコンテンツやポルノを禁止した。その1カ月前に、Tumblrアプリは、そのフィルタリング技術を児童ポルノが突破したことで、iOS App Storeから削除されていた。これを受けて、同プラットフォームでは、ポルノを全面的に禁止することになったのだ。その禁止4カ月後、Tumblrの月間ページビューは1億5100万回(29%)減少した。それ以来、SimilarWeb(シミラーウェブ)によると、このプラットフォームはコアなユーザーベースを維持しており、月に約3億1000万から3億7700万ページビューの間で推移している。ただし分析結果によれば今でも若干の減少傾向を示しているようだ。Tumblrは、月間アクティブユーザー数を公表していないが、同プラットフォームには1日あたり1100万件以上の投稿があり、5億件のブログがあことを発表している。

2019年、このプラットフォームはWordPress.com(ワードプレス.com)を所有するAutomattic(オートマチック)に売却された。Tumblrは、ポルノ禁止令以降、大きな成長は見せてこなかったが、新しいオーナーの下で、若い層にアピールする機能を提供することで、収益を上げるための新しい方法を模索している。Tumblrによると、ユーザーの48%以上が(1990年代半ば以降生まれの)Z世代である。このZ世代のユーザーは、旧世代のブロガーに比べてプラットフォームの利用時間が26%長く、1日の平均利用時間は年に100%以上増加している。

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タグ:TumblrZ世代クリエイター収益化サブスクリプション

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(文:Amanda Silberling、翻訳:sako)

YouTubeが新しい収益化機能「Super Thanks」発表、個別の動画に対してクリエイターに投げ銭可能に

米国時間7月20日、YouTube(ユーチューブ)は最新の機能「Super Thanks(スーパー・サンクス)」を発表した。これは、ファンが直接クリエイターに支払う仕組みに同社が名づけた「Paid Digital Goods(ペイド・デジタル・グッズ、有料デジタル製品)」の第4弾だ。これまでに「Super Chat(スーパー・チャット)」「Super Stickers(スーパー・ステッカー)」「チャンネルメンバーシップ」の3種類が提供されているが、 Super Thanksは、ファンがライドストリームではなくアップロードされた個々の動画についてクリエイターに投げ銭できる初めての機能だ。

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動画に特別の感謝を表したいとき、視聴者は2ドル(約220円)から50ドル(約5500円)まで4種類の設定金額を現地通貨でクリエイターに支払うことができる。Super Thanksを購入したユーザーはメッセージを書くことができて、コメント欄にハイライト表示される。

YouTubeがこれまで提供してきたクリエイターに直接支払うためのツールは、Twitch(トゥイッチ)に追いつくための機能という印象だったが、今回YouTubeは、Super Thanksで差別化をはかろうとしている。Instagram(インスタグラム)にもクリエイターがライブ出演した時に投げ銭できるBadges(バッジ)などの機能があるが、個別の投稿についてクリエイターがお金を受け取る方法はない。代わりにInstagramはeコマースに大きく転換しをはかっていて、ファンがクリエイターとつながる方法としてはSuper Thanksと比べてオーガニックでも直接的でもない。

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2020年はYouTubeのPaid Digital Goodにとって最大の年になり、1000万人以上がSuper Chat、Super Stikcerまたはチャンネルメンバーシップを初めて購入した。2020年に売上の半分以上をこれらの製品から得たチャンネルの数は2019年の3倍以上だった。

「空き時間の私はYouTubeクリエイターです」とYouTubeのPaid Digital GoodsプロダクトマネージャーのBarbara Macdonald(バーバラ・マクドナルド)氏はいう。「実に幸運なことに、私のクリエイターとしての洞察力は、私やチームがYouTubeユーザーのためによりよいプロダクトを作るのに役立っています」。

2019年以来、マクドナルド氏のチームはYouTubeクリエイターの集団とともに、当初「applause(アプローズ)」と呼ばれていたこの機能のベータテスターとしてパイロットテストを進めてきた。参加したクリエイターはプロダクトに関するフィードバックや提案を送り、YouTubeがそれを参考にしている。名前を「applause」から変更する、高額のオプションを追加して売上の可能性を最大にする、Super Thanksのメッセージを他のコメントと区別するなどの提案があった。YouTubeはファンからクリエイターへの支払いから30%を受け取る。一方ライバルのTwitchはストリーマーのサブスクリプション売上の50%を受け取っている。

7月20日から、Super Thanks機能はYouTube Partner Program(ユーチューブ・パートナー・プログラム)のメンバーになっている68カ国、数千人のクリエイターに向けて提供開始される。対象はランダムに決められるが、YouTube Partner Programの有資格メンバーは全員、2021年中に利用できるようになるマクドナルド氏は述べた。

というわけで、ユーチューバーは動画の最後に「いいね!とコメントとチャンネル登録」のかわりに「いいね!、コメント、チャンネル登録とSuper Thanks」をお願いするようになるだろう。

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タグ:YouTubeクリエイター収益化

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Instagramはクリエイターの生活のためにアフィリエイトとショップ機能を導入

Apple(アップル)が例年のWWDCを開催しているこの時期、InstagramとFacebookは2021年初となるCreator Weekを試験的に開催した。その宣伝によると、この3日間のイベントは意欲的なもので、新進のデジタルクリエーターを対象とし、午前9時45分のバーチャルDJ大会に始まり「アルゴリズムの神話を打破する」をテーマとするパネルディスカッションや「日頃から関心のある非営利団体のための募金集会」などがある。

初日にMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、クリエイターの新しい収益化方法を紹介する発表を行った。それによると、Instagramは数カ月後に、ネイティブのアフィリエイトツールのテストを開始する。これによりクリエイターは、チェックアウト時に製品を推奨したり、フォロワーと共有したり、あるいは彼らのポスト(投稿)から生じた売り上げに手数料を徴収したりすることができる。クリエイターがそうした投稿を行うときには、スポンサーつきコンテンツのラベルの場合同様に、、ユーザー名の下に「手数料込み」という表示がでる。

今日から早くも利用可能になるのは、クリエイターが自分のビジネス用でなく個人用のプロフィールにショップのリンクを置ける機能だ。年内には、米国の一部のクリエイターはBravado/UMGやFanjoy、Represent、SpringなどInstagramのマーチャンダイズパートナーと提携して、アプリ上で限定商品を販売できるようになる。

Instagramのライブ動画では、視聴者がクリエイターにBadge(バッジ)を送り、彼らに0.99ドル(約08円)から4.99ドル(約547円)までのチップを渡すことができる。Facebook Gamingには、Starsという似たような機能があり、そこではStar(星)1つが0.01ドル(約1.1円)だ。クリエイターは今週から、他のアカウントと一緒にライブをするなど、何らかのチャレンジを達成したらボーナスを稼げる。たとえば宣伝の画像でFacebookは、Starを5000稼いだクリエイターに、本来の50ドル(約5476円)にプラスして150ドル(約1万6429円)のボーナスを提供している。

Facebookのポストでザッカーバーグ氏は次のように述べている。「私たちのプラットフォームでより多くのクリエイターの生活が成り立つようにするために、有料のオンラインイベントやファンのサブスクリプション、バッジ、近く立ち上げる独自のニュースプロダクトなどを2023年まで無料にします。私たちの売上のシェアは、Appleなどの他社が採用している30%に満たない比率にします」。

画像クレジット:Instagram

このようなアップデートは、アフィリエイトマーケティングとアプリ内ショッピングの導入を目指すInstagramの最新の戦術となる。2020年デビューしたばかりのInstagram ShopShopping in Reelsのデザイン変更も、その一環だ。

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「私たちの目標は、みなさんのようなクリエイターの生活が成り立つ最良のプラットフォームになることです。みなさんに世界と共有したいアイデアがあるとき、それを実際に作り、FacebookとInstagram上で簡単に発表できることが重要です。そしてもちろん、みなさんの作品でお金が得られることも重要です」とザッカーバーグ氏はCreator Weekで付け加えた。

こういうアフィリエイトやショップ機能の実験には、当分の間、Instagramがマージンをとらないため、クリエイターとして心惹かれるものがあるだろう。しかし、TikTokやYouTubeのようなプラットフォームには、eコマース以外の収益化方法がある。

2020年7月にTikTokは、総額2億ドル(約219億円)のTikTok Creator Fundを発表し、人気のある投稿者が自分の動画で稼げるようにした。その金額は明らかでないが、総視聴数やエンゲージ数などで決まるのだろう。2020年8月には、ユーチューバーからティクトッカーに転向したHank Green(ハンク・グリーン)氏が、1カ月のTikTokの視聴数2000万で約700ドル(約7万6649億円)稼げるだろう、という推定を述べた。視聴数1000(1000ビュー)に対して3.5セント(約4円)だ。

一方、TikTokに対抗するYouTube Shortsを立ち上げたYouTubeは、Shortsの上位クリエイターのために1億ドル(約109億円)のファンドを発表した。同社がコンテンツクリエイターに支払った額は、過去3年間で300億ドル(約3兆2847億円)だという。さらにSnapchatは、そのTikTok対抗馬Spotlightで、クリエイターに1日100万ドルか(約1億900万円)を支払っている。

フォロワーが何百万人もいないユーザーにとって、このようなクリエイターファンドは家賃の足しにもならない。しかしそれらが、eコマースや視聴者からのチップ以外の収入源であることは確かだ。今のところ、Instagramにはそれがない。

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タグ:Instagram収益化クリエイター

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

クリエイターの収益化を可能にする「リンクインバイオ」ホームページビルダーのBeaconsが6.5億円調達

モバイル用ランディングページビルダーを提供するBeacons(ビーコンズ)が、600万ドル(約6億5000万円)のシードラウンドを実施した。同社はクリエイターが自分のソーシャルメディアのプロフィール欄を通して収益を上げられるようにするというビジョンを提唱している。Neal Jean(ニール・ジーン)氏、Jesse Zhang(ジェシー・ゾン)氏、Greg Luppescu(グレッグ・ルペスク)氏、David Zeng(デビッド・ゼン)氏が共同で創業したこの会社は、ソーシャルメディアを利用する人が自分のフォロワーに表示することができる、モバイルに最適化された単一のリンクハブを提供する。

競合他社のLinktree(リンクツリー)同様に、Beaconsは、TikTok、Instagram、Twitterのプロフィール欄から他のサイトにリンクする方法を提供し、同時にフォロワーに対して寄付やアフィリエイトリンクなどを紹介する。こうしたリンクインバイオ(プロフィール欄のリンク)分野で競う企業には、他に Shorby(ショービー)Milkshake(ミルクシェイク)Tap.bio(タップバイオ)Link in Profile(リンクインプロフィール)bio.fm(バイオfm)、そしてCampsite(キャンプサイト)などがある。

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Beaconsは、Y Combinatorの2019年夏クラスに参加し、2020年9月にプライベートベータ版を開始した。Andreessen Horowitzがシードラウンドを主導し、Atelier VenturesThe ChainsmokersのMantis Fund、Night Media Ventures、ブラジルのeスポーツグループであるLOUDggが参加している。

Beaconsは、今回の600万ドルのシードラウンドをエンジェルラウンドで調達していた60万ドル(約6500万円)に加えることで、同社はエンジニアやデザイナーを採用し、初めて創業を経験した4人の小さなチームを成長させることができる。

Beaconsの共同創業者でCEOのニール・ジーン氏は、TechCrunchの取材に対して「当社がLinktreeと大きく異なる点は、クリエイターが自分のページを無料でカスタマイズでき、無料プランでもより多くのオプションを提供していることです」と語った。

「【略】クリエイターのみなさんは、自分のウェブサイトの見栄えをとても気にしていますので、このやり方はクリエイターのみなさんが望む機能を提供して、私たちの市場でのシェアを拡大するための良い方法だと思っています」。

ソーシャルメディア企業たちは、クリエイターを自社のプラットフォームや今後の収益化スキームに囲い込むため、特に個々のコンテンツへの埋め込みリンクにはあまり熱心に対応していない。また、ユーザーのプロフィールに掲載できるURLを1つに限定しているところも多く、クリエイターは1つのリンクの価値をを最大限に高める必要がある。当然ながらBeaconsは、多くのソーシャルプラットフォームの制限的なデザインが、クリエイターがコンテンツから簡単かつ柔軟に収益を上げる可能性を妨げていると主張している。

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ジーン氏は「まず手始めに、クリエイターが使えるさまざまな機能を開発していますが、長期的には、多くの人がその上で構築することができるプラットフォームやエコシステムにしていくことが、よりスケーラブルな方法だと考えています」という。

「現在は、コンテンツ制作者にとってのWix(ウィックス)やSquarespace(スクエアスペース)のような存在だと思いますが、将来的には、クリエイターにとってのShopify(ショッピファイ)のような存在になりたいと考えています」。

Beacons上での構築

Beaconsを使う際に、ユーザーは無料とプレミアムの2つのプランを選ぶことができる。月額10ドル(約1087円)の「アントレプレナー」(起業家)プランは、独自ドメインのサポートや、Beaconsページを構成するリンク、テキスト、画像のスロットである「ブロック」の追加オプションなど、検討に値する機能を提供している。

画像クレジット:Beacons

Beaconsは、プレミアム収入以外にも、マネタイズに特化したいくつかのブロックで売上の一部を受け取ることで収益を上げる。たとえばショッピングに対応したTikTokフィード、動画や電子書籍のデジタルストア、クリエイターが自分のフォロワーにカスタムコンテンツを直接販売できる「リクエスト」ブロックなどだ。Beaconsの無料プランでは取引に9%の手数料がかかるが、プレミアムプランでは5%に減額される。

Beaconsで構築されたランディングサイトは、高度なカスタマイズ性を持っていて、メディアリッチでキュレーションされたホームページがあったMyspace(マイスペース)の時代を彷彿とさせる。同社は最近「コミュニティブロック」と呼ぶブロックを追加した。これは、たとえばTikTokのようなコラボレーションが盛んなプラットフォームで頻繁にチームを組む可能性のあるコラボレーターたちに、スポットライトを当てるための特別な場所だ。現在、Sia(シーア)、Green Day(グリーン・デイ)、Russell Brand(ラッセル・ブランド)などの有名人が登録されている。

Beaconsはまた、メールやSMSによるモバイルマーケティングや、クリエイターがオーディエンスを知るための分析機能にも対応している。同社によると、2020年10月のローンチ以来、ユーザー数は毎月70%ずつ増加しているという。

「現在、コンテンツ制作者と消費者は、既存のソーシャルプラットフォームが提供するもの以上の、高度な期待を抱いています」とジーン氏は調達時の声明で語った。「【略】Beaconを使えば、クリエイターは、見た目が良く、共有可能で、最終的に収益を生むことのできるカスタムドメインにオンライントラフィックを誘導することで、自分の将来をコントロールすることができるのです」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Beaconsクリエイター収益化資金調達リンクインバイオ

画像クレジット:Beacons

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)