SpaceXのStarlink衛星打ち上げは延期、画像撮影とデータ分析を行うBlackSky衛星のライドシェアを予定

アップデート:SpaceX(スペースX)は米国時間6月25日、実施予定だったのStarlinkミッションを中止した。次回の日程は不明だが、おそらく同社が次に計画している6月30日のGPS衛星の打ち上げの後なる確率が高い。

SpaceXは米国時間6月25日木曜日の米国東部夏時間午後4時18分(日本時間6月26日午前5時18分)、追加のStarlinkミッション(1カ月間で4回目)を打ち上げる。今回のミッションではStarlink衛星57機を搭載し、衛星ブロードバンドインターネットサービスのローンチに向けて、宇宙空間にある既存のコンステレーション(衛星群)に加わることになる。

打ち上げられるFalcon 9ロケットには2基のBlackSkyの衛星も搭載されており、これは地球の画像撮影およびデータ分析サービスに使用される。これはSpaceXが昨年導入したプログラムに基づいて導入された、小規模な事業者が共有ペイロードの一部としてミッションを予約し、約100万ドル(1億1000万円)から始まる打ち上げサービスへのアクセスを可能にする、同社のもう1つのライドシェアミッションだ。SpaceXは今月初めに、顧客のPlanetのための3機つの衛星に加えて、同社のStarlink衛星の58機を含むペイロードを搭載し、このライドシェアミッションの第1回目を打ち上げた。

ミッションで使用されるFalcon 9はこれまでに4回飛行しており、その中にはCrew Dragonの初の無人デモミッションも含まれる。SpaceXはStarlinkのコンステレーションを急速に成長させ続けており、ブースターの再利用と相乗りを組み合わせることで、打ち上げコストを大幅に削減できるだろう。

今回の打ち上げではすべてのStarlink衛星に、同社が開発した展開式のサンバイザーシステムが搭載される。

打ち上げでは第1段ブースターの着陸も実施される。これはSpaceXがわずか3週間で行った4回目の打ち上げであり、これには5月30日に実施された歴史的な乗務員によるCrew Dragonのデモミッションが含まれる。また、10回目のStarlinkの打ち上げでもある。さらに同社は、別の打ち上げミッションとしてケープカナベラル空軍基地からのGPS衛星ミッションを6月30日に予定している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ヴァージン・ギャラクティックが民間宇宙船でのセカンドテストに成功、動力付き宇宙飛行へ一歩前進

Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)が、宇宙船「SpaceShipTwo」(スペースシップツー)の認定プログラムで大きな節目を超えた。今回はグライドフライトで、同社の無動力宇宙船VSS Unity(ユニティー)を、ボーイング747を改造したVMS Eveと呼ばれるキャリアー機でから打ち出されたあとグライダー飛行した。

このフライトは、Virginがニューメキシコ州の打ち上げ施設、Spaceport America(スペースポート・アメリカ)からUniftyを飛ばす二度目のテスト飛行だったが、前回よりも高高度、高速で行われた。これによってVirginは、Spaceport Americaから動力付き宇宙船を打ち上げる次の段階に進む。同施設からの打ち上げは初めてだが、Unity自身はすでにテスト飛行経験があり、2019年に地上55.9マイル(90km)を超音速で飛ぶ非常に印象的なデモンストレーションを行っている。

Virgin Galacticが、米国カリフォルニア州のMojave Air and Space Port(モハーヴェ航空宇宙空港)で動力付き宇宙船のテストを復活させたのは2018年で、Unityの先行機であるVSS Entrepriseの墜落死亡事故から4年後のことだった。当時フライトの副操縦士だったMichael Alsbury(マイケル・アルズベリー)氏は不幸にも事故で亡くなり、操縦士のPeter Siebold(ピーターシーボルト)氏は重傷を負った。

Unityにはそのような問題はなく、米国時間6月25日の無動力グライドフライトも完璧に計画通り進み、ニューメキシコの打ち上げ施設で、飛行条件や航空機、宇宙船の振る舞いに関する重要なデータをVirginに提供した。この施設は将来的に、Virgin Galacticの旅客が宇宙旅行の出発・帰着する場所となる。

旅客を宇宙旅行に連れて行く目標に向けた次の大きなステップは、Spaceport Americaから動力テスト飛行を実施することだ。すでに述べたように、Unityは動力飛行テストをすでに複数回行っており、Virginの宇宙飛行士訓練責任者であるBeth Mosesも参加しているが、目的達成までには、本日のテストで集めたデータを検証し、動力宇宙飛行に成功に必要な打ち上げ・飛行システムの修正など、やるべき中間作業がいくつも残っている。

Virginは商業宇宙飛行を早ければ今年中頃に開始することを目標にしていたが、今もまだ重要なテストが必要であることから、実際に旅行者を乗せて打ち上げるスケジュールは最善のシナリオでも今年末以降になりそうだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASAがより良い月面トイレの設計のため、クラウドソースでの支援求める

NASAは米国人を月に再び立たせ、月面に人類の恒久的なプレゼンスを確立することを目標とするArtemis(アルテミス)計画の準備を進めており、HeroXとの提携で開始したクラウドソーシング・コンペティション(HeroX記事)では、宇宙飛行士が月面で大小の排泄をするためのより良い方法の設計を募集している。このコンペティションでは具体的に「宇宙と月面の両方で使用できる、完全な機能を備えた軽量トイレのための革新的なデザイン」を募集している。

このコンペティションは「世界的なイノベーターのコミュニティー」に対して誰でも門戸が開かれており、8週間にわたって開催され、優勝者には最高3万5000ドル(約380万円)の賞金が贈られる。驚くべきことに、NASAが外部の人やHeroXのクラウドソーシングプラットフォームを利用して、人間の排泄物の管理に関する革新的な技術を集めたのは、これが初めてではない。2016年のSpace Poopチャレンジ(HeroX記事)も大きな注目を集め、3人の受賞者に総額3万ドル(約320万円)が贈られた。

以前のコンペティションでは完全な宇宙服を着た宇宙飛行士に最適なシステムを設計することに焦点が当てられていたが、これは宇宙飛行士がアルテミスの着陸船に乗って月面に移動する際に使用する、大きくてかさばるEVAスーツを宇宙飛行士が脱いでいるときに使用する今回の挑戦で求められていたトイレ設計とは、まったく異なるものである。NASAによると、国際宇宙ステーション(ISS)で使用されている微小重力用のトイレはすでに機能しているが、月の低重力環境では異なる設計が必要となり、また月への旅の性質から小型で電力効率の良い設計が求められている。

もちろんNASAは、ユニークで革新的な宇宙用トイレのデザインを考え出すために、外部の人々に完全に頼っているわけではない。すでに内部では、既存バージョンの小型化に取り組んでいる。しかし航空宇宙産業の外からの新鮮な視点が、同分野で働くことに慣れていた人々では考えられないような解決策を見出す助けになることを期待しているため、これを外部の学者や研究者、デザイナー、エンジニアにNASAは公開したいと考えている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAとESA、JAXAが新型コロナ監視用の地球観測ダッシュボードを開発

NASAは、欧州宇宙機関(ESA)および日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協力して、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を監視するために衛星からの地球観測データを収集し、ダッシュボードを介して提供することに取り組んでいる。このダッシュボードは各機関が運用する地球観測衛星によって収集された写真、大気の質、温度、気候などの指標データを統合したものだ。

新型コロナウイルスに関する地球観測データは、水質、気候変動、経済活動、農業における世界的な変化を把握できる。これは政治家、保健当局、都市計画者などに重要な情報を提供し、都市に住み働く人々の暮らし方を大きく変えている、現在進行中の世界的な新型コロナウイルスの短期的、あるいは長期的な影響を調査するための重要な情報を提供することを目的としている。

プロジェクトに関わっている各宇宙機関は、4月にプロジェクトを立ち上げ、機関を超えた国際的なコラボレーションをあっという間にまとめた。これまでのデータでは、活動の減少による大気や水質などの環境の改善といった大きな変化だけでなく、港湾での荷揚げ作業やショッピングモールの駐車場の車の台数など、主要な経済活動が大きく減速していることも示している。

このプロジェクトは特に新型コロナウイルスとその影響に関するデータを提供することを目的としており、現在の計画では同ウイルスによるパンデミックのみを対象としているが、ESAの地球観測プログラム担当ディレクターであるJosef Aschbacher(ジョセフ・アシュバッハ)氏は電話会議の中で、ダッシュボードを新型コロナウイルスの範囲を超えて拡張するかどうかをすでに検討していると述べている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

小型衛星打上機の開発を手がけるSPACE WALKERが総額3.25億円を調達

SPACE WALKER

サブオービタルスペースプレーン(小型衛星の打ち上げ)の設計・開発、運航サービスの提供を目的とするSPACE WALKER(スペースウォーカー)は、2019年10月1日以降、2020年2月末までの間に、CE(コンバーチブル・エクイティ)型新株予約権により新たに1億5500万円の資金調達を実施し、プレシードラウンド総額として3億2500万円の資金調達を完了したと発表した。引受先は、新居佳英氏(アトラエ 代表取締役CEO)、QB第一号投資事業有限責任組合、髙木秀邦氏(髙木ビル 代表取締役社長)、有限責任事業組合ハンズインなど。今回の資金調達により、2018年10月15日に実施したエンジェルラウンドも含め、累計調達額は5億2500万円となった。

SPACE WALKERは、「誰もが飛行機に乗るように自由に宇宙へ行き来する未来の実現」を目指し、サブオービタルスペースプレーンの設計・開発、運航サービスの提供を目的に2017年12月に設立。現在は、アイネット、IHI、IHIエアロスペース、川崎重工業、東京理科大学、宇宙航空研究開発機構(JAXA)など技術パートナー企業とともに、2022年に打ち上げ予定の科学実験用サブオービタルスペースプレーンの開発に取り組んでいる。また実証技術を応用して、各パートナーと協働し、メイドインジャパンの小型衛星打上機を2024年、そしてサブオービタル宇宙旅行機を2027年に初飛行させることを目指している。

今回調達の資金は、主にサブオービタルスペースプレーンの技術実証機である有翼ロケット実験機「WIRES(WInged REusable Sounding rocket)#013」、「#015」の設計・開発および製造に活用する。

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成層圏気球で宇宙クルーズを目指すSpace Perspectiveが2021年に試験飛行を予定

商用宇宙旅行ビジネスへの参入を目指す新しい企業がある。ただし、これまでとは違うユニークな乗り物を使用するというのがミソだ。Jane Poynter(ジェーン・ポインター)氏Taber MacCallum(テイバー・マカラム)氏が創設したスタートアップSpace Perspective(スペース・パースペクティブ)は、高高度気球で地球の大気圏縁まで与圧カプセルを飛ばすことを目的としている。このカプセルには8名の乗客が搭乗でき、6時間の飛行が楽しめる。予定料金は1人12万5000ドル(約1300万円)。

同社によれば、この計画では「Spaceship Neptune」(スペースシップ・ネプチューン)と呼ばれるカプセルに乗客や観測機材を載せて、高度およそ3万メートルを巡航することになっている。厳密にはそこは宇宙ではないが、地球が丸いことが実感できる壮大な眺めを同社は約束している。Space Perspectiveの説明では、6時間の空の旅の内訳は、上昇に2時間、大気圏の縁の飛行に2時間、地上への帰還に2時間となっている。計画では、フロリダ州のケープカナベラル宇宙センターから気球によって打ち上げられたカプセルは、大西洋上に帰還し、着水後に乗客とカプセルが船で回収される。米連邦航空局(FAA)がSpace Perspectiveの有人飛行全体を監督することになるが、予定されている有人ミッションに先立ち同局との事前協議が行われている。有人飛行が実現するのは、少なくともまだ数年は先になる見込みだ。

どこかで聞いたような話だと感じた方もいるかも知れない。おそらくそれは、Space Perspectiveの創設者が駆け出しのころに、これとよく似た事業を展開する会社を立ち上げているからだろう。ポインター氏とマカラム氏は、以前にWorld View(ワールド・ビュー)という成層圏気球の企業を共同創設している。当初のミッションは、通信や地上観測用の機材の打ち上げだったが、カプセルに人を乗せて気球で飛ばすミッションも目標として表明されていた。

World Viewは今も営業しているが、ポインター氏は、昨年2月、CEOの座をRyan Hartman(ライアン・ハートマン)氏に譲った。World Viewの第一本社はアリゾナ州にある。製造と打ち上げ施設の運営をそこで行い、技術の開発と展開を続けつつ、定期的に気球を打ち上げている。

Space Perspectiveは、それとはまったくの別会社だと同社の担当者は私に話してくれた。前述のとおり、同社はフロリダ州のケープカナベラル宇宙センターからの打ち上げを予定しているが、将来的にはフロリダ州のセリル宇宙港、アラスカ州とハワイ州の民営打ち上げ施設なども必要に応じて使用することになるという。

画像クレジット:Space Perspective

このスタートアップは、Neptuneカプセルの試験飛行を、早ければ来年から開始する計画を立てているが、人はまだ乗せられない。その代わりに、実験機器を載せることになる。これも、Space Perspectiveが市場投入を目指す技術目標のひとつだ。

この事業は、「ほぼ宇宙」旅行業界の面白い入口になるだろう。SpaceX(スペースエックス)がCrew Dragon(クルー・ドラゴン)で計画しているプライベートな商用宇宙飛行には及ばないが、Virgin Galactic(バージン・ギャラクティック)やBlue Origin(ブルー・オリジン)の事業を肩を並べる魅力的な対抗手段となり得る差別化がそこにはある。ポインター氏とマカラム氏はこの事業を、World Viewがより実用的な産業と商用ペイロードのミッションに集中できるよう、そこから離れたベンチャーとしてスタートさせたようだ。それによりSpace Perspectiveは、高高度有人飛行という特別な目標をより大きく掲げられるようになった。

画像クレジット:Space Perspective

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXが洋上宇宙船基地を計画中、月や火星に加えて超音速地球旅行にも使用

SpaceX(スペースX)がテキサス州ブラウンズビルの洋上施設のために専門家を募集していることが求人広告でわかった。目的は、同社の大型打ち上げロケット “Super Heavy”(スーパー・ヘビー)の発射場所となる洋上宇宙基地の開発と建築だ。SpaceXはその大型ロケットを、今後大型の運搬ロケットを月や火星に送り込むため、さらにはこの地球上での2点間移動のために使用するつもりだと、SpaceXのCEO Elon Musk(イーロン・マスク)氏が語った。

Musk氏はTwitter(ツイッター)で、Dan Paasch氏が最初に見つけたその求人広告の目的はこれだったと語った。以前SpaceXは、同社の打ち上げロケット、スーパーヘビーのコンセプトを紹介し、同時に宇宙船Starship(スターシップ)を超音速地球旅行に使って、長時間のフライトを数時間に短縮する構想も話した。しかしこうしたコンセプトはこれまでCGのみで、どこからどうやって飛び立つのかは今日までわからなかった。

スターシップとスーパーヘビーの主な開発目的は、SpaceXとMusk氏が火星へ人間を運び、月を始めとするさまざまな星間天体を植民地化して「人間を星間生物にする」というゴールを実現することだ。こうしたゴールはほとんどの人にとって無縁に感じられるが、同じ完全再利用可能宇宙船を使って、この地球上で2点間超音速旅行のコストを大幅に削減するという同社の狙いは、はるかに現実的だ。

宇宙を使った2点間移動は新しい概念ではなく、SpaceX以外にも実現を目指している人たちがいる。地球の大気圏の端、あるいは外側を飛ぶことで、燃料費や飛行時間を大幅に減らせるという発想だ。たとえばニューヨークとパリを1時間以内で移動できる。実際SpaceXは、2017年の発表の中で、スターシップを使った2点間移動は地球上のどの都市とどの都市の間も1時間以内で結ぶことができると語っていた。

SpaceXはスターシップをテキサス州ブラウンズビルで開発中で、そこは洋上設備技術者を探す求人広告が出された場所だ。同社はこの地域のテスト・開発施設を拡大中であり、州内の運営に特化した人材の増員も計画している。

Musk氏は今後の計画について多くを語らなかったが、別のツイートに答えて、この計画で「石油プラットフォームを改造し、ハイパーループで陸地と輸送する」ことは「十分計画のうち」であり、出発地や目的地の宇宙基地と地上を結んで乗客をピストン輸送することも考えていると語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ロケットラボの次回ミッションは前回からわずか3週間後の打ち上げ

Rocket Lab(ロケットラボ)は同社13回目の商業ミッションで、毎週打ち上げというゴールに近づきつつある。「Pics Or It Didn’t Happen(証拠写真がなければ起きてはいない)」というニックネームのミッションは、予定通りにいけば前回からわずか3週間後の打ち上げとなる。

前回ミッションの「Don’t Stop Me Now」は米国時間6月13日土曜日に無事軌道に到達した(未訳記事)。次の打ち上げは天候などの条件が整えば米国時間7月3日に予定されている。

「ロケットラボは小型衛星が軌道へ行くための待合室をなくした。ここ数年間で短期間の打ち上げ能力の強化に注力し、まもなくその成果を小型惑星コミュニティのために実用化できることを誇りに思っている」とCEOのPeter Beck(ピーター・ベック)氏はプレスリリースで語った。

「Pics」は「ライドシェアリング(相乗り)」顧客の貨物を3種類積載する。

  • Canon(キヤノン)のCE-SAT-1Bは、軌道からの映像を提供し、超小型衛星プラットフォームの量産に向けて試験を行う。
  • Planet(プラネット)の観測衛星であるSuperDove Earth(スーパーダブ・アース)5基は、軌道にいる数百基の仲間たちに加わる。
  • In-Space Missions(インスペースミッションズ)のFaraday-1(ファラデー1)は、ソフトウェアを軌道に送り込みたいスタートアップをターゲットに、同社プラットフォームの有用性をデモする。

新しいロケットのElectron(エレクトロン)は、18日毎に1基生産されているが、そのペースで打ち上げられるという意味ではない。それでも十分な需要があることは間違いない。軌道に乗せるためには、ただロケットを立てて大きな赤いボタンを押すよりもはるかに多くの仕事が必要だ。

この3週間のインターバルは特別短いが、先週末の打ち上げが本来数カ月前に予定されており、パンデミックのために見送られただけでなく、天候によっても遅れたことを忘れてはならない。つまりこの短いターンアラウンドは素晴らしいものに違いないが、まだ継続的なものではない。それでもロケットラボは2021年中の月例ミッションを目指しており、同社の新しい米国拠点の打ち上げ施設が稼働すれば、頻度は高まるばかりだ。

関連記事:Rocket LabがNASAゲートウェイ計画の試験衛星を月軌道に打ち上げる

画像クレジット:Rocket Lab

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXの小型衛星ネットワークStarlinkが巨額な公的資金を得るためには7月中に低遅延の実証が必要

SpaceXは高帯域で低レイテンシーのグローバルなインターネットサービスのバックボーンとなる、低地球軌道(low-Earth orbit、LEO)の小型衛星ネットワークであるStarlinkを構築している。しかしその努力が、収益を上げるために必要な今後の資金源のひとつが時間切れになるかもしれない。連邦通信委員会(FCC)の要求によると、農村地区のブロードバンドに助成する160億ドル(約1兆7200億円)の国の資金に応札する者は誰であっても100ミリ秒未満のレイテンシーを実証しなければならない。しかもその締切は来月、2020年7月だ。

この巨額な公共資金オークションの締切は2020年10月29日だが、応募の締め切りは7月15日だとEngadgetは伝えている。FCCによれば、LEOで衛星を運用しているプロバイダーは、もっと高い高度の静止衛星よりも有利かもしれないが、指定された閾値を満たすためには中継局やハブ、目的局の端末などで発生するレイテンシーを考慮に入れる必要がある。

SpaceXはFCCは同社ネットワークの能力を疑う必要はないと考えている。同社が目標としているレイテンシーは20ミリ秒未満であり、それは地上でケーブルを使用する高帯域ネットワークより優れていることもあるという。

SpaceXは、Starlinkの特に2020年における展開を急いでおり、既に7回の打ち上げミッションで計418基の衛星を送り出している。これは現在操業している民間衛星企業の中では最も多い。このハイペースの背景には、2020年末までに米国とカナダの顧客にサービスを提供したいという目論見がある。その後、世界中の顧客にサービスを提供することを目的としている。

SpaceXの歩みはこれまでのところ順調なようだが、でも巨額な政府資金提供のための要件は、同社にとって時期が尚早かもしれない。それでも、この構想に関連した連邦政府の契約は他にもあり、後に同社がそれらの交付対象になることも十分ありえるだろう。

画像クレジット: Starlink

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

スコットランドの宇宙開発スタートアップSkyroraがロケットの準軌道打ち上げに成功

先週末は、SpaceX(スペースX)やRocket Lab(ロケットラボ)といった民間のロケット打ち上げ事業者を目指すスタートアップを含め、打ち上げミッションで忙しい週末だった。エディンバラに拠点を置くSkyrora(スカイローラ)は、米国時間6月13日土曜日にスコットランド沖の島からSkylark Nanoロケットの打ち上げに成功し、その計画の重要なマイルストーンを達成した。

Skyroraは小型ペイロードのための手頃な輸送手段を提供することを目標として、ロケットを開発している。同社は2018年の初ミッションを含めてSkylark Nanoを2回打ち上げているが、スコットランドで計画されている3つの商業用スペースポートのうちの1つであるシェットランド島からの打ち上げは今回が初めてだ。

Skylark Nanoは、Skylark-LとSkyrora XLという商用打ち上げロケットと並行開発されているロケットだ。Skylark Nanoは高度約6kmと宇宙には到達していないが、同社の推進技術を実証するのに役立つだけでなく、サブオービタル(準軌道)打ち上げ用のSkylark Lや、軌道打ち上げ用のSkyrora XLの開発に役立つ重要な情報を収集する。

Skylark Lは現在開発中で、先日にはロケットの完全なスタティックファイアテストに成功した。現時点では、早ければ2022年にもイギリスを拠点とするスペースポートから、商業的打ち上げを開始する計画だ。

またSkyroraのアプローチは、機体の構造に3Dプリント(Additive Manufacturing)を採用し、従来のロケット燃料よりも排出量が少ないと主張する廃棄プラスチックから製造されたケロシン(液体燃料)を使用する点でもユニークだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ロケットラボが12回目のElectron打ち上げに成功、NASAとNROのペイロードを投入

世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが一時停滞した後、Rocket Lab(ロケットラボ)はニュージーランドでの最初の打ち上げミッションを再開した。米国時間6月13日の早朝、ニュージーランドのマヒア半島にある発射場から12機目のElectronロケットを発射し、米国家偵察局(NRO)、NASA、ニューサウスウェールズ大学キャンベラ校から委託されたペイロードを投入した。

打ち上げは米国東部夏時間午前1時13分(現地時間で午後5時13分)に行われ、ミッションは滞りなく遂行された。ロケットラボはその後、Electronが目標軌道に到達し、ペイロードの投入も計画どおりに行われたことを確認した。

ロケットラボは打ち上げ能力の大幅な拡大に向けて準備を進めており、米国バージニア州ワロップス島に新たな発射場を開設した。射場はすでに完成しており、最初のミッションは2020年初めに予定されていたが、施設を閉鎖して重要なミッションに焦点を当てることで新型コロナウイルスの拡散を食い止めようとするNASAの方針により計画が遅れ、初の打ち上げミッションも延期された。

ニュージーランドは現在、ロックダウンを完全に終えている。同国の迅速な対策と比較的小規模かつ分散した人口のおかげで、新型コロナウイルスの感染は迅速に封じ込められ、感染率をゼロにすることができた。これは、ロケットラボの既存の事業にとっても、またマヒアの施設に第2発射場を設置しようとしている同社にとっても良いニュースだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

インターステラの民間宇宙ロケット「モモ5号機」が宇宙到達前にエンジン停止

多くの民間打上げ会社が、宇宙へ行くコストの削減を求めて新たな宇宙船の開発を続けている。宇宙を目指す最新の事例がInterstellar Technologies(インターステラテクノロジズ、IST)。2003年に設立された日本の民間ロケット開発会社だ。同社は2017年に初めてロケットを打上げたが、宇宙に計画通り到達することはできなかった。そして2019年、同社の観測ロケット MOMO-3はカーマン・ライン(高度100 km)をわずかに超えたが、本日打上げられた観測ロケット MOMO-5(モモ5号機)は、残念ながら計画通り宇宙に届くことなく、大気圏を脱出する前の最大動圧点、Max-Qに到達する前後に何らかの誤動作と制御不能に陥ったとみられている。

MOMO-5は日本時間14日午前5時15分に打上げられ、無事発進したように見えた。この打上げはISTの既存の開発プログラムに基づき、同社が「ファミリーセダン」と呼ぶ小型低価格のロケットを使って少量の貨物を宇宙に送るデモンストレーションを目的として行われた。

ISTのアプローチで興味深いのは、最先端技術を謳うのではなく、ロケット技術の「伝統的手法」を活用し、新たな製造技術と近代的材料を加えることで極力コストを下げ、幅広い顧客が利用できるようにすることに焦点を当てていることだ。ある意味で、SpaceXやRockt Labのアプローチに似ているが、ISTはいっそう近代化にこだわらず、ライバルより効率を高めることに注力している。そうすることで、定期的に商業打上げできるようになった時には、コスト優位性を得られると考えている。

日本の北海道で打上げられたMOMO-5は、スケジュールがCOVID-19(新型コロナウイルス)や5月の連休のために、2019年末と今年始めから再三変更された。MOMO-5は全長約10メートル、重さ約1トンで、Rocket Labのロケット、Electronよりも小さい。

ISTによると、MOMO-5は指令センターから送られた「緊急停止」命令によって予定より早く飛行を終え、その後海面に安全に着水した。早期中止の詳しい理由は後に発表される予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXがブロードバンド・インターネット衛星Starlink58基を打ち上げて累計538基に、他社衛星3基との初の相乗りも

SpaceX(スペースX)は、通信衛星のStarlink(スターリンク)を58基打ち上げた。前回のStarlinkミッションからわずか10日しかたっていない。これで軌道上で稼働可能なStarlinkブロードバンド・インターネット衛星は計538基となった。また同社は今回の打ち上げで、Starlink用の積載スペースを初めて他社と共有し、2基のStarlink衛星の代わりに、衛星画像解析サービスなどを手掛けるPlanet(プランネット)のSkysat(スカイサット)衛星を3基運んだ。

SpaceX最新のStarlink打ち上げは同社が年内に予定している米国、カナダの一部消費者向けブロードバンド・インターネットサービスが実運用に近づいたことだけでなく、天文学者の要望に答えるべく衛星のデザインを改定したことでも注目に値する。

Stalinkは、比較的低い軌道を周回することから、太陽光反射による明るさが夜間観測の妨害になると科学者から批判を受けている。SpaceXは、前回打上げた衛星のうちの1基に太陽光反射を軽減する展開型サンバイザーを搭載したが、今回は58基全部に搭載した。


これでStarlinkが、地球上で天体観測する科学者と平和的関係を築けるといいのだが、最終的にはこのサンバイザーが多数のStarlink衛星に設置された結果どう変化するのかを見るまでわからない。

本ミッションは、SpaceXの公式SmallSat相乗りプログラムの下で実施された初の運行であり、同プログラムでは小規模な衛星運営者がSpaceXのウェブポータル経由でSpaceXの打上げに便乗の予約ができるという、比較的柔軟な「オンデマンド」方式を提供している。SpaceXがライドシェア事業に力を入れている理由は、Rocket Labなどのこの市場に特化したサービスを提供するの打ち上げ業者が、同社のライバルとなって損益に影響を与えかねないと認識しているからだ。

米国時間6月14日の打ち上げは米国東部夏時間午前5時21分(日本時間同日午後6時21分)に行われ、使用されたFalcon 9第1段ブースターの軟着陸回収も行われる。このブースターは以前、国際宇宙ステーションに補給物資を運んだSpace Dragon 2基の打ち上げに使用されたものだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

たった数分の作業で、あなたも現在活動中の火星探査車のAIを成長に協力できる

火星探査車Curiosityは赤い惑星にそろそろ8年もいるが、旅の終わりはまだまだ見えないし、現在もアップグレードが行われている。あなたも自分の数分間をこのプロジェクトに捧げて、その地形走査AIのために生データのラベル付けをすることができる。

Curiosityは単独では走行しない。地球上のチームが火星から送られてくる画像を分析し、火星の動く科学研究所のために行路を指示している。しかしそのためには、岩や土、砂、その他の特徴がどこにあるかを正確に理解するために、画像を注意深く調べる必要がある。

これはまさに機械学習が得意とする作業だ。いろんな目立つ特徴のある画像を、正しいラベルを付けて大量に与えてやれば、ラベルのない画像の中に類似の特徴を見つけることができるようになる。

しかし人間の顔や、猫、犬といったラベルが付いた画像はすでに大量にあるが、火星の地表の画像に地形タイプのラベルを付けたデータは、まだ多くない。

NASA / JPLのAI研究者である小野雅裕氏はニューズリリースの中で次のように述べている。 「通常、数十万枚のサンプル画像があれば、ディープラーニングのアルゴリズムを訓練できる。例えば自動運転車のアルゴリズムは、道路や標識や信号、歩行者、その他の乗り物といった大量の画像で訓練される。一般に公開されているディープラーニング用のデータセットもあり、それらには人や動物、建物などが写っているが、火星の地形はない」。

そこでNASAはそんなデータセットを作るために、あなたの協力を求めている。

画像クレジット:NASA / JP

より正確に表現すれば、Soil Property and Object Classification(土壌の特性とオブジェクトの分類)と呼ばれるアルゴリズムはすでに存在しているが、彼らはその改善するための助けを求めているのだ。

NASAはすでに、市民科学プロジェクトのサイトであるZooniverseに数千枚の火星の画像をアップロードしており、事前にチュートリアルを読んで、誰もが数分でそれらに注記を付けることができる。岩や砂地などのまわりに、それらの輪郭線を描くことは簡単そうに思えるが、これは「大きな岩」だろうか、それとも「岩盤」か?幅は50cm以上あるが、高さはどれくらいなのか?すぐにいきづまることもある。

これまでのところ、目標の約9000枚のほぼ半分にラベルが付いた。画像は今後もっと増えるだろう。誰もが、暇な時間が数分間あれば協力することができる。責任や義務は発生しない。現在は英語版のみだが、近くスペイン語とヒンズー語、日本語などにも対応する。

AIが改良されれることにより、探査車は走行可能な場所だけでなく、トラクション(対地摩擦)を失いそうな場所が事前にわかり、車輪の配置を調節したりもできるだろう。SPOCの地形分類が正確なら、これまでのように人間が画像を何度もチェックする必要もなくなり、Curiosityの動きを計画しやすくなる。

このミッションのウェブページで、Curiosityの進捗状況に注目しよう。

関連記事:NASAでもリモートワーク、Curiosityチームが自宅から火星探査機を運用中

画像クレジット:NASA / JPL-Caltech

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NASAが月面の水源探査車VIPERの輸送に民間企業のAstroboticを指名

NASAは、月面探査車のVIPER(バイパー)ローバーを月面に送り届ける企業を選定した。このミッションは、月面のどこにどのようにして人が長期滞在するかを決める手がかりをもたらすものであり、Artemis(アルテミス)計画にとって決定的なステップとなる。現在2023年に予定されている月着陸ミッションでペイロードの輸送を担うのは、民間パートナーのAstrobotic(アストロボティック)であると米国時間6月11日に発表した。

VIPERとは「Volatiles Investigating Polar Exploration Rover」(揮発性物質調査極探査ローバー)の頭文字を取った名称だ。ゴルフカートほどのサイズのロボット車両で、月の南極を氷を求めて走り回る。また、もし存在するならば、地下水も捜索する。これは、2024年までに米国人男性を再び、そして米国人女性を初めて月面に送り込むArtemis計画までの大切な途中段階だ。有用な水源は、長期間持続可能な月面基地の建設にとって重要な役割を果たす。水は、月面の自給式燃料生産施設に必要な材料だからだ。

NASAがこのミッションにAstroboticを選んだのは、意外なことではない。NASAは以前からAstroboticを商業月輸送サービス(CLPS)プログラムの一員として契約していたからだ。同社は、CLPSの最初のミッションとして独自のPeregrine(ペレグリン)着陸船に載せたで科学調査用機材を、ULA(ユナイテッド・ローンチ・ライアンス)の Vulcan(バルカン)ロケットで2021年に月面に運び込む準備を進めている。今回の契約はそれとは別のミッションで、打ち上げウィンドウは2023年に設定されている。

Astroboticは、VIPERミッションにはPeregrineではなくGriffin(グリフィン)着陸船を使用する。GriffinはPeregrineよりもずっと大型の着陸船で、高さはおよそ2mあり、454kgを少し超えるペイロードを搭載できる。目標地点から100m以内に着陸することができ、直径15センチ程度の小さな障害物も検知して避けることが可能だ。

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    画像クレジット:Astrobotic
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    画像クレジット:Astrobotic
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    画像クレジット:Astrobotic
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    画像クレジット:Astrobotic

VIPERが完成すると、重量は454kgになるため、Griffinの積載量を最大限に使うことになる。このローバーには水を探すためのセンサーが3基装備されるが、それは2021年と2022年のテストのためのペイロード輸送ミッションで先に月面に送られる。また、月の地面を1mまで掘削できるドリルも搭載される。

Astroboticは、ローバーの打ち上げから着陸までのすべてを担うことになる。だが、Griffinに載せたVIPERを実際に月面に降ろすには、まずは打ち上げを委託する業者と契約しなければならない。どこにするかまだ同社は決めていないが、おそらくULAやSpaceXなど実績のある企業が選ばれることになるだろう。

画像クレジット:NASA Ames/Daniel Rutter

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(翻訳:金井哲夫)

イーロン・マスク氏が「Starship完成がSpaceXの最優先目標」と宣言

SpaceXのファウンダーでありCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、社内向けメールで最初の有人宇宙飛行を成功させた後の目標について、次世代宇宙船Starshipの開発に全力を挙げると述べた。CNBCの報道によれば、マスク氏は現在軌道上でISSに接続されているCrew Dragonカプセルと乗員であるNASAの宇宙飛行士であるDoug Hurley(ダグ・ハーリー)とBob Behnken(ボブ・ベンケン)の両宇宙飛行士を無事に帰還させることを別にすれば、Starshipの完成がSpaceXにとって最重要の目標だと述べている。

ステンレス製でSF的な外観のStarshipは2019年からテキサス州ボカチカのSpaceXの製造、試験施設で開発が続けられている。テキサスと平行してフロリダの施設でも開発が行われていたが、SpaceXはその2019年末に、開発をテキサスの施設に集約した。両施設の成果を統合し、集中的にプロトタイプ制作を行い、それを迅速に繰り返すことですでに多数のプロトタイプが製造されている。

Spaceshipは完全に再利用可能な設計であり、地球の衛星軌道からさらに月と火星などの遠い天体に向かって乗員と物資を運ぶ能力を備えることになる。Spaceshipの打ち上げには、現在開発中の大型ブースターであるSuper Heavyロケットが用いられる。 SpaceXでは将来はFalcon 9、Falcon Heavyの両システムをStarshipに置き換えようと計画している。これにより生産ラインが一本化され、再利用性も実現できれば大きなコスト削減が期待できる。

これまでのところStarshipの開発は多くの難問に直面している。SpaceXはStarhopperと呼ばれる縮小版のプロトタイプに新しく開発したRaptorエンジンを組み込み、地上での燃焼テストに成功した後、フルスケールのプロトタイプの製造が開始された。しかしこれらのプロトタイプはいずれもテストで不具合に見舞われている。プロトタイプ3号機、SN3は燃料タンクの圧力テストに失敗、また最近ではSN4がRaptorエンジンの静止燃焼テスト直後に大爆発して失われている。SpaceXは現在、StarshipのSN5を組み立て中だが、さらなるテストのために、SN6とSN7の建造も平行して進められている。

CNBCが番組で公開したメールでイーロン・マスク氏はSpaceXの社員はボカチカ開発拠点で「Starship開発を助けるために相当の時間を費やすことを考えねばならない」と述べている。

SpaceXはBlue Origin、Dynecicsと並んでNASAの有人月面基地構築プロジェクトの主契約者3社のひとつに選定された。これはStarshipの開発を急がせるプレッシャーをさらに高めるものだ。NASAのプロジェクトでは月の衛星軌道に前進基地となる宇宙ステーション、Lunar Gateway(ルナー・ゲートウェイ)が設置され、そこから月面に宇宙飛行士が運ばれる。Starshipはこのラストワンマイルを担当するというきわめて重要な役割を担う。

SpaceXによる有人Starshipのコンセプト。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceXがFalcon 9ロケットでStarlink衛星群をさらに60基打ち上げ、ロケット再利用の記録も更新

SpaceXは、米国東部夏時間6月3日午後9時25分(日本時間6月4日午前10時25分)に、前回からわずか4日で二度目のFalcon 9ロケットを打ち上げた。今回は同社のStarlink(スターリンク)衛星群60基を追加で宇宙空間に運ぶためだ。これで軌道上で稼働している衛星の総数は480基になる。打ち上げが行われたフロリダは、SpaceXが米国時間5月30日に初めて宇宙飛行士を打ち上げた場所。そして、同社の宇宙船であるCrew Dragon(クルードラゴン)が、NASAのCommercial Crewプログラムの有人宇宙飛行の承認プロセス(Human-Rating Process)を満たすための、最後のデモンストレーションミッションだった。

本日の打ち上げには人間の乗員は含まれず、前述のようにStarlinkブロードバンドインターネット衛星の次の大きなバッチを飛ばすだけだ。この衛星群は低宇宙軌道にあるそのほかのStarlink衛星に加わってネットワークの一部になり、最終的にはそのネットワークが高帯域で信頼性の高いインターネット接続を提供する。その主な対象は陸上ネットワークすら存在しない、そして高速接続が提供されていない低サービス地域だ。

この打ち上げには新しいシステムのテストが含まれていた。それは大量の衛星によって地球からの夜間の視界が劣化するという問題への対策で、60基のStarlink衛星の1つにバイザーシステムを搭載。バイザーは打ち上げ後に展開して通信用アンテナの表面の太陽の反射をブロックし、衛星から地球に届く日光の反射を大幅に減らせる。設計どおりに動作すれば、SpaceXはStarlink衛星の設計の標準的なパーツとして組み入れると考えられる。

また今回の打ち上げでは、Falcon 9の1段目ロケットの回収も含まれていた。このロケットは、すでに4回打ち上げられて4回とも回収されており、今回もSpaceXの洋上の回収船が無事に捕獲したので、再度利用される可能性がある。

SpaceXは今回、2つの半分に分かれているフェアリングの回収も試みる予定だ。これは、打ち上げ時にロケットの最上部に保護用のノーズコーンとして取り付けられ、Falcon 9が運ぶペイロードを保護する部材だ。SpaceXが詳細を公表したら、この記事をアップデートしたい。

米国時間6月4日は、Falcon 9ロケットの最初の飛行からちょうど10周年になる。再利用の記録達成と、今週頭の歴史的快挙である初の有人宇宙飛行ミッションがこの10年を引き立てている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpaceXがStarlink衛星60基を追加打ち上げ、1基にb「サンバイザー」を搭載

先週末にSpaceXは、史上最も重要で記念すべき打ち上げを実施し、NASAの宇宙飛行士をISS(国際宇宙ステーション)へ運んだ。そして米国時間6月3日に予定されているFalcon 9ロケットの打ち上げは、比較すれば目立たないが、同社の未来にとってやはり重要な出来事だ。これはSpaceXのStarlink(スターリンク)の最新ミッションであり、小さな衛星を大量に打ち上げて世界中の利用者に低価格で高帯域幅のインターネットアクセスを提供しようとしている。

Starlinkミッションの打ち上げ予定時刻は米国東部夏時間の午後9時25分(日本時間6月4日午前10時25分)で、60基の通信衛星を宇宙に送り込む。同衛星ネットワークは、地球低軌道で420基をすでに運用している。最終目標は最大4万基の小型衛星を打上げ、広く利用できる接続サービスで地球を覆うことだ。ネットワークは全地球に広まる衛星間で接続を手渡しすることで頑強な接続環境を提供する。

この打ち上げは、NASAの宇宙飛行士、Bob Behnken(ボブ・ベンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーレー)氏を国際宇宙ステーション(ISS)に送ったSpaceXのDemo-2(デモ2)有人ミッションの前の週に予定されていたが、スケジュール重複などを理由に有人飛行のあとに変更された。またこれは、2020年にSpaceXがStarlink衛星60基を飛ばす計画のうちで5回目の打ち上げになる。SpaceXは今年中に最大20回のStarlink打ち上げを実施することを予定しており、実現すれば、カナダと米国で今年中に新ネットワークサービスのベータテストを開始し、全世界では2021年か2022年に展開する計画だ。

打ち上げは米国フロリダ州ケープカナベラル空軍基地で行われ、過去4回のミッションをこなしたFalcon 9の第1段ロケットを使用する。SpaceXは再度のこの打ち上げロケットを誘導着陸によって回収し、さらに衛星貨物の保護に使われた筐体も、回収船の「Ms. Tree」および「Ms. Chief」を使って捕獲する予定だ。

この飛行で注目すべき大きな特徴は、Starlink衛星群が地上からの天体観測に与える影響を緩和するとSpaceXが期待する新技術をテストすることだ。科学者は、Starlinkの明るさが深宇宙の天体や現象のデータを集める高感度の光学機器を妨害すると苦情を呈してきた。それに対応すべく同社は、Starlink衛星が打ち上げ後に展開する「バイザー」システムを作り、衛星が太陽光を反射することを防ごうとしている。

SpaceXは今回打ち上げる60基のうち1つの衛星にこのバイザーシステムを搭載し、今後のStarlink衛星の標準装備とするかどうかをテストする。結果によっては、今後打ち上げられるStarlink衛星すべての恒久的設備になる可能性がある。

本日の打ち上げが延期された場合は、翌6月4日の米国東部夏時間午後9時03分(日本時間6月5日午前10時03分)が予備日となっている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXのCrew Dragon宇宙船がISSとのドッキングに成功

米国時間5月31日にEndeavor(エンデバー)と名付けられたSpaceXのCrew Dragon(クルードラゴン)宇宙船はISS(国際宇宙ステーション)に計画どおり無事ドッキングした。これにより商用有人宇宙飛行が可能であることが実証され、新しい時代の幕が開いた。SpaceXにとって初の有人宇宙飛行のテストパイロットに選ばれたのはNASAのDoug Hurley(ダグ・ハーリー)とBob Behnken(ボブ・ベンケン)の二人の宇宙飛行士だ。民間企業が開発した機体で人間が宇宙に出たのはこれが史上初となる。

ドッキングは、Crew Dragon搭載のコンピュータによる自動制御で終始行われた。SpaceXのコンピュータシステムは、打ち上げ当初から地球帰還まですべてのプロセスをコントロールする。なおCrew Dragonは、ISSに新たに設置されたドッキングアダプタを利用できるよう設計されていた。旧システムはカナダ製のためにCanadarm-2と呼ばれるロボットアームをISS側で操作して宇宙船を捕獲して引き寄せる必要があったが、 新しいアダプターでは宇宙船が自動操縦でドッキングできる。

両宇宙飛行士を載せたCrew Dragonは、5月30日に米東部夏時間午後3時22分(日本時間5月31日午前4時22分)に米国フロリダ州ケープカナベラルのケネディ宇宙センターから打ち上げられた。当初の予定は27日だったが悪天候のために延期されていたものだ。「Demo-2」と呼ばれるミッションはNASAとSpaceXによる商用有人飛行の可能性を実証するためのCrew Dragpmの打ち上げとして2回目だったが、実際に宇宙飛行士が搭乗したのはこれが最初だった。

今回のISSとのドッキング成功で、ミッションの前半は成功したといえる。 SpaceXは有人宇宙船を予定どおり軌道に乗せ、宇宙ステーションにドッキングさせる能力があることを示すことができた。また宇宙船のマニュアル操縦のテストにも成功している。

ISSのドッキングアダプターのハッチは米東部夏時間5月31日午後0:37(日本時間6月1日午前1時22分)に開かれ、Crew Dragon側のハッチも直後の午後1:02(日本時間6月1日午前1時47分)に開かれた。ベンケンとハーリーの両飛行士はISSに移乗して米国人2人、ロシア人1人のISS側クルーの歓迎を受けた。今後数週間にわたって両飛行士は、実験・研究など通常のクルー業務に従事する。その後はCrew Dragonに戻ってISSから離脱、地球へ帰還してDemo-2ミッションを完了させることになっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

宇宙空間でのCrew Dragonの手動操縦に初成功、同じ操縦をシミュレータで誰でも試せる

NASAのDoug Hurley(ダグ・ハーリー)宇宙飛行士はSpaceXの宇宙船であるCrew Dragon(クルードラゴン)を手動操縦することに成功した。この宇宙船は5月30日にケープカナベラルから発射された後、全自動でISS(国際宇宙ステーション)に向かった。Crew DragonのミッションはISSへのドッキングから軌道離脱、地表帰還まですべてコンピュータ制御によってコントロールされる。しかし自動システムになんらかの不具合が発生したときには宇宙飛行士は機体を自ら操縦しなければならない。

今回のテストは史上初の宇宙で機体を手動操縦する試みだった。Crew Dragonが定期的に運行される有人宇宙船として認証されるうえで手動操縦機能はカギとなる重要部分だった。

Bob Behnken(ボブ・ベンケン)とハーリーの両宇宙飛行士はSpaceXの新しい宇宙服を脱いでからテストに取りかかったが、これも当初からの計画どおりの行動だった。Crew Dragonのキャビンは与圧されており、ドッキングの過程に入るまで宇宙服を着用している必要がない。キャビンには動きまわるスペースが十分にあるし、宇宙服を着けていないほうが操縦も容易だという。

マニュアル操縦ではハーリー飛行士がタッチスクリーンを通じてカプセルに LVLH(機内からの垂直水平操作)を行うことも含まれていた。この場合の高度は地表からの距離だという。つまりCrew Dragonの操縦は現在の航空機の操縦に極めて近いものとなっている。微小重量環境ではあっても地球が「下」に位置するわけだ。

ハーリー飛行士が手動操縦操作を行う間、自動システムが操作をオーバーライドすることがないようコンピュータに指令が送られた。ただしドッキングを含めミッション全体をコントロールするコンピュータシステムを無効化して実際にCrew Dragonを動かす指令は送られなかった。

ハーリー飛行士は今回のミッション中に2種類のテストを実施する。1つは「遠距離操作」でISSから十分に離れた空間での操縦だ。 もう1つはこれと反対に宇宙ステーションの近傍での「近距離操作」だ。

両宇宙飛行士と同じシステムを読者も使ってみることができる。宇宙船を持っていなくてもOKだ。ブラウザからSpaceXが作成したISSドッキン・シミュレータを開くだけでいい。やはりそう簡単な操作ではないが、予想したほどには難しくない。これはインターフェースのデザインが非常に優れているからだと思う。

【Japan編集部追記】シミュレータはほとんどのブラウザに対応している。高精細度のISSの画像の中央部にひし形のオーバーレイでドッキングステーションが示される。画面左下に進行方向、右下に姿勢のコントロールがあり、タッチないしマウスクリックで入力する。反応は小さくかなり遅れて出現する。

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(翻訳:滑川海彦Facebook