CrowdStrikeがHumioを約422.8億円で買収、ロギングのスタートアップが突如注目が集まる

2021年2月上旬にSentinelOneが高速ロギングプラットフォームのScalyrを1億5500万ドル(約163億8000万円)で買収すると発表した。これに続いて米国時間2月18日に、CrowdStrikeが無制限ロギングツールのHumioを4億ドル(約422億8000万円)で買収すると発表した。

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CrowdStrikeは、ログ情報を無制限に収集できるHumioを手に入れる。一般に企業はどのログをとるかを選び、どれぐらいの期間保存するかを決めなくてはならない。しかしHumioを使うと選ぶ必要がなくなり、毎日何テラバイトものデータが処理される。

HumioのCEOであるGeeta Schmidt(ジータ・シュミット)氏は買収について発表するブログ記事の中で、Scalyrと似た表現で同社をログ情報のデータレイクと説明している。

「Humioは、多くのソースからの長期にわたるデータを調べるためのデータレイクになりました。これにより企業は環境全体を把握し、未知の事態に備え、問題の発生を未然に防ぎ、インシデントがあれば速やかに復旧し、根本原因をつきとめることができます」。

つまりCrowdStrikeはHumioを買収することで、脅威や攻撃が起きた後で対応したり解明したりするというよりは、起きている最中にリアルタイムで膨大なデータを活用して対応できる。これはSentinelOneがScalyrを買収した際にも指摘された点だ。

CrowdStrikeの共同創業者でCEOのGeorge Kurtz(ジョージ・カーツ)氏は発表の中で「CrowdStrike独自のThreat Graphに組み込まれたリアルタイム分析とスマートフィルタリングを、Humioの超高速ログ管理やインデックスフリーのデータインジェストと組み合わせることで、CrowdStrikeの(XDR、eXtended Detection and Response)機能が市場にはこれまでなかったほど劇的に高速化します」と述べている。

2件の買収が必ずしもトレンドになるわけではないが、セキュリティプラットフォームのプレイヤーがログに含まれる大量の情報の処理に突然、価値を見いだし、それを実現するために投資するようになったことは間違いない。今後数カ月で他のセキュリティ関連企業が同様の動きをするかどうかが注目される。

Pitchbook Dataによれば、Humioは2016年に設立され3100万ドル(約32億8000万円)強を調達した。直近のラウンドは、Dell Technologies Capitalが主導した2020年3月のシリーズBで2000万ドル(約21億1400万円)を調達した。Humioとしては満足できるエグジットと思われる。

CrowdStrikeは2011年に設立され、2019年に株式を公開するまでに4億8000万ドル(約507億3600万円)以上を調達した。買収は第1四半期に完了する見通しで、通常の規制監督の対象となる。

カテゴリー:セキュリティ
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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

ローカル配送のgoPuffが同業の英Fancy買収に向け協議中

独自の「マイクロフルフィルメント」ネットワークを運営し、市販薬、ベビーフード、アルコールなどを30分以内に届けることを約束している米国のスタートアップGoPuffが、英国のFancy Deliveryの買収に向けて交渉をしていることがTechCrunchにより明らかになった。

情報筋によると、買収の条件はまだ具体化されておらず、また買収自体もまだ実現していないという。しかし、早ければ数週間以内に発表があるかもしれない。GoPuffはコメントを拒否しており、Fancyの創業者も情報を明かしていない。

2020年末にローンチしたFancyは現在、英国の4都市で事業を展開しており、シリコンバレーのアクセラレーターY Combinatorの卒業生でもある。その事業モデルは潜在的な買い手と驚くほどよく似ており、小さなgooPuffと表現する人もいる。この2社は完全に垂直統合されており、それぞれが独自のドライバーと契約し、オンライン注文やハイパーローカル配送に特化して設計されたマイクロフィルメントセンター(「ダークストア」と呼ばれることもある)を運営している。

戦略的にはFancyの買収は相性が良さそうで、注目すべきはgoPuffがゼロから始めるのではなく、新興のローカルプレイヤーを買収することで英国に進出しようとしていることを示している点だ。情報筋によると、FancyはFancyブランドとして運営を継続し、goPuffは雇用やフルフィルメントセンターの追加開設など、成長のための投資を行う意向があるという。またある情報筋はTechCrunchに、今回の買収はすべて株式取引で行われるだろうと伝えている。

GoPuffは最近39億ドル(約4110億円)の評価を受け、これまでに13億5000万ドル(約1420億円)の資金を調達している(支援企業にはAccel、D 1 Capital Partners、Luxor Capital、SoftBank Vision Fundなどが含まれる)。同社はすでに米国の500都市で事業を展開しており、最近ではアルコール関連のBevMoを買収した。

関連記事:日用品を30分以内に届けるデリバリースタートアップのgoPuffが4100億円超の評価額で約400億円を調達

一方、ヨーロッパではgoPuffの垂直統合モデルにインスパイアされたスタートアップが続々と誕生している。ベルリンのGorillas、ロンドンのDijaとWeezy、フランスのCajooなどだが、これらはいずれも生鮮食品や食料品に重点を置いていると主張しており、利益率が厳しいのは間違いない。またステルス状態にあるが、より利益率の高いコンビニエンスストアの提供に力を入れているZappのようなスタートアップもある。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:goPuffFancy買収フードデリバリー

画像クレジット:Fancy Delivery

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(文:Steve O’Hear、翻訳:塚本直樹 / Twitter)

未公開企業ファームのMarlinがeコマース最適化プラットフォームのLengowを買収

フランスのスタートアップLengowは、Marlin Equity Partnersが会社の過半数の株式を取得したことで、新たなオーナーを得た。Lengowはeコマースリスティングを最適化するためのSaaSプラットフォームを運営している。なお、買収条件は明かされていない。

現在、多くのセラーは一度に複数のeコマースサイトに商品を掲載している。たとえばある企業が自社のeコマースサイトを持ちながら、Amazon(アマゾン)やeBay(イーベイ)などでも商品を販売することができる。そして、異なるマーケットプレイスで同じサードパーティのセラーが出品していることに気づくかもしれない。

複数のeコマースプラットフォームにまたがって手動で商品をリストアップするのは、非常に面倒だ。一方、Lengowは可能な限り多くのステップを自動化しようとしている。まず、商品情報管理システム(PIM)やeコマースのバックエンド(Akeneo、Shopify、Magento、WooCommerceなど)にLengowを接続することで、商品をインポートできる。

その後、一度に複数の販売チャネルで商品を公開できる。Amazon、Google Shopping、Criteo、Instagram(インスタグラム)といったマーケットプレイス、価格比較ウェブサイト、ソーシャルネットワーク、アドテックのプラットフォームなどが対象となる。

Lengowはまた、注文を追跡したり、在庫が不足しているときのルールを作ったり、広告戦略を管理したりするのにも役立つ。本質的には、電子商取引のすべての可動部分をつなぎ合わせる接着剤ともいえる。Lengowを利用している加盟店は世界中で4600社に上る。

Marlinは、今回の買収を成長投資だと表現している。同社はLengowの潜在能力がまだ十分に発揮されていないとし、今後数年間でLengowの価値を高めることを計画している。「私たちはLengowの成長軌道と継続的な国際的な拡大をサポートするために、当社の運営と財務のリソースを活用することを楽しみにしています」と、Marlinの会長であるRoland Pezzutto(ローランド・ペズット)氏は声明で述べている。

カテゴリー:ネットサービス
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画像クレジット:Mike Petrucci / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:塚本直樹 / Twitter)

最近の企業買収に見られる「少額の投資で速やかに自社製品の拡張を図る」3つの例

2021年に入ってから、筆者はすでに9件のM&A案件を取材してきた。最大の案件はCitrix(シトリックス)が22億5000万ドル(約2360億円)でWrike(ライク)を買収したことだ。しかし、すべての取引が巨額な金額をともなうわけではない。本日紹介する3つの案件は、もっと低い金額帯の買収が活発に行われていることを示すものだ。

企業は自社製品を強化する方法を模索しており、同時に有能な人材を導入したいと考えている。小規模な買収は、すべてを社内で構築することなく、製品のロードマップを埋める方法を得ることができる。

買収した企業は、少額の現金で機能性を追加できる。小規模な買収では、金額が明らかにされないこともある。買収が公開企業に重大な財務的影響を与えるほどの規模でなければ、価格を発表する義務はないからだ。

それでは、この数日の間に起こった3つの買収を見ていこう。

TenableがAlsidを買収

2018年に株式を公開したネットワークセキュリティ企業のTenable(テナブル)は、Active Directory(アクティブディレクトリ)のセキュリティを専門とするフランスのスタートアップ企業Alsid(アルシド)を9800万ドル(約103億円)で買収した。ユーザー情報管理ツールとして人気が高いマイクロソフトのActive Directoryは、ハッカーの標的にもなりやすい。ユーザーの資格情報を手に入れることができれば、ネットワークに侵入するのは簡単になる。Alsidの製品はそれを防ぐために開発された。

セキュリティ企業は、時間の経過とともにサービスの幅を広げていく傾向がある。Alsidは、Tenableのセキュリティプラットフォームに新たなツールを追加し、より広い範囲をカバーできるようにする。

「Alsidの買収は、ユーザーアクセスとパーミッションに向けた自然な拡張であると、我々は考えています。契約が完了すれば、この買収は当社の『Cyber Exposure(サイバー上のリスク変動資産管理)』のビジョンを戦略的に補完することになり、企業が攻撃の全体像を理解してサイバーリスクを低減するために役立つでしょう」と、Tenableの投資家向けFAQには書かれている。

AlsidのCEO兼共同創業者であるEmmanuel Gras(エマニュエル・グラス)氏は、この種の攻撃を防ぐために会社を立ち上げたと語る。「Alsidを設立したのは、企業が直面するセキュリティ上の最大の課題の1つであり、脅威行為者が企業のシステムを横断するために用いる最も一般的な方法であるActive Directoryの脆弱性という問題の解決を支援するためです」と、グラス氏は声明で述べている。

パリに拠点を置くAlsidは、2014年に設立された。Crunchbaseのデータによると、2019年には1万3000ユーロ(約165万円)という小額の資金調達を行った。

CopperがSherlockを買収

Google Workspace上に構築されるCRMツールのCopper(カッパー)は、顧客体験プラットフォームのSherlock(シャーロック)を買収したと発表した。金額については明らかにしなかった。

新型コロナウイルスの流行は、多くの買い物客をオンラインに導いた。顧客をより理解して、よりカスタマイズされた体験を提供すれば、より多くのエンゲージメントを促進させ、売上の増加に貢献する。Sherlockの買収によって、Copperは同社のクライアントが顧客をよりよく理解するために役立つツールを手に入れることになる。

「Sherlockは革新的なエンゲージメント分析とスコアリングのプラットフォームであり、見込み客や顧客の意図を表面化させ、営業、アカウント管理、カスタマーサクセスの専門家に行動を促します」と、CopperのDennis Fois(デニス・フォイス)CEOは、この取引を発表するブログ記事で書いている。

彼はさらに、「顧客との関係はエンゲージメントに基づきます。Sherlockとともに、私たちは行動と勢いに焦点を当てたCRMを作成していきます」と付け加えている。

RapidAPIがPawを獲得

APIがソフトウェア開発の考え方を変えたことは明らかだが、大規模な組織にまたがって増殖することで、それ自体が管理の問題を生み出している。API管理プラットフォームのRapidAPI(ラピードAPI)は米国時間2月10日、Paw(ポー)の買収を発表した。

Pawを買収したことで、RapidAPIは顧客が独自のAPIを設計する機能を追加でき、本質的に企業内におけるAPI環境の作成と管理に関連するすべてのものをワンストップで顧客に提供できるようになる。「今回の買収により、RapidAPIはそのオープンAPIプラットフォームをAPI開発ライフサイクル全体に拡張することができ、APIの開発から購入まで、複数のクラウドやゲートウェイを横断して、接続された体験を開発者に提供することが可能になります」と、同社は声明で説明している。

2015年に設立されたRapidAPIは、Crunchbaseのデータによると6700万ドル(約70億3000万円)以上の資金調達を行っている。同社の直近の資金調達は2020年5月に行われたもので、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)、DNS Capital(DNSキャピタル)、Green Bay Ventures(グリーン・ベイ・ベンチャーズ)、Microsoft(マイクロソフト)のベンチャーファンドであるM12、Grove(グローブ)から2500万ドル(約26億2000万円)を調達したラウンドだった。

これらの買収は、いずれも買収企業にとって重要なニーズを満たし、既存のプラットフォームの能力を拡張して、多額の資金を投入することなく、より多くの機能を顧客に提供できるようするものだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:TenableAlsidCopperSherlockRapidAPIPaw買収

画像クレジット:courtneyk / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Datadogがアプリのセキュリティ管理プラットフォームのSqreenを買収

クラウド監視プラットフォームのDatadogが、SaaSのセキュリティプラットフォームであるSqreenを買収する計画を発表した。Sqreenはフランスで創業し、2016年にTechCrunchのスタートアップバトルフィールドに参加している

Sqreenはクラウドベースのセキュリティプロダクトで、アプリを直接保護する。サンドボックス化されたSqreenエージェントをインストールすると、アプリをリアルタイムで分析してコードや構成の脆弱性を見つける。Sqreenを有効にするとCPUのオーバーヘッドはわずかにあるものの、利点がある。

Sqreenで脅威を明らかにしたり、独自の脅威検出ルールをセットアップすることができる。アプリのステータスをSqreenのダッシュボードで見たり、インシデントが発生したときに通知を受け取って情報を知る機能もある。

たとえばブロックされたSQLインジェクションやインジェクションがどこから試行されたかを確認し、今後の試行を防ぐための対処をすることができる。Sqreenはクレデンシャルスタッフィング攻撃、クロスサイトスクリプティングなどのよくある攻撃も検出する。プロダクトが成長してきたら、プラグインのマーケットプレイスから別のモジュールを有効にすることもできる。

多くの企業がすでにDatadogでアプリを監視していることを考えれば、DatadogとSqreenの組み合わせは非常に理に適っている。Sqreenには優れた製品があり、Datadogには優れた顧客ベースがある。したがって、Datadogのセキュリティ面が向上すると期待される。

SqreenはAlven Capital、Point Nine Capital、Kima Ventures、50 Partners、複数のビジネスエンジェルから230万ドル(約2億4000万円)を調達した。その後TechCrunchのスタートアップバトルフィールドに参加し、ファイナルに進んだが優勝はできなかった。その少し後にはY Combinatorに参加した。

同社は2019年にはシリーズAで1400万ドル(約14億7000万円)を調達した。このラウンドを主導したのはGreylock Partnersで、以前に投資したY Combinator、Alven、Point Nineも参加した。

DatadogとSqreenは正式な買収契約を交わした。条件は明らかにされていない。買収は2021年第2四半期に完了する。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:DatadogSqreen買収

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Romain Dillet、翻訳:Kaori Koyama)

ソーシャルゲームZyngaのCEOがさらなる買収計画を語る

Zynga(ジンガ)がなぜ、2020年の終わりに8億7500万ドル(約915億2000万円)の転換社債を発行したのか不思議に思っている人へ。会社はさらに買収するための「軍資金」を蓄えているところだとCEOのFrank Gibeau(フランク・ジボー)氏は語った。

「ご存知のとおり、最近の当社は業界のコンソリデーター(混載業者)であり、今後もすばらしい会社、すばらしいカルチャー、すばらしいチームをZyngaに迎えるべく、攻めの姿勢を続けていきます」とジボー氏は私に語った。

2020年だけで、Zyngaはトルコ、イスタンブール拠点のゲーム会社を2つ、Peak Gamesを18億ドル(約1882億8000万円)で、Rollicを1億8000万ドル(約188億3000万円)でそれぞれ買収した(後者については当初会社の80%だけを買収した)。

関連記事:Zyngaがトルコ拠点の超カジュアルゲームメーカーRollicの買収を完了、CEOはさらなる買収に意欲的

「私たちにはこれまでに4、5つの成功例があります」とジボー氏はいう。「会社をスタートした時、私たちの電話に誰も答えませんでした。今連絡すると、多くのデベロッパーにとって私たちが目的地の1つとなっていると感じます」。

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ジボー氏と私は、Zyngaの第4四半期決算について話した。同社は史上最高の売上6億1600万ドル(約644億2000万円)と純損失5300万ドル(約55億4000万円。ただし、もう1つの利益の基準である調整後EBITDAでは、9000万ドル[約94億1000万円]のプラスだった)を計上した。1日あたりアクティブユーザーは対前年比77%増の3600万人、月間アクティブユーザーは103%増の1億3400人だった。

将来に向けてZyngaは、2021年の売上を26億ドル(約2719億4000万円。対前年比32%増)、調整後EBITDA4億5000万ドル(約470億7000万円)と予測している。今後の買収によって事業が大幅に成長する可能性があるものの、同社の予測は「買収を仮定していない」とジボー氏は述べ、「私たちは有利な位置にいる、なぜなら2021年に買収を行おうと考えているが、交渉の必要はないからだ」とつけ加えた。

2021年には新しいゲームが揃っている。「Puzzle Combat」「Farmville 3」「Star Wars(スター・ウォーズ)」などだ。さらに同社はハイパーカジュアルなゲームの開発を続けていく他、クロスプラットフォームゲームを開発して海外への拡大、および広告ネットワークの構築も続ける計画だ。ちなみに、近く実施されるApple(アップル)のプライバシー規則変更はZyngaにとって追い風であることを同氏は示唆した。

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「伝統的なマーケティングサービスの多くは、うまく生き残ることが難しいでしょう」とジボー氏はいう。「私たちは第1者データ企業(生み出すデータすべてが自分たちのゲームによるサービスから来る)であり、規模も大きいので【略】IDFA(広告主識別子)は我が社にとってチャンスなのです」。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Zynga買収

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nob Takahashi / facebook

出会い系大手のMatchがソウル拠点のHyperconnectを同社最大規模の1809億円で買収

出会い系大手のMatch Group(マッチグループ)は、米国時間2月9日午後、韓国のソーシャルネットワーキング企業であるHyperconnect(ハイパーコネクト)を、現金と株式を合わせ17億3000万ドル(約1809億4000万円)で買収すると発表した。これは韓国のスタートアップエコシステムにとって大きな勝利だ。

Hyperconnectによれば、同社は2020年には2億ドル(約209億2000万円)の売上(2019年比50%増)の収益を上げると予測されている。同社が提供する2つのアプリAzar(アザール)とHakuna(ハクナ)は、言葉の壁を超えてユーザー同士が交流できるアプリだ。2つのアプリは補完関係にあり、Azarが1対1のビデオチャットに特化しているのに対して、Hakuna Liveはオンラインライブ放送市場に特化している。両社はプレスリリースの中で、Hyperconnectの売上の75%はアジアからのものだと述べている。

これは、数多くのアプリや人気のある出会い系アプリのTinder(ティンダー)とHinge(ヒンジ)も所有しているMatch Groupにとって、これまでで最大の買収となる。

この買収とHyperconnectに関わるテーマの1つはテクノロジーだ。同社は現在、成熟している標準規格であるWebRTCの「初のモバイル版」を開発したと主張している。これは、中間サーバーとして機能する別の企業に依存することなく、ユーザー間に弾力性のあるピア・ツー・ピア接続(1対1の直接接続)を提供するように設計されたものだ。

たとえば2人の参加者の間のビデオチャットは、Hyperconnectのサーバーを介して配信されるのではなく、WebRTCを使用して2人の間で直接送信される。これは遅延をなくし信頼性を向上させるために設計されているが、一方Hyperconnectにとってもサービスの帯域幅のコスト削減が可能となる。WebRTCは現在、Google(グーグル)などの企業がGoogle Meet(グーグルミート)のような製品で使用しており、オープンソースの標準として十分に確立している。

WebRTCに対する革新的な取り組みに加えて、Hyperconnectは異なる言語で話したりテキストを書いたりする2人のユーザーが、アプリ内でリアルタイム翻訳を使用して、直接対話できるようにサポートするためのインフラストラクチャを構築した。Google Cloudのマーケティング投稿によれば、Hyperconnectは同クラウドサービスが提供する音声、リアルタイム翻訳、メッセージングAPIの上得意であるという。

両社の共同声明は、双方ともに研究開発とエンジニアリングを取引の鍵だと強調している。ということで、この大規模な買収が投げかける疑問は、Match Groupが一体何を開発しようとしているのかということだ。同グループは、これまでは自身のサービスを主に出会い系に限定してきたが、Hyperconnectから技術を取得することで、生放送やその他のメディアも視野に入れることができるかもしれない。

買収は2021第2四半期で完了する見込みだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Match GroupHyperconnect買収

画像クレジット:Johannes Spahn / EyeEm / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:sako)

セキュリティスタートアップSentinelOneが高速ロギングのScalyrを約162億円で買収

顧客がAIと機械学習を使用してセキュリティデータを理解するのを支援するレイターステージのセキュリティスタートアップであるSentinelOne(センチネルワン)は米国時間2月9日、高速ロギングスタートアップのScalyrを1億5500万ドル(約162億円)で株式と現金を対価に買収すると発表した。

SentinelOneは顧客がセキュリティの状況を理解するのに役立つよう大量のデータを分類する。エンジニアがデータを迅速に行き来し、問題の根本を突き止めることができるツールを持つことは顧客にとって非常に価値がある、とCEOで共同創業者のTomer Weingarten(トマー・ウェインガーテン)氏は説明した。「Scalyrは、世界中のあらゆる法人顧客のデータを幅広く保護するという当社の継続的なビジョンにぴったりだと思いました」と同氏は筆者に語った。

ウェインガーテン氏は「当社の拡大ニーズを満たす会社を探すのに時間をかけました。Scalyrに出会ったとき、リアルタイムのデータレイクを開発した同社の可能性をすぐに理解しました」と語った。そして「当社のテクノロジーの規模を考えた上で世界中を探し回り、最高のデータ分析テクノロジーを見つけました。データを取り込んでリアルタイムでアクセスできるプラットフォームを見つけたとき、信じられないほど特別なものを見つけたと思いました」と説明した。

同氏は、リアルタイムという要素により顧客が単にデータ侵害に対応するのではなくそれを防ぐことができるようになるため、ゲームチェンジャーになると考えている。「攻撃の緩和や攻撃への対応を考える場合、リアルタイムで実行でき、データをリアルタイムで処理し、異常をリアルタイムで見つけて対応できれば、単に攻撃を認識してそれに対応するだけではなく、実際に攻撃をかわすことができるシステムになります」と同氏は説明した。

同社はScalyrがプラットフォームに統合できるもののスタンドアローンのままでもある製品だと考えている。つまり既存の顧客は以前と同じようにScalyrを使い続けながら、大企業に自社の研究開発に貢献してもらうというメリットを享受できるということだ。

SentinelOneは公開会社ではないが、かなり規模が大きい未公開会社であり、Crunchbaseのデータによるとこれまで6億9500万ドル(約727億円)以上を調達した。直近の資金調達ラウンドは2020年11月で、31億ドル(約3243億円)のバリュエーションで2億6700万ドル(約279億円)を調達している

Scalyrは2011年にSteve Newman(スティーブ・ニューマン)氏が創業した。同氏は当初、Writelyというワードプロセッサーを開発し2006年にGoogleに売却、これは実際にGoogle Docsのベースになった。ニューマン氏はGoogle Docsへの関与を続け、さらに拡張するためにインフラ構築を始め、その経験と知識を活かしてScalyrを築き上げた。Crunchbaseのデータによると、同社は2017年のシリーズAでの2000万ドル(約21億円)を含め、これまで2700万ドル(約28億円)を調達した。

買収取引は今四半期には完了し、その時点でScalyrの45人の従業員はSentinelOneに移る。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:SentinelOneScalyr買収

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

暗号化データを無解読で利用できるDataFleetsをエンタープライズデータのLiveRampが買収

LiveRampがDataFleetsを買収した。この新進のスタートアップは、暗号化されている大量のデータを、解読や転送などをせずに利用できるようにする。エンタープライズのデータ接続性プラットフォームであるLiveRampは、同社に6800万ドル(約71億円)ほどを支払ったが、それは2020年秋のDataFleetのシード資金450万ドル(約4億7000万円)の10数倍の額となる。

DataFleetsは、医療や金融関連の機密データが最近、分析や機械学習のモデルの訓練に利用されるというニーズに着目した。そのようなデータベースは、複雑巨大であるだけでなく、転送も困難だが、それらを解読してどこかで使おうとすると、エラーや濫用、ハッキングの危険性が一気に増してしまう。

同社のソリューションは、病院や銀行などデータのプロバイダーとアナリストやAIの開発者などデータのクライアントの両方にソフトウェアを置き、両者間の安全な仲介者として振る舞う。クライアントは機密データがほしいのではなく、分析のシステムや機械学習のモデルにデータを適用したいだけだであり、値の取り出しと比較や、MLのモデルの構築といったデータに対して自動化されたタスクを実行できればそれでよい。データそのものに直接アクセスする必要はない。

明らかにこのやり方は、LiveRampにとっても価値あるものだろう。同社は大企業に数多くのデータ接続性サービスを提供する企業として、世界中で知られている。同社は先に発表した決算報告で、DataFleetsに前払いで6800万ドル(約71億1000万円)を支払ったことを発表したが、その額には、この種の取引によくある、その他のさまざまなインセンティブや延べ払いは含まれず、しかもそれらは非公開だ。

買収によってDataFleetsというブランドは若くして引退すると思われるが、おそらく同社のさまざまな顧客はLiveRampを目指すだろう。その最新の例がHCA Healthcareで、この全国的にメジャーなプロバイダーは新型コロナウイルスのデータ共有コンソーシアムを発表したばかりだが、そこでもDataFleetsのサービスを利用すると思われる。2020年に商用化したばかりの技術にとって、それは強力なお墨つきになるし、LiveRampにとってもヘルスケアのクライアントが増えたことで良いセールストークの材料になる。

LiveRamp自身は、サービスが強化されたことを機に、2021年にはヨーロッパとアジアとラテンアメリカの事業を拡張したい。さらに同社は国レベルでのプライバシー法を求めている。新政権では、それができるかもしれない。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:LiveRamp買収

画像クレジット:LiveRamp

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フードデリバリーのDoorDashがサラダづくりロボットのChowboticsを買収

DoorDash(ドアダッシュ)はキッチンにロボティクスを取り込もうとしている。デリバリーサービスの同社は、サラダを作るロボットSallyで知られるベイエリア拠点のChowbotics(チョウボティクス)を買収する。ウォールストリートジャーナル紙が買収を最初に報じ、TechCrunchも確認した。

「新鮮な食事へのアクセスを増やすために画期的なロボットプロダクトとビジョンを持ってChowboticsが成し遂げたことに長年感心していました」とDoorDashの共同創業者Stanley Tang(スタンリー・タン)氏はTechCrunchへのコメントで述べた。「DoorDashは常にイノベーションに取り組み、パートナーである業者の成功のサポートを改善し続けています。新たな方法でサポートするためにこのテクノロジーを活用することに興奮しています。Chowboticsのチームとともに我々は、業者の成長をサポートするサービスを提供しつつ、新たなユースケースや顧客を開拓できます」。

2014年創業のChowboticsは2018年の1100万ドル(約12億円)を含め、これまでに2100万ドル(約22億円)を調達した。サラダバーやビュッフェはオープンな環境で提供されがちという事実は言わずもがなだが、同社の自動販売機スタイルのサラダバーロボットは準備工程に人の手を介さない。そのため、パンデミックの中ですでにいいポジションにつけている。2020年10月に同社はロボットにコンタクトレスの機能を加え、ユーザーがアプリ経由であらかじめ注文できるようにした。

「DoorDashのチームに加わることでChowbotics、そして当社が過去7年かけて開発したテクノロジーにとって新たな機会が開けます」とCEOのRick Wilmer(リック・ウィルマー)氏は声明で述べた。「フードデリバリーとオンデマンドロジスティクス業界のリーダーとして、DoorDashは我々が成長し、またテクノロジーを広く展開するのに役立つ比類ないリーチと専門性を持っています。ですので、ともに我々は新鮮で栄養価の豊富な食品をより多くの人のために簡単に作ることができます」。

Chowboticsのテクノロジーが、現在DoorDashが提供しているデリバリーサービスにいかに溶け込むかは完全にはっきりしていない。しかしDoorDashは「新鮮で安全な食べ物への消費者のアクセスを改善し、当社の業者の商品やロジスティクスのプラットフォームを強化します」としている。また、ChowboticsがDoorDashの傘下で独立した企業として事業を続けるのかどうかも今後明らかになる。TechCrunchはさらなる詳細を尋ねている。

「DoorDashは業者がさらに事業を拡大させたいときに最初に声がかかるように努めています」とタン氏は述べた。「Chowboticsで最も感激している点は、Chowboticsのチームが業者の成長をサポートするすばらしいツールを開発したことです。ChowboticsのテクノロジーをDoorDashのプラットフォームに組み込むことで、我々は業者が現在展開しているメニューを増やしたり新たなマーケットの新顧客にリーチしたりするのをサポートする機会を得ます。これは地域経済を活性化させるための当社の業者ファーストのアプローチの基本的な部分です」。

DoorDashがロボティクス企業と協業してすでに数年が経つ。おそらく最も代表的な例がフードデリバリーロボットを開拓するためのStarship Technologies(スターシップ・テクノロジーズ)との提携だ。しかしこのテクノロジーは、歩道をロボットに明け渡したくない当局の間では相当数の障害物となっている。DoorDashはChowboticsのキオスクスタイルのテクノロジーを、ゴーストキッチンとの自社の業務になぞらえる。ローカルの業者が、店舗であるいはデリバリーを通じて提供する食品の選択肢を拡大するのに役立つコンジットとして効果的に機能するというものだ。店舗が提供するメニューの拡大は、現在のパンデミックが過去のものになれば関心を集めることになりそうだ。

買収の条件は明らかにされなかった。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:DoorDashChowbotics買収

画像クレジット:chowbotics.com under a license.

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

マーケティングソフトウェアのHubSpotが購読者150万人のニュースレターThe Hustleを買収

マーケティングソフトウェア企業のHubSpotは、同名の人気ニュースレターを運営するビジネスおよびテックメディアのスタートアップであるThe Hustleを買収する。

Axiosはこの買収のニュースを発表し、スタートアップの価値を約2700万ドル(約28億5000万円)と評価していると報じている。HubSpotは取引価格についてのコメントを拒否し、The HustleのCEOであるSam Parr(サム・パー)氏は今回の買収について次のようにツイートしている。「私はキャリア初期の頃、お金に対して透明性を保っていた。しかし、それを共有した時の結果は気に入らなかった。だから価格は公開しないし、HubSpotも同意してくれている。取引価格は墓場まで持っていくぞ!」。

HubSpotは今回の買収に関するプレスリリースの中で、顧客は同社のYouTube動画やHubSpot Academyのようなコンテンツを通じて、HubSpotの製品を見つけていると指摘している。

「The Hustleを買収し教育、ビジネス、技術トレンドのコンテンツを好みのフォーマットで提供することで、規模を拡大する企業のニーズをより的確に満たすことができるようになります」とHubSpotのマーケティング担当シニアヴァイスプレジデントのKieran Flanagan(キエラン・フラナガン)氏は声明で述べた。「Samと彼のチームには起業家、スタートアップ、スケーリング企業が深く情熱を傾けているコンテンツを作成する能力があることが証明されており、私はその仕事を次のレベルに進めるために彼らを仲間に入れることに興奮しています」。

HubSpotによると、The Hustleの主要なニュースレターは150万人の購読者がいるという。また、Trendsと呼ばれる購読サービスやMy First Millionと呼ばれるポッドキャストも提供している。

「我々の目標は、世界最大のビジネスコンテンツネットワークを構築することです」とパー氏はツイートした。「近いうちに、我々はさまざまな話題を扱う多様なメディアに進出し、本当に革新的な製品を発表する予定です。また、世界最高のコンテンツクリエーターを雇用する予定です」。

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タグ:HubSpot買収

画像クレジット:The Hustle

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(文:Anthony Ha、翻訳:塚本直樹 / Twitter

住宅関連サービスプラットフォームのPorchが4社を買収

先日SPAC(特別買収目的会社)でのIPO(新規株式公開)を実施したPorch(ポーチ)が、総額1億2200万ドル(約126億円)で4社を買収したことを米国時間1月15日に発表した。最大の注目は1億ドル(約103億円)で買収したHomeowners of America(ホームオーナーズ・オブ・アメリカ)だ。今後、ポーチは家財保険業界にさらに進出するだろう。加えて、引越し関連事業向けのデータプラットフォームを扱うV12を2200万ドル(約22億円)で買収し、住宅診断サービスのPalm-Tech(パームテック)と屋根業者向けのSaaSアプリを販売するiRoofing(アイルーフィング)も合わせて買収した。パームテックとアイルーフィングの買収価格は公表されていない。

ポーチといえば、住宅のリフォームや修繕関連のサービスを7年前の2013年から提供している企業、というイメージかもしれない。もちろん今でも変わらずそれらのサービスを提供しているが、実は、同社は起業から数年後に「住宅関連の包括的なソフトウェアプラットフォーム」の構築に主軸を移している。買収を重ねた結果、現在では、Porch.com、HireAHelper(ハイヤーエーヘルパー)などのサービス、住宅診断のInspection Support Network(インスペクション・サポート・ネットワーク)、引越し関連サービスのKandela(カンデラ)、保険仲介業者のElite Insurance Group(エリート・インシュアランス・グループ)がポーチグループの傘下となっている。米国では、住宅購入者3人のうち2人が毎月、ポーチのツールを直接的または間接的な方法で利用している。

ポーチの創業者でCEOのマット・アーリックマン氏、画像クレジット:Porch

ポーチの創業者でCEOのMatt Ehrlichman(マット・アーリックマン)氏は、当初は従来型のIPOで上場する予定だったが、最近急増している特別買収目的会社を活用したIPOによって予定を1年早めることが可能となり、本日の買収発表に至った、とTechCrunchに語った。

アーリックマン氏によると、「3億2300万ドル(約335億円)の資金を調達できたため、株式を公開して上場することに加えて十分な増資も可能となった。これにより、予定を1年早めて、ポーチと非常に相性がよいと思われる企業の買収を今年のうちに進めることができた」という。ポーチの2021年の収益予測は当初1億2000万ドル(約124億円)だったが、今回の買収により1億7000万ドル(約176億円)に上方修正された。前年度(2020年)比で134 %の成長となる。

これまでに公表された文書を見ると、ポーチは、2021年に保険業界に進出することを以前から計画していたことが分かる。アーリックマン氏が述べるように、ポーチは最近、自ら包括的なソフトウェア企業として位置づけるようになっており、提供するサービスにインシュアテックが追加されることで継続的な収益を見込んでいる。加えて、ポーチは既に多種多様なサービスを提供しているため、追加されるサービスの顧客獲得にかかるコストは限りなくゼロに近い。

ポーチは既に保険仲介業務の認可を取得している。ホームオーナーズ・オブ・アメリカを買収したということは、保険会社でもあり総代理店でもある企業を買収したということだ。

アーリックマン氏は次のように述べている。「消費者の経済価値をすべて獲得することが可能だ。新居のオーナーが家財保険に申し込むのをサポートし、オーナーが満足できるようにその保険を当社で管理する。当社が投資したテクノロジーを駆使することにより、新居のニーズに合わせた家財保険を納得のいく価格ですぐに見つけられる。住宅の検査によって屋根が古いかどうかを確認し、水回りやその他の機器の不具合を発見するといった、他の企業にはない住宅関連の豊富なデータが、家財保険を取り扱う際に大きなメリットとなる」。

確かに、このようなデータがあるからこそ、数多くの買収が意味あるものとなる。ポーチは幅広い顧客層についてよく理解しているため、買収した企業に対して必要なデータを提供でき、それが、サービスの追加や、より的確な意思決定へとつながる。

ホームオーナーズ・オブ・アメリカは現在、テキサス、アリゾナ、ノースカロライナ、サウスカロライナ、バージニア、ジョージアの6州で営業しており、31州で認可を受けている。既に800を超える代理店が加盟するネットワークを形成しているが、ポーチは今後数か月でそのネットワークと営業地域をさらに拡大する予定だ。アーリックマン氏は「全国で顧客を獲得するためのコストがかからないので、事業の拡大に注力できる」と説明する。

ポーチがV12を買収した狙いは、V12の引越し関連事業とそのデータプラットフォームだ。今回の買収により、この分野での収益2億ドル(約207億円)という中期的目標の達成に近づくだろう。自動車業界など多岐にわたるV12のサービスは今後も提供されていく予定だ。V12プラットフォームの主な目的は、ブランドが特定の消費者にアプローチする適切なタイミングを把握することである。例えば、新車を買ったり引越したりする前のタイミングだ。ポーチは、自社が既に保有しているデータとV12の強みを活用してこの分野での拡大を図ることにより、アーリックマン氏いわく「真の」引越し業者となり、同業者との差別化を目指す。

「当社のマーケティングソフトウェア部門の基盤はV12であり、V12は引越し関連事業に強い。V12プラットフォームにより、長期的に見て非常に大きな差別化を図ることができる。成長を見込める分野はほかにもいくつかあり、それらの分野でもV12プラットフォームを展開していく予定だ」とアーリックマン氏は語る。

アイルーフィングとパームテックの買収の目的は、ポーチがこれまでに買収した企業や住宅診断会社と同じように、ポーチグループの関連製品全体と統合することによって企業の成長を促進することである。

ポーチのCFOであるMarty Heimbigner(マーティ・ハインビグナー)氏は次のように語っている。「当社のビジネスは、今回新たに買収した事業も含めて、ほぼ全体的に継続的な収益を見込めるし、予測可能だ。このようなリピート収益は収益コストが20 %未満で利益率が高く、当社プラットフォームで年間30 %以上の成長が期待できる。そのため、今回の買収は株主にとって非常に大きなメリットとなると確信している」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:買収 住宅

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Dragonfly)

大麻マーケティングプラットフォームのspringbigがBudTenderを買収してユーザー体験向上へ

米国時間2月1日、大麻マーケティングプラットフォームのspringbig(スプリングビッグ)はカナダ拠点の大麻小売業者向け顧客体験プラットフォームのBudTender(バッドテンダー)を買収したことを発表した。

この動きは、大麻小売業者が顧客ベース拡大の新たな方法を探っていることを受けたものだ。ほとんどの地域で大麻業者は、ソーシャルメディアを使った近代的広告手法を活用できていない。BudTenderを獲得したことで、springbigはマーケティングと顧客管理の新たなツールを手に入れた。springbigによると、BudTenderはまもなく同社プラットフォームに統合される予定で、ユーザーはBudTenderのレポートや調査結果を利用できるようになる。

「BudTenderはカナダの大麻テック分野をリードしてきました。同社のビジョンとプラットフォームは、大麻小売りと顧客体験の向上というspringbigの継続的コミットメントに無理なく寄与するものです」とspringbigのファウンダーでCEOのJeffrey Harris(ジェフリー・ハリス)氏は語った。「大麻合法化が進むなか、ブランドや小売業が競争力をもつためには顧客の維持と満足度向上のための総合的ソリューションが必要になります」。

2017年にJake Crow(ジェイク・クロウ)氏が設立したBudTenderにとって2020年は目覚ましい年だった。springbigによると、BudTenderの成長は対前年比800%、売上成長は対前年比1200%だった。

「この買収は北米全体の大麻小売業者にとって朗報であるだけでなく、数百万人の顧客体験を豊かにするものです」とクロウ氏はいう。「これでより近代的な大麻業界が生まれることはまちがいなく、srpingigと正式に力を合わせられることを大いに楽しみにしています」。

契約の内容は公開されていない。

関連記事:大麻マーケティングのFylloが同業DataOwlを買収、2021年の大麻ビジネスの爆発的成長に期待

カテゴリー:ネットサービス
タグ:springbig買収大麻

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

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(文:Matt Burns、翻訳:Nob Takahashi / facebook

検索する度にアイデアを集めるウェブブラウザーを開発するBeamが約10億円調達

BeamがシリーズAで950万ドル(約9億9800万円)を調達した。同社はユーザーがウェブのセッションを開始してからブラウズした軌跡を完全にたどることができる新しいウェブブラウザーを開発している。Dom Leca(ドム・レカ)氏とSébastien Métrot(セバスチャン・メトロ)氏がBeamを創業した。レカ氏は以前、独創的な設計のメールアプリのSparrowを開発していた。

今回の資金調達ラウンドはPace Capitalが主導した。Christan Reber(クリスチャン・リーバー)氏、Harry Stebbings(ハリー・ステビングス)氏、Albert Wenger(アルバート・ウェンガー)氏などのビジネスエンジェルも参加した。これまでに投資していたSpark、Amaranthine、C4V、Alven も再び投資した。

BeamはSafari向け広告ブロッカーのRadBlockを買収することも発表した。

Beamをご存じない方は、以前に筆者が同社について投稿した記事をお読みいただきたい。この記事でプロダクトの動作やその背後にある考え方を紹介した。

要約すると、Beamはナレッジに着目したウェブブラウザーだ。多くの人が漫然とウェブをブラウズして長時間すごしている。最後のタブを閉じたときに、自分は大して学んでもいないしメモも取っていなかったことに気づく。

ブックマークすることもできるが、ブックマークは使わないし、まったくチェックしないかもしれない。何かをもう一度見つけたいと思っても、結局はGoogleに検索語句を入力して最初から探すことになる。

Beamはユーザーが何かを検索するたびに新しいセッションを作成する。各セッションはメモのカードとして表わされる。ブラウズを終えると、見たものがメモのカードにまとめられている。検索語句がカードのタイトルになり、最も重要なサイトがメモの上部に表示される。関係性の低いコンテンツはメモの最後に記録されている。

そのカードに対してテキストの追加、リンクの削除、内容の整理、きちんとしたメモの記入をすることができる。基本的には自分で意識しなくても網羅的なメモが作成される。

Beamは野心的なプロジェクトで、同社はこの当初のアイデアを繰り返さなければならないだろう。しかし子供の頃にウェブを使い始めるには良い方法であるように思われる。ウェブでの自分の行動によって、自分が夢中になっていることに気づくようになる。

現在、Beamでは7人が働いている。同社は機械学習と自然言語処理の専門家や開発者を雇用する予定だ。

関連記事:Beamはメモを取らないあなたのウェブ検索や閲覧からナレッジを集めるブラウザーを開発している

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Beamウェブブラウザー資金調達買収

画像クレジット:Luca Bravo / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Kaori Koyama)

Uberがアルコール宅配サービスのDrizlyを約1150億円で買収へ、Uber Eatsの収益性アップを狙う

Uber(ウーバー)は米国時間2月2日、アルコールデリバリーサービスのDrizlyを買収する計画を発表した。約11億ドル(約1150億円)の買収には株式と現金が含まれており、2021年前半に完了する見込みだ。計画では、DrizlyのマーケットプレイスがUber Eatsアプリに直接組み込まれる予定だが、同社は当面の間Drizlyのスタンドアロンアプリの提供も維持するとしている。

確かに、両社のマーケットプレイスには適合性がある。Uberは基本的なライドシェアと配送技術を提供しているが、Drizlyは同社がUber Eatsをさらに収益性の高いサービスに発展させるのを助けることができる。

「Cory Rellas(コリー・レラス)CEOと彼のすばらしいチームは、Drizlyを信じられないほどのサクセスストーリーに育て上げ、前年比300%以上の利益を上げています」と、UberでCEOを務めるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏はリリースで語った。「DrizlyをUberファミリーに取り込むことでDrizlyをUberの利用者に知ってもらい、数年後にはそのプレゼンスをグローバルな拠点に拡大することでその軌跡を加速できます」。

このサービスは米国全土の市場で着実に展開されているが、現地の酒類に関する法律が拡大のハードルとなっている。2021年1月にはアトランタをサービスリストに加え、地元の十数軒の市場や酒屋と提携して配達地域を拡大した。Uber Eatsのように、Drizlyはサービスを提供する市場で地元の小売店と提携している。Drizlyによると、同社のサービスは北米の1400以上の都市におよんでいるという。パンデミックに関連したロックダウンも、アルコールデリバリーの魅力を拡大するための一助となっていることは間違いない。

Crunchbaseによると、2012年に設立されたボストンを拠点とするDrizlyは現在までに1億2000万ドル(約130億円)弱の資金を調達している。その中には、2018年後半のシリーズCで調達した3450万ドル(約36億円)が含まれている。最近では、同サービスはデータ漏洩に見舞われた。2020年7月に公開されたこの出来事では、最大250万件のアカウントが影響されたとみられている。

Uberによると、Drizlyの株主への支払いの約90%はUberの株式で行われ、残りは現金で支払われると予測されている。この買収は、規制当局の承認待ちとなる。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:UberDrizly買収

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

Rapid7がKubernetesセキュリティスタートアップのAlcideを52.5億円で買収

ボストンに拠点を置くセキュリティ運用会社のRapid 7はクラウドへの進出を行っており、米国時間2月1日の朝、ワークロードやサービスのコンテナ化を管理するプラットフォームであるKubernetes分野のセキュリティスタートアップAlcideを5000万ドル(約52億5000万円)で買収したと発表した。

世界がKubernetesを使ったクラウドネイティブに移行していく中で、コンテナを安全に保つために正しく設定しておくことが難しくなっている。Kubernetesはコンテナの管理を自動化するように設計されていることから、人力を作業ルーチンから除外し、自動化された方法でセキュリティプロトコルを適用することがさらに重要になっている。

Rapid7のクラウドセキュリティ担当SVPを務めるBrian Johnson(ブライアン・ジョンソン)氏は、その目的には特化した種類のセキュリティ製品が必要であり、それがAlcideを買収する理由だと述べている。「クラウドを運用している企業は、リアルタイムでリスクを特定して対応できる必要があり、クラウドインフラやコンテナを個別に見るだけでは、どこに脆弱性があるのかを真に理解するのに十分なコンテキストを提供できません」とジョンソン氏は説明している。

「Alcideを追加することで、企業はクラウドインフラストラクチャおよびクラウドネイティブアプリケーションの全体について、包括的で統一された可視性を得ることができます。これにより、企業は安全性を維持しながら迅速な革新を継続できるようになります。」

今回の買収は、2020年4月に1億4500万ドル(約150億円)でDivvyCloudを買収したことに関連している。2社の買収価格は合計でほぼ2億ドル(約210億円)に相当し、Rapid7がクラウドのワークロードの保護を幅広く広く支援することを可能にしている。

これはまた、大企業が人材やテクノロジーを買収してコンテナのセキュリティの強化を図る中で、2020年に数多くのKubernetesセキュリティスタートアップが誕生したという業界のトレンドの一部でもある。これにはVMWareによる2020年5月のOctarine買収Cisco(シスコ)による10月のPortShift買収したこと、RedHatの2021年1月のStackRox買収などが含まれる。

Alcideは2016年にテルアビブで設立され、イスラエルの活発なセキュリティスタートアップシーンの一部となっている。Crunchbaseのデータによると、同社はこれまでに約1200万ドル(約12億6000万円)を調達している。

関連記事:CiscoがイスラエルのPortShiftを買収、DevOpsとKubernetesのセキュリティを強化

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Rapid7Alcide買収Kubernetes

画像クレジット:aydinmutlu / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:塚本直樹 / Twitter

Episerverはより有名な買収したOptimizelyの名称を会社全体で使用すると発表

2020年秋にOptimizely(オプティマイズリー)を買収したコンテンツ管理会社のEpiserver(エピサーバー)は、組織全体でOptimizelyの名称を採用することにした。

CEOのAlex Atzberger(アレックス・アッツバーガー)氏によると、同社は今後数カ月の間に新しいブランディングを展開する予定であり、合わせてOptimizelyブランドを反映した製品群全体の名称変更も行う予定だという。

「私たちは、もはやエクスペリエンスをパーソナライズしたり、レコメンデーションを推進するだけのものではないと信じています」とアッツバーガー氏は語る。「Optimizelyというブランドと言葉は、まさに最適なパフォーマンスを意味しています。今日の企業は、規模の大小を問わず顧客とデジタルでつながる方法をより洗練されたものにする必要があります。それは終わりのない話です」。

同時に、Episerver社は「強い立場」から変革を行っていることを同氏は強調した。この合併会社は2020年に、二桁の収益成長を遂げ、250以上の新しい顧客を獲得した。

Optimizelyの名前を採用することは、初めから買収後の計画の一部であったのかと尋ねられたアッツバーガー氏は、次のように答えた。「Optimizelyを買収したとき、我々はすばらしいプロダクトや、すばらしい顧客基盤だけでなく、非常によく知られているブランドを取得するとわかっていました。当時はまだ(リブランディングを)決定していたわけではありませんが、それは確かに私にとって、検討の一部に入っていました」。

Episerver / Optimizelyは新社名の発表に加えて、OptimizelyとEpiserverの製品の側面を統合し、ウェブターゲティング、テスト、レコメンデーションを提供するOptimization-as-a-Serviceと呼ばれる新しいプラットフォームも発表した。アッツバーガー氏がいうように、この新プラットフォームは顧客が「誰に見せるか、どんなコンテンツを見せるか、そして実際にそのコンテンツをどのように見せるか」を決定できるようにするものだ。

関連記事:A/Bテストで一世を風靡したOptimizelyをマーケター向けコンテンツ管理ツールのEpiserverが買収

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画像クレジット:ONYXprj / Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

クラスメソッドが技術情報共有サービス「Zenn」を買収、Developers.IOと独立して運営予定

クラスメソッドが技術情報共有サービス「Zenn」を買収、Developers.IOと独立して運営予定

クラスメソッドは2月1日、CodeBrewが提供するエンジニア向け技術情報共有サービス「Zenn」の買収を発表した。クラスメソッドは、コミュニティを通じて良質な技術記事を発信するプラットフォームを獲得し、より多くのエンジニアの創造活動に貢献するとしている。

Zenn主開発者の石川俊平氏はクラスメソッドに入社し、今後も開発を継続する。ユーザーサポートや機能強化については、クラスメソッドのリソースを活用して、より良い顧客サービスの提供を目指す。クラスメソッドの技術情報発信メディア「Developers.IO」とZennは、それぞれ独立して運営する予定。

Zennは、知見を記事として投稿するだけでなく、1冊の本にまとめて無料・有料で公開可能なエンジニア向け情報共有サービス。また、他のユーザーとコミュニケーションを取りながら知見を蓄積していくスクラップ機能も利用できる。専用のCLI(コマンドラインインタフェース)を使ってローカルで執筆し、GitHubリポジトリ経由で記事同期を行えるほか、マークダウン形式での記述や、豊富な外部サービスからのコンテンツ埋め込み機能にも対応している。

クラスメソッドが技術情報共有サービス「Zenn」を買収、Developers.IOと独立して運営予定

クラスメソッドは、エンジニア向けにDevelopers.IOを2011年より運営。ほぼすべての記事を同社社員が執筆しており、実際に技術を試してみた経験を書くこと、具体的で分かりやすい手順を書くこと、機密情報以外のノウハウは基本的に全て公開することをサイトの運営方針として、2万5000本以上の記事を公開している。

Developers.IOの運営を支えてきた「オープンな発想と高い技術力により、全ての人々の創造活動に貢献し続ける」という企業理念において、Zennのビジョンや素晴らしいユーザー体験に共感し、このたび、一緒に歩んでいくこととしたという。

クラスメソッドは、アマゾン ウェブ サービス(AWS)をはじめとしたクラウドサービス、データ分析基盤、アプリ開発、IoT連携、AI/機械学習の技術を活用した企業向け支援を実施。現在までにAWS技術支援を中心に2300社以上、AWSアカウント数では1万件以上の支援実績があり、2015年からは6年連続でAWSパートナーネットワーク(APN)のプレミアコンサルティングパートナーに認定されている。「すべての人々の創造活動に貢献し続ける」という企業理念のもとに幅広い分野で活動している。

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タグ:クラスメソッドZennDevelopers.IO買収 / 合併 / M&A(用語)日本(国・地域)

英国の競争監視当局はフェイスブックのGIPHY買収を未だ検討中、2021年3月末に進展か

Facebook(フェイスブック)によるGIPHY(ジフィー)の買収の精査を続けている英国の競争規制当局は、英国時間1月28日、この買収が競争の実質的な減殺(substantial lessening of competition)の「現実的可能性」(realistic prospect)をもたらすかどうかについて、3月25日までに決定を下すと表明した

公示には、「競争・市場庁(The Competition and Markets Authority、CMA)はここに、企業法(Enterprise Act)の第34ZA条3項b号に定義されている「初期期間」に従い、Facebook, Inc.によるGIPHY, Inc.の買収完了(合併)に関して、第二次審査のための照会を行うか否か決定する審査を開始するために十分な情報を有していることを通知する」と書かれている。

「したがって、本合併に関して(企業)法第34ZA条3項に定義されている初期期間は、本通知の日付の後の最初の営業日、すなわち2021年1月29日に開始される。初期期間が終了し、CMA が本合併を第二次審査に付すか否かの決定を発表する期限は2021年3月25日となる」ともある。

競争・市場庁は2020年6月に、FacebookがGIF共有プラットフォームであるGIPHYを4億ドル(約419億円)で買収したことに対する調査を開始した。

この調査により、すでに買収を完了しているにもかかわらず、製品やチームを統合したり、ともに取引や契約に取り組むなど、GIPHYをFacebookのより広いビジネス帝国に組み込んでいく活動は凍結状態となった。

Facebookは2020年5月にGIPHYを買収する計画を公表したが、それとともに、同社の写真・動画共有アプリであるInstagramにGIPHYプラットフォームを統合する計画も発表した。

しかし、これらの計画は、英国での競争監視当局による精査により今のところ保留になっている(2020年6月、FacebookとGIPHYは統合活動を一時停止するというCMAの命令に従っていることを確認した)。

これは、買収によって成長しようとするテック大手が直面する規制上の摩擦が増していることを示している。たとえば2020年、最終的には12月に取引を承認したものの、欧州の規制当局もGoogle(グーグル)によるFitbitの買収に数カ月を費やした。それも、Fitbitのデータがどのように使用されるか、そして競合相手のAPIアクセスに関連する数多くの誓約をGoogleから得た後にのみ可能となった。

FacebookとGIPHYのケースでは、英国の監視当局は、より深く、より広範な第二次審査を開始するかどうかについて2021年3月に決定する予定だ(その後、当局は最終決定を下す必要がある)。

その時点でCMAは、FacebookがGIPHYを買収することによる競争の実質的な減殺の「現実的可能性」はないと決定することもでき、そこで介入を終え、両社が統合を続ける障壁をなくすかもしれない。

規制当局はまた、他の理由で第二次審査を開始しないことを選択する裁量権も持っている。該当する市場はさらに掘り下げた調査に値するほどの重要性がないと判断するか、または合併による顧客の利益は、競争上のマイナス影響を上回ると考えられる場合などだ。

このケースでは買収されたビジネスがリアクションGIFをスワップするためのプラットフォームであることを考えると、確かにCMAは深入りする価値がないと判断する可能性があるように思える。いずれにせよ、数カ月後にもっと知ることになるだろう。

何が起ころうとも、ソーシャルウェブ上におけるFacebookの支配力に関連した規制上の懸念は、GIPHY統合の計画をすでに半年以上遅らせている。そしてこの調査はさらに長引く可能性もあり、同社のすばやく動く(そしてものを破壊する)能力に影響を与えることになる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookGIPHY買収イギリス

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Aya Nakazato)

UberのAutocab買収を英国の競争監視当局が調査

タクシーやPHVのグローバルトリップマーケットプレイス「iGo」を運営するタクシーと自家用車業界向け予約・配車ソフトのSaaSメーカーことAutocabを買収するUberの計画は、英国の競争監視機関である競争・市場庁(CMA)によって調査されていることが米国時間1月29日に明らかになった。

競争監視機関はこの合併について、詳細な調査を行うかどうかを決定する期限を3月26日としている。

Uberは2020年8月、英国を拠点とするAutocabを買収する意向を発表した。

従来のタクシーや自家用車会社と競合する配車サービスを提供するUberが、Autocabの代替旅行予約市場を閉鎖したり、自社の配車サービスが展開されている一部の市場で閉鎖したりした場合、競争上の問題が生じる可能性がある。

買収を発表した時点でUberは、AutocabによるSaaSとiGoの国際展開をサポートする計画だと述べていた。この動きはまた、配車サービスが新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの間に需要が逼迫していることから、Uberのドライバーが自社のプラットフォーム以外から配送などの仕事を得る機会を増やすことを意図しているようだ。

それにもかからず、AutocabのマーケットプレイスであるiGoとUberの中核的な乗車サービスとの重複は、競争のリスクについての疑問が生じる可能性がある。

CMAはこの合併について、2月12日までにコメントを提出するように求めている

「この取引がもし実施されれば、CMAはEnterprise Act 2002の合併条項の下で、関連する合併状況を作り出すことになるかどうかを検討しており、またもしそうであれば、そのような状況が商品またはサービスに対する英国の市場内の競争を実質的に減少させることになると予測されるかどうかを検討しています。この評価を支援するため、CMAは利害関係者から取引に関するコメントを募集します」。

Uberの広報担当者はこの調査について「私たちは英国のCMAの調査に全面的に協力し、可能な限り迅速に調査を終了できるようにしています。この買収は消費者にとってプラスであり、地元のオペレーターの成長を助け、ドライバーに真の収益機会を提供すると私たちは確信しています」と述べた。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:UberAutocab英国買収

画像クレジット:Carl Court / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:塚本直樹 / Twitter