消費者用3Dプリンターの決定版を自称するUltimakerのUltimaker 3はプリントヘッドが2つあり、異なる素材で同時プリント可能

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Ultimakerが同社の3Dプリンターの最後のメジャーアップデートをしてから、すでに3年あまりが経つ。その間、このオランダの企業は、大型機Ultimaker 2 Extendedやポータブル機Ultimaker 2 Goを出したりした。とくに後者は、こんな奇妙な副産物を生み出した。でも同社はこれまで、もっぱら、もっと本格的に新しい新製品に取り組んでいたのだ。

同社のCEOによると、その本格的な新製品Ultimaker 3は、“3年間の開発の成果であり”、とりわけ消費者に好まれると思われるのは、その斬新なルックスと、そこから予感・期待される新しい機能の数々だ、という。

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その新しい機能のトップに来るのが、デュアルエクストルージョンシステム(dual-extrusion system)、つまりプラスチック押出成形のためのヘッドが、二つある。色や性質の異なる2種類の素材を、同時に使用できる。まるで、2色のソフトクリームのように。

内部的機能もアップグレードされ、細かい幾何学的な形状もプリントできる。またプリントベッドが自分で高さを調節するので、よくあるプリントエラーを避けられる。NFCセンサーが素材が変わるときのタグを検出し、それをプリントの機構に伝えるので、ユーザーはプリントをよりきめ細やかにカスタマイズできる。

Ultimaker 3にはモニタ用のカメラがあるので、リモートでプリンティング過程を監視できる。そのために、Wi-FiとEthernetとUSBのポートがある。これら全体を動かし統括するソフトウェアは、Curaと名付けられている。発売は今日(米国時間10/18)で、お値段は3495ドルだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

3DプリントやVRのための3Dデザインを簡易化大衆化したいVectaryがシードで$2.5Mを獲得しニューヨークへ引っ越し

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3Dプリンターが気軽に買えるお値段になり、ユーザー人口が大きくなったことによって、新しい起業機会が出現している。それは、シンプルな3Dデザインツールだ。またVRが普及の端緒についたことも、そんなツールのニーズを拡大している。そこでもやはり、オブジェクトや環境を3Dでデザインしなければならない。

3Dプリントのネット上の大きなコミュニティとしてThingiverseがあるが、そこには3Dのモデルを作る機能はない。Autodeskの123dはプロのユーザーが対象だが、同社には子ども向けの無料のアプリケーションBlenderもある。しかしそれは、プラットホームとそのユーザーコミュニティではない。だからここには、コミュニティと3Dモデリングツールを合わせたプラットホームでもって、より広いオーディエンスを獲得できそうな機会がある。

Vectaryがねらっているのが、まさにそれだ。シンプルで使いやすいと同時に、プロが短時間でデザインできるために必要とする機能も揃っている。そして、デザインの共有や議論、カスタム化などのベースとなるコミュニティ機能も。

今回同社はシードラウンドで250万ドルを調達した。ラウンドをリードしたのは、ベルリンのBlueYard Capitalだ。シード前の段階でも投資をしたブラティスラヴァのNeulogy Venturesと、数名のエンジェル投資家も参加した。

CEOで協同ファウンダーのMichal Koorはこう語る: “工業デザインの仕事をしながら、デザインをもっと効果的にやりたいと考えていた。そこで余暇時間には、デザインをパラメータで制御できるツールを開発していた。たとえばスライダーをちょっと動かすだけで形状を変えたり、またそれに対する対話的なフィードバックが得られるようなやつだ。さらにその後、この方式にコミュニティが組み合わされば、誰もが容易に3Dモデリングを始められるようになる、と悟った”。そこで、もう一人の協同ファウンダーPavol Sovisとともに、Vectaryを立ち上げた。

Vectaryは、ブラウザー上で使えるWebアプリケーションである。いちいちゼロからデザインしなくても、コミュニティのページへ行って既存のモデルをカスタマイズすれば、たいがいのデザインは作れる。3Dモデリングという仕事が、これで一挙に易しくなり早くなる。今なら誰でも、ベータユーザーとして登録できる。

今はブラティスラヴァ在籍だが、今回得られた資金により、本社をニューヨークに移す予定だ。

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MITが素材の弾性をカスタマイズできる3Dプリント技術を開発、人などにぶつかってもソフトに弾むドローンなどが可能だ

落下ではなく突然の停止は、人間にも、ロボットの繊細な電子部品にも、同様のネガティブな影響を及ぼす。MITのComputer Science and Artificial Intelligence Lab(CSAIL)が取り組んでいる新しい研究プロジェクトは、突然の物理的ショックが人間やロボットに与える損傷効果を軽減する。

その研究チームが考案した新しいテクニックでは、ソフトな素材で作るパーツをユーザーがプログラムできる。プラスチックでもゴムでも、望み通りの硬度と弾性を持たせることができ、最終製品のニーズに応じた反発性や弾性、そしてエネルギーの伝導性を実現できる。

それは一種の3Dプリントの技術で、ユーザーはプリント物のサイズと形状だけでなく、衝撃吸収力を指定できる。従来の方法では、大量生産される既成の衝撃吸収素材で射出成形などをするほかなく、衝撃吸収力は素材の仕様で決まってしまう。

Credit: Jason Dorfman, MIT CSAIL

画像提供: Jason Dorfman, MIT CSAIL

MITのチームが見つけたのは、3Dプリントならさまざまな機械的物理的特性を持った素材を使用でき、基材のレベルで衝撃吸収属性を必要に応じて変えられることだ。吸収属性はパーツの目的によって変えられ、敏感で繊細な装置を保護するだけでなく、ロボットの動きをより細かく微妙にコントロールできるようになる。たとえば上図の立方体状のロボットは、これまでよりも精密な着地パターンで弾ませることができ、脚のあるロボットでもその歩み(脚の上げ下げ)をより正確にコントロールでき、先端の着地点をより正しく決められるようになる。

ユースケースはこれだけではない。チームの研究者たちは、配達用ドローンにもこの技術を応用でき、周りのものと接したときにも、お互いを傷つけずに跳ね返るようになる、と考えている。また人間用のランニングシューズやヘルメットに応用すれば、快適であると同時に優れた衝撃吸収力を持つ製品ができるだろう。

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鈍重無芸だった3Dプリンターが急にお利口な多芸になるRizeの拡張ポリマー沈着技術

BostonのRize Incが開発した新しいタイプの3Dプリント技術を使うと、プリント後の、長時間かかる、バリ取り、後処理などの作業を省略できる。

The Rize text on the side of this grabby-hand isn't printed on the object - it is part of the 3D printed plastic.

この、物をつかめる手の上部の‘rize’というテキストは、あとからプリントしたのではなく最初の(一回だけの)プリント工程の一部だ。

同社が特許を保有しているこの技術はAugmented Polymer Depositionと呼ばれ、プラスチックにさまざまな機能を持たせることができる。たとえば、3Dプリントされた製品を台から容易に取り出せるようにしたり、製品に染料を注入して図形のあるパーツを作ったり(右図)、部分的に硬度を変えたり、といった超能力を発揮する。

同社のマーケティング担当VP Julie Reeceが説明する: “これまでは不可能だったが、わが社が開発した技術では、3Dプリントしたパーツにさまざまな‘質’を持たせることができる。つまり一回の3Dプリントでできるパーツが、いろんな質を持つことができる。たとえば、ランニングシューズをプリントすることもできるだろう”。

この技術は現在まだベータだが、すでに多様な製品計画があり、数年内に‘質’に関する技術の多様化と、機能性染料の開発も予定している。同社は、ベータテストと今後の次世代型3Dプリンターの市場化のために、シリーズAで500万ドルを調達した。

でも、プリント物の‘質’の多様化とはいっても、まだ牛肉をプリントすることはできないようだ。残念。

©2016 Jon Chomitz Photography 3 Prescott street, Somerville, MA  02143 www.chomitz.com     jon@chomitz.com 617.625.6789

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生まれる前の赤ちゃんに手でさわれるIn Utero 3DのWaiting Without Barriersプロジェクト

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ポーランドのIn Utero 3Dは、とても愛らしいサービスを提供している。子宮の中の赤ちゃんの形を3Dプリントして、目の不自由なお母さんでも生まれる前の子どもを感じられ、目の健常なお母さんが超音波画像を見て感じるのと同じ喜びを体験できるようにする。

そのプロジェクトはWaiting Without Barriers(障碍のない待期)と呼ばれ、会社はポーランド北部にあるが、利用はヨーロッパ全域で可能だ。同社は1PLN(ポーランド新ズロチ)または1ユーロで、妊娠中のお母さんたちの赤ちゃんのレリーフをプリントする。ふつうの3Dプリンターを使い、モデルの超音波3D画像データに対して作為的な理想化をしないから、多くのお母さんが自分の子を初めて見たときと、まさに同じ体験を提供する。

すでにこういうことを数社がやっているが、しかしWaiting Without Barriersにはすばらしい理念があり、アイデアもすばらしい。プリントの質は、FDM(熱溶解積層法)プリントにしては良い方だ。

3Dプリントの人気はこのところ急落しているが、21世紀におけるもっともクールでもっとも将来性のある技術の一つだ、と今でも思う。まだ家庭でフォークや車をダウンロードしてプリントすることはできないが、小さなプラスチックとデジタルファイルで、自分の子どもを細部まで正確に感じることができるのは、すてきだよね。

出典: 3DPrintingIndustry

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

形状記憶構造物を3Dプリンターで作れる方法と素材をMITとシンガポール技術設計大学が開発

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MITとシンガポール技術設計大学(Singapore University of Technology and Design, SUTD)の協力チームが、押されたり曲げられたりして形を変えても元の形に戻る形状記憶構造物を発明した。これをたとえば製薬の工程に利用すると、胃に入って体温に触れ、それが発熱を表す高温だったら自動的にパッケージを開く、といった薬剤形状が実現するかもしれない。またソーラーセルに応用したら、太陽の方向によって角度を変える製品が可能だろう。

MITとSUTDが実現したその工程は3Dプリントによる工程で、通常の三次元のほかに、時間による変形(変形と復帰)という要素が加わるので、いわば4次元の物体を作る工程だ。主要な素材は形状記憶ポリマーで、高温下で元の形に戻るものと、低温下で〜〜〜のものの2タイプがある。3Dプリントでは、高温の状態は液体レジン上にプロジェクターの光を使ってプリントを行う。MITによるとそれは、歯科医が歯のレプリカや詰め物を3Dプリントで作る場合と同じだ。

ただし歯科医の3Dプリンターよりも今度の3Dプリンターの方が、ずっと精度が細かい。光を細くフォーカスするレンズは半導体製で、歯科医のそれよりも細いから、人間の髪の毛一本ぐらいのものもプリントできる。

また、小さいほど、元の形への復帰が速い。小さなスケールで高精度なプリントができるから、前述のような、高熱という症状に対する薬剤の即効性の実現にも応用できるのだ。

逆に、低温に反応する素材はやや難しい。今の温度域は人間の体温よりやや高いから、それを体温ぐらいにできたら、薬剤への応用も十分に可能だ。

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彼らが作ったデモのひとつが、上のGIFに見られるような“掴み屋さん”だ。この赤い爪は、温度が摂氏40度ぐらいになったら、閉じて物を掴む。それは、低温で元の形へ復帰する例だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

3Dプリンティングによる知的所有権侵害を防ぐための処方箋

Scattered colorful medical pills and capsules on white background

【編集部注】著者のRoy S. Kaufman氏は新興ベンチャーであるCopyright Clearance Centerのマネージングディレクター。

2000年ころの音楽ビジネスは依然強かった。レコード会社はアルバムを制作し、そうした物理媒体を販売店舗に出荷していた。インターネットはゆっくりと大量消費と流通のシステムになりつつあったが、ほとんどの消費者はまだ物理メディアを購入していた。レコード業界はオンライン海賊行為を意識していたものの、脅威はあまり感じられていなかった。

そしてNapsterがやってきた。

音楽業界は、プラットフォームやダウンロードする個人 ‐ 貧乏な大学生を含む ‐ の両方を追い詰めることで、この大規模な海賊行為を止めようとした。しかし世論は、業界に対して厳しいものとなった。結局のところ、デジタル音楽を盗むことはつかみどころのない行為で、レンガやモルタルで作られた店舗から実際のCDやテープを奪う行為とは違ったものなのだ。今日、多くの人が合法的に音楽にアクセスしながらも、音楽業界の収益は回復には至っていないと言えるだろう。

薬剤とMP3のダウンロードがもつ共通点は?あなたが思っているよりはもっと多い

また別の、革新的で破壊的な技術である3Dプリンティングは、物理的オブジェクトの生産を安価で簡単なものにする。家庭用コピー機が著作権産業を変えたように、3Dプリンティングは、特許ベースの産業に同じ変化を迫ろうとしている。

つまり実質的に、物理的オブジェクトを製造するビジネスは、潜在的にNapsterのシナリオに直面する可能性があるということだ。すべての産業にそれが起きるというわけではないが、プリンターテクノロジーが向上し、より多くの物質 ‐ 例えばタンパク質や特殊なポリマー、金属、そしてその他の化学物質 ‐ などが利用できるようになるに従い、より多くのものが対象になって行くだろう。

製薬業界を考えてみよう。最初のリリースに向けての制作時にもっとも費用がかかる音楽のレコーディング(ミュージシャンを集め、スタジオを予約し、編集するなど)のように、新しい薬剤を開発する際の大部分の費用は最初の段階にかかっている:研究と開発、治験、そしてFDAの承認。実際の原材料費などは僅かなものだ。そして3Dプリンティング – あるいはデジタル製造と流通という名で知られているもの – が、合法的または不法な、これらの薬剤の複製と提供をはるかに簡単にするだろう。

ヒューストン応答せよ、(特許)問題が発生した

もし大きな音楽関連企業から責められている貧乏な学生を気の毒だと思うなら、海賊版の処方薬に頼る以外必要性が満たされない、不十分な保険しか持たない人々のことを想像してみて欲しい。

今のところ例外的ではあるものの、Apreciaは薬剤が印刷できることを証明した。

デジタル製造薬剤は遠い話ではない。2015年、FDAは初の3Dプリント薬剤であるてんかん薬Spritam levetiracetamApreciaが製造)を承認した 。製造業者は、3Dプリント薬剤は実際により効果的だと主張している。なぜならば3Dプリンターの動作原理により生み出されるその積層構造によって、体内により簡単に吸収されるからだ。同社は、そのユニークなプロセスに対する50の特許で、その知的所有権(IP)が保護されていることを主張している。今のところまだ例外的ではあるものの、Apreciaは薬剤が印刷できることを証明したのだ。

DIYメイカーカルチャーの長所と短所

そのIPへの潜在的脅威にもかかわらず、3Dプリンティングは、例えばカスタマイズのような豊富な利便性を、消費者と(もし上手くやれるなら)製造者の両方に約束している。3Dプリント製薬の薬剤を用いれば、投与量をそれぞれの患者の必要性に合わせて調整することは容易になる、丁度薬剤師が材料を調合して、個別の患者向けの特製薬剤を作るようなものである。ちょうど個々の患者向けに義肢が正確に作られるように。

これが3Dプリンティングの唯一の利点ではない。プリンタが安くなるにつれ、それらは間違いなく薬局へと持ち込まれ、必要に応じて薬剤をプリントし、高価につく廃棄や劣化、そして在庫を減らすことになる。これは製薬業界にとってとても素晴らしいニュースだが、暗黒面も存在する。やがて、ほぼ全てのものに対する構成素材を誰でも作ることができるようになる ‐ 特許で守られているか否か、保護されているか否か、そして危険であるか否かにかかわらず。

すべての家庭に3Dプリンターが置かれるというシナリオは信じがたいと思うだろうか、ガートナーは2016年から2019年にかけて、毎年3Dプリンターの出荷数が倍増していくと予測している。その中では2500ドル以下の入門モデルは2019年までには40.7%のシェアを占めるようになるだろうと言われている。ガートナーはまた、3Dプリンティングが原因となって、海賊行為だけではなく業界の混乱も含めて、世界では毎年1000億ドル近くの知的所有権の損失が発生すると予測している。

3Dプリントがある未来に向けて、戦略を練るのは今だ

様々な業界が、これまでどのように新しいテクノロジーを扱ってきたかの事例から、多くのことを学ぶことが可能である。音楽業界では、Napsterは著作権にのっとった合法的独占権の利用へと辿り着いた。流通チャネルが変化し、コンピュータを持つ誰でもがダウンロードした曲を再生することができるようになって、著作権を強制するのは難しくなった。レコード会社が1つの侵害案件を訴えでも、またすぐにWhac-A-Moleのような別のものが飛び出してくる。 その結果、著作権の価値は急速に損なわれる。

しかし、これまで見てきたように、すべてのIPや、それが保護しているプロダクトの価値が下がるわけではない、いくつかのものは、より価値の大きなものになるだろう – そここそが現在の経営者たちが備えなければならない場所である。

3Dプリンティングで市場に影響を与える方法への準備には、必ずしも多大なコストがかかるわけではない。

3Dプリンティングテクノロジーがビジネスに与える影響にむけて、企業が積極的に計画できることには、沢山の方法がある。品質管理とサプライチェーンの保護に今投資することで、例えば製薬会社が、サプライチェーンが純正で、品質が保証されていて、顧客が安全な薬を手にすることを保証できるなら、安心料にコストが掛かっても、特許と市場シェアを守ることができる。これは、医療現場に届いたものが、違法な模造品ではなく、FDAが承認し品質が管理されたものであることに対する確証を求める顧客に訴求する。

3Dプリンティングで市場に影響を与える方法への準備には、必ずしも多大なコストがかかったり、意に沿わないものになったりすることはない。たとえば、家電や自動車のメーカーは、もしサードパーティーが3Dプリントされたより安価な交換部品を出せば、売上が減少するだろう。こうした可能性と戦う代わりに、メーカー自らが、サードパーティによる3Dプリンティングスペアパーツのビジネスモデルをうまく取り込んでしまえば良いのだ。この方法はなにも重工業だけに適用されるものではなく、製薬でも、あまり利益がでないと考えられているが故に現在製造されていない、いわゆる「オーファンドラッグ」のコストを下げることに使うことができる。

別の手段としては、メーカーはこうした課題を、特殊な材料を要求するデザインや3Dテクノロジーとは馴染まないデザインを採用することで回避することもできる。例えば、特定の方法で混合あるいは接合しなければならない材料と形状は、デジタル製造テクノロジーでは簡単に追従されない。しかしながら、金銭的なインセンティブが進化するテクノロジーと組み合わさると、こうしたタイプの延命策は短命であることを意識していなければならない。

3Dプリンティングの出現にも関わらず、私たちはまだ著作物のライセンスに基づく生産と流通が、合法的なビジネスとして機能し、知的所有権に敬意を払う世界に住んでいる。特許所有者は、製造権を合法的な3Dプリンティング企業にライセンスすることができる ‐ 例えばナイキ製品のための公式3Dプリンター、などだ ‐ ここでは認可を受けた装置だけが公式製品を製造することができる。このようにして、特許権者は収入を得て、3Dプリンティング業者は新しいマーケットを開拓し、買い手は合法的で品質管理の行われたプロダクトを手にすることができる。これはブランド品や低コストの無印品で行うことのできるオプションである。

デジタル技術がもたらすことができるすべての良い点とともに、特許およびその他の知的財産への大いなる挑戦もさし迫っている。主要産業の混乱もすぐに続くだろう。おそらく5年から10年にわたるこれからの変化の期間が、準備と転換のためにメーカーに残された唯一の時間なのだ。

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(翻訳:Sako)

3DプリンターのGlowforge、プロダクト量産と素材の拡充のため2200万ドル調達

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プラスチックの押出成形を始め、木材や金属からの削り出しや細胞を使った生体組織の生成まで、3次元オブジェクトの造形する最新の方法と言えば3Dプリンターだ。

家庭用またはオフィス用のデスクトップ型レーザーカッターとエングレーバーを製造するGlowforgeは、今回2200万ドルを調達し、製品の量産を開始する。同社のファウンダーでCEOのDan Shapiroによると、今後はあらゆる作り手に対応した素材カタログやプレミアムデザインを発表する予定でいる。

Glowforgeはまず初めに、自社サイトでクラウドファンディングのキャンペーンを実施した。主力製品の先行予約は2790万ドルにも達した。またシードとシリーズA投資で900万ドルを調達している。

シアトルに拠点を置くGlowforgeは、シリアルアントレプレナーでエンジェル投資家でもあるDan Shapiroにより創設された。彼はテクノロジー関連の商品比較検索サイトで、後にGoogleによって買収されたSparkbuyのCEOだった。現在、Glowforgeには35人の正社員がいる。

Shapiroによると、調達した資金は人材確保と製造に充てるほか、自社の3Dプリンター用に最適化されたプレミアム素材のブランド「Proofgrade」のマーケティングにも使う予定だ。

新たに開発したProofgradeの素材にはコーティングが施されており、このコーティングは素材をデザイン通りにカットした後で簡単にはがすことができる。

Shapiroによると、ユーザーはProofgradeのコーティング上に直接、黒い油性のマーカーペンでデザインを描くだけで、その線に沿ってレーザーが素材を自動でカットしたり彫ったりすることができる。

さらに、GlowforgeのプリンターはコーティングにプリントされているUV(紫外線)バーコードを読み取ることで、素材に応じて自動で設定を行う。新しいユーザーにとって負担となるプリンターの複雑な設定の手間を省くことができる。

Glowforgeは材料工学の専門家と共同で特別仕様のレザー、木材、アクリルやボール紙などを用意することで、複雑なデザインでも素早くカットでき、切り口もスムーズで高品質な仕上がりを実現するという。

以前に投資したFoundry GroupTrue Venturesは、今回もGlowforgeのシリーズBラウンドに投資している。

FoundryのBrad Feldは彼が以前に投資して、誕生したばかりの3Dプリンター市場で成功を収めたMakerbotとGlowforgeとを比較する。

Makerbotの3DプリンターはレーザーカットではなくFDM方式(熱溶解積層法)をデスクトップ型で実現した。Makerbotは2013年、4億300万ドルでStratasysに買収されたと伝えている。

「Glowforgeは高性能なハードウェアに加えて、ソフトウェアとユーザーコミュニティーにも多くのエネルギーを注いでいます。ハイエンドなプロだけが使うものから、「プロシューマー(プロとコンシューマーの中間)」も使うものへとシフトを起こしていて、それは業界を一新してしまうプロダクトに見られる特徴です」とFledはコメントしている。

Glowforgeは寿司のデコレーション用の海苔やチョコレートなど、食材のデザインも扱えるため、料理愛好家の中でも人気を集めている。Shapiroによると、Proofgradeのラインナップに追加できる食材も調査中とのことだ。

Glowforgeが提供するGlowforge Proのパッケージにはエアフィルターが付き、また素材を通すスロットもあるため、ユーザーは特大サイズの素材、例えば長い木材やレザーなどもカットすることができる。

レーザーカットでは蒸気や煙などが発生するため、Glowforgeはエアフィルターまたは排気口の使用を奨励している。

現在、他社の3Dプリンターを始め、メーカーコミュニティーに向けた「個人で使用可能なデバイス」やビジネス向けのレーザーカッターのFSLaserやEpilogLaserなどの相次ぐ出現で、Glowforgeは競争の渦中にいる。

Glowforgeについての詳しい紹介は、昨年12月のTechCrunchの実演ビデオレポートを参照してほしい。

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(翻訳:Maki Itoi)

ポーランドの3DプリンターメーカーZortraxがDellとの契約を偽造

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2年前、未だ世界の3Dプリンター業界で激しい競争が繰り広げられていたとき、Zortraxと呼ばれるポーランドの小さな企業が、Dellと3Dプリンター5000台分の契約を結んだというニュースで大きな話題になった(そしてそれを利用して同社は資金調達を行った)。

私は2014年にこのニュースを報じ、同年にその示唆についてもっと深く調査したところ、Zortraxの投資家やファンに関係するような情報をほとんどみつけることができなかった。Zortraxは、DellのアジアにあるR&D子会社とプリンター供給の契約を結んでいたが、子会社に対する質問の回答は得られないままな上、Zortraxの共同設立者であるRafał Tomasiakは、一貫して私との個人的なやりとりを通してニュースの正当性を主張していた。2014年の4月に、私は契約が嘘だったという噂について尋ねたが、彼は嘘を突き通した。しかし同年5月に私はこのニュースを追うのをやめ、色んな意味で諦めてしまった。それに関して後悔しており、この記事ではその続きについてもう少し深く触れてみたい。

まず、国際的な舞台に押し出された小さなスタートアップのメンタリティについて考えてみたい。Zortraxは、ポーランドのオルシュティン(Olsztyn)出身の仲間たちで設立された後、Kickstarterでのプロジェクト成功をうけ、爆発的な成長を遂げた。彼らの3Dプリンターは良い製品だったし、私自身も同社製品がしっかりしていて実用に耐えうるものだと感じていた。そして、Zortraxは2010〜2015年という投資に勢いがあった時代に、小さなスタートアップが必要だったもの全てを持っていたのだ。カリスマ性があり前線に立つ女性幹部のKarolina Boladz、業務に熱心なCTO、前述のTomasiak、良い製品、そして良いストーリーの全てだ。

そして、そこに大きな契約が加わった。

しかし、Zortraxは依然スタートアップだった。彼らの戦略は、ポジティブな面を強調し、ネガティブな面を隠すことにあったのだ。Zortraxは、契約の背景や契約自体に関する質問を無視するばかりか、その代わりに発表から数ヶ月にわたって、投資家向け資料にDellとの契約に関する情報を詰め込んでいた。そのため、もしも契約が嘘ではなかったとすると、それは楽観的かつ注意深い情報の省略であったと言える。スタートアップは、基本合意書やそっけない了解の全てをサイン済みの契約書と同等に考えようとするもので、Zortraxのケースも明らかにそうだった。

さらに当時、私はある程度の余裕を与えるのもいとわなかった。スタートアップ各社の評価額が(今でも)低く、投資額もシリコンバレーに比べると小さいヨーロッパでは物事の進め方が異なるからだ。ヨーロッパからの良いニュースは、少し誇張されたものばかりだった。ヨーロッパで行われた買収や投資ラウンドの金額に関する情報を入手するのは至難の業で、簡単な計算をしてみるとその理由が明らかになる。アメリカでの巨額のラウンドと比べると、金額が恥ずかしくなってしまう程小さいのだ。

ZortraxとDellの契約について2014年1月に初めて話を聞いたとき、私はその内容に関する簡単な記事を残した。その際、Tomasiakからは「正直言って、Dellのような企業であっても、あんな注文をしようする企業がいることに驚きました!しかし、しばらくして私たちのオフィスでは何台の3Dプリンターが使われているか気付きました。数多くのプロトタイプをプリントしなければならないデザイナーにとっては、同時に動く10台の小さな3Dプリンターをひとつのデスクの上で使う方が、1台の大きな3Dプリンターを使うよりも便利なんです」というコメントを受け取った。このニュースは他のサイトにも浸透していき、2014年の3月にはロイターにも記事が掲載されていた。

ロイターに記事が掲載されてから1ヶ月後、私はDellにはZortraxとの契約について知っている人がひとりもいないという情報を入手した。Dellの広報担当者にこのことを尋ねると、2014年の4月4日に以下の回答を受け取った。

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お問い合わせについて、現在休暇中の同僚Lauren Mauroから話を聞きました。私たちの記録によれば、DellとZortraxの間にはこれまで何の取引も行われていません。Dell Asiaの調達チームにも確認を行いましたが、彼らとZortraxの間にも取引記録はありませんでした。

Steve Howard
Dell エンドユーザーコンピューティング広報担当ディレクター

このニュースを持ってTomasiakに連絡をとったところ、彼が知っているDellの窓口は記者に対してコメントできないと語った。以下がその後の彼とのやり取りの抜粋だ。

John Biggs(この記事の執筆者)
4/4, 9:57am
もしも誤解なんであれば、すぐに部下に解決してもらえばいいのではないでしょうか。
この件についてはこれ以上議論したくありません。
よい休暇を。

Rafał Tomasiak(Zortrax CEO)
4/4, 9:58am
休暇ではなく仕事中です。
Dellからは何の連絡も受け取っていません。
もしも、契約を否定するような話を聞いているのであれば、私たちの誰かがDellと確認します。

John Biggs
4/4, 9:59am
私と確認すればいいんじゃないでしょうか。
いずれにしろ、もうどうでもいいです。

Rafał Tomasiak
4/4, 9:59am
あなたは広報担当者であってDellの従業員ではないですよね。

John Biggs
4/4, 9:59am
私は広報担当者ではありません。

Rafał Tomasiak
4/4, 9:59am
:)

John Biggs
4/4, 9:59am
記者です。

Rafał Tomasiak
4/4, 9:59am
それじゃあなたは記者であってDellの従業員ではないですよね。:)

 私はさらに彼を追い込んだ。

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(二人のやりとり)

John Biggs
アメリカのDellがZortraxとのプリンターの契約についてコンタクトしてきて、
彼らは何も知らないと言ってましたよ。

Rafał Tomasiak
何でアメリカのDellなんですか?

John Biggs
DellはDellだし、アメリカのDellはDell Asiaが何をしているかくらい知ってますよ。
あなたが知ってるDellの窓口の連絡先を教えて下さい。それが難しければ、この場でDellに連絡しますが、彼らは契約について否定すると思いますよ。

Rafał Tomasiak
分かりました、対応します。

John Biggs
どうも。

John Biggs
その後どうですか?

Rafał Tomasiak
Dellの担当者から連絡します。あなたの連絡先を彼に伝えておきました。

John Biggs
まだ彼から連絡がないんですが。

Rafał Tomasiak
彼は忙しいからもう少し待って下さい。

John Biggs
了解。金曜日まで待ちます。

John Biggs
何か進展ありました?

Rafał Tomasiak
発注はR&D部門からでした。

John Biggs
それじゃR&D部門の担当者に「あぁ、うちの部署のためにこのプリンターを発注しましたよ」とメールするようにお願いしてもらえますか。電話でもいいですよ。
その情報さえ確認できれば、ただの誤解ということで何の問題もありません。
でも確認できなければ、あなたが嘘をついているように見えてしまいますよ。

Rafał Tomasiak
John、これはR&Dの問題で広報の問題ではないんです。

John Biggs
それは関係ないですよね。

Rafał Tomasiak
R&Dの人はちょっと変わってるんですよ。

John Biggs
それはどうでもいいです。

私はTomasiakにDellからのコメントを送り、それに対してコメントするように依頼したが、彼は質問を避け続けた。これはもちろんフラストレーションのたまる経験ではあったが、Tomasiakとのやりとりではいつものことで、彼は2015年までZortraxの新製品やニュースに関する報道陣への発表を担当していた。

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同時に、Dellとの契約はZortraxの投資家向け資料の主要な項目となっており、Tomasiak自身、同ニュースの重要性を注意深く振り返る程だった。2014年3月にTomasiakは、Stockwatch.plに対して「Dellとの契約は、現在交渉を進めている案件のひとつですが、私たちが成功するためには、個人を含めて、できるだけ顧客数を増やさなければいけません。それが私たちのゴールで、その影響もあって私たちの顧客ポートフォリオは、世界中の様々な分野に分散されています」と話していた。

しかし、彼はDellとの契約がとてももうかる話だと言っていたばかりか、それに関連した値上げを行ったとも話しており、契約がもちろん締結されるであろうことを示唆していた。

4月中に話の真偽の程が分からず、私は本件を諦めた。結局、どうやらDellもそうしたようだった。契約の話は、当初の盛り上がり以降再浮上することはなく、Tomasiakがさらなるコメントを発表することもなかった。

ZortraxとDellの契約が具現化しなかったことにどんな影響があるのだろうか?結局、契約に関する言及がなされているのは1番最近で2014年の後半で、Zortraxは5000台のプリンターの売上を2014年度のバランスシートには反映していなかった。つまり、Dellとの契約は現れたと思ったらすぐに消え去ってしまったのだ。それはまるでニュースレーダーの一時的な反応のようなもので、ポーランドの小さな企業がDellと契約を結んだかもしれないが、最終的には恐らく正式な形では契約に至らなかったということになる。

しかし、ヨーロッパでは、噂となったDellとの契約は大きな意味を持っていた。この噂によって、Zortraxはポーランド・東欧地域の強豪としての評判を勝ち取ったほか、Invista Brokerage Houseを通じて、1枚あたり1000ポーランド・ズロチ(329ドル)の無担保社債を1万枚発行し、合計350万ドルを調達できるほどの知名度を獲得したのだ。社債が問題なく売れたZortraxは成長を続け、良いニュースが途絶えることはなかった。2月には、3DPrintのMichael Molitch-Houが「Zortrax CEOのRafał Tomasiakは、Zortraxの国への貢献を讃えられ、ポーランド共和国大統領のAndrzej Dudaより名誉の赤白旗を受け取った」と報じていた。

つまり、最終的に失敗に終わったDellとの契約は、小さいながらも成長を続けるZortraxにとって良いニュースだったのだ。バルザックを引用するに値するような罪ではないものの、同社が嘘でちょっとした財産を築いたのは明らかだ。

この話からどんな教訓が得られるだろうか。スタートアップは成功を喜んではいけないということだろうか?Zortraxが自社の利益のために嘘をついたということだろうか?どちらも違うように思えるが、これまでの話を考えると、どちらの示唆も読み取ることができる。真実を2年間隠すことで、Zortraxはポーランドの競合他社との戦いに巻き込まれることなく、有利なニュースを使って資金を調達することができたのだ。

この部分に関し、Zortraxは3DPrint.com向けに以下の説明を行った。なお、私のメールへの反応はなかった。

「私たちのデビュー作となる3Dプリンターの販売開始に先駆け、2013年の終わりから2014年のはじまりにかけて、同製品に対する関心が高まっていたことを受け、私たちの3Dプリント業界への参入見通しは上々でした。記事に書かれているDellのアジア部門との契約見込に関する情報は、両社の契約締結にむけた誠実な努力の結果、さまざまな広報チャンネルを通じてやりとりされていました。守秘義務にもとづき、両社が条件面で互いに合意できるような内容に至ることができなかったということ以外、契約の詳細については明らかにすることができません。

私たちは、本件に関する情報がこれまでも投資家候補の方々に対してハッキリと伝えられてきたということを、しっかりと伝えたいと考えています。記事中のように、Zortraxは、Dellとの契約が合意に至らなかったことを受け、広報活動や、市場とのやり取り、投資家との対話において、本件に関する情報発信を中断しました。

しかし、記事で引用されている経営指標が、ハッキリと現実の数値を反映していることを表しているという点に注目してください。締結されていない契約に紐づいた見込利益は報告されておらず、会社の評価額のもととなる情報にも含まれていません。

2011年から、Zortraxは3Dプリント技術の分野で最高品質の製品とサービスを提供すべく努力を続けてきました。この努力は、数ある中でも、多くの称号や賞、さらには会社の成長に伴う雇用増加や、革新的な製品やサービスのさらなる開発という形に表れています」

Zortraxは今ではその口を閉じて契約の話には触れなくなった。ポーランド人記者のRafał Badowskiは、「Zortraxは、本件に関する質問へ回答すると8月5日に約束していたが、その後、Zortraxの広報リードのMarcin Niedzielskiから、どの時点で本件に関してさらなるコメントを発表して良いのか、現在(Dellとの)機密保持契約を確認しており、恐らく来週の前半頃には回答できるだろうとの連絡があった」と書き残している。

そして「いずれにせよ、まだこの件は臭う(”Tak czy inaczej, niesmak pozostaje,”)」とも。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

3Dプリンターを運べる専用バックパック、出張デモもOKだ

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3Dプリンターをどうやってポータブルにするか。ここにご紹介するバックパックUltimaker 2 Goは、とくにエレガントなソリューションとは言えないが、ランドセルやリュックサックのように二本の肩帯で担ぐ箱だから、あちこちに出かけてメイカーパーティを開ける。

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このキットは、帯と、金属のフレームと、ねじのみだ。ねじは、発泡プラスチックの緩衝材をとめている。道具を入れるスペースもある。お値段は€59.95($66.37)だが、同社の3Dプリンターを買えば無料だ。世界一ポータブルを自称するこの3Dプリンターは、お値段€1195($1323)だ。

ゾンビーではないふつうの人間には、大きすぎるという気がしないでもないが、でも自転車〔荷台なし〕で3Dプリンターを運ぼうとしたとき、これより良い方法はたぶんないだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

3Dプリンターの次は3Dペン、XYZprintingが50ドルのda Vinci 3D Penをリリース

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そろそろ来る頃ではないかと思ってたんだ。台湾に拠点を置くXYZprintingは、使いやすくてお手ごろ価格なda Vinci3Dプリンターの製品ラインで有名になった。今回、Wobbleworksの3Doodlerで広まった、自由自在に描ける3Dペンの領域に参入する。

名前はシンプルにda Vinci 3D Penだ。PLAプラスチック・フィラメント(XYZprintingから11色が入手可能)を使ってボタンを押しながらペンを走らせると、空中に絵を描くことができる。配線付きのプラスチックを押し出すこの端末は、現在Amazonから50ドルで購入できる。3Doodlerが提供しているスタンダードなペンの半額で、子供向けのStartペンと肩を並べる価格だ。

またXYZPrintingは、確立しているプリンター製品のポートフォリオにもう1つ製品を加えるという。da Vinci Jr. 1.0 3-in-1は、XYZのエントリーレベルの3Dプリイターで、レーザースキャンとオプションで彫刻機能をつけることができるプリンターだ。スキャンの機能は0.25mmの解像度まで認識することができるそうだ。端末の価格は550ドルからだ。彫刻機能が付いたプリンターはそれにプラス200ドルだ。

どちらもすでに購入できる。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

ビョークが衣装に3Dプリントマスクを導入予定、日本科学未来館でお披露目も

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歌手のビョーク(Björk)は、今後のライブで着用を予定している大胆なデザインの3Dプリントマスクを共同制作した。MITのMediated Matter研究所やStratasysとのコラボで誕生したマスクは、Rottlaceと呼ばれ、最新の3Dプリント用フィラメントや3Dプリント技術によって、不思議な毛のような質感が表現されている。マスクの製作にあたっては、Mediated Matter研究所のNeri Oxman教授がチームを率いた。

「Neri Oxman教授の作品には、本当に心から感動しました。ついに彼女と一緒に仕事ができるということにも興奮しています」とビョークは語った。「Oxman教授は、3Dプリントを使って繊細で素晴らしい生物的表現を行う、真の意味でのパイオニアです。仕事を通じて彼女のことを知ることができたのもとても嬉しかったです!」

マスクは「ビョークの顔の構造を模倣」しており、彼女の顔の高速3Dスキャンデータや大胆なレンダリングによって、表面の筋肉組織や毛が表現されている。

プレスリリースの中には、「パーツのない全体(whole without parts)」や「調節可能な物理的属性(tunable physical peroperties)」といった奇妙な表現が見られたが、とにかく今回作られたマスクは本当にかっこよくて、普通の方法では作ることができないということがわかる。

今回作られたマスクのひとつは、日本科学未来館で行われたビョークのパフォーマンスでも使用され、Stratasysのマルチマテリアル3Dプリンターで作られました。この製法によって、ある物体の幾何学的に入り組んだ構造上に散らばった、様々な属性の複雑な組合せを表現することが可能となります。今回使われたStratasysのConnex3という技術では、3つの異なる素材の配合を事前に設定することで、幾何学的・構造的・生理学的制約に応じた剛性・不透明性・色を変化させることができるのです。

それぞれのマスクのデザインには、人間の筋骨格系の根底にある、幾何学的・素材的なロジックが勘案されています。ここでの筋骨格系とは具体的に、人間の声をコントロールしている、筋肉や、結合組織、腱、靭帯の複雑な構造を指します。この厚く織り重なったコラーゲン繊維が、筋肉と骨、骨と骨、筋肉と筋肉の繋がりの、機能的な「類型」を形成しているのです。人間の体内で繋がりあったコラーゲンのパーツが、それぞれに作用させ合う力によってその化学的、力学的属性を変化させるように、それぞれのマスクは「パーツのない全体」を成す合成繊維としてデザインされています。さらに各マスクが調節可能な物理的属性を持つことで、マスクの下にある顔の形や動きを再現したり、拡張したり、コントロールすることができます。着用者の顔をもとに「筋肉繊維」として生み出された今回のマスクは、マルチマテリアル構造によって、着用者の顔や首の形状や構造だけでなく動きまで再現することができるのです。

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3Dプリントで作られたこんなに複雑な造形物が、ステージの上で利用されるのは恐らく初めてだろう。さらにそのデザインから、数時間に及ぶライブ中の着脱にも耐えることができるため、その奇妙な(または素晴らしい)姿をライブで見ることができる。また、ビョークはファッションブランドthreeASFOURのPangolinと呼ばれるドレスも着用予定で、こちらはさらに耐久性・柔軟性の高いNano Enhanced Elastomeric Technologyフィラメントが使われている。要するに、ビョークはその革新性を持ってビョークであり続けなければならないのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

複数の素材を最高40μの解像度でプリントするプロ用3DプリンターPam、9000ドルで予約販売中

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Pollenの新しい3Dプリンターは、市場への参入がやや遅すぎたかもしれないが、その不利に負けないだけの価値はありそうだ。そのプロ向けの機種Pamは、40μまでの高い解像度を誇り、しかも4種類の素材をミックスしてさまざまな性質のオブジェクトを作れる。いわばラグジュアリー仕様の3Dプリンターだ。

たとえばPamでは、レンズ付きのサングラスをプリントできる。複雑なプロトタイプを作ったり、ファッションショー用の小物、半透明のランプ、なども作れる。剛体、軟体、撓(たわ)むものなど、物性もさまざまだ。

プリントされたものを、いろいろ見たが、たしかにこれまでの平均的な3Dプリンターよりずっと良い。使用できる素材は、熱可塑性樹脂、シリコン、各種複合素材、充填用の素材など、さまざまだ。このほか天然繊維やカーボン、金属粒なども使える。最大温度は350°Cだ。

PamをWi-FiまたはEthernetに接続して、Webブラウザーからコントロールする。プリントを行うソフトウェアはプリンター本体にあるから、コンピューターと接続する必要はない。オブジェクトをリモートでプリントすることもできる。

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発売予定は2017年4月だが、でも同社はすでに数社の企業と、複数台納入の契約を結んでいるようだ。それらの企業は、製品の実際の製造ラインで3Dプリンターを使う気らしい。

Kickstarterで資金を集めるようなレベルの3Dプリンターではなく、本格的な企業利用を想定した機種、と言えるだろう。

今、9000ドル(8000ユーロ)で予約を受け付けている(送料と付加価値税は別途)。でも発売開始後のお値段は、これらの倍になる予定だ。プロ用の3Dプリンターだから、こんなもんだろう。ニッチの高級機として、けっこう売れそうな気がする。

CrunchBaseの同社ページ

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

誰でもDNA折り紙の達人になれるアルゴリズムが開発された

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高さ数インチのものをプリントしたいのなら、プラスチックを押し出して成形すれば良い。しかし、ナノスケールのものが必要ならDNAを使うのが良いだろう。でも、DNA1塩基単位でデザインして組み上げる時間のある人などそうそうはいない。しかし、今回の新しい研究成果を使えば、形さえ決めればあなたもDNA折り紙の達人になれる。A、T、G、Cをどのような順番で並べれば良いかはアルゴリズムが全部決めてくれるのだから。

DNAの構造は単純な二重らせんのみである必要はない。塩基の順番をいじくったり他の分子を入れ替えたりすることで、DNA鎖を右に鋭く旋回させたり、こちら向きやあちら向きに曲げたり出来る。また、深い洞察力があれば、一本鎖のDNA鎖を撚り合せ畳み込んで、有用な幾何学的構造体を作る事も出来るのだ。

そういった構造体はドラッグデリバリー (訳注:薬を体内でターゲットとなる部位まで一旦輸送してから放出する技術)に使ったり、CRISPR-Cas9の遺伝子編集因子のようなツールを内側にセットしたり、さらには情報を格納したりするのに使うことが出来る。

しかしこれまでの問題としては、例えば12面体をデザインするというのはとんでもなく複雑なことで、そのような何千塩基対にも渡る複雑な分子を人の手で組み上げることは事実上不可能だった。MIT、 アリゾナ州立大学、ベイラー大学の研究者たちはまさにその問題の解決を試み、その成果が本日、サイエンス誌に公開された

「この論文によりこれまでの問題は180度反転することになるでしょう。つまり、これまでは構造体を合成する際、専門家がそのために必要なDNAをデザインしていました。しかし、これからは構造体そのものが開始点なのです。その為に必要なDNAの配列は自動的にアルゴリズムにより決定されます」と、MITのMark Batheはプレスリリースで述べた

基本的に、ユーザーは閉曲面を持つ3次元の形状をプログラムに指定するだけで良い。それは多面体や、もう少し丸みを帯びた、例えばトーラスや、もう少し対称性のないティアードロップ状のものでも良い。相応の仕様の枠内でデザインする限り、一旦デザインをコンピューターに渡してしまえば、ユーザーはそれ以上何もしなくて良い。

今回研究者たちが創り上げたアルゴリズムは、その構造体の枠組みを形成する為にDNAをどのような塩基配列で並べれば良いかを厳密に決定してくれる。それは一本鎖DNAであり、それ自身が曲がり撚り合わさって3次元的形状を形成する。アルゴリズムにはDAEDALUSというカッコいい名前も与えられた。DNA Origami Sequence Design Algorithm for User-defined Structuresから来たものだが、 頭文字的にあまり合ってないのはご愛嬌だ。

どんな形状で試しても魔法のようにうまく行く。もちろん、実際に狙った3次元の形状が形成されているかは低温電子顕微鏡を使った単分子3次元解析により確認している。
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医学や遺伝子編集分野での利用価値は明らかだが、研究者たちが望んでいることは、このテクノロジーが急速かつ劇的に利用しやすくなることにより、前述の領域の枠に留まらない新たな利用法が創出されることだ。

例えば、DNAを使った情報保存はこの技術により飛躍的に簡便になる可能性がある。このアルゴリズムを使うことで極めて独自性の高い構造を作り、その一部をバイナリーデータを書き込むのに使用することが出来るようになるかもしれない。要するにそれはDNAで出来たナノスケールのROMディスクという訳だ。なんと素晴らしい。

「この複雑なプロセスを自動化することにより、この極めて強力な分子デザインの枠組みを利用する人が飛躍的に多様化することを願っています」とBatheは言った。

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(翻訳:Tsubouchi)

HP Fusion 3D 4200はプロトイプと少量生産が可能な産業用3Dプリンター

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まだ正確な価格は不明だが(おそらく高価だろう)、BBCが紹介ビデオで適切に指摘したように、Jet Fusion 3D 4200は洗濯機のサイズしかない。しかしこのHPの3Dプリンターは産業用マシンだ。HDの発表によれば、「世界最初の製品生産現場対応の3Dプリンター・システム」だという。

この市場の有力ライバル、Stratasysや3D Systemsは「世界初」というところに異論があるかもしれないが、 HPの最新の3Dプリンター・シリーズは「プロトタイピングにはどうやら使える」以上の能力のコンパクトな産業用製造装置を求めている企業には魅力的だろう。

この分野の開発のカギは製品出力の精密度、スピード、それに装置の価格だ。HPによると、「このプラットフォームは毎秒3億4000万ボクセル〔おおむねピクセルを立体化した指標〕の能力があるため精密で高速な製造が可能」としている。

もちろん、さしあたりの注意点も加えておくべきだろう。4200はあくまで産業用装置だ。しかしHPではJet Fusionの3Dプリンティング能力は製品製造のプロセスを一変させる可能性があるとしている。

この3Dプリンターの出荷は今年中とされる。その後2017年にはエントリーモデルの3200シリーズが加わる。こちらは13万ドルからとなる予定だ。

〔日本版〕John Biggs記者がこの記事の直後にHP 3D 4200シリーズについて書き、製品を分析すると同時にHPエンタープライズの将来について肯定的に評価している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

新しいモノ作りテクノロジーへの投資は、アメリカの産業界を作り変える

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モノ作りスタートアップへの投資の流れは、アメリカの製造業を作り変え始めているようだ。

その潮流を最初に作り出したのは、ボストン、ニューヨーク、サンフランシスコなどの都市である。だがその一方で、次なる業界の革命児となるスタートアップたちは、アメリカ南部のSun Beltや、アメリカ南西部にある郊外の、一見テクノロジー・イノベーションとは離れたように見える場所から生まれた企業たちだ。

ケンタッキー州の都市、レキシントンもその1つだ。これらの都市は、2008年の金融危機により経済が破壊され、そして、スタートアップの起業家の勢いに活路を見出している

オンデマンド型の機械加工や、付加製造(塑像のように材料を付加しながら製造していく造形方法)の3Dプリントなどの新しいモノ作りの形は、米国経済に多大な恩恵をもたらしているだろう。米国経済全体の約33%が製造業で構成されているが、それと同時に、この業界は新型のテクノロジーの流入に抵抗を示してきた業界でもある。しかし今、明文化された理由によって、その業界のあり方が大きく変わろうとしている。

企業は、作業工程からより多くのデータを集め、そのどこに効率化の余地が残されているのか把握しようとしている。それと同時に、テクノロジー導入のためのハードウェアやインフラにかかるコストも大幅に下がった。

そのような情報とサービスを提供しているのが、レキシントン拠点のスタートアップであるMakeTimeだ。同企業は先日、コロラド州のFoundry Group主導のラウンドにて800万ドルの資金調達に成功した。

MakeTimeは機械工程のキャパシティ効率化のためのマーケットプレイスであり、建築家出身のDrura Parrish現CEOによって創立された。同社のサービスによって、コンピュータライズされた製造業者たちは、機械が稼働していない期間を有効活用して、その期間内に外部企業のパーツを製造することが可能になった。

MakeTimeを利用して、ダウンタイムにある複数の製造業者に発注することで、企業はより低いコストで、より多くの量を製造できる可能性がある。

Parrishによると、データ分析による顧客企業への優れた価格情報の提供と、製造工程の真のコストを見通す洞察力がMakeTimeの成功の秘訣の1つだと語った。

足し算のモノ作り(3Dプリンティング)と、引き算のモノ作り(機械加工)は、両者とも将来の米国経済の主役となるだろう。現在、工作機械の市場は700億ドル規模である一方で、昨年に製造された3Dプリントによる製品をすべて足し合わせても約52億ドルにも満たない。だが今週のThe Economist記事によると、この数字は2025年までに5500億ドルに達する見通しだ。

この価値を生み出していくのは、CloudDDM、MakeTimeといったアーリーステージのスタートアップたち、そして、ニューヨーク発のもう少し成熟した3Dプリンティング・サービス企業であるShapewaysや、その同郷企業であるVoodoo Manufacturingなどの企業たちであろう。

レキシントンのMakeTimeがジャストインタイム(またはオンデマンドの)ニーズをつかみ、伝統的な機械工業をより安価で効率的にする一方、そこから約115キロ離れたルイビルのCloudDDMは3Dプリンティングを利用した製造ビジネスで名を上げようとしている。

より迅速な、より高品質な、そしてより安価な製造方法を、起業家たちに提供できる業界に製造業を作り変える。今この業界で起こっている全てのことは、そのために起こっているのです。

— Drura Parrish

UPSからの250万ドルの資金調達に支えられ、CloudDDMは自社の3DプリンターとCNCマシーンを利用して顧客からの注文の品を製造している。その工場はルイビルにあるUPSのロジスティクス拠点から目と鼻の先にある。

「UPSは不吉な予感を感じている」とCloudDDMのCEOであるMithce Freeは語る。彼によると、製造業がよりオンデマンド型に近づくにつれて、いずれ企業は自社製造によって必要量分だけの生産方法を模索し始める。または、物流業者に対してより短い時間での部品の配達を求めるようになる。そして、UPSのサプライチェーン・ビジネスは、そのことを認識しているという。

UPSが3Dプリンティングを利用して、ロジスティクス市場での同社のプレゼンスを高めようとしているように、GE Appliances(現在は中国の耐久財メーカーであるHaierの傘下)は、ルイビルに自社の3Dラボを建設し、FirstBuildと新製品のプロトタイプを製作している。

当初はGeneral ElectricとLocal Motors(フェニックスを拠点とする、3Dプリンターで車を製造するメーカー)の共同研究機関だったFirstBuildは、クラウドソーシングとクラウドファンディングの原理を利用し、かつて栄えたスタートアップ、Quirkyのパートナーおよび投資家となった。そして、彼らの力を利用してFirstBuildは家電製品のプロトタイプ開発をしているというわけだ。

そのプロセスにおいて、もっとも重要なのが3Dプリンターの活用だった。GEが同社の製氷機、Opalの発売準備を進めていたとき、同製品の部品の中には3Dプリンターで製造されたものもあった。製品を市場により早く送り出すためだ。

「FirstBuildはこの分野で素晴らしい功績をあげています」とGE Venturesのsenior managing directorであるKaren Kerrは語る。「そして、ベンチャー企業のプラットフォームが、GEのビジネスをどう進化させるのかという見本でもあります」

現在、General ElectricはNextBuildと呼ばれる同様のプロジェクトを立ち上げる構想を持っている。今年の初めごろ、Kerrは私にそう話してくれた。この機関は、FirstBuildから受け継いだ「迅速なプロトタイプの製作」という理念を受け継ぎながら、それをGEの産業向けビジネスに応用するという。

その他にも、マンモス級の企業がGEに加わり、彼らの力がLocal Motorsを支えている。調達金額は非公開ながら、今年の初頭にLocal Motorsは、創立されたばかりのAirbus Venturesから資金調達を完了した。これはAirbus Venturesにとって初の投資案件となった。

「最終的には、私たち全員が恩恵を受けることになるでしょう」とMakeTimeのParrishは語る。「より迅速な、より高品質な、そしてより安価な製造方法を、起業家たちに提供できる業界に製造業を作り変える。今この業界で起こっている全てのことは、その目的のためなのです」。それに加えて彼は、これの実現のためには、すべての製造チェーンをデジタル化しなければならないと話した。

「ジャストインタイムのモノ作り、またはオンデマンドのモノ作りでは、私たちの皆が役割を持ちます。皆が立ち上がり、聖なる土地へと突き進み、製造業に関わる人々に安寧をもたらすのです」。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook

空中浮揚型3Dプリント技術はオブジェクトを空中でプリントする

複数のプリントヘッドを使って何かを3Dプリントしているんだけど、そのオブジェクトは空中に浮かんでいる、という状態を想像してみよう。ぜひ、想像してほしい。ぼくには、そこで一体何が起きているのか、よく分からないんだ。

Boeingが開発したこの“空中浮揚型”3Dプリント技術は、オブジェクトの芯に磁性素材の塊を使う。その塊が別の磁石の上に浮かぶ(あるいは音波を使って)。ひねったり回転させたりは自由にできるから、オブジェクトのどの面にもプリントヘッドがアクセスできる。複数の3Dプリントヘッドが同時に素材をオブジェクトの上に落とせるから、スピードもはやい。

これで、分かったかしら?

特許の文書から引用しよう:

“製作過程の間にパーツを安定させる台や支持素材の必要性を排除する、AM法(AM method)と器具装置が必要である。それにより、形成できる機能や特徴のタイプに関する制限を取り除き、複雑なパーツの完体3Dプリントが一挙にできるようになる。”

 

Boeingは素材を落としていく(プリントする)過程を秘密にしたいのではないか…上のビデオで、オブジェクトのなめらかな面に小さな球が落ちていくところは、まったくナンセンスだ。分かるのは、素材を加えていくシステムを“空中で”使っている、ということだけだ。たぶんそれなら、ヘッドとオブジェクトの距離は、ビデオよりずっと近いのではないか。

とはいえ、こいつは“本当だったらすごいね”の一例かもしれない。特許がからんでいると、具体的な技術を見せないこともあるが、でも、複数のヘッドに一つのオブジェクトを同時にプリントさせる3Dプリンターはもっと速くて、細部の仕上がりの質も良く、オブジェクトのサイズももっと大きいだろう。だからこれは、CGで作ったSFだな。

出典: <a target="_blank" href="http://3dprintingindustry.com/2016/02/24/boeings-patents-new-technology-that-3d-prints-levitating-objects/"3D Printing Industry

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

3Dプリントができる子ども用のプラスチック押し出しペン3Doodler Startが39ドルで予約販売を開始

信じがたいことだが、世界初のプラスチックを押し出すペン3DoodlerがKickstarterで人気を博したのは3年近くも前だ。そして今回同社は、それの子供向けバージョン3Doodler Startでカムバックした。やけどしそうな熱いところが外に露出してないので安全、そして使用する素材もエコなプラスチックなので、安心して創造行為を楽しめる。今予約受付中で、同社のWebサイトで39ドルだ。

3Dプリンターはどれも、最初のうちは忍耐を要する。この3Doodler Startも例外ではないが、同社はクールでかわいいステンシル集DoodleBlocksを用意しており、”Super Mega Pack”を買えばそれが含まれている。だから幼い子でも、複雑な3Dプリントを楽しめる。

3Doodlerの協同ファウンダーDaniel Cowenを取材したとき、ぼくもちょっと試してみた。上のビデオで、使い方などをご覧いただこう(ステンシルの使い方の画面もある)。先輩機3Doodlerの売れ行きも、好調らしい。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

3Dプリンタに高度なコントロール機能(モデルの編集など)を持たせられる専用タブレットMatterControl Touch

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3Dプリンタのアプリは、最低限の機能しかないものが多い。主に、それを使ってプリントジョブ(プリンタの仕事)をモニタするだけだ。しかしMatterHackersがこのほど発売したMatterControl Touch T10という10インチ299ドルのAndroidタブレットは、3Dプリンタ用の強力な機能があり、アイテムを置いてモデルをエディットし、それを即、プリントすることもできる。

3Dプリント専用のタブレットだから、画面上でモデルを横に動かす、回転する、などのことができ、サイズ変更もできる。G-codeを使えてUSBポートのある3Dプリンタなら何でもよい。ということは、現状ではMakerbotやFlashForgeのプリンタはノーだ。

タブレットを3Dプリンタ専用機にするなんて、アホみたい、と思えるかもしれないが、でも十二分に意義がある。たとえば学校などで共用する3Dプリンタなら、このタブレットがついていればモデルの編集がすぐできる。何らかのアプリケーションをインストールしたラップトップよりも、簡単便利だ。これによって、従来はネットと縁のなかった3Dプリンタがワイヤレス機能を持つ。ふつうのタブレットを買って、ここまでできるだろうか? まあ、無理だろうね。

タブレットMatterControl Touchは、ハードウェアとファームウェアのレベルで3Dプリンタ専用に改造されている。3DプリンタにはUSBで接続するが、本体にバッテリがないから、3Dプリンタとは別個にふつうのタブレットとして使うことはできない。

このタブレットは、ここで注文できる。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

GoProを砲弾として発射する空気圧大砲を3Dプリントで作ったこの二人は天才か?愚か者か?

3Dプリントで作った大砲で空中に何かをぶっ放すのは、最高にエキサイティングである。したがってこのビデオも、きわめて重要であり、かつ、教育的である。これを作った二人の若者、DavidとRyanは、GoProを空中に撃ち上げるための砲弾、のようなものを作り、それを空高く発射し、そして犬のように地面に呼び戻した。

二人の男が空に何かを発射することの、どこがおもしろいんだい?と問うあなた、あなたはほとんど正しい。実は二人はEclectically Engineeringというチャネルを作り、GoProを砲弾として撃つだけでなく、誰もがGoPro砲弾を作って上空からの撮影ができるために、彼らのプロジェクトの詳細を公開した。ちょいとおもしろいDIYプロジェクトを、このようにきちんとした形で公開したことによって、“愚かな若者のいたずら”は、“誰もが自分でトライできるクールな挑戦”に変わったのだ。

ぼくの住むニューヨークのブルックリンで大砲を撃つのは難しいと思うが、3Dプリンタを持ってて人のいない広い場所が近くにある人は、GoProを砲弾として撃ち上げて空中から撮影する特技を、マスターできるだろう。特撮技術の一種としては、意味があるかもしれない。

出典: 3DPrint

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。