紛失・盗難対策トラッカーTileがモバイルアプリにストーカー対策安全機能を追加

貴重品の紛失・盗難対策トラッカーで AppleのAirTag(エアタグ)と競合するTile(タイル)は米国時間3月17日、初のストーカー対策機能「Scan and Secure(スキャン・アンド・セキュア)」を導入する。2021年10月に発表されたこの技術は、2022年初頭の導入が約束されていた。Tileのモバイルアプリを利用するユーザーは、一緒に移動している可能性のある未知のTileまたはTile対応デバイスをスキャンすることができるようになる。同社によると、この新技術を利用するためには、ユーザーがTileの所有者であったりTileの発見ネットワークに加入している必要はない。また、iOSとAndroidの両方で誰でもアクセス可能だ。

Scan and Secureを利用するには、最新バージョンのTileアプリが必要。また、Bluetooth、Location、Location Services、Precise Locationをモバイルデバイスで「オン」にしておく必要がある。Tileによると、この機能を使用するために、以上の設定やその他の許可設定を変更する必要がある場合は、モバイルアプリ内でそれを促す表示が出るという。

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アップデート後、新規ユーザーは、アプリのサインイン画面の右上にある「Scan」アイコンをタップすると、この機能にアクセスできるようになる。既存のユーザーも、アプリの設定から「Scan and Secure」にアクセスすることができる。

スキャンのプロセスには、ユーザーの近くにあるTileデバイスを見つけることを可能にするような「正確な場所を探す」ツールは含まれていない。Scan and Secureを機能させるためには、ユーザーは一定の距離を歩くか車で移動する必要がある。Tileによると、フルスキャンを完了し、正確な結果を出すには、連続でも最大10分かかる。家の中をただ歩いている場合や、公共交通機関の中など、近くにある他のTileを検知してしまうような人混みでは機能しない。

スキャンの結果は、完了するとアプリに表示される。ユーザーは、その結果を法執行機関に提出するために保存しておくことができるとTileは助言する。同社は、ユーザーが複数のスキャンを実行することが望ましいと指摘する。スキャン中に一時的に通過したデバイスや、実際に一緒に移動していたデバイスの可能性を排除するためだ。また、スキャンの画像を使って、見た目でデバイスの位置を特定することも提案している。残念ながら「正確な場所を探す」機能はないため、巧妙に隠れたデバイスを見つけられないユーザーもいるだろう。

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同社は、ストーカー行為などの犯罪行為に使われたデバイスの所有者を特定するために、裁判所命令を通じて法執行機関と協力するとしている。

TileのScan and Secure機能は、Apple(アップル)が提供するAirTagの安全性を確保するためのツール群ほど包括的なものではない。Appleは、AirTagがストーカー行為やカージャックに利用されたという多くの報告を受け、AirTagsとFind My networkをアップデートし、警告とアラートを強化した。これには、Appleがストーカーを特定し、そのデータを警察と共有することができるというストーカー予備軍への警告や、ストーカー被害者の可能性を示す詳細で先を見越したアラートなどが含まれている。さらにAppleは、今後のアップデートにより「正確な場所を探す」機能や大きな音が鳴るアラートを使って、一緒に移動しているAirTagの位置を特定できるようにすると述べた。ゆくゆくは、スピーカーを無効にしたデバイスを見つけることができるようになるという。

Scan and Secureは、Tileモバイルアプリのユーザーを対象に今後数週間かけて徐々に提供されるが、Tileアカウントの有無にかかわらず、iOSおよびAndroidのすべてのユーザーがアクセスできるようになる予定だ。

同社は、この新機能について、安全の専門家に相談したと述べている。専門家らは、ユーザーが自身でスキャンができることは有用な機能だと助言した。特に、ストーカー被害者の70%近くが加害者を知っており、その多くが被害者のパートナーであることもわかっている。

「例えば、家庭内暴力の被害者がパートナーと別れる準備をしている場合、最も安全な時間や場所を選んで、自分の位置を追跡できるデバイスがあるかどうかを前もって確認できるのは便利です」とドメスティック・バイオレンス撲滅全国ネットワークのセーフティ・ネット・プロジェクト・ディレクターであるErica Olsen(エリカ・オルセン)氏は話す。「安全性を高めるには、コントロールを彼らの手に委ねることが重要です」と同氏はいう。

ストーカー問題とは関係のないプライバシーに関する懸念が、ここ数カ月Tileを悩ませてきた。Tileの新しい親会社であるLife360が、顧客データを位置情報仲介業者に売っているとの報道があったからだ。調査の結果、Life360は販売を終了すると述べた

Tileは、他の専門家や支援団体と協力し、時間をかけて安全機能をさらに向上させていくとしている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップル、AirTagを悪用したストーカー問題に次期アップデートで対応

Apple(アップル)は米国2月10日、AirTagアクセサリが個人または人の所有物を密かに、あるいは同意なしにストーキングするために使用されているという問題に対処すべく、AirTagおよびFind Myネットワークに関する一連の今後のアップデートを発表した。2021年春のAirTagリリース後、多くのメディア報道や地元警察からの最新情報で、AirTagが人や貴重品(例えば泥棒が盗むつもりのクルマ)などの不要な追跡に使用されている事例が警告された。その結果、消費者のプライバシーを重視する企業として自らを位置づけていたAppleにとって、PR上の悪夢が広がることになった。

Appleは米国時間2月10日、AirTagの仕組みを変更する計画で消費者、安全の専門家、法執行機関からのフィードバックに応えた。

同社は、AirTagsとFind My(探す)ネットワークの両方で、一連のアップデートを間もなく実施すると発表した。まず、新しいプライバシー警告、アラート、文書の提示から始める。また、新しい精密な発見ツールやAirTagのアラートと音の調整など、他の機能の導入についても今後のリリースに向けて「調査中」だ。

まず、Appleのデバイスは、今後のソフトウェアアップデートにより、AirTagの設定プロセスにおいて、新しいプライバシーに関する警告を表示するようになる。この警告は、本来の目的である持ち物の追跡以外の用途でのAirTag使用を抑止することを目的としている。この警告は、同意なしに人を追跡することは犯罪であり、警察当局はAirTagの所有者の識別情報を要求できることをユーザーに知らせる。

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Appleはまた、受け取ったすべてのAirTag関連の要請について法執行機関と積極的に協業していると述べ、召喚状やその他の有効な法執行機関の要請に応えて、アカウントの詳細を提供することができると指摘した。これが可能なのは、すべてのAirTagがApple IDに関連付けられた固有のシリアル番号を持っているためだ。同社は、この情報を提供することで、多くの場合、警察当局はAirTagの所有者を突き止めることができ、そうした所有者は捕まり、起訴されている、と述べた。しかしAppleは何件のケースに関与したのかについては言及を避けた。

さらにAppleは、ストーカー被害に遭っているのではないかという人々の不安を和らげるために、紛らわしい警告の1つを変更する予定だ。同社はユーザーから、見知らぬAirTagが自分を追跡していると思わせた「持ち主不明のアクセサリが検出された」というアラートをどのように受け取ったか、話を聞いた。しかし、Appleはこのアラートが近くにある持ち主不明のAirTagには表示されず、AirPods(第3世代)、AirPods Pro、AirPods Maxまたはサードパーティ製のFind Myネットワークアクセサリのみであることを確認した。Appleは今後、このアラートを更新し「持ち主不明のアクセサリ」ではなく「AirPods」がユーザーと一緒に移動していることを示すようにする。

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Appleはまた、不要な追跡に関するサポートドキュメントを更新し、Find Myアクセサリとその追跡アラートに関するより詳しい情報を掲載する予定だ。アラートの具体例を示す画像が提供され、ドキュメントでは、ストーカー行為の被害者になった場合にどうすればよいか、さらなる説明が示される。

しかし、AirTagとFind Myの大きな変更はまだ取り組んでいる最中だ。

その中には、アラートを受信した後、近くにいる持ち主不明のAirTagの位置を特定することができる新しい精密検索機能が含まれている。AirTagを使ったストーカー被害では、AirTagが一緒に移動しているという警告を受けたとき、検索しても見つからないという苦情が多く寄せられた。そのため、被害者はAirTagがまだ近くにあるのかどうかわからず、無防備な状態だと感じた。

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iPhone 11、iPhone 12、iPhone 13のユーザーは、精密検索機能を活用することで、自分のAirTagデバイスと同じように、持ち主不明のAirTagが範囲内にあるときに、方向と距離の両方を確認することができるようになる。この機能は、カメラ、ARKit、加速度計、ジャイロスコープからのインプットを使って、音、触覚、視覚フィードバックとともにAirTagに誘導する。

AirTagストーカー事例から出てきた別の不満は、ストーキング目的で持ち主不明のAirTagが仕組まれてから、被害者のデバイスが実際に警告を出すまでにどれだけの遅延があるかということだ。ソフトウェアによって警告される前に、AirTagは何時間も街中を一緒に移動していたと指摘した人もいた。

Appleは、持ち主不明のAirTagやFind Myネットワークアクセサリ(ChipoloなどのAirTag代替品を含む)が一緒に移動している可能性があることを「より早くユーザーに通知する」ように警告ロジックを更新する予定だと述べた。しかし、同社は、ユーザーがこれらの警告をどの程度早く受け取れるかについては示さなかった。

Appleはまた、警告の仕組みを後で調整する予定だ。持ち主不明のAirTagが検出された場合、iPhone、iPad、iPod touchにビジュアルアラートを表示し、同時にサウンドを出すようにする。このアラートは、精密検索ツールを使ってAirTagの位置を特定するためのさらなる支援にユーザーを誘導するか、または、AirTagから音が出るようにする予定だ。この機能は、アラートが聞き取りにくいところにAirTagがある場合に役立つ。また、ストーカー事例で問題となっている、AirTagのスピーカーに細工が施された場合にも、発見ツールが役立つ。実際、スピーカーが無効化されたAirTagがeBayやEtsyで売られているのがここ数週間で発見されてもいる

Appleは、持ち主不明のAirTagをより簡単に見つけられるよう、トーンシーケンスを調整してより大きなトーンを使用すると述べた。

このニュースを発表するにあたり、Appleはテクノロジーを使ってストーカー行為をすることは社会問題であり、そしてAirTagsは良い方向にも使われている、という主張を展開した。この件は、他のデバイスメーカーもAppleに続いて自社の製品にこのような積極的な機能を追加するよう働きかけた。例えば、AirTagのライバルであるTileは、安全機能に取り組んでいると述べたが、まだ提供していない。同社は最近、家族追跡・コミュニケーションアプリのLife360に買収された

National Network to End Domestic Violence(ドメスティック・バイオレンス撲滅全国ネットワーク)やNational Center for Victims of Crime(全米犯罪被害者センター)など安全問題に取り組む団体は、Appleの取り組みを称賛した。National Network to End Domestic Violenceは、ディレクターのErica Olsen(エリカ・オルセン)氏を通じて「Appleが被害者の安全についての会話に関与している」ことを喜び、同社が「セーフガードの改善を続けている」と述べた。National Center for Victims of Crimeは、エグゼクティブディレクターのRenee Williams(レニー・ウィリアムズ)氏を通じて、もう少し冷静な声明を発表した。

「これらの不要な追跡の警告が私たちに示していることは、Appleのシステムが動作しているということです。同時に、この問題を啓発しています」とウィリアムズ氏は述べた。「テクノロジーによる虐待、ストーカー行為、または嫌がらせを経験している場合、我々は、法執行機関に加えて、被害者のためのリソースになることができます」と同氏は付け加えた。

望まない追跡の問題に対処するために、Appleがこの分野の他の企業よりもはるかに多くのことを行っているというのは正しいかもしれないが、より高い基準が要求されるのも事実だ。同社はより徹底した製品開発に投資する資金とリソースを持っているだけでなく、アプリのアンチトラッキング機能のような最近の発表も含め、消費者のプライバシーに配慮する企業として自社を位置づけてきた。

AirTagがどのように悪用されるかを考慮する先見性をAppleがなぜ持たなかったのかは不明だ。そして、多くの女性を雇用することにテック業界が苦戦していることが、ここで問題になった可能性があるのではという疑問が生じる。ストーカー被害者の大半を占める女性は、AirTagの機能に関する問題を容易に認識できたかもしれない。

Appleにコメントを求めたところ、アップデートがいつ実施されるのか、どのソフトウェアのバージョンにこの変更が含まれるのか、同社は言及を避けたが、これは新機能で保護されるかどうか、いつ保護されるのかを知りたい消費者にとっては有益な情報だろう。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルがAirTagストーカー問題に対応、「Personal Safety User Guide」を改定

AppleのAirTagsがストーカー目的使われていることを伝える報道が最近数多くあったことを受け、米国時間1月25日同社は、現行の「Personal Safety User Guide」を改定し、近くにある未知のAirTagを発見したり、AirTagが音を発しているのに気づいた際に消費者が何をすべきかに関する新たな情報を追加した。同ガイドはAirTagのアラートの意味や、AirTagあるいはその他の「Find My(探す)」のネットワークアクセサリーが自分を追跡しているとき何をすべきかを具体的に説明している。Androidユーザー向けの説明も書かれている。

ガイドの改定を最初に見つけたのは、9to5MacAppleInsiderの両サイトだ。AppleはTechCrunchに対し、米国時間1月25日にユーザーガイドを改定し、AirTag関連の情報を追加したことを正式に認めた。

しかし、ガイド自体は新しいものではない。同じマニュアルは以前、個人の安全が脅かされていることを心配する人たちや、Apple製品を通じて何らかの方法でストーカー行為を受けたり追跡されたりする可能性を懸念する人たちに向けた情報を提供していた。総じてこのマニュアルは、以前パートナーと情報を共有していたが、今後は自分のアカウントやデータ、位置情報などを相手がアクセスできないことを確実にしたい人たちを手助けすることが主な目的だった。

しかしAirTagの場合、ストーカーに発つながるのはパートナーによる虐待行為に限らない。たとえばThe New York Times(ニューヨーク・タイムズ紙)のある記事は、自動車泥棒が盗もうとしている高価な車の位置を突き止めるためにAirTagデバイスを使う様子を報じている。他にも、地元のスポーツジムなどの公共施設を離れたあと、AirTagに追跡されていることを示すアラートを受けたと言っている人がいた。ティーンエージャーの子どもを追跡するために本人に伝えることなくAirTagを使う親もいると記事は伝えている。

Appleは、紛失物トラッカー業界の中で、近くにある未知のBluetooth追跡デバイスに関する事前警告を実装した最初の主要テック企業であることから、こうしたストーカー状況が白日に晒らされることになった。NYTが指摘するように、研究者の中には、AppleのAirTagは、テクノロジー由来のストーカー問題を必ずしも生み出していないと主張する人もいる。むしろ、AirTag固有のアラート・システムによって、すでにまん延していた問題が暴露されたとも考えられる。しかしAppleにとって不幸なことに、ユーザーの安全とプライバシーに焦点を当てていることを会社として強く宣伝してきたことから、状況は対外的責任問題になっている。

AirTagストーカー問題について、何人ものApple広報担当者が声明を発表しているが、新しいガイドは本件に関するより公式な書類だと考えられる。

同ガイドはユーザーに対し、どんな時にアラートを受けるのか、なぜAirTagが音を鳴らすのが聞こえることがあるのか、新しいAndroid用Tracker Detect(トラッカー検出)アプリをどうやって使うかなどを説明している。中でも重要なのは、未知のAirTagに追跡された時にどうすればよいか、見つけられないときに音を鳴らす方法などが書かれたAppleのサポートページが紹介されていることだ。

関連記事:アップル、正体不明のAirTagを発見するAndroidアプリ「Tracker Detect」をリリース

今回の改定にともない、ユーザーガイドはPDFではなく検索可能なウェブサイトで公開されている。これによってGoogle(グーグル)などの検索エンジンによるコンテンツのインデック化が改善され、検索クエリにもとづいてユーザーが目的のページに到達しやすくなる。また、新しい個人の安全に関する文書やガイダンスが発行された際のガイド改定も容易になる。

AirTag情報以外にも、改定されたガイドには、当初発行された時にはなかったAppleの新しい機能に関する情報が入っている。AppleのApp Privacy Report(アプリ・プライバシー・レポート)や復旧用連絡先の設定方法などだ。他にもHome KitとHome App、プライベート・ブラウジング・モード、メッセージや電話、FaceTime、メールなどで相手をブロックする方法、不審な活動の証拠を記録するためにスクリーンショットを撮る方法、アカウント復旧用連絡先を設定する方法などを扱うセクションが追加された。

アカウントのセキュリティとプライバシーの管理に関する既存の情報と合わせることで、今回改定されたガイドは、従来バージョンよりも包括的な文書になっている。

しかし、AirTagをめぐる問題は、情報の不足や消費者が取るべき行動に関する混乱ではなく、AirTag自身が簡単にストーカー目的に使えてしまうことだ。安価で入手しやすいことに加えて、警告音の大きさは気づくのに十分なほどではなく、クルマの下やナンバープレートの裏などに仕かけられた時はなおさらだ。そして、未知のAirTagに関するアラートが発信される頻度はあまりにも少ない、とプライバシー擁護派は指摘する。

Appleは上記やその他の不満に対して、AirTagの機能を変更することによる対応はしていないが、今回のガイドの公開は、同社が少なくとも問題を認識し、消費者に何らかの情報を提供しようとしていることを示している。

画像クレジット:James D. Morgan / Contributor / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Chipolo、アップルの「探す」アプリ対応の「カード型紛失物トラッカー」でTileに対抗

AirTag(エアタグ)とTile(タイル)のライバル、Chipolo(チポロ)が発表した新製品は、ユーザーが紛失したものをAppleの「Find My(探す)」アプリで見つけたり、うっかり置き忘れた時に通知を受けることができる。Chipolo CARD Spot(チポロ・カード・スポット)は、同社の既存のスマートカード製品の改良版で、同社のもう1つの紛失物トラッカーであるChipolo ONE Spot(小さな丸形デバイスでAirTagと直接競合する)と同じように、Appleの「探す」ネットワークを利用できるようになった。

新しいスリムなスマートカードは、キャッシュカード並の薄さで、サイズは3.35 x 2.11インチ(8.5 x 5.4 cm)と財布のクレジットカードポケットに入れることができる。

デバイスを追跡するには、まずChipolo CARD Spotを「探す」アプリのサードパーティ製ハードウェアアクセサリー追跡機能を使って、iPhoneまたはiPadとペアリングする。このシステムは、AppleのMFi Program(MFiプログラム)に支えられているもので、デバイスメーカーは、iPhoneなどのAppleデバイスとやり取り可能なアクセサリーを開発するために必要な仕様やリソースの提供を受けることができる。これは、AppleがAirTagで参入する前から忘れ物トラッカー市場をリードしてきたTileとの争点でもあった。

画像クレジット:Chipolo

TileはAppleが権力を乱用して市場を支配しようとしていると主張し、同社のようなデバイスメーカーが独自のモバイルアプリを経由してユーザーに直接アクセスするのをやめさせて、Appleのテクノロジーに統合させようとしていると訴えた。しかもAppleは、AirTagが発売されて顧客基盤ができあがるまでそのテクノロジーの利用を遅らせた(Tileは最近、Life360に227億円で買収された。競合が激化する中でスタンドアロン企業としての将来を見限ったようだ)。

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しかしChipoloは違うアプローチをとった。Appleと喧嘩するのではなく、同社はAppleのネットワークを活用し、AirTagに似た同社独自のトラッカーを「探す」対応にした。これによってChipoloの認知度は高まり、Appleの新製品プロモーションのおかげで紛失物トラッカーとその能力を初めて知った人たちにリーチすることができた。

Chipolo CARD Spotの発売によって、同社は「財布を追跡するスマートカード」というAppleにない「探す」対応製品の可能性に賭けている。

しかし、この新しいアクサセリーは、Tileの薄型ウォレットトラッカーであるTile Slim(タイル・スリム)と直接競合する。

画像クレジット:Chipolo

Tileのスマートカードと同じく、Chipoloカードは財布が手元を離れるとアラームを鳴らしたり、Lost Mode(紛失モード)になる。アラームは音は大きく(105dB)、カードは「探す」の200フィート(60m)範囲内で位置を特定できる。

Chipoloの新デバイスは、防水(IPX5)だが、この点ではTile SlimのIP67が上を行っている。Chipoloカードのバッテリー寿命は約2年間。その時点でユーザーには新製品を50%ディスカウントで購入できる通知が送られ、古いデバイスはリサイクルのために送り返すことができる。ちなみにTile Slimは最大3年間のバッテリー寿命を約束している。

Chipoloデバイスは1台35ドル(約4060円)、3台60ドル(約6959円)だが、TileはSlimを値下げして1台29.99ドル(約3480円)、2台で59.99ドル(約6958円)にした。

しかしChipoloの強みは、顧客は「探す」アプリで使えるデバイスを選ぶ可能性が高いということで、Tileは対応していない。

また、消費者がAirTagの安全性について懸念し始めている(デバイスがストーカー行為やカージャックに使われていると記事は伝えている)ことから、ユーザーは「探す」対応製品の方を選ぶかもしれない。Appleの同アプリは、未知のデバイスがユーザーを追いかけていると先を見越して警告してくれるからだ。Tileはまだ、アンチストーカー機能に取りかかっている段階だ。

関連記事:TileがApple AirTagのライバルとなる次期製品Tile Ultraを含む新製品ラインナップを発表

Chipoloの新デバイスは、現在予約受付中で、公式ウェブサイトおよびNomad(ノマド)で申し込める。出荷は2月の予定。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップル、正体不明のAirTagを発見するAndroidアプリ「Tracker Detect」をリリース

Apple(アップル)は、プライバシー保護の観点から、アップル製品を所有していない人が近くにある身に覚えのないAirTag(エアタグ)を特定できるようにするための新しいAndroidアプリ「Tracker Detect」をリリースした。追跡されているかもしれないと思ったユーザーは、このアプリを使って近くにあるAirTagをスキャンすることができる。もし見つかったら「unknown AirTag」としてフラグが立てられる。検出されたアイテムトラッカーが10分以上アプリユーザーと一緒に移動していることがわかった場合、ユーザーは検出されたアイテムトラッカーから音を出して、その場所を特定することができる。そこから、そのアイテムトラッカーについて詳しく知る方法と、バッテリーを取り外して無効にする方法が案内される。

「Tracker Detectは、所有者から離れた、AppleのFind Myネットワークに対応しているアイテムトラッカーを探します」とアプリの説明にある。「対象となるアイテムトラッカーには、AirTagや他の企業が提供する互換性のあるデバイスが含まれます。誰かがAirTagや他のデバイスを使ってあなたの位置を追跡していると思われる場合、スキャンしてそれを見つけることができます」。

差し当たって、Google Play StoreのTracker Detectアプリは、AppleのAirTagやChipolo ONE Spotを含む、Find Myネットワークをサポートしているアイテムトラッカーと互換性がある。例えばTile(タイル)のような、Find Myネットワークと互換性のない他のトラッカーは対象外だ。

また、このアプリではAppleアカウントに関連付けられたAirTagをユーザーが追跡することはできないため、実際にはAirTagの機能をフル活用できていない。

「AirTagは業界をリードするプライバシーとセキュリティ機能を提供し、今日、当社はAndroidデバイスに新しい機能を持ってきます」とAppleの広報担当は電子メールでTechCrunchに述べ、 新アプリの提供開始を認めた。「Tracker Detectは、Androidユーザーが、知らないうちに自分と一緒に動いているかもしれないAirTagまたはFind Myをサポートしているアイテムトラッカーをスキャンできるようにします」。

もしユーザーが身に覚えのないAirTagを見つけた場合、iPhoneや他のNFC対応デバイスでそれをタップすると、AirTagを無効にする方法が案内される。Tracker Detectアプリのユーザーは、アプリ内でAirTagの詳細とそれらを無効化する方法を確認することができる。

この新しいアプリの導入は、AppleのAirTagが、バッグやコートの中に入れておけるほど小さいため、密かに人を追跡するために使われるのではないかという懸念を受けてのことだ。2021年初めのワシントン・ポストの報道では、AppleのAirTagによって、相手に気づかれずにストーキングすることが容易になる可能性がある、とされている。他にも、この追跡デバイスが個人を密かに監視するために使われる可能性があると主張する報道が多くあった。

こうした報道を受けてAppleは、所有者の元を離れたAirTagが動いたときに音が鳴るまでの期間を更新した。発売当初は3日間としていたが、8〜24時間の間でランダムに設定できるように変更した。また、ユーザーのiPhoneは、近くに身に覚えのないAirTagを検出した場合、「Item Detected Near You」というメッセージを表示するようになった。つまり、iOSユーザーは見知らぬAirTagを見つけるために別のアプリを必要としない。

しかし、Androidユーザーが近くにある見知らぬAirTagを発見する方法がなかったため、Appleはユーザーが一緒に移動しているかもしれないAirTagを検出できるAndroidアプリを発表する予定であることも発表していた。

AirTagに対する懸念はあるものの、Appleがトラッカーのスキャンをサポートしたことで、まだストーカー対策機能を提供していない競合他社をリードすることになった。この発表を受けて、競合するTileは、誰でもTileアプリを使っていつでも手動スキャンを行えるようにすると述べた。この機能は2022年初めに提供される予定だ。

Appleは2021年4月にAirTagを発売した。価格は1個29ドル(日本での価格は税込3800円)、4個入りで99ドル(税込1万2800円)となっている。アイテムの追跡には、同社が「Precision Finding」と呼ぶ、同社独自の超広帯域チップ「U1」が使用されている。また、Bluetooth LE(低消費電力)も採用している。

画像クレジット:Apple

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

自動車泥棒がアップルの探し物トラッカーAirTagを悪用、高級車に付けて自宅まで追跡

自動車泥棒がアップルの探し物トラッカーAirTagを悪用、高級車に付けて自宅まで追跡

YRP

アップルの落とし物トラッカーAirTagが、車泥棒に悪用される事件が増えていると報告されています。

カナダのヨーク地方警察(以下「YRP」/ヨークはカナダのオンタリオ州南中央にある地方行政区)によると、現地の窃盗団が高級車を盗むために、AirTagの位置情報追跡機能を悪用した新たな手口を使っているとのことです。車を盗むやり方はほぼ従来通りながら、Airtagによりターゲットにした高級車を追跡しているわけです。

YRPの発表いわく、2021年9月以降にAirTagを使った高級車の窃盗事件を調査したとのこと。車泥棒はショッピングモールや駐車場など公共の場所で見つけた高そうな車を狙い、車の所有者に見つけられないように、牽引用のヒッチや燃料キャップ、バンパーの内側など目立たない場所にAirTagを付けておくそうです。そして被害者の家まで追跡してから盗むしだいです。

自動車泥棒がアップルの探し物トラッカーAirTagを悪用、高級車に付けて自宅まで追跡

YRP

アップル製品には見知らぬAirTagが身近にあれば知らせる機能も備わっていますが、すべての被害者が通知を受け取れるiPhoneを持っているわけではありません。2021年内にAndroidでもAirTagを検出できるアプリが提供予定ですが、記事執筆時点ではいつ配信されるか不明であり、また配信されてもわざわざインストールするAndroidユーザーがどれほどいるかも未知数です。

12月2日(現地時間)ではAirTagが関連した盗難事件は5件に留まっていますが、ヨーク地域だけで過去1年間に2000台以上の車両が盗まれており、この問題が世界中に広がっていく可能性も懸念されます。

YRPは自動車オーナーに対して、できる限り鍵のかかる車庫に駐車し(ほとんどが路上で盗まれるため)、定期的に車両を点検して追跡装置が付いていないかどうか確認し、特に見知らぬAirTagの通知を(iPhoneで)受けた場合には注意するよう呼びかけています。

具体的にどのような手口が使われているかは、2つの参考動画を公開されていますので、視聴して防犯意識を高めておきたいところです。

(Source:YRP。Via:MacRumorsEngadget日本版より転載)

家族向けロケーターサービスのLife360がTileを227億円で買収

Apple(アップル)のAirTag(エアタグ)と競合する遺失物追跡サービスのTile(タイル)が、家族向けコミュニケーションサービスのLife360に買収される。買収額は2億500万ドル(約227億円)。Tileのブランドは継続し、現CEOのCJ Prober(シージェイ・プローバー)氏が引き続き率いる。同社によると、現在のところTileチームの変更は予定しておらず、プローバー氏はLife360の取締役会にも加わる。

Life360にとって、今回の買収は最近のハードウェア買収としては2件目となる。同社は今年初め、位置情報機器メーカーのJiobit(ジオビット)を3700万ドル(約43億円)で買収した。その際、目標は、Life360アプリが動くスマートフォンを持つ人以外、つまり、小さな子どもや特別なニーズを持つ子ども、ペットなどにも、家族の追跡機能を拡大することだと述べた。

しかし、Tileの場合は、家族を追跡するだけでなく、家族が最も大切にする「人、ペット、モノ」を見つけるための幅広いソリューションとして事業を拡大する可能性を視野に入れている。同社は、統合プラットフォームを提供するサービスを構想している。そのプラットフォームでユーザーは、連絡を取り合うために家族を追跡するだけでなく、Tileの位置情報検索機能を利用して、財布、鍵、リモコンなどのモノも追跡できる。

またTileは、ワイヤレスイヤホンからノートパソコン、犬の首輪まで、50種類以上のサードパーティ製デバイスと提携している。これらは買収の価値を高めるものだ。そして同社は「Tile Finding Network」という巨大なネットワークを運営している。Tileの所有者がTileのモバイルアプリを立ち上げると、Bluetoothの範囲外にあるモノの位置を特定できるというものだ。同社は、これまでに4000万個以上のデバイスを販売し、42万5000人超の有料顧客を抱えているが、アクティブユーザーの総数は公表していない。

Life360は、同社の3300万人のスマートフォンユーザーが加わることで、TileのFinding Networkのリーチが10倍になると見込む。

Life360の共同創業者でCEOのChris Hulls(クリス・ハルス)氏は声明で「今回の買収は、安全性と位置情報サービスの世界的なプラットフォームになるというLife360のビジョン達成に向けた重要な一歩となります。TileをLife360ファミリーに迎え入れることができ、大変嬉しく思っています」と述べた。

このニュースに先立ち、Tileは9月に4000万ドル(約46億円)の負債による資金調達を発表した。これについてプローバー氏は、「負債は株主に希薄化をもたらさないため」理にかなっており、「『負債と株式』の混合は良いことだ」と述べていた。だが、Apple AirTagの立ち上げ以来、Tileの将来が脅かされていたことは間違いない。Tileは独占禁止法の問題でAppleを断固として批判しており、Appleがビジネスに与える影響について議員らの前で証言したこともあった。

Tileは最近、競争力維持を期待して、製品ラインを刷新した。その中には、AirTagのライバルとなる超広帯域無線の製品も含まれている

Life360とTileの共通点は、プラットフォームにとらわれないアプローチであり、iOSとAndroidの両方のデバイスに対応していることだ。Androidに対応していることが、国際的な事業拡大に役立つ可能性がある。Androidは世界中の多くの市場を支配している。

Life360は、今回の買収により、Tileを販売する2万7000以上の小売店や、Tileの技術が組み込まれている100万台以上のサードパーティ製デバイスのユーザーにアクセスできるようになる。また、両社はプレミアムサービスを提供しており、Life360は有料会員数を45%増の約160万人に拡大する見込みだ。将来的には、両社のサービスを統合し、より多くの無料ユーザーが有料会員になることを期待しているようだ。

Life360は、2019年からオーストラリア証券取引所に上場しており、以前には2022年に米国での二重上場の可能性を計画していると発表していた。今回の買収により、その目標に向け、勢いがつくとLife360は述べている。

今回の買収では、Credit SuisseとCode AdvisorsがLife360の共同財務アドバイザーを務めた。また、DLA PiperとOrrick、Herrington & Sutcliffe LLPがLife360の法務アドバイザーを務めた。Tile側は、Jefferies LLCが独占的に財務アドバイザーを、Fenwick and West LLPが法務アドバイザーを務めた。

「Tile、当社の顧客、そして従業員にとって素晴らしい日です」とプローバー氏は声明で述べた。 「今回の買収は、ミッションや価値観を共有する2つの素晴らしいチームを結びつけるだけでなく、安心・安全のための世界有数のソリューションを共同で開発する道を開くものです。これは、私たちの旅における次のステップであり、引き続き素晴らしいチームを率い、Life360の取締役会に参加できることに、これ以上の喜びはありません」。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

TileがApple AirTagのライバルとなる次期製品Tile Ultraを含む新製品ラインナップを発表

Tile(タイル)は、先日の4000万ドル(約45億円)の資金調達に続き、Apple AirTagに対抗するために長い間期待されていたウルトラワイドバンド(超広帯域)搭載トラッカーTile Ultraを含む、最新の紛失物トラッカーのラインナップを発表した。この製品は、正式に発表されたものの、まだ購入することはできない。その代わりに、バッグ、鍵、バックパック、荷物などに取り付けるというコアとなるユースケースに対応するために、新しいデザインを採用したTileのプレミアムデバイスであるTile Proが最初のアップデートとして発表された。また、Mate、Sticker、SlimといったTileの既存のトラッカーも、音の大きさ、検出範囲の長さ、耐水性の向上などの新機能が追加されている。

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44億円を調達した紛失物探索デバイスのTile、新製品でアップルのAirTagに対抗
ARで簡単に紛失物を探し出せるウルトラワイドバンド搭載トラッカーをTileが準備中

Tileは、1月に新技術に関する同社の計画を詳細に説明しており、Tile Ultraの開発には以前から取り組んできた。このデバイスは、Tile Proと同じフォームファクターでありながら、よりプレミアムなデザイン処理が施され、ステンレススチール製のリングを付けて出荷される予定だ。さらに、このデバイスにはAppleのAirTagと同じウルトラワイドバンド技術が採用され、より正確な検索機能が実現される。

Tile Ultraは、Bluetoothとウルトラワイドバンドの両方の機能を備えており、400フィート(約121メートル)離れた場所にある物体を探し出し、その位置を最新のモバイルアプリケーションのインターフェースに表示する。そして、以下の画像のように、自分の部屋やその他の場所がカメラビューで表示され、大きなARの矢印が消えたTileの位置を示してくれている。

画像クレジット:Tile

ここ数カ月の間、Apple(アップル)を厳しく批判しているTileは、Appleが自社の市場に参入し、競争面で不利になったことを訴えてきたiPhoneの新しいモデルには、U1チップによるウルトラワイドバンド機能が搭載されているが、その機能を利用することは、iOS 15が登場するまでサードパーティの開発者にはできなかった。そのため、AppleはAirTagを先行して開発した。それに比べてTileは、パートナーであるGoogle(グーグル)と緊密に協力して、新しいデバイスが、Androidに初めてウルトラワイドバンドを導入したAndroid 12でうまく動作するようにしていると述べた。

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TileのCEOであるCJ Prober(CJ・プローバー)氏は、Tile Ultraの発売が遅れたことについて「Appleは、最初の自社製品を発売し、その製品がしばらく市場に出回るまで、ウルトラワイドバンドを試験的に利用できるようにすることを控えていました」と指摘している。このため、次期Tile Ultraの出荷は2022年初頭となる。

近い将来、Tileの他のラインアップも大幅に刷新される。

人気のTile Proは、よりスリムになった新しいフォームファクターで、見た目が大きく変わった。Tileは、社内で約16種類のデザインをテストした後、このデザインを採用した。

「このフォームファクターは、キーフォブのように鍵に引っ掛けることができるため、ユーザーの共感を得ることができました」とプローバー氏は述べている。

今回のアップデートでは、外観の変更が大きなポイントとなっており、性能面ではわずかな改良にとどまっている。また、400フィート(約121メートル)の電波到達距離と、1年間交換可能なバッテリーも引き続き搭載されている。

画像クレジット:Tile

Tileの他のラインアップも更新された。Tile Mateは、財布や鍵にもフィットするような、より洗練されたデザインに変更され、カラーもブラックとホワイトの2色になった。到達距離は250フィート(約76メートル)(従来比25%増)、防水性能の改良(IP67、水深1メートルで30分)、リングの音も大きくなり、3年間交換不能のバッテリーを搭載している。

テレビのリモコンなど、トラッカーを簡単に取り付けられないものに貼ることができるTile Stickerは、通信距離が67%向上して最大250フィート(約76メートル)になった。また、リングの音量が大きくなり、耐水性が向上し、3年間交換不能のバッテリーが搭載されるといったTile Mateと同様のアップデートが施されている。

また、財布の中に入れられるように設計されたTile Slimは、通信距離、バッテリー、リングなどの性能が同じようにアップデートされている。

ProとSlimの販売価格は34.99ドル(約4000円)で、Mateは24.99ドル(約2800円)、Stickerは29.99ドル(約3300円)だ。

画像クレジット:Tile

製品のアップデートと同時に、Tileは、Lost and Foundと呼ばれる紛失物を見つけるための新しい方法を提供するモバイルアプリをアップデートしている。このサービスは、紛失したTileのアイテムを見つけた人が、デバイスのQRコードをスキャンすると、持ち主の連絡先が表示され、返却の手続きができるというものだ。

画像クレジット:Tile

Tileは、未知のAirTagがあなたの後をつけていると定期的に警告するというAirTagのセキュリティ機能にヒントを得て、未知のデバイスが近くにあるかどうかも識別する。ただし、この機能はAppleのAirTagとは仕組みが異なる。ユーザーは、Tileアプリをダウンロードし、ボタンを押すことで、近くにある望まれないTileを手動でスキャンすることができるようになる。その際、Tileのアカウントは必要ない。この機能はまだ実装されていないが、National Network to End Domestic Violence(ドメスティック・バイオレンス撲滅のための全米ネットワーク)の勧告に基づいて設計されたものだそうだ。

「ストーカー被害者の約70%は加害者を知っています」とプローバー氏はいう。「彼らの指導は、見逃してしまうかもしれない通知を待たせるのではなく、このような安全機能をユーザーに提供する必要があるというものでした」。

Scan and Secureと呼ばれるこの機能は、2022年初めにiOSとAndroidに搭載される予定だ。

Tileは自社製品に紛失物検索機能を搭載したいと考える企業とのパートナーシップを通じて事業を拡大してきたが、Tileの収益の大部分は、依然として自社デバイスの直接販売によるものだ。Tileはこれまでに4000万台のトラッカーを販売し、42万5000人以上の有料会員を抱えているが、これはプレミアムサービスに加入していない多くのユーザーのごく一部にとどまっている。上半期の売上高は50%以上増加しているが、同社はその数字を公表していない。

Tile Ultraを除くTileの新しいラインナップは、Tile.comおよびAmazon(アマゾン)、Costco(コストコ)、Best Buy(ベストバイ)、Target(ターゲット)などの小売店で販売される。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

44億円を調達した紛失物探索デバイスのTile、新製品でAppleのAirTagに対抗

Bluetoothを利用した紛失物探索デバイスのメーカーTile。最近ではApple(アップル)を激しく非難している同社は、現地時間9月16日、Capital IP(キャピタルアイピー)から4000万ドル(約43億8000万円)の希薄化をともなわない融資を獲得したことを発表した。今回の資金調達は技術開発への投資に充てられる。また、同社はAppleのAirTagsに対抗し、新製品や機能を発表して市場の拡大を図る。

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Tileは、ハンドバッグやスーツケース、自転車、財布、鍵などのアイテムに取り付けられる小型紛失物探索デバイスの分野で長年にわたり業界をリードしてきた。ユーザーはiOS、Androidのスマートフォンアプリ「Tile」を使ってそのアイテムを追跡することができる。アイテムを紛失した場合、Tileアプリを使って、Bluetooth経由でアイテムを探索し、アイテムに取り付けられたデバイスで音を鳴らしてアイテムを見つける。アイテムが近くにない場合は、アプリをインストールしている他のユーザーやその他のアクセスポイントで構成される、より広範な探索ネットワークを利用する。Tileはこのネットワークを介して、自動的かつ匿名でアイテムの位置を持ち主のTileアプリに伝える。

画像クレジット:Tile

同社は、オーディオ、トラベル、ウェアラブル、PCなど40以上の企業について、その企業のデバイスとTileの検索ネットワークを統合するパートナーシップを締結している。代表的なブランドパートナーとしては、HP(ヒューレットパッカード)、Dell(デル)、Fitbit(フィットビット)、Skullcandy(スカルキャンディー)、Away(アウェー)、Xfinity(エクスフィニティ)、Plantronics(プラントロニクス)、Sennheiser(ゼンハイザー)、Bose(ボーズ)、Intel(インテル)などが挙げられる。Tileによると、同社のサービスが組み込まれたデバイス上のアクティベーションは、前年比で200%の伸びを示しているという。

これまでにTileは4000万台以上の探索デバイスを販売し、42万5000人以上の有料顧客を獲得している。これらの数字は今回初めて公表されたが、同社は無料と有料を合わせた総ユーザー数は公表していない。同社は2021年上半期に収益が50%以上増加したとしているが、これについても正確な数字は公表されていない。

Tileは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、一部の市場の回復が遅れ、海外展開に影響があったことを認めているが、海外での業績は好調であり、今後も注力していく予定だという。

しかし、Tileにとっての唯一の障害がパンデミックという訳ではない。

AppleがAirTagsを発売してTileに対抗する計画を発表した際、Tileはそれを「不公正な競争」として批判した。Tileの製品とは異なり、AppleのAirTagsでは、iPhoneの新モデルに搭載されたU1チップが実現するウルトラワイドバンド(超広帯域)技術を利用して、より正確な探索が可能だ。一方、Tileは独自のウルトラワイドバンドを利用したデバイスを計画していたが、iPhoneでウルトラワイドバンドを利用することができなかった。つまり、Appleは自社の紛失物探索デバイスに、競合他社との差別化を図るための機能をいち早く、独占的に利用したのだ(Appleはその後、ウルトラワイドバンドのAPIをサードパーティ開発者に提供することを発表したが、APIが利用できるようになったのはAirTagが発売された後のことである)。

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Tileのコンセプト図(社内資料)

Tileは、Appleの反競争的行為を問題視し、Spotify(スポティファイ)やMatch(マッチ)といった他のAppleに批判的な企業とともに複数の議会公聴会で証言してきた。規制当局からの圧力が強まった結果、Appleは後になってFind Myネットワークをサードパーティ製デバイスに開放し、AirTagsによって不利益を被るTileや他の競合他社を懐柔しようとしている。

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しかし、Tileは、顧客をAppleのファーストパーティアプリに誘導するのではなく、独自のアプリを使用して、独自の機能やサービスで勝負するつもりだ。Tileのサブスクリプションにその姿勢が良く表れている。基本となるTile Premiumプランは年額29.99ドル(日本では3600円)で、無料のバッテリー交換(日本では延長保証)、スマートアラート、ロケーション履歴などの機能を提供する。また、年間99.99ドル(約1万1000円、日本未対応)のPremium Protectプランでは、発見できなかったアイテムに対して年間1000ドル(約11万円)までの保険が適用される(AirTagには同様のサービスは存在しない)。

多くの差別化要因があるにもかかわらず、TileはウルトラワイドバンドのAirTagとの激しい競争に直面している。なぜなら(Appleの製品である)AirTagには、潜在的に数億人のiPhone所有者から成るAppleのネットワークを利用できるという利点があるからだ。

それでも、2018年にTileに参入したCEOのCharles “CJ” Prober(チャールズ・プローバー)氏は、AirTagは同社の収益やデバイスの販売に影響を与えていないと主張する。

同氏はAppleについて次のように話す。「……しかしそれは、Appleが私たちのビジネスを難しくしているという事実を取り除くものではありません」「私たちのビジネスは成長を続け、ユーザーに支持されています。Appleは不公平な競争をしています」。

「プラットフォームを所有している以上、参入したいカテゴリを決めて、そのカテゴリの既存企業を不利にすることで自分たちが有利になるようにすることは許されません。彼らが私たちにしたようにね」。

TileはAirTagに対抗するために、製品のリニューアルを発表する準備をしている。詳細は来週発表されるとのことだが、おそらく、これにはすでに発表されたウルトラワイドバンドバージョンのTileが含まれると思われる。より競争力を高めるために、デザイン、サイズ、形状、機能などの面でラインナップを拡大する可能性もある。

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資金調達については、Tileは2019年にグロースキャピタル(未上場株投資の一種)で4500万ドル(約49億円)を調達した。現在は融資にシフトし、今回の資金調達で、新たな融資に加えて、既存の融資の一部を借り換えているという。

「私は、融資と株式を混在させるのが良いと考えています。ですから、バランスシートにある程度の負債があることは良いことです。株主に希薄化をもたらすものでもありませんから」「私たちは、この資本選択の組み合わせが適切だと思っています」とプローバー氏。

Capital IPは、Tileが過去3年関係を築いてきたグループであり、Tileは同グループを投資家として迎えることを検討していた。「Capital IPグループは、Tileに関心を持ち続け、Tileの将来に期待を寄せている」とプローバー氏は指摘する。

Capital IPのマネージングパートナー、Riyad Shahjahan(リヤド・シャージャハン)氏は、声明の中で次のように述べる。「私たちは、Tileのチームと提携できることをうれしく思います。Tileはハードウェアおよびソフトウェアベースの革新的な技術によって探索システムのカテゴリを定義し、リードし続けています」「収益成長は素晴らしく、急速に上昇する加入者数の傾向は、Tileがプラットフォームに依存せずに提供できる価値提案を裏付けるものであり、当社が投資を決定する上での重要なポイントとなりました。Tileのチームは意欲的なロードマップを持っています。私たちは、Tileのチームが新しい市場やアプリケーションに参入し、市場でのリーダーシップをさらに強固なものにすることを楽しみにしています」。

画像クレジット:Tile

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

アップルが台湾・香港・中国向け刻印サービスで「ダライ・ラマ」「雨傘革命」など法的義務以上に検閲していると明らかに

アップルが台湾・香港・中国向け刻印サービスで「ダライ・ラマ」「雨傘革命」など法的義務以上に検閲していると明らかに

Citizen Lab

アップルはAirPodsやiPadなどを公式ストアで注文したユーザーに対して、無料で刻印サービスを提供しています。このサービスに付き、中国や香港、台湾で政治的検閲を行っていると指摘するレポートが発表されています

この報告書は、カナダにあるトロント大学のインターネット監視団体Citizen Labが調査に基づき公表したものです。Citizen Labは中国生まれのTikTokが悪質な行為を行っている証拠はないと述べるなど、特に反中国というわけではありません。

アップルの無料刻印サービスはどの地域でも攻撃的な言葉やフレーズを禁止しており、米国でも170の単語を入力することができません。しかし中国では、禁止されている単語やフレーズの数は1000以上にのぼり、その中には政治的な言及も多く含まれているとのことです。

アップルが台湾・香港・中国向け刻印サービスで「ダライ・ラマ」「雨傘革命」など法的義務以上に検閲していると明らかに

Citizen Lab

アップルが台湾・香港・中国向け刻印サービスで「ダライ・ラマ」「雨傘革命」など法的義務以上に検閲していると明らかに

Citizen Lab

Citizen Labが行ったのも、どの単語が拒否されるかを調べるテストでした。これができたのは、アップルの刻印サイトが入力されたテキストを一文字ずつ分析し、受付できない内容に即座にフラグを立てるためです。

このテストは6つの地域で実施され、その結果アップルが国ごとに異なるAPIを使ってテキストを検証していると明らかになったそうです。さらに中国では政治的な検閲が行われていると分かり、その一部は香港や台湾にも及んでいました。

まず中国本土では、中国の指導者や政治システムに関する広範な言及、反体制派や独立系報道機関の名前、宗教や民主主義、人権に関する一般的な用語などが検閲されていると分かったとのことです。たとえば政治関係としては「政治、抵制、民主潮、人权(人権)」など、チベットやチベット宗教に関しては「正法、達賴(ダライ・ラマ)、达兰萨拉」といったところです。

かたや香港では、市民の集団行動に関するキーワードが広範囲に検閲されています。たとえば「雨伞革命」や「香港民运」「雙普選」、「新聞自由」など。はてはノーベル平和賞受賞者の劉暁波氏の妻で詩人の劉霞氏や、アーティストの艾未未氏の名前までも禁止されていることは「香港の国家安全法に基づくアップルの検閲義務をはるかに超えている」と評されています。

さらに台湾に対しても、中国に配慮したかのような政治的検閲が行われている模様です。こちらでは中国共産党の最高幹部らや歴史上の人物(毛主席など)、「外交部」などの国家機関、およびFALUNDAFAやFalun Gongなども禁止されているとのこと。台湾にはそうした言葉を取り締まる法律もなく、アップルが検閲を行う法的義務もありません。

それに加えてCitizen Labは、「8964」という数字まで検閲されていると突き止めています。この数字は中国では天安門事件の「1989年6月4日」という日付にちなんだものとして認識されているため、と推測されています。

アップルもいち民間企業に過ぎず、現地の法律には従う義務があり、Citizen Labも法律で禁止されている言葉の検閲を批判しているわけではありません。特に問題視されているのは、アップルが法的に要求されている以上を行っており、現地企業が自粛しているキーワードを検討せずに流用しているように見えることです。

今回の一件と関係あるかどうかは不明ですが、かつてiOS 11.4.1では“Taiwan”とタイプしたときに特定の言語や地域設定のiPhoneがクラッシュする問題や、日本語のiPhoneでも“たいわん”と入力して台湾の旗に変換できなかったことがあります(記事執筆時点では、どちらも修正済み)。

ちょうどアップルは、児童虐待対策として「iCloud上に保存された写真が自動スキャンされ、当局に通報されることもある」しくみの導入に対して、政府の検閲に利用されるのではないかとの懸念が寄せられているところです。アップルは「政府の要求を拒み続ける」と回答していますが、その言葉に信ぴょう性を与える行動が望まれそうです。

(Source:Citizen Lab。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

iOS 14.5でマスク着用時でのApple WatchによるiPhoneのロック解除、アプリ追跡の透明化、キス絵文字が追加

先週開催されたビッグイベントで、Apple(アップル)はiOSの最新アップデートが間もなく登場することを予告した。そして米国時間4月26日、すべてのユーザーに向けてiOS 14.5が公開された。このアップデートは、モバイルOSの中でも特に大きなアップデートの1つになりそうだ。

ユーザーから最も待ち望まれていたアップデートは、Apple Watchを使ってiPhoneのロックを解除できるようになったことだろう。これはアップルのウェアラブルデバイスにとって便利な機能が追加されたのはもちろんだが、それよりも重要なのは、マスクをしているユーザーがフェイスアンロックの回避策を期待していたことを考えると、このアップデートは1年間待ち望まれたものだと言えるだろう。

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画像クレジット:Apple

マスクを装着すると、iPhoneはデフォルトでApple Watchに接続され(watchOS 7.4がインストールされた後に)、触覚的なブザーとともにApple Watchに通知が送られる。

セキュリティ面でも、アプリのトラッキングの透明性が追加され大きな話題となった。TechCrunchのAnthony記者は2021年4月初めの投稿で、この機能について解説している。

Apple(アップル)が新しいルールを施行することになるため、iPhoneユーザーはおそらくより多くのリクエストを目にするようになるだろう。これらのリクエストはアプリを利用しているさまざまな時点で表示されるが、すべてのリクエストではアプリが「他社のアプリやウェブサイトでのあなたの行動を追跡できるかどうか」を尋ねる標準的なメッセージが表示され、その後に開発者からのカスタマイズされた説明が表示される。

そのため多くのポップアップ通知が表示されるようになるだろうが、それには正当な理由がある。

画像クレジット:Apple

その他の追加点は以下のとおりとなる。

  • たくさんの新しい絵文字が登場する。キスをするカップル、燃えるようなハート、性別の追加など。
  • 追加の声(現在はデフォルトの声の設定はない)と、緊急電話番号のダイヤル機能などを含むSiriのアップデート
  • AirTagへの対応
  • Apple Podcastアプリのデザイン変更
  • AirPlay 2を有効にしたデバイスにFitness+をストリーミングできるようになった
  • リマインダーに日付、優先度、タイトルを指定できる
  • 音声コントロールのアクセシビリティに関するアップデート
  • 「この先で事故が起きています」「道路に何かがあります」などのSiriコマンドを使って、ユーザーは交通事故をマップに直接報告できる。また、スピードチェックも搭載された
  • News+ タブが再編成され、関連する記事や出版物を見つけやすくなった

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleiOSiOS 14アップデートAirTagポッドキャストFitness+絵文字Apple Watch

画像クレジット:Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

【レビュー】アップルの最新位置情報デバイスAirTagの第一印象

Apple(アップル)の新しい位置情報デバイスAirTag(エアタグ)を、手に入れてから数時間使っているが、ほぼ宣伝文句通りに動作しているようだ。セットアップの流れは、AppleがAirPods(エアポッズ)用に開発したものから明らかな影響を受けたシンプルでクリーンなものになっている。U1チップで実現されている精密検索機能は、実用性指向の拡張現実(AR)の実用的な例として機能していて、画面上に仮想矢印やその他の視覚的な識別情報を表示することで、AirTagをすばやく見つけさせる。

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あまりお馴染みではない方のために説明すると、AirTagの基本的な仕組みは、Bluetooth(ブルートゥース)のビーコン技術を利用して、iOS 13以上を搭載した近くのデバイスに自分の存在を知らせるというものだ。これらの静かな「発信」は暗号化されていて、通りすがりの人には(通常は)検知されない(特にオーナーと「一緒にいる」場合には)。つまり、どのデバイスが実際にAirTagを「見つけた」のかは、Appleも含めて誰にもわからないのだ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

ちなみに「一緒にいる」とは、AirTagが登録されているものと、同じiCloud(アイクラウド)アカウントにサインインしているデバイスが、近くにあることを意味している。Bluetoothの通信範囲は、その場の状況や信号反射にもよるが、一般的には40フィート(約12.2メートル)程度だ。

個人で非常に限られたテストしかしていないが、AirTagの位置特定範囲は、Bluetoothの基本的な期待値に沿っている。つまり、たくさんの障害物や壁、信号反射の阻害などによって、阻まれる可能性がある。例えば別の部屋にあるAirTagからの最初の位置情報を取得するのに30秒以上かかることもあった。とはいえ、位置情報を受け取った後は、デバイスの位置を特定するための指示がすぐに更新されて、数インチ(数センチ)単位で極めて正確に表示されるようになった。

近くのAirTagを探すのはこんな感じ

AirTagは、ユーザーが交換可能な標準的なCR2032ボタン電池で1年間動作する。ある程度の時間、水に浸かっても大丈夫な程度の防水性も備えている。バッグ用のレザーストラップや、ラゲージタグ、キーリングなど、デザイン性の高いアクセサリーがたくさん用意されている。また、たくさん寄せられた質問にお答えしておくなら、この機能はなぜか新しいApple TVのリモコンには搭載されていない。

分解されたAirTagの写真からは、Appleのハードウェアへの強いこだわりを見ることができる。ケースの中の電池接点は、小型機器にありがちな単純な折り曲げ式の突起ではなく、ケース内部の留め金と3つの圧力接点を介している。これによって、バッテリー交換時のねじれや曲がり、経年劣化による接触不良などが起こりにくくなり、デバイスの長寿命化が期待できる。

画像クレジット:Matthew Panzarino

ここまではいい感じだ。さらにテストを重ねていく予定だ。

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保護機能

位置情報に関連する製品なら何でもそうだが、AirTagsにとってもセキュリティとプライバシーは最重要課題であり、Appleはいくつかの保護措置を講じている。

AirTagを共有することはできない。AirTagは特定の1人が所有することを想定している。自分のiCloudファミリー共有グループに入っている他のメンバーができることは「近くに未知のAirTagがある」という警告を自分のデバイスに出ないようにすることだけだ。そのため、AirTagは共有鍵や、家のペットなどに使う際にも便利だ。他のiOSデバイスのように、家族の「探す」アプリにAirTagが表示されることはない。「Find My(探す)」アプリ内にはすでに「アイテム」専用のセクション「持ち物を探す」が設けられていて「探す」機能が組み込まれたアイテムもそこに入る。

画像クレジット:Matthew Panzarino

持ち主としばらく離れていたAirTagは、動かされる度に音を鳴らすようになる。この「しばらく」というのは現在は3日間に設定されているが、変えることが可能だ。またAirTagの使われ方を観察して、将来的にはAppleがデフォルトを調整するかもしれない。この機能によって、近くにいる人にその存在を知らせることができる。

画像クレジット:Matthew Panzarino

その他のプライバシー機能としては、AirTagが持ち主の近くではなく、他者である誰かの近くに置かれた場合、しばらくしてからその他者に「警告」する機能がある(例えば、バッグやクルマの中に入れて一緒に移動した場合など)。そのときその他者は、AirTagの位置を特定するために音を鳴らしたり、シリアル番号などの情報を調べたり、電池を外して動作を止めたりすることができる。

もちろん、AirTagを紛失モードにして、警告音を鳴らしたときにAirTagを見つけた人と個人情報を共有することもできる。またAndroid(アンドロイド)を含むNFC搭載のスマートデバイスを持っている人なら、誰でもデバイスにタッチすることで、そのAirTagのオーナーが選択した情報が掲載されたウェブページを見ることができる。もしそうしたくなければ、単にシリアルナンバーだけでも良い。

このシナリオは、自分の前に他人のAirTagがあることを知らせてくれるiOSデバイスを持っていない場合を想定している。もし紛失モードになっていなくても最終的にはAirTagは音を鳴らすことになり、AirTagオーナーはそれをコントロールすることができない。

画像クレジット:Matthew Panzarino

Appleが多くのエッジケース(極端な場合)を考慮していることは明らかだが、出荷が進むにつれて、何らかのケースが出てくる可能性があるので、それを見守る必要がある。

アップルには、市場における明確な優位性がある。

  • AirTagの位置を確認できる機器が、世界に10億台近くあること
  • U1ワイドバンドチップを内蔵し、iPhoneに搭載されている同様のU1チップと通信することで、超高精度(インチ単位)の測位を可能にしていること
  • 競合他社のタグにはない、プライバシーに配慮した機能が満載なこと

なお、Appleは、ウルトラワイドバンド(UWB)無線を搭載したサードパーティー製デバイスが、iPhoneに搭載されているU1チップにアクセスできるように、チップセットメーカー向けの仕様の策定を「2021年春以降」に行うと発表している。これにより、AirTagのようなU1を内蔵していないアクセサリーでも検索機能に対する精度が上昇することが期待される。もちろん、AppleはAirTagと同様の基本的な検索機能を提供したいと考えているBelkin(ベルキン)、Chipolo(チポロ)、VanMoof(バンムーフ)などのサードパーティー製デバイス向けに、「Find My(探す)」メッシュネットワーク全体を開放している。Tile(タイル)は、Apple社の優位性がこの市場への参入を不公平なものにしていると先の議会で証言したものの、UWBバージョンのトラッカーも提供する計画を発表した。

もしAirTagsが屋外で紛失してしまったらどうなるかを見るのが楽しみだ。手に入れてからまだ12時間も経っていないので、エッジケースや公共スペースでの一般的な実用性などをテストすることがまだできていない。

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デバイスは日本時間4月23日午後21時から発売の予定だ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleトラッカーAirTagレビュー

画像クレジット:Matthew Panzarino

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:sako)

アップル幹部が「AirTagはiPhoneから3日間離れると音が鳴る」と明かす

アップル幹部が「AirTagはiPhoneから3日間離れると音が鳴る」と明かす

アップルが21日(日本時間)のイベントにて発表した忘れ物トラッカーAirTagにつき、アップル幹部らが「プライバシー優先」と「ストーカー防止」の機能と配慮につき掘り下げて語っています。

FascCompanyの取材を受けているのは、アップルのiPhone製品ワールドワイドiPhoneプロダクトマーケティング担当副社長カイアン・ドランス氏とセンシング&コネクティビティ担当シニアディレクターであるロン・ファン氏です。

まずドランス氏は「AirTagの所有者と非所有者のプライバシーに配慮するとともに、これらのメリットをサードパーティ製品にも開放していることがお分かりいただけると思います」と述べ、AirTagユーザーやそれ以外の人々が追跡されないことを重視しており、そのメリットを自社製品が独占していないことを確認しています。

持ち主の手から離れたAirTagにつき心配されるのが、盗まれるということ。しかしファン氏いわく「AirTagを紛失して、誰かがAirTagを拾っても、自分のiPhoneと再ペアリングして使い続けることはできない」とのこと。これをアップルは「ペアリングロック」と呼んでおり、iPhoneのアクティベーションロック(紛失した場合に「探す」アプリからロックをかけられる)に例えています。

ストーカー対策については、誰かがその人を追跡するためにAirTagを付けた場合は、iPhoneに「AirTagがあなたと一緒に移動している」という通知が届くとのこと。こちらは公式サポート文書にも説明があり、検知した場合はサウンドを鳴らしてどこにあるか見つけたり、ないし借りものにAirTagが付いていた場合はアラートを1日オフにできると述べられています。ただし「iOS 14.5以降をインストールしている」場合のみであり、それ以前のiPhoneでは感知できない模様です。

さらに本通知は、自分のApple IDや近くにある他のiPhoneと紐付けされていないAirTagが近くにある場合だけ表示されるとのことです。つまり満員電車の中で数十ものAirTagに囲まれていたとしても、持ち主がiPhoneと一緒に持ち歩いていれば「あなたと一緒に移動している」通知ラッシュに襲われることもないと思われます。

またAndroidユーザー(やスマートフォンを持っていない人)に対しては、ペアリングされたデバイスから一定時間離れると自動的に音を出して在処を知らせる仕様は石川温氏の記事でも言及がありました。今回の取材ではその補足として、現時点では「一定時間」とは3日間だと明かされています。

つまり当面は、子供が家から離れた瞬間にAirTagが鳴るわけではなく、AirTagを付けた自転車や自動車を駐車してその日のうちに帰ってくれば無音のままのようです。が、将来的にはソフトウェアアップデートにより、この時間を長くしたり短くもできるとのことです。

アップル幹部らは「AirTagはヒトやペットではなく、アイテムを追跡するために設計されている」と強調しています。そして小さなお子さんを安全に追跡したい場合は、Apple Watchのファミリーセットアップをお使いくださいとお勧めしています。

裏返せば、少なくとも現時点ではAirTagをペットにつけて追跡することも……とも憶測できます。ただし1つのApple IDに紐付けられるAirTagは16個に制限されているため、猫を17匹以上飼っている人には不満が残るかもしれません。

(Source:FastCompanyEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:Apple / アップル(企業)APPLE SPRING HARDWARE EVENT 2021ウルトラワイドバンド / UWB(用語)AirTag(製品・サービス)トラッカー / スマートタグ(用語)

Appleの探し物トラッカー「AirTag」は税込3800円で4月30日発売、不要な位置情報追跡も防止

Appleの探し物トラッカー「AirTag」は税込3800円で4月30日発売、位置情報追跡の悪用も防止

Apple(アップル)は米国時間4月20日、iPhone用アクセサリーとして探し物トラッカー「AirTag」を発表した。鍵や財布など持ち物などにAirTagを取り付けておき、紛失などした際にAppleの「探す(Find My)」アプリを使い追跡・発見できる。直販価格は、1個セットが税込3800円、4個セットが税込1万2800円。注文は日本時間4月23日午後9時から受け付け、4月30日に発売する。

Hermèsとコラボレーションによる「AirTag Hermès」も発表された。キーリング、バッグチャーム、ラゲッジタグなどの革製アクセサリーとなっている。直販価格は、キーリングが4万1800円から、バッグチャームが3万5800円から、ラゲッジタグが5万3800円から(すべて税込)。

Appleの探し物トラッカー「AirTag」は税込3800円で4月30日発売、位置情報追跡の悪用も防止

AirTagは、ステンレススチールのボディを採用し、IP67等級の耐水性能と防塵性能をサポート。またユーザーは、AirTagを持ち物に割り当てて、「鍵」や「ジャケット」のような名前を付けたり、自分で選んだ独自の名前を付けたりできる。内蔵バッテリーにより1年以上動作し、交換のタイミングはiPhoneに通知するとしている。

AirTagの設定を終えると、「探す」アプリの新しい「持ち物を探す」タブに表示され、持ち物の現在位置や最後に確認された場所がマップ上で表示されるようになる。もしユーザーが持ち物を置き忘れ、それがBluetooth圏内にある場合は、「探す」アプリを利用して、見つけやすいようにAirTagから音を鳴らすことが可能。また、Siriに頼んで持ち物を見つけてもらったりも行える。

iPhone 11とiPhone 12のユーザーは「正確な場所を見つける」機能を利用可能

またAirTagは、Apple設計の超広帯域無線(UWB)チップ「U1」を内蔵しており、iPhone 11とiPhone 12のユーザーは「正確な場所を見つける」機能を利用可能。この機能により、紛失したAirTagが範囲内にある場合に、距離と方向をより正確に特定できるという。

Appleの探し物トラッカー「AirTag」は税込3800円で4月30日発売、位置情報追跡の悪用も防止

さらに「正確な場所を見つける」機能は、カメラやARKit、加速度センサー、ジャイロスコープからの情報を組み合わせ、ユーザーの移動に合わせて聴覚的・触覚的・視覚的なフィードバックを行い、AirTagを見つけられるようにする。

もしAirTagがBluetooth圏外にある場合には、「探す」ネットワークがAirTagを追跡する。「探す」ネットワークとは、10億台に及ぶApple製デバイスを指しており、紛失したAirTagからのBluetooth信号を検知し、位置情報を持ち主に中継するという。このプロセスはすべてバックグラウンドで匿名で行われ、プライバシーが守られるとしている。

またユーザーは、AirTagを紛失モードにすることで、範囲内にある場合や、広大な「探す」ネットワークによって見つけ出された場合に通知を受け取ることも可能。紛失したAirTagを誰かが見つけたときは、その人のiPhoneやNFC対応デバイスを軽くあてると、もし持ち主が連絡先の電話番号を提供していた場合には、その情報が表示されウェブサイトにアクセスできる。

プライバシー機能とセキュリティ機能

Appleは、位置情報やその履歴がAirTag内部に物理的に保存されることはないとしている。「探す」ネットワークとの通信は、エンドツーエンドで暗号化されるため、デバイスの持ち主だけが位置情報データにアクセスでき、AirTagを探す手伝いをしたデバイスの持ち主や位置情報は、Appleを含めて誰も知ることがないそうだ。

また不要な位置情報の追跡を防ぐため、AirTagが送信するBluetooth信号の識別子は頻繁に変更される。iOSデバイス側も、本来の持ち主の側にないAirTagを検知でき、時間が経過しても未知のAirTagがデバイスのユーザーと一緒に場所を移動している可能性がある場合、ユーザーに通知を行う。

Appleの探し物トラッカー「AirTag」は税込3800円で4月30日発売、位置情報追跡の悪用も防止

ユーザーがiOSデバイスを持っていない場合でも、持ち主から離れて一定の時間が経ったAirTagは、移動した時に音を鳴らして注意をうながすという。ユーザーが未知のAirTagを検出した場合、iPhoneまたはNFC対応デバイスを軽くあてると、指示が表示されて未知のAirTagを無効にする方法を案内する。

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Tileがアップルの新しいAirTagを不正競争だと非難

Apple(アップル)の紛失物発見アプリが公式に発表された現在、それと競合するTileは、Appleの最新製品に対する同社の見解を、米国時間4月21日に行われる議会での証言の前に記録に残そうとしている。同社によると、4月21日には議会でAppleの事業慣習、特に今回の紛失物追跡分野への参入を詳細に検分するよう求めるという。

Tileは、Appleが近くTileがマーケットリーダーである紛失物発見ビーコンの分野に独自のデバイスで挑戦すると知ってから、Appleを厳しく批判してきた。同社はTileに接続している紛失物、財布やバッグ、鍵、自転車、札入れなどを消費者が見つけることのできるBluetoothを利用するキーチェインドングルで、新しい市場を切り開くことに成功した。同社はまた、紛失物が持ち主のBluetoothの圏外にある場合、スマートフォンにTileのアプリをインストールしている者同士が協力してその紛失物を見つける「発見ネットワーク」も導入している。

AppleはAirTagでこれらの能力を再現しているが、もっと精密なウルトラワイドバンドの技術のサポートを加えるとともに、AirTagを同社のファーストパーティーアプリである「Find My」に統合して、紛失物発見にiPhoneの大きなインストールベースを利用しようとしている。こうなると、それはTileにとって強敵となり、Appleの全デバイスに競合するAirTagがあるだけでなく、App Storeのポリシーにより、アプリ内購入によるサブスクの収益の一部もAppleが共有することになる。

AirTagの立ち上げよりも前にAppleは、Find Myアプリへのアクセスをサードパーティーに公開して、反競争的云々の苦情を避けようとした。また同社はTileの競合他社であるChipolo ONE Spotと提携して、AirTagと競合するその他の紛失物発見ツールを不利な扱いにはしない証拠を見せつけようとした。しかしこれまでのTileの主張は、自社独自のiOSアプリで築いてきたユーザーとの直接的な関係を捨ててまで、AppleのFind Myユーザーをサポートしたくはない、というものだ。そして、Appleには最初からファーストパーティーであるという利点と、大きなエコシステムのパワーがあるため、この紛失物発見の市場に参入すると決めただけでも簡単に市場を支配してしまうとTileは主張している。

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Tileは2020年にも、Appleが非難されていた反競争的振る舞いについて議会で証言し、米国時間4月21日にはMatchやSpotifyなどAppleを批判する他社とともにそれを再現するつもりだ。

企業は、Appleが最近、小企業に対しては下げたアプリ内手数料、いわゆる「アップル税」に反対している。大企業の多くは、Appleに一切支払いたくない。売り上げも経費も全部自分で把握し処理したい。また顧客との関係も、間にAppleが入るのではなく、直接的な関係にしたい。そしてTileやSpotifyなどのケースでは、Appleが独自のファーストパーティーアプリで直接競合しているようなビジネスに関して、Appleに金を払わなければならないのはフェアでないと感じている。

またTileは、独自のウルトラワイドバンドデバイスでAirTagと競合する、と2021年初めに発表している。でも、そんなデバイスが動くために必要なAppleのU1チップへのアクセスは、まだもらっていないようだ。Appleはチップセットのメーカーのための仕様書の草案を今春リリースする。

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Appleのイベントの後でリリースした声明で、TileのCEOであるCJ Prober(C・J・プローバー)氏は再び、Tileが作った市場へのAppleの進出を批判している。

弊社のミッションは紛失物や置き忘れた物を見つけるという日常的な悩みの解決であり、世界で最も価値ある企業の1つであるAppleが、Tileが開拓したカテゴリーに参入してその価値を検証していることを誇りにも思っている。

紛失物や置き忘れた物の発見に多くの人びとがTileを選んでいるのは、私たちが顧客に提供している差別化された価値のためだ。iOSとAndroidのデバイスで動く弊社のアプリから業界トップクラスの一連の機能を提供することに加えて、弊社のサービスはAlexaやGoogleなど主要な音声アシスタントのすべてとシームレスの統合されている。またすべてのユースケースと、多様なスタイルに手頃な価格で対応する形状により、万人向けのプロダクトになっている。

Tileはまた、HPやIntel、Skullcandy、fitbitなどのトップクラスのブランドとのパートナーシップを成功させ、弊社の発見技術をノートパソコンやイヤーバッド、ウェアラブルなどの大衆的消費者製品のマスマーケットにも広げている。パートナーは現在30社を超えているが、Tileの利点を数百万の消費者に浸透して、重要な物のすべてを追跡できる体験をさらに広げたい。

競争は、それがフェアな競争であれば歓迎する。残念ながら、自己のプラットフォームのアドバンテージを不正に利用してプロダクトの競争を不公平に制限するAppleの歴史は、多くのドキュメントからも明らかであり、その姿勢は疑わしい。またAppleとのこれまでの歴史から見ても、このカテゴリーへのAppleの進出を議会が詳細に検分することは、完全に適切であると私たちは考える。明日議会の面前でこれらの問題をさらに議論する機会を、私たちは歓迎する。

それに対してAppleは、Find MyのネットワークはTileの創業以前からあると指摘し、Tileも、もし選ぶならばFind Myを利用できると述べている。同社はまた、Tileのマーケットシェアは90%もあり、それに追いつくためには膨大な量のAirTagsを売らなければならないだろう、とも述べている。

Appleの声明は、次のとおりだ。

iPhoneはそもそもの最初からユーザーの位置データのプライバシーを保護し、すべてのアプリによるユーザーの位置へのアクセスと共有に関し、透明性とコントロールをユーザーに提供してきた。AppleがFind Myを作ったのは10年以上前であり、それによりユーザーが紛失したデバイスをプライバシーを確保しながら安全に見つけられるようにしている。その後私たちは、Find Myを拡張して、ユーザーが他の重要な品物も管理できるようにしている。また、位置を友だちや家族と共有して、自転車などのサードパーティー製品も見つけられる。私たちは常に、顧客の体験を向上する最良の方法として競争を歓迎している。そして私たちは、サードパーティーのデベロッパーが栄えるプラットフォームをiOSの中に作るために、懸命の努力をしてきました。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップルが「Spring Loaded」で発表した新製品まとめ、新iMac、iPad Pro、AirTagなど

Apple(アップル)のイベントの日だ。

Apple Cardの改良から新しいiMacやiPadまで、Appleは1時間のイベントでたくさんのニュースを発表した。しかし、すべての発表に目を通している時間がない方のために、それぞれのポイントをまとめてご紹介しよう。

Apple Card

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Appleはまず「Apple Card」の仕組みの変化について、簡単だが重要な説明を行った。「Apple Card Family」では、13歳以上の家族なら誰とでもカードを共有でき、追加ユーザーごとに利用限度額をカスタマイズできる。また、Appleカードを他の大人と「共同所有」することもできるようになり、両方の所有者が等しくクレジットを蓄積できるようになる。

Appleはまず、Apple Cardの仕組みの変更について、簡単に、しかし重要な説明を行った。「Apple Card Family」では、13歳以上の家族であれば誰でもカードを共有することができ、追加ユーザーごとに利用限度額をカスタマイズできる。また、他の大人とApple Cardを「共同所有」することも可能になり、2人の所有者が同じようにクレジットを貯めることができるようになる。

Apple Podcasts

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Appleは、Podcastアプリのデザインを一新し、それぞれのPodcastを有料購読(月額または年額)できるオプションを提供する。

パープルのiPhone

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今回、新しいiPhoneは発表されなかったが(iPhoneは通常、年内に発売される)、既存のiPhone 12とiPhone 12 miniに新色「パープル」が加わった。彼らはWilly Wonka(ウィリー・ウォンカ)の歌が使われたが……、まぁそれはパープルだからだろう。

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AirTag

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Appleはついに、ソファーで紛失したさまざまなAppleデバイスを探すのにときと同じく「Find My」アプリを使って、鍵やお財布、バッグなどを追跡するためのアクセサリーを正式に発表した。

AirTag」(不思議なことに「AirTags」ではない)と名づけられたこのアクセサリーは、1個29ドル(日本では税込3800円)、4個入りで99ドル(日本では税込1万2800円)、4月30日に発売される予定だ。バッテリーはユーザーが自分で交換できるが、奇妙なことにアタッチメントループは付属しない。キーホルダーなどに取り付けたい場合は、ケースを追加する必要がある。もちろん、Appleはそれを作り、販売する。

AirTagにはそれぞれスピーカーが内蔵されており、紛失したアイテムを見つけるのに役立つ。オンラインで購入すると、テキストや選択した絵文字を無料で刻印することができる。

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次世代Apple TV 4 K

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Appleは、2017年に初めて発売した「Apple TV 4K」を大幅に刷新する。その内訳は以下のとおりだ。

  • AppleのA 12 Bionicチップ搭載。
  • iPhoneを使って映像のキャリブレーションが行える。キャリブレーションプロセスを開始し、iPhoneの前面カメラをテレビに近づけると、Apple TV 4Kはそれに応じて自らのカラー / コントラスト出力を自動的に最適化する。
  • リモコンのデザインも一新。これまでのタッチパッド付きのリモコンから、iPodのようなスクロールホイールを備えた5方向のクリックパッド付きのリモコンに変更された。ボタンを押す代わりにテレビに話しかけたくなったときのために、側面にはSiriボタンが付いている。このリモコンは、前世代
  • Siri RemoはApple TV 4KおよびApple TV HD用として59ドル(日本では税込6500円)で別売りされる。
  • 32GBモデルが179ドル(日本では税込2万1800円)、64 GBモデルが199ドル(日本では税込2万3800円)。

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新しいiMac

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iMacがM1にシフトするときが来た!Appleは、iMacの新ラインナップを発表した。往年のiMacを彷彿とさせる、ファンシーなカラーバリエーションが特徴だ。その概要は以下のとおりだ。

  • Appleが2020年にノートPCに初導入した驚異的に高速な「M1」チップセットを搭載。
    24インチの「4.5K」ディスプレイ。
  • ついに、まともなウェブカメラが登場!新iMacには1080pのFaceTimeカメラが搭載される。
    予約注文は4月20日から始まり、出荷は5月下旬。
  • 1299ドル(日本では税込15万4800円)で8コアCPU / 7コアGPU、1499ドル(日本では税込17万7800円)で8コアCPU / 8コアGPUにアップグレードできる。
  • カラーはグリーン、イエロー、ピンク、オレンジ、ブルー、パープル、シルバーの7色。一部の色は、より高額なモデルでのみ提供される。
  • どちらのモデルも256GBのSSDとThunderboltポートが2つ備えている。1499ドルのモデルでは、USB 3ポートが2つ追加される。
  • Appleは、Touch ID指紋認証センサーを搭載したBluetooth Magic Keyboardの新バージョンも発表。高額なモデルに同梱される。

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新しいiPad Pro

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iPad ProもM1を搭載する!Appleによると、この移行により従来のiPad Proと比べてパフォーマンスが50%向上したという。新機能は以下のとおりだ。

  • 8コアGPU / 8コアCPU。
  • 11インチモデルは799ドル(日本では税込9万4800円)から、12.9インチモデルは1099ドル(日本では税込12万9800円)から。
  • セルラーモデルは5Gをサポート。
  • USB-Cポートを介してThunderboltおよびUSB 4をサポート。
  • 12.9インチモデルは「Liquid Retina XDR」ディスプレイを搭載。Appleによるとフルスクリーン輝度は1000ニト、ピーク輝度は1600ニトとのこと。
  • Appleが「Center Stage」と呼ぶ機能は、FaceTime通話中に、部屋の中を動き回っても自動的に自分の顔をフレームの中央に保つ。
  • 最大2TBの内蔵ストレージと16GBのRAMを搭載。

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Katsuyuki Yasui)

アップルが紛失物トラッカー「AirTag」をついに正式発表

Apple(アップル)は米国4月20日、正式にAirTag発表した。Appleデバイス所有者が同社の「Find My」アプリを通じて紛失したものを見つけられるようにするロケーション追跡ビーコンだ。AirTagそのものは小型の円形デバイスで、財布やバッグ、鍵などのパーソナルアイテムに取り付けられる。プレオーダーは4月23日から受け付けが始まり、4月30日発売だ。価格は29ドルで、4個セットだと99ドルとなる(編集部注:日本での価格は1パック税込3800円、4パック税込1万2800円)。

タグは小さな丸い形状で、磨かれたステンレススティールと白色の外観だ。フロント部分にはAppleのロゴが入っている。AirTagにはさまざまなケースのオプションが用意されていて、キーチェーンドングルも付いているため、AirTagをたとえば鍵やハンドバッグなどに取り付けることができる。絵文字を刻むといったカスタマイズも可能だ。

AirTagはAppleが「Precision Tracking」と呼ぶアイテム追跡に独自の超広帯域無線チップU1を使っている。これはU1チップと超広域無線、ARkit、アクセラレーター、ジャイロスコープを使っているiPhone最新機種(iPhone 11、11 Pro、iPhone 12シリーズ)で機能する。そうしてFind Myアプリは音と振動、ビジュアルフィードバックを使ってユーザーを紛失したAirTagへと誘導できる。

Appleによると、AirTagはまた低消費電力のBluetooth LEを活用しており、バッテリーは1年持つとのこと。バッテリーはユーザーが自分で交換できる。AirTagは防水・防塵規格IP67をクリアしている。つまりトイレに落としたとしてもおそらく大丈夫だ。しかしiPhoneのような奇跡は期待しないほうがいい。

AirTagを取り付けたアイテムが迷子になったときは、その場所を知らせるためにAirTagのビルトインスピーカーから音がで出る。もしAirTagがソファのクッションの下などよりも遠くにある場合、ユーザーはAirTagを「紛失モード」にできる。そうすることでみんなのデバイスを使ったAppleのFind Myネットワークを活用できるようになる。

プライバシーを確保するために、AirTagの位置情報データと位置履歴はAirTag内部に保存され、Find Myネットワーク内のコミュニケーションはエンド・ツー・エンドで暗号化される。

そしてもしあなたが誰かの紛失したAirTagに行き当たったら、iPhoneあるいはNFCデバイスを使ってその情報が所有者にコンタクトできるウェブサイトにいくようにできる。

発売にあたり、Appleは白、ネイビー、黄色、オレンジのポリウレタンループ(29ドル、日本では税込3800円)や、茶色と赤色のレザーループ(39ドル、日本では税込5500円)、茶色、赤色、青色のレザーキーリング(35ドル、日本では税込4500円)などのアクセサリーも扱う。HermèsとのタイアップでAirTag Hermèsも用意し、これにはカスタム刻印が入ったAirTag、そしてバッグチャーム(日本では税込3万5800円)やキーリング(日本では税込4万1800円)、トラベルタグ、ラッゲージタグ(日本では税込5万3800円)などの皮アクセサリーが含まれる。

「AirTagの導入で、この驚くべき新しい能力をiPhoneユーザーに提供することをうれしく思います。暮らしの大事なアイテムの場所を特定できるようにするのに広大なFind Myネットワークを活用しています」とWorldwide iPhone Product Marketing担当副社長のKaiann Drance(カイアン・ドランス)氏は声明で述べた。「デザイン、比類のない発見エクスペリエンス、そしてビルトインのプライバシーとセキュリティの機能で、AirTagは顧客にAppleのエコシステムの力を活用する新たな方法を提供し、iPhoneの汎用性を高めます」。

Appleのコードリファレンスで見つかったアセットに加え、AirTagは2020年、誤って同社の公式YouTubeビデオに登場した。AirTagはまた米規制当局でのAppleの反競争的行為の例としても取り上げられた。

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画像クレジット:Apple

2020年にTileは下院司法委員会でAirTagについて、紛失物トラッカーの独自バージョンを立ち上げるというAppleの決断は、Appleの新しいプロダクトにファーストパーティとしてのアドバンテージを与えると指摘した。Appleのデバイスは、Tileのアプリのようにユーザーにバックグラウンド追跡への同意を尋ねるポップアップを表示させ続けることなくバックグランドで作動させられるだろう、ともTileは説明した。Appleのデバイスはまた「Find My」に統合されるだろうが、他社のタグはそうはならないだろう。

当局の調査を受け、Appleは2020年6月のWWDCデベロッパー会議で「Find My」をサードパーティ企業にも開放すると明らかにした。しかしながら、その申し出はどうやら考えられていたようなものではなさそうで、企業は秘密保持契約(NDA)にサインしなければならず、Appleの顧客は競合するデバイスを同時に使うことは禁じられるようだとワシントンポストは指摘している。

4月20日のイベントに先立ち、AppleはFind My Network Accessoryプログラムの立ち上げを発表した。これはFind Myアプリにアクセスしたいサードパーティのメーカーに門戸を開くものだ。アーリーアダプターにはVanMoofのS3とX3電動自転車、BelkinのSOUNDFORM Freedom True Wireless Earbuds、そしてAirTagsの競合相手であるChipolo ONE Spotが含まれる。しかしTileは含まれていない。Tileはあきらめたくない自前のiOSアプリを通じて顧客と直接の関係を築いているためにFind Myに参加したくないのだとTechCrunchは理解している。

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Appleの「紛失物ファインダー」分野への参入は、Appleが「Find My」を開放するという譲歩があるにせよ、Tileのような企業はさらに厳しい競争にさらされることを意味する。Tileはこれまでのところ、独自の超広帯域無線で作動するトラッカーを立ち上げる計画(2021年発売される)を前もって発表することでAppleの計画に対抗してきた。Appleは自社のエコシステムをしっかりと握っていて、これはTileにさまざまなフォームファクターやクロスプラットフォームのサポートなどのアドバンテージに注力するよう強制し、AirTagのような新製品の立ち上げに貢献する。

AirTagは4月23日太平洋夏時間午前5時(日本時間4月23日午後9時)からプレオーダーできる。そして4月30日からApple Storeアプリ、Apple Stores店舗、Appleの正規販売代理店、いくつかの通信会社でAirTagとその他のアクセサリーが販売される。関連記事
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(文:Sarah Perez、Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi