アップルがApple MusicやApple Arcadeなど複数サービスのサブスクセット販売を計画中

Bloomberg(ブルームバーグ)によると、アップルはさまざまな定期購読(サブスクリプション)サービスのバンドルプランをリリースする準備を進めているという。「Apple One」 と呼ばれる可能性があるこのバンドルパッケージには、Apple Music、Apple Arcade、Apple TV+、Apple News+、iCloudなど同社のサービスが含まれており、それぞれを個別に購読するよりも安い料金で提供される。

ブルームバーグによると、この新バンドルサービスは新型iPhoneが発売される言われている10月に、早くも登場する可能性があるという。バンドルにはApple MusicとApple TV+を含むエントリーレベルのプランのほか、Apple Arcadeを追加するアップグレードオプション、Apple News+を含むオプションも存在する。記事によると、より高価なオプションとして追加のiCloudストレージもバンドルされるというが、これらの計画はリリース前に変更される可能性がある。

最終的な価格設定は報じられていないが、月額2ドルから5ドルの月額料金が節約できるとされている。またすべてのサブスクリプションは、既存のファミリープランで利用できる。つまり1世帯で最大6人の家族が、アップルのバンドルサービスにアクセスできることになる。

アップルはまた、新しいハードウェアの購入に無料サブスクリプションをバンドルする戦略を継続するといわれている。昨年にはApple TV+が発表され、最近リリースされたハードウェアを購入した顧客に1年間無料で提供された。

サービスサブスクリプションのバンドル化は、アップルがサービスプランへの投資を本格化して以来、アナリストらの多くが予測してきた。この戦略は非常に理にかなっており、特にアップルがほかのサービスほど人気があるとは限らないサービスの採用を促進するのに役立つ。これはまた、同社がより包括的で潜在的に安定した経常収益ビジネスを構築するための方法を提供するという意味で、Amazon Primeのようなものに似ている。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

Apple Newsが月間1億2500万人のアクティブユーザーを獲得

新型コロナ危機の中、Apple(アップル)のニュースプラットフォームのアクティブユーザーは、これまでの最高を記録した。

画像クレジット:TechCrunch

アップルのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏は、収益報告の中で、Apple Newsのアクティブユーザーが、月間1億2500万人に達したと述べた。クック氏は同社の第2四半期の業績を明らかにした後、その数字を発表した。その報告によると、前年比で製品からの収益は減少している一方、サービスからの収益は急増している。

同社は、第2四半期にサービスから133億5000万ドル(約1兆4300億円)の収益を上げている。この分野の前年からの伸び分は約19億ドル(約2036億円)となっている。

アップルは昨年、Apple News+と呼ばれる有料バージョンのApple Newsサービスを開始した。これにより、ユーザーは月額9.99ドル(約1060円)で有料のニュースサイトや雑誌にアクセスできるようになった。アップルは、このプラットフォームの収益の内訳を示すユーザー数など、詳細は明らかにしていない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

長文記事を音声変換するアプリAudmをNYタイムズが買収

長文記事を音声コンテンツに変えるスタートアップのAudm(オードゥム)は3月22日、The New York Times Company(ザ・ニューヨーク・タイムズ・カンパニー)に買収されたと発表した。InstapaperやPocketなどの最新のアプリを含め、ニュース記事を音声に変換するサービスは他にもあるが、Audmは自動音声技術を使わず、コンテンツをプロの声優が読み上げることで差別化している。これによりコンテンツはより楽しく聴けるものになり、例えばポッドキャストを聴くような感じになる。

同社は2007年、コロンビア大卒業生のRyan Wegner(ライアン・ウェグナー)氏とChristian Brink(クリスチャン・ブリンク)氏が設立した。2人はそれぞれ心理学とソフトウェア開発のバックグラウンドを持つ。大学時代は互いを知らなかったが、2014年に出会い、音声ニュースアプリのアイデアを持ち寄ることになった。彼らは当初、クラウドソーシングによるナレーションで試行していたが、後にプロの声優を使い頭角を現した。

同社は2017年にY Combinatorのスタートアップアクセラレータに参加し、ビジネスをさらに発展させた。Audmは当時Wired、The Atlantic、Esquire、Harper’s Bazaar、The New York Review of Books、ProPublica、London Review of Booksなど、さまざまな出版業界のパートナーと協力していた。 同社のウェブサイトによるとThe Atlantic、Outside、BuzzFeed News、Vanity Fair、The New Yorker、New York、Rolling Stone、Texas Monthlyとも協業している。

もちろんThe New York Times(NYT)もAudmと協業していたが、限定的なものだった。現在、Audmには利用可能なNYTストーリーが2つしかなく、両方とも2019年のものだ。今回の買収に伴いそれは変わると思われる。

同社は、新型コロナウイルスのパンデミックからの逃避と救済のために、毎週日曜日に「The Daily」でNYTの記事の朗読を提供する計画をすでに検討し始めたという。これは、Taffy Akner(タフィー・アンカー)氏によるTom Hanksのプロフィール記事Sue Dominus(スー・ドミナス)氏によるコロンビアの双子の兄弟の話から始まった。

The New York Times Magazineのオーディオストーリーも制作されている。AudmアプリでThe Wingblack theaterBernie Sandersその他の特集が聴ける。NYTによると、モバイルページなど他の形式での配信も試行中であり、Magazineから他の媒体への拡大も予定している。

現在、ユーザーはAudmアプリを3日間無料で試用した後、月額8.99ドル(約1000円)または年額59.99ドル(約6700円)でサービスを利用できる。The Times Companyは、ビジネスモデルが今後どう進化するのか、そもそも進化するのか、Audmのサービスが独自のNYTアプリと統合されるのか、詳細を明らかにしていない。

App Storeのプロファイルによると、AudmはMagazines&Newspapersカテゴリーで20位にランクされた。このアプリはAndroidでも利用できるが、ランキングは高くない。

NYTの発表によると、Audmは他の出版社を含め、毎週何時間分もの新しいストーリーを導入し続ける予定だ。

話し言葉の音声制作担当ディレクターであるウェグナー氏と、Audmの製品担当ディレクターであるブリンク氏、チームの他のメンバーは、買収された後Times Companyに参画した。

Pitchbookのデータによると、AudmはY CombinatorHack VCPrecursor VenturesSwitch Venturesからアーリーステージの資金を調達している。

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(翻訳:Mizoguchi

アップルが米ABCと提携、「News」アプリ内で米大統領選挙ニュースを提供

Apple(アップル)は12月16日、2020年米大統領選挙のニュースをApple Newsアプリ内で提供することについて米ABCと提携すると発表した。このコラボは2020年2月7日にニューハンプシャーで開催される民主党の候補者討論会を皮切りに始まる。そして2020年米大統領選挙期間中、Newsアプリ内でABC Newsのビデオ、ライブストリーミング、FiveThirtyEight投票データ、インフォグラフィック、分析などを展開する。

「スーパー・チューズデー、共和党と民主党の全国大会、選挙討論会、投票日、そして2021年大統領就任式もカバーする」とアップルは表明している。ABC News、Apple News、そしてWMUR-TVはまた予備選挙開始後に最初に開催される2月の討論会でも提携する。

アップルがNewsアプリの中で米国の選挙に関する特集を組むのはこれが初めてではない。同社は2016年の物議を醸した選挙の後に選挙ニュースの提供を始めた。その選挙では、GoogleTwitter、そしてFacebookなどを含むテック大企業が自社のネットワーク上で展開されたロシアによる選挙介入で議会での尋問や調査に直面した。

ほどなくしてApple Newsは米中間選挙のセクションの展開を開始し、その後、2018年11月6日にリアルタイムでの選挙結果ハブを展開した。直近では、2020年民主党候補と討論のガイドを加えた。

信頼できるニュースプラットフォームに対する需要は、Newsアプリにおけるアップルの最優先事項だ。そしてアップルはABCが今年4つのエドワード・R・マロー賞を受賞したことにも言及している。ABCはまた、2020年大統領選に関するものとしてはこれまでで最も視聴された討論会を主催した。この討論会は今年9月に開かれ、ABCとUnivisionで1400万ビュー、オンラインビデオで1100万ビューがあった。

一方、FiveThirtyEightは統計分析、データ可視化、それから最新の投票追跡や候補の推薦、資金調達といった政治と選挙に関するレポートで知られている。「質の高いニュースや信頼できる情報へのアクセスはいつのときでも重要だが、特に選挙の年はそうだ」とApple Newsの編集長であるLauren Kern(ローレン・カーン)氏はコラボレーションに関する声明文で述べた。「毎日Apple Newsを利用している数百万のユーザーに、2020年の選挙という大きなニュースについての幅広い報道、そして信頼できる分析を提供するためにABC Newsと提携できることを誇りに思う」。

「今度の選挙は近代史の中で最も重大なものの1つだ。Apple Newsとの新たな提携では、我々のワールドクラスの政治ジャーナリズムをこれまでよりもさらに多くの人に届けることになる」とABC News会長のJames Goldston(ジェームズ・ゴールドストン)氏は話す。「2020年を通して率直な情報や知見、コンテクストを提供することで、より多くの人に主要な問題や候補者、イベントをより深く理解してもらうことができるはずだ」。

選挙ニュースでの提携に先立ち、Apple NewsはAxios、Politico、The Washington Post、Fox News、CNN、The New York Times、CBSなどさまざまなメディアと手を組んでいる。

今回アップルが報道パートナーとしてABCを選んだのは注目に値する。アップルはこれまで、ABCを所有するDisney(ディズニー)と近しい関係にあった。これはひとえにDisneyのCEO、Bob Iger(ボブ・アイガー)氏がアップルの共同創業者Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏と親しく、ディズニーがジョブズ氏の会社Pixarを2006年に買収したことによるところが大きい。しかしDisney+のライバルであるApple TV+をアップルが立ち上げたことで、2社が競合関係にあるとしてアイガー氏はアップルの役員を辞任した。ただ、2020年の選挙報道での提携が示すように、2社は今後もときどきは協業できる。

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(翻訳:Mizoguchi)

サブスク疲弊はまだ大丈夫

米国の消費者は、まだサブスクリプションを普通に利用している。米国人の3分の1以上(34%)が、今後2年間で自分が利用する購読サービスの数が増えだろうと考えている。これは、eMarketerが発表した最新のレポートのデータだ。5年前の調査では、平均2.4個の購読サービスが利用されていたが、それが今回3個に増えている。

このレポートでは、サブスクリプションプラットフォームのZuoraと、調査分析会社The Harris Pollのデータを引用しながら、このような判断を導き出している。

またこの調査結果は、我々がすでにサブスクリプション疲弊の状態に達したのではないかという説を一蹴するものとなっている。

サブスクリプションの数を増やすことにしている人は、全体の3分の1だけだが、これは世界的な平均とだいたい一致している。米国のインターネットユーザーの大多数は、今後2年間、現在と同じ数のサブスクリプションサービスを利用するだろうと言っているわけだ。

言い換えれば、多くのユーザーは、サブスクリプションの数を減らそうとは考えていない。実際、今後2年でサブスクリプションの数を減らすことにしている、と答えたのは、わずか7%だけだった。

しかし、これはサブスクリプション業界全体にとって、良いニュースでもあり、悪いニュースでもある。ある意味、これは新しいサービスに対する潜在的な加入者の健全な基盤があることを示している。しかしそれは同時に、多くの人は、新しいサブスクリプションを利用する際に、それまで利用していたものを止める可能性が高いことを示しているからだ。おそらく支出を増やさないようにするためだろう。

結局のところ、サブスクリプションは、まだ一種の贅沢のように感じられているのかもしれない。たとえば、Netflix、Spotify、自宅に配達される食料品、郵送される厳選された衣料品など、必要不可欠なものとは言えない。もっと手頃な価格で、サブスクリプション以外の選択肢があるからだ。問題は、毎月送られてくる請求書に対して、どの贅沢なら払っても良いと感じられるか、ということだろう。

実はこの調査は、サブスクリプションの中身については規定していない。つまり、ニュースや雑誌の購読、デジタルストリーミングサービス、サブスクリプションボックス、といったものをすべてひっくるめた数字なのだ。ただし、消費者がさまざまなカテゴリーに抱いている関心については質問している。

米国の消費者の半数以上(57%)は、テレビやビデオのオンデマンドサービス(Netflixなど)に興味を持っていて、38%が音楽配信サービスに興味を持っていると答えている。

これに関連してeMarketerは、米国のネット配信動画の視聴者は、2021年までに1億9300万人に達すると予想している。それは、米全人口の57.3%に相当する数だ。また、デジタルオーディオの聴取者は、2億1100万人を上回り、こちらも人口の63.1%を占めることになるという。

今回の調査で、次に人気があったのは、Amazon Freshのような食料品配達(32%)と、Blue Apronのような食材配達(21%)だった。iCloudのようなソフトウェアとストレージサービス、そしてIpsyのようなサブスクリプション美容サービスは、それぞれ17%で、それに続いている。

消費者はニュースや情報の購読や、サブスクリプションボックスといったものには、あまり興味を持っていない。実際、後者に興味を示しているのは10%に過ぎない。

もちろん、こうした数字は、かなり割り引いて受け取る必要がある。食材キットの市場は、実際にはだいぶ苦労している。コンサルティング会社NPD Groupは、食材キットを利用したことがあるのは、米国の消費者のわずか4%に過ぎないと推定している。つまり、消費者が興味を持っていると自ら言うことと、彼らが実際にすることとの間には、大きなギャップがあるというわけだ。

その証拠に、あまり人気がないと思われていたニュースや情報サービス市場だが、いくつかのケースでは活況を呈している。たとえばニューヨークタイムズは、今月になって利益の上昇と、223000人のデジタル版の購読者の増加を報告した。その結果、有料購読者数は450万に達したという。そして今Appleでは、「何百人もの従業員」がApple News+に取り組んでいると、最近明らかにした

もちろん、いつかは消費者も、支払い続けても良いと感じられるサービス数の限界に達するはずだ。しかし、ここ当分の間は、サブスクリプション経済も堅調なもののように見える。

画像クレジット:Mongkol Chuewong/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルがアメリカ・ファースト戦略に回帰する狙い

最重要市場の中国ではなく膝元を足固め

米国時間の3月25日に開催されたアップルのスペシャルイベントでは、世界展開を続けてきた同社が久しぶりに、北米や英語圏のユーザーに向けたサービスを中心に発表した。iPhoneの売り上げを語るうえでは最重要市場であるはずの中国、iPhoneユーザーの比率が他国に比べて突出して高い日本は、少し蚊帳の外といえる内容だった。

既報のとおり、Apple News+、Apple Arcade、Apple Card、Apple TV+の4つのサービスが発表された。一部には類似サービスが存在するため既視感はあったものの、どのサービスもアップルらしいUI/UXを備えており期待大だ。サービス開始時期は、Apple News+が米国とカナダのみで提供中、Apple Arcadeが150か国以上で今秋、Apple Cardが米国のみで5月、Apple TV+(新Apple TVアプリ)が5月となっている。

この発表を受けて日本法人であるアップルジャパンは、Apple ArcadeApple TV+のニュースリリースを配信した。これは、残りのApple News+とApple Cardについては近い将来のサービスの開始が国内では決まっていないということを示している。

ちなみに今回のスペシャルイベントは、翌日3月26日にファーウェイがHUAWEI P30シリーズをパリで発表する予定だったので、日本国内のジャーナリストを二分した。正確には、アドビ システムズが3月24日から米国ラスベガスで開催した「Adobe Summit 2019」に一部のメディアやジャーナリストを招待していたので、三分したかもしれない。

スマホ系を中心に国内外で精力的に取材活動を続ける報道関係者にとって、アドビの招待取材は優先順位が低かったかもしれないが、アップルとファーウェイのどちらの招待取材を受けるかは苦渋の決断だっただろう。

フタを開けてみると、日本に関連する発表が少なかったうえ当日から利用できたのはApple News+だけだったので、現地で時間をかけて取材することは難しかったのではないか。むしろその前に、新iPadシリーズや新AirPodsの招待制ブリーフィングを受けて実機を借り受け、いち早く先行レビューを出せた、ひと握りのメディアのほうがメリットは大きかった。

イベント終了後に各メディアがさまざまな切り口でアップルの発表内容を報じたが、日本ではサービスの提供予定が見えないApple Cardへの注目度がひときわ高かったように感じた。TechCrunchのアクセスを見てもApple Cardの記事はダントツの人気だった。イベントに招待を受けた報道関係者も絶賛していただけに、諸事情があるものの日本では当面ローンチされないことは、つくづく残念でならない。

今回、ハードウェアのApple TVがすでに販売されており、ある程度素地が整っていた中で投入されるソフトウェアのApple TV+や、すでに世界展開しているゲームメーカーと組むことで実現したApple Arcadeについては、早い段階で世界各国でサービスを利用できる。

一方Apple New+やApple Cardは、各国の権利関係や法律の問題もあり、全世界で同時、いや主要国で同時スタートさせるのも至難の業だったことは容易に想像できる。世界同時を実現しようとすればスピード感が失われ、コストも時間もかかる。特に重要市場である中国でのサービス展開は、国の仕組みが異なるうえ米中貿易摩擦もあり、困難を極めるだろう。

今回発表された4サービスに共通するのは、利用者にApple IDを使わせれば、あとはハードウェアがなんだろうと構わなくなる点。ハード面、ソフト面で競合他社と消耗戦を繰り広げる必要はなく、アップルお得意の優れたUI/UXと画期的なサービスで勝負したほうが、5年先、10年先の勝ち筋は見えやすい。

iPhoneの高機能化して売上台数を前年以上に積み上げて市場を拡大する戦略から少し方針転換し、まずは膝元の米国と英語圏のユーザーを狙って継続的に収入が見込めるサブスクリプションサービスを導入し、iPhoneに依存しない収益源として事業を確立させる足固めに入ったのではないか。

アップルが唯一の弱点を克服する第一歩に

少し話を戻すと、スペシャルイベントで印象に残ったのは、利用者のプライバシーを徹底的に守る、サブスクリプションサービスを提供する、まずは北米や英語圏でローンチという内容。

アップルは最近、ネット時代の巨大企業としてGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)の4社でまとめられることが多いが、ほかの3社と大きく違う点が2つある。1つは、利用者のプライバシー情報を厳格なルールで守っている点。もう1つは売上の大半をハードウェアに依存している点だ。アップルは基幹ソフトウェアとハードウェアの両方を開発している現在では稀有な企業だが、これまでソフトウェアはアップルのエコシステムの中で循環するのみで、外部への波及はApple MusicのAndroid版やiTunesのWindows版など限定的だった。

アップルが公開している四半期の決算データを見ると、Apple MusicやApp Storeを含めたサービス系の売上は上がっているものの、いまのところiPhoneありきの売上であることに変わりはない。

iPhoneの登場ですべてが変わったケータイ業界だが、現在ではハードウェア面のiPhoneの優位性は失われている。ここ数年は新型iPhoneが登場しても、技術的には他社の後追い感は否めない。カメラの数ではファーウェイに敵わないし、被写界深度を測るTureDepthカメラもすぐに真似されてしまった。

ソフトウェア面は、iPhoneやiPadなどの特定デバイス向けに開発しているので互換性の問題は少ないうえ、速度もチューニングしやすい。パフォーマンスの低い旧モデルでは一部の機能をあえて使えなくして快適性を保つというカスタマイズもアップルの自由だ。しかし機能面を見ると、Androidに比べてこちらも優位性は保てなくなっている。革新的だったアニ文字やミー文字にしても、あっという間に他社から同様のサービスが出てきてしまった。

今回、サブスクリプションを前面に押し出したアップルの発表は、こういった状況を踏まえたうえだったと思われる。iPhoneやiPadはこれからも売れ続けるが、いつかそれほど売れなくなる日がくる。アップルはそのXデーを見据えて、3つのサブスクリプションサービスをローンチしたのだろう。

少々強引だが、唯一のハードウェアの発表と言われたApple Cardも定期的に金銭の移動があるという意味ではサブスクリプションサービスに近い。しかも、こちらはアップル(もしくはゴールドマンサックス)の与信チェックをクリアすれば、iPhoneユーザーなら誰もが年会費無料のタダで所持できる点で、ほかのサブスクリプションサービスに比べて間口が広い。

ポイント還元率は、物理(チタン)カードで1%、バーチャルカードを使ったオンライン決済で2%、アップル製品のオンライン決済では3%と既存のクレジットカードの中では高い部類に入る還元率だし、即時キャッシュバックが受けられる点もメリットだ。

しかもアップルは、Apple Cardの使用履歴を含めた個人情報などをサードパーティーには一切提供しないことを明言している。プライバシーの漏洩がとても気になるユーザーにとっては最高の環境を提供しようとしている。

アップルのサブスクビジネスは成功するか

Apple TV+は間違いなくNetflixとの勝負になるが、テレビを含むどれだけ多くのスクリーンにインストールさせられるかがキモになる。となると、早々にAndroid対応も視野に入れるべきだろう。低価格のハードウェアのApple TVも欲しいところだが、Fire TVが担ってくれるのでとりあえず問題はない。というより、Fire TVのApple TV+対応により、ハードウェアのApple TVは役目を終えるかもしれない。

潤沢なキャッシュを社内留保するアップルにとってはたいした額ではないかもしれないが、スピルバーグやJ・J・エイブラムスが監督を務め、有名俳優や女優が出演する映像コンテンツの配信を継続していくには、莫大なコストがかかるので得策ではないだろう。

Apple Arcadeは、携帯ゲーム機としてiPhoneが圧倒的なシェアを保持しているので、成功する道筋は見えている。初期参加のゲームメーカーがキラーコンテンツを投入できれば、大きく盛り上がるだろう。この施策が成功すれば、ゲーム専用機としてiPod touchの復活もあるかもしれない。そして、こちらも市場の拡大にはAndroid展開が欠かせない。

Apple News+日本展開の課題

日本ではサービスインが未定のApple News+の今後の展開はどうだろうか。これまで提供されてきたニュース記事のキュレーションアプリだったApple Newsの対象国は、米国、英国、カナダ、オーストラリアの英語圏4カ国しかなかった。このアプリの世界展開を待たずに、アップルは300種類以上の雑誌が9.99ドルの定額読み放題となるApple News+サービスを、米国とカナダのみでスタートさせることに踏み切った。

今後は他国で、特に英語圏以外の国や地域でサービスを実現するには、ニュース記事のキュレーションにその国や地域の文化、言語に精通したスタッフが必要になる。日本に限って言えば、コンテンツの部分ではYahoo! JAPANなど記事を提供している新聞社やウェブメディアは有料記事を含めて条件次第では乗ってくるはず。気になるのは日経電子版として単独でのサービスを提供している日本経済新聞社が、コンテンツを提供するかどうか。

一方、Apple News+の雑誌読み放題部分については導入のハードルは少し低いだろう。日本では、NTTドコモが「dマガジン」として税別400円で200誌以上、楽天ブックスが「楽天マガジン」として税別380円で250誌以上の国内雑誌読み放題サービスを提供している。この中で、dマガジンの後ろで各出版社から雑誌データを集めて納品しているのは、大手出版社のKADOKAWA/ブックウォーカーなので、KADOKAWAを足がかりとして国内出版社と交渉できるだろう。すでに類似サービスにコンテンツを提供している各社が拒否する理由はない。もしくは、米国でApple News+の雑誌読み放題部分のベースになったデジタル雑誌サービスのTextureのように、dマガジンや楽天マガジンの事業そのものを買収するという手も考えられる。

とはいえdマガジンなどは、スマホ契約時の割引のバーターとして加入させる営業手法が封じられたため、最近は加入者がそれほど増えていない。Apple News+の日本ローンチ時は、そのアプリがiPhoneやiPadにプリインストールされると思われるので、わざわざインストールさせるという高い壁は乗り越えられるが、ユーザーに認知させて実際に使ってもらうには相当の宣伝コストがかかるだろう。

UI/UXでは圧倒的なアドバンテージがあものの、1000円前後(9.99ドル)の価格設定では、dマガジンや楽天マガジン、そして無料でニュース記事が読めるYahoo! JAPANや各種キュレーションメディアとの勝負は厳しい。日本では識者が気になるニュースを読めるNews Picksなどの新しいキュレーションメディアの存在感が増していることも考えると、アップルの「中の人」が記事をキュレーションするセンスも問われる。

Apple Cardはラグジュアリー路線を希望

Apple Cardはどうだろうか。まずはUS TechCrunchの編集長であるMatthew Panzarinoの記事を参照してほしい。素晴らしいセキュリティ機能を備えているので個人的にはとにかく入手したいクレジットカードだ。アップル製品のオンライン決済なら3%の即時キャッシュバックなので、アップルをこよなく愛する人ならもちろん申し込むだろう。とはいえ、10億人超の人口を抱える中国ならまだしも、現金でのやり取りが盛んで少子高齢化が進む日本で仮に導入しても、一部のユーザー向けの小さなビジネスなりかねない。iPhoneを使っている一般層にもメリットを享受できるサービスが必要になってくるが、これもなかなか難しいのではないか。

還元率最高3%は確かに魅力だ。しかし、コード決済の消耗合戦が繰り広げられてる現在の日本では、還元面でのオトク度で訴求するといまひとつインパクトに欠ける。バーチャルカードは、LINE PayやKyashなどがすでに実現しているので新規性はさほどない。

クレジットカードの利用頻度が高い米国なら、入出金の管理まで「Wallet」アプリに任せられるのは非常に便利だろう。日本に限ると、金融機関の口座や証券口座、ポイントカード残高までを一元管理できる、Money ForwardやMoneytreeのほうが使い勝手はいい。そのため、アドオンとしてこれらのアプリの機能がWallet上で使えるようになればベストだ。

Apple Cardの最大のアピールポイントは、物理カードがチタン製で、カード番号やセキュリティコードが記載されていない(磁気ストライプにはカード番号が記録されている)、バーチャルカードの番号とセキュリティコードが毎回変わるので盗用されにくい、というセキュリティの高さ。iPhoneがないとすべての機能を使えないが、そのぶんセキュリティレベルは非常に高い。

米国でも5月からのサービスインなのでこれ以上の詳細は不明だが、Apple Cardは米国以外では一般的なクレジットカードやデビッドカートと勝負するのではなく、ワンランク上のラグジュアリカードとしてアピールすべきではないだろうか。年会費が無料で遅延賠償金が上乗せされない(分割払い時などで発生する通常金利は発生する)という類を見ないカードなので、与信情報(クレジットスコア)でふるいにかければ優良顧客のみに絞り込める。

まずは、Apple Cardを所持できるというステータスを確立し、その上にゴールドやプラチナなどの上位ランクカードを作って、アップル直営店やオンラインストアでの還元率を高めつつ、空港ラウンジのフリーパスといった付帯サービスを充実させていくのはどうだろうか。個人的にはApple Cardの海外展開は、私のようなアップル信者だけではなく、ほかのサブスクリプションサービスでは取り込みにくい中国の富裕層を狙ったほうがビジネスとしては有望だと感じる。

Apple、ニュース・雑誌購読サービスを2019年初めにスタート(Bloomberg報道)

今日(米国時間12/12)BloombergはAppleのニュースおよび雑誌定期購読サービスの計画に関する以前の報道を続報した。Bloombergは今年、Appleが今年Apple Newsアプリの一環として今春買収したデジタルニューススタンドサービスTextureを再スタートさせると書いた。このたび同誌は、スタート時期を「早ければ来春」と断定した。さらに、業界の反応も紹介しているが、よくても慎重だ。

AppleはThe Wall Street Journal、The New York Timesをはじめとする有料新聞サービスにTextureへの参加を呼びかけているほか、雑誌コンテンツのデザイン変更も進めていると言われている。現在のように紙の雑誌の外観を真似るのではなく、Appleはコンテンツをオンラインニュース記事風に見せようとしている、とBloombergは言った。

記事は出版社らが恐怖を覚えながら検討していることも指摘している。Appleが低価格な条件——月額9.99ドルでニュースと雑誌コンテンツ読み放題のNetflixに似たモデル——を提示しているため、Appleのサービスが自分たちの売上を食うことを心配している。何しろこの10ドルという価格設定は単独の出版物の購読料——たとえばNYTのデジタル購読——より安いケースさえある。

代わりに出版社が望むのは、独自の有料サービスをAppleアプリの中に作れるプラットフォームだ。

しかしAppleの交渉でのポイントは、購読者数が増えれば出版社独自の定期購読収益の減少を補ってあまりあるという可能性だと記事は伝えている。同社はその可能性をApple Musicと対比しており、 Billboardの最新報告によると現在同サービスのユーザーは6000万人近い。

現在Textureは200誌以上の雑誌を提供しており、Vanity Fair、EW、GQ、Vogue、Forbes、Time、People、Rolling Stone、Cosmopolitan、Sports Illustratedのほか、Bloomberg Businessweekなど多数が名を連ねている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple、TV/Music/Newsの定期購読一本化を検討中

The Informationの記事によると、Apple は同社のメディアサービスを1つの購読契約にまとめようとしている。現在Appleの主たるメディア購読製品はApple Musicだが、同社が他の分野にも投資していることは公然の秘密だ。

具体的には、同社はこれまでに数多くテレビ番組配信権利を買ってきた。しかし、Appleがどのように販売するかは誰も知らない。たとえば、iPhoneやiPadをAppleTVでAppleのコンテンツを利用するために、月額料金を払う方法が考えられる。

Appleは去る3月にTextureも買収している。Textureは1つの購読で何十もの雑誌をダウンロードして読めるサービスだ。同社はCondé Nast、Hearst、Meredith、News Corp.、Rogers Communications、およびTime Inc.と提携して各社の雑誌を配布している。

Textureは今も利用できるが、Appleがもっと大きな計画をもっていることは明らかだ。ウェブコンテンツのフォーマットを変更してAppleのNewsアプリで再配布することに加えて、雑誌の有料コンテンツを追加する可能性もある。

購読サービスを別々に3つ作る代わりに、Appleは統一購読サービスを作るとInformationは書いている。Amazon Primeと似ているが、物品の配達はない。

ユーザーは、月間あるいは年間の購読料を1種類払って、Apple MusicとApple TVのプレミアムコンテンツとApple Newsのプレミアムコンテンツを利用できる。

たとえ購読しているサービスを全部使わなくても、ユーザーがその価値を認めれば、解約者を減らす効果が期待できる。

高い定着率と幅広いアピールを維持できれば、今やiPhoneの販売台数が対前年比成長わずか0.5%というAppleの利益改善に貢献できるかもしれない。Appleがいつテレビやニュースのサービスを提供するかはまだ明らかになっていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple、iOSのNewsアプリを全パブリッシャーに公開

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Appleの全iOSデバイス(*)にインストールされているNewsアプリが、全パブリッシャーに開放される。2015年秋の公開時、Newsアプリの配信ツールは、AppleのパートナーであるConde Nast、New York Times、CNN等の主要メディアのみに提供された。これからは誰でも、つつましいブロガーでも、サインアップしてコンテンツを収益化できる。[* 日本語版注:日本では未サポート]

ただし、Newsアプリは完全自由化されるわけではない。コンテンツ制作者が配信ツールを利用するためには、Appleの承認を得る必要がある。

同社はApple News FormatというNewsコンテンツ用文書フォーマットを制定し、パブリッシャーはこれに沿ってコンテンツをカスタマイズしたり、テキスト、フォトギャラリー、ビデオ、アニメーション等をNewアプリ用に追加できる。Apple News Formatに関わりたくない制作者はRSSフィードを、News PublisherというiCloudアプリケーションに送れば、記事をNewsアプリにプッシュ送信してくれる。その後パブリッシャーは、News Publisherの分析ツールでトラフィックを監視したり、Appleの広告プラットフォーム、iAdでコンテンツに広告を差し込んだりできる。

Apple Newsは全iPhoneおよびiPadに塔載されているが、パブリッシャーが実際どれだけ収益を得られるのかは不明だ。例えば、Apple Newsにはライバルが既に山ほどいる。Flipboardが最有力だが、Facebook Instant ArticlesSnapchat Discover等のサービスも読者獲得を争っている。

さらに、Wall Street Journalが2ヵ月前に報じたところによると、Appleはアプリを利用している読者数を過少に評価し、配信パートナーに不正確な情報を提供していた。Appleのインターネットソフトウェア&サービス担当上級副社長、Eddy CueはWall Street Journalに対して、正確な数字をパートナーに渡すべく問題解決に努めていると言ったが、もちろんこれは、優れたコンテンツ制作者を集め、維持していくためには不可欠だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook