オープンソースハードウェアのArduinoが中小企業向けIoT開発モジュール提供

オープンソースのハードウェアプラットホームのArduinoが米国時間1月7日、IoT開発のための新しいローコードプラットホームとモジュール構造のハードウェアシステムを立ち上げた。中小企業が専門の技術者にお金を使わなくてもIoTを開発できるツールを提供することが、その目的だ。

新しいハードウェアはArduino Portenta H7と名付けられ、IoTのハードウェアプラットホームに必要なものがすべて揃っている。それらは暗号認証チップ、通信モジュール(Wi-Fi、Bluetooth Low Energy、LTE)、そしてナローバンドのIoTもサポートしている。CPUは32ビットのARMマイコンCortex-M7またはM4だ。これらの低電力消費のモジュールは、各種産業向けアプリケーションのほかに、エッジプロセッシングやロボティクスも視野に入れている。ARMのMbed OSが動き、Arduinoのコードをサポートするほか、PythonとJavaScriptのアプリケーションも使える。

ARMのIoTサービスグループの戦略担当副社長Charlene Marini(シャーリーン・マリーニ)氏は 「中小企業は安全な開発ツールとソフトウェアおよびハードウェアによる単純な開発を必要としており、IoTのユースケースを経済的に実現したいと願っている。新しいArduino Portenta FamilyにおけるMbed OSとCortex-M IPの組み合わせで、何百万人ものArduinoのデベロッパーが安全かつ容易に、IoTデバイスをプロトタイプからプロダクションへデプロイできる」と述べている。

現在、H7モジュールはベータテスターたちに提供されていて、一般公開は2020年2月の予定だ。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ARMv8-M向けにカスタムインストラクション機能を導入

米国時間10月8日、米国サンノゼで開催された今年のTechConイベントでArmCustom Instructions(カスタムインストラクション、カスタム命令)を発表した。ARMv8-Mアーキテクチャの組み込みCPU用の新機能で、顧客は組み込みシステムやIoTのアプリケーションなどで、特定のユースケースに最適化できる独自のカスタムインストラクションを書けるという機能だ。

The logo of British technology company ‘arm’ is pictured at the Mobile World Congress (MWC) in Barcelona on February 28, 2019. – Phone makers will focus on foldable screens and the introduction of blazing fast 5G wireless networks at the world’s biggest mobile fair as they try to reverse a decline in sales of smartphones. (Photo by Pau Barrena / AFP) (Photo credit should read PAU BARRENA/AFP/Getty Images)

本日の発表に先立ってARMの自動車とIoT事業担当シニアディレクターであるThomas Ensergueix(トーマス・エンセルグエイ)氏は「開発を支援する方法はすでにあるが、それはCPUの心臓にまで達するような深いものではない。今回弊社が顧客に提供しようとしているのは、独自のインストラクションをプログラムでき定義できる自由度であり、そしてそれらをCPU自身が実行できることだ」とコメントした。

彼は、最適化のためのオプションがARMには常にあったことを指摘する。それは専用バスでGPUに直結するためのメモリマッピングのアーキテクチャに始まり、現在のニューラルプロセッサーユニットに連なる。これによりCPUとアクセラレータ(GPU)が並列に動くが、データの通り道となるバスがボトルネックになる。顧客はCPUに直接接続されているコプロセッサー(浮動小数点演算プロセッサ)を使うことができるものの、本日の発表ではARMの顧客は独自のアルゴリズムにより、それらをCPU上で直接動かせる。これによりレイテンシーは下がるが、メモリマップド(GPUなどの外部チップとデータをやり取り)する手法とは異なり並列では動かせない。

arm instructions

ARMの主張では、この機能によって顧客のワークロードを低コスト低リスクで効率化でき、CPUの既存機能に対する妨害が何もない。しかも顧客は、すでに慣れ親しんでいる既存のスタンダードなツールをそのまま使える。

custom assembler当面、カスタムインストラクションを実装できるのはArm Cortex-M33 CPUのみで、2020年の前半から可利用になる。しかし将来は、すべてのCortex-Mプロセッサーがデフォルトで利用できる。顧客に新たな費用やライセンス料は発生しない。

エンセルグエイ氏が指摘するのは、今後インターネットに接続されたデバイスがますます増えるとともに、ARMの顧客は自分が使うプロセッサーを独自のユースケースに合わせて最適化したくなるということだ。そして、そんなときカスタムインストラクションを作れれば、デバイスの電池寿命を延ばすことなどが可能になるだろう。

ARMはすでに、カスタムインストラクションでIAR SystemsやNXP、Silicon Labs、STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)などをパートナーにしている。

NXPのマイクロコントローラー担当上級副社長兼ジェネラルマネージャーであるGeoff Lees(ジェフ・リーズ)氏は「当社のようなシリコンサプライヤーは、ARMのカスタムインストラクションがあれば顧客により高度なアプリケーション固有の命令(インストラクション)の最適化を提供して、これからの時代の組み込みアプリケーションのパフォーマンスや電力消費、コードサイズの安定などの面を改善してもらえる。しかも、これらすべての改善がCortex-Mの幅広いエコシステムの中でできるので、顧客の既存のソフトウェア投資の効果が最大化される」と語る。

なお、組み込み関連のもうひとつのニュースとしてARMは本日、Mbed OSのガバナンスモデルのセットアップを発表した。この組み込みデバイス用のオープンソースのオペレーティングシステムは、ARM Cortex-Mチップで動く。Mbed OSそのものは常にオープンソースだが、Mbed OS Partner GovernanceモデルではARMのMbedシリコンパートナーたちが、毎月のProduct Working Groupのミーティングなどで、OSの開発について注文をつけられる。Analog Devices(アナログ・デバイセズ)やCypress(サイプレス)、Nuvoton(ヌヴォトン)、NXP、Renesas(ルネサス)、Realtek(リアルテック)、Samsung(サムスン)、そしてu-bloxなどがすでにこのグループに参加している。

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Armは進化したモバイルチップのラップトップ適性を確信、向こう二年間が勝負と

世界中のほとんどすべてのスマートフォンやIoTデバイスで使われているチップを設計しているArmが今日(米国時間8/17)、今後二年間のロードマップを発表した。Armがそんなことをするのはこれが初めてだが、その理由はたぶん、同社のチップをラップトップにも持ち込みたいという意欲を、強調するためだろう。

今のところ、Armベースのラップトップといえば、遠く途(みち)半ばだが、でも最近Microsoftは、常時接続のWindowsラップトップという構想でArm方向へ大きく舵を切ろうとしている。それは理論的にはすごいかもしれないが、その一回の充電で一日中動くラップトップは、パフォーマンスでx86チップにかなわないだろう。でもArmは、そのギャップは急速に閉じつつある、パフォーマンスと電池寿命のもっと良いバランスを提供できる、と言っている。

それどころか、ArmのマーケティングプログラムのシニアディレクターIan Smytheは、同社の次世代アーキテクチャをIntelの中級機Core i5と、堂々と比較している(下図)。

Smytheは今日の記者発表の席でこう述べた: “画面の大きなデバイスに映像を満足に表示できるのも、コンピューターの性能アップのおかげだ。そして弊社のビジョンは、これまでのモバイルのイノベーションの力を借りてラップトップのパフォーマンスを上げることだ。そのためにはファウンドリと協力して、今日と明日の最先端のチッププロセスでそのパフォーマンスを実現しなければならない”。

Armが発表したロードマップはそれほど詳細ではないが、でも今年同社はCortex-A76アーキテクチャを製品化するだろうし、そのためにパートナーのファウンドリは10nmと7nmの両方のプロセスを使うだろう。そして来年同社は、Deimos CPUsをローンチするが、こちらはすべて7nmのプロセスだろう。2020年になれば、Herculesプロセッサーを7nmと5nmのプロセスでローンチする(下図)。

それらの裸の計算性能では、A76はIntel i5と競合し、Armは5WのTDPを約束している。単純に物理的な計算性能だけでコンピューターの実用性能が決まるわけではないが、あえてそれを持ち出すのは、Armとそのパートナーたちのラップトップ市場に賭ける意欲を表している。そして同時にまた、スマートフォンもより強力になるのだ。

しかし、Armのプロセッサーが本当にラップトップ市場に食い込むことができるのか? Smytheは、それを確信している: “各回のイノベーションがもたらす破壊的進化により、その都度、新たな機会が作られる。そのときわれわれが有利性を示すことができれば、ラップトップ市場にわれわれの足場が作られて、それが大きくなる。今度のArmデバイス上のWindowsという初の試みも、そんな機会の一つであり、今後のCortex A76ベースのデバイスとその先には、それらがもたらす能力と破壊的進化により、今あるものを超えた機会が開けるだろう”。

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ArmがIoT事業というパズルの最後のピースとしてデータ管理のTreasure Dataを買収

あなたがたぶん今でもARMという名前で覚えておられる思う半導体企業Armが今日(米国時間8/2)、大企業向けのデータ管理プラットホームTreasure Dataを買収したことを発表した。買収価額等は公表されていないが、今朝のBloombergの記事は6億ドルと言っている。

この買収は、Armの新事業であるIoTのサポートが目的だ。Treasure Dataの得意技は、IoTなどのシステムが吐き出す大量のデータストリームの管理である。IoTのほかにも、CRMやeコマースなどのサービスがやはり、Treasure Dataが扱うような大量のデータストリームをコンスタントに作りだす。

これよりも前にArmは、IoTの接続性管理のためにStream Technologiesを買収している。そこで同社は曰く、Treasure Dataの買収は、IoTの実現というパズルの“最後のピースだ”、と。その完成したパズルはArm Pelion IoT Platformと呼ばれ、StreamとTreasure DataとArmの既存のMbed Cloudを一つのソリューションにまとめ、IoTのデバイスとそれらが作りだすデータを接続し管理する。

Treasure Dataは以前と変わらず操業を続け、新しいクライアントと既存のユーザーの両方に奉仕する。そしてArmによると、“IoTの重要な部分として新しい複雑なエッジとデバイスのデータにも対応していく。そして顧客の総合的なプロフィールの中で彼らのプロダクトを個人化し、それらの体験を改良する”、のだそうだ。

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ARMが物のインターネットのSensinodeを買収, そろそろスマホ/タブレット依存から脱却へ

ARMのプロセッサを使ったWindowsマシンやAppleデバイスが、このところマスコミを賑わしている。最近の話題は、Surface 2とNokiaの初のWindowsタブレットと近く出るiPhoneの新機種だ。しかしイギリスのケンブリッジに本社を置く強力な半導体企業ARMは最近ますますその野望…インターネットに接続されるすべてのデバイスを駆動すること…を肥大させているようだ。今日(米国時間8/27)同社は、フィンランドで物のインターネットのためのソフトウェアを作っているSensinode Oyを買収した、と発表した

これは既存のパートナーシップの総仕上げのような買収だ。ARMによると、これで同社は今後も、SensinodeのNanoStackおよびNanoService製品を、ARM Cortex®系列のプロセッサやmbedのコラボレーションプロジェクトと並行して、売っていくことができる。

買収の金額条件等は、公表されていない。

ARMといえばAppleがARMベースのチップを設計していることが示すように、現状は何よりもまずスマートフォンとタブレットを連想するが、しかし同社はかなり前から市場を別世界へ拡大しようと努力している。その意図と姿勢の現れは、今回のIoT企業の買収が初めてではない。

長年CEOを務めたWarren Eastが昨年身を引き、生え抜きの元エンジニアであるSimon Segarsに指揮を譲ったとき、ARMはその長期戦略を明かにした。当時の声明等では漠然と、いわゆる“モバイルデバイス”依存から脱却し、車や家電、FAなど、仕事関連であれレジャー関連であれ、なにしろネットに接続されるものなら何でも動かしていく、と言われていた。上の図はSensinodeのサイトにあるイラストだが、まさにそういう意味での“何でも”を表している。

ARMはIoTの将来性との関連で大量の例を挙げている: “IoT技術の対応市場は、ワイヤレスセンサ、ネット接続型電脳家電、家庭用保健医療アプリケーション、着脱式(ウェアラブル)電子製品などである。この技術はさらに、セルラー接続を使用するM2Mアプリケーションや、デバイス管理のための軽量M2Mの規格であるOMAにも対応する”

退任に際してEastは、次のように言っていた: “弊社の経営については非常に長期的な視野を持っている。そして、今こそがリーダーシップを一新する最良のタイミングであり、成長の次のフェーズに踏み出し、長期計画の視野をさらに遠い未来にまで広げるべき時期だと信ずる”。

というわけで、本日の買収のニュースは、彼が具体的に何を考えていたのかということの、一つの例である。ARMがIMS Researchに委託して行った研究調査では、2020年にはインターネットに接続された「物」の総数が300億個に達する。これに対し、昨年出荷されたARMベースのデバイスは87億台だ。今すでにこれだけ好調かつ好評なのだから、それをベースとして、300億の大きな部分が自分たちのものだ、とARMは考えているのだ。

ARMのシステムデザイン部でEVPとゼネラルマネージャを務めるJohn Cornishは、今日の声明文の中でこう言っている: “ARMはあくまでもスタンダードに基づく物のインターネットの実現に傾注していく。そこでは、何十億ものありとあらゆるタイプおよび能力のデバイスが、Internet ProtocolsとWebサービスを介して相互運用されていく”。つまり彼の言うスタンダードとは、IPとWebがベースだ。

そしてこれは当然、Intelなどとの企業競争に伍していくためにも、力を緩めることが許されない分野だ。IoTは、今や各社が狙っている。

ARMはSensinodeについて、次のように説明している: “インターネットに接続される低価格で低電力消費のデバイスのためのソフトウェアにおける、パイオニア的企業群に属し、IoTのオープンスタンダードに対する重要な寄与貢献者である”。それらのスタンダード努力には、ローコストローパワーデバイスのための6LoWPANおよびCoAP規格の作成も含まれる。同社が今寄与貢献しているのは、IETF、ZigBee IP、ETSI、OMAなどにおける各種の標準化努力である。

今回の買収はSensinodeにとっては、プラットホームの拡大と対象デベロッパの増大という大きな機会を意味する。同社の技術を使ってチップやデバイスを作るデベロッパの数が、一挙に増えるのだ。Cornishは、次のように書いている: “Sensinodeの専門知識と専門技術がARMのmbedプロジェクトを介してARMのパートナーたちからアクセス可能になることにより、今後は何千もの新しい革新的なIoTアプリケーションの迅速な展開ができるようになる”。

これはどうやら、ARMにとって二度目の買収のようだ。最初も今回と同じく戦略的買収で、それは2011年のProlific、ナノテクノロジソフトウェアのデベロッパだった。

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