排出ゼロ燃料電池技術の追究を続けるChevroletが、燃料電池自動車Colorado ZH2を米陸軍に提供する。燃料電池独自の利点が実世界の軍事活動で実用になるかどうかを検証するためだ。
ZH2はシボレーが消費者向けに販売している中型ピックアップColoradoの改訂版で、フレームは全地型での利用に合わせて特別に設計されている。エンジンルームも、燃料電池ベースのパワートレインに合わせて変更されており、軍事利用向けに独自の利点をもつとGMは言っている。
米国陸軍のテストは、様々な状況下での燃料電池の優位性を評価することが主目的であり、「ほぼ無音の走行」「音・熱の特徴の減少」「全速度での高い回転トルク」「あらゆる走行条件下での低燃費」および「副産物である水の現場での利用」等を調べる。
日常の言葉で表せば、陸軍が調べているのは、燃料電池のおかげで音が小さく低温で、機器にも人間にも検出されにくいか、燃料電池式電気駆動系の主要な特徴である高トルクの連続使用のおかげで勾配に強く牽引力のある車になっているかどうかだ。
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テスト車に動力を供給する水素燃料電池は、現場機器や野営地の電力供給源としても期待されており、人里離れた奥地で役立つことは間違いない。さらに燃料電池の副産物として生成されるのは水は、長期の遠隔地移動では貴重な物資だ。
「10年ほど前にテストを始めたことの一つが、この電力取り出し可能な動力源だった」とGMのGlobal Fuel Cell Activitiesのエグゼクティブ・ディレクター、Charlie Freeseがインタビューで話した。「コンセントのない場所で車を使うときも、キャンプに行った時も、あるいはこうした軍事環境でも、連続で25 kW、ピーク時で50 kWの電力を取り出せる能力は、この燃料電池システムのすばらしい特徴だ」
しかし、こうした環境で燃料電池を使用することの長期的利点のひとつは、電力源の柔軟性だ ― 全く同じ燃料電池発電システムが米国海軍の無人潜水艦の試行にも使われている。長期的に、部隊を横断して多くの軍用車両で共通の電力源を使用することの利点が見えてくる。現地で部品を交換できることは規模の経済性による利点があるだけでなく、作戦要員と支援要員の訓練の共通化も可能になる。
「現地で支援する際に、豊富な予備部品を持っているところを想像してほしい。違っているかもしれないが、海軍の兵站部が陸軍の予備部品をすぐに供給できるとは思えない。しかしこの燃料電池技術ではまさにそれが可能になる」とFreeseは説明した。
GMは、Colorado ZH2を米国陸軍戦車研究開発技術センターと共同開発した。契約を取ってから今日発表したコンセプトを生み出すまでに1年とかからなかった。GM社内での製造準備は来年始めまで続き、その後陸軍に納入され1年間の現地試験が行われる。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)