Salesforce、”Quote-to-Cash” のSteelBrickを3.6億ドルで買収

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クリスマスの週にはあまりM&Aが起きてはならない、と昔から言われているが、Salesforceはその通知を受け取っていなかったようで、quote-to-cash[見積・請求管理]サービスのSteelBrickを3.6億ドルで今日買収する。

SalesforceがSEC(証券委員会)に提出した8-K資料によると、買収金額は株式3.6億ドルで、SteelBrickの保有現金のうちSalesforceのSteelBrickへの投資分を除く6000万ドルが差し引かれる。

CrunchBaseによると、SteelBrickはこれまでに7750万ドルの資金を調達している。直近には4800万ドルのラウンドが10月に行われたばかりで、そこにはSalesforce Venturesからも「相当な貢献」があった。実質的に、SalesforceはSteelBrickの発展と成長のために大金を払った挙句に、結局買収したことになる。

私は10月の4800万ドル投資の記事で、SteelBrickの事業をこう説明した:

Quote-to-cash[見積りから入金まで]とは、その名が示すように、販売サイクルの一部を指し、興味を持った顧客を得た段階以降を引き受けるサービスだ。Salesforce.comやMicrosoft DynamicsのようなCRMツールが、基本的な顧客情報を維持する手段を提供するのに対し、SteelBrickのようなサービスは、見積りを作り、顧客が購入を決めたら契約書に署名し、契約が成立したら請求の面倒も見る。

なお、SteelBrickのソリューションにはInvoiceITを利用した請求書発行も含まれており、SteelBrickは9月に同社を買収してSteelBrick Billingと名称変更している。このソリーション全体がとりわけぴったり合っているのは、SteelBrickがSalesforceのApp Cloudプラットフォーム上に構築されているためで、これはSalesforce CRMとは既にスムーズに協調して動いていることを意味している。

興味深いのは、Salesforceが中小市場の企業を狙っているSteelBrickを選び、類似の企業でもっと大企業寄りの顧客を持つApttusを見送ったことだ。Apttusは9月に1.08億ドルを調達しており、そこにもSalesforce Venturesが投資家として参加している。

Salesforceのショッピングはまだ終っていないのかもしれない。

Salesforceの大規模な顧客カンファレンスであるDreamforceのプレス会見で、私がSalesforce幹部に、quote-to-cash分野に興味があるをズバリ尋ねたところ、強く否定していたことは書いておくべきだろう。

quote-to-cashへの巨額な投資を考えれば、Salesforceが何らかの興味を持っていたことは明白だが、自身で開発したり、Salesforceの製品ラインの一部に組み込むほどではなかった。その幹部は、Salesforceのすることはすべて顧客へのサービスにならなくてはならないと断言していた。quote-to-cashのようなそれが事務管理部門の業務であれば、興味はない。どうやらこの会社は考えを変えたようだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Evernoteの就任間もないCOO、Linda Kozlowskiが年内退職へ

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AAEAAQAAAAAAAAObAAAAJDE5MDcyNDIxLTA4MzEtNGIwZC1iMDBlLTdkOWJlNzEyNjM3ZQEvernoteは、人の生活やそれ以上の物事に関するアイデアとメモを残すプラットフォームとして名を成してきた。しかし、同じ永続性はそこで働く人々にはあてはまらなかった。

本誌は複数の情報筋を通じて、EvernoteのCOO、Linda Kozlowskiが、年内に会社を去る予定であることを確認した。

これは、人気スタートアップに相次いでいる紆余曲折の最新事例だ。今年Evernoteは、新たなCEOを迎え、レイオフを体験し、複数のオフィスを閉鎖し、複数のサービスを中止してきた。

Kozlowskiが辞める理由は明らかにされていないが、その唐突さは注目に値する。KozlowskiはEvernoteに入社後わずか3年あまりであり、COOの任務に就いたのはつい今年の夏だった。

この後他に何が続くかも注目だ。少なくともあと4人の幹部が数ヵ月中に去る、と複数の筋が伝えている。

Kozlowskiの就任後これほど早い退社は、現在Evernoteに起きている激変を浮き彫りにしている。

Evernoteは2007年に設立され、そのモバイル・デスクトップ用メモ書き・整理アプリのユーザーは1億人を超え 、これまでに2.9億ドルの資金を、Sequoia、Morgenthalerらの投資家から調達した。最も近くは、日本の経済紙最大手、日経も名を連ねた。

しかし最近になって、同社は混乱に陥っている。製品の焦点が定まっていないことを叩かれている ― 様々なバーティカルアプリやサービスの提供と閉鎖を繰り返し、中核製品はアプリであるにも関わらず、物理的商品にリソースを注入している。また、無償ユーザーの有償プランへの転換が十分できていないことも批判されている。

一連の幹部の退社も、上級社員の多くはPhil Libinが仕切っていた頃からのメンバーであることを考えれば、驚きではない(Libinは今も会長を務めているが、General Catalystのパートナーでもあるため、現CEOのO’Neillほど日常業務に関わっていない)。

KozlowskiはEvernoteの新市場および新ビジネス分野両方の成長における中心人物であると、Libinが 彼女を指名した時のブログに書いている。

在籍中、LindaはEvernoteを世界中の個人やチームに届けるために休みなく働いてきた。国際事業担当VPとして、彼女はEvernoteの国際的取り組みをすべて取り仕切り、中国とブラジルへのEvernote進出も指揮した。最近では、Evernoteの国際料金戦略でも采配をふるい、新たなEvernote PlusおよびEvernote Premium料金プランの成功を導いた。

いずれもEvernoteの重要な目標であることは間違いない。しかし、CEO O’Neillの言う、「明日に向けての成長と拡大への集中」という方針に、ユーザーもEvernote社員自身も、今日またどんな変化が起きるのか不安に感じているだろう。

EvernoteおよびKozlowskiは、本誌のコメント要求に答えなかった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google Apps for Workの有料企業ユーザが200万を突破、サードパーティアプリケーションの審査推奨制度をスタート

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先月Googleは、ライバルのMicrosoftやAmazonとの契約が残っている企業にはGoogle Apps for Workのクラウドアプリケーションを無料にして企業顧客を増やそうという、大胆な作戦を実行した。Google Apps for Workを有料で使っている企業は現在200万社、無料も合わせるとユーザ数は500万を超えている。それが、今以上に企業ユーザを増やそうというのだ。

今以上に顧客を惹きつけ、今以上にデベロッパたちがこのプラットホーム向けのソフトウェアを作ってくれるようにGoogleは、Google自身のGAfWネイティブアプリケーションやプロダクトだけでなく、サードパーティのアプリケーションを審査しGAfWのユーザに推奨する事業を立ち上げた

すでにセキュリティとパフォーマンスの審査を通り、推奨されているアプリケーションが8つある:

併せてGoogleは今日(米国時間11/3)、広大なApps Marketplaceにおけるアプリケーションの発見のしやすさをやや改善し、またAndroidへのリンクを強化した。そして今やGoogle Play for Workにあるエンタプライズアプリケーションも紹介している。

今Googleのコンペティタたちは企業ユーザと一般消費者をはっきり分けた製品戦略やマーケティング戦略をとろうとしており、Googleもそれに倣おうとしている。その典型が、IBMとパートナーしたAppleだ。しかもこの両社は2014年の12月という早くから、iOS用やMac用の企業向けアプリの提供を始めている。

このGAfWのニュースのタイミングにも、戦略的意味がありそうだ。今回のGAfW関連の発表は、同じく企業のクラウド利用に焦点を当てたDropboxのイベントと、同日なのだ。

飴と鞭

今回のGoogleからのニュースは、同社がエンタプライズビジネスを伸ばすために飴と鞭的なやり方をしていることを、示している。

Google Apps Marketplace(Google全体のアプリケーションマーケットプレース)は、AWS MarketplaceやSalesforce、それに企業向けにアプリケーション統合サービスを提供しているクラウドストレージ屋さんなどと競合しており、今ではGAfWと統合できる企業向けアプリケーションを750以上も提供している。

しかしGAfW担当のディレクターRahul Soodによると、数が多いことは必ずしもそれらの利用性に結びつかない。“そもそも現状では、どのアプリケーションがセキュアで信頼性があって高性能で今使ってるツールとの統合性が良いのか、さっぱり分からない。しかも、仮に、検討すべきアプリケーションのグループが分かったとしても、実際にそれらを評価する能力や余裕が企業にない”。

そこでGoogleは、さまざまなサードパーティアプリケーションと、Google自身が作ったGAfW固有のアプリケーションとの、相性を審査する役を買って出ようとしている。

“これらのアプリケーションはGoogleとサードパーティのセキュリティ企業がリビューして、安全性と信頼性を確認し、高度な統合化要件を満たしていることをチェックしている”、とSoodは書いている。セキュリティ企業の名前は、今Googleに問い合わせ中だ。そうやって顧客になるべく多くのアプリケーションを使わせて、Googleのプラットホームへの親近感を持たせ、今後のより高度なサービスでお金をいただこう、という心算なのだ。

また顧客(GAfWのユーザ)企業だけでなく、Googleはソフトウェアのメーカーにもこのプラットホームを開発の対象として利用してもらいたい。

そのためにGoogleは、さまざまなことをやってきた。Google for WorkのパートナーのためにTechnology Trackを立ち上げたのが2014年の3月だった。それはGoogle App ServicesのAPIの統合を選択したソフトウェアパブリッシャーへのごほうびだった。そのごほうびとは、技術やマーケティングや営業の支援、そしてGoogle Apps Marketplaceでアプリケーションが上の方に表示されることだ。最近ではGoogleの推奨アプリケーションに優先的に選ばれる、という飴も加わった。推奨にはセキュリティのお墨付きも伴うから、それらのアプリケーションは相当目立つと思われる。

この、Googleによるアプリケーション審査〜推奨制度は、うまくいけば、ほかのアプリケーションマーケットプレースを蹴散らしてしまうかもしれない。企業ユーザにとって、Googleのお墨付きの効果は、かなり高い。次第に、他のマーケットプレースは見なくなる可能性もある。

そうなればもちろん、デベロッパ〜ソフトウェアショップもGAfW向けのアプリケーションを一生懸命作ろうとするだろう。審査に通るコツ、Googleから高く評価されるコツも、次第にわかってくる。それはGoogleにとっても自分のエコシステムを大きくする方法だが、大きくしたものをずっと支配し制御し続けるための“王様的”な方法でもある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

VMWare、メールアプリのBoxerを買収してAirWatchに統合

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VMWareは、Dellによる670億ドルの合併の一部となったニュースに、自身の最新ニュースを埋もれさせなかった。同社はメール管理アプリのBoxerを非公開金額で買収したことをVMworld Europeで発表した。

VMWareはその80%をEMCが所有しているが、常に独立経営されており、別銘柄で株式が上場されている。独自の活動を続けることはさほど驚くべきではないのだろうが、それでもこのタイミングには注目せざるを得ない。

同社はBoxerをAirWatchに統合する。AirWatchはエンタープライズ向けモビリティーマネジメント会社で、VMWareが2014年に15億ドルで買収した。今回の買収の狙いは、従業員がオフィス外でモバイル端末を使用する際のセキュリティーを提供するためだ。

Boxerは、Box、Dropbox、Evernote、Gmail、Salesforce、Outlook等の他社クラウドアプリと統合されたメール管理ソリューションを提供することによって、上記のミッションを一歩先へ進める。これでAirWatchは、単なるモビリティーマネジメントだけでなく、自身のアプリケーション、それも人気の製品を提供できるようになった。

VMWareのCTO Noah Wasmerがブログに書いているように、メールはスマートフォンで最もよく使われている生産性アプリであり、コンテンツとビジネスアプリがそれに続く。AirWatchは、企業が使っている他のモバイルアプリのセキュリティーとあわせて、高度なメールアプリを提供できるようになった。

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「買収が完了すれは、VMWareはBoxerとAirWatchの組み合わせによって、従業員がメール、コンテンツ、アプリのすべてを安全にアクセスできる世界レベルのサービス群を作ることができる」とWasmerは書いた。

Boxerを使えば、従業員はメールをすばやく処理できる ― 他のクラウドアプリケーションへの移動、既読やスパムのマークをつける等。個々のメールを右か左にスワイプするだけで、処理オプションがポップアップする。

Boxerはこれまでに300万ドルを調達しており、買収後はAirWatchチームに併合される。Boxer自身、アプリをAnrdoidに移植するためにEnhanced Emailを2014年に買収した。当時BoxerにはiOSアプリしかなかった。

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Amazon AWS、73億ドルヒジネスに。アクティブ企業顧客100万社を超える

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今日(米国時間10/7)AmazonのAWSは、同社の大規模カンファレンス、Re:Inventで、クラウドベースのデータサービス分野を同サービスが支配していることを示すデータを公開した。AWS担当SVP、Andy Jassyは今日、AWSのアクティブ顧客数が100万を超えたと言った ー これは企業数であり個人ではない。AWSの売り上げも急増している。AWSは現在73億ドルのビジネスとなり、データベースビジネスだけで,年間10億ドルのペースで売れている。

同社によると、AWSは対前年比81%成長した ー クラウドベースのストレージ、データ処理、その他データベースサービスを提供する会社の中でも「圧倒的に成長が早い」とJassyは言った。他に、AWSのEC2ビジネスは95%、S3が120%、データベースが127%、それぞれ成長した。

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しかし、ライバルクラウド企業の一社は、自分たちの方がAWSより大きいと、すかさず反論した。

[第2四半期現在、IBMの過去12ヶ月間のクラウドビジネスは 87億ドルだった   ー IBM Facts]

AWSの成長ぶりを示す証として、AmazonはQ2に、AWSの売り上げ18億ドル、利益3.91億ドルを計上した。

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AWSは、データサービスに対して同社のEコマースビジネスと同様のアプローチをとることで大企業、中小企業の間に数多くの波を起こした。安値で市場に切り込み、スケールの経済を元にビジネスを築く。そしてこれは、今も同社がサービスの発見を続けているやり方だ。

Jassyはまた,現在800社のソフトウェアベンダーが、25のカテゴリーにわたってAWSと統合していることも指摘した。

AWS re:Invent 2015

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Amazon Inspectorは、あなたに代ってセキュリティー問題を見つけてくれる

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今日(米国時間10/7)のAmazon re:inventで、Amazonは新しいサービス、Amazon Inspectorを発表した。ユーザーのAWSインスタンスを分析してセキュリティーあるいはコンプライアンスの問題があれば報告する。

これはセキュリティーを心配する、特にクラウドサービスを初めて使うAmazon顧客にとって価値あるサービスだ。ユーザーのAmazonクラウドを完全に検査し、セキュリティー、コンプライアンス等の問題を探す。

このサービスは、金融、医療等、データの保管および利用方法について政府の非常に厳格なガイドラインに準拠しなければならない規制の強い業界にとって、特に重要だろう。

システムはあらゆる脆弱性やサービスがコンプライアンスに反する部分を報告し、その問題を修正する方法のアドバイスも提供する。問題は重大度別にグループ分けされるので、顧客は何を最初に修正すべきかの優先順位を付けられる。

Inspectorは、”Cloud Trails” と呼ばれるものも提供する。これは監査追跡記録の一種で、何が発見され、どんな対応がなされたかを示すことで、実際に何が起きたかを監査員が知ることができる。

AWS担当SVPのAndy Jassyによると、これはAmazon顧客に事前予妨の基準を与え、問題の起き得る正確な場所を、実際に問題が起きる前に見られるようにする。こうした予妨的アプローチは、クラウドへの移行を躊躇している潜在顧客や、単にAWSインスタンス全体の問題を見つけたい顧客にアピールするかもしれない。

AWS re:Invent 2015

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Amazon、AWSにFedEx経由でデータをインポートするための堅牢ストレージ、Snowballを発売

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Amazonは今日(米国時間10/7)新製品Snowball発表してデベロッパーを驚かせた。これは新しい物理ストレージで、ユーザーはこの装置にオフィスとAWSデータセンターの間を往復させることによって、巨大データをAWSにインポートできる。

デバイスは昔ながらのデスクトップパソコンより一回り大きく、50テラバイトのデータを保存できる。側面にはKindleが付いていて、配送ラベルとして機能する。

Amazonは、このケースが6Gの衝撃に耐えられ、110V電源と10GBのネットワークを備える完全自給自足型であると言っている。

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1回のインポート/エクスポート作業は200ドルかかる。現場で利用は10日間まで無料で、その後デベロッパーは1日につき15ドル支払わなければならない。AmazonはSnowballからのデータインポートには料金を請求しないが、エクスポートには0.03ドル/GB請求する。

ユーザーがAWS上でSnowballジョブを設定すると、AmazonはSnowball機器を配送する。ユーザーはデータをこの機械にインポートしてAmazonに送り返す。内蔵されたKindleが配送ラベルとして機能する。

現時点では、Snowball装置のデータはすべてAmazonのオレゴンデータセンターにあるS3 Standardにアップロードされる。他のデータセンターも近々サポートされる予定だ。

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AWS re:Invent 2015

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Google、SparkとHadoopのマネージドサービス、Cloud Dataprocを提供開始

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Googleは、Google Cloud Platformのビッグデータサービス群に新たな製品を今日追加する。新サービスのGoogle Cloud Dataprocは現在ベータ版で、データ処理エンジンのSparkやHadoopフレームワークをバーチャルマシン上で直接管理し、Googleプラットフォーム上のデータパイプラインを統合するCloud Dataflowのような完全マネージド型サービスとの中間に位置する。

Google Cloud Platformの製品管理責任者、Greg DeMichillieは私に、DataprocユーザーはHadoopクラスターを90秒以内に立ち上げることが可能で ― 他のサービスより著しく速い ― Googleはクラスター上のバーチャルCPU料金を毎時1セントしか課金しないと言った。これはバーチャルマシンとデータストレージを運用するのにかかる費用に上乗せされるものだが、DeMichilleはGoogleの低価格のプリエンプティブル・インスタンスを利用すれば計算コストを若干節約できると言った。課金は分単位で、最低10分から。

Dataprocでここまで速くクラスターを立ち上げられることから、ユーザーは必要に応じて一時的クラスターを設定することができる上、マネージド型のためGoogleがユーザーに代って運営できる。

「この分野ではあらゆる規模に適合する製品はない。これは当社の総合的ポートフォリオにとって極めて重要な製品だと考えている」とDeMichilleは言った。

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このサービスは標準的なSparkおよびHadoopのディストリビューション(微調整あり)を使用しているため、事実上どの既存Hadoopベース製品とも互換があり、ユーザーは現行業務を容易にGoogleの新サービスに移行できるはずだ。

DeMichillieとGoogleのビッグデータ製品マネージャー、James Maloneは私に、Googleは同社のネットワークインフラのおかげでサービスのスピードを保証できるが、加えてSparkの問題(同社がこのサービスに利用しているオープンソースのYARNリソースマネージャーに関連する)を修復し、最適なイメージを構築したことも貢献していると話した。

DeMichillieは、一部のユーザーはデータパイプラインや処理アーキテクチャーの完全制御を望んでおり、そのために各自のバーチャルマシンを運用、管理したがるだろうと認識している。彼は、Dataprocのユーザーにとって独自インフラを設定するのと比べて実質的なトレードオフはないと考えている。

当然ながら、DataprocはGoogleの他のクラウドサービス、BigQueryCloud StorageCloud BigtableCloud Logging、およびCloud Monitoringとも統合されている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SalesforceとMicrosoft、提携関係をさらに強化

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Salesforce.comMicrosoftは今日(米国時間9/16)、従来の統合に基づき提携関係をさらに強化していくことを発表した。両社は今日午前、サンフランシスコで開催中のSalesforceの顧客向けイベント、Dreamforceの会場で発表を行った。

両社は、Microsoft製品がSalesforceの最近名称変更した中核CRM製品であるSalesforce Lightning Experienceとスムーズに協調するための、一連の新統合ツールを導入した。

今日発表された機能の一つであるSkype for Business(従来Lyncと呼ばれていた)がLightningプラットフォーム上に移植されると、社員同志がSalesforceの中からSkype経由でビデオまたは音声通話、およびチャットを行えるようになる。

さらにSalesforceはOneNoteも統合し、Lightningから直接ノートを閲覧および編集できるようになる他、Microsoft Delveを使って、営業担当者がSalesforce内で営業機会を発見するのを助ける。

中でも後者の機能で興味深いのは、これがMicrosoft自身のCRM製品であるMicrosoft Dynamicsの次期リリースに組み込まれることだ。これは、Microsoftがよりオープンであろうとしている証拠であり、全体構想を進めるためにはライバル製品でさえ自社ツールと共に動作させることを辞さないことを示している。

Salesforceは、Windows 10向けに、Salesforce 1 Mobileアプリを開発する計画で、これはWindows 10に最先端のモバイルクラウドツールを提供することで、同プラットフォームのモバイル面の強化をはかるものだ。

両社が共通の利益を見出していることは明らかで、Microsoftは膨大なSalesforce.comクラウド顧客ベースにアクセスが可能となり、Salesforceは、顧客が今すでに使っているMicrosoftツールをさらに密な関係で使えるようにすることで満足度を高めることができる。この製品横断の統合は、かねてから企業のCIO(情報責任者)が要求してきたものだ。

今日の発表は2014年5月に発表した提携に基づくもので、当時両社は互いの製品同志を統合する方法を探り始めていたところだった。TechCrunchのAlex Wilhelmが当時こう書いている。

Salesforceは、Windows、Windows Phone 8.1をサポートし、「SalesforceとOffice 365の相互運用」を可能にすると共に、OneDrive for Business、SharePoint Online、およびOutlookを様々な場面で統合する。

良好な関係が1年以上続く今になっても、かつて2つの会社がいがみあっていた姿は忘れられない。実際、2010年5月にMicrosoftはSalesforceを著作権侵害で訴え、その後6月にはSalesforceが逆訴訟した。もちろんすべては過ぎたことであり、争うよりも協力する姿の方が両社にも顧客にもよく似合っている

なお今年5月に、SalesforceがMicrosoftからの550億ドルの申し出を断わったという噂があった。一部報道は、CEO Marc Benioffが700億ドルを要求したことを示唆した。たとえ合併という形ではなくても、両社は互いの製品をより緊密に結び付きるべく前進を続けている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Mirantisが1年足らずで二度目の$100Mの資金調達、Intelが積極的なパートナーシップ

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昨年10月に、OpenStackの専業ベンダMirantis1億ドルの資金調達ラウンドを発表したが、それからわずか10ヶ月後の今回また、同じ額の資金調達を発表した。今度のラウンドはIntel Capitalがリードし、また 同社は、OpenStackの企業向け売り込みに関してIntelとパートナーする。

Goldman Sachs、August Capital、Insight Venture Partners、Ericsson、Sapphire Ventures、およびWestSummit Capitalがラウンドに参加した。先週SECに提出された文書によると、調達額の75%が株式、残りが直接支出だ。

2010年7月にローンチしたオープンソースのクラウドオペレーティングシステムOpenStackは、Amazon Web ServicesやMicrosoft Azure、Google Cloudなどの、プロプライエタリなパブリッククラウドインフラストラクチャに代わる製品だ。OpenStackのまわりに、最初は多くのスタートアップが誕生したが、昨年からは大企業がこれらのスタートアップを拾い上げるようになった。2014年にはCiscoがMetacloudを買収し、さらに今年の6月にはPistonを買収した。IBMはBlueBoxを買収し、EMCはCloudscalingを取得した。またこのような整理統合の嵐の中で、企業向けOpenStackデプロイサービスのNebulaはこの春閉店した

買収もされず店仕舞いもしなかったMirantisは、Intelとの密接な協働という道を選び、大量の資金を導入して、OpenStackの大企業向け展開を助けている。一応同社は前進してはいるが、これからの問題は大規模なスケーリングだと思われる(後述)。Intelとのパートナーシップにより同社のハードウェア研究所にもアクセスできるようになり、またそのほかのリソースも利用できる。Mirantisの協同ファウンダで社長のAlex Freedlandによると、これらはいずれも、Mirantis単独ではできなかったことだ。

Mirantisは、OpenStackの自称‘ピュアバージョン’を提供している。Freelandによると、そこが大手のOpenStackサービス/プロダクトとの大きな違いだ。“Mirantisはオープンなプラットホームであり、門番も壁もないので、誰でもアクセスし利用できる。それが、コストを下げ機能を充実するための唯一の方法だ”、と彼は語る。

Mirantisのコンペティタは、OpenStackを売っているIBMやCisco、HP、Oracleなどの大企業ばかりではない。VMwareやMicrosoftなどの、成熟度が高く資金状態も良いエンタプライズテクノロジ企業も強敵だ。Freelandの構想では、今回得られた資金とリソース(主にIntelの)により、大企業におけるOpenStackの全面的な展開を手がけられるようになりたい、という。今のところOpenStackは、全社的というより、個々の小さなプロジェクトで実装されることが多い。

彼によると、VMwareやRed Hatも今のような成熟に達するまでに10年近くを要している。OpenStackはまだ、5年の歴史しかない。

一方のIntelにはこのところ、自分のクラウドインフラストラクチャを持ちたいという企業からの、支援のリクエストがますます増えている。Intelのクラウドプラットホーム担当VM/GM Jason Waxmanによると、Mirantisへの投資により、同社のハードウェアのユーザである顧客たちの、OpenStack開発を加速したい、と。

両社の協働により、1年後には目に見えるような成果を上げていたい、と彼らは期待している。またFreelandによると、年内にはこのコラボレーションに関連した事業拡張も行いたい、という。

これが、IntelによるMirantis買収への第一歩、と見る読者もおられると思うが、Waxmanは直ちにその考えを否定した。“買収に関心があるのなら、投資のような余計なことはしないだろう”、と彼は述べる。Mirantisを独立企業として高く評価しているからこそ、投資とパートナーシップという道を選んだのである。しかも、Intel自身がOpenStack導入支援企業になるなんて、そもそも考えられない。

1年足らずで1億ドルのラウンドを2度経験したMirantisは、新たな成長の段階を迎えている。2014年に同社は、Ericssonに対する3000万ドルという、大きなOpenStack関連の売上を計上した。そのことも、今回の投資に貢献している。

今日(米国時間8/23)発表により、同社の資金調達総額は2億2200万ドルになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

いちばんユーザ数の多いクラウドサービスはOffice 365だった…アイデンティティ管理Oktaの報告書より

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クラウドアプリケーションのためのアイデンティティ管理を提供しているOktaのところには、人びとのクラウド利用に関する大量のデータが集まっている。同社は今日(米国時間8/20)、初めての、Okta Business @ Work Reportと題する報告書をリリースした。いろいろおもしろい発見がある中でとくに目立つのは、MicrosoftのOffice 365が、今年のこれまでの、いちばん多く利用されたクラウドサービスであることだ。

Oktaと同様にZenDeskも、集めたデータから報告書を生成している。同社の四半期ごとの報告書は、同社が提供しているカスタマサービスから得られたデータを集約している。両社共に、それらのデータは自社のビジネスの軌跡でもあり、両社はそれを、顧客と共有しようとしているのだ。

OktaのCEOのTodd McKinnonによると、そのデータはまた、同社の今後のリソース配分方針を決めるための指針にもなる。“データから、人びとがどんなアプリケーションを、どれぐらいの頻度で利用しているかが分かるから、そういう人気の高いアプリケーションを統合するのがベストだ、ということになる”、と彼は語る。

同社の顧客企業はおよそ2500社、クラウドアプリケーションの数は4000を超えるから、そのデータの量は、報告書を作ってそれを共有する価値が十分にあるほどの量だ、とMcKinnonは言う。それが同社の顧客ベースのスナップ写真にすぎないことは彼も認めるが、Oktaの顧客たちがクラウドをどのように使っているかが分かるから、とてもおもしろいデータでもあるのだ。

いくつかのおもしろい発見

Oktaがアプリケーションの使われ方を記録するようになったのは2012年だったが、当時はSalesforce.comがつねにトップだった。しかしその後、Office 365が徐々に伸びてきてついに首位に立ち、Boxが三位になった〔下図: O365がSFを2015/2月に抜いている〕。

Cloud app usage data from 2012 to 2015. The top 3 today are Office 365, Salesforce and Box.

Slackは、今やどなたもご存知だろう。人気急上昇中の企業向けメッセージングアプリだが、2015Q2の成長率は50%でダントツだった〔下図〕。もっと意外なのは、ITの事故情報管理ツールPagerDutyが、同じ四半期に25%強の成長を遂げていることだ。成長率3位は、オンラインのアンケートサービスSurveyMonkeyの23%だ。

Okta app survey data. Top growing companies over last quarter. Slack, PagerDuty and SurveyMonkey comprise the top three.

 

Oktaの顧客企業が抱えるスタンドアロンのクラウドアプリケーションの数は、企業の大小に関わらず11から16ぐらいだ。McKinnon自身は、もっと少ないと想定していたので、意外だった、と言っている。

クラウドサービスにタブレットからアクセスするユーザがいちばん多い業種は、製薬、バイオテク、教育の3業種だった。一方、モバイルデバイスからの利用がとくに多い業種は、教育とリテイル(eコマース)だ。

Oktaはアイデンティティ管理の企業なので、今回の報告書にはセキュリティ関連の項目もある。それによると、多要素認証(multi-factor authentication, MFA)をもっとも多く実装し利用しているサービスは、Amazon Web ServicesとSalesforce.comとOffice 365だ。Office 365は、ユーザのメールデータなども保護しなければならないから、セキュリティの要件も厳しい。

報告書の対象となった2500の顧客企業と4000あまりのアプリケーションには、それぞれ独自の統合先が計数千もあり、またアクセスするエンドユーザは一日あたり185か国、数百万に達する。

このほか、報告書は、クラウドサービスの人気がとくに高い業界や、国なども分析している。McKinnonによると、報告書は今後有料にするかもしれないが、当面は無料だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Windows 10の立ち上がりを探る

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まずWindows 10について簡単におさらいしておこう。

  • Windows 10は7月末に一般公開され、かなりの高評価を得ている。
  • Microsoftはユーザーベースの早急な拡大に全力を挙げている。
  • Windows 10のユーザーベースが大きくなれば、アプリのダウンロードが伸びる。これはより多くのデベロッパーを惹きつける。
  • 良質のアプリが豊富に供給されればWindows 10のユーザー体験は改善され、さらに多くのユーザーがWindows 10を採用するようになる。

Windows 10への乗り換えが進まないと上と逆の悪循環が生じることになる。では現在までのWindows 10のインストール状況はどうなのだろう?

一般ユーザー市場

MicrosoftはWindows 10について「2、3年のうちに10億台のデバイスにインストールされる」ことを目標として掲げている。Microsoftは意識的にこのような曖昧な表現にしているのだろう。つまり10億のライセンスを販売するとは言っていない。Windows 10へのアップグレードは今後1年無料だという点を考えれば、ライセンスの販売目標について明確は数字を出すのは難しいだろう。

現在、Windows 10のインストール数についていくつかの数字が出ている。どれも不完全なもので、ソースも公式発表から噂程度のものまでいろいろだ。

Microsoftの数字

Microsoftは「Windows 10は、一般公開されてから24時間後に1400万台のデバイスで稼働している」と 発表した

この数字の正確な内容は不明だ。たとえば、500万人といわれるWindows 10のベータテスト参加者のデバイスはこの数に含まれているのか? たとえば私自身、Windows 10のベータ版を数台のコンピュータにインストールしている。一般公開後にどれだけの新たなインストールが行われたのかは不明だ。

Brad Samsのスクープ、その1

Windows情報専門サイトNeowinの Brad Samsは 、「私が入手した内部情報によれば、現在Windows 10がインストールされているコンピュータは1850万台だ」と書いた。 ネットでは一時6700万台という数字が飛び交っていたが、SamsによればこれはWindows 10へのアップグレードを予約したマシンの数かもしれないという。

1850万台という数字は8月3日のもので、1400万台という数字が出てから1週間経っていない時点だった。

Brad Samsのスクープ、その2

Brad Samsは最初のスクープから4日後に再び内部情報の入手に成功した。それによるとWindows 10のインストール数は2500万台に跳ね上がった。Samsによれば「あるいは2700万台に達しているかもしれない」ということだ。

先週の金曜に2500万(あるいは2700万)に達したということは週明けには3000万に届いているだろう。今月中に5000万に達する可能性は十分にある。

その他の兆候

Windows 10の採用状況を占うのに使える情報がさらにいくつかある。ひとつは検索トラフィックだ。GoogleトレンドでWindows 10とWindows 8、Windows 8.1、Windows 7を比較してみた。

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これは興味深いグラフだ。Windows 10への関心がWindows 8(赤と黄色の線)より大きいのは当然だが、これまでで最良のWindows と評されるWindows 7をも上回っている。しかもWindowsに対する検索ボリュームでも過去最高を記録している。これはWindows 10にとって前向きの情報だ。

次はゲーマーの動向だ。Steam’s excellent operating systemの統計は以下のとおり。

Screen Shot 2015-08-10 at 10.42.58 AM

この統計ではWindows 10は1.2%を占めている。ただしこのデータは7月分の集計だ。Windows 10の一般公開は7月29日だったことを考えると、悪くない出だしだろう。8月文の集計が発表されると状況はかなりはっきりするはずだ。

要約

これらの情報を総合すると、Windows 10のローンチはそう悪いようには見えない。いかにも及び腰なコメントに聞こえるかもしれないが、今のところそれ以上のことは言えない。今後さらに勢いがついてくるかどうかが勝負だ。

エンタープライズ市場

エンタープライズについて何か予測するのは早過ぎる。Microsoftによればエンタープライズ向けにWindows 10が供給され始めるのは今年後半になるという。【中略】

デベロッパーの動向

長期的にみてMicrosoftのWindows戦略の要になるのはやはりデベロッパーの動向だ。デベロッパーをWindows 10に引き寄せることができなければWindowsに将来はない。

IDCのアナリスト、Al Hilwaによれば、カギになるのはもはや開発ツールではないという。Microsoftの開発ツールは極めて優れている。問題はMicrosoftの閉鎖的なエコシステムから離れてしまったデベロッパーを呼び戻せるかどうかだ。Hilwaは、その手段として開発環境をオープンソース化するのが有効だという。

「デベロッパーを引き寄せるには、オープンソース化が必須だ。Visual Studioチームはこのことをよく理解しており、Microsoftのエコシステムをオープンソースにするという大事業をリードしている」とHilwaは語った。

ライバルが開発環境を無料ないし安い価格で提供している以上、Microsoftも開発ツールで金を取ることは不可能になった。Microsoftにとってデベロッパーを惹きつけることはWindows Phone戦略の上からも極めて重要だ。Windows PhoneもWindows 10で作動する。デベロッパーがWindows 10でコードを書けるようになればWindows Phoneのアプリを開発するのも容易だ。MicrosoftのOS共通化戦略が期待どおりに働くかどうか、今後に注目だ。【中略】

当面の結論としてこういうことが言えそうだ。一般ユーザーのWindows 10への関心は高い。エンタープライズ市場について判断を下すには早過ぎるが、クラウド化によってWindows 10への移行が加速される可能性がある。今後、正確なダウンロード数、デベロッパー数がMicrosoftから発表されることを期待したい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Googleもついに社内業務を完全にクラウド化

2015-05-14-googleallint

今週Googleは「われわれはクラウドにオールイン〔ポーカーでチップを残らず賭けること〕する」と発表した。クラウド・サービスのパイオニアとして特に大胆な決断のようには聞こえない。しかし今日(米国時間5/13)のWall Street Journalの記事によると、Googleは社内業務に用いられるほとんどすべてのアプリをインターネット経由のクラウドアプリにしたという。

Googleはわずか2年前の2013年でも社員が外部クラウド上のアプリを使うことをセキュリティー上の理由から禁止していた。大手クラウド事業者が、クラウドを信頼できず、社員に私有デバイスの持ち込みや外部クラウドの利用を禁止するというのは笑うべき矛盾だと批判された。

しかしGoogleもここに来て他の大企業と学んだのと同じ教訓を学んだのだろう。企業のファイアウォールはセキュリティーを保証しない。Googleは社員がどこにいようと、どんなデバイスを用いていようといちいち身元を認証し、会社の建物の外からであろうと中からであろうと一切の通信を暗号化しなければならないことに気づいたようだ。

Sonyの大規模なデータ漏えい事件の直後に、MicrosoftでWindows事業部のプレジデントを務め、現在はBox顧問のスティーブン・シノフスキーは「伝統的なファイアーウォールで守らた企業内データセンターのほとんどよりクラウドの方がずっと安全性が高い」とブログに書いた。

シノフスキーはSonyやTargetが見舞われたようなハッキングによるデータ漏えいがクラウドでは決して起きないと保証はできないとしながらも、クラウド事業者のセキュリティーを破るほうが一般企業のセキュリティーを破るよりはるかに困難だろうと指摘している。

Bessemer Venture Partnersのパートナー、David Cowanは1990年代から企業のセキュリティーを調査しているが、シノフスキーの意見に概ね賛成している。ただし、すべてのクラウド事業者のセキュリテイーレベルが同一ではないと注意を促している。Cowanはわれわれの取材に対してこう語った。

AmazonやGoogleなど有力クラウド事業者のセキュリティーが一般企業が独自に開発したセキュリティーより優れているという点については完全に同意する。

現在われわれが利用するアプリやウェブサイトのバックエンドはさまざまなレベルのクラウド・サービスによって支えられている。しかしデジタル生活をささえるこうしたちょっとしたアプリの背後にあるクラウドが必ずしもGoogleやAmazonなみのセキュリティーを備えているとは限らない[という問題がある]。

急成長したクラウド企業、Boxの場合、しばらく前から社内業務のほとんどをクラウド化している。 CITEworldの2014年3月の記事で当時のCIO、Ben Hainesが「われわれはクラウドにすべてを託している。それによってオンプレミスの処理であったら生じるはずのあらゆるコストをなしですませている」と書いている。

どうやらGoogleも今週になってBoxと同じレベルに達したようだ。現在のビジネス環境では、社員は地理的にどこにいようと、どんなデバイスを用いていようと、企業データにアクセスできなくてはならない。したがって「クラウドにすべてを託す」以外に現実的な方法はないだろう。

しかし問題は多くのIT専門家が伝統的なセキュリティー概念にしがみついて離れようとしないことだ。この1年半ほどの間にわれわれはSony、Target、Anthem、JPMorganその他で起きた大規模なデータ漏えい事件から、いくらファイアーウォールの陰に隠れてもセキュリティーは守られないという教訓を得たはずだ。

Googleもやっとこのことを認めたのだろう。

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Googleがスケーラビリティとパフォーマンスの高いNoSQLデータベースCloud Bigtableをベータで提供開始

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Googleが今日(米国時間5/6)、新しいNoSQLデータベースCloud Bigtableをローンチする。名前が示しているように、それは同社のデータストレージシステムBigtableを利用しているが、APIはApache HBaseのそれと互換性があり、というかHBaseもGoogleのBigtableプロジェクトを利用しているのだ。BigtableはGmail(メール)やGoogle Search(検索)、Google Analytics(アクセス分析)も利用しており、いわば実戦で鍛えられたサービスだ。

GoogleはCloud Bigtableのレイテンシがひと桁のミリ秒で、コストパフォーマンスはHBaseやCassandraの二倍、と約束している。HBaseのAPIをサポートしているから、Cloud BigtableをHadoopのエコシステム内の既存のアプリケーションと統合することも可能だが、また同時に、GoogleのCloud Dataflowもサポートしている。

Cloud Bigtableのクラスタはわずか数秒でセットアップでき、ストレージはユーザのニーズに応じて自動的にスケールする。

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なお、GoogleがクラウドベースのNoSQLデータベースを提供するのはこれが初めてではない。同社のApp Engineプラットホーム上ではかねてからデベロッパが、高可用性のNoSQLデータストアCloud Datastoreを利用できている。そのサービスもやはり、Bigtableがベースだ。Google Cloud PlatformのプロダクトマネージャCory O’Connerによると、Cloud DatastoreはWebアプリケーションやモバイルアプリに多い、リード主体のワークロードに向いているそうだ。

“Cloud Bigtableはその逆で、大規模なデータ処理を必要とする大企業など向けに設計されており、複雑なワークロードに対応する”、とO’Connerは言っている。“たとえば、企業がデータをストリームでぶち込んだり、データの分析をしたり、一つのデータベースから大量のデータをサーブする、といった用途にCloud Bigtableは向いている。弊社の顧客は今後、Cloud Datastoreでプロトタイプを作り、大規模で複雑なデータ処理を伴う本番の展開ではCloud Bigtableへ移行する、というパターンになるだろう”。

この新しいサービスは当面ベータで提供されるので、誰でも利用できるけどSLAや技術的サポートは提供されない。

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Microsoft、ハイブリッドクラウド戦略を強化―Azureがオンプレミスのデータセンターで稼働へ

2015-05-05-azure

Microsoftは以前からエンタープライズ・ユーザーに対するハイブリッド・クラウドの提供に力を入れてきた。今週、Microsoftはこの戦略をさらに一歩推し進め、Microsoft Azure Stackを発表した。この新サービスはAzureのクラウド・アプリの導入、運用、管理をあらゆるデータセンターに提供するものだ。データセンターは企業のオンプレミスのものであってもホスティング会社のものであってもよい。

Azure Stackはソフトウェアによるネットワーキング、ダイレクトアタッチストレージの共有、バーチャルマシンの運用とセキュリティー管理、オンプレミス・データセンターのクラウド運用モニタなどMicrosoftのクラウド・テクノロジーを広汎に提供する。IT管理者のための新しいプライベート・クラウドのソリューションだ。デベロッパーにとっても専用アプリを既存のデータセンターで運用するのが容易になるだけでなく、スケールを拡大する必要が生じた場合でも即座に対応が可能になる。

MicrosoftはAzure Stackの上でマイクロサービスを走らせるためにAzure Service Fabricという新しいサービスもリリースした。デベロッパーは新しいAzure Resource Managerを使って、パブリック・クラウドのAzure上でもプライベートなデータセンターのAzure Stack上でも自由にアプリケーションを運用できる。 .

現在のところ、Azure StackがサポートするのはWindowsとLinuxのバーチャルマシンだ。エンタープライズ・ユーザーの大部分がこの両プラットフォームを利用しているとMicrosoftは考えている(ただしコンテナへのシフトも広がっている)。今後Microsoftはさらに広汎なAzureサービスをAzure Stackに導入する計画だ。

このサービスにはAzure Preview Portalが統合されているので、デベロッパーは必要とするサービスを自分でローカルクラウドにプロビジョニニングできる(また必要が生じればそのままパブリッククラウドにも展開できる)。 このサービスにはさまざまなエンタープライズ向け課金機能も含まれる。現在IT部門はクラウドサーバーをプロビジョニングするためにそれを迂回することに決めたグループに対処しなければならない。新しいソリューションによってこうした必要がなくなる。

Microsoftのクラウドプラットフォーム・マーケティングのゼネラル・マネージャー、 Mike Schutzは私の取材に対して「Microsoftはカスタマーのデータセンターをクラウドの拡張と考えている。カスタマーはAzureを自らのプライベートクラウドの拡張と考えることができるようになるだろう」と述べた。

Azure Stackは今年の夏の終わり頃にプレビュー版が公開される予定だ。一般向けに正式リリースされるのはWindows Server 2016と合わせて2016年になる。

またMicrosoftは今日(米国時間5/4)、IT部門がオンプレミス、パブリックの双方でクラウド・アプリケーションを運用することを助けるためのOperations Management Suiteを発表した。これは。アプリケーションがどこで、どんなプラットフォーム(Azure、AWS、Windows Server、Linux、VMWare、OpenStackをサポート)上で作動していてもモニターできるツールで、Azureチーム自身がクラウドを運用する際に得た豊富な経験がフィードバックされているという。

このツール・スイートにはログ解析、セキュリティー、運用オートメーション、アプリケーションとデータの保護の各ツールが含まれる。 将来Microsoftはさらにクラウド・ベースのパッチ、インベントリー、アラート、コンテナ管理などのサービスを加えていく計画だ。

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スクエアエニックス、ファイナルファンタジーXIIIのiOS/Android版を日本で公開

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ファイナルファンタジーの発売元であるSquare Enixは、その特大ヒットゲームのモバイル化を実験しているようだ。同社は(日本で)ファイナルファンタジーXIIIのiOSおよびAndroid版を公開した。ゲームはクラウドからスマートフォンやタブレットへストリーミングされて動作する。

このゲームは小さな(20MB以下)無料アプリとして配布され、ゲーム本体はG-Clusterのサーバーからビデオとしてユーザー端末にストリーミングされる。ゲームコントロール(元々PlayStation 3およびXbox 360のコントローラー用に設計されていた)のために、画面の周囲には通常のコントローラーに用意されている殆どの機能に対応するタッチボタンが配置されている。

もしたまたま日本に住んでいて、ダウンロード速度3MB/秒以上のネット接続が使え人は、30分間無料でゲームをプレーできる。デモ期間終了後は価格が2000円に上がり、Square Enixがモバイル版Final Fantasy VIにつけている15.99ドルとほぼ同等になる。

Sonyはこの発表を強い関心を持って見ていると思われる。同社のサービス、PlayStation Nowでは、PlayStation 3のゲーム(Final Fantasy XIIIを含む)をクラウドからSonyのスマートフォン、テレビ、およびPlayStation本体にストリーミングしてプレーできる。しかしSonyがモバイルからPlayStationやメディア、センサーへとビジネスの焦点を移しつつあることから、今後同サービスがiOSおよびAndroidに展開する可能性は十分考えられる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google、低価格で高速な「コールドデータ」サービス “Nearline” をスタート


Googleは今日(米国時間3/11)新しいタイプのクラウドストレージサービスを開始 した。これは、スタートアップからエンタープライズまで多くの企業のオンラインストレージに対する考え方を変える可能性を持つものだ。Googleのクラウドストレージ “Nearline”を使って、企業は自社や顧客のアクセス頻度の低いデータ(バックアップ、ログ、古い写真等)を、1ギガバイト当たり0.01ドルで保管することができる。

「コールドストレージ」は新しい概念ではない。しかし、AmazonのGlacier等、他のコールドストレージサービスが、凍結されたデータを再び利用できるまでに何時間もかかるのに対して、GoogleはNealineのデータを3秒以内にアクセスできることを約束している。

Googleのクラウドプラットフォーム製品管理責任者、Tom Kershawは今週私に、オンラインストレージとオフラインストレージのコストの違いは減小するべきだと信じていると語った。

オンラインサービスは常に比較的高価だが、例えば巨大なメールサービスを運用していると、顧客は自分の全メールを瞬時に検索したいと考える。古いメッセージをオフラインストレージに置き、ユーザーにバッチ処理が終るまで1時間待ってくれとは言えない。

同じように、企業によっては自社のログファイルをできるだけ長く保存していたい(しなければならない)。しかし、オフラインに移動すれば過去データを高速に分析できなくなる。

Nealineを使うことで、Googleは通常のオンラインストレージとコールドストレージの境界を曖昧にして、企業がデータを削除したりファイルをコールドストレージに移動したりせずに済ませたいと考えている。

「われわれは何も捨てなくて済む経済的なサービスを作りたかった」とKershawは私に言った。「Googleは物事を保存するのがかなり得意だが、どんな組織も自分のデータを身近に置けるようになるべきだ」

Kershawによると、Googleがこれを競争力のある価格(AmazonのGlacier相当)で提供できるのは、すべてのデータを一つのシステムでホスティングできるからだという ― オンラインであろうと「ニアライン」であろうと。このようなシステムの共通性は独特のものだと彼は主張する。

従来からストレージ会社は2種類の異なるシステムを構築してきたが、オフラインストレージで最も難しく最も高くつくのが、実は2つのシステム間でデータを移動することだった。そこでNearlineでは、バックエンドにGoogleの通常のストレージ製品と全く同じシステム、全く同じ暗号化やセキュリティー機能を使用した。さらにAPIもGoogleの標準オンラインストレージサービスと共通にした。

Googleは多くの初期ユーザーがこのサービスを写真、ビデオ、文書等の保管に使うことを想定している。多くの企業は、万が一ユーザーが欲しがった時のためにこうしたデータをオンラインで持っている。

市場をいっそう広げるために、GoogleはVeritas/Symantec、NetApp、Geminare、Iron Mountainらとパートナー契約を結んだ。いずれの会社もGoogleの新サービスを多くのエンタープライズ顧客に提供することになるが、中でもIron Mountainは、ユーザーがハードディスクを送付すると安全にNearlineにアップロードしてくれるというユニークなサービスだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Googleのリアルタイム・メッセージングサービス「Cloud Pub/Sub」が公開ベータに


本日(米国時間3/4)Googleは、Cloud Pub/Subの公開ベータ版を初めて公開する。これは同社のバックエンド・メッセージングサービスで、デベロッパーがマシン間でメッセージをやりとりしたり、スマート端末からデータを収集したりする作業を楽にするものだ。基本的には、クラウド上のスケーラブルなメッセージング・ミドルウェアで、デベロッパーはホストサービスに関わらずアプリケーション間で素早くメッセージを交換できる。Snapchatは、Discover機能で既にこれを利用しており、Google自身も、クラウドモニタリングサービス等のアプリケーションに利用している。

Pub/Subはかなりの期間アルファ版だった。Googleは昨年のI/Oデベロッパーカンファレンスで、初めて(静かに)これを披露したが、大きく取り上げることはなかった。これまで同サービスはプライベートアルファだったが、今日からは全デベロッパーが使える。

Pub/Sub APIを使うと、デベロッパーは最大1万件のトピック(アプリがメッセージを送る先の実体)を作ることができ、1秒間に最大1万通のメッセージを送れる。Googleは、「毎秒100万メッセージのテストにおいても」通知は1秒以内に送られると言っている。

このサービスの典型的な利用ケースは、Googleによると、ネットワーククラスタの負荷バランス、非同期ワークフローの実装、複数システムへのロギング、多種デバイスからのデータストリーミング等だ。

ベータ期間中は無料でサービスを利用できる。ベータが終了すると、デベロッパーは、最初の1億APIコールまでは、100万コールにつき0.40ドルを支払う。それ以上メッセージを送りたいユーザーは、次の24億コールまでは100万コールにつき0.25ドル、それ以降は100万コールにつき0.05ドルを支払う。

Pub/Subがベータになった ― そしてGoogleが正式版の価格まで発表した ― ことで、今年の夏のGoogle I/Oあたりでは正式公開となりそうだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


ついに高性能パソコンそのものがクラウドから提供、仮想化コンピューティングを大衆化したPaperspace

【抄訳】

これからは、パソコンをアップグレードしてスピードもストレージも増やしたいとき、それを高価な新しいハードウェアを買わずにできる。Y Combinatorから巣立ったPaperspaceが、一台の完全なパーソナルコンピュータをクラウド上に作ってくれる。ユーザはそれに、Webブラウザからアクセスする。それはある意味では、VMWareやCitrix、Amazon Workspacesなどエンタプライズ向けのソリューションにも似ているが、Paperspaceがねらうのは一般消費者や、在宅の仕事人だ。

ローカル機(自機)はWebがふつうに閲覧できる程度のものでよいが、クラウド上の高性能リモートパーソナルコンピュータには、同社の専用通信デバイス(上図左下)を自機に接続してアクセスする。

この専用デバイスは文鎮に似ているので Paperweightと呼ばれ、Paperspaceのサーバ上にあるユーザのリモートマシンと対話する。そのリモートマシンは、必要とするコンピューティングパワーに応じて”basic”または”pro”を選ぶ。このデバイスは中に小さなマイクロプロセッサがあるだけで、計算処理はすべてクラウド上で行われるから、“ゼロクライアント”であると見なされる。

Amazon Web Services(AWS)などを初めとして、今日ではクラウド上のコンピューティングパワーを利用するソリューションはたくさんある。でもそれらのサービスはすべて、プロフェッショナルの技術者向けだ。しかしPaperspaceは、同じくリモートのクラウドコンピュータにアクセスするサービスでありながら、一般消費者が画面上のボタンなどをクリックするだけで簡単に使えるようになっている。しかもそのリモートマシンは、机上の自機よりずっと強力な高性能機なのだ。

協同ファウンダのDillon Thompson ErbとDan Kobranによると、彼らがPaperspaceを発想したのはミシガン大学在学中に、建築業界向けの技術的なアプリケーションを作ったときだ。

建築関連のシミュレーションなどを動かすためには、高価なハイエンド機を買う必要があるが、それでもシミュレーションのアプリケーションを数日間ぶっ続けで動かさなければならない。“でも、科学計算の分野ではクラウドコンピューティングが利用され始めていることに、ぼくたちは気づいていた”、とErbは説明する。“そこで、“クラウドコンピューティングのパワーをコンピュータが苦手な建築士などが簡単に使えるためには、どうしたらいいか、と考えるようになった。クラウドコンピューティングは今でも、コンピュータの専門技術者でないと扱えない”。

彼自身もKobranも、二人ともコンピュータの技術者だから、今のソリューションでも十分に使える。ときどきコマンドラインからアプリケーションを動かすこともある。でも、それは一般の人びとには無理だ。

【中略】

Paperspaceは最初のうちAWSを使ってその仮想化機能などを実現していたが、今では自前のサーバの上でクラウドオーケストレーションソフトのXenやNvidia GRIDなどを使っている。サーバを置くスペースとしては、某コロケーションサービスを利用しているが、いずれ自前でデータセンターを持ちたい、と考えている。

VNCや、MicrosoftのリモートデスクトッププロトコルRDPなど従来のリモートアクセスと違ってPaperspaceは、WebsocketやWebGL、asm.jsなど最新のWeb技術をクライアントサイドで利用することによって、クライアント上で完全なHDのコンテンツを動かせる。

Netflixの映画をストリーミングできる程度のローカル機であれば、Paperspaceを十分に利用できる、という。

このサービスの利用料金は月額10ドルが下限だが、完全な料金体系はまだ決まっていない。今はWindows 7と8、およびUbuntuに対応しているが、Mac OS Xなどそのほかのオペレーティングシステムも近くサポートする予定だ。いずれ料金体系が確定して、リモートマシンをより“高性能機”にアップグレードしたいとき、ユーザがすることは何もない。設定も構成もそのまま完全に引き継がれるから、すぐに使い始められる。そこが、Paperspace、クラウド上にある高性能パーソナルコンピュータの、大きなアドバンテージの一つだ。

Paperweightデバイスは当分のあいだ予約価格50ドルで売られるが、本誌の読者250名には5ドルの割引がある。コードTECHCRUNCHを入力すること。デバイスの発売は、今年の後半を予定している。

Paperspaceは現在、Y Combinatorからの支援を除いては自己資本のみ。7名のチームが各地に分散している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa


IBM、InterConnectカンファレンスで野心的なハイブリッド・クラウド戦略を発表

IBMは、ラスベガスで今日(米国時間2/23)開幕したInterConnectカンファレンスで、ハイブリッド・クラウド推進のための新たなイニシアチブを発表した。これによりユーザーは多様なリソースをあたかも単一のクラウドであるかのように扱えるようになるという。

ハイブリッド・クラウドとは、サードパーティーの公開クラウドサービス、プライベートクラウド、オンプレミスのデータセンターを組み合わせたコンピューティング資源のことだ。

クラウド・アーキテクチャーとテクノロジー担当副社長、Angel Diazは「このイニシアチブの目的は、あらゆるプラットフォームとタイプのクラウド資源をユーザーができるかぎり容易に管理できるようにすることだ。これにより、パブリック・クラウド、プライベート・クラウド、自社データセンター、さらにはクラウドのクラウドさえもその設置場所を問わず、単一のインフラであるかのように運営できるようになる」と語った。

IBMは企業がIT部門のクラウド化を試みる際に直面する典型的な問題の解決を図っている。現在クラウドにシフト中の多くの企業は、さまざまなタイプのコンピューティング資源を抱え込み、結果としてハイブリッド・クラウドの状態になっている。これらの多様なインフラからデータを引き出し、処理、共有することには多くの困難が伴う。

DiazによればIBMはこの問題を3つの課題に分けて解決を図るという。第一の分野は、企業固有のシステムにデータを統合すること。次にさまざまなシステム、プラットフォームのデータへのアクセスを容易にし、必要なときに必要なデータが容易に得られるようにすること。最後に、クラウドとオン・プレミスの資源にまたがって存在するアプリケーションとデータをそれらが世界中どこにあろうと、必要なときに結合すること。

いずれも非常に複雑な課題だが、IBMはいくつかの新しいアプローチを提案した。

まずIBMはコンテナー・テクノロジーを重視する。IBMはDockerと提携し、IBM向けにカスタマイズされたDockerコンテナをエンタープライズに提供する。これらのコンテナーはアプリケーションがオン・プレミスに存在しようとクラウドに存在しようと関係なく、セキュリティー、運営プロセス、データ・フォーマットなど企業固有の既存のプロセスを適用できるようにする。

次のアプローチはIBM DataWorksと呼ばれる。これはデベロッパーが多様なデータのソースをマッピング・テクノロジーを用いて、どこに所在しようと安全かつ自動的に処理うることを可能にする。

IBMはこうして統合されたデータをWatson人口知能へAPIによって処理し、きわめて高度な分析を実現しようとしている。この点に関しては、先週、MicrosoftもAzure機械学習プラットフォームを正式に公開している。DiazはMicrosoftのプロダクトに対するWatsonの優位性を強調したが、アプローチの方向としては類似点が多い。Diazは「Watsonは単にデータを解析し、意味づけを行うだけでなく、複雑な現象から相関関係を見出し、さまざまな仮説のどれがどれほど正しそうであるかをユーザーに知らせることができる」と述べた。

これらに加えて重要な要素はBlueMixの設定を容易にするBlueMix Localだ。Bleumixは IBM独自のPaaSで、アプリケーションを構築、管理、実行するためのオープン・スタンダードとクラウドをベースとしたプラットフォームだ。通常のパブリック・クラウドとは異なり、ユーザーはアプリケーションをオン・プレミスの資源と各種のクラウドに分散して配置し、必要に応じて作動させることができる。

Diazによれば、BlueMix Localは「アプリケーションの可視性と制御をシームレスに提供する」という。

最近のIBMのツールの例に漏れず、これらは広汎かつ多様なパートナーによって強化される。以前IBMはすべてを自前で用意していたが、この態度は様変わりした。現在では普通ならIBMのライバルと考えられる企業やプロダクトとも積極的な連携が図られている。

Diazは「現在顧客が直面している困難かつ複雑な課題は多くのパートナーとの連携なしには解決できないと語った。「こうした複雑きわまる問題を単独で解決できるようなベンダーは存在しない。そんなベンダーが存在する考えるのは幻想だ」とDiazは言う。

IBMはできるかぎり多様なパートナーと連携し、重層的なツール群を提供していくという。このアプローチがどのような成果を収めるか注目だ。

画像: Erik Drost/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+