アマゾンがインドでコンピュータサイエンス教育プログラムの開始を計画

Amazon(アマゾン)はコンピュータサイエンスプログラムのFuture Engineerを世界第2位のインターネット市場であるインドに拡大する計画で、インドの教育分野に対する同社の関心の高まりがうかがえる。

アマゾンの人材募集記事によると、教育が行き届いていない子供や若者にコンピュータサイエンスを教えることを目的としたAmazon Future Engineerに関するインドでの初期調査が「現在進行中」で、採用されると地元の非営利団体や政府と連携して業務にあたることになるという。

アマゾンは人材募集ぺージの中で、このプログラムをインドで2021年に開始する予定だと述べている。同社が米国時間12月28日に発表したプレスリリースによると、Amazon Future Engineerは現在米国で提供されており、5000校、55万人以上がこのコンピュータサイエンスコースで学んでいるという。

アマゾンは人材募集に記載した業務内容の中で「Amazon Indiaは教育が行き届かず恵まれないコミュニティの子供や若者がより良い未来を築けるようサポートすることに特に注目しています」と述べている。同社にコメントを求めたがまだ回答は得られていない。

これまでにインドで65億ドル(約6700億円)以上を投資しているアマゾンはここ数年、同国の教育分野を探ってきた。2019年にはインドの一流テクノロジー研究機関に応募したい学生を支援するアプリ「JEE Ready」を公開した。JEE Readyはその後Amazon Academyとリブランドされ、無料のオンラインクラスを提供し模擬テストで学生の成績を分析している。

画像クレジット:Amazon

インドでは2億6000万人以上の子供が学校に通い、国民の多くは経済発展と生活の向上のために教育が重要であると考えている。このようなインドで成長を続ける教育市場に注目している米国企業はアマゾンだけではない。

2020年7月にはFacebook(フェイスブック)が、インドの私立および公立学校の教育を監督する政府機関である中等教育中央委員会(CBSE、Central Board of Secondary Education)と提携して、デジタルの安全性とオンライン上の健全な活動、拡張現実(AR)を生徒や教員に教える認定カリキュラムを開始した。

フェイスブックは2020年、バンガロールを拠点にオンライン学習クラスを提供するスタートアップのUnacademyにも投資した(未訳記事)。Google(グーグル)は2020年にEdTechスタートアップのCuemathに投資した(Entrackr記事)ほか、インドにおける教育体験をデジタル化するためにCBSEと連携して同国の100万人以上の教員をトレーニングし、G Suite for Education、Google Classroom、YouTubeなどのさまざまなツールを無償で提供している。

Microsoft(マイクロソフト)もインド政府のほかNational Skill Development Corporation(Microsoftリリース)やNasscom(Microsoftリリース)といった団体と協力して、100万人以上の人々のスキル向上を支援している。

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(翻訳:Kaori Koyama)

子供向けのインタラクティブで教育的なビデオライブラリのTappityが1.4億円を調達

現代の子どもたちが、興味を持っている新しいトピックについて学びたいと思ったときに目を向けるのは、YouTube(ユーチューブ)であることが多い。しかし、子供たちが出会うYouTube上の個別教育コンテンツの品質には、当たり外れがある。130万ドル(約1億4000万円)のシードファンディングを受けた、デジタル教育スタートアップのTappity(タピティ)は、そこに代替手段を提供することを目指している。そのビデオライブラリは、子供が楽しめるインタラクティブなアニメーションビデオを提供していて、コンテンツ自体も最新の教育基準に沿うものになっていいる。

創業2年の同スタートアップを共同で起業したのは、CEOのChad Swenson(チャド・スウェンソン)氏、兄弟でCTOのTanner Swenson(タナー・スウェンソン)氏、そしてCPOのLawrence Tran(ローレンス・トラン)氏の3人だ。

画像クレジット:Tappity

(チャド・)スウェンソン氏によれば、Tappityのアイデアはインタラクティブな学習体験をデザインすることへの自身の関心から生まれたという。この関心は8年前に、高校生が進化について学習するためのインタラクティブコンテンツの制作につながった。それからの数年間、彼はこの領域でさまざまなコンセプトの実験を始めたものの、ベンチャー規模のものを計画したことはなかった。

しかし、やがてスウェンソン氏は、次世代科学スタンダード(NGSS)に基づいてコンテンツを開発する可能性に気付いたという。NGSSは、米国の複数の州が参加するコンソーシアムによって開発されたK-12(高校生まで)の科学コンテンツ基準で、現在全米での採用が拡大している。

「多くの親がYouTubeに代わるより健全な選択肢を探していました」とスウェンソン氏は言う。「私はそれが、もっと大きなものになると信じるようになったのです」。

また、子供たちが一般的に興味を持つ科学トピックは、宇宙、恐竜、地質学といった、NGSSが教えようとしていることに沿ったものであることが多いことにも気が付いた。

「Amazon(アマゾン)の上で子供たちに最も人気の高い本を見ただけで、おおきな気付きを得ることができました」とスウェンソン氏は付け加える。こうした書籍の大部分がSTEM(科学、技術、工学、数学)関連の題材に焦点を当てたものなのだという。

スウェンソン氏はフィンテックのスタートアップBill.com(ビル・コム)のコンサルティングをしていた時に、共同創業者となるローレンス・トラン氏と出会い、彼と弟のタナー・スウェンソン氏を説得してスタートアップの取り組みを始めた。

数年の間にTappityは、インタラクティブで教育的なビデオコンテンツを簡単かつ効率的に制作するためのツールを開発してきた。現在では、数千本のビデオで構成される、4歳から10歳までの子供向けの200以上の科学レッスンを用意している。

ビデオクリップ自体は事前に録画されたものだが、子供たちには画面上のキャラクターと1対1の対話をしているような感覚を与えることができる。たとえば、アプリの中の先生が何かを作っていてドライバーが必要となったときに、子供たちは先生の求めに従って、アプリ内でそれを手渡すことができる。だが同時に、子供たちにはそれ以外の楽しいオプションも与えられている。たとえばドライバーではなくテープを渡したり、ピザを投げつけたり。そうしたことに対して、先生は反応してくれる。アプリの中の先生は、たとえば、アプリ上で描いたものに反応するなど、他のやり方でも子供たちと関わることができる。

画像クレジット:Tappity

現在、Tappityの先生を務めるヘイリー・ザ・サイエンス・ギャル ことHaley McHugh(ヘイリー・マッキュー)氏は、10年以上の経験を持つ子供向けエンターテイメントの専門家で、宇宙、生命科学、地球科学、物理科学などのトピックにまたがるレッスンを指導している。

ビデオレッスンに加えて、子供たちはアクティビティの完了を促すアプリ内ポイントシステムに参加している。また、アプリは保護者向けのフォローアップメールも提供していて、親たちは子供たちが何を学んでいるのかを追跡して、さらに子供たちの興味をかきたてることができる。

COVIDの大流行と、バーチャルスクーリングによる視聴疲れを考慮して、Tappityはいくつかのレッスンにオフライン活動を取り入れるようにした。たとえば紙とペンを使ったお絵かきなどだ。また日曜日には、Tappityは親子で一緒にできるより多くのアクティビティを提供する。たとえばクッキーを焼いて、古代の大陸や火山を作ったりといった活動だ。

Tappityでは来年末までに1000時間以上、再来年末までには4000時間以上の動画コンテンツを作り出せると見込んでいると、スウェンソン氏はいう。

3人のチームがスタートアップアクセラレーターのY Combinator(Yコンビネーター)に応募したとき、月平均9ドル程度のアプリ内サブスクリプションのおかげでTappityはわずかながらでも利益を出していた。現在同社は、5000人以上の有料顧客と2万人以上のウィークリーアクティブユーザーを抱えており、これまでに修了されたレッスンの数はのべ3000万回に及ぶ。

今回同社は、Y Combinator、Mystery Science(ミステリー・サイエンス)創業者のKeith Schacht(キース・シャハト)氏、Toca Boca(トカ・ボカ)創業者のBjörn Jeffery(ビョルン・ジェフェリー)氏、Brighter Capital(ブライター・キャピタル)(Yun-Fang Juan、ユンファン・ジュアン氏)、元Spotify CTOのAndreas Ehn(アンドレアス・アーン)らから130万ドル(約1億4000万円)のシード資金を調達した。

近い将来、Tappityはチームを拡大し、現在iOSでしか利用できないそのレッスンを、ウェブで利用可能にする予定だ。長期的な同社の目標は、インタラクティブな教育コンテンツの大規模なライブラリを作成することだ。

関連記事:VCs pour funding into edtech startups as COVID-19 shakes up the market(未訳記事)

(新型コロナウィルス感染症)COVIDの大流行により、VCはより多くのエデュテックスタートアップに投資するようになった(未訳記事)が、ポストCOVIDの世界におけるそうしたビジネスの継続性はまだ未知数だ。Tappityが、多くの遠隔学習システムや学校向けにデザインされたスタートアップと異なる点は、同社が学校システムへの販売に焦点を当てていない点だ。

「先生たちは、それを自主的に採用してきました。私たちは現在、それを学校に無料で提供しています」とスウェンソン氏は説明する。「でも、私たちが重視するのは親御さんとお子さんのニーズですので、学校向けには特別なリソースを割いてはいません。ニーズがかなり違いますので」と彼はいう。

TappityのアプリはiOSで利用可能(Apple AppStore)で、サブスクリプションなしでも使える無料コンテンツもいくつか含まれている。

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(翻訳:sako)

中国のオンライン教育アプリ「Zuoyebang」が約1656億円を調達

2020年は新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、中国トップクラスのオンライン学習アプリの競争がさらに激化した。ここにきて大型の資金調達を果たした企業がZuoyebang(作业帮)だ。同社は米国時間12月28日、シリーズEでAlibaba Groupを含む投資家から16億ドル(約1656億円)を調達したと発表した(微信サイト)。これまでに投資していたTiger Global Management、SoftBank Vision Fund、Sequoia Capital China、FountainVest Partnersも参加した。

Zuoyebangはわずか半年前の2020年6月に、Tiger GlobalとFountainVestが主導するシリーズEで7億5000万ドル(約776億2500万円)を調達したと発表していた。今回の調達により、Zuoyebangのこれまでの調達金額の合計は29億3000万ドル(約3032億5500万円)となった。Zuoyebangは最新の評価額を明らかにしていないが、ロイターは9月にバリュエーションを100億ドル(約1兆350億円)と報じていた

Zuoyebangの有力なライバルの1つであるYuanfudao(猿輔導)は10月に、Tencentが主導した22億ドル(約2277億円)のラウンドの完了後にバリュエーションが155億ドル(約1兆6000億円)に達したと発表した。これによりYuanfudaoは世界で最も価値の大きいEdTech企業であるByju’sを超えた。中国には人気のオンライン学習アプリとしてもうひとつ、シンガポールのTemasekが投資しているYiqizuoye(一起作业)がある。

Zuoyebangは幼稚園生から12年生向けにオンラインコース、ライブレッスン、宿題のサポートを提供している。同社によれば月間アクティブユーザーはおよそ1億7000万人で、そのうちおよそ5000万人はサービスを毎日利用しているという。比較のために挙げておくと、中国教育部の発表では中国のK-12(幼稚園生から12年生)の人数は2019年現在で約2億人だった。

2020年秋にZuoyebangの有料ライブストリーミングクラスを受講した学生の人数は合計で1000万人を超え、業界記録を達成したと同社は述べている。成長の大きな要因は新型コロナウイルスの影響だが、Zuoyebang創業者のHou Jianbinm(侯建彬)氏は資金調達の発表の中で、オンライン教育には長期的な成長が見込まれ、K-12のクラスに投資しプロダクトのカテゴリーを拡大していくと述べている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

新型コロナで需要が高まる技能習得のコンテンツを提供するEdTechのAceableが52億円調達

州公認クラスのためのモバイルエドテックサービスを展開しているオースティン拠点のAceable(エシーブル)は、プライベートエクイティファームのHGGCから再び5000万ドル(約51億7000万円)を調達し、投資家から「お墨付き」を得た。

創業8年になるAceableは運転免許筆記試験の準備サービスとして始まり、今では運転免許と不動産エージェント向けのオンライントレーニングツールとなっている。

AceableがFloodgate CapitalやSilverton Partnersなどの投資家から400万ドル(約4億1000万円)を調達したのは4年前のことだ。

そしていま、銀行口座に5000万ドルを追加し、累計調達額は1億ドル(約103億6000万円)になった。Aceableは提供する認証の数を増やすことを目指していて、特に職能開発にフォーカスしている。

同社は組織的、非組織的に成長する道を今後模索すると話した(これは買収の可能性を検討することもあり得るという、洗練されていない表現だ)。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生し、米議会が零細事業者のサポートを十分に提供しなかったために解雇された米国人が新しい仕事を探すのにともなって、「新しい技能の習得」や「技能の向上」は、バズワードになりそうだ。

エドテックはパンデミックの間に利用がかなり増加し、何百万人という米国人が新たなスキルや商売を学んだり、すでに持っているスキルを磨いたりするためにオンラインクラスに目を向けている。

「キャリアを変更したり磨きをかけたりすることで人生の目標に向かって新たな機会を手にすることができます。当社のビジョンは、誰でも好きな職業、しかも給料のいい職業に就けるよう技能や認証を習得可能にすることです」とAceableの創業者でCEOのBlake Garrett(ブレイク・ギャレット)氏は話した。「HGGCは当社の戦略的パートナーであり、長期的な金融パートナーであります。同社は、人生を変えるために誰でもアクセスできるようにしている比類ない教育経験を作り出すという当社のビジョンを受け入れ、実現に向けて加速させています」。

技能の習得や技能の向上に向けられた新たな関心をつかむために、他のスタートアップも何百万ドルもの資金を調達している。Degreedは2020年6月にEdTechマーケットで独自展開するために3200万ドル(約33億1000万円)を調達した。しかし誰がこうした新しいプラットフォームの恩恵を受けるのかについては疑問が残る。

Aceableが他のいくつかのプラットフォームと連携してエグジットしたり、現在マーケットにあるオプションで解決されていないコミュニティにサービスを提供することは可能だ。

Aceableが指摘するように、専門的な職業に就いている4人に1人がライセンスや認証のトレーニングを受ける。そしてこうしたクラスは往々にして、これまでよりも収入が高い職業につながる。

「我々はAceableのミッションとモバイルファーストの教育テクノロジーの開発における長期的な成功を信じています」とHGGCのパートナーであるJohn Block(ジョン・ブロック)氏は述べた。「今回の投資はAceableのチームに対する自信をさらに深めていることを意味し、また人々が教育を続けることでほしい人生を手に入れられるようにしつつAceableが次のレベルへと成長できるようにします」。

Aceableは現在プラットフォームで2200時間分の教育コンテンツを提供していて、36州の1300万人を訓練するのに使われた。同社はCapital Factoryアクセラレータープログラムから始まり、Sageview Capital、Silverton Partners、Floodgate Fund、Next Coast Venture Partners、Wildcat VC、Nextgen Partners、そしてHGGCを含む投資家から資金を調達した。

カテゴリー:EdTech
タグ:Aceable資金調達

画像クレジット:nonchai

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(翻訳:Mizoguchi

オンライン教育のPluralsightを投資会社Vistaが買収へ

2020年全体を通じて見てきたM&Aのあわただしいサイクルが今月も続いている。今度はVista Equity Partnersが35億ドル (約36000億円)でPluralsightを買収すると発表した。

1株あたりでは20.26ドルになる。同社の株は米国時間12月11日に18.50ドルで終わり、時価総額は27億ドル(約28000億円)を超えた。

Pluralsighの買収により、Vistaはデベロッパーやオペレーション、データ、セキュリティなど企業のITプロフェッショナルを一連のオンラインコースで教育する環境を手に入れる。新型コロナウイルスの感染が蔓延してる状態では、それはEdTechに新しい息を吹き込むものだが、もっと以前からITのプロたちをオンラインでスキルアップするサービスの市場はあった。

Vista Flagship Fundの共同経営者でVistaの専務取締役であるMonti Saroya(モンティ・サロヤ)氏も、このトレンドからは逃げられなかったに違いない。同氏は声明で 「私たちは、優れたスキルを持つソフトウェアエンジニアの需要が一貫して供給を上回っていることを目の前で見てきました。今後あらゆる産業とコミュニケーションが、オンラインとオフラインのハイブリッドの世界へ移行していくに伴い、このトレンドは持続するでしょう。そして企業のリーダーは、ビジネスの成功のためにはテクノロジーのイノベーションが不可欠と認めるでしょう」。

買収される側の企業がよく言うように、PluralsightのCEOであるAaron Skonnard(アーロン・スコナード)氏も「会社がもっと迅速に成長するための道筋だ」と説明する。同氏は「エンタープライズソフトウェアのトップ企業の集まりから成るVistaのグローバルなエコシステムが、私たちに重要なリソースと業界知識を提供し、それが弊社の成長の扉を開き、活力をもたらします。Vistaのエンタープライズの力を借りて弊社の市場でトップの地位を強化できることに、今からわくわくしています」。

2017年のTechCrunchのSarah Buhr(サラ・ビューア)のインタビューでスコナード氏は同社を「エンタープライズ向けSaaSによる学習プラットホームだ」と説明している。それは単なるコースではなく、デベロッパーやITのオペレーションなどなどのカテゴリー別に、同じカテゴリーにいる他者との、スキルや能力の差を測定して数量化する。同氏によると、この評価機能こそが同社の大きな差別化要因だと。

そのインタビューで同氏は、「私たちの究極の目標は、テクノロジーのスキルギャップを全世界的になくすことです」で話していた。

2004年創業のPluralsightは、1億9000万ドル(約k196億円)あまりを調達し、その後2018年に上場(未訳記事)。現在の社員数は1700名で、1万7000社以上の顧客がいる。買収は例によって規制当局のチェックが入るが、来年前半には完了すると予想される。その後同社は、再び非上場になる。

カテゴリー:EdTech
タグ;買収 / 合併 / M&A(用語)

画像クレジット: Pluralsight

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

児童向けオンライン読書教育の「ヨンデミーオンライン」が資金調達、正式サービス開始も発表

児童向けオンライン読書教育の「ヨンデミーオンライン」が資金調達、正式サービス開始も発表

Yondemyは12月23日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資を実施したと発表した。引受先はW ventures、F Ventures。また、子ども向け完全オンライン読書教育の習い事サービス「ヨンデミーオンライン」の正式リリースを明らかにした。

さらに、1ヵ月間無料でサービスを体験できる「冬休み家読応援キャンペーン」の受け付けを開始。同キャンペーンは1月14日までの期間限定で、先着300名に達し次第終了する。

ヨンデミーオンラインは、5~14歳の児童を対象に、完全オンライン読書教育を行う習い事サービス。料金は月額定額制で、税抜2980円。

調達した資金は、プロダクト改善・教材コンテンツ開発・マーケティングなど、積極的な事業投資を予定。具体的には、選書アルゴリズムの精度向上やゲーミフィケーション・コミュニティの設計構築といったプロダクト開発、ミニレッスンの拡充や新規動画コンテンツの作成などの教材開発、事業拡大を見据えてマーケティングなどに注力予定。

今後は、2021年末までに累計生徒数2000人、累計読書感想レポート提出件数15万件突破を目指す。

児童向けオンライン読書教育の「ヨンデミーオンライン」が資金調達、正式サービス開始も発表

ヨンデミーオンラインは、「ひとりひとりの興味・読書力に寄り添った選書指導」「『本の楽しみ方』などが学べるクイズ式レッスン」「ゲーミフィケーションやコミュニティを活かしたモチベーション設計」が特徴。

ヨンデミー講師の選書ノウハウを再現した独自開発の「AI司書」に加えて、全国の司書の方々との協働体制のもとヨンデミーが独自に分析した1000冊以上の児童書データを活用することで、「読書好きへの入り口」である「お気に入りの一冊との出会い」を届けるとしている。

児童向けオンライン読書教育の「ヨンデミーオンライン」が資金調達、正式サービス開始も発表

  • AI司書がひとりひとりに合わせて本をオススメ:ヨンデミー講師の選書ノウハウを再現した「AI司書」が、児童の好みや興味に合わせるだけではなく、自然にステップアップしていけるように本をお薦め。より楽しく成長へとつながる読書体験を届ける
  • 本の楽しみ方から学べるクイズ式ミニレッスン:学校では教わらない本の楽しみ方や感想の書き方などを学べるレッスンを提供。選択式クイズに答えることで自動でレッスンが進行し、文字入力の必要がない。24時間いつでもレッスンを受講可能
  • ゲーミフィケーションとコミュニティで読書をより楽しく:読んだ本の表紙や獲得したバッジを蓄積できるようにすることで、読書へのモチベーションを向上させる。ヨンデミー生同士での感想のシェアにより読書意欲を刺激するとともに、新たな本との出会いを生み出す

2020年4月設立のYondemyは、「日本中の子どもたちへ豊かな読書体験を届ける」というミッションを掲げる、現役東大生によるスタートアップ。これまで自己資本による事業開発に取り組んでおり、ヨンデミーオンライン事業の本格化を目的に資金調達を実施したという。

ヨンデミーオンラインでは、自動化・オンライン化された読書教育を個別最適化して提供。習い事の選択肢としての「読書」が当たり前となることで、日本中の子どもたちにとって「学び」がより楽しく、より身近なものとなる世界を実現するとしている。

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カテゴリー:EdTech
タグ:資金調達(用語)Yondemy日本(国・地域)

継続するEdTechブームの中、未就学児向け教育アプリのIntellectoKidsが約3億円調達

パンデミック後のオンライン学習への移行に対する投資の勢いは続いている。3〜7歳向けの教育アプリを開発しているIntellectoKidsはシリーズAで300万ドル(約3億1200万円)を調達した。米国に拠点を置くAllrise Capitalのほか、Genesis Investmentsなどの投資家がこのラウンドを主導した。

IntellectoKidsのプラットフォームは未就学児の保護者に対し、モバイルデバイスで利用できるゲーミフィケーションの教育コンテンツと体系化されたレッスンを提供している。

IntellectoKidsは幼稚園生と小学1年生向けのコースに算数、フォニックス(発音と綴り)、サイエンス、アート、論理の5つの重要な学習トラックを備えたクラスルーム機能を提供開始する。

現在はB2Cのモデルだが、同社の創業者たちはこれに加えて2021年には小学校と幼稚園に対し、オフラインでの学習プロセスをオンラインで補完するものとしてIntellectoKidsのプラットフォームを提供したいと考えている。

2017年にIntellectoKidsを創業したのはMike Kotlov(ミケ・コトロフ)氏とAndrey Kondratyuk(アンドレイ・コンドラチュク)氏で、ともに幼い子供が3人いる。

コトロフ氏は「教育の場では、未就学児に対する教育がとても活気のある市場になりつつあります。パンデミックによって、未就学児は教育コンテンツをオンラインで自発的に消化して効果を上げることが示されました。このようなタイプのプロダクトに対する保護者や企業からのニーズが増えていることは明らかです。オンライン教育はすでにオフラインと結びついて教育のプロセス全般に寄与しているので、パンデミック収束後もオンライン教育は確実に活用されます」と述べた。

IntellectoKidsによれば、北米と中央ヨーロッパ、北ヨーロッパで200万インストールを超えているという。

カテゴリー:EdTech
タグ:IntellectoKids資金調達

画像クレジット:IntellectoKids

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(翻訳:Kaori Koyama)

趣味のオンラインレッスンmiroomが中国育児メディアBabilyと提携、日式美甲としてネイル講座販売

趣味のオンラインレッスンmiroomが中国育児メディアBabilyと提携、日式美甲としてネイル講座販売

趣味のオンラインレッスンサービス「miroom」運営のミコリーは12月10日、中国・育児メディア「Babily」(ベイビリー、中国名「贝贝粒」)運営のOnedot(上海万粒)と中国展開について業務提携を開始したと発表した。第1弾として、中国において日式美甲として知られるネイル関連のレッスン販売を開始する。

同社は、国外に多くのファンを抱えている先生方のレッスンをより多くの方が楽しめるよう、企業の中国向けデジタル戦略構築やマーケティング展開について支援を行っているOnedotと協業で、中国市場での展開を推進する。

その第1弾として、中国で日式美甲として親しまれているネイル関連レッスンの販売を開始。中国にはネイル関連の職業人口が260万人以上(2017年時点。2017美甲互联网行业报告より)とされ、多くの方に日本の著名ネイリストのアートレッスンを楽しんでもらえる見込みという。業務提携の内容は以下のとおり。

  • 中国市場調査
  • 中国向けの共同事業立ち上げ
  • マーケティング展開
  • 中国向けコンテンツ制作
  • 越境EC

東京および上海の2拠点体制をとるOnedotは、「世界中の子供と家族を笑顔に。」をコーポレートミッションとして、2017年より育児メディアBabily事業ならびに、中国向けデジタル戦略・マーケティング支援事業を主力事業として展開。

Babilyでは、子育てや家族生活に役立つ様々なコンテンツやツールを自社で制作・開発し、主に中国のSNSや動画プラットフォーム、WeChatやAlipay向けミニプログラム(ミニアプリ)の仕組みを使い自社アプリを展開している。中国で1500万以上のユーザーを抱えているという。

また同社は、Babilyで培った中国デジタル事業に関する知見を活用し、企業の中国向けデジタル戦略構築やマーケティング展開を支援。中国向けの共同事業立ち上げやソーシャルメディアマーケティング、越境ECの戦略構築、運営支援などを中心に提供している。

ミコリーは、2015年創業のITスタートアップ企業。「Enjoy a New Thing, Find a New You.」というビジョンの下、人々の余暇の時間が拡大していく中で、その過ごし方の変化と、個人が力を持ち自己実現をしていく時代を捉え、SNS時代のワンストップレッスンサービスを提供している。

レッスンを受けたり、その中で作品を作ったり見せたりする習慣は、世界共通としており、miroomを通じて、人々の余暇の楽しみを最大化できるよう、日々取り組んでいる。

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カテゴリー:EdTech
タグ:Babily美容(用語)miroomミコリーOnedot日本(国・地域)中国(国・地域)

保育園ソフトの開発・乳幼児のデータ収集・研究と保育所事業を展開するエデュホールディングスが資金調達

保育園ソフトの開発・乳幼児のデータ収集・研究と保育所事業を展開するエデュホールディングスが資金調達

保育園ソフトウェアの開発、乳幼児のデータ収集・研究とともに保育所事業を運営するエデュホールディングスは12月8日、資金調達を発表した。引受先はプロサッカー選手遠藤航氏、エンジェル投資家の有安伸宏氏をはじめとする複数の個人投資家。

今回の資金調達を通じて、スマートエデュラ保育園の設備投資、プロダクト開発、優秀な人材の採用を加速。保育現場も徐々にIT化の流れが進んでいる中で、同社は単に紙業務をデジタル化するのではなく、保育の質を高めるための課題解決に邁進していく。また同社保育所は、2022年までに15園ほどの新規開園を予定。

保育園ソフトの開発・乳幼児のデータ収集・研究と保育所事業を展開するエデュホールディングスが資金調達

エデュホールディングスは、「主体性を育む」ことをミッションに掲げ、子どもの可能性を最大化するための保育の提供と、その実現に向けた環境を構築。

主観や感覚頼りとなる「人」起点の保育ではなく、子どもの気質や発達に応じた「データ」起点の保育を提供すべく、保育園というハードウェアを根本から見直し、アップデート可能なソフトウェアという同社「スマートエデュラ」が稼働するための技術開発を行っている。

具体的には、以下3点が主な特徴としている。

  • 高いデザイン性と地域の独自性に根差した「世界にひとつだけの保育園創り」
  • 保育士の観察による定性データと、ICT技術を活用した定量データを掛け合わせることで、子どもの成長を見える化
  • 子どもたちひとりひとりの気質や発達に応じた、パーソナライズ保育の提供

乳幼児期における自己肯定感やメタ認知などの非認知能力は生涯に与える影響が大きいことが多くの研究で明らかにされているという。また、乳幼児期(0~5歳)のひとりひとりの発達の違いは、20歳~25歳のような年齢差とは大きく異なる。そのため、子どもたちそれぞれを深く理解し、気質や発達状況に応じて保育を提供することが非常に重要としている。

しかし、多くの保育士さんが多大な努力によって子どもたちの成長を支えているにもかかわらず、経験や感覚に頼った主観的な保育による質のバラツキ、多忙な現場によって機能していない監査書類など、保育の本質ではない課題が山積しているという。

同社の「スマートエデュラ」は、保育にテクノロジーやデータサイエンスを活用することで、子どもたちの良質な活動データを取得し、その気質や発達に応じた良質な保育を提供するとしている。

これは、エデュホールディングスの完全子会社であるエデュラの技術や研究開発力、9園の保育園を運営するEduleadの実現環境と実行力により成り立っているという。

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タグ:エデュホールディングス教育(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

Preferred NetworksがAI・高度IT人材育成に向け機械学習・深層学習コンテンツ4種を公開

Preferred NetworksがAI・高度IT人材育成に向け機械学習・深層学習コンテンツ4種を公開

Preferred Networks(プリファードネットワークス。PFN)は12月7日、AIおよびデータサイエンスを基礎から学びたい大学生・社会人向けに、機械学習・深層学習の基礎学習コンテンツ4種を、SIGNATEが運営する個人向けオンラインAI人材育成講座「SIGNATE Quest」のマーケットプレイスにおいて公開した。

SIGNATE Questは、AI開発やデータ分析のスキルを身につけるための個人向けオンライン講座プログラム。2020年4月のリリースからこれまでに約6千人が受講しているという。

PFNは深層学習フレームワークの開発、深層学習技術の産業応用において培ってきた経験をもとに、これからの社会を担う大学生・社会人向けに、機械学習・深層学習技術の活用に必須となる知識を習得するための4つの基礎学習コンテンツを提供する。

  • Python入門(税別1000円/30日間):a) 変数 b) 制御構文 c) 関数 d) クラス
  • 数学基礎(税別1000円/30日間):a) 機械学習に使われる数学 b) 微分の基礎 c) 線形代数の基礎 d) 確率・統計の基礎
  • 機械学習とデータ分析(税別3000円/30日間):a) 単回帰分析と重回帰分析 b) NumPy入門 c) scikit-learn入門 d) Pandas入門 e) Matplotlib入門
  • ディープラーニング入門(税別2000円/30日間):a) ニューラルネットワークの基礎 b) PyTorchの基礎 c) PyTorchの応用

SIGNATE Questのマーケットプレイスで提供する学習コンテンツは、「ディープラーニング入門 Chainerチュートリアル」のカリキュラムをベースに、PyTorchの使い方や、項目ごとの習得度合をチェックできる確認クイズなどから構成。

PFNは、これまで小学生向けプログラミング教材「Playgram」、高校・高専・大学生向け「実践! Chainerとロボットで学ぶディープラーニング」、大学生・社会人向け「Chainerチュートリアル」、「メディカルAI専門コース オンライン講義資料」など、様々なユーザーに合わせてコンピュータサイエンス教育のためのコンテンツを開発・提供。

今後も、現実世界のあらゆる事象がコンピュータで計算可能となる将来を見据え、初等教育からリカレント教育まですべての世代に質の高いコンピュータサイエンスの学習機会を広く提供することを目指す。

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カテゴリー:EdTech
タグ:教育(用語)SIGNATE Questディープラーニング / 深層学習(用語)Preferred Networks(企業)プログラミング(用語)日本(国・地域)

子供向け英語学習アプリのNovakidがシリーズAで約4.4億円を調達

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大で子供の教育に大混乱が生じ、EdTechのスタートアップは成長している。いまのところ、毎週のように新たな資金調達が明らかになっているように思えるほどだ。

今度はNovakidの番だ。同社は子供向けのESL(English as a Second Language、第2言語としての英語)学習を手がけるEdTechスタートアップの1つだ。同種のソリューションがたくさんある中、シリーズAで425万ドル(約4億4000万円)を調達したNovakidにチャンスはある。このラウンドはハンガリーを拠点とするPortfoLion(東ヨーロッパの主力銀行であるOTPのグループ企業)と、EdTechを対象としていることで知られる米国ファンドのLearnStartが主導した。LearnStartは、以前にVIPKIDやBrilliant.orgを支援したLearnCapital VCの一員だ。TMT InvestmentsとXploration Capitalもこのラウンドに参加した。150万ドル(約1億6000万円)を調達した2020年1月の資金調達ラウンドには、韓国を拠点とするBonAngelsとLETA Capitalの2社のシードインベスターが参加した。

Novakidの教授法はAsher(アッシャー)、Thornbury(ソーンベリー)、Krashen(クラッシェン)、Chomsky(チョムスキー)の言語習得理論に基づいており、4〜12歳の子供に特に適している。米国で法人化し、ヨーロッパを中心に開発とカスタマーサポートをしている。

共同創業者でCEOのMax Azarow(マックス・アザロフ)氏は次のように述べている。「Novakidは主に話されている言語が英語でない国や地域にいる子供たちの英語学習を再発明します。そうした国や地域では英語は通常、文法を中心に抽象的な教科として教えられ、実用的な演習はあまりありません。これに対してNovakidは、極めてインタラクティブなデジタルのカリキュラムとライブの個人指導セッションを組み合わせた独自の形式を提供しています。ライブのセッションでは完全に英語漬けになるために学習者とチューターが英語のみで会話をします」。

PortfoLionのパートナーであるAurél Påsztor(オーレル・パスター)氏は次のようにコメントした。「Novakidは素晴らしい成長を遂げていることから投資家の注目を集めました。対前年比で学習者数も収益も500%以上増加しています。他にも、顧客のリテンションが高い、国際的にビジネスを広げている、有料サブスクリプションで確実に収益化しているといった点が魅力です」。

カテゴリー:EdTech
タグ:Novakid語学学習資金調達

画像クレジット:Novakid

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(翻訳:Kaori Koyama)

退屈な教科書を「ピクサー」みたいな動画に置き換えて学習効果を上げるSketchyが約31億円調達

医学部の勉強は厳しい。しかし、それがPixar(ピクサー)みたいだったらどうだろう?

視覚的学習プラットフォームのSketchy(スケッチー)は、医学部の学生が試験前に暗記しなければならない難しい教材の情報を、イラスト化したシーンに置き換えている。たとえば新型コロナウイルスの説明に田園地帯の王国を用いたり、サルモネラ菌の解説にサーモンのディナーを使うといった具合だ。目標は、試験中に学生がそのシーンを思い出し、その中を歩き回ってあらゆる情報を回収できるようにすることだ。

Sketchyの戦略は奇妙に見えるかもしれないが、実際にはよく知られたものだ。「メモリーパレス」(記憶の宮殿)という、記憶の初期にモノと概念を結び付ける記憶術がある。現在のところ、Sketchyは3万人以上の有料会員を擁し、今年の収益は700万ドル(約7億3000万円)に迫る勢いだ。

この勢いを維持しつつ、コンテンツの新たな垂直市場に乗り込むために、Sketchyは、創設7年目にして初めてベンチャー投資を受けることにした。2020年11月、同社はThe Chernin Group(TCG)主導による3000万ドル(約31億円)のシリーズA投資を調達したと発表した(Businesswire記事)。そして米国時間12月2日、一部の株式がReach Capital(リーチ・キャピタル)に第二次取引で売却された。現在それは300万ドル(約3億1300万円)の価値に相当する。創設以来、自己資金でやってきた企業にしてみれば、これは大きな共同投資だ。またこの取引により、オンライン教育の方向性が明らかになってきた。

この資金は、Sketchyが医学生のためのコンテンツサービスの枠を乗り越え、法務から看護に至る医療分野もカバーする教育プラットフォームを目指す中でもたらされた。新たな資金を得て、Sketchyは社内にアニメーションスタジオを開設し、さらに多くのアーティストや、今はコンサルタントとして協力している医師を雇い入れる計画だ。

ストーリー

Sketchyの魔法と有効性は、そのほとんどが共同創設者の全員が医療分野出身であることから生まれている。

この会社は2013年に設立された。当時まだ医学生だったSaud Siddiqui (サウド・シディキ)氏とAndrew Berg(アンドリュー・バーグ)氏は、微生物学用のもっと効果的な学習方法を必死に求めていた時期だ。学習に弾みをつけるために、バーグ氏とシディキ氏は、キャラクターが登場する物語を作って概念を記憶しようと考えた。その後、何度か試験でいい成績が取れるようになると、クラスメートのためにも物語を作るようになった。

「サウドも私もアーティストではないので、絵はひどいものでした」とバーグ氏はいう。絶え間なく要望が入るようになると、2人はその稚拙なスケッチをYouTubeで公開した。やがて、シディキ氏とバーグ氏は、クラスメートで絵が上手かったBryan Lemieux(ブライアン・レミュー)氏を引き込み、彼らの物語を描いてもらうことにした。その後、ブライアンは双子の兄弟Aaron(アーロン)を誘い、メンバーが揃った。

時間は流れて現在、シディキ氏とバーブ氏は救急医療での研修を終え、レミュー兄弟は医学から離れる決意をした。それぞれ2つの仕事のバランスを保とうと頑張ってきたが、ついに全員がこの会社にフルタイムで取り組むことになった。それでも医療現場で培った知識は、この仕事に活かされている。

このスタートアップの名称は一度変更されている。設立当初はSketchyMecical(スケッチーメディカル)だったが、ただのSketchyにリブランドされた。絵を主体とすることで全員が同意してこの名前にしたのだが、ネガティブな印象もある(訳注:Sketchyは素描のようなという意味だが、大ざっぱ、中途半端、怪しい人などの意味もある)。将来またリブランドされる可能性がある。

社名の意味はともかく、同社の主張によれば米国の医学生の3分の1がサービスを利用しているという。収益の大半は、おもにステップ1とステップ2の試験勉強をしている医学生を対象にした12カ月間のサブスクリプションだ。

いろいろな意味でB2Cは手堅いビジネスモデルだが(手続きだらけの大学を相手にするよりも、個人に出費を促すほうが簡単だからだ)、同社は有望なB2B事業の拡大も発表している。現在のところ、収益の20%は医科大学との直接契約によるものだ。共同創設者たちは、当面は両方の成長方法を追求するが、いずれは大学との契約を増やし、学生が費用を負担せずに済むようになればうれしいと話している。

新型コロナを越えて

Sketchyに投資しているReach CapitalのJennifer Carolan(ジェニファー・キャロラン)氏は、Sketchyの医学生を対象にしたプロダクトマーケットフィットは「彼らのコンテンツに価値があることの強力なシグナル」だと話している。Picorize(ピコライズ)やMedcomic(メドコミック)といったライバルはいるものの、Sketchyの製品には正当性があり、新たな垂直市場への拡張が可能だと彼女はいう。この投資会社がSketchyに投資を持ちかけた理由の1つには、顧客獲得コストが低いことがあると、キャロラン氏はブログ記事に書いていた。

とはいうものの、リモート学習のおかげで新規ユーザーからの需要急増に潤っている他の多くのエドテック企業とは異なり、Sketchyは新型コロナウイルス特需の恩恵には浴していない。

「私たちは、プロダクトマーケットフィットが見つけられず、コロナ後に需要が爆発した企業とは違います」とバーグ氏。「私たちは、ずっとそこにいて、ずっと成長を続けてきました」。

つまり、今回の資金調達の本当のきっかけは、新型コロナウイルスによる影響ではなく、継続的な成長で得た資金を、より多くのデジタルカリキュラム垂直市場に投入したことだ。

長期的には、Sketchyも、教科書出版社に取って代わろうと目論むTop Hat Jr(トップ・ハット・ジュニア)やNewsela(ニューゼラ)などのスタートアップの軍勢に加わることになる。リモートの世界では、生の動画コンテンツは価値の喪失が早い。新規参入組はそれらに代わる、より効率的でエンゲージメントの高いコンテンツを提供しようと努力している。

「課題として、決して先を急がないことがあります」とシディキ氏。「私たちは、長年保ってきた品質のレベルを堅持しつつ、規模を拡大したいと考えています」。

【Japan編集部】公開当初この記事には、Sketchyは3200万ドルを調達したと書かれていた。しかしそれは誤りで、正しくは3000万ドルとReach Capitalの第二次取引で資金を調達している。

カテゴリー:EdTech
タグ:Sketchy医療オンライン学習資金調達

画像クレジット:Sketchy

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(翻訳:金井哲夫)

趣味のオンラインレッスン「miroom」運営のミコリーが2億円調達、マーケティングやコンテンツ強化

趣味のオンラインレッスン「miroom」運営のミコリーが2億円調達、マーケティングやコンテンツ強化

趣味のオンラインレッスンサービス「miroom」運営のミコリーは11月30日、シリーズAにおいて、第三者割当増資として総額2億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、既存株主ANRIに加え、大和企業投資、サムライインキュベート(Samurai Incubate Fund 6号投資事業有限責任組合)、アドウェイズ、三生キャピタル、個人投資家2名。

調達した資金は、「国内外での新規顧客獲得のためのマーケティング強化」、「miroomの成長加速に向けたアプリ・コンテンツ開発」、「開発人材、幹部人材の採用強化」といった用途にあてる。

miroomは、著名な先生による趣味の本格的なレッスンをオンラインで受けることができるサービス。レッスンを開講している先生は200名ほど。レッスン内容は手芸やフィットネス、盆栽など20カテゴリーと多岐に渡り、レッスン数も1500件以上にのぼる。

受講希望者は、月額1980円(税抜)の月謝会員になると好きなレッスンをいつでも受講でき、また先生がレッスンの中で使っているものと同じ材料や道具を購入可能。単にコンテンツを提供するだけでなく、しっかりと作ることができる体験を提供するため日夜サービス開発にミコリーは取り組んでいるという。

趣味や習い事にすでに興味を持っている方だけでなく、コロナ禍による外出自粛や、介護・入院・育児といった外部要因により興味を持っているけれど気軽に趣味や習い事を満喫できない方が多数受講しているそうだ。

また、レッスンを提供する先生も、コロナ禍によりリアルの教室・サロン経営に影響が出ており、先生方が継続して創作活動を行えるよう、同社では独自での緊急支援施策(資金面含む)を実行しているという。

ミコリーは、2015年創業のITスタートアップ企業。「Enjoy a New Thing, Find a New You.」というビジョンの下、人々の余暇の時間が拡大していく中で、その過ごし方の変化と、個人が力を持ち自己実現をしていく時代を捉え、SNS時代のワンストップレッスンサービスを提供している。

レッスンを受けたり、その中で作品を作ったり見せたりする習慣は、世界共通としており、miroomを通じて、人々の余暇の楽しみを最大化できるよう、日々取り組んでいる。

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カテゴリー:EdTech
タグ:COVID-19(用語)資金調達(用語)新型コロナウイルス(用語)miroomミコリー日本(国・地域)

教育用ゲームプラットフォームのKahoot!が言語学習のDropsを約52億円で買収

教育用ゲームを作って共有できる人気スタートアップのKahoot!は、ソフトバンクから2億1500万ドル(約223億8000万円)を調達(未訳記事)してオンライン学習に対する関心を一気に集めた。その同社が、今度は対象とする教科を広げるために買収を実施する。Kahoot!は、絵と単語をベースとした短いゲームで言語を学ぶスタートアップのDropsを選んだ。Kahoot!の機能をDropsのアプリに統合し、Dropsのコンテンツの一部をメインのKahoot!のプラットフォームに組み込む計画だ。

Kahoot!はノルウェーのオルタナティブ投資市場であるメルクール市場で株式の一部を取引し、現在の時価総額は30億ドル(約3123億円)を超える(Yahoo! Finance)。同社は発表の中で、Dropsに3100万ドル(約32億3000万円)を現金で支払い、2020年から2022年までの間にDropsが一定の成果をあげたかどうかに基づいてさらに最大1900万ドル(約19億8000万円)を現金と株式で支払うと述べている。取引は2020年11月中に完了する予定で、同社にとってはこれまでで最大の買収だという。

Dropsにはメインのアプリが3つある。1つ目は企業名をそのまま名前にした、無料の機能と有料の機能があるフリーミアムのアプリだ。成人が新しい言語を学べるアプリで、現在42言語に対応している。ボキャブラリーを5分間ほどの「つまみ食い」セッションで身につけることができる。2つ目のアプリは読み書きと手話を学ぶ「Scripts」で、米国手話を含め7言語に対応している。3つ目は「Droplets」で、8〜17歳の学習者が言語を学ぶことに特化したものだ。全部で2500万人のユーザーを獲得している。

DropsがTechCrunchの(そしてスタートアップ界の)レーダーに入ってこなかった理由の1つは、資金調達をせず自己資本でブートストラップしてきたからかもしれない(アクセラレーターのGameFoundersが関わっていた)。しかし2018年にはGoogle(グーグル)のベストアプリに選ばれるなど、高い評価を得てきた。

Dropsはエストニアで創業し、21人の従業員がいる。「本社」はなく、チームはエストニア、米国、英国、スペイン、イタリア、フランス、ドイツ、スウェーデン、オランダ、ハンガリー、ウクライナ、ロシアに散らばっている。このことが低コストで運営できる理由の1つだろう。2019年の売上高は630万ユーロ(約7億8300万円)で、キャッシュコンバージョンは40%だという。

もう少し背景を説明すると、Microsoft(マイクロソフト)やDisney、Northzoneなどから支援を受けているKahoot!によれば、直近の12カ月で200カ国以上の10億人を超えるプレイヤーが、Kahoot!のセッションに2億回以上参加したという。この数字には、無料サービスを利用する学習者と、このプラットフォーム上でゲームを作って利用するために費用を支払っている企業(例えば専門の開発者やビジネスコンプライアンス関連など)の両方が含まれる。

Kahoot!のCEOであるEilert Hanoa(アイレート・ハノア)氏は発表の中で次のように述べている。「我々は世界をリードする学習プラットフォームになるというビジョンに向かって前進しており、成長を続けるKahoot!ファミリーにDropsを迎えることをたいへんうれしく思っています。Dropsのサービスと革新的な学習モデルは、シンプルなゲームベースのアプローチで学習を素晴らしいものにするというKahoot!のミッションと完璧に一致します。Dropsと言語学習は、あらゆる年代や能力の学習者向けアプリとして成長を続ける我々にとって最新のサービスとなります。我々はこれからも新しい領域に進出し、Kahoot!を家でも学校でも職場でも学べる究極の場とし、学習を素晴らしいものにしていきます!」。

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により、教育用アプリは急成長し、全体として利用が大幅に増えている。

新型コロナの感染拡大を防ぐために学校が閉鎖されたり、できることが極端に減ったりする中で、学生、教員、保護者にとって教育用アプリは連絡を取り合い教えるための手段となっている。

一方、企業などの組織はスタッフの多くが在宅勤務をしている中で、スタッフとのつながりを維持し、エンゲージし、トレーニングをするために、eラーニングを利用している。

私たちの多くにとって、完全に禁止されているわけではないにしても移動が大幅に制限されているこの時期に言語学習が大ブームになっているのは皮肉なことのようにも思える。

おそらく、やれるときにやっておこうということなのだろう。つまり、新たに習得した外国語のスキルを本当に使えるようになるときに備えて、いまの時間を使って準備しようということだ。あるいは、建設的に気を紛らわしたり何かに没頭したりしようということかもしれない。動機や理由はともかく、結果として言語学習は活発になっている。

同様にゲームベースのコンセプトで学習と毎日のセッションを続けてリーダーボードを目指すDuolingoも最近、24億ドル(約2500億円)の評価額で3500万ドル(約36億円)を調達し、大きく飛躍した。

Kahoot!は、デジタル言語学習が2025年までに80億ドル(約8300億円)を超える市場になるという予測(Statistaレポート)を引き合いに出し、Dropsは「世界で最も成長の早い言語プラットフォームの1つ」だと説明した。

Dropsの共同創業者でCEOのDaniel Farkas(ダニエル・ファーカス)氏は発表の中で「Dropsの全員がこの5年間、言語学習の新しい方法を作ってきました。まだ始まったばかりです。我々は世界中の多くのユーザーに、楽しくてダイナミックな言語学習のアプローチを紹介してきました。Kahoot!も同じタイプの学習を提供しています。ミッションを同じくする企業と連携してDropsのプラットフォームを世界中にいるゲーム好きの学習者に提供できることを楽しみにしています」と述べている。

これはKahoot!にとって4社目で、これまでで最大規模の買収だ。Kahoot!はDropsのケースと同様に、これまでにも学生向けの数学学習(未訳記事)や企業ユーザーの管理ツール(未訳記事)など自社プラットフォームに新たな専門分野を取り入れるためにM&Aを実施してきた。

関連記事:コロナ需要に沸くEdTech、言語学習アプリDuolingoが約36億円調達

カテゴリー:EdTech
タグ:Kahoot!Drops買収

画像クレジット:Drops under a CC BY 2.0 license.

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(翻訳:Kaori Koyama)

インドのEdTech「Unacademy」が新たに資金調達、企業価値2090億円に

インドのオンライン学習プラットフォームUnacademy(アンアカデミー)は資本政策表に新たな大手投資家2社を加えた。K-12オンライン教育を専門とするバンガロール拠点のUnacademyは米国時間11月25日、Tiger Global ManagementとDragoneer Investment Groupから資金を調達したと発表した。

7500万ドル〜1億ドル規模(78億〜104億円、Unacademyは額を明らかにしておらず、この数字はこの件に詳しい人物が提供したもの)の投資ラウンドにより、創業4年半のUnacademyのバリュエーションは20億ドル(約2090億円)になった。Facebook(フェイスブック)が投資家に加わった2020年2月時の5億ドル(約520億円)、SoftBank(ソフトバンク)がラウンドをリードした9月の14億5000万ドル(約1510億円)から増えている。

「創業時からの当社のミッションは、教育を多くの人に届け、よりリーズナブル価格でアクセスしやすいものにすることでした。当社は、あらゆる人に高品質の教育を届けるアイコン的存在のプロダクトを絶えず開発してきました。本日、Tiger GlobalとDragoneerをパートナーとして迎えることをうれしく思います。両社とも大手グローバル投資家で、人々の暮らしに影響を与えるイノベーティブな企業と提携してきた実績があります」とUnacademyの共同創業者でCEOのGaurav Munjal(ガウラフ・ムンヤル)氏は声明文で述べた。

Unacademyは、競争の激しい大学入学試験に備える学生や、修士レベルのコースを追求している人をサポートしている。Unacademyのアプリでは学生は講師のライブ授業を視聴し、その後にテーマについてより詳細にレビューするセッションに参加する。ここ数カ月で、同社はインドの政治家Shashi Tharoor(シャシ・タルール)氏など著名な人とさまざまなテーマでのオンラインインタビューをいくつか持った。これにより、学生以外にもアピールすることになった。

Unacademyのプラットフォームは4万7000人超の講師を抱え、14以上の言語でインド国内5000市町村の学生に教えている。毎月15万以上のライブ授業がプラットフォーム上で行われ、毎月のトータル視聴時間は20億分だと同社は述べた。

「完全なるアクセシビリティを備え、オンライン教育を通じて暮らしを改善するチャンスは莫大なものです。Unacademyのチームは教育をインドの隅々にまで届けるリーダー的プラットフォームを構築するために迅速にイノベーションに取り組んできました。Unacademyと提携することに非常に興奮していて、提携をさらに深めることを楽しみにしています」とTiger Globalのパートナー、Scott Shleifer(スコット・シュレイファー)氏は声明文で述べている。

インドの学習にかける時間は世界でも長い(ゴールドマン・サックスが今年初めにクライアントに提供した分析レポートより)

全国の学校が新型コロナウイルスパンデミックで閉鎖される中、インドの多くの教育スタートアップはここ数カ月でかなりの成長をみせている。ほとんどのインド人がオンラインサービスにはお金を出さない傾向にあるが(GoogleやFacebookに聞くといい。両社ともインドをユーザー数では最大のマーケットとしてとらえているが、さほど利益は出していない)、教育に関しては例外だ。インド人の家庭は、より良い未来へと道を切り開くために引き続き子供の教育にかなりの金を注ぎ込む。

カテゴリー:EdTech
タグ:Unacademy資金調達インド

画像クレジット:Unacademy

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(翻訳:Mizoguchi

低年齢児童の英語学習はゲーム化が鍵、ウクライナのAllRightがシリーズAを調達

AllRightは4歳以上の子どもを対象とする英語学習プラットフォームで、リアルの先生がレッスンをしてAIが宿題を手伝ってくれる。同社はこの度、Genesis InvestmentsがリードするシリーズAのラウンドで500万ドル(約5億2000万円)を調達した。TMT InvestmentsとTerraVC、そしてこれまでの投資家であるFlashpointとMisha Lyalinが参加した。

ウクライナ生まれの同社は市場を徐々に拡大し、いまではポーランドとロシア、スペインそしてラテンアメリカにも進出している。AllRightのコンペティターにはOpen EnglishやLingoKids(2200万ドル、約22億8000万円調達)、MyBuddy、Preply(1500万ドル、約15億6000万円)、それにNovaKid(230万ドル、約2億4000蔓延)などがいる。

英語を勉強している人は全世界でほぼ15億人いる、と推計されている。その中の子どもは2020年に5億人に達してる。グローバルでの英語学習市場の規模は、2025年に55億ドル(約5712億4000蔓延)に達すると予想され、1年に7%増加しているといわれている。

そこで同社は、途上国市場など、オンラインの教育があまり普及していない市場を狙っている。2017年にローンチしたAllRightは、スペイン語とポーランド語とロシア語による英語学習サービスを立ち上げ、現在では9000人の生徒が月に述べ5万回のレッスンを受けている(1名あたり5回強)。

学習は先生と生徒のリアルタイムのコラボレーションで行われ、同社によると、オンラインでのライブレッスンは「AIがクオリティをコントロールし先生を助ける」ものだという。インターフェイスは音声のみで、音声認識と音声合成のソフトウェアを利用する。子どもたちは、書かれた英語ではなく、実際に話される英語をAIに助けられつつ練習する。パンデミックで学校の授業もバーチャルで行われているところが多いため、オンラインのレッスンも違和感がなくなりつつある。

AllRightはOleg Oksyuk(オレグ・オクシュク)氏が創業し、51TalksやSkyEng、Cisco、Yandexなどにいたメンバーがチームに所属している。「私たちがパイロット段階のレッスンをローンチしたのは3年前だが、その間、低年齢の子どもたちの英語学習にはゲーム的であることが効果的だとわかった。そこで2019年3月に、受講料を抑えたエデュテインメントプログラムに方向を転換し、受講者の母国語にロシア語のほかにスペイン語とポーランド語も加えた」とオクシュク氏は語る。

Genesis InvestmentsのゼネラルパートナーであるVitaly Laptenok(ヴィタリーラプテノク)氏は「これはGenesis Investmentsにとって、これまでで最大の投資だ。このプラットフォームではユーザー数が1年で3倍伸びており、新たな市場に進出することで、この勢いを維持できる」と語っている

カテゴリー:EdTech
タグ:AllRight

画像クレジット:Imgorthand / Getty / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a..k.a. hiwa

コロナ需要に沸くEdTech、言語学習アプリDuolingoが約36億円調達

TechCrunchは先週、これまでに5億回ダウンロードされた人気の言語学習アプリDuolingo(デュオリンゴ)が少なくとも22億1000万ドル(約2300億円)のバリュエーションで3500万ドル(約36億円)を調達中だと報じた。新型コロナウイルス感染症により人々が家で過ごす時間が長くなり、そしてスクリーンを介してやり取りするようになった結果、eラーニングや他の教育スタートアップが人気を集めている。巨額調達も相次いでいるが、今回の資金調達はそうした流れの中で最新の動きだ。

Duolingoの数字が公式に明らかになった。同社はT. Rowe PriceのスターだったHenry Ellenbogen(ヘンリーエレンボーゲン)氏によって2019年に設立されたDurable CapitalとGeneral Atlanticから3500万ドルを調達したことを認めた。これによりDuolingoのバリュエーションは24億ドル(約2500億円)になる。

この数字は、2020年初めにGeneral Atlanticが密かにDuolingoに1000万ドル(約10億円)を出資した際のバリュエーション16億5000万ドル(約1713億円)からすると、かなりの飛躍だ。

この理由の1つは一般マーケットだ。

EdTechは、対面授業ができないときに教える良い方法を模索する教育機関、リモートで働く従業員をトレーニングする方法を探している事業所、Netflix(ネットフリックス)を視聴したりFacebook(フェイスブック)でDonald Trump(ドナルド・トランプ)氏について議論したりするだけでなくより生産的なことをしようとしている消費者、生徒が遠く離れたところにいる場合に理解するのが難しいコンセプトをどのように教えるかインスピレーションを得ようとしている教育者などからかなり注目され、活用されてきた。

Duolingoはその恩恵を受けてきた。追加のゲーム機能をアプリ内購入でき、そして広告をともなうフリーミアムのアプリであるDuolingoは、学習者(利用者)のベースが昨年30%成長し、ブッキングは100%増える見通しだ。

投資家が自信を深めたのは、そうしたトレンドがパンデミック前からDuolingoに見られていたことだった。過去3年間、100%の売上高成長を達成している。Sensor Towerによると、Duolingoの売上高は2019年から教育アプリとしては最も大きい。

ピッツバーグに拠点を置くDuolingoにとって米国が最大のマーケットで、ユーザーベースの20%を占める。しかしさまざまなマーケットで利用者を増やしている(筆者の夫はここロンドンでイタリア語を学んでいる)。アジアはいまユーザーベースの15%を占めている。アジアマーケットのもう1つの注目すべき点は、高等教育の入学手続きの一環としてDuolingoの英語テストを受ける人の数が15倍の成長をみせていることだ。

今後気になるのは、Duolingoがどのように次のステップに踏み出すかだ。同社は、reCAPTCHAの創業者Luis von Ahn(ルイス・フォン・アン)氏によって創業され、現在も同氏が率いている。同社の初期の事業モデルは、有料企業が出すテキストを語学学習者とアプリユーザーが翻訳するというアイデアに基づいていた。最近では広告とアプリ内のプレミアム機能で売上を出している。

同社はまた、大人以外の学習にも範囲を広げ、2020年初めに読み書きを学ぶ子どものためのアプリを立ち上げた。

それは収入源の多角化につながり、同社が上場するときには役に立つかもしれない。

「事業を目覚しく成長させながら当社が成し遂げてきた影響を誇りに思っています」とCEOのフォン・アン氏は声明文で述べた。

「Duolingoは、ミッションドリブン、素晴らしいカルチャー、時間が経つにつれかなり溶け込むことができる素晴らしい人々など、投資で望むことに応えるビジネスです」とDurable Capital Partners LPの投資責任者であるHenry Ellenbogen(ヘンリー・エレンボーゲン)氏は声明文で述べた。「ルイスは素晴らしい起業家であり、Duolingoの次なる成長のために提携できることをうれしく思います」。

「2020年4月に初めて投資しましたが、ルイスそしてDuolingoと提携を深めることに興奮しています」とGeneral AtlanticのマネージングディレクターTanzeen Syed(タンジーン・サイド)氏は述べた。「Duolingoは基礎となる学習テクノロジー、効果的で魅力的なプロダクト、そしてユーザーの情熱的なコミュニティを首尾よく構築しました。Duolingoはグローバルでのデジタル学習の加速に資金を注入しつつ、マーケットを牽引する地位を揺るぎないものにし、プロダクトやチーム、顧客ベースを拡充するさらなる機会を手にしています」。

EdTechスタートアップによる他の資金調達としては、Udacity(ユダシティ)が2020年11月初めに7500万ドル(約78億円)のデットラウンドを発表し、ようやく黒字化を達成したと述べた。10月にはKahoot(カフート)がソフトバンクから2億1500万ドル(約223億円)を調達したことを発表した。そして9月にはOutschool(アウトスクール)が5000万ドル(約52億円)を、Unacademyは1億5000万ドル(156億約円)を調達した。そしてEdTech大手Byju’s(ビジュース)はSilver Lakeから5億ドル(約519億円)を調達した。

これまで以上に大きなマーケットがオンライン教育を使いこなすようになり、小型の資金調達、新しいEdTechスタートアップの立ち上げ、そのほかにもこの業界の勢いを示す動きがみられる。

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ベネッセ出資のオンライン学習マーケットプレイスUdemyが最大105億円調達の見込み

オンライン教育は、2020年のテクノロジー業界におけるホットスポットの1つだ。人々はeラーニングツールを利用して、新型コロナウイルスのパンデミックにより閉鎖された学校、閉鎖されたオフィス、ソーシャルディスタンス、以前より増えた自宅での時間などから生じた隙間を埋めている。そしてそれが教育のスタートアップに大きな衝撃を与えた。複数の会社が成長のチャンスを生かすために資金を調達しようとしている。

その最新の動きとして、Udemy(ユーデミー)が最大1億ドル(約105億円)を調達しようとしている。同社はPython(パイソン)の学習やより良い写真の撮影方法、マインドフルネスやビジネスアナリティクスの習得に至るまで、現在65の言語で約13万のビデオベースのコースを用意するマーケットプレイスを提供している。今回のシリーズFラウンドの資金調達で、同社は最大33億2000万ドル(約3490億円)のバリュエーションがつきそうだ。

同社はデラウェア州で資金調達のための書類を提出した。Justin Byers(ジャスティン・バイヤーズ)氏とPrime Unicorn Index(プライム・ユニコーン・インデックス)のチームが最初に気づいた。ラウンドが完了したかどうか、また全額が(または実際にはそれ以上)が調達されたのかどうかははっきりしない。

回答を求められたUdemyは報道を否定しなかったが、現在のところコメントを拒否している。「当社は憶測についてコメントしないという方針です」と広報担当者は電子メールで筆者に述べた。「現時点でコメントはありませんが、何か変化があればご連絡いたします」。

資金調達はUdemyにとって強力な動きになると思われる。同社は2020年初めにシリーズEを終了したばかりだ。5000万ドル(約53億円)のラウンド(ベネッセが出資)で、ポストマネーで20億ドル(約2100億円)以上のバリュエーションとなった。

だがそれは新型コロナが実際に世界を支配する前の2月のことだった。その後、教育分野のスタートアップは今年の春からビジネスが急増した。その結果、新星を支援する良いタイミングだと見る投資家からの注目も急増した。

最近の取引をいくつか見てみよう。Udacity(ユダシティ)は先週、7500万ドル(約78億円)の負債ラウンドを発表し、ついに利益を計上したと述べた。10月にはKahoot(カフート、未訳記事)がソフトバンクから2億1500万ドル(約230億円)を調達するラウンドを発表した。そして9月、Outschool(アウトスクール)が4500万ドル(約47億円)を調達した(そして現在は利益を上げている)。Homer(ホーマー)は戦略的投資家から成る華々しいグループから5000万ドル(約53億円)を調達した(未訳記事)。Unacademy(アンアカデミー)は1億5000万ドル(約160億円)を調達し(未訳記事)、大手のByju’s(ビジュス)はSilver Lake(シルバーレイク)から5億ドル(約530億円)を獲得した

これらは大規模な取引のほんの数例にすぎない。多くの小規模な資金調達があり、新しいエドテックのスタートアップが立ち上げられており、他にも勢いの兆候(未訳記事)が見られる。ちなみにPrime Unicornによると、Duolingo(デュオリンゴ)も資金調達中だ。22億1000万ドル(約2320億円)のバリュエーションで、すべての株式が発行される場合、最大3500万ドル(約36億円)の資金調達となる。TechCrunchはこのニュースを掘り下げているところだ。

Udemyにとって直近の資金調達となった2020年初め、事業部門の社長が筆者にUdemyには5000万人の学生がアラカルト形式でコースを購入しており、また企業の顧客(Adidas、General Mills、トヨタ、Wipro、Pinterest、Lyftなど合計約5000社)はサブスクリプションモデルを使用していると語った。

同社のウェブサイトに掲載されている数字によるとビジネスユーザーは増加して現在7000人を超えており、現在までに合計4億のコースが登録されているようだ。Udemyが現在、多くの資金を使って模索している機会はここに示されているのかもしれない。

しかし、はっきりさせておくと、書類からは最新のラウンドに誰が参加したのか、また資金調達の目的が何なのかは詳述されていない。

2月のラウンド時に書いたように、その時の資金調達はUdemyと提携している日本の教育出版社であるベネッセホールディングスという戦略的投資家1社からのものだった。ベネッセのビジネスには、オンラインと対面の両方に対応する子供向けの教育コンテンツと大人向けの教育コースの開発が含まれている。同社の傘下にあるBerlitz(ベルリッツ)のようなブランド向けの開発もある。Udemyはベネッセのそうしたさまざまな取り組みのためのコンテンツ開発を支援している。

同社の他の投資家にはStripes、Naspers(現在はProsus)、Learn Capital、Insight Partners、Norwest Venture Partnersなどがいる。

Prime Unicorn Indexによると、この最新のシリーズFの条件には「通常の転換権がある他のすべての優先株式に対する均等な残余財産優先分配権、つまり、資金が残っている場合は普通株式に参加しない」が含まれるとある。また、Udemyの直近の1株当たり価格は24.13ドル(約2530円)であり、シリーズEで設定した15.57ドル(約1630円)から上昇した。

詳細がわかり次第続報する。

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ユダシティがデットファイナンスで78億円を調達、技術系教育ビジネスが好調

新型コロナウイルス感染症の世界的流行により仕事と学習のあり方が大きな変革を迫られている中、オンライン教育ツールに対する関心が高まり続けている。米国時間11月3日、オンライン教育ツールの老舗企業の1つであるUdacity(ユダシティ)が、法人向けサービスへと方向転換して黒字化を図るべく、資金調達を発表した。同社が展開するのは、社員や公務員のスキルアップを図って最新の需要に対応できる技術的専門知識を身につけてもらおうとする企業や政府機関向けのサービスだ。

ユダシティは、人工知能、プログラミング、自動運転、クラウドコンピューティングといった技術関連の分野でオンライン講座を開催しており、「ナノディグリー」という概念を広く普及させてきた会社だ。今回の資金調達では、デットファイナンスという形で7500万ドル(約78億円)を調達した。この資金は、同社のプラットフォームを法人向けサービス中心に展開していくために使用される。

ユダシティによると、法人向けサービスは急速に成長しており、第3四半期の予約数は前年比120%増となっており、2020年前期の平均ランレート(予測年間売上)は前年比260%増となっている。

ユダシティによると、同社の法人顧客には、「世界の航空宇宙会社の上位7社のうち5社、プロフェッショナルサービスの大手4社のうち3社、世界トップの製薬会社、エジプト情報技術産業開発庁、米国国防総省の4部門のうち3部門」が含まれている。こうした企業や政府機関は、ユダシティが提供している既製コンテンツを利用するだけでなく、個々のニーズに応じたカスタム講座をユダシティと協力して構築している。

また、ユダシティは、企業の社会貢献活動の一環として、いくつかの企業と協力してプログラムを構築しており、マイクロソフトなどの技術系企業と提携して、それらの企業が提供するツールの利用を促進するための開発者向けプログラムも構築している。

2019年からユダシティでCEOを務めるGabe Dalporto(ゲイブ・ダルポルト)氏は、次のように語っている。「企業や政府機関で膨大な需要が発生している。しかし、これまで法人からの需要の大半はインバウンドであり、 Fortune 500企業や政府機関から提携を申し込まれた形だった。今こそ、こうした企業に売り込みをかける営業チームを構成する時だ」

ユダシティは長年、収益の上がるビジネスモデルの構築に苦戦しており、どちらかというと芳しくない理由で注目されてきたが、今回の資金調達のニュースは同社によって歓迎すべき展開だ。

ユダシティは、10年前に、当時スタンフォード大学の教授で、グーグルの自動運転車やその他の大規模なムーンショット型プログラムの構築と運用に携わっていたSebastian Thrun(セバスチアン・スラン)氏を含む3名のロボット専門家によって創業された企業で、当初は複数の大学と提携して技術系のオンライン講座を開設する予定だった(スラン氏の学術的地位とMOOCの流行があいまって、この戦略が推進されたと考えられる)。

しかし、この戦略が極めて困難でコストも高くつくことが判明すると、ユダシティは方向転換して社会人向けの職業訓練学習プロバイダーとなり、特に勉強に専念するための時間的・金銭的な余裕はないが、条件の良い仕事に就くために技術スキルを学びたいという人を対象にサービスを提供するようになった。

その結果、ユーザー数は大幅に増加したものの、利益が出るまでには至らなかった。その後、組織再編の一環として何度かレイオフを実施し、現在の形態へと近づいていった。

現在、同社は個人学習者向けの講座も引き続き提供してはいるが、ダルポルト氏によると、間もなく法人や政府機関の顧客が8割程度を占めるようになるだろうということだ。

ユダシティは、前回のラウンドで、 Andreessen Horowitz(アンダーセンホロビッツ)、Ballie Gifford(ベイリーギフォード)、CRV、Emerson Collective(エマーソン・コレクティブ)などの有名な投資グループから1億7000万ドル(約177億円)近くを調達した。今回の出資者はHercules Capital(ハーキュリーズ・キャピタル)1社のみで、デットファイナンスという形をとっている。

ダルポルト氏によると、当初、エクイティファイナンスのための条件規定書がいくつか送られてきたが、結局、デットファイナンスで調達することにしたという。

「エクイティファイナンスの条件規定書が複数送られてきたが、その後、依頼したわけではないのにデットファイナンスの条件規定書が1通送られてきた」そうだ。それで、資本調達コストと希薄化をいろいろと検討した結果、「デットファイナンスのほうが良いという結論に達した」らしい。同氏は、現時点ではエクイティファイナンスは考えていないが、上場する段階になったら再検討するかもしれないと付け加え、次のように語っている。「当面の間はキャッシュフローがプラスなのでエクイティファイナンスをすぐに行う必要はないが、IPOのようなことを実施する可能性もある」。

今回の資金調達はデットファイナンスで行われるため、ユダシティの時価総額の見直しは行われない。5年前の時点で同社の時価総額は10億ドル(約1000億円)だったが、今回未実施となったエクイティファイナンスの条件規定書に記載されていた時価総額について、ダルポルト氏は言及を避けた。

企業でも高まる教育意識

ユダシティという会社に対する関心、および同社に対する投資家からの関心の高まりの背景には、昨年からオンライン教育企業が注目されるようになってきたという経緯もある。K-12(幼稚園から高校)および大学教育では、学校、地域、政府機関、公衆衛生の担当職員が新型コロナウイルス感染症の拡散防止のためソーシャルディスタンスを実践する中、通常の授業が行えない状況でも生徒が学習を継続できるよう支援するための優れた技術やコンテンツの構築に注目が集まっている。

しかし、オンライン教育が注目されているのは、学校だけではない。ビジネスの世界でも、パンデミックのためリモートワークを余儀なくされた組織がさまざまな課題に直面している。互いに直接顔を合わせて働くことがなくなった状態で、従業員の生産性と帰属意識をどのように維持できるのか。こうした新しい環境で働くために必要なスキルを従業員にどのように習得させればよいのか。コロナ時代の働き方において、しかるべき技術とその技術を活用する専門知識を持つ人材が自社に備わっているのか。政府は、パンデミックのせいで経済が崩壊しないようにどのような対応を行うべきか。

オンライン教育はこうした問題すべてを解決する万能薬と見なされており、オンライン学習ツールやその他のインフラストラクチャーを構築する技術系企業に数多くのビジネスチャンスがもたらされてきた。そのような企業には、従業員向けの技術関連講座と学習プラットフォームの分野で事業を展開するCoursera(コルセラ)、LinkedIn(リンクトイン)、Pluralsight(プルーラルサイト)、Treehouse(ツリーハウス)、Springboard(スプリングボード)などが含まれる。

eコマースなどの市場分野と同様、こうした状況については、トレンドが突然に出現したというよりも、周囲の予測を大きく上回ってトレンドが加速しているという見方のほうが正しい。

ハーキュリーズ・キャピタルの専務取締役兼技術部長のSteve Kuo(スティーブ・クオ)氏は、「ユダシティの成長、持続可能なビジネス手法への注力、複数の業界にまたがるリーチの拡大などを考慮すると、今回の出資にはとても期待している。ユダシティと協力して、同社のグローバル市場での急速な成長を維持し、利用者のスキル向上と再教育の分野で革新を進めていくことを楽しみにしている」と述べている。

ダルポルト氏は、法人と政府機関の領域でユダシティがすでに実績を挙げている事例をいくつか取り上げ、同社が提供しているような職業訓練学習プログラムが受け入れられるのは不思議なことではないと説明する。

たとえば、エネルギー企業のShell(シェル)では、「数学のスキルは高いが機械学習の専門知識がない」構造エンジニアや地質学エンジニアを再教育して、データサイエンスの分野に配属できるようにしている。データサイエンスは、事業運営のオートメーション化を推進し、新しいエネルギー技術の分野に進出するために必要となるからだ。

また、エジプトを始めとする国々では、インドの成功例に倣い、国内の居住者に技術専門知識の教育を提供し、「アウトソーシング経済」で仕事を見つけられるように支援している。エジプトで提供しているプログラムの修了率は80%に達しており、70%が「良い結果を残している」(就職に成功している)という。

ダルポルト氏は、「AIと機械学習の分野だけでも、これらのスキルに対する需要は前年比で70%増加しているが、その需要に対応できる人材が不足している状態だ」と述べている。

少なくとも、あと半年から1年くらいは買収は考えていない、と同氏は付け加え、こう語っている。「需要は多く、社内でやるべき仕事が山積みになっているため、今すぐ買収を考える理由がないからだ。いつかは買収を検討することになると思うが、それは当社の戦略次第だ」。

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(翻訳:Dragonfly)

学校を辞めていく教師たちの次の行き先はスタートアップなのか

ニューヨークの公立学校の教師、Christine Huang(クリスティン・ファン)氏が教職を後にしたのは、疲労がたまったからではない。賃金が安いからでもない。仕事が多くて放課後に自分の子供と過ごす時間がほとんどないからでもない。

ファン氏が7年間続けた教職を後にしたのは、そういう理由からではなく、新型コロナウイルス感染症の際に学校に対してニューヨーク市が取った対応のためである。

「正直言って、市に対する信頼を失った」と同氏は言う。ここ数週間、教師とニューヨーク市当局との間の緊張が高まっている。授業の開始時期が2回も遅れ人員不足が続いている。9月下旬、ニューヨーク市の校長を代表する組合が州政府を訪ねて事態を監督するよう要請し、指導が行き届いていないとしてde Blasio(デブラシオ)市長を非難した。

現在は授業が再開されていて、新型コロナウイルス感染症の新たな陽性患者の数は驚くほど少ない。それでも、現状に鑑みると、当局には教師に対する配慮が欠けている、とファン氏は言う。

同氏が望んだのは、託児所に預けることができなくなった子供たちの世話をするために、在宅勤務ができる融通性だった。しかし学校側は、生徒は授業に参加するかどうか選べるが、教師は選べない、と言った。数日後、同氏は辞表を提出した。

米国の公立学校の教師は300万人以上いる。賃金が安く、時間の融通もきかないため、これまで何千人もの教師が学校を辞めていった。しかし、新型コロナウイルス感染症はそれとは別の種類のストレスを教師に与えている。再開と休校が繰り返される中、何の指示もないまま放置されている教師もおり、彼らは、軽く見られているとか、力を発揮する機会が限られていると感じている。このような状況の中で困惑して学校を辞める教師の数が増え、教師の経済行動がこれまでとは大きく変わっていく可能性がある。

教師がいなくなることは公立学校にとっては損失だが、学校を辞める教師を取り込もうと競っているスタートアップにとっては好機である。企業は学区全体が直面している圧力と同じ圧力に面しているわけではないので、教える時間に融通性を持たせる方法を教師に提供できる。給料に関して言えば、エドテックの場合、消費者と直接やりとりするメリットを活用して収入を得ることができる。予算が問題になることは少なくなり、どちらかといえば、エドテックのサービスを親に売り込めるかどうか、という問題になる。

Outschool(アウトスクール)という企業では、教師は代数学、読み方入門、さらには子供向けのマインドフルネスなどの科目で少人数のクラスを教えることができる。Varsity Tutor(バーシティチューター)は、教師と、補習が必要な幼稚園から高校3年の生徒をつないでいる。Swing(スイング)Prisma(プリズマ)などの企業は、教師が教えるポッドベースの学習に重点を置いている。

これらのスタートアップはどれも、「今より高い賃金と融通性を提供する」という内容の誘い文句をさまざまな形で表現しながら教師を勧誘している。

賃金は安く仕事はきつい職業

教師の賃金は、地域差が大きい。給料の額は州ごと、また地域ごとに決められる。米国教育統計センターによれば、ミシシッピ州で働く教師の平均年収は4万5574ドル(約471万8000円)、ニューヨーク州の教師の平均年収は8万2282ドル(約851万8000円)である。

他の専門職と同様、生活費が教師の給料にも影響を及ぼしているが、教師の賃金は他の専門職と比較すると低いことを示すデータがある。Economic Policy Institute(経済政策研究所)の研究によれば、教師の賃金は、スキルと教育が同程度の専門職より19%低い。米国教育省の2018年の研究によると、公立学校の常勤教師の平均賃金は、インフレ調整済みの金額で見ても1990年より低い。

教師の間で給料に違いがあるということは、バランスを取り直す余地があり、その必要があることを意味している。これはつまり、教師の経済行動の恩恵にあずかろうと狙うスタートアップに、そのような差を利用して完璧な誘い文句で教師を勧誘するチャンスが突然訪れた、ということだ。ミシシッピ州の教師に「ニューヨーク州の教師と同水準の収入を得られるようサポートできる」と言えるようになったのである。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

Reach Capital(リーチキャピタル)はパートナーと共にエドテック企業に投資しているベンチャーキャピタルだ。同社の共同創設者、Jennifer Carolan(ジェニファー・キャロラン)氏は、シカゴの公立学校制度の中で何年も働いた経験がある。同氏は、新型コロナウイルス感染症は教師の離職を加速させたが、引き金になったのは別の要因だと考えている。

キャロラン氏は次のように語っている。「今の教育制度では、教師の賃金は安く、仕事はきつい。また、職業人にとって非常に重要になっている融通性に欠けている。教師が従来の学校制度の外で働く機会を探すようになっているのはそのせいだ」。

公立学校制度を辞めていく教師に関する論説を執筆したこともあるキャロラン氏は、教師のための新しい道がホームスクーリングテクノロジーの分野で開かれつつある、と指摘する。彼女の投資先の1つであるアウトスクールでは、教師たちの総収入額が今年だけで数千万ドル(数十億円)にのぼっている。いわゆる「ホームスクーリング」の潜在的な市場規模が突如として変わったのだ。

スタートアップがギグエコノミーを加速させている

エドテックのサービスによって、過去数年の間に教師のギグエコノミーが形成されてきた。学習系プラットフォームには空前の需要があるため、収入または時間の融通性のどちらかについて好条件を設定して、提供するサービスに教師を惹きつけなければならない。

アウトスクールは教師が教える少人数のクラスを販売するプラットフォームであり、Taylor Swift(テイラー・スウィフト)のスペイン語版クラスからレゴチャレンジを使ったエンジニアリングのレッスンまで、広範なトピックを扱っている。昨年、アウトスクールの教師の総収入額は、前年の400万ドル(約4億1300万円)から4000万ドル(約41億3000万円)以上へと増加した。

CEOのAmir Nathoo(アミール・ナスー)氏は、教師は時給40ドル(約4130円)から60ドル(約6200円)で働けると見積もっている。従来の公立学校での時給は30ドル(約3100円)だったことを考えると大幅にアップすると言える。アウトスクール自体は新規予約が2000%を超える勢いで急増しており、最近初めて利益を出し始めた。

教師がフルタイムでアウトスクールのプラットフォームに参加すれば、アウトスクールの収益はさらに増える。教師の取り分はクラスに設定する料金の70%で、アウトスクールの取り分は残り30%となる。しかしナスー氏は、自社のプラットフォームはどちらかというと従来の教育を補うものだと考えている。フルタイムで働くよう教師を説得して収益を増やす代わりに、プラットフォームに加えるパートタイムの教師を増やすことで成長している。

入念な審査を経てアウトスクールのプラットフォームに加えられた教師は、3月の1000人から、現在は1万人に増えている。

一方、アウトスクールと競合するバーシティチューターはまったく違うアプローチを取っており、教師を過度に増やすよりも、ゆっくりとした段階的な成長に重点を置いている。8月、バーシティチューターは、従来の学校の代わりとなることを意図したホームスクーリングの提供を開始した。120人の常勤教師を迎えたが、どの教師も、以前勤めていた公立学校やチャータースクールよりも好条件の給与を得ている。常勤教師をさらに雇う具体的な計画はない。

バーシティチューターの最高教育責任者、Brian Galvin(ブライアン・ガルビン)氏は、教師は時間の融通性を求めてやって来る、と述べた。バーシティチューターのプラットフォームでは、教師は自分が選ぶ枠で1日5時間から6時間教えることができ、家族の世話やその他の仕事を中心にして予定を組める。

バーシティチューターの戦略は、従来の学校教育に代わるものとして数か月前に勢いを増したボッドベース学習の一種だ。以前は臨時教師の雇用で学校を支援していたスタートアップ、Swing Education(スイングエジュケーション)は、その臨時教師と、プルタイムのポッドペース授業とのマッチングを支援する方向に転換した。プリズマも、学校に代わるサービスの提供を目指しており、公立学校や私立学校のかつての教師を学習指導者になるようトレーニングしている。

ポッドベースの学習は、場合によっては週に数千ドル(数十万円)もかかることがあるため裕福な家庭に人気があり、優秀な教師の獲得合戦にまで発展したこともある。また、大多数の生徒のことは考えていないのではないかという批判にもさらされた。

次の仕事で直面する現実

生徒はボタンにタッチしながら学習でき、教師は収入を増やせる、テクノロジーをフル活用するそのような未来を実現することがエドテックの目標である。しかし、だれもがそのような未来にたどり着けるわけではない。

個別指導のスタートアップの中には、ソフトウェアを買える生徒と買えない生徒の間にデジタルデバイドを生じさせかねないものもある。教師が公立学校を去れば、低所得の生徒は取り残されるが、高所得の生徒は費用を負担して追加の学習を受けることができる。

それでも、大部分が女性である公立学校の教師が壊れた制度の中で働くのは難しい、という意見もある。事実、公立学校を辞める教師を悪者扱いする考え方そのものに、女性の方が安い給料に甘んじなければならないという根強い性差別が反映されていると言う人もいる。このような構造において、スタートアップは、教師がより良い将来へと歩を進めるたの架け橋でもあり、公立の教育制度が破綻していることを示す兆候でもある。

エドテック企業は純粋に「教える」という仕事をしたい人のために機会を生み出している、という意見もあるが、それは違う、と求職中のファン氏は言う。彼女はこれまで、教育コンテンツのウェブサイトBrainPop(ブレインポップ)、デジタル学習プラットフォームのNewsela(ニュースエラ)、数学プログラムの会社Zearn(ザーン)、Q&Aコンテンツを運営するMystery.orgのカリキュラムを組む仕事に応募してきた。

ファン氏は次のように指摘する。「これらの企業に応募してみて、多くのエドテック企業は教師のスキルを評価しているとは思えない、と感じた。エドテック企業が探しているのは、教師ではなくプログラマーだ」。

エドテック企業は、比較的短い時間でサービスの需要に応えることを余儀なくされている。しかし、規模の拡大は、教師が専門職として行う業務と本質的に衝突する場合がある。教師の仕事が突然、教育全般ではなく、ベンチャー企業の尺度で見た利益のために最適化されるためだ。ファン氏は仕事の面接で居心地の悪さを感じるという。生徒と向き合っていくために必要な創造性、知識、対人能力を、採用担当者が重視していないように感じるためだ。彼女はこれまで、内容の異なる履歴書を30枚書いた。

自分に合う仕事を見つけられなかったファン氏は、教育制度を完全に後にするのではなく、従来の職場に戻る必要が生じた場合に備えて育児休暇を取ることにした。そのような必要が生じないことを望んでいるが、楽観視はできないと思っている。

「私の履歴書を見て、教師だと分かると機械的に除外されるため、それほど数多くの面接を受けることはできていない」と同氏は語った。

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