YouTubeが新型コロナで欧州における動画視聴のデフォルトを標準画質に

YouTubeは、欧州でのストリーミング画質を標準設定に切り替えた。

TechCrunchは米国時間3月18日に、YouTubeにそうした措置を取る予定があるか尋ねた。そして3月19日に、広報担当がその措置を実行したことを明らかにした。この動きは先にReutersが報じた。

新型コロナウイルス危機下にあり、欧州委員会がストリーミングプラットフォームに対しインターネットインフラへの負荷を抑制するよう求めていることに対する一時的な対応となる。

ユーザーはビデオの画質をマニュアルで調整できるが、それでもデフォルト設定はパワフルな手段であり、通信量はだいぶ変わってくる。

YouTubeの広報は設定の切り替えを認め、TechCrunchに以下のような声明を送ってきた。

人々は、信頼できるニュースや学習コンテンツを探すために、あるいはこの不透明な時に誰かとつながることを求めてYouTubeを訪れる。使用のピーク到達はまだ数えるほどしかないが、ネットワークの使用容量を抑制するためにシステムを自動的に調整する手段がある。我々は欧州中の当局(Ofcomを含む)、政府、ネットワークオペレーターと連絡を取っていて、英国ならびに欧州の全通信において一時的に標準画質をデフォルトとする。ユーザーに快適な体験を提供しつつ、システムへの負荷を最小化する取り組みを続ける。

Netflixも3月19日に、同様の理由で欧州において標準画質を30日間デフォルトとすることを発表した。

インターネットマーケットを担当するEU委員のThierry Breton(ティエリー・ブルトン)氏はこのところ、インターネットインフラへの負荷抑制における協力を求めてプラットフォームの幹部たちと協議していた。欧州では多数の人が自主隔離の一環として自宅に留まることを推奨されたり義務づけられたりしている。

欧州委員会は、デジタルエンターテインメントサービスの需要が爆発的に増えた場合にオンライン教育やリモートワークに影響が出ることを危惧している。そのため、プラットフォームに協力を求め、ユーザーにはインターネットインフラへの増大しつつある負荷を管理するよう求めている。

ブルトン氏は新型コロナウイルス危機下にある間、ビデオの画質を下げてもらうために、GoogleのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏とYouTubeのCEOであるSusan Wojcick(スーザン・ウォジスキ)氏と面会した。

そして今日、ブルトン氏はYouTubeの動きを歓迎している。「何百万という欧州の人々が、テレワークやオンライン学習、娯楽を可能にしているデジタルプラットフォームのおかげで、ソーシャルディスタンス(感染予防策として他人との物理的距離を保つこと)策を受け入れている。YouTubeがEUにおける通信のデフォルト設定を標準画質にすることで、COVID-19危機最中でもインターネットがスムーズに機能するようGoogleが協力してくれたことを歓迎したい。ピチャイ氏とウォジスキ氏が示した力強い正義に感謝する。我々はともに事態を注意深く見守る」とブルトン氏は声明で述べた。

Googleの広報は欧州での通信のピークにはこれまでのところ大きな変化は見られないが、多くの人が家にこもるようになって使用パターンに変化がある、と語っている。利用時間が拡大し、使用量のピークはいくぶん下がっている(同社は常に通信データをGoogle Traffic and Disruptions Transparency Reportで公開している)。

他の大手ソーシャルプラットフォーム同様、YouTubeも新型コロナウイルスに関連する誤情報の拡散に使われている疑いがあるとして調査を受けてきた。

しかしGoogleは、偽のコンテンツを抑制し、健康情報に関する当局のソースを目につきやすいようにするなど、積極的に取り組んでいるようだ。例えばCOVID-19の情報が入手できるよう、世界保健機関(WHO)や地元当局のホームページにユーザーを誘導している、とYouTubeの広報は述べている。

また、教育や情報提供目的での広告枠を政府やNGOに提供しているとも語った。これは、公衆衛生にとって有害なものとなりえる誤情報からユーザーを守るための方策をピチャイ氏が検討しているとの3月初めのブログ投稿と関連している。

広報はさらに、YouTubeは衛生当局のガイダンスに従うよう、そして人々に家に留まるよう促すキャンペーンを欧州で間もなく展開するとも付け加えた。

GoogleのCOVID-19流行への対応はかなり迅速だ。例えば、ワクチンを否定するコンテンツを除外する動きを2019年取り始めているが、このような人々の健康にとって有害となりえるような他の種類のコンテンツに対するアプローチよりも、COVID-19の脅威に対して同社はかなり積極的に取り組んでいるようだ。

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(翻訳:Mizoguchi

欧州議会も新型コロナ対策で基礎疾患のある職員に在宅勤務を推奨

情報筋やTechCrunchが入手した電子メールによると、欧州議会は新型コロナウイルス感染拡大によるリスクを考慮して、基礎疾患を抱える職員に自宅から働くよう通告した。

欧州委員会は先週、欧州防衛機関と欧州連合理事会で職員の感染を確認した。前者の感染者は最近イタリア北部から戻り、後者はベルギーで市中感染したと報道されている。

3月8日に欧州議会職員宛てに送信されたメールでは「基礎疾患を抱える全職員が在宅勤務すること」を認めている。

これより前には、感染拡大のリスクが高い地域に旅行した議会の職員に対しては帰国後に14日間、自己隔離するよう指示を出していた。電子メールの中では、リスクの高い地域としては中国、香港、マカオ、韓国、シンガポール、イラン、日本、イタリア北部がリストアップされている。

メールにある高リスク地域にはまた、小規模の「ローカルクラスター」も含まれている。具体的には、フランスのオアーズ、オートサボア、モルビアン、オーラン、そしてドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州のハインスベルクからの帰国でも自己隔離を求めている。

「過去14日間にそうしたエリアや発生地域に滞在していた場合、帰国から14日間は自宅から出てはいけない」というのが職員向けの最新の通達だ。「これは帰国後にすでに職場に戻った人にも適用される」

旅行後に14日間在宅勤務した職員は職場に戻ることができる、とされている。ただし「完全に症状がないこと、そして家族全員が感染していないこと」としているという条件がある。

さらに電子メールでは、体調の優れない職員は自宅で自己隔離すべき、というガイダンスを繰り返している。インフルエンザのような症状はないものの働けるほど体調が優れているわけではないという職員には「在宅勤務を希望する」よう促している。

議会の中心的な機能に関係しない活動は3月3日から3週間中止され、感染が確認されている地域からの訪問も受け付けない。

欧州委員会職員向けの3月8日に送信された新型コロナに関連する別のメールでは、委員長のJohannes Hahn(ヨハネス・ハーン)氏が、手の衛生を保つこと、訪問ではなくビデオカンファレンスにすること、「握手やキスをしないこと」といった予防策を講じることの重要性を繰り返し述べている。

「我々自身を守るために、予防策を実行して欲しい」とハーン氏は記している。「症状のある職員は家から出るべきではないという原則を再度確認して欲しい」

このメールによると、イタリアの欧州委員会職員は引き続き在宅勤務のオプションが与えられる。ハーン氏は「各国の対策により特殊な状況にある職員にはフレキシビリティーが必要だ」としている。

イタリア北部の感染地域から帰国した職員もまた「帰国から14日間は在宅勤務する」ことになる。しかし、この通告はさかのぼっては適用されない、ともメールにある。感染地域から戻って先週職場に復帰した人で、職場に来てもいいと言われた人にも適用されない。

「帰国後14日間は、健康状態を監視することを推奨する。何か症状が出てきた場合、家にいるべき」というのが最新の呼びかけだ。

委員会職員向けに宛てたメモでは、先週感染が確認された職員についても言及されていた。

「同僚やその他の人を守るために必要な予防策は、すでに先週とられたことを強調しておきたい。今後も同様の措置をとることを約束する。我々は皆社会の一部であり、今後さらに同僚が影響を受ける事態は排除できない。ゆえに、注意深くかつ理解を持ってこの状況に対応して欲しい」とハーン氏は書いている。

このメールではまた、名前は伏せながらも、子供1人の感染有無を確認するテスト結果を待っている欧州のとある学校が、2日間閉鎖されることにも触れられている。結果が陰性であれば学校は今週再開するが、ハーン氏は「当然のことながらこのようなケースではフレキシブルな勤務ができる」と付け加えている。

対象を拡大して在宅勤務を促す計画があるかどうかなど、TechCrunchはCOVID-19対策の取り組みについて欧州委員会にさらなる問い合わせを行っている。

画像クレジット: picture alliance / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

動物を殺さずに肉の細胞を得る、培養肉生産技術開発のMeatableが10億円超を調達

動物に対して残酷でない培養肉製造技術を開発しているオランダのMeatable(ミータブル)が、世界の豚肉の供給量の4分の1を損なったと言われる豚インフルエンザの流行を契機に豚肉に専心することになり、このほどその新しい方向性を支えるために1000万ドル(約10億円8500万円)の資金を調達した。

同社はその技術を昨年公開したが、動物の細胞から食肉を作っている企業はほかにも数社ある。この食肉生産方法は、理論としては炭素排出量が極めて少なく、従来の畜産よりは環境に優しいと言われている。

これまでの同社は、Memphis MeatsやFuture Meat Technologies、Aleph Farms、HigherSteaksなどなどと肩を並べて培養牛肉を市場に持ち込もうとしていた。でも今や、豚肉の価格が世界的に高騰しているため、Meatableは牛肉以外のほかのホワイトミートに関心を向ける世界で初めての企業の仲間入りをした。

しかし、同社の差別化要因はそれだけではない。Meatableは、動物を殺さずに肉の細胞を得る商業的実用性のある方法で特許を取得している。それまでは、培養肉の成長と肉質を良くするには元の細胞の保有動物を殺すことが必須だった。

他社は、牛の胎児の血清やチャイニーズハムスターの卵巣を使って細胞分裂を刺激し、培養肉を生産してきた。しかしMeatableが開発した工程では、動物から細胞をサンプリングして、その組織を分化可能な幹細胞に戻す。その後その標本細胞を筋肉と脂肪に培養して、世界中の嗜好を満たす豚肉製品を作る。

CEOのKrijn De Nood(クライン・デ・ヌード)氏は「どのDNA配列が初期段階の細胞を筋肉細胞にするのか、我々にはそれがわかっている」と語る。

この新しい方法を追究するために同社は、多くのエンジェル投資家たちと機関投資家から700万ドル(約7億6000万円)を調達し、欧州委員会(EC)から300万ドル(約3億2500万円)の助成金を取得した。エンジェル投資家には、TransferWiseのCEOで共同創業者のTaavet Hinrikus(ターヴェット・ヒンリクス)氏や、ニューヨークのベンチャー企業Union Square Venturesの役員パートナーであるAlbert Wenger(アルバート・ウェンガー)氏らがいる。

デ・ヌード氏によると、Meatableは今回の資金をプロトタイプ開発を早めるために利用する。同社は当初、小さなバイオリアクターを使ってプロトタイプを2021年に完成させるスケジュールだったが、それを2020年に早めることができる。さらに2025年までには、年産製造能力数千kgの工場を建設できるという。

産業として行われている農業や畜産業などは、地球上の気候変動に結びつく温室ガスの排出量の14%から18%を占めると言われている。そしてMeatableの主張によれば、同じ量の培養肉は従来の畜産業に比べて水の使用量が96%少なく、土地の使用面積は99%少ない。同社によると、製造施設が再生可能エネルギーを採用すれば食肉生産に伴う排出量をさらに減らせるとのこと。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Microsoftの$7.5BのGitHub買収計画にEUの規制当局が青信号を点灯

Microsoftが計画していた、Gitを利用するコード共有コラボレーションサービスGitHubの買収を、欧州連合(European Union, EU)の規制当局が無条件で承認した。

この巨大ソフトウェア企業がGitHubの買収意思を発表したのは6月で、同社の株式で75億ドルを支払う、とされた。そして当時同社は、“GitHubはそのデベロッパーファーストの精神を維持し、独立した事業活動により、すべての業界のすべてのデベロッパーにオープンなプラットホームを提供する”、と誓った。

EUの執行機関欧州委員会(European Commission, EC)が今日、その計画を承認し、その査定が、関連市場における競争を阻害しないと結論した、と述べた。この併合後の企業実体の方がむしろ、継続的に“厳しい競争”に直面するであろう、と。

ECはとくに、Microsoftには自社のdevopsツールやクラウドサービスをGitHubに統合してサードパーティのツールやサービスの統合を制限する能力や誘因はない、と言っている。

委員会は、MicrosoftにはGitHubのオープン性を損なう動機はない、とも結論している。そして、そのようないかなる試みもデベロッパーにとっての価値を減損させるだろう、とも言っている。委員会の判断では、そのようなときデベロッパーは他のプラットホームに切り替える意思と能力を持っているだろう、という。

Microsoftの前の発言では、同社は買収の完了を年内と予想している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazon、EUの捜査結果を受け、Kindle書籍の契約を修正

Amazonは、EU諸国の出版会社との新たな契約を受け入れた。EUのコミッショナー、マーガレッテ・ベスタガーが率いるAmazonの商慣行に関する捜査を受けてのことだ。今日の決定によって、Amazonは出版社に対して同社のKindleストアに最低価格で出品するよう強制することがなくなる。

調査のきっかけは、数年前に出版社がAmazonとの契約は全員の利益を損なうおそれがあると心配し始めたことだった。問題の記載によって、出版社は自社の書籍を他のプラットフォームで安く販売することができなくなっていた。

かつてこの慣行は、Amazonの競争を有利にし、安値競争を引き起こす傾向があった。今や出版社はAmazonに対して以前より強い力を持っている。そしてAppleのiBook Storeを始めとする他の配信プラットフォームが競争力を持つようになった。

今日から出版社は契約の再交渉を始めることができる。最大の焦点は価格の部分だ。今日以降の新たな契約で、Amazonは最低価格を要求することができない。

Amazonはこの要求を呑むことで、捜査の後も罰金を払う必要はなくなった。一方で、電子書籍市場はここ数年少々停滞気味だ。もはや5年前のように話題の中心をいく新製品ではない。結局、みんな本当の本を買いたがっている。

つまりAmazonにとってこの戦いは戦うに値しなかったようだ。この会社が心配しているのは、むしろ税務に関する捜査の可能性だろう。

多くの会社と同じくAmazonは非常に税率の低い子会社に印税を支払うことで、節税に努めてきた。欧州委員会との電子書籍問題で和解したことで、AmazonはEUと交渉する意志を示している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook