FacebookがRobloxのようなゲームプラットホームCraytaを支えるスタジオを買収

Facebookはこのところ、数多くの仮想現実制作スタジオをそれぞれ単発で買収してきたが、今日(米国時間6/5)の同社の発表では、今度はややでっかい買収をするようだ。それは、Robloxのようなゲーム作成プラットホームだ。

Facebookが今回買収するUnit 2 Gamesは、Crayta.と呼ばれるプラットホームを作っている。そのほかのプラットホームと同様にそれはUnreal Engineをベースとし、ユーザーにシンプルな制作インタフェイスと、発見とコミュニティの機能を提供する。Craytaは独自のニッチを作って、バトルパスのシーズンのような収益化の方式をプッシュし、プラットホームにFortnite的な雰囲気を与えている。

Unit 2の社歴は3年を超えているが、Craytaをローンチしたのは昨年の7月だ。GoogleのクラウドストリーミングプラットホームStadiaでのみ提供、という契約なので、そのオーディエンスも限られてくるが、3月時点ではEpic Games Storeにもあった。

このゲーム作成ゲームはいかにもクラウドゲーム的な軽量級という感じで、ユーザーは他のユーザーをリンクするだけでゲームへのアクセスを共有できる。Facebookはゲームの分野で自分自身の取り組みを推していくために、Craytaをどうしても使いたいようだ。

Facebookのゲーム担当副社長Vivek Sharma氏が、買収を発表するポストでこう書いている: 「Craytaは現在のクラウドストリーミング技術を最大化して、ゲームの創作を誰もが簡単にできるようにした。私たちの計画ではCraytaの創作ツールセットをFacebook Gamingのクラウドプラットホームに統合して、Facebookの上で新しい体験を簡単迅速に提供していきたい」。

チームの全体が買収の一環としてFacebookに来るが、契約の財務的条件等は明らかでない。

関連記事: VCs discuss gaming’s biggest infrastructure investment opportunities in 2021(未訳、有料記事)

(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Unit 2 Games

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フェイスブックとInstagramで「いいね!」の数を非表示可能に、徐々に展開中

Facebook(フェイスブック)は5月下旬に、2019年に開始した先行テストに続き、FacebookとInstagram(インスタグラム)の両方における投稿の「いいね!」を非表示にするオプションを公に展開する。「いいね!」の表示に関する決定を世界中のユーザーの手に委ねるというこのプロジェクトは何年も前から開発が進められていたものの、新型コロナウイルスのパンデミックと同社側の対応作業のために優先順位が下がっていたと同社は伝えている。

関連記事:Instagramは「いいね!」の数を世界で非表示にする実験を実施

当初、Facebookのソーシャルネットワークで「いいね!」の数を非表示にするというアイデアは、ユーザーが感じているプレッシャーを緩和させるという点に焦点を当てたものだった。自分の投稿に対する「いいね!」の数が少ないと人気がないと見なされ、ユーザーは度々不安になったり恥ずかしさを感じたりするという事実がある。この問題は特に友達からどう思われているかを重視する若年層のユーザーに顕著で、中には「いいね!」の数が少ない場合投稿を削除してしまうというケースもある。

特にInstagramでは「いいね!」の数を求めるという風習により、知名度や影響力を得るために投稿をするという環境ができ上がってしまい、その結果あらゆる投稿が信憑性に欠けたものになるという状況になっている。Facebookでは「いいね!」などのエンゲージメントを獲得することが、何らかのリアクションを必要とする偏向的なコンテンツの投稿につながることもある。

こういったプレッシャーが渦巻く中、人気度を気にすることなく友人やその他の人々との関わり合いを楽しめる「いいね!」の数から解放された安全な空間を求めるユーザーが増えてきたのである。その結果としてMinutiaeVeroDayflashOgglの他、 Dispoといったニューカマーや大人気のPoparazziなどのソーシャルネットワークや写真共有アプリが誕生した。

関連記事:性的暴行疑惑で写真SNS「Dispo」取締役ドブリック氏が退任、VCは「一切の関係を断つ」と決定

FacebookとInstagramは「いいね!」の機能を完全に削除し、ソーシャルネットワークを新しい方向へと導くこともできたはずなのだが「いいね!」のメトリクスとプロダクトエクスペリエンスがあまりにも深く関わり合っているため、完全に削除できないことが分かったのだ。問題の1つに、インフルエンサーコミュニティが「いいね!」をある種の通貨として利用し、オンラインでの人気をブランドとの契約や仕事のチャンスとして取引しているということが挙げられる。こういったユーザーにとっては「いいね!」の削除など選択肢にないのである。

どの決定を下したとしても、どちらかのユーザーを怒らせることになるとInstagramは気がついた(どちらにせよアプリの使用率など他の中核的なメトリクスにはあまり影響がないのだが)。

画像クレジット:Instagram

「Instagramでの体験をユーザーがどのように感じ、どれだけ使うかという視点から見ると、自分や他人の『いいね!』の数は私たちが考えていたほど影響がないことが判明しました。ただし結果的にはかなり偏った意見となっています。とても良いと感じるユーザーと、まったく良くないと感じるユーザーのどちらかです」とInstagramの責任者であるAdam Mosseri(アダム・モゼリ)氏は話している。

「良いと感じたユーザーは我々が期待していた通りの意見で、これによってInstagramでのプレッシャーが緩和されると感じています。まったく良くないと感じるユーザーは『いいね!』を使ってInstagramやFacebookで何がトレンドになっているのか、何が人気なのかを把握しているため、それがなくなってしまい腹を立てていたのです」と同氏。後者のタイプには、ソーシャルメディアでの存在感を確立しようと努力している小規模なクリエイターなどが多いが、大物のインフルエンサーの中には『いいね!』の削除に対して好意的な人も少なくないという(モゼリ氏によるとケイティ・ペリーは『いいね!』削除の賛成者だという)。

最終的に同社はこの決定を分割することにした。オンラインコミュニティの将来に関する難しい選択を行う代わりに「いいね!」の非表示という選択肢を両プラットフォームでユーザーが自由に設定できるようにしたのである。

Instagramではコンテンツ消費者とコンテンツ制作者の両方の投稿に対する「いいね!」や「閲覧数」のカウントを非表示にすることができる。つまり、フィードをスクロールしているときに見えるこれらの数を表示しないようにすることも、自分が何かを投稿した際に他人が「いいね!」の数を閲覧できるかどうかを選択したりすることもできるのだ。これらは異なる2つの設定として分けられており、より柔軟にコントロールできるようになっている。

画像クレジット:Instagram

一方、Facebookでは「設定とプライバシー」から「ニュースフィードの設定」(デスクトップ版では「ニュースフィードの環境設定」)の新しい設定にアクセスすると、ここに「リアクション数を隠す」というオプションがあり、自分の投稿だけでなくニュースフィード、グループ、ページ内の他の人の投稿についてもこの設定をオフにすることができる。

この機能は公開プロフィールと非公開プロフィールの両方で利用可能で、以前に公開した投稿もこれに含まれるとFacebookは伝えている。

画像クレジット:Facebook

Instagramは2021年4月、グローバルユーザー向けにこの新設定を公開する前に、最終的なバグを解消するためこの機能のテストを再開し、またFacebookでのテストも間もなく開始すると発表している。それなのに現在すでにこの機能の公開を進めている。なぜこのような短期間のテストを行ったのかというTechCrunchの質問に対してInstagramは、2019年からこの件に関するさまざまなテストを繰り返し行ってきたため、世界規模での公開を進めるのに十分なデータを得ることができたと答えている。

関連記事:Instagramが「いいね!」の表示・非表示を選べるテストを開始、フェイスブックも続く

またモゼリ氏は「いいね!」に関する決定がネットワークに大きな影響を与えるという考えを否定している。「いいね!」数の削除はユーザーの行動に多少の影響を与えたものの、問題になるほどではなかったという。あるグループではむしろ投稿数が増えており、これは同アプリ使用にまつわるプレッシャーが減ったことを示しているのかもしれない。ただし、使用が減ったグループが存在することも確かだと同氏は話している。

画像クレジット:Facebook

 

「『いいね!』の数の多さを見てその投稿に興味を持ち、その投稿へのコメントを読んだりさらにスワイプしたりして深く見入っていく場合もあります。少なからず影響はあり、プラスの効果もあればマイナスの効果もありますが、いずれも小さなものです」と同氏。またユーザーは自分の気分次第であらゆるタイミングでこの機能のオンとオフを切り替えるだろうとInstagramは考えている。

さらにモゼリ氏はゲーム化されたソーシャルメディア空間がユーザーの精神衛生に悪影響を与えるという世間の懸念に反対し「『いいね!』が人々の健康に悪影響を与えるという厳密な研究結果はない」と主張。むしろ人々の1日の中でInstagramはまだ小さな存在であり「いいね!」がどう機能するかは人々の全体的な精神衛生には影響しないと主張している。

「Instagramの規模は大きいですが、その影響力を過大評価しないように注意しなければなりません」と同氏はいう。

同氏はまた、利用状況を直接測定するのではなく、ユーザーが自己管理するという方法に過度に依存しているというソーシャルメディアの使用の悪影響をうたう最近の研究に対して否定的である。

つまり、同社は人気度に起因する精神的な悪影響を考慮して「いいね!」数を削除しようとしているわけだけではないということだ。

競合であるTikTok(ティックトック)がFTC(連邦取引委員会)との和解後に行ったのと同様に、13歳未満の子どもにもInstagramアプリを利用できるようにするという計画もこれに関わっている可能性があると言えるだろう。この場合「いいね!」をデフォルトで非表示にするか、あるいはペアレンタルコントロールのオプションを追加する必要があるからだ。InstagramはTechCrunchに対し、子ども向けアプリで何をするかを決めるにはまだ機が熟していないが「いいね!」をデフォルトで非表示にするオプションについては「必ず検討していく」と話している。

関連記事:米国の州司法長官らがフェイスブックに子ども用Instagram計画の撤回を要求

FacebookとInstagramの両社はTechCrunchに対し、この機能は米国時間5月26日から展開し、その後世界中のユーザーに向けて徐々に展開していく予定だと話している。Instagramに関しては数日で完了するかもしれない。

しかしFacebookに関しては、5月26日にこの機能が導入されるのはごく一部のユーザーのみだという。ニュースフィード上のアラートで通知されるこの機能は「今後数週間のうちに 」Facebookの世界中のユーザーに行き渡るとのことだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookInstagramSNS

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

フェイスブックがトランプ前大統領の利用を2年間禁止に、有名人の利用禁止措置ルールも変更

Donald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領に対するFacebook(フェイスブック)の利用禁止措置に関し、時間は刻々と過ぎている。以前は無期限禁止の措置だったが、現在2年となり、これは新たに発表された有名人の利用禁止に関するルールで最長の罰則期間だ。しかし時間がくれば、同社は禁止措置を再評価して、措置を終了するのか、延長するのか、あるいは無期限に一定期間の措置にするのかを決める。

2021年1月のトランプ氏に対する利用禁止措置はさまざまなグループで物議を醸したが、Facebookの監督委員会が結論を検討した際に直面した問題は、無期限禁止をサポートする基準がFacebookの規則になかったことだった。トランプ氏を永久追放するか、利用禁止に期間を設けるかだ、と同委員会は述べた

関連記事:【コラム】事前予想と異なるフェイスブック監督委員会によるトランプ氏への決定を掘り下げる

実際にはFacebookはどちらも選択しなかった。渉外担当副社長のNick Clegg(ニック・クレッグ)氏が書いているように、禁止措置を延長するというオプションはすべてFacebookの特権であり、2年の禁止はおおむね装飾的だった。

禁止措置期間の終わりに、公共の安全へのリスクが減少したかどうかを専門家に評価してもらいます。暴力事例、平和的な集会の制限、市民の不安のマーカーなど、外部要因を評価します。もし公共の安全への深刻なリスクがまだあるとの結論に至れば禁止措置を一定期間伸ばし、そのリスクが減少するまで再評価を続けます。

使用禁止措置が最終的に解除されれば、トランプ氏が将来さらに違反をした場合に発動される迅速な制裁拡大があり、最悪の場合トランプ氏のページとアカウントは永久削除となります。

監督委員会の提言を満たしているようではあるが、実のところ、トランプ氏の立場は以前より不安定なものではない。Facebookがいつでも決められる、取り消されたり、延長されたりする禁止措置はもちろん「期限が決まっていない」ものだ。

声明の中で、トランプ氏はこの判決を「侮辱」と呼んだ。

とはいえ、ここでのFacebookの決定はトランプ氏のケースを超えたものだ。監督委委員会はトランプ氏のようなケースでどのように対応すべきかを決める規則が必要だと提言し、基準のようなものを設けた。

画像クレジット:Facebook

かなり特異な「執行プロトコル」はFacebookがいう「真剣にとらえています」を見える化したものだ。有名な人物が体系的に適切な長さの禁止措置を受けるようにする量刑ガイドラインのようなものである印象を与える一方で、プロセスのあらゆる側面が勝手にFacebookによって決められる。

どのような状況がこうした「罰則の強化」の使用を正当化できるのか。どのような種の違反が禁止措置の対象となるのか。違反の重大さをどのように決めるのか。禁止措置の長さは誰が決めるのか。禁止措置期間が終わったときにもし「まだ公共の安全に深刻なリスクがある」場合は禁止措置を延長できるのか。有名な人物が一時停止後に直面する「迅速な制裁拡大」とは何なのか。決定に関する時間制限はあるのか。制裁は大っぴらに熟考されるのか。

こうした質問やその他にもまだたくさんある疑問についてFacebookが矛盾したり自分勝手に決めたり、あるいは誤った判断を下したりすると想定しなければならないということではなく、最も機能して欲しい危機のときにFacebookのモデレーションプロセスの中身に何ら新しい要素が加わらず、開示もされないということだ。

新しい正式な罰の配分表と、透明にすると幾度も繰り返された約束にもかかわらず、Facebookが提案するものに含まれているすべてのものはトランプ氏の禁止につながった決定のように、曖昧で自由裁量のもののようだ。

「当社が適用する、あるいは適用しないことを選択するペナルティは議論を呼ぶことを理解しています」とクレッグ氏は書いている。その通りだ。一部の人は決定を歓迎する一方で、別の人は怒っているが、罰則につながるプロセスを明瞭で、忠実に守られるものにしたいという思いは一致している。本日の規則変更はトランプ氏や他の人のケースにおいてもそうではないようだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebookドナルド・トランプSNS

画像クレジット:MANDEL NGAN / JOSH EDELSON/AFP / Getty Images (Image has been modified)

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

WhatsAppがマルチデバイス対応し「一度だけ表示」して消失する機能を導入

Facebook(フェイスブック)の最高経営責任者であるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、人気のメッセージングアプリWhatsAppが、近々複数のデバイスで同時に使用できるようになると発表した。またザッカーバーグ氏は、20億人以上のユーザーに利用されているこのインスタントメッセージングアプリに、メッセージを消去するオプションを追加することも計画していると述べた。

ザッカーバーグ氏は、WABetaInfoの取材に対し、インスタントメッセージングサービスのマルチデバイス対応が「間もなく」実現することを認めたのだ。WhatsAppの責任者であるWill Cathcart(ウィル・キャスカート)氏によると、ユーザーは1つのアカウントに4台までのデバイスを接続できるようになるとのことだ。またWhatsAppは、iPad向けWhatsAppアプリの開発にも取り組んでいると彼はいう。

「携帯電話のバッテリーが切れても、すべてのメッセージやコンテンツをデバイス間で正しく同期させることは、技術的に大きな挑戦でしたが、これを解決することができましたので、ほどなくお届けできることを楽しみにしています!」とザッカーバーグ氏はいう。

また2020年、メッセージに7日間のタイマー(消えるモード)を設定する機能を導入したWhatsAppは、この機能を拡張して、一度しか見ることのできない写真やビデオをユーザーが送ることができるようにする予定だ。「また、送信したコンテンツを相手が見た後に消滅させることができる『view once(ビューワンス)』の展開も開始しようとしています」とザッカーバーグ氏は述べている。

また、WhatsAppユーザーは、すべての新規チャットに対して消滅モードオプションを指定できるようにもなる。

ザッカーバーグ氏とキャスカート氏が、上記のニュースサイトで話している内容によれば、これらの機能は「来月か再来月に」パブリックベータ版としてユーザーに提供されるといいうことだ。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:WhatsAppマーク・ザッカーバーグFacebook

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:sako)

フェイスブックがSNSを研究する学術コミュニティ向けに「Researcher API」リリース予定

Facebook(フェイスブック)は、研究コミュニティによるアクセスに特化して設計された新しいAPIのリリースに向けて準備していると明かした。米国時間6月2日に開催された同社の開発者会議「F8」で発表されたこのAPIは、Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)のデータスキャンダルを受けて、2018年に同社のプラットフォームに加えられた変更によって生じた問題に対処するためのものだ。この事件により、同社は開発者がユーザーデータにアクセスできるかどうか再検討する必要に迫られた。

Facebookは過去3年間で、将来のデータの乱用や侵害のリスクを減らすために、何千ものAPIを非推奨にしたという。

また、プラットフォーム上の開発者との契約を更新し、開発者らが「我々と同じ価値観を持っている」ことを確認したと、Facebookのプラットフォームパートナーシップ担当幹部であるKonstantinos Papamiltiadis(コンスタンティノス・パパミルティアデス)氏は基調講演で述べた。

しかし同社はこれらの変更が、これまでFacebookのデータに広くアクセスできていた学術研究コミュニティに影響を与えたことを認めた。

その問題に対応するため、同社は近日中に「Researcher API」を提供開始すると発表した。これにより、同ソーシャルネットワークの「社会への影響」を理解することを目的とする研究者たちは再びFacebookのデータを分析できるようになる、とパパミルティアデス氏は述べた。

「当社はこの問題に適切に対処したいと考え、人々のデータを安全に守りながら、研究者をサポートするための最高の製品を開発することを意図しました」とも。

Researcher APIは、プライバシーが保護された環境で、公開されているFacebookページ、グループ、イベント、および米国の投稿レベルのデータへのリアルタイムアクセスを提供する予定であると、同氏は述べている。しかし、研究者をどのように審査するのか、データへのアクセスに料金が発生するのかなど、より詳細な情報は明らかにされていない。

Facebookによると、このAPIは2021年後半には学術コミュニティで利用可能になるという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookF8 RefreshAPI学術研究

画像クレジット:Facebook

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

フェイスブックのAR作成ソフト「Spark AR」がビデオ通話対応に

Facebook(フェイスブック)は、米国時間6月2日に開催された開発者会議「F8 Refresh(F8リフレッシュ)」で、同社の主力AR作成ソフトウェアである「Spark AR(スパークAR)」の新機能を発表した。Facebookによれば、Spark ARがF8 2017で発表されて以来、190カ国の60万を超えるクリエイターが200万以上のARエフェクトをFacebookやInstagram(インスタグラム)で公開しており、今や世界最大のモバイルARプラットフォームになっているという。Instagramの投稿で、自撮りした自分の髪が緑色になるエフェクトや、自分の顔を動かすことで犬の表情をコントロールできるエフェクトを使ったことがあるなら、Spark ARを使ったことがあるはずだ。

関連記事:インスタのARフィルターがますますダイナミックに、音楽に視覚的に応答するなどユニーク

今回発表されたMultipeer API(マルチピアAPI)の導入により、間もなくそのようなARエフェクトが、Messenger(メッセンジャー)やInstagram、そしてスマートディスプレイ「Portal(ポータル)」によるビデオ通話で利用できるようになる。クリエーターは、複数の通話参加者を共通のAR体験で結びつけるARエフェクトが作成できるようになる。公開されたプロモーションビデオでは、その一例として、ビデオ通話で行われる誕生日パーティーの様子が紹介されている。参加者の頭にはそれぞれARのパーティハットが現れる。

クリエイターは、ビデオ通話中に参加者がみんなで遊べるゲームを開発することもできる。Facebookのビデオ通話では、1分間に誰が最も多く空飛ぶARハンバーガーを口に入れられるかを競うゲームがすでに存在している。しかし、新しく軽いゲームを作れる機能が開発者に開放されれば、ビデオ通話中に友達同士で挑戦できる新しいゲームが数多く見られるようになるだろう。

このようなビデオ通話のエフェクトや複数の人が参加できるARゲームは、Sparkのプラットフォーム独自のMulti-Class Segmentation(マルチクラス・セグメンテーション)機能によって強化される。これによって、開発者は1つのエフェクトの中で、ユーザーの体を複数のセグメント(髪や肌など)ごと個別に拡張現実化することができる。

FacebookはARグラスの開発にも意欲を見せている。Spark ARのパートナーシップディレクターであるChris Barbour(クリス・バーバー)氏は、この目標はまだ「何年も先」のことだと述べながらも、革新的なウェアラブル技術の可能性をいくつか示唆している。

「友達の家のソファにテレポートして一緒に番組を見たり、ハイキング中に見かけた美しい景色の写真を共有したりできることを想像してみてください」と、バーバー氏はいう。何年か先に製品が発売される頃には、それほど未来的な話ではなくなっているのかもしれない。

2020年10月には最先端のクリエイターを対象としたプログラム「Spark AR Partner Network(スパークARパートナー・ネットワーク)」が起ち上げられ、2021年に入ってからは、Facebookの教育プログラム「Blueprint(ブループリント)」を通じて、クリエイターがARエフェクトを向上させる方法を学べるSpark ARカリキュラムも始まった。Spark AR Partner Networkの募集は、2021年の夏に再び始まる予定だ。現時点でクリエイターや開発者は、Spark AR Video Calling Beta(Spark ARビデオ通話ベータ版)を使って、ビデオ通話用エフェクトの作成を始めることができる。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:FacebookF8 RefreshSpark ARAR

画像クレジット:Facebook
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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックがWhatsApp APIをアップデート、ビジネス利用を促進

WhatsApp(ワッツアップ)には全世界で20億人以上のユーザーがいるが、ビジネス利用を開拓する努力は比較的控えめだ。現在1億7500万人を少し超えるユーザーが、WhatsAppのビジネスアカウントを使ってメッセージをやりとりして、日々のカスタマーサポートや製品検討を行っている。米国時間6月2日、Facebook(フェイスブック)は同社のF8イベントで、WhatsApp APIの体験を拡張するアップデートをいくつか公開した。

このニュースは、Facebookがこの日にInstagram(インスタグラム)Messenger APIの一般公開を発表した直後のことで、同プラットフォームのビジネス利用を便利にする一連の発表の一環だ。

全般的に、Facebookと同社サービスの多くは消費者向けサービスの色が非常に濃い。数十億の人たちが連絡を取りあい、気分転換し、自分にとって重要なことを知るために使っている。

しかし、企業はFacebookでつながりを作ったユーザーを中心とした非常に大きくてお金になる商用インフラストラクチャーを徐々に構築している。広告に始まり、マーケティング、カスタマーサービス、職場の生産性向上、ショッピングなどへと深く広げている。

F8カンファレンスは、元々はハッカソンとして生まれ、非常に大きいイベントへと成長した。2021年は、過去数年と比べて著しく縮小されたイベントになった。大観衆はなく(完全バーチャル)、大きいサービスやハードウェアの発表もなく、どちらかというとZoom(ズーム)会議のような印象だ。ビジネス志向のデベロッパーツールに関するこの日の発表は、イベントを当初のデベロッパー重点のイベントへとリセットするだけでなく、商業戦略を強化するものだ。

WhatsApp for Businessに関しては、WhatsApp for Businessを設定するところから、さまざまな種類のメッセージに対応することまで長年の課題がある。今回Facebookが取り組んでいるのはそこだ。

まず、WhatsAppでビジネスアカウントを設定するのに要する時間を5分に短縮する(これまでは数週間だったと述べている)。

次に、Facebookは設定したビジネスアカウントを簡単に使えるようにする。まず、企業はインバウンドメッセージに早く対応できるようになり(これまでは「24時間より前の顧客はフォローアップが困難」だった)、たとえば在庫確認などに関してオプトインしているユーザーにメッセージを送ることができる。

カスタマーサービスのためにこのツールを使っている企業は、最大10種類のメッセージ・テンプレートを作って対応をスピードアップできるようになり、よくある質問への返信を準備しておいて送るための返信ボタンを設定することもできる。

WhatsAppのニュース以外に、FacebookはMessengerにも、Facebook Login Connectを拡張するツールを追加する。

要するに、企業がFacebook Loginを統合すると、ユーザーは自分のFacebook認証情報を使ってその企業のアプリやウェブサイトにログインし、Messengerを通して企業と会話することができる。

これが便利なのは、ユーザーが1カ所で会話を追跡できるだけでなく、チャットボットであれ他のCRMデータベースへのリンクであれ、企業が元々Messengerで会話するために作ったツールをアクセスできることだ。Facebookによると、ユーザーの70%がLogin Connectツールの利用にオプトインするそうで、Facebookの認証情報をこのように使う意志があることを表している。

現在は限定ベータだが、数カ月のうちにもっと広く公開する、とFacebookは言っている。

最後に、FacebookはBusiness Suite(ビジネス・スイート、企業がFacebook、InstagramおよびMessengerを横断して行動を管理するためのプラットフォーム)の新機能を公開し、デベロッパーが「Business Apps」(ビジネス・アプリ)を作れるようにした。

これはアプリストアのような意味のアプリではなく、サードパーティー(デベロッパー)がFacebookの内蔵Business Suiteと協調して動かすために作るツールのことで、企業のサイトやアプリにFacebookのツールをさらに統合するとともに、企業のコンテンツ(カタログ項目など)を自社のFacebookページやInstagramアカウントなどに持ってくる。このプラットフォームではすでに90社のデベロッパーが開発中で、Bigcommerce(ビッグコマース)のようなeコマースプラットフォームと統合している、とFacebookは述べた。

関連記事:フェイスブックがInstagram用Messenger APIの正式導入を開始、すべての開発者や企業が利用可能に

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookF8 RefreshAPIWhatsApp

画像クレジット:WhatsApp.com

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックがInstagram用Messenger APIの正式導入を開始、すべての開発者や企業が利用可能に

Facebook(フェイスブック)は、毎年開催している開発者会議「F8 Refresh(F8リフレッシュ)」(2021年は例年より規模を縮小し、バーチャルでの開催となる)に先立ち、いくつかのニュースを発表した。そのうちの1つは、すべての企業がMessenger(メッセンジャー) APIを活用してInstagram(インスタグラム)ユーザーの顧客と対話できるようになるというものだ。この機能は、まず世界中のすべての開発者に開放され、企業に対しては段階的なアプローチがとられる。

フェーズ1では、フォロワー数が1万人以上10万人未満のInstagramアカウントがこのAPIに接続される。続いてフェーズ2として、2021年7月よりフォロワー数が1000人以上1万人未満のアカウントにまで拡大される。残りのアカウントは第3四半期までに利用可能になる予定だ。

このInstagram用Messenger APIは、2020年10月に一部の企業を対象としたクローズドベータとして発表されたもので、30の開発者と700のブランドが参加した。今後はInstagramを利用して顧客との交流を図るすべてのブランドや組織が、この機能を利用できるようになる。

関連記事:FacebookがMessenger APIでInstagramもサポート、ソーシャルショッピングを強化

このツールで重要な点は、企業にとってFacebookのプラットフォームをさらに広く活用する方法が大きく前進することだ。

これまで、顧客とメッセージのやり取りによる交流を望むブランドは、Instagramを直接利用するか、Facebookの統一ビジネス受信箱を使う必要があり、特に大量のトラフィックを扱う企業や、顧客との交流をより広範な顧客サービスのデータベースと連携させたい企業にとっては、できることに制限があった。

これに対し、Messenger APIは、企業やブランドがコミュニケーションの管理に使用しているサードパーティ製アプリケーションに統合することができる。例えば、Hootsuite(フートスイート)やSprinklr(スプリンクラー)のようなソーシャルメディア管理プラットフォームや、保証情報やロイヤルティカード番号などの顧客データを取り込むことができるCRMアプリケーションなどだ。

Facebookによると、クローズドベータの結果から、ブランドや企業はコミュニケーションを1カ所で管理できるもっと良い方法を求めていること、そして多くの企業がコミュニケーションやワークフローを効率よく管理するために、ソフトウェアへの投資を増やしていることがわかったという。これらの点において、Messenger APIをInstagramに拡張することは、長く必要とされていた機能だった。

Messenger APIをInstagramに拡張する動きは、いくつかの点で理に適っている。まず、FacebookがInstagramの商業的な可能性をどのように活用するかについて、以前から積極的に取り組んできたこと。それは広告に留まらず、ブランドや企業とユーザーとの会話や、最近ではショッピング機能の強化などの分野にまで拡大している。また、Facebookは、現在Instagramユーザーの90%が少なくとも1つの企業をフォローしていることを指摘しており、両者間の会話を管理するためのより良いルートを作ることは、必然的な動きだったと言える。

Facebookは同時に、同社が擁するさまざまなアプリやプラットフォーム、すなわちFacebook本体、Messenger、WhatsApp(ワッツアップ)、Instagram、Oculus(オキュラス)などの連携を高める方法にも取り組んできた。それはユーザーがアプリやプラットフォームの枠を超えて交流できるようにするだけでなく、企業にとってはより統合されたソーシャル戦略を可能にするものだ。Messenger APIはもともと、ブランドがMessenger上でボットを使ってユーザーと会話したり、会話を管理するために開発されたものであり、そのサポートにInstagramを加えることは、前述の2つの大きな戦略に合致する。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookFacebook MessengerInstagramF8 RefreshAPI

画像クレジット:Facebook

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックが「新型コロナ人工説」を削除しないように誤報に関するルールを変更

Facebook(フェイスブック)は、誤報に関するポリシーにいくつかの注目すべき変更を加えた。その中には、新型コロナウイルスが人間によって作られたという主張を認めるというニュースも含まれている。これは、人間が動物から自然にウイルスに感染したというこれまでの一般的な仮説に反する学説だ。

Facebookの広報担当者は「新型コロナウイルスの起源に関する継続的な調査や公衆衛生の専門家との協議から、新型コロナウイルスが人工的に作られたという主張を、今後は当社のアプリから削除しないことにします」とTechCrunchに語った。「私たちは新型コロナウイルス感染症の進化する性質に対応するため、保健の専門家と協力を続けており、新しい事実や傾向が出てくると、定期的にポリシーを更新しています」。

Facebookは、ウイルスが実験室から流出した可能性があるという説を正当化する国際的な調査を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の誤報に関するルールに調整を施した。この「ウイルス人工説」は現時点で調査が行われるほどの信憑性があることは明らかだが、嘘の治療法や、5G通信網が新型コロナウイルスの感染を拡大させるという説、そして最近ではAstraZeneca(アストラゼネカ)製ワクチンが接種者にBluetoothチップを埋め込んでいるというデマなど、明らかな誤報と織り交ぜて伝えられることが多い。

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Biden(バイデン)米国大統領は先週、中国の武漢にある研究所からウイルスが誤って流出した可能性について、複数の機関に情報報告を行うよう指示した。バイデン大統領は、この可能性を2つの「ありそうなシナリオ」のうちの1つと呼んでいる。

「……大統領に就任した直後の3月、私は国家安全保障顧問に、新型コロナウイルスの起源について、感染した動物と人間との接触から生じたものなのか、あるいは実験室での事故から生じたものなのか、最新の分析結果を報告書にまとめて用意するように依頼しました」と、バイデン大統領はホワイトハウスの公式声明で述べ、最終的な判断を下すのに十分な証拠はないと付け加えている。

感染流行の初期から、ウイルスは人工的に作られたあるいは実験室で作られたものだとする主張は、広く伝えられていたが、科学界では感染した動物から人間へ感染した自然の摂理によるものだろうとの見方が主流だった。しかし、ウイルスの起源については多くの疑問が残されており、米国はウイルスが中国の研究所から発生した可能性をまだ排除していない。このシナリオは、国際関係にとって爆弾となるだろう。

新型コロナウイルスに関するポリシー変更に先立ち、Facebookは誤った情報を繰り返し流している個人に対して、より厳しい処罰を行うことも発表している。既知の誤報を習慣的に発信していることが判明したアカウントからの投稿はすべて、ニュースフィードへの表示が制限されることになる。これは従来、同じルールを繰り返し破っているFacebookページ、グループ、Instagram(インスタグラム)アカウント、ウェブサイトに対して適用されていた制限だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook新型コロナウイルスフェイクニュースSNS

画像クレジット:dowell / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックやグーグルはインドの新IT規則を遵守、法令順守担当者を任命

Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)、Telegram(テレグラム)、LinkedIn(リンクドイン)、そしてTiger Globalが出資しているインドのスタートアップShareChat(シェアチャット)やKoo(クー)はいずれも同国の新しいIT規則を全面的あるいは部分的に受け入れ、順守している。この件に詳しい情報筋、そしてTechCrunchが入手した政府のメモで明らかになった。

2021年2月に発表されたインドの新しいIT規則では、懸念を解決すべく企業に法令順守、判断基準、苦情処理を担当する代表者を任命して連絡先を共有することを求めている。

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上記の企業はこの要件を満たしたと政府のメモにはあり、情報筋もそのように述べた。企業は今週までに新ルールを順守するよう求められていた。

Twitter(ツイッター)はまだこのルールに従っていない。「Twitterは担当者ならびに苦情処理責任者としてインドの法律事務所で働いている弁護士の詳細を昨夜遅くに連絡してきた」とインド政府のメモにはあり、ルールではそうした担当者は直接雇用している従業員でなければならない、とも書かれている。

Twitterとインド政府の間ではこのところ緊張が高まっている。今週、デリの警察はインドの政治家のツイートを誤解を与えるものと分類したことについて調べることを「正式に通知する」ためにTwitterのオフィスを訪れた。Twitterは従業員に関する懸念を指摘してこの動きを脅迫の形態と呼び、市民の言論の自由を尊重するよう政府に求めた。

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WhatsApp(ワッツアップ)は新規則に則っているが、トレーサビリティについての要件は満たしていないと情報筋はTechCrunchに語った。WhatsAppは今週初め、メッセージの発信者を追跡する方法の確保を求めている要件について、インド政府を相手取って訴訟を起こしている。このルールを満たすようにするにはあらゆるユーザーのプライバシーを危険にさらすことになるとWhatsAppは指摘した。

iMessageを展開しているApple(アップル)、そしてSignal(シグナル)がこのルールに従っているか、現時点では不明だ。

TechCrunchが真っ先に報じたように、インドの電子情報技術省は現地時間5月26日、ソーシャルメディア企業にコンプライアンス状況をアップデートするよう求めた

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FacebookやGoogleを含む一部のテック大企業にとってインドは鍵を握る海外マーケットだ。前述の2社はユーザー数においてインドを最大のマーケットだと認識している。隣国パキスタンは2020年、インドと同様のルールを提案したが、テック大手が結束してパキスタンから撤退すると脅したのち、パキスタンはルールを撤回することとなった。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

ツイッターがインド政府の威嚇行為に懸念を表明、新ITルール遵守期限の3カ月延長を要求

Twitter(ツイッター)は、同社インド支社への警察による訪問を、一種の威嚇であると指摘し、インド政府が制定した新ITルールの要求に懸念を表明した。

現地時間5月24日にインド警察の特別取締隊が同社オフィスに抜き打ち操作を行って以来初めての発言でTwitterは「インド国内の当社従業員に関する最近の出来事、および当社がサービスを提供している人たちの言論の自由に対する潜在的脅威を懸念していると語った。

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さらに同社は「当社の世界共通の利用規約の執行に対する警察による威嚇戦術の利用、およびインド政府の新ITルールの重要項目に関して懸念を示している」インド国内および世界中の数多くの組織に同調する、と述べた。

Twitterの広報担当者は次のように付け加えた。「私たちは、自由で開かれた公開の場の会話を禁止するこれらの規制項目の変更を要求します。今後もインド政府と建設的話し合いを続けるつもりであり、協力した取り組みが不可欠だと信じています。国民の利益を守ることは、公選された議員、業界、および市民社会の共同責任です」。

米国のテック巨人Twitter、Facebook(フェイスブック)とインド政府の間の緊張は、ここ数カ月高まり続けている。Twitterは、インド政府の改革とNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相を批判したアカウントのブロックを拒否した後、政治家たちから非難を浴びた。

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インドは米国テック企業にとって最大市場の1つであり、この10年間に何十億ドル(何千億円)という資金を注ぎ込んで、より多くの人たちをウェブとつないできた。インド政府の推計によると、Twitterはインドに1億7500万人のユーザーを有し、WhatsApp(ワッツアップ)には5億3000万人以上のユーザーがいる。

5月26日にWhatsAppが、デリー市の法廷で新しいITルールについてインド政府を訴えて以来、緊張はいっそう高まった。同社は、新ルールはユーザーのプライバシーを侵害し、インド政府に大量監視を実施する力を与えると指摘した。

インド政府は新ITルールを2月に発表し、企業が遵守するまでに3カ月間の猶予を与えた。今週その期限が切れ、TechCrunchが最初に報じたように、電子情報技術省は26日にソーシャルメディア企業に対して遵守状況を報告するよう依頼した

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Twitterは27日、新ITルールが要求しているコンプライアンス責任者のプラットフォーム上のコンテンツに対する刑事責任、事前の監視、およびユーザー情報の要求に関する無制限の権利は、危険な過剰範囲拡大であり、オープンで民主的な原則と相容れない、と発言した。

さらに同社はインド政府に対し、新ITルール遵守期限の最低3カ月間の延長、および公開協議プロセスの標準運用手続きの公表を要求した。

Twitterは、最近インド政府から別の不遵守通知を受け、通知に特定されていたコンテンツの一部を公開停止したと語った。特定されたコンテンツは、2021年2月のブロック命令に書かれていたものだとTwitterは言った。

最近同社は、不遵守通知に従ってコンテンツを非公開にせざるを得ない状況であると語った。従わない場合、Twitter従業員に多大なリスクがかかる刑事罰が課される、と同社は言った。

5月27日、Google CEOのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は、同社は新ITルールの遵守を誓約していると語った。「今は始まったばかりで、当社の現地チームは非常に忙しい。ご存知の通り私たちは現地法を守っており、同じ枠組みに沿ったアプローチをとっていきます」とピチャイ氏はいう。

「私たちは情報の重要性を全員に説明し、情報の自由な流通を推進していますが、民主主義国家の立法プロセスを尊重したいと考えています。ルールの遵守を誓約します」と彼は話し、同社が応じた要求はすべて、透明性レポートで報告することを付け加えた。

Twitterの声明に対するインド政府の反応。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

インド政府が大手ソーシャルメディアに新ルール遵守状況の報告を要求

インド政府はソーシャルメディア企業に対し、新しいITルールに従っているかどうかを「早急に」「できれば今日中に」報告するよう求めている。しかし、現在この新たな規則に対してWhatsApp(ワッツアップ)が異議を唱えている

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現地時間5月26日に「主要ソーシャルメディア仲介者」(インド政府が、インド国内に500万人以上の登録ユーザーをもつソーシャルメディアをこう定義している)宛に発信されたレターで電子情報技術省は、新ITルールの対象となるアプリ、ウェブサイト、あるいはサービスの名称および遵守状況を報告するよう企業に求めた。

TechCrunchが入手したレターによると、政府はさらに、規則に沿って各社が任命したインド国内の最高コンプライアンス責任者、ユーザー対応責任者、および常駐苦情処理責任者の氏名と現地オフィスの所在地も要求している。2021年2月に公表された新ルールは、問題に迅速に対応するためにインド国内に何人かの責任者を配置することを企業に義務付けている。

レターは、インド政府がソーシャルメディア企業に対して、5月26日の新ルール遵守期限の延長を認めるつもりがないことも示唆している。「SSMI(主要ソーシャルメディア提供者)に要求されている報告義務は、SSMIに与えられた3カ月の追加期間が終了する本日をもって発効する」と書かれている。インド政府はこの新ルールを公開した直後に、3カ月以内に遵守するよう対象企業に通知している。

「自社がSSMIに該当しないと考えられる場合は、その理由を貴社が提供する各サービスの登録ユーザー数とともに提出されたい」。「政府は、この規則およびIT法で許されている範囲で、追加情報を要求する権利を有している」とレターは続く。

5月26日、WhatsAppはインド政府を訴え、当局が人々のプライベートなメッセージを「追跡可能」にし大規模監視を実施することを許すこの世界第2のインターネット市場の新ルールに異議を申し立てた。

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Twitterがインド当局のさらなる警告を受け500以上のアカウントを停止

この3カ月間、米国テクノロジー巨人とインド政府との間で緊張が高まっている。2021年2月、Twitter(ツイッター)はインド政府とナレンドラ・モディ首相を批判したアカウントのブロックを拒否した。

2021年4月、インド政府はFacebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、およびTwitterに対し、モディ首相の新型コロナウイルスパンデミック対応を批判する投稿を削除するよう命令した。先週には、Twitterによる同国政治家のツイートに対する「操作メディア」判定に異議を唱えた。そして今週、インド警察は複数のTwitterインド支社を訪れ、政治家のツイートを誤解を招くと分類した根拠について情報を求めた。

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「Facebook、Twitter、Instagram、WhatsApp、およびGoogleのような大型テック企業は、しばしばひどいポリシーを作り数百万のインド国民に害を与える決断を下しています。我々インターネット自由財団(IFF)全員は、他の公共機関とともに、問題解決を助けるユーザーの権利を重視した規則を一貫して支持します、とニューデリー拠点のデジタル権利団体であるIFFが声明で語った

「この仲介者規則は、こうした未解決の問題を解決するものではなく、手続き的、実質的に重要な法的欠陥に悩まされ、最終的に私たちの権利やインターネットをこれほどすばらしく胸踊らせるものにしているイノベーションに害を及ぼすことになると私たちは確信しています。今こそ私たちは、先人の歩んだ道とインド憲法の価値をこれまで以上に追求しなければなりません」。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ドイツ当局がFacebookに対し物議を醸している「WhatsApp」の利用規約を適用しないよう命令

ハンブルグのデータ保護機関(DPA)はFacebookに対し、WhatsAppの利用規約の強制的な更新に基づいて同社が自らにアクセスを許可しようとしている、WhatsAppの追加的なユーザーデータに関する処理を禁止した。

物議を醸しているWhatsAppのプライバシーポリシーのアップデートは、公表されて以来、世界中で広範な混乱を引き起こしてきた。Facebookはユーザーから大きな反発を受け、競合のメッセージングアプリが憤慨するユーザーの流入で恩恵を享受することに直面した。同社はすでにその施行を数カ月延期している。

インド政府もまた、WhatAppの利用規約の変更を法廷で阻止しようとしており、同国の反トラスト当局が調査を進めている

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全世界のWhatsAppユーザーは、5月15日までに新しい規約に同意しなければならない(WhatsAppのFAQによると、その後も利用規約の更新への同意を求めるリマインダーは継続されるという)。

Facebookは、同規約を求められたユーザーの大多数はすでにこれに同意したとしているが、そのユーザーの割合は公表されていない。

しかし、ハンブルグのDPAの介入により、少なくともドイツ国内ではFacebookによる利用規約の施行がさらに遅れる可能性がある。当局は欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)で認められている緊急措置を採用し、同社に対し3カ月間データを共有しないよう命じた。

WhatsAppの広報担当者は、ハンブルグ当局の命令の法的有効性に異議を唱え、これを「WhatsAppのアップデートの目的と影響に対する根本的な誤解」だとし「したがって合法的な根拠はない」と主張した。

「今回のアップデートは、ユーザーがWhatsApp上の企業にメッセージを送る際のオプションを明白にして、私たちがデータをどのように収集し、利用しているかについての透明性をさらに高めるものです。ハンブルグのDPAの主張は誤りであり、その命令は今回のアップデートの継続的展開に影響を与えるものとはならないでしょう。私たちは引き続き、すべての人に安全でプライベートなコミュニケーションを提供することに注力していきます」と広報担当者は付け加え、Facebook傘下のWhatsAppがこの命令を黙殺することを意図している可能性を示唆した。

TechCrunchでは、Facebookがハンブルクの手続きを訴える選択肢を検討していると認識している。

ハンブルグが採用している緊急措置権限は3カ月を超えて延長することはできないが、当局は欧州データ保護評議会(EDPB)に対し介入を求め、27の加盟国ブロックに及ぶ「拘束力のある決定」を下すよう圧力をかけている。

TechCrunchはEDPBに連絡を取り、ハンブルグのDPAの要請に応えるためにどのような措置を取り得るかについて尋ねた。

EUのDPAは通常、特定の苦情に関連する拘束力を有するGDPRの決定には関与しない。ただし、国境を越えた案件を処理するためのワンストップショップ制度の下で、主任監督機関による審査のために提出されたGDPRの決定草案についてEUのDPAが合意できない場合は、この限りではない。

こうしたシナリオでは、EDPBが自ら拘束力のある判断を採択できるが、それが緊急性の高い手続きに適しているかどうかは不透明だ。

【更新】DPAが暫定措置を延長または最終的なものとすることを希望する場合のように、第66条に基づく暫定措置を採択する決定を通知した監督機関が、EDPBに対して緊急の意見あるいは緊急の拘束力のある決定を要請することをGDPRが認めていることについて、EDPBが確認した。

「第66条は、GDPRのワンストップショップ制度(第60条)および一貫性制度(第63条)の例外規定です」とEDPBの広報担当者はTechCrunchに語った。「これは、監督機関がその管轄内のデータ主体の権利および自由を保護するために行動する緊急の必要性があると考える場合に利用できる、補完的な手続きです」。

「ハンブルグ当局はEDPBに対し、暫定措置を採用する決定を通知済みです」と同担当者は言い添えた。

ドイツのDPAは、FacebookがEUのデータ保護規則を軽視しているとして同社を厳しく批判するだけでなく、同地域の統括データ監督機関であるアイルランドのデータ保護委員会(DPC)に対しても、WhatsAppの新しい利用規約に付随する非常に広範な懸念を調査していないとして遺憾の意を表明した。

(「データ共有の事実上の慣行を調査する主任監督機関への我々の要請は、今のところ尊重されていない」というのが、ハンブルグのプレスリリースにおけるこの批判に関する丁寧な表現である)。

TechCrunchはDPCの所見を照会しており、入手次第、本記事を更新する。

【更新】DPCの広報担当者は次のように語った。「ハンブルグはワンストップショップの例外としてこのプロセスを開始しており、ハンブルグのDPAにとって、緊急手続きを開始するためのしきい値をどのように満たすかについて対応することが重要です。WhatsAppに関するアイルランドのDPA草案の決定は、DPA間の合意に達することができなかったため、GDPRの第65条紛争解決手続を通して処理されます。したがって、そのコンテキストにおいてハンブルグのDPAは、すでに進行中であるワンストップショップ手続きの例外としての第66条の下で、自らの行動を適格化する必要があります」。

アイルランドのデータ監視機関は、GDPRの施行に関して創造的な規制措置を怠っていると批判されている(批判者たちは、委員長のHelen Dixon[ヘレン・ディクソン]氏と同氏が率いるチームに対し、多くの苦情の調査を実施せず、調査を開始した場合にはその調査に数年を要したことについて非難している)。

DPCが大手テック企業に対してこれまでに下した唯一のGDPRの決定(Twitterに対するもので、データ漏えいに関連している)は、他のEUのDPAとの論争に発展した。DPA側は、最終的にアイルランドが科した55万ドル(約6000万円)の罰金よりもはるかに厳しい罰則を求めている。

FacebookとWhatsAppに対するGDPR関連の調査について、DPCは依然として積み残したままである。WhatsAppのデータ共有の透明性に関する決定書の草案が2021年1月に他のEUのDPAに送られて審査に入っているが、この規制が適用されてから3年近く経った今もなお決議案は日の目を見ていない。

つまり、最大の大手テック企業に対するGDPRの施行が欠如していることに対する不満が、他のEUのDPAの間でも高まっている。DPAの中には、アイルランドを通じて多くの苦情を集めるワンストップショップ(OSS)制度のボトルネックを回避するために、創造的な規制措置を取っているところもある。

イタリアのDPAも2021年1月にWhatsAppの利用規約の変更について警告を発しており、変更内容についての明確な情報が不足していることを懸念してEDPBに連絡したと述べている。

EDPBはその時点で、監督当局間の協力を促進することがEDPBの役割であることを強調した。さらに「その権限に従ってEU全体でデータ保護法の一貫した適用を確保するため」、DPA間の情報交換を引き続き促進すると付言した。しかし、EUのDPA間の合意は常に脆弱であり、執行上のボトルネックや、OSSのフォーラムショッピングにより規制が維持されていないという認識をめぐる懸念が広がっている。

このことは、行き詰まりを打開して広範な規制の崩壊を回避する何らかの解決策、すなわちより多くの加盟国機関が一方的な「緊急」措置に訴える場合の対処に向けた対策を講じるようEDPBに求める圧力を高めることになるだろう。

ハンブルグのDPAは、WhatsAppの規約が更新されたことで、WhatsAppのユーザーの位置情報をFacebookに渡したり、企業がFacebookのホスティングサービスを利用した場合にWhatsAppユーザーの通信データを第三者に譲渡できるようにするなど、WhatsApp自体の目的(広告やマーケティングを含む)のために「Facebookとデータを共有する広範囲な権限」がWhatsAppに与えられるとしている。

FacebookはEU法の下でデータ共有を拡大する法的基盤としての合法的な利益に依存することはできない、と同局は判断している。

また、大手テック企業がユーザーの同意に依存しようとしている場合、変更が明確に説明されていないことや、ユーザーが同意に関する自由な選択(これはGDPRで要求されている基準である)を提供されていないことから、基準を満たしていないことになる。

「新しい規約に関する調査により、FacebookがWhatsAppユーザーのデータをいつでも自分たちの目的のために利用できるようにするために、両社の密接な関係をさらに拡大しようとしていることが明らかになりました」とハンブルグ当局は続けた。「プロダクトの改善と広告の領域に関して、WhatsAppはデータ主体のさらなる同意を要求することなく、データをFacebook企業に渡す権利を留保しています。その他の領域については、現時点ですでにプライバシーポリシーに則った自社利用が想定されています」。

「WhatsAppとそのFAQによって提示されたプライバシーポリシーには、例えば、電話番号やデバイスIDなどのWhatsAppユーザーのデータが、ネットワークセキュリティやスパムの送信防止などの共同目的のために、すでに企業間で交換されていることが記述されています」。

ハンブルグをはじめとする各DPAは、当時TechCrunchが報じたように、EUの最高裁判所のアドバイザーによる最近の意見を参考にして、GDPRの施行に関する問題を自らの手で解決しようとしているのかもしれない。Bobek(ボベック)法務官は、EU法は「緊急措置」を採用するため、または「事案を処理しないことを決定した主要データ保護当局に従って」介入するためなど、特定の状況において各機関が独自の手続きを取ることを認めているとの見解を示した

この件に関するCJEU(欧州司法裁判所)の裁定はまだ係争中だが、法廷はアドバイザーの見解に同調する傾向が強くなっている。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

フェイスブックがご近所とつながる新機能「Neighborhoods」をカナダで提供開始

Facebook(フェイスブック)はご近所とつながったり、近所レベルのローカルニュースをキュレートする新機能の提供を始める。意外性のない「Neighborhoods」という名称の新機能は現在カナダで提供されており、間もなく米国のユーザーも試せるようになる。

TechCrunchが以前報じたように、Neighborhoodsは少なくとも2020年10月から技術上は使えるようになっていたが、使用はカナダ・カルガリーのリクルートされたユーザーに限定されていた。

Neighborhoodsでは、Facebookユーザーは別の専用サブプロファイルを作って、そこに趣味やカスタムの自己紹介を登録できる。自分で作ったご近所や現在地近くのご近所に参加して、置き配泥棒や最近の子どもたちについて文句を言ったり、あるいはNextdoorでやるようなことができる。

Nextdoorがモデレーションでかなり頭を悩ませていることを認識しているFacebookは、Neighborhoodsを「関連性があり、優しいもの」にするためにコメントや投稿をレビューするNeighborhoods専門のモデレーターを配置する、と話す。Neighborhoodsの中では、代理を務めるユーザーが会話をまとめたり始めたり、ときに軽いモデレーションをしたりするようだ。ブロック機能もついている。

プライバシーに関して、そこはFacebookだ。NeighborhoodsはFacebookから独立したアプリではなく、当然のことながらターゲット広告を表示するためにあなたのご近所での活動を共有することになる。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

Instagramがストーリーに自動キャプション機能を追加、近々リールにも(英語のみ)

Instagramは、動画によるStories(ストーリー)とReels(リール)機能をもっと使いやすくするために、”caption sticker”(キャプション・スタンプ)を公開する。これを使えばユーザーは音声がなくても動画を見ることができる。新機能は聴覚が不自由な人が動画コンテンツを見るのを便利にするだけでなく、音を鳴らしたくない場所で、ヘッドホンやイヤホンがなくても動画を見る方法としても使える。

本機能を使うために、クリエイターはまずInstagramアプリのStoriesかReelsのカメラを使って新規にビデオを撮影するか、スマートフォンのギャラリーからビデオを選んでアップロードする。次に、スタンプトレイを開いて「キャプション」スタンプを選ぶと、会話がテキストに変換される。キャプションのスタイルや位置、テキストの色等をコンテンツに合わせて編集することもできる。投稿すると、キャプションが動画と一緒に全員に表示される。

開始当初、新機能は英語のみで、英語を話す国でのみ利用できるが、Instagramは他の国や言語でも近いうちに提供する予定だと言っている。また、キャプション・スタンプはまずStoriesで提供されたあとReelsでテストを開始し、その後全面公開される。

キャプション・スタンプは開発中だった昨年に< Collab sticker(コラボ・スタンプ)やLink sticker(リンク・スタンプ)やReshare sticker(リシェア・スタンプ)などとともに発見された。Instagramの親会社であるFacebookも、独自のスタンプを開発中らしい。キャプション・スタンプは今年の春になってテストが開始された

今回の機能追加は、TikTokが独自のキャプション機能である “auto captions”(自動キャプション)を発表したわずか数週間後のことだった。自動キャプションは、TikTok動画内のアメリカ英語と日本語の会話を自動的にテキスト変換する。ただし、テキストそのもののカスタマイズはできず、視聴者はアプリのシェアパネルからキャプションをオン/オフできる。同機能はまだ広く公開されていないため、多くのTikTokクリエイターは今も自分でキャプションを作ったりサードパーティー・アプリを使って作っている。

Instagramは、キャプションは以前からスレッドとIGTV向けに公開されていたが、StoriesとReelsに拡張したことでより大きなインパクトを与えるだろうと話した。InstagramではStoriesだけで毎日5億人以上に使われている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックがインドでコロナワクチン接種場所探しツールを展開、11億円寄付も

Facebook(フェイスブック)はインドの緊急事態に対し1000万ドル(約11億円)の支援を発表し、新型コロナウイルス感染拡大対応で苦戦しているインドでVaccine Finder(ワクチンファインダー)ツールの展開を開始した。

Facebookは、増大する医療用品危機をサポートすべく、病院のベッド数を増やすための5000台超の酸素濃縮機や、人工呼吸器、BiPAP(携帯型人工呼吸器)機器など生命維持装置の提供でUnited Way、Swasth、Hemkunt Foundation、I Am Gurgaon、Project Mumbai、US-India Strategic Partnership Forumといった数多くの組織と提携した。

Facebookはまた、同社のアプリでのVaccine Finderツール展開でインド政府と提携した、とも述べた。17言語で利用できる同ツールは人々が最寄りのワクチンセンターを見つけ出せるようデザインされている。

先週インドは18〜45歳を対象にワクチン接種を開始したが、ウェブサイトはすぐさまダウンし、この年齢グループの大半の人からの予約リクエストは受け付けられなかった。

低コストのISP構築に取り組んでいるバンガロール拠点のスタートアップWiFi Dabbaも、人々が簡単にワクチン接種の空きスポットを見つけられるようにするツールを開発したことも書き留めておく。

しかし、インドが現在直面している大きな問題は、ワクチン不足だ。

Facebookは新型コロナワクチンと予防衛生に関する情報をFacebook上の人々に提供すべく、非政府組織、インドの国連機関に広告クレジットを提供してサポートするとも明らかにした。

さらに同社は、緊急ケアをどのタイミングで探すべきか、マイルドな症状の家庭での対応の仕方についてUNICEF Indiaからのリソースを人々に提供するとも述べた。

世界第2位の人口を抱えるインドでは多くの企業、スタートアップ、起業家、投資家がここ数週間、政府や州政府の準備不足で拡大したパンデミックとの戦いで協力している

Pfizer(ファイザー)は米国時間5月3日、インドに7000万ドル(約76億円)分の医薬品を送ると明らかにした。「インドの新型コロナとの戦いのサポートに全力を注いでいて、社の歴史上最大の人道救援活動を結集するために急いで取り組んでいます」と同社の会長兼CEOのAlbert Bourla(アルバート・ブーラ)氏は述べた。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

「常識」獲得に向け少しずつ進化するコンピュータービジョン、フェイスブックの最新研究

機械学習は、やり方を教えるデータさえあれば、あらゆることができる。これは必ずしも簡単なことではない。だから研究者は、AIに少々の「常識」を加える方法を常に模索している。常識があれば、AIが猫だと認識する前に500枚の猫の写真を見せる必要がなくなるからだ。Facebook(フェイスブック)の最新の研究は、データのボトルネックを減らす方向へ大きな一歩を踏み出した。

同社の強力なAI研究部門は、高度なコンピュータービジョンアルゴリズムなどの技術進歩や応用範囲拡大の方法に長年取り組んでいる。着実に前進しており、その成果は一般に他のリサーチコミュニティと共有されている。Facebookが特に追求している興味深い開発の1つは「半教師あり学習」と呼ばれるものだ。

一般にAIの訓練について考えるとき、上述の猫の500枚の写真のようなものを思い浮かべる。こうした画像はあらかじめ選り分けられ、ラベルが付されている(つまり、猫の輪郭が描かれていたり、猫の周りに四角い囲みをつけたり、単に猫が画像の中のどこかにいると示されていたりする)。こうして、機械学習システムが猫の認識プロセスを自動化するアルゴリズムを作れるようにする。当然のことながら、犬や馬で行いたい場合は、500枚の犬の写真、500枚の馬の写真などが必要となる。つまり、線形に応用範囲が広くなる。テクノロジーの世界では決して目にしたくない言葉だ。

「教師なし」学習に関連する半教師あり学習では、ラベル付けされたデータをまったく使用せずにデータセットの重要な部分を理解する。これで単純に明後日の方向に進んでしまうことはなく、そこにはまだ構造がある。例えばシステムに1000個の文(センテンス)を与えて学習させた後、いくつかの単語が欠落している10の文をシステムに提示する。システムはおそらく、最初に見た1000文に基づき空白を埋めるまともな仕事をすることができる。しかし、それを画像や動画で行うのはそれほど簡単ではないし、単純でも予測可能でもない。

だがFacebookの研究者は、簡単ではないかもしれないが可能であり、実際には非常に効果的であることを示した。DINOシステム(DIstillation of knowledge with NO labels「ラベルなしでの情報抽出」の略)は、ラベル付きのデータが皆無でも、人、動物、静物のビデオの中から目的のものを見つけるべく学習することができる。

画像クレジット:Facebook

AIは上記の処理を、1つずつ順番に分析される一連の画像として動画を捉えるのではなく「一連の単語」と「文」の違いのような複雑で相互に関連する集まりとして捉えることによって行う。動画の冒頭だけでなく、途中や最後にも注意を払うことで、AIエージェントは「この一般的な形の対象物が左から右に移動する」という感覚を得る。その情報は他の知識にも反映される。例えば右側にある物が最初の物と重なっている場合、システムは双方の輪郭をパッと見て同じではないと認識する。その知識は他の状況にも応用できる。言い換えれば、AIは「見たものの意味」という基本的な感覚を養う。そして新しい対象物に関して非常に少ない訓練で同じことを行う。

これによりコンピュータビジョンシステムは、従来の訓練を受けたシステムと比べて優れたパフォーマンスを発揮するという点で効果的であるだけでなく、関連づけや説明する能力が高まる。例えば500枚の犬の写真と500枚の猫の写真で訓練されたAIは犬と猫を認識するが、その類似性はまったく理解しない。だがDINOは、具体的にではないが、両者が視覚的に類似し、とにかく車よりも類似していることを理解する。そしてメタデータとコンテキストがメモリで見えるようになる。犬と猫は、犬と山よりも、その種のデジタル認知空間では「近い」のだ。こうした概念は小さな集まりとして見ることができる。下の画像で、ある種の概念同士がどのくらい近接しているのか見て欲しい。

画像クレジット:Facebook

これには、この記事では取り上げない技術的な利点がある。興味がある人は、Facebookのブログ投稿にリンクされている論文に詳細があるので参照されたい。

隣接する研究プロジェクトとしてPAWSと呼ばれる訓練方法もある。これは、ラベル付けされたデータの必要性をさらに減らす。PAWSは、半教師あり学習のアイデアの一部を従来の教師ありメソッドと組み合わせて、ラベル付きデータとラベルなしデータの両方から学習させ、訓練を飛躍的に向上させる。

Facebook自身はもちろん、多くのユーザー向け(そして秘密の)画像関連の製品のために、速く優れた画像分析を必要としている。だが、コンピュータービジョンの世界でのこうした一般的な進歩は、目的が異なる開発者コミュニティでも歓迎されることは間違いない。

カテゴリー:人工知能・AI
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画像クレジット:Facebook

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

FacebookがVRシューティングゲーム「Onward」の開発企業を買収

2019年の後期から2020年の初期にかけてゲーム制作会社を相次いで買収してきたFacebookもこのところは、VRコンテンツの充実整備に関してややペースを落としていた。

しかし今日(米国時間4/30)は、ソーシャルメディアの巨人がその流れを断ち切り、人気の高いVR一人称シューティングゲームOnwardの開発者Downpour Interactiveの買収を発表した。このタイトルは同社のRiftとQuestプラットホームと、ValveのSteamストアで手に入るが、ここ数年における仮想現実コンテンツのトップセラーだ。

Facebookによると、今後もこのタイトルはFacebook以外のVRハードウェアでもサポートされ続ける。

一人称シューティングゲームはFacebookが最近自社製を作っていただけに、この買収は興味深い。ちなみにその自社製VRタイトルMedal of Honorは、Apex Legendsの開発者Respawn Entertainmentとパートナーして巨額を注ぎ込んだ作品だが、この前の12月にリリースされ、批評家たちからあまり高い評価はもらえなかった。

今回のDownpourの買収につき、Facebookはその条件等を公表していないが、チーム全体がOculus Studiosに加わる、と言っている。FacebookのAR/VRコンテンツ担当副社長Mike Verdu氏は、買収に関する詳しいブログ記事で、Onwardは「マルチプレイヤーの傑作」と言っている。

関連記事: Facebook buys VR studio behind Beat Saber(未訳)

(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)
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アルゴリズムに焦点を当てた第230条の改正に向け米議員が公聴会で討議

米国時間4月25日に行われたアルゴリズムに関するビッグテック公聴会では、CEOをこき下ろす攻撃的な自由参加の討論会というよりも、話を聞くことを目指し、そういった意味では、ほとんど成功を収めたと思う。

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珍しいことに、公聴会はFacebook(フェイスブック)、YouTube(ユーチューブ)、Twitter(ツイッター)の最高経営責任者ではなく、ポリシー担当主任(ポリシーリード)からの証言を中心に行われた。数時間に及んだ討議では、大きな進展はなかったが、それでも世界で最も影響力を持つ者が一貫して「その件については後ほど説明する」に終始するよりは実りがあったと言えるだろう。

公聴会で議員たちはソーシャルメディアのエコーチャンバーと、アルゴリズムによる、完全に人の行動を再形成することができるプラットフォームを通じたコンテンツの拡散方法について嘆いた。

「この高度技術は、我々の時間と注意をソーシャルメディアに引き付けるよう設計されたアルゴリズムに用いられており、その結果として、子どもたちの注意範囲や、公開講演の質、公衆衛生、ひいては民主主義そのものに危害が及ぶ可能性がある」とChris Coons(クリス・クーンズ )上院議員(民主党・デラウェア州)は言及した。クーンズ上院議員はこの公聴会を開いた、プライバシーとテクノロジーに関する上院司法小委員会会長を務めている。

クーンズ上院議員は、アルゴリズムはイノベーションを推進するが、そのダークサイドには大きな代償があると述べた。

これはもちろん今に始まったことではないのだが、議会の解決に向けての動きは非常に遅く、同じような公聴会が毎回繰り返されている。火曜日の公聴会では、超党派合意のいくつかの領域が強調された。これにより民主党によって厳しく制御される上院を通過する技術改正法案の可能性が定まるかもしれない。クーンズ上院議員は「広範的に超党派の解決策」に到達できるかもしれないという楽観的な見方を示した。

それはどのようなものなのか?おそらくは 通信品位法第230条の改正だろう。これについては何年も前から大々的に記事にしてきている。この法律はユーザーが作成したコンテンツに関する責任からソーシャルメディア企業を保護するもので、バイデン政権の新しい民主党主導の上院と、以前のトランプ政権に影響された共和党主導の上院の両方に共通する、技術規制に関する話題である。

米国時間2021年4月27日、米国ワシントンDCで行われた上院司法小委員会の公聴会にリモート参加し、発言するTwitter Inc.の米国公共政策部長Lauren Culbertson(ローレン・カルバートソン)氏(画像提供: Al Drago/Bloomberg / Getty Images)

壊れたビジネスモデル

公聴会で、議員たちは問題の核心として大手ソーシャルメディア企業が利益を得る方法に固有の欠陥について指摘した。特定の欠陥について企業を批判するのではなく、ソーシャルメディアの多くの問題が噴き出るコアビジネスモデルに主に重点を絞ったのだ。

Ben Sasse(ベン・サッセ)上院議員(共和党・ネブラスカ州)は「本当に複雑で質的な問題には、簡単な量的解決策があるという考えを押しのけることが非常に重要だと思う」と語った。ソーシャルメディア企業は、ユーザーを自社製品に夢中にさせ続けることで利益を得ているため、本当の解決策ではそのビジネスモデルともどもなくす必要があると主張した。

Josh Hawley(ジョッシュ・ホーリー)上院議員(共和党・ミズーリ州)は「こうした企業のビジネスモデルは中毒である」と同意し、ソーシャルメディアを意図的な「注目のトレッドミル」と呼んだ。

Google(グーグル)元社員でテック評論家のTristan Harris(トリスタン・ハリス)氏は、自身の証言において、テック企業がその中心的な設計の信条についてどのように納得させるのかについて歯に衣着せることなく語った。「それはまるで、人質の動画で人質の話を聞くようなものだ」として、エンゲージメントを探すビジネスモデルを舞台裏で突き付けている銃に例えた。

第230条に対する世間の注目

議員がこのような深く根付いたインセンティブを破壊するために提案する1つの大きな方法は何であろう?ソーシャルメディア企業が享受している第230条の保護にアルゴリズムに焦点を置いた例外を追加することだ。そのアプローチを取る法案がいくつか上がっている。

法案の1つは、2020年に John Kennedy(ジョン・ケネディ)上院議員(共和党・ルイジアナ州)、Paul Gosar(ポール・ゴーサー)下院議員(共和党・アリゾナ州)、Tulsi Gabbard(トゥルシー・ギャバード)下院議員(民主党・ハワイ州)が提案した、1000万人以上のユーザーを持つプラットフォームに対し、第230条の保護を継続させたい場合には、ユーザーの行動やデモグラフィックデータに基づくコンテンツを提供する前にユーザーの許可を得ることを求めるものだ。これはユーザーが特別にそのように選択しない限り「ユーザーの見解を分極する情報をユーザーに提供する」ことでエンゲージメントを向上させるプラットフォームから第230条の免責を取り消すのが狙いだ。

また別の法案「Protecting Americans from Dangerous Algorithms Act(危険なアルゴリズムから米国民を守る)法令」では、Anna Eshoo(アンナ・エシュー)下院議員(民主党、カリフォルニア州)とTom Malinowski(トム・マリノウスキー)下院議員(民主党、ニュージャージー州)が、第230条の保護の禁止と「企業のアルゴリズムがオフラインの暴力に繋がる誤報を増幅する場合」にその企業の責任が問われることを提案している。

第230条の擁護者たちは、不十分に対象を絞った法律の変更により、現在の近代的なインターネットは混乱に陥り、その結果意図した改正の努力範囲を超えて連鎖的に悪影響がおよぶと主張している。法律の完全な廃止はほぼ確実に提案されることはないが、わずかな調整でさえ、良くも悪くも、インターネットビジネスが完全に再編される可能性があるとしている。

ホーリー上院議員は、利益を追求するためにアルゴリズムを使用する企業に対してより広い提案をした。「行動広告やアルゴリズムによる増幅を行うプラットフォームから第230条の保護を単に廃止すべきでは」と問い、法律の完全廃止に反対ではないと付け加えた。

上院の反トラスト小委員会委員長を務めるAmy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)上院議員(民主党・ミネソタ州)は、アルゴリズムの問題をテック業界の反競争的行為に結び付け「ある企業がその傘下にある全員を買収しているのであれば、その企業が付加製品を開発して誤情報を提供できたかどうか知ることは決してありません。なぜなら競争がないのですから」と語った。

小委員会メンバーのクロブシャー上院議員とMazie Hirono(メイジー・ヒロノ)上院議員(民主党・ハワイ州)は独自の主要な第230条改正法案「Safe Tech Act(安全なテクノロジーに関する法令)」を出しているが、この規制ではアルゴリズムは広告や有料コンテンツよりも問題とされていない。

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アルゴリズムのレンズを通じて第230条を鑑みる主要法案は少なくとももう1つある。ビックテック批判で有名なDavid Cicilline(デビッド・シシリン)下院議員(民主党、ロードアイランド州)が第230条の法案を提案する予定だ。これは、エンゲージメントを向上させ、私腹を肥やすためにアルゴリズムに依存する企業に対し、免責を廃止するものとなる。

「これは非常に複雑なアルゴリズムで、エンゲージメントを最大化して広告価格を吊り上げ、企業にさらなる利益をもたらすように設計されている」と シシリン下院議員は2021年3月Axios(アクシオス)に語った。「これは一連のビジネス上の決定であり、企業が責任を問われるべきだと主張するのは簡単なのかもしれない」。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)

テック業界に対するリナ・カーン氏の時宜を得た懐疑論はFTCの承認公聴会を新鮮かつ友好的な方向に導くものだ

近ごろの承認公聴会がどう進むかは誰にもわからない。現状と大企業に挑みながらも重要な地位に指名された若い部外者にとっては特にそうだ。FTC委員のポジションに就く予定のLina Khan(リナ・カーン)氏はまさにそのような人物だが、米国時間4月22日に行われた上院商業委員会の承認公聴会で、意外なほど快適な時間を過ごした。おそらく、反トラストに対する彼女の因習打破的なアプローチが昨今の政策を良い方向に導いているからであろう。

コロンビア大法科大学院の准教授であるカーン氏は「Amazon’s Antitrust Paradox(アマゾンの反トラスト・パラドックス)」という鋭敏な論文を通じてテクノロジー業界で一躍有名になった。(同氏は最近、テクノロジー政策に関する下院の報告書にも寄稿している。)

2018年に同論文が発表されたとき、Amazonが自社の立場を乱用し始めたという印象は、一部の業界では常識化していたが、連邦議会ではあまり認識されていなかった。しかし、自由放任主義や不十分な規制がAmazon、Google、Facebookに(手始めに)モンスターを生み出しているという意識の高まりは、これらの新進企業を元の場所に戻す何らかの方法を見つける必要があるという、超党派の稀有な合意につながった。

それが今度は、目的を共有しているという感覚と、承認公聴会での仲間意識をもたらした。この公聴会はトリプルヘッダーで行われ、カーン氏はNASAの責任者に指名されたBill Nelson(ビル・ネルソン)氏、商務省の法律顧問に就任予定のLeslie Kiernan(レスリー・キーナン)氏とともに、実に有意義な、3時間ほどの短い会話を交わした。

カーン氏はバイデン政権の中で、ビッグテックなど手に負えなくなったビジネスに立ち向かうための新たなアプローチを提示している人物の1人だ。両陣営の上院議員から誠実な印象の質問が寄せられ、自信に満ちたカーン氏から真摯な申し分のない回答が提示された。

セクション230や、不正な委員会、上院議員に関するものを含め巧妙にカーン氏を導くいくつかの動きを避けながら、その回答は主に、こうした秘密主義の強力な企業に対する規制のアプローチにおいて、FTCは十分な情報を得てより先制的な行動を取るべきだという同氏の専門家としての意見を再確認するものとなった。

以下に、いくつかの主要な問題に対する同氏の見解を示す質疑応答を抜粋して紹介する(回答はわかりやすくするために若干編集されている)。

FTCがGoogle、Facebook、ニュースプロバイダーの争いに介入したことについて。

「すべてが議論の対象になる必要があります。明らかにローカルジャーナリズムは危機に瀕しており、新型コロナウイルス感染症を巡る現下の情勢は、信頼できるローカルニュースの情報源がない場合に引き起こされる、民主主義の深刻な緊急事態を浮き彫りにしていると思います」。

同氏はまた、広告市場の集中化や、業界全体に広範な影響を及ぼす可能性があるアルゴリズム変更などの恣意的な性質についても言及した。

画像クレジット:Graeme Jennings/Washington Examiner/Bloomberg / Getty Images

ソーシャルメディア企業は「一般通信事業者」と見なされるべきだというClarence Thomas(クラレンス・トーマス)氏の困惑する提案について。

「それは多くの興味深い議論を引き起こしたと思います」と彼女は極めて慎重に語った。「Amazonの論文の中で、私はこれらの支配的なデジタルプラットフォームについて考える際の2つの潜在的な道筋を特定しました。その1つは、競合法を施行し、これらの市場が競争的であることを確実にすることです」(独占禁止法の使用など)。

「もう1つは、規模の経済やネットワークの外部性があるために、これらの市場が少数の企業によって支配され続ける可能性があることを認識した場合、別のルールを適用する必要があるということです。私たちには、集中度が高い場合にどのような種類の規制を適用できるかについて考えてきた長い法的伝統があり、一般通信事業として捉えることはそうしたツールの1つです」。

「これらの企業の一部は現在、非常に多くの市場に統合されているため、どの特定市場を対象としているかによって、異なるツールのセットに対応する可能性があることを明確にしておく必要があります」。

(これは、一般通信事業や既存の独占禁止規則がこの問題の対処にまったく適さないということを表す非常に丁寧な言い方だ)。

FTCが承認した過去の企業合併を再検討する可能性について。

「同委員会のリソースは、経済の規模の拡大や、同委員会が検討している案件の規模と複雑度の増大に追いついていませんでした」。

「デジタル市場は特に急速に動いているため、市場への潜在的な集中を気にする必要はないという前提がありました。なぜなら、どんな力の行使も参入や新たな競争によって規律づけられるからです。もちろん今では、市場には実際に大きなネットワーク外部性があり、それによって市場をより厄介なものにしていることが理解されています。後から振り返ってみると、これらの合併レビューは機会を逸したものだったという感覚が高まっているのです」。

(ここでは、Blackburn[ブラックバーン]上院議員[共和党・テネシー州選出]がスペクトラムプラン ― 不正な委員会、上院議員について尋ねる前にカーン氏の「ポジション就任における経験の欠如」を指摘するという、数少ないネガティブな瞬間の1つが見られた)。

Facebookに対する指令のようなものを強制することの難しさについて。

「課題の1つは、これらの企業と執行機関や規制機関との間に存在する情報の非対称性です。いくつかのケースでは、当局が根底にあるビジネスの現実や、これらの市場がどのように機能しているかという経験的な現実に追いつくのに少し時間がかかっていることは明らかです。ですから、少なくとも、当局がペースを保つためにできることを確実に行っていくことが重要になります」。

関連記事:FacebookはFTCの反トラスト法違反訴訟にビッグテックの荒削りな戦略で反論

「ソーシャルメディアにはブラックボックスアルゴリズムという独自のアルゴリズムがあり、実際に何が起こっているのか把握するのを困難にすることがあります。FTCは情報収集能力を活用して、こうしたギャップの一部を緩和する必要があります」。

子どもをはじめとする脆弱なグループに対する保護をオンラインで強化することについて。

新型コロナウイルスのパンデミックにより、家族や子どもたちがこうした[教育に関わりのある]テクノロジーに特に依存するようになっていることを考えると、その危険性は高まっています。そのため、ここでは特に注意を払う必要があります。従来のルールは、離れたところではなく、近いところに置くべきです。

全般的に見て、党派を超えた議論はほとんど見られず、双方において、カーン氏はその職務での実務経験がないとしても(FTC委員のような要職では珍しいことではない)、誰もが求めるような能力を備えた候補者だとの認識が多勢を占めていた。さらに独占禁止法や競合の問題について彼女が高く評価され、かなり断定的な立場をとっていることは、すでに規制の独走状態にあるAmazonとGoogleを一旦は守勢に立たせるのに役立つかもしれない。

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画像クレジット:Saul Loeb-Pool/Getty Images / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)