Googleの新しいゲーム・ストリーミングのプラットフォームであるStadiaだが、発表会場でレイテンシー、価格、サポート予定のデバイスなどについてうるさくスタッフに質問した後、新しいゲームコントローラを実際にテストしてみることができた。短時間だが大画面テレビでプレイしたのはクラウド版のDoom 2016だった。
最初のトライはさんざんだった。フレームレートが極端に遅くなり、まるでPowerPointのスライドの早送りみたいになった。4K映像が表示されたかと思うと何が映っているかわからないほどぼやけた。最長で0.5秒くらいのレイテンシーが感じられた。このありさまにGoogleの社員は不安げに顔を見合わせていたが、やがて私のコントローラをひったくって再起動をかけた。
再起動後は状況は大きく改善された。しかしひと言で要約するなら、ストリーミングゲームには「何が起きるか予想がつかない」不安定さが残っている。Googleの名誉のために付け加えておくと、Stadiaの実機テストは強力なネットワークが張り巡らされたマウンテンビューの本社キャンパスではなく、発表会場のホテルのWi-Fiで行われた。これは現実の使用条件にずっと近いはずだ。
StadiaはGoogleのクラウドゲームストリーミングサービスだ。テクノロジーの詳細についてはまだ不明な点が多々あるが、基本的な方向性ははっきりしている。ハイレベルの専用機ゲームをオンラインに移行させることだ。Chromeブラウザからアクセスできれば強力なゲーム用GPUを持たないスマートフォンなどのデバイスでハイレベルのゲームがプレイできるようになる。
最初のトライでつまづいたものの、その後Stadia体験は全体としてポジティブなものだった。Doom 2016の画像は鮮明な4Kで、プラットフォームを特に意識せずゲームに集中できた。新しいプラットフォームが導入された場合、「意識しないですむ」というのは大成功を意味する。
カジュアル・ゲームにはStadiaは素晴らしいプラットフォームになると思う。。ただし高度なマルチプレイヤーゲームを楽しむ筋金入りユーザーには最適ではないかもしれない。理論上は、YouTubeのフィードから直接にスポーツ系ゲームを起動できる。しかしこういう使い方には向いていない。インプットから画面上にその効果が出されるまでのレイテンシーがそれなりにあるからだ。しかし(私も含めて)多数のユーザーにとってStadiaの能力は十分だ。なんといってもこのレベルのユーザーがゲーム市場の大部分を占めるのだから、Stadiaは十分に価値があるテクノロジーだ。
Google Stadia担当のバイスプレジデントであるPhil Harrison氏は、レイテンシーがどれほどの範囲になるか正確な数字を挙げることは控えたが、「人間が何かを知覚してから反応するまでの時間よりも短い」と述べた。Googleのスタッフによれば、この時間は(個人差はあるものの)70ミリ秒から130ミリ秒程度だという。つまりStadiaのレイテンシーはネットワーク接続が最良であれば70ミリ秒未満ということになるのだろう。
レイテンシーはネットワークの状態だけでなく、ユーザーとデータセンターとの物理的な距離によっても変化する。つまり固定した数字はあまり意味がない。テスト時点で私はサンフランシスコにおり、およそ80キロ離れたサンノゼのデータセンターにアクセスできた。Googleは「Stadiaがサポートされている国のユーザーであっても、僻地に居住しているような場合、サービスの開始時点で必ずサインアップできるとは限らない」と認めたが、その理由がここで述べたような事情だ。
その他の興味ある点。
- Googleはサポートされるデバイスについて「後日正確な情報を発表する」と述べたが、iOSデバイスをサポートするのかという質問に対して「スタート時点ではPixelデバイスに焦点を当てていく」と強調した。.
- 別のプラットフォームで購入ずみのタイトルであってもStadiaではプレイできないようだ。当然だが、Stadiaのゲームはこのプラットフォーム上で改めて購入する必要がある。
- ユーザーはYouTubeのストリームからゲームにアクセスすることができるが、すべてのコンテンツをまとめたハブとなるサイトも用意され、URLでゲームにアクセスすることもできる。
- コントローラ(トップの写真)はよく出来ている。デザインはソニーのDualShockとよく似ている
Stadiaについては今年の夏のGoogle I/Oでさらに詳しい点が判明するはずだ。私の最初の実機テストではサービスがGoogleの主張どおりに作動し、専用機クラスのゲーム体験を与えることができると確認できた。そこで現在、最大の疑問は価格だ。ハードコアなゲーマーしか手が届かない価格になるのか、カジュアル・ゲーマーにも手頃な価格になるかがこのプラットフォームの性格を決める。ビジネスとしての成否もおそらくはこの価格設定にかかっているだろう
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(翻訳:Umihiko Namekawa、滑川海彦@Facebook)