ロシアがフェイスブックをブロック、ウクライナに関する会話をコントロールする最新の試み

ロシア政府は、Facebook(フェイスブック)に対する部分的な規制を導入してから1週間後にあたる4日、ロシア国内で同ソーシャルネットワークを全面的にブロックし始めると発表した。

ロシアの通信情報技術監督庁Roskomnadzorは、世界最大のソーシャルプラットフォームへのアクセスを遮断する決定において「ロシアのメディアと情報リソースに対する26件の差別行為」を挙げ、同社が国営メディアに制限を課しているという以前の苦情を繰り返した

「ここ数日、同ソーシャルネットワークは、以下アカウントへのアクセスを制限しています。Zvezda TV(ズヴェズダ・テレビ)チャンネル、RIA Novosti(RIAノーボスチ)通信社、Sputnik(スプートニク)、RT(旧ロシア・トゥデイ)、Lenta.ruとGazeta.ruの情報リソースです」とロシアの通信規制当局は書いている

「上記の制限は『基本的人権および自由、ロシア連邦市民の権利および自由の侵害に関与する人物に影響を与えるための措置に関する』連邦法第272-FZ号の、とりわけ、情報の自由な流通と、ロシアのユーザーが外国のインターネットプラットフォーム上でロシアのメディアに自由にアクセスできるという重要な原則の侵害を防ぐ採択によって禁止されています」。

Meta(メタ)のグローバル・アフェアーズ担当社長で元英国副首相のNick Clegg(ニック・クレッグ)氏は、4日のロシアの発表について声明をツイートしている。

ロシア政府がロシア連邦でのFacebookへのアクセス遮断を決定したことについて次のように述べている。

「まもなく何百万人もの普通のロシアの人々が、信頼できる情報から切り離され、家族や友人とつながるのに日常的に使っている方法を奪われ、発言も封じられることになるでしょう。私たちは、人々が安全かつ確実に自己表現し、活動を組織することができるよう、サービスの復旧に全力を尽くし続けます」。

今週初め、Metaは、FacebookとInstagram(インスタグラム)全体でロシア国営メディアのリーチを制限し、それらのアカウントがロシア政府によって形作られたメッセージを広めることをより困難にすると発表した。

ロシア政府によるFacebookへの弾圧は、隣国ウクライナへの流血の侵攻に対する抗議が国内で盛り上がりを見せている中で行われた。反対意見の広がりを受けて、ロシア議会は4日、ウクライナでの同国の活動に関する「偽」の情報を故意に流した者に、最高で15年に及ぶ長期の禁固刑を含む厳しい処分を科す新法案を可決した。

ロシアのFacebookに対する新たな措置が、WhatsApp(ワッツアップ)やInstagramといった他のメタ傘下アプリへのアクセスも制限するかどうかはすぐにはわからないが、これらのサービスは抗議活動の組織化やロシア以外のニュースソースからの情報共有に利用されうることを考えると、そうなる可能性は高いと思われる。

画像クレジット:MLADEN ANTONOV/AFP/Getty Images / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Den Nakano)

フェイスブックが大学生専用ソーシャルネットワーク「Campus」を終了

Facebook(フェイスブック)はルーツある大学生専用ソーシャルネットワークに立ち返るべく、2020年秋にCampus(キャンパス)を立ち上げた。「.edu」ドメインのメールアドレスのユーザーだけに開かれたFacebook内のプライベート領域だ。しかし、その取り組みが成功することはなく、FacebookはCampusユーザーに対して3月10日に完全閉鎖すること通知した。

アプリ内メッセージを通じてFacebookは、Campusのパイロットテストはまもなく閉鎖され、Campusのプロフィール、グループ、投稿、その他のデータは削除されるとユーザーに伝えた。閉鎖の前に、ユーザーはエクスポートツールを使って自分のデータをダウンロードできるとメッセージに書かれている。

「Campusパイロットを開始して以来、私たちのミッションは学生コミュニティが密につながるのを後押しすることでした。しかし、学生たちを支援する最良の方法はFacebookグループを使うことだとわかりました」とメッセージは説明している。

ソーシャルネットワークコンサルタントのMatt Navarra(マット・ナバラ)氏は、何人かのCampusユーザーから閉鎖の知らせを受け、メーセージのスクリーンショットをTwitterに載せたとTechCrunchに話した。他にもCampusの閉鎖とデータ削除の予定について報告したユーザーはいたが、残念がるコメントはほとんど見られなかった。おそらく、Capmusが普及していないことの証だろう。

当初Facebookは、Capmpusを若者たちにアピールする手段として紹介し、学生たちがクラスメートとつながり、グループに参加し、キャンパスイベントの情報を知り、大学事務室からの通知を受け、みんなとチャットする場を提供しようとした。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック到来とともに、Facebookは多くの学生がバーチャル学習にシフトしたことに乗じて、同社のオンライン大学ネットワークの利用を加速させられるのではないかという見方もあった。

しかし、Campusは完全な別アプリとしては提供されておらず、Facebookの「その他」メニューやWatch(ウォッチ)、Dating(デーティング)、News(ニュース)などのセクションからもアクセス可能だった。このため、真のプライベートネットワークというより、Facebookそのものの一部と感じさせられていたかもしれない。

画像クレジット:Facebook

Facebookは自らのプラットフォーム上でこの機能を宣伝し、時には積極的過ぎてユーザーの不評を買った。例えば2021年、あるTwitter(ツイッター)ユーザーは自分が学生ではなく教員なのにCampusに参加するよう強く推されたことを指摘した。2021年中頃時点で、Campusは米国の計60の大学で利用可能になった。そして2022年1月になってからもFacebook Campusの拡張は続き、UNC Charlotte(UNCシャーロット)などの地元報道機関は大学の追加を報じていた。

現時点でパイロットプログラムには204校が参加しているとFacebookがTechCrunchに語った。

同社広報担当者の1人は、Campusの当初のアイデアについて、学生たちはすでに大学のためにFacebookグループを使っていたので、専用サービスを作ってこの利用形態にもっと答えることができる可能性をFacebookは試したかったのだと話した。Facebookは、グループのほうがうまくいことに気づいた。

その広報担当者は、Campus閉鎖の決定についても正式に認め、次のように述べた。

当社はFacebook Campusのパイロットを終了することを決定しました。大学生を支援する最良の方法について私たちは多くを学び、彼らを一緒にする最も効果的なツールはFacebookグループであることがわかりました。テスト実施校の学生にはCampusが使えなくなることを伝え、適切な大学Facebookグループに参加することを勧めました。

画像クレジット:SDI Productions / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

バイデン大統領がソーシャルメディアのメンタルヘルスへの影響について訴え、一般教書演説で

ホワイトハウスは、バイデン大統領による初の一般教書演説に先立ち、米国におけるメンタルヘルスの危機に取り組む計画を発表し、特にソーシャルメディアが子どもや10代の若者に与える影響について強調した。この問題は、一部の議員の間で重要視されている。特に、内部告発者のFrances Haugen(フランシス・ホーゲン)氏がFacebook(フェイスブック、現在はMeta)に不利な内部文書を大量にリークした後はそうだ。内部文書には、10代の若者への悪影響を同社が認識している証拠も含まれていた。

ホワイトハウスによると、バイデン大統領は議会に対し、プライバシー保護の強化、子どもへのターゲット広告の禁止、テック企業による子どもの個人情報収集の停止を要請する。

一般的に、一般教書演説でテック企業が重要な役割を果たすことはない。バイデン大統領が米国3月1日夜、ロシアのウクライナ侵攻に関するより差し迫った危機を考慮し、言及さえしない可能性もある。とはいえ、大統領はソーシャルメディアのプラットフォームに対し、若いユーザーの安全を守るよう呼びかけている。ファーストレディのJill Biden(ジル・バイデン)博士がホーゲン氏を特別ゲストとしてこのイベントに招待したことは、ソーシャルメディア幹部に対する5回にわたる上院公聴会のきっかけとなったホーゲン氏の主張に、大統領が注目していることを示している。

「大統領は、子どものデータとプライバシーの保護をはるかに強化すべきと考えているだけでなく、プラットフォームやその他の双方向デジタルサービス提供者は、製品やサービスの設計において、利益や収益よりも、子どもや若者の健康、安全、幸福を優先させ確保すべきだと考えています」。ホワイトハウスのブリーフィングには、こう書かれている。

この文言は、ホーゲン氏が議会に登場した際に使っていた言い回しを彷彿とさせる。同氏は「60 Minutes」のインタビュー以来、元社員としての立場から、Facebookは安全性よりも利益を優先していると繰り返してきた。

大統領はまた、ソーシャルメディアが私たちにどのような害を及ぼすのか、およびその害に対処するためにどのような臨床的・社会的介入が可能かについての研究に、少なくとも500万ドル(5億7500万円)を投資する計画の概要を示した。また、米保健福祉省は「ソーシャルメディアとメンタルウェルネスに関する全米センター」を立ち上げ、10代のソーシャルメディア利用がもたらす影響について一般市民に啓蒙していく予定だ。

バイデン大統領はまた、子どもたちを対象とした過剰なターゲット広告やデータ収集を禁止するよう議会に要求する見通しだ。2000年に施行された児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)は、13歳未満のユーザーの追跡やターゲティングを制限することを目的としているが、プラットフォームがユーザーの年齢を認識していることが証明されない限り、この法律を適用することはできない。つまり、子どもが「はい、私は13歳です」というボックスをクリックするだけで、子ども向けではないコンテンツにアクセスできてしまうため、COPPAは簡単に適用できないことが多い。

すでに一部の議員は、COPPAをより効果的なものにするためにアップデートを試みている。Ed Markey(エド・マーキー)上院議員(民主党、マサチューセッツ州)とBill Cassidy(ビル・キャシディ)上院議員(共和党、ルイジアナ州)は2021年、インターネット企業が13〜15歳のユーザーの個人データを本人の同意なく収集することを違法とする法案を提出した。この法案はまた「消去ボタン」を設け、ユーザー(またはその親)が、企業が収集した自らに関するデータを手動で消去できるようにするものだ。

「消去ボタン」のコンセプトは、Richard Blumenthal(リチャード・ブルメンタール)上院議員(民主党、コネチカット州)とMarsha Blackburn(マーシャ・ブラックバーン)上院議員(共和党、テネシー州)が最近提出した「Kids Online Safety Act(KOSA)」にも登場する。2021年10月には、YouTube(ユーチューブ)、TikTok(ティクトック)、Snap(スナップ)の代表者が上院の公聴会で、親が自分の子どもや10代の若者のオンラインデータを消去できるようにすべきだという意見に同意した。

ホワイトハウスのブリーフィングでは、アルゴリズムが選ぶコンテンツが、特に若い有色人種の女性の間で、メンタルヘルスに悪影響を与える可能性があることも取り上げている。

「『黒人の女の子』、『アジア人の女の子』、『ラテン系の女の子』と検索すると、ロールモデルやおもちゃ、アクティビティではなく、ポルノなどの有害なコンテンツが並ぶことがあまりにも多い。プラットフォームは、子どもたちが何が可能かを理解し、アクセスする機会に方向性を与えます」と報告書は述べている。「私たちは、プラットフォームやその他のアルゴリズムによって強化されたシステムが、差別的に子どもたちを標的にすることがないようにしなければなりません」。

ここ数年、ホワイトハウスがこのブリーフィングで説明したような問題を解決することを目指す法案がいくつか議会を通過したが、ほとんどは可決されるに至っていない。法案が成立するほどの勢いになっても、意図したことが達成されないこともある。トランプ前大統領は2018年「オンライン性的人身売買対策法(FOSTA)」に署名し、法制化した。その名の通り、人身売買を抑制するための法律だったが、かえって合意の上で働くセックスワーカーにとって、より危険な状況を作り出しただけだった。

バイデン大統領は、研究に500万ドル(約5億7500万円)を投じ、ソーシャルメディアとメンタルウェルネスに関する全米センターを設立したが、ソーシャルメディアとメンタルヘルスに関するコメントは、長年にわたって議会で議論されてきたことを繰り返したに過ぎない。しかし、これらのメッセージから、大統領が少なくとも、米国人のオンラインでの生活にいくらか注意を払っていることがわかる。

バイデン大統領は一般教書演説で、ソーシャルメディアの巨人に関する計画を示唆した。

「パンデミック以前にも、子どもたちは苦労していました。いじめ、暴力、トラウマ、そしてソーシャルメディアの害。今夜ここにいるフランシス・ホーゲン氏が示したように、我々はソーシャルメディアプラットフォームが利益のために子どもたちに対して行っている国家的な試みに対して責任を負わせなければならないのです。今こそ、プライバシー保護を強化し、子どもへのターゲット広告を禁止し、テック企業に子どもの個人情報収集をやめるよう要求するときです」。

また、ホーゲン氏は演説後、バイデン大統領の発言についてコメントした。

「バイデン大統領が一般教書演説でこの問題を提起し、これにより我々がソーシャルメディアが子どもたちの精神衛生に与えている真実の暴露を続け、この恐ろしい現実を変えるためにすべての関係者に力を与えられることに感謝しています」とホーゲン氏は報道機関にメールで送った声明で述べた。声明はTwitter(ツイッター)にも投稿された。「FacebookとInstagram(インスタグラム)は、私たちを中毒にし、また子どもと私たち自身の最悪の事態を増幅させるために設計された欠陥商品です。彼らは私たちの子どものメンタルヘルスを犠牲にして利益をあげているのです」。

【更新】3月2日米国東部時間午前9時20分、バイデン大統領とフランシス・ホーゲン氏の言葉を盛り込んだ。

画像クレジット:Al Drago/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

Instagram、ダイレクトメッセージ暗号化機能をウクライナとロシアで提供

Meta(旧Facebook)はウクライナ紛争への対応として、国営メディアの制限や事実確認に関する取り組みの強化などを行っているが、そうした一連の措置の一環として、ウクライナとロシアの両国のですべての成人が、Instagram(インスタグラム)で暗号化された1対1のチャットを利用できるようにすると発表した。

関連記事:フェイスブックとInstagramがロシア国営メディアの情報拡散を抑制、紛争地域のIGユーザーに暗号化DM提供へ

Instagramのユーザーには、ダイレクトメッセージの受信箱の上部に表示される通知でこのオプションが警告され、選択すれば暗号化された会話に切り替えられることが案内される予定だ。

Messenger(メッセンジャー)やWhatsApp(ワッツアップ)など、他のMeta傘下のアプリでは、すでにエンド・ツー・エンドの暗号化を提供している。WhatsAppでは、それがデフォルトになっている。ただし、デフォルトのエンド・ツー・エンド暗号化がMessengerに完全搭載されるのは2023年のいつかだが、同社は長年にわたり、Messengerのテキストチャットのエンド・ツー・エンド暗号化を有効にするオプションを提供してきた。また、1月にはMessengerでエンド・ツー・エンドの暗号化されたグループチャットと通話を完全導入している。

同社は、ウクライナとロシアの両方で安全機能を利用できるようにすることにした、と説明した。そのオプションがなければ、戦争に反対を表明しているロシアの活動家が危険にさらされる可能性を示唆した。

「著名なロシアのクリエイターやインフルエンサー、活動家やミュージシャンは情報にアクセスし、侵攻反対を発言するためにFacebookやInstagramを使っています」と最近副社長から昇格したMetaのグローバル問題担当社長Nick Clegg(ニック・クレッグ)氏は述べた。同氏は「彼らもそうし続けられるようにしたいのです。そしてロシアの人々も引き続きゼレンスキー大統領やウクライナの人々の声を聞き続けることができるようにしたいのです」と付け加えた。

危機的状況が続く中でロシア政府がMetaのサービスへのアクセスを制限し、それでも同社はここ数日、他にもいくつかの変更を加えている。

エンドユーザーにとって、今回の変更は暗号化されたInstagramのDMに限られたものではない。同社はまた、ウクライナとロシアのユーザー向けに、Facebookのプロフィールをロックしたり、友人リストの閲覧・検索機能を削除するなどの安全機能の提供を開始したと、クレッグ氏は指摘した。「プロフィールのロック」機能は、インドの女性のための安全オプションとして2020年に初めて導入された。これは、Facebookユーザーが友達になっていない人の投稿や写真を閲覧できないようにし、そのユーザーのプロフィール写真やカバー写真もズームインしたりダウンロードしたりすることを制限するものだ。

画像クレジット:Stockcam / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブックとInstagramがロシア国営メディアの情報拡散を抑制、紛争地域のIGユーザーに暗号化DM提供へ

Meta(メタ)は米国時間3月1日、同社のプラットフォームにおいて、ロシア政府によって作成されたコンテンツの拡散を制限していることを明らかにした。同社は、ロシア政府とつながりのあるFacebook(フェイスブック)ページやInstagram(インスタグラム)アカウントが共有するコンテンツのアルゴリズムによる拡散を抑制し、これらの情報源へのリンクを含む投稿をランクダウンさせる予定だ。

Metaのセキュリティポリシー責任者であるNathaniel Gleicher(ナサニエル・グライチャー)氏は、Twitter(ツイッター)の投稿で、同社は「今後数日間」、ロシア政府とつながりのある情報源にリンクするコンテンツに新しいラベルを付け始め、ユーザーがそれらのサイトをクリックしたりリンクを共有したりする前に、より多くのコンテキストを提供すると付け加えた。同社はまた、今回の侵攻を受け、ウクライナとロシアのInstagramユーザーが暗号化されたDMを利用できるようにするとも発表した。

米国時間2月28日、MetaはウクライナとEUにおいて、ロシア政府系メディアの代表的なアカウントであるSputnik(スプートニク)とRT(旧ロシア・トゥデイ)へのアクセスを制限した。Metaのグローバル・アフェアーズ担当社長であるNick Clegg(ニック・クレッグ)氏(元英国副首相)は、同社が政府からアカウント制限の要請を受け、事態の「例外的な性質」を理由にこれを実現したと述べた。

ウクライナ侵攻をめぐる、ロシア政府のプロパガンダのリーチを制限するMetaの動きは、28日にTwitterが実施した同様の措置に続くもの。この新たな制限は、先週ロシア政府が、Facebookがロシア政府関連アカウントからのコンテンツに警告ラベルとファクトチェックを追加した後、同国内のFacebookへのアクセスを「部分的に制限する」と表明した後のことでもある。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Den Nakano)

ウクライナ侵攻のなか、ロシア政府がアップル・Metaなど米ハイテク大手に検閲圧力を強化

ウクライナ侵攻のなか、ロシア政府がアップル・Metaなど米ハイテク大手に検閲圧力を強化

ロシアのウクライナ侵攻が続くなか、ロシア政府がアップルやGoogle、Twitterなどハイテク大手に現地オフィスを開設するよう義務づける法律を遵守するよう迫り、検閲キャンペーンを強化していると報じられています。

米The New York Timesによると、ロシア当局は「アップルをはじめとした企業に対し、国内に法人を設立することを義務付ける法律を遵守するよう警告した」とのことです。この通称「上陸法( landing law/現地に拠点を作らせるため)」により、企業や従業員がロシアの法制度や政府の検閲官の要求に対してより脆弱になる、との法律の専門家や市民団体のコメントも紹介されています。

この「上陸法」は2021年7月に、プーチン大統領が署名して成立したものです。それに基づき11月には対象となる企業のリストと、ロシアの要件を満たすため具体的に何をすべきかが明らかにされていました

ちなみにロシア当局は7月に、野党指導者ナワリヌイ氏が構想した選挙支援アプリにつき、アップルとGoogleにアプリストアから削除するように要請。さらに両社に対してアプリを削除しないと罰金を科すと脅したとの報道もありました

さてNYTによれば、今回の動きは「海外ハイテク企業に対するロシアの圧力キャンペーンの一部」とのことです。ロシア当局は罰金や(従業員の)逮捕、インターネット・サービスの遮断や速度制限の可能性をちらつかせ、クレムリン派(プーチン支持派)のメディアはそのままにして、ネット上の好ましくない素材を検閲するように企業に働きかけている、と伝えられています。

アップルはどう対応したかと言えば、すでに今月初めにモスクワにオフィスを開設して「上陸法」を遵守しているとの報道もあります。またウクライナ副首相がティム・クックCEOに対してロシア国内におけるアップル製品の販売停止とApp Storeへのアクセス遮断を要請しましたが、記事執筆時点ではクックCEOからの反応は確認されていません。

その一方で、Facebookの親会社であるMetaはウクライナ侵攻に際して、ロシア国営メディアが広告収入を得ることを禁止し、ファクトチェックを厳格にしていくとの対応を発表。これをロシア側は違法と主張し、同社のSNSへのアクセスを制限したことを明らかにしています。

ふだんアップルはプライバシーを基本的な人権の1つと呼び、ユーザー行動の追跡に基づくターゲティング広告が収益源のMetaおよびFacebookはその反対勢力と見られている印象があります。が、今回に限っては立場が逆転している感もあり、アップルに対して欧米の世論からの批判が高まるのかもしれません。

(Source:The New York Times。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

米国政府はドル支配を維持するためにステーブルコインを受け入れなければならない

TechCrunch Global Affairs Projectとは、ますます複雑に絡み合うテクノロジー分野と世界政治の関係性を検証するためのプロジェクトである。

繁栄しているWeb3業界に懐疑的な人々は、さまざまな理由でWeb3を攻撃している。ワシントンで反響を呼んでいる批判の1つは、デジタル通貨は米国の現行の通貨制度、ひいては米ドル自体をも弱体化させ得るというものだ。

しかし、デジタル資産が伝統的な金融サービスを破壊したことは否定できないとしても、それらは決してドルの敵ではない。実際、デジタル資産の一種であるステーブルコインは、世界的な米ドルの支配を強固にするポテンシャルを有している。しかし、米国がステーブルコインのポテンシャルに乗じようとするなら、政策立案者や規制当局は規制に対して慎重なアプローチを取らなければならない。

ステーブルコインは、長期にわたって安定した価格を維持するように設計されたデジタル資産である。他のデジタル資産とは異なり、価格は多くの場合、米ドルなどのフィアット通貨に連動している。Facebookが2年前に独自の「Libra(リブラ)」ステーブルコインを立ち上げようとして以来、ステーブルコインも実質的に進化してきた(あまり評判の良くなかったこのプロジェクトは後にブランド名を「Diem(ディエム)」に変更した)。

Facebookは当初、Libraを単なる1つの通貨ではなく、フィアット通貨や証券で構成されたバスケットに連動させる新しい通貨として設計した。政策立案者らはLibraを世界中で批判し、世界の金融安定を脅かし、データのプライバシーを悪用し、金融政策を弱体化させる可能性があると指摘した。Donald Trumpドナルド・トランプ)前大統領は、Libraは「存続性も信頼性もほとんどない」とし、アメリカで「唯一の真の通貨」はドルだと述べた。

現在に早送りすると、ステーブルコインはドルと特別な関係にあるため、ドル支配を脅かすのではなく拡大する可能性がある。しかし、その可能性は、十分な米国の政策立案者がステーブルコインの有望性を理解し、イノベーションを阻害するのではなく促進する合理的な規制を通過させることによって初めて実現される。

ステーブルコインの指数関数的成長

ステーブルコインの市場は2019年12月の50億ドル(約5739億円)から、2021年12月には1580億ドル(約18兆1350億円)を超えるまでに成長している。

この成長の理由の1つは、現在の金融テクノロジーに対するステーブルコイン固有の優位性にある。例えば、ステーブルコインは、取引コストがほとんど、あるいはまったくかからずに、世界中の誰にでも瞬時に転送することができる。

ステーブルコインのインパクトの具体的な例として、移住労働者による使用を考えてみよう。一般的に、労働者は伝統的な金融機関を通じて母国に送金する。このプロセスには数週間を要し、平均して従業員の給与の7%に相当する送金手数料や変換手数料がかかる。一方、ステーブルコインを使えば、移住労働者は賃金をほぼ無料で即座に母国へ送ることが可能になる。

ステーブルコインは米ドルの需要を増加させる

主要なステーブルコインはすべて米ドル建てであるため、世界中で指数関数的に採用されていることから、米ドルによる支配を拡大する重要なオポチュニティが米国にもたらされている。一方、Circle(サークル)のような主要なステーブルコイン発行体は、米ドルと短期米国債で準備金を保有している。これにより、米ドルの需要が増加し、世界中のバイヤーがドルを入手しやすくなる。これらの発展は、米国がこの新テクノロジーに対する消費者の関心を利用するのに他のどの国よりも有利な立場にあることを示している。

ステーブルコイン市場では、ネットワーク効果により米ドルが裏付けとなったステーブルコインの既存の人気が高まっていることから、米ドルに対する過大な需要が維持される可能性が高い。これは特に、政府がハードカレンシーへの国民のアクセスを制限しているアルゼンチンのように、米ドルに対する需要が満たされていない国で当てはまる。

米国にとって何が問題なのか?

そのポテンシャルにもかかわらず、十分に練られていない規制は、海外でこの業界が隆盛する中、米国のステーブルコインセクターをつぶしかねない。ブロックチェーン企業の規制が明確ではないことから、米国の創業者たちはすでに、シンガポールやポルトガル、ケイマン諸島など、より明確かつ / またはより寛容な規制が適用される法域に事業を移すことを余儀なくされている。顕著な例として、米国で最も有名な投資顧問会社の1つであるFidelity Investments(フィデリティー・インベストメンツ)は、規制当局が米国で同様のオファーを認可していないことを受けて、カナダでBitcoin(ビットコイン)ETFをローンチしている。

さらに、最近可決されたインフラ法案には、非現実的なデジタル資産税の報告義務が含まれており、このままではブロックチェーン企業がオフショアに移転する傾向が強まることになる。政策立案者は、超党派の「Keep Innovation In America Act(米国のイノベーションを維持するための法案)」などを通じて、これらの要件を修正しようとすることでこの脅威に対応しているが、時機を逸している可能性がある。

特にステーブルコインについては、政策立案者は分裂している。ステーブルコインに関する最近の上院銀行委員会の公聴会は厳しい論調だった。上院議員らはLibraへの懸念の多くを挙げ、各種のステーブルコインに対する理解や関心の欠如を示した。一方、超党派の議会委員会は2021年12月初旬の重要な公聴会でステーブルコインへの熱意を示し、オブザーバーを驚かせた。同様に驚きをもって受け止められたのが、米連邦準備制度理事会のJerome Powell(ジェローム・パウエル)議長が同月に述べた「ステーブルコインは、適切に規制されれば、金融システムの有用で効率的な消費者サービスの一部になり得る」というコメントだった。

米国でステーブルコインのイノベーションを維持するためには、政策立案者や規制当局はイノベーションを阻害しない明確なガードレールを業界に提供する必要がある。規制は、分散型積立金のようなイノベーションを通じて成長する可能性を制限することなく、安定性と透明性を確保すべきである。

政策立案者は、米国と競合できない国に対してステーブルコインがもたらし得る負の外部性についても考慮に入れる必要がある。ステーブルコインは、独裁的で腐敗した政府を市民が無力化するのに役立つ一方で、弱い通貨を持つ友好国の通貨統制を同様に弱体化させる可能性がある。

もし米国が、意図的に、あるいは不注意にステーブルコイン発行体を追い払うなら、オフショア産業と外国政府は喜んで市場シェアを奪うだろう。

外国の発行体はすでに、ユーロやカナダドルなど他の通貨でステーブルコインをローンチしている。米ドル建てのステーブルコインの需要は今後も続くだろうが、米国の不合理な規制が業界をオフショアに追いやった場合、米国は米ドルの準備金と透明性に関する要件を設定するための影響力を失うことになるだろう。

中国、南アフリカ、韓国、スエーデンなどは、中央銀行デジタル通貨(CBDC)として知られる各国の中央銀行が支援するステーブルコインを試験的に導入することで、米国よりも積極的に安定コインの開発と促進に取り組んでいる。CBDCが消費者の間で普及するかどうかは定かではないが、特にプライバシーへの懸念から、現在米国が享受しているステーブルコインの支配を侵食する可能性がある。

世界的な通貨競争がここにあり、急速に拡大している。それを受け入れない国は取り残されるであろう。米国も例外ではない。

編集部注:本稿の執筆者Connor Spelliscy(コナース・ペリスシー)氏は、政策とガバナンスに焦点を当てたブロックチェーン研究者。DAO Research Collectiveを設立し、米国とカナダでブロックチェーン擁護団体を共同設立した。

画像クレジット:dem10 / Getty Images

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(文:Connor Spelliscy、翻訳:Dragonfly)

【コラム】私たちはソーシャル+の世界を構築しようとしているが、それをどのようにモデレートできるだろうか

ソーシャルはもはやFacebookで行われていることに留まらない。使用するすべてのアプリで行うことに相当する。Venmo(ベンモ)、Strava(ストラバ)、Duolingo(デュオリンゴ)、さらにはSephora(セフォラ)での体験を思い浮かべてみて欲しい。

ソーシャルコンポーネントをアプリやサービスに実装する「ソーシャル+企業」として知られる企業が、ユーザーとのつながりを確立し、インタラクションを実現するという強みを背景に、繁栄を続けている。

Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)のD’Arcy Coolican(ダーシー・クーリカン)氏は、ソーシャル+企業の魅力について次のように記している

(ソーシャル+は)ビデオゲームから音楽、ワークアウトに至るまで、あらゆる分野でコミュニティを見つけるのに役立ちます。ソーシャル+は、喜びを刺激するような実用性が、人間の本質的なつながりと思慮深く統合されているときに生じます。その力は強力です。なぜなら、究極的には、正統的かつポジティブな形でお互いにつながる方法が多ければ多いほど、より良いものになるからです。

ソーシャル+はまもなく私たちの生活のあらゆる側面に浸透し、数カ月後には猛烈な勢いで加速することが予想される。実用性を維持するアダプションが進み、すべての企業がソーシャル企業となることを、筆者は保証したい。これはとてもエキサイティングであるが、そうなるのは私たちが適切な構想を整えている場合に限られる。過去にソーシャルの支配力を私たちは目の当たりにしてきたが、その方向に向かわない限り、すばらしいものが創出されるだろう。

ソーシャルを生み出すアプリが正当なモデレーションの実践に信仰を見出さず、正しいテクノロジーとプロセスを最初から確実に構築するために必要なリソースへの投資を行わなければ、今日のユーザー体験にみられる目覚ましいほどの付加的なものが、まさに悪夢のようなものになりかねない。

Facebookからの学び

Facebookは、初代のソーシャルパイオニアとして社会の機能を再定義したが、そうすることで、いくつかの非常に痛ましい教訓に耐えることになった。注目すべきは、個人、グループ、組織に至る19億3000万人のデイリーアクティブユーザーからの投稿を監視しながら、同時に抑圧することなくコミュニティの意識を醸成し、プラットフォームアダプション、エンゲージメント、利益を促進するという重荷を背負わなければならないことだ。ソーシャル+企業は、少なくとも短期的には、この種の量を目にすることはなさそうだが、同じ問題に対処しなければならず、それが起こることを予見できない言い訳はもはや存在しない。

Facebookがモデレートに失敗したいくつかの領域を見てみよう。

  • 急成長する中で不適切なユーザー行動を見過ごしてしまう:Facebookの初期の頃、プラットフォームモデレーションは、ユーザー主導の無料スペースとみなされていたところでは必要ないと考えられていた。この会社は単なるつながりのパイプだった。Facebookは、効果的に管理するには遅すぎるという状況になるまで、ユーザーに害が及ぶ可能性を認識していなかった。最先端のソフトウェア、そして1万5000人の従業員が70言語にわたるコンテンツのレビューに専念しているワークフォースをもってしても、コンテンツモデレーションは依然として大きな問題であり、企業ユーザー、広告費、膨大な評判資本を犠牲にしている。
  • 言葉の壁の過小評価:私たちはオンラインサービスやネットワークを通じてますますグローバル化する社会に住んでいるが、議会に提出された文書によると、偽情報を特定するために割り当てられたFacebookのグローバル予算の87%が米国に充てられていた。世界のその他の地域でのモデレーションプラクティスにわずか13%しか充当されていないことになるが、北米ユーザーはデイリーユーザーの10%に過ぎないのである。Facebookはこの問題に対処するために、言語に極めて微妙な差異がある市場にAIベースのコンテンツモデレーション用ソフトウェアを適用しようとしたが、うまく機能しなかった。Facebook最大の市場(3億5000万人のユーザーを抱えるインド)では、言語不足に起因して、誤情報や暴力扇動が急増している。北アフリカや中東の多様な方言の場合はさらに深刻である。結果として、人間によるコンテンツレビューと自動化されたコンテンツレビューの両方においてヘイトスピーチが蔓延するのを誤って許容してしまい、一方で、一見テロ活動を助長しているように思われる無害な投稿が削除されるという事態に陥っている。
  • 政治的になる:米国のディープフェイクや偽情報キャンペーンにおいて武器化されてきた最も明確な言葉は正常化されているが、Facebookがそのサービス規約に照らして合法的に削除したりフラグを立てたりする投稿は、表現の権利が侵害され、自分の声が抑圧されていると感じているユーザーの怒りを招いている。これは、新しい法的手続きの断片と連動して、重大な市民の反発を引き起こした。つい最近の2021年12月1日、政治的信条に基づいてコンテンツが削除された場合に州住民がFacebookを訴えて損害賠償を求めることを可能にするテキサス州法の施行を、連邦判事が阻止した。政治的候補者、ニュースサイト、ユーザーを検閲した責任をFacebookに負わせようとしたフロリダ州の同様の法律も却下された。しかし、これらの試みは、人々が自分たちの好まない、あるいは時間の経過とともに自分たちに対抗するように変化していると感じるコンテンツモデレーションのプラクティスに、いかに憤慨しているかを示している。
  • 禁止コンテンツをどうするかの判断:コンテンツが削除された場合、そのコンテンツはどうなるかという問題や、好ましくないコンテンツを引き渡したり、違法行為の可能性について当局に警告したりする倫理的責任が企業にあるかどうかという問題もある。例えば、検察は現在、抗議者が銃撃された暴力事件に関与したグループ、ニューメキシコ州市民警備隊のメンバーを特定するのに役立つデータをFacebookに渡すよう要求している。Facebookは、禁止されていた同グループの記録は削除したため、どうすることもできないと主張している。誰が何を所有しているのか、プライバシーに対する合理的な期待は何か、企業はコンテンツを放棄できるのかという点で、法執行機関とソーシャル企業の間で緊張が高まり続けている。

これらの問題はすべて、アプリやサービスにソーシャルコンポーネントを組み込むことを計画している企業によって、慎重に検討されるべきである。

次世代のソーシャルアプリ

ソーシャルエンゲージメントは、セールスやアダプションなど多くの側面で重要な要素となっているが、人間には欠点もあることを忘れてはならない。トロール、スパム、ポルノ、フィッシング、金銭詐欺は、ブラウザやショッピングカートと同程度にインターネットの一部となっている。それらによってコミュニティが一掃され、破壊される可能性もある。

考えてみて欲しい。Facebookとその開発者、モデレーター、AIテクノロジーの部隊が悪戦苦闘しているなら、モデレーションとコミュニティガイドラインを初めから優先しない場合、どのようなことが起こるだろうか?

企業は、特にサービスがグローバル化するにつれて、企業とともに拡張できるモデレーション機能を構築するか、堅牢なソリューションを提供する企業と提携する必要がある。これはいくら強調してもしすぎることはない。プラットフォームの長期的な成功と存続性、そしてソーシャル+ムーブメントの未来にとって、それは基本的な要素である。

しかし、モデレーションツールがその役割を果たすためには、企業はコミュニティのために明確に定義された行動規範を作成しなければならない。それはグレーゾーンを最小化し、その意図をすべてのユーザーが理解できるように明確かつ簡潔に書かれたものであることが求められる。

透明性は必須である。不適切な行為をどのように扱うのか、投稿を削除したりユーザーをブロックしたりするプロセスはどのようになっているか、という観点で構造を整備することも企業は求められる。いつまでアカウントがロックアウトされ続けるのか?ユーザーは訴えることができるのか?

そして企業は、最初から一貫性を持ってこれらのルールを適用しなければならないという大きな試練が課せられる。インスタンスの間に曖昧さや対照があると、その企業は損失を被ることになる。

組織はまた、好ましくないコンテンツに関して、倫理的責任に対する姿勢を明確にしなければならない。ユーザーのプライバシーとコンテンツをどのように管理するのかについて、特に法執行機関が関心を持つ可能性があるものに留意しながら、企業は自主的に決定しておく必要がある。これは厄介な問題であるが、ソーシャル企業が不正に関与しないようにするための方策は、企業のプライバシーに関する姿勢を明確に示すことであり、そこに背を向けて、問題が発生した場合にのみそれを持ち出すようなやり方は避けるべきである。

フィンテックからヘルスケア、フードデリバリーまで、あらゆるアプリにソーシャルモデルが組み込まれ、私たちのデジタル生活をより魅力的で楽しいものにしている。同時に、企業がユーザーや顧客とのコミュニケーションのまったく新しい方法を開拓するとき、間違いは避けられないものでもある。

今重要となるのは、ソーシャル+企業がFacebookのような先駆者から学び、より安全で協力的なオンライン世界を作り出すことである。そこで求められることは、ある程度の先見性とコミットメントに他ならない。

編集部注:本稿の執筆者John S.Kim(ジョン・S・キム)氏は、モバイルアプリ内にチャット、音声、ビデオ体験を埋め込む大手APIプロバイダーのSendbirdのCEO。

画像クレジット:Artur Debat / Getty Images

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(文:John S. Kim、翻訳:Dragonfly)

ロシア、国内でのフェイスブックへのアクセスを部分的に制限すると発表

ロシアのインターネット規制機関Roskomnadzorの発表によると、ロシア政府は現地時間2月25日、Facebook(フェイスブック)へのアクセスを「部分的に制限」し始めると発表した。

ロシアは、Facebookがテレビ局Zvezda、通信社RIA Novosti、ウェブサイトのLenta.ruとGazeta.ruのロシア国営メディア4社に対して独自の規制をかけたことを受けて、具体的には示されていないこのアクセス制限措置を実施すると主張した。

「2月24日、RoskomnadzorはMeta Platforms, Incの管理部門に、ソーシャルネットワークFacebookがロシアのメディアに課した制限を解除し、その導入理由を説明するよう要請した」とRoskomnadzorは説明し、そしてFacebookがその要請を「無視」したと付け加えている。

Meta Global Affairsの副社長Nick Clegg(ニック・クレッグ)氏はTwitter(ツイッター)でこの状況を詳しく説明し、ロシアの要求は、Facebookのファクトチェックの慣行か、国営メディアのアカウントにラベルを貼る方針のどちらかに反応したものであることを明らかにした。「ロシアの普通の人々は、自己表現し、行動を組織するために@Metaのアプリを使っています」とクレッグ氏は書いている。

Facebookは、ロシア政府の主張と、国営メディアに対してプラットフォームでどのような行動をとったかについて、TechCrunchのコメント要請に応じなかった。今のところ、部分的なアクセス制限がロシアのFacebookユーザーにとってどのような意味を持つのか、また、そうした制限がWhatsApp(ワッツアップ)やInstagram(インスタグラム)といったMeta(メタ)所有のプラットフォームにもおよぶのかどうかは不明だ。

ロシアが隣国ウクライナへの侵攻を深める中、何千人ものロシア人が戦争反対デモを行うために街に出ている。ほとんどの場合、大きな危険を冒してだ。ロシア政府は、オンライン上の反戦感情を抑え、米国が所有する最大のソーシャルネットワークの1つを皮切りに、戦争に関する物語をさらに形成しようとしている可能性がある。

Facebookのようなテックプラットフォームは、ロシアの偽情報の拡散を抑えるために、より強力な行動を取るべきだという考え方が米国では支持されている。2月24日に公開され、広く共有されているブログ記事では、ロシアのVladimir Putin(ウラジーミル・プーチン)大統領をヒトラーに例えて、プラットフォームに「どちらかの側につく」よう促し、オンラインで偽情報を流すロシアのプロパガンダアカウントの広大なネットワークを取り締まるよう促している。

「あなたはそれらのメディアがヒトラーへの援助を断つことを要求しますか、それともヒトラーが何百万という人の生活を破壊しようとするときでさえ、『言論の自由』といういくつかの混乱した概念に対するドイツ国家の権利を擁護しますか?」とTech Policy PressのCEO兼編集者であるJustin Hendrix(ジャスティン・ヘンドリックス)氏は、投稿の中でこう書いている。

「それがGoogle、Facebook、Twitterをはじめとする米国のテック企業が今直面している状況なのです」。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

Oh、フェイスブックがハックされた、そんなときの対策を知っておこう

今や技術に詳しい友人でもFacebookで「ハックされる」ことがある。どうやってそれを防ぐか。ハックされたアカウントを完全に回復するには何をどうすべきか。今回はそれを考えよう。

通常、アカウントが「ハックされる」のは、だれかがあなたのパスワードを手に入れるからだ。Facebookの場合は、そうなるととても厄介だ。Facebookを使って他のものへログインしている人が多いからだ。だから人のFacebookアカウントを盗んだ者は、大量のいろいろなものにアクセスできる。

もしもアカウントをハックされたら

アカウントをハックされたらどうなるか。結果はさまざまだ。だれかがあなたのふりをしてメッセージを送るかもしれない。投稿とか、何かおかしなことをするかもしれない。

まだログインできるなら、ラッキーだ。以下のことをしよう。今すぐ、パスワードを変更する。それができるなら、第一歩はそれだ。

ログインできなければ、パスワードのリセットをリクエストする。それがダメなら、誰かがそのアカウントのメールアドレスを変えたかもしれない。そんなときは次のようにする

おかしな状態をFacebookに報告しよう。すると彼らは、他の人たちにそれが起きないようにしてくれる。

セキュリティの設定にアクセスし、どこにでもログインできることを確認する。場所やデバイスがわからなければ、3つのドットのメニューを押して「あなたではない?(not you?)」を選ぶ。するとログアウトして、さらにあなたのアカウントのセキュリティを設定できる。

あなたのFacebookアカウントにアクセスできるすべてのアプリやウェブサイトを確認する。この表示内に、身に覚えがないものがあったらそれを削除する。

設定の「一般」でFacebookがあなたのためにリストしたメールアドレスをチェックする。自分のものでないものがあればそれを削除する。

もう一度、自分のパスワードを変更する。すると(理論的には)ハッカーはあなたのアカウントにもうアクセスできない。文字・数字・記号の混じった安全なパスワードにすること。どこかで使ってるパスワードを再利用してはいけない。パスワードマネージャーを使って自分が使ってるすべてのパスワードを調べ、一般的に高品質のパスワードを使おう。

二段階認証を使おう。そうすると、パスワードを盗まれても、あなたの電話番号や認証アプリにはアクセスできないため彼らはログインできない。

そして最後に、あなたのセキュリティやソーシャルメディアに何かおかしなことが起きたら、メールのパスワードを変えるべきだ。ソーシャルのアカウントへのアクセスを失う(盗まれる)のは最悪だが、それ以上にハッカーにとってうれしいのはメールへのアクセスだ。メールのパスワードは、1〜3カ月ごとに変えよう。なにかおかしなことが起きたら、すぐ変えるべきだ。

ハックされるのを防ごう

Facebookのアカウントが盗まれる、最も一般的なケースは、あなたを騙してハッカーにパスワードを渡してしまうやり方だ。Facebookの上でMessengerのメッセージを友だちからもらったけど、そこには「今日亡くなった人知ってる?」なんてメッセージにリンクがある。そのリンクはFacebookのものではないけど、クリックすると「もう一度ログインしてください」などと表示される。あなたは何も考えずにメールとパスワードをタイプする。でもその送り先はFacebookではないため、「彼ら」はあなたのパスワードを知ることになる。

それを防ぐためには、上で述べたように、二段階認証を使うべきだ。そして警戒しよう。Facebookからどこかへログインするときは、URLが「https://www.facebook.com」で始まっているかな?それが「ffacebook.com」や「facebook.this-is-a-security-notification.com」などだったら、自分のパスワードをタイプしてはいけない。最も安全なのはfacebook.comとブラウザー上で自分でタイプすることだ。

Facebookアプリの中にブラウザーがあることを忘れないように。その場合、あなたはアプリ経由で今Facebookの中にいるのだから、そこからさらにパスワード入力を含むFacebookへのログインを求められることはおかしい。Facebookの中からFacebookにログインするなんてありえない。Facebookの中から他のサイトにログインするときは、その認証過程は済んでいるのだ。再度入力の必要はない。おかしなログイン要請はすべて無視。

逆にアプリやウェブサイト内からFacebookのアカウントにアクセスする場合もあるが、そんなアプリは定期的にチェックして、しばらく使ってなかったり、もう不要なアプリなら削除してしまおう。必要なら後でまた入手すればいい。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ザッカーバーグ氏、音声コマンドでバーチャルワールドを作るデモを披露

Meta(メタ、旧Facebook)は、音声コマンドだけでバーチャルワールドでモノをつくったり、持ち込んだりできるAIシステムのプロトタイプを披露した。同社は「Builder Bot(ビルダー・ボット)」と呼ばれるそのツールを、メタバースの中で新しい世界を作るAIの可能性を見せるための「実験的コンセプト」だと考えている。MetaのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、米国時間2月23日に行われたイベント「Meta AI:Inside the Lab(メタ・エーアイ:インサイド・ザ・ラボ)」で、事前録画されたデモを通じてそのプロトタイプを紹介した。

動画内でザッカーバーグ氏は、バーチャルワールドのパーツを組み立てるプロセスを、実際にやりながら説明した。彼は「let’s go to a park(公園へ行こう)」というプロンプトから始めた。するとボットが、緑の草原と樹木のある公園の3D風景を作る。ザッカーバーグが「actually, let’s go to the beach(では、砂浜に行ってみよう)」というと、ボットは現在の風景を砂と水からなる新しい風景に置き換える。次に同氏は雲を追加したいと述べ、すべてAIが生成していると説明した。そしてザッカーバーグ氏は、ひつじ雲のほうがいい、と言って風景を変えた。これはボイスコマンドが具体的な指示を出せることを示すためだ。

 

彼が海の上の特定の場所を指して「あそこに島を作ろう」というとボットが島を作った。続いてザッカーバーグ氏は、木々とレジャーシートを追加するなどいくつかのコマンドを発した。さらにカモメとクジラの音も加えた。ある時彼は、水中翼船まで追加した(彼のお気に入りのホビーの1つで、流行語にもなった)。

ビデオ全体を通じて、Builder Botはボイスコマンドを使って3Dオブジェクトを作り、風景に配置しているように見えた。Metaはプロトタイプを発表したブログ投稿で、このツールは「メタバースの創造性を加速します」というが、技術の詳細は明らかにしていない。

画像クレジット:Meta

この技術が成功すれば、他のVRワールドやプラットフォームにも影響を与える可能性がある。例えばゲームプラットフォームのRoblox(ロブロックス)は、 最近音声機能のテストを開始し、独自の開発プラットフォームを提供している。いつかこうした会社が、Metaのプロトタイプで見られたようなテクノロジーを導入して、世界を創造する同じような体験を実現すればおもしろい。

しかし現段階は、Builder Botの作る世界は、外観も機能もかなりシンプルだ。また、コマンドを声に出してオブジェクトを呼び出すのは最初は楽しいかもしれないが、もっと複雑な3D環境を作る方法としてスケーラブルな方法とはいえない。どちらかといえば、子どもがバーチャルワールドを作る入門レベルの練習場所として楽しいかもしれない(しかし、残念ながらMetaはすでに、同社のバーチャル環境が子どもにとって安全な場所ではないかもしれないことを証明している)。

Metaによるこのプロトタイプの発表は、同社がメタバースに数十億ドル(数千億円)を投資している中の出来事だ。2022年2月初め、MetaはReality Labs(リアリティー・ラボ)部門の財務状況を初めて発表し、2021年100億ドル(約1兆1500億円)以上の赤字だったことを明かした。2022年も損失は増えるばかりと予測していると同社が述べているところを見ると、Metaにはメタバースを作るためにつぎ込む無限の資金があるようで、他の小さな会社より先に成功する時間は十分あるに違いない。同社のメタバースへの莫大な投資は、今後も我々はメタバースを宣伝するためのプロトタイプをたくさん見るであろうことも示唆している。

真の「メタバース」は未だに存在していないが、このバズワードはザッカーバーグ氏とMetaによってこの1年間数多く使われ、2021年の企業ブランド変更のきっかけにもなった。ザッカーバーグ氏は以前、メタバースについて投資家に次のように説明した。「デジタル空間で人々とともにいられるバーチャル環境です。それは見ているだけではなく自分がその中にいる、一種の具現化されたインターネットのようなものです」。

Metaは同日のイベントで他にもいくつか発表を行った。AIを利用したチャットボットAIシステムカードツール、および and a 万能音声翻訳機だ。この翻訳機は話し言葉が主のものを含むあらゆる言語の同時通訳を行うもので、既存の翻訳システムを超えるだろうと同社は言っている。Metaによると、世界人口の20%は、既存の翻訳ツールが対応していない言語を話しており、同社は新しい機械学習技術を駆使してこれを解決する計画だ。

画像クレジット:Meta

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookリールが全世界で公開、新たな広告主・クリエイター向けツールも

2021年9月に米国で正式提供されたのに続き、米国時間2月22日、Facebook Reels(フェイスブック・リール)が世界150カ国以上で公開された。これはMeta(メタ)のTikTok(ティックトック)の脅威に対抗する主要部分をなす機能であり、クリエイターは短編動画コンテンツをFacebookでシェアしたり、Instagram(インスタグラム)のリールをクロスポストすることで、幅広い視聴者に届けることができる。この日の世界展開に合わせて、Facebookは新たなクリエイティブツールやクリエイターが広告やStars(スター)を通じてリールで収益をあげる新しい方法を導入した。

リールは当初、TikTokに直接対抗するためにInstagramアプリ内の一機能として登場したが、Metaはすぐに、Facebookを巻き込むことでより強力な反撃手段になることに気づいた。その結果同社は、2021年第4四半期の決算報告で、リールは「他を引き離して急成長しているコンテンツ」であると喧伝した。さらに、リールはInstagramの成長の最大の立役者であり、Facebookでも「非常に成長著しい」と同社は語った。

しかし、現在リールの収益化状況は、Instagramのフィードやストーリーなどのコンテンツ・フォーマットと比べて低い。それでもMetaは、時間とともに変わっていくと信じている。

それに関連して、同社はこの日、Facebook Reels Overlay Ads(フェイスブック・リール・オーバーレイ広告)のテストを米国、カナダ、およびメキシコの全リール・クリエイターへと拡大する。3月中旬までには、ストリーム内広告が利用可能な50か国以上のほぼ全域にテストを拡大する、とMetaはTechCrunchに語った。

ちなみに、ストリーム内ビデオ広告は現在Facebookビデオでのみ利用可能でリールでは使えない。これは、新しいオーバーレイ広告がリールに広告収益を直接もたらすFacebook初の試みであることを意味している。

画像クレジット:Meta

ストリーム内広告のテストに参加しているクリエイターは、2種類の広告フォーマットを試すことができる。バナーとスタンプ(stickers)だ。これらは非妨害的広告であり、ビデオを止めて広告を表示する代わりに、再生中のコンテンツに半透明に重ね合わせられる。バナー広告はリールの下部に半透明のオーバーレイとして表示され、スタンプは固定画像をリール画面内のどこにでも、ふつうのスタンプと同様に配置できる。Facebookは、視聴者に最も合うフレームに表示する広告を選択する。

テスト期間中、Metaは現在ストリーム内広告プログラムで実施しているのと同じ方式でクリエイターと収益分配するという。クリエイターが55%、Facebookが45%だ。しかし、これはテストの進行にあわせて変わる可能性がある。

すでにストリーム内広告プログラムに参加しているクリエイターは、デフォルトで自動的に新しいオーバーレイ広告テストにオプトインされる(過去数カ月間のオーバーレイ広告テストにはごくわずかな人数だけが招待された)。それ以外のクリエイターは資格を確認の上ここで参加できる。

さらにFacebookは、リール間の全画面広告と没入型広告を全世界で数カ月以内に開始する。これらのフォーマットは2021年10月からテストされていた。

ただしすべてのリールに広告が入るわけではない。Metaの説明によると、リールに広告が入るかどうかは、広告主のターゲット設定から視聴者にとっての広告の価値までさまざまな要素によって決まる。クリエーターは、個別のリールにバナー広告が入らないようにCreator Studio(クリエイター・スタジオ)で指定することもできる。

一方広告主も、Publiser Lists(パブリッシャー・リスト)、Blocklists(ブロックリスト)、Inventory Filters(インベント・フィルター)、Delivery Reports(デリバリー・レポート)などのブランド適合ツールを使ってバナーやスタンプ広告を選ぶことができる。

広告に加えて、クリエイターは近々Starsによるリールの収益化が可能になる。StarsはFacebook Live(ライブ)ですでに提供されているバーチャル投げ銭システムだ。さらに、成功しているクリエイターは直接的支払いも受けている。Metaの10億ドル(約1150億円)クリエイター・ファンドの一環であるボーナスプログラムのReels Play(リールズ・プレイ)は、巨額のボーナスを生むことがあり、毎月最大3万5000ドル(約402万円)受け取っているクリエイターもいる、と会社は言っている。しかし、クリエイター・ファンドの長期的な有効性についてはまだ議論の余地がある

ファンドが発表された2021年6月以来、リール・クリエイターに支払った金額について、Metaは公表を拒んでいる。

画像クレジット:Meta

収益化機構以外にもFacebookは、2021年発表したクリエイティブツールRemix(リミックス)、60-second Reels(シックスティ・セカンド・リール)、Draft(ドラフト)、およびVideo Clipping(ビデオ・クリッピング)を公開する。

リミックスはInstagramですでに提供中のツールで、TikTokのDuets(デュエット)に似ている。クリエイターは、Facebookで公開されている別のリール(あるいはその一部)と並べて自分のリールを作ることができる。今回この機能をFacebookのクリエイターも使えるようになった。

リールは、TikTokが動画の長さを最長60秒から3分に拡大して以来、遅れを取り戻そうと躍起になっている。Instagram Reels(インスタグラム・リール)は2021年、動画の最長時間を30秒から60秒に拡大しており、今回Facebookのリールも同じことをする。

DraftとVideo Clippingも近々追加される。Draftでは、クリエイターが作業中のコンテンツを保存して後に公開することができる。Video Clipping機能は数カ月後に公開予定で、通常ライブや長時間コンテンツを扱っているビデオ・クリエイターもリールを試しやすくなる。

Facebook Reelsへの大がかりな投資の一環として、同社はショートビデオをFacebook体験全体におけるより重要な位置づけにしようとしている。米国だけでなく、対象地域のクリエイターは、Instagram ReelsをFacebook上でおすすめとしてシェアできるようになる。

画像クレジット:Meta

今から数週間のうちに、FacebookはユーザーがリールをStories(ストーリー)でシェアできるようにし、FacebookのWatch(ウォッチ)タブでリールを見られるようにする他、リールとクリエイション・ツールをユーザーのニュースフィード(同社は最近の変更でニュースフィードを単に「フィード」と呼ぶようになった)上部に目立った位置に置く。一部の国では、フィードをスクロールしている途中で、ユーザーが気にいるかも知れないリールをおすすめすることもある。

リールはMetaにとって最大級の製品投資であり、同社はTikTokがもたらす脅威について公開の場で発言してる。MetaのCEO Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はTikTokについて「非常に大きなユーザー基盤を生かしてかなりの速さで」成長している強大なライバルであると評している

しかし、Metaの課題はTikTokばかりではない。Facebookは史上初のデイリーアクティブユーザー数の減少を第4四半期に発表した。これは人々が以前ほどFacebookを使っていないことを示すわかりやすい指標だ。それと同時に、Appleのプライバシー方針変更によって広告ビジネスが制約を受け、2022年のMetaの売上は100億ドル(約1兆1500億円)減少する見込みだ。Metaは、Facebookが成功を続けるためにはクリエイターを巻き込んで、ユーザーにソーシャル・ネットワーキング以外の行動を促す必要があることを認識している。それは動画を見たり音楽を聴いたりショッピングをしたりすることであり、いずれもここ数年投資している領域だ。

画像クレジット:Meta

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

MetaにEUのプライバシー規制当局が米国への個人データ転送に関する新たな予備決定を送付

TechCrunchが得た情報によると、Facebook(フェイスブック)は、EUのプライバシー規制当局から、ユーザーデータを引き続き米国へ転送できるかどうかに影響を与える「修正された」予備的決定案を受け取ったという。

「Meta(メタ、旧Facebook)には28日以内にこの予備的決定に対する意見を提出する権限が与えられており、その時点で他の関係監督機関向けに第60条の決定案を作成する予定です。これは4月中に行われると予想しています」と、アイルランドのデータ保護委員会(DPC)のGraham Doyle(グレアム・ドイル)副委員長は筆者に語った。

ドイル氏は、予備決定の内容については詳細を語らなかった。

しかし、2020年9月に関係者の発言を引用した当時のWall Street Journalの報道によれば、DPCは、Facebookにデータ移転の停止を指示する仮命令を出している。

最近そのデータマイニング帝国の名称を(Facebookから)変更したMetaは、投資家との電話会談で、EU-US間のデータ転送には継続的なリスクがあることを警告している。

同社は直ちに先のDPCの仮命令に異議を唱えようともしたが、2021年5月にアイルランド高等裁判所がDPCのやり方に対する異議を棄却する判決を下したため、この法的手段は頓挫していた。

欧州のデータ保護法と米国の監視権限との衝突を争点とするこの訴訟では、同社にデータ転送の一時停止を指示した先の仮命令以降、規制当局が今回は異なる結論を出すことになるような、事実関係に重大な変化があったかどうかは不明だ。

さらに、ここ数カ月の間に、欧州の他のデータ保護機関は、Google Analytics(グーグル・アナリティクス)など、米国へ個人データの転送を行う他の米国のサービスに対して「違法」との決定を下しており、少なくとも一般的な観点からは、DPCがMetaに対して最終的な決定を下す方向へ圧力が高まっている。

この規制当局はまた、当初の申し立て人であるMax Schrems(マックス・シュレムス)氏による手続き上の課題にも直面している。同氏は2021年1月に、長年の申し立てを速やかに最終決定するという合意を引き出している。つまり、もう1つの準期限があるということだ。

関連記事:フェイスブックのEU米国間データ転送問題の決着が近い

この合意条件に基づき、DPCはシュレムス氏が(並行して)「自らの意思」で行う手続きでも審理を受けることに合意した。これはシュレムス氏の最初の(2013年の)苦情に関する調査に加えて開始されたもので、現在はMetaに出されたこの新しい予備的決定を通して進められている。

シュレムス氏は、DPCから決定書が送られてきたことを認めたものの、それ以上のコメントはしなかった。

(さらにややこしいことに、2021年11月には、シュレムス氏が設立したプライバシー擁護団体が、他の苦情草案の公表を阻止しようとしたことに関連して、DPCが「手続き上の脅迫」を行ったとして、この規制当局に対して刑事上の汚職の訴えを起こしている……)

Metaにデータ転送の停止を命じる可能性のある最終的な決定が下されるまで、この数年にわたるデータ転送問題が、具体的にあとどれくらい続きそうであるかは、依然として不明だ。

しかし、もはや数年というよりは数カ月に近いはずだ。

第60条のプロセスには、利害関係のある他のデータ保護機関も加わることになる。これらの機関は、主導する機関の決定案に対して、まず1カ月の期間内に理由のある異議を唱えることができる。ただし、延長も可能だ。仮決定に対してデータ保護当局間で大きな意見の相違があった場合には、最終的な決定を下すプロセスに数カ月を要することになり、最後には欧州データ保護委員会が介入して最終的な決定を下すことになるかもしれない。

これらはまだ先の話だ。今のところ、ボールはMetaのコートに戻り、同社の弁護士がどんな新しい言い訳を思いつくか、見守る段階となっている。

この最新の進展についてMetaにコメントを求めたところ、同社の広報担当者は、次のように筆者に返答した。

「これは最終決定ではなく、アイルランドデータ保護委員会はさらなる法的提出を求めています。データ転送の一時停止は、当社のサービスを利用しているEU域内の何百万人もの人々、慈善団体、企業だけでなく、グローバルなサービスを提供するためにEU-US間のデータ転送に依存している他の何千もの企業にも損害を与えることになります。人々、企業、経済のつながりを維持するためには、EU-US間のデータ転送における長期的な解決策が必要です」。

この終わりの見えない物語には、もう1つ別の動きがある。それは、欧州委員会と米国の間で、無効となった「プライバシーシールド」に代わるデータ移転の取り決めについての交渉が続いていることだ。

ここ数カ月、FacebookとGoogleは、大西洋をまたぐ新たなデータ転送協定の合意を公に求めており、米国の数多くのクラウドサービス(少なくとも、個人データへの明確なアクセスを自ら放棄しないサービス)が直面している法的な不確実性を高レベルで修正するよう訴えている。

しかし欧州委員会は、今回は「迅速な解決」はないと以前から警告しており、欧州司法裁判所が2020年7月にプライバシーシールドを無効とする判決で指摘したすべての問題が解決された場合にのみ、代替案が可能になると述べている(これは、欧州の人々に合法的かつ簡単に利用可能な救済手段を提供すること、そしてインターネット通信の一括傍受に頼る米国の過度な監視力に対処することの両方を意味する)。

要するに、プライバシーシールド3.0の実現は、難しい注文のように思われる。Metaの通常時の要求のような、すぐにできる注文でないことは確かだ。同社の主任ロビイストであるNick Clegg(ニック・クレッグ)氏は、確かに難しい仕事を抱えている。

画像クレジット:Muhammed Selim Korkutata/Anadolu Agency / Getty Images (Image has been modified)

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

メタのVRプラットフォームHorizon Worlds、2021年12月正式公開から月間ユーザー数が10倍の30万人に

MetaのVRプラットフォームHorizon Worlds、2021年12月正式公開から月間ユーザー数が10倍の30万人に米Meta(メタ:旧Facebook)のVRプラットフォーム「Horizon Worlds」が、昨年12月から月間ユーザー数が10倍の30万人にまで成長していることが、海外テックメディアのThe Vergeによって報告されています。

2021年10月に社名の変更と、VR技術を活用した「メタバース」への注力を発表していたMeta。またこれにともない、VRヘッドセット/プラットフォーム「Oculus」もMetaへと変更されています。

またMetaは2019年から、3DアバターによるVR「Facebook Horizon」をベータ版として展開していました。さらに昨年12月上旬からはアメリカとカナダにてHorizon Worldsとして、正式にサービスをローンチしています。

そして同社チーフプロダクトオフィサーであるChris Cox(クリス・コックス)氏によれば、Horizon Worldsの月間ユーザー数は現在は30万人まで拡大しているとのこと(Horizon Workroomsは含まない)。またそのワールドも1万個作成され、クリエイター向けフェイスブックグループは2万個以上に増えていることも報告されています。

Horizon Worldsでは先日、パーソナルスペースを強化しハラスメントを防止する機能が導入されました。また2022年後半には、Horizon Worldsをモバイル向けに展開することも明かされています。

ベータ版が終了し公式サービスになったことでのユーザー数の増加も加味する必要はありそうですが、それでもMetaによるメタバースへの取り組みは、一部では好調は滑り出しをみせているといってよさそうです。

(Source:the VergeEngadget日本版より転載)

メタ、グローバルコミュニティ開発責任者が未成年者との性交渉ビデオに撮影され辞任

Facebook(フェイスブック)の親会社であるMeta(メタ)は、グローバルコミュニティ開発マネージャーを務めていたJeren A. Miles(ジェレン・A・マイルズ)氏が、小児性愛者を捕まえる目的で素人が行ったおとり捜査に登場する様子を撮影した動画がYouTubeで拡散され、その後Reddit(レディット)などにも転載されたことを受けて、現在は同社と雇用関係にないことをTechCrunchに確認した。

「PCI: Predator Catchers Indianapolis」というアマチュアグループがYouTubeに投稿した2時間のビデオには、マイルズ氏が性行為をしていたり、特定の性行為を認めたり、性行為を実行する意図を認めたりする様子は描かれていない。また、このビデオによる法的な影響があるとすれば、それは明らかではない。

しかし、この動画では2人の人物がマイルズ氏を尋問しており、同氏はその過程で、13歳の少年と生々しい不適切なコミュニケーションをとったことを認めている。マイルズ氏はその後、FacebookTwitter(ツイッター)などのSNSで自身のソーシャルプロファイルを削除しており、また、解雇されたのか自発的に辞職したのかは別として、この問題をめぐってFacebookでの役割を辞めるのに十分なほど、のっぴきならない不利な内容となっている。

「これらの疑惑の深刻さは決して無視できません。この人物については、当社との雇用関係は終了しています。当社はこの状況を積極的に調査しており、現時点ではこれ以上のコメントはできません」と、Metaの広報担当者であるDrew Pusateri(ドリュー・プサテリ)氏は声明で述べた。なお、プサテリ氏は声明文をTechCrunchに送る前に、通話でこの記事のニュース性について(公開する価値はないと)筆者を説得しようとし、他の報道機関がこの記事を取り上げていないことを指摘した(アドバイスに感謝する)。

データ保護やプライバシーに関する話から、問題のある製品の実行、エンゲージメント数の低下まで、Metaはここ何年も論争の波に襲われているように感じる。未成年者のセックススキャンダルでさえ、この時点では目新しいニュースではない。

世界中の何十億人もの人々が、Facebook、Instagram(インスタグラム)、Messenger(メッセンジャー)、WhatsApp(ワッツアップ)、Workplace、Oculusなどを含むMetaの製品ポートフォリオの常連ユーザーであることを考えると、これらはすべて、Metaのように大きくて露出度が高い企業であることの一部だといえるかもしれないが、いずれにしても良いことではない。

折しも、同社は元英国政治家のNick Clegg(ニック・クレッグ)氏をグローバルアフェアーズ担当社長に任命するなど、PRオフェンスの刷新を図っている。彼らには、大きな仕事が待ち構えている。

画像クレジット:Chesnot/Getty Images / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Aya Nakazato)

フェイスブックが「ニュースフィード」の名称を「フィード」に変更

Facebook(フェイスブック)のタイムラインが登場する前に、友達の「ウォール」に書き込んでいたことを覚えているだろうか?今度は、Facebookの「ニュースフィード」が私たちの記憶の中のアナクロな用語の墓場に加わる。これから「ニュースフィード」は、単に「フィード」と呼ばれることになった。

この決定は、ニュースフィードから文字通り「ニュース」を取り除いたことから見て、誤報のハブであるという評判からFacebookを切り離そうとする試みとも読める。しかし、アプリの他の領域では、Facebookはニュースソースとしての役割を果たしたいと今まで以上に力を入れている。米国時間2月14日、Facebookは、フランスでFacebook Newsを開始することを発表した。そこで、ニュースフィードの名称を変更することで、友達、グループ、ページ、イベントなどのアップデートを含む投稿を、実際のFacebook Newsセクションと区別できるわけだ。

「Facebook Newsは、Facebookのブックマークセクションに設けられた専用タブで、信頼でき関連性の高い多様なニュースソースからのニュースストーリーにスポットライトを当てます」と同社はブログポストに記している。「ジャーナリズムとコンテンツ制作に対するMeta(メタ)の継続的なコミットメントの一環として、この新しいタブは、ユーザーの皆さまにとって最も重要なストーリーを見つけるための専用スペースを提供するとともに、オリジナルの報道が全国のオーディエンスに広く届くようにします」とも。

フランスのFacebook Newsのキュレーションは独立ジャーナリストのチームが協力し「公開されるニュースの公正な概観」を確保するという。さらに、Facebookは、キュレーションされたニュースレター「Bulletin」を通じて、独自のパブリッシャーとなる。

「今回の変更は、以前から計画していたものです。『フィード』は、人々がスクロールするときに目にする幅広いコンテンツをよりよく反映していると考えています。これは、フランスで発表されたNewsタブとは関係ありません」と、Facebookの広報担当者はTechCrunchに述べている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

スーパーボウル2022に登場したテック広告のベストとワースト

米国資本主義を理解するために、スーパーボウル中継で見たCMについて翌日語り合う井戸端会議以上のものがあるだろうか。フード・デリバリー・アプリから、なんとApple製ではないスマホまで、昨日の夜数々のテック企業が視聴者の注目を集め、おかげで我々は、友人たちにNFT(非代替性トークン)は暗号資産と同じではないことを説明しなければならなくなった。

イタさと有効性で測った、2022年のスーパーボウルのベスト(とワースト)テック広告を以下に紹介しよう。

Coinbase(コインベース)

QRコードがDVDのスクリーンセーバーのように黒い画面を跳ね回り、ジェネリックなテクノ・ソングが流れる中、原色を切り替えていく。私はスマートフォンを取り出しQRコードをスキャンした、やらない理由がないから。部屋の向こうから友人が叫んだ「やっちゃだめだ!ウイルスかもしれない!それどころか暗号かも!」。もちろん、そのQRコードは私の端末でCoinbaseのウェブサイトを開き、新規ユーザーには購入義務なしで15ドル(約1733円)のBitcoin(ビットコイン)を提供していた。Coinbaseの最高プロダクト責任者、Surojit Chatterjee(スロジット・チャタージー)氏によると、このCMの人気は絶大で、Coinbaseは過去に類を見ないトラフィックを経験した。

有効性:6/10

このCMに効果があったことは明らかだ、なぜなら集中したトラフィックでウェブサイトがダウンしたのだから。ただし、ウェブサイトがダウンしたということは、失ったものもあるはずだ。

「暗号資産について語る代わりに、いくらかプレゼントすることにしました」とい彼らのマーケティング戦術も私は買っていない。どんな投資でも同じだが、自分が何に投資しているかを知っていることが、おそらく良いことだ!状況を把握するためには市場に参加しなければならないのは確かだが、消費者に投資して欲しいものが何であるかを、どの暗号資産CMも説明していないのは実に不可解だ。

イタさ:7/10

このレトロ美は実際どこかクールだ。弾むQRコードはリスキーだが、私は他のどれよりもこのCMを覚えている、ということはうまくいっている。しかしQRコードの行き先は、特典情報が書かれたウェブサイトで、そのウェブサイトが少々イタい。Coinbaseはサイトに「WAGMI」と書いていて、これは暗号資産界のスラングで、「we are gonna make it」(私たちは成功します)のことで「我々は数年のうちに燃え尽きて多くの人々に損をさせるスタートアップではありません」という意味だ。しかし、WAGMIと言っているということは、実はNGMI(not going make it、うまくいくわけない)を恐れていることを暗示しているのかもしれない。

関連記事:CoinbaseがNFT市場参入を発表、OpenSeaに対抗するマーケットプレイスを準備中

FTX

 

これもまたもう1つの暗号資産交換プラットフォーム。カリブ諸島、バハマ拠点のFTXは、先月4億ドル(約462億円)の資金調達を完了し、企業価値が320億ドル(約3兆7000万円)に達した。資金のいくらかはマーケティングに使うことになるのだから、著名な気難しいLarry David(ラリー・デヴィッド)監督に初めてのスーパーボウルCM制作を依頼したのも当然だろう。

CMの設定は「Curb Your Enthusiasm(邦題:ラリーのミッドライフ★クライシス)」のスターが何事にも懐疑的なあまり、大きな投資のチャンスを逃したというもの。彼はEdison(エジソン)に、彼の電球はNGMI(直接の引用ではない)だと言い、さらに食洗機なんて使う意味はない、なぜなら食器にシャワーを浴びせればいいのだから、という。

ラリー・デヴィッド監督は暗号資産を理解していないので、それはこの先端産業が実に、実に、実にすばらしいに違いないことを意味している。

有効性:6/10

The New York Times(ニューヨーク・タイムズ紙)によると、FTXと広告代理店のdentsuMBは、80本の脚本を検討し、分散型金融を電球の発明に位置づけるこのコンセプトに決定したそうだ。そして、「Seifeld」(となりのサインフェルド)の共同クリエイターでもあるデヴィット監督による4日間の撮影と、280時間にわたる編集の結果、7時間半の撮れ高を60秒に凝縮した。そして、さらに200時間を費やしてこのCMのティーザーを制作した。

というわけで、この努力には敬意を払わなくてはならない(加えて、ラリー・デヴィッドは私の問題含みのお気に入り)。でもだめだ。膨大な時間とお金をかけたこの広告は、暗号資産の仕組みを何1つ教えてくれない。

イタさ:10/10

CMにはラリー・デヴィッド氏が登場する。

Crypto.com(クリプト・ドットコム)

これまたもう1つの巨額なマーケット予算の暗号資産取引所Crypto.comはFTXとよく似たアプローチをとった。彼らはスターのパワーを使って、暗号資産はテクノロジーの次の段階に過ぎないことを視聴者に信じ込ませようとした。しかし選んだタレントは、どちらかというとスポーツファンの方が馴染みがあるだろう。この30秒のスポットCMで、LeBron James(レブロン・ジェームズ)が若き日の自分に向かって「歴史を作りたかったら自分で指揮を取らなくてはだめだ」という。次にCrypto.comのロゴが画面に現れる。

有効性:7/10

みんなスポーツ界のスターをテレビで見るのが好きだ。しかしこのCMは暗号資産について、CoinbaseやFTXよりも説明していない。そしてこのCMは、FTXのCMよりはるかに予算が少なく、衣装とセットの切り替えと特殊効果がまん延している。

イタさ:8/10

私はここに関わっている物理学についてもっと知りたい。レブロンはどうやって時間内に戻ったのか? 若き日の自分に我々の時代の暗号ブームについて話しているということは、レビロンはNBAに行けなくて、ということは21世紀にフロリダ州南部で成功したプロスポーツチームは現れなかったといこと?あまりにも疑問が多い。

Meta Quest 2(メタ・クエスト・ツー)

 

Facebook(フェイスブック)は自らをMeta(メタ)に再ブランドしただけではなく、自社のVRヘッドセットもOculus Quest(オキュラス・クエスト、同社が買収したVR会社の名前)から、単にMeta Questへと変更した。

このCMは、まぎらわしくてうっとうしい。要するに、何人かのアニマトロニックミュージシャン(ピザチェーンのChuck E. Cheese[チャッキーチーズ]風の店で一緒に働いている)が職を失い、一緒に集まることができなくなった。しかしMeta Quest 2を使うことで、人生の苦難を忘れソーシャルVRアプリ、Horizon Worlds(ホライゾンワールド)で足のないアバターとなって集合する。

有効性:3/10

目的がブランド認知であるならば、まあいいだろう。しかしこのCMは「現実世界に不満ですか? メタバースをやってみましょう」的にやってくる。しかも、Horizon Worldは、CMで見せているものとは程遠い洗練度なので、完成度で減点された。

イタさ:9/10

ラリー・デヴィッド監督を雇うべきだったがそうははしなかった。

関連記事:かつてフェイスブックと呼ばれた会社が「Oculus」ブランドをさりげなく抹殺

Google Pixel 6(グーグル・ピクセル・シックス)

同社のスマートフォン、Pixel 6の魅力を披露するために、GoogleはスーパースターのLizzo(リゾ)と組んでReal Tone(リアル・トーン)機能にスポットを当てた。

「子どもの頃から、卒業アルバムの写真は残らずひどいものでした」というナレーションが、卒業衣装をまとった友人たちの写真に重ねられる。顔色が暗く写った人たちが写真の背景に溶け込んでいる。

次にGoogleは、同社のReal Tone機能をつかって撮影した写真を見せる。コンピューター処理写真技術を使ってさまざまな肌の色の人たちの写真を正確に表現する技術だ。華麗な写真が、ラゾの未公開トラックが流れる中で映し出される。

有効性:10/10

GoogleはCMにリゾの新曲を持ってきた。TechCrunchのAnnie Saunders(アニー・サンダーズ)記者のことばを借りると「私はスーパーボウルを見なかったけれど、リゾのPixelの広告はInstagram(インスタグラム)で見ました。リゾのやっていることはすべてが正しくて善です」。

イタさ:2/10

CMにイタいところはまったくないのだが、スマートフォン・ビジネスにおけるApple(アップル)と比べたGoogleの市場シェアは彼らにとって少々イタいかもしれない。

関連記事:あらゆる肌色の顔を美しく見せるPixel 6カメラのReal Tone、多様性を広げるAI技術

T-Mobile

Miley Cyrus(マイリー・サイラス)氏と彼女の名付け親、Dolly Parton(ドリー・パートン)氏が、揃ってT-Mobile(ティー・モービル)の5Gネットワークを2本の30秒スポットで宣伝した。最初の1本でドリー・パートン氏はPSA(公共サービス広告)風に登場し、自分たちの携帯電話のためにAT&T(エーティーアンドティー)やVerizon(ベライゾン)から乗り換えましょう、と人々に推奨する。次に彼女はマイリーを呼び、あなたの声で携帯電話を救うように促す。次のCMでは、マイリーが録音スタジオで「携帯電話たちのために行動しましょう / 彼らはとても多くのことをしてくれました」といった心のこもった歌詞を大きな声で歌っている。彼女はさらに、黒のブレザーと革手袋姿ではっきりと「T-Mobile」の名前も歌った。

有効性:7/10

私は注目した、なぜならドリー・パートンとマイリー・サイラスは楽しいと思っているからだ。ふたりは他社ネットワークのよくないといわれる5Gカバーエリアを強く叩いたかもしれないが、フットボールの精神に則ってタックルなりなんなりして攻めて欲しい。

イタさ:9/10

Uber Eats(ウーバー・イーツ)

Uber Eatsでは、アルミホイルやスポンジ、キャンドルなどの生活必需品も注文できる、食品だけではない。そこでこのCMは、Jeniffer Coolidge(ジェニファー・クーリッジ)氏やGwyneth Paltrow(グウィネス・パルトロー)氏、Trevor Noah(トレバー・ノア)氏、Nicholas Braun(ニコラス・ブラウン)氏といったセレブたちが、何が食べ物で何がそうでないかに困惑するとどうなるかを見せている。

有効性:8/10

これで困った時にUber Eatsでアルミホイルを変えることがわかった。しかしこれは、この会社のマーケティングのしくじりを覆い隠そうとしているように感じる。おそらく、Uber Eatsをスタートする時「eatsとnot eats」の両方を示す名前を選ぶべきだったことを。

イタさ:8/10

使われている、Capone(カポーン)の「Oh No(オー・ノー)」は、1年ほど前にTikTok(ティックトック)で流行った曲だ。すでに話題性のないトレンドを利用して若い世代にアピールしようとすることは、ある種のイタさだ。

Amazon(アマゾン)

音声コントロールデバイスのSmart Homeを発売して以来、Amazonは消費者の間で繰り返される恐怖を緩和しなければならなくなった。Alexa(アレクサ)は私を見張っているの? 知り過ぎじゃない? 彼女が強くなりすぎたらどうなるの?

しかしAmazonは、もしAlexaが人の心を読めたら何が起きるかを数百万人の視聴者に見せることにした。女優のScarlett Johansson(スカーレット・ヨハンソン)氏が夫で”Saturday Night Live”(サタデー・ナイト・ライブ)のColin Jost(コリン・ジョスト)氏の横で目を覚ました時、Alexaは彼の心を読んでマウスウォッシュのエクストラ・ストロングを注文した。ヨハンソン氏がジョスト氏にしゃべるのをやめて欲しいと思った時、Alexaは大きな音のするブレンダーを動かした。

有効性:6/10

最終的にジョスト氏とヨハンソン氏は、この心を読むマシンはやっぱり良くないという結論を下すが、私が思うにこのCMの目的は楽しませることであって、製品が何をするかを説明することではない。それでもジョスト氏はスマート・デバイスを使ってテレビをつけることに成功し、Alexaのあまり怖くないスキルを見せた。怖くないのは、Alexaが心を読める「ように」見えて、「実際には」心を読んでいなからだ。

イタさ:7/10

このCMはどこかおもしろい!しかし、Amazonの作った広告を見て笑うことはイタい。イタいものを持ってきてしまったのは、我々の失敗だ。

 

AmazonはPrime Video(プライム・ビデオ)がサーズデー・ナイト・フットボールの独占中継局になることを予告し、AmazonとNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)が結んだ11年契約の始まりを飾った。

有効性:9/10

9月15日から、フットボールファンは木曜夜のゲームをPrime Video独占中継で見ることができる。わかりやすい!簡潔だ!これはフットボール・ファン視聴者に特化してつくられた広告だが、誰がスーパーボウルを見るのだろう?フットボールファンだ!

イタさ:5/10

「私たちは来シーズンまでずっと、この世界をゲームなしで生きていかなければなりません」というナレーションが、フットボールロスのために巨大なあごひげを伸び放題にしている人物を背景に流される。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nob Takahashi / facebook

テキサス州司法長官、フェイスブックの顔認識技術をめぐりMetaを提訴

テキサス州司法長官Ken Paxton(ケン・パクストン)氏は、Facebook(フェイスブック)の顔認識技術の使用をめぐってMeta(メタ)を提訴した。司法長官室が米国時間2月14日に発表した。このニュースはウォールストリート・ジャーナルが最初に報じたもので、この訴訟では数千億円規模の民事制裁金を求めていると指摘している。同訴訟では、現在は中止しているMetaによる顔認識技術の使用が、生体データに関する同州のプライバシー保護法に違反していると主張している。

訴訟を発表したプレスリリースでは、ユーザーがアップロードした写真や動画に含まれる数百万件の生体識別情報をFacebookが保存していたと主張している。パクストン氏は、Facebookがユーザーの個人情報を「自社の帝国を拡大し、棚ぼた的巨額利益を得るために」悪用したと述べている。

「Facebookはもはや、人々の安全と幸福を犠牲にして利益を上げる目的で、人々とその子どもたちを利用することはありません」とパクストン氏は声明で述べた。「これは、テック大企業の欺瞞に満ちた商習慣の新たな例であり、止めなければなりません。私はテキサス州民のプライバシーとセキュリティのために戦い続けます」。

Metaの広報担当者はTechCrunchに「これらの主張はメリットがなく、我々は強く異議を唱えます」と電子メールで述べた。

この訴訟では、Facebookがその商慣行を隠すことで人々を欺き、アプリを利用するテキサス州民はFacebookが写真や動画から生体情報を取得していることに気づかなかったと主張している。また、Facebookがユーザーの個人情報を他の事業者に開示し、その事業者がさらに情報を利用していることにユーザーは気づかなかったと、詳しい説明なしに主張している。

「Facebookは往々にして、収集した生体識別情報を適切な時間内に破棄しておらず、テキサス州民を幸福、安全、セキュリティに対する増大し続けるリスクにさらしています」と訴状には書かれている。「Facebookは自らの商業的利益のために、顔認識技術を訓練し改善すべく故意に生体情報を収集し、それによって、世界の隅々にまで届き、Facebookのサービスを意図的に避けている人さえも陥れる強力な人工知能装置を作っています」。

Metaは2021年11月、Facebook上の顔認識システムを停止し、今後は写真や動画でオプトインしたユーザーを自動的に識別しないようにすると発表した。また、このシステム停止の一環として、10億点超の個人の顔認識テンプレートを削除するとも明らかにした。しかし、テキサス州当局はMetaにこのデータを調査のために保存するよう要請し、これによりシステムの完全閉鎖は遅れる可能性が高い。

Metaが顔認識に関する慣行で訴訟に直面するのは今回が初めてではない。2021年3月にFacebookは、イリノイ州民を侵害的なプライバシー保護行為から守るために作られたイリノイ州法に違反したとして、6億5000万ドル(約750億円)を支払うよう命じられた。このバイオメトリクス情報プライバシー法(BIPA)は、近年テック企業の足元をすくう強力な州法だ。Facebookを相手取った裁判は2015年に初めて行われ、Facebookが本人の同意なしに顔認識を使って写真にタグ付けする行為は州法に違反すると主張した。

関連記事:フェイスブックがイリノイ州のプライバシー保護法をめぐる集団訴訟で約694億円支払う

判決を受け、カリフォルニア州にある連邦裁判所による最終和解判決のもと、160万人のイリノイ州民が少なくとも345ドル(約3万9000円)を受け取った。最終的な額は、裁判官が不十分と判断したため、Facebookが2020年に提案した5億5000万ドル(約635億円)を1億ドル(約115億円)上回った。Facebookは2019年に自動顔認識タグ付け機能を無効にし、代わりにオプトイン方式にし、イリノイ州の集団訴訟によって拡大したプライバシー批判のいくつかに対処した。

6億5000万ドルという和解金は、通常の企業であれば大きな影響を与えるのに十分な額だろう。しかしFacebookは、FTC(米連邦取引委員会)が2019年に同社のプライバシー問題を調査し、50億ドル(約5776億円)という記録的な罰金を課したときと同様に、これを受け流した。

今回のテキサス州の訴訟は、プライバシー法の普及がMetaの業務だけでなく、すべてのテック大企業の慣行に大きな影響を与える可能性があることを示している。過去数年、はっきりとした同意なしにユーザーの顔を顔認識システムの訓練に使用したのは法律違反としてMicrosoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)を訴える訴訟が相次いでいる。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】ソーシャルメディアは科学と「根本的に対立」している可能性がある

米国時間2月11日に発行されたScience(サイエンス)に掲載された特別論説が、現在の形式のソーシャルメディアは、事実や道理を提示したり広めたりする目的には根本的に適していないのではないかと論じている。論説は、現在はアルゴリズムが主導権を握っており、システムの優先順位は残念ながら逆になっていると主張している。

ウィスコンシン大学マディソン校のDominique Brossard(ドミニク・ブロサール)氏とDietram Scheufele(ディートラム・ショイフル)氏は、その鋭い(そして無料で読むことができる)意見の中で、科学者が必要とするものとソーシャルメディアプラットフォームが提供するものとの間の基本的な断絶について説得力のある説明を行っている。

彼らは「科学的な議論のルールや、証拠の体系的、客観的、透明な評価は、ほとんどのオンライン空間における議論の実態と根本的に対立している」と述べる。「ユーザーの怒りや意見の相違を収益化するように設計されたソーシャルメディアプラットフォームを、懐疑的な人々を説得するために用いる(たとえば気候変動やワクチンは確立した科学領域では議論の余地はないということ)ことが、生産的な手段であるかどうかには疑問が残る」。

科学者によるコミュニケーションの効果を減少させるソーシャルメディアの最も基本的な特性は、広汎な分類ならびに推奨エンジンの存在だ。これにより、ブロサール氏とショイフル氏が「homophilic self-sorting(同一傾向自己分類)」と呼ぶものが生みだされる。つまり、あるコンテンツを見せられる人は、すでにそのコンテンツに馴染んでいる人なのだ。言い換えるなら、彼らは聖歌隊に向かって説教しているのだ。

「科学に好意的で好奇心旺盛なフォロワーを、科学者のTwitter(ツイッター)フィードやYouTube(ユーチューブ)チャンネルに連れてくるのと同じ営利目的のアルゴリズムツールが、一方では最も緊急に科学を必要としている人たちから、科学者をますます遠ざけることになるだろう」と彼らは書いている。ここには、明らかな解決策は存在しない「その原因は、科学情報のエコロジーにおけるパワーバランスの地殻変動にある。ソーシャルメディアプラットフォームとその基盤となるアルゴリズムは、急速に拡大する情報の流れをふるいにかけようとする受け手の能力を上回り、その過程で感情的・認知的な弱点を利用するようにデザインされている。このような事態になっても不思議はない」。

Scienceの編集長であるH. Holden Thorp(H・ホールデン・ソープ)氏はいう「だがそれはFacebook(フェイスブック)にとって収益化の良い手段なのです」。

このテーマで論説も書いているソープ氏は、私に対して、最近の科学者とソーシャルメディアの関わり方には、少なくとも2つの明確な問題があると話してくれた。

「その1つは、特にTwitterでは、科学者たちがそれを使って、詳しく議論したり、アイデアを公然と広めたり、支持したり、撃墜したりするのが好きだということです。これらはかつて、科学者たちが黒板を囲んだり、会議をしている時にやっていたことです」と彼はいう。「こうしたことはパンデミック以前から行われていましたが、今ではそのようなやりとりが行われる主要な手段となっています。その問題点は、もちろん、今や永久的な記録が残るようになっているということです。そして、通常の科学の検討過程では当然破棄されるような、一度は提出されたものの間違っていることが判明した仮説のいくつかが、私たちのやっていることを台無しにしようとしている人々によって選ばれてしまうのです」。

そして「2つ目は、素朴すぎるアルゴリズムです。特にFacebookのアルゴリズムは、意見の相違や意見の相違を広める非公式な投稿に非常に高い評価を与えています。たとえば『私の叔父はマスクをして教会に行ったが、新型コロナウイルスに感染した』というような情報も、拡散すれば権威ある情報に勝るものとして扱われることになるでしょう」と彼は続けた。

ブロサール氏とショイフル氏が指摘するように、このような状況が重なると、科学者は「明らかに不利な立場に置かれる【略】わかりやすい結論よりも、専門的な規範や倫理的立場から信頼性のある累積的な証拠を優先する、公開討論における少数派のようなものだ」。

関連記事:ソーシャルメディアCEO3人が米下院公聴会で反ワクチン誤情報アカウントを削除するか聞かれ言葉を濁す

残念ながら、科学的な面では誰もができることではない。間違いなく、システムに参加すればするほど、自分の周りのサイロを強化することになる。私たちはあきらめるべきだと主張する者はいないものの、問題は科学コミュニティが、ソーシャルメディア上で偽情報の行商人たちよりも発信力が弱いことだけではないということを認識する必要がある。

ソープ氏は、これは数十年前から続く反事実主義的な傾向と政治化の最新局面に過ぎないと認めていいる。

「人々は、これが非常に単純なことであることを認識せずに、少し感情的になっている傾向があると思います。たとえば政党は同じ立場を取ることはないでしょう、すると片方が科学的に厳格な場合、もう1つは科学に反する立場をとることになります」と彼は説明する。彼は、民主党が科学の側に立つことが多いのは確かだが、遺伝子組み換え作物や原子力では反対側に立ったこともあると指摘した。重要なのは、誰が何に賛成しているかではなく、2つの政党が反対の意見を唱えることで自らを定義していることだ。

「これは、科学に賛成するよりも、科学に反対する方が政治的に有利だということに気づいた政党の振る舞いなのです」と彼はいう。「なので科学者がただ『メッセージが伝わらない』と言っているのは呑気な態度なのです、彼らが直面しているのは、今やFacebookの力を背景にした政治マシーンなのですから」。

ブロサール氏とショイフル氏は、最後の論点として、Deep Blue(ディープ・ブルー)によるGarry Kasparov(ガルリ・カスパロフ)氏の敗北を示した。その敗北後、スーパーコンピュータを出し抜くための特別なトレーニングを追求するひとはおらず、カスパロフ氏のプレイが不十分だと非難するひともいなかった。そのショックが去った後、我々はチェスだけでなく、コンピューティングとアルゴリズムの可能性においても新しい局面を迎えたことは誰の目にも明らかだった(少し前に、カスパロフ氏自身も私に対して、その見解が進化したことを語ってくれた)。

「科学者にも同じ理解が求められている」と彼らは書いている。「公共の場における議論に、事実と証拠を用いた情報を持ち込む新しい時代であり、良い方向に変化しているものもあるのだ」。

画像クレジット:erhui1979 / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:sako)

Metaの監督委員会、FacebookとInstagramに「晒し」からユーザーを守る規定強化を要請

Meta(メタ)の外部諮問機関が米国時間2月8日に、新たな提言を発表した。同社にdoxing(個人を特定する情報を公開する行為。いわゆる「晒し」)からユーザーを保護するポリシーを強化するよう求めている。

Facebook(フェイスブック)は2021年、公共の情報へのアクセスとプライバシーに関する懸念とのバランスをとるのが難しいことを認識し、このポリシーに関する助言を求めていた。現在はMetaという名前で知られる同社の個人情報の共有に関する現在の規定では、その情報が「一般に公開される」可能性を例外として認めている。

身体的危害または金銭的損害を招くおそれのある個人情報または他の非公開情報をシェアする、提供する、またはそのような情報の提供を求めるコンテンツは、削除の対象となります。このような情報には、財産、住居、医療に関する情報や、違法な情報源から取得した非公開情報などが含まれます、また、個人情報は報道、裁判所への提出物、プレスリリース、またはその他の情報源を通じて一般に公開される可能性があることも認識しています。その場合、情報の投稿を許可することがあります。

監督委員会は、この種の被害は「救済が困難」であること、すなわち、ひとたび誰かの住所が公開されてしまうと、それを元に戻すことは不可能であることを指摘し、Metaがプライバシー違反ポリシーの中で、自宅の住所や個人を特定する画像の「一般に公開される」可能性を認めている例外規定を削除するよう勧告した。監督委員会によれば、この慎重さを欠く面がもたらす独特のリスクを考慮して、新しい規則は「プライバシーをより保護する」ものであるべきだという。

監督委員会は「いったん情報が共有されてしまうと、doxingのような結果として生じる危害に対処することは困難である」と書いている。「doxingによる被害は、女性、子ども、LGBTQIA+などのグループには過度に影響し、精神的苦痛、雇用の喪失、さらには身体的被害や死を含むこともある」。

この委員会の勧告では、ニュース記事の焦点となっている住宅の画像を共有する場合や、誰かが自分自身の家の画像を共有する場合など、いくつかの常識的な例外が設けられている。委員会はさらに、抗議活動を組織する目的で個人の住所の画像を共有することを、Metaは禁止するべきであると提言している。

委員会はまた、連邦政府や地方自治体の首長や大使など「政府高官に提供されている公邸」で抗議活動が行われる場合には、Metaは住所や住宅の画像を共有することを認めるべきだとも主張している。そうでなければ、ホワイトハウスのような場所でデモを計画しているイベントが規則に抵触する可能性があるからだ。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)