スペースXが民間宇宙飛行士を国際宇宙ステーションに運ぶミッションを2023年までに4回予定

SpaceX(スペースX)は、2020年1月に実施するとすでに発表済みのミッションに続いて、さらなる民間宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)へ送り込むための乗り物を提供することを発表した。計画されている4度のフライトは、すべて民間の商業宇宙飛行および宇宙ステーション企業であるAxiom Space(アクシアム・スペース)のためのもので、2022年はじめから2023年までの間に行われる予定だ。

SpaceXの宇宙船「Crew Dragon(クルー・ドラゴン)」と「Falcon 9(ファルコン・ナイン)」は、ISSへの人間の輸送を認可された最初の民間打ち上げシステムであり、すでに3組のNASA宇宙飛行士を軌道上の実験室に送り出している。そのうち1組目は最終的な認証取得試験のデモ飛行で、2組はISSに滞在し作業を行うための運用飛行だった。AxiomとNASAは5月に、初の民間人のみによるISSへの飛行となるAX-1ミッションの詳細を明らかにした。このミッションでは、4人の民間宇宙飛行士をCrew Dragonに乗せてISSに送り届ける。4人は合計8日間、宇宙に滞在しながら作業を行い、地球に帰還する予定だ。

NASAとSpaceXは、ステーションに向かうAxiomの4人のクルー全員にトレーニングを提供することになっている。SpaceXもAxiomも他の3つのミッションの内容や時期については、今のところ詳細を明らかにしていない。だが、2年間に4回のミッションを行うということは、これでNASAが2022年と2023年に年2回ずつ割り当てている民間宇宙飛行士ミッションがすべて埋まることになる。

民間宇宙飛行士によるISSへの飛行は、すでに2021年内に1度予定されている。日本の大富豪である前澤友作氏は、12月初旬にロシアのSoyuz(ソユーズ)ロケットでISSに向かうフライトを予約した。この宇宙旅行を手配したSpace Adventures(スペース・アドベンチャーズ)は、2000年代に何人もの大金持ちの民間人を宇宙へ送り出してきた。

一方でAxiomは、軌道上宇宙ステーションでの商業活動について、ニッチではなくより継続的に行う未来を思い描いている。同社は既存のISSに追加する商用モジュールの開発に取り組んでおり、将来的にはISSの後継となる完全に民間運用の宇宙ステーションの建設も視野に入れている。2年間に複数のクルーを乗せた4回の旅行の予約があるということは、物好きな富豪による気まぐれ以上の需要が、商用宇宙旅行にあることを示すのに大いに役立つだろう。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

無重力空間でも機能する冷蔵庫をパデュー大学の研究チームが開発中

国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士は、定期的な補給品の打ち上げによって比較的新鮮な食料を手に入れているが、火星まで行くとなると補給品の入手は不可能だ。もし人類が他の惑星に行くのなら、宇宙でも壊れない冷蔵庫が必要になる。パデュー大学の研究者たちは、そのテストに励んでいる。

普通の冷蔵庫だって宇宙で使えないことはないと思う人もいるかもしれない。熱を吸って、冷気を送り込む。単純なことではないか?しかし、一般的な冷蔵庫は、温度を調整するコンプレッサーにオイルを送り込むのに重力を利用している。そのため、重力のない宇宙ではこれらのシステムが機能しなかったり、すぐに壊れてしまったりするのだ。

パデュー大学のチームとパートナーメーカーのAir Squared(エア・スクエアド)が追求しているソリューションは、重力の方向や大きさに関係なく機能する、従来の冷蔵庫のオイルフリーバージョンだ。その開発は、NASAが有望な中小企業や実験に資金を提供し、ミッションへの準備を促進させるSBIRプログラムによって行われている(このプログラムは現在、フェーズIIの延長期間中)。

2年間の開発期間を経て、チームはついに飛行可能な試作機を完成させた。2021年4月にはパラボリックフライト(放物飛行)で模擬した微小重力環境でテストするところまでこぎ着けた。

最初のテスト結果は期待が持てるものだった。冷蔵庫はきちんと機能した。

研究チームの博士課程学生であるLeon Brendel(レオン・ブレンデル)氏は「微小重力環境下におけるテストで、明らかな問題もなく冷蔵サイクルが継続的に作動したことは、我々の設計が非常に良いスタートを切ったことを示すものです」と、述べている。「我々が認識していなかったことで、微小重力が冷蔵サイクルに与えた変化はないというのが、我々の第一印象です」。

もちろん、短時間の微小重力下(試作機が無重力に近い状態に置かれたのはわずか20秒間でしかなかった)では限定的なテストにしかならないが、研究者たちが取り組んでいた装置の問題点を解消することには役立った。次のテストでは、ISSに長期的に設置されることになるかもしれない。ISSの住人は、きちんと作動する冷蔵庫をきっと欲しがっているはずだ。

冷たい飲み物や(フリーズドライではない)冷凍食品はもちろん魅力的に違いないが、それだけでなく、標準的な冷蔵庫があれば、あらゆる科学的な作業にも利用できる。現在、低温環境を必要とする実験は、複雑で小規模な冷却機構を使用するか、絶対零度に近い宇宙環境を利用するかのどちらかしかない。だからこそ、NASAは「Flight Opportunities(フライト・オポチュニティ)」プログラムの一環として、開発チームを微小重力シミュレーターに搭乗させたのだ。

今回のフライトで収集されたデータの分析は現在進行中だが、最初の大きなテストの成功は、この宇宙用冷蔵庫の研究と実行の両方が、正しいことを立証するものだ。次の課題は、宇宙ステーションの限られたスペースと継続的な微小重力の中で、どのように機能するかを検証することになる。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

次世代の月面探査車をGMとロッキード・マーティンが共同で開発中

人類が前回(1972年)、月を訪れたときには、比較的シンプルなバッテリー駆動の乗り物で移動した。NASAは次の有人月探査に向けて、月面探査車のアップグレードを検討している。

Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)とGeneral Motors(ゼネラル・モーターズ)は米国時間5月26日、次世代の月面車を共同で開発していると発表した。これは以前の月面探査車よりも、より速いスピードで、より長い距離を走れるように設計されているという。このプロジェクトがNASAに採用されれば、この月面車は今後のアルテミス計画で使用されることになる。その最初のミッションは、無人で地球から月まで往来する飛行試験で、2021年11月に予定されている。

5月26日のメディア向け発表会で幹部が語ったところによると、提案申請書は2021年の第3四半期か第4四半期に発行されるだろうとのこと。NASAは提出された提案書を評価した後、契約を締結することになる。

前回のアポロ計画で使用された月面車は、着陸地点から約8キロメートル以内しか移動できなかったため、宇宙飛行士が月の北極や南極などの遠く離れた地点で重要なデータを収集することはできなかった。ちなみに月の円周は1万921キロメートルだ。2社はこれらの性能の大幅な向上を目指していると、ロッキードで月探査を担当するバイスプレジデントのKirk Shireman(カーク・シャイアマン)氏は語ったが、新型月面車に使用される素材や航続距離などの性能は、まだ正確に確定しているわけではないと言及した。

GMはこの月面車用の自律走行システムも開発する予定で、これにより安全性が向上し、宇宙飛行士がサンプルを収集したり、その他の科学的研究を行う能力が高まると、幹部は水曜日に語った。

GMは電気自動車や自律走行車の技術に、2025年までに270億ドル(約3兆円)以上を投資しており、その研究を月面車プロジェクトに活かすことを目指していると、GM Defense(GMディフェンス、GMの軍事製品部門)の成長戦略担当バイスプレジデントであるJeffrey Ryder(ジェフリー・ライダー)氏は語っている。「私たちは現在、これらの能力をどのようにアルテミス計画に関わる特定のミッションやオペレーションに適用するかについての調査を始めたところです」。

GMは地球上で行っているバッテリーや駆動システムの研究も、月面車の開発に活かしていくという。ライダー氏は、この月面車プログラムが他の市場機会につながることを期待している。

両社はこれまでにも、月面探査を含むNASAのミッションに技術を提供してきた。自動車メーカーのGMは、アポロ時代に使用された月面車のシャシーや車輪などの開発に協力。アポロ計画全般における誘導・航法システムの製造と統合も担当した。大手航空宇宙企業のロッキード・マーティンは、すべての火星探査を含むNASAのミッションで、宇宙船や動力システムの製造に携わっている。

両社は、今回の協業を「いくつかの取り組みの1つ」としており、今後も他のプロジェクトについて、さらなる発表が予定されているという。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「宇宙旅行」が賞品のディスカバリーの新リアリティ番組「Who Wants to Be an Astronaut?」

Discovery(ディスカバリー)は、2022年に放送予定の新しいリアリティ番組を発注した。この新番組は、Axiom Space(アクシオム・スペース)の商用ミッションで国際宇宙ステーション(ISS)への旅行に参加するチャンスを競う。全8話のコンテストシリーズとなる。優勝者は、AxiomがAX-1に続いて完全に民間の宇宙旅行者グループをISSに輸送する2回目のミッションとなるAX-2のクルーに加わる。AX-1は早ければ2022年1月に実施される予定だ。

AxiomとNASAは、2021年5月初めに行われたプレスブリーフィングでAX-1について詳しい説明を行った。このミッションは8日間にわたり、4人の有料顧客を軌道上の科学ステーションに連れて行き、短期間滞在するという。この特典のためにNASAに支払われる価格は169万ドル(約1億8000万円、この中にAxiomが輸送サービスによって提供する現物支援は含まれていない)となっている。

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AxiomはAX-1では、SpaceX(スペースX)のFalcon 9(ファルコン9)とCrew Dragon(クルードラゴン)宇宙船を使用して、民間宇宙飛行士の顧客をISSに輸送する予定だ。「Who Wants to Be an Astronaut?」シリーズの最初のプレス資料では、優勝者を受け入れるAX-2ミッションに使用される宇宙船は明記されていないが、これまでに活動している唯一の完全な民間宇宙旅行会社であることから、このミッションにもSpaceXが採用されると考えるのが妥当だろう。

このリアリティ番組シリーズで行われる実際の選考プロセスについて、Discoveryは次のように説明している。

宇宙へ飛び立つ憧れの席を獲得するには何が必要なのか?そのプロセスは過酷であり、厳しい選考を通過するのは選ばれた数人だけです。このシリーズでは、宇宙飛行士に最も必要とされる資質を試すために、様々な過酷な課題に挑戦し、宇宙飛行や宇宙ステーションでの生活に必要な訓練を受ける候補者たちを追っていきます。

そして最終的には、専門家の審査員によって適性があると判断されたラッキーな候補者1名が、これまで経験したことのない冒険へのチケットを手にすることになります。このシリーズでは、離陸から再突入、そして帰還まで、重要な瞬間を記録していきます。

このコンテストは「ありふれた普通の人々」に公開されており、参加したい場合、応募フォームに30~60秒の短い動画を添付する必要がある。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

NASAのアーカイブでドキュメント理解の経験を積むDocugamiの新モデル

最近はデータについての話題が多いため、膨大な量の処理が世界中のドキュメントで行われていることを忘れてはいないだろうか。ドキュメントは多様なファイルや形式が混在する動物園のようなものだ。非常に大きな価値はあるが、クリーンな構造化データベースの時代にはまだ適合していない。Docugami(ドキュガミ)はこの状況を変えようとしている。Docugamiのシステムは、任意のドキュメントを直感的に理解した上で、内容に対してインテリジェントな方法でインデックスを作成する。NASAはこの計画に賛同している。

Docugamiのプロダクトが計画どおり機能すると、何年にもわたり積み上げられたドキュメントの山を、誰でも瞬時に使いやすいデータに変換できるようになる。

どんな会社でも、運営していればドキュメントが大量に発生する。契約書や法的書類、不動産の賃貸借契約書や同意書、マーケティング関連の提案書やリリースノート、医療のカルテなどがある。形式もさまざまで、Word(ワード)ドキュメント、PDF、ワードからエクスポートしたPDFを印刷してスキャンしたものなど、多岐にわたる。

この問題に対応しようと何年にもわたって努力が払われたが、すべてのドキュメントを1カ所に集め、社内で共有したり編集したりできるようにするなど、大部分は組織側の対応だった。ドキュメントを理解するということは、それを扱う人間に委ねられてきたケースが多い。ドキュメントを理解するのは難しいので、これはもっともな話だ。

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賃貸借契約を考えてみよう。借主の名前がJill Jackson(ジル・ジャクソン)だとする。その契約書に「借主」と書かれているのを人間が読むと、借主が誰かは理解できる。また、他に100件の契約書があるとする。そのようなドキュメントに「借主」とあれば、ドキュメントの文脈からそれが先ほどと同じ概念を意味するが、同1人物ではないことを理解できる。一方で、機械学習や自然言語理解システムにとって、このような概念を理解して適用するのは非常に難しい。それでも、もしシステムがこのような概念を理解して応用できるのであれば、世界中の膨大なドキュメントから有用な情報を山のように抽出できる可能性がある。

.docxへの貢献

Docugamiの創業者であるJean Paoli(ジャン・パオリ)氏によると、同社では問題を全面的に解決できたという。大胆な主張ではあるが、彼はそう言える数少ない人間の1人だ。パオリ氏はMicrosoft(マイクロソフト)で何十年も重要な人物だった。とりわけXML形式の作成に力を入れていた。.docxや.xlsxなどの「x」で終わるファイルをご存じだろう。パオリ氏は、そのようなファイル形式の発展に少なからず貢献している。

「データとドキュメントは同じではありません。人間が理解できるものがドキュメントで、コンピューターが理解できるものがデータです。なぜ違うのでしょうか。(マイクロソフトでの)私の最初の仕事は、ドキュメントをデータとして表せる形式を作ることでした。業界の友人たちと一緒にXMLを作り、それをBill(ビル)が承認しました」(そう、あのビル・ゲイツが)と彼は説明した。

このときに作られた形式は広く使われるようになったが、20年経った現在でも問題は解決されていない。さまざまな業種がデジタル化され、問題の規模は大きくなっているが、パオリ氏にとって解決策は同じだ。XMLのコンセプトは「ドキュメントはウェブページのように構造化されるべきだ」である。つまり、ボックス内にボックスがあり、メタデータで明確に定義されているという、コンピューターが処理しやすい階層モデルだ。

画像クレジット:Docugami

「数年前にAIに関わっていた時に、ドキュメントをデータに変換するというアイデアが浮かびました。階層モデルを参照するためのアルゴリズムが必要でしたが、そんなアルゴリズムは存在しないと他の人に言われました。XMLモデルではあらゆる要素が他の要素内にあり、各要素の持つ固有の名前から、そこに含まれるデータが分かります。このモデルは、現在使用されているAIモデルと互換性がありません。これが現実です。AIの専門家がこの問題に取り組むことを期待していましたが、そうはなりませんでした」と彼は説明した(「自分は他の分野で忙しかった」と彼は言い訳を加えた)。

コンピューティングの新しいモデルに互換性がないことは、驚くことではない。新しい技術には特定の条件や制限がつきものだ。AIは音声認識やコンピュータービジョンなど、重要な他の分野に焦点が当てられている。その分野でのアプローチは、ドキュメントを体系的に理解するニーズとは異なる。

「多くの人が、ドキュメントは猫に似ていると考えています。AIをトレーニングすることで、目やしっぽを見つけられるようになるというわけです。しかし、ドキュメントは猫には似ていません」と彼は言った。

当たり前のようだが、ここに制限があるのだ。セグメンテーション、シーンの理解、マルチモーダルのコンテキストなどの高度なAIの手法はすべて、ある意味で非常に高度な猫検出機能であり、猫だけでなく犬、車の種類、表情、場所なども検出できる。一方で、ドキュメントはそれぞれがあまりに異なっている、もしくは似すぎていると言えるかもしれない。そのため、同じようなアプローチでできるのは、せいぜいおおまかに分類することだ。

言語理解については適している面もあるが、パオリ氏が必要とする方法としては不適切だった。「AIは英語の言語レベルのように機能しています。AIは参照するテキストを、そのテキストが含まれているドキュメントと切り離して考えています。私は神経言語プログラミング(NLP)の専門家が好きです。私のチームの半数はNLPの専門家ですが、NLPの専門家はビジネスのプロセスについては考えません。XMLの専門家(コンピュータービジョンを理解している人たち)とNLPの専門家にチームで共同してもらう必要があります。そうすると、違うレベルでドキュメントを見ることができるようになります」と彼は言った。

Docugamiの仕組み

画像クレジット:Docugami

パオリ氏が既存のツール(光学文字認識のような従来の成熟した機能を超えるもの)を採用しても、目標を達成できなかっただろう。そのため彼は独自のAIラボを作り、幅広い専門分野のチームが約2年間いろいろな改造を進めた。

「我々は自己資金でコアサイエンスをこっそりと研究し、特許事務所にかなりの数の特許を提出しました。その後ベンチャーキャピタルと会合を持ち、SignalFireが1000万ドル(約10億8000万円)のシードラウンドを自発的に主導してくれました」と彼は言った。

Docugamiを実用段階まで開発を進めるところまではシードラウンドに含まれなかったが、パオリ氏は作業中のドキュメントでプラットフォームについて説明してくれた。私はアクセス権を付与されず、スクリーンショットや動画も提供してもらえなかった。統合とUIの対応が途中だということで、ここからは想像してもらう必要がある。何かしらの企業向けSaaSサービスを想像してもらえれば、ほぼ間違いない。

Docugamiのユーザーは、任意の数のドキュメントを好きなだけアップロードできる。マシンが理解できるワークフローにドキュメントを移動すると、ドキュメントが解析される。スキャンされたPDFやワードファイルなどが、コンテンツに固有の階層構造にXMLのような形式で解析される。

「例えば、500個のドキュメントを複数のグループに分類するとします。こちらの30個は同じカテゴリー、20個は似ているから同じカテゴリー、そちらの5個をまとめるという感じです。ドキュメントの見た目、内容、使用方法などの手がかりを組み合わせてグループ化します」とパオリ氏は言った。あるサービスでは賃貸借とNDAの情報を区別できるかもしれないが、ドキュメントの種類は多岐にわたるため、事前にトレーニングされたカテゴリーの内容に合わせて分類して解決することはできない。どのドキュメントも内容が重複しない可能性があるため、Docugamiでは毎回トレーニングをやり直す。ドキュメントが1つしかない場合もやり直す。「ドキュメントを分類したら、ドキュメントの全体的な構成と階層を理解します。そうすることで、ドキュメントの内容全体を有効活用できます」。

画像クレジット:Docugami

この作業で可能になるのは、見出しのテキストを選択してインデックスを作成したり、単語が検索できるようになったりすることだけではない。ドキュメントに含まれるデータ(支払元、支払先、金額、支払日、支払いの条件など)がすべて構造化され、同じようなドキュメントの文脈で編集が可能となる(推定された内容を再確認するために多少の入力が必要)。

わかりにくいと思うので、会社で進行中の融資に関するレポートを1つにまとめることを考えてみよう。必要な作業は、サンプルドキュメント内の重要な部分をハイライトするだけだ。「Jane Roe(ジェーン・ロー)」「2万ドル(約210万円)」「5年」などの部分をクリックしたら、対応する情報を取得する別のドキュメントを選択する。すると、ドキュメントから取得された名前、金額、日付などが記載されている整理されたスプレッドシートが、数秒後にできあがる。

当然、このデータはすべて移動可能である。ビジネスで一般的に使用される他のさまざまなパイプやサービスとの統合も計画されている。実現すれば、レポートの自動化、特定の条件下でのアラートの発出、テンプレートや標準ドキュメントの自動作成が可能になる(古いドキュメントを保管したり、重要なカ所に下線を引いたりする必要がなくなる)。

このような処理が、ドキュメントのアップロード後30分で行われることに注目できる。データのラベリングや前処理、クリーニングは不要だ。事前に決まっている特定の概念や、賃貸借ドキュメントの形式に基づいてAIが処理するわけではない。関連がある構造、名前、日付などの必要な情報を、アップロードしたドキュメントからすべて学習するのだ。加えて、異なる業種への対応も可能で、誰でも直感的に理解できるインターフェースを使用する。ヘルスケアデータや建設関係の契約管理など、どんなデータを入力してもツールは処理可能だ。

ウェブインターフェースは、ドキュメントを取り込んで新しいドキュメントを作成できる主要ツールの1つであるが、ワードには別のツールがある。ワードを使用する場合にDocugamiは、使用するドキュメントがどのような形式でも内容を完全に認識するアシスタントのように機能する。そのため、新しいドキュメントを作成したり、標準的な情報を入力したり、規制に準拠したりすることができる。

機械学習の適用対象として法律文書を処理するのはあまり楽しいものではないが、重要ではある。そうでなければ私はこの記事を書いていないだろう(記事の長さはともかく、記事を作成することはなかったかもしれない)。このような深い理解が必要なタイプのドキュメントは、既存業種で使用されている標準のドキュメントタイプ(警察や医療のレポートなど)で一般的となっているが、カヤックレンタルサービス向けに運用できる特注モデルを誰かがトレーニングするまで待っているのは楽しいものである。中小企業のドキュメントにも、大企業のドキュメントと同じような価値が眠っている。中小企業ではデータサイエンティストを雇う余裕がなく、大企業でもすべて手作業で行うことはできない。

NASAのお宝

画像クレジット:NASA

極めて難しい問題でも、人間にとっては些細なことがある。似たような20個のドキュメントに名前と金額のリストが含まれていても、誰でも簡単に目を通せるだろう。おそらくDocugamiがクロールしてトレーニングするよりも短い時間で、内容を把握することが可能だ。

AIを活用する目的は、人間の能力を模倣してそれを超えることにある。経理担当者が20件の契約に対するレポートを毎月作成することと、1000件の契約に対するレポートを毎日作成することは別問題だが、Docugamiではその両方をどちらも簡単に実現できる。このような運用を調整できることが重要な企業システムにとっても、ドキュメントのバックログに埋もれたデータからクリーンなデータやインサイトを集めることを望んでいるNASAにとっても、Docugamiは適していると言える。

NASAが大量に保有しているもの、それはドキュメントだ。合理的かつ適切に管理されたアーカイブは、設立当初までさかのぼれる。数多くの重要なドキュメントをさまざまな方法で利用できる。私は長い時間をかけて、楽しみながら歴史あるドキュメントの情報を精査した

NASAは、アポロ11号に関する新しいインサイトを探しているわけではない。今に至るまでのプログラム、募集、補助金プログラム、予算、エンジニアリングプロジェクトを通じて、膨大なドキュメントが生成されている。これは結局のところ、連邦政府の官僚制度の大部分を占めている。さらに、何十年にもわたって書類を管理してきた他の大規模組織と同じように、NASAのドキュメントにはさまざまな可能性が隠されている。

ファイル内には専門家の意見、研究の産物、エンジニアリングのソリューション、その他さまざまなカテゴリーの重要情報が存在しており、簡単なワードで検索できると思われるが構造化されてはいない。例えばファイルに保存されている情報をジェット推進研究所で働いている人が理解し、ノズル設計に取り入れることができれば有用ではないだろうか。また、あるトピックについて、種類、日付、作成者、ステータスごとに整理された包括的なリストの最新版を数分で入手できたらどうだろう。特許アドバイザーが、従来の技術に関するNIAC助成金の受領について、情報を提供する必要がある場合はどうだろう。特定のキーワードで調べた場合よりも具体的に、特許や申請に関する古い情報を取得できるのではないだろうか。

2020年授与されたNASAのSBIR助成金は「Johnson Space Center(ジョンソン宇宙センター)の特定の種類のドキュメントをすべて収集する」ような、特定の業務を対象とするものではない。これは、このような助成金の多くと同様に探索や調査を目的とした契約であり、DocugamiはNASAの研究者と協力して、アーカイブにテクノロジーを適用する最もよい方法を見つけるよう取り組んでいる(優れた適用方法として、SBIRとその他の中小企業向け資金提供プログラムが挙げられるかもしれない)。

米国立科学財団(NSF)が提供する別のSBIR助成金とは次の点で異なる。NASAでは、さまざまな種類のドキュメントに重複する情報が含まれていても、チームで適切に整理することを検討している。その一方でNSFでは「小さなデータ」を適切に特定することを目指している。「我々は小さなデータに注目しています。非常に細かい点です。例えば名前が記載されている場合、貸主の名前か借主の名前か、医者の名前か患者の名前かに注目します。患者の記録にペニシリンに関する記載がある場合、それが処方されているか禁止されているかに注目します。アレルギーという欄と処方という欄がある場合に、そのような項目を関連付けることができます」とパオリ氏はいう。

「私がフランス人だからかもしれません」

SBIR助成金の予算がやや少ないため、その金額では会社の経営に影響がある可能性を指摘すると、彼は笑った。

「我々は助成金に頼って運営しているのでも、助成金が重要なのでもありません。私にとって、助成金は世界最高のラボで科学者と働くための方法なのです」と彼は言った。一方で彼は、助成金によるプロジェクトがいくつも予定されていることにも言及していた。「私にとって科学は燃料です。ビジネスモデルは非常にシンプルです。Docusign(ドキュサイン)やDropbox(ドロップボックス)のような、サブスクリプション形式のサービスです」。

この会社はビジネス運営を開始したばかりであり、インテグレーションパートナーやテスターとの多少のつながりを作っている。しかし今後1年で、独自のベータ版を展開した上で一般公開する予定だ。ただし明確な日程は決まっていない。

「我々は新興企業です。1年前は社員が5~6人でしたが、このシードラウンドで1000万ドル(約10.8億円)を獲得し、波に乗っています」とパオリ氏は言った。彼はこれが儲かるビジネスであるというだけでなく、企業の仕組みを大きく変えるものになると確信している。

「人々はドキュメントが好きです。私がフランス人だからかもしれませんが、テキストや本、文書は重要だと考えています。人間にはそういうものが必要です。人間は機械が上手に考えることを助け、機械は人間が上手に考えることを助けるもの。我々はそう考えています」と彼は言った。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Docugami機械学習NASA

画像クレジット:cifotart / Getty Images(Image has been modified)

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

「歴史上最も孤独な男」月に降りなかったアポロ11号クルーのマイケル・コリンズ飛行士が逝去

「史上最も孤独な男」月に降りなかったアポロ11号クルーのマイケル・コリンズ飛行士が逝去

Heritage Images via Getty Images

1969年、ニール・アームストロング飛行士とバズ・オルドリン飛行士が人類初の月面着陸を果たしたとき、アポロ11号司令船内にとどまって2人のサポート役に回った宇宙飛行士、マイケル・コリンズ氏が90歳で死去しました。コリンズ氏はしばらくがんを患い闘病していました。

遺族は本人の公式Twitterアカウントで「マイクは人生に対して常に優しさと謙虚さを持って臨んでいました。そして最後の挑戦にもまったく変わらずに立ち向かいました。私たちは彼が去ったことを非常に悲しく思います。しかし、私たちは、マイクが彼がどれほど非常に幸運な人生を生きられたと感じているかをわかっています」と述べています。

コリンズ氏は、アームストロングとオルドリンが月へ向かったあと、コリンズ氏は着陸船に問題が発生したときに備えて月軌道をひとりで周回しました。そのためコリンズ氏は「最も孤独な男」「忘れられた宇宙飛行士」などとも呼ばれています。

司令船で待機中は地上や月との位置関係で地上や着陸船との通信が途絶えることが何度もありましたが、その間、コリンズ氏は月面やその向こうにある地球の写真を撮影しました。そのなかには、おそらく誰もがどこかで目にしたことのある1枚も含まれています。

「史上最も孤独な男」月に降りなかったアポロ11号クルーのマイケル・コリンズ飛行士が逝去

NASA NASA / Reuters

コリンズ氏はこのミッションの翌年に飛行士を引退、国務省に務めた後、1978年にスミソニアン国立航空宇宙博物館のトップに就任しました。

NASA長官代理のスティーブ・ユルチク氏は「今日、われわれは真の先駆者で人生の探求者であったマイケル・コリンズ宇宙飛行士を失いました。コリンズ氏は、アポロ11号の司令船のパイロットとして、「歴史上最も孤独な男」とも言われましたが、同僚が初めて月面を歩く傍らで、この国の決定的な出来事の達成に貢献しました。彼はほかにもジェミニ計画や空軍のパイロットとして活躍しました」「NASA​​は、人間の可能性の限界を拡大しようとするすべての人の友人である、熟達のパイロットにして宇宙飛行士の喪失を悼みます。舞台裏か表舞台かに関わらず、彼の遺したものは常に、アメリカの宇宙への第一歩を踏み出したリーダーの一人として存在するでしょう。そして、私たちがさらなる深遠に向かって冒険するとき、彼の精神は私たちと共にあります」と声明で述べました。

なお、アポロ11号の船長だったニール・アームストロング氏は、2012年にこの世を去っています。

(Source:NASAEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:宇宙
タグ:アポロ11号(用語)NASA(組織)マイケル・コリンズ

スペースXが再利用Dragon宇宙船で初めてISSにドッキング、宇宙飛行士11人揃う

スペースXが再利用Dragon宇宙船で初めてISSにドッキング、宇宙飛行士11人揃う

NASA

4月24日、日本人飛行士の星出彰彦氏ほから4人を乗せたSpaceX Crew Dragonが、再利用された宇宙船として初めての国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキングに成功しました。このCrew-2ミッションは、再利用されたFalcon 9ロケットによる初の有人ミッションでもあります。

また、ISSで星出飛行士を迎えた野口聡一らが乗り込んで打ち上げられたときにCrew Dragonに登場したのはNASAと宇宙航空研究開発機構(JAXA)の飛行士でしたが,今回はそれに欧州宇宙機関(ESA)の飛行士も加えた3機関の飛行士が同時にCrew Dragonに搭乗した初のミッションであり、初物づくしのミッションになっています。

なお日米欧の宇宙機関の飛行士が同時にSpaceXの宇宙船でミッションを行うのもこれが初めて。NASAにとっても20年ぶりのことです。さらに言えば、日本の飛行士が2名同時にISSに滞在するのは、2010年の野口飛行士と山崎直子飛行士以来の出来事です。

今回のドッキングでISSに搭乗した4人を加えて、現在ISSには11人の飛行士が滞在していることになります。これもまた、スペースシャトルが現役だったころ以来の人口密度。ただし、Crew-1ミッションでこれまでISSに滞在していた野口飛行士ら4人は、約6か月の滞在を終えて28日に地球へ帰還の途に就く予定。ISSは星出飛行士が船長に就任します。

スペースXが再利用Dragon宇宙船で初めてISSにドッキング、宇宙飛行士11人揃う

NASA TV

再利用宇宙船によるISSへの人員輸送成功は、民間企業による宇宙飛行がさらに一般的になってきたことを示すものです。SpaceXは、2022年1月には民間だけでの宇宙飛行ミッションAX-1を計画しており、さらISSへの人員輸送も、すでに2023年までの予定が組まれているとのことです。

ちなみに、JAXAのリリースによると星出飛行士のISS滞在中の任務としては「次世代水再生システム構築に向けた技術実証、筋萎縮予防に貢献可能なバイオ素材の有効性検証や細胞内の重力感知メカニズムに関する宇宙実験、船内ドローンロボットを使ったプログラミング競技会」などが予定されています。

(Source:NASAJAXASpaceXEngadget日本版より転載)

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タグ:Crew Dragon(製品・サービス)JAXA(組織)SpaceX / スペースX(企業)NASA(組織)Falcon 9(製品・サービス)

起業家がNASAと提携してパンクしない形状記憶合金のタイヤ商業化に注力中

今回はThe SMART Tire Companyの共同ファウンダー、 CEOのアール・コール(Earl Cole)氏のインタビューを紹介しよう。コール氏は以前リアリティTV番組Survivorで100万ドルの賞金を獲得したことで知られているが起業家に転じてNASAが開発した金属タイヤの商業化を目指している

NASAが開催したスタートアップ・コンペで同氏はパートナーに選定された。このプロジェクトは起業家とNASAの科学者、エンジニアと協力し、 宇宙プロジェクトを実施する過程で得たイノベーションやノウハウを地球上で民生品して活かそうとするもので、人々の生活を向上せると同時に維持可能な新たなビジネスを生み出すのも狙いだった。

この提携が生み出したのがThe SMART Tire Companyというスタートアップだ。NASAは宇宙探査機用の耐久性がきわめて高くパンクしない画期的なタイヤを開発した。これは弾性があってさまざまな形状を取れるがある条件で元の形に戻るSMA(形状記憶合金)の特性をタイヤに活用したものだ。このタイヤは膨張のために空気注入の必要がなく、岩だらけの火星の表面を長期間にわたって走破できるという。

コール氏のスタートアップはこのテクノロジーを利用して世界で1000億ドルといわれるタイヤ・ビジネスに参入しようとしている。まず手掛けているのが自転車のタイヤだが、将来はもっと大きい車両のタイヤにも事業を拡張していくとしている。

TechCrunchのインタビューでコール氏は「NASAとの提携は非常に時間がかかるプロセスでひとつの署名をもらうだけで3週間もかかった」と述べた。大組織に特有のそうした問題はあっても最先端技術にアクセスなどにアクセスできることのメリットきわめて大きかったという。コール氏は数十年にわたる経験から「他の人と違った見方をする」ことが起業家精神のなかでがなにより重要だと述べた。一方、伝統的なベンチャーキャピタルから資金調達するためにはいくつもハードルがあった。「すべての金が好ましい金ではない」という。「伝統的なベンチャーキャピタルは収益性を最優先するためにスタートアップの長期的ビジョンを歪めてしまうことがある。それが自分のスタートアップの資金を調達を新たに登場したエクイティ・クラウド・ソーシングで行った理由だ。これならスタートアップの目的に共感した人々なら誰でも少額から投資できる」という。コール氏は、リアリティーショーのSurvivorで優勝した(しかも審査員満場一致の優勝は初めてだった)ことがファウンダーとしてのみならず、会社経営やリーダーシップの面でもさまざまな要な教訓を与えてくれたと述べた。

 

このインタビューの全文は起業家をテーマにしたポッドキャストFoundで聞くことができる。もちろんApple、Spotify、Googleのポッドキャスト・アプリからも聞ける。

画像:The SMART Tire Company

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(文: 翻訳:滑川海彦@Facebook

スペースXが再利用Dragon宇宙船での宇宙飛行士の打ち上げに初成功

SpaceX(スペースX)は米国時間4月23日の金曜日朝、Crew Dragon宇宙船の打ち上げと軌道投入を予定通り実施し、またしても有人宇宙飛行を成功させた。Crew DragonはFalcon 9ロケットに搭載され、米フロリダ州ケープカナベラルから東部時間4月23日午前5時49分(日本時間4月23日午後18時49分)に離陸した。搭乗したのはNASAのMegan McArthur(メーガン・マッカーサー)飛行士、Shane Kimbrough(シェーン・キンブロー)飛行士をはじめ、JAXAの星出彰彦、ESAのThomas Pesquet(トーマス・ペスケ)氏ら4名の宇宙飛行士である。

これはスペースXにとって、2020年のCrew-1に続く2回目のNASA向けの正式な宇宙飛行士輸送ミッションだ。Crew-1とは異なりCrew-2では、Crew-1の打ち上げ時に使用された第1段ブースターや、ペースXが初めて有人宇宙飛行を行った際に使用されたCrew Dragonカプセルなど、宇宙船システムのうちの2つの再使用部品が使用された。Crew DragonカプセルはNASA向けの宇宙船認証プログラムの最終デモンストレーションミッションで、Bob Behnken(ボブ・ベンケン飛行士、このミッションのパイロットであるマッカーサー飛行士はベンケン飛行士の妻)とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)飛行士をISSに送り込んだ。同社は再使用部品を使用することは新品部品を使用するよりも間違いなく安全であると指摘しており、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOは4月22日の夜に行われたXPRIZEのPeter Diamandis(ピーター・ディアマンディス)氏との会話の中で「工場から出てきた宇宙船の初飛行」には参加したくないと述べている。

Crew Dragonは目標とする軌道に到達し、これから24時間弱かけて国際宇宙ステーション(ISS)とのランデブーを実施する。そして翌日の早朝には、スペースXのもう1機のCrew Dragonが2021年4月初めにISSの別のポートに移動した際に空けられたばかりのドッキングポートに取り付けられる予定だ。

今回の打ち上げにはブースターの回収も含まれており、スペースXのドローン着陸パッドを使って海上に着陸した。このブースターはすでに2組の宇宙飛行士を搭乗させており、改修後にさらに別の宇宙飛行士を乗せることができる。

スペースXとNASAとのCommercial Crewプログラムは、NASAが研究や宇宙開発ミッションのためにより多くの民間企業と提携する動きの中でも、重要な成功例であり続けている。アポロ計画以来初めて月に人間を帰還させるアルテミス計画の有人着陸システムの開発に、NASAはスペースXを起用した。同社の有人宇宙飛行計画にとって次の大きなマイルストーンは、現在秋に予定されている民間人のみで構成されたミッションの初飛行だ。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

NASAが初めて火星の大気からの酸素生成に成功、将来の有人探査に向けた実証実験

NASAが初めて火星の大気からの酸素生成に成功、将来の有人探査に向けた実証実験

NASA/JPL-Caltech

2月18日に赤い大地に降り立ってから60日が経過した最新の探査ローバーPerseveranseが、火星の大気から酸素を生成することに成功したと、NASAが発表しました。

酸素を生成するのは、トースターほどの大きさであるMOXIE(Mars Oxygen In-Situ Resource Utilization Experiment)と称する機器。96%がCO2という火星大気を酸素と一酸化炭素に分離します。

将来的にこれを改良した装置が、火星にやってきた飛行士が現地で酸素を手に入れる手段を提供するために重要な役割を果たすことになるかもしれません。

「これは火星の二酸化炭素を酸素に変換するための重要な第一歩です。MOXIEにはまだ課題がありますが、今回の技術実証の結果には、人類が火星に降り立つという将来の目標に向け、大きな期待が寄せられます。酸素はわれわれが呼吸するためだけのものではなく、ロケット推進用燃料の燃焼にも必要です。将来の探査機は火星で生成した酸素を使用して地球へ帰還することになるでしょう」とNASA宇宙技術ミッション局の副局長ジム・ロイター氏は述べています。

NASAによると、ロケット推進のためには推進剤に対して重量比で5倍の酸素が必要になります。一方で、飛行士が火星で生活するだけならそれほどまでに大量の酸素は必要ではなく、年間1トンほどで済むとのこと。

ただし、CO2から酸素を取り出すには約800℃という高い温度が必要となります。そのためMOXIEは非常に高度な耐熱構造になっています。

MOXIEは1時間に最大10gの酸素を生成可能で、これは飛行士が20分程度呼吸できる量とのこと。Perseveranseは火星における1年(地球の時間では約2年)の間に、少なくともあと9回は酸素生成を実施する予定です。

NASAはMOXIEの技術によって火星の大気からロケットの推進剤や飛行士の呼吸用酸素を作るだけでなく、できあがった酸素と水素を反応させて水に変換することもできるとしています。

なお、NASAは今週、火星での初の航空機(回転翼機)であるIngenuityの飛行に成功しています。IngenuityもMOXIEもいまは概念実証的な段階ですが、いずれもいつか飛行士が火星を歩くときには必要な技術です。

(Source:NASAEngadget日本版より転載)

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SpaceXがFalcon 9による第2クルー打ち上げをライブ中継

SpaceX(スペースX)は、国際宇宙ステーションへの2回目の商用有人飛行を、太平洋夏時間4月23日午前2:49(日本時間4月23日午後18時49分)に発射する予定だ。このフライトではNASAから2名、JAXA(宇宙航空研究開発機構)から1名、ESA(欧州宇宙機関)から1名の計4名の宇宙飛行士がISSに向かい、科学実験の実施や軌道プラットフォームの維持・改良などの定期的なミッションを行う。

2020年に、Dragon宇宙船とFalcon 9ロケットの有人飛行を正式に認めたSpaceXにとって、今回のミッションは2回目の商用有人飛行となる。NASAは同年11月、SpaceXの有人飛行認定を受けた打ち上げシステムを使用して4人の宇宙飛行士を打ち上げ、2011年にスペースシャトルが退役して以来、米国の宇宙船として、そして民間企業として初めてISSに人を送り届けた。スペースシャトル退役後、NASAはロシアのソユーズロケットを利用していた。

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宇宙ステーションには、2020年に打ち上げられたCrew-1に搭載されたSpaceXのCrew Dragonがすでにあり、Crew-2に搭載されるCrew Dragonの到着に備えて、2021年4月初めにステーションの別ポートに移動されている。Crew-1 Dragonは、2021年4月28日に今回のフライトでクルーが交代した後、その宇宙飛行士を乗せて地球に帰還する予定だ。

今回の打ち上げで注目すべき変化の1つは、飛行実証済みのFalcon 9ロケットブースターの使用だ。SpaceXはこれまで、有人飛行の際には工場から出荷されたばかりの新しいブースターを使用してきたが、貨物飛行でのブースター再利用に関して申し分のない実績がある。これはCrew Dragon初の再利用でもある。この打ち上げシステムのどちらのコンポーネントも以前は人間の打ち上げをサポートしており、第1ステージはCrew-1の間に提供され、Dragonは宇宙飛行士のBob Behnken(ボブ・ベンケン)氏とDoug Hurleyn(ダグラス・ハーリー)氏を飛行させたDemo-2のためにされている。

本日の打ち上げに参加する宇宙飛行士は、NASAのShane Kimbrough(ロバート・キンブロー)氏、Megan McArthur(メーガン・マッカーサー)氏、JAXAの星出彰彦氏、ESAのThomas Pesquet(トマ・ペスケ)氏だ。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Katsuyuki Yasui)

NASAが火星でのヘリコプター初飛行に成功、歴史にその名を刻む

米航空宇宙局(NASA)は火星で初めて動力により航空機を飛行させるという、地球外探査計画における重要な節目を迎えた。この飛行ミッションは米国時間4月19日早朝に行われ、NASAはIngenuityヘリコプターが火星で飛行したことを確認するテレメトリーを、Perseverance探査機の中継により受信した。火星の大気が非常に薄いため、Ingenuityのように大気を利用して揚力を得ることができるローター駆動の機体を作ることは非常に難しい挑戦であることを考えると、これは大きな成果だといえる。

今回のIngenuityの初飛行は自律的な遠隔飛行で、地球上のクルーが適切なタイミングでコマンドを送り、火星の「空気」の中を40秒かけて移動するというものだった。これは短い飛行のように思えるが、飛行中にヘリコプターが収集したデータには計り知れない価値がある。IngenuityにはローバーのPerseveranceよりもはるかに高性能なプロセッサーが搭載されている。そして飛行テスト中に生成された膨大なデータを収集してローバーに送信し、ローバーがその情報を地球に送信した。

画像クレジット:NASA/JPL

前述したように、これは火星における初めての動力飛行であり、どのように飛行するかを予測するために多くのモデリングやシミュレーション作業が行われてきたが、実際のテストの前には何が起こるのか誰にもわからなかった。例えば火星の大気は薄いため、地上のヘリコプターのローターが毎分400〜500回転であるのに対し、Ingenuityは毎分2500回転という超高速でローターを回転させなければならないなど、技術的な課題が山積していた。

火星でヘリコプターを飛ばすことに、どんな意味があるのだろうか。いくつかの重要な応用の可能性として、まず第1に将来の探査ミッションの準備として、火星での将来の科学探査のためにNASAが航空機を利用できるようにすることだ。例えば航空機なら、ローバーが到達できない洞窟や山頂などを探索できる。最終的にNASAは、将来の火星有人探査において航空機が利用できるかどうかも確認したいと考えている。いずれ火星に到着したときに地上の乗り物だけでなく航空機が利用できれば、火星の探査チームには大きなメリットとなる。

今後、NASAは今回のフライトから得られたデータを解析し、ヘリコプターの上昇、ホバリング中、そして着陸時の写真や動画をより多く取得する予定だ。今回の飛行によりIngenuityが意図したとおりに飛行できることがわかったため、NASAは残りの電力やその他のパラメータにもとづいて追加の飛行テストを計画する予定だ。

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タグ:NASA火星ヘリコプター

画像クレジット:NASA

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

NASAがアポロ計画以来となる有人月面着陸システムの開発にSpaceXを指名

NASAの有人着陸システム(HLS)を受注する企業が、SpaceX(スペースエックス)に決定した。同社は、アポロ計画以来初めてNASAの宇宙飛行士が月面に降り立つ手段を開発する権利を、29億ドル(約3156億円)で落札した。SpaceXはBlue Origin(ブルーオリジン)や Dynetics(ダイネティックス)と並んで入札に参加していたが、The Washington Post(ワシントンポスト)によると、これらのサプライヤー候補を大幅に下回る価格で落札したという。

SpaceXは、現在開発中の宇宙船「Starship(スターシップ)」を、宇宙飛行士が月に到着した後の着陸手段として使用することを提案した。HLSは、NASAのArtemis(アルテミス)計画で重要な部分だ。このミッションは無人飛行から始まり、有人での月面接近を経て、最終的には2024年を目標に、月の南極に宇宙飛行士が着陸することを目指している。

NASAは2020年4月、HLSの入札に参加するベンダーとして、SpaceX、Blue Origin、Dyneticsの3社を承認したと発表。それ以来、Blue Origin(とそのパートナー企業であるLockheed Martin[ロッキード・マーチン]、Northrop Grumman[ノースロップ・グラマン]、Draper[ドレイパー]による「ナショナル・チーム」)とDyneticsは、各々のシステムの実物大モデルを製作し、機能的仕様の計画を詳細に記した提案書をNASAに提出して検討を受けていた。一方、SpaceXはテキサス州でStarship宇宙船の機能的なプロトタイプを積極的にテストしており、準備が整えば月に向けてStarshipを推進させるための「Super Heavy(スーパーヘビー)」ブースターの開発も進めている。

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この計画では、NASAは3社すべてを選んで契約の初期要件を満たす最初のバージョンを製造させ、最終的には、月面に到達する手段に柔軟性を持たせるために、3社の中から2社を選んで有人着陸機を製造させると一般的に考えられていた。これは基本的に、NASAが国際宇宙ステーションに向けてCommercial Crew Program(商用有人宇宙船計画)を実施した際に、SpaceXとBoeing(ボーイング)の2社に宇宙飛行士輸送用の宇宙船の製造を発注したのと同じやり方だ。SpaceXはすでに資格を取得して宇宙船の運用を開始しており、ボーイングは2021年の終わりか来年の初めには、SpaceXと並ぶ選択肢として稼働できるようにとたいと考えている。

SpaceXは信頼性が高くて再利用可能な有人宇宙船「Crew Dragon(クルー・ドラゴン)」で商用人員輸送を実現し、NASAから多くの信頼を得ている。魅力的な価格設定に加えて、NASAは人間だけでなく、大量の物資や材料を月へ、そして最終的には月より遠い場所にも飛ばせることを目指しているため、SpaceXの柔軟性と貨物容量に惹かれたと、ワシントンポストは書いている。

しかし、現時点において、SpaceXのStarshipはその目標からまだほど遠いところにある。SpaceXはラピッドプロトタイピングという手法を用いて、新たなテストを繰り返すことで迅速に開発を進めてきたが、直近のStarshipによる高高度飛行は、着陸前に爆発するという不運な結果に終わった。しかし、これまでのテストでは、空中で向きを変え、着陸に向けて減速を行うなど、他の要素では成功を収めている。とはいえ、これまでのテストでは地球の大気圏外に出たことはなく、有人飛行テストも行われていないため、ミッションに対応するためにはさらなる開発が必要だ。

SpaceXは、Lunar Gateway(月周回有人拠点)建設のための資材を搬送するロケット会社としても選ばれており、2024年に予定されている打ち上げに向けて、実際にPPE(Power and Propulsion Element、電力・推進モジュール)とHLO(Habitation and Logistics Outpost、居住・物流前哨基地モジュール)を製造するMaxar(マクサー)と協力している。だが、これらのモジュールは、すでに何度も打ち上げに成功している「Falcon Heavy(ファルコン・ヘビー)」で搬送される予定だ。

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タグ:NASASpaceXアルテミス計画Starship

画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

月へNASAの水探索車を届けるためにスペースXがFalcon Heavyロケットの打ち上げを2023年に予定

SpaceX(スペースX)は、2023年に大型の(そしてあまり使われていない方の)ロケット「Falcon Heavy(ファルコン・ヘビー)」を使用して、月にペイロードを送り込むことを予定している。このミッションでは、宇宙ベンチャー企業のAstrobotic(アストロボティック)が製造した月面着陸船を打ち上げることになっており、それにはNASAのVIPER(Volatiles Investigating Polar Exploration Rover、揮発性物質調査極地探索車。この機関は、楽しい頭字語を付けるために言葉に無理させることを好む)が搭載される。

打ち上げは現在のところ2023年後半に予定されており、計画どおりに進めばFalcon Heavyにとって初の月ミッションとなる。しかし、それがSpaceXにとって初の月旅行になるというわけではない。同社はMasten Space Systems(マステン・スペース・システムズ)とIntuitive Machines(インテュイティブ・マシンズ)の委託を受けて、早ければ2022年に月面着陸機を打ち上げるミッションを予定しているからだ。これらのミッションでは、少なくとも現在の計画仕様のとおりであれば、どちらも「Falcon 9(ファルコン・ナイン)」ロケットが使用される。また、上記のスケジュールは今のところ、すべて書類上のものであり、宇宙ビジネスでは遅延やスケジュールの変更も珍しくはない。

しかし、このミッションは関係者にとって重要なものであるため、優先的に実行される可能性が高い。NASAにとっては、人類を再び月に送り込み、最終的には軌道上と地表の両方でより永続的な科学的プレゼンスの確立を目指す「Artemis(アルテミス)」プログラムの長期的な目標において、重要なミッションとなる。月面にステーションを設置するためには、その場にある資源を利用しなければならないが、中でも水は非常に重要な資源だ(VIPERは月の南極で氷結水を探索する)。

画像クレジット:Astrobotic

Astroboticは2020年、NASAから委託を受けてVIPERを月に届ける契約を獲得した。このミッションには、月の南極にペイロードを着陸させることが含まれているが、月の南極は有人宇宙飛行士が参加するNASAのArtemisミッションで目標着陸地点となる予定だ。Astroboticがこのミッションに投入する着陸船は「Peregrine(ペレグリン)」型よりも大型の「Griffin(グリフィン)」型で、VIPERを搭載するためのスペースが確保されている。そのため、SpaceXのロケットの中でも大型のFalcon Heavyを使用する必要があるというわけだ。

2024年までに宇宙飛行士を再び月に送り込むというNASAの野心的な目標は、新政権がスケジュールや予算を見直す中で流動的になっているものの、その達成のためには官民パートナーシップを活用して道を切り開くことが依然として約束されているようだ。このGriffinを使う最初のミッションは、先に予定されているPeregrineの着陸とともに、NASAの商業月面輸送サービス(CLPS)プログラムの一環である。このCLPSでは、NASAを1つの顧客として、月面着陸機を製造・提供する民間企業を求めている。

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タグ:NASASpaceXFalcon Heavyロケットアルテミス計画Astrobotic Technology

画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

NASAが自律型軌道離脱システムや金星でも使えるバッテリーの研究に補助金

NASA(米航空宇宙局)のSBIRプログラム(中小企業技術革新研究プログラム)は定期的に将来有望な中小企業や研究プログラムに補助金を出している。そしてその補助金が交付されたリストを調べるのは常に興味深い。今回のリストから、特に説得力のあるもの、あるいは宇宙業界のミッションと産業にとって新たな方向を示している1ダースほどの企業と提案を紹介しよう。

残念なことに、現在提供できるのは下記のような短い説明だけだ。補助金対象となった企業や提案は往々にしていくつかの方程式やナプキンの裏に描いた図の他に提示するものがないほど初期段階にある。しかしNASAは目にすると将来有望な取り組みがわかる(SBIR補助金の申し込み方法についてはこちらに案内がある)。

自律型軌道離脱システム

Martian Sky TechnologiesはDecluttering of Earth Orbit to Repurpose for Bespoke Innovative Technologies(DEORBIT)で補助金を獲得している。これは低軌道のための自律的クラッター除去システム構築する取り組みだ。ある決まった量をモニターしながら侵入してきたものを除去し、建設や他のクラフトの占有のためにエリアを開けておくためのものだ。

画像クレジット:Getty Images

超音波の積層造形

3Dプリント、溶接、そして「軌道上サービス、組み立て、製造(OSAM)の新興分野にとって重要なものについて、さまざまなかたちの提案が数多くある。筆者が興味深いと思ったものの1つは、超音波を使っていた。筆者にはそれが奇妙に思えた。というのも明らかに宇宙では超音波が作用するための大気がないからだ(彼らもそれを考えたと想像する)。しかしこの種の反直感的なアプローチは真に新たなアプローチにつながり得る。

ロボットが互いを見守る

OSAMにはおそらく複数のロボットプラットフォームの調整が含まれ、それは地上においても十分難しいものだ。TRAClabsは有用な他のロボットの視点を提供できるところでなくても自律的にロボットを動かすことで「知覚フィードバックを高め、オペレーターの認知負荷を減らす」ための方法に取り組んでいる。シンプルなアイデアで、人間が行う傾向にある方法に適する。もしあなたが実際のタスクを行う人でなければ、あなたは邪魔にならないよう何が起きているかを目にするのに最適の場所に自動的に移動する。

3Dプリントされたホール効果スラスター

ホール効果スラスターは、特定のタイプの宇宙での操作でかなり有用となり得る電気推進の高効率なフォームだ。しかしそれらは特にパワフルではなく、既存の製造テクニックで大きなものを作るのは難しいようだ。Elementum 3Dは新たな積層造形テクニックと、好きなだけ大きなものを作ることを可能にするコバルト鉄の原料を開発することでそれを達成しようとしている。

金星でも使えるバッテリー

金星は魅力的なところだ。しかしその表面は地球で作られた機械にとっては極めて敵対的だ。鍛えられたPerseveranceのような火星ローバーですら数分でダメになり、華氏800度(摂氏426度)では数秒しかもたない。ダメになる数多くの理由のうち1つは機械で使われるバッテリーがオーバーヒートを起こし、おそらく爆発するということだ。TalosTechとデラウェア大学は大気中二酸化炭素を反応材として使うことで高温でも作動する珍しいタイプのバッテリーを手がけている。

ニューロモーフィック低SWaP無線

あなたが宇宙に行くときは重量と体積が重要で、宇宙に行ってからは電力が重要となる。だからこそ、既存のシステムをコンパクトで軽量、電力(低SWaP)代替のものに切り替える動きが常にある。Intellisenseは着信信号を並べ替えて管理するという部分を簡素化・縮小するためにニューロモーフィック(たとえば空想科学的な方法ではなく頭脳のような)コンピューティングを使って無線に取り組んでいる。1グラムでも軽くすることは宇宙船の設計者がどこでも取り組めることであり、パフォーマンスの向上を図れるところでもある。

LiDARで宇宙を安全なものに

AstroboticはNASAの今後数年の惑星間ミッションにおいて頻繁に目にする社名となりつつある。同社の研究部門は、宇宙船とローバーのような車両をLiDARを使ってより賢く安全なものにすべく取り組んでいる。同社の提案の1つが、評価と修理の目的でスパースシーン(例えば広大な宇宙に対して1つの衛星を他の衛星からスキャンするなど)の1つの小さな物体の画像にピンポイントでフォーカスするLiDARシステムだ。もう1つの提案には、惑星の表面上の障害物を特定するのにLiDARと従来の画像手法の両方に適用する深層学習テクニックが含まれる。これに従事しているチームは現在、2023年の月面着陸を目指しているVIPERウォーターハンティングローバーにも取り組んでいる。

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宇宙ファームのモニタリング

Bloomfieldは農業の自動モニタリングを行っているが、軌道上あるいは火星の表面での植物栽培は地上で行うものとやや異なる。同社は、微小重力といった特殊な状況で植物がどのように成長するのかを観察してきた小さな実験ファームのようなControlled Environment Agriculture(環境抑制農業)の拡大を願っている。植物の状態を絶えずモニターするのにマルチスペクトル画像と深層学習分析を使う計画で、宇宙飛行士は毎日ノートに「葉25が大きくなった」などと記録する必要はない。

レゴリスブロック

アルテミス計画(NASAの有人月探査)は月に「滞在する」ために行くというものだが、どうやって滞在するかはまだはっきりとわかっていない。研究者らは必要なものすべてを月に持ち込むことなしにロケットに燃料を補給して打ち上げる方法、そして月面ロケット打ち上げパッドを文字通りブロック1つ1つで建設するExploration Architectureを研究している。この研究は月の粉塵あるいはレゴリス(堆積物)を溶かし、必要なところに置けるよう焼いてブロックにする統合システムを提案している。これを実行するか、地球のブロックを持ち込むかになるが、後者の方はいい選択肢ではない。

その他いくつかの企業や研究機関もレゴリス関連の建設とハンドリングを提案した。これはいくつかあるテーマの1つで、テーマの一部は追求するにはあまりにも小さいものだ。

他にはエウロパ(木製の第2衛星)のような氷の世界を探検するためのテクノロジーというテーマもあった。金星のほぼ逆の氷の惑星は多くの点で「通常の」ローバーにとって致命的で、パワー、センシング、横断のためのアプローチで必要とされる条件が異なる。

NASAは新たなトレンドにオープンで、衛星や宇宙船においてもそうだ。こうした新たな技術の一群の管理は多くの作業を伴い、もしそうした新技術が1つの分散型マシンとして機能するとしたら(これは一般的な考えだ)、しっかりとしたコンピューティングアーキテクチャの支えが必要となる。多くの企業がこれを達成しようと取り組んでいる。

NASAの最新SBIR補助金リストの残り、そしてテクノロジートランスファープログラムのセレクションもこちらの専用サイトで閲覧できる。もし政府の補助金獲得に興味があるのなら、こちらの記事も読んで欲しい。

カテゴリー:宇宙
タグ:NASA補助金金星火星アルテミス計画バッテリーLiDAR

画像クレジット:Space Perspective

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

NASAが火星で初となるヘリコプターの飛行を4月8日に計画

エキサイティングな火星探査車「Perseverance(パーセベランス)」のミッションで、我々地球人が最も楽しみにしているイベントの1つは「Ingenuity(インジェニュイティ)」と呼ばれるヘリコプターの初飛行だろう。何度もチェックを重ねた後、Perseveranceチームは地球以外の惑星で初めて制御された動力飛行に挑戦する日付を4月8日に設定した。

関連記事:パーセベランスが火星着陸に成功、最初の火星表面画像を送信

すべてが順調に進めば、約2週間後にIngenuityは、火星の地上から約3メートルの高さで、初のホバリング飛行を行う。しかし、それまでの間にはさまざまな準備が必要だ。

まず、チームはPerseveranceの着陸地点の近くに「飛行場」となる10メートル四方の平らな空間を特定しなければならない。完了したら、火星探査車はその中心部に向かい、位置を確認することになる。

次にヘリコプターが探査車の腹部から切り離される。ヘリコプターは探査車にボルトやケーブルで固定されている。これは混沌とした着陸プロセスの間、ヘリコプターを安全に保つためのものだが、一度外したら元には戻せない。だからチームは、その場所が100%間違いなく、条件が整っていることを確認しなければならない。この作業には約5日かかる。

IngenuityがPerseveranceから切り離され、飛行可能な位置まで回転すると、Ingenuityは地表からわずか5インチ(約12.7センチメートル)の高さにぶら下がり、わずかに残された探査車との接続を利用してバッテリーを充電する。そしてIngenuityを着陸させた後、Perseveranceはすぐに走り去る。

「6年前にこの旅が始まって以来、私たちが歩んできた一歩一歩は、航空機の歴史において未知の領域でした」と、JPL(ジェット推進研究所)でプロジェクトのチーフエンジニアを務めるBob Balaram(ボブ・バララム)氏は、NASAのニュースリリースで語っている。「地表に展開することも大きな挑戦ですが、火星での最初の夜を、探査車による保護と電力供給なしに単独で乗り切ることは、さらに大きな挑戦となります。Perseveranceとの接続を切り離し、地表に向けて最後の5インチを落としたら、大きな友人にできるだけ早く走り去ってもらい、太陽の光をソーラーパネルに当てて、バッテリーの充電を開始するつもりです」。

ヘリコプターは切り離された後、火星で30日間(火星太陽日)は作動に十分な電力が得られることは確認されているが、それ以上は確実ではない。

これから数日間は、Ingenuityのシステムのテストと、ローターを2537rpmまで回転させるテストが行われる。火星の大気は地球と比べるとほんのわずかしかないため、飛行は多くの意味でかなり困難だ。だからこそ、挑戦はとても楽しみにものになる。

すべてのテストとチェックがOKであれば、早ければ4月8日にIngenuityは離陸を試みて、3メートルの高さまで上昇し、30秒間留まることになる。それから数時間後に、チームは飛行が成功したかどうかを知ることができる。そして多分、Ingenuityに搭載されたカメラから白黒の画像が得られるだろう。カラー画像が取得できるのは、それからさらに数日後になる。

チームは今回の初飛行に基づいて次に行うことを査定し、数週間後にはさらなる(より遠くへの)飛行が行われるかもしれない。データが戻れば、もっと詳しいことがわかるだろう。

Ingenuityの機体には、ライト兄弟が初飛行に成功した飛行機「Flyer(フライヤー)」の翼に使われていた端布が積まれている。地球で初めて飛行した機械が、他の惑星における最初の飛行にも、わずかながら参加することになるのだ。

カテゴリー:宇宙
タグ:NASA火星ヘリコプター

画像クレジット:NASA / JPL

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

NASAの火星を飛ぶヘリコプター「インジェニュイティー」はクアルコム「Snapdragon 801」搭載

NASAの火星を飛ぶヘリコプター「インジェニュイティー」はクアルコム「Snapdragon 801」搭載

NASA/JPL-Caltech

日本時間2月19日朝に火星へ着陸したNASAの火星探査車「パーセペランス」。同探査車は史上初めて地球以外の惑星を飛行するヘリコプター「インジュニュイティ」を搭載しています。

同ヘリコプターについてクアルコムは、主にスマートフォンに使われる同社製のSnapdragonプロセッサーを内蔵した「Qualcomm Flight Platform」を搭載していると明らかにしました。

この「Qualcomm Flight Platform」は自律飛行を念頭に開発されたドローン用の基板で、Xperia Z3など2014年の上位スマートフォンに広く採用されたSoCの「Snapdragon 801」プロセッサーを搭載。このほか、4K動画撮影やナビゲーション、飛行支援といったドローン向けの各種機能を、小型で耐久性の高いパッケージにまとめています。

発表によると、地球と火星間は、それぞれの公転軌道上の位置に応じて電波でも片道3〜22分かかることから、地球からヘリコプターをリアルタイムで遠隔操縦することは困難で、自律的に飛行する能力が求められます。また、極寒となる火星の夜から機器を保護すべく、ヘリコプターの電力の多くは保温ヒーターに配分されるため、消費電力の低さも重要となります。加えて、火星の強い放射線や変動の大きい大気にも耐える必要があります。

こうした条件を満たすため、NASAジェット推進研究所が検討した結果、クアルコムの「Qualcomm Flight Platform」が火星での飛行に必要な条件を満たすと判断されたとしています。

また、ヘリコプターだけでなく、母艦となる火星探査車の通信システムも「Qualcomm Flight Platform」を採用しており、探査車とヘリコプターが撮影した画像や映像を地球に送信します。

クアルコムの半導体はスマートフォンやオーディオ・PC・IoT・モビリティなどさまざまな領域に進出していますが、今回宇宙にも活躍の舞台が広がった格好です。

(Source:クアルコムEngadget日本版より転載)

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NASAとSpaceXがStarlink衝突予防のため高度な情報共有契約を締結

NASAは、誰でも自由に、何でもかんでも宇宙に打ち上げて良いとは認めていない。国際宇宙ステーション(ISS)を含む地球軌道上の同局のアセットへの影響を確認する必要があるからだ。NASAには、いわゆるConjunction Assessment(接近評価)を中心とした一連の標準規則がある。これは基本的に、宇宙に存在する物同士が接近し、衝突の危険性が生じるか否かを判断するためのものだ。ご推察のとおり、何がいつどこを飛ぶかを審査する。

米国時間3月19日、NASAは、SpaceX(スペースエックス)との間で、通常の接近評価の内容を超える新たな契約を発表した。NASAがその使命を果たすために、どのような企業とも協働できることを認めるSpace Act Agrement(航空宇宙契約)の委託下に位置するこの高度な合意は「非弁済」とされている。つまり、契約者双方が利益を得られるため、金銭的取引は生じない。

SpaceXは、Starlink(スターリンク)という現在、最も大量の人工衛星によるコンステレーションを運用しており、その数は急速に増え続けている。またStarlinkの各衛星にはミッションの内容に応じて自律的に移動できる能力がある。そのためNASAとSpaceXは、接近を避けるために緊密な協力関係を継続する必要がある。この契約は、事実上そう物語っている。

したがって、NASAとSpaceXとの間で交わされるコミュニケーションと情報共有の方法を規定したこの合意は、これまで通常考えられていたものよりも踏み込んだ内容になっている。NASAは、計画中のミッションに関する詳細情報を事前にSpaceXに伝えなければならない。NASAのアセットがSpaceXのコンステレーションの近くを通過する可能性のある場合、SpaceXはその情報を元にStarlink衛星の自動衝突防止機能を適切にプログラムする。またNASAは、その評価能力や事故防止対策の改善でSpaceXと直接協力し合うことができる。さらに「放射輝度」、つまりStarlink衛星の反射光をより効率的に抑えるための技術的支援をNASAが提供することもできる。

一方SpaceXは、Starlink衛星が「回避行動」を取り「NASAのあらゆるアセットとの距離を保ち衝突を防止する」ように責任を持つ。SpaceXはまた、Starlink衛星が衝突防止行動を取れない間の「準備期間」の予定を提出する必要がある。これはおもに打ち上げ直後から、目標軌道に到達して稼働を開始するまでの間に多く発生する時間帯だ。

もう1つ、この合意で重要な点は、SpaceXがStarlinkを打ち上げるときは、ISSの軌道の最低高度と最高高度からそれぞれ少なくとも5kmの高度の差をつけて地球を周回するよう計画しなければならないというものがある。さらにSpaceXは、衛星の反射光を減衰させる技術の効果に関する評価結果を共有することが求められる。この問題に関するガイドラインを、NASAが調整できるようにするためだ。

合意の全内容は下記の通りだが、最も注目すべきは、SpaceXのコンステレーション衛星の数が1200基を超え、2021年中に1500基以上にまで増えることを受けて、NASAは同社を地球低軌道の良きパートナーであり住民になって欲しいという望みが明らかに見て取れる点だ。またNASAは、SpaceXに多大な信頼を寄せると同時に、その手に大きな責任を持たせたいとも考えている。そもそもNASAは、Starlinkに搭載された自律的能力が、実際に起こり得るどのような危険も回避できると述べている。NASAはこの文書を、他のコンステレーション運営企業にも転用できるように構成している。

NASA-SpaceX Starlink Agreem… by TechCrunch

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画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:金井哲夫)

「サバイバー」優勝者のスタートアップがNASA探査ローバーと同じ技術の自転車用エアレスタイヤを発表

NASA(米航空宇宙局)は日々、宇宙開発への投資の多くが地球上の生活を向上させることにつながると人々に伝えようとしているが、昨今、スタートアップを通じてそのPRの一部を加速させる事業に取り組んでいる。2020年に設立されたスタートアップ企業であるSMARTは、宇宙法協(Space Act Agreement、SAA)を通じてNASAとパートナーシップを結んでおり、イノベーションの一部を商業化することを目的としたNASAの正式なスタートアッププログラムに参加している。この若い企業は米国時間3月16日、最初の製品を公開した。NASAの技術者が将来の月・火星探査機の耐久性を向上させるために開発した技術をベースにした、自転車用のエアレスタイヤである。

SMART社のMETLタイヤは、NASAのグレンリサーチセンター(John H. Glenn Research Center、GRC)との共同開発による最初の成果だ。グレンリサーチセンターでは、NASAのエンジニアであるSanto Padula(サント・パドゥーラ)博士とColin Creager(コリン・クリーガー)氏が、「形状記憶合金」(shape memory alloy、SMA)と呼ばれる技術を初めて開発した。SMAは、相互に連結されたスプリングのみで構成されたタイヤで、空気を入れる必要がないためパンクの心配はないが、空気を入れるゴム製のタイヤと同等以上のトラクションを得られ、さらに衝撃吸収機能も備えている。

画像クレジット: NASA

NASAグレンリサーチセンターのエンジニアが、模擬月面作業研究所でのテストの前に新しい形状記憶合金製のローバー用タイヤを組み立てる様子。

パドゥーラ博士とクリーガー氏の重要な開発は、分子レベルで元の形状に戻ることができる合金を作ることだった。つまり、砂利や穴などの障害物を含む不整地に適応して変形し、時間が経っても構造的完全性を失わずに元の形に戻るということだ。

リアリティゲーム番組「Survivor: Fiji(サバイバー:フィジー)」のチャンピオンであるEarl Cole(アール・コール)氏とエンジニアのBrian Yennie(ブライアン・イェニー)氏が共同で設立したSMARTは、パドゥーラ博士とクリーガー氏、そして元NASAインターンのCalvin Young(カルビン・ヤング)氏と協力して、SMAの利点を消費者市場に応用した。SMARTはまず自転車市場をターゲットにMETLタイヤを開発し、2022年初頭には一般販売を開始する予定だ。その後、SMART社は自動車や商用車の分野にもSMAタイヤの導入を進めていく予定だという。

画像クレジット: SMART Tire Company

すでにSMARTは、Ford(フォード傘下)のSpin(スピン)と提携している。Spinは、新しいマイクロモビリティモデルに焦点を当てた自転車やスクーターのシェアリング企業だ。SMART社の技術は、パンクや空気圧不足を過去のものにする可能性があるだけでなく、頻繁な交換が必要で、適正な空気圧でない状態で使用されるとライダーやドライバーに危険を及ぼす可能性があるゴム製のタイヤを補完することにより、長期的にコストと廃棄物を削減できるかもしれない。

SMART社はWeFunderを利用してクラウドソーシングによる株式投資を募っており、現在800万ドル(約8億7000万円)の評価額上限でSAFE(Simple Agreement for Future Equity、将来株式取得略式契約スキーム)を提供している。

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タグ:NASA

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

NASAと米連邦航空局もSolarWinds製品を使った大規模ハッキングで被害に遭ったとの報道

米国政府機関や民間企業を狙ったスパイ活動の一環として、ハッカーが米国の宇宙機関NASAと米連邦航空局のネットワークに侵入したと報じられた。

この2つの機関は、米国時間2月23日にWashington Post (ワシントン・ポスト)から名指しされた。その数時間後、トランプ前政権が「ロシア起源の可能性が高い」といっていた広範囲のサイバー攻撃を調査することを任務とする上院情報特別委員会の公聴会が行われた。

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NASAの広報担当者はこの報道に異議を唱えなかったが、「進行中の調査」を理由にコメントを拒否した。連邦航空局(FAA)の広報担当者はコメントを求められても答えなかった。

NASAとFAAは、サイバー攻撃を受けたことが確認された9つの政府機関のうち、名前が明かされていなかった残る2つの機関であると考えられている。他の7つの機関は、米商務省、米エネルギー省、米国土安全保障省、米司法省、米国務省、米財務省、米国立衛生研究所だが、攻撃者がこれらの機密ネットワークに侵入したとは考えられていない。

攻撃の一環として侵害された数多くのサイバーセキュリティ企業の中には、FireEye(ファイア・アイ)、Microsoft(マイクロソフト)、Malwarebytes(マルウェアバイト)が含まれる。

バイデン政権は、ロシアに対する制裁措置を準備していると報じられているが、その大部分はこの大規模ハッキングが原因であるとワシントン・ポストは報じている。

このハッキング攻撃は、2020年12月に自社のネットワークを侵害されたFireEyeが警鐘を鳴らしたことで発覚した。被害に遭った企業・機関はいずれも、米国のソフトウェア会社であるSolarWinds(ソーラーウィンズ)の顧客だった。同社のネットワーク管理ツールは、連邦政府やフォーチュン500社で広く使用されている。ハッカーは、SolarWindsのネットワークに侵入し、同社のソフトウェアにバックドアを仕かけた。そして汚染されたソフトウェアの更新で顧客のネットワークに仕込まれたこのバックドアを利用して侵入した。

だが、侵入の手口はそれだけではなかった。ハッカーたちは、被害者のネットワーク上にある機器や装置に侵入することで他の企業を狙ったり、Microsoftのベンダーを標的にして他の顧客のネットワークに侵入しようとしたとも言われている。

2021年1月にホワイトハウスの国家安全保障会議に昇格し、サイバーおよび新興技術担当の国家安全保障顧問補佐官に就任した元国家安全保障局サイバーセキュリティ責任者のAnne Neuberger(アン・ノイバーガー)氏は先週、この攻撃が「計画と実行に数カ月を要した」ものであり、「一層ごとに解明していくには時間がかかるでしょう」と述べている。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:NASAFAAハッカー

画像クレジット:Joshua Roberts / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)