ストリーミングが米TV視聴の2割に近づいたとニールセンが発表

ニールセンのレポートによれば、ストリーミングはアメリカにおけるテレビ視聴の大きな部分を占め始めたが、まだ伝統的なリアルタイム視聴が主流だ。

ニールセンは2016年暮に買収した デジタルTV視聴分析のGracenoteのデータを活用したストリーミング視聴についての詳しいレポートを発表した。オーディエンス分析担当のシニア・バイスプレジデント、Peter Katsingris氏によれば、「ストリーミング戦争の焦点」を分析したレポートだという。

レポートによれば、2019年第4四半期にアメリカの家庭の19%が高速インターネット接続を利用したストリーミングでテレビを視聴していたという。ストリーミング視聴時間の内訳はNetflixが31%、YouTubeが21%、Huluが12%、Amazon Prime Videoが8%だった。28%は他のサービスはが占めていた。

Gracenoteのデータを利用してニールセンは「アメリカの視聴者が利用できるストリーミング視聴サービスのデータをすべて収集できた」という。なるほどアメリカでは大量のコンテンツが続々とストリーミング・サービスに投入されている。ニールセンによれば2019年12月にストリーミングで視聴可能なコンテンツは64万6152件に上ったという。2018年同期比で10%の増加だった。 このうち9%はNetflixなどのサブスクリプション契約のみで視聴できる番組だった。

Nielsen Total Audience Report

ニールセンのレポートはオーディオ・ストリーミングについても分析しており、2018年第3四半期のアメリカの成人ユーザーの64%がスマートフォンでストリーミングを利用した。2017年の同期は45%だった。一方、スマートフォンでのラジオの利用率は92%、衛星放送は13%で安定していた。

昨年秋、ニールセンがアメリカの成人ユーザー、1000人を対象に実施した調査では 回答者の91%(回答者の96%は18歳から34歳の間だった)がなんらかの有料ストリーミング・サービスに加入していた。うち30%(回答者の18歳から34歳の層の47%)は3種類以上のサービスに加入していた。

オーディオ・サービスに関しては回答者の63%が一つ以上のサブスクリプション・サービスに加入していた。 53%は2種類のサービスに加入していた。

これらの結果を総合すると、アメリカの一般ユーザーはテレビ、ラジオ及びストリーミング可能なコンピュータやスマートフォン、タブレットなどのデバイスを毎日平均して12時間利用している。

ニールセンは「ストリーミング可能なメディアの利用時間は2018年第3四半期から1時間24分も増加している。これは主としてスマートフォンの利用の拡大によるものだ。コンシューマのストリーミングへの露出の増加のトレンドは企業のマーケティングにとって重要な意味を持つ。マーケターもコンテンツ・クリエーターもコンシューマが目覚めている時間のすべてにメッセージを届けるべく全力を挙げている」と結論している。

原文へ

滑川海彦@Facebook

Netflixのいらだたしいプレビュー自動再生をオフにできる

人生いろいろなことがある。そんな中でもNetflix(ネットフリックス)の新設定による改善は、数少ない希望の1つとなってくれだろう。

トレーラーの自動再生がオプション設定となった。ニュースはそれだけだ。しかし、プレビューが自動再生されるいらだたしい時代は終わったのだ。

設定方法は以下のとおりだ。

  1. プロファイルをクリック
  2. 自分のプロファイルを選択
  3. 「すべてのデバイスで閲覧中にプレビューを自動再生する」をオフにする

設定はこれだけだ。それでは良い一日を!

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

Netflixの2019年Q4における有料会員数は予想を上回る880万人増

直近の決算報告によるとNetflix(ネットフリックス)は2019年第4四半期に有料会員を880万人増やし、760万人増という予想を上回る好成績を収めた。

同社は全世界での有料会員は1億6700万人で、米国外の有料会員は1億人を超えるとしている。また、決算内容も売上高は54億7000万ドル(約6020億円)、1株あたり利益は1.30ドル(約143円)と予想を上回るものだった。アナリストの予想は売上高54億5000万ドル(約6000億円)、1株あたり利益は53セント(約58円)だった。

この好成績は、2019年第4四半期中にDisney+、そしてApple TV+といった2つの主要ストリーミングサービスの提供が始まったにもかかわらずのものだ。2020年はWarnerMediaのHBOMax、NBCUniversalのPeacockなどの参入でさらに競争激化が見込まれている。

Netflixは株主への書面の中で競争の激しさについて述べている。「TVに取って代わるもの」として多くのサービスが成長する余地があると述べつつも「第4四半期中にメンバーシップあたりの視聴はグローバルそして米国の両方で対前年比で伸びた」とも指摘した。

Netflixはまた、Disney+の『Mandalorian』、Apple TV+の『Morning Show』、Amazonの『Jack Ryan』よりも同社のオリジナルシリーズ『The Witcher』が多くの関心を集めたことを示すGoogle検索トレンドも引き合いに出した。

これは少し不公平な比較のようだ。特にDisney+に関して、同サービスはこれまでのところ、まだいくつかの国でしか視聴できない。しかしNetflixは「Disney+が最初に展開されたオランダの結果を考慮しても、もしDisney+がグローバル展開していたとしても、結果はそう大して変わらなかっただろう」と主張する。

実際Netflixは、会員の7600万世帯が視聴を選んだ『The Witcher』はこれまでで最も視聴されたテレビシリーズシーズン1になる、と語る。また8300万世帯がMichael Bay(マイケル・ベイ)氏監督のアクションフィルム『6 Undergroundを視聴することを選んでいるという。

「視聴することを選んでいる」というフレーズに少し違和感を覚えている読者もいるかもしれないが、Netflixは視聴者層についての表現を変えている(すでに議論の的だ)。以前はエピソードや映画の少なくとも70%を視聴したアカウントの数を共有していたが、現在では番組や映画の視聴を選んだ会員数と、実際に最低2分視聴した会員数をとり上げている(2分間というのは視聴を意味するのに十分な長さだ、というのは意図的だ)。

このため視聴者の数は平均35%増えている、とNetflixは話す。

「我々の新たな方法論は、タイトルごとの『リクエスト』に基づくランキングという点でBBCのiPlayerや、New York Timesの『最も人気の記事』、そしてYouTubeの視聴数と似ている」とNetflixはいう。「短編も長編も平等に扱われ、長さが決まっていないインターラクティブなコンテンツを含むあらゆる分野を網羅している」

決算発表で明らかになった懸念は、2019年第1四半期での会員数は960万の純増だったが、2020年第1四半期では700万増を見込んでいて、成長が緩やかになっている点だ。これについてNetflixは「現在直面している競争が今後も米国マーケットで続き、また2019年の価格変更のタイミングと第2四半期のコンテンツが充実していることから、2020年Q1とQ2の成長に差が出ると考えられるため」としている。

米国東部時間午後4時51分時点で、Netflixの株価は時間外取引で0.41%上昇した。

画像クレジット: Krisztian Bocsi / Bloomberg / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

今年のアカデミー賞はNetflixが最多ノミネーション、 「アイリッシュマン」や「マリッジ・ストーリー」が作品賞候補に

今年もアカデミー賞の季節を迎えたが、主役はNetflixのようだ。合計24件のノミネーションを受け、ハリウッドのメジャー映画スタジオを押し退けて件数でトップだった。

アイリッシュマン」がNetflixとして最多の10件のノミネーションを受けた。作品賞と視覚効果賞のほか、個人ではマーティン・スコセッシが監督賞、アル・パチーノとジョー・ペシが助演男優賞、スティーブン・ザイリアンが脚本賞にノミネートされている。TechCrunchでも、デニーロを若返られせた驚異の視覚効果について報じている

Netflixからはさらに「マリッジ・ストーリー」が作品賞、個人ではアダム・ドライバーが主演男優賞、スカーレット・ヨハンソンが主演女優賞、ローラ・ダーンが助演女優賞、ノア、バームバックが脚本賞、ランディ・ニューマンが作曲賞という6件のノミネーションを受けている。

このほかNetflixからは、「2人のローマ教皇」「失くした体」「クロース」もノミネートされた。

ただし、今年最多のノミネーションを受けた作品はホアキン・フェニックスとロバート・デニーロの「ジョーカー」 で、作品賞ほか11件だった。 Netflixはゴールデングローブ賞でも多数のノミネーションを受けたわりに実際の受賞は少なかった。「マリッジ・ストーリー」のローラ・ダーン、「ザ・クラウン」のオリヴィア・コールマンの2件にとどまった

昨年 Netflixはアルフォンソ・キュアロン監督の半自伝的映画、「Roma/ローマ」が監督賞を含む10件のノミネーションを得たが、作品賞は伝統的配給方式で公開された「グリーンブック」に行った。

また報道によれば、スティーブン・スピルバーグらの著名映画人がNetflixやそのほかのストリーミングサービスに対し、「オスカーにノミネーションされる資格を得るにはストリーミング公開に先立って最低4週間、劇場で先行公開すること」という条件を課すためにキャンペーンを行ったという。結局、キャンペーンは失敗したが、映画業界にはストリーミングサービスに対する反感が根強く残っていることに注意すべきだろう。

Netflix関連を別にすると、監督賞候補は全員男性で白人以外の現役女優のノミネーションはシンシア・エリボだけだった。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

2020年のお勧めダークファンタジーはNetflixの「ウィッチャー」だ

Netflixの新しいオリジナル・シリーズ「ウィッチャー」は一見した印象ではHBO製作の「ゲーム・オブ・スローンズ」に対する回答に見える。ハリウッドのトップスター(主演のヘンリー・カヴィルはDCコミックの「スーパーマン」、ミッション:インポッシブル/フォールアウトのウォーカー)で、優秀な特殊効果や激しい戦いに加えてヌードの美女も毎回登場する。

ただある意味「ウィッチャー」は「ゲーム・オブ・スローンズ」のような善悪定かならなぬ陰影ある世界を構築するというより、もっとストレートな ファンタジードラマだ。例えば、(米国のTVドラマである)「ジーナ」(Xena: Warrior Princess)のような方向に戻ろうとしているように思える。シーズン1には8エピソードが含まれており、 ストーリーは十分に複雑で脚本は巧みに書かれている。ヘンリー・カヴィル演じる「リヴィアのゲラルト」は超能力を持った流浪の戦士でモンスターと邪悪な人間を倒していく。

ポーランドのファンタジー作家であるアンドレイ・サプコフスキーの小説日本語訳)が原作で、ゲーム化されて大人気となった後、実写化された。ゲームとは独立の作品だが、小説もゲームも熟知しているライターのDarrell Etherington(ダレル・エサリントン)によればゲーム版の影響は大きいという。小説ではゲラルトは「容貌は醜い」という設定だが、もちろんゲームとドラマではそうではない。

主人公のゲラルトは何らかの霊薬で超能力を与えられたらしい(詳しいことは我々も理解できていない)が、基本的な魔法も使える。トム・クルーズの演じる「ジャック・リーチャー」シリーズの主人公に似た悪孤独な戦士だ。「小さい悪、巨悪、並みの悪、すべて許さない」というのが信念だ。カヴィルの説明によれば「どこに行っても嫌われる。冷酷な男に見えるが実は結構いい奴なんだ」という。

記事末のポッドキャストでエサリントンと話し合ったのだが、当初の重厚さの印象とは裏腹に、実際に飛び込んでみるとコンテンツは新鮮で、むしろ軽快でストレート、ユーモラスなところさえある。ときどき(あるいは意図的に)B級映画的ご都合主義に思える部分もある。これはいかにも筋肉隆々たるマッチョなヒーローに対するセルフパロディかもしれない。セリフ、プロットには矛盾が散見するし、話を進めるために急ぎすぎの部分もあるがこうした軽いタッチがあるためあまり気にならない。

ビジュアルな印象はジョージ・R.・マーティン.の世界観をそのまま移植したかと見えるが、「ウィッチャー」の独自世界構築の努力は称賛すべきでもので、エピソードごとに数多くの相互に絡み合った国、人物が現れる。もっとエサリントンも私もエピソードごとに登場する固有名詞を全部覚えるのは無理だった。しかし登場するキャラクターは脚本家の単なる思いつきではなく、世界各地に残る神話、伝説、フォークロアに基づいており、奥行きが感じられた。

音声コンテンツはアップルのPodcastsに登録されているが、読者の好みのプレイヤーからも再生できる。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

米コスモポリタン誌とGoogleがテレビドラマのコンパニオンアプリ「Watch Party」を提供

Penn Dayton Badgley(ペン・バッジリー)主演のロマンチック殺人ドラマ「YOU ー君がすべてー」のシーズン2が 米国時間12月26日からNetflixで放映される。同時に「Cosmopolitan Watch Party」 と名付けられた新しいプロジェクトも始まった。

Watch Partyのウェブサイトに用意された再生ボタンを番組の再生ボタンと同時に押せば番組と並行した新たな体験が始まる。Watch Partyは画面で見ている番組と密につながったCosmoのコンテンツを表示する。その多くはキャストやスタッフのインタビューだ。

CosmopoiltanのJessica Pels(ジェシカ・ペルス)編集長によると、Watch Partyは同誌がGoogle News Labと共同で開発した。New LabはGoogle News Initiativeという大きな取り組みの一環としてさまざまなニュース編集部とのコラボレーションによって新しい体験を作っている。開発の背景にあったのは「決められた時間に見るより、まとめてイッキ見する」という 最近のテレビ視聴方法の大きな変化に対応することだった。

視聴者は、その瞬間を捉えられなければ会話から取り残されたように感じる。だから我々は視聴者に会話を提供しようと考えた」とペルス氏は説明する。

ペルス氏はWatch Partyの内容についてあまり詳しく語ることをためらった。コンテンツが新しいシーズンの物語の紆余曲折に深く立ち入っているからだ。それでも一例として、バッジリーがシーンに没入するために殺人者の気持ちになろうとするとき、ある楽曲を聴いていると話したことがWatch Partyで見られるかもしれないと語った。

Cosmo Watch Party

Netflixを見ながらスマートフォンを見続けるという考えは誰もが受け入れられるものではないが、ペルス氏によるとすでに多くの視聴者が実行していることをCosmopolitanのトラフィックデータが示している。Watch Partyはテキストとグラフィックスだけのフラットなコンテンツで、ビデオや音声は一切使われていないことも同氏は強調した。

「視聴者は、気にさわるほど番組から気を散らされたくない」とペルス氏。Watch Partyは必要なときだけチェックしてあとは放っておける真のコンパニオン・コンテンツだと説明した。

Google News Labのデータ責任者であるSimon Rogers(サイモン・ロジャース)氏によると、ペルス氏のチームはGoogle Trendsの限定データにもアクセスが可能で、どのキャラクターやキャストメンバーに視聴者が反応しているかを詳しく観察することができるという。News LabはWatch Partyのために専用のコンテンツ管理システムも提供していて、将来も同様の体験に利用できる。

ただペルス氏は次のWatch Partyがどんなものになるかを決めたわけではない。「第2ラウンドを最高のかたちで実施するために最適なパートナーや次のチャンスをどうするかについては、さまざまな可能性を残しておきたい」と同氏は語った。

関連記事:Original Content podcast: ‘You’ gives us obnoxious millennials and their creepy stalkers

原文へ

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Spotifyの誕生ストーリーがNetflixでドラマ化

Facebookの創立の過程はアーロン・ソーキン脚本、デビッド・フィンチャー監督で「ソーシャル・ネットワーク」という映画になった。ハリウッドの大物プロデューサーであるジェフリー・カッツェンバーグが準備中のQuibiはSnapchatの立ち上げ取り上げるという。米国時間12月11日、Netflixが発表したところによれば、世界最大の音楽ストリーミングサービスのストーリーがドラマ化される。

製作のきっかけとなったのはスウェーデンのDagens Industriに掲載されたSven Carlsson(スベン・カールソン)氏とJonas Leijonhufvud(ジョナス・レイホンフフヴド)氏による Spotify Untold(知られざるスポティファイ)という記事だったという。これはSpotifyの創立と、同社の10年が人々の音楽の聞き方を一変させた過程を描いたものだった。

Netflixの北欧オリジナル担当ディレクターであるTesha Crawford(テシャ・クロフォード)氏は「Spotify創立のストーリーはローカルなスタートアップの創立が世界に大きな影響を与えることになるという驚くべき例だ。Netflixはこのエキサイティングな成功物語をドラマ化しようと取り組んでいる。我々はPer-Olav Sørensen(パー-オラフ・ソレンセン)監督と英国のYellow Bird UKのチームと引き続き協力していく」と述べた。

フランスの独立系スタジオのBanijay Groupに属するYellow Bird UKは、Netflixで近く公開される刑事ヴァランダーの活躍を描くドラマ「Young Wallander」の製作にもあたっている。まだタイトルが決定していないSpotifyの物語の製作もYellow Bird UKが担当する予定だ。製作総指揮となるBerna Levin(ベルナ・レビン)氏はYoung Wallanderの製作にも当たっている。

物語はスウェーデンのテクノロジー起業家であるDaniel Ek(ダニエル・エク)氏、Martin Lorentzon(マーティン・ロレンツォン)氏のコンビが海賊版音楽の横行する時代に無料かつ合法的な音楽サービスを構築するところに焦点を合わせている。Netflixでは「無名の起業家を信念と固い決意がいかに助け、現状を打破して巨大な夢を実現させたかを描く」という。シリーズは英語版、スウェーデン語版の双方で提供される。

製作総指揮のレビン氏は「タイムリーかつエンタテインメント性の高い物語をNetflixに提供できるものとと期待して興奮している。スウェーデンのテクノロジー・コミュニティの数人のメンバーが世界の音楽業界に革命を起こすに至ったかというストーリーだ。音楽の作られ方も聞き方もSpotify以後は一変した。これはまぎれもなく実話だ。この10年でSpotifyは我々の生活を変えたが、それは同時に世界をデジタル化するという文化的、経済的な苦闘の過程でもあった」と語った。

Netflixの声明によれば、テクノロジーの動きは極めてに速いため、スタートアップの物語をドラマ化するのは大変難しいという。Spotifyは現在でも変化を続けている。ドラマが放映されるときはさらに変化を遂げているに違いない。

「Spotifyをテーマにすることでスウェーデンのリアルな生活を描けると期待している。これはスウェーデンのウィズキッズが世界の音楽シーンを永久に変えてしまったという現代版シンデレラ・ストーリーであり、今もなお展開中だ」とソレンセン監督は述べた。

Netflixではリリース日時はまだ明かしていない。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Netflixがディズニーに対抗、インドでのコンテンツ制作に460億円投資

Netflix(ネットフリックス)は、世界最大のエンターテイメントマーケットであるインドで引き続き攻勢をかける。インドで同社はディズニーを含む36社超のライバルと競っている。

Netflix最高責任者であるReed Hastings(リード・ヘイスティングス)氏は12月6日、同社が今年から来年にかけてインドでのコンテンツ制作とライセンシングに300億インドルピー(約460億円)を投入すると述べた。「今年と来年、我々はコンテンツ制作とライセンス交付に300億インドルピーをあてる計画で、多くのコンテンツを提供する」とニューデリーであったカンファレンスで述べた。

この稀な発表はたちまち街の噂になった。同業トップ5社に入る企業の幹部は「我々がここ数年コンテンツに投資してきた額を大幅に上回る」とTechCrunchに語った。別の業界筋は「コンテンツだけにこの規模の投資をするインドのストリーミングサービスは他にない」と話した。

他のストリーミングサービスが一体いくらコンテンツに注ぎ込んでいるのか正確なところは明らかではないが、会計・コンサルティング会社のKPMGの最近のレポートではHotstarが今年7本のオリジナル番組の制作に約1700万ドル(約18億円)を使い、Eros Nowが5000万ドル(約54億円)をかけて新番組100本を制作したとしている。レポートではコンテンツのライセンシングの費用については触れていない。

200カ国・地域を超えるグローバル展開の一環として2016年初めにインドマーケットに参入したNetflixはこれまでに24本を超える番組・映画をインドで制作し、俳優Shah Rukh Khan(シャー・ルク・カーン)氏のRed Chillies Entertainmentを含む多くの現地スタジオと提携した。

ヘイスティングス氏は、スリラー「Sacred Games」やアニメ番組「Mightly Little Bheem」など、Netflixがインドで制作した番組のいくつかは「世界で放映された」と話した。子供向けの番組「Mightly Little Bheem」にいたってはインド国外の2700万世帯が視聴している、とした。

来年グローバルでコンテンツに150億ドル(約1兆6300億円)をつぎ込む予定のNetflixは、インドの購読者数を明らかにしていない。ちなみにグローバルでは1億5800万人を超える。しかし100人を雇用するインドでの同社の財政状況はこのところ改善してきている。3月末年間決算で同社は売上高6500万ドル(約70億円)を計上し、インドでの事業は72万ドル(約7800万円)の黒字だった。

巨大なインドマーケット

グローバルテクノロジーとエンターテーメントの企業にとってインドは最新の急成長マーケットの1つとなっている。Boston Consulting Groupによると、インドの人口13億人のおおよそ半分がインターネットを使用していて、インドのオンデマンドビデオマーケットは今後4年間で50億ドル(約5400億円)に成長することが見込まれている。

しかしサービス購読料を払うインターネットユーザーの割合、あるいは潜在的な有料ユーザーの数は極めて少ない。インドで展開されているほとんどのサービスは広告で収入の大半を稼いでいる。リカーリングモデルに頼っているサービスはインドでの提供コンテンツに大幅に手を加えている。

インドでサービスをより浸透させるために、Netflixは今年初め、新たな月間料金サービスを導入した。月2.8ドル(約300円)払えばモバイルデバイスでストリーミングをスタンダード画質で楽しめるというものだ(その後Netflixはこのサービスをマレーシアにも拡大した)。

Netflixはインドで、オンデマンドビデオストリーミングサービス36社以上と競争を展開している。中でもインドでの主なライバルは、ディズニーのHotstarだ。Hotstarのコンテンツには、ライブのテレビ番組、スポーツイベントのストリーミング、何千もの映画や番組、HBOやShowtimeなど提携しているグローバルのネットワークやスタジオのものなどが含まれる。

広告付きのサービスでは、ユーザーはコンテンツの80%以上を無料で閲覧でき、プレミアムなサービスの購読料は年間999インドルピー(約1500円)だ。

Hotstar(あるいはオペレーターのStar India)がインドで抱えているライセンスありのコンテンツにはクリケットトーナメントのストリーム権が含まれる。クリケットはインドではかなりの人気で、Hotstarの過去最多となったグローバルストリームに貢献<している。/span>

今年5月、Hotstarはプラットフォーム上で2500万人が同時にクリケットの試合を観戦したと発表した。これは世界記録だ。当時、同社のサービスの月間アクティブユーザーは3億人超だった。

他社との競争についてヘイスティングス氏は、コンテンツ制作に「信じられないような無敵レベルの投資」をすることで、今後5〜10年が「テレビの黄金時代」になるだろう、と語った。そして「オンラインストリーミングサービス各社ともインドに投資している。これまでになく多くのコンテンツが制作されることになる。素晴らしいエクスポートだ」と付け加えた。

グローバル企業であるディズニーがつい最近立ち上げたストリーミングサービス「Disney+」は、Hotstar提供の情報として先月TechCrunchが報じたように、インドと東南アジアでは来年から利用できるようになる見込みだ。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

Netflixがニューヨークの古い映画館「Paris Theatre」の権利を長期リースで取得

このところ劇場づいているNetflixが、米国ニューヨーク市の歴史的遺産といえるシングルスクリーンの映画館であるThe Paris Theatreの長期リースにサインした。この前にはやはりNetflixが、ロサンゼルスのEgyptian Theatreを買うという報道があった。いずれもストリーミング企業にしてはおかしな動きだが、マーチン・スコセッシやノア・バームバックのような有名映画作家との関係を今後も続けるつもりなら必要かもしれない。

いずれにしてもスコセッシの最新作「アイリッシュマン」とバームバックの「マリッジ・ストーリー」はどちらも劇場で上映され、限られた数のスクリーンに登場した。「アイリッシュマン」ではNetflixは大型封切りを望んだそうだが、大手劇場チェーンはそれを拒んだ。映画館の先行上映期間4週間は、これまでの90日に比べて短すぎる。

資金がどれだけ潤沢でも、Netflixの劇場指向はそのほかのスコセッシ級の映画作家を同社との契約からしり込みさせるだろう。ここで問題なのは、このような封切り形式が映画をメジャーな賞の受賞から遠ざけるかもしれないからだ。「アイリッシュマン」と「マリッジ・ストーリー」は3つのオスカーを取ったが、作品賞は逃した

そこで劇場を自力でリースすれば、Netflixはその映画が大画面で封切られることを保証できるし、派手な封切り記念行事でも何でも主催できる。Paris Theatreは1948年にオープンし、今月始めに「マリッジ・ストーリー」の上映で再オープンした。個人的には、「マリッジ・ストーリー」は、映画館の大画面で見ることを強くお勧めする。私はすでに二度見た。

Netflixのコンテンツ最高責任者(Chief Content Officer、CTO) であるTed Sarandos(テッド・サランドロス)氏は声明で「71年を経てParis Theatreは今や永遠の歴史遺産であり、今でも、映画を見に行くというあの独特の生活行為の目的地である。この歴史的なニューヨークの建物を、映画ファンのための映画の家として保存することは、私たちの最高の誇りである」と述べている。

画像クレジット: Marion Curtis/Netflix

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Netflixが「ビバリーヒルズ・コップ4」を撮影する

NetflixはParamount(パラマウント)から「Beverly Hills Cop 4」(ビバリーヒルズ・コップ4)を撮影する権利を獲得した。このニュースを報じたDeadlineによると、同スタジオはテレビ番組を含むいくつかの形態で同シリーズを再開しようとしているという。

プロデューサーのJerry Bruckheimer(ジェリー・ブルックハイマー)とスターのEddie Murphy(エディー・マーフィー)が続編に参加していたにもかかわらず、パラマウントは映画の商業的展望に少しナーバスになっていたのかもしれない。特に「Beverly Hills Cop 3」の公開から25年が経過しており、スタジオ(まもなく統合されるViacomCBSの一部となる)はここ数カ月、ごく最近の「Terminator: Dark Fate」の不振もあり、興行成績が振るわなかったためだ。

さらに、パラマウントとNetflixはすでに協力しており、まずNetflixが「The Cloverfield Paradox」と「Annihilation」の国際的権利を獲得した後、昨年末には両社の間での複数作品の契約が発表された。

一方、マーフィー氏はNetflixの映画「Dolemite Is My Name」での演技で、過去数十年で最も高い評価を受けている。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

Netflixが月440円のモバイル専用プランをマレーシアで提供開始

Netflix(ネットフリックス)は、インドで展開しているモバイル視聴限定の低価格プランをグローバルマーケットに拡大する。米国のオンデマンドビデオストリーミング大手Netflixは米国時間10月24日、新価格のサービスをマレーシアで開始した。月額17リンギット(約440円)で視聴できるというものだ。

この新プランは月額7.8ドル(約850円)からで利用できる既存のプランと並行して提供される。既存プランではモバイル端末からのアクセスは1台に限定され、コンテンツは低画質で提供されている(標準解像度は480p)。このプランの購読者はコンテンツをテレビやラップトップPCで閲覧することはできない。

Netflixは低価格のモバイルプランのテストを昨年、マレーシアを含む多くのマーケットで開始した。「真にモバイルファーストの国であるマレーシアにおいて新プランはNetflixへのアクセス増に貢献するだろう」と同社は語っている。

産業推計によると、マレーシアの88%超の人がスマートフォンを保有していて、一方でインターネットユーザーは78%だ。およそ3200万人がメディアコンテンツをストリームしたりダウンロードしたりしている。

Netflixでプロダクトイノベーションを担当するディレクターであるAjay Arora(エージェイ・アローラ)氏は発表文で次のように述べている。「マレーシアのNetflixユーザーはスマートフォンやタブレットで番組を観るのが好きだ。東南アジアで初となるモバイル限定プランで、マレーシアの人々はすべてのNetflixの番組や映画をストリームしたりダウンロードしたりしやすくなる」。

インド同様、NetflixはマレーシアでもiFlixやDimsum、playTV、Astro Goといった攻めの価格設定をしている多くのサービスと競合する。そしてほかのマーケットでもそうだが、マレーシアの視聴者によりいいものを提供しようとオリジナルコンテンツの制作に投資している。今後提供されるシリーズThe Ghost Brideはマレーシアで撮影・制作された。コメディシリーズのPolis EvoとJagatもまたマレーシアの視聴者の間では人気だ。

TechCrunchがこれまでに指摘したように、Netflixの標準価格では世界のあらゆるところで利用してもらえない。多くのライバルが低価格でサービスを提供しだすようになってからは特にそうだ。この点についてNetflixは公に認めるようになっている。先週の四半期決算発表時、「同社の役員は月額2.8ドル(約300円)のモバイル限定プランがインドで受け入れられていることは喜ばしい」と述べた。

「価格面での我々のアプローチはこれまでのところ売上につながっている。インドでのモバイルプランの利用と浸透は当初のテストを上回っている。これにより我々はさらに顧客の満足度を高めるため、インドのコンテンツにより投資できる。全購読者ベースにおける割合は小さいが、他のマーケットでもモバイル限定プランのテストを継続している」と述べた。

Netflixのプロダクト責任者Greg Peters(グレッグ・ピータース)氏は「他のマーケットでさまざまなプランや「機能バリューベネフィット」を開拓して視聴者の反応を見極める」としている。いくつかのマーケットでは、週単位のプランのテストを行った。

今回のマレーシアでのモバイル専用プランは、Netflixが発展国での価格を少しずつあげている中で発表された。例えば、米国では今年最も人気の月額サービスの価格を13ドル(約1400円)に改定した。いまやテック大企業やケーブルネットワーク、スタジオが自前のサービスを展開しようとしていて、世界中の人々が疑問を抱えている。「暮らしの中で一体いくつのビデオアプリが必要なのだろうか」。

Netflixは先週、2四半期連続で購読者数が予想を下回ったことを明らかにした。7〜9月に新たに680万人の購読者を獲得したが、目標の700万人には届かなかった。680万人のうち、アナリスト予想の600万人を超えた630万人は米国外の利用者だった。

画像クレジット:Krisztian Bocsi / Bloomberg / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

「エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE」のフルトレーラーがNetflixで公開

Netflix(ネットフリックス)は日時とエミー賞での短いCMを公開した後、ついに「エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE」の完全な予告編を公開した。

予告編では「ブレイキング・バッド」完結後の映画が紹介された。Aaron Paul(アーロン・ポール)は、Bryan Cranston(ブライアン・クランストン)が演じるブレイキング・バッドの主人公である天才化学者・Walter White(ウォルター・ホワイト)の元教え子で覚醒剤(メタンフェタミン)の製造パートナーだったJesse Pinkman(ジェシー・ピンクマン)を再び担当する。詳細は明かされておらず「ブレイキング・バッド」の最後でジェシーは劇的な逃亡を成し遂げたが、新しいトレーラーでは彼の悩みは決して終わっていないことが明らかになる。

「エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE」はシリーズクリエーターのVince Gilligan(ヴィンス・ギリガン)が脚本と監督を担当しており、マット・ジョーンズ(Matt Jones)とチャールズ・ベーカー(Charles Baker)もそれぞれ、ジェシーの友人のバッジャー(Badger)とスキニー・ピート(Skinny Pete)の役柄を演じている。ちなみにクランストンが映画に出演するかどうかは、まだ発表されていない。

「ブレイキング・バッド」が最初に放送されたのはAMC(米国のテレビ局)だったが、Netflixがこの番組の視聴者数を増やしたことは間違いない。「エルカミーノ」は、10月11日にNetflixと一部の劇場で公開され、来年中にはAMCでも放映される予定だ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

NetflixがSeinfeldのストリーミング権を取得、2021年放映開始

ストリーミング業界の競争は激しさを増し、Netflixは加入者減に直面している。その苦境を救うことになるかもしれないコンテンツをNetflixは獲得した。同社は、人気のコメディドラマ「Seinfeld」(邦題は「となりのサインフェルド」)のグローバルストリーミング権を取得した、と発表した。エミー賞を受賞した全180エピソードのこのドラマは2021年からNetflixで提供される。

このSeinfeld投入のタイミングはNetflixにとって重要だ。というのも、Seinfeldは、Netflixで最も視聴されているコンテンツの1つ「The Office」の再放送が終わる年に投入される。その前の2020年には、これまた米国を代表するシチュエーションコメディ「Friends」の放映が終了する。

こうしたコンテンツはいまだに人気があり、放映当時にまだ幼なかった人たちを引きつけることができるため、オリジナルの放映年代にもかかわらず、放映権はいまだにかなり高額だ。

それにも増して、こうしたコンテンツの再放送は多く人が視聴しているという事実がある。Netflixはオリジナルコンテンツに数十億ドルもつぎ込み、プラットフォーム上で大々的に宣伝しているにもかかわらず、Netflixで現在最も視聴されている番組は「The Office」であることがニールセンの調査でわかった。

オリジナルコンテンツは最近人気がなく、Netflixは少なくともいくつかの昔のコンテンツにしがみついていなければならない状況だ。直近の四半期で、Netflixの米国における会員数は2011年以来初めて減少した。同社は減少の要因として、まだスタートしていないがDisney+や Apple TV+、HBO Maxなどとの競争の激化ではなく、値上げと、コンテンツが視聴者をひきつけられるほど魅力がなかったことを挙げた。

その一方でNetflixは「The Office」の放映権を売りに出し、それをNBCUが5億ドル(約540億円)で買い取った。「The Office」は2021年にNetflixでの放映が終わるとNBCUで放映される。Netflixはまた、「Friends」も WarnerMedia(ワーナー・メディア)に売った。ワーナー・メディアはこれを4億2500万ドル(約460億円)で買い、新サービスHBO Maxで2020年から5年間にわたって放映する。

Sony Pictures Televisionからストリーミング権を買ったSeinfeldは、世界に1億5000万人いるとされる会員に配信されることから、購入額は上記のディールと同程度か、それを少し上回るかもしれない(Netflixは詳細を明らかにしていない)。

「Seinfeldは、すべてのテレビコメディが比較の対象とするコメディだ。新鮮さや面白さは色あせることなく、今回初めて4Kで放映される」とNetflixのコンテンツ責任者Ted Sarandos(テッド・サランドス)氏は発表文で語った。「Jerry、Elaine、George、そしてKramerをNetflixから世界に向けて紹介するのが楽しみだ」(4人はSeinfeldの登場人物)。

しかし、Netflixが最近力を入れているのは昔のシチュエーションコメディだけではない。

同社は今年、Disney+のサービス開始を前に、「Iron Fist」(アイアン・フィスト)、「Luke Cage」(ルーク・ケイジ)、「Daredevil」(デアデビル)の放映をキャンセルしたのち、「Jessica Jones」(ジェシカ・ジョーンズ)と「The Punisher」(パニッシャー)もキャンセルし、Marvel(マーベル)ものを卒業した。Netflixはまた、「The OA」、「Tuca & Bertie」(トゥカ&バーティー)、「Designated Survivor」(サバイバー:宿命の大統領)、「She’s Gotta Have It」(シーズ・ガッタ・ハヴ・イット)、そして「One Day at a Time」(ワンデイ -家族のうた-)のリメイクを含む、人気のなかった多くのコンテンツをキャンセルした。

Sony Pictures Televisionとの今回の売買により、Seinfeldを初めてNetflixで流すことになるが、これは「Comedians in Cars」(サインフェルド:ヴィンテージカーでコーヒーを)、「Jerry Before Seinfeld」(ジェリー・ビフォー・サインフェルド)などのコメディ放映に続く動きだ。

「Seinfeldはある意味アイコン的存在でカルチャーを代表する番組。初めて放映されてから30年たったが、まだ人気は健在だ」とSony Pictures Televisionの会長Mike Hopkins(マイク・ホプキンス)氏は声明文で述べた。「この愛されているシリーズを世界中のファン、そして新たな視聴者にNetflixとともに届けるのを楽しみにしている」。

画像クレジット: Andrew Eccles/NBC/NBCU Photo Bank / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

「天才の頭の中:ビル・ゲイツを解読する」が9月20日からNetflixで配信開始

9月にNetflixは「天才の頭の中:ビルゲイツを解読する」と題された3部構成のドキュメンタリーを放映する。

監督は「不都合な真実」や「わたしはマララ」で高い評価を得ているデイビス・グッゲンハイムで、テクノロジーの天才、かつ世界第2位の資産家である人間の思考に入り込む。Netflixがこのドキュメンタリーを配信することを発表したのは先週だったが、いよいよ最初の予告編が公開された。

Microsoft(マイクロソフト)を創立し、30年にわたって君臨して、激しい賛否の議論を引き起こした時代から、ビジネスの第一線から退き、マラリアの撲滅やエネルギー問題などのチャリティー活動に専念するようになった現在まで、63年の半生が資料映像とゲイツ自身へのインタビューで詳しく解明される。我々が生きる現在の社会、生活の大きな部分を作ってきた人間の中をわずかでも覗くことができるなら貴重な視聴体験となるだろう。

予告編は「好きな動物は?」「イヌ」、「好きな食べ物は?」「ハンバーガー」といった会話から始まる。「今、いちばん怖いのは?」という質問にゲイツは「頭が動かなくなることかな」と答える。まあこれはゲイツならずともそう考えるだろう。

Netflixによればこのミニ・シリーズは9月20日から配信されるという。

【Japan編集部追記】ゲイツは若い頃を振り返って「Microsoftの優勢を保つために昼も夜も働いた。ときには激しい主張もした。しかし(当時の)ものの見方は間違っていた」と述べている。Netflixによれば日本での配信開始も9月20日が予定されている。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

キュレーターが作品を推薦するコレクションズ機能をNetflixがテスト

Netflixは、ユーザーが観たいであろうテレビ番組や映画を推薦する新しい方法としてCollections(コレクションズ)機能のテストを開始した。現在はiOSデバイスでテストが行われている。すでにNetflixでは、視聴履歴をもとにしたテーマ別の推薦を行っているが、コレクションズはテーマだけに縛られない。Netflixによると、社内のクリエイティブ部門に属する専門家によって作品がキュレーションされ、ジャンル、雰囲気、ストリー、キャラクターの特徴など、類似の要素をもとにコレクションズに分類されるという。

人間によるキュレーションは、Netflixがこれまで行ってきた推薦方法とは違う。この配信サービスは、アクション、ドラマ、SF、ロマンスといった大まかなグループ分けを超えた、何百ものニッチなカテゴリーを有する高度な分類システムで知られているが、さらに絞り込んだサブカテゴリーによって、より正確にターゲットを絞った推薦が可能になる。

またNetflixは、サービス全体で人気の高い、または流行っているタイトルを常に追いかけ、他の人たちが何を視ているのかがわかるようにする。

この新しいコレクションズ機能は、最初にジェフ・ヒギンズ(Jeff Higgins)氏が発見し、この新機能のスクリーンショットを何点かツイートした。

コレクションズを試してみたい方は、アプリのホームページ右上に現れるオプションを選択して欲しい。これまでMy Listがあった場所だ。

https://platform.twitter.com/widgets.js
NetflixのCollectionsは、視たいものを探す新しい方法だ。しかも早く。

推薦作品は、“Let’s Keep It Light”(軽くいこう)、“Dark & Devious TV Shows”(暗くて悪辣なテレビ番組)、“Prizewinning Movie Picks”(賞を取った映画)、“Watch, Gasp, Repeat”(視て、息をのんで、その繰り返し)、“Women Who Rule the Screen”(画面を支配する女たち)などなど、数々の編集グループに分類される。

メインの画面からそのコレクションをフォローできる。タップすれば、このグループの作品をさらに調べることができる。

「好きなテレビ番組や映画が見つかる簡単な方法」

興味のあるコレクションをタップすると、画面が滑らかに切り替わり、コレクションの内容を説明するヘッダーの下に作品のサムネールが現れる。ここでそのコレクションをフォローしてもよい。すると、おそらくNetflixの通知システムとリンクされる。

https://platform.twitter.com/widgets.js
Netflix Collectionsで画面が滑らかに切り替わるところ。

この新機能にアクセスした人は、アプリのホームからもコレクションが選べるようになる。

「私たちは、私たちのファンと、みなさんが気に入るであろう作品とを結びつける新しい方法を常に模索していますが、そのひとつとして、Netflixの作品をキュレーションしてコレクションズにまとめるという新しい方法をiOSアプリで試しています」とNetflixの広報担当者はTechCrunchに話してくれた。「私たちのテストは、どれだけ続けるか、どの国で実施するかは毎回異なり、私たちのサービスの恒久的な機能になることもあれば、ならないこともあります」。

Netflixがコレクションズとして推薦作品の分類をあれこれ試すのは、これが初めてではない。同社のDVDサービス(そう、まだあったのです)は、その専用モバイルアプリにこれとよく似たコレクションズ機能を導入した。

今回のテストは、間もなく登場するDisney+やApple+といったライバルを含む競合サービスの増加を見込んで、現在の契約者を囲い込むための機能を開発する中で実施された。その関連で、先日発表された機能には、新タイトルや近く公開されるタイトルを常に把握できるというものがある。常に次の作品へ楽しみをつないでもらうための戦略だ。

Netflixによると、コレクションズはiOSのみの対応とのこと。テストなので、すべてのユーザーに提供されるわけではない。

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

HuluとAmazon PrimeがNetflixの牙城に挑む

Netflixは、eMarketerの最新レポートによると今もサブスクリプション型ストリーミングサービスのナンバー1だが、Amazon Prime、Huluなどのライバルもシェアに食い込み始めている。

同社のアナリストは、今年中に1億8250万人の米国消費者がストリーミングビデオサービスを定期購読すると予測している。これは人口の53.3%に相当する。Netflixは2019年に1億5880万人の視聴者を得てトップの座を守りなお成長を続けているが、定期購入者の総数が増加する中で市場シェアは減少するだろうとレポートに書かれている。

Netflixは、Q2の米国ユーザー数が10年近くぶりに 減少した発表したが、その後も順調な成長(前年比7.6%)を続けるだろうとeMarketerは言っている。これは「Orange Is the New Black」や「Stranger Things」などの人気番組の新シリーズ、アカデミー賞受賞監督マーティン・スコセッシ監督の新作「The Irishman」などが後押ししているのだろう。

しかしもはやNetflixはストリーミングビデオで唯一の選択肢ではない。2014年に90%だった市場シェアは、2019年に87%に減少する見込みだ。

1 1市場シェアの減少は、HuluやPrime Videoといったライバルの進出が理由だ。

例えば、Huluは今年米国内視聴者数が7580万人(シェア41.5%)に達した。視聴者数は2019年に17.5%増加したが、2018年の49.6%という成長率には及ばなかった。

AmazonのPrime Videoは、今も米国第2位のストリーミングビデオサービスであり、2019年の視聴者数は9650万人(シェア52.9%)、前年比8.8%増だった。

eMarketerは、Prime Videoの利用者が2021年に米国人口の3分の1に達すると予測している。

2Netflixの市場シェア独占は、新たな脅威にも直面している。中でも DisneyとHulu、ESPNのセットは、Netflixの米国標準価格と同じ料金で提供されている。

「Netflixはここ数年強力なライバルと視聴者を奪いあっており、ストリーミングビデオプラットフォームだけでなく、有料テレビやビデオゲームからの挑戦もある」とeMarketerの予測アナリスト Eric Haggstrom(エリック・ハグストローム)氏は「真の『Netflixキラー』は存在しないが、Disneyの『Disney+、Hulu、ESPN+』のセットはそれに近いところまで来ている。現在のNetflixの答えは、同サービスを市場リーダーに押し上げた戦略を続けること。すなわちライセンス、オリジナルのコンテンツに他社よりも多くつぎ込み、競争力のある価格を消費者に提供することだ」と語る。

新たなライバルはDisneyだけでもない。

Apple TV+は今年中のサービス開始を見込んでおり、コンテンツに60億ドル費やすと言われている。当初報じられた10億ドルをはるかに上回る金額だ。月額使用料も9.99ドルという競争力ある価格帯になるらしい。

NBC UniversalとAT&T Warner Mediaも市場参入を目指している。後者はHBO Maxと組む。また、CBSとViacomの合併に続き、新会社は自社プラットフォームであるCBS All Accessと広告支援型サービスのPluto TV に新たに獲得したコンテンツを加えて強化しようとしている。

「ストリーミングビデオの市場は、ハイエンドのオリジナルコンテンツと従来の有料TVに比べて安い月額使用料によって爆発的に広がった」とハグストローム氏は指摘する。「新しい番組や映画に対する視聴者の強い欲求が、NetflixやHulu、Amazon Prime Videoなどの視聴者を拡大し、市場全体を広げた」。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Netflixオリジナルの「五行の刺客」はめちゃくちゃ面白いカンフードラマ

先週、TechCrunchではNetflixが先月配信したオリジナルドラマであるAnother Lifeについての座談会をポッドキャストで配信した。我々はこのシリーズを「最近10年ほどテレビから姿を消していた宇宙もののハードSFの復活」だと大いに評価した。

今月のNetflixの新オリジナルドラマ「五行の刺客」(Wu Assassins)もある意味リバイバル的なところがある。こちは1990年代の「新・燃えよカンフー」(Kung Fu:The Legend Continues)のような古き良きカンフー映画を思わせる。

詳しくは座談会のポッドキャストを聞いていただきたいが、「五行の刺客」はサンフランシスコのレストランのシェフであるカイが神秘的なパワーを獲得し、伝説の悪「五行の将」を倒し、シャイナタウンを守るために奮戦する。筋書きといいアクションシーンといいツッコミどころは多々あるがが、SFXもよくできていて大いにエキサイティングだ。リバイバルといっても1990年代のカンフーものに比べて格段に出来がいい。

魅力のひとつはカイを演じるインドネシアのスターであるイコ・ウワイス(「ザ・レイド」で主演、「スター・ウォーズ フォースの覚醒」への出演などが有名) がアクションシーンで見せる圧倒的なパファーマンスだ。ウワイスはの祖父は、インドネシアやフィリピンなどに伝わる伝統的武術「シラト」の達人で、イコ・ウワイス自身もインドネシアのシラトの全国大会の型の部で優勝したことがあるという。

シリーズのプロデューサーはウワイスの相手役もマーシャルアーツの達人で固めたので、カンフーシーンの迫力は並大抵ではない。「五行の刺客」にはいくつか大掛かりなセットを組んだシーンもあるが、ふんだんに登場する格闘が強烈な暴力性とバレーの美しさを兼ね備えている。

さらにカイの敵役でチャイナタウンを牛耳る三合会の冷酷なボス、アンクル・シックスを演じるのがベテランのカンフースターであるバイロン・マンだ。マンにはカリスマがあり、アクション以外のシーンでやや経験が不足しているウワイスを補ってドラマに奥行きを与えている。ウワイスとマンの対決は最高の見せ場だ。マンが敵を叩きのめすところも大迫力だ。

ポッドキャストでは「五行の刺客」以外にもCBS-Viacom合併の背景や「アナザー・ライフ」についてのリスナーのコメントなどについても話し合っている。

ポッドキャストは下のアイコンから直接聞くことができるが、アップルのPodcastsにも登録されているのでサブスクリプションして好みのプレイヤーを使うことができる。フィードバックはこちらへ。ちなみにポッドキャストの33分52秒以降には「五行の刺客」のネタバレがあるのでご注意。

【Japan編集部注】Original Podcastのメンバーは、Anthony Ha、Jordan Crook、Darryl Etherringtonの3名。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Disney+ではHuluとESPN+のセットを月額1400円程度で楽しめる

ディズニーが11月に始めるストリーミングサービスのDisney+は、ESPN+と広告付きHuluとのセットで月額12.99ドル(約1380円)で楽しめる。

Disney+、ディズニー傘下のESPN、21世紀フォックスの買収から支配権を獲得したHulu、このディズニーフルセットで、Netflixの米国の標準プランと同額になる。また、3つのサブスクリプションをそれぞれ契約するよりも5ドル(約530円)安い。

米国時間8月6日、3四半期のディズニーの収支報告の際にCEOのBob Iger(ボブ・アイガー)氏がこの価格を発表したと、Axiosなどが報じた。

2019年4月にディズニーは、Disney+の単独のサブスクリプションは月額6.99ドル(約740円)で、11月12日にサービスを開始すると発表していた。その時点で経営陣はESPN+とHuluのバンドルを提供する「見込み」と述べたが、具体的なプランや価格には言及していなかった。

Disney+のサービス開始時には、スター・ウォーズ三部作の最初の2つ、最新のマーベル映画、「The Simpsons」、古いディズニー映画のシグネチャーコレクションなど、ディズニーと21世紀フォックスのコンテンツが大量に揃う予定だ。他社の契約がクリアになればさらに多くのコンテンツが公開される。

ディズニーは、マーベル作品スター・ウォーズのスピンオフ「The Mandalorianなど、Disney+のためのオリジナル番組も制作している。

画像:Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

デニーロがデジタルで脅威の若返り、Netflixが「アイリッシュマン」の予告編公開

Netflixオリジナルの「アイリッシュマン」が素晴らしいフィルムノワールである理由はいくつもある。まず監督が巨匠マーティン・スコセッシだ。主演はロバート・デニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシというアカデミー賞俳優で、1960年代の米国の闇社会に君臨した労働組合のボス、ジミー・ホッファとアイルランド系ヒットマンのフランク・シーランを描いている。ただしTechCrunchとしては、この映画の驚異的なデジタルエフェクトを紹介したい。

一般メディアではスコセッシ監督の作品を紹介するのにデジタル・テクノロジーの話からは始めない(デニーロとパチーノという監督お気に入りのアカデミー賞俳優がスクリーンで顔をあわせる作品ならなおさらだ)。しかし「アイリッシュマン」におけるILMの役割は非常に大きく、少なくともインターネット上で大きな話題になっている。

ILM(インダストリアル・ライト&マジック)は1970年代に「スターウォーズ」のオリジナルの製作にあたってジョージ・ルーカス監督によって設立されたハリウッドを代表するSFX企業だ。「アイリッシュマン」ではILMは主演俳優、ことにデニーロをデジタル・テクノロジーで若返らせることに成功している。なんといっても現実のデニーロは1943年生まれで70代半ばだが、中年の人物を演ずる必要があった。昨日発表された最初の予告編にはジミー・ホッファからの電話受けるシーンが登場するがデニーロの若返りに驚く。

2分間の予告編を見たところでは、この作品はスコセッシ監督ならではのスタイリッシュな映画になっている。ドラマッティックな緊張が高まり、激しい暴力が散りばめられる。公開は「この秋」というだけで正確なスケジュールは不明だが、デニーロ、パチーノ、ペシに加えて共演者もハーヴェイ・カイテル、ボビー・カンナバーレ、アンナ・パキン、レイ・ロマノといったオールスターメンバーだという。

Netflixでのストリーミングに加えて劇場公開も予定されているが、これは劇場公開がアカデミー賞の選考対象の条件の一つだからだ。Netflixが昨年公開し、大きな反響を呼んだ60年代のメキシコの中流家庭を描いた傑作「Roma/ローマ」がこのアプローチを採用している。

【Japan編集部追記】この作品のワールドプレミアはニューヨーク・フィルム・フェスティバルが舞台で9月27日だという観測が出ている。またTechCrunchでは人工知能を利用した特殊効果技法の発達によって第三者の顔情報を用いて動画を合成する「ディープフェイク」が問題となっていることを報じている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook

吉本興業も出資する東南アジアのビデオストリーミングサービス「iflix」が54億円を調達

米国時間7月22日、東南アジアなどの新興市場でNetflixのライバルとなっているマレーシアのiflixは、新たな資金調達ラウンドを完了したと発表した。このラウンドはFidelity Internationalが主導し、以前にも投資したCatcha Group、Hearst、Sky、EMCが参加した。iflixは金額を明言していないが、合計5000万ドル(約54億円)以上で、今後の株式公開に向けた成長のために使われる予定だという。

iflixは、インドネシアのMNC、日本の吉本興業、韓国のJTBCも投資に参加したと発表した。iflixのアクティブユーザー数は、半年前の900万人から現在は1700万人に増加しているという。共同創立者で会長のPatrick Grove(パトリック・グローブ)氏はプレスリリースの中で「この投資を得られたのは、明らかにiflixのビジネスモデルが成長する見込みであることの裏付けだ。また我々は各地域最大のコンテンツプロバイダとの関係を強めることができた」と述べている。

iflixは2018年12月に、Kwesé iflixというアフリカの事業の株式を売却し、東南アジアと中東の市場に集中すると発表していた。Crunchbaseによれば、最新のラウンドまでに調達した資金の合計は3億5000万ドル(約378億円)以上になるとみられる。

画像:Vesna Jovanovic / EyeEm / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)