HoloLensの軍用利用に関する5億ドルの政府契約事業、マイクロソフトCEOは擁護

マイクロソフト(Microsoft)に、同社の拡張現実技術「HoloLens」を米陸軍に納める5億ドルの政府契約を反故にする気はない。

CNNのインタビューでマイクロソフトのCEO サティア・ナデラ(Satya Nadella)氏はこう言っている。「わが社は、自分たちが今エンジョイしている自由を護るために民主主義に基づいて選んだ諸機関に対しては、技術の供与を拒否しない、という道義的意思決定を行った。その意思決定に関してわが社はきわめて透明であり、(反戦的な)社員たちとの対話も継続していく」。

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現在200名あまりの社員が総額4億7900万ドルの政府契約の廃棄を求める経営陣に対する書簡に署名しているが、それに応じないとするCEOのこの言い分はまったく意外ではない。マイクロソフトは以前、政府の契約事業の遂行に関する社内精査を行っている。それに基づいて今回はまだ新しいAR技術が、テクノロジーの力で戦闘の最前線における米軍の殺傷能力を強化する、と称する契約事業に利用されることになった。

米国時間2月22日、社員グループから上層部に送られた書簡は、その4億7900万ドルの軍用契約の停止を求めている。グループの主張によれば、書簡に署名したマイクロソフト社員は200名を超えている。

「入社時の契約業務内容に武器の開発はなかった。自分の仕事の使われ方に関しては、自分に発言権がある」と書簡に書かれている。

その書簡の発表の数日前には、同社はあるイベントで、同社の拡張現実技術の進歩を強調した。

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Microsoft大変身の勝利と悲劇、Nadellaの思い切った大鉈の経過を検証

長年MicrosoftのCOOだったKevin Turnerが去ったことは、Satya Nadellaがトップになってからの同社の、重要な転機になった。TurnerがいなくなってからはNadellaが全権を握り、最近のレイオフや新しい戦略、人事などはすべてそのことを反映している。それらは同社が、Windows/Office一点集中型の企業から、AzureとOffice 365という新しい二本の脚(あし)で立つ企業に移行したことを、表している。

しかもそれは、意外ではない。Nadellaは最初からクラウド指向の姿勢を鮮明にしていたし、そのことはCEO就任からわずか52日後の記者発表“モバイルファースト/クラウドファースト”にも表れていた。Microsoftの変身は今も続いているが、すでにBallmer色は過去のものとなり、Nadellaによる同社の技術と企業文化の大改革が試みられている。

NadellaはCEO就任以降、技術や経済の大きな変化の中で、Microsoftという船の舵取りに追われていた。今年の5月に行われたデベロッパーカンファレンスBuildでは、2014年のバイルファースト/クラウドファーストに加えて人工知能と機械学習に焦点を当て、同社を確実に未来へ向かう道程へ乗せようとした。

またNadellaは、2014年の就任以降40社あまりを買収し、新たな技術の取得にも努めてきた。ちなみに、買収企業はクラウド関連が多い。これまでで最大の買収は260億ドルを投じたLinkedInだ。いちばん最近の買収は先月末のCloudynで、Azureなどのクラウドプラットホームのユーザーの、クラウドの利用状況を分析教示する企業だ。

果敢な新役員人事

Turnerの退任後Nadellaはまず最初に、クラウド中心で行くという彼のビジョンを共有する二人の人物を、全世界の営業を統轄する部署に置いた。Judson Althoffが全世界の商用ビジネスの長となり、Jean Phillipe Courtoisがグローバルな営業を率いることになった。

先週明らかになったように、Microsoftは近く数千人をレイオフするが、その多くは営業の余剰人員だ。このレイオフは、AlthoffとCourtoisが早くも導入した新たな戦略の結果かと思われる。先週のThe Wall Street Journalの記事によると、同社は単純にWindows中心の世界に別れを告げるだけでなく、業種業界企業別に縦割りだった営業の組織形態を廃止し、大企業と中小企業をもっと幅広い視野で捉える組織に変えていくのだ。レイオフは、その変革がもたらした結果の一部だ。

またこれらのレイオフを背景として、Microsoftは、1993年以来同社に在籍し、2013年からはCIOを務めた古顔の役員Jim Duboisの退社を発表した。彼がCIOに任命されたのは、NadellaがCEOになるよりも前だ。いわば、同社の古い時代の顔である。

そしてそれを機に役職名がCIO(Chief Information Officer)から、より現代的なCDO(Chief Digital Officer)に変わり、その初代にKurt DelBeneが昇格して、Duboisの仕事の多くを引き継いだ。

これらの異動はすべて、最近のMicrosoftの変化の一側面だ。変化により、前の時代を支えた役員たちは去らねばならない。そして思考の波動がNadellaと合う人びとが、それらの役に就く。

レイオフと並行しての動きとは

今日(米国時間7/10)Microsoftは、新しいプロダクトを二つ発表したが、その今日は、WSJが先週報じた、大企業と中小企業を共に対象とする営業のグローバルな大変革が着手される日だ。プロダクトのひとつ、Azure Stackは、クラウド技術としてAzureを利用するプライベートクラウドプラットホームだ。パブリッククラウドに向かないと企業が判断した業務を、これにより自社のデータセンターにインストールしたAzureコンポーネントで動かすことができる。

もうひとつは、中小企業を対象とするOffice 365関連プロダクトだ。それには、メールマーケティング、リスティング、請求書発行、などのサービスが含まれる。

ご覧のように二つのプロダクトは、大企業と中小企業を共に視野に収めている。レイオフなんて、要するにダウンサイジングじゃないか、という声もあろうかと思われるが、でもそれを、このようにほかの動きと並置してみると、これらが単なる偶然の時期的一致とは思えなくなるのだ。むしろ、ひとつの重要な戦略変換の、さまざまな側面と見えてくる。

CEO就任から3年あまりになるNadellaのMicrosoftにおける影は、薄いどころか近年ますます濃い。先週の突風のような急激な変化が、まだまだ今後もある、と考えるべきだろう。巨大企業がその全域にわたって変身を成し遂げようとすると、あちこちで変化の嵐が吹き荒れるのだ。

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Office Onlineのリアルタイム編集コラボレーションがDropboxなどMicrosoftのパートナー上のファイルに対してもできる

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Microsoftが今日(米国時間1/27)、1年前に始めたCloud Storage Partner Program(CSPP)を拡大して、BoxとDropbox、Egnyte、CitrixおよびShareFileのより深い統合をローンチする、と発表した

この‘深い統合’による、同社が自慢しているひとつの新しい機能は、Office Onlineのリアルタイム共同執筆だ。ドキュメントは、パートナーのクラウドサービスに保存されていてもよい。これにより、複数の人が一つのドキュメントの上でリアルタイムにコラボレーションできる。

共同執筆(co-authoring, コオーサリング)は前からGoogle Docsの目玉機能だったが、2013年にOffice Onlineにも登場した。ただし、Microsoftのプロダクトからしかドキュメントにアクセスできなかった(OneDriveとSharePoint Online)。昨年Microsoftは、BoxやDropboxのような人気のクラウドサービスとパートナーし始め、Officeで何でもできるように努力した。しかしそれなのに今日までは、ユーザーはこれらのサービスにファイルを保存できても、保存したドキュメントの共同執筆はできなかった。

EgnyteのCEO Vineet Jainの説によると、MicrosoftのボスSatya Nadellaは、今後有望なエンタープライズクラウドサービスに熱心なので、競合よりもプラットホームの門戸をEgnyteのような企業にどんどん開いている。

クラウドパートナーの統合は、Office for iOSでもできるようになりつつある。Dropboxのユーザーはすでに、そのアプリの中でPowerPointやWord、Excelのドキュメントを編集できていたが、今ではそれがBoxでもできるようになった。Microsoftによると、もうすぐCitrixやShareFile、Egnyte、それにEdmodoでもできるようになる。

DropboxとBoxは今後、Outlookのメールサービスとも統合するので、Dropbox/Boxに保存されているファイルをメールの連絡先へ簡単に送れるようになる。その際ユーザーは、ドキュメントをメールの添付ファイルで送ったり、あるいはクラウド上のリンクを送ったりする。

関連記事。〕

 

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Microsoftがクラウドプラットホームの10億ドル相当の利用を全世界の非営利活動に無償提供

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MicrosoftのCEO Satya Nadellaが今日(米国時間1/19)、今後3年間、Microsoft Cloudサービスにおいて非営利団体に10億ドルの寄付を行う、と発表した

計画では、Azure, Office 365, PowerBI, オンラインCRMなどMicrosoftのクラウドプラットホーム上で、合計約7万の非営利団体をサポートする。

今日の発表声明で、Nadellaはこう述べている: “Microsoftは、われわれの世代におけるもっとも変える力のある技術であるクラウドコンピューティングサービスを寄付して、この惑星全域の、使命を追求されておられる組織に力をお貸しする。今後は、7万あまりの組織が技術にアクセスし、それを、大きな社会的問題の解決に利用して、究極的には人間の状態を改良し、新たな成長を平等に前進させるだろう”。

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またMicrosoftの計画では、Azureのストレージとコンピューティングリソースへの無料アクセス助成を、大学の研究員に拡大する。現在、約600の研究事業がこの助成を受けているが、今後はその対象者を50%増やす。

さらにこれらのサービスには、“新しいローコストなラストマイルインターネットアクセス技術とコミュニティトレーニングへの投資”が組み合わされる。これの実際の意味は、たとえばアフリカにおける、テレビの(電波帯の)ホワイトスペースをインターネットアクセスに利用するプロジェクトをサポートすることだ。Microsoftは、2017年までに15か国で20の同種プロジェクトをサポートする計画だ。

根っからの皮肉屋であるぼくなんか、この3年が終わったときどうなるのか、と疑問に思わずにはいられない。こういう、初期利用の無料サービスは販促的な試用期間として提供されることが多く、無料期間が終わればプラットホームの正規ユーザになることが期待される。大学を対象とする事業も、同様だ。学生が卒業したら、これまで大学で使い慣れていたサービスを継続して利用するだろう、というわけだ。

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マイクロソフトCEO、女性差別発言を再度謝罪、多様化への新たな取り組みを約束

Microsoftは、先週CEO Satya Nadellaが、女性はおそらく昇給を望むべきではない、と発言したことが引き起こしたダメージに対処することによって世間のイメージを修復し、方針を転じる努力を進めている。Nadellaの発言はまたたく間に 彼の音痴ぶりを世界中に広める結果となり、今も謝罪と改革の約束を続けている。

Nadellaは最初の発言を、すぐにツイートで訂正、後に正式撤回した。今日、Nadellaは社内メモの中で、新たな謝罪に加えて、彼がMicrosoftで多様性に関して何を実施しようとしているかを詳しく説明した。

メモの全文はGeekWireが公開しており(TechCrunchはMicrosoftにテキストが本物であることを確認した)一読の価値がある。重要な部分を以下に引用した。

私たちが前へ進めることのできる、そして ― 今すぐ ― 進めるつもりである領域は3つある。

第一に、われわれは同一の仕事には同一の報酬、同一の仕事には同一の機会を与えることに焦点を当て続ける必要がある。多くの社員が、他の社員と同等の報酬を得ているかどうか質問した。私は人事部門に以下のことを確認した。毎年わずかな変化はあるが、Microsoftにおける性別および人種による基本給の違いは(職級、肩書きを考慮した上で)一貫して0.5%以内である。例えば、昨年米国における同一職位、同一職級の女性の報酬は、同一職位、同一職級の男性の99.7%だった。年度や個々のグループによって100%をわずかに上回り、あるいは下回ることがある。しかし、このことは重要な事実を隠している。われわれは、全員が同じ仕事に対して同じ給与を受け取るだけではなく、同じ仕事をするために同じ機会を与えられるよう徹底しなければならない。

第二に、われわれはMicrosoftのあらゆる階級において、より多様な人材を採用する必要がある。最近当社が公表した数字にあるように、Microsoftおよび業界全体には、努力すべきことがある。現在の数字は十分ではなく、顧客が多様でグローバルなこの世界にあっては特にそうだ。この目標を達成するために ― そして特にエンジニアリングにおいて ― 社員の多様化を上級階層へ拡大し、大学その他の採用活動への取り組みに一層努力する必要がある。多様化と包活化の改善は上級幹部全員の目標である。

第三に、包活的カルチャーを育むための教育を、全社員に広げる必要がある。われわれは既にこうした領域の教育と開発を進めているが、あらゆる仕事と行動における、包活的振る舞いをモデル化するための、適切なレベルの説明責任を追求する必要がある。Connect[報告システム]はどう書かれているか、どのように業績フィードバックはなされているか、新規雇用者はどうやって選ばれているか、昇進や昇給はどのように決められるのか等について、われわれはよく考える必要がある。これらの事柄すべてに影響を与える、意識的無意識的両方の思考に焦点を当てる必要があり、D&Iにおける義務化された教育は最高の出発点である。

米国内従業員の給与に関するデータは明るい話題だが、完璧にはほど遠い。Microsoftは多国籍組織であり、社員は世界に広がっている。自国内におけるほぼ完全な給与の公平性は良いことだが、もし他の国々の数字は違うのであれば、早急に改善しなければならない。

Microsoftは、国別のさらに詳しい統計データを出すことが望まれる。そのデータは、世界中の女性が自国における労働状況の理解を深める助けになるだろう。そして、給与の性差が大きいIT業界が理解を深める助けにもなるだろう ― 人々が自分にふさわしい昇給を要求する助けにも。

会社の上級幹部チームに多様性を課すことは、原理的にはすばらしいが、結果を見るまでわからない。これは実証に時間のかかる活動でもあり、その効果を短期間に測ることは不可能だ。教育も、後にならないと効果がでないという点では似ている。しかし、それでも良いアイデアである。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Microsoft、1万8000人の人員削減を発表―うち1万3000人は今年中にレイオフ

今日(米国時間7/17)、Microsoftはかねてから予期されていた大規模な人員削減を実施することを発表した。先週のサティヤ・ナデラCEOの全社員向けメールがはっきりとこの方向を示していた。

今日のnaderaのメールは、人員削減の具体策を述べている。これによると、来年末までにトータルで1万8000人がレイオフされる。このうち1万2500人はMicrosoftが買収したNokiaの携帯電話事業の従業員となる。

ナデラは、うち1万3000人についてはすでにダウンサイジングを進めており、「そのほとんどは向こう6ヶ月のうちに通知を受けることになる。詳細は今日中に上級幹部から各職場に伝達される」としている。

今回の人員カットの主要なターゲットはNokiaのようだ。MicrosoftがNokiaが買収した際、このフィンランド企業の携帯電話事業の従業員は2万5000人程度だった。「Nokiaデバイス及びサービス事業部とMicrosoftの相乗効果を高め、戦略的人員配置を行うために1万2500の職が影響を受ける」とナデラは述べた。つまり買収されたNokia社員の半分がレイオフされるわけだ。これと同時に、Microsoft社内のNokiaと重複する職の一部も削減されるだろう。 ちなみにGoogleも買収したMotorolaのハードウェア事業をLenovoに売却する前に6000人のレイオフを行っている。

今回のレイオフには「マネジメント階層の削減による組織のフラット化」という狙いも含まれている。また低価格のLuma Windows Phoneシリーズに注力するためにAndroidベースのNokia Xシリーズは廃止されるもようだ。

対象となる社員には退職手当が支給される他、他地域に就職する場合は移転費用も支払われる場合がある。ナデラは明日、社内でQ&Aセッションを実施するという。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


MicrosoftのCEO、サトヤ・ナデラ、「われわれはポストPCのさらに先の時代に入る」

MicrosoftのCEO、Satya Nadellaは「Microsoftは現在のポストPC時代のさらに先を見据えている。来るべき時代には企業も個人もひとつのデバイスに縛り付けられることなく、クラウドとモバイルを主要な環境とするようになる」というビジョンを語った。

第1回のCODEカンファレンスでNadellaは「われわれは今、ポスト・ポストPC時代の入り口に立っているのだと思う」と述べた。

NedellaはMicrosoftのCEOに就任してからまだ3ヶ月だが、大いに多忙な3ヶ月だった。Nadellaの就任後、MicrosoftはOffice for iPadをリリースし、 72億ドルでNokiaを買収し、ハードウェアではSurface Pro 3を発表して大きな反響を呼んだ。

もちろんこうしたプロジェクトの多くはNadellaの就任以前からスタートしていた。しかし30年を超えるMicrosoftの歴史でBill GatesとSteveBallmerに次いで3人目のCEOとなったNadellaはこの会社を再定義するという使命に取り組んでいる。これまでのMicorosoftはソフトウェア・ベンダーだったが、Nadellaはこれをデバイスとサービスの企業に変身させようと懸命だ。

クラウドとエンタープライズ担当の執行副社長であったNadellaはその任務にまさに適任だといえよう。

Microsoftはかつてなくハードウェア事業に力を入れている。その理由のひとつはポストPC時代の本格的な到来と共に、パソコン向けソフトウェアのライセンス事業の上にあぐらをかいていられなくなったという事情だ。

AppleのiOSとGoogleのAndroidがモバイル開発の主要プラットフォームとして地位を確立してしまったため、Microsoftはモバイル分野における独自の地位を守るためにWindowsのモバイルデバイスの93.5%を製造しているNokiaを買収せざるを得なかった。

独自ハードウェアと同時に、Microsoftはクラウド・ベースのサービスも次々に発表した。これをよく象徴するのがMicrosoftのクラウド・インフラを最大限に利用したNokia Lumia 930だろう。

Nadellaが果たしてMicrosoftを救えるほど素早くポスト・ポストPC時代への変身を完了できるかに.強い関心が集まっている。

さらに取材中。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


サトヤ・ナデラ執行副社長がMicrosoftの新CEOに就任―ビル・ゲイツはテクノロジー・アドバイザーに

Microsoftは大方の予想どおり、スティーブ・バルマーの後任の新CEOにサトヤ・ナデラ(Satya Nadella)を任命したと公式に発表した。 NadellaはMicrosoftに過去22年間在籍し、これまでクラウドとエンタープライズ担当執行副社長を務めていた。ナデラは同時にMicrosoftの取締役会にも参加する。ファウンダーのビル・ゲイツはこれまでよりMicrosoftへの関与を強める

ナデラはMicrosoftのクラウドサービス事業の推進のカギを握る人物と認められてきた。ナデラはまたBing、Xbox 、Microsoft Officeの最高責任者でもある。ナデラはMicrosoftのビジネス・サービス事業をわずか5年間に15億ドルから50億ドルに急成長させた。

スティーブ・バルマー前CEOは全社員向けのメールでこのニュースを発表し、「Microsoftの将来に大いに興奮している」(バルマーらしい。この大男がいなくなると寂しい)と述べた。ナデラ自身も社員向けにメールを送り 、ゲイツにMicrosoftの業務に関与する時間を増やすよう頼んだことを明らかにした。ナデラはイノベーションの重要性を指摘し、特にモバイルとクラウドがMicrosoftの将来のカギとなる重要分野だと述べた。

私は今後10年間にコンピューティングがいっそうユビキタス化し、新しい知的環境を作り出すと考えている。ソフトウェアと新しいフォームファクターのハードウェアは手をたずさえて発展し、われわれのビジネス、生活、そして世界をさらにデジタル化することになるだろう。これを可能にするのは、ますますインターネットに密接に接続するようになるデバイス、クラウドの膨大なコンピューティング能力、ビッグデータをベースにした洞察、機械学習による知能だ。

ナデラはさらに将来のコンピューティング環境においてMicrosoftは独自の位置を占めているとして次のように述べている。

Microsoftは あらゆるデバイスを通じて、あらゆる人々、あらゆる組織にソフトウェアの力を届ける力をもった唯一の存在だ。巨大な可能性を持つプラットフォームとエコシステムの建設と発展の努力とその実績においてMicrosoftは比類ない会社だ。

ナデラのCEO就任はMicrosoftが現在190億ドルのサーバーおよびツール事業へさらに力を入れることを意味する。新CEOはXBox事業の責任者であり、知的所有権、対話的TVなどの分野にも手腕を発揮しそうだ。この点でもナデラは他の候補者よりはるかにCEOとして適任だ。ナデラ’はクラウドとモバイルの重要性を繰り返し強調したが、これはMicrosoftがハードウェア事業を軽視するようになることはないという決意の表明だろう。

MicrosoftはナデラのCEO任命と同時に、元CEOのビル・ゲイツがファウンダー・テクノロジー・アドバイザー(Founder and Technology Advisor)に就任することを発表した。これによってゲイツは現在よりも積極的にプロダクト開発に参加することになる。これはナデラがハードウェア事業に経験が不足しているとみられることに予め先手を打った動きだ。実際、ゲイツがベンチを出て打席に立つようになれば、チームは大いに強化されるだろう。新しい役職のもとでゲイツは時間の30%をMicrosoftの業務にあてることになる。

Microsoftの39年の歴史でナデラは3人目のCEOだ。その前はゲイツが1975年から2000年まで、バルマーが2000年から2014年1月までCEOを務めた。

Microsoftは今回の人事異動に関して太平洋時間午後12:00からウェブキャストを行うということなのでわれわれは引き続きフォローしていく。

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MicrosoftがAzureの合衆国政府専用インスタンスを発表, 次期CEOに関する質問には答えず

Yammerのサンフランシスコオフィスで今日(米国時間10/7)、MicrosoftのSatya Nadellaが、同社のクラウドプロダクトAzureの合衆国政府顧客専用のインスタンスを発表した。このプロダクトはこれまで”Windows Azure US Government Cloud”と呼ばれていたもので、単独のサービスとして合衆国国内でホストされ、合衆国の国民にしか管理できない。この発表の前には、Microsoftはそのプロダクトを政府に売るための特殊な認可をもらった、というニュースが流れた。

合衆国の政府顧客用のAzureは、最近相次いで暴露された政府諜報部門の、国民に対する密かなスパイ行為などに照らすと、強烈な皮肉だ。そういう悪いことをしている政府が、自分を守るためにAzureの特別のインスタンスを必要とするなんて、ブラックユーモアだね。

もちろん、Microsoftが悪いわけではない。同社はサービスを、それを必要とする者に売りたいだけだし、政府に売るためにAzureを手直しする必要があったとしても、べつに問題はない。テクノロジに関していつも遅れてばかりいる政府部内で、クラウドの需要がどれぐらい大きいのか分からないけど、今度調べてみよう。

同じ席でNadellaはもう一つ、Skypeは再編成によりその多くのプロセスをAzureの上で動かせるようになった、と声明した。でも、たぶんいちばんおもしろかったのは、データセンターのグローバルな展開を伴うAzureぐらいのサイズのパブリッククラウドの構築費用は50から60億ドル、とNadellaが言ったことだ。相当高いハードルだ。ローカルなクラウドはもっと小額で立ち上げられるが、AWSやAzureの規模を達成するためには、“10億(billion)”のオーダーの投資が必要なのだ。しかも今後のパブリッククラウドの成長を支える、成長資金も必要だ。

Microsoftの今日の発表では、10月にHDInsight on Azureをリリースする。これはApacheのオペレーティングシステムのためのHadoopベースのサービスで、Microsoftの最近始まったばかりの、オープンソースへの傾斜の、また一つの現れだ。

今日行われたイベントは、Microsoftのエンタプライズ&クラウドグループのアップデート総合発表会(fusillade of updates and notes)と呼ばれる。Nadellaは次期CEOに関する質問をはぐらかし、Steve Ballmerは今でも”リッパに”同社のCEOだ、と言った。それを言ったあと彼は、瞬(まばた)き一つしなかった。

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