SpaceX、再利用したFalcon 9の2度目の回収に成功

SpaceXは今日の歴史的宇宙飛行でもう一つの重大任務を完了した。Falcon 9ロケットを浮遊ドローン船で回収することに成功した。これが大きな偉業である理由は、以前にも同じロケット同じドローン船で同じことをしているからだ。Falcon 9は昨年4月の国際宇宙ステーションの補給ミッションで打ち上げおよび回収に成功している。

今回のFalcon 9回収は,SpaceXが打ち上げにロケットの再利用に成功しただけでなく、ストレス試験と評価をした後にもう一度再利用できる可能性があることを意味している。

「今日は宇宙業界にとっても、宇宙全体にとっても驚くべき日だ」と回収直後のインタビューでElon Muskが語った。「軌道に乗るロケット繰り返し飛ばすことができる。打ち上げロケットは宇宙飛行でもっとも高価な部品だ」。

「ここまで来るのに15年かかった。いくつもの困難を乗り越えてきた」とMuskは付け加えた。「この驚くべき偉業を成し遂げたSpaceXチームをただただ誇りに思う」。

Muckは彼自身が従来行ってきたロケット飛行との違いを繰り返し強調した。打ち上げるたびにブースターロケットを捨ててしまうのは、フライトのたびに飛行機を捨てるようなものだという。もちろん、それはあり得ないことでありそこが彼の要点だ。ロケットを再利用することで宇宙旅行のコストを劇的に下げることができる。SpaceXの究極の目標はビジネスに成功するだけでなく、人間を「多惑星種」にすることだ。

この偉業の大きさはいくら強調してもたりないが、やるべき仕事はまだ山ほどある。SpaceXのゴールはロケットを〈同じ日〉に再打ち上げすることだ。これは明らかにスケールの違う挑戦だ。それでも今日証明されたことが一つある。確実にそこに近づいている。

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SpaceX、軌道ロケットFalcon 9の再打ち上げに初めて成功

SpaceXは、同社のロケットFalcon 9の再打ち上げに初めて成功した。地球周回軌道に乗るロケットを再利用した世界初の快挙だ。この実績は、ロケット打ち上げを低価格にして企業や政府機関が利用しやすくする、というSpaceXの長期事業計画にとって極めて重要な意味を持つ。宇宙飛行の経済を根本から変えることで野心的プロジェクトを推進し、最終的には火星旅行を目指す。

このロケットが最初に使用されたのは昨年のことで、Falcon 9ロケットを海上に浮かぶSpaceXの無人ドローン船に軟着陸させることに成功した。国際宇宙ステーションに物資を補給するCRS-8ミッションの一環として昨年4月に実行された。それ以来SpaceXは再飛行の実現に向けてテストを重ねてきた。

「我々は火星への片道旅行をめざしているのではない。必ず帰ってこられることを約束したいと思っている」とSpaceXの社長、Gwen Shotwellが発射前のインタビューで語った。「それはロケットシステムの再利用が必要であることを意味している」。究極的には着陸した同じ日に再打ち上げできることが目標だと彼女は言い、今回使用したFalcon 9ロケットは再利用するための改修に4か月を要したことを付け加えた。

再利用可能なロケットを作ることも、それをすぐに再利用できるようにすることも、商用宇宙飛行市場への道を大きく広げる鍵だとSpaceXは言う。

この歴史的快挙を成し遂げたSES-10ミッションは、顧客である人工衛星運営企業のSESのために通信衛星を打ち上げることが目的だった。SpaceXにとってSESのための任務はこれが3度目で、SESにとっては軌道に乗せた11個目の人工衛星だ。この衛星は静止衛星と呼ばれ、ロケットによって最終配置地点に置かれたあとは、地球軌道上の固定位置に静止し続ける。

SES-10人工衛星は6:59 pm EDTに無事配置された。これは費用を負担する顧客を含めてミッション全体が成功を収めたことを意味する。

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SpaceXの補給船、ISSから機器・データを無事回収

昨日(米国時間3/19)、SpaceXはISS〔国際宇宙ステーション〕へのCRS-10補給ミッションの最後の段階を実施した。2月19日に打ち上げられたDragonカプセルは2トン以上の物資および実験機器をISSに補給した。この数週間、ISSのクルーはペイロードの移動に忙しかった。

日曜日にDragon補給船はISSとの結合を解かれた。位置制御ロケットを噴射してISSから徐々に遠ざかり、地球大気圏への再突入軌道に入った。この5時間の帰還ミッション中にDragonはロケットの逆噴射を行い、また不必要なゴミを放出して大気圏上層で燃え尽きさせた。太平洋時間7:48ににDragonは無事太平洋に着水した。

SpaceXは洋上から無事にDragonカプセルを回収し、船に積んで帰還中だ。カプセルは陸揚げされた後、NASAに向かう。 カプセル及び宇宙から回収された各種の機器やデータはそこで精査される予定だ。

SpaceXの次回の打ち上げは3月27日が予定されている。ペイロードはルクセンブルクの衛星企業、SESのテレビ放送と多用な通信の能力を持つ衛星だ。

〔日本版〕リンク先記事にはDragon補給船を打ち上げたFalcon 9のブースターが垂直着陸に成功するビデオなどがエンベッドされている。

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SpaceX、EchoStar XXIII放送衛星を静止軌道に打ち上げ成功

SpaceXはEchoStarの放送衛星を静止軌道に打ち上げることに成功した。この打ち上げは2度目の試みだった。火曜日の打ち上げは地上の天候不順のため延期されていた。SpaceXはEchoStar XXIIIを水曜日(米国時間3/15)に高度35800kmの軌道に投入した。 発射されたのは火曜日の午前2時(東部時間)だった。

これまでSpaceXがFalconロケットで打ち上げてきた衛星に比べて、EchoStar XXIIIはきわめて大きいペイロードだった。そのためSpaceXは今回の打ち上げではブースターの回収を試みていない。SpaceXでは去る9月に打ち上げ前の点検段階でFalcon 9が爆発するという事故を経験しているが、その後の打ち上げは2回とも成功し、ブースターも回収している。

SpaceXがEchoStar打ち上げに使ったのはフロリダ州ケープカナベラルのケネディー宇宙センターのLC 39A発射台だった。SpaceXがこの発射台を使うのは2度目で、前回の打ち上げは国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給だった。EchoStarはSpaceXがLC 39A発射台を使う最初の商業的打ち上げとなる。この発射台はアポロ11号の打ち上げに使われたことがあり、NASAの歴史上重要な施設だ。アポロ11号は人類を最初に月面に到達させたミッションとして長く記憶されている。

〔日本版〕Dish Networkは当初EchoStar社のブランドとして出発した。2008年にDish Network社が分離されて衛星放送業務を担当、打ち上げを含む衛星テクノロジー全般をEchoStarが担当することになったという。

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NASA、SpaceXの月旅行支援を発表―さらなる野心の現れだ

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SpaceXが来年乗員2名を月周回軌道に往復させるという計画を発表して世界を驚かせたのに続いて、NASAがSpaceXのプロジェクトを支援するという声明を発表した。短い声明だが言外の意味は大きい。民間企業の宇宙進出は政府機関の宇宙開発も拡大させる追い風となるようだ。

この声明は、「民間企業に協力することは宇宙の商用利用(という付随的任務)からNASAを解放し、次世代ロケットや宇宙船の開発、月以遠の宇宙の探索という本来の任務に専念することを可能にする」としている。

これはつまり「そこなら行ったことがある!」というたぐいの旅行の自慢話的な任務からNASAを切り離すという宣言だろう。「月? クールだね。なるほど1969年には最前線だった。SpaceXが再訪するというのはけっこうなことだ。初めて行く人は興奮するだろう。われわれは火星や木星に集中できる。惑星探査は素晴らしい任務だが、とてつもなく時間と資金を食う。SpaceXが月に行くのを引き受けてくれるなら素晴らしい」という意味に違いない。

NASAははるか昔から民間企業が宇宙を自由に利用できるエコシステムを建設しようと努力してきた。商用利用の主役が民間企業になれば、NASAは限られた資源を深宇宙の探査に振り向けることができる。実際これがNASAの本来的使命でもある。もっともSpaceXなどの民間企業自身が火星以遠への旅行について興味を示しており、ライバルになる可能性がある。

ともあれ宇宙マニアにとっては目が離せない展開になってきた。

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SpaceXのDragon補給船、無事にISSにドッキング成功

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日曜日にケネディー宇宙センターから2.5トンの観測機器などの物資を搭載して打ち上げられたSpaceXのDragon補給船はISS〔国際宇宙ステーション〕とのドッキングに無事成功した。Dragonは一度ISSに接近したもののGPS計器の示す値に異常があったためドッキングは一度中断された。

2012年以來ISSに物資を補給しているSpaceXにとってドッキングの中断は初めてのことだった。しかし木曜日〔日本時間金曜〕の2回目の試みはなんら問題なく成功したようだ。ISSの長大なロボットアームがDragonをつかみ、物資搬入用アタッチメントをISSにドッキングさせた。

Dragon補給船の物資は約1ヶ月かけてISS内に搬入される。その後DragonはISSから切り離され、太平洋上の所定の海域に落下する予定だ。

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SpaceXのISS補給船がドッキングに失敗―金曜に再挑戦

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今日の明け方(米国時間2/22)、GPSに問題が起きてSpaceXのDragon補給船はISS〔国際宇宙ステーション〕とのドッキングに失敗した。補給船はISSから800メートル程度の距離まで接近していたが、ドッキングは中止された。NASAによればDragon補給船、ISSおよび乗員の安全に問題は生じていないという。

再挑戦は木曜日〔日本時間金曜〕に行われる。SpaceXがISSへの補給ミッションを中断さぜるを得なくなったのはこれが最初だ。SpaceXはISSへの補給任務を2012年から開始している。偶然だが、数時間前にロシアの補給船がカザフスタンの基地から打ち上げられている。こちらの補給船は金曜日〔日本時間土曜日〕にドッキングが予定されている

SpaceXのDragon補給船は予定では今朝ドッキングし、宇宙から地球大気のオゾン層をモニターするために特別に製作された機器などの物資をISSに移すことになっていた。GPSの不具合によりDragon補給船のシステムは自動的にランデブーを中断してISSから距離を取った。

今回のSpaceXの補給船はケネディー宇宙センターの39発射施設から打ち上げられた。ここはアポロ計画で用いられ、またスペースシャトルを発射した発射施設でもある。NASAにとっては大きな歴史的な意義のある場所だ。SpaceXではこの発射施設から2018年上半期にも有人宇宙船を打ち上げたいとしている。

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ボーイング、3Dプリントで衛星の小型化、製造の効率化へ

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宇宙航空産業のボーイングは衛星の小型化、組立工程の省力化を進めようとしている。Wall Street Journalの記事によれば、ボーイングは衛星を運用可能にするまでの複雑な手順の多くをオートメーション化して製造を効率化するという。

衛星打ち上げ事業のSpaceXやナノ衛星開発のスタートアップ、PlanetKepler Communicationsなど、効率に優れた身軽な新企業の参入はボーイングのような既存の大企業に圧力を与え始めているようだ。

以前から(宇宙航空に民間企業が関与し始めた当初から)、宇宙空間はボーイングのような政府との契約に大きく依存する少数の大企業が独占していた。こうした企業は長年にわたってコストに利益を上乗せすることができる政府契約に守られて楽なビジネス運営を続けてきた。しかしSpaceXのようなスタートアップの参入で事情が大きく変わった。効率的な経営のSpaceXはロケットの打ち上げ費用を大きく引き下げ、これはボーイングの宇宙事業の利益を大きく圧迫した。つまりレガシーの宇宙航空企業もそのあり方を根本的に見直す必要に迫られていたといえる。

ボーイングの衛星事業部の責任者、Paul RusnockはWSJのインタビューに答えて、同社は可能な限りあらゆる部分に3Dプリンティングのような最新テクノロジーを取り入れていくとしている。また衛星自体の設計も見直し、可動パーツを最小化することで組み立ての工数を減らし、信頼性をアップさせていくという。

ロケット同様、衛星もこれまでは個別に特注された部品によって組み立てられていた。こうした部品は非常に高価であり製造にも長時間を要した。これに対して、可動部分を減らし、汎用部品を多用したモジュラー化が進めば衛星の製造コストは劇的に減少する。WSJの記事はさらに、衛星の作動テストについても触れ、コンピューター・シミュレーションをもっと取り入れること、また衛星自身に自己テスト機能を組み込むことでさらに効率化が可能になるはずと指摘している。こうした面でもボーイングなどの大企業には努力の余地が多いにあるようだ。

スタートアップは今やボーイングなどの既存企業が請求していた金額の100分の1程度の価格で同様の機能の衛星を製造可能だとしている。また衛星の開発、製造の期間も数分の一に短縮されると主張している。ビジネスという否応ない現実がボーイングに新しい考え方の採用を迫っている。いずにせよ小さなスタートアップが既存の巨大企業に自己変革を迫るような影響を与えるのは素晴らしい。こうした刺激が産業を前進させていくのだと思う。

画像: Wesley Nitsckie/Flickr UNDER A CC BY-SA 2.0 LICENSE

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SpaceX、Falcon 9ロケット第一段の垂直着陸に成功

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今日のSpaceXミッションはあらゆる点で成功だった。打ち上げに成功したDragonロケットは国際宇宙ステーションに向かっている。SpaceXは、Falcon 9ロケット第1段をケープカナベラルに着陸させることにも成功した。

天候は曇りだったが、SpaceXの打ち上げを妨げるほどではなかったようだ。東海岸時刻午前9時39分、Falcon 9はケネディー宇宙センター39A複合発射施設を飛び立った。

耳慣れない名前かもしれないが、アポロ11号ミッションはこの発射施設を使って1969年に初めて人間を月に送り込んだ。今回この発射施設を使うのは2011年にスペースシャトルを打ち上げて以来だ。

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発射から2分半経過後、Falcon 9ロケット第2段は第1段を切り離した。第1段は地球への帰路につき、一方第2段はDragon宇宙船を乗せて飛行を続けている。

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そして最初の打ち上げから8分後、第1段ロケットはケープカナベラルに無事着陸した。

一方その頃宇宙では、宇宙船Dragonがソーラーパネルを展開し、国際宇宙ステーションに近づくまで数日間地球軌道を飛び続けている。宇宙船は現在宇宙にいる飛行士たちのための補給品2500キログラムを載せている。

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SpaceX、回収したFalcon 9の再利用も「間もなく」

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SpaceXといえば、打ち上げたロケットを安定的に回収している。しかし目的は回収ではなく再利用だ。その再利用がいつになるのかと期待して待っている人に朗報がもたらされた。回収したロケットの再利用に向けてのステップとして、Falcon 9ロケットの静止状態におけるエンジン点火実験に成功したそうなのだ。

点火実験に成功したのは、昨年4月に行った国際宇宙ステーション補給ミッションで使用したもので、海上のドローン船によってはじめて回収に成功したロケットだ。共同ファウンダー兼CEOのElon Muskは、当時からこのロケットを再利用に用いる可能性について言及していた。はやければ2016年の6月にも再利用を行えるのではないかというような楽観的な見通しも語っていた。予定日については大幅に遅れているわけだが、これは無理めの予定を発表するElon Muskにとって、とくに珍しいことではない。

もちろんMuskたちも、予定の遅れを当然であると開き直っているわけではない。SpaceXは「人生はままならぬものだ」というようなことを言っている。Muskの徹底的楽天主義以外にも、9月にはロケットの爆発事故があり、これによって5ヵ月の間はロケットを飛ばすこともできなくなった。

それはとかく、ロケットの再利用はヨーロッパで衛星事業を手がけるSESのミッションで行われる予定だとのこと。詳細は現在詰めているところだが、はやければ3月にも発射を行いたい(今年1月に行われたIridium-1のミッション中にも、初めてとなる再利用を間もなく行う予定である旨をアナウンスしていた)としているようだ。

現在のロケットについて、再利用回数は2、3回の予定となっている。回数が少ないようではあるが、SpaceXはそれにより打ち上げコストは30%程度に抑えられるようになるとしている。すなわち打ち上げを繰り返すほどに、SpaceXのコストメリットが出てくると期待されているわけだ。

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(翻訳:Maeda, H

SpaceX、事故調査を終了、1月8日にIridium通信衛星打ち上げへ

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SpaceXはケープカナベラル宇宙基地で大型ロケットが打ち上げ直後に爆発した事故の調査を完了したと発表した。調査はFAA、NASA、NTSB、空軍等の宇宙航空の安全に関わる連邦機関と協力して実施された。収集された残骸やデータを綿密に調査した他、カリフォルニア州ホーソンとテキサス州マクレガーのSpaceXの施設でも実験が行われた。

事故の調査は去る9月のFalcon 9ロケットの爆発事故の原因を打ち上げに先立つ燃料注入過程に求めている。 SpaceXの調査によれば、第2段ロケットのエンジンの液体酸素タンク内に設置された加圧用ヘリウム容器に問題が起き、圧力上昇により液体酸素が2段目ロケットの外被とライナーの間に入った。この際液体ヘリウムの温度が低すぎたために液体酸素が固化し〔固体酸素はいっそう発火の原因となりなすいため〕問題をさらに悪化させたとみられる。SpaceXではこの問題の短期的、長期的改善に取り組んできた。発表によれば燃料供給過程に関する安全性は短期的に確保されており、長期的な改善も成功すると確信していることを発表した。

事故調査の完了に伴い、SpaceXは来る1月8日にFalcon 9による打ち上げを再開する。ペイロードは10基のIridium通信衛星だ。he Iridium衛星はすでにFalcon 9の打ち上げカプセルに収容されている。

SpaceXが実際に今回の打ち上げを成功させ去年秋の事故発生から飛行再開までのターンアラウンド時間は記録的な短さだ。それでも衛星企業各社の信頼を完全に回復するまえにはかなりの時間がかかるだろう。

〔日本版〕Iridiumを含めた衛星電話全般に関してはこちら

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SpaceX、ドラゴンによる初の有人飛行は2018年を予定

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SpaceXは、NASAのミッションとして有人のDragon宇宙船を2017年中に打ち上げる予定にしていた。当初の予定より半年ほど遅れることとなったが、打ち上げは2018年に行う予定であることが発表された。9月の爆発事故をうけてFalcon 9の燃料搭載プロシージャの改善作業を行なっていたことも一因だ。

事故直後、SpaceXは「デザイン面、システム面、手順面」に及ぶ「調査と改善」が必要となると話していた。この作業に注力していたことにより、有人宇宙船の発射予定が遅れることとなったわけだ。重大事故につながった原因の特定については最終的に完了したともしている。「事故調査の作業と並行してNASAとの連携作業も進めてきており、予定していたマイルストンをすべてクリアして、打ち上げ予定を決定することができました」とSpaceXは話している。

ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、宇宙船に乗員が搭乗している状態で外部から燃料補給を行うというプランは変更になるのではないかとのこと。ただしこの件につきNASAの担当者たちは公式な声明をいっさい行なってはいない。

SpaceXの方は、宇宙飛行士たちが搭乗する宇宙船への燃料補給の仕組みは完成しつつあるとしている。そして今後も実験などを重ねつつ、必要な変更を行っていくことになっていると述べている。

無人飛行実験は2017年11月に行われる予定だ。SpaceXによればDragon宇宙船は10回のミッションを行うことができるように設計されているとのこと。2017年中にはこの無人飛行実験の他にも宇宙服やパラシュート、ロボットアームなどの実験を行なっていくことになるとしている。

同じく商用有人宇宙ロケットの開発を目指すボーイングは2018年6月に最初のテストを行うことになっている。そして有人でのテストも8月に行うとしており、ボーイングおよびSpaceXはスケジュール的にもごく近いなかで競い合うこととなる。予定通りにすべてことが進めば、SpaceXの無人テストが2017年11月で、有人宇宙飛行が2018年5月となる。この通りに進行すれば、SpaceXが少々先行することにはなるわけだ。

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(翻訳:Maeda, H

SpaceX、NASAの地表水探査計画でロケット打ち上げ契約を獲得

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NASAは、2021年4月に予定している初めて地球全体の表層水を調査する計画で、ロケット打ち上げ事業者にSpaceXを選んだ。この「地表水および地形」計画の打ち上げには、SpaceZのロケットFalcon 9が使用され、カリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地の4E発射施設から飛び立つ。

NASAにとって初めてのこの計画は、地球の海洋を高精度で測定するとともに、海の時間変化も記録する。この調査では世界の90%以上をカバーし、川、湖、海、その他の淡水および海水を、21日ごとに2回以上測定する。このデータを収集する目的は、気象科学での利用に加え、世界中の人々の淡水の確保にも役立てることだ。

現在SpaceXは、打ち上げ予定の中にNASAの計画を9件抱えているが、去る9月に発射台の打ち上げ前検査中にSpaceXロケットが爆発を起こして以来、打ち上げ再開の正確な日程は明らかにしていない。11月初めにSpaceXのCEO Elon Muskは、爆発の原因調査が間もなく終るので打ち上げは早ければ12月中旬に再開できるだろうと話した。

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民間企業の宇宙レース激化―ボーイングCEOが「SpaceXより先に火星に着く」と宣言

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競争は進歩の源だ。ボーイングのCEO、Dennis Muilenburgが人間を火星に送り込むレースでSpaceXに勝つことを宣言したのは素晴らしい。

Bloombergによれば、Muilenburgば火曜日、シカゴで開催されたカンファレンスで「火星に足を踏み入れる最初の人類はボーイングのロケットを使っているものと確信している」と語った。

ボーイングはスペース・ローンチ・システム(Space Launch System)と呼ばれる大重量打ち上げシステムを開発中だ。これはTechCrunchでも紹介したSpacecXの惑星間輸送システム(Interplanetary Transport System)とほぼ同様の目標を狙っている。先週開催された宇宙開発に関するコンベンションでSpaceXのCEO、イーロン・マスクはキーノート講演を行い、この惑星間システムについて詳しく説明した。

ボーイングとSpaceXはすでにNASAからの衛星打ち上げの契約獲得でビジネス的に激しい競争関係にある。ボーイングがSpaceXに対抗して有人火星探査計画に力を入れているのはこうした現実のライバル関係を反映したものだろう。ボーイングでは早ければ2030年代後半に火星の有人探査を実現する計画であり、これにはNASAの資金援助を受けて600億ドルの開発費用がかかるとみている。

これに対してマスクの計画によれば、火星の植民が実現する時代にはSpaceXの1人あたり費用は20万ドルという実現可能な額になっているという。火星プロジェクトの資金は企業、公的組織から広く集められる(マスク自身も投資する)としている。

単なるマーケティング上の効果を狙った発言ではなく、ボーイングが実際にSpaceXと競争する計画であるなら、こうした競争関係はプロジェクトを前進させる効果が期待できよう。その結果、火星有人探査が単なる夢から現実の目的になっていくことを期待したい。

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SpaceX、惑星間輸送システムのコンセプトビデオを公開


SpaceXは、同社の惑星間輸送システムのコンセプトCGを紹介する新しいビデオを公開した。火星を植民地化するために使うロケットと宇宙船の組み合わせから成る。ビデオに登場する再利用可能なロケットは、惑星間宇宙船を地球の軌道外へ送り出すこと。太陽帆を使って火星に向かう着陸船も描かれている。

ブースターロケットは、宇宙船から切り離された後地球に戻り、燃料を満載したタンクを取り付けてから、再び軌道に戻り、待ち受ける宇宙船に燃料補給する。ブースターロケットはその後地球に自力で帰り、再利用される。宇宙船が使用するソーラーパネルは200 kWの電力を供給するとビデオのキャプションに書かれている。

SpaceXとElon Muskが、火星植民地化というゴールに向かってどう進めていくかのアイデアがかなりわかってきた。これはSpaceXの火星への旅について手に入ったこれまでで最大の情報だが、もっと詳しくは(誰が費用を負担するかも)、今日の国際宇宙会議の基調講演で本人の口から聞く必要がある。

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イーロン・マスクの火星移住計画がもうすぐ明らかになる


Elon Muskは、今日(米国時間9/27)行われる国際宇宙会議の基調講演で、「人類を〈多惑星種〉にする」と題して1時間にわたって話をする。講演は午後2:30 ET からで、人類を火星(およびもっと遠く)に送り込むMuskの計画が詳細に語られる。

Muskは、地球外天体の表面に触れたいだけではない。SpaceXにかける彼の意図は、長期的には人類が他の惑星を植民地化し、火星(さらには他のふさわしい惑星も)に居住するための、実行可能な方法を見つけることにある。

SpaceXの火星行きの野望は誰もが知るところであり、Muskは2012年以来、赤い惑星に人を住まわせることを検討し続けてきた。当初の計画は、まず10名が居住コロニーを作り、最終的には8万人規模まで拡大するというものだった。

その後様々なことが起こり、例えばSpaceXはFalcon 9作戦を何度も成功させた。最近では、Muskが火星作戦の進捗状況を一部明らかにして、「火星植民トランスポーター」には新しい名前が必要である、なぜなら火星より遠くへ行けるからだと語り、続いてMCTを駆動するために作られたRaptorエンジンの発射テストを行った。

今日の講演で聞きたい大きな疑問は、Muskがどうやって火星に居住地を作るかという技術的な詳細と、非常に高価に違いないこのプロジェクトに必要な費用をどうやって捻出するかだ。まずは上のビデオを見た後、Muskの今日の講演に関する本誌のニュースと分析を読んでもらいたい。

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マーク・ザッカーバーグ、Internet.org通信衛星の爆発に「深く失望」

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今日(米国時間9/1)、SpaceXのロケットFalcon 9が、発射台上で爆発した。原因はまだわかっていない。詳細は現在調査中だが、同社がテスト中に起きた何らかの異常が大惨事を生んだことはたしかだ。幸い発射台近くに人はいなかった。しかしこの事故はFacebookのInternet.orgプロジェクトに深刻な影響を与えるだろう。通信に使用する人工衛星も事故で破壊されたためだ。

事故の被害に対しては保険が支払われる見込みだが、このロケットはEutelsatの通信衛星、Amos-6を載せて飛ぶ予定だった。この通信衛星はアフリカの広い範囲でFacebookのためにインターネット接続を提供することになっていた。

このようなプロジェクトは準備に数年かかる ― 人工衛星は一夜のうちには作れない。しかし事故に遭えば数分のうちに壊れてしまう。Internet.orgのスタートが遅れることは間違いない。

FacebookのCEO Mark Zuckerbergは、自身のFacebookアカウントでメッセージを公開した。そこに書かれているように、Zuckerbergは事態を重く受け止めている。この爆発はZuckerbergにとっても大きな痛手だったに違いない。

これも書かれているが、Facebookは途上国にインターネットを届けるために巨大ドローン(Aquilaプロジェクト)やレーザー等、別の方法も検討している。インターネットを使える人は事実上全員Facebookアカウントを持っている今、次の課題はインターネットにつながる人を増やすことだ。

FacebookとEutelsatの契約では、衛星が来年1月1日までに運用可能にならければFacebookが契約を解除できる。現時点で実現の可能性はほとんどない。通信衛星の夢よさようなら。あるいは、そろそろやり直して新しい通信衛星を打ち上げる時かもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXのFalcon 9がケープカナベラルにて爆発炎上

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更新情報:SpaceXからの情報によれば、人的被害はないとのこと。ただしロケットおよび積荷はすべて失われた。

多くの目撃者情報によれば、SpaceX Falcon 9ロケットが、ケープカナベラルの発射台におけるテスト中に爆発したとのことだ。9月3日土曜日に発射される予定で、Facebook初となる衛星を打ち上げることになっていた。

衛星の名前はAmos-6で、FacebookのInternet.orgイニシアティブで用いるブロードバンド接続を提供する予定となっていた。Facebookおよびフランスの衛星プロバイダーであるEutelsatが9500万ドルと5年の歳月をかけて開発したKaバンドの通信システムが搭載されていた。

地元の防災対策室からの情報によれば、周辺地域に被害が及んだという情報はないとのことだ。

以下の各ツイートは英文のまま掲載しておきます。

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(翻訳:Maeda, H

SpaceX、年内にも再利用ロケットを使ってSES衛星を打ち上げへ

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ルクセンブルクに拠点をおく、衛星関連事業を展開しているSESが、初めてSpaceXのFalcon 9を再利用することで合意にいたったとアナウンスしている。

再利用ロケットを利用した打ち上げは年内を目処に行われる予定であるとのこと。実現すればSpaceXは新たな一歩を踏み出すこととなる。これまでにイーロン・マスク率いるSpaceXは、9機の第一段ロケット回収に成功している。しかしまだ再利用して、再度宇宙に向かわせるところまではいっていなかったのだ。

SpaceXの話によると、今回再利用するのは4月にISS関連のCRS-8のミッションに利用し、無人船により回収したものであるとのこと。無人船での回収に初めて成功したときのものだ。

静止衛星ビジネスで世界最大のSESは年初より、SpaceX初となる再利用ロケットにより宇宙に資材を打ち上げることに強い興味をもっていると表明してきていた。

ちなみに、SpaceXとSESのつながりは以前からのものだ。2013年にSpaceXを利用してSES初となる商用静止衛星を打ち上げたのだった。

3月にもSESは、SpaceXのロケットを使ってSES-9衛星を静止軌道に打ち上げている。これは第一段ロケットを無人船で回収しようとして打ち上げたものであったが、このときには回収に失敗している

数ヶ月のうちにも打ち上げられるSES-10は、ラテンアメリカの通信用途で用いる衛星を打ち上げることになっている。

ロケットを実際に再利用することで、新しい時代を切り開くことになると考えています。低コストで資材を打ち上げられるようになり、積荷の制限などももう少し柔軟に考えられるようになるでしょう。技術面および運用面で高い信頼性を誇るSpaceXと、今回の合意に至ったことを嬉しく思っています。
SESチーフ・テクノロジーオフィサーMartin Halliwell

再利用が可能となれば、打ち上げコストは大幅に下がることとなる。コストが下がれば宇宙ビジネスが大幅に拡大することになり、それを目指してSpaceXやBlue Originは数々の困難に立ち向かっているのだ。

SpaceXのプレジデントであるGwynne Shotwellは3月、Falcon 9の第一段ロケットを再利用することで、30%のコスト削減ができると見込んでいると述べている

宇宙船などを宇宙に送り出したあとのロケットを再利用することは、全体を迅速に再利用するための第一段階となるものです。SESは何年にもわたって、SpaceXの取り組みに積極的に協力してくれています。最初の再利用ロケットで、SES-10を打ち上げることになることを嬉しく思っています。
プレジデント兼チーフ・オペレーティングオフィサー Gwynne Shotwell

今回の打ち上げのコストについてはSESから情報を得ることはできなかった。「正確な金額については非公開としています。しかしSpaceXのFalcon 9を再利用することにより、信頼性のあるロケットを手軽に使えるようになり、発射コストを引き下げると同時に発射回数を増やすことになっていくでしょう。安価にかつ自由に宇宙にアクセスできることは私たちのビジネスにとって非常に重要なことであり、発射ロケとの再利用はまさに大きな可能性をひらくっことになるのです。

なおSpaceXは今年、2015年比で3倍のロケット打ち上げを行いたいと発表している。またファルコンヘビー(Falcon Heavy)の初打ち上げも計画されている。今年も残り4ヵ月。目標をすべて達成することとなれば、SpaceXにとってもとても重要な1年として記録されることになるのだろう。

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(翻訳:Maeda, H

SpaceX、スカパーJSAT放送衛星打上とブースターロケットの洋上回収に再び成功

2016-08-15-spacex-jcsat-landing

今日(米国時間8/14)、東部時間1:26am、SpaceXはケープカナベラルからFalcon 9ロケットを打ち上げ、第一段ロケットを海上を航行するドローン艀に着陸させることに成功した。さらに重要なことだが、SpaceXは今回の打ち上げの本来の任務であるJCSAT-16衛星を静止トランスファ軌道(Geostationary Transfer Orbit=GTO)に乗せることにも成功している。

SpaceX JCSAT mission patch

ブースター・ロケットを洋上のドローンに着陸させるたのは、衛星を静止軌道という非常に高い高度に投入する必要があったためだ。静止トランスファ軌道に乗せるためには多量の燃料を必要とするので、ブースターを地上基地に帰還させることはできなかった。これまでのところ、SpaceXが地上基地にブースターを帰還させたのはペイロードとなる衛星が低高度の場合だけだった。

今回打ち上げられたJCSAT-16は大型の商用放送衛星で、日本のスカパーJSAT株式会社のためにSpace Systems Loralが製造したものだ。この衛星はスカパーJSATが運用する16基の衛星ネットワークに追加され、アジア太平洋地区における衛星放送と衛星データ通信の役割を担う。

SpaceXでは今回を含めてブースターの回収を合計11回試みており、うち6回が成功している。2回は地上回収、ドローン艀への回収に成功したのは今回を含めて4回となった。
航行する艀への洋上回収は地上回収に比べて困難度が高いと考えられているが、SpaceXの打ち上げミッションによってはドローン艀への回収が最良ないし唯一のオプションとなる。

この1年に繰り返されてきた回収の試みでSpaceXは非常に多くの経験を積んだ。ある場合には温度が高すぎ、操縦をコントロールする液圧装置の作動流体が十分残っていない、安定脚がロックされずに転倒したことなどもあった。

しかしこの4月以降、イーロン・マスクの宇宙企業はブースター回収を6回試みて5回生功させている。

ただしこれまでのところ、回収されたブースターの再利用は行われていない。しかし先月、回収されたブースターの1基を用いて燃焼試験が実施された。この実験のは有意義だったはずだが、宇宙に飛び立ったわけではなかった。衛星打ち上げへの再利用に最初に使われるのは この5月に国際宇宙ステーションへの物資補給に用いられたブースターとなるはずだ。打ち上げスケジュールなどはまだ決まっていない。

今日のミッションはSpaceXにとって今年8回めの打ち上げとなった。打ち上げ回数を18回と昨年の3倍にアップするう野心的な目標を実現するなら、今年後半にかけてさらにペースを上げる必要がある。次回の打ち上げはわずか3週間後に予定されており、SpaceXはその準備に全力を挙げている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+