NASAも新型コロナウイルスを考慮して宇宙飛行士の健康管理対策を強化

NASAは標準的なプロトコルとプロセスを補強して、最初の民間乗員宇宙飛行プログラムに参加する宇宙飛行士の健康管理を徹底しようとしている。COVID-19の可能性から保護するように設計された追加の対策を実施すると、Business Insiderが報じた。NASAの標準的な慣行では、すべての宇宙飛行士に対して、地上でのあらゆる病原体に感染する可能性を下げるよう、飛行に先立って対策が施されることになっている。そして現在、特に新型コロナウイルスのリスクに対処するため、特別な措置が講じられている。

Business Insiderのレポートによれば、民間の乗務ミッションに先立つ標準的な2週間の検疫に加えて、追加の対策が実施される。今のところ4月、5月、6月のいずれかに予定されているSpaceXのCrew Dragon(クルードラゴン)宇宙船への乗船に際して行われることになっている。そこには、表面洗浄と消毒、社会からの隔離、手洗いなどの方策について、さらなる強化が盛り込まれている。これらはすべて、CDC(米疾病予防管理センター)が推奨する一般向けの予防策に沿ったものとなっている。

またNASAは、宇宙飛行士のDoug Hurley(ダグ・ハーレー)氏やBob Behnken(ボブ・ベンケン)氏がフライトに先立って訓練を受けている施設の見学ツアー開催を止めている。さらに、潜在的なウイルスへの曝露を制限するため、NASAのスタッフに対しても、何らかの病気の可能性に気づいたら、自宅待機するよう指導している。

宇宙に旅立ったり、そこで仕事をする人の健康は間違いなく最も重要だ。NASAの手順には、実際のフライトに至るまでの広範な検査と監視が含まれており、ウイルスなどの招かれざる客を宇宙空間に連れて行かないようにするという点において優れた実績を誇っている。新型コロナウイルスは、こうしたNASAの予防策に対して新たな課題となる可能性もある。とはいえ、COVID-19はミッションに参加する宇宙飛行士がこれまでどおり回避しようとしている一般的なウイルス性の疾患に対する健康管理と、機能的に大きく異なるものにはならないだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

宇宙のペイロード輸送サービスMomentusがSpace Xのミッションで6スロットを購入

宇宙におけるペイロード輸送サービスのMomentusが、SpaceXのSmallSat Rideshare Programミッションで6個のスペースを購入した。

ミッションには太陽同期軌道への5回の打ち上げと、中高度低軌道への1回の打ち上げが含まれ、Momentusの小型輸送機は打ち上げ後に、顧客のペイロードを指定された投入高度の軌道へと運搬する。

Momentusによると、同社の軌道間輸送機VigorideはすでにSteamjetやNuSpace、Aurora Space Technologiesなどの顧客を獲得している。

Momentusは、増え続ける宇宙でのラストワンマイルシャトルサービスの1つだ。現在、地球を周回する衛星の数は増えているが、それにつれて衛星運用会社にとってはカスタマイズされた、あまり混雑していない軌道の選択肢が増えることになる。

Momentusの最高経営責任者ことMikhail Kokorich(ミハイル・ココリッチ)氏は声明で、「我々は、Falcon 9のライドシェアがより画期的なものになることを示したいと考えている。1回の打ち上げで複数の軌道にペイロードを運ぶことで、宇宙へのアクセスに革命をもたらし、システムの能力が倍増する」と述べた。

Momentusによると、Vigorideはさまざまな高度、軌道に最大300kgの貨物を投入できるという。またSpace Xのライドシェアの顧客は、シャトルサービスを利用することで中間傾斜軌道や太陽同期軌道の場合、高度300kmから1200kmまでの範囲で軌道を指定できるという。

顧客にとってこの機能は、監視を同期化、つまり衛星が特定の場所の画像を同じ時刻に取得できることを意味し、その分析やデータの管理を容易にする可能性がある。

MomentusはこれまでにMountain Nazca、Quiet Capital、Y Combinatorなどから5000万ドル(約52億円)のベンチャー資金を調達している。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

SpaceXの第1世代Dragon貨物船が20回目、そして最後の宇宙輸送

SpaceX(スペースX)は米国時間3月7日の夜、第1世代Dragon
貨物船の20回目、そして最終のの打ち上げを実施
し、国際宇宙ステーション(ISS)への補給ミッションをおこなった。

この打ち上げはDragon貨物船の最後のミッションであり、今後はSpaceXの新型カプセルことDragon 2に取って代わられ、10月からISSへの補給が開始される。

DragonはISSへの補給物資に加えて、科学実験用のペイロードもISSに輸送する。その中には、宇宙でミッドソールを製造する方法を研究するAdidas(アディダス)の実験もある。また水栓メーカーのDeltaは、無重力状態で水滴がどのように形成されるかを研究する。そしてEmulateは、微小重力が腸内の免疫細胞にどのような影響を与えるか、そして心臓組織を宇宙でどのように培養できるかを調査するために、生体機能チップを宇宙へと送り出す。

SpaceXが最初に16億ドル(約1700億円)の宇宙ステーション補給契約を獲得してから12年の間に、宇宙産業は劇的に変化した。

SpaceXによるロケット部品の製造と再利用に関するイノベーションは宇宙産業に革命をもたらし、Aerojet Rocketdyne(エアロジェット・ロケットダイソン)やBoeing(ボーイング)、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)のような業界の巨大企業と競合できる可能性を、起業家が信じる環境を作り出した。

政府の宇宙ミッションが前述の請負会社に長年独占されていたことに、SpaceXが挑戦すべく登場して以来、ISSの周りには新たな産業の創出を支援する商業活動の波が押し寄せている。

Axiom Spaceは先週、SpaceXと提携して商業旅行客をISSへ費用5500万ドル(約58億円)で10日間滞在させる計画を発表した。さらにAxiomによるISSと接続する商業宇宙ステーションの建設計画は、宇宙の商業化に向けた大胆な一歩であり、SpaceXによる最初のDragonの成功がなければ、実現の可能性は低かっただろう。

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(翻訳:塚本直樹Twitter)t

スペースXがDragon貨物船を使った最後のISSへの打ち上げをライブ配信

SpaceX(スペースX)は米国時間3月6日の夜、国際宇宙ステーション(ISS)への20回目の補給ミッションを打ち上げる。今回のミッションは、これまでのNASA向けミッションのすべてで使われてきたDragon貨物船を使用する最後のミッションとなる。2020年夏からは、その後継機が登場する。

今夜のミッションでは、これまでどおりISSにさまざまな物資や実験機器、新しいコンポーネントを輸送する。打ち上げは太平洋時間の午後8:50に予定されており、上の動画でその様子を確認できる。

Dragon貨物船とFalcon 9の第1ステージは、どちらも以前のミッションで使用されたもので、Dragon貨物船は今回が3回目の打ち上げで、今回が最後となる。

Dragon貨物船はCrew DragonとCargo Dragon(名称に2がつくこともある)という2機種の後継機を生み出し、当然ながら前者は最大の注目を集めている。しかし、改良されたドラゴン貨物船はより多くの利用を見込んでいる。

新旧のDragon貨物船の正確な違いは完全には明らかになっていないが、アビオニクス、電力システム、搭載ソフトウェアそして全体的な形状に大きな変更があることが判明している。当然のことながら、貨物船には生命維持装置や脱出システムは搭載されておらず、人員の輸送は意図されていない。

新しく改良されたCargo Dragonでは、最初の商用ミッションが2020年8月に予定されており、姉妹機のCrew Dragonもすべてが計画どおりに進めば、その前に打ち上げられるかもしれない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Axiom Spaceが提供する国際宇宙ステーション10日間の旅はコミコミでたったの58億円

Axiom Space(アクシアム・スペース)は、国際宇宙ステーション(ISS)への定員3名の往復旅行を5500万ドル(約58億円)という超低価格で提供し、歴史を変えようとしている。

米国ヒューストンに本社を置き、ベンチャー投資企業の支援を受けるAxiomは、同社で訓練した司令官1人と、民間宇宙飛行士3人をISSまでCrew Dragon(クルー・ドラゴン)で往復輸送する契約をSpaceX(スペースエックス)と交わした。

このミッションは2021年後半に打ち上げが予定されており、3人のクルーはISSに滞在して「少なくとも8日間、大きな由緒正しい宇宙ステーションでしか味わえない微小重力と地球の眺めを堪能できます」と同社は声明の中で述べている。

同社の最高責任者Michael Suffredini(マイケル・サフレディニ)氏にとってこの宇宙旅行は、米航空宇宙局(NASA)でのISSの管理者という以前の仕事の延長線上にある。

「この歴史に残る宇宙飛行は、誰もが日常的に宇宙に行ける時代に向かう分岐点となります」とサフレディニ氏は声明で語っている。「これはAxiom Spaceが、つまり民間企業が初めて運営する数々のISSへの完全な有人飛行ミッションの中の最初のひとつに過ぎません。輸送手段を確保できたことは、目標達成への大きな前進であり、この事業でSpaceXと協力できることを大変にうれしく思います」。

この宇宙旅行は、AxiomがNASAと交わしたSpace Act Agreement(宇宙法協定)のもとで実施されるISSへの数々の「先駆け的ミッション」の中の最初のものとなる。Axiomは、この他にもISSへの民間宇宙飛行ミッションの合意を得るべくNASAと話し合いを続けている。

Axiomでは、NASAのスケジュールの合間を縫って年2回のフライトを人々に提供したいと考えている。その計画を進めながら、同社は自己資金による宇宙ステーションの建造も進める。

同社はすでにその目標のために機関投資家の支援を取り付け、個人投資家やCrunchbaseの情報によるとBalfour Capital(バルフォー・キャピタル)、Starbridge Venture Capital(スターブリッジ・ベンチャー・キャピタル)といった機関投資企業から1600万ドル(約17億円)を調達している。

「2012年からSpaceXは、NASAとの契約に従いISSに物資を送っていました。そして今年の後半には、初めてNASAの宇宙飛行士を運びます」とSpaceXの社長兼最高執行責任者であるGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏は声明で述べている。「今、AxiomとそのNASAからの支援のお陰で、国際宇宙ステーションが初めて民間有人ミッションに門戸を開いたことにより、宇宙の商業化はさらに加速され、有人宇宙探査の新時代が幕を開けようとしています」。

Axiomは、宇宙飛行に挑戦したいという人には、あらゆるトレーニング、計画、ハードウェア、生命維持、医療サポート、生活必需品、安全性証明、軌道上のオペレーションを提供すると話している。

また同社は、2024年後半から始まる、ISSへの宇宙ステーションモジュールの造設を担う企業としても、NASAから選定されている。その目的は、宇宙ステーションにプライベートセクションを設け、その利用可能で居住可能な空間を広げることにある。ISSの運用が終了した際にはそのセグメントを切り離し、自由飛行の商用宇宙ステーションとして運用したいとAxiomは考えている。

SpaceXにとってAxiomとの契約は、単にNASAの宇宙飛行士を運送し、大きな収入源を加えてくれる以上にCrew Dragon宇宙船の商業運用の幅を広げてくれるものでもある。

まさにそれが、SpaceXが商用有人宇宙観光業者と交わしたもうひとつの契約だ。先月、SpaceXは、Crew Dragonに4人の乗客を乗せて5日間の宇宙飛行を提供する事業を行うことで、Space Adventures(スペース・アドベンチャーズ)と合意している。

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXが謎の金属小惑星「プシケ」探索ミッションの打ち上げを126億円で受注

SpaceXは、NASAが2022年に計画しているPsyche(プシケ、サイキ)と呼ばれる鉱物資源豊富な小惑星の探索ミッションの打ち上げ契約を勝ち取った。米国時間3月1日、NASAは打ち上げ作業を含む同ミッション関連業務を1億1700万ドルドルで契約したことを発表した。この規模のミッションとしては異例の低価格だ。

PsycheミッションはFalcon Heavyロケットを使用し、ケープカナベラル空軍基地の発射施設39Aから打ち上げられる。火星と木星の間に位置する小惑星Psycheは、原始惑星のニッケル・鉄のコアからなり、太陽系最初期の構成要素の断片であると見られている。

NASAはこのミッションによって、Psycheの原始惑星物質の分析を通じて地球型惑星創成の歴史を解明するヒントを得られることを期待している。

関連記事:NASA moves to final planning stages for mission to explore 16 Psyche’s full-metal asteroid

NASAのPsycheミッションには、2つの二次ミッションがある。大気流出・プラズマ加速・力学探査機であるThe Escape and Plasma Acceleration and Dynamics Explorers(EscaPADE、エスカペイド)は、火星の大気を研究し、ミッションJanus(ヤヌス)は二重小惑星を研究する。

NASAによると、フロリダ州の同局ケネディ宇宙センターの打ち上げサービスプログラムがSpaceXの打ち上げを管理し、ミッションはアリゾナ州立大学が指揮する。

「この新しいミッションフェーズに移行することで、我々はPsycheの秘密解明に近づく大きな一歩を踏み出すことになる。この謎にみちた巨大金属小惑星はわれわれにとって世界を意味している」とアリゾナ州立大学テンピ校の主任研究員であるLindy Elkins-Tanton(リンディ・エルキンス・タントン)氏が、NASAが本ミッションを承認した発表の声明で語った。

カリフォルニア州パサディナのジェット推進研究所が、システムエンジニアリング、統合、テスト、ミッション運用を含むミッション全体の管理を担当する。宇宙船の推進筐体は強力なソーラー電気装置で、Maxar Space Solutionsが提供している。

この発表は、PsycheミッションのフェーズD、E、および発射前のフェーズであるフェーズFに向かう道を開くものだ。昨年TechCrunchは以下のような記事を書いている。

フェーズDは2021年初期に始まり、2022年初期の打ち上げ計画に向けた宇宙船の最終制作およびテストが行われる。

フェーズEは、Psycheの実験機体が宇宙空間に到達した時点で開始される、とNASAは言った。ここでは同ミッションの深宇宙探索および科学研究のためのデータ収集が行われる。NASAはPsycheが2023年(Elon Musk氏が最初に人間宇宙飛行士が到達すると予言した年の2年前)に火星をかすめ飛んだあと、2026年1月31日にミッションの名を冠した小惑星に到達すると予測している。

Psyche宇宙船に搭載する機器には、小惑星に残された磁界を検出、測定するための磁力計も入っている。多重スペクトル画像装置は、高解像度画像を撮影して小惑星の組成を決定する(どれだけが金属でどれだけがケイ酸塩か)。宇宙船にはガンマ線および中性子線分光計も搭載され、小惑星の元素組成の検出、測定、マッピングを行うほか、深宇宙通信のために作られた新しいレーザー装置もある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXの採用面接で試されるのは優れたイノベーション精神

米空軍主催の空中戦に関するシンポジウムであるAir Warfare Symposiumで、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は新旧さまざまな話題に触れたが、特に人びとの関心を集めたのは、SpaceXにおける雇用と解雇のやり方だ。そこは、世界で最も技術者に対する要求レベルが高いエンジニアリング企業といわれている。

同社はイノベーションを誇りとし、その最高経営責任者は面接でも最高レベルのイノベーション精神を求める。

「面接ではイノベーションといった優れた能力のエビデンスを問うことが多いけど、我々は面接で、新しい技術を創造したいと思っている人を選ぶ」とマスク氏はいう。

この気まぐれなCEOは、面接における応募者のイノベーション志向の有無をどこで見分けるのか、応募者の前歴の何に着目するのかなど、詳しいことは述べなかったが、しかしイノベーションは、同社の雇用過程における重要な要素だ。

マスク氏によると、イノベーションの強調は同社のボーナスの構造や昇進の決定、そして究極的には彼/彼女の勤務年限にも影響が及ぶ。

「ボーナスはイノベーションへのご褒美だが、失敗を恐れてイノベーションをトライしない者にはペナルティをとられる。つまり解雇される」とマスク氏は語る。

イノベーションをし損なうことだけではなく「その社員のイノベーション志向がとても良質なものでなかったら、同じく会社を追われる」のだそうだ。

イノベーションの重要視は、企業と国家にとって競争に勝ち抜くために大切なことだ。マスク氏によると、テスラでもSpaceXでも知財を盗むことに対してはいちいち気にしない。どの企業も、3年以上先の技術開発で競争の先頭に立つことを望んでいるからだ。

さらにマスク氏は「知財の保護を実現する方法は、迅速にイノベーションを起こすことだ。イノベーションのスピードがすべてを決める。チームにはいつもそう言っている。重要なのは、毎年イノベーションを起こすことだ」という。

IBMのような、巨大なパテントポートフォリオと、研究所に何千ものイノベーションを抱えているところは異論を唱えるかもしれない。しかしマスクの論点は企業に限定されるものではなく、国民国家にも当てはまる。

マスク氏が具体的に言及したのは、アメリカが中国と互角に競争できるために必要なイノベーションだ。中国は数年以内に、アメリカの2倍から3倍の経済規模になるかもしれない。

マスク氏曰く「戦争の基盤は経済だ。相手の半分しかリソースがなければ、イノベーションに励まないかぎり負ける。アメリカは、軍事的にも二番手になるだろう」

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpaceXが来月にも約279億円調達、企業価値4兆円に

CNBCのMichael Sheetz(マイケル・シーツ)記者のレポートによると、SpaceXは新たに2億5000万ドル(約279億円)の資金調達を模索している。CNBCの情報筋は、新たな調達でSpaceXのバリュエーションは360億ドル(約4兆円)になる、と見込んでいる。直近に発表されたバリュエーションから25億ドル(約2790億円)超の増加となる。

ロケットを打ち上げるSpaceXはElon Musk(イーロン・マスク)氏が創業・経営している。もちろんマスク氏は巨額の資金を調達する術を知っている。2019年にはいくつかのラウンドで13億3000万ドル(約1480億円)を調達した。累計で、同社はこれまでに30億ドル(約3350億円)を調達しているが、これほどの額の資金を調達してきたのは壮大な野心を持っているからだ。

SpaceXはまた、かなりの売上を上げている。例えば、NASAの商業クルー・プログラムの一環として宇宙船Crew Dragonを開発する契約の額は31億ドル(約3460億円)だ。また、同社は顧客にFalcon 9ロケット打ち上げ1回あたり6000万ドル(約67億円)を請求する。昨年だけでSpaceXは13回ロケットを打ち上げた。

しかしSpaceXは栄誉または既存のテクノロジー投資にあぐらをかく企業ではない。同社は「Starship」という次世代の宇宙船の開発に取り組んでいる。StarshipはゆくゆくはFalcon 9とFalcon Heavyに取って代わる可能性がある。しかもFalcon 9とFalcon Heavyのシステムでは一部が再利用可能であるのに対し、Starshipは完全に再利用できる見込みだ。同社の予想が正しければ、運用が始まるとかなりのコストを削減することができてSpaceXの業績に大きく寄与する。しかしそこに到達するには、Starshipを確実に飛ばすために必要なテクノロジーの開発に相当の資金をつぎ込まなければならない。

マスク氏は最近、大きな変更やアップデートを加えたStarship新バージョンを可能な限り早く建造するという、同社の計画の詳細を説明した。Starshipのスケール、そして示された新モデルの建造には巨額の費用が伴うことを考えた時、SpaceXが現在の資本にさらに資金を加えるというのは理にかなっている。

資金調達は来月中旬くらいになりそうだ、とCNBCは報じている。TechCrunchはSpaceXにコメントを求めているが、この記事公開までに返事は得られなかった。

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(翻訳:Mizoguchi

SpaceXは2020年の軌道飛行までに大量のロケットを建造し改良を重ねる

SpaceXの創設者Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、今週、同社のStarship(スターシップ)の進捗に関する更新情報をいくつか発表した。「SN1」の建造風景の動画をはじめ、新しい宇宙船の開発と年内に宇宙に飛ばす計画を進める中での考え方や、同社が取り組んでいる戦略についてツイートした。

マスク氏によれば、SpaceXは、このところ一貫した性能を示すようになり多少安定してきたFalconに比べて、Starshipの改良はずっと早いサイクルで進んでいるという。

デザインを量産型宇宙船に向けて進歩させる能力は、宇宙船の試作機と関わる回数、つまり各バージョンの間で達成された進歩の数によって決まると彼は書いている。

それはSpaceXが過去に行ってきたことであり、従来のロケット打ち上げ業界を引っ繰り返せた大きな要因でもある。すばやく行動し、何度もやり直して、早く失敗を重ねた経験から前進し変化していく。従来の業界は、寿命の長い宇宙船の世代間における改良に焦点を当ており、ほとんどの物事が短期間に固定されている状況で開発を行い、また休みという繰り返しに大きく偏っている。そこが違うところだ。

一方、Starshipは、巨大であるという点だけでも、今回のモデルがSpaceXにとって最大のチャレンジとなっている。現在のところ、StarshipはSpaceXにおける最大のロケットだが、それを短期間に何基も建造するというのは、工学的な観点からだけでも、実際に驚異的な冒険だ。世代間の改良点の多さや、最終的にSuper Heavyロケットブースターを取り付けることを考慮に入れるとなおさらだ。

サイズの大きさに加えて、この宇宙船にはSpaceXが目指している完全に再利用可能であることを目指しているため、次のフライトまでにすばやく開発を進めなければならないという性質もある。1回だけの使い切りロケットを作るのなら実に簡単(もちろん比較的という意味)だが、数十回あるいは数百回と再利用できるロケットの建造は、まったく別の話となる。

2019年、Starshipの完全な実物大試作機を初めて披露したとき、マスク氏は、わずか6カ月以内で軌道に載せると話していた。これもまた次第に、SpaceXの創設者からのきわめて楽観的なスケジュールに思えてきた。現在のSN1は、まだ軌道よりも低い高高度の飛行を目指している段階で、実際に宇宙に到達するのは次回以降のバージョンとされている。科学ニュースサイトArs Technica(アーズ・テクニカ)のEric Berger(エリック・バーガー)氏によれば、宇宙に行くのはSN3、SN4、またはSN5だとマスク氏は示唆しているという。

バーガー氏はまた、SpaceXは、軌道に乗せるStarshipの試作機の打ち上げには、3つあるオプションのうちの1つを考えていると伝えている。それは、同社のRaptorエンジンを6基使うというものだ。また打ち上げ場所は、Starshipが建造されているテキサス州ボカチカ(これが最も有力)、SpaceXがFalconロケットのための発射施設を所有しているフロリダ、第三の選択肢として、洋上の浮体式発射台のいずれかになる。

2020年内に軌道に乗せるつもりならば、SpaceXは試作機の建造、テスト、飛行のサイクルを早める必要がある。そのため同社は、生産をスピードアップするための増員も行っている。2020年の初め、マスク氏は製造シフトを増やして24時間体制を敷くための人材募集の呼びかけを行った。2月初めには、同社のテキサス州の施設にて就職希望者の面接会を開いている。

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(翻訳:金井哲夫)

アディダスが国際宇宙ステーションで靴のソール製造実験へ

来る3月2日には、SpaceXとして20回目となるISS(国際宇宙ステーション)補給ミッションの打ち上げが予定されている。今回は、通常の補給品やちょっとしたお土産品に加えて、パートナーと有償の顧客から依頼された興味深い実験機材も含んでいる。さらに実験室として使われているヨーロッパのコロンバスモジュールを拡張するための資材も積まれる。

画像クレジット:SpaceX

中でも、奇妙に感じられるのは、Adidas(アディダス)の「BOOST in Space」(宇宙で増強)という試みだろう。同社は、数千もの小さな泡球を融合させることで靴のミッドソールを製造している。これは、もちろん通常は地球上で行われるので重力の影響が避けられない。そこで、それを宇宙で行うとどうなるのか実際に試して調査しようというのだ。

「微小重力状態では、ペレットの動きと位置に影響を与える要因を詳しく調べることができます。それが、製造プロセスや、製品の性能、快適性の向上にもつながる可能性があります」と、このプロジェクトは説明している。もちろん、これは素晴らしい見ものにもなるだろう。このトースターサイズのデバイスからもたらされる成果が、きっと優れた靴の開発につながるはずだ。

このような営利目的の業務については、たいていいつもそうなのだが、ちょっと変わったものであっても、そうした実験をISS上でやること自体が、かなりクールなものに感じられる。

微小重力状態は、引く手あまたの条件であり、宇宙空間での実験プロジェクトの多くは、実際それを求めてのものなのだ。たとえば、蛇口のメーカーであるDelta(デルタ)による商用実験は、水滴の形成について何らかのことが学べるのではないかと期待してのもの。それによって、より効率的なシャワーなどを作ることができるのではないかと考えている。

消化器組織は、通常はこのような青色ではないが、これについては微小重力環境の影響ではない

一方、Emulate(エミュレート)は、チップ上の臓器(正確に言えば腸組織)を宇宙に送り出し、「微小重力環境や他の潜在的な宇宙飛行によるストレス要因が、腸の免疫細胞と、感染症への感受性に、どのように影響するか」を解明するのに役立つことを期待している。また宇宙空間上で、幹細胞から心臓組織を生成することもテストする。これは、長期間の宇宙飛行に役立つ可能性がある。

ただし、今回運ばれる最大の貨物は、間違いなくBartolomeo(バルトロメオ)だ。Bartolomeoは、ヨーロッパのコロンバスモジュールに接続する新しい外部プラットフォームとなる。

貨物が取り付けられた左側。右側は見えていない。他の目的のための「腕」が突き出している

商用、その他のパートナーの貨物用に12のスペースが確保されている。理由はさまざまとしても、宇宙ステーションの外部へのアクセスが必要な大学や企業が利用できる。たとえば、地球の撮影、真空露出、放射線試験などが考えられる。仕様については、ここに書かれている。

すべてがうまくいけば、打ち上げは予定通り3月2日となる。その時点が近づいたら、ライブストリームを公開し、記事を更新する予定だ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

SpaceXとSpace Adventuresが提携し2021年にも宇宙旅行を提供

SpaceX(スペースエックス)は宇宙船Dragonで提供する宇宙旅行で新たなパートナーを得た。Anousheh Ansari(アニューシャ・アンサリ)氏やGuy Laliberté(ギー・ラリベルテ)氏、Mark Shuttleworth(マーク・シャトルワース)氏といったすでに民間人を宇宙に送り出した宇宙旅行会社のSpace Adventures(スペース・アドベンチャーズ)だ。

Space Adventuresは有料の商業宇宙ミッションとして、国際宇宙ステーション(ISS)への8つのミッションで7人の顧客にサービスを提供。顧客を目的地に連れて行くのにロシアのソユーズロケットの有料座席を使用した。これは実際に商業宇宙旅行を提供するのに特異な形態だ。つまり、SpaceXは宇宙船Dragonでの人の輸送やフライト計画ができるようになったらすぐに客を乗せて飛ぶことが予想される。

これは特段驚くことではない。SpaceXはNASAとのコマーシャル・クルー・プログラムを通じて有人飛行に向けたDragonの認証に取り組んできた。このプログラムには宇宙飛行士を輸送する有人飛行に対応したバージョンの宇宙船Crew Dragonのテストや開発が含まれる。ISSへのデモミッションで実際にNASAの宇宙飛行士を初めて乗せるまであと数カ月しかない。

SpaceXとNASAは、同社の有人宇宙旅行サービスにおいて、NASAが複数いる顧客の1つにすぎないということをどう位置付けるかについて協議してきた。というのもプログラムの目的は、NASAが収入を生む商業飛行サービスの多くいるクライアントの1社になることで、宇宙飛行士の輸送のコストを下げることにあるからだ。

SpaceXのCEOで創業者のElon Musk(イーロン・マスク)氏は以前、1回につき最大4人搭乗することが可能なCrew Dragonに宇宙旅行客を乗せて飛ぶことについて議論した。彼はCrew Dragonが実用化されたときに適用できるかもしれないモデルとして、ソユーズ以前の例を持ち出した。マスク氏とSpaceXはすでに、今後完成する宇宙船Starshipに日本の億万長者である前澤友作氏を乗せて2023年に月を周回する旅行を計画している。

Space AdventuresのCrew Dragonを使った民間人を対象にした宇宙旅行は2021年後半か2022年に開始される見込みで(すべて順調にいけばSpaceXがNASAの宇宙飛行士向けのサービスを開始するのと同じ時期か、それより少し後になると思われる)、フロリダのケープ・カナベラルにあるSpaceX打ち上げサイトから宇宙に向かう。Space Adventuresが以前飛ばしたソユーズのミッションのように、実際にはISSには行かない。しかし宇宙旅行の間、これまでに行われた民間人向けのどの宇宙旅行よりも遠くを飛び、すばらしい地球の眺めを目にすることができる。価格についての言及はないが、高額になることが予想される。高度がずいぶん低いVirgin Galactic社の旅行チケットよりもかなり高くなりそうだ。

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(翻訳:Mizoguchi

SpaceXが60基のStarlinkミニ通信衛星打ち上げは成功、ブースター回収は失敗

 

SpaceXはミニ通信衛星60基を軌道に投入した。SpacXのStarlinkは大量の小型衛星で世界をカバーしインターネット接続を提供しようとするシステムだ。60基ずつの打ち上げは今回で5回目の成功となり、これで300基の衛星を軌道に投入したことになる。Starlink衛星は今年だけで3回の打ち上げとなる。SpaceXは世界最大の商用衛星通信運用会社となった。

Starlinkプロジェクトは低軌道にある大量の小型衛星を利用するもので、次々に飛来する衛星がインターネット接続を引き継ぐことにより遠隔地を含めて全世界のユーザーに低コストで高速な接続を提供しようとしている。当面の目標は、2020年中にアメリカとカナダのユーザーをカバーすることだという。その後、衛星群の数の増加とともにサービスを世界各地に拡大する予定だ。

SpaceXがSarlinkで用いた打ち上げ方法は多少変わっている。ロケットの2段目は1回噴射して楕円軌道に入った後、同種の衛星打ち上げミッションよりずっと早く衛星を放出する。衛星はそれぞれのスラスターを噴射して所定の軌道に移る。これは複雑な運動となるがSpaceXによると燃料その他の打ち上げコストを大きく節約できるという。

2月18日の打ち上げはStarlinkシステムを稼働に向けて前進させただけでなく、SapceXにとって今後大きな意味を持つ再利用テクノロジーの改善も目的だった。1段目のFalcon 9ブースターは2019年すでに3回飛行しており、利用回数だけでなく、再利用に要する期間も前回の飛行からわずか62日とSpaceXとして最短だった。

SpaceXは今回もブースターを地上回収しようとしたが(成功していれば50回目の回収となった)、残念ながら失敗した。ブースターは着地のための減速噴射までは予定どおりだったものの、中継ビデオを見ると、ブースターは着地点を大きく外れて海に落下したようだ。SpaceXの前回の回収失敗はFalcon Heavyの中央ブースターが計画どおりに作動しなかったためだった。それ以外のケースでは回収は成功している。「ブースターは海に落下したものの、十分に減速されており破壊されていなかったため再利用の可能性はある」とSpaceXは述べている。

またSpaceXはカーゴベイを覆うフェアリングの回収も試みており、前回は二分割のフェアリングの片方を専用回収船のネットでキャッチすることに成功した。今回、SpaceXは大西洋上に専用船を2隻航行させフェアリングを2個とも回収する試みを行っているのでSpaceXから発表がありしだいその模様をアップデートしたい。

Starlink衛星の打ち上げはこの後も引き続き行われる予定だ。3月にも次の発射が計画されているという。

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滑川海彦@Facebook

衛星コンステレーションによる夜空の光汚染を天文学者たちが懸念

国際天文学連合(International Astronomical Union, IAU)がこのほど、StarLinkなどが製造している何千もの人工衛星からなる衛星コンステレーションの影響の可能性に関する初期的調査報告書を発表した。報告書は、地球からの天体観測に深刻な悪影響が及ぶ恐れがあるため、衛星の削減とルール作りが早急に必要だとしている。

同団体は2019年の夏に懸念を表明し、その後、衛星コンステレーションの影響に関する大規模な調査研究を、各地の天文台や組織の協力を求めて実施した。その一般的な感触は「最善を望み最悪に備える」というものだ。

IAUの推計によると、低地球軌道に数万の衛星があれば、地平線上には常時1500ほどの衛星が存在することになる。ただし、通常の天体観測の対象となる30度以上の上空にあるものは、250から300と少ない。

関連記事: Astronomers fret over ‘debilitating threat’ of thousands of satellites cluttering the sky…天文学者たちが空に散乱する何千もの人工衛星に懸念(未訳)

その圧倒的多数は、まだ空が暗い早朝など、太陽の光が人工衛星の表面から反射する特定の時間帯以外は、肉眼で見えないだろう。しかし、これら膨大な数の人工衛星の可視性と反射性を下げる方策はすでに採られているが、実際の効果は未知数であり、今からでは何をするにも遅すぎる、という状況になることもありえる。

IAUがそれ以上に心配を指摘するのは、ルービン天文台から改名した大型シノプティック・サーベイ望遠鏡(Large Synoptic Survey Telescope、LSST)のような広域的観測に対する影響だ。そのような望遠鏡が行うおよそ30秒の露出のほぼ1/3は、頭上の衛星の影響を受けるだろう。そして高感度の機器が作る像への影響は、肉眼よりも鮮明だろう。

それを避ける方法はあるだろうが、IAUの声明から同団体のフラストレーションが伝わってくる。

理論的には軌道を正確に予測して、その通過時に必要に応じて観測を中断することで、新たな衛星の影響は軽減できるだろう。データ処理によって結果の画像をより鮮明にすることもできる。しかしながら大量の衛星による大量の飛跡は、天体観測のスケジュールと運用を損なう複雑で無視できないオーバヘッドを作り出すだろう。

言い換えると、衛星コンステレーションの事業者たちが何もしなければ、我々に対策をしなければならない。そしてそれには費用と欠陥が伴う、ということだ。

問題はすべて可視光線に関連している。衛星コンステレーションからの電波や、その他の目に見えない放射による観測の妨害は未知数である。

関連記事: SpaceX successfully launches 60 more satellites for its Starlink broadband internet constellation…SpaceXがStarlinkコンステレーション用の衛星をさらに60基打ち上げ(未訳)

結局のところ、IAUの声明は中立を装ってはいるものの、明らかにその本音では怒っている。

「暗い場所で見える美しい夜空を保護したい、という人々の意識はとても強い。それは捨ててはならない世界遺産と見なすべきだ。軌道を周回する人工物の輝度について、国際的に合意された規則や指針がない。今日までそれは、優先度の高い話題として取り上げられることすらなかったが、現在、ますます重要になりつつある。したがってIAUは今後、国連の外宇宙平和利用委員会の会議で常時その所見を述べ、世界の政府代表者たちの注意を、新たな宇宙計画が天文学と科学全般にもたらす脅威に向けていきたい」

ひと握りの企業が夜空を散らかすことを、彼らは天文台にじっと座ったまま黙認したくないのだ。

画像クレジット: IAU

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpaceXの最初の有人宇宙飛行は早ければ5月にも実施へ

SpaceXのCrew Dragonは有人宇宙飛行の実現にごく近いところまで来ている。先月にIFAと呼ばれる飛行中に乗員を脱出させるテストに成功し、主要なテストをすべてクリアした。SpaceXと発注者のNASA.はDemo-2と呼ばれる有人飛行のテストに進む予定だ。

我々が得た情報では、SpaceXは今年の5月7日にこの有人宇宙飛行テストを予定しているという。この日時は仮のものだが、ニュースを最初に報じたArs TechnicaのEric Berger(エリック・バーガー)氏によれば、スケジュールは遅くなることも早まることもあり得るという。

これ以前にもSpaceXの宇宙船が実際の飛行に極めて近づいていることをわれわれはつかんでいた。先週のGAO(米国会計検査院)のレポートは商用有人宇宙飛行プログラムの進捗状況について詳しく説明しており、Crew Dragonカプセルの有人飛行テスト、Demo-2ミッションは「当初予定されたいたより3ヶ月早く完了するだろう」と述べていた。

Demo-2はその名のとおりCrew Dragonにとって昨年3月に行われたDemo-1に続く2回目の実証ミッションだ。昨年のミッションでは、Crew DragonカプセルはFalcon 9で打ち上げられ、ISS(国際宇宙ステーション)にドッキングして物資を補給した後、大西洋上に安全に着水した。ただしこのミッションではカプセルは無人で地上から遠隔操縦された。

Demo-2ではNASA の宇宙飛行士、Doug Hurley(ダグ・ハーリー)氏とBob Behnken(ボブ・ベンケン)氏の2人が乗り込むことになっている。2人にとってはこれが3回目の宇宙飛行となる。Demo-2の飛行内容はCrew DragonでISSを往復することで、Demo-1とほぼ同内容だが、今回は有人飛行であることが大きな違いだ。NASAのJim Bridenstine(ジム・ブラデンスタイン)長官は最近、「宇宙滞在の期間を当初計画していた2週間よりも延長するかもしれない」と発表している。これは現在ロシアのソユーズを利用して行なっているISS乗員のローテーションをCrew Dragonで実施しようとするものだ。

宇宙計画では計画の変更は付き物だが、予想外の事態が起きないかぎり上に述べたようなスケジュールでDemo-2は実施されるものと思われる。

画像:SpaceX

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceXがNASAの有人宇宙飛行専門家を雇用、宇宙船クルードラゴンはDemo-2ミッション準備完了

SpaceXは同社初の有人宇宙飛行の準備中であり、宇宙船クルードラゴンの有人デモンストレーション・ミッションは5月7日に仮設定されている(現時点で日付は流動的)。火曜日(米国時間2/11)同社は、完成した宇宙船クルードラゴンのビデオを披露した。Bob Bhenken(ボブ・ベンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)氏の両宇宙飛行士が搭乗する。また、CNBCは、SpaceXがNASAの有人探査部門の副責任者であるWilliam Gerstenmaier(ウィリアム・ガーステンマイヤー)氏を雇用したことを明らかにした。

Gerstenmaier氏はNASAで14年間この業務についていおり、40年にわたるNASAでの任務中スペースシャトル・プログラムと国際宇宙ステーションを担当していた。人間を宇宙に飛ばすことに関して、世界にこれ以上の人物が存在する可能性は低い。有人宇宙飛行プログラムを間近に控えるSpaceXにとって、鍵となる人事だ。

今年予定しているDemo-2ミッションでは初めて宇宙飛行士が搭乗し、SpaceXにとって国際宇宙ステーションとの乗務員輸送の定期提供者になるための次の一歩となる。現在NASAは宇宙飛行士の国際宇宙ステーションとの往復輸送をロシアのRoscosmos(ロスコスモス)が運行するソユーズに依存している。2011年にスペースシャトルプログラムが終了して以来行われている運用だ。

SpaceXは、今年中にBehnken、Hurley両宇宙飛行士をISSに運ぶ予定の宇宙船クルードラゴンの短編ビデオも公開した。この宇宙カプセルはテスト用の特別なチャンバーで、正式飛行前の検証プロセスの重要な部分を占める電磁妨害テストを受ける。今週Ars Technicaが報じたところによると、Demo-2ミッションの準備はほぼ完了しており、4月から6月のどこか実行される予定で、現在は5月7日が予定日になっている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXはStarlinkをスピンアウトさせてIPOを目指す

SpaceXは、急成長を続ける衛星インターネットサービスのプロジェクト、Starlink(スターリンク)の事業をスピンアウトさせ、IPOによって株式を公開することを目論んでいるようだ。ブルームバーグによると、SpaceXのCOO兼任社長のGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏が、JPMorgan Chase(JPモルガン・チェース)の投資家会議で明らかにしたという。

SpaceXは、これまでに多くの衛星を打ち上げて、Starlinkクコンステレーションに追加してきた。最終的な目標は、全世界から接続可能な低コストで高バンド幅のインターネット接続を実現すること。Starlinkは、低地球軌道を回る小さな衛星をネットワーク化することで、これを実現しようとしている。そのためにSpaceXは、現在の申請内容によれば、最終的に2万5000基もの衛星を打ち上げることを目標にしている。

現在、約240のStarlink衛星が周回軌道上にある。また、2月中に予定されている5回目のStarlink打ち上げによって、さらに60の衛星が加わる計画となっている。今後もSpaceXは、2020年の間に頻繁な打ち上げを続け、最終的に年末までには顧客へのサービス提供を開始できるよう目指している。さらに2021年の間にコンステレーションを充実させ、サービスを提供可能な領域を拡張する計画だ。

ショットウェル氏はブルームバーグに「SpaceXは今のところプライベートな企業だが、のStarlinkは今後も成長し、株式を公開するのにふさわしいビジネスなのです」と語った。それも道理というものだろう。のStarlinkの運営がいったん軌道に乗れば、他のネットワーク事業者と同様、会員となった顧客から継続的に収益を得ることが可能な、伝統的な構造のサービス事業となる可能性が高いのだから。今のところSpaceXは、スピンアウトの具体的なスケジュールを定めていないという。これはまだ初期の検討段階の話であり、実際にスターリンクの株式が公開されるのは、数年先になりそうだ。

一方SpaceXは、当面の間は収益性はさほど重視していないように見える。これまでに、打ち上げに対して多額の現金を喜んで支払う顧客のために、Falcon9やFalcon Heavyのような繰り返し使える輸送ロケットを開発し、実証してきた。もちろん、再利用可能にすることで、打ち上げにかかるコストは低減し続けてきたが、同時にSpaceXは、Starshipと呼ばれる完全に再利用可能な、まったく新しい打ち上げシステムも開発してきた。その中には新たなSuper Heavy(スーパー・ヘビー)ブースターも含まれていて、開発プログラムには、かなり多額の継続的な出費が見込まれる。しかもその出費は、今後減るどころか、ますます増えることが予想される。

最終的にStarshipは、Falcon 9とFalcon Heavyの両方に取って代わって、SpaceXとして唯一の打上げ機となるだろう。それによって毎回の打上げコストを大幅に削減し、収益性の高い運用が確保できる。とはいえ、まだStarshipは開発の初期段階にある。またSpaceXのCEO兼創立者のElon Musk(イーロン・マスク)氏は、火星に到達して植民地化するという野心的な計画も持っている。その実現には、それなりの資本支出が必要だが、それは必ずしも株式市場の要望に沿うものではない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

SpaceXが衛星打ち上げライドシェア開始、料金1億円超で予約受付中

SpaceXが衛星打ち上げをウェブから予約できるツールを発表した。これはFalcon 9の打ち上げに際し、ペイロードに余裕がある場合、ライドシェア方式でミニ衛星を搭載できるというものだ。昨年SpaceXが発表したライドシェア式打ち上げは6000万ドル(約69億円)以上かけてロケット1機を丸々予約する必要がない(余裕がない)小型衛星の打ち上げたいカスタマーの市場を開拓するのが狙いだ。

衛星打ち上げのライドシェアのページによれば、料金は100万ドル(約1億1000万円)から、ペイロード重量は200kgからだ。200kgを超える場合、1kgあたり5000ドル(約55万円)の追加料金となる。

ユーザーはまず希望の軌道種類を静止、低軌道、極軌道などからを選び、衛星打ち上げ準備が整う一番早い日付として最速期日を入力する。本稿執筆時点では今年の6月以降が選択できる。次に打ち上げを希望する衛星の質量(重量)を入力すると推定料金が表示される。以後さらに詳細な情報の入力を求めるページが続く。搭載を計画しているのは15インチ(38cm)ポートか24(61cm)ポートか、今後SpaceXから発表される打ち上げ日程にける希望するロケットと打ち上げ日付などを入力する。

 ユーザーが入力できる要素にはこのほか、SpaceXの標準規格で衛星を搭載するためのポートアダプターの必要の有無と規格、衛星放出システムをユーザーが独自に用意するのか、SpaceXの標準システムを利用するか、衛星が独自の推進システムを装備する場合は打ち上げ直前の燃料注入、200万ドルまでの保険などがある。オンラインでTesla(テスラ)車を注文するのに似ているが、もちろんはるかに高価な買い物となる。

これは単に話題を呼ぶためのマーケティングツールではなく、本当に衛星を宇宙に送るためのページだ。オプションの入力が完了し、ユーザーが米国の国際兵器輸送規則(ITAR)に違反するなどの違法行為の疑いを受けていないことが確認されるクレジットカード番号が入力できる。この時点で5000ドル(約55万円)の予約金が引き落とされる。残金は3回払いとなるが、SpaceXが引受を確認後5日以内に初回かつ最大の支払いをする必要がある。

 SpaceXでは同時に、衛星ライドシェアについてのユーザーガイドを公開し、このプログラムの環境テスト、法的責任、技術的スペックなどの詳細に触れている。 しかしウェブサイトを開き、Tesla Model Yを予約するのとそっくりの手順で衛星を軌道に送り込むことができるというのはやはり驚きだ。

サイトはユーザーにわずかでも規則違反があったり、最低99万5000ドル(約1092万円)の残金支払いができなかったりすれば予約金は没収となると警告しているが、それにしても今のところ世界にこのページ以上に手軽な衛星打ち上げ予約方法はなさそうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

イーロン・マスク氏が自作EDMをSoundCloudに本当にポスト

金曜日はたくさん新譜が出る日だが、この米国時間1月31日の金曜日には、ありえないソースからの曲がポストされている。それはElon Musk(イーロン・マスク)氏だ。SpaceXとTesla(テスラ)のCEOは、今週初めに「Don’t Doubt ur Vibe」という曲を書いた。曲は「Emo G Records」から発売される、と言っていた。しかし例によってそれは冗談かもしれないし、夜のインターネットのお遊びかもしれなかった。

ところが、彼は本気だった。しかもその曲を聴くために待つ必要はない。歌詞は、即興で一瞬で書けたのではないか。以下のフレーズを、無限に繰り返すだけだ。

Don’t doubt your vibe / because it’s true / don’t doubt your vibe / because it’s you

マスク氏によると、歌ってるのは彼自身だと言うが、加工されディストーションがかかっているので、まるで宇宙人の声のようだ。

EDM的にアレンジされた脈動感のあるアンビエントなもので、このジャンルの曲としては悪くない。聴いてご判断していただきたい。

マスク氏はこの曲を実際にレコーディングしているスタジオ内の写真をツイートし、最終テイクが完成するまでの過程は思った以上にたいへんだった、とシェアした。その曲作りのツイートの中で彼はフォロワーたちを教育して、コロナウイルスに関する不吉な予言がどんどん大げさになっていく理由を説明した。

アルバムが出るという話はないけど、テスラの決算報告も株価も絶好調だし、名誉毀損の裁判で勝ち、Starlinkプロジェクトも動き出した。それにSpaceXの商用有人飛行も前進、有人ミッション前の最後の試験飛行も成功という、マスク氏にとっていいことずくめの今日このごろだから、音楽をリリースするのもサマになってる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpaceXがStarship次期プロトタイプ開発へ前進、燃料タンクが故障するまでのストレステストを完了

SpaceX(スペースX)は、Starshipの次期プロトタイプの開発に必要な重要なテストを完了した。米国テキサス州ボカ・チカにあるStarshipの開発施設で、燃料タンクが故障するまでのストレステストを実施したのだ。この試験は、同じタンクによる低圧力試験の直後に行われ、その結果破裂した溶接部が修正され、米国時間1月28日夕方の試験へとつながった。

同社はテキサス州にある同社の施設で、Starship宇宙船の第3プロトタイプの製造に取り組んでいる。同社でCEOを務めるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、「SN1」 と呼ばれるプロトタイプのStarshipは、現在の開発スケジュールによれば6月ごろに完成し、テストの準備が整うだろうと語っている。

同社が1月29日に完了したテストは、圧力タンクがどれくらいの圧力に耐えられるかを確認するためのものだ。マスク氏はTwitterにて、破裂前には最大圧力8.5バールを達成したと伝えた。これは、宇宙船の軌道飛行試験に必要な6バールの圧力定格を十分に超えているだけでなく、有人宇宙船に必要な8.5バールという数値に到達してる。

機体が損傷するまでのテストは、新しい宇宙船の開発にとって重要な要素だ。なぜなら、シミュレーションや理論だけでなく、実際の使用シナリオで必要となる宇宙船の現実的な限界が設定できるからだ。同社はタンクの圧力レベルを室温と超低温(宇宙空間で想定されるのに近い寒さ)の両方でテストし、マスク氏は超低温下にてスチール製のStarship機体の強度が高まると指摘している。

Starshipは外装にステンレス鋼が採用されており、マスク氏によるとこれはコストを削減すると同時に、優れた耐久性と再使用性を提供する。同社はStarshipでFalconシリーズのロケットを完全に置き換え、完全に再利用可能な宇宙船を提供する予定だ。これは大型のペイロード(あるいは火星行き)のためのSuper Heavyブースターと組み合わせることで、非常に大きな貨物を運ぶことや、あるいは異なる顧客からの小型のペイロードで構成される相乗りミッションも可能となる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ボーイングはNASAのStarlinerミッションの再実行に備えて約447億円を確保

ボーイングは米国時間の1月29日、第4四半期の業績を発表した。その中には、Commercial Crew(商業乗員輸送)ミッションを再度実行する場合の費用をまかなうための4億1000万ドル(約447億円)の留保が含まれていた。昨年の12月のミッションが計画通りに遂行できなかったことを受け、NASAがもう1度無人打ち上げが必要だと判断した場合に対応するためだ。

この税引前の費用は、その四半期の全体的な営業利益の0.5%の減少に相当するとされる。ボーイングは、この資金を実際に支出するかどうかは、NASAの決断しだいだとしている。つまり、実際に宇宙飛行士が搭乗して飛行する前に、Commercial Crewに関する契約条件を満たすため、ボーイングはやり直しの飛行を実施する必要があるとNASAが判断するかどうかにかかっているわけだ。

「NASA​​は、もう1回無人打ち上げが必要かどうかを判断するため、2019年12月のミッション中に受信したデータを評価している」と、ボーイングの四半期報告書には記されている。

前回の打ち上げでは、完全に自動でISS(国際宇宙ステーション)にドッキングする予定だったがが、搭載されたミッションタイマーの誤作動によって、Starliner(スターライナー)カプセルは予期せず過剰な燃料を燃焼させ、最終的にISSへ計画通り到着することができなかった。やむなく、NASAとボーイングはカプセルを早期に着陸させることにして、ドッキングのデモを除く他のテストを完了させた。

Ars Technicaの最近の記事によれば、NASAはそのミッション中に、スラスターの性能についても懸念を抱いていたという。しかし、NASAもボーイングも、これまでのところ、実際に乗員をStarlinerに乗せる前に、もう1回の無人飛行が必要かどうかを判断するのは時期尚早だと言い続けてきた。

Commercial Crewプログラムへの参加者でもあるSpaceXは、昨年3月に「Demo-1」と呼ばれる無人のISSドッキングミッションを遂行した。自動ドッキングも、宇宙船を地球に帰還させることも計画通りに成功した。SpaceXも、昨年の静止噴射テストの際に、Crew Dragonが破壊されるなど、それなりに失敗を経験してきたが、今月初めに飛行中の中止テストが成功したことで、重要な乗員飛行のデモの前に必要となるすべての材料を揃えることができたようだ。乗員飛行は、早ければこの春にも実現したいとしている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)