マセラティが同社初の電気自動車「グレカーレ」を発表、発売は2023年

イタリアの高級車ブランドであるMaserati(マセラティ)は、同社初となるオール電動車のプロトタイプを、現地時間3月22日に発表した。この「Grecale(グレカーレ)」と呼ばれる中型クロスオーバー車は、2030年までに完全に電気自動車へ移行するという同社の計画の第一歩となる。

グレカーレは、ガソリンエンジン車と電気自動車の両方が発売される。エンジン車は2022年後半に発売、そしてマセラティの新しい電気自動車ラインナップであることを表す「Folgore(フォルゴーレ、イタリア語で『雷光』という意味)」の名称が与えられたバッテリー駆動EVの方は、2023年に市場に投入される予定だ。

この二本立ての戦略により、マセラティは強力な内燃機関に対するこれまでの高い評価を維持し続けることが可能になる。グレカーレの最上級仕様「Trofeo(トロフェオ)」は、マセラティのスーパースポーツカー「MC20」用エンジンをベースにした最高出力530馬力のV6ツインターボ・ガソリンエンジンを搭載する。なお、そのMC20にも近々バッテリー駆動の電気自動車バージョンが追加されることになっている。

グレカーレ・フォルゴーレは、マセラティが全電気自動車ブランドとなることを目指すロードマップの中間地点として、2025年までに発売を計画している6車種のEVの中で最初のモデルである。

マセラティのフォルゴーレ・ラインナップは、2023年にまずグレカーレのEVバージョンがデビューし、続いて2ドアクーペ「Granturismo(グラントゥーリズモ)」とコンバーティブル「Grancabrio(グランカブリオ)」の電気自動車が登場する。そして2025年までにMC20のEVバージョンが加わり(コンバーティブルも追加される予定)、さらに次世代型にモデルチェンジする4ドアセダン「Quattroporte(クアトロポルテ)」とSUV「Levante(レヴァンテ)」も電気自動車となる予定だ。

地中海の風にちなんで名づけられたグレカーレは、この自動車メーカーにとって2台目のユーティリティビークルとなる。2017年にデビューした大型SUVのレヴァンテは、同ブランドの売上の60%を占めている。グレカーレは、高級SUVと電気自動車の両方に対する消費者の需要の高まりに応えられるため、同ブランドのトップセラーになることが期待されている。

マセラティは、グレカーレ・フォルゴーレの価格や推定航続距離の数値を公表していない。だが、この新型車に関するいくつかの特徴を明らかにした。車内には12.3インチのタッチスクリーンと8.8インチのディスプレイを装備し、14または21スピーカーのSonus faber(ソナス・ファベール)製サウンド・システムが(グレードによって)搭載されるとのこと。また、同社によれば「セグメントトップレベル」のキャビンスペースとカーゴスペースを備えているという。

先に、マセラティのDavide Grasso(ダビデ・グラッソ)CEOは、電気モーターの音のチューニングに1年半以上を費やしていると語った。

「マセラティ・サウンドは、常にブランドと製品を定義する非常に重要な要素です」と、グラッソ氏は語り「要求されるものが多いプロセスですが、実際に私はその成果にとても興奮しています」と続けた。

マセラティの親会社で、Fiat-Chrysler(フィアット・クライスラー)とPSA Group(PSAグループ)の合弁会社であるStellantis(ステランティス)は、2030年までに世界で500万台のEVを販売するという目標を掲げている。このイタリアの自動車メーカーがバッテリー技術に注力するのはそのためだ。ステランティスは、米国で販売する車両の半分をEVに移行させ、欧州では完全な電気自動車メーカーになるという目標を達成するために、75車種を超えるバッテリー電気自動車の販売を計画している。

画像クレジット:Stellantis

原文へ

(文:Jaclyn Trop、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マセラティ、2025年までに6車種の電気自動車を市場に投入

イタリアの高級車ブランド、Maserati(マセラティ)は、2025年までにラインナップの各モデルに電気自動車バージョンを導入し、2030年までには内燃エンジンの廃止を計画している。これによって同社は、Aston Martin(アストンマーティン)からVolvo(ボルボ)まで、電気自動車への移行を公約に掲げる自動車メーカーの長いリストに加わる最新のブランドとなった。

マセラティは2023年に、3車種のバッテリー駆動電気自動車を発売する予定だ。次世代型の2ドアクーペ「Granturismo(グラントゥーリズモ)」とコンバーティブルの「Grancabrio(グランカブリオ)」、そして新型ミッドサイズSUV「Grecale(グレカーレ)」のEVバージョンである。さらに2025年までに、スーパースポーツカー「MC20」と、次世代にモデルチェンジする4ドアセダン「Quattroporte(クアトロポルテ)」およびSUV「Levante(レヴァンテ)」にEVが登場する。つまり、2025年までにマセラティは、全部で6車種のEVを提供することになるわけだ。

3月22日に発表イベントが予定されているグレカーレは、現行のレヴァンテに続くマセラティのSUVだ。レヴァンテは、現在マセラティのラインアップで唯一のSUVだが、同社の売上の60%近くを占めている。グレカーレは、EVと高級SUVに対する消費者の需要の高まりに対応することで、市場のスイートスポットを突く可能性がある。

マセラティのクルマは、今後もイタリアで生産が行われる予定だ。マセラティの親会社で、Fiat-Chrysler(フィアット・クライスラー)とPSA Group(PSAグループ)の合弁会社であるStellantis(ステランティス)は、積極的に電動化を推進している。このコングロマリットは、2030年までに全世界で500万台のEVを販売するという目標を掲げ、そのために75車種以上のバッテリー電気自動車を用意する計画を立てている。

マセラティのDavide Grasso(ダヴィデ・グラッソ)CEOは、これらマセラティの新モデルが親会社の他の車種とプラットフォームを共有するかどうかについては明言を避けた。

「もちろん、ステランティスの中で、私たちは多くの機会を持つビッグファミリーの一員です」と、グラッソ氏は語った。「マセラティがパフォーマンスとラグジュアリーの象徴であることは明らかであり、それは将来も確実に守られていくはずです。電動化に向けて、マセラティでは最高の航続距離とパフォーマンスの実現に焦点を当てた専用アーキテクチャを、より多く目にすることになるでしょう」。

グラッソ氏によると、マセラティは今のところ、Formula One(フォーミュラ・ワン、F1)から距離を置き、自動車メーカーがバッテリー技術をテストするために役立つ電気自動車レースシリーズのFormula E(フォーミュラE)に集中するという。「今はフォーミュラ・ワンの参戦は計画していません。しかし、今後も絶対にないとは言いません」。

画像クレジット:Maserati

原文へ

(文:Jaclyn Trop、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ステランティスがアマゾンと提携、コネクテッドカー体験をアップグレード

世界的な自動車メーカーStellantis(ステランティス)は、ソフトウェアから年間225億ドル(約2兆6130億円)を生み出すという計画の一環として、2024年までに一連の車載製品とサービスを同社の車両に導入するため、Amazon(アマゾン)とタッグを組む。

米国時間1月5日に2022 CESで発表されたこの提携は、Stellantisのビジネスのほぼすべての側面に影響を与えるものと思われる。両社によると、Amazonの技術は、Stellantisの自動車開発、車載接続体験の構築、次世代の自動車ソフトウェア・エンジニアの育成に活用されるとのことだ。

この複数年契約の一環として、Stellantisは車両プラットフォームの優先クラウドプロバイダーとして、Amazon Web Services(アマゾン ウェブ サービス、AWS)を選んだ。最近、既存社員および新入社員向けのソフトウェア・アカデミーを立ち上げたStellantisは、AWSと協力してソフトウェア、データ、クラウド技術を網羅するカリキュラムの作成にも取り組んでいる。

Stellantisは12月にソフトウェア計画を発表したが、その時はAmazonには触れていない。Stellantisは、ソフトウェアと電動化に2025年までに337億ドル(約3兆9140億円)以上を投資すると発表している。この投資には、2024年までのソフトウェアエンジニア5000人の雇用も含まれる。

同社の最終目標は、2030年までに3400万台のコネクテッドカーを走らせ、消費者に販売した後も何年も収益を上げられるようにすることだ。この目標を達成するために、BMW、Foxconn(フォックスコン)、Waymo(ウェイモ)、そして今回のAmazonとのパートナーシップに傾注している。

Stellantisが自動車のソフトウェアを利用して乗客やドライバーに製品やサブスクリプションを販売する計画には、すでに開発が進んでいる3つの構成要素が含まれている。

それは、同社がSTLA Brainと呼ぶ、基盤となる電気およびソフトウェア・アーキテクチャから始まる。このシステムはクラウドと統合されており、車両内の電子制御ユニットを高速データバスで車両の中央高性能コンピュータに接続する。これにより、同社は「無線」、つまりワイヤレスで車両のソフトウェアをアップグレードすることができるようになる。

この「頭脳」に、Stellantisは「SmartCockpit」を追加した。これはFoxconnと共同で構築したプラットフォームで、ナビゲーション、音声アシスト、eコマースマーケットプレイス、支払いサービスなどのアプリケーションをドライバーに提供するものだ。最後に、BMWと共同開発した3つめの自動運転プラットフォーム「AutoDrive」で、Stellantisのソフトウェア計画は完了する。

同社は1月5日に、Amazonと協力してSmartCockpitプラットフォームをさらに発展させ、ドライバーと乗客にパーソナライズされた車内体験を提供できるアプリケーションを搭載すると発表した。Stellantisの14種の自動車ブランドのいずれにおいても、乗車する人はアプリストアにアクセスしてサービスやエンターテインメントを見つけることができるようになる。また、音声アシスタントAlexaもSmartCockpitに搭載される予定だ。

AmazonのAIテクノロジーは、顧客の行動や関心事を把握し、それに適応するのに使用される。これは、顧客が厳しい地形の道を走る前に車両を調整し、性能を最適化するのに役立つデジタルオフロード「コーチ」がJeep車に搭載される可能性があることを意味する、とStellantisは述べた。

車載ソフトウェアは、スマートホームやサービスなど、Amazonの他の製品とも連携し、ユーザーは車に乗ったまま自宅を監視・管理できるようになる。また、この機能は逆にも作用する。自宅のAlexa対応デバイスやスマートフォンのAlexaアプリにコマンドを送ることで、車に乗る前に車内の温度を設定することができるようになる。

画像クレジット: DENIS CHARLET/AFP / Getty Images

[原文へ]

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

ステランティスは28年までにクライスラーをオールEVブランドに変える、コンセプトカーから垣間見えるその未来

Stellantis(ステランティス)が所有する96年の歴史を持つブランドで、今日ではミニバンで有名なChrysler(クライスラー)は、2028年までにオールEVブランドとなる計画だ。

同社は、2つの電気モーターと1回の充電で350マイル(約563km)から400マイル(約643km)走行できるバッテリーを搭載した全輪駆動の電気SUVコンセプトカー「Crysler Airflow Concept」を公開した際に、この発表を行った。

Stellantisは、このコンセプトカーが生産されるかどうかについては言及しなかった。現在のところ、Airflow Conceptは、ブランドの将来のポートフォリオを特徴づけるデザインと技術を披露するためのもののようだ。

Chryslerの新しいEVの未来における最初の実製品は、わずか数年後に登場する。Fiat Chrysler (フィアット・クライスラー)とフランスのPSAグループの合併によって誕生したこのグローバルな自動車メーカーは、2025年までに最初のバッテリー電気自動車を市場に投入することを明らかにしたのだ。

現在、同ブランドの車種は、ミニバンの「Chrysler Pacifica」と「Chrysler Pacifica Hybrid」、セダンの「Chrysler 300」の3車種のみだ。ChryslerブランドCEOのChris Feuell(クリス・フォイエル)氏によると、2017年初頭に市場投入されたプラグインハイブリッドのChrysler Pacifica Hybridは、同ブランドの目指す方向への飛躍台として機能したという。

Crysler Airflow Conceptの内部

Chrysler Airflow Conceptの内装(画像クレジット:Stellantis)

Chrysler Airflow Conceptは、低い車高とツートンカラーのルーフラインにより、空力性能ひいては航続距離を向上させながら、強靭なスタンスを兼ね備えてデザインされたSUVだ。また、ロングホイールベースとワイドトレッドに22インチホイールを組み合わせることで、外観は完成させれている。

パノラマルーフや乗員の好みに応じて変化する照明、クリスタルLED照明で照らされた光刃を含むグリルに結び付けられたChryslerウィングのロゴなど、エクステリアとインテリアの一連の工夫によって、プレミアムSUVを披露することが今回の目的である。

Chrysler Airflow Conceptは、ブランドのウィングロゴをグリルに結びつけ、クリスタルLEDライトで照らされたライトブレードを搭載(画像クレジット:Stellantis)

しかし、Stellantisがブランドのために計画している本当の姿は、Airflowに搭載されているハードウェアとソフトウェアの技術だ。StellantisのチーフデザインオフィサーであるRalph Gilles(ラルフ・ジル)氏が発表の中で述べているように、Airflowは「Stellantisのコネクテッドビークル技術の集大成を、内側と外側から熟考して完成した成果物」なのだ。

それは、いったいどういう意味なのだろうか?Stellantisの考えにおいて、それはコネクティビティ、デジタルコンテンツとサービス、そして先進的なドライバーアシスタンスシステムのことを指す。

このコンセプトには、Stellantisがすでに開発を進めている3つの分野が含まれており、12月には、クルマに搭載されたソフトウェアから年間225億ドル(約2兆6000億円)を生み出し、乗客やドライバーに商品とサブスクリプションを販売する計画の一環として、その概要を発表している。

関連記事:ステランティスが車載ソフトウェアで年間約2.5兆円の収益を上げる計画を発表

まず「STLA Brain」と呼ばれる電気とソフトウェアの基本的なアーキテクチャからだ。このシステムはクラウドと統合されており、車両内の電子制御ユニットを高速データバスで車両中央の高性能コンピュータに接続する。これにより、同社は「無線」で、つまりワイヤレスで車両にソフトウェアをアップグレードすることができるようになるのだ。

この「頭脳」の上に、同社は「SmartCockpit」を追加した。これはFoxconn(フォックスコン)と共同で構築したプラットフォームで、ナビゲーション、音声アシスト、eコマースマーケットプレイス、支払いサービスなどのアプリケーションをドライバーに提供することができる。

最後に、BMWと共同開発した「AutoDrive」と呼ばれる第3の自動運転プラットフォームが、自動車メーカーのソフトウェア計画を完成させることになる。

Chrysler Airflow Conceptの各スクリーンは、デジタルコンテンツにアクセスするためのパーソナライズされた空間だ(画像クレジット:Stellantis)

「頭脳」「スマートコックピット」「自動運転」という、これら3つのプラットフォームは、2024年までにすべてのStellantis新モデルに搭載される予定だ。同社の方向性を示すコンセプトであるAirflowは、これら3つのプラットフォームも搭載している。

頭脳、スマートコックピット、自動運転の3つのプラットフォームを通して何が実現できるのかを示してくれたこのAirflowの車内には、いたるところにスクリーンがあり、ユーザーはアプリやエンターテインメントなど、パーソナライズされたデジタルコンテンツにアクセスすることができる。スクリーンに表示された情報は、スワイプすることですべての乗客と共有することができる。

Airflowの写真は以下のギャラリーで確認してみて欲しい(画像クレジット:Stellantis)。

  1. CN021_003CH

  2. CN021_002CH

  3. CN021_021CH

  4. CN021_093CH

  5. CN021_034CH-1

  6. CN021_043CH

  7. CN021_016CH

  8. CN021_068CH-1

  9. CN021_062CH

  10. CN021_059CH

  11. CN021_061CH

  12. CN021_060CH

  13. CN021_057CH-1

  14. CN021_018CH

  15. CN021_071CH

  16. CN021_024CH

画像クレジット:Stellantis

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ステランティスが車載ソフトウェアで年間約2.5兆円の収益を上げる計画を発表

Stellantis(ステランティス)はオランダ時間12月7日、同社の自動車に搭載するソフトウェアを使って乗員とドライバーにサービスや機能を販売または定額制で提供し、年間200億ユーロ(約2兆5600億円)の収益を上げるという野心的な計画を発表した。この狙いは競合他社の目標と一致するものだ。すべての自動車会社は、車両の販売、修理、融資以外の収益方法を模索している。

Fiat Chrsyler(フィアット・クライスラー)とフランスのPSA Group(PSAグループ)が合併した国際的自動車メーカーのステランティスは、2025年までに300億ユーロ(約3兆8400億円)以上をソフトウェアと電動化に投資すると発表した。その中には2024年までに4500人のソフトウェアエンジニアを雇用することも含まれる。

最終的な目標は、2030年までに3400万台のコネクテッドカーを走らせ、消費者に車両を販売した後も、そこから数年間、収益を得られるようにすることだ。この目標を達成するために、ステランティスはBMW、Foxconn(フォックスコン)、Waymo(ウェイモ)とのパートナーシップを活用する。同社によれば、現在は世界中にステランティスが販売した1200万台の「収益化可能な」コネクテッドカーが走っているという。なお、ステランティスでは「収益化可能」なのは新車で販売してから最初の5年間と定義している。

では、ステランティスは実際にどうやって収益化するつもりなのだろうか?まず、そのための基盤となるのが、同社が「STLA Brain」と呼ぶ電気 / 電子制御とソフトウェアのアーキテクチャだ。この基本システムは、車両の各部に搭載された電子制御ユニットと、その中心となる高性能コンピューターを高速データバスで接続し、それがクラウドに統合される。これによって、車載ソフトウェアのアップグレードを「OTA(over the air)」つまり無線で行うことができる。

ステランティスは、この「Brain(頭脳)」の基盤上に、Foxconnとの合弁会社であるMobile Drive(モバイル・ドライブ)が開発した「STLA SmartCockpit(スマートコクピット)」というプラットフォームを付け加え、ナビゲーション、音声アシスタント、電子商取引マーケットプレイス、決済サービスなどのアプリケーションをドライバーに提供する。なお、これとは別に、ステランティスはFoxconnと、専用のマイクロコントローラー・ファミリーを設計するための拘束力のない覚書に署名したことも発表した。このパートナーシップは、ステランティスの車両に必要とされるマイクロコントローラーの80%以上をカバーする4つのチップファミリーを開発することを目的としている。

そしてステランティスのソフトウェア計画で3つめの鍵となるプラットフォームが、BMWと共同開発した最高レベル3の自動運転を実現する「STLA AutoDrive」だ。これら3つのプラットフォーム(STLA Brain、STLA SmartCockpit、STLA AutoDrive)は、2024年以降に発売されるすべてのステランティス製の新型車に採用される。

ソフトウェアを自動車の中心的な要素とした最初の企業はTesla(テスラ)だった。同社は無線アップデートで、性能の向上やテレビゲーム機能などを提供したり、先進運転支援システムのアップグレードを可能にしている。しかし、他の自動車メーカーも以前から、日々収集される膨大なデータを利用して、オーナーに車内サービスを提供することに可能性を見出していた。

現在では、GMをはじめとする多くの自動車メーカーが、ドライバーが車内で利用したいと思うサービスを実際にサブスクリプションで提供できる技術力を備えている。しかし、これには賛否両論があることも事実だ。今まで車両購入時に一度だけオプション料金を払うだけでよかったシートヒーターやアダプティブクルーズコントロールの機能を使うために、継続的に料金を支払わなければならないサブスクリプションという方式に対し、消費者から反発の声も上がっているからだ。

関連記事:GMは2030年までにサブスクをNetflix級のビジネスにしようとしている

ステランティスは、ソフトウェアを使用して、自動車の所有者にサービスやサブスクリプションを提供するだけでなく、ある機能を使いたいときだけ使えるようにオンデマンドで提供することも計画している。また、法人顧客に対しては、データ・アズ・ア・サービス(サービスとしてのデータ)やフリート・サービスを提供する予定だ。例えば、同社はデータ収集能力を利用して、使用量ベースの保険プログラムを2022年に開始し、欧州と北米の金融部門を通じて提供すると述べている。

ステランティスによれば、今回発表されたソフトウェア戦略は、同社の車両ラインナップの電動化計画と連動するものであるという。同社は2021年7月、欧州における車両販売台数の70%以上、米国では販売台数の40%以上を、2030年までに低排出ガス車にするという目標を発表している。

画像クレジット:DENIS CHARLET/AFP / Getty Images

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

プジョーやフィアットを傘下に持つStellantisがEV電池材料確保のためリチウム供給契約を締結

Fiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)とフランスの自動車メーカーGroupe PSA(グループPSA)が折半出資で合併して誕生したグローバル企業Stellantis(ステランティス)は、リチウム生産者と拘束力のある契約を締結した。今回の合意は、EVの需要が高まる中、自動車メーカーとサプライヤーの間で相次ぎ行われている取引の1つだ。

Vulcan Energy Resourcesは、ドイツのアッパーラインヴァレー(上部ライン渓谷)にあるブラインプロジェクトからバッテリーグレードの水酸化リチウムを生産する。一般的に、リチウムは岩石を採掘して生産されるか、塩水鉱床から抽出される。どちらも環境面で問題があるが、Vulcanのサイトでは、再生可能な地熱エネルギーを利用してリチウムを抽出する。

また、このプロジェクトでは、使用済みのブラインを閉ループサイクルで再注入するため、生産滓のような残留物は発生しない。ドイツのプロジェクトは、南米などで行われている他のブラインプロジェクトに比べ水や土地の使用量が少ないため、二酸化炭素排出量が少なく、運用コストも低く抑えられる可能性があると、ドイツ・オーストラリアを拠点とする同社はウェブサイトで述べている。

この5年間の供給契約に基づき、Vulcanは2026年からドイツで抽出したリチウムをStellantisに送ることになる。契約期間中、Vulcanは8万1千トンから9万9千トンの水酸化リチウムを自動車メーカーに供給する。両社はこの取引の財務条件を明らかにしていないが、抽出サイトでの商業運転の開始と製品の適格性の両方を条件としている。

今回の契約は、Stellantisが7月に発表した、今後4年間で300億ユーロ(355億ドル、約3兆8480億円)をEVと新しいソフトウェアに充てる徹底的な電動化戦略の一環だ。同社は2025年までに130GWh、2030年までに北米と欧州の5つの工場で約260GWhのバッテリーを製造することを目標としている。

関連記事:多国籍自動車会社ステランティスが2025年までに約3.9兆円を電気自動車に投資

これは、世界の自動車メーカー各社が、EVバッテリーの主要鉱物であるリチウムのような有限の原材料を確保しようとしていることを示す最新の兆候だ。General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)はカリフォルニア州のリチウム抽出プロジェクトに同様の投資を行っており、Tesla(テスラ)はニッケルなどの鉱物について独自の供給契約を結んでいる

一方、Renault(ルノー)は先週、欧州産リチウムを最大3万2千トン供給する契約をVulcanと締結した。

画像クレジット:Stellantis

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

ジープが新型グランドチェロキーのプラグインハイブリッド車を発表、電気のみで約40kmを走行可能

公約通り、Jeep(ジープ)は米国時間9月29日、「Grand Cherokee(グランド・チェロキー)」初のプラグイン・ハイブリッド車に関する詳細を明らかにした。この「Grand Cherokee 4xe(グランド・チェロキー・フォーバイイー)」は、2022年初頭に北米のディーラーに並ぶことをジープは認めている。そしてその性能は期待以上と言っていいだろう。電気のみで25マイル(約40km)の距離を走行可能、といっても必ずしも毎日の通勤をすべてカバーできるわけではないかもしれないが、ジープは2.0L直列4気筒ガソリンエンジンに火を入れなくても、坂道をぐんぐん登っていける、荒削りだが目的に適ったPHEVであることを約束している。ちなみにガソリンも使った場合の航続距離は440マイル(約708km)となっている。

電気のみによる走行の他に、エンジンとモーターを組み合わせて最適なパフォーマンスを発揮する「ハイブリッド」モードや、容量17kWhのバッテリーをなるべく残しておくために、エンジンを優先的に使用する「eSave」モードを選択することもできる。

車内にも期待通り、多くの新しいテクノロジーが採用されている。前席と後部座席の前に備わる10インチのディスプレイには、Amazon Fire TV(アマゾンファイヤーTV)が組み込まれており、つまり移動の間、後席の子どもたちはPrime Video(プライム・ビデオ)を観ていられる。車載インフォテインメント・システムには「前世代より5倍も速い」という最新の「Uconnect 5」を採用。無線アップデートにも対応している。

4xeを含む新型グランド・チェロキーは、電子制御式セミアクティブ・ダンパーを採用したエアサスペンションを装備し、オフロード走行性能が向上した。路面状況から全輪駆動が必要ないと車両が判断した際には、前輪の駆動力が自動的に切り離され、駆動装置の抵抗を軽減させて燃費を向上させる。オプションの「Active Driving Assist(アクティブ・ドライビング・アシスト)」システムを使えば、ハンドルに手を置いて道路を注視している限り、半自動運転が可能だ。ジープによれば、グランド・チェロキー4xeのプラグインハイブリッド・システムは、1基の内燃エンジンと2基のモーターの組み合わせで、最高出力375馬力(280kW)と最大トルク637Nmを発生し、最大6000lbs(2720kg)の牽引力を発揮するという。

グランド・チェロキー4xeには、Limited(リミテッド)、Trailhawk(トレイルホーク)、Overland(オーバーランド)、Summit(サミット)、Summit Reserve(サミット・リザーブ)という4種類の仕様が設定されるが、いずれも価格はまだ明らかにされていない。しかし、これがジープ・ブランドにとって重要な車であることは、すでに明らかだ。ジープを傘下に収めるStellantis(ステラティス)は、ライバル企業に追いつくために電動化を競っており、2025年までにすべてのSUVに完全電気自動車バージョンを投入する計画を掲げている。プラグインハイブリッドは、それに向けた重要な第一歩である。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Jon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Jeep

原文へ

(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

バイデン大統領のEV販売目標達成に向けて、自動車メーカーが政府の投資拡大を要請

Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領は、2030年までに米国の新車販売台数の半分を低エミッションまたはゼロエミッション車にするという意欲的な新目標を発表するが、この計画について、ビッグ3の自動車メーカーは、政府による多額の支援が必要であるとしながらも、一定の支持を表明している。

General Motors(ゼネラルモーターズ)、Ford(フォード)、Stellantis(ステランティス、旧Fiat Chrysler)の3社は現地時間8月5日に共同声明を発表し、10年後までに新車販売台数に占める電気自動車の割合を40~50%にするという「共通の目標」を掲げた。ただし、この目標は「ビルド・バック・ベター(より良い復興)プランで政府が約束した一連の電化政策が適切に展開される場合にのみ達成できる」と注記されている。

具体的な投資としては、消費者へのインセンティブ、米国全土の「十分な量」のEV充電ネットワーク、研究開発への資金提供、製造・サプライチェーンへのインセンティブなどが挙げられている。

現地時間8月5日に大統領令として発表される予定のバイデン大統領の目標は、拘束力はなく、完全に自主的なものだ。この目標には、バッテリー、水素燃料電池、プラグインハイブリッドを搭載した車両が含まれる。

ホワイトハウスで開催される新しい目標に関するイベントには、自動車メーカー3社の幹部と全米自動車労働組合の代表者が出席。Elon Musk(イーロン・マスク)CEOのツイートによると、テスラは招待されなかったようだ。

ホワイトハウスが同日発表したファクトシートによると、バイデン大統領は、トランプ大統領の任期中に緩和された2026年までの乗用車および中・大型車の新しい燃費基準も強化する。この新基準は、米国運輸省と米国環境保護庁の管轄下で策定されるが、自動車メーカーにとっては驚きではない。この新基準は、すでにバイデン大統領の、いわゆる「Day One Agenda(初日のアジェンダ)」に含まれており、気候変動への取り組みの基礎となっている。

新基準は、2020年カリフォルニア州で可決された、自動車メーカー5社(BMW AG、Ford、本田技研工業、Volkswagen AG、Volvo AB)の連合体と協力して決定された基準を参考にしていると思われる。これらの自動車メーカーは8月5日、ホワイトハウスの排出量削減計画を支持するとした別の声明を発表したが、ビッグ3と同様、排出量削減目標を達成するためには、米国政府による「大胆な行動」が必要であるとしている。

2030年への道のり

Edmunds(エドモンズ)のインサイト担当エグゼクティブディレクターであるJessica Caldwell(ジェシカ・コールドウェル)氏は、声明の中で、バイデン大統領の拘束力のない命令は象徴的なものに過ぎないが、目標は達成可能であると述べ、自動車業界のリーダーたちは、誰が大統領であろうと、電化に関しては「以前から『壁に書かれた文字(不吉な警告の意味)』を見てきた」と続ける。

製品開発のリードタイムが比較的長いこともあり、大手自動車メーカーの多くが、少なくともこの10年の半ばまでは、EV(電気自動車)やAV(自動運転車)に数十億ドル(数千億円)規模の投資を行うことをすでに発表している。General MotorsFordは2025年までにそれぞれ350億ドル(3兆8000億円)、300億ドル(約3兆3000億円)の投資を発表しており、Stellantisも同様の発表を行っていることはいうまでもない。フォルクスワーゲンはバッテリーの研究開発に数十億ドル(数千億円)を投じており、さらにVolvo Cars(ボルボ・カーズ)は2030年までに全車を電気自動車に移行するとしている。

関連記事
GMが3.8兆円をEV開発へ投資、従来の計画に8850億円上乗せ
フォードが電動化への投資を3.3兆円に引き上げ自社バッテリー研究開発を加速、30年までにEV比率40%に
多国籍自動車会社ステランティスが2025年までに約3.9兆円を電気自動車に投資
Volvoが2030年までにEVへ全面移行、販売もオンラインに

これらの膨大な数字は、自動車メーカー各社の販売目標に沿ったもので、ほぼバイデン大統領の目標と一致している。

一方で、燃費規制については、これまで自動車メーカーの反応は芳しくなかった。General Motors、Stellantis(当時はFiat Chrysler)、トヨタ自動車の3社は、カリフォルニア州が独自の排ガス規制を設定する権限を剥奪しようとするトランプ大統領時代の訴訟を支持していたが、各社とも最終的には180度方針転換し、バイデン大統領は2021年、独自の基準を導入できることとなった。

本質的には、バイデン大統領の発表は気候変動と同様に地政学的な意味合いが強い。彼もまた、電気自動車に関しては「不吉な警告」を見ているのだ。バイデン政権は、ファクトシートの中で、電気自動車や電気自動車用バッテリーの材料について「中国が世界のサプライチェーンを支配しつつある」と指摘し「(中国を筆頭とする)各国は、電気自動車の販売目標を明確に設定することで、部品・材料から最終組立に至る製造部門に民間投資を呼び込む存在となっている」と述べている。

国際エネルギー機関(IEA)によると、米国では2020年、2016年の3倍の電気自動車が登録されたものの、電気自動車の市場シェアではヨーロッパや中国に後れをとっている。

このニュースにはさまざまな反応があり、その中には政権側にもっと断固とした行動を求める環境保護団体もある。Ceres(セレス)の交通部門シニアディレクターCarol Lee Rawn(キャロル・リー・ローン)氏は、将来的な規制は、二酸化炭素排出量を60%削減し、2035年までに電気自動車の販売を100%にするという「明確な軌道」を目指すべきという声明を出している。

現地時間8月5日にホワイトハウスでバイデン大統領と同席する全米自動車労働組合は、Ray Curry(レイ・カリー)会長が声明を出し「(同組合は)厳しい期限やパーセンテージではなく、米国の中産階級の心と魂を支えてきた賃金と福利厚生を維持することに焦点を当てている」と述べた。

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

ダッジが電動マッスルカーの発売を予告、それはどんなクルマになるのか?

「マッスルカー」という言葉は、常に譲歩の婉曲表現だった。お金をかけずに最大のパワーを手に入れたければ、Porsche(ポルシェ)やLotus(ロータス)のようなスポーツカーのことは忘れて、マッスルカーを買い、コーナーは少しゆっくりと曲がるようにすればいい。過去に多くのマッスルカーを世に送り出してきたDodge(ダッジ)は米国時間7月8日、電気自動車のマッスルカーを作り、2024年に発売すると発表した。最初に思い浮かぶ疑問。それがマッスルカーだとしたら、足りないものはなんだろうか?

マッスルカーとスポーツカーの間には違いがあり、それを知るのにダッジというブランドは最適だ。ダッジは長い間、馬力と直線の速さを連想させるブランドだった。Dodge Viper(ダッジ・バイパー)にDodge Challenger(ダッジ・チャレンジャー)、不格好なSUVのDodge Durango(ダッジ・デュランゴ)にさえ、710馬力を発揮するV8エンジンが搭載された派手な仕様が用意されている。そのパワーはポルシェのほとんどのモデルを凌ぐが、誰もサーキットでデュランゴをポルシェ911と競わせようとはしない。

電気自動車の魅力の1つは、機械的にシンプルであることだ。マッスルカーの元来の宣伝文句もそれだった。アメリカの自動車メーカーは、多大な開発コストがかかるチューニングされたシャシーや優れた空力特性を持つスポーツカーを提供する代わりに、日常的なファミリーカーに大きなエンジンを搭載したのだ。そう、マッスルカーとはそういうものだ。

ダッジがマッスルカーの鋳型を用いて、低コストでハイパワー、直線(のみ)で猛烈に速い電動レーサーを作ると仮定してみよう。Toyota Supra(トヨタ・スープラ)のようなクルマではなく、ダッジ・チャレンジャーの電気自動車版だ。このクルマにはいくつかの明確な特徴がある。

1つはバーンアウト。マッスルカーはバーンアウトをすることで知られているが、それはパワーが過剰で、シャシーが洗練されておらず、タイヤのトレッドをまったく無視した結果の副産物だ。ダッジは発表時のツイートでこの性能を予告し、4つのタイヤから煙を発生させているクルマの姿を示した。ダッジは顧客層をよくわかっている。

そして2つめ。マッスルカーのオーナーは、自分のクルマを自宅でチューニングしたり、調整したり、改造できることを期待している。それはこの種のクルマの大きな魅力の1つだ。工場出荷状態のマッスルカーは十分高性能だが、購入者は自動車メーカーが車両価格をできるだけ低く抑えるために、特定のパーツを省略していることを理解している。もっとトラクションが欲しいなら、タイヤを交換する。コーナリング性能を向上させたいなら、剛性の高いスタビライザーを装着する。電動マッスルカーにも、オーナーが改造する楽しみは残されるべきだ。だが、電気自動車の場合は、機械的なアップグレードよりも、ソフトウェアの調整によって性能を引き出すようなチューニングが多くなるだろう。

Tesla(テスラ)は以前から、オーナーが改造したり自宅で修理することを嫌う姿勢が批判されてきた。ダッジなどの自動車メーカーにとっては、そこにチャンスがある。自動車の購入者の多くは、自分のクルマに手を入れる楽しみを期待している。このような客層の支持が、ダッジの今後の成長には欠かせないと思われる。

以上のようなマッスルカーならではの特徴は、ダッジにとって魅力的なセグメントとなるはずだ。現在のダッジは、市場の変化に対応することに苦心し、古臭いクルマばかりになってしまっている。マッスルカーで培った低コストで高性能なクルマを作る方法を使えば、開発コストを抑えることができるだろう。そして、開発コストを低く抑えることは、今のダッジに必要なことなのだ。

ダッジは現在、世界第4位の自動車メーカーであるStellantis(ステランティス)の一部門となっている。ステランティスは、これまでダッジ・ブランドを所有していたFiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)と、フランスのGroupe PSA(グループPSA)が合併して新設された多国籍自動車会社で、その本社はオランダに置かれている。それ以前の話をするとさらにややこしい。1900年代のはじめにダッジ兄弟が起こした会社から始まったダッジは、1928年にクライスラーに買収された。かつてGMやFord(フォード)と並んで「ビッグ3」と称されたそのクライスラーも、今やステランティスが所有する1つのブランドに過ぎない。ダッジとクライスラーを合わせても、現在販売しているモデルは6車種しかなく、しかもこの数年間は大幅な刷新が行われていない。

復活した「Bronco(ブロンコ)」がフォードを活性化させたように、エレクトリックマッスルカーがダッジを活性化させるかもしれない。

フォードを見て欲しい。2021年型ブロンコがヒットしているのは、消費者がブロンコに期待していることにうまく合致しているからだ。ブロンコに長く付きまとっていたエンジンやシャシーの問題を、人々はほとんど覚えていない。代わりに人々の記憶にあるのは、頑丈なオフローダーというイメージ(とアメリカンフットボール選手と警察のカーチェイス)であり、だからフォードは新型ブロンコとして、現代的な利便性を備えた頑丈そうなオフローダーを作り上げた。

ダッジも同じようにして、今後発売される電動マッスルカーを開発するべきだ。しかし、マッスルカーと呼ぶからには、それなりの期待が寄せられることは間違いないわけで、ダッジはそれを十分に承知しているだろう。

同様に、フォードも4ドアの電気自動車を「Mustang(マスタング)」という名前で販売している。Chevrolet(シボレー)も「Corvette(コルベット)」という名前の電動SUVを準備しているという噂が絶えない。ほとんどの人が電気自動車のマスタングを気に入っているが(私はそうではない)、マスタングという車名がブランディングを混乱させていることも認めている。

では、ダッジの電動マッスルカーは何という車名になるのだろうか?最近では、自動車メーカーが新しいブランディングのために、過去のカタログを利用することが多くなっている。GMは初の電気トラックとしてHummer(ハマー)ブランドを復活させた。フォードもブロンコと「F-150 Lightning(F-150ライトニング)」という名前を復活させた。ダッジは豊富なマッスルカーの歴史を持っている。例えば伝説的なCharger Daytona(チャージャー・デイトナ)や、価格を抑えた「Corone(コロネット)」とそれをベースにアップグレードされた兄弟車の「Super Bee(スーパー・ビー)」「Dodge Stealth(ダッジ・ステルス)」や「Dodge Polara(ダッジ・ポラーラ)」なんてクルマもあった(ただし、ポラーラはEVメーカーのPolestar[ポールスター]に近すぎるかもしれない)。また、ダッジはクライスラーが以前使用していたPlymouth(プリムス)ブランドの車名を使うこともできる。その中には、Roadrunner(ロードランナー)、Duster(ダスター), Fury(フューリー)そしてBarracuda(バラクーダ)などがある。

最後の疑問。ダッジはこのクルマに、どうやってマッスルカーらしい音を与えるのだろうか?個人的には、そんなことはやらないで欲しい。私はパフォーマンスについて、聞くことよりも感じることを重視しているからだ。ちなみに私は、カスタムエキゾーストを装着した大きなF-150に乗っている。

Timothy Kuniskis(ティモシー・クニスキス)「ダッジが売るのは電気自動車ではありません。アメリカン eマッスルカーです」

関連記事:

カテゴリー:モビリティ
タグ:Dodge電気自動車マッスルカーStellantis

画像クレジット:Stellantis

原文へ

(文:Matt Burns、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

多国籍自動車会社ステランティスが2025年までに約3.9兆円を電気自動車に投資

Fiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)と、フランスのGroupe PSA(グループPSA)が合併して誕生した多国籍自動車メーカーであるStellantis(ステランティス)は、内燃機関からの脱却に向けた大規模な取り組みの一環として、今後4年間で電気自動車と新しいソフトウェアに300億ユーロ(約3兆9000億円)を投資すると発表した。

世界第4位の自動車メーカーとなったステランティスは、General Motors(ゼネラルモーターズ)やVolkswagen(フォルクスワーゲン)などのライバル企業と並んで、2020年代前半に電気自動車へ数兆円規模の投資を行うことになる。同社は2024年までに、Dodge(ダッジ)ブランドのマッスルカーと、Ram(ラム)ブランドのピックアップトラックの電気自動車を製造することを計画している。また、2025年までにはJeep(ジープ)ブランドのすべてのセグメントに、電気自動車またはプラグイン・ハイブリッド車を提供すると述べている。

その最終的な目標は、2030年までに欧州で70%以上、米国で40%以上の低公害車の販売目標を達成することだと、現地時間7月8日にオンラインで開催された同社初の「EV Day」イベントで、Carlos Tavares(カルロス・タバレス)CEOは語った。

ステランティスは、競合他社に比べて電動化が遅れているが、その理由の1つは、同社のラインナップの売れ筋がパフォーマンスモデルやヘビーデューティーモデルに偏っていることだ。同社は十数ブランドの自動車を設計・製造しており、米国ではジープ、Chrysler(クライスラー)、ダッジ、ラムがそれに含まれる。欧州の主要ブランドには、Fiat(フィアット)、Peugeot(プジョー)、Citroen(シトロエン)、Opel(オペル)などがある。

その電動化戦略を実現するために、2025年までに容量130ギガワット時以上のバッテリーを製造し、2030年までには北米と欧州に建設する5つの巨大バッテリー工場で、260ギガワット時以上のバッテリーを製造できるようにすると、ステランティスの幹部は語った。また、2024年までには搭載する車両に合わせて2種類のバッテリー化学物質を使い分け、2026年までに固体バッテリー技術を開発することを目標としているという。

画像クレジット:Stellantis

この巨大自動車メーカーは現在、4つの電気自動車専用プラットフォームを開発している。主に街乗り用の「STLA Small(STLAスモール)」は航続距離が最大500キロメール、上級乗用車の「STLA Medium(STLAミディアム)」の航続距離は最大700キロメートル、そして高性能なパフォーマンスモデルやマッスルカー用の「STLA Large(STLAラージ)」と、ピックアップトラックや大型SUV用の「STLA Frame」は最大航続距離800キロメートルとなる予定だ。ステランティスのRichard Palmer(リチャード・パルマー)CFOによると、同社では2020年から2024年の間にバッテリーパックのコストを40%削減することを目指しているという。

関連記事
ボルボ、ダイムラー、トレイトンが約660億円を投じて全欧的な電気トラックの充電ネットワーク構築
GMが3.8兆円をEV開発へ投資、従来の計画に8850億円上乗せ
フォードとBMWが全固体電池のSolid Powerに142.2億円を投入

カテゴリー:モビリティ
タグ:Stellantis電気自動車投資Fiat Chrysler Automobiles

画像クレジット:Stellantis

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)