YouTubeのCEOがヘイトスピーチ対策の現状と将来を語る

YouTubeのCEO Susan Wojcicki(スーザン・ウォシッキー)氏は、保守系のコメンテーターSteven Crowderを排除しない同社の決定を擁護している。彼女のそのコメントは、この右翼評論家によるVoxのホストCarlos Mazaの取り上げ方がどれだけ人種差別や同性愛者嫌悪の中傷的言葉を常に使っていても、同社のポリシーには違反していない、という調査結果が出てから一週間後に語られた。Crowderには、380万あまりのサブスクライバー(チャネル登録者)がいる。

彼女はアリゾナ州スコッツデールで月曜日に行われたCode Conferenceで、RecodeのPeter Kafkaにこう語っている。「YouTubeに対するそのような批判は、真剣に受け止めることが重要だ。またそういうポリシーは公平に適用しなければならない。公平さを欠くと、ユーザーからの苦情も増える。インターネットの上には、ラップもあれば、夜晩くのトーク番組もある。ユーモアもある。そしてそれら多くのコンテンツの中には人種差別や性的差別の言葉がたくさん使われている。それらをすべて取り締まることは不可能だから、目立つもの一つ二つを取り締まると、あれはどうだ、これはどうだ、という苦情が必ず殺到する。だから一定のポリシーを斉一公平に適用することが、きわめて重要だし難題でもある」。

VoxのStrikethroughのビデオ製作者Mazaは先週Twitter上で、YouTubeが虐待や同性愛者嫌悪、いじめなどを盛大に許容している、と非難した。彼は曰く、「何年も前からだ。いろんな機会に警告してきた。でもYouTubeは、どんなポリシーも強制していない。CrowderにはYouTubeのサブスクライバーが300万いるから、ルールを適用したら今度は反保守的のラベルを貼られてしまうのだ」。

“私のことを2年間もゲイだラテンアメリカ系だと中傷してきたCrowderをYouTubeは罰しないことに決めた。”

結局YouTubeはCrowderのチャネルの収益化を停止し、ビデオ上の広告で稼げないようにした。YouTubeはそれらのビデオを、「広範なコミュニティを傷つける言語道断な行為であり、YouTubeのパートナーポリシーに違反している」、とした。しかしCrowderは、左翼を批判するスローガンを印刷したTシャツなど、商品も売っている

批判の高まりを受けてYouTubeは、ヘイトスピーチに対するポリシーを変えた。それにより、ネオナチや白人至上主義など極端なイデオロギーを宣伝する何千本ものビデオが削除された。

Wojcickiによると、これらの変更は同社が社内規制をより厳格にし、また外部の規制にも対応するために今行っている多くの作業の一環だそうだ。

WojcickiはLGBTQのコミュニティにも気を使って、彼らに謝罪した。自分にそれができたなら、Crowderの収益化の停止はもっと早く実施しただろう、と彼女は言っている。「われわれの決定がLGBTQのコミュニティを傷つけたことは承知している。それはまったく、私たちが意図したことではなかった。対策はもっと早めにやるべきであり、自分たちの本意でなかったことの表明と謝罪も、もっと早くすべきだった」、と彼女は言う。

YouTubeは、ビデオから収益を得るクリエイターに関して「より高いスタンダード」を設けている、とWojcickiは説明するが、ユーザーをヘイトスピーチから護るポリシーの採用は、ずいぶん遅かった。

Kafkaの的を絞った質問を適当に躱(かわ)しながらWojcickiは、今週がYouTubeにとって厳しい週だったと何度も繰り返し、質問への直接の答を避けた。

彼女は曰く、「高品質なコンテンツの提供に注力したいが、意見や物の見方の多様性を排除したくはない。多くの人たちやクリエイターを困らせるような事態には、私たちも困惑している。今週は、そういう意味で不運だった。多くの人びとに迷惑をかけた。厳しい仕事だけど、YouTubeを自分の情熱の追究のために有意義に利用している方々のお話もたくさん聞いているから、それらにはとても勇気づけられている」。

関連記事: YouTube will let bigot monetize if he removes link to homophobic merch…偏見のようなビデオでも性差別的商品へのリンクがなければYouTubeはOK(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

YouTubeの音楽ストリーミングサービスの供用国が12増えたが日本はまだ

YouTubeの音楽ストリーミングサービスの市場が新たに12か国増え、また有料音楽ビデオサービスは、17の市場で提供されることになった。

YouTubeのCEO Susan Wojcickiは、2月に、市場拡張の最終目標は100か国 、と大風呂敷を広げた。

YouTubeの最初の市場は、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ、韓国だった。今日(米国時間6/18)新たに加わったのは、オーストリア、カナダ、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ノルウェー、ロシア、スペイン、スウェーデン、そしてイギリスだ。

YouTubeがその有料会員制サービスの体系を改定したのは5月で、これによりYouTube Musicという有料または機能に制限のある無料サービスがGoogle Play Musicをリプレースし、また音楽ビデオストリーミングYouTube Premium(前YouTube Red)が発表された。

YouTubeの新しいアプリ(Android)(iOS)Webプレーヤーも加わり、サービスの構造改革が行われた。新しい機能として、動的カスタムリコメンデーションや多様な検索オプション(歌詞や一般的な説明で検索できる)、そしてさまざまなジャンルやムードやアクティビティ(活動)に対応する“数千の”プレイリストが用意された。

YouTube Musicは、ビデオなし、オーディオのみだが、アメリカの月額会費が$9.99(ファミリープランは$14.99)で、SpotifyやApple Musicとの競合を意識している。一方YouTube Premiumはビデオサービスで、リプレースされたYouTube Redより2ドル高い$11.99、ファミリープランなら$17.99だ。最初の3か月はプロモーション期間とされ、無料だ。

YouTube Premiumは広告なし、であるだけでなく、バックグラウンド機能やダウンロード機能がある。会員はYouTube Originalsの番組やムービーにもアクセスできる。

アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ、…これらの国々でYouTube RedやGoogle Play Music…ファミリープランを含む…の会員だった人は、自動的に現状料金でYouTube Premiumにアクセスできるようになる。

そのほかの国で Google Play Musicの会員だった人は、その国が対象市場になり次第、現状料金で自動的にYouTube Music Premiumにアクセスできるようになる。音楽やプレイリストへのアクセスは、Google Play Musicのときと何も変わらない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

YouTubeが多様なクリエイターツールを提供: ファンからの寄付、いろんな言語の字幕、サウンドライブラリなど

YouTubeはビューワー数が圧倒的に世界最大のオンラインビデオプラットホームだ。でも実際にその膨大なビューワーを獲得しているのは、その上の作品であり作者だ。そこで同社は、今日(米国時間6/26)のVidconのキーノートで、このプラットホームにビデオをアップロードする人たちの創造力をさらに高めるための、さまざまなツールを発表した。

多くのビデオ作者にとってそのキーノートは、未来への入り口のように見えた。たしかに、YouTubeのDirector of Product Management for Creators(クリエイターのためのプロダクト管理ディレクター)Matthew GlotzbachとEngineering for Creators(クリエイターのためのエンジニアリング)担当VP Oliver Heckmannが披露した機能の多くは、“近日中にご提供”(coming soon)のものばかりだった。

このように、近未来の変化を開示するという決定は、意図的なものだ。というのも最近のYouTube上のクリエイターたちは、このプラットホームの今後の変化について前もって情報を提供せよ、と強く要望してきたからだ。つまり、準備期間がなくていきなり現れた新機能は、どんなに良いものでも、宝の持ち腐れに終わってしまうのだ。

キーノートにはYouTubeの新しいボスSusan Wojcickiも登場して、・クリエイターたちがもっとすばらしいビデオを作れる、・もっと広いオーディエンスに到達できる、そして、・ビジネスを成長させる、をテーマに、プレゼンを展開した。

以下に、今日披露された新しいクリエイターツールを簡単に紹介しよう:

  • YouTube Creator Studio(クリエイタースタジオ) – Androidにはすでにあり、iOSはもうすぐ。アクセス分析を見たり、自分のビデオを管理する、などの機能がある。
  • オーディオライブラリ(効果音ライブラリ) – 無料で使用できるライブラリなので、ゾンビの叫び声などを、これからは苦労して自作しなくてもよい。YouTube上の未来の効果音は、みな同じになってしまうか?
  • 60FPSのビデオ – 近日中。毎秒60コマのビデオを作る必要がある人たち向け。
  • ファンからの出資 – KickstarterやIndiegogoのような寄付募集をYouTube上でできる。目下テスト中。
  • クリエイターのクレジット – YouTube上のビデオは共同制作が多いので、共作者の名前やリンクを載せる。これも近日中。
  • ファン提供の字幕 – いろんな言語の人が、あなたのビデオを楽しめるようになる。数か月後より。
  • ビデオ画面上のリンクをカード方式に – デスクトップ、モバイル、タブレット、すべてに関して、リンクをこれまでの注記形式からカード形式に改める。
  • プレイリストの多様化 – クリエイターが、自分のニーズに合った形の、ユーザにとって見やすい、プレイリストを作れる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google、YouTubeのCEOにスーザン・ウォジスキー上級副社長を任命―サラー・カマンガーは新プロジェクト担当に

The InformationRe/codeはGoogleは創立当初からの社員で広告/コマース担当上級副社長のスーザン・ウォジスキをYouTubeのトップに据えるのではないかと推測していたが、それが事実であることが確認された。Googleがわれわれに対して確認のコメントを送ってきた他に、ウォジスキ自身がTwitterでYouTubeへの異動を明らかにした。.

ウォジスキはこれまでのYouTubeのCEO、サラー・カマンガー上級副社長の後任となる。カマンガーはGoogleの9人目の社員で、2010年にYouTubeのファウンダー、チャド・ハーレーに代わってそのトップとなった。ウォジスキはGoogleの16番目の社員だが、それ以前に1998年のGoogleの創立時に、ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンにガレージを貸したことで有名だ。

GoogleのCEO、ラリー・ペイジの声明によれば、今回のトップの人事異動でYouTubeの経営戦略に大きな変化はないという。

サラーとYouTubeチーム全員は素晴らしい仕事をした。YouTubeは10億人のメンバーを擁する全地球的コミュニティーに成長し、ありとあらゆる動画をキュレーションしている。誰でもクリエーティブなコンテンツをアップロードして世界に向かって発信することができるし、さらには金を稼ぐこともできる。サラー同様、スーザンも不可能に挑戦するのが好きだ。スーザンはYouTubeを一層ユーザーに愛される存在にしていくことだろう。

とはいえ、この異動はGoogleがYouTubeの収益性を改善するために広告とeコマース戦略の強化に力を入れ始めたことを意味するのかもしれない。ウォジスキはこれまでGoogle広告ビジネス全般を統括してきた。またAdSenseの成長でも大きな役割を果たしたし、パブリッシャーがさまざまな方法でコンテンツから収益を上げる手法を開発してきた。

Re/codeの記事によると、カマンガーはGoogleで初期段階のプロジェクトを指揮する役割に就くという。これはベテランの上級幹部を新事業の責任者に充てるという最近のGoogleの人事政策(アンディー・ルービン、ジェフ・フーバーなど)に合致するものだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+