ウェブ版のVisual Studioが試用可能に

Microsoft(マイクロソフト)は今年のデベロッパーカンファレンスことBuildで、Visual Studio IDEのウェブ版を開発中だと発表した。

当時、Visual Studio Onlineは一部のデベロッパ向けにプライベートプレビューとして公開されていた。そして今回のIgniteカンファレンスで、同社はこのサービスを試用したいすべてのデベロッパーに公開した。

Visual Studio Onlineを使えば、開発者は自分のリポジトリ用に完全に設定された開発環境を素早く立ち上げることができる。そして、ウェブベースのエディタを使用してコードを編集できる。

「Visual Studio Onlineは、Visual Studio、クラウドにホストされた開発環境、どこからでもアクセス可能なウェブベースのエディタを統合し、開発者の生産性をこれまで以上に向上させる」とマイクロソフトはプレス資料で述べている。「プル・リクエストのような共同作業のオープンソース・ワーク・フローが普及するにつれ、開発者は生産性を損なわずにコードベースとプロジェクトを素早く切り替える必要がある」。

現時点では、このサービスは同社のGitHubと深く統合されているが、同社によると、開発者は自分の物理マシンと仮想マシンをVisual Studioベースの環境に配置することもできる。開発者はWindowsやMac、Linuxにて人気が高まっているVisual Studio Codeから、オンライン環境を作ることもできる。

今回はクラウドベースの環境とVisual Studio Codeの拡張サポートがプレビューされている。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

GitHubで学習したAIによってコーディングを補助、マイクロソフトのIntelliCodeが実戦配備

IntelliCodeは、マイクロソフトのAIを利用したコーディング支援ツール。いよいよ誰でも使えるものとなる。プログラミング言語は、Visual Studio上ではC#とXAML、Visual Studio Code上ではJava、JavaScript、TypeScript、Pythonをサポートする。発表によれば、現状で、Visual Studio 2019のバージョン16.1のセカンドプレビュー以降に、デフォルトで含まれるようになった。

IntelliCodeは、基本的にマイクロソフトの非常にポピュラーなコード補完ツール、IntelliSenseの次世代版と言える。ただしIntelliCodeでは、GitHub上の何千というオープンソースのプロジェクトに含まれるソースコードを使って学習したAIを利用している。そのGitHubプロジェクトも、100以上のスターの付いた選りすぐりのものだ。そうしたデータを利用することで、IntelliCodeはかなり賢いコード補完を提案することが可能となった。推奨するコードの内容は、周囲のコードとコンテキストも考慮して生成している。

IntelliSenseの場合、デフォルトではデベロッパーにアルファベット順のリストを提案していた。これはそれなりに便利だが、数が多すぎて、本当に必要なコードはリストのずっと下の方にあるということも多かった。

実は、Kiteのようなスタートアップも、似たような賢いコード補完ツールを提供していることは注目に値する。さまざまな開発環境上で動作するのだが、今のところKiteがサポートする言語はPythonだけに限られている。

KiteやIntelliCodeのようなツールは、デベロッパーの仕事を楽にし、生産性を高めて、バグが忍び込む可能性を減らすことを目指している。こうしたツールがもっと賢くなれば、さらに先を見越して、プログラムのコードのより多くの部分を自動的に補完することができるようになるだろう。プログラマーは何をしようとしているのか、というコンテキストを認識し、同じような問題を他のデベロッパーはどのように解決したか、という知識に基づいた提案をすることもできるようになるはずだ。そうなるには、もう少し時間がかかるとしても、すでにStackOverflowを参照する頻度を減らす効果は十分に発揮できるものとなっている。

画像クレジット:Luis Alvarez/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

マイクロソフトがVisual Studio Onlineプレビュー版を発表

米国時間5月6日、Build 2019カンファレンスをスタートさせたMicrosoft(マイクロソフト)はVisual StudioファミリーのコードエディターとしてVisual Studio Onlineのプライベートプレビュー版発表した

Visual Studio OnlineはVisual Studio Codeをベースとしている。これはMicrosoftの人気あるオープンソースのデスクトップ開発環境のクラウド版だ。つまりVisual Studio Onlineは現在提供されているVisual Studio Codeのワークスペースやエクステンションをすべて利用できることを意味する。今日一般に公開されたAI利用開発ツールのIntelliCodeもビルとインされている。

オンライン版はVisual Studioのコンパニオンであることが強調されている。 つまり開発環境としてデスクトップ版のVisual Studioを完全に置き換えるものではなく、手軽なエディターとして使われるものだ。またアプリをVisual Studio Live Shareで共有し、コメントや機能の追加の要望を募ったりすることも予想している。

Visual Studio Onlineという名前に記憶があるという読者もいるかもしれない。実はMicrosoftはこのブランド名をリサイクル利用している。DevOpsがバズワードだったのはそれほど昔でない。この時期、Visual Studio OnlineはMicrosoftのDevOps開発の総称だった。昨年MicrosoftはAzure DevOpsに名称を変更したので、Visual Studio Onlineは別のブランドの名称として使えるようになった。

Visual Studio Onlineという名前を見てMicrosoftの統合開発環境がそのままウェブに移行したサービスと考えた読者も多かったかと思うが、実際にはそれほど大掛かりなものではない。

MicrosoftがVisual Studio Onlineを一般公開するまで待ち切れないデベロッパーはCoderなどのスタートアップが提供するオンライン版のVisual Studio Code環境を利用することを考えてもいいだろう。

画像:Photovibes / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Visual Studioの協業機能、Live Shareが一般公開。デバッグセッションも共有可能

今日(米国時間5/7)Microsoftは、同社主催のデベロッパー・カンファレンスBuildで、以前発表したVisual StudioおよびVisual Studio codeの協業開発機能、Live Shareを全デベロッパーに公開すると発表した。これまではプライベート・プレビューのみだった、今後は無料版Visual Studio codeエディターのユーザーを含め誰でも利用できる

Live Shareは、ある意味でGoogle Docsの協業機能と似ている。デベロッパーは全員のカーソル位置や、同僚がタイプしているところをプラットフォームによらず見ることができる。Live Shareセッションに参加しているデベロッパーは、自分の気に入った(カスタマイズされた)環境をそのまま利用できるため、従来の画面共有と比べて柔軟性がずっと高い。

MicrosoftがBuildで特に強調していたのが、デバッグセッションも共有できる機能だ。これは全員がブレークポイント設定してログを見ることができることを意味している。コードを書くことは重要だが、デバッグセッションを共有できることは、多くのデベロッパーにとってそれ以上に重要かもしれない。

Live Shareは、C#、Python、Java、Go、C++を含む主要プログラミング言語で利用できる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Windows、OS X、LinuxをカバーするMicrosoftのVisual Studio Codeエディタがついに1.0に

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今日(米国時間4/47Microsoftのクロスプラットフォーム戦略の中心となるデベロッパー向けテキスト・エディター、Visual Studio Code (VS Code)が、1年間のベータテストを終え、ついにバージョン1.0となった。Microsoftによれば毎月50万人以上のデベロッパーが現にこのエディタを利用しているという。

Microsoftが昨年のBuildデベロッパー・カンファレンスで、VS Codeを発表したのは驚きだった。Microsoftはそれまで OS XやLinuxをカバーするエディタなど一切出したことがなかったからだ。Visual Studioのブランドでとなると驚きは一層のものがあった。

ただしMicrosoftがリリースした当初、この製品は多くの重要な機能を欠いており、VS Codeエディタ自体はまだオープンソースではなかった。しかしその後Microsoftはこれらの欠点を修正した。

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エディタにとって必須のAPIも公開され、デベロッパーは現在エディタの機能を自由に拡張できるようになった。VS Codeのユーザー・コミュニティーは1000種類以上のエクステンションをすでに開発している(当然だが、ここでも大半のエクステンションは「ロングテール」に属する)。現在VS Codeは当初よりはるかに広い範囲の言語をカバーしている(当初のターゲットは主としてJavaScriptとTypeScriptだった)。各種の有用なエクステンションのおかげでVS Codeは今やNode.js、Go、C++、Python、PHPその他の言語でソフトを書くために利用できる。

昨年ベータ版を発表して数ヶ月後にVS Codeはオープンソース化され、ソースコードがGitHubから入手できるようになった。

今後の見通しについていえば、VS Codeチームは基本を重視した開発を続けるとしている。「パフォーマンス、安定性、アクセシビリティ、互換性がユーザーが最も重視するポイントであり、これはわれわれ自身の考えでもある」とMicrosoftは述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Microsoft、Visual Studio Codeをリリース―OS X、Linux、Windowsで動作する無料の軽量コードエディタ

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今日(米国時間4/29)からスタートしたBuild 2015デベロッパー・カンファレンスでMicrosoftはVisual Studio Codeを発表した。これは最新のウェブ・アプリ、クラウド・アプリを開発するのに向いた軽量のクロスプラットフォームのコードエディタで、Windowsの他にOS XとLinuxで作動する。現在はまだプレビュー版だが、 こちらからダウンロードできる(無料)。

Visual Studio CodeはMicrosoftとして初めてのクロスプラットフォーム・コード・エディタだ。フル機能版のVisual StudioはまだWindowsのみだが、今日の発表はMicrosoftが他のプラットフォームのサポートにも本腰を入れてきたことをはっきり示すものとなった。

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今週、私の取材に対してMicrosoftのデベロッパー部門のコーポレートVP、S. ‘Soma’ Somasegarは、「多くのデベロッパーがWindows上で開発を行っているが、同時にLinuxやMacで開発を行っているデベロッパーも多い。彼らにWindowsを強制せず、オリジナルの環境で開発できるようにしたいと考えた」と語った。Mac、LinuxのデベロッパーはVisual Studioのようなフル機能のIDEを使わず、Sublime Textのような簡素なエディタで開発を行うことが多い。

Buildカンファレンスのキーノートによれば、Visual Studio Codeは主要な開発言語を多数サポートするという。またコード入力アシスタント、ナビゲーション機能が強力で、特にJavaScript,、TypeScript、Node.js、ASP.NET 5のデベロッパーには特別なツールが提供される。

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Visual Studio Codeにはシンタックスのハイライト、キーボードのカスタマイズ、括弧の対応、スニペットなど最新のコード・エディタに期待されるツールはすべて含まれている。Somasegarによれば、デフォールトでGitに対応するという。

またSomasegarは、「このエディタはわれわれがStudio OnlineのMonacoエディターでAzureウェブサイトを開発した経験に一部基いている。同時にVisual Studioの言語対応機能も取り入れた」と説明した。これにはNETのコンパイラ・プラットフォーム、Roslynが含まれる。Microsoftによれば、Visual Studio Code向けに開発された言語サービスはSublime Text、Vi、Atomなどのエディタからも利用できるようにするという。

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最近、MicrosoftはTypeScriptプラグインをSublime Textから利用できるようにするなど外部エディタのサポートに力を入れ始めている。Somasegarは「われわれはこうした外部エディタのサポートを拡大していく」と語った。

今日の発表は多くのデベロッパーにとって驚きだったはずだ。しかし、Microsoftが幅広い環境でデベロッパーをサポートする努力を始めたのはかなり前からだ。たとえば、.NET Coreのオープンソース化(とクロスプラットフォーム化)や無料のVisual Studio Community Editionをリリースするなどしている。

ほんの数年前にはMicrosoftがこうした方向に舵を切るとは想像できなかった。ともあれ嬉しい驚きだ。

〔日本版〕ダウンロードとインストールは日本からも可能。ダウンロードファイルは58.1MB。ユーザーに既存プロジェクトがない場合は新規プロジェクトをYeomanで作成するよう勧められる。

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Build 2015カンファレンス関係記事〔原文〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Microsoftが発表したAzure Service Fabricは完全なオートスケーリングのPaaSを提供する(将来的には他社クラウドに対しても)

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Microsoftが今日(米国時間4/20)、Azure Service Fabricというものを発表した。スタートアップやISVたちが、スケーラブルなクラウドアプリケーションを作りやすい、というAzureの新サービスだ。

このサービスを使ってクラウドアプリケーションを作ると、ユーザ数や提供物がどんどん成長しているときデベロッパやアドミンは、インフラを抜本的にいじるとかの、スケーリング対策をいっさいやらなくてもよろしいし、気にする必要もない。

Service Fabricはそのために、マイクロサービス方式のアプリケーションアーキテクチャと、同社独自のオーケストレーション技術を結びつけて、自動的に分散システムを拡張していく。またVisual Studioとコマンドラインツールにより、アプリケーションのライフサイクル管理をサポートする。

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Microsoftのクラウドプラットホームマーケティング担当ゼネラルマネージャMike Schutzによると、Service Fabricは(Microsoftの定義では)次世代型PaaSの技術であり、Microsoftはその基盤となるハイパースケール技術をAzureDBやDocumentDB、Cortanaなど自社のサービスで使ってきた。というかMicrosoftによると、Service Fabricは、これらのサービスを動かすために内製して使ってきたものと、まさに同じ技術だ。

Service Fabricは、現代的なアプリケーションを構成しているマイクロサービス群と、アプリケーションがその上でホストされているクラウドの両者をつねに見張る。Microsoftの説明ではその新しいサービスは“インフラストラクチャの可利用なリソースとアプリケーションのニーズの両方をデベロッパに代わって見張り、両者の需給バランスが危うくなってきたら自動的にアップデートして自己修復を図る。それにより、どんなスケールにおいても、高可用性と耐久性の高いアプリケーションのサービスが維持される”。

マイクロサービスというとDockerのコンテナを連想する人が最近は多いと思うが、Service FabricはMicrosoftの自社技術とJavaアプリケーションに焦点を当てる。Microsoftの計画では、Windows Serverの次のバージョンでDockerのサポートと同社独自のWindows Server Containersが提供される。そのときはさらに、Service FabricがWindows Serverの上で動く、という形のオンプレミスのサポートも提供される。さらに今後の計画ではLinuxをサポートする予定もあり、また、そのほかのクラウドサービスを使っているデベロッパにはService Fabricへの移行を(希望者には)ガイダンスする。

Microsoftはハイブリッドクラウドのサポートにも積極的だから、今後はService Fabricをプライベートクラウドや、Microsoft以外のホストによるクラウドにも提供して行く予定だ。これだけ手広くやる、という点がなかなかおもしろい。

Service Fabricはある意味では最近ローンチしたAzure App Serviceの対極にあるようなサービスだ。App Serviceはクラウド上にスケーラブルなアプリケーションを載せて動かすことに伴う複雑で面倒な要件をすべて抽象化しようとするが、Service Fabricではデベロッパが必要に応じて低レベルをコントロールできる。

Service Fabricそのものについてはここに述べたような抽象的な説明しかまだ提供されていないが、デベロッパが実際に試してみようにも、まだ具体的には何もリリースされていない。Microsoftによると、デベロッパプレビューとSDKは、来週行われるデベロッパカンファレンスBUILDでリリースし、その際、Service Fabricの詳細なデモも見せてもらえるらしい。BUILDは来週の水曜日からだが、そのときService Fabricについて具体的なことがいろいろ分かるのだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Microsoft、Visual Studioフルバージョンを5人チームまで完全無料化

今日(米国時間11/12)、Microsoftは Community 2013エディションの Visual Studioリリースした。これは数年前から提供されている多くの制限のかかったVisual Studio Expressを置き換えるプロダクトだ。

Visual Studio ExpressとVisual Studio 2013 Community Editionは比べ物にならないほど大きな差がある。新バージョンはエクステンションをサポートするので、Visual Studioエコシステムに存在する5100以上の エクステンションが利用できる

ひとことで言えば、新しいコミュニティー・エディションはVisual Studioフルバージョンの無制限、無料版ということだ。ただひとつの条件は、5人以下のチームでしか使えず、エンタープライズでは利用できないことだけだ。しかもユーザーは商用、非商用を含めてあらゆるアプリケーションの開発に用いることができる。

Microsoftのデベロッパー事業部を担当するコーポレート・バイスプレジデントのS. “Soma” Somasegarは先月行った私の取材に対して、「一言でいえば、われわれはVisual Studioへのアクセスを大きく拡大するということだ。Community Editionはウェブ、モバイルデバイス、デスクトップ、クラウドを含めどんな種類のアプリでも開発できるフルバージョンのVisual Studioだ。Visual Studioエコシステムのの豊富なエクステンション資産を完全に利用できる」と語った。

つまりデベロッパーは、Peek、Code Analysis、Graphical Debuggingを始め、ありとあらゆるVisual Studioツールが利用できる。

今回の決定でVisual Studioは基本的にフリームアム・モデルとなった。Microsoftは今日、 Visual Studio Online (これにも数多くのアップデートが加えられた)に新しい有料ツールを公開した。Microsofttはこれらのプロダクトから収益を上げる方向に舵を切った。Visual Studio IDEがそのゲートウェイになる。無料化でVisual Studioを利用するデベロッパーが大きく増えれば、MSDNのサブスクリプションを始めとして有料プロダクトの利用者も増えるという目論見だ。

当面Express Editionの公開も続けられるが、最終的にはCommunity Editionが取って代わることになる。

私はMicrosoftのクラウドおよびエンタープライズ担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのScott Guthrieに電話で取材した。「Community Editionの公開で、クレジットカードを取り出したり、特別プログラムに参加する手続きをせずに誰でもVisual Studioを使えるようになった」とGuthrieは説明し、「Visual studioは誰からも賞賛されているが、大学生や大学を出たばかりのデベロッパーは金を払いたがらないからね」とジョークを飛ばした。「そこで、さらに多くのデベロッパーがこのプロダクトを毎日使うようになるよう、われわれは敷居を大きく下げることにした」のだという。

Visual Studio Onlineの無料版とAzureの無料版を組み合わせれば、商用版の本格的モバイル・アプリ、ウェブアプリが完全に無料に開発できるようになった。

〔Microsoftは同時に.NETのオープンソース化とMac、Linuxへの移植を発表した。〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Visual Studio 2013の三度目のアップデートではGitベースの開発をより優遇、Azureの統合も充実

MicrosoftVisual Studioは、だいたい二年ごとにニューバージョン、あいだにサービスパック、というパターンを守ってきたが、しかしVisual Studio 2013以降は、アップデートのペースが早くなった。そして今日Microsoftは、Visual StudioとTeam Foundation Server 2013の三度目のアップデートリリースした。前回のアップデートはVisual Studioのクロスプラットホームな開発機能の強化が中心だったが、今日のローンチはIDE本体の機能に力が向けられたようだ。

このリリースでデベロッパに喜ばれそうな機能は、CodeLensがGitのリポジトリをサポートしたことだろう(Visual Studio Ultimateのユーザの場合)。MicrosoftはこのところGitとVisual Studioの統合に邁進してきたが、これもまたその一つだ。CodeLensはIDEの中で、目の前のコードに関する情報(この関数はほかにどこで使われたか?最後にそれをエディットしたのは誰か?などなど)を見せてくれる。これまでそれは、MicrosoftのTeam Foundation Serverと一緒でないと使えなかったが、今度からはGitベースのシステムを使っているときでも、そんな情報が得られる。


Visual Studioのこの三度目のアップデートでは、診断ツールの充実も図られた。たとえば、アプリケーションのCPUとメモリ利用を追跡するツールがアップデートされた。また、すでに展開されているアプリケーションをモニタリングするための新しいツールApplication InsightsがVisual Studio本体に組み込まれ、ユーザが今何をやっているかを見ながらコードの問題を診断できるようになった。

Azureの機能…Push Notifications(プッシュ通知)やAzure Mobile Serviceなどを使うためのツールも提供される。たとえばプッシュ通知のアップデートにより、Visual Studioの中からデバイスの登録を管理できるようになった。これはとくに、開発フェーズにおいて重宝するだろう。

プロジェクトでAzure Mobile Serviceを利用することも、容易になった。そのほかのAzure関連のアップデートとしては、32ビットの仮想マシンをリモートでデバッグする、ストレージのアクティビティログをチェックする、Azure上のストレージをリードオンリーに設定するなどを、アップデートされたAzure SDKによりVisual Studioからできるようになった。

例によって、今回のアップデートも機能山盛りで、新たなdevopsツール、ASP.NETのアップデート、ハイブリッドアプリケーションを書くデベロッパのための新機能、などなどもある。機能の完全なリストは、ここにある。

おっと、それから、Visual Studio 2013ではすべてのメニューが大文字なのが嫌だった人、あなたの苦悩もやっと終わりだ。この三度目のアップデートでは、メニューにタイトル書体を使えるようになった。人によっては、これだけでもアップデートする十分な動機になるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


MicrosoftがSyntaxTreeを買収してUnity用プラグインUnityVSをVisual Studioに統合

Microsoftが今日(米国時間7/2)、フランスのSyntaxTree社を買収したことを発表した。SyntaxTreeが作っているVisual StudioプラグインUnityVSはとても人気があり、クロスプラットホームなゲームエンジンUnityを使ってVisual Studio上でゲームを作る場合には、欠かせないツールだ。

MicrosoftのDeveloper Divisionの企業担当VP S. “Soma” Somasegarによると、同社はUnityVSをVisual Studioに統合することによって、Visual Studioのゲームデベロッパ向けのサポートを強化する動きを、今後も継続していく、ということだ。

UnityVSを使用するとデベロッパはUnityスクリプトのデバッグがやりやすくなり、また サンプルコード集やウィザードなどのツールも併せて提供される。さらにUnityのコンソールとVisual Studioが統合される。Unity自身はデフォルトでVisual StudioのC#の統合をある程度サポートしているが、UnityVSのそれは、もっと本格的だ。

これまでこのプラグインは、パーソナルライセンス99ドル、プロフェッショナルライセンス249ドルというお値段だったが、今後はMicrosoftのダウンロードサイトで無料で提供される。SyntaxTreeによると、既存の顧客のサポートをどうするか、などについては近日中に詳細を発表するそうだ。UnityVSの現在の企業ユーザには、Microsoft Studios、Electronic Arts(EA)、 Blizzard、Valve、Rovioなどがいる。

Unityのユーザ数(デベロッパ数)は現在200万あまりだが、その多くはVisual Studioのユーザでもある。そこでMicrosoftは、買収に踏み切ったわけだ。Unityゲームエンジンは主なデスクトッププラットホームのすべてと、モバイルやゲーム専用機のプラットホームまでサポートしているが、Microsoftとして関心があるのは当然ながら、 Windows、Windows Store、そしてWindows Phoneのアプリだ

今日の買収はVisual StudioでUnityをサポートすることにMicrosoftが相当本気であることを、示している。しかしUnityと競合するUnrealにも独自のVisual Studioプラグインがあり、またCryTekのCryEngineは、ユーザがIDEとしてVisual Studioを使っていることを、最初から意識した作りになっている

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


MicrosoftのVisual StudioがTypeScriptを正式サポート

約1年半前にMicrosoftは、JavaScriptで大きなプログラムが書きやすくなるプログラミング言語TypeScriptを発表した。そして今日はTypeScript 1.0の最初のリリース候補の提供と、Visual Studio 2013の最新アップデートが行われ、TypeScriptはMicrosoftのIDEが正式にサポートする言語になった。

つまりTypeScriptはMicrosoftにおいてC#やVisual Basicと同格になったのだから、Microsoftとしてはいよいよ本気だ。これまで、TypeScriptをVisual Studioで使うためには、そのためのエクステンションをインストールする必要があった。それはたいした手間ではなかったけど、これからはVisual Studio本体がサポートするのだから、Microsoftがこの言語を相当重視していることが分かる。

TypeScriptはJavaScriptのスーパーセットで、オプションで静的型付けがサポートされ、クラス(上図)によるオブジェクト指向プログラミングができる。MicrosoftによればこれによってJavaScriptのためのより良いツールの開発ができるようになり、プログラマの生産性を高める。またそれと同時に、それまでのJavaScriptライブラリもそのまま使える。コードはすべて、通常のJavaScriptへコンパイルされるので、どんなブラウザでも動く。ランタイムライブラリはなく、コンパイラが不要なコードを注入することもない。Visual Studioに統合されたので、MicrosoftのIntellisenseや文の補完機能を利用できる。

TypeScriptのチーフアーキテクトは、あの偉大なるTurboPascalを作り、のちにDelphiやC#の制作にも貢献したAnders Hejlsbergだ。彼によると、TypeScriptは今、Microsoft内部での普及が急速に進んでいる。たとえばVisual Studio Onlineには今、30万行あまりのTypeScriptコードがあり、Windows 8.1用のXbox Musicの新しい機能はすべて、この言語で書かれた。またBing Maps、Photos、Microsoft Dynamicsなどそのほかのアプリケーションも部分的にTypeScriptで書かれている。

“JavaScriptでもきれいなコード*が書けるようにしたかった”、とHejlsbergは言う。TypeScriptで書いてもパフォーマンスが犠牲になることはないし、むしろコンパイラがプログラマの負担を取り除いてくれる部分が大きいから、素(す)のJavaScriptより生産性は高い、とも。〔*: JavaScriptのきれい化, GoogleのDart言語はどうか…。〕

TypeScriptはHejlsbergの期待を上回って、Microsoftの外の世界でも人気が出始めている。具体的には、今人気の高いIDEのほとんどがこの言語のためのプラグインを提供しているし、GoogleはTypeScriptコンパイラを同社のOctaneベンチマークに含めている。またGitHub上にはTypeScriptのタイプ(型)定義集DefinitelyTypedがあるなど、サードパーティのJavaScriptフレームワークをサポートする非常に活発なオープンソースコミュニティも、今ではTypeScriptをきわめて前向きに取り上げている。

3年前にTypeScriptの開発が始まったときには、できるかぎり軽量なフレームワークを作ろう、ということでチームの意思がまとまった。新しい言語を作るときは、あれやこれやと新しい機能を導入したくなるものだが、TypeScriptは自粛して新しい文をまったく導入していない。でもHejlsbergによると、今後は新しい文が増えるかも、という。しかしとにかく大筋では、今年の後半に公布される予定のECMAcript 6の規格に沿うことを鉄則とし、この新規格に盛り込まれたものはすべてTypeScriptにも含めることにした。

Hejlsbergによると、今日ローンチした1.0リリース候補(release candidate, RC)は、実質的には本番の1.0そのものだ。でも、ユーザが新しいバグを発見する可能性もあるから、控えめに‘リリース候補’と呼ぶことにした。もちろんこれまでのバージョンとの後方互換性には厳密に配慮しているが、言語本体の(未来指向の)開発も力を抜かずに継続していく意向だ。

Visual Studio 2013の最新アップデートは今すでにダウンロードできるが、Visual Studio 2012のユーザはTypeScript 1.0 RCを専用のインストーラを使ってインストールできる。Visual Studio 2013のアップデートには、TypeScriptの統合のほかにも、いろんな新機能やバグフィクスが盛り込まれている。詳しくはこのドキュメントで。

このアップデートの一環としてMicrosoftは、同社のTeam Foundation ServerやVisual Studio Online、それにTeam Explorer Everywhereのニューバージョンもローンチした。新しい機能の多くは、GitとJavaのビルドのサポートの向上に関連している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))