GoogleがAngular 2.0の最終リリースバージョンをローンチ、Reactからの移行もねらうか?

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2010年にGoogleが、Webアプリケーション用のフレームワークAngularの最初のバージョンをリリースすると、それはたちまち、大人気のWeb開発技術になった。しかしその後Webは変化し、Googleが2014年にAngular 2を出したときは、Web開発のコミュニティに波乱が生じた。そのニューバージョンは単純なアップデートではなくて、旧バージョンとの互換性のない完全な改作だった。そして今日(米国時間9/14)、数度のプレビューとベータを経てついに、Angular 2.0の最終リリースバージョンが公式にローンチされた。

今日の発表声明はこう言っている: “Angular 1は、当時の新興のプラットホームであるWebのための開発はどうあるべきか、という問いへの初めての答だった。それから6年後の今日、アプリケーションのデベロッパーが直面する課題と、アプリケーションがサポートしなければならないデバイスの様相は、どちらも大きく変わった”。

しかし今日のアプリケーションデベロッパーには、JavaScriptフレームワークの幅広い選択肢がある。その中でとくに勢力が大きいのはFacebookのReactフレームワークだが、Angularに比べると微妙な違いがある。たとえばAngularには独特の癖があり、React Nativeはネイティブアプリの構築が容易だ。GoogleはReact 1.xでアプリケーションを作ってきたデベロッパーのために簡易なアップグレード方式を提供していないが、しかしそれでも、彼らの多くが次に使うべき技術を模索している。

Angular 2.0には、現代的なブラウザーの良好なサポートや、モバイル開発の支援など、新しい機能がいくつかある。中核的な機能の多くをモジュール化したので、サードパーティのライブラリも使いやすくなっている。また使用するJavaScript実装系としては、TypeScriptを推奨している。TypeScriptはMicrosoftが開発したJavaScriptのスーパーセットで、静的型付けや、クラスを使用するオブジェクト指向プログラミングなどの、新しい機能がある。

Angularのチームは今後、プログラマー/デベロッパーがAngular 2.0をより迅速に学べるためのガイドやコード例を増やしていくつもりだ。またAngular 2.0のアニメーションの部分をさらに充実し、WebWorkerのサポートを実験段階から本番に移す計画もある。そして、今Angular 2.0を使ってローカルに開発しているサイトを、実際にサーバーがサーブしてきたらどんな形や動作になるか、を見せるAngular Universalプロジェクトは、今後サポートする言語を増やしていく。

今後のAngularのアップデートは、メジャーアップデート、マイナーアップデート、パッチ、の三段階になる。メジャーアップデートでは、APIの非互換な変更が導入されることもありえる。マイナーアップデートでは後方互換性が守られ、後方互換性を維持したバグフィクスでは、バージョンナンバーのパッチの部分が上がる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

コンテンツ・アドレッサブルで多バージョン分散データベースNomsのAttic Labsが$8.1Mを調達

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サンフランシスコのAttic Labsが今日(米国時間8/2)立ち上げたNomsは、新しい分散データベースで、その‘新しさ’はGit, Camlistore, ipfs, bupなどからヒントを得ている。同社の今日の発表では、GreylockがリードするシリーズAで810万ドルを調達し、Nomsなどのプロジェクトの継続が可能になった。Harrison Metalなどのエンジェル投資家たちも、このラウンドに参加した。

Attic Labsが初耳の人でも、ほとんどの人が、ここのチームが関わったプロジェクトのどれかを、使ったことがあるはずだ。たとえば協同ファウンダーのAaron BoodmanはGreasemonkeyの作者だし、Google Chromeの開発リーダーでもあった。もう一人の協同ファウンダーRafael WeinsteinもChromeの開発(等々)に関わり、チームのほかのメンバーたちも、Chrome、Chrome OS、ECMAScript(JavaScriptのスタンダード)などで仕事をしている。

では、Nomsは、これまでのデータベースとどこが違うのか? チームが主張するのは、今日のデータベースはその多くが、“データを単一時点の存在”と捉えている。たとえばある欄がアップデートされると、アップデートされた時点の値がその欄の値に(次にアップデートされるまで)なり、前の値を知ることは困難である。今のデータベースを分散化することは可能でも、利用する側にとってそれは単なる単一のデータ集合であり、分散にユーザーレベル、アプリケーションレベルの意味は何もない。

そこでBoodmanが今日の発表声明で書いているのは、Nomsはたぶん、Gitと比較すると分かりやすいだろう、ということだ。GitのようにNomsでもユーザーはデータをレプリケート(複製)でき、複数のマシンの上でオフラインでエディットし、それらのエディットを再びシンクする(BoodmanとWeinsteinはAvantGoなどのシンクサービスの仕事をしたこともある)。Nomsでは、ヴァージョニングとエディットが破壊的でない〔前のバージョン、前のエディットが消えない〕。ただしGitと違うのは、保存するのが定型データだけで、テキストファイルは保存しない。主に、非常に大きなデータ集合をサポートすることが目的だ。

そのため、Nomsはとくに、大量のデータをインポートする業務に向いている(自動的に重複エントリを一つにする)。また、複数のソースからのデータを組み合わせ結びつけるタスクにも合う(データの変形が簡単にできる)。そしていちばん得意なのは、そんなユースケースで必ず必要になる、大きなデータセットのシンクだ。

Boodmanは次のように書いている: “Gitがソフトウェアの世界をほとんど一晩で席巻してしまったのは、分散が本質であるためにソースコードが複数のコンピューターや組織、そして人びとのあいだを、とてもなめらかに移動し、それによって、すごく充実したコラボレーションが可能だからだ。世界は、データをなめらかに共有し、密なコラボレーションのできる方法を必要としている、と思う。それを実現する自然で必然的な方法は、コンテンツでアドレシングできる(content-addressed)〔日本語Wiki〕、非集中型で、シンク能力のあるデータベースだ”。

今日の投資の結果として、GreylockのJerry ChenがAttic Labsの取締役会に加わる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoogleがAndroidゲームデベロッパーのための新しい機能/サービスを提供…ストリーミングAPI、10分間ゲーム試用広告など

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Googleが今日(米国時間3/14)、Game Developers Conferenceの例年行われるDeveloper Dayで、ゲームデベロッパーのための新しいサービスをいくつか発表した。それには、仮想グッズや仮想通貨を管理するツール、ゲームプレイの実況(ライブまたは録画)をYouTube上で簡単に共有できるためのVideo Recording API、モバイルの検索結果ページから直接、10分間ゲームを試せる新しい広告タイプ、などが含まれている。

Google Playの実績を物語るいろいろな数字の発表はなかったが、同社によるとゲームのインストール数はもうすぐ100万を突破、その年成長率は50%だそうだ。

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今日発表された新しい機能の中で、たぶんいちばん面白いのは、検索結果からゲームを試しプレイできる”Search Trial Run Ads”という広告タイプだろう。

数週間後にローンチするこの新しい広告は、ゲームを検索結果のページから直接ストリームできて、インストールしなくてもプレイできる。プレーヤーが”try now”ボタンを押すと、Googleのサーバーからユーザーのスマートフォンへゲームが送られてくる。そしてそのゲームを試用できる期間は10分間だ。10分をすぎたら、Google Playでそのゲームをインストールしろ、というメッセージが出る(もちろん有料ならお金を払う)。

Googleは、検索結果からのアプリの試用、という機能を、Hotel Tonightなどゲーム以外でも提供している。ただしもちろん、試用のためのアプリのストリーミングはゲームの方がずっと難しいから、当面、検索結果からのゲームの10分間の試用は、Wi-Fiユーザーのみに提供される。

今日のアップデートに含まれる新しい広告機能としては、ポートレートビデオ広告(縦長画面)と、過去30日以内に特定のゲームを30分以上プレイしたユーザーを対象とするターゲット広告がある(あるいはGoogle Play Gamesのゲームならなんでも)。そういうユーザーは新しいゲームに飛びつきやすい、という考えからだろう。これら二つの機能は、数週間後にローンチする。

インディーのデベロッパーのために、GoogleはGoogle Playに”Indie Corner”を作った。同社によるとそれは、“インディーのデベロッパーたちが作ったすばらしいゲームに光を当てるため”だ。デベロッパーが、そこに載りたいと申し込むと、まずGoogleが審査をする。もちろんそのゲームは、“す!ば!ら!し!い!”出来栄えでないといけません。

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ゲームプレイ実況ビデオを作るためのAPI、Video Recording APIも、おもしろそうだ。デベロッパーが自分のゲームでこのAPIを利用していると、プレーヤーは自分の今現在のプレイをそのままYouTubeへストリーミングできる(残念、Twitchではない!)。また、ゲームプレイを録画しておいて、あとからYouTube上で共有することもできる。このAPIが一般公開されるのは、“数か月後”だそうだ。

今日発表されたそのほかの新しい機能として、ゲームのニューバージョンをGoogle Playにアップロードしなくても、アプリ中のいくつかのパラメータをリアルタイムでアップデートできる、というものがある。また、デベロッパーが、自分のゲームの中でいちばん多くお金を使いそうな人や、すぐにドロップアウトしそうな人を予測できるサービスもある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleの画像認識/分類API、Cloud Vision APIが誰でも使える公開ベータへ

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短期間、小規模なプレビューをやったあと、Googleは今日(米国時間2/18)、Cloud Vision APIの公開ベータを発表した。このAPIを使ってデベロッパーは、画像認識や分類の機能を自分のアプリケーションに持たせることができる。

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Googleの技術は、画像からテキストを取り出す、といった基本的なこともできるが、しかしその真価は、画像中の物を実際に認識できることにある。それはGoogle Photosの画像検索でも使われており、花とか食べ物、動物、各地の目標物などを見分ける。GoogleによるとこのAPIのアルゴリズムは、数千種類の物を認識できるよう訓練されている。

このAPIでいちばんおもしろいのは分類機能だと思うが、でもこのサービスは不適切なコンテンツを指摘することもできる。だからたとえば、写真中心のアプリケーションをPG級(保護者同伴必須)に指定したければ、Cloud Vision APIでそれを指定できる。また、集めた写真の中のハッピーな人だけを見たければ、このAPIの感情分析機能を利用できる。

料金は使い方によって異なるが、たとえば画像中に特定のラベルを見つけたいなら、1000画像あたり2ドルだ。単純な文字読み取りなら、1000画像あたり60セントとお安い。

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ベータ中は数量制限があり、一人が1か月あたり最大2000万画像までしか扱えない。すでにプレビューの時点でこのサービスを実装した企業も数社あり、たとえばYik Yakは、このAPIを使ってテキストの取り出しと画像の特徴検出をやっている。

このVision APIは、MicrosoftのProject Oxfordなどと競合することになる(後者は現在プレビュー)。Project Oxfordには、コンピュータビジョンの機能や、顔認識、感情分析などの機能がある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Chrome、SPDYのサポートを5月15日に終了

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Googleがその基礎固めに多大な努力を払ったSPDYは、後に次世代HTTPプロトコルとしてウェブサイトをブラウザーに送る役目を担うHTTP/2となった。そのHTTP/2が公式標準となった今、Googleは同社のブラウザー、ChromeからSPDY対応を外す準備が整い、5月15日でChromeのSPDYサポートを終了すると発表した

これは全くの驚きではない。Googleは一年前から、SPDYをフェードアウトしてHTTP/2に移行することを公表していた。しかし、Chromeが正式にSPDY対応をやめる日付がわかったのは、これが初めてだ。

というわけで、もしSPDYをサポートしてHTTP/2をサポートしていないサーバーを運用している人がいれば、切り換えの時だろう。

Googleによると、Chromeが扱うデータの25%がHTTP/2接続経由で、SPDYはわずか5%だという。Googleは、SPDYの利用が5%まで落ちるのを待ってこの切り替えを発表したのかもしれない。

またChromeチームは今日(米国時間2/11)、TLSプロトコル拡張機能のNPNの対応も、5月15日で打ち切ることを発表した。NPN ( ‘Next Protocol Negotiation’)を使うと、サーバーとブラウザーの間でどのプロトコルを使うかを交渉できる。現在はALPN(Application-Layer Protocol Negotiation)拡張機能がこれに代わっている。

ユーザーにとって、この切り替えによる目立った変化はない。HTTP/2とSPDYはいずれも、ブラウザーとサーバーの間で高速かつ効率のよい接続を行うためのものだ。HTTP/2は一部がSPDYをベースにしており、いくつもの最適化を追加しているので、これからはさらに接続が速くなるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アメリカ人の76%がインターネットを「社会にとって有益な存在」と評価(Pewレポート)

アメリカ人の多く(87%)が、いまやインターネットを利用している。また、半数の人(46%)が、インターネットなしではやっていけないと回答している。さらにかなりの多数派(76%)が、インターネットを人類に益するものだと評価している。これらのデータは、Tim Berners-LeeのWorld Wide Webに関する歴史的文書が登場して25周年になるのを記念して、Pewがインターネットに関する庶民感情をまとめてリリースしたレポートから引いたものだ。

昨今ではプライバシーや、個人情報に基づく広告広報活動などに疑問の目が向けられることも多く、また実質をともなわない「友人」関係が広がっていく可能性があるという危惧もある中、アメリカに住まう人々は「インフォメーション・スーパーハイウェイ」に対して一貫して好意的であるようだ。

面白そうなデータを、以下にグラフや表の形で転載しておいた。

20年間のインターネットライフ

この20年間で、Internetというものが「マイナーな趣味」から「日常」のものへと変化した(1995年には14%しか利用していなかったが、2014年には87%が利用している)。

Internetの利用状況について、いまや民族ないし性別による差異はないようだ。しかし世代ないし社会階級による差は存在する。年間の収入が3万ドルに満たない人の間では、インターネットを利用しているのは65%に過ぎない。一方で5万ドル以上の収入がある人は、ほぼすべての人がインターネットを活用している。

スマートフォンについてみると、この3年間で大いに普及したといえる(35%から58%に伸びている)。但し、比較的高価であるこのデバイスが、アメリカ人を2つのグループに分けているような面もみられる。とくに年齢による差異は明白で、65歳以上のグループでスマートフォンを所有しているのは、わずか19%に留まっている。

インターネットへの想い

アメリカ人のほとんどが、インターネットに対してかなり好意的であるようだ。90%の人がインターネットを社会にとってなくてはならないものと評価している。一方で無用の存在であるとするのは6%に過ぎない。

やめられないものについての調査で、「インターネット」と「テレビ」の比較が世相をうつしているようにも思える。2006年あたりからのウェブの発展をうけて、ついにインターネットがテレビを優位に上回る結果が出た(53%対34%)。

最後に。ソーシャルメディアが、人との関係強化に役立つのかどうかについてはさまざまな意見があるところだ。しかし回答者の67%が、インターネットは友人や家族との関係強化に役立っていると考えているようだ。

Pewのレポートはこちらから全文を読むことができる。

Image by neatoshop

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(翻訳:Maeda, H