イーロン・マスク氏がツイートを契約違反としたSECの訴えに反論

米国時間3月22日、Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、自身によるTwitterの利用は、証券取引委員会(SEC)との和解条件に違反していないと主張し、利用を禁止するという同委員会の要求は和解命令の「極端な解釈」に基づくものであると指摘した。マンハッタン連邦裁判所に提出された文書による。

SECは、今や悪名高きマスク氏の「資金は確保した」ツイートに関して昨年合意した和解契約に違反したとして、マスク氏を法廷侮辱罪に問うよう判事に要求した。同契約のもとでは、マスク氏は投資家にとって重要情報となりうる発言の前にはTesla取締役会の承認を得る必要がある。

同氏、自分は契約に違反しておらず、問題はSECの解釈にあると主張し、その解釈は「事実上あらゆるレベルで間違っている」と説明した。提出書類では、和解交渉に関する新たな詳細も明らかにされた。それによると、SECがMuskに送った契約書草案では、マスク氏がTeslaに関連する発言をいかなる形式で行う場合にも、すべて事前承認を得ることを要求していた。

マスク氏とTeslaはこれらの条項に合意したことはない。代わりに同氏によると、契約が要求しているのは、彼がTesla自身のポリシーを従うことであり、そこでは「会社または株主にとって重要な情報を含むあるいは含む可能性が合理的に予想される書面によるコミュニケーション」には事前の承認が必要であるとされている。

裁判所文書を通じて交わされている激しい応酬は、ビリオネア起業家とSECとの間で昨年8月に始まった戦いをエスカレートさせている。当時マスク氏は、自社株を1株あたり420ドルで買い取り非上場化するための「費用を獲得した」とツイートした。9月にSECは連邦地方裁判所に、意義を申し立て、同氏が嘘をついていると主張した。

昨年マスク氏とTeslaは、不正行為を認めることなくSECとの和解に合意した。Teslaは罰金2000万ドルを支払い、マスク氏は3年以上会長職から離れ、取締役会に独立取締役2名を加えることに同意せざるを得なかった。さらにTeslaは、同氏の会社に関する公開発言を監視することを義務付けられ、Twitterもそこに含まれていた。

しかし先月になって戦いが再燃した。2月19日にマスク氏がツイートを発信し、Teslaは今年「およそ」50万台の車を生産すると発言し、数時間後に「同社は年末まで年間換算50万台ののペースで生産する」という意味だったと訂正したためだった。

SECはそのツイートをマスク氏による契約違反であると主張した。同氏はこのツイートについて「重要ではなく」合意に沿っていると発言した。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

イーロン・マスクの次世代交通システム「Loop」、ラスベガスの地下へ

ラスベガス観光局は3月6日、イーロン・マスク氏が率いるボーリング・カンパニーを迎え高速の地下交通システム「ループ」をラスベガスに整備する意向を明らかにした。だがまだ承認されているわけではない。ラスベガス観光局は3月12日には取締役会を開き、投票によって可否を判断する予定だ。

もし承認されれば、このプロジェクトはラスベガスにとってダウンタウン、ラスベガス・コンベンション・センター、ラスベガス・ブールバード、マッカラン国際空港などを繋ぐ初の試みとなるという。

だが、当面は2019年1月「CES 2021」の開催までに規模を拡大中のラスベガス・コンベンション・センター周辺での展開となるようだ。

ラスベガス・コンベンション・センター周辺における「Loop」駅位置の試案:Courtesy The Boring Company

ボーリング社のスティーブ・デイビス氏いわく、「承認されれば、一年以内にラスベガス・コンベンション・センターの来場者が利用可能な状態にできる」とのこと。

承認された場合、ラスベガス観光局はボーリング社と正式な契約を締結し、具体的にデザインや建設面での計画を練る。そして6月には開催を予定しているという取締役会にて最終的な承認がされる予定だ。事業費はおよそ3500万から5500万ドルを見込んでいる。

Tesla Model 3の組立ラインの自動化は間違っていなかった

2017年にTesla(テスラ)が、Model 3の驚くほど野心的な毎週5000台の生産目標と「生産地獄」の始まりを発表したときは、アナリストたちは慎重だった。しかしイーロン・マスク氏は、ハイパーオートメーション、すなわちロボット組立ラインが、製造スピードを上げコストを引き下げる秘密兵器だと言いながら、それを上手くやり遂げられると豪語した。そこから1年半経って、今やテスラは2018年第4四半期の時点で9万1000台を出荷している。しかし、その生産台数の増加は、無数の問題の解決や、マスクの当初の「高度に自動化された組立ライン構想」から離れることなしには達成できなかった。

何が起きたのだろう?

自動化への取り組みがうまくいかなかった理由を尋ねられたマスク氏の答えは、終始一つの大きな課題を巡っていた。それはロボットビジョンである、つまり組立ラインのロボットが行動を決めるための対象として何を「見る」のかをコントロールするソフトウェアのことだ。残念なことに、当時の組立ラインのロボットは、ナットやボルトのような物が予期しない方向を向いていることや向き、車のフレームの間での複雑な操作に対処することができなかった。そのような問題が発生するたびに、組立ラインが停止していたのだ。結局、多くの組み立て工程の中で、ロボットを人間に置き換えたことで、はるかに簡単に問題を解決できたのだ。

現在コンピュータビジョン(ロボットビジョンのより包括的な名称)は至るところに存在していて、さまざまな業界を横断するAIテクノロジと画期的なアプリケーションの、次のフロンティアを象徴している。この分野で、現在研究者や企業によって行われている進歩はとても印象的なものであり、イーロン・マスク氏の自動車組立ラインの自動化ビジョンの実現に必要だった要素も現れはじめている。その核となるのは、コンピューターやロボットが、現実の世界で発生する(ナットやボルトの間違いのような)予期せぬ厄介な出来事の大部分を、確実に処理することができるようになるという技術だ。

コンピュータビジョンの転機の瞬間

コンピュータビジョンが転機を迎えたのは、2012年に畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を適用したときだった。それ以降、その勢いは本当に増している。2012年以前は、コンピュータビジョンのソリューションは主に手作りのものだった。基本的にアルゴリズムは、手作業で定義されたルールセットを持ち、画像の特徴を比較的効率的に数学を用いて記述することが可能だった。これらは人間によって選択され、そしてコンピュータビジョン研究者によって組み合わされて、自転車や、店頭、または顔のようなオブジェクトを画像の中で特定することに用いられた。

機械学習の台頭と人工ニューラルネットの進歩が、これらの全てを変えてしまった。画像の特徴を自動的に読み解き学習できる、大量のトレーニングデータを使用したアルゴリズムの開発が可能になったのだ。その実際の効果は2つに分けられる。

(1)ソリューションがはるかに堅牢になったこと(たとえば、顔の向きが多少違っていたり、影があっても、変わらず顔として識別できるなど)。

(2)優れたソリューションの作成は、大量の高品質のトレーニングデータに依存するようになったことだ(モデルはトレーニングデータに基づいて特徴を学習するため、トレーニングデータが正確かつ量が十分で、アルゴリズムが後で見る可能性のある、多様な状況を表していることが重要だ)。

現在研究されていることは、GANと教師なし学習、そして合成データ

GAN(Generative Adversarial Networks、敵対的生成ネットワーク)、教師なし学習、および合成グランドトゥルースなどの新しいアプローチにより、高品質のコンピュータビジョンモデルの開発に必要なトレーニングデータの量と、収集に必要な時間と労力を、大幅に削減できる可能性が出てきた。これらのアプローチで、ネットワークは実際に自分自身の学習をブートストラップし、より高い忠実度ではるかに速く、例外的ケースと異常値を識別することができるようになる。その後、人間がそうした例外的ケースを評価して解決策を再考し、高品質のモデルによりすばやく到達することができるようになる。

これらの新しいアプローチは、適用性、堅牢性、および信頼性の観点から、コンピュータビジョンの範囲を急速に拡大している。それらは、マスク氏の生産課題を解決できるだけでなく、無数の重要なアプリケーションでその境界を劇的に広げることになるだろう。そのいくつかの例を以下に挙げてみる。

  • 製造オートメーション:ロボットは、中心から20度ずれた車の座席や左に1インチずれた位置にあるネジのように、ランダムな向きのオブジェクトを扱うことが、ますます得意になって行くだろう。さらに、ロボットは、柔らかくて、折り曲げ可能な透明な物体を確実に識別することができるようになるだろう(例えば、先週Amazonで注文したビニール袋に入った靴下について考えてみよう)。現在バークシャー・グレイのような新しいロボットメーカーたちが、こうした技術の最先端を走っている。
  • 顔面検出:以前は、側面からの顔や、部分的に影が落ちていたり、隠されていたりする顔、そして赤ん坊の顔といった例外的なケースに対しては、顔面検出は堅牢に動作しなかった。現在、研究者たちは、コンピュータビジョンが、顔写真から90%の正確さでまれな遺伝性疾患を識別するのに役立つことを発見している。ある種のアプリケーションは消費者の手に渡るようになっていいる。これは、さまざまな照明条件や、画像キャプチャのコントロールが十分に行えない状況に対して、アルゴリズムがますます堅牢になったために可能になったのだ。
  • 医療用画像処理:進歩により、MRIの評価、皮膚癌の検出、 その他多数の重要なユースケースでの自動化が可能になった。
  • 運転手の支援と自動化:霧のかかっている状況では自律運転システムは機能していなかった。なぜならこれまでは濃い霧と岩を区別することができなかったからだ。現在では、教師なしの学習と(Nvidiaなどが主導する)合成データ作成機能が、数十億マイルに及ぶ路上記録映像でもカバーすることのできない例外的ケースでシステムを訓練するために、利用され始めている。
  • 農業:ジョン・ディアが買収した ブルー・リバー・テクノロジーのような企業は、現在雑草と作物を確実に区別して、選択的に除草剤を自動散布することができる。このことで、商業農業で使用される有害化学物質の量を劇的に減らすことができる。
  • 不動産情報:地理空間画像にコンピュータビジョンを適用することで、企業は洪水、山火事、ハリケーンによる風が、特定の施設に危険を及ぼす可能性がある時期を自動的に特定できる。これにより家の所有者たちは災害が訪れる前により早く行動することができる。

こうした進歩をながめていると、1つのことがすぐに明らかになる:イーロン・マスク氏は間違っていなかったのだ。単に彼のビジョン(ロボットやそれ以外のもの)が、現実から1〜2年先行していただけのことだったのだ。AI、コンピュータビジョン、そしてロボットは皆、正確性、信頼性そして効率性の転換点に近づいている。テスラにとって、「生産地獄」への次の段階(おそらくModel Y)を迎えるフレモント工場と上海工場では、大幅に異なる組立ラインを目にすることになるだろう。それらは、より上手く、ロボットとコンピュータービジョンが組み合わされたものになるのだ。

画像クレジット: Guus Schoonewille/AFP / Getty Images

この著者によるほかの記事:シリコンバレーの企業たちが人工知能の可能性を損なっている

[原文へ]

(翻訳:sako)

イーロン・マスク、トンネル工事の残土で作るブロックを店舗販売へ

イーロン・マスクは過去いくぶんクレイジーで、信じられないような発言をツイートしているが、ブロックについて冗談を言っているわけではなかった。TechCrunchが入手した公的書類によると、マスクはブロックを作って販売するThe Brick Store LLCという会社を設立している。

7月に設立された新会社は、SpaceXの元エンジニアでThe Boring Company(TBC)を経営しているSteve Davisが舵取りすることになっている。

TBCは新たなトンネル掘削と輸送テクノロジーを手がけていて、ブロックはトンネルを掘削して掻き出される土で作られる。イーロン・マスクは、ブロックの値段はわずか10セントになり、手頃価格の住宅プロジェクトにつながるかもしれないとツイートしている。

Brick Storeの最初の実店舗は、Teslaのスマートなデザイナーショールームからは程遠いものになりそうだ。ロサンゼルス郡南部のHawthorneに提出された計画書には、TBCやSpaceX本部から約1マイル離れたところの荒廃した化粧漆喰の建物が示されている。近づきがたい黒い鋼の安全格子が“入り口や窓のアクセントに活用される”と、TBCは建物をリノベするための申請書に書いている。

こうしたデザインにもかかわらず、TBCはこの建物を美的アピールのために選んだのではない。この建物ー以前はキッチンキャビネットの事業に使われていたーは、TBCが初のテストトンネルから掘削機械を抜き出すために掘っているトンネル出口真上に位置する。このトンネルはLoopという、人や車を乗せた独立式電動スケートが最高時速150マイルで走るという地下交通システムのショーケースとなる。

トンネルは元々、SpaceXの隣の駐車場の建物から2マイルほど公道の地下を伸びる計画だった。しかしながら今年4月、TBCは計画ルートの中程にあたるHawthorneの角地を、子会社を使って密かに200万ドルで購入していた。

7月、TBCはその角地にトンネル掘削機械を取り出すためのシャフトをつくる許可をHawthorneに申請した。トンネル掘削機というのは後ろには進めず、取り出しシャフトがなければ掘削の最後にマシーンを捨てることになるからだ。

同じ月、マスクはThe Brick Storeを設立した。州に提出した書類によると、目的は“ブロックの製造・販売”だ。TBCはすでにトンネル残土でできたブロックによる構造物を造り、マスクは15日、これら構造物はトンネル入り口に設ける監視塔に使われるだろうとツイートした。

トンネル掘削残土を価値ある商品に変えるというのは、マスクの環境を重視する傾向にあっているーそしてTBCは、それら残土を処理する費用を節約できる。TBCはさらに、このブロックをトンネルのライニングそのものの一部に活用できるかもしれない、としている。マスクは先日、トンネルは12月10日に正式にオープンすると明らかにした。

この件について、TBCはコメントの要請にはすぐさま応えなかった。

残土でできたブロックは通常、compressed earth blocks(圧縮土ブロック、CEB)と呼ばれ、その歴史は古代にさかのぼる。CEBはまだ今日でも発展途上国で使用されていて、カリフォルニア州とニューメキシコ州では建築基準で認められている。しかしそれでもなお、CEBマーケットはかなり小さいーそれはおそらくCEBの建物は建てたり、配線したり、断熱材でカバーしたりするのが難しいからだろう。

Dwell Earthは、残土と少しのセメントを混ぜたものに圧をかけてCEBを作る機械を販売している。

「イーロンは、エネルギーと才能でもって大きなチャレンジに立ち向かおうとしているようだ。我々がそうであるように、イーロンが[CEBについて]張り切っているかもしれないというのは嬉しい」とDwell Earth創業者のBob de JongはTechCrunchに対しこう語った。

TBCは今年初め、マスクから1億1200万ドルを受け取った。これらの資金は、ドジャースタジアムをLAの地下鉄につなげるループ、シカゴとオヘア空港を結ぶループ、さらにはワシントンD.C.とメリーランドを結ぶという野心的な通勤ループなどを含め、米国中でいくつものトンネルを掘るのに使われることになる。

ただ、これらのプロジェクトは、米国と中国の間で加熱している貿易戦争のために、反対にあうかもしれず、少なくなとも遅延するかもしれない。

TBCの弁護士は7月、トランプ大統領が中国製トンネル機械パーツに課す関税により、プロジェクトが最大2年遅延し、これにより雇用機会が失われる、と米国通商代表宛に書いている。TBCは、まだ正式に発効していないこの関税から免除するよう求めた。

もし、残土をリブランドしてCEBマーケットを構築できる人がいるとしたら、それはイーロン・マスクだ。しかしもしThe Brick Storeが火星ミッションや地球保護のための十分な資金をつくれなくても、少なくともこのブロック事業は“火炎放射器でない”という以上に少しは実用的だ。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

Tesla、中国顧客からのModel 3注文受付を開始

Teslaのウェブサイトによると、Teslaは中国の顧客からModel 3の注文の受け付けを開始した。

この件については、Reutersが最初に報道した。

Teslaは、同社の中国専用ウェブサイトにある情報について、特段コメントはしていない。TeslaのCEOイーロン・マスクは木曜日、中国の顧客への納車はおそらく3月に始まるだろうが“4月がより確実だ”、とツイートしている。

同社の中国専用ウェブサイトによると、中国の顧客は予約するにあたって、8000人民元、おおよそ1153ドルをデポジットとして払わなけれなならない。デポジットを払った顧客はその後、好みの設定(例えば塗装の色や他の機能など)へと案内される。車購入の契約が終わると、残金を支払うことになる。

FAQセクションに基づくと、Teslaは米国マーケットで展開するオプションのほとんど(異なるパフォーマンスを含む)を中国の顧客にも提供するようだ。Model 3の低価格ミッドレンジバージョンが中国で販売されるかは不明だ。

世界最大のEV市場である中国でのTeslaの事業は混ぜこぜ状態だ。2014年に中国でModel Sを納車し始めた時、Teslaは大量に人材を採用し、社員数は600人に膨れ上がった。Teslaは店舗やサービスセンターを設け、スーパーチャージャーで知られる急速充電ステーションを建設した。

そしてTeslaは2014年に推計3500台を販売したが、これは目標を下回り、電気自動車とプラグインハイブリッドを生産する中国のライバルメーカーBYDやBAICの後塵を拝した。販売停滞は2015年初めも続いた。そして、2016年になってようやく好転した。販売が前年の3倍になり、2017年にはさらに売り上げた。

しかしいま、新関税という逆風に直面している。

先月、Teslaは関税や輸送コスト、インセンティブの欠如が同社の車の価格を吊り上げ、需要をそいでいるとして、上海での工場建設を急ぐことを発表した。

米国と中国の貿易摩擦により、米国以外の国からの車には15%の関税が課せられているところ、Tesla車へは40%となった。関税、そして海上輸送によるコスト、中国で生産されたEVへの現金インセンティブの対象外となっていることなどが組み合わさっている。

結果として、中国で生産される同じ車と比較してコスト的に55〜60%不利な状態となっている、とTeslaは語っている。

イメージクレジット: Tesla

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

SpaceXの7518個のミニ衛星ネットワークをFCCが承認

何千個ものミニ衛星で地球全体をカバーするStarlinkコミュニケーションシステムを構築するSpaceXのプロジェクトがFCC(通信委員会)からを承認を受けた。ただしSpaceXが実際にこの衛星の打ち上げを開始するまでにはしばらくかかる見込みだ。

今日(米国時間11/15)、FCCは今月の定例会で承認されたプロジェクトを発表した。Starlinkの他にKepler(衛星140基)、Telesat(117基)、LeoSat(78基)が含まれている。しかし打ち上げ予定衛星数ではStarlinkが文字通り桁違いに大きい。これ以外にももっと小規模な衛星コミュニケーション計画がいくつか承認を受けている。

SpaceXが発表した計画では最終的に7518基の衛星を軌道に投入される。これとは別に、われわれが2017年3月に報じたとおり、4409基のプロジェクトがすでに承認を受けている。先月、FCCは決定のドラフト (PDF)を公開し、申請があった衛星コミュニケーション・プロジェクトを承認する意向であることを示唆していたが、今回の発表で公式な決定となった。

SpaceXのの衛星は340キロという(衛星としては)非常に低い軌道に打ち上げられる。これは他のプロジェクトにくらべて550キロも高度が低い。

低軌道の衛星は大きな空気抵抗を受けるため寿命が短い。打ち上げてから大気圏に突入して燃え尽きるまで数年とみられている。.しかし地表に近いということはそれだけ通信のレイテンシーも必要とする電力も小さくてすむ。その代わり1基のカバー範囲が狭くなるため多数の衛星が必要となる。しかし計画どおりに運用できるのならコミュニケーション需要が大きい地域に高速かつ信頼性の高いネットワーク接続を提供できる。ただしSpaceXがこれまでに打ち上げたのは2基の実験用衛星に過ぎないので、現実に可能かどうかは今後検証されることになる。

Starlinkの衛星は現在主流のKa/KuバンドではなくVバンドを使う。これは総計1万2000基にもなる衛星の電波でKa/Ku帯域を飽和させないようにという配慮だ。

Starlink衛星の打ち上げは来年中に始まるはずだ。このスケジュールが守れないとStarlinkの幹部はイーロン・マスクの怒りを買うことになるだろう。しかしネットワークを機能させるためには非常に多数の衛星を打ち上げる必要があり、部分的にでもシステムが稼働するまでには相当の年月を必要とする。

こうした多数のミニ衛星打ち上げはそれでなくとも混雑している宇宙をさらに混雑させ、宇宙ゴミを大量に作り出すことになるのではないかという懸念を抱く読者もいるかもしれない。この点ではSpaceXは優等生だ。まず一段目ブースターを再回収することにより、海洋の粗大ゴミとなることを防ぐ。また現在ほとんど使われていない低軌道を利用するため他の衛星と干渉する可能性も低い。

奇妙に聞こえるかもしれないがFCC宇宙ゴミを所管する主要な官庁の一つで、現在これに関する規則の見直しに着手している。【略】

新規則は最終決定に至るまでまだ時間がかかるもようだが、近々ドラフトが公開されるはずだ。宇宙デブリが深刻な危機に発展する前にFCCがどのような対策を考えているのか注目だ。

画像:Moment / Getty Images

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

イーロン・マスク、LA地下のトンネルの映像公開――掘削会社は来月お披露目パーティー開催へ

昨夜(米国時間11/3)、Twitterで物議をかもし続けるスーパー連続起業家、イーロン・マスクが、驚くべき映像をTwitterに投稿した。マスクが2年前に設立した交通インフラ企業であるThe Boring Companyがロサンゼルスで掘削している地下トンネル内の全長をタイムラプスで撮影したものだ。マスクは大都市圏における交通渋滞を解消するために現在4つの地下トンネルの掘削を計画している。

マスクはまたThe Boring Comapyがオープニング・イベントを開催することを(いつものように)Twitterで発表した。ロサンゼルスの南の近郊ホーソーンから掘削されているこの高速輸送トンネルは約5週間後の12月10日に一般公開される。この日の夜のお披露目パーティーの後、翌日は希望者に無料で試乗のチャンスがあるという。ただしある程度の度胸が必要だろう。マスクによれば、このシステムは「歩行者、自転車、自家用車を時速250キロで輸送できる」という。

計画ではこの交通システムはスケートと呼ばれる電動カプセルが16人の乗客、あるいは乗用車を高速で輸送する。自動車は地表からエレベーターで地下に降ろされ、カプセルに搭載される。

マスクはツイートでトンネルの全長について具体的な数字は挙げなかったが「びっくりするほど長い」と述べた。

今夜はLAの地下に建設中のBoring Coのトンネルの全長を歩いてみた。 びっくりするほど長い。12/10のオープニング・パーティーに向けて順調に計画は進んでいる。われわわれは一直線に進んでいる。

〔日本版〕ホーソーンにはSpaceXの本社、Teslaデザインスタジオがある。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

Tesla車、間もなくアプリで呼び出せるように

TeslaのCEO、イーロン・マスクは一連のツイートで、オーナーがスマホを使ってTesla車をリモートでコントロールできる自動駐車テクノロジーSummonの高度バージョンが6週間以内に使えるようになると約束した。この高度バージョンでは車を呼び出せるだけでなく、車がペットのようについてくるようにもなる。

Summon駐車機能はAutopilotという名称で知られる高度ドライバーアシスタンスシステムか、“高度Autopilot”と呼ばれるバージョンを搭載したTesla車で利用できる。

来月から使えるようになる高度バージョンの機能とは関係ないように見える別のツイートで、マスクは来年までにSummonでTesla車を駐車場で走らせて、車が自ら空いているスペースを見つけ、駐車してもいいかどうかを確かめるために案内を読むことができるようになる、と明らかにした。

Summonは自動駐車テクノロジーで、Tesla車のオーナーはTeslaのモバイルアプリかフォブを使って駐車または駐車し直しができる。TeslaはSummonを、ハードウェア1を搭載する車向けの7.1ソフトウェアのアップデートを行なった2016年1月に導入した。導入当初は機能は限られていて、オーナーは車の側に立ってガレージやパーキングスペースから車を出したり、ボタンを押して駐車スポットに車を入れたりができた。

当然、空いている駐車スペースを見つけるまで駐車場内を自動で動き回るということはできなかった。

2016年10月、Teslaはより高度なセンサーやレーダー、カメラを搭載したハードウェア2の製造を開始した。これは、マスクによると性能面で格段に上がり、ゆくゆくは自動で運転するとのことだ。Summonはその結果として有能になるかもしれない1つの機能にすぎない。

自動運転というゴールは予想していたより遠いようだ。Teslaは、物体を認識して回避するために搭載しているニュートラルネットを経由してのイメージプロセシングを活用した独自のビジョンシステムの開発に何年にもわたって取り組んでいる。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

イーロン・マスク、新たにTesla株2000万ドル分購入を計画

TeslaのCEOで、同社最大の株主であるイーロン・マスクは新たにTesla株2000万ドル分を普通株で購入しようと計画しているようだ。この動きは、水曜日に米国証券取引委員会(SEC)に提出した書類の中に、最近SECとの間で合意した和解への対応として記されている。

フォーム8-K書類には、Teslaを非公開企業にするための“資金は確保した”という8月7日のマスクのツイートに関連した証券詐欺疑いを巡り、マスクとTesla、そしてSECが合意した和解案の内容が綴られている。この和解については火曜日に連邦裁判所が承認した。

8-K書類の最後にTeslaは、マスクが2000万ドル分のTesla株を購入するという計画の概要を記している。記述は以下の通りだ。

和解とは別に、イーロンはTeslaに対し、Teslaから株式を購入する意思を示し、Teslaは次の新規売買時にその時の時価で2000万ドル分のTesla普通株をイーロンに売る。

和解案では、マスクは2000万ドルの罰金支払いと最低3年間は役員会の議長職につかないことに同意した。それでもマスクは役員としては残り、SECの提訴内容を肯定も否定もしていない。

それとは別にTeslaも2000万ドルの罰金を払う。Teslaはまた、マスクのツイッターやTeslaブログといったチャネルを通しての発言が実際的なものなのか、公開されるべきなのかを判断するために、それらをモニターし、事前承認することにも同意している。

イメージクレジット: Joshua Lott / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

イーロン・マスクとSECの和解、裁判所が正式に承認ー株価は上昇

Teslaを非公開化することについての、今や悪名高い「資金は確保した」ツイートに端を発した、TeslaのCEOイーロン・マスクと米国証券取引委員会(SEC)との間で繰り広げられた一連のゴタゴタは正式に解決した。

連邦裁判所は、詐欺疑いの提訴をめぐるマスクとSECの和解を承認した。Bloombergが裁判所の承認を真っ先に報じた。

このニュースを受け、Teslaの株価は4%超上昇した。

SECは、1株420ドルで株を買い取って会社を非公開にするための“資金は確保した”とのマスクの8月7日のツイートは虚偽にあたるとして9月に提訴した。連邦証券当局はツイートの1週間後にTeslaに召喚状を送付したと報道されている。そして6週間後にSECは証券詐欺容疑で提訴した。

提訴は、マスクとTeslaの役員会がSECとの和解案を無下にした後に行われた。提訴の後、役員会は和解を引き出すどころか、マスクを擁護する声明を出した。ニューヨークタイムズ紙は、マスクが役員会に最後通牒を発し、和解案をのまなければ辞めると脅した、と報じた。

最初の和解よりペナルティは厳しいものになったが、とにかく最終的に和解に落ち着いた。しかしながら、両者が和解に落ち着いたにもかかわらず、Teslaの一連の問題のある行いは終わりではなかった。

米連邦地裁のAlison NathanがSECとTeslaに、なぜ地裁が和解案を承認しなければならないのかを説明する連名の書面を提出するよう求めた。そして連名の書面が10月11日に提出された。Nathanは、和解案は“妥当で理にかなっている”と決定し、16日に承認した。

9月29日に合意に達した和解案で、マスクはTeslaの会長職を離れることと、2000万ドルの罰金を支払うことに同意した。

マスクは合意から45日以内にTesla役員会の議長を辞めなければならない。マスクは、議長として再選の模索はできず、3年間は指名も受けられない。和解案に基づき、独立した議長が指名されることになる。SECによると、それとは別に、Teslaは2000万ドルの罰金を支払うことに同意した。SECは、Teslaに対する制裁金については、マスクのツイートに絡んで管理と対応を怠ったことに対するもの、としている。

イメージクレジット: Diego Donamaria / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

イーロン・マスク:テスラブランドのテキーラTeslaquilla‘間もなく’

TeslaのCEO、イーロン・マスクは金曜日、“Teslaquilla”というテスラブランドのテキーラーテスラが経営破綻したというイーロン・マスクのエイプリル・フールに出てきたあのボトルだーが間もなく登場するとツイートした。

このツイートは、テスラが米国特許商標庁に“Teslaquilla”の商標登録を出願したというCNBCの記事を受けてのものだ。

その後、マスクはTeslaquillaのラベル写真をツイートした。

Teslaquillaの話は、エイプリル・フールにさかのぼる。マスクは、“散乱するTeslaquillaボトルに囲まれてモデル3に寄りかかり、そして頬には涙の乾いた跡がまだ見える”という状態で意識消失している自身の写真を投稿した。写真の中で、マスクは“bankwupt”と書かれたダンボルールを持っている。

月曜日の特許出願は商標を“使う意思がある”ということだ。つまり、テスラは“誠実な使用意図を持っていて、商業または特定の商品/サービスがらみでこの商標を使用する権利が与えられる”。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

イーロン・マスクがSECに目をつけられるのは仕方がない

イーロン・マスクの4つのツイート。1つは、米証券取引委員会(SEC)による提訴。そして2つの和解案。さらにはSECを揶揄するツイート。

Teslaの車とエネルギーの事業に疑いの眼差しを向けた人たちは間違いだったとTeslaは証明し続けている一方で、現在展開されているソーシャルメディア劇場では財務面での動きを伴っている。マスクが先週末にSECと和解したことを受け、株価は月曜日に一株あたり310.70ドルに上昇した。しかし結局は金曜日に1週間前とほぼ同じ261.95ドルとなった。これはおそらく投資家がイーロン・マスクの現在進行形のツイッター問題を恐れてのことだ。

SECはマスクのようなクリエイティブながら衝動的な起業家をソーシャルメディアから引き摺り下ろし、社を築くのに専念させるのを手伝う必要があるー会社運営はフェアで、しっかりとしたやり方でなさなけらばならない。

これまでのところ、それはたやすいことだった。それゆえに今回は悪い前例となった。Teslaが公開企業となったとき、彼らは株主の利益を最優先することに合意していた。衝動的なツイートはこの約束を破った。

マスクがこの株主の利益最優先の約束を反故にすれば、SECは提訴して事を進め、前例を示すことができた。マスクのツイートは裁判所に持ち込めば簡単に勝訴できる類のものだった。SECは騙し取りに興味があるかどうかなどマスクによって証明される必要はなかった。マスクが実質的に虚偽発言をしたこと、あるいは脈絡なくミスリードしたことを証明しさえすればよかったーマスクのツイートが確固たる根拠を伴わないものであることを考えたとき、それは決して難しいことではない。

これをどうとらえるべきか?

そもそも、一つのツイートから始まった。8月7日、イーロン・マスクは2200万人超もいるフォロワーに向けてツイートした:“1株あたり420ドルでTeslaを非上場化することを検討している。資金は確保した”。その後に起こった混乱はマスクのさらなる3つのツイートによって拡大した。

この4つのツイートが、SECがマスクに対して9月27日にニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提出した訴状のベースとなっている。この訴状では、SECはマスクがTeslaの取締役会会長ならびにCEOの職から退くことを求めている。そしてマスクに罰金を支払うよう求め、一定期間マスクがいかなる公開企業をも率いる事を禁じた。

SECによると、マスクのツイートは7月31日にサウジアラビア政府投資基金の代表者との間で行われたおおよそ30分のミーティングに基づいている。このミーティングで、基金側はマスクに公開市場でTesla株のおおよそ5%を買う意向を伝え、そしてTeslaを非上場にすることに興味があることも伝えた。しかしマスクは正式なオファーを受けておらず、非公開企業になるためにはどうしたらいいか法的なアドバイスも受けていなかった。さらには、8月7日のツイートまでに基金側と再び話すこともなかった。

そして株価420ドルだ。マスクがツイートする前の市場がひけるときの株価を20%増して419ドル、四捨五入して420ドルとした。それは彼のガールフレンドが420という数字を面白がるだろうと考えたからだ、というのがSECの主張だ。(編集部注:420という数字には「マリファナを吸おう」というスラング的意味がある)

SECの訴状が提出された直後、マスクが制裁金1000万ドルを払うこと、CEOとしては留まり2年間は会長職を離れる、との和解案が明らかになった。SECが何を提訴しようとしていたかを考えたとき、その和解は寛大といえるものだった。しかしTeslaの取締役会はこの和解案を拒んだ。報道されているところによると、それはマスクがこの和解案を受け入れなければやめる、と脅したからとのことだ。

和解を拒否したあと、Teslaの弁護士はSECとの協議に戻った。マスクは合意しなかったことで社の株式を14%近くも急降下させたことをしぶしぶ認めた。

2つめの和解案では、マスクが会長職を離れる期間が2年から3年になり、マスクへの制裁金は2000万ドルへと2倍に増えた。Teslaはまた制裁金2000万ドルを払うこと、取締役会に2人の独立した役員を加え、マスクの代わりに独立した取締役会会長を選出することに同意した。この和解案にはまた、Teslaがマスクのソーシャルメディアを含めた発信を監視することも含まれている。

この件を担当する判事がマスクとSECに“社会の話題”となった和解案を示すよう要請した数時間後に、マスクはまたもやツイッターを使って、合意でCEO職に留まる事を認めてくれた相手を挑発した:“Shortseller Enrichment Commission(空売り推進委員会、SEC)はまったく素晴らしい仕事をしている。名称変更も的を得ている! そして、Teslaの株価は、その後のマスクのツイートで下がった。

SECはまだこの件に関して完全に矛を収めてはおらず、ーもしこれまでがプロローグであればー矛をそのまま収めるというのは考えにくい。

マスクのツイートの何がいけなかったのか?

ここで重要なのは、マスクのツイートが虚偽だったのか、あるいは少なくともミスリードだったのかということだ。SECのルールに照らせば、虚偽発言をしてはいけないし、ミスリードではないと確信させる発表を十分な根拠なしにすることは許されない。マスクのツイートが虚偽、あるいは少なくともミスリードにあたるというのは明らかだろうー会話が予備的なものであったことを考慮してもだ。

「資金は確保した」というのは、この会社を非上場にするために必要なおおよそ700億ドル超をTeslaが持っているということを意味する。実際にはそのような資金は確保されていなかった。サウジ基金と契約合意の期日などの交渉も行われていなかった。もしマスクが資金を調達していたとしても、承認はまた別問題だったはずだ。サウジ基金側はマスクに、投資はTeslaが中東に工場を設立することが条件となるだろう、と話していた。この条件については、少なくともTesla役員の1人は“まったく話にならない”と評している。

何がマスクをそのようなツイートに駆り立てたのか、想像するのはそう難しいことではない。公開企業であることに伴う無数の必要条件が動きの妨げになっていることを彼は歯に衣着せず語っていた。Teslaが5月に行なった収支報告で、マスクはアナリストの質問を“間抜け”“つまらない”呼ばわりした。何年もの間、マスクは空売りに強い不満を示していた。マスクはサウジのTeslaを非上場化するという構想を聞いて、これ以上空売りに悩まされることがなくなると喜んだに違いない。

情報公開がやっかいなのは事実だ。SECに提出する書類一つにしても高給取りの弁護士に作業してもらわなければならない。そうした作業が四半期ごとだったり、材料開発に伴うものだったりと、次から次にあるのだ。SECの対応はゆっくりしたものだ。ツイートを情報公開の形式として認めたのは2013年だ。また、それまでは文字数制限があるツイッターの中でも免責条項はフルに記載しなければならなかったが、2014年にようやくツイートにリンクをはるだけでもよい、となった。

しかしSECのルールにはちゃんとした理由がある。ルールには、企業と株主の間にある情報格差をなくそうという意図がある。そして、公開企業に関わる投資家を保護するという目的もある。マスクはツイートで自分の意図をよく伝えてきたかもしれない。しかしそれで法律をクリアということにはならず、ましてやそれによりTeslaの株式をローラーコースターのように上昇させることがオーケーとなるわけがない。マスクはSECのルールについて要望を述べることはできる。しかしTeslaが株式を公開するずっと前からこれらのルールは公開企業に必須のものだった。流動資産を手にするために株式公開を選んだというのは、マスクとTeslaはルールを承知の上でこれらの取引にサインしたことになる。

わかりやすい先例にする機会を逃した

究極的に、今回のSECの動きで重要なのは、先例をつくるということだ。

SECには、マスクの実にひどい言動を一つの例とするという貴重な機会があった。そのかわり、今回の和解に関するSEC委員長Jay Claytonの声明は、マスクがあまりにもTeslaの中心人物であるがゆえにマスクを異例扱いするというものになってしまった。Claytonは、証券取引法違反の罰則は“企業の将来の繁栄”にとって重要な“特定の個人のスキルとサポート”を考慮する必要があると述べている。

別の言葉で言うと、重要人物であれば見境ない言動をしてもいい、ということのようだ。

マスクは間違いなくTeslaの中心人物だ。しかしそれは、彼がTeslaの全て負う人物でなければならない、ということではない。企業情報を開示する前に承認をとらなければならない法律部門、ポリシー部門を会社が抱えているのはそれなりの理由がある。ツイートする前にそうした部門にいる弁護士に電話をするようマスクに言うのは、大した手間ではなかったはずだ。

企業にとって中心的な役割を担っている役員かどうかに基づくダブルスタンダードを設ける代わりに、SECはマスクを法廷に呼び出し、中心的な役割を担っていない役員と同様のスタンダードを適用することができた。その方法をとっていれば、公平な仲裁人を前に、なぜSECがマスクを告訴するのが“不当”なのかをマスクに語らせることになっていたはずだ。

たとえSECが、Teslaの株主を蚊帳の外に起きながらこの件を長引かせる、ということを避けたかったにしても、少なくとも2つのめ和解案に合意する前にもう少し時間をかけることはできたはずだ。訴訟を続けていれば、告訴から和解までにかかった2日間よりも、強い抑止効果があったかもしれない。和解に至った後のマスクのSECを揶揄するツイートを見る限り、マスクが今回何かを学んだとはとても思えない。

Teslaが抱える大なり小なりの問題へのマスクの絶対的な影響力は、今後も続くだろう。これは究極的には、1人の人物の神聖な言葉による誤った安心感でTesla社内の人をなだめすかせて無力化させる。SECによると、投資銀行のアナリストは、マスクのツイートを受け、Teslaの投資家関係の責任者Martin Viechaに資金について明らかにするよう求めるメールを8月7日に送っている。Viechaは10分もしないうちに返事を送った。「言えるのは、最初のツイートは‘資金は確保した’と言明しているということ。事実、確かなオファーがあった」。

Viechaは実際にはマスク以上に資金が確保されたことを知り得なかった。いや、確かなオファーがあったかどうかも実際には知らなかった。しかしTeslaの社風からして、マスクの発言が社や投資家に損害を引き起こすかもしれない、とViechaに再考を促すことはなかった。

最近ヘッドラインを賑わせているのはマスクだが、他の公開企業のCEOもソーシャルメディアにアカウントを持っている。彼らが何を発言するのかーあるいは発言しないのかーは投資家、そして企業そのものにも同じようにダメージを与えることができる。もしマスクがルールを曲げてもそのまま無傷でいられるのなら、他のCEOが同じような手法をとったときにどうやってそれを阻止できるだろう。マスクとの和解が、マスクのTeslaでの中心的役割によって正当化されるというSECの間接的な容認が、まさしく他のシリコンバレーリーダーたちによるソーシャルメディアでの不適切な言動を正当化する前例となる。

権力を持つ人たちのツイートが刑罰を受けないというのはピンとこないかもしれないが、少なくとも証券取引法に違反するツイートについて公開企業の役員は責任を負うようにしなければならない。ツイートやソーシャルメディアへの投稿は現実世界で社会的重要性を持つ。Teslaの株主は、ソーシャルメディアを使った流し釣りではなく、聡明な科学技術者に金をつぎこんでいる。

今回のマスクのツイートへのSECの対応は、これまでのところ、その点をクリアにする機会を逸している。

イメージクレジット: Joshua Lott / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

裕福な観光客を哀れむバーニングマンの本当の価値

私が、バーニングマンでいちばん面白いと感じる点は、ポスト希少性社会の叩き台になっているところだ。ただ、膨大な費用と資源を必要とし、非常に過酷で不便な場所で行われる実験というのも皮肉な話だ。そこまで行かなければ、世界の金銭的または希少性の階級構造から抜け出すことはできないというわけだ。

もちろん、それだけではない。世界最大級の、もっともクレイジーでもっとも壮大なパーティーであり、巨大なエレクトロニック・ダンス・ミュージックのフェスティバルであり、圧倒的な野外アートギャラリーであり(はかなく、同時に永遠で、美術館のキュレーターも足を運び、コレクションに加える作品を物色する)、実験的コミュニティーであり、世俗的異教徒の儀式であり、幻覚剤の「セットとセッティング」であり、友人との再会、または共に過ごす休日、などなど。これをヒッピーのイベントだと、からかい半分に誤解している人は多い。火炎放射器とギターの比率は100対1で、「安全第三」や「バーニングマンは常に死と隣り合わせであるべき」といった言葉がモットーになっている。またときには、大変に奇妙なことだが、シリコンバレーの休日のハッカソンの延長だと誤解している人もいる。

その最後の誤解は教訓的だ。今年のイベントリストには、いわゆる「ベンチャー投資家および起業家ネットワーキング・イベントとピッチセッション」というものがあった。私は参加しなかったが、親しい友人が参加して教えてくれたところによると、「あれは究極のポーの法則イベントだったよ。……それがジョークだとわかったとき、大勢の人間が本当にがっくりしていた」とのことだった。どうやら、現状の外の世界の社会的階級構造にはあまり反発する様子がないようだ。むしろ興味深いのは、それを真横から見ていることだ。人によっては、理解が難しいところだ。

たしかに、このStanford Newsの素晴らしい記事が伝えているように、バーニングマンはシリコンバレーに大きな影響を与えている。驚くべきテクノロジーがそこで見られるのは事実だ。壮麗な600機ものドローンが群をなして飛んだり、6メートルの高さのテスラコイルが2基並んでいたり、ロボットが勢揃いしていたり。しかし、その作者たちは、自分たちのコミュニティーに作品を見せたいだけであって、不浄な金儲けを企んでいるわけではない。

勘違いしないで欲しいのは、この砂漠の実験的コミュニティーにも、独自の階級構造があり、独自の社会資本があり、そこにたかろうとする者もあり、独自の不文律が大量にあり、大変に人気の(みんなの誇りになっている)独自のロゴもある。しかし少なくとも、みんなで働く、みんなで建てる(テント一張でもいい)、みんなが砂埃と戦って、そして負けて、みんなで物や行動を、受け取るのではなく寄付して社会資本を増やす、そしてみんなが、火を吐く巨大なアートカーの上に乗ったり、バスでやってきて寝る場所がない人たちに狭いテントの寝場所を分け与えたりする同等の参加者となり、近くにいる知らない人を助けたり、協力し合ったり、またはみんなが楽しめるアート作品や技術プロジェクトを作ったりする、という理想はある。

外の世界の階級社会に直交すること、つまり奪うのではなく与える競争は、その他の実験的コミュニティーの中でも、ポスト希少性社会の実質的な叩き台としては魅力的だ。だからこそ、そこに来てコミュニティーにまったく参加しようとしない人は、ひどく軽蔑され、嫌われ、侮蔑される。

もちろん私は、あの悪名高い「ターンキー・キャンプ」のことを言っている。金持ちの(ときには大金持ち)の人たちが、お金を払って六角形のユルトを建てさせ、食事を用意させ、ガイドや学芸員を雇って見物してゆく。あの壮大な光景の傍観者となるためにだ。バーニングマンの参加者とは異質の存在だ。外の世界での高い階級をプラヤに持ち込み、我々の叩き台に、古い退屈な資本主義を感染させようとしている。

裕福な人たち、とくにシリコンバレーから来た人たちが、バーニングマンで大そう贅沢な時間を長々と過ごしていくのは事実だ。2001年、Googleの共同創設者ラリーとセルゲイがエリック・シュミットをGoogleのCEOに選んだ理由のひとつは、候補者のなかで、彼が唯一バーニングマンの参加経験を持つということだった。マーク・ザッカーバーグは、一度、ヘリコプターで飛んで来て、グリルチーズ・サンドウィッチを無料で配って午後を過ごしていったことがある。イーロン・マスクは、彼がバーニングマンで見たようなシリコンバレーの側面が描かれていないと、れテレビ番組『シリコンバレー』を批判した。それでも彼らは、自分で行動している。その体験が、パッケージとして販売されるようになった(とされている)のは、ここ数年のことだ。

それには、みんな非常に腹を立てている。思うに、その最大の理由は、恐れだ。資本主義は「ボーグ」と同じだ。接触したものすべてに感染して、仲間に組み入れてしまう。バーニングマンは、ただの大きな祭になってしまう。それが恐ろしい。実験的なコミュニティーでも、ましてやポスト希少性社会の叩き台でもなくなってしまう。

それなのになぜか私は、とても清潔で裕福な、ターンキー・キャンプから来た大勢の人たちと土曜日の夜を共に過ごすはめになった。短パン姿の老人たちや、染みひとつないピカピカの何千ドルもしそうなバーニングマン風衣装を着た若者たち、それに、「こっちを見ないで、私はセレブなんかじゃありません」的な特注の黄金の面をつけた女性もいた。彼らは昔ながらのツアー観光客のように振舞っていた。ただ違うのは、ガイドが掲げる彼らの目印は旗ではなく、持っているのは旗ではなく、先端に点滅するLEDのハートを付けた長さ3メートルの6ミリ径鉄筋だったことだ。

そして、最初に抱いた彼らへの怒りが収まったあと、私がいちばん強く感じたのは、彼らへの哀れみだった。私は、前述のバスキャンプの中の、砂だらけのみすぼらしい場所で一人でキャンプをしていた。だが、それが何よりもずっと面白く、楽しい時間だった。たしかに、私は(比較的)このイベントを多く経験したベテランだが、初めてだったとしても、そうしていただろうと思う。それに、ここに集まった7万人の人たちの中には、とても裕福で、ターンキー・キャンプに泊まれる人たちも大勢いるのだが、それでもあえて大変な苦労や実験に身を投じ、巨大な像を作ったり、複雑な機械を組み立てたり、比類なく立派なアート作品を創造したりしていた。それは、大きな喜びという報酬を期待しているからだ。あの嫌われ者の観光客たちにも、そこをわかって欲しかった。

だから、そんな観光客は気にしない。バーニングマンは資本主義のボーグと戦う強力なレジスタンスとして生き残ると、私は期待している。だからそこは、文化、コミュニティー、テクノロジーのための、そして近未来のための、面白い実証実験の場所なのだ(同時に、完全にいかれた人たちに埋め尽くされた完全にいかれたパーティーという側面も、またその顔のひとつ)。ターンキー・キャンプの観光客たちが改心することなど、私は期待していない。彼らはその階級にしがみついているからだ。それに対して私たちは、テクノロジーによって可能となる文化とコミュニティーの非常に面白い実験の時と生きている。そして、バーニングマンがそう見える、また現にそうであるように、馬鹿みたいに弾け過ぎたそうした実験が、真実の価値を持つと私は強く信じている。

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

イーロン・マスク、運賃1ドルでLAの交通渋滞を改善する、とボーリング社の‘Loop’構想を語る

ボーリング社のイーロン・マスクとスティーブ・デイビスのエグゼクティブ2人が、‘Loop’でロサンゼルスの交通をどう刷新するか、その計画の詳細をいくつか明らかにした。Loopは一度に16人を運べる電動ポッドを最終的に活用する。マスクは、LoopはLAのダウンタウンからロサンゼルス国際空港の各ターミナルまで8分以内、そして運賃は1ドルで客を運ぶことができるとしている。

プレゼンテーションの大部分は、ボーリング社が現在やっていることは社会に混乱を起こすものでなければ、すでにある高速システムにさらに負荷をかけるようなものでもない、と市民を納得させることにフォーカスされた。

LAシナゴーグで開催された、この短時間のプレゼンテーションは予定より25分遅れで始まった。というのも、イーロン・マスクが遅れて来たためだ。彼は皮肉をこめて「渋滞にハマった」と言った。マスクはなぜ空飛ぶ車がこの“まったくうんざりする交通渋滞”問題を解決できないかについて、数分間熱弁をふるった。さらに、トンネルは空飛ぶ車のようにハラハラするようなものでなく、それでいて楽しいもの、とも語った。

この2人のエグゼクティブとともに登壇したのは、ボーリング社のマスコットであるカタツムリのGrayだ。

マスクは、ボーリング社のLoop構想は、地下鉄より都市生活にそぐうものになると語った。街中に大きな駅を建設するのはかなり困難な一方で、駐車場スポットサイズの駅をたくさん設けた方が理論的にはより効果的なはずだ、と。さらに、Loopが現存の交通体系を補強し、公共交通ラインをつなぐものになればいい、とも語った。

このLoop構想を前に進めるには、ボーリング社は自前の資金で掘った2.7マイルのトンネルからスタートする。先月、証券取引委員会に書類が提出されたが、そこにはボーリング社が1億1300万ドル弱の資金を調達したと記載されている。

このテストトンネルが完成すれば、マスクは無料乗車を提供すると提案している。ディズニーのテーマパークのように楽しい体験になるようにしたいと語り、「乗客は火炎放射器を持ってきてもいい」などとジョークを飛ばした。

以前マスクが述べたように、ボーリング社は、ポッドで車を運ぶより歩行者を優先したい考えだ。登壇した2人はLoopとハイパーループをはっきり区別したが、一方でマスクはこの2つのシステムがゆくゆくはシームレスに接続し、利用客は都市内部、そして都市間をわずかな渋滞で移動できるようになるとの理論を展開した。

Q&Aのとき、マスクはボーリング社がいつ環境影響調査を行うのかとの質問を受けた。それに対し、そのプロセスにかかる時間を考えると、テストトンネルではなくより大きなスケールのプロジェクトが前に進みそうになったら行うと回答した。

今回のプレゼンテーションからわかったのは、この構想がまだ初期段階にあるということだ。一方で、マスクとデイビスがこのプロジェクトを早急かつむやみに進めるのではなく、行政と協力しながら公共のためになる仕事をしていることも明らかになった。

イーロン・マスクの火炎放射器、2週間後に発送へ。2万台が予約完売「特別にしつらえたバンでお届けします」

eng-logo-2015イーロン・マスクのトンネル/Hyperloop建設会社The Boring Companyが、”世界で最も安全”だとして突如予約受付を開始した火炎放射器が、2週間後には出荷を迎えることがわかりました。どうやら夏のキャンプシーズンには間に合いました。

イーロン・マスクの昨年暮れのツイートを発端として始まった火炎放射器販売プロジェクトは、今年1月29日に予約受け付けを開始し、2月1日にはやすやすと予定数量の2万台を完売。イーロン・マスクが売るのだからとはいえそれは、もしもクラウドファンディングに失敗してばかりの起業家が見たら地団駄を踏みそうなほどの売れかたにも見えました。

一方、予約を入れた人たちは、予約はしたものの納期がなかなかアナウンスされず、心の隅ではいつも気になっていたかもしれません。

イーロン・マスクは5月17日に開催されたThe Boring Companyの事業詳細を説明するイベントでステージに上がった際に質問を受け、この火炎放射器がプロパンガスを含むことから配送上の問題がいくつかあったと説明。しかし、いまから2週間後にはカスタムされたThe Boring Companyのバンに積み込まれて、予約者のもとへ配送を開始するだろうと語っています。

なお、イーロン・マスクは今月始めには「キャンディ製造を始めた」とも発言しており、今後はこの発言をどのように回収するかにも注目したいところ。

ちなみに、この発言のきっかけとなったウォーレン・バフェットの所有する製菓会社See’s Candiesは、チョコレートが主力商品。米国でいうキャンディとは、アメだけでなくチョコやキャラメルなども含みます。

Engadget 日本版からの転載。

イーロン・マスクは彼の個人所有のTesla車を火星の軌道にのせる

これまでで最も強力な再利用可能ロケットであるSpaceXのFalcon Heavyは、その壮大な最初の打ち上げに際して、イーロン・マスク個人の所有するTesla車を搭載する予定だ。

(もともとは11月に予定されていた)打ち上げが2017年内には間に合わないという報告に続けて、SpaceX CEOのイーロン・マスクは、その打ち上げが1月に行われる予定だと述べた。そしてマスクらしいことだが、そこで話は終わらなかった。

マスクは、ロケットに搭載される荷物が、彼自身のTesla Roadster(ミッドナイトチェリー色)であること、そして発射の際にはデビッド・ボウイのSpace Oddityが流されることを発表した(同曲の中にはカウントダウン音声が入っている)。

計画されている目的地は火星である。マスクは、うまくいけば、彼の個人所有の車は、惑星の軌道に「10億年」留まるだろうと語った。

マスクのツイートは、Falcon Heavyの打ち上げが2018年の早期に行われるだろうという報告と共に行われた。

SpaceXの社長であるGwynne Shotwellは、Aviation Weekに対して、同社が2017年末までに、27基のMerlinエンジンを同時に使ったFalcon Heavyロケットの静止点火試験を計画していると語った。それが大きな問題なく進んだならば、実際の打ち上げは数週間以内に行われるだろう。

時間的制約は厳しいものの、イーロン・マスクはイーロン・マスクだ。すれが素晴らしい光景になることは確かだ。

[原文へ]
(翻訳:sako)

Hyperloop Oneの実物大ポッド、で時速310kmで走行――ネバダのテストコースで記録更新

イーロン・マスクのHyperloop Oneは新たな記録を樹立した。同社は去る7月29日にネバダに建設されたテストコースでフルスケールのポッドの走行テストを行った。高速走行は500のコースのほぼ全長を用い、XP-1と呼ばれる実物大ポッドは時速310km/hを達成した。このスピードはドバイその他で現在計画されている路線が予定している営業速度に近づいた。

今回達成されたスピードは過去のHyperloopの記録をすべて上回るもので、同日SpaceXが主催したポッドのデザインのコンペティションに参加した開発者が記録したスピードよりも速い。最高速度は300メートルの加速区間で達成された。この後ポッドは徐々に減速してコースの端で停止した。

Hyperloop Oneが走行したチューブは海抜20万フィート〔60km〕に相当する気圧にまで減圧された。これは営業運転が予定している気圧に近い。ここまで減圧されると空気抵抗はきわめて低くなり高速を出せるようになる。同社によれば、モーター、制御装置、真空ポンプ、磁気浮上装置、その他システムのすべての要素は計画どおり正常に作動したという。

Hyperloop Oneがネバダのテストコースで最初の走行テストに成功したのはわずか数ヶ月前の5月のことだった。このテストは実物大ポッドが実際に走行可能であることを実証するのが目的で、走行距離も今回の500mに対し96mと控えめだった。また加速距離は30m、最高速度も111kmにとどまった。Hyperloop Oneの発表によれば、前回のテストではモーター出力は891馬力だったのに対し、今回はその3.5倍、3151馬力を発生したという。

Hyperloop OneではこのDevLoopテストコースの走行で最高速度400kmを目指している。ただしこの速度を実現するためにはコースをさらに延長する必要がある。現在計画されているアブダビ―ドバイ間のルートでは時速800kmでの営業運転を目指している。これが実現すると160kmの距離を12分で走破することになる。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Elon MuskのBoring Companyが描く未来の交通網

Elon MuskのBoring Company(ボーリング会社)は要するに何を実現したいのだろうか?ここに紹介したものが現時点でもっともはっきりとしたイメージだろう。金曜日の朝に行われたMuskのTEDTalkで披露されたこのビデオには、網のように張り巡らされたトンネル階層を車が移動する未来の地下交通網が描かれている。そこではそり型のシャトルに載せられた車両が時速約130マイル(200キロ)でレールの上を移動している。

Muskのビジョンでは、エレベーターシャフトの入口になっているバーキングスポットのような場所から、車が地下のネットワークへと降りていく様子が描かれている。一旦地下に降りると、車はそりに載せられたままトンネルに合流し、他の車両を乗せたパケットたちの流れにシームレスに入っていく。全てはコンピューターによって最大の効率が出るように制御されている。

このような移動手段により、地上で可能な最高速度を上回ることが可能になり、最適化されたネットワークルーティングが実現される。このルーティングは現在インターネットでみられるブロードバンド通信内でのパケットルーティングとは異なるものになる。

このネットワークの利点はインテリジェントなルーティングだけでなく、3次元の構造を持つところにもある。地上では道路は精々2層もしくは3層までしか重ねることができず、一般的には単に1階層を移動するだけである。地下では多くの層を重ねることが可能で、このことでドライバーの目的地へのルート最適化を行いやすくなる。

イベントのステージ上で、Muskは彼の時間のほんの2~3%をBoring Companyに使っていると語った。このことからもこのビジョンが、実際に人びとが使えるようになるまでには、まだまだ遥かに遠いということがわかる。しかしMuskに素晴らしい点があるとすれば、それは未来に対する素晴らしいビジョンを描いてみせることだ – そして時折そのビジョンを現実のものにしてしまうことである。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

Hyperloop Transportation Technologiesが欧州での建設を検討、手始めはチェコ

MINOLTA DIGITAL CAMERA

Hyperloop Transportation Technologies(HTT)はライバルのHyperloop Oneよりは一步出遅れているかもしれないが、独自の国際展開を進めている。本日(米国時間18日)HTTは、スロバキアとチェコをつなぐHypeloop接続の検討を行う合意文書に署名した。

HTTは既にスロバキアのブラチスラヴァ市との間でhyperloop建築の合意文書を取り交わしているが、この新しい合意はチェコ共和国のブルノとブラチスラヴァの間の80マイルをつなぎ、さらにチェコの首都プラハまでの建設を行うことの意義を検討させるものだ。

HTTはまた、アブダビとの契約を締結したこと、そしてオーストラリアのメルボルンでの建設に向けた予備的な引合いも受けたことを発表した。

HTTシステムは、ブルノ、チェコ共和国でどのように見えるかのレンダリング。

チェコ共和国ブルノにおけるHTTシステム想像図

Hyperloop OneとHTTの両者とも、世界中の政府指導者とのつながりを深めており、それぞれのシステムを建設するための資金を調達し、関係を作り上げている。これらのつながりの多くは、アラブ首長国連邦と東欧を中心に行われているようだ。これは新しく実績のないシステムに対する認可が、表向きは米国政府よりも簡単に下りるからだ。

最近HTTは、その動きを速めるために1億ドルを調達したと発表した。とはいえその大部分は、ボランティア労働や外部企業からのサービス提供といった現物支給なのだが。実際の現金としてHTTが調達したのはおよそ3100万ドルだ。

今やそれぞれのスタートアップに共通する課題は、ひたすら挑戦し、ゴールにいち早く到着することだ。

「技術的な課題はすべて解決したので、今は世界中の政府と協力することが、一番重要です」と、HTTのCEOであるDirk Ahlbornは声明で述べた。「この段階で規制当局と直接作業することはHyperloopにとって重要です。スロバキア、アラブ首長国連邦、その他の国々での建設を始めるに際して、新しいルールとフレームワークが書かれる必要があるのです」。

今回のチェコの合意は、実現可能性の判定と建設の決定にある程度の時間がかかるものの、理論的にはブルノの鉄道システムの混雑を緩和できる筈である。同駅はチェコで最も古い駅であり(世界で最も古い駅の1つでもある)、Wikipediaによれば、毎日5万人以上の乗客が往復している。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

SpaceXの火星植民トランスポーターは野心満載

Dragon Mars LandingArtist's rendition of a Dragon spacecraft landing on the surface of Mars.Credit: SpaceX

イーロン・マスクが、SpaceX社の将来に焦点を当てたプロジェクトの1つは、以前考えられていたものよりも更に野心的であるかもしれないと述べて皆の気を惹いた。SpaceX社のCEOはTwitterで、同社の火星植民トランスポーター(MCT:Mars Colonial Transporter)に新しい名前が必要になることを発表した。なぜならそれは「火星を超えて行ける」からだ。

MCTは火星をはるかに超えて行くことができることが分かった、新しい名前が必要だ…

これを受けて、マスクのフォロワーたちの間で早速命名コンテストが始まった、有力なものの1つには「ハート・オブ・ゴールド号」が挙げられたが、これは銀河ヒッチハイクガイドに出てくる名前で、マスクが「フィクションの中で、好きな宇宙船だ」と言ったことがある。Serenityは落選かも、少なくともMillennium FalconはSpaceX社の既存の再利用可能なロケットシリーズのために使われているが。

マスク自身も自分のアイデアを披露している:

究極宇宙船バージョン2というのはどうかな?それは究極ではないし、バージョン1も存在しないからというのが理由だけど。

MCTはSpaceXの人員輸送用クラフトである、同社の大規模場Rapterロケットエンジンと組み合わせて、最初の人類を火星に送り届けるようにデザインされている。2022年には無人で打ち上げ、そして2024年には人間を搭乗させた最初の飛行が予定されている。マスクの魅力的な発表はタイムリーだった。わたしたちにはMCTについてもっと知らなければならないし、そのミッションについても9月27日の国際宇宙会議(International Astronautical Congress)で明らかにする必要がある、そこではSpaceX社のCEOが特別基調講演を行うことになっている。基調講演のタイトルとして予定されているのは「人類を複惑星種(Multiplanetary Species)にしよう」である。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)