Dockerが早くもシリーズDで$95Mを調達…エンタプライズ需要への対応に備える

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2年前にコンテナ人気に火をつけた張本人であるDockerが今日、シリーズDで9500万ドルを調達したことを発表した。このラウンドをリードしたのはInsight Venture Partners、新たな投資家としてはCoatue、Goldman Sachs、Northern Trust、既存の投資家ではBenchmark、Greylock Partners、Sequoia Capital、Trinity Ventures、それにAME Cloud Venturesが参加した。

Dockerのエンタプライズマーケティング担当VP David Messinaによると、このラウンドには数社の金融企業が参加しているのが、おもしろい。スタートアップへの投資にはあまりない現象だが、今ではあらゆる種類の企業や団体のデベロッパチームがDockerをサポートするようになり、彼らがDockerを重要なプラットホームと見なしていることの表れだ、とMessinaは言う。

たとえばGoldman Sachsのグローバルなテクノロジ部門を率いるDon Duetは、今日の声明文の中でこう言っている: “弊社の技術者たちがDockerのオープンソースプラットホームを発見して使い始めたとき、彼らはたちまち、それがアプリケーションに提供するポータビリティに感銘した。それに開明されて弊社は、Dockerの技術をベースとするアプリケーションの、パッケージングとシッピングと実行のための標準化されたインフラストラクチャへと向かっていった”。

Messinaは、それほど緊急に資金が必要だったわけではない、と強調した。むしろ彼によると、同社はシリーズBの資金の多くがまだ手つかずだ。しかしDockerのチームは、必要に応じていつでもスケールアップできるために、今の勢いに乗って資金を確保しておこう、という決定をした。

現在Dockerは、市場開拓に大きな投資をしているが、それと同時に、プラットホームの能力をネットワーキングやセキュリティ、ストレージツールなどの方面にも拡充するための、技術面への投資も怠ってはいない。その一つの例としてMessinaは、ソフトウェア定義ネットワーキング(SDN)のSocketPlaneの買収を挙げた。Dockerはまた、社員も急速に増やしている。今現在の約120名は、1年前の4倍近い。

Messinaがもうひとつ強調するのは、このラウンドが今後のエンタプライズ対応のためであることだ。彼が挙げた最近のEnterprise Technology Reportの調査は、685社のCIOを対象とし、彼らのDockerへの投資意思は、6年間続けてきたこの調査の全対象アイテム中でも、記録的に高かった。Messinaはまた、今Docker Hubのベータに参加している企業の約50%がFortune 100企業だ、と述べた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebookが同社のHTTPフレームワーク/サーバProxygenをオープンソース化

Facebookが今日(米国時間11/5)、Proxygenをオープンソースにする、と発表した。それはC++で書かれたHTTPライブラリで、同社が使っているHTTPサーバも含まれている。Facebookは最近いろんなものをオープンソースにしてきたが、その多くはモバイルデベロッパ向けだった。しかし今日の発表は、もっと広い範囲のデベロッパが関心を持つだろう。

Facebookによると、Proxygenはそもそも最初から、ApacheやnginxのようなHTTP/プロキシサーバに置き換わるものを志向していない。“彼らのプロジェクトはCで書かれたきわめて自由度の高いHTTPサーバを作って高いパフォーマンスを提供することが目的だが、構成(〜設定)の項目や値が途方に暮れるほど多い”、Facebookの技術者Daniel SommermannとAlan Frindellが今日の発表声明の中でこう書いている。“逆にわれわれは、C++によるパフォーマンスの良いHTTPフレームワークを目標とし、サーバもクライアントのコードも妥当なデフォルトで間に合うよう努めた。そして、既存のアプリケーションへの統合が容易であることも”。

それでも、このフレームワークを使うとイベントドリブンのサーバを手早くセットアップでき、HTTPとSPDYのリクエストを処理できる。特殊な機能を持ったWebサーバを作りたいデベロッパが、そのベースとしてProxygenのコードベースを利用することもあるだろう。

SommermannとFrindellによると、Proxygenは2011年に始まったプロジェクトから進化したもので、当初は自由なカスタマイズのできるリバースプロキシロードバランサだった。

FacebookはそのHTTPスタックとしてApacheやnginx、Varnishなどを使うこともできたはずだが、技術者たちは、独自のフレームワークを作った方がFacebookの既存のインフラストラクチャやツールとのより深い統合が可能だ、と主張した。たとえば、Facebook自身が作ったApache Thriftなどがその典型的な例だ(今ではGitHubで入手できる)。

チームは今、このフレームワークをFacebookの今の大きさに合わせてスケールアップする方法を模索しており、また、ほかのツールでの再利用にも努めている。たとえばHaystackやHHVM、Facebookのロードバランサ、同社のモバイルインフラストラクチャなども、何らかの形でProxygenを利用している。

これまでにProxygenは、“何兆という天文学的な数のHTTP(S)/SPDYリクエストを処理してきた”から、相当現場で鍛えられたコードであることは確かだ。そのソースコードはここにあり、Proxygenの詳細な説明がここにある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


OpenStackのJunoリリースはビッグデータとネットワーク仮想化が目玉

パブリックやプライベートのクラウドを構築するための基盤となるオープンソースのソフトウェアOpenStackは、業界の多様な大物たちが支えている。その同社が今日(米国時間10/16)、最新リリースJunoをローンチした。

いつもと同じくこのリリースにも、このプラットホームのサービスすべてにわたるアップデートが含まれている。それらはクラウドコンピューティングからストレージサービス、アイデンティティ管理、大量のデータを処理するためのツールなど、多岐にわたる。しかし今日のリリースのハイライトは、ビッグデータクラスタの配備を自動化する新たなデータ処理サービスが加わったこと、Object Storageのポリシーコントロールの粒度の柔軟化、そして、主に通信業界のOpenStackユーザから求められていたネットワーク機能の仮想化(network function virtualization, NFV)が初めてサポートされたことだ。

OpenStack FoundationのCOO Mark Collierによると、このリリースにはOpenStackのユーザとオペレータの意向が色濃く反映している。その最強の例が、たぶんNFVだろう。“これは、OpenStackにとってとても大きな機会になるだろう”、とCollierは言う。通信企業や自前のネットワークを持つ大企業などは、NFVによってネットワーキングサービスの多くを高価なプロプライエタリのハードウェアからコモディティの(==安価な日用品的)サーバに移せる。それは巨額なコスト節減をもたらすが、しかしそのためのソフトウェアには非常に高度な安定性と、リアルタイムの高パフォーマンスが要求される。

Collierはこう述べる: “もしもぼくが通信企業で音声通話用のハードウェアシステムをソフトウェアに移行させたいと思ったら、そういう仮想化を行うレイヤで通話が絶対に落ちないことを事前に確証する必要がある”。そこで今回の最初のリリースでは、高パフォーマンスの安定供給に力を入れ、さらに今後のリリースでは機能の多様化を図りたい、という。

OpenStackのJunoリリースには、新しいデータ処理サービスが加わる。これによって、ビッグデータ分析のためのHadoopやSparkクラスタの配備と管理が自動化される。このサービスは単純なApache Hadoopのサービスとしてスタートしたが、その後徐々に、HortonWorksやClouderaのHadoopサービス、それにSparkも加えていった。

また、上でも触れた、OpenStackのObject Storageのポリシーの粒度をより細かく管理できることも、多くのユーザにとって重要だ、とCollierは指摘する。これによってユーザは、複数のバックエンドやリージョンにまたがるデータの保存、複製、そしてアクセスを、より緻密にコントロールできるようになる。たとえばこれからは、一つあれば十分なバックアップを、三箇所に分割して作る必要がなくなる。

さらに今回のアップデートでは、OpenStackの複数のクラウド間で認証を統一できるようになる。たとえばCERNのようなOpenStackユーザは、自分のプライベートクラウドを持ちつつ、それの容量をパブリックなサービスで増強できる。しかもこれからは、研究者が自分の単一の認証データで、それら二つのクラウドにアクセスできるようになる。

このJunoリリースには、新しい機能が合計310、バグフィクスが3200箇所ある。詳しいリリースノートは、ここで見られる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google、アプリを介さずモノのインターネットと会話できる標準規格Physical Webを開発中

Googleのユーザー体験デザイナーのScott Jensonは一度Goolgeを離れた後、昨年11月にChromeチームに戻ってきた。そのJensenがオンデマンド・インタラクションを提供するThe Physical Webという開発中のプロジェクトを紹介している。

その目的はアプリの仲介なしに各種のスマート・デバイスを使ってモノのインターネットと会話できるようにすることだ。ユーザーがスマートフォンを持ってバス停に近づくと、特別のソフトウェアを開かずに、次のバスがいつ来るか知ることができるようになる。

このプロジェクトはスマートデバイスの将来を大きく変えようという大胆な賭けだ。アナリストの予測によれば、インターネットに接続されるデバイスの数は向こう数年で爆発的に増大するという。Ciscoは2020年までに500億個のインターネット接続デバイスが活動するようになると予測している。Intelは来年中に150億個が接続されると考えている。Jensonが指揮するGoogleのプロジェクトはこのインターネット接続デバイスを日常簡単に使えるようにするための試みだ。

「いちいち専用のアプリを立ち上げたり、インストールしたりする必要なしに、スマートフォンやスマートウォッチを持っているだけで、レンタカー、自動販売機、おもちゃ、ポスター、バス停などに近づくだけで会話ができるようになる。すべてワンタップだけでつながる」とJensonはPhysical Webのページで説明する。

しかしPhysical WebはGoogleのOSやデバイスだけの利用を考えておらず、ウェブ規格同様、誰もが自由に使えるオープンな標準を目指している。オープン化はモノのインターネットの実用性を大きく拡大するはずだ。しかしこの種のテクノロジーではAppleはiBeaconとそれに関連するiOS 8のコンテキスト的推薦機能で独自のテクノロジーを構築する方向に進み始めている。

Jensonはプロジェクト・ページでPhysical Webの実用的な応用について、パーキング・メーターや自販機に対してアプリなしで支払いができるなどの例を上げている。またこれを拡大して、現実店舗での販売をモノのインターネットで自動化したり、ZipCarなど共有型レンタル自動車が駐車場の看板と会話できるようにして希望の場所で車の貸出、返却、支払いが自動的に行われるといった応用も提案している。当面Chromeがこのプロジェクトのユーザー・インターフェイスを担うことになるが、Jensenのチームはサイロ型の独自規格とネーティブ・アプリの並立を排除し新しい「スマートデバイスのウェブ標準」を目指すという。

実際に公的な標準化が進むのは(実現するとしても)何年か先のことだろうが、中央集権的なハブやSmartThingsのような専用アプリを必要としないモノのインターネットの標準化というアイディアは魅力的だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Arduinoが1000ドル未満の3Dプリンタを作っている(もちろんオープンソース)

今や低価格の3Dプリンタ作っているチームは数えきれないほどいる。Kickstarterは、いつも彼らで溢れかえっている。でも、彼らはすぐに気がつく。ハードウェアで実際に発売までこぎつけるのは、とっても難しい、と。

ここに、また一人の挑戦者が登場した。DIYの電子製品で広く使われているマイコンボードをものすごく大量に売っているArduinoが、3Dプリントの市場に参入するのだ。

Arduinoは今日(米国時間9/30)、そのことを公式に発表した。イタリアの新進プリンタメーカーSharebotが、同社のパートナーになる。最初のプリンタはMateria 101と呼ばれ、PLAでプリントするように作られている。

正確な価格はまだ発表されていないが、大まかな言い方として、“完成品が1000ドル未満、DIYキットが800ドル未満”、とされている。

それは、世界でいちばん可愛くて美しい3Dプリンタになるのか? ノー。むしろそれは、いちばん初期のMakerBot Cupcakeにやや似ている。色は白だけど。プリントベッドはこれまでで最大か? ノー。下のスペックを見て。でも製品のスケーラビリティ能力(量産量販)が絶妙で、しかも、何でもオープンソースにするArduinoのような企業が3Dプリンタを始めるのは、結果がとても楽しみだ。

基本仕様:

プリント技術: 熱溶解樹脂積層法(Fused Filament Fabrication)
プリント領域: 140 x 100 x 100 mm (5.5 x 3.93 x 3.93 inches)
XとYの理論的分解能位置: 0.06 mm (60 ミクロン)
Zの分解能: 0.0025 mm
押し出し径: 0.35 mm
フィラメント径: 1.75 mm
PLAの最適温度: 200-230°
試験済みでサポートされるフィラメント: PLA
試験済みだがサポートされないフィラメント: Cristal Flex, PLA Thermosense, Thermoplastic Polyuretane(TPU), PET, PLA Sand, PLA Flex
外形寸法: 310 x 330 x 350 mm
重量: 10 kg
消費電力: 65ワット
電子回路基板: Official Arduino Mega 2560; ファームウェア: オープンソースのMarlin Firmware
LCDディスプレイ 20 x 4; エンコーダメニューあり
PLAプリンティング用にプリセット
エクストルーダーブロックにはフィラメント圧調整機能あり

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


クラスタ管理のMesosphereがデータのスケーラビリティのためにグラフデータベースのOrlyAtomicsを買収

分散プロセス(クラスタ群)の生成と、それらが適正に動くためのリソース管理をデベロッパ/アドミンに代わってやってくれるMesosphereが、分散/並列データベース技術(グラフデータベース)のOrlyAtomicsを、どうやら人材獲得を目的として買収した。OrlyAtomicsの4名の技術者は、ただちにMesosphereのチームに加わる。買収の価額などは、公表されていない。

Mesosphereは、オープンソースのMesosプロジェクトに便利なユーザインタフェイスを着せたサービスで、‘データセンターのオペレーティングシステム’を自称している。このMesosユーザインタフェイスの下では、どんなに複雑大規模なデータセンターでもまるで1台のPCのように簡単に効率的に管理できてしまうことが、メインの売りだ。一方OrlyAtomicsは、スケーラビリティのたいへん高いデータベース技術だ。クラスタ管理とデータベースでは一見互いに無関係なようだが、Mesosphereの協同ファウンダでCEOのFlorian Leibertによると、その下部構造は共通点がとても多い。

まずどちらもルーツがオープンソースで、どちらもC++で書かれている。だからOrlyAtomicsの連中はMesosphereに来たその日から一緒に仕事ができる。しかしLeibertによると、そういうレベルの互換性がすべてではない。プログラミングの技能以上に重要なのが、データ構造のスケーラビリティについて理解を共有することだ。

“大規模なシステムを管理し、大規模な分散システムの稼働状態を管理することは、言うは易く行うは難しの典型だ”、と彼は説明する。彼によると、OrlyAtomicsの連中が、これまでのMesosphereに欠けていたユニークな、そして願ってもないスキルセットを持参してくれたのだ。同社はOrlyAtomicsの知財をひとかけらも買い上げていないが、いずれにしてもオープンソースだから必要ならGitHubにアクセスすればよい。OrlyAtomicsのCEOだったPatrick Reillyは、いずれは同社の技術をMesosphereに合体させたい、と言っている。それはもちろん、データベースのプロジェクトを、という意味ではない。

“自分たちが築いてきたグラフストレージというビジョンには、今でも愛着がある。グラフデータベースによって人びとは、新しいクリエイティブなデータの利用方法に目覚めるだろう。これからはデータベースを作るのではなく、そういう機能をAPI的なプリミティブ集合として作っていく。もちろん、OrlyのオープンソースデータベースをMesosの上で動かしてみたいけどね”、とReillyは語る。

いずれにしても、Leibertによれば、Mesosphereにとって関心があるのはOrlyAtomicsの既存のプロダクトではなく、彼ら独特の技術能力と、彼らとの今後の協働関係だ。“プロダクトはそのままうちで利用できるものではない。むしろ貴重なのは、彼らがそれらを作りながら獲得した専門的知識と技術だ。それは巨大な分散システムが陥りがちな無秩序状態をすっきりまとめることに、関係がある”、とLeibertは言う。

どちらもC++で書かれているので、MesosphereとしてはOrlyAtomicsのチームがこれまでの経験から獲得した技能をMesosphereのプロダクトに持ち込んでくれることを期待している。Leibert曰く、“彼らはレイテンシを抑えスループットを上げることに邁進してきた。うちが大規模分散システムで実現したいと思っている価値も、まさにそれだ”。

Reillyのチームにとっても、魅力はそこにあった。彼曰く、“C++はパフォーマンスが高いから好きだ。Mesosに来てから最初のほんの数時間で、OrlyとMesosのコードを合体させると良さそうなところを、何箇所も見つけた。アプリケーションが何千もの専用コンテナに分散していて、それらが数十箇所ものデータセンターにまたがって動き、しかもそれらの全体がまるで一台の大きなコンピュータへと癒合しているようなMesosphereの世界は、すごくエキサイティングだ”。

LeibertがOrlyとの交渉を始めたのは4週間前だが、でも彼らは過去にすでに数週間、Mesosphereで仕事をした経験があるので、決心も早かった。Mesosphereの社員はわずか27名と少ないので、新しい社員を入れるにしても、相性がきわめて重要だった。

Mesosphereの社員たちは、一般の新入社員の場合と同じようにOrlyのチームを評価し、うまくやっていける、と判断した。

一方Reillyのチームは、Mesosphereのプロジェクトの大きさに感動し、また自分たちがそこに持ち込める貢献にもわくわくしていた。Reillyは曰く、“技術者はチャレンジすることが好きだが、大きな、そして複数のデータセンターの集まりを一台のコンピュータと見立てて、それのオペレーティングシステムを作るなんて、とてつもなくすごい。Mesosphereのコードベースを調べ始めてすぐに、そこがまるで自分の家のように感じた”。

Mesosphereから見ると、Orlyには同社の長期的な目標の実現に欠かせないものがある。“データセンターのためのオペレーティングシステム、という抽象を構築していくためには、データのコーディネーションが何よりも重要だ。彼らは、まさにそれをやっていたのだ”、とLeibertは語る。

オープンソースプロジェクトOrlyAtomicsは、ソーシャルディスカバリサイトTaggedで生まれた。後者は今、全世界に3億3000万のユーザがいるといわれる。Taggedはある時点で、データの大規模なスケーラビリティを実現するためのソリューションが必要になり、そこからOrlyAtomicsが生まれた。それはまさに、今のMesosphereが必要としているものだった。

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DockerがシリーズCで$40Mを調達、実際に使うのは来年再来年という絶好調の余裕

今ホットなDockerは、どれぐらいホットなのか? あまりにもホットなので、VCたちは同社が今使う予定のない資金までも、あげちゃうのだ。今日(米国時間9/16)同社が発表した4000万ドルの資金調達も、CEOのBen Golubによると、その金に手を付けるのは早くて来年の終わりごろだそうだ。

というか、細身で経営効率の高い同社は、今年の初めに獲得した1500万ドルがまだ十分に残っているのだが、でも、くれるというものは断らない主義なのだ。Golubによると、今回の投資によって市場は、同社の安定性と今後の長寿を理解したはずだ、という。

“これを使うのは来年遅くか、または再来年の初めだ。でも手元にこれだけあれば、今年中に思い切ってスケールできるし、市場には、あせって会社を売るつもりはない、という信号を伝えることができる”、と彼は説明する。資金の使い方にも、長期的な視点で臨む、ということだ。

彼曰く、“本物の起業家なら誰でも、最後まで自分でやるつもりで会社を作る。うちは、コミュニティからも投資家からも社員からもしっかりした支持と支援があるから、完全に自力で会社を育てることができる。投資家たちも早めの出口を望んでいない。彼らも、会社の中身をしっかり作っていくことに関心がある”。

同社が資金の賢い使い方をできる理由の一つは、経営がリーン(lean, 痩身, 無駄がなく引き締まっている)であることだ。営業やマーケティングはパートナーたちがやってくれるし、しかも彼らのやることを完全に信頼できる。開発の主力もコミュニティにあり、今やコントリビュータの数が600名に達している。さらに同社のアプリケーションストアにはDockerをラップするアプリケーションが35000本あり、それらの豊富なツールがコアプロダクトを一層充実させている。

こういうコミュニティ依存のやり方ではコントロールが行き届かないことをGolubも認めるが、それでも短所よりは長所の方がずっと大きい。結果について議論するのは、まだ早すぎる。“ある意味でうちは、パートナー営業とコミュニティ開発というモデルの正しい形とその成功事例を作り、そのやり方のリーダーにならなければならない。オープンソースの世界では何もかも自分でコントロールすることはありえないが、でもコミュニティの多様性と圧倒的なパワーが持つメリットは、完全なコントロールができないという小さなデメリットを大きく上回っている”、と彼は説明する。

Docker本体に関しては同社が全コードの80%を作り、筆頭メンテナの役を担っているが、コミュニティがそれに高い付加価値をつけ、また同社の中核的なデベロッパに対して現用チェックを提供している。多用な利用現場からのチェックだから、同社のデベロッパたちがひとりよがりになることが、防がれているのだ。

Golumによると、会社の方向性に対してコミュニティから異議が出たときは、間違っているのはだいたい会社の方だ、という。彼によると、コミュニティは企業内ではやれないようなエッジケース(未実証最先端ケース)にも取り組める。同社の技術者は最小限の数しか確保していないから、社内ではできないほどの大きなスケールでのテストも、コミュニティならできる。

今回のシリーズCのラウンドはSequoia Capitalがリードし、これにBenchmark Capital、Greylock Partners、Insight Ventures、Trinity Ventures、Yahoo!のファウンダJerry Yangらが参加した。Dockerの累積調達額は6500万ドルに達する。Dockerの前身であるdotCloudは、8月にcloudControlに売った

Dockerが作っているのは、現代的なアプリケーションのためのデリバリコンテナだ。Golubが指摘したように、5年前までは、一枚岩的で一台のサーバの上で動くアプリケーションが長年支配していた。しかし今では、それが完全に変わっている。アプリケーションは複数の部位で構成され、それらが多くのサーバに分散し、サーバの所在も頻繁に変化する。Dockerのコンテナは、そういうアプリケーションの各部位を“ドックに収容する”という意味であり、デベロッパたちがそのような分散アプリケーションを作って展開するのに適したツールだ。

Golubによると、それはデベロッパがデベロッパのために作ったプロダクトであり、そのモデルがこれまでのところ効果を発揮している。ユーザとデベロッパがそれぞれ別集団でないこのやり方は、Dockerの現状を見ても、確かに有効なようだ。

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オープンソースソフトのバグフィクスにインセンティブを払うサービスシステムGit Bounty

オープンソースのソフトウェアを使っていてバグらしきものに遭遇したけど、自分にはバグフィクスのためにコードを精査しているひまもないし、原作者も今ほかのことで忙しいらしい、というときは、コミュニティの力に頼るしかない。そういうときのために、モントリオールからDisrupt SFのハッカソンに参加したフランス系カナダ人のチーム(一人は本物のフランス人)が考えたGit Bountyは、バグフィクスをやってくれるプログラマにインセンティブを提供する。直してもらいたいバグとお礼の金額を指定して、Git Bountyにポストするのだ。

Git Bountyを作ったAngus MacIsaacとAdam Burvill、Anton Shevchenko、Nathan Boiron、Martin Coulombeの5人は、モントリオールのデベロッパOsedeaで仕事をしている。これのアイデアを思いついたのは、先週の金曜日(米国時間9/5)だった。

“ハッカソンには、なにか有意義で便利なもので参加したかった”、OsedeaのCoulombeは言う。実は最近同社は、いつも使っているオープンソースのフレームワークのバグフィクスを、2000ドル払って第三者にやってもらったことがある。同社のチーム自身がバグフィクスをやると、人と時間を取られすぎて、本来の仕事が遅れてしまうからだ。

Git Bountyの正式ローンチはDisrupt SFの終了後を予定している。Coulombeが言うには、“こういうサービスの需要は十分あると思う。オープンソースのコミュニティがどれだけ利用してくれるか、結果を見たいね”。今後は、バグフィクスだけでなく、新しい機能、‘こういう機能がほしいけどなぁ、自分にはやってるひまがない’機能の実装も、インセンティブの対象にしたい、と。

チームはこのハッカソンに参加したことを機会に、新しいPHPフレームワークLaravelを勉強した。Git Bountyの通知機能にはTwilioのAPIを、支払決済にはStripeを使っている。

長期的には、インセンティブの額から同社がマージンを取ることを考えている。‘取る’というより、Git Bountyという活動への自発的な‘寄付’がいいかな、とCoulombeは言っているが。

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