日本初、アーティストの発電所から再エネ電気が買える「アーティスト電力」をみんな電力が始動

日本初、アーティストの発電所から再エネ電気が買える「アーティスト電力」をみんな電気が始動

みんな電力は4月15日、アーティストが再生可能エネルギーによる発電に参加でき、さらにアーティストの発電所で作った電気を購入できる「アーティスト電力」を開始した。ブロックチェーンを活用した同社独自のP2P電力トラッキングシステム「ENECTION2.0」を用いており、アーティストの発電所を指定して電気を購入できる取り組みは日本初(同社調べ)。

第1弾は、「アーティスト電力」発案者であり、同社の押しかけ課長・作家でクリエイターのいとうせいこう氏の太陽光発電所(いとうせいこう発電所)の電気契約を先着100名限定で受け付ける。

「アーティスト電力」の3つの特徴

  • アーティストの発電所で作った電気をみんなで購入できる
  • 電気を利用することで、コロナ禍のアーティストや音楽関係者を応援できる
  • 契約者限定ライブの開催

またみんな電力は、第1弾のいとうせいこう発電所を皮切りに、第2弾以降も順次検討しているという。これまで電気を消費する側だったアーティストが電気の生産者となる「アーティスト電力」を通じて、アーティストとファンが一緒に楽しみながら脱炭素アクションができる仕組みを広げるとともに、電気を自由に選ぶことができる楽しさを伝えるとしている。

いとうせいこう氏は、「いまは中央集権ではなく自律分散の時代であり、太陽光パネルを分割してみんなで持ち合うことでエネルギーも分散化できる」というアイデアを提案。「電気を面白く選ぶ体験を広めたい」と考える同社が共感し、ENECTION2.0を活用しこれからの電気のカタチを提案するプロジェクトを始動させたという。

同氏は、「電気料金の中にエンターテイメント代が入っていて、アーティストの支援にもつながる。そうやって、みんなで楽しく再生可能エネルギーの社会に変えていっちゃおうと。そしたらバタバタバタと僕らは新しい社会をつくれてしまっているかもしれないと思います」とコメントしている。

アーティストの発電所で作った電気をみんなで購入

アーティスト電力では、ENECTION2.0を通じ、発電量と需要量を30分ごとにマッチングを行う。これにより、アーティストの発電所で作った再エネ電力を購入できるという。

ブロックチェーンを活用してアーティストが作った電気をみんなで分け合うことになり、契約者専用のマイページで電力使用量におけるマッチング率を確認できる。第1弾として、いとうせいこう氏の太陽光発電所(福島県二本松市)の電力を先着100名限定で購入できる。

福島県にあるいとうせいこう発電所

福島県にあるいとうせいこう発電所

マイページでは、マッチングした電力量を確認できる

マイページでは、マッチングした電力量を確認できる

またこの電力供給においては、いとうせいこう発電所の総発電量の一部が提供され、残りの電力は太陽光、風力などの再エネ・FIT電気などを組み合わせて再エネ100%の電気を供給する。インバランス(電力の需要量・供給量の差分)発生時など再エネ比率が100%にならない場合があるものの、その際も証書によりCO2排出係数ゼロは維持される。

なおFIT電気とは、太陽光、風力などの再エネ電源を用いて発電され、固定価格買取制度によって電気事業者に買い取られた電気を指す。同社の調達費用の一部は、再生可能エネルギー発電促進賦課金によりまかなわれている。

電気を購入することで、コロナ禍のアーティストや音楽関係者を応援

アーティスト電力では、毎月の電気料金の一部をアーティストや音楽関係者に届けることができ、好きなアーティストを簡単かつ継続的に応援可能。1円単位で電気料金の支払先がわかる「超明細」にて、毎月の電気料金のうち、アーティストや音楽関係者にお届けする金額も確認できる。

日本初、アーティストの発電所から再エネ電気が買える「アーティスト電力」をみんな電気が始動

「アーティスト電力」契約者の「超明細」画面

「アーティスト電力」契約者の「超明細」画面

契約者限定ライブの開催

アーティスト電力に申し込んだ方のみを対象に、アーティストによるオンラインライブを開催。アーカイブ視聴もでき、電力をきっかけとしたアーティストとファンの接点を生み出すとしている。

関連記事
アップルが世界中の製造パートナー110社以上が製品製造に利用する電力を100%再生可能エネルギーに変更と発表
電気の生産者や空気の「顔の見える化」で社会をアップデートする「みんな電力」が15億円を調達
マイクロソフトが2030年までに事業展開地域で利用する以上の水を生態系に戻すことを宣言
グーグルが2030年までにカーボンフリーエネルギーのみを利用する目標を設定
アップルは製品とサプライチェーンを含む事業全体を2030年までにカーボンニュートラルにすると発表
みんな電力がブロックチェーン電力取引とトレーサビリティで特許取得、現在はStellarを採用
Amazon、2030年までに出荷の50%をカーボンニュートラルにすると宣言
野菜のように、顔の見える生産者から電気を買う「みんな電力」が11.8億円調達

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:再生可能エネルギー(用語)ブロックチェーン(用語)みんな電力(企業)日本(国・地域)

自然の中にあるセカンドホームに好きな時に定額で泊まれる「SANU 2nd Home」、SANUが先行申込みの受付開始

環境配慮型の宿泊施設「SANU CABIN」、人と自然の共生を

セカンドホーム・サブスクリプションサービス「SANU 2nd Home(サヌ セカンドホーム)」を運営するSANUは4月15日、初期会員の先行申込みの受け付けを始めた。会員になれば、環境配慮型の宿泊施設「SANU CABIN」に定額で好きな時に宿泊できるようになる。宿泊予約は2021年夏頃を予定し、宿泊開始は2021年秋からとなる。

自然の中で生活を営むもう1つの家「SANU 2nd Home」

候補地の1つ、白樺湖(長野)の雄大な自然

SANUは「人と自然が共生する社会の実現に寄与する」をミッションに掲げるライフスタイルブランド。自然の中に繰り返し通うことができるライフスタイルを提案していく。SANUのFounder / Brand Directorの本間貴裕氏は「SANU 2nd Homeは都市で溜まったストレスを発散して帰るといった自然を消費するスタイルではありません。海、山、川など好きな自然の中に、無理をせず定期的に足を運べるサービスです」と語る。

SANU 2nd Homeは、都市に生活拠点を持ちながらも「自然の中で生活を営むためのもう1つの家」を提供する。会員登録制で月額税込5万5000円となり、初期費用は0円とした。会員が1カ月に数泊、定期的にサービスを使う想定で、生活の大部分を過ごすサブスク型の生活拠点サービスとは異なるという。

SANUは2021年内に、5拠点でSANUキャビン計40棟を同時オープンする予定だ。2022年夏頃までには、さらに5拠点を追加して計10拠点で90棟を建てる計画で進めている。土地取得などを含めた総開発費用は約20億円に上るという。すでに着工している拠点もあるというが、その地域は公表していない。

SANU CABINを拠点に何棟か建てていく

拠点候補地は東京都心からクルマで片道約1時間半~3時間の距離で、自然が豊かな場所を選んだ。具体的には白樺湖(長野)、みなかみ(群馬)、北軽井沢(群馬)、山中湖(山梨)、河口湖(山梨)、八ヶ岳南麓(山梨)、白馬(長野)、熱海(静岡)、那須(栃木)、館山(千葉)、いすみ(千葉)、一宮(千葉)、鴨川(千葉)などとなる。1拠点に少なくて2、3棟、多ければ15棟ほどのSANU CAVINを建てていく。

また、SANUは会員専用のウェブアプリも開発した。事前に発行されたパスワードをSANU CABINのドアキーに入力するだけで、スマートチェックインができる。チェックアウトもアプリ上で完結する。この他、拠点にいくつかあるSANU CABINを、海側や山側といったように立地を選んで予約することも可能だ。自然を中心に据えたサービスだが、テクノロジーも駆使してシームレスな滞在体験を提供していく。

サステナブルな「SANU CABIN」

3.5メートルの高窓から借景を楽しむ

「SANU CABINにはこだわりました」と本間氏は自信を見せる。SANU CABINはサステナブルな建築に強みを持つ建築設計・施工のパートナー企業のADXとともに、一から独自開発した。

SANU CABINは天井高が4メートルで、室内は60平方メートルある。さらに3.5メートルの高窓から大自然の借景を楽しめるようにした。1人の会員がいれば最大4人まで、友人や家族と一緒に泊まることができる。生活に必要な冷蔵庫やキッチン、調理器具、洗濯機なども用意している。

SANU CABINの平面図

SANU CABINは国産木材やリサイクルコンクリートを使用するなど、サステナブルな建築だ。本間氏は「僕らは自然の中にお邪魔する身です。候補地ではどんな木々が植生しているのかなど、一帯をドローンで調べています。そしてどこに建物を配置したら最小限の伐採で済むのかなどを考え、自然へのダメージを最小化するように取り組んでいます」と説明する。

SANU CABINは基礎杭工法により高床式の構造になっている。地中に打ち込んだ柱6本で、地面から建物を浮かせている。これにより、直接地面にコンクリートを流すベタ基礎と比べ、コンクリート使用量を80%近く削減している。

さらに、SANU CABINの建築パーツは、プラモデルのように1つ1つ外れるようになっている。パーツをデータ化して管理することで、SANU CABINは解体して組み直すことができる。

土地の使用期限による移動や稼働率の低下などさまざまな理由で、その場所で使わなくなったとしても、SANU CABINを取り壊して廃材にはしない。新たな場所で再利用を可能にするなど、環境への配慮は特に力を入れている。

SANUのさらなる展開

SANUのメンバー、左から6番目がFounder / Brand Directorの本間貴裕氏

SANUは2019年11月に設立した。本間氏は立ち上げ当初、ホテル事業を進める考えだったが、新型コロナの影響などからホテル投資は難しいと考え、サブスク型のセカンドホームという事業にピボットした。

本間氏は「コロナ禍で人が『自然に触れたい』と考える傾向が顕著になったかもしれません。しかし、コロナ禍をきっかけにSANU 2nd Homeを作ったわけではありません。SANUが元々構想していた『Live with nature』という考えが後押しされたかたちです」と語った。

SANUがセカンドホーム事業を発表したのは2020年7月、翌月の8月には累計1億円の資金調達を実施している。そして2021年4月までに約20億円を不動産投資用に調達し、サービスの骨子を固めて初期会員の募集を始めるなど、スピード感と規模感をもって事業を展開している。

本間氏は今後について「将来的にはホテルや住居に関するサービス展開も含めて、人と自然が共生する社会の実現を目指します。その上で、環境問題を声高に叫ぶのではなく、むしろ『自然とともに生きることは豊かで楽しくていいよね』と、前向きな姿勢で事業を拡大していきたいと考えています」と語った。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Sanuサブスクリプション日本ホテルセカンドハウス

画像クレジット:Sanu

宅配物受取サービス「ecbo pickup」がクリーニング「ルビー」と業務提携、15店舗で導入開始

宅配物受取サービス「ecbo pickup」がクリーニング「ルビー」と業務提携、15店舗で導入開始

荷物一時預かりサービス「ecbo cloak」(エクボクローク。Android版iOS版)、宅配物受け取りサービス「ecbo pickup」(エクボピックアップ)を運営するecboは4月9日、「クリーニング『ルビー』」を運営するルビーとの業務提携を発表した。これにより、ルビーは15店舗においてecbo pickupを導入し、ユーザーは宅配物も受け取れることになる。

関西大手スーパーマーケットに約200店舗を出店している

クリーニングルビーは関西最大級のインショップ型クリーニング店で、関西大手スーパーマーケットに約200店舗を出店。「お客様と、パートナーと、地域社会と、共に生きる」と考え、「感動を届けるサービスカンパニー」を企業理念に、「街のコンシェルジュ」とし て、いつでも気軽に立ち寄っていただけるようなお店を目指して運営しているという。

ecboは、荷物一時預かりサービス「ecbo cloak」を運営し、全国47都道府県1000以上の店舗・施設の遊休スペースを活用した、事前予約による荷物預かりを実施してきた。ecbo pickupは、そのecboが提案する日本初の宅配物受け取りプラットフォームにあたる。街中の50業種以上のお店において宅配物を一時保管することで、ユーザーはECなどで購入した宅配物を好きな時間に確実に取りに行くことができる。

同サービスは、ユーザーにとって便利なサービスであるだけでなく、導入店舗には「店舗にあるスペースを有効活用できる」「宅配ロッカーを設置することなくコストゼロで導入できる」、また「新たな集客につながる」というメリットがあるとしている。

関連記事
カラオケルーム「歌広場」でQRでの宅配便受け取りが可能に、荷物預かりサービスを手掛けるecboと提携
手荷物預かりのecboが地域の輪を広げ再配達なくす新構想「ecbo pickup」を発表

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:ecbo(企業)ecbo cloak(製品・サービス)ecbo pickup(製品・サービス)日本(国・地域)

Uberがコロナ収束後のドライバー不足対策で総額約274億円の報奨金を用意

新型コロナウイルス感染症が拡大し始めた頃、配車サービスのドライバーは「不可欠な労働者」とされていたにもかかわらず、2020年4月にUber(ウーバー)のビジネスは80%も落ち込んだ。運転手たちは、1日数回の乗車で得られるわずかな収入のために、新型コロナウイルスに感染したり、それを広めたりするリスクを負いたくないと考えた。米連邦政府のCARES法(コロナウイルス支援・救済・経済保証法)が失業支援をギグワーカーにも拡大したため、多くのUber運転手はクルマのキーを置くことにしたのだ。

米国では人口の4分の1以上がすでにワクチンを接種しているため、Uberは現在、ドライバーの数よりも送迎を希望する乗客の数の方が多いという、困った状況におかれている。そこでこの配車サービス大手企業は、ドライバーに再び仕事があることを知ってもらうだけでなく、インセンティブ(報奨金)を用意して契約に誘い込みたいと考えている。

Uberは米国時間4月7日、パンデミックが収束に向かいつつある中、ドライバーの復帰を歓迎し、新しいドライバーを募集するために、総額2億5000万ドル(約274億円)のドライバー刺激策を開始すると発表した。同社の広報担当者によると、復帰したドライバーと新たに就業したドライバーの両方とも、今後数カ月にわたってボーナスを受け取ることができるという。

「2020年には、多くのドライバーが、自分の就労時間に見合うだけの乗客が期待できないため、運転業務を止めてしまいました」と、この刺激策を発表したブログ記事には書かれている。「2021年には、送迎を希望する乗客数が、移動を提供できるドライバーの数を上回っています。ドライバーになるには絶好の時期です」。

乗客の需要が高く、ドライバーの供給が少ないことで、フィラデルフィア、オースティン、シカゴ、マイアミ、フェニックスなどの都市における現在のドライバーの時給は、2020年3月と比べると25%から75%も高く、中央値は26.66ドル(約2930円)となっている。Uberは「これは一時的な状況である可能性が高い」として、ドライバーに今の高収入を利用して欲しいと考えている。つまり、国全体が新型コロナウイルスから回復し、より多くのギグワーカーがハンドルを握るようになれば、収益は現在のレベルよりも低下する可能性が高いということだ。

この現在の高い時給に、さらにドライバー刺激策のボーナスが上乗せされると、同社の広報担当者はTechCrunchに語った。このインセンティブの仕組みは、各人の活動状況と場所に基づいて決定される。例えば、オースティンでは、現在のドライバーが115回の乗客移送を完了すると、1100ドル(約12万円)の出来高ボーナスが保証される。フェニックスでは、200回の運転業務で1775ドル(約19万5000円)の追加報酬を得ることができる。

「これらの都市だけでなく、我々が米国で対象としている他のすべての市場で、より多くの保証金を提供する予定です。金額や送迎回数は、地域的な要因によって若干変わる可能性があります」と、広報担当者は述べている。

この資金は、最低賃金の保証や、新規ドライバーの導入にも充てられる予定で、2億5000万ドル全額がUberの金庫から直接支払われる。この発表を受け、同社の株価は水曜日の取引中に3.6%も下落した。

Uberはまた、米国の薬局チェーンであるWalgreens(ウォルグリーン)と提携し、アプリ内の予約ポータルで、ドライバーがワクチンを接種するプロセスを能率化するための支援も行っている。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Uber配車サービス新型コロナウイルスギグワーカー

画像クレジット:Uber

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Knotelの共同創業者が会社を去り投資家のNewmarkを「ストーカーだ」と批判

2021年の初め、TechCrunchはフレキシブルワークスペースを運営するKnotel終焉を取り上げた。

一時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったこのスタートアップは破産申請を行い、その資産が投資家と商業不動産仲介のNewmark7000万ドル(約77億円)買収されると発表したばかりだった。

わずか1年前には16億ドル(約1800億円)と評価されていたKnotelにとって、それは厳しいものだった。

5億6000万ドル(約620億円)の資金を調達したKnotelにとって、終わりの始まりを正確に特定するのは困難だった。新型コロナウイルスのパンデミックが同社の命取りになったという人もいれば、パンデミックが発生する前からこのプロップテックはすでに訴訟や立ち退きといった問題に直面していると指摘する人もいる。

先週末、Knotelの共同創業者であるAmol Sarva(アモル・サルバ)氏は状況をさらに明らかにした。そして、2018年のシリーズBで7000万ドル(約77億円)を調達したNewmarkを公に批判した。

サルバ氏は不特定の人々に送ったメールの中で、Knotelが「2020年初めには4億ドル(約440億円)近いランレートを達成し、粗利益を計上し、顧客の継続性をサポートし、家主のパートナーと友好的に協力するためにできる限りのことを行いながら、収益の3分の2以上をそのまま維持していました」と指摘している。

さらにサルバ氏はNewmarkを、破産法を利用して約1億ドル(約110億円)の新資本でKnotelを支配下に置いた 「ストーカー」 と表現した。その過程で重要な関係を損ない「多くの顧客やパートナーに損害を与えた」 と述べている。

「私はこのような方向に進んでしまったことにとても失望しています。その過程で、私は新しいオーナーが進める方法の一部になることを選ばないことを明確にしました」とサルバ氏は続けた。

サルバ氏はさらに、Newmarkが 「会社を前進させるためにAdam Neuman(アダム・ノイマン)時代のWeWorkの兄弟グループを雇った」 と批判した。

TechCrunchはNewmarkにコメントを求めたが、記事執筆時点では回答は得られていない。サルバ氏は事態がどうなったかについて苦々しく思っているだろうが、この結論に至った正確な時期を知ることは興味深い。

なおサルバ氏はKnotelが最初に開発されたラボに戻り、Knoteの共同創業者兼CEOとして働くと述べている。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Knotel不動産シェアオフィス

画像クレジット:Knotel / Getty Images

原文へ

(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:塚本直樹 / Twitter

「ダークストア」から食料雑貨を20分以下で届ける英ZappがLightspeedとAtomicoに支援されシリーズA調達

現在ロンドンを中心に、食料雑貨をオンデマンドで注文できる宅配サービス専用店舗(ダークストア)を展開している数多くのスタートアップの1つであるZapp(ザップ)が、大手VCから新たな資金調達を行ったことがTechCrunchの取材で明らかになった。

複数の情報筋によると、シリコンバレーのLightspeedとヨーロッパのAtomico(Skypeの創業者Niklas Zennström〔ニクラス・ゼンストローム〕氏が立ち上げたVC)が、Zappの未発表のシリーズAに投資したという。同じ情報源から、Zappが初期のシードラウンドを含めて総額約1億ドル(約110億7000万円)を調達したことも確認されている。

今回のラウンドにはLightspeedとAtomicoに加え、468 Capital、Burda、さらにはMPGIのCEOであるMato Peric(マト・ペリク)氏、元Amazon UKのCEOであるChristopher North(クリストファー・ノース)氏、WestwingのCEOであるStefan Smalla(ステファン・スマラ)氏などの著名なエンジェルが出資している。ある情報筋によると、ZappのシリーズAは、Atomicoのコンシューマー向け事業パートナーであるSasha Astafyeva(サーシャ・アスタフィエバ)氏が、同VCに加わってから初めて担当した案件だという。

TechCrunchがシリーズAと投資家のリストについて取材を求めたところ、Zappは声明でこう述べた。「当社はお客様に喜んでいただくことに絶え間なく注力しており、通常、資本構造についてはコメントしません。2021年、ロンドンをはじめとする何百万人ものお客様にZappをお届けできることをうれしく思います」。

2020年夏に設立されたZappの創設者は、Jumia(ジュミア)の創設チームの一員としてオンデマンドサービス事業をIPOまで導いたJoe Falter(ジョー・ファルター)氏と、Amazon(アマゾン)のシアトル本社でプロダクトリーダーを務めた後、GoButlerを創設し、Rocket Internetでいくつかのベンチャー企業のスケーリングを手がけたNavid Hadzaad(ナヴィド・ハドザード)氏だ。リーダーシップチームには他にも、Deliveroo、Just Eat、Domino’s(ドミノ・ピザ)、Tescoなどの出身者が名を連ねている。

Zappは独自の小規模なフルフィルメントセンターを設置することで、垂直型の「ダークストア」モデルを展開している。ロンドンには、すでにいくつかの拠点がある。Kensington、Chelsea、Fulham、Notting Hill、Hammersmith、Shepherd’s Bush、Shoreditch、Islington, Angelなどだ。

Zappは、Deliverooのようなギグエコノミーモデルを採用せず、配達要員を直接雇用している。また、持続可能性を重視しており、すべて電気車両を使用している。

オンラインの情報や関係者の話を総合すると、Zappは生鮮食品や食料品よりも米国のgoPuffのような利便性を重視しており、従来の食料品店を駆逐するというよりも、衝動的な購入をターゲットにしているようだ。これは他の多くのダークストアとは対照的だが、複数のプレイヤーが提供する商品は明らかにクロスオーバーしているのも確かだ。

ロンドンではZappの他に、Getir(ゲッティアー)、Gorillas(ゴリラズ)、Jiffy(ジフィー)、Dija(ディジャ)、Weezy(ウィージー)、などのダークストア事業者がしのぎを削っている。また、陣取りが加速する中で、場合によっては大幅なディスカウントを行うなど、調達した多額の資金を投じて展開しているところもある。

関連記事
ロンドンのJiffyが3.9億円のシード投資を調達しダークストア競争に参入
10分で食料品を配達するDijaがロンドンでダークストアを正式立ち上げ

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Zappロンドン資金調達フードデリバリーダークストア

画像クレジット:Social media

原文へ

(文:Steve O’Hear、翻訳:Aya Nakazato)

地元スーパーと連携するヨーロッパの買い物代行サービスEverliがシリーズCで約110億円調達

イタリアでスタートし、現在はポーランド、チェコ、フランスでも展開しているヨーロッパのオンライン食料雑貨マーケットプレイス「Everli」が、シリーズCで1億ドル(約110億3000万円)の資金を調達した。

今回のラウンドはVerlinvestがリードし、新たな投資家としてLuxor、DN Capital、C4 Ventures、Convivialité Venturesが参加している。それに加え、FITEC(Fondo Italiano d’Investimentoの一部)、360 Capital、Innogest、DIPもフォローオンを行った。

Everli(旧Supermercato24)は、今回の資本注入により成長を加速させ、国際的な事業展開をさらに拡大するとしている。

2014年に設立されたEverliは、顧客が地元のスーパーマーケットに注文して配達してもらうサービスだ。ギグエコノミースタイルのパーソナルショッパーが店舗に出向き、注文された商品を「ピッキング」した後、即日、または追加料金を支払えば1時間以内に配達する。同社は消費者に配達料金を請求する一方で、提携する加盟店に請求する手数料や、特に広告によって収益を得ている。

同社はヨーロッパの大手グローサリーブランドの配送パートナーとなっており、事業を展開する70都市で30万点以上の商品を提供している。他のネットスーパーと同様、Everliはパンデミックや各国のロックダウンによって引き起こされたeコマースの増加と宅配サービスへの依存から利益を得た。

EverliのCEOであるFederico Sargenti(フェデリコ・サルゲンティ)氏は次のように述べている。「Everliは、特にグローサリー分野に注力しています。小さな買い物かごに入るような、基本的な必需品だけをピックアップするのではなく、Everliはお客様が必要とするものをなんでも、1週間分のお買い物に至るまで、当日配達もしくは1時間の配達時間を選択していただきお届けすることに重点を置いています」。

Everliのさらなる差別化は、小売店との強力な関係と、既存のインフラの活用にあるという。「高価な自社の中央倉庫を中心とした半径内に縛られるのではなく、より広い範囲で事業を展開し、小・中規模の人口密度の高い地域に進出することで、多くのお客様に同日中に食料品を受け取る最初の機会を提供でき、しかも持続可能なユニットエコノミクスを維持することができます」。

サルゲンティ氏は、ダークストアやテイクアウトの二次的サービスとしてグローサリーを提供するヨーロッパの他の多くの宅配業者よりも、EverliはInstacart(インスタカート)に似ていると述べている。「当社がヨーロッパのグローサリー分野をリードし、Lidl(リドル)、Kaufland(カウフラント)、Carrefour(カルフール)などのブランドを確保している理由はここにあります」と同氏は付け加えた。

2020年、Everliの売上は約4倍の1億3000万ドル(約143億4000万円)に達した。その成長はイタリア以外の地域でますます顕著になっており、現在では海外での展開が注文の20%以上を占めている。

「この困難な時期に多くの人々を支援する役割を果たせたことを誇りに思いますが、この業界が再び同じになることはないので、当社の仕事はまだ始まったばかりです」とサルゲンティ氏は声明で述べた。「オンラインデリバリーへの移行は後戻りできず、あらゆる面で期待は高まるばかりです。私たちは、都市部でなくても好きな小売店や商品に広くアクセスできるサービスで、消費者に比類のない価値を提供するモデルを構築しました。また、小売店にとっては、オンラインショッピングでの競合が可能になり、まったく新しい消費者層にリーチできるようになりました」。

VerlinvestのエグゼクティブディレクターであるSimone Sallustio(シモーネ・サルスティオ)氏は次のように述べている。「Everliは、その卓越した技術とデータ、そしてパートナーのグローサリー小売店での経験を組み合わせ、消費者には最高の体験を、小売店のパートナーには価値を、そしてブランドにはデジタル・アクティベーションを提供することで、欧州のeグローサリー市場のリーダーとしての地位を確立する完璧なポジションにあります」。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Everli資金調達

画像クレジット:Everli

原文へ

(文:Steve O’Hear、翻訳:TechCrunch Japan)

ブラジルのフードデリバリーiFoodが2025年までにカーボンニュートラルを目指す取り組みを発表

ブラジルを拠点とするラテンアメリカのフードデリバリー企業「iFood」は、消費者が企業に持続可能性への注力を求める中、同社の環境への影響を軽減するための一連の取り組みを発表した。

このプログラムは主に2つの要素から成り立っている。1つはプラスチック汚染と廃棄物に焦点を当て、もう1つは2025年までに事業活動においてカーボンニュートラルになることを目指すものだ。

廃棄物削減の取り組みの中でも最も意欲的で資金を要するのは、サンパウロにおける半自動リサイクル施設の開発だろう。

「当社は、ブラジルにおけるサプライチェーン全体をプラスチックフリー包装に変革したいと考えています。生産からマーケティング、物流まで、国全体のサプライチェーンをコントロールすることで、すでに存在しているものの生産量や需要が規模に達していない産業に対して、より競争力のある価格で包装を提供することができます」と、iFoodのCPO(チーフ・ピープル・オフィサー)&チーフ・サステナビリティ・オフィサーであるGustavo Vitti(グスタボ・ヴィッティ)氏は述べている。

同社は他にも、顧客がフードデリバリーを依頼する際に、プラスチック製の使い捨て食器を辞退することができるアプリ内オプションを設けた。

「これらの取り組みは、頼まれもしないのに送られてきて、結局使われずにゴミ箱に入ってしまうことが多いプラスチック製品の消費量削減に貢献します」とヴィッティ氏は語る。「最初に行ったテストでは90%の消費者がこのオプションを利用したため、何万本ものプラスチック製カトラリーが削減されました。これは家庭でのゴミの量を減らしたいという消費者の希望を表しています」とも。

排出量の面では、GHG inventory(greenhouse gas inventory、温室効果ガスインベントリ)を開発した炭素市場のテクノロジー企業であるMoss.Earthと協力し、環境保全や森林再生プロジェクトに結びついたクレジットを購入することで、同社の排出量をオフセットするという。

また、ブラジルで電動バイクを提供しているTembiciと協力して、同社の配送車両を内燃エンジンのモペットやスクーターから移行していく予定だ。

「相殺するだけでは十分でないことはわかっています。二酸化炭素排出量を削減するためには、革新的な方法を考える必要があります。2020年10月、当社はTembiciと提携して宅配業者専用に開発された、手頃な価格で電動自転車をレンタルできるプロジェクト『iFood Pedal』を立ち上げました」とヴィッティ氏は語る。「現在2000人以上の配達人が登録しており、サンパウロとリオデジャネイロで1000台の電動自転車を共有していますが、これには利用に加えて我々が考えていた教育的な側面もあります。定着状況が良好であることから、このプロジェクトを徐々に拡大し、他の都市でも実施して、クリーンな配送の割合を増やしていく計画です」。

ブラジルの電動バイクメーカーであるVoltz MotorsもiFoodと提携している。iFoodはVoltzから30台の電動バイクを注文し、一部の配送パートナーが現在それらを使用している。同社は、今後1年間で1万台以上の電動バイクを導入することを目指しているという。

iFoodは、水の再利用、再生可能エネルギーの導入、オサスコ本社の屋上緑化などの社内向けの取り組みと合わせて、ブラジル国内および国際市場の環境を改善するための持続可能性目標を達成したいと考えている。

「まだまだ道のりは長いですが、重要なパートナーたちとこの一連のイニシアチブに加え、現在開発中の他の取り組みを進めることで、プラスチックの発生や環境に与える二酸化炭素排出量を削減できると信じています。ブラジルの家庭生活における当社の関わりと存在は、地球に対するこれらの環境コミットメントの重要性をさらに高めています」とヴィッティ氏は述べた。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:iFoodフードデリバリーブラジル持続可能性二酸化炭素排出量電動バイクカーボンニュートラル

画像クレジット:Alfribeiro / Getty Images

原文へ

(文:Jonathan Shieber、翻訳:Aya Nakazato)

UberがEUで「Prop 22」スタイルのギグワーク基準を求めロビー活動を展開

Uber(ウーバー)は、ギグワーカーの労働条件を改善する新しい規則が必要かどうか判断するためにギグプラットフォームの労働条件の精査に乗り出したEUの議員に接触している。

配車サービスとオンデマンドのフードデリバリーの巨人は現地時間2月15日、白書を発表し、プラットフォーム業務の「新しい基準」と称するものに関して、欧州の政策立案者に対しロビー活動を展開している。

白書の中でUberは、ギグワーカーが得るメリットの一部を拡大する必要性を説き、ドライバーとライダーが労働者・従業員として再分類された場合、労働者としての権利のフルスイートに資金を供給しなければならないという (Uberにとっての)悪夢のシナリオを回避しようとしている。

Uberはまた、団体交渉の問題を切り離して、政策の議論の方向性を誘導しようとしている。白書では、アプリベースの労働者がより「意味のある」代表権を必要としているという考え方を提案し、その代表は、Uberのいう多様な(つまり個別化された)ニーズを反映するために必要であり、プラットフォームと労働者の間の継続的なエンゲージメントのさまざまなチャンネルを介して実現できることを示唆している。

Uberの白書は、タイトルの「A Better Deal(より良い取引)」を基軸に構成されている。アプリベースの労働者にとってより公平な取引を確保するために新しい法律が必要かどうかを議員が検討しているため、配車サービスの巨人は紛れもなく、自社のビジネスにとって可能な限り最善の取引を引き出そうとしている。

EUの議員が今後数カ月の間に注意を払う必要があるのは、プラットフォームで働く労働者がどのような取引をしているのか、そして大手テクノロジー企業の詳細かつ基調的なPR文書を掘り下げていく中で、欧州お得意の社会契約を損なうことなく、大勢の「契約社員」の条件を改善するための法的枠組みを作る必要があるのか、作るならどのように作るのかという点だ。

Uberは2020年、同社の専門領域に属するギグワーカーを再分類しようとする法案の打破に成功した後、カリフォルニア州の「Prop 22(プロポジション22)」がもたらした成果を世界的に推し進めていくと述べている。

しかし、欧州の法的、社会的な状況は米国とは大きく異なっている。欧州では、多くのプラットフォーム企業が雇用分類の問題で訴訟に直面しており、裁判所は労働者に有利な判決を下すことが多い。

金曜日(2月19日)には、英国最高裁判所が、元Uberドライバーらのグループによる、Uberの自営業者としての分類に関わる長期の係争に対して判決を下すと予想されている。つまりUberは、欧州の裁判所における、これまでで最大の試練に直面しているということだ(英国は現在EU圏外にあるが、この訴訟の結果は欧州全体の裁判に影響を与える可能性が高い)。

既存の雇用法をより明確にし、施行することは、社会を犠牲にし(税収の損失)、安定した雇用(とそれに付随する権利)を奪われた個々の労働者の労働力から利益を得るために、アルゴリズムによるマイクロマネジメントという利己的な分類を利用して法制度の隙間をハイテクハッキングしてきた大手プラットフォームを、欧州の政策立案者が取り締まるための方法になり得る、と批判的な人々はいう。

同時に、オンデマンド空間での統合化が進むことにより、大手ギグ企業の力がさらに強くなっている。では、ひと握りのメガプラットフォームが競争相手との統合を急ぎ、改善の可能性が閉ざされていく中で、労働者を守るための法の介入がなければ、プラットフォームの労働者は「意味のある」代表権や「改善された」条件をどのように期待できるのだろうか。

2月15日、Uberの白書に付随するブログ記事の中で、CEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は、ギグワーカーの権利に関する大手テクノロジー企業の好ましい「新しい基準」は「ドライバーや宅配業者が最も重要だという原則に基づいていることであり、その原則とは、働きたいときに、働きたい場所で働ける柔軟性とコントロール、適正な賃金を得ること、適切な福利厚生と保護を受けること、そして意味のある代表権を得ること」であると繰り返し述べている。

「実質的な変化をもたらすためには、改革は業界全体を対象としたものでなければならず、すべてのプラットフォーム企業は、どのアプリを使っていても労働者が保護されるように、業界全体で標準化された福利厚生と保護を提供することが求められる」とコスロシャヒ氏は続ける。

プラットフォームの福利厚生に関する普遍的な基準は進歩的に聞こえるかもしれないが、ギグワーカーのための「妥当な」福利厚生という概念は、合意された雇用基準をはるかに下回る水準にこの労働力を固定してしまい、アルゴリズムによって永続的な管理の対象となる労働者にとって、より良い取引の可能性を閉ざす危険性がある。

このような業界全体の基準は、ギグプラットフォームが労働者へのより良い取引の提供をめぐってお互いに競争する必要性を損なうことにもなりかねない。そのため、政策立案者は、支援されるべき労働者にとって不利な取引が固定化されることのないように、慎重に事を進める必要がある。

Uberの白書は、労働者のための詳細な「取引」モデルを定義するのではなく、現時点ではいくつかの主要な原則を提唱し、利害関係者と協議して推し進める必要があると同社は述べている。

また同社は、プラットフォームが依然としてEU各国の寄せ集め規則の影響下に置かれる可能性が高いことも認識しているという。また、欧州委員会が法制化を決定したとしても、そのような法律が施行されるまでには何年もかかるため、判例が非常に重要であることに変わりはない。しかし、加盟国がギグワークの分野に関して取るアプローチや適用する政策に対してトップダウンの圧力となり得る包括的なEUガイダンスを、Uberが自社に有利になるように誘導しようとしていることは明らかだ。

大手プラットフォームは長い間、雇用の分類を「柔軟性と利益」の問題に落とし込もうとしてきた。労働者は何よりも柔軟性(プラットフォーム各社は「いつ働くかを選択できる能力」を意味すると定義している)を重視していると主張しているものの、同時にデータフィケーションやトラッキングを駆使して非雇用労働力のハイテクなマイクロマネジメントによる個人のサービス提供を管理している。

実際には、確かにそのようなプラットフォームにログオンして「好きな時に」働くことはできるが、強制最低賃金のような法的保護がなければ、ギグワークの「柔軟性」が個人の生活を支えるだけの収入になる保証はない。見方を変えれば、頼れる他の収入源がない限り、プラットフォームの労働者には、いつ、どのように働くかを選択する柔軟性や自由は、事実上ないかもしれないことを意味する。

そのため、プラットフォーム各社はしばしば「故意に搾取するように設計されている」と非難されているビジネスモデルの逆説的な防衛を推進している。批判的な労働組合はそれを人間の労働力の搾取や抽出だと指摘し従来型の雇用によってもたらされる社会契約と安定性を蔑ろにするプラットフォームを非難している。

Uberの白書の中で「雇用はプラットフォームの労働者が求める答えではない」と主張を展開するセクションでは、このテクノロジー界の巨人は「柔軟性」がそのてがかりだと述べている。つまり、そのモデルは「ドライバーには、需要に応えるためアプリに接続する自由や、望めばより静かな時間を過ごす選択権がある」ことを意味するという。しかし、ギグワークで収入を得て生計を立てる必要がある人たちは、より静かな時間を過ごす「選択」はできないかもしれない。そんなことをすれば収入が減ってしまう。ではUberは、実際にどの程度の柔軟性(つまり良識的な賃金)を提供しているのだろうか。

(関連する点として、これらの大手ギグ企業の多くは、自動化技術の開発推進のために多額の資金を投入してきた。雇用にともなう税金を払わないことで節約したお金が、完全に人間の労働者に取って代わろうとすることに注ぎ込まれているということだ。そのような所に尊厳はあるのだろうか)

関連記事:Uberの自動運転車部門は月に22億円超を費やしていた

決断を迫られるギグエコノミー

2019年12月の雇用委員会委員へのミッションレターで、欧州委員会のUrsula Von der Leyen(ウルズラ・フォン・デア・ライエン)委員長は、Nicolas Schmit(ニコラス・シュミット)氏に、現行法の執行が機能していることを確認することを含め、プラットフォーム労働者の労働条件を改善する方法を検討するように依頼した。またレターには「尊厳があり、透明性があり予測可能な労働条件は、EUの経済モデルにとって不可欠である」とも書かれている。

シュミット氏は指示を受けてすぐに、プラットフォーム(利益)VS労働者(権利)という構図の論争について、Euractiv(ユーラクティブ)に「プラットフォームに反対しているわけではない」と、バランスのとれた見方を語り、プラットフォームを「EUの新しい経済の一部」とみなし「ギグエコノミーでの優位性を失わないことが欧州にとって重要である」とも主張した。

しかし同氏はまた、ハイテクツールが、新たな「恵まれない」下級労働者を固定化するために使用されることをEUは許してはならないと警告し「19世紀に存在していたような労働条件で21世紀の経済を実現するわけにはいかない」と述べている。

欧州委員会が、不明確なプラットフォーム業務の「改善」のループをどのように政策の中に組み入れていくのかは、まだまったく分からない。しかし、フォン・デア・ライエン委員長が指示を出してからは、ここで良い仕事をしなければならないという責務が増しただけだ。新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、プラットフォーム労働者のための適切な社会的セーフティーネットの欠如がもたらす個人的および社会的なリスクに容赦なくスポットライトを当てているが、同時にその副作用として、オンデマンドのプラットフォーム業務(特に食品や食料雑貨の配達のような分野)は、活況を呈している。

Uberの白書では「独立請負人が最も必要としているときに、福利厚生と保護を確実に受けられるようにする」と記しているように、パンデミックの問題とプラットフォーム事業者が労働者を支援するために「さらに進んで」いく必要性について繰り返し述べている。しかしその一方、同社は、雇用のすべての権利と利益を提供することに反対するロビー活動を行っている。

国際的な法律事務所Taylor Wessing(テイラー・ウェッシング)の雇用グループのシニアアソシエイトであるJoe Aiston(ジョー・エイストン)氏は、Uberが白書の中で、ギグワークの「新しい基準」を求めてロビー活動を行っていることについて「同社が最低基準の福利厚生を求めるのは理に適っている」と話す。そして「適当かつ最低限の保護であれば、ビジネスモデルに大きな影響を与えずに容易に提供できる」と続ける。

「全員を従業員や労働者として再分類することを強いられれば、ビジネスモデルは大きく混乱することになり、ビジネスの面では当然、相当のコストアップにつながるだろう。最低賃金や休日出勤手当のような直接的な影響だけでなく、税金の観点でも、間接的に波及的影響を受けるはずだ」。

そして、労働者の状況分析によってギグワーカーが自動的に税務上の目的で従業員として分類されるわけではないが、エイストン氏は、判断基準は「かなり類似している」という。したがって、雇用の分類をめぐる訴訟は、Uberの税務上の立場、ひいてはその(潜在的な)収益性に明らかなリスクをもたらす。

ギグワークをどのように改善するかという問題について、欧州委員会は2020年9月にプラットフォーム業務に関する会議を開催するなど、最善の進め方を模索しながら情報を集めてきた。しかし2021年、EUの議員には大きな決断の時が迫りつつある。

今月末、欧州委員会は労働者と雇用主の代表者による正式な協議を開始する予定だ。そして、Uberの白書は、明らかにそのプロセスを対象としているため、プラットフォームの労働条件の「改善」に影響を与えようと、いくつもの私利的な画策が本格的に始まることになるだろう。

政策的に何が行われるのか、確かなことはまだ明らかになっていない。しかし、2020年3月、欧州委員会は285ページに及ぶ調査結果を発表し、プラットフォーム労働者の労働条件に関して特定された「主な」課題として以下のようなものを挙げた。雇用の状況、労働条件について労働者が利用できる情報、紛争解決、集団的権利および差別禁止などだ(つまり、考えられるほぼすべての課題が挙げられたということだ)。

実際に研究結果を掘り下げてみると、低報酬と不安定な収入についても、非常に詳細に議論され、それらはプラットフォーム労働者にとっての「重要なストレス要因」とされている。

賃金は、確かに議論の重要な争点として提起されているようだ。特に、フォン・デア・ライエン委員長はシュミット氏への指示の中で「EUのすべての労働者が公正な最低賃金を確保できるよう」法的手段の提案を求めていた。

収入が労働者の法定最低賃金を下回る可能性があるというのは、プラットフォーム業務に対するよくある批判である(ギグワークによる賃金は、通常、ギグの注文や商品の受け取りを待つために費やしたダウンタイムすべてが対象となるのではなく、仕事をしている間や配達の完了時にのみ収益が上がるためだ)。したがって、EUの公正な最低賃金の対象となる「すべての労働者」が「プラットフォーム労働者を除く」という意味に終われば、欧州委員会はテクノロジーを利用した「恵まれない」労働者層を固定化してしまうことになる(シュミット氏が、そうなってはいけないと言ったことに反して)。

白書での賃金問題に対するUberのアプローチは、プラットフォーム労働者の「公正で透明性のある収益」(または「適正な」賃金)についてのみ語ることで、最低賃金の問題を回避している。

このテクノロジー界の巨人はまた「プラットフォーム労働者の報酬のあり方における変革を提言し業界をリードする準備がある」と述べている。しかし、業界全体で利用できる(「すべてのプラットフォーム企業が独立請負人に提供しなければならない業界全体の福利厚生と保護を備えた柔軟な収入の機会のための」)枠組みが求められていない限り、報酬については譲歩しないことを明らかにしている。

「これには、最近カリフォルニア州で導入されたProposition 22法のような普遍的な基準が含まれるかもしれない。または、プラットフォーム労働者、政策立案者、業界の代表者が協力し合い、業界のために報酬の原則を設定するという、社会的対話の欧州モデルに基づいたものかもしれない」とUberは示唆している。

関連記事:Uberが「ギグワーカーは個人事業主」というカリフォルニアの住民立法を世界展開へ

Uberは次のように述べている。「例えば、イタリアでは、フードデリバリー業界と一般労働組合が、配送の自営業者の地位を確認する合意に署名する一方、業界に対して、収入、傷害、第三者保険、訓練に関する規定を含む配送業者の労働基準を提供することを要求している」。

Uberはさらにこう付け加えている。「重要なことは、どのような報酬モデルであっても、どのプラットフォームで働くことを選択したとしても、すべての独立請負人に一貫した収益のベースラインを保証するために、業界全体に渡る公平な競争の場に基づいていなければならない」。

そして、この問題があらゆる面で大きな賭けであることは明らかだ。ギグワーカーの権利、大手プラットフォームの利益、そして社会的に進歩的なアジェンダを主張するEUの議員の信頼性がかかっている。

しかし、現時点でEUが法案を提出するかどうかについても100%確証があるわけではない。欧州委員会の広報担当者は、プラットフォームと労働者がこの不明確な労働における「より良い」労働形態のあり方について合意に達することができれば、政策決定は見送られる可能性があると示唆した(しかし、まあ、本当にそうなるのかどうかは運次第だ)。

2021年2月後半の開始が予定されている「社会的パートナー」の正式な協議は、欧州委員会の広報担当者によると、2つの段階で構成されている。

「第1段階では、プラットフォームを介して働く人々の労働条件を改善するためのEUイニシアチブの必要性について意見を求める。第二段階では、そのようなイニシアチブの内容について協議される」と同報道官は述べ、欧州委員会は「社会的パートナーの回答を慎重に評価する」と指摘した。

「社会的パートナーが、協定の交渉を行うことを決定しなければ、欧州委員会は2021年末までに立法的なイニシアチブを打ち出す予定だ」と同報道官は付け加えた。

報道官は、課題が特定され「改善が必要かもしれない」政策分野には「不明確な労働条件、契約の約定の透明性と予測可能性、安全衛生上の課題、社会保護への適切な利用機会」が含まれていることを確認した。

「不明確な労働条件」に低く不安定な報酬が含まれるかどうか尋ねられた同報道官は「申し訳ないが、このイニシアチブに関して、現段階で私たちが言えることは[前述のリスト]だけだ」と言って、明確な回答を避けた。

雇用形態

欧州委員会が主導したギグワーカーの状況に関する調査の最後にまとめられた、いくつかの政策的考察の中には、雇用形態が依然として中核的な課題であるとの記述がある。

「一部のプラットフォームは、自営業者と従業員の狭間で運営され、明確に雇用主の責任を負わず、プラットフォームの労働者を最大限にコントロールすべく業務形態を調整しているようだ」と報告書は所見を述べ、雇用分類の境界がどこにあるのかを明確にする判例の(緩慢な)ペースと「プラットフォーム業務を特徴づける急速に変化するビジネス慣行」との間にギャップがあることを指摘している。

「加盟国が[法律や判例を通じて]従業員の概念を拡大するか、プラットフォーム労働者の雇用形態に関する反証を許す推定を導入しない限り、プラットフォームは、自営業者の労働力への依存を継続または拡大する可能性が高い」と続けている。

「個々のケースでの再分類は、EU法や国内法に基づいて行われる可能性があるが、それが主要な動向を劇的に変える可能性は低い」。

また「プラットフォームに経済的に依存している自営業のプラットフォーム労働者の保護を目的とした措置は、『労働条件』に関する最低基準を確保することが望ましいと思われる」と報告書は付け加えている。さらに、関連する「政策的含意」は、EUと加盟国が「どのプラットフォームの業務形態が自営業のプラットフォーム労働者に適合しないか明確にすることを検討すべきである」と示唆している。

自営業審査の明確化、あるいは審査で不合格とすべき業務形態の明確化は、EU全体の政策立案者が取り掛かるべき法案の1つだ。とはいえ、この件についても、ギグエコノミーに関するフィードバックを受けて欧州委員会がどのアイデアを支持するかは、今後の動向を見守る必要がある。

雇用分類の判例の面では、まもなく英国で、Uberの配車サービス事業に関連する大きな判決が下される。Uberのドライバーを自営業者として分類することに関して2016年に始まった雇用法廷での係争が2月19日に最終判決を迎えるのだ。英国最高裁は、Uberが過去5年間に何度も控訴しては敗訴してきたこの種の訴訟に対して判決を下す。

最高裁の判決は、ロンドンのプラットフォーム上で営業しているとUberがいう約4万5000人のドライバーのみならず、英国全体にも影響を及ぼす可能性が高い。

また、EUの政策立案者がギグワーカーの労働条件の改善に積極的に取り組んでいることを考えると、この判決の影響はそれ以上に波及する可能性もある。

2020年、フランスの終審裁判所は、元Uberの運転手を自営業のパートナーではなく従業員とみなすべきだとの判決を下した。この判決では、会社とドライバーの間に従属関係があることを認め、ドライバーは、価格設定、顧客基盤の構築、業務の遂行方法に関する選択の権限がないなどの問題が指摘された。そして「ドライバーは管理された輸送サービスに参加しており、Uberは一方的に運営条件を定義している」と書かれている。

関連記事:「Uberドライバーはフランスでは従業員」と仏最高裁判所が裁定

しかし、Uberは、2017年に提訴されて以来、ドライバーがUberの利用方法をコントロールできる範囲が広がり、今では「より強力な社会的保護」(無料の傷害保険など)を受けることができるようになったことを挙げて、自社の業務形態に多くの変更を加えてきたと主張し、この事例が前例となることを否定した。

この事例は、苦情ベースの判例に頼るだけでは複数のプラットフォーム労働者に対応する首尾一貫した成果を得ることは難しいことを浮き彫りにしている。

このような係争において、最終的な判決が下されるまでに時間がかかることは、プラットフォームにとっては、少なくとも対象となる争点はもはや適用されないと主張できるよう、業務形態を再構成するのに十分な時間を得ることにもなる。

そのため、ギグワーカーの労働条件の改善を確定するための法整備が確かに必要かもしれない。

エイストン氏は、そのような状況において、結局のところ要求される変更はUberにとって「受け入れられる」ものではないかもしれないとしつつも「状況が変わる可能性があるのは事実だ。もしUberが『最高裁の判決』を受けてビジネスモデルを機能させる方法を大幅に変更した場合、同社はドライバーの定義を再び都合の良いように変えてくる可能性がある」と語る。

「我々は、最高裁がどの争点についてどのような措置を命じる判決を下すか見守る必要があるが、Uberはビジネスモデルにおいて、業務の機能に重大な影響を与える恐れがある変更を加えることが有効かどうかの判断をしなければならないだろう」と同氏は続け「私は、Uberが、おそらく判決に備えて、ビジネスモデルが機能する変更をすでに整備しているのではないかと見ている」と付け加えた。

「つまり、判例は背景に特化しているので、非常に特殊な判例に頼るのではなく、実際の法律と具体的な定義が鍵を握っていると言えるのではないだろうか」と同氏は語った。

委員会の調査では、この分野での政策立案を阻むいくつかの課題にも言及されている。そこには、プラットフォーム業務の明確な定義や、エビデンスに基づいた政策立案のための十分かつ包括的なデータ収集など、基本的なことも含まれている。

エイストン氏は「一旦、誰かが独立請負人ではなく労働者として分類されると、労働者の能力と団体交渉の権利を強化させる可能性が生じる。そのため、最高裁の判決がUberに不利なものとなった場合、それは別の潜在的波及効果をもたらす」と述べ「ドライバーやライダーの団体交渉能力の向上につながる可能性があるため、関連する組合が強い関心を示していることでもある」と続ける。

一方、欧州では、国レベルでの規制や法制化の試みが始まっている。例えばスペインでは、政府が数年前から「falsos autonomos(不当な自営業者扱い)」を受けている労働者を利用するプラットフォームの厳重な取り締まりを目指しており、プラットフォーム業務に適用し摘発するための労働法の改革を進めているところだ。

最近の報道によると、そうした国家的な労働改革プロセスは、配送労働者の雇用をプラットフォームに対して義務化する結果となる可能性がある。そのような動きがあるため、大手プラットフォームは、EU全体に適用される「もっと柔軟な」規制を求めて、欧州委員会へのロビー活動をさらに熱心に行うようになっている。少なくとも国内法が別のEU加盟国の規制に及ぼす影響の範囲を制限し、プラットフォームのビジネスモデルへの潜在的なダメージを限定することを狙っているのだ。

英国政府もまた、法制化が近づいていることを示唆している。政府は2017年まで遡り、ギグワークの調査を含め、近年の労働慣行に関する大規模な調査を実施した。Taylor Review(テイラー・レビュー)と呼ばれるこの調査は、ギグワークをより適切に反映させるために、現在の(英国の)「労働者」の法的分類を更新すべきだと提言している。また、同調査の報告書は「従属契約者」がより適切な枠組みであることを示唆しており、プラットフォームが労働者に対して行使するコントロールに、より大きな焦点を当てるべきとしている。

テイラー・レビューは華々しく公開され、労働者の権利を強化するための政府の計画につながった。しかし、2018年末に発表された改革パッケージ「Good Work Plan(良質な労働計画)」は、貧弱で実体を欠いていると労働組合によって即座に却下された(対して政府はこの計画を労働者の権利の大規模な拡大として宣伝している)。今のところ、ギグワークの問題について具体的に取り組むために多くを成し遂げたようには見えない。

英国政府が2018年に計画の一環として発表した「現代の雇用関係の現実を反映させる」ために雇用形態審査の明確性の向上を目的とした法整備を進めるという公約は、まだ何も実現していない

計画されていた立法がパンデミックの影響で遅れている可能性はある。エイストン氏はまた、Uberの裁判で最高裁が判決を下すまで、政府が方針の公表を控えている可能性もあると示唆している。したがって、政策決定に影響を与えようとUberがEUに対して行っている巧妙なPRにもかかわらず、欧州の判例や世論が下す判断に比べれば、Uberはこの問題について大した口出しはできないかもしれない。

「最高裁が、ドライバーは労働者だとする『Uber』に不利な判決を下した場合、同社にとっては、少なくとも今より少し困難な状況になるだろう。なぜなら、同社は、少なくとも英国では、すべてのドライバーが労働者であることを受け入れるか、判決の根拠を精査し、その根拠から逃れられるようにビジネスモデルを調整するかのどちらかを決定しなければならないからだ」とエイストン氏は話す。

「Uberは明らかにドライバーを労働者ではなく自営業者として扱い続けたいと考えているので、後者を検討しているかもしれないが、PRの観点から考えると、それは同社にとって良いことではないと思う。ドライバーが労働者であると判断されたら、今はそれを受け入れ、ドライバーがその権利を持っていることを認めて先に進む必要があるというのも1つの考え方だ」。

同氏は、ギグエコノミー企業の典型例として、Uberは欧州でドライバーやライダー向けの無料または低価格の保険などの福利厚生パッケージを整備し「良い」会社であり、人を大切にする姿勢を示すことで「自営業」の請負業者が労働者として再分類されるリスクの「芽を事前に摘み取ろうとしている」と指摘している。

このような取り組みでは、再分類されたプラットフォーム労働者が得るであろう権利を網羅することはできず、配車サービスの利用者を味方につける必要もあるため、ここでさらに動きがあるかもしれない。

「ギグエコノミー企業は極端なことは避け、ドライバーが労働者であることは認める、だから最低賃金や休憩時間などの権利があることも認める、という傾向がある。ギグエコノミーのビジネスにも気を配る必要がある。そういった観点から見ると、競争は激化するなるだろう」とエイストン氏は示唆する。

「人々が労働者であることを認めるかどうかは別として、ギグエコノミービジネスは、人々を大切にする義務があることを認識し始めているのだろう。明らかにそれは、人々がいくらかの利益を得ることにもつながるが、同時に、PRの面や会社の企業イメージの観点でもプラスに働く」。

また、注目すべき点は、英国の雇用法がいくつかの国の雇用法よりもニュアンスに富むものということだ。それは、英国ではすでに「労働者」(すなわち、従業員でも自営業者でもない)の概念を持っているからだ。一方、エイストン氏は、他の欧州諸国(そして米国も)での分類は、より限定されている(つまり、被雇用者または自営業者の分類のみ)と指摘する。

「欧州の裁判所は、英国の最高裁判決などに注目するだろう。その判決に縛られるわけではないが、その行方は欧州全域で同様の判決の方向性に少なくとも何らかの波及効果を及ぼすことは想像に難くない」と同氏は示唆する。「留意すべき興味深い点は、英国には労働者の中間的な分類があるということだ。一方、ほとんどの欧州諸国では、自営の請負業者か従業員のいずれかしかない。つまり、欧州の他の国ではもっと大きな二分法になる」。

「英国には、この中間的な定義があるため、ある意味ではより良い状況にある。そのため、英国の裁判所は再分類を命じやすい立場にあるという意見もあるかもしれない。最高裁が[Uberの雇用裁判の係争に関して]ドライバーは事実上労働者であるという控訴裁判所と同様な判決を下した場合、最高裁による判決と控訴裁判所による件の判決との間に相違があるかどうかを見きわめることが重要だ」と同氏は付け加える。

「英国の場合は、上記のような背景があるため、裁判所がドライバーを、一部の保護が適用されるこの中間のカテゴリーに当てはめるべきだという判断を下すのが、他国よりも容易だった」と同氏は説明する。

EUの政策立案者が「労働者」に似たEU全体の基準を策定することを決定した場合、そのような決定はUberなどに大きなチャンスとリスクをもたらすことになるだろう。雇用訴訟が業界の中核的なビジネスモデルに与える脅威を軽減する手段として、利益に関する主要なパラメータに効果を及ぼす(そして、税負担の増加を回避する)チャンスがある。

ギグワーカーに提供される保護レベルの拡大には明らかにコストがかかるだろう。しかし、大手テクノロジー企業にとっての問題は、これらのコストをどれだけ削減できるか、つまり欧州全域で営業を行う際に「問題に直結する」最低限の基準は何か、ということになる。

あるいは、EUの議員は、適切に「公正な」運用上の雇用の制限を確立する方法として、プラットフォームの労働者に対する「やるべきこと」と「やってはいけないこと」のリストを規定し施行することを試みることもできるだろう。これは逆に、その利益(多くの場合、この時点ではまだ理論的なものである)が、従業員ではないとされる多くの人々から提供される豊富で低コストの労働力に依存している大手オンデマンド企業のビジネスモデルを破壊する可能性がある。

プラットフォームに対する具体的な運用要件のリストを設定することは、欧州委員会が12月にEUの議員らによって策定された包括的なプラットフォーム規制(デジタル市場法)の中で提案していることとまったく同じであり、他のビジネスとの公正な取引(およびデジタル競争の促進)を推進するために最も市場力のあるプラットフォームに介入することを目的としている。

ギグプラットフォームについても、労働者のために公正な取引の確保を目的とした同様の介入が考えられる。

Uberなどにとっては、何十万人ものオンデマンド労働者を従業員名簿に載せることを法的に要求されることに比べれば、確かに望ましいことだろう。しかし、それは、これらの大手企業が規模拡大のために利用してきた、ドライバー労働力のタダ乗りともいうべき手法に終止符を打つことにもなるだろう。

今回の件で欧州におけるプラットフォーム経済が終わりを迎えることはないだろうが、調整にかなりの時間がかかることは避けられないように見える。ビジネスモデルは雇用法の変化(および、またはより良い施行)に適応する必要があるだろう。

価格など、コントロール可能な条件を減らしつつ従業員や労働者とは別の業務形態を維持しようとするのか、あるいは人々が労働者であることを受け入れ、それに応じてビジネスモデルと価格構造を適応させるのか(例えば、ライバルのプラットフォームで働く権利を制限するなど)、ギグエコノミー企業はビジネスモデルを調整することの長所と短所を秤にかけなければならないだろう、とエイストン氏は語った。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:UberEUProp 22ギグワーカー

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

Uberは最高裁判所の判決を受けて英国のドライバーを「労働者」待遇にすると発表

Uber(ウーバー)は現地時間3月16日、英国で同社の配車アプリを利用し営業しているドライバーを「労働者」として扱うと発表した。これによりドライバーたちは、有給休暇などの福利厚生を受けられることになる。ただ、Uberは最高裁判所の2021年2月の決定に従ったかに見えるものの、アプリ上のドライバーの記録に関わらず、乗客を乗せた時点から就業時間を計算するという同社の決定に対して、新たな闘争ののろしはすでに上がっている。

Uberは、3月17日から英国のすべてのドライバーに、収入の12.07%を基準に算出された有給休暇中の給与を、2週間ごとに支払うと話している。またドライバーには、乗車を受け付けた場合、経費を差し引いた上で、少なくとも最低賃金(いわゆる国民生活賃金)が支払われるとUberはいう。さらに英国での年金受給資格を持つドライバーは、Uberの費用補助を受けた年金制度に自動的に組み込まれる。この補助額は、ドライバーの収入のおよそ3%に相当する。

英国では、働き方がSelf-employed(自営業者)、Employed(被用者)、Worker(労働者)の3つに分類されている。「労働者」は雇用されないものの、最低賃金、有給休暇、受給資格を持つ者には年金が保証される。

Uberが3月16日に話したところによれば、現在の予測に基づき、同社は先に発表した第1四半期または2021年の調整EBITDAの予測値は変更しないとのことだ。

Uberは、2016年から英国での「労働者」の定義を巡る争いに巻き込まれてきた。2021年2月、英国の最高裁判所は、Uberの控訴を棄却し、アプリを利用するドライバーは「労働者」であり、独立した業務請負人ではないという先の判断を再確認した。逆転の見込みはなく、Uberはある意味、しぶしぶ承諾するかたちになった。Uberは、ドライバーの就業時間はドライバーが業務開始をアプリに記録した時点からではなく、乗車を受け付けた時点からとしており、福利厚生も乗車を受け付けて初めて発生するとしている。すでに労働活動家たちは、その点に憤慨している。

「最低賃金と有給休暇と年金をやっと認めたことは歓迎しますが、Uberがこの提案の話し合いに応じた時期が遅すぎました」と、App Drivers & Couriers Union(アプリ運転手および配送業者組合)の声明は述べている。これには、Uberに対して訴訟を起こしたドライバーのJames Farrar(ジェームズ・ファーラー)氏とYaseen Aslam(ヤッセン・アスラム)氏が署名している。「最高裁判所は、ドライバーは労働者として認められるべきであり、最低賃金と有給休暇は、Uberが主張する乗客を乗せてから降ろすまでの時間ではなく、ドライバーの就業開始と終了の記録に基づく就業時間に応じて発生するべきだとの判断を下しました。つまり、Uberのドライバーは、いまだに40〜50%ほど釣り銭を誤魔化されているのです。さらに、最低賃金に基づいてドライバーの経費をUberが一方的に決めることも承諾できません。これは労働協約で話し合われるべき問題です。

今回、Uberが1つ前進したことに間違いはありませんが、法律に定められた最低要件に完全に準拠しない部分は、一切受け入れられません。また私たちは、Uberが労働組合の認定、公正な解雇不服申し立て手続き、データアクセスに関する合意に向けても前進することを期待します」。

ファーラー氏はTechCrunchに対して、この問題はまだ解決していないと話した。次なるステップは、労働裁判所に立ち返り、ドライバーが法的に与えられた権利に基づいて確実に給与が支払われるようにすることだ。

英国での労働問題への対応が継続しているUberだが、ヨーロッパの他の国々の裁判所で争われている問題にも注意を向けなければならない。裁判所の決定によっては、Uberの収益に大きく響く。その一方で、EUの議員たちはギグワーカーの待遇改善のための調査も行っている。英国でのUberの譲歩が、ヨーロッパ全体の協議に影響を及ぼす可能性がある。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Uberギグワーカー労働イギリス

画像クレジット:Matthew Horwood/Getty Images / Getty Images

原文へ

(文:Kirsten Korosec、Natasha Lomas、翻訳:金井哲夫)

ロンドンのJiffyが3.9億円のシード投資を調達しダークストア競争に参入

また新たなオンライン食料品宅配と「ダークストア」を運営する業者が、米国時間3月16日に姿を現した。ロンドンを拠点とするJiffy(ジフィー)だ。生鮮食料品と生活必需品をほぼ15分以内に配達することを目指す同社は、260万スターリング・ポンド(約3億9000万円)のシード投資を調達し、サービス開始の準備を整えた。

すでに多額の投資に支えられた数多くの競合他社と対峙しているこの新興企業を支援するのは、ベンチャー投資ファンドLVL1 Group。その他、AddVenture、TA Ventures、Vladimir Kholiaznikov(ウラジミール・コリアズニコフ)氏そしてエンジェル投資家のOskar Hartmann(オスカー・ハートマン)氏、Alexander Nevinskiy(アレクサンダー・ネビンスキー)氏、Dominique Locher(ドミニク・ロッカー)氏がラウンドに参加している。

Jeffyは、この資本注入で、早ければ2021年3月中にロンドンに最初の店舗を立ち上げると話している。サービス対象地域はウェストミンスター、ウォータールー、ラムベス、バタシー、クラパム・タウン、ショアディッチ、ベスナル・グリーン、ハックニー、ホワイトチャペル、ステップニー・グリーン、レイトンストーンとなる。

同社はそれに続き、2021年後半には英国全土に20カ所のローカルフルフィルメントハブを開設する予定だ。すでに次の資金調達に動き出しているものと思われる。そのセールスポイントとして、Sainsbury’s(セインズベリーズ)やDeliveroo(デリバルー)の元マネージャーなど、オンラインおよびオフラインの小売り業に精通した幹部チームにスポットを当てているようだ。

「私たちは、火星行きチケットも買える2021年に暮らしていますが、欲しいときに欲しい食料品を手に入れることが、いまだにできません」とJiffyの創設者Artur Shamalov(アーター・シャマロフ)氏は話す。シャマロフ氏は、これまでに食料品と配達分野でいくつもの企業を立ち上げてきた人物だ。「食料品のオンラインショピングには、英国のほぼすべての消費者がフラストレーションを感じています。何日も何週間も予約枠が埋まっていたり、特別料金を取る高速サービスでさえ2時間も待たされることはざらです。それは間違っていると私たちは考えています。食料品は、実店舗で買うときと同じぐらい便利で安くなければいけません。そこに超高速配達サービスの利便性も不可欠です」。

それを実現するために、シャマロフ氏は、昔ながらの毎日利用する食料品店を一部肩代わりできると確信するサービスをJiffyが構築するのだと話す。つまり、多種多様な果物、野菜、肉、調理食品、人気ブランドや地元メーカーの生活必需品などを、1店舗につき総製品範囲2000SKUを「超える」商品を提供するということだ。

「私たちの目標は、仕事や子育てや社会活動に追われる忙しい親から、必要な買い物のために工面した時間が、心底楽しめる自由時間となる都会の忙しい職業人まで、非常に幅広いオーディエンスにとって、できる限り便利なもサービスを作ることです」とJiffyの創設者は話す。「また私たちは、近ごろスーパーに買い物に行くことを不安に感じる弱い立場の人たちのことも考慮しています。そうした人たちに、パンや牛乳が切れたときのことを心配させたり、注文したものが届くのを何時間も何日間も待たせたりしてはいけないのです」。

Jiffyは、食料品や日用品を購入してから10〜20分間で配達することを約束し資金調達したヨーロッパの数多くのスタートアップに仲間入りすることになる。それらの企業は、配達地域を小さく限定して、配達専用のフルフィルメントセンター、いわゆる「ダークストア」を設け、専属の配達要員を雇い入れることでそれに対処している。同社が提供するこのフルスタックまたは垂直アプローチと高い視認性が、まだまだ実証はされていないが、ユニットエコノミクスを実現する十分なサプライチェーンの創出と効率的な物流につながるものと期待される。

明確にはされていないが、そうした企業は増え続けており、その中には、エクイティーと融資の混合で5200万ドル(約56億7000万円)のシード資金を調達したベルリンのFlink(フリンク)、シリーズA投資4400万ドル(約48億円)を調達し、ドイツ、オランダに続いてこのほどロンドンに進出したベルリンに本社を構えるGorillas(ゴリラズ)、その他ロンドンで営業している企業には、Weezy(ウィージー)、Getir(ゲッティアー)、Dija(ディジャ)、Zapp(ザップ)がある。米国のユニコーン企業goPuff(ゴーパフ)もヨーロッパ進出を計画し、英国のFancy(ファンシー)の買収または投資を交渉中だと伝えられている。

関連記事
日用品を10分で配達するドイツ拠点のGorillasが約46億円調達
10分で食料品を配達するDijaがロンドンでダークストアを正式立ち上げ
ローカル配送のgoPuffが同業の英Fancy買収に向け協議中

このモデルは何よりもインフラが重要な役割を果たすため、土地の確保だけでなく、資本の確保も欠かせない。店舗を建設し、ロスリーダーを使った集客キャンペーンには多額の資金が必要になる。すでにロンドンでは盛んに行われるようになっているが、そした競合他社と対照的にJeffyは、サービス開始前ながら資金が足りていないように見える。

「資金不足だとは思っていません」とシャマロフ氏は反論する。「資金提供者の希薄化を考慮し、また実現困難な約束でチャンスを逃すよりは一歩ずつ着実に会社を築いていくほうが効率的だとの考えからすれば、私たちは計画どおりの資金を調達しています」。

「多額の資金を調達し、企業買収と拡張に過剰なまでの支出を行えば、自動的にこの業界で大成功できるという考えには、必ずしも同意しません。ごく限定的な地域を対象とするビジネスモデルでは、あらゆるものが地域限定のアプローチとなります。そのため私たちは、グローバルな展開ではなく、1つの市場の中での拡大に重点を置いています」。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Jiffyフードデリバリーイギリス資金調達

画像クレジット:Jiffy

原文へ

(文:Steve O’Hear、翻訳:金井哲夫)

スペインがデリバリープラットフォームの配達員を従業員と区分する労働改革に合意

スペイン政府は現地時間3月11日、デリバリープラットフォームの配達員を従業員とする労働改革をめぐり、労働組合ならびに業界団体と合意に達したと明らかにした。

法案が可決されればDeliveroo、Glovo、UberEatsなどスペインマーケットで事業を展開しているプラットフォームに大きな影響が及ぶ可能性がある。

「労働社会経済省、労働組合のCCOOとUGT、業界団体CEOEとCEPYMEはデジタルプラットフォームを通じて消費財や商品の配達、流通を専門的に行っている労働者の雇用形態を確立することで合意しました」と労働社会経済省は声明で述べた。

「最高裁判所の裁定に沿って、合意はデジタル配達プラットフォームを通じてサービスを提供している労働者の雇用の推定を認めます」と付け加えた。

「雇用の推定は、サービスや労働条件のアルゴリズミックマネジメントでこの仕事を管理している企業を通じて有料の配達サービスを提供する労働者に認められます」。

厳密にどのように労働法を変更するか何カ月も交渉してきたが、労働改革での合意は政府がいま立法のプロセスを前に進められることを意味する。

欧州連合もより広範なギグワーカーの待遇を改善するか検討中であり、スペインでの合意のタイミングは特に興味深い。他のEU諸国に先駆けて、ギグワーカーの一部を従業員と認めるスペインの法制化計画はより広い地域政策の形成に影響を及ぼすかもしれない。

デジタル事業の成長のサポートを目的としたスペインにおける広範な改革は、政府が近代化への動きで誰も取り残されるべきではないと述べたために社会をかなり巻き込んだ。

労働改革の合意は、配達員の分類をめぐって近年スペインで展開された数多くの訴訟に続くものだ。裁判所によって訴訟の結果は異なっていたが、2020年最高裁判所が配達員の雇用分類に関する裁判で、スペイン発の配達プラットフォームGlovoの訴えを却下してこの問題に終止符を打ち、欧州の最高司法府への諮問も却下した。

スペインの配達プラットフォームは、計画されている改革が何千人という配達員の収入源喪失という結果を引き起こしかねないと主張した。

スペインでは最大3万人が配達プラットフォームでサービスを提供していると報道されている。

自営労働者によって提供されている労働に頼っているより確立された産業よりも、プラットフォームは政治的に簡単なターゲットとして不公平に標的にされているという非難もあった。

しかしながら配達スタートアップは、配達人を雇うための法的要件が自分たちのビジネスモデルにとって意味すること、あるいは(継続中の)収益性の追求についてあまり主張してこなかった。

スペインの労働改革合意のニュースについて、ギグプラットフォームビジネスモデルに対し長らく批判的だったMangrove Capital PartnersのCEOであるMark Tluszcz(マーク・トルシュチ)氏はTechCrunchに次のように述べた。「我々はギグプラットフォームが各国の法律による大きな構造改革を経なければならないだろうという考えを示してきました。ギグワーカーが従業員とみなされなければ、十分な権利や社会保障を持たない労働者のサブクラスをつくるリスクがあります。パンデミックは明らかに全労働者が保護されていることを確かなものにする必要性を示し、ギグプラットフォームが反対のことを主張するのはますます難しくなっています」

アルゴリズミック管理に要注目

今日発表された改革の合意の興味深い追加構成要素の中で、今後の法制化では労働者を管理するのに使われているアルゴリズムやAIシステムの基準について労働者の法定代理人が通知される必要があると政府は述べた。これは労働条件に影響を及ぼすかもしれない。

ここには雇用へのアクセスに関連している、そして労働者の成績やプロフィールをモニターしている評価制度のためのアルゴリズミックシステムが含まれる、と声明は明確に述べている。

この要素は欧州における最近の数多くの訴訟から刺激を得ているようだ。これらの訴訟は配車プラットフォームのアルゴリズミック管理と、プラットフォームが持っているデータへのドライバーのアクセスにフォーカスしていた。

英国でUberの雇用分類についての訴訟で勝訴した元UberドライバーのJames Farrer(ジェームス・ファラー)氏は、団体交渉のためにドライバーのデータトラストを確立する目的で非営利団体を立ち上げた。英国の最高裁判所はこのほどドライバーは従業員だと裁定した。同氏はまた直近のアルゴリズムとデータアクセスに関する訴訟にも加わっている。

スペインの労組は、プラットフォームと労働者の間にある力の不均衡に取り組むためのツールとして配達人を管理するのに使われているアルゴリズミックルールへのアクセスを要求することで似たような動きを取るようだ。

Uberの広報担当は、スペイン政府の発表に対し次のような声明を出した。

過去数週間、スペイン中の何千人という配達人が、彼らが最も価値を置いている独立性を奪うかもしれないこの提案された規制に反対するために団結してきました。Uberは労働者のフレキシビリティとコントロールを守りつつ、仕事の基準の向上と独立労働者へのより多くの便益提供に完全にコミットしています。当社は独立した労働をなくすのではなく改善するためにスペインの関係団体と協業したいと考えています。

DeliverooもまたTechCunchに次のような声明を送ってきた。

この提案はフレキシブルな業務に価値を置いている配達人、配達サービスの恩恵を受けているレストラン、オンデマンド配達を評価している顧客の利益に反しています。自営業者のままでいたいと抗議活動を行った何千人もの配達人の声は無視されました。

配達プラットフォームは、配達人が追加のセキュリティを持ちつつフレキシブルに働けるようにするために建設的な提案をし、強制的な再分類は配達人の仕事減につながり、レストラン業界にダメージを与え、プラットフォームの運営エリアを制限すると警告してきました。残念ながらこうしたメッセージもまた見落とされてきました。

何も確定していません。我々は引き続き、配達人が求めているフレキシビリティとセキュリティを政府が提供すべきだと主張します。前進する別の方法を模索するために今後もスペイン政府に働きかけます。我々は、配達人に耳を傾けてすぐに再考するよう政府に促しています。

Glovoの共同創業者Sacha Michaud(サシャ・ミショー)氏は以下の声明を出した。

労働省の姿勢はかなり過激で、同様の問題を解決するためにイタリアやフランスのような他のEU諸国が取っている動きと一致しません。

今日、政府は小売業者向けの財政援助11Bについて議論しています。にもかかわらず史上最も困難な経済混乱期の1つであるいま、その同じ小売業者にとって生命維持システムとして機能してきたサービスにさらなる障壁を設け、新たな難題を作っています。法案の通過は配達プラットフォームの運営にマイナスに影響します。

2020年、配達プラットフォームは新型コロナウイルスによってもたらされた多種多様な困難に対応する必要不可欠なサービスでした。そしてパンデミックはすぐに過去のものになるという兆しはありません。当社のパートナーの90%はローカルの独立したレストランや店舗ですが、彼らは生き延びるために当社のもののようなプラットフォームに頼ってきました。

規制は必要ですが、プラットフォームと労働者の両側の意見を考慮する必要があり、いずれもソリューションの一部になるようにアプローチされていません。

ギグワーク改善に関するEUの協議プロセスを前に、Uberはこのところ欧州のプラットフォーム労働者のために規制緩和を求めてロビー活動してきた。汎EUフレームワークの可能性を、現代の労働パターンと調和させるために地域の雇用規則を作り直す機会としてとらえている。しかしこの動きはEUの基準を下げようとしているという批判につながっている。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:スペインギグワーカー労働フードデリバリー

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンがインド・バンガロールのフードデリバリーサービスを全市域に拡張

現地時間3月8日、Amazon(アマゾン)は同社のフードデリバリーサービスであるAmazon Foodをバンガロールのすべての郵便番号に広げる、と発表した。これはインドで2020年5月にAmazonが新しい業種であるフードデリバリーへの参入以降、初めての一般向けアップデートとなる。

関連記事:アマゾンが新型コロナ禍中のインドでフードデリバリーを開始

米国のeコマース企業Amazonによると、Amazon Foodは現在、Whitefield、HSR、Sarjapur、Koramangala、Indiranagar、MG Road、Jayanagar、JP Nagar、Frazer Town、Malleshwaram、RajajinagarそしてVijayanagaといった、バンガロールの主要地区すべてをカバーしている。

2020年5月にローンチした際のAmazon Foodの利用可能地域は、わずか4つの郵便番号だった。

Amazon Foodはまだ、インドにおける主要マーケットの1つで営業しているにすぎないが、そこで同社は競合他社に負けまいと躍起だ。中でもバンガロールで主な競合企業であるZomatoとSwiggyは、資金力も豊富だ。

フードデリバリーはプライム会員には無料だが、一般客は19インドルピー(約28.33円)を支払う。しかしSwiggyやZomatoより安い。

インドでの事業展開に65億ドル(約7057億4000万円)を投資すると明言している同社は、バンガロールですでに2500軒のレストランとクラウドキッチンが利用しているという。Amazon Foodの顧客は、これらのレストランの特別料金やAmazonからのキャッシュバックを利用できる、と同社は述べている。

関連記事:Amazonがインドのスモールビジネスのデジタル化促進のため約1100億円を投資

Amazonらしくもなく、Amazon Foodのインドにおける展開がこんなに遅いのはなぜなのか。その理由を同社自身が述べたことはない。

(もちろんグローバルなパンデミックはあるが、Amazonは、従業員が「一方通行ドア」および「双方通行ドア」と呼んでいるものをたくさん作っている。双方通行ドアは、入るのも出るのも自由で本格展開ではない試行で、具体的な意思決定をしていない案件のことだ。Amazon Primeは一方通行の賭けだと考えて欲しい。したがって、Amazonがどのような新しいサービスにどのようにコミットしているのか、初日からはっきりしていない。)

Amazon Indiaのカテゴリ管理担当ディレクターであるSameer Khetarpal(サミール・ケタルパル)氏は次のように語っている。「Amazon Foodのバンガロール進出では、市民の日常生活の一部になるとともに、どの他社にも負けない利便性と価値の提供努力を継続している。Amazon Foodは同市の最高のレストランを、全国的な名店と地元の人気店を含めてご提供する中で、デリバリーと安全性の厳密なプロトコルに従っている」。

Ant Financialが投資しているZomatoとProsus Venturesが投資しているSwiggyは、インドのフードデリバリー市場の複占化を確立し、Bank of Americaのアナリストは両社のマーケットシェアの合計が90%ほどと推計している。UberはインドのフードビジネスをZomatoに売却して、2020年の初期にインドのフードデリバリー市場を去った。

関連記事:Uberがインドのフードデリバリー事業を地元Zomatoに約221億円で売却

Amazon Foodの拡張努力は、アナリストたちが市場のリーダーと呼ぶZomatoがIPOの準備をしているこの時期に行われている。

関連記事:インドのフードデリバリーZomatoが約263億円調達し企業価値約5672億円に、2021年前半にIPO予定

インドのフードデリバリー市場の参入が難しいのは、国内事情のせいでもある。米国のような先進国市場では、出前品目の単価が33ドル(約3580円)ほどだが、調査会社によるとインドの単価は4ドル(約430円)だ。ZomatoとSwiggyはともに2020年に単価の改善に大きな努力を払った。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Amazonインドフードデリバリー

画像クレジット:Noah Seelam/AFP/Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

10分で食料品を配達するDijaがロンドンでダークストアを正式立ち上げ

ロンドン拠点のグローサリー配達スタートアップDija(ディジャ)が現地時間3月4日、正式に事業を開始し、2020年12月のシードファンディングで2000万ポンド(約30億円)を調達したことを認めた。TechCrunchが最初に報じたこのラウンドの一部は2020年11月にクローズした。

関連記事:超迅速に食品配達を実現する英国デリバリースタートアップDijaが21億円を調達間近か

同社を支援したのはBlossom Capital、Creandum、Index Venturesで、Dijaはどうやら立ち上げ前に資金調達できたようだ。実際、急成長中の「ダーク」グローサリーストア業界における欧州の初期リーダーになるための競争がヒートアップする中で、ロンドンのベンチャーキャピタルコミュニティの間ではDijaが再び資金調達に動いているとの噂がすでに駆け巡っていて、とある情報筋はその額が最大1億ポンド(約150億円)にのぼり得るとしている。

画像クレジット:Dija

欧州では過去数カ月、多くのスタートアップがグローサリーや他のコンビニ商品を注文から10〜15分で届けるとうたってサービスを立ち上げた。そうしたスタートアップは超ローカルの配達に特化した自前のフルフィルメントセンター、いわゆる「ダークストア」を持ち、そして独自に配達要員を採用している。このフルスタックあるいは垂直アプローチ、そしてそれがもたらす見通しは、ユニットエコノミクスを機能させるために十分なサプライチェーンとロジスティクスを効果的に生み出すはずだ。ただし、それはまだ証明されていない。

今週初め、ベルリン拠点のFlinkは株式と負債によるシードファンディングで5200万ドル(約56億円)を調達したと発表した。同社は株式と負債の割合を明らかにしなかったが、とある情報筋はおおよそ半々だと筆者に語った。

この業界では他に、ベルリンのGorillas、ロンドンのJiffyとWeezy、フランスのCajooなどが事業展開していて、いずれも生鮮食品とグローサリーにフォーカスしていると主張する。また、まだステルスモードながら、米国のユニコーンgoPuffと同様、よりマージンが大きいコンビニ商品にフォーカスしているZappもある。蛇足になるが、goPuffは欧州進出も狙っていて、ミニgoPuffとあだ名がつけられている英国のFancyの買収あるいは出資を現在協議している。

関連記事:注文から15分でグローサリーを配達するCajooがパリでサービス開始

話をDijaに戻そう。Deliverooで上級職として何年も働いたAlberto Menolascina(アルベルト・メノラシナ)氏とYusuf Saban(ユーセフ・サバン)氏によって設立されたDijaはロンドン中心部に店舗を開設し、10分でグローサリーやコンビニ商品を買い物できるとうたう。サウスケンジントン、フラム、ハックニーにハブを持ち、ロンドン中心部とゾーン2をカバーする20のハブを2021年夏までに新設する計画だと話す。各ハブは2000種の商品を扱い、これらは「希望小売価格」で販売される、としている。一律の配達料金1.99ポンド(約298円)が注文ごとに課される。

「当社が照準を絞っているのは、世界12兆ドル(約1300兆円)の産業を独占している大手スーパーマーケットチェーンです」とDijaのメノラシナ氏は筆者が競合他社について尋ねた時に語った。「そうした競合他社から当社を際立たせているのは、スピードとテクノロジーに加えて当社のチームです。私自身、そしてユーセフを含め、当社のチームは全員この成長中の破壊的な業界での経験を持っています。ユーセフはDeliverooをゼロから立ち上げて成長させました」。

メノラシナ氏は大手テイクアウトデリバリー大企業で企業戦略・開発ディレクターを務め、その前にもいくつかの役職を歴任した。同氏はまた、Instacartスタイルのグローサリーデリバリー企業Everliをイタリアで共同創業し、Just Eatでも働いた。サバン氏はDeliverooの元CEO首席補佐で、投資銀行Morgan Stanleyでも働いた。

ソフトローンチの間、Dijaの典型的な顧客はアプリを使って週に1度食品を購入した。またDijaはかなり急ぎの買い物や深夜の渇望といった他の需要にも応えてきた、とメノラシナ氏は話す。「Dijaが解決を手伝っている課題はユニバーサルで、みんなが利用できるようにDijaを設立しました。だからこそ当社は小売店の価格で商品を提供し、10分で届けます。価値と利便性を組み合わせているのです。一例として、在宅ワークやホームスクーリングで時間のやりくりを迫られている親にとってDijaはすでに大事なサービスとなっています」。

この業界に何百万ドル(数億円)という資金が注がれているにもかかわらず、筆者がプライベートで話した多くのVCは生鮮食品の近距離即配がうまく機能することについて懐疑的だ。生鮮食品は悪くなってしまうためマージンは少なく、買い物量は配達のコストをカバーするほど十分なものではない、という考えだ。

「他の企業にもあてはまるかもしれませんが、Dijaのチームのほとんどがこの業界で経験があり、購入や商品化計画からデータ、マーケティングまで取り組んでいることを正確に理解しています」とメノラシナ氏は話す。「また、当社がフルスタックモデルをとっていて他社とマージンを分け合っていないことも特筆すべきことです。買い物量の平均に関しては、顧客のニーズによって異なります。Dijaを通じて買い物すべてを行う顧客もいれば、オムツやバッテリーなど緊急の時に当社を利用する顧客もいます」。

関連記事:ローカル配送のgoPuffが同業の英Fancy買収に向け協議中

価格については、他の小売業者と同様、Dijaは卸売価格で商品を購入し、希望小売価格で販売していると話す。「今後当社は戦略的提携、サプライチェーン最適化、テクノロジーの向上などを含め、どのようにさらに売上をあげるかについて明確なロードマップを持っています」と同氏は付け加えた。

画像クレジット:Dija

一方でアプリ立ち上げに先駆けてDijaが、ポテトチップスや処方箋なしに買える医薬品などコンビニで取り扱われている商品の販売などを含め、テイクアウトマーケットプレイスDeliverooで数多くの実験を行ったこともTechCrunchは把握している。もしあなたが「Baby & Me Pharmacy」でトイレ用品を注文したり「Valentine’s Vows」でチョコレート菓子を購入したりしたことがあるなら、おそらく無意識のうちにDijaでも買い物しているはずだ。それらのブランド、そしてその他の多くのブランドもサウスケンジントンの同じ住所から配達されている。

メノラシナ氏はDeliverooでのテストを認め「ピック&パックをきちんとテストすることなく直接消費者に向き合うことは大きなリスクです」と数週間前にWhatsAppメッセージで筆者に語った。「当社は何を売るべきか、どのように補充、ピック&パック、配達するかを純粋に学ぶために自由に使えるバーチャルブランドを作りました」。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Dija食材配達配達イギリス資金調達

画像クレジット:Dija

原文へ

(文:Steve O’Hear、翻訳:Nariko Mizoguchi

急成長中のトラックシェアFluid Truckが67億円調達、住友商事も出資

Fluid Truck(フルイッドトラック)は商用車を所有したりリースしたりする手間とコストをなくすことを目的とするアプリベースのプラットフォームを構築した。この分野はすでにPenske、Ryder、U-Haulのような企業がマーケットシェアを独占している。

そして現在、Fluid Truckはそこに参戦するための資金を持っている。デンバー拠点の同社は米国時間3月2日、トラックシェアリングプラットフォームを拡大するためにシリーズAラウンドで6300万ドル(約67億円)を調達したと発表した。同プラットフォームはウェブやモバイルのアプリを介して中間・ラストマイルの配達企業がオンデマンドレンタル車両を遠隔から管理するのをサポートする。プライベートエクイティファームのBison Capitalが本ラウンドをリードし、Ingka Investments(Ikeaの親会社Ingka Groupの投資部門)、米州住友商事、Fluid Vehicle Ownersが参加した。

外部から資金調達するのは初となる今回の投資は、創業4年のFluid Truckが急成長している中でのものだ。創業者でCEOのJames Eberhard(ジェームス・エバハルド)氏は、売上高が過去2年で100倍になったとTechCrunchに語った。そうしたタイプの成長は有望のように聞こえるが、同氏はベースラインを明らかにしなかったのでその規模を判断するのは難しい。

2020年から2025年にかけてeコマースはグローバルで年平均成長率9.5%で引き続き拡大する見込みで、アクセスしやすいレンタルトラックの需要は相関的に成長するとみられる。eコマースがFluid Truckのターゲット産業の1つであることは驚きではない。

米国の25マーケットで事業を展開しているFluid TruckはカーシェアリングZipcarの商用版だ。引越し業者やeコマース配達企業はFluid Truckのプラットフォームを使ってトラックをレンタルできる。Fluid Truckの事業所に対するアピールは「購入したりリースしたりする必要はありません」以上のものだ。同プラットフォームでは、配達を行う企業は車両を管理・維持して最終的に売却するためのスタッフを管理するマネジャーを置く必要がなくなる。

トラックの購入や管理を外注したい事業者は、Fluidのサービスネットワーク内の工業団地や小売エリアでレンタル可能な車両を見つけることができる。

「プラットフォームに行き、トラックを借り、わずか数分でトラックに乗ることができます。これは事業者がトラックを増やしたり減らしたりするのを可能にします」とエバハルド氏は話した。「当社のユーザー行動が、必要とする全車両を所有するというものから、Fluidで予備の車両を手に入れる、というものに変わっているのを目の当たりにしています」。

エバハルド氏はそうした種の補充使用が、企業が各トラックを所有せずにFluid Truckのプラットフォームを使う状態に変わることを願っている。

Fluid Truckは予約やレンタルプロセスがスムーズなものになるようにデザインされた同プラットフォームのテクノロジーにより、U-HaulやRyder、その他の小規模事業者が独占しているマーケットで競争力を持つことができると主張する。レンタル店に行って順番を待つというプロセスは遅くて雑だが、Fluid TruckのアプリはバンのレンタルをUber車両を呼ぶのと同じくらい簡単なものにするとエバハルド氏は話す。

「複雑さをすべて取り払い、バーチャル車両を持てるようにしています」とエバハルド氏はTechCrunchに語った。

Fluid Truckの車両は貨物バン、ピックアップトラック、大型ボックストラック、その他さまざまな車両などで構成され、現在数千台があり、間もなく何万台という規模になる。同社はまた、米国で最も多く中型EVレンタル車両を所有していると主張する。同社は車両台数を拡大するために複数のOEMと協業し、台数を増やし続けている。それでも、商用サイドのEVの浸透は緩やかなため、同社が所有する全車両におけるEVの割合はまだ1%にも満たない。

Fluidがトラック分野で圧倒的な存在になることをエバハルド氏は願っている。しかしトラックシェアアプリを展開しているのは同社だけではない。競合相手のGoShareとBungiiも似たようなサービスを提供している。

今回の巨額のラウンドは、デジタルトラックシェアリングにおいてFluidがよく知られた存在になるのに有利に働くかもしれない。そしておそらくさらに重要なことに、同社はIkeaの注意と投資を引きつけている。

「これはIkea小売がラストマイルの配達サービスを顧客に提供できるようにする新たな取り組みであり、環境への負荷を減らしながら顧客との約束を改善し続けます」とIngka InvestmentsのマネジングディレクターKrister Mattsson(クリスター・マットソン)氏は声明で述べた。このコメントから将来Fluidと提携することが予想される。

今回調達した資金でFluidは事業拡大を目指す。チームを増強し、米国で更に数十のマーケットでサービスを展開し、欧州とカナダへの進出も準備する。

Fluid Truckはまた自社のテクノロジー部分にも投資する。ここには車両のサービスやメンテナンスを予測して自動化するための社内テレマティクスプラットフォームが含まれる。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Fluid Truckトラック資金調達

画像クレジット:Fluid Truck

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

完全招待制のプロ人材マッチングサービス「WUUZY」が2500万円を調達、正式リリースも発表

完全招待制のプロ人材マッチングサービス「WUUZY」が2500万円を調達、正式リリースも発表

「プロ人材」に特化した完全招待制のマッチングサービス「WUUZY」(ウージー)を提供するWUUZYは3月1日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による2500万円の資金調達を実施を発表した。引受先はbasepartners。累計資金調達額は約3000万円となった。また同日、WUUZYを正式リリースした。

調達した資金は、組織拡充およびプロダクトの開発にあてる。

同社によると、プロ人材の活用という選択肢はポピュラーになっており、現在では「何を任せたら良いのか?」「誰が適切なのか?」といったマッチングの精度に関心が集まっていると考えているそうだ。

そこで、AIを活用した「マッチングアルゴリズム」をはじめ、「プロ人材のリファラル関係から信頼を担保する仕組み」など、プロ人材の持つ強みと企業の課題を適切に結びつけるプロダクトを開発していくとしている。

完全招待制のプロ人材マッチングサービス「WUUZY」が2500万円を調達、正式リリースも発表

WUUZYは、「優秀な人材が欲しいけど、正社員じゃなくてよい」「ジョブ型時代というけど、誰に頼めばいいかわかからない」といった悩みを解決するために生まれたサービス。

また同社によると、WUUZYは人材マッチングではなく、「ソリューションマッチング型」サービスという。企業へのヒアリングの基、課題の因数分解を独自の方法で行っているそうだ。WUUZYにはあらかじめ「9つのパッケージ」(ソリューション)を用意しており、課題とパッケージのマッチングを行うことで、そこに紐づくプロ人材を紹介している。

完全招待制のプロ人材マッチングサービス「WUUZY」が2500万円を調達、正式リリースも発表

WUUZYには、様々な領域のプロ人材が「完全招待制」によって200名以上登録。WUUZYへの新規登録は、既存登録者からの招待がないと行えない。登録時は、招待主からのリファラルとして推薦文が必要で、経歴書では伝わらない信頼を担保しているそうだ。

また企業に対する支援を、オンラインで実施することに特化しており、これにより「時間」や「場所」を気にすることなく「安価」に活用できるという。

多くの企業が副業を解禁している中、「副業人材の数が多くて誰に頼めばいいかわからない」という現状に対して、プロ人材に特化したジョブ型マッチングサービスを展開し、企業の成長を支援するとしている。

関連記事
注目の副業系サービスをまとめたカオスマップ2020年版が公開
ウォンテッドリーが新プロフィールページを全ユーザーに公開、ビジネスポートフォリオとして利用可能
フリーランス・副業向けのオンラインリファレンスチェック「Parame」が数千万円規模の資金調達
登録者は2万人を突破。YOUTRUSTは副業・転職にとどまらない日本最大のキャリアSNSを目指す
HRテックのROXXが2億円を調達、VCとその投資先向け「back check VC連携プラン」も開始
LINEが企業とユーザーのスキマ時間をつなぐ求人サービス「LINEスキマニ」を2021年2月24日開始
副業プラットフォーム「Kasooku」が約1.9億円調達、マッチング件数は5000件突破
エンジニアやデザイナーと企業をつなぐ副業・複業採用プラットフォーム「Offers」運営が1億円調達

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:WUUZY(企業・サービス)資金調達(用語)副業リファレンスチェック日本(国・地域)

インドのフードデリバリーZomatoが約263億円調達し企業価値約5672億円に、2021年前半にIPO予定

2カ月前に6億6000万ドル(約693億3000万円)のシリーズJラウンドを終えたばかりのZomato(ゾマト)が2億5000万ドル(約262億6000万円)を調達した。インドのフードデリバリースタートアップは、2021年中のIPOに備えて軍資金を蓄えている。

関連記事:インドのフードデリバリーZomatoが682億円調達、業績は急回復

Kora(1億1500万ドル、約120億8000万円出資)、Fidelity(5500万ドル、約57億8000万円出資)、Tiger Global(5000万ドル、約52億5000万円出資)、Bow Wave(2000万ドル、約21億円出資)、およびDragoneer(1000万ドル、約10億5000万円出資)が、創立12年のインド、グルーガオン拠点のスタートアップに資金を投入した。Zomatoの上場済み投資家であるInfo Edge(インフォ・エッジ)が地元証券取引所に提出した書類でわかった。この投資によってZomatoの投資後企業価値は2020年12月の39億ドル(約4096億1000万円)から54億ドル(約5671億5000万円)に増えた、とZomatoの18.4%を保有するInfo Edgeは述べている。

新たな出資は、2020年資金調達に苦労したZomatoに対する投資家の信頼を強化するだろう。Zomatoは2020年初めにUberのインド国内フードデリバリー事業を買収し、Prosus Venturesが支援するSwiggy(企業価値36億ドル、約3781億4000万円)とインド国内で競っている。2社合わせて44万以上のデリバリーパートナーを擁し、この数字は同国の郵政機関であるインディア・ポストが雇用している従業員よりも多い。

関連記事
インドのフードデリバリーのZomatoがシンガポールの国家投資部門から65.9億円を調達
Uberがインドのフードデリバリー事業を現地ライバルのZomatoに売却

三番手のAmazon(アマゾン)も2020年フードデリバリー市場に参入したが、営業地域はバンガロールの一部に限られている。

関連記事:アマゾンが新型コロナ禍中のインドでフードデリバリーを開始

Bernsteinのアナリストがクライアント向けに書いたレポートによると、インドのフードデリバリー市場は2022年には規模が120億ドル(約1兆2630億円)に急増すると言われている。約50%の市場シェアを持つZomatoは現在3社の中でリードを保っている、とBernsteinのアナリストは述べている。

「インドのフードテック業界はユニットエコノミクスの回復とともに持続可能に成長する好位置にいます。インドのテイクレート(受託販売手数料率)は20~25%という最高水準にあり、消費者人気も高まっています。この市場はZomatoとSwiggyが合計80%以上を占める複占状態です」とBank of Americaのアナリストが最近の記事に書いていた。

ZomatoとSwiggyはここ数年年財務状態が改善しており、フードデリバリー市場で利益を上げることが難しいと言われているインドでは、ことさら魅力的だ。配達商品価格の平均が33ドル(約3470円)の米国をはじめとする欧米諸国と異なり、インドでは同じような商品が3~4ドル(約320〜420円)で販売されている。

どちらの会社も2020年新型コロナウイルスパンデミックの影響を受け、何百もの人員を削減した。ZomatoのファウンダーでCEOのDeepinder Goyal(ディープンダー・ゴヤル)氏は2020年12月に、フードデリバリー市場は「新型コロナの影響から急速に這い上がろうとしています」と語った。

「2020年12月は当社史上最大GMV(流通取引総額)の月になります。現在私たちは前回のピークだった2020年2月より25%近く高いGMVを達成しています。これから起きること、お客様とデリバリーパートナー、レストラン・パートナーのために私たちが与える影響のことを思いワクワクしています」と彼はいう。

2020年9月に送った従業員宛メールでゴヤル氏は、「Zomatoは2021年『前半のどこか』でIPOを実施する予定であり、『将来のM&Aや我が社のさまざまな分野におけるライバルからの攻撃や価格戦争』に備える軍資金を蓄えるために資金調達を行っている」と語っていた。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Zomatoインド資金調達フードデリバリー

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uberは新型コロナによる在宅勤務を2021年9月中旬まで延長

Uberは米国時間2月18日、在宅勤務を2021年9月13日まで延長することを従業員に通知した。

「延長の検討においては、各国が異なる回復ステージにあるという事実、新学年の開始など、最新の科学的データや専門家の意見を参考にしました」と同社のCPOであるNikki Krishnamurthy(ニッキ・クリシュナマーシー)氏は従業員への電子メールに書いた。この電子メールはTechCrunchも内容を確認した。「CommOps、IT、その他の部門の一部従業員がオフィスに出社しなければならないことは理解しています。ですので、所属部門が導入した規則の範囲内で業務を継続してください。ただし、いつものことですが、健康上の懸念を抱えている人に出社は強要しません」。

Uberはまた、可能になったときには新型コロナウイルスのワクチンを接種するよう推奨している。電子メールの中でクリシュナマーシー氏は、ワクチン接種のためにUber従業員は仕事を休むことができると述べた。

2020年8月に同社は従業員に2021年6月まで自宅から働くことになると通知した。他のテック企業はというと、Google(グーグル)は2020年7月に在宅勤務措置を2021年6月までに延長し、Facebook(フェイスブック)は2020年8月にリモートワーク措置を2021年7月までに延長した。

関連記事:フェイスブックが新型コロナによる在宅勤務措置を2021年7月まで延長

新型コロナ後はUberはおそらくハイブリッドな勤務モデルを導入するとクリシュ氏は述べたが、まだ取り組んでいる最中だ。

「オフィスで一緒に働くことにどれくらいメリットがあるか、あるいは生産性やコラボレーション、エンゲージメントを減らすのか、我々はさまざまな面を考慮しています。現況や進捗状況を数週間以内にアップデートします」と同氏は書いている。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Uber新型コロナウイルスリモートワーク

画像クレジット:JOSH EDELSON/AFP / Getty Images

原文へ

(文:Megan Rose Dickey、翻訳:Nariko Mizoguchi

ローカル配送のgoPuffが同業の英Fancy買収に向け協議中

独自の「マイクロフルフィルメント」ネットワークを運営し、市販薬、ベビーフード、アルコールなどを30分以内に届けることを約束している米国のスタートアップGoPuffが、英国のFancy Deliveryの買収に向けて交渉をしていることがTechCrunchにより明らかになった。

情報筋によると、買収の条件はまだ具体化されておらず、また買収自体もまだ実現していないという。しかし、早ければ数週間以内に発表があるかもしれない。GoPuffはコメントを拒否しており、Fancyの創業者も情報を明かしていない。

2020年末にローンチしたFancyは現在、英国の4都市で事業を展開しており、シリコンバレーのアクセラレーターY Combinatorの卒業生でもある。その事業モデルは潜在的な買い手と驚くほどよく似ており、小さなgooPuffと表現する人もいる。この2社は完全に垂直統合されており、それぞれが独自のドライバーと契約し、オンライン注文やハイパーローカル配送に特化して設計されたマイクロフィルメントセンター(「ダークストア」と呼ばれることもある)を運営している。

戦略的にはFancyの買収は相性が良さそうで、注目すべきはgoPuffがゼロから始めるのではなく、新興のローカルプレイヤーを買収することで英国に進出しようとしていることを示している点だ。情報筋によると、FancyはFancyブランドとして運営を継続し、goPuffは雇用やフルフィルメントセンターの追加開設など、成長のための投資を行う意向があるという。またある情報筋はTechCrunchに、今回の買収はすべて株式取引で行われるだろうと伝えている。

GoPuffは最近39億ドル(約4110億円)の評価を受け、これまでに13億5000万ドル(約1420億円)の資金を調達している(支援企業にはAccel、D 1 Capital Partners、Luxor Capital、SoftBank Vision Fundなどが含まれる)。同社はすでに米国の500都市で事業を展開しており、最近ではアルコール関連のBevMoを買収した。

関連記事:日用品を30分以内に届けるデリバリースタートアップのgoPuffが4100億円超の評価額で約400億円を調達

一方、ヨーロッパではgoPuffの垂直統合モデルにインスパイアされたスタートアップが続々と誕生している。ベルリンのGorillas、ロンドンのDijaとWeezy、フランスのCajooなどだが、これらはいずれも生鮮食品や食料品に重点を置いていると主張しており、利益率が厳しいのは間違いない。またステルス状態にあるが、より利益率の高いコンビニエンスストアの提供に力を入れているZappのようなスタートアップもある。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:goPuffFancy買収フードデリバリー

画像クレジット:Fancy Delivery

原文へ

(文:Steve O’Hear、翻訳:塚本直樹 / Twitter)

フードデリバリーのDoorDashがサラダづくりロボットのChowboticsを買収

DoorDash(ドアダッシュ)はキッチンにロボティクスを取り込もうとしている。デリバリーサービスの同社は、サラダを作るロボットSallyで知られるベイエリア拠点のChowbotics(チョウボティクス)を買収する。ウォールストリートジャーナル紙が買収を最初に報じ、TechCrunchも確認した。

「新鮮な食事へのアクセスを増やすために画期的なロボットプロダクトとビジョンを持ってChowboticsが成し遂げたことに長年感心していました」とDoorDashの共同創業者Stanley Tang(スタンリー・タン)氏はTechCrunchへのコメントで述べた。「DoorDashは常にイノベーションに取り組み、パートナーである業者の成功のサポートを改善し続けています。新たな方法でサポートするためにこのテクノロジーを活用することに興奮しています。Chowboticsのチームとともに我々は、業者の成長をサポートするサービスを提供しつつ、新たなユースケースや顧客を開拓できます」。

2014年創業のChowboticsは2018年の1100万ドル(約12億円)を含め、これまでに2100万ドル(約22億円)を調達した。サラダバーやビュッフェはオープンな環境で提供されがちという事実は言わずもがなだが、同社の自動販売機スタイルのサラダバーロボットは準備工程に人の手を介さない。そのため、パンデミックの中ですでにいいポジションにつけている。2020年10月に同社はロボットにコンタクトレスの機能を加え、ユーザーがアプリ経由であらかじめ注文できるようにした。

「DoorDashのチームに加わることでChowbotics、そして当社が過去7年かけて開発したテクノロジーにとって新たな機会が開けます」とCEOのRick Wilmer(リック・ウィルマー)氏は声明で述べた。「フードデリバリーとオンデマンドロジスティクス業界のリーダーとして、DoorDashは我々が成長し、またテクノロジーを広く展開するのに役立つ比類ないリーチと専門性を持っています。ですので、ともに我々は新鮮で栄養価の豊富な食品をより多くの人のために簡単に作ることができます」。

Chowboticsのテクノロジーが、現在DoorDashが提供しているデリバリーサービスにいかに溶け込むかは完全にはっきりしていない。しかしDoorDashは「新鮮で安全な食べ物への消費者のアクセスを改善し、当社の業者の商品やロジスティクスのプラットフォームを強化します」としている。また、ChowboticsがDoorDashの傘下で独立した企業として事業を続けるのかどうかも今後明らかになる。TechCrunchはさらなる詳細を尋ねている。

「DoorDashは業者がさらに事業を拡大させたいときに最初に声がかかるように努めています」とタン氏は述べた。「Chowboticsで最も感激している点は、Chowboticsのチームが業者の成長をサポートするすばらしいツールを開発したことです。ChowboticsのテクノロジーをDoorDashのプラットフォームに組み込むことで、我々は業者が現在展開しているメニューを増やしたり新たなマーケットの新顧客にリーチしたりするのをサポートする機会を得ます。これは地域経済を活性化させるための当社の業者ファーストのアプローチの基本的な部分です」。

DoorDashがロボティクス企業と協業してすでに数年が経つ。おそらく最も代表的な例がフードデリバリーロボットを開拓するためのStarship Technologies(スターシップ・テクノロジーズ)との提携だ。しかしこのテクノロジーは、歩道をロボットに明け渡したくない当局の間では相当数の障害物となっている。DoorDashはChowboticsのキオスクスタイルのテクノロジーを、ゴーストキッチンとの自社の業務になぞらえる。ローカルの業者が、店舗であるいはデリバリーを通じて提供する食品の選択肢を拡大するのに役立つコンジットとして効果的に機能するというものだ。店舗が提供するメニューの拡大は、現在のパンデミックが過去のものになれば関心を集めることになりそうだ。

買収の条件は明らかにされなかった。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:DoorDashChowbotics買収

画像クレジット:chowbotics.com under a license.

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi