KDDIのインキュベーション、∞Labo 第4期生採択チーム発表 – 新たにHTML5枠も追加

kddi ∞ Labo 4th

本日、KDDIが運営するインキュベーション、∞Laboの第4期プログラムに参加する7チームが発表された。今回から新たにHTML5枠が設けられた。さらに、KDDIの社内から2チームも参加することが発表された。

KDDI∞Laboについては本誌で何度か取り上げているが、内容としては社内・社外アドバイザーによるメンタリングやオフィス・開発環境などが3カ月間提供されるプログラムだ。

それでは第4期参加チームをご紹介しよう。

Class

平均年齢22歳の学生中心のWe-bが開発するのは青春時代をもう一度迎えるためのSNSだ。学校のような体験をもう一度することで新しい友達を作ることを目指している。サービスに生年月日を登録すると、同い年の男女10人でクラスが作成される。このクラスは同世代からランダムに選ばれるので、学校に通っていた時と同じように新しい出会いがある。

このクラスは1カ月限定で、その間にコミュニケーションを取り、友達を増やそうというものだ。サービス内では1日に1つお題が出され(中学の時に流行ったものは?など)、それについて会話を発展させていく。

社会人になると、同業者の仕事の繋がりでしか出会いの場がない人は多く友達を作る機会が減る。これを学校の体験を再度提供することで解決しようとしている。

事前登録者は3日間で2000人を越えたというので、ニーズはそれなりにあるのかもしれない。

KawaiiMuseumJPN

日本から世界に通用するキャラクターを増やすというビジョンの基、Facebookページでかわいいキャラクターの写真を投稿しているのがKawaiiMuseumJPNだ。Tokyo Otaku Modeをイメージしてもうとわかりやすい。すでにFacebookページには361万の「いいね!」がついており8カ月でこの数字を達成した(Tokyo Otaku Modeは現在1,103万いいね!)。

今後はFacebookページの運用だけではなく、キャラクターコンテンツを流通させるためのプラットフォームを開発し、ECサイトから収益を上げる予定だという。

また、ECサイトの他にキャラクターグッズを扱っている実店舗への集客を支援するサービスの開発も考えているそうだ。

Canvas Creator

今期から新設されたHTML5枠での採択となったCanvas CreatorはHTML5のWebアプリをGUIでデザインするためのツールだ。コードを書くことなくWebアプリをデザインでき、パワーポイントのように簡単にオブジェクトを配置できる点がウリのサービスだ。

HTML5を利用したWebアプリはまだ少ない。その原因はネイティブアプリよりもデザインの開発が難しいことにあるという。Webアプリは主にHTML、CSS、JavaScriptを用いるがCSSは元々PCで表示することを前提として作られたため、モバイルのデザインには適していない点が多いと代表取締役の宮崎航氏はいう。

GUIでWebアプリをデザインするツールといえば、AdobeのMuseなどが有名だが、これもCSSでレイアウトを作成するためスマホ向けには向いていないそうだ。

デモはまだ見ていないが、Webアプリに関しては賛否両論なだけにクオリティーの高い完成品に期待したい。

mygrow.jp

mygrowは教育向けのサービスで、生徒の成長を記録・共有するためのものだ。このサービスを運営するのはLife is Tech!というスタートアップで2年半前から教育に関する事業を展開してきた。主に中高生向けのIT教育のキャンプを開催し、パソコンやものづくりに興味を持つ学生達を支援してきたという。

キャンプの開催回数が増えてくると、最初は30人だったものも前回は300人規模になり、個人個人に適した教育が難しくなってしまった。この問題を解決するために生徒の成果を記録として残し、可視化することで特徴や能力を把握しようという。

TRAPRO

学生枠で採択されたのが社会問題を解決するためのプラットフォーム、TRAPROだ。少子化や地球温暖化など社会問題は日に日に増えていくが、これらが解決されることは少ない。だが、なぜ社会問題は解決しないのだろうか。それは問題が自分に関係しない、身近に感じられない、問題に対して何ができるかわからないことが原因ではないかと代表の安倍敏樹氏はいう。

社会問題には、感心が持てないこと、社会問題の情報が一括化されていないこと、現地に行くすべがないこと、この3つの障壁があるという。TRAPROでは、ユーザーが気になる社会問題をサービス上に投稿し、賛同する支持者を募る。支持者が集ったら、問題に関連するNPOに持ちかけたり実際の活動を行う。

社会問題を解決するためのプラットフォームが存在することで、これまで何もアクションを起こせないでいた人達が出会い、問題の解決に繋がる行動への導線を構築する。

すでに原発の現状を見に行く活動では30人が集まり、1人5万円を払い福島に150万円の貢献をしたそうだ。

以上が外部から参加した第4期採択チームだ。

この他に1週間の献立を1秒で作ってくれる「1Week Recipe Matching」、カップルのデートをより充実させるためのイチャイチャサービス「いちゃつい」の2チームがKDDI社内から参加している。

今回採択された少人数制SNSのClass、教育サービスであり行動を記録するmygrow.jpは第3期採択チームと比較するとクローズドSNSのClose、SNSのログをまとめるLogTown、学習支援プラットフォームのmana.boとシナジーがあるように思える。

KDDI∞Laboから明示的にサービス内容についての基準は発表されていないが、少人数制SNS、ログを残すサービス、教育系に関してはやや力を入れているのかもしれない。


TC Tokyoスタートアップバトル出場サービス – 全自動会計ソフトのfreeeがリリース

freee logo

昨年11月に開催されたTechCrunch Tokyoスタートアップバトルに出場してくれたCFOが全自動クラウド型会計ソフトfreeeのリリースを発表した。このサービスは従来の面倒な経理業務をクラウド上で行ってくれるサービスだ。

本誌では昨年12月にはシリコンバレーのベンチャーキャピタルDCMから5,000万円の資金を調達した際にも取り上げているが、ロゴのイメージが大幅に変更されたので気づかない方も居るかもしれない。特徴的だった雲の上で足を組んだおじさんのロゴは廃止され、素早いイメージのツバメに変更された。

freeeは既存の会計サービスと最終目標は同じだが、仕組みが興味深い。ユーザーの銀行やクレジットカードのWeb口座をfreeeと同期し、入出金明細を取得することでデータを解析してくれる。

解析したデータは自動的に仕訳してくれるので、Web上に履歴が残っているものならばほとんど自分で作業をする必要はない。例えば、明細に「タクシー」という単語が入っていれば、「旅費交通費」に紐づけるように単語ごとに適切な仕訳をしてくれるそうだ。

もちろん、明細によっては的確に仕訳されないこともあるだろう。CFO代表取締役の佐々木大輔氏によると、ベータ版運用時にはクライアントにもよるが、精度は7割から8割程度だったという(銀行よりもクレジットカードの方が詳しく記載されているので、クレジットカードの方が精度は高くなる)。

8割程の精度があれば、かなり経理業務の負担が軽減される。しかし、Web口座をサービスと連携することには抵抗を持つユーザーは多いだろう。そのためfreeeはこの課題をクリアしなければならない。

この点に関してはfreeeは個人情報の取扱いにおいて一定基準の安全性を確保している証拠であるTRUTe(トラストイー)による認証を取得してあるし、データ自体はファイアーウォールで遮断された場所に保存されてあるので安心して欲しいと佐々木氏はいう。

それでも、ユーザーの中には最初はWeb口座を連携せずにCSVでファイルをアップロードし、仕訳をする企業もあるだろう。だが、何度も繰り返し利用するうちにfreeeの利便性が不安に勝ち、最終的にはWeb口座を連携してくれると考えているそうだ。

総務省によると日本の中小企業における平成24年度のクラウドサービス利用率は17パーセント(米国は54パーセント)であり、佐々木氏によると、クラウド型の会計ソフトとなると利用率1パーセント程度だという。

米国ではクラウドサービス利用率54パーセントのうち、ある一定の割合は会計ソフトも含まれているというので、日本でも浸透するのは時間の問題かもしれない。

今後の展開としては、請求書の作成や管理機能、APIの提供、ネイティブアプリの開発などを予定している。

freeeは本日から6月末までは全て無料で利用でき、その後はフリーミアムモデル(無料、月額980円、1,980円)で提供される。

 


ウェブアプリケーション用インタフェースビルダーを提供するDivshot、シードラウンドで110万ドルを調達

サンタモニカのDivshot発表によると、同社はシード資金として110万ドルを調達した。Divshotはウェブアプリケーションのインタフェースをドラッグ&ドロップで作成するためのサービスを提供している。本ラウンドはRincon Venture Partnersが主導したもので、500 Startups、Daher Capital、Floodlight Ventures、Cooley LLP、Drummond Road Capital、そしてEric Hammondが参加している。

Divshotが運用を開始したのは、カンザスで開催されたStartup Weekendというイベントがきっかけだ。イベントにおいて、他の開発者たちからの絶賛を受け、共同ファウンダーのMichael BleighおよびJake JohnsonがDivshotにフルタイムで専従することを決意したのだった。またCrowdStart LAにも参加して、Right Side Captalから設立資金の25万ドル及び、将来的な資金調達についても相談し得る地位を獲得した。また最近までLaunchpad LAにも属していた。

Divshotはさまざまな経験の中で、サービスの外観をシンプルでかつ実用的なものに変更してきている。そうした方が開発者たちからの評価が高くなることを発見したのだそうだ。

当初、DivshotではTwitterによるUIフレームワークのBootstrapを利用していた。そのフレームワーク上で動作するWYSIWYGエディタを提供してインタフェースやモックアップの開発速度を向上させるというサービスを提供していたのだ。しかし「私たちの目的はひとつのフレームワークでのみ動作するニッチなツールを開発することではないのです」とBleighは述べる。その発言通り、DivshotはZURB Foundationおよびモバイル用CSSフレームワークのRatchetのサポートをアナウンスしている。

「ウェブ開発における標準ツールの地位を獲得し、ビジュアルデザインの世界でAdobeのCreative Suiteが占めているような立場に立つ可能性もあると考えているのです」とのこと。

2000名以上の開発者とのプライベートテスト段階を経て、昨年10月に一般公開となった。その当時で9000人以上の開発者が利用を希望していたのだそうだ。口コミなどによる評判が広がり、今では40000名以上の人が利用している。

最近は「Divshot Docs」というオープンソースのドキュメントサイトも公開して、ここにガイド、チュートリアル、Tips、ちょっとしたトリック系の使い方などの情報を掲載している。オープンソースというやり方に非常に積極的であるようだ。

Divshotの公開ベータには、こちらより、現在のところ無料で参加することができる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


あなたを驚かせる起業家に関する12の真実

起業家というと、最近はIT・ネット系の若き挑戦者的なイメージばかりを思い浮かべてしまいますが、最近アメリカで行われた起業家に関する調査によると、実態はかなり違っているようです。起業は若者のモノ、起業するならリーンスタートアップができるネット系、、、そんなあなたの固定観念を覆す興味深いデータが満載の記事を。 — SEO Japan

私には、平均的な起業家がどんな感じであるか頭の中で描いているイメージがある。とても若く、FacebookやTwitterを使いこなし、小豆と米を主食としたライフスタイルで1週間に80時間以上働き机で睡眠を取るような人だ。いくつかの部分では、私は正しいのかもしれない―しかし、多くの場合、私は全く間違っている。このことが起業家のためのカウフマン財団からの最近の調査によって示された。この調査のタイトルは、“起業家の解剖学”である。それは、様々な業界にわたる(それこそが私の最初の間違いだ―結局のところ、起業家はインターネットソフトウェア会社以外の会社を始めているのだ―知ってた?)549人の会社創設者に対するアンケートを基にしている。

とにかく、この調査から私が最も興味深いと思った点をいくつか紹介する。

1. 会社創設者が現在の会社を始めた時の年齢の平均および中央値は40だった。

2. 回答者の95.1%が学士号、47%がそれ以上の学位を持っていた。

3. 超裕福もしくは超貧乏な環境からやって来た人は1パーセント未満。

4. 創設者の15.2%が、自分より前にビジネスを始めた兄弟姉妹を持っていた。

5. 回答者の69.9%が、最初のビジネスをローンチした時に結婚していたと答えた。さらに5.2%が離婚、別居、死別していた。

6. 回答者の59.7%が、最初のビジネスをローンチした時に少なくとも1人の子どもがいたと答えた。また、43.5%は2人以上の子どもがいた。

7. サンプルとなった起業家の大部分は、複数回起業していた。回答者によってローンチされたビジネスの平均数は、およそ2.3。

8. 74.8%が、起業家になることの重要なモチベーションとして富を築く願望を挙げた。

9. 従来の雇用を見つけることができないことがビジネスを始める際の重要な要因であると言ったのはたったの4.5%のみ。

10. 起業家は、通常、その両親よりも良い教育を受けている。

11. 起業家精神は、必ずしもその家族に流れるものではない。回答者の半分以上(51.9%)が、家族の中で初めてビジネスをローンチした人物だった。

12. 回答者の大部分(75.4%)は、自分の会社をローンチする前に他の会社で従業員として6年以上働いた経験があった。

上の結果のどれがあなたを最も驚かせ、あなたの持つ起業家のイメージを変えただろうか?


この記事は、OnStartupsに掲載された「12 Facts About Entrepreneurs That Will Likely Surprise You」を翻訳した内容です。

私が思っていたイメージと違うものが多く、何度も「へぇー」と一人で感心?してしまった記事でした。まず平均年齢が40歳というのは、最近のネット界隈の若手起業家を見て不安になっていたアラフォー世代の起業志望の人にも安心?の内容でした。起業時に結婚していたり子供がいる人が半数近くいるのも年齢を考えれば当然かもですが、驚きといえば驚き。複数回起業している人が大半というのはアメリカらしい気もします。4人に3人がお金儲けを起業のモチベーションにしているのも、理想論が語られがちな日本と比べると現実的というか。

さて、皆さんの起業家に対するイメージを変えるデータはあったでしょうか? — SEO Japan [G+]

OrchestraからMailboxへ。 奇跡の転換を可能にした7つの理由

編集部注:Semil ShahTechCrunchの非常勤ライター。Twitterアカウントは@semil

先週金曜日(米国時間3/15)のDropboxによるMailboxの買収は、2012年4月にFacebookがInstagramを買収して以来、テク業界にとって最大の驚きだった。実際それは注目に値する出来事だった。金額の大きさ以外のさまざまな理由によって、Mailbox買収の陰にはテクコミュニティーの心を把む興味深い物語がたくさんある。

その1。Mailboxが資金調達したのは、2011年秋の1度だけだ。2011年11月に調達が発表された時、同社は“Orchestra”という共有可能なto-doリストアプリの会社として知られていた。製品公開前の初回ラウンドでの500万ドルは高いと思われ、小さく始める「リーン・スタートアップ」の概念からは外れていた。正確なところはわからないが、当時500万ドルは同社の約20%に相当していたと思われる。

その2。Mailboxは驚くほど良く考えられた転換だった。Orchestraのチームは、自分たちの製品が突如としてメジャーなヒットになることはないと計算した。これは実に難しい選択だった。一つの製品から全く異なる製品へと転換する際、Orchestraのチームは素早く状況を見直しMailboxを一から作った。過去の学習結果を生かしつつ、会社の中核から再スタートを切った。

その3。MailboxはiOSから始められた。OrchestraにはiOS版とウェブ版があり、同社のデザインおよびクロスプラットフォームでの同期技術も極めて優れていたにもかかわらず、MailboxはiOSでのみ公開され、他のプラットフォームに展開することなく、爆発的な話題を呼び買収された。InstagramはAndroid版の開発までしばらく時間をかけ、買収される少し前に公開してインストールベースを大きく増やすきっかけとなった。Androidは順調に伸びている(iOSを超えたという見方もある)が、アプリケーションの価値を決めるのは未だにiOSだ。

その4。Mailboxは鮮やかなマーケティング手法を用いて、iOS App Storeの厄介な配布の壁を乗り越え、多くの話題を生みだした。Mailboxの悪名高き「予約システム」によって、利用者はApp Storeからアプリをダウンロードできるものの、番号を呼ばれるまで待たなくてはならない。このしかけは、製品公開を控えた多くのモバイル系スタートアップ(Tempoなど)の間で、話題作りの方法として噂の的になった。

その5。この買収に向けてDropboxの行動も同社の戦略に光を当てることになった。2011年秋に非常に高額な評価額で現金2.5億ドルを調達したDropboxは、単なるストレージサービス以上の何かを求めて手の込んだ行動に出ていた。懐疑的な人たちは、Dropboxの評価額の高さが原因で交渉のチャンスを逃がしているかもしれないことから、成功を疑問視している。ブロガーを2人お薦めしておく。一人は、TechCrunchのIngrid Lundenで、Dropboxの進む方向について優れた記事を書いている他、数ヶ月前には同社によるSnapJoyの買収を分析した。もう一人Spark CapitalのAndrew Parkersは、ファイルシステムの歴史とDropboxの方向性について先見性のある記事を書いている。

その6。Mailboxは、メールの「スワイプアウェイ」と「スヌーズ」というユーザー操作に関して賞賛を欲びているが、こうしたジェスチャーの多くは、カラフルなiOS用to-doリストアプリ、Clearに触発されている。これらのジェスチャーをMailboxの発明だとする人たちもいるが、このケースには「平凡なアーティストは模倣する、偉大なアーティストは奪う」という言葉が似合うだろう。そしてMailboxのチームは、偉大なジェスチャーを見つけ、新しいアプリが待望されていたモバイルメールという製品カテゴリーに持ち込んだことを評価されるべきだ。

最後に、その7。それはあまりにも速かった。Instagramが立ち上がり、爆発的に広がり、急速に成長し、そして5000万ドルのシリーズB調達ラウンド完了のわずか2日後に買収されたように、Mailboxの物語もまた年ではなく月単位で語られる。2012年8月、Orchestraのファウンダーは、なぜメールが未だに問題なのかを分析する論評を本誌に寄稿している。非常に長期のベータテストらしきものの最中、影響力のある技術系ユーザーたちがMailboxを使う機会を得て公開の場で絶賛した。当時は検索もなく同期やプッシュ通知も不安定だったが、それはすばらしいバージョン1製品だった。2013年2月、Mailboxは正式に公開されたが、殆どのユーザーは行列に並ばなければならなかった。それ自身が物語となった戦術だ。そして、ご存じのように、3月15日、MailboxはDropboxに買収され、その対価は多くの人々がかなり大きいと感じる現金と株式だった。

以上7つの理由によって、この物語は人々の心を捉えている。そこまですごい製品ではないとか、もはやスタートアップは独立性を捨て大きくなりたがっているとか、スタートアップは騒がれるためにあるなど、何とでも言うことはできるが、OrchestraとMailboxの成し遂げたことは快挙と言う他はない。転換の決断は実に難しい。チーム全員を納得させることも実に難しい。それまでの成果を捨てることはモラル低下をもたらす。これまで十分な資金と数百万人のユーザーを持つ小さなスタートアップが、同じような転換を試みるところを何度も見てきたが、いずれも失敗に終っている。実際のところ重要で意味のあるブランドや製品を新たに作り出すことは、ほぼ不可能だ。長期ベータテストと予約システムと共に製品を公開するまでのマーケティング計画を発明した人は、まさしく天才だ。そしてMailboxを別のプラットフォームでも使えるようになることを多くの人々が夢見る中、このチームはDropboxの気前の良い申し出を受ける決断を下した。それは株主全員を幸せにし、上に挙げた状況を踏まえれば、石炭をダイヤモンドに変えるものだ。これこそがOrchestraからMailbox、そしてDropboxへの物語が人々の注目を集める理由だ。大きくて頑強な会社を作り上場させることは、雑誌の表紙を飾る成功例の1つだが、他の多くの人々にとって、魅惑的な出口 ― 各自にとっての「未読ゼロの受信箱」― を1つ見つけることが夢の実現だ。

写真提供: Digital Game Museum / Flickr Creative Commons

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


弁護士発見サービスを提供するLawdingo、Y Combinatorクラスに参加決定

オンラインでの弁護士検索サービス(しばしばその場で弁護士とコンタクトできる)を提供しているLawdingoY Combinatorのスタートアップクラスに参加することになったのだそうだ。

このLawdingoについては、昨年11月にも記事で取り上げている。サイトではまず専門分野や所在地によって弁護士を探すことができる。相談したい弁護士が見つかれば、アポイントを入れることができる。あるいは相手がオンラインならば「Talk Now」ボタンで会話を始めることもできる。サービスの目的は、良い弁護士を簡単かつ低コストで発見できるようにすることだ(コストの面で言えば、サイトに登録している弁護士には無料相談を受け付けている人もいる。またオフラインで探すよりも広い範囲から探すことができるわけで、確かにコスト面でのメリットはありそうだ)。

ファウンダー兼CEOのNikhil Nirmelは、YCに参加することになるとは想像もしていなかったとのこと。単なる謙遜に聞こえるかもしれない。しかしLawdingoは個人運営で、かつテック系のスタートアップというわけでもない。こうしたスタートアップがYCの出資対象の候補にあがるのは珍しいことかもしれない。逆に言えばYC側が確かな可能性を感じているということになるのかもしれない(東欧のチームと共同で運営しているが、アメリカ国内にてフルタイムでLawdingoに関わっているのはNirmelただひとりだ)。

サイトに登録されている弁護士の数は450名を超える。「どの法律事務所よりも急成長を遂げているわけですね」などと冗談を言っていた。

規模とともにビジネスモデルの方も成長しているようだ。当初、Lawdingoでは弁護士から登録料を徴収していた。しかし弁護士事務所により予算に違いがあるし、また対象とする潜在顧客によって、弁護士が手にする報酬も大きく異ることになる。そうした中で、固定の登録料というのはふさわしくないケースもあるだろうという考えにいたった。そこで現在はオークションモデルを導入している。特定顧客に対してどのような順序で表示されるのかをオークション方式で決定しようとするものだ。登録弁護士が増えれば、人気ケースにおいて上の方に表示されるために必要な入札額も高くなっていくことになる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


起業家が経験するスタートアップ売却の悲しみ

アメリカの起業家といえば、自ら創業したスタートアップも適切な時期にドライに売り抜け、一獲千金を獲得し、次の起業に挑む、、、そんなイメージがありますが、実際は皆がそういうわけではないようです。今回はスタートアップを売却する際に、世界共通の起業家の悲しみについて書き連ねた、余り他で見ない種類の告白的記事を。以前、起業家の妻の告白という記事を紹介したことがありますが、それにも負けて劣らない何か感じる部分のある内容です。 — SEO Japan

ファックス機に72ページ中34ページ目を差し入れた時、各ページのフッターを飾る“売主のイニシャル: _______”という大切な文面がぼんやりとかすみ、指が震えた。私は、このポンコツ野郎が一度に2ページをサッとつかんだり、斜めにしたりしないように、器用に各ページの上側を時代遅れの口に押し込んでいた。

これは過去6年の集大成だ。たくさんの苦労。たくさんのリスク。大勢のために平静を装った顔。サポートする証拠もないにも関わらず自分自身に課す変わらぬ楽観主義。給料を支払うことについて心配したあの眠れない夜。何かのエキスパートになることの養育。学ぶことによって立ち直らなければならない厳しい教訓。必要な時の後になって手に入る経験。チームのモラルのために鎮圧された内なる懸念。無賃に続く低賃金。“自分たちが殺したものを食べる”という精神。ほんの少しの収益、ひとかけらのバリデーションのためのろくでなしとの競争、物乞い、もがき、たかり。

それが終わった。やったのだ。やったぞ。これがアメリカンドリームなのか?

前の72ページの送信が成功したことを確かめて吐き出された73番目のページ。

そして…悲しみ

深い悲しみ。落ち込みではなく―絶望でも、かじがないわけでもない―、自分の犬が車に轢かれた、もしくは父親が末期患者であることが分かってみぞおちにパンチを食らって肺が胃に沈む時のような純粋な悲しみ。

“一体なんなのだ?何で私はこんな気持ちになっているのか?幸せな気持ちになるはずなのでは?こんな気持ちじゃなくて。”と私は思った。

ほぼ全てのスタートアップ創設者が、自分の会社を売却した後に深く長い悲しみを経験する。その売却がとてつもない成功である時にさえ。なぜだろう?

その答えは、全てのスタートアップ創設者にとって、会社を売る意思があるないに関わらず、大切で基本的なことである。

“私、Estyで自分の作品を販売してるの。見たい?”
- オースティンのコーヒー店のバリスタ

“あなたは誰?”と聞けば、彼女はこう答えるだろう:“私はアーティストよ。”

“あなたは生きるために何をしているの?”と聞けば、彼女はこう答えるだろう:“私はバリスタよ。だけど、それは私の昼間の仕事。私の作品を見たい?”

お金のためにコーヒーを注ぐから、彼女はバリスタなのか?自分のアパートを綺麗にするから、彼女はメイドなのか?

いいや、彼女はアーティストなのだ。なぜならそれが彼女の本当の姿だから。“バリスタ”は、目的のための数多くの必要な手段の1つだ。その“目的”は、人間の基本的要求に続いてアートを作ることだ。

スタートアップ創設者には、このような個人のアイデンティティと仕事のアイデンティティの区別が欠如している。そして、これが“売却ブルー”現象とその他の行動のカギなのだ。

スタートアップは創設者の個人的なアイデンティティだ。スタートアップは、目的を達成させるためにあなたがすることでも、あなたが“本当に”やりたいことの途中にある“必要悪”でもない。

スタートアップは執着だ。あなたは自分を抑えることができないからそれをする。他のことをしている時にもそれについて考えていたからだ。それは“あなたが誰であるか”の印だ。インタビューアーは私に“なぜあなたは2つ目のスタートアップそしてそのうちに4つ目のスタートアップをやることを決めたのですか?”と尋ねる。そして、その答えは、“最初のスタートアップを始めたのと同じ理由です―なぜなら、それが私のDNAで、私はそうしなければならないから”、である。

あなたは、スタートアップを持っている時、空き時間に何をしているだろうか?どの空き時間?これは、あなたの全ての時間である。それはあなたが眠りにつく前に考える最後のことではない。あなたを眠らせないことでもない。それは、マトリックスが空虚を埋めるように朝あなたの頭に流れ出る最初のことだ。そして、マトリックスは、実際にあなたの現実であり、そこにあなたは存在する。

それが、私がおんぼろのファックス機に法律用語を送り込む間に私の耳を通して口笛を吹いている出来事のような、苦痛な出来事をあなたが乗り切ることができる理由だ。あなたは消費されている、これがあなたの人生だ、これがあなただ。他のことが入る余地はない。

あなたが自分の会社を売ると、他の人はすぐに、“あなたは自分の子どもを売ったの?”のようなジャブを投げる。それはこういう意味だ:“あなたは裏切り者だ。”

それは自分の子どもを売るようなものだ。しかし、それはむしろ自分自身を売るようなものなのだ。もちろん、ビジネスは物理的にあなたとは別物であるし、間違いなくその成功はあなたのおかげというよりもあなたの信頼できる従業員のおかげだが、感情的にはそのビジネスは別個の存在ではない。

子どもを売ることについて言えば、これは、女性の70%が出産後に経験する“ベビー・ブルー”―モノアミンオキシダーゼAの上昇によって引き起こされる鬱状態―によく似ている。それらの女性の3分の1が、これを最大1年間経験する(産後鬱)。

それは、喪失と哀悼の気持ちと位置づけられる。それは、一見したところ、獲得と祝福という新しい命の到来とは食い違う。この知的な不一致は、2つ目の感情的効果、具体的に言うと、“新しい命を授かったのに悲しいなんて私は悪い母親に違いない”という破滅的な信条を生み出す。

ベビー・ブルーは会社を売るのと同じ感情的な影響なのか?そうではないかもしれない―私は、すでに“スタートアップは子どものようである”と言うのが好きではない。もしあなたがベビーとスタートアップの類似点を主張するのなら、産後鬱は責任の到来によって引き起こされるが、会社を売ることは責任の終わりである。

しかし、絶対に同じ1つのことは、“喪失と哀悼の気持ち”である。自分自身の一部が取り出されたのだ、決定的に。

これは通常の感覚であるだけでなく、圧倒的に大多数のケースである。コロンビアビジネススクール(Life after Exit)の長ったらしいがハイクオリティな研究が、22人の起業家にインタビューをしたところ、全員がこの影響を経験していた。中にはそのエネルギーを次のこと(ほとんどの場合は新しいベンチャー)に焦点を定め直す人もいたが、大部分の人はワクワクだけでなくアイデンティティを置き換えることができるものを見つけるのに何年もかかり、多くの人はその次のことをまだ見つけていなかった。

自分の会社を売ることは、彼らに別の疑問に回答することを強いる:もし何でもできるとしたら、あなたは何をしますか?仕事とは対照的に、あなたにとって本当に大切なことは何ですか?自分が本当に成長した時に、本当になりたいものは何ですか?

問題は、スタートアップがすでにそれだったということだ!それは、過酷な、とんでもなくクレイジーで、リスキーで、理不尽で、壮大な冒険である。それがあなたのしたかったことでなかったのなら、そもそもあなたはそんなことをしていなかっただろう。スタートアップは決して簡単なキャリアパスではない。

これは、大抵の場合はスタートアップを売ることが間違った選択であるという結論を導くのか?いいや。自分が“次のことを始めるのが待ち遠しい”と考えているのか、“自分の身の振り方が分からない”と考えているかに気付かないまま売るべきではないのは真実だ。また、何百万ドルを手に入れることがあなたを満たすもしくは幸せにすると信じたいという衝動を避けるべきであるのも真実だ。“お金はあなたを幸せにはしない”というのが決まり文句であるのは、それが真実だからだ。

しかしそれは、売ることが間違っているという意味ではない。

終わらせるのが辛いとしてもそうしなければならない悪い関係のように、特にあなたがその相手を心から愛している場合、それが感情的に辛いからと言ってあなたがそうする必要がないという意味ではないのだ。

1年目に会社を築くことは、5年もしくは10年通してその会社を築くこととは全く異なる。CEOの職務明細書は、時間と共に変化するし、それは会社も同じだ。あなたがそれを売却しようとしまいと関係ない。あなたは感情的にこれの準備ができているだろうか?

あなたは、拡張性のある成長プロセスを進めることを優先して後回しにされるイノベーションは構わないだろうか?日々のオペレーションのコントロールをマネージャーに引き渡し、マネージャーのコントロールを自分の実行チームに引き渡すことは構わないだろうか?自分からTextMateや、Adwardsや、ライブチャットや、営業電話をもぎ取って、自分のマネージャーを信頼して、あなた自身が嫌っているおせっかいで細かいことまでコントロールする上司にならずにいることは構わないだろうか?共同創設者と一緒にコードを完了させるために“週90時間を費やす”というよりも、多数の家族の生活の責任を背負うことは構わないだろうか?

事実、スタートアップは成長する。スタートアップはビジネスへと成長して、持続可能性とリスク回避とHR制度と戦略計画とエグゼクティブミーティングなどの束縛にがんじがらめになる。まだ創設者CEOが船を操縦しているが、それは違う種類の船だ。

これは悪いことなのか?そのような質問に対する回答はいつも、“時と場合による”、である。

私の場合、それは時間と共に変化した。Smart Bearでは、私は大きな会社を率いたくなかった。コードをチェックする自分の能力と環境を手放したくなかった。マネージャーを管理したり、年間1億ドルを稼ぐためにどんな変化、戦略、雇用、製品、マーケティング、販売が必要とされるかを算出したくなかった。だから私にとっては、私がC_Oを必要とする前、会社がFreedom Lineを渡るのに十分なお金を蓄えるほどの大きさになった後という良い時に売ったのだ。

新しい会社WP Engineでは、私には新しい野望と意思がある。私は今、マネージャーを管理し、ビジョンと方向性を設定するが日々のオペレーションは操作せず、会社の文化について心配するが全てのサーバーへのSSHアクセスは持たず、年間1億ドルを生み出すことができると信じている製品と市場とチームのある会社に向かって進んでいるCEOである。

それは私にとってエキサイティングなことだ。これが私の新しいチャレンジなのだ。私は今後も常に、コードを書くことや、会社を0ドルから年間100万ドルにすることを好むだろう。

しかし、今日、今現在、私にさえも分からない理由で、これが私という人間なのである。

私は夢のような宝を探しに行った。
虹の先にはそれが待っている。
探して、探して、探して、探して、
さらに探して、探して、そして―
そこにあったのだ。深い草むらの中、
古く曲がりくねった大きな枝の下に。
ついに私のものに、私のものに、私のものになった…
今、私は何を探すのか?
- Shel Silverstein, Where the Sidewalk Ends


この記事は、a smart bearに掲載された「Startup identity & the sadness of a successful exit」を翻訳した内容です。

感じ方は読む人次第と思いますが、どこか感傷的になってしまうと共に、スタートアップ起業、日米問わず人の全エネルギーを使うものであり、だからこそその苦労も喜びもひとしおなんだろうな、と感じた記事でした。失敗するにせよ、成功するにしろ、だからこそ止められないわけですが。。。無理に進めはしませんが、止めたくとも止められない魅力がある世界であることは間違いありません。 — SEO Japan [G+]

 

Dropbox、Mailboxの買収価格は1億ドル前後か

TechCrunch Disrupt出身のDropboxは、実に抜け目のない早期段階買収によって、話題沸騰のメール管理アプリ、Mailboxを手の内にした。われわれはこれを “DropMail” と呼んでいる。

本誌では、Mailboxが資金調達に動いていて、Andreessen Horowitzらの関心を引いていたことを伝えられていたので、今日同社が名前も調和のとれたDropboxに売却したニュースを聞いても、大きな驚きではなかった。時として、成長の糧を得る最も簡単な方法は買収されることである。メールのように金のかかる問題に取り組んでいる時はなおさらだ。しかも待ち行列に6桁の人数が並ぶアプリなら。

さらに本誌は、この買収が安いものでないことも聞いている。すでに話題の中心にいるスタートアップのために、Dropboxは5000万ドルの「はるか上」を行く金額を必要としていると複数の筋が言っている。さらにわれわれが把んだ情報によると、現金と株式を合わせて1億ドルという価格とも言われている。

実はYahooも、IDEOの古参、Gentry Underwoodが立ち上げたこのメールプラットフォームに興味を示したことがあった。Yahoo Mailブランドの衰退やMailboxがモバイルで苦戦を強いられていたことを考えれば意味のある選択肢だった。しかしDropboxの魅力的なビジョンの方が、生まれて間もないこのスタートアップにとって一層理にかなっていた。Mailboxの目覚ましい数字は、Droboxの共同ファウンダー、Drwe Houston、Arash Ferdowsiの2人に、メール界への一撃を加える勇気を与えた。

いずれせよ、Dropboxで添付ファイルを扱える日は近そうだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


大企業役員の道を捨てスタートアップを起業した元SunのScott McNealyにインタビュー

テク業界で、飛ぶ鳥を落とす勢いのスーパーカンパニーと言えば、往年のSun Microsystemsに勝るものはない。そのとき同社を率いていたのが協同ファウンダで当時のCEO Scott McNealyだ。だから今のMcNealyの姿は、見る人にとって一種のカルチャーショックかもしれない。彼は数年前に新しい会社、企業のソーシャル化を助けるWayinを起業して、石ころと砂ほこりだらけのスタートアップの世界に飛び込んだのだ。

今週本誌TechCrunchは、テキサス州オースチンで行われたSXSW(South By Southwest)でMcNealyをつかまえ、大企業からスタートアップへ移行した理由や、その過程で学んだことなどを聞いた。彼の話は、シリアスであると同時に、とてもユーモラスでもあった。

またScott McNealyは本来、歯に衣着せぬテク業界の毒舌論客としても有名なので、その方面の話もいろいろ聞けた。ソーシャルの世界と企業との橋渡し、教育の未来、オープンソースの重要性、テクファウンダたちの人類愛的役割、などなど。では、上のビデオをご覧いただこう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


【2013年版】成功するSEO会社の立ち上げ方

営業力勝負でてっとりばやくネットビジネスで起業したい人が選んだ多くの道がSEO会社。もちろん事業としてきちんと軌道に乗せられるか、長きに渡って運営できるサステイナブルな会社にできるかは経営者次第なわけですし、最近のSEOの難易度アップにより、これまで以上のSEOビジネスで一旗揚げるのは難しくなっています。そんな今だからこそ?アメリカ検索業界でも独特の存在感で多くの人に一目置かれるSEO Bookが成功するSEO会社の作り方について語った記事を。 — SEO Japan

Start your own business

今の仕事にうんざりしているだろうか?

「出世競争を卒業して、自分で仕事を始める」と毎年、新年の始めに誓いを立てている人達がいる。この記事では、自ら検索マーケティングビジネスを立ち上げる際のプロセス、得られる可能性がある機会、そして、回避するべき危険について詳しく説明する。

その前に、まずは、SEOから距離を置く人達が増え始めている理由を考えてみよう。

SEOは終わったのか?

グーグルは、明らかにSEO業界を苦しめている。パンダ、上半分に広告が多いサイトへのペナルティ、ペンギン、著作権違反、EMD、そして、今後行われるアップデートやフィルターによって、SEOの仕事の難易度は、瞬く間に上がっている。

このような難問に直面し、多くのSEO業者は降参し、新しい道に進んでいる。確かに理由としては説得力がある

事実、以前と比べ、SEOの難易度は高くなっている。以前は、「タイトルタグを組み込み、このキーワードをページに挿入し、何度か繰り返し、リンクを獲得し、さらに、アンカーテキストにキーワードが使われたリンクを獲得し、このプロセスが終わったら、再び、キーワードがアンカーテキストに用いられたリンクを増やす取り組みを行う」と言う台本に従っていればよかった。

そうすれば、トップ10にランクインすることが出来る確率は高かった。

今年この台本に従っても、同じ結果は得られない。

グーグルが定めたルールに従ったものの、上位にランクインすることが出来ないサイトは無数に存在する。

しかし、上位にランク付けしてもらえる方法を編み出したと仮定して話を進める。トップ10入りは価値が高いため、そのスキルもまた価値が高いことになる。 グーグルがSEOの成功を阻む取り組みを続けることで、参入のハードルが高くなると言うボーナスがもたらされる。SEOのHow To本を買ったばかりの新人からのプレッシャーは減る。

スキルを持っている人達にとっては、今後の見通しは引き続き良好だと言えるだろう。

SEO業界では、スキルを持った人材が不足していると言う報告が多く上がっている:

「辞職した従業員の後釜を探すのに苦労している。とりわけ、SEOのスキルを持つ人材はなかなか見つからない。」とテンペでTerraleverを経営するクリス・ジョンソン氏は述べている

SEOおよびマーケティング業界のコンサルタントの求人数は、ここ数年間で、大幅に増加している。昨年の10月、CNNMoneyとPayScale.comが、米国内での給与の増加および業界の成長に基づいて、マーケティングコンサルタントをランク付けした調査では、SEOのスペシャリストは2位にランクインしていた。この調査は、過去10年間で41.2%以上の成長率を記録している28万2000以上の仕事を対象としていた。

SEMPOの 2012年のレポートは、SEO業界は、2011年の229億ドルと比べ、2013年には268億ドルの規模に達すると予測している。

従って、需要は増え、SEO/SEMの仕事は難しくなり、その一方で、降参する人達が増加している。

SEOの特性は変化している。 2013のトレンド – SEMPOレポートで強調されている – は、リードの生成およびトラフィックの獲得は今でも求められているが、ブランドの認識度の増加や評判管理等を期待する声も増えている:

調査結果では、トラフィックを増加すると言う分かりやすい目標は、勢いを失いつつあるものの、検索エンジン最適化(SEO)において今も重要な目標の一つに留まっている。それよりも興味深いのは、ブランド/評判を目標に挙げているエージェンシーの数が、2011年の5%から今年の調査では11%に増えている点である。

この分野は参入してみる価値がありそうだ。

小規模な会社が廃業(日本語)に追い込まれるケースが目立つ。かつて、SEOは、大きなブランドに小規模な会社が打ち勝つ手段であったが、残念ながら、この構図は成立しなくなってきた。

この傾向から何を学ぶことが出来るのだろうか?

大企業向けのSEOが台頭しつつある。検索結果ページでの規模および評判管理の利点を軽視するべきではない。

小規模なビジネスに対するSEOのアプローチは、SEOだけでは成り立たず、SEM化を進め – リンク先の記事で紹介した運命を辿らないように、M(マーケティング)に重点を置く必要がありそうだ。大きなブランドの名前が検索結果に表示されていない場合、グーグルは体裁が悪いが、小規模な、一般的なサイトがインデックスから漏れても、同じような知名度の低いサイトが穴埋めするため、気づく人達はほとんどいない。

当然ながら、アルゴリズムにはギャップが存在する。アグレッシブなSEO業者はこのギャップを狙っているものの、すぐに見切りをつけて、新たなサイトを始めることが出来ない正当なサイトに対して、このアプローチを適用するのが難しくなりつつある。

最近のSEOは、SEOが以前から提供してきた価値 – 顧客候補の数、リード、買い手の認知度 – について考える必要がある。技術的な取り組みを、より包括的なマーケティングの観点からアプローチする必要があるのかもしれない。

検索業界に留まる理由

検索は、今も尚非常に興味深いビジネスである。

19世紀後半の百貨店王、ジョン・ワナメーカーは、「広告に費やした資金の半分は無駄であった。問題は、どっちの半分が無駄だったのか分からないことだ」と言う名言を残している。ワナメーカーが生きていたら、検索マーケティングビジネスを気に入っていたはずだ。なぜなら、顧客の心の中に入り込み、提供する商品に関心を持つ人のみに語りかけ、次に起こす行動を記録することが出来るためだ。

検索を利用すると、予算の使い道を100%把握することが出来る。適切にターゲットを絞っていれば、予算が無駄遣いに終わることはない。検索マーケティングはターゲティングを得意にしている。消費者が欲しがっているものを探し、その欲しがっているものを提供するページにマッチさせ、競合者に打ち勝つ取り組みにやりがいを感じるなら、検索マーケティングをお薦めする。SEO、PPC、ソーシャルメディアのいずれかを利用するにせよ、もしくは、その組み合わせを利用するにせよ、条件付きのビジターに対する需要は常に存在する。

次に、他の人のため働くのか、あるいは一人で働くのかを判断する必要がある。どちらの選択肢にもメリットとデメリットがあるので、比較していく。

雇用 or 独立

とりわけ上司のレベルが低い場合、他の人のために働き、運命を自分で切り開くことが出来ない点にストレスを感じる人達がいる。しかし、雇用される際の決まった仕事と見通しがつきやすい点に魅力を感じる人達もいる。また、その一方で、従業員と良い関係を育み、リスペクトしている優れた雇用者に恵まれている人達もいる。

皆さんはどのタイプに当てはまるだろうか?

通常の決まった作業、通常の勤務時間、タスクの専門部署への振り分けに満足しているなら、定着している検索マーケティング企業でSEMの仕事を探すルートが最適だ。制約を受けず、様々な仕事をこなし、そして、全ての見返りが自分に返ってくると言う考えが好きなら、独立して、起業することを薦める。

雇用されるか、または、独立するかを決める前に、自分自身、今持っているスキル、そして、好きな取り組みについて時間を割いて見直す価値はある。

また、目標を設定するべきである。

具体的な目標を定めてもらいたい。見返りが金銭なら、例えば、初年度にXドル/月を稼ぎ、2年目にはXドル/月を稼ぎ、3年目にはXドル/月を稼ぐ – のように測定可能な目標を設定してほしい。測定可能な目標を具体的に決めることで、実現可能な事業計画を策定する上で大いに役に立つからだ。この点に関しては、後ほど説明する。

金銭を目標に掲げる必要はない。仕事や会社から得られる最高の見返りは金銭ではなく、仕事のやりがいだと言えるかもしれない。

独立するなら、好きな時間に好きな場所で仕事をする自由を謳歌せずにはいられないだろう。これもメリットである。例えば、一定した収益や一定したスケジュール等、仕事のスタイルにより関連する目標を立てているなら、雇用者の存在する会社に就職した方が無難である。自主性を重んじているなら、自分でビジネスを切り盛りする方が向いているかもしれない。

目標を短期、中期、そして、長期に振り分けよう。5年後、自分は何をしているのだろうか?来年の今頃は何をしているのだろうか?検索マーケティング業界の場合、5年後にこの業界自体が存続しているかどうかも、そして、存続しているとしても、どのような形式で残っているのか、予測が難しい。

1年目の目標は、SEOに重点を置いているとしても、5年間の計画においては、トラフィックのソースがどのような形式を取っているにせよ、現在、SEOが顧客に提供しているメリットと同じメリット – 条件付きのビジターのトラフィック – を提供する取り組みに力を入れることになるだろう。また、顧客に対する価値提案もほとんど変わらないのではないだろうか。従って、5年計画には、一般的なマーケティングのコンセプトを学び、新しいデジタルマーケティングのチャンネルが台頭する度に学習する取り組みを組み込むべきである。

自分の好きな取り組み、そして、目標を明確に把握することで、就職するのか、もしくは、起業するかの判断が大幅に楽になるはずだ。

また、まずは検索マーケティングをパートタイムで実行する手もある。既に職に就いているなら、副業として多くの収益を手にすることが出来る可能性がある。独立して会社を運営する上では常にリスクが付きまとうが、安定した収入を得ることで、このリスクを著しく軽減することが出来る。また、最初はスローペースで始め、定期的なノルマを達成するプレッシャーを感じることなく、徐々に足場を固めるメリットもある。ただし、SEMに費やす時間が少なく、また、2つの仕事を行うことで、疲れが抜けず、どちらも失敗する可能性がある。また、顧客が必要としている営業時間内に連絡を取ることが出来ないと言うデメリットも考えられる。

当然だが、現在務めている会社と競合しないことを確認し、契約書に競業禁止条項が設けられているかどうかチェックするべきである。

現金を持っているものの、時間に限りがあるなら、とりわけ、多くのSEOが白旗を上げているため、既存のSEO業者を買ってしまう手もある。既存の契約および顧客のリスト、数名の腕の立つ従業員も併せて買うことも出来る。会社の買収はそれ自体が大きなテーマであり、この記事の範囲を超えているが、とりわけ、資金を多く抱えているものの、時間がない場合、検討する価値がある。ゼロから事業をスタートさせるプレッシャーはなく、また、既存の従業員が現場で仕事に励み、日中に顧客に対応してくれるため、会社をパートタイムで経営することが出来るかもしれない。

 

事業計画

現実の世界は常に動いているため、事業計画は、現実の世界の影響を確実に受ける。

ただし、だからと言って、計画の策定を諦める必要はない。

旅行の目的地に辿りつくために、道順が必要とされるように、計画は必要である。地図を持たずに適当に進み、それでも、目的地に辿りつくこともあるが、その可能性は低いはずだ。迷子になる確率が高い。事業計画は、現状を評価し、これから進む方向性を思い出す上で役に立つ。

とは言ったものの、事業計画は常に変更される可能性がある。現実の世界に遭遇すると – マーケットは急激に変動することがある – 頭の中で漠然と計画を思い描いていた頃には考えていなかった機会や危険が姿を現し始める。事業計画は、厳格な骨組みに固定するのではなく、ビジネスと共に変化するべきである。随時更新される文書と同じである。

事業計画に関するHow To本が出版されているほど、この分野は奥が深いが、銀行の融資を求めている場合、もしくは、外部のエージェンシーに正式に事業計画を発表する場合を除き、事業計画は、手短に、明確に、そして、完結にまとめておくべきである。

また、事業計画を策定をすることで、評価を行う上での厳しさが生まれ、アイデアを試行錯誤する上で効果が見込める。事業計画を策定する際、様々な疑問が浮かぶはずだ。収益の目標を達成するには、顧客は何社必要だろうか?この目標に基づき、何名の従業員を雇用することが出来るだろうか?全ての時間を既存の顧客に割り当てる場合、新しい顧客の獲得にどのように時間を割けばいいのだろうか?新しい顧客を獲得するためのマーケティングの予算を計上しているだろうか?

このような疑問は、事業計画で取り上げることが出来る。

典型的な事業計画は、次のポイントを網羅している:

  • 事業のコンセプト – どのような事業を実施するのかを説明し、検索マーケティング業界を説明し、そして、どのように事業を軌道に乗せるかを描く。
  • マーケット – 適した顧客、そして、競合者を特定する。どのようにして当該の顧客を獲得するのか、そして、競合者に勝つのかを説明する。
  • 財務 – 実行する予定の取り組みにかかるコスト、そして、その取り組みで得る予定の収益を記載する。

次のようにセクションを区切って、事業計画を策定していこう:

1. 導入部

現在の立場を特定する必要がある。どのような経緯で事業を始めるのか?何のために事業を行うのか?どのような長所を持っているのか?競合者は誰か?競合者の短所をどのようにつき、長所にどのように対処するのか?能力および生産力をどのように高めていくのか?どのように事業を成長させていくのか?

次に検索マーケティング業界を説明する。トレンドを把握していないなら、SEMPOMarket Research.com、そして、ニールセン等の業界レポートを参考にしよう。

ターゲットのマーケットを特定し、どのように接触するのかを説明する。その検索マーケティングサービスの取り組みを表現し、競合者に明らかに勝る点を強調する。

2. 事業戦略

ターゲットにするマーケットを特定する。どれぐらいの規模のマーケットなのだろうか?成長の見通しはどれぐらいあるだろうか?マーケットのポテンシャルはどれぐらいあるだろうか?事業は当該のマーケットにどのようにフィットするのだろうか?どのような売り上げの目標を掲げているのだろうか?独自のセールスポイントは何だろうか?

目的と目標を具体的に決める必要がある。例えば、「黒字を出す」のではなく、「初年度でXドルの利益を出す」と言う目標を設定してもらいたい。成果を把握することが出来るように、測定可能な目標を掲げる必要がある。

価格決定戦略を解説する。このページには、価格の引き下げ合戦に加わることなく、価格設定を行う方法に関するアイデアが提供されている。どのように製品を販売していくのか説明する。どのようなタイプの広告およびマーケティングを利用するのだろうか?コアとなる価値を描写する。何を信じているのだろうか?どのような主義を掲げているのだろうか?成功する上で一番重要な要素を説明する。成功するためには、何をしなければいけないのか?

3.マーケティング

簡潔なSWOT分析を用意する。複雑なプロセスのように聞えるかもしれないが、SWOTとは、マーケティングにおける、Strength(強み)、Weakness(弱点)、Opportunities(機会)、そして、Threats(脅威)を分析するだけである。

既に実施したマーケットリサーチを組み込むべきである。配信チャンネルを描写し、戦略パートナーを挙げ、プロモーション計画を説明し、そして、マーケティングの予算を用意しよう。ターゲットのマーケットの視点で、皆さんの会社は、どの程度信憑性があるように見えるだろうか?

4. 管理構造

誰が参加し、その人物はどのようなスキルを持っているのだろうか?さらにスタッフを増やすつもりだろうか?どの節目で雇用するのだろうか?トレーニングおよび慰留に関して、どのような計画を持っているのだろうか?この問題を社内で解決する必要はない。必要に応じて、請負業者を利用する手もある。

誰がアドバイザーを務めているのだろうか?会計士、弁護士、メンター、ファイナンシャルプランナー等。このセクションは、資金調達を求めている場合、特に重要である。なぜなら、銀行は、プロの助言を得て、事業を運営している点を把握することを望んでいるためだ。

導入を検討しているスタッフの管理システムを紹介する。

5. 資金予算と予測

出来る限り、次のポイントをこのセクションで網羅しておきたいところだ:


推測するのは難しいかもしれない。そのため、最良のシナリオ、最悪のシナリオ、その中間のシナリオを想定しよう。こうすることで、推測する上で、また、実際にこのような状況が発生した際の対処方法を考える上で、ある程度、枠を得ることが出来る。

キャッシュフローは、圧倒的に最も重要な検討事項である。多くの顧客を獲得し、製品を購入し、さらに注文してもらったとしても、出ていく金額の方が多いなら、やがて会社は廃業に追い込まれるだろう。キャッシュフローを維持するために、どのようなタイプのクレジットが必要なのか考えてもらいたい。

6. まとめ

計画の主要な部分を再び述べ、現状と今後の方向性を強調する。事業計画は常に見直す必要があるため、次回見直しを行う日付を明記しておこう。

事業計画は、面倒であり、苦労してまで策定する価値はないと考える人もいるかもしれない。しかし、事業が思い通りに進んでいないことが分かると、時間、労力、そして、資金を大幅に節約することが出来る。また、実際に資金を投じる前に、紙で事業をシュミレーションする価値はある。この時点では、まだリスクが発生しないためだ。また、事業計画書から、収益を手に入れ、成長するチャンスがあるかどうかが見えてくる。計画でつじつまが合わないなら、実際に事業を行っても、同じ結果に終わるだろう。

ブランディング

良いネーミングが必要だ。

会社が最後を迎えるまで付きまとうため、優れたネーミングに時間、そして、お金を費やす価値はあるはずだ。

会社について考えてもらう時、何をイメージしてもらいたいだろうか?すぐにイメージが湧く名前が必要である。

検索マーケティング等、競争の激しい業界では、一般的な、説明的な名前は全く目立たない。「検索マーケティングエージェンシー」は、サービスを正しく描写しているかもしれないが、このような名前は、他社との差別化が難しい。一方、「RedFrog」のような変わった名前は印象には残るものの、提供するサービスの内容が全く見えてこないと言うデメリットがある。

また、他社の商標登録された社名と重複する名前は避けなければならない。訴訟問題に発展する可能性があるためだ。完全に一致するドメインを利用することが出来るかどうかも、判断材料の一つになるだろう。なかなか名案が出ないなら、ブランディングのエキスパートに相談してみる手がある。ただし、高額な料金を請求されるだろう。

ユニークなブランド名を利用すると、容易に上位にランクインすることが出来る点に留意しておこう。変わった名前の場合、覚えてもらえる確率は高い。従って、競争の激しい業界では、個人的には、一般的で説明的な名前よりも、ユニークなネーミングを薦める。また、名前にタグラインを加えて、不安を取り除くことも可能である。

優れたロゴも必要だ。99designsをチェックしておこう。ロゴは、画面上だけでなく、モノトーンの紙の上でも、見栄えが良いことを確かめる必要がある。

検索ビジネスモデル

事業の土台として採用することが可能な検索マーケティングのモデルが、幾つか存在するので説明していく。

コンサルタント

すぐに思いつく検索マーケティングモデルは、検索マーケティングの取り組みを介して、他の会社を支援するコンサルタンティング業務である。外部のコンサルタントの需要、そして、その需要がどこで発生しているのかについて考えてもらいたい。

大企業は大きなエージェンシーの採用を好む傾向が見られる。大企業は、組織内に検索チームを抱えている可能性がある。外部のコンサルタントを雇うよりも、フルタイムのスタッフを雇った方が安くなるポイントがある。このポイントとは、フルタイムの給与と採用にかかるコストを足した金額である。

しかし、大企業が、自分が提供しているサービスを必要としており、他の会社からはなかなか得られない場合、一匹狼、または、少数名のコンサルタンティング会社を雇うことがある。この隙間を埋めることが出来る検索マーケティングコンサルタントは多くはないが、内部の検索チームにトレーニングを行い、助言を与えるために採用されることがある。

外部のコンサルタントに対する需要の多くは、社内に検索のスペシャリストが存在せず、また、検索マーケティングを多用しているわけではないため、損益の面で辻褄が合わない小規模な会社で発生している。

他の人達がどのように事業を運営しているのかを見る権利がある点は、コンサルティングモデルの長所の一つと言えるだろう。

アフィリエイト/ディスプレイアドバタイザー

アフィリエイトは、サイトをSERPのトップ10に導き、リードとトラフィックを稼ぎ、その後、第三者に売る。ディスプレイアドバイタイザーは、広告を掲載するためのスペースを提供するため、コンテンツを配信し、クリックスリー率で利益を得ることが多い。

収益が見込めるニッチには既に大勢の競合者が存在している可能性が高く、競争が激しいことを覚悟しておこう。また、グーグルは、ここ数年、薄っぺらいアフィリエイトサイト – つまり、独自の、有益なコンテンツを多く提供することが出来ないアフィリエイト – を叩くことに執念を燃やしており、グーグルに狙われている点に留意しておく必要がある。

短所は、多様化しなければ、グーグルの攻撃を受けた次の日には収益が枯渇してしまう点である。また、本格的に多様化を実施するためには、マーケットおよび戦略の面で多様化を行う必要がある。この取り組みを実行しない場合、いつかゼロから出直さなければいけなくなるだろう。アルゴリズムの変更は、変更によって、コンサルティングサービスに対する新たな需要が生まれるため、顧客と深いレベルで関係を構築しているコンサルタントには有利に働く。一方、多くの顧客に利益の少ないコンサルティングを実施している会社にとっては、アルゴリズムのアップデートは、アフィリエイトよりも大きなダメージを受ける可能性がある。なぜなら、突然、大勢の顧客から非難されるためだ。また、幾つかの主要なプロジェクトを優先しているアフィリエイトとは異なり、問題が発生した際に多くの顧客を無視する行為は現実的とは言えない。全ての顧客にとって、自分のプロジェクトこそが最も重要なのだ。そして、この主張は的を射ている。

一部の検索マーケッターは、リスクを分散させるため、アフィリエイトとコンサルティングを組み合わせ、サービスを多様化し、多くのコンサルティングベースのビジネスモデルには付きものの閑散期に対処している。

ツールベンダー

検索のプロのコミュニティは非常に大きい。そのため、ソフトウェアツール、データ、アドバイス、その他のサービスが求められている。SEOBookはこのモデルを組み合わせている。私達(SEOBook)は、有料ツールを提供する一方で、コミュニティフォーラムを介して、コンサルティングも実施している。時間を大切にしない人達には向いていないが、時間の価値を重んじているなら、その他の多くのフォーラムに溢れるノイズがない状態で、コミュニティから短時間で多くの情報を得ることが出来るだろう。参加する際にハードルが設けられているため、メンバーがa)既に成功しているb)SEOの価値をよく分かっているかのいずれかであり、公開する情報のレベルが高くなる。

現在の検索マーケティングの仕組みにおいて苦労している領域を探してみよう。恐らく、他の人達も同じような悩みを抱えているはずである。この苦労を軽減することが出来るなら、資金を投じる価値はあると言える。検索コミュニティは、本当に役に立つツールやサービスが登場した場合、惜しみなく口コミで宣伝する傾向がある。ただし、同分野に参入するサービスプロバイダーが増加すると、機能面での有利性を維持することが難しくなると言うデメリットがある。実際にこの状況に追い込まれた場合、マーケティング戦略の差別化に焦点を絞る必要がある。

統合モデル

多くのSEO/SEMは複数のビジネスモデルを組み合わせている。

PPCとSEOは、相性が良い。どちらも検索のトラフィックである。キーワードの選択およびパフォーマンスの測定においては、技術面での取り組みに違いが見られるが、基本的に似たようなスキルが求められる。

アフィリエイトとディスプレイ広告は、顧客の仕事においてバランスが良く、様々なソースから収益を得ることで、リスクを軽減することが出来る。

統合モデルの大きなメリットは、様々な分野を見る機会に恵まれている点である。検索業界の人達は雄弁だが、販売することが目的の場合、実際の実力はたかが知れている。従って、自分のサイトを持ち、そのパフォマーンスに応じて、成功/失敗しているなら、売ることに固執する人達とは、異なるレベルでアルゴリズムを理解することが出来るだろう。ただし、あまりにも多くのプロジェクトに手を出すと、何もマスターすることが出来なくなってしまう。

明確に分野を特定する

このようなアプローチを採用する場合、出来れば急速に成長している分野を探し出すべきである。SEOコンサルタンティングのマーケットは、参入のハードルが低いために、混沌としているが、その地域のSEOプロバイダーのマーケットは、たいして混雑していないのではないだろうか。

フルタイムでSEOを実施することが出来ないものの、クライアントにSEOサービスの提供を望むウェブデザインの会社があってもおかしくはない。このようなエージェンシーを3つ、または、4つ「顧客」として獲得すれば、フルタイムの仕事になるはずだ。営業が好きではないなら、または、営業を行う時間が限られているなら、恐らく、このモデルはフィットするだろう。デザイン会社が実際の営業を行ってくれる点だけでなく、既に営業する顧客ベースが存在する点もプラスに働く。

デザインエージェンシーは、新たにスタッフを雇用するためにコストをかけることなく、さらにサービスを加えることが出来るため、この構造を好むことが多い。他の会社に薦めてもらえる可能性もある。また、エージェンシーに請求することになるため、請求のプロセスが簡素化されるメリットもある。

具体的にニッチを選ぶべきである。誰のためにサービスを提供するのだろうか?具体的に何をするのだろうか?「検索マーケティング」では、範囲が広過ぎる傾向が最近見られるため、旅行業界限定の検索マーケティングを実施してみてはいかがだろうか?

あらゆる人達にあらゆるサービスを提供しようとしたところで、うまくいくはずがない。とりわけ小さい会社では無理がある。事実、小さい会社を運営するメリットは、多額の経費を支払っている大きなマーケティング会社には割に合わない、特定の分野に的を絞ることが出来る点である。自分の興味と趣味を考え、フィットする分野があるかどうか探してみよう。興味がある分野で検索マーケティングを行っている会社は、満足のいくサービスを提供しているだろうか?その答えがNoなら、既に当該の分野のことを熟知しているため、宣伝する上で、大きなアドバンテージを持っていることになる。

顧客を強く意識するべきである。顧客は是が非でも解決する必要がある問題は、どのような問題だろうか?レストランは、ウェブサイトを上位にランク付けさせる必要はないかもしれないが、電話をかけてもらい、予約してもらう必要はあるはずだ。そこで、SEOとPPCを使ってリードをもたらし、顧客に各レストランのメニューを提供する、レストランの予約サイトを運営する手が考えられる。この場合、掲載、または、リードの数に応じてレストランに料金を請求することが可能である。

同じようなアイデアを基に会社を立ち上げたのが、トリップアドバイザーである。

商談

通常の仕事と、自分で会社を運営するスタイルの最大の違いは、とりわけ営業部門で働いたことがない場合、自分で交渉を行わなければならない点だ。 特に技術者として9時から17時まで働いている場合、少なくとも、顧客候補や供給業者と直接交渉を行う機会は少ない。

商談はゲームだ。買い手は、出来るだけ価格を下げようと試み、売り手はより多くの契約を勝ち取ろうとする。

商談において一番大事なことは、例えば、どちらかが「騙された」気になるのではなく、双方が何かしらメリットを得るような、両者が得をする商談を成立させる必要がある点だ。検索マーケティングのコンサルティングにおいては、一定の期間、協力関係を築き、変更を行うために味方になってもらう必要があるため、特にこの点は重要である。

買い手が断然に有利だと考えがちだが、その考えは誤っている。買い手から声がかかると言うことは、提供しているサービスを求めていることは明白である。買い手のビジネスにプラスの影響を与える何かを持っているのだ。

しかし、商談をうまくまとめるために、相対的な地位を理解する必要がある。一般的な検索マーケティングサービスを提供し、同じサービスを提供する10社が入札している場合、気に入られているなら話は別だが、恐らく、弱い立場にいる。個人的には、気に入られていない場合、他社と競合する状況を避けるようにしている。

ここで、ニッチの特定が重要になってくる。競合する会社が少ない分野で、ニッチを明確に特定している場合、ユニークなセールスポイントを得ていることになる。また、買い手が何を望んでいるのかを把握している場合、交渉を有利に進めることが出来る。だからこそ、事業計画でこの領域を明確に記述しておくことが重要なのだ。この取り組みを怠ると、同じようなサービスを提供する競合者と戦う場合、価格を下げるしか手はなくなるため、価格交渉の面で譲歩せざるをえなくなる。

ウォルマートのようなビジネスモデルを大規模に展開する場合を除き、値下げは、事業を維持する上では理想的な手段とは言えない。

損益の分岐点を明確に設定し、利益を得られないようなら、撤退する必要がある。始めたばかりの頃は、なかなか撤退する勇気が湧いてこないかもしれない。しかし、幾つか顧客を獲得し、推薦してもらうことが目的であり、また、現時点では、特に価格は気にしていない場合は、例外である。このようなケースでは、常に高めに値段を設定するものの、期間限定で特別なディスカウントを行っていると伝える必要がある。この一言を忘れると、顧客にいつも安いと勘違いされてしまう。

商談では、まず、顧客が何を求めているのかを明らかにしてもらうべきである。その後、自分が求めているものを伝えよう。双方が合意すれば、一件落着、どちらも得をする。しかし、現実には、同意する点もあれば、同意できない点もあるはずだ。それで問題ない。納得できる点は後回しにして、同意できない点において、両者が得をする条件を探し出すことに集中しよう。ニーズに見合う契約内容に仕上がるまで、議論を重ねていくべきである。

まとめ

自分で事業を立ち上げる取り組みは、胸が躍り、解放感を味わうことが出来るだろう。しかし、事業を成功に導くためには、検索マーケティングキャンペーンと同じように、厳しく接し、そして、計画性を持ってアプローチしなければならない。多くの上司の役目を、一人の上司が兼任するようなものである。

まずはやってみることを薦める。自分の会社を運営する取り組みは、実際にやってみるまで分からない。そのため、今の仕事を辞めて、独立することを新年の誓いとして掲げたなら、挑戦してみよう。

幸運を祈っている。そして、この記事が役に立つことを願っている :)


この記事は、SEO Bookに掲載された「How To Start Your Own Search Marketing Business」を翻訳した内容です。

起業の教科書的な内容でしたが、簡潔かつ丁寧に書かれた記事で、個人レベルのSEOコンサルタントを超えて会社としてスケールさせたい人には勉強になる点が多い記事だと思います。

しかしSEOスペシャリストの給与が米国で上がりまくっていることは喜ばしいことです。会社レベルで成功できるかはともかく、日本でも確実に人材不足&需要があるはずなのですが、未だSEOを軽視している&代わりがきく仕事に従事(結果、低賃金)している業界人が多いのは何故?と思ったりもする私です。

記事にもあるように大企業・大規模サイト向けのエンタープライズSEOのニーズは特に高いと思うのですが、意外とこの分野のプレイヤーは少ないままですよね。SEOの知識がある人自体は日本でも増えていると思うのですが、そもそもSEOをやっている人はどちらかというと個人や小規模サイトでのSEOでウェブ運営の知識経験がある人が中心で(実際、私もそうですが)、大規模サイト運営の経験が少なさそうなのもエンタープライズSEO市場が開拓されない理由な気がします。さらに大企業・大規模サイトの運営に携わる人は、なんだかんだいっても検索やSEOを軽視している、二の次に人が考えている人がまだまだ多く結果、エンタープライズSEOが普及しない状態になっている面もありそうです。誰かこの分野で一旗揚げてみようと思うチャレンジャーがいれば、この記事を参考に是非。 — SEO Japan [G+]

リーン・アントレプレナーの時代

小規模に始めるスタートアップ、その名もリーンスタートアップが新しい起業の形として昨年日本でも話題になりました。色々な批判もありながら、デジタル時代ならではの起業スタイルとして市民権を得つつあるリーンスタートアップ、その延長線上で、新たに「リーン・アントレプレナー」という言葉が提唱されているいうことで、早速その内容をチェック。新手のバズワードかと思いつつ筆者が著者「ザ・リーンスタートアップ」でお馴染みのエリック・ライズとくれば、興味レベルも増してしまいます。 — SEO Japan

去年5月、長い間Lean Startupを提唱しているBrant CooperとPatrick VlaskovitsがFAKEGRIMLOCKのイラストを使ってThe Lean Entrepreneurと呼ばれる新しい本に取り組んでいるというニュースをシェアした。今、その新しい本が全国の書店に並ぼうとしている。

彼らが私に前書きを依頼してきたこと、また、以下に抜粋を投稿することを許可してくれたことを光栄に思う。2012年のカンファレンスの後、私はそれをそのムーブメント全体の成長と進化をじっくり検討する機会として捉えた。

BrantとPatrickがThe Lean Entrepreneurでやったことで私が気に入っていることの1つは、起業家がどのように新しいベンチャーに取り組み、リスクを最小限にし、成功する手段を学んでいるかの数多くのケーススタディだ―これらのケーススタディが、ガレージ・スタートアップや企業経営者のような人達に語りかけるだろう。

詳細なケーススタディの例:

  • 1999年、オンラインの自動車販売の需要を検証するため、後にCarsDirect.comとなるMVPを築いた伝説的なBill Gross。
  • 新しい車両カテゴリーを作るためにLean Startupを使ったLitMotorsアプローチ。
  • 本当の痛みを伴う正真正銘のアーリーアダプターを浮上させるために“高いハードル”の新手法を作っているAppFog。
  • 国を出ることによって開発されたEmbrace幼児保温器。Rob Emrichはどのように学び、自らの非営利企業Road of Lifeを拡大したのか。(ソーシャル起業家は注目!)
  • アパレルMVPを築いてそれらをターゲットの顧客コミュニティで素早く検証しているBetaBrand。
  • インターネットのスピードで動くことを学んでいるTelecom O2。
  • 500 Startupsおよび、アーリーステージの投資では何が機能し何が機能しないかに関するその加速されたフィードバックのループ。
  • 人々の生活を変えるためにデジタルファブリケーションと3Dスキャンニングの新生テクノロジーを繰り返し活用しているScott Summitt。
  • David MarcusとBill Scottの指揮の下、製品体験を向上するためにLean Startupを採用することによって自身を再定義およびリエンジニアリングしているPayPal。
  • 仮説検証を介してセールスファネルにある問題に取り組むために部門の枠を超えたチームを築いて権限を与えているKISSmetrics。
  • 社内革新とスタートアップの新しい試みを養育することを計画している分野とLean Startupを結合する方法を大企業に見せているIntuit社。
  • Berkeley Pizza:ファーマーズ・マーケット内のピザから着席形式のレストランまで。

The Lean Entrepreneurに関して私が気に入っているもう一つのことは、BrantとPatrickがこの本をスタートアップのように扱っていることだ。1つの例が彼らのマーケティングにある。今日の環境では、それは価値を提供することが要求される。これは、製品を指し示してその製品の価値を説明するということよりも、マーケティングが価値そのものを提供するという意味だ。

ブックキャンペーンの一部として、BrantとPatrickは、以下を含む4つの無料オンラインビデオクラスを提供するためにGeneral Assemblyとチームを組んだ:

リーンなUXリサーチのテクニック、迅速なプロトタイピング、開発者の雇用方法、成長するハッキング

本の予約をすると、これら全てのクラスにアクセスすることができる―実際にはもっと多くの特典がある。2013年2月10日までは彼らのサイト上で予約が可能で、その後はAmazonでできる。

最後に、私がThe Lean Entrepreneurのために書いた前書きをシェアしたいと思う。2013年に入った今、Lean Startupのムーブメントがどこまで進んだのかをじっくりと考えるのにふさわしい時だ:


2008年8月に初めてブログを書き始めた時、私は何が起こるか見当もつかなかった。その頃、スタートアップブログはあまり“クール”ではなかった。多くのベンチャーキャピタリストが、私にそれをしないようにアドバイスした。

私の個人的なバックグラウンドはエンジニアで、勤めていた会社はWebベースのスタートアップだったため、私はそれについて書いた。それらの会社の成功と失敗にについて説明することに苦労しながら、私は、継続した展開や顧客開発やアジャイルの超加速された形式のような原則について議論した。リーン・マニュファクチャリングを掘り下げて考えた時、私は、ぴったりと一致するコンセプトと専門用語を発見した。その結果が、私がThe Lean Startupと呼んだ新しいアイディアだ。

私はいくつか基本的なセオリーから始めた:スタートアップとは、極度の不確かさの土壌で育つようにデザインされた組織であり、予測と計画に根付いた従来のマネージメントテクニックはその不確かさの前では上手く機能しない。それ故に、私たちには、イタレーションと科学的学習と迅速な実験のためにはっきりとデザインされた新しいマネージメントツールキットが必要だった。

当時私は、そのセオリーはハイテクスタートアップやウェブをベースにした環境のような特定の業界に結びついているのかもしれないと偶然として捉えていた。とはいえ、リーンは、巨大な自動車生産会社であるトヨタから現れたのだ。私は、Lean Startup原則は他の種類のスタートアップや不確かに支配された他の分野のビジネスにおいても機能するという信念を述べた。

しかし、私は次に起こることに対する準備はできていなかった。私は、私たちがスタートアップの作られる方法を変えることを望んでいたが、4年以上早送りして自分がその進化に驚かされることを知らなかった。新生コミュニティは、一人前のムーブメントへと花開いた。新規および経験豊富な起業家は共に、ケーススタディやカンファレンスや数多くのブログで自分たちのLean Startup体験を堂々とシェアする。情熱的な実践者によって生み出された本やワークショップやコースは、Lean Startup原則を独自に作る方法を生徒に教えるために、経験を語り、考えを共有し、ツールを作り出す。多くの投資家、アドバイザー、メンター、さらには有名な起業家アイコンさえも、Lean Startup言語を話す。

それは大きなテントだ。私たちは、顧客開発、破壊的イノベーションの理論、テクノロジーライフサイクル採用理論、アジャイル開発という、巨人の肩の上に立つ。ユーザー体験のプロ、デザイン思考実践者、販売やマーケティングやオペレーションやさらにはアカウンティングの機能的な領域みたいに、相補的な考え方が、一体となって私たち皆を高める実践を共有する。

Lean Startupはメインストリームとなった。これはいくつかのマスタープランの一部だった、私はあらゆる規模の企業が―ハイテク界のはるか外側で―Lean Startupを採用することを最初から知っていた、と言えたらいいのだが。The Lean Startup: How Today’s Entrepreneurs Use Continuous Innovation to Achieve Radically Successful Businessesを発行する年に、アメリカ連邦政府のようなモンスターを含む多くの巨大組織が、より高速で、より競争が激しく、情報であふれかえった今日の世界に立ち向かうためには、新しい手法が必要とされることに気が付くだろうと予測していたなら良かった。実際には、この変化は全て、私たちの誰もが想像した以上に早く全面的に発生した。そして、もうお分かりのように、私たちはまだ始まったばかりだ。

だから私は、あなたが手にしているその書物に興奮しているのだ。The Lean Entrepreneurには、それらの新しい手法に関することが書いてある。Brant CooperとPatrick Vlaskovitsは、Lean Startupや顧客開発のような新しいアイディアの最も早い採用者の中にいる。彼らの新しい著作物は、そのレンズを3つの重要な焦点に向けている:不確かなビジネスの試みの針を動かすために、顧客とやり取りし、実験を行い、すぐに使用可能なデータを使用する方法だ。

彼らの全ての著作物と同様、彼らのものは単なる理論の本ではない。BrantとPatrickは、これらの分野それぞれに素晴らしい戦術的な奥行きを提供している。

彼らはこんな疑問に答えようと努めている:あなたが組織としてどのような場所にいるとしても、どこで自分のLean Startupアクティビティに焦点を合わせるべきかを知るのか?Lean Entrepreneurは、組織が無駄を省いた方法でビジネスモデルの課題を特定してそれに基づいて行動するのを助ける新しい考え、ツール、アクティビティを提供する。従来のリーン思考の教えに従って、BrantとPatrickは、組織が製品開発やマーケティングやセールスなど価値を生み出すために自分たちがすべきことを仮定するのに役立つ価値発見プロセスを紹介する。これらのビジネスモデルの前提は、テスト、測定、イテレートの機が熟している。

さらに、あなたが生み出す価値は、それを必要とし、求め、強く願い、最終的にはあなたが作ったものの最終的な価値を判断する顧客なしでは意味がない。BrantとPatrickは、あなたが自分の顧客セグメントをじっくりと考えるのを手助けすることにかなりの時間を費やす。彼らは、賢くそして科学的な手法の姿勢で、あなたの顧客理論のどこが間違ってきるかを発見するのを手助けする。

誰もが良いストーリーを好むものだ。BrantとPatrickはたくさんの起業家にインタビューし、ハイテク内外のスタートアップおよび大企業の数えきれないほどのケーススタディを記録した。1998年に遡ったクラシックなWizard of Oz法のMVPさえもあるのだ!

間違いなく、BrantとPatrickは始めからここにいた。彼らは、2010年4月にThe Entrepreneur’s Guide to Customer Developmentを自費出版した。最初から、彼らは実践者でありメンターであり、ペイント・バイ・ナンバーのアプローチに従うのではなくリーンに考えること―素早く、敏しょうで、継続的な学習―を起業家に勧めていた。過去2年にわたって、彼らは世界中を旅して、Lean Startupについて話し、アドバイスし、教えてきた。

The Lean Entrepreneurは、私たちがイノベーションと不確かさに取り組む方法を改善するためにデザインされた原則と実践の増していくライブラリに追加する大切な一冊だ。それがスタートアップであれ、Fortune 100であれ、非営利であれ、政府であれ。

私は、BrantとPatrickが友人であり同僚であることを幸運に思っている。この本からあなたが価値のある考えを獲得し、あなた独自のLean Startupを作り、そしてもっと重要なことに、あなたが世界を良い方向へ変えることに成功することを期待している。

Eric Ries,
2012年12月、サンフランシスコにて


この記事は、Startup Lessons Learnedに掲載された「The Lean Entrepreneur is here」を翻訳した内容です。

実は書籍のタイトル&紹介記事だったわけですが、ケーススタディ満載で起業家&スタートアップ研究家?であれば必読な雰囲気の内容ですね。そしてエリック・ライズの序文も熱い。 — SEO Japan [G+]

ネット業界最強の4社に学ぶ起業家的教訓

Apple、Amazon、Facebook、そしてGoogle、、、今日のネット業界を代表する最強の4社であり、米国では「4社のギャング」ともいわれ常に注目を浴びる存在です。今回はそんな4社にスタートアップ・起業家的教訓を学んでみようという興味深い記事を。今ではネットを超えて世界を代表する企業に成長した4社ですが(Facebookは実績はまだまだですが)、Appleといえばガレージから始まったベンチャーで有名、AmazonとGoogleは90年代に生まれ、Facebookに至っては創業10年にも満たない会社です。どれもかつてはスタートアップだったわけで、それが急成長した理由、そしてそこに学べる秘訣が何か見つかるかもしれません。 — SEO Japan

FastCompany.com より、ギャング・オブ・フォーのCEO達の画像

成熟したビジネスと同様、全てのスタートアップは、今日のビジネス界において急成長と成功のスタンダードを築いたAmazonとAppleとFacebookとGoogleからできる限り多くのことを学ぶ必要がある。数年前にEric Schmidtによって“ギャング・オブ・フォー”と名付けられたこれらの企業は、疑いもなく、今日のインターネットで消費者およびビジネスの革命を推し進めている。

The Age of the Platform”の著者Phil Simonを含む多くのテクノロジー評論家によると、これらの4社は、1つの製品もしくはサービスというよりも、ビジネスモデルとしてのアプリケーション付きプラットフォームの台頭を実証している。あなたは、彼の結論を信じられないかもしれないが、説得力のあるビジネスモデルを築く方法に関して彼が提供する教訓から多くのことを学ぶことができる:

  1. 小さく動け。“大きいこと”とそれに付随する全ての問題―官僚体制、政治、内紛など―がどんなビジネスモデルをも危険にさらす。官僚体制と過度な民主主義はスピードを殺す。堅苦しく柔軟性のないマネージメント構造を避けるために組織を再編成するのだ。
  2. オープンで協力的になれ。大企業もスタートアップも、あらゆる種類の新しいベンチャーやパートナーシップやオファリングに対してオープンでなければならない。アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)をオープンにして、デベロッパーやパートナーや消費者が自由に使えるようにするのだ。
  3. 合理的な買収、拡張、運営を探し求めよ。底深さと幅広さの両方の観点から、自分のコア・コンピテンシーを強化するために、戦略的な買収をすることを計画すること。拡張には、一から作るのではなく、既存のソリューションとプラットフォームを活用するのだ。
  4. 小さく賭け、実験を奨励せよ。この時代に将来有望な企業は、数多くの異なる小さなプロジェクトと数多くのアイディアを開発する。確かに、大部分が失敗をすることになるのだが、最も成功する製品は小さなアイディアやサイドプロジェクトから生じることが多い。
  5. 失敗をし、不確かさを受け入れろ。賭けが小さければ、失敗は悪いことではないし、そこから学ぶことができる。公開前に完璧を求めることは、助けになるというよりも害を与える。モデルを作るためには、いちかばちかやってみる意思がなければならない。安全は、新しいリスクだ。
  6. テクノロジーに対する期待を和らげる。効果的なプラットフォームを築くことは時間がかかるし、通常、それはゆっくりとけん引力を示す。常に自分が必要とするよりも多くのコンピューターリソースを買うこと。良い第一印象のためには足りないよりは多すぎる方が良い。
  7. 賭けに出る時を知れ。断固として、新しい経済、ビジネスの実体、テクノロジーに適応することを誤って拒む人や企業が多い。テーブルの上にある大金を手放したい人などいないが、一千を節約して大金を無駄にしないようにすること。
  8. 幅の広さは底の深さに勝る。真のプラットフォームは、多角的だ。1つのニッチなエリアにおいてかなりの底深さを持つことは重要だが、強固なプラットフォームは、既存ユーザーと顧客に新しいユーザーインターフェースを学ぶことやデータの転換を要求せずに、数々の製品を追加して進化する。
  9. ニッチに狙いを定めている時は、素早く決断力を持って動け。忍耐と惰性を混同するな。あまりにも長く待ちすぎることは、チャンスが永遠に消えてなくなること、または他の誰かがあなたの先を越すかもしれないことを意味する。期待は和らげるが、賭けに出るのだ。
  10. 既存のツールを使用せよ。ゼロから独自のツールや基本機能(政策)を作ることは、全ての会社にとって、時間がかかり、お金もかかる、単に不必要なことだ。開拓地を使うことによって、ビジネスは、セレンディピティと露出と相互作用を増やす。

新しいプラットフォームを築くことは、必ずビジネスの成功を保証するものではない。プラットフォームは、コンピューターの出現以来、オペレーティングシステムやネットワークやAPIという形で存在してきたにもかかわらず、今日では新しいプラットフォームがテーブルステークスになっていると、懐疑派の人は指摘するかもしれない。旧式のサイトを持つビジネスは、信頼性と顧客を犠牲にし、世界全体の目に触れなくなるというリスクがある。

新しいプラットフォームビジネスモデルは決して終わることはない。それぞれが、様々なやり方や方向に拡大し続けなければならない。今日のめまいがするような変化のペースは、弱まる兆しを見せない。だから、今日これらの教訓に注意を払い、大いに異なる明日のためにできる限り備えるために、自分にできる全てのことをするのだ。


この記事は、My Venture Padに掲載された「10 Entrepreneurial Lessons From the ‘Gang of Four’」を翻訳した内容です。

まず「アプリケーション付きプラットフォーム」という考え方は面白いですね。そして紹介されている10のアドバイスは、どれも起業家が常に心に留めていたいものばかりだったと思いますが、どちらかというと苦戦している日本の大企業に実践してほしい内容のような気もしたのは、私だけでしょうか。 — SEO Japan [G+]

顧客は獲得するのではない、産み出せ。

顧客獲得、、、全てのビジネスの基本&重要課題として当たり前のように使われるこの言葉ですが、自らのスタートアップ起業の経験から「獲得」という言い方に疑問を感じた筆者が語る、新しい顧客の作り方のお話を。 — SEO Japan

自分の会社を成長させる最も簡単な方法は何だろうか?顧客を獲得すること、だろうか?

私は初めて起業家になった時、その基本原理に従って行動していたが、始めたばかりの頃は顧客を獲得する作業にはとてもお金がかかる。さらには、どうやってあなたは自分が獲得するべき顧客が誰なのか知るのだろう?

Google AdWordsキャンペーンやFacebook広告を始めることは、簡単そうに聞こえるかもしれないが、自分が獲得すべき顧客の種類を正確に知らなければ、あなたはたくさんのお金を失うことになるだろう。さらに、たとえあなたがどんな顧客を求めるべきか知っているとしても、お金を失うことがあるのだ。

だから、もしあなたがまだ始めたばかりなら、顧客を獲得することではなく、顧客を産み出すことに自分のエネルギーを集中させるのだ。では、どうやって顧客を産み出すのか?

その製造過程には3つのステップがある:

  1. 自分の市場を注意深く選択する
  2. 約束を果たす
  3. 自分の秘密のソースを加える

それでは、顧客を産み出す方法を紹介していこう:

自分の市場を注意深く選択する

あなたのターゲット市場は誰なのか?

カリフォルニア州ロサンゼルス在住の年収100,000ドル~150,000ドルの18歳~35歳の男性だろうか?それは、古典的なターゲット設定の例だ…しかし、たとえあなたがそのニッチにターゲットを絞ったとしても、それは上手くいかないだろう。

なぜ?

ロサンゼルスに住む年収100,000ドル~150,000ドルの18歳~35歳の男性がみんな同じ問題に直面しているわけではない。

これが重要である理由は、もしあなたが間違った層にターゲットを絞って、自分が作ろうとしている製品もしくはサービスに対するフィードバックを得ても、あなたのビジネスを脱線させる可能性のある情報を得ることになるからだ。最もしたくないのは、自分の理想の客が買いたいと思わないものを作ることだ。

APPfogがどのように姿を現したかのストーリーは、自分の市場を注意深く選択することの良い例だ。Hack Newsによく出入りしている創設者のLucasは、アプリケーションの開発と展開のこととなると自分と同じような問題を抱えた人たちがいることに気が付いた。しかし、これらの人々が自分のターゲット市場にいると仮定する代わりに、彼はテストしてみることにしたのだ。

彼は、人々が彼のAPPfogサービスに登録することができるランディングページを開設した。実際にはその製品は作られておらず、ただ彼は、どれくらいの人がアプリケーションの開発と展開に役立つサービスを求めているかを理解することができるように、そう思わせるようにしたのだ。

24時間以内に800人が彼のサービスに登録した。そして、4週間後には4000人がそれに登録した。

Lucasは自分のソリューションには需要があることを知ったため、彼らにベータ版をお知らせして欲しいかどうかのアンケートに答えてもらうことにした。そのアンケートは、主にフリーアンサーの質問が含まれていて、完了するのに30分の時間が必要だったため、伝統的なマーケティングの常識には反していた。

当然あなたは、多くの人がそれに回答しなかったと思うだろう。しかし、彼のソリューションに対する需要はとても高く、彼は2000人の人から回答を得ることができたのだ。これによって、彼は、自分のターゲット層にいない人々を取り除くこともできた。なぜなら、深い痛みを抱えた人だけがそのようなアンケートに答えたからだ。

驚いたことに、4000人中2000人がこのアンケートに回答したのだ!彼は同じ問題を共有し、それを深く受け止めている人のグループを見つけた。

そして、それはウェブベースの製品もしくはサービスだけに留まらない。Betabrandは、適切な市場を見つけることにとても注意深い会社だ。それが顧客を産み出す最初のステップであることを彼らは知っているのだ。

新しい衣料品を発売することを検討する時にはいつも、彼らは、最初に顧客グループを見つけ、その後で彼らを使って服のアイディアをテストする。

彼らは、“自転車通勤パンツ”のコンセプトをテストした。後ろポケットに入っている旗を垂らして、ハンカチを折り上げると、路上での可視性を向上する反射物になる。それらをしまえば、仕事に適したスラックスになる。

洋服の一つ一つの新しい記事が、実用最小限の商品だ。彼らは100着くらいしか作らず、ターゲット市場に手を差し伸べて、様子を見る。そして、自転車通勤パンツは人気爆発したが、気が付くべき重要なことは、全てのアイディアを成功させることではない。失敗を最小限にするために、新しいアイディアに向けた衣料品を少ない量で試しに作って、上手くいったら、その製品を継続して改善するのだ。上手くいかなければ、そのアイディアをお払い箱にする。

同じような種類の成功を作り出したいのなら、あなたは、自分の情熱的なアーリーアダプターになるかもしれない人を描く必要がある。つまり、あなたの製品が完璧ではないとしても気にせず、今それを欲しがる人達のことだ。

そして、彼らを探しに行き、彼らと付き合い、彼らのことを深く理解すること。10人をあなたの“顧客諮問機関”に迎え入れるのだ。そうしている時には、あなたがその中の1人であることだけでは十分ではないことに気が付くこと。世間にあなたと同じような考えの人が多くいることを確かめに行き、そして実際に彼らの問題を理解するのだ。

約束を果たす

顧客製造の次のステップは、彼らの痛みを解決する手助けをすることだ。つまり、あなたは自分が約束したことを果たさなければならない。この時点であなたはすでに、深く受け止めている痛みもしくは情熱を持っている人々のグループを特定しており、あなたはどうにかしてそれに対処することになる。

その痛みを解決して約束を果たすには、あなたのブランドおよび会社全体がその一部でなければならない。あなたが顧客とする全てのやり取りがその約束、そしてあなたがそれを守る能力に影響を与える。これには、製品が含まれるが、マーケティング、販売、流通、返品プロセス、サポートなども入る。

これの良い例がZapposだ。彼らはただ靴を売るだけではなく、最高の買い物体験をあなたに提供する。彼らはランダムに翌日配送料金を無料にアップグレードする。もしくは、自分が購入した靴に満足しなければ、たとえ6か月履いた後でも、質問を尋ねられることなく返品させてくれる。

では、どうやってあなたはZapposのように約束を守るのか?あなたは、痛みまたは情熱に対処する必要があるが、機能に焦点を合わせないこと。どのように彼らを感じさせる必要があるのかに集中し、それを提供するものだけを作る計画をするのだ。

Appfogは、2000人のアンケート回答者を満足させ続けるために絶対に必要とされるものを作ることだけでこれを行った。彼は、フロントエンドに3つか4つの機能、そしてそれをサポートするバックエンドを作った。これは、情熱的な顧客は産み出さなかったが、学び続ける顧客を産み出した。

製品を築く時には、シンプル・イズ・ベターを頭に入れておくこと。全ての人に全てのことを、というのは失敗のレシピだ。大企業は、シンプルな価値命題を届ける複数の製品ラインと複数のモデルに向かって成長することによって大企業になる。世界全体のために問題を解決する複雑な製品を作ることによってではない。

あなたは、顧客の生活にプラスに影響を与えるどんな約束をするのだろうか?自分の約束を果たすために必要な最小限の機能は何だろうか?それらの疑問について解明し、自分の顧客諮問機関に投げ入れて自分が順調に進んでいることを確かめるのだ。

あなたの秘密のソースは何?

もしあなたが満足した顧客を産み出したいのなら、彼らはその約束は自分たちのために作られたことに気が付かなければならないし、もしあなたが情熱的な顧客を求めるのなら、彼らは並外れてすごいものが作られたと感じなければならない。それは、喜びかもしれないし、安心かもしれないし、お世辞かもしれない。あなたは何かしら意義のある方法で彼らの生活を変えなければならない。顧客は、特別に感じる時に情熱的で、それは彼らが自分の体験を共有する時だ

大きな成長を達成するためには、あなたはこの情熱を呼び起こさなければならない。あなたは望ましい行動を誘導することによってしばらくの間情熱を見せ掛けることができるが、それは持続可能なことではない。大幅なディスカウントを提供したり共有すると表彰したりするソーシャルメディアプログラムは、人々にあなたのFacebookページを“いいね!”してもらったり、友人に伝えてもらったりするかもしれないが、そのプログラムがなくなったとたんに、うわさもなくなる。

あなたが使っていて、気に入っている製品について考えるのだ。あなたが好きな製品におけるあなたの行動は何が違うのか?その製品または会社の何があなたに一線を越えさせるのか?

ここに、情熱的な行動を作り出すことに企業が取り組むための方法がいくつかある:

  • チャリティーにお金を寄付したり、社会的大義を導入するTomsは、購入されるごとに1足靴を寄付することによってこれをしている。
  • 並外れたカスタマーサービスを提供する – ZapposとNordstromは、素晴らしいカスタマーサービスを提供することで有名な会社だ。例えば、Nordstromは一生涯の返品ポリシーを持っている。
  • 役に立つ製品を作る – 人々がBasecampを好むのは、最も多くの機能を有するからではなく、それが使い易いからだ。
  • 信条に訴えるAmerican Apparelは、他の国で作られた服を着ることはアメリカ経済を傷つけると感じる人がいるために、アメリカ製の洋服だけを販売する。
  • 要求されている以上の働きをする – つまり、期待以上の体験もしくは期待以上に機能するもの。

情熱を作り出すことは、あなたの製品またはサービスに直接関係する必要はない。私が運営しているサービス、KISSmetricsCrazy Eggでは、ブログを通して情熱喚起を作り出す。それが私たちの秘密のソースだ。人々は私たちのコンテンツをとても気に入っている。なぜなら、たとえライバルの製品について教えることを意味するとしても、私たちが理想の顧客を教育するからだ。

CopybloggerのBrian Clarkは、これを最小実現可能オーディエンスと呼ぶ。

あなたは以下の時に最小実現可能オーディエンスを持つ:

  • 自分のコンテンツがよりオーディエンスの役に立つように適用及び進化するために、コメント、Eメール、ソーシャルネットワーク、ソーシャルメディアニュースサイトから十分なフィードバックをもらっている時。
  • 既存のオーディエンスやアーンドメディアによるソーシャルメディア共有のおかげで自然とオーディエンスを増やしている時。
  • あなたが提供している無料の教育以外にオーディエンスが問題を解決するため、もしくは欲求を満たすために何を必要としているかについて十分な見解を得ている時。

最初にオーディエンスを築くことは、あなた独自のマーケットセグメントを作るようなものだ。

あなたは、説得力があり価値を追い求めるコンテンツによって引き寄せられた似たような人々のグループを作っているのだ。次第にあなたはこれらの人々を深く理解するようになり、彼らが望む製品に対する見解を得るようになるだろう。

顧客諮問機関にも自分の秘密のソースを使うべきだ。もし彼らがそれに情熱的になれば、他の人も同じようになる可能性が高い。

最後に

顧客を獲得しようとすることは何も悪いことではないが、始めたばかりの時は顧客を産み出すことに焦点を合わせるべきだ。ほんの少しのお金で顧客を産み出せるというのに、新しい会社が顧客を買うことに焦点を合わせるのはお金がかかりすぎるし、危険すぎる。

さらに、私はそれが大企業と張り合う最高の方法であることが分かった。あなたはGoogleやMicrosoftよりも多くの金を手にすることは決してないが、もしあなたが起業家の原則を学び、それらを自分のビジネスに適用すれば、競争で優勢になるだろう。

あなたは、顧客を獲得することに対比して顧客を産み出すことについてどう思うだろうか?


この記事は、Quick Sproutに掲載された「Don’t Acquire Customers, Manufacture Them+」を翻訳した内容です。

言葉遊びといえば遊びかもしれませんが、ターゲット顧客を掘り下げ、その顧客層に響く製品サービスを提供していくことの重要性を理解できる記事でした。確かに「獲得」という響きは既にそこにあることが前提の言葉に聞こえますし、ともすれば間違ったり曖昧なターゲット顧客設定のまま、事業を進めかねない危険性も孕んでいるかもしれません。実際に多くの新製品がそれで失敗するわけですし。もちろんターゲットを正確に見極めたとしても、今日のような多種多様な製品サービスが存在する市場で勝利していくには「秘密のソース」でいかに他社と差別化していけるかが大事なのでしょうね。 — SEO Japan [G+]

最初のスタートアップを始める前に知っていれば良かったと思う11のこと

ウェブマーケティングに誰よりも詳しいシリアルアントレプレナーといえば、CrazyEggやKissMetricsでお馴染みのこの人、ニール・パテル。そんな彼でさえ多くの失敗を繰り返してここまできたわけです、ということで、彼自身が自ら語る起業家志望の皆さんのためのスタートアップを失敗さえないためのアドバイス集を。 — SEO Japan

私はいくつかの会社を共同創設してきたが、初めて自分のスタートアップを作ったのは7年前だ。最初のそれは、ウェブサイトをもっと使用可能にするのを手助けするCrazy Eggだった。そして、4年半前に、初めてベンチャーの支援を受けたスタートアップKISSmetricsを共同創設した。

よく言われるように、スタートアップライフは上り下りのあるジェットコースターだ。だから、もしあなたがそれを始めようと思っているのなら、このブログ記事が役に立つだろう。

それでは、私が最初のスタートアップを始める前に知っていれば良かったと思う11のことを紹介しよう:

レッスン1: 投資家はなぜ自分が投資をしたくないかについて言い訳をするのが好き

Crazy Eggのピッチを始めた時、私たちに小切手を書こうという投資家はいなかった。それは彼らの失敗ではなかった。だって、私と共同創設者はピッチが下手くそだったのだ。彼らはなぜ投資したくないかについてみんな異なる理由を持っていて、投資家から20以上の“No”の返事を受け取った後、私は何かが間違っていることに気が付いた。誰もが“No”に砂糖をふりかけて、良く見えるようにしてそれをあなたに伝えるのだ。

悪い評判が欲しい投資家などいないのだから、彼らに文句を言うつもりはない。しかし、私が起業家として学んだ1つのことは、投資家があなたに“No”と言う時、あなたは自分のピッチを改善するためにどういう風にすればよかったのかを尋ねるべきであるということだ。これを尋ねることによって、あなたは自分のピッチ全体を改善して資金調達の可能性を上げるために使用することができるフィードバックを手にするだろう。

レッスン2: たくさんのお金を調達するからと言って、あなたが高い給料をもらうという意味ではない

KISSmetricsのためのシードラウンドは100万ドルで、シリーズAは300万ドルだった。私たちがシードラウンドを調達した時、外部から資金調達をしたのは始めてだったし、自分たちが給料をもらえることをとても喜んで、私と共同創設者は有頂天になった。私たちは、6ケタの給料がもらえることさえも期待していたのだ。

私たちのリード投資家True Venturesはかなりフレキシブルで、私たちがもらう給料がいくらかに関して制限をしなかった。彼らは、私たちの相談に乗り、もし私たちが望むなら高い給料を取ることもできるが、それが全体の資金燃焼を増やすことになり、それは会社がもっと多くのお金を早く集めなければならないことを意味し、それが私と共同創設者にとって希薄化をもたらすことになる、と説明した。

このことにより、私たちは月5000ドルの給料だけをもらうことに決めた…300万ドルのラウンドを調達した後さえも

さらに、私が、年収60,000ドルではなく月収5,000ドルをもらったのだと言う理由は、物事が自分たちの思うようにいかなかった時にはお金を節約しなければならなかったので毎月いつも自分たちに給料を支払えたわけではなかったからだ。長い目で見ると、全て上手くいったが、もし私たちが倹約していなかったら―自分たちの給料だけでなく全てのことにおいて、私たちはやって行けなかっただろう。

もしあなたが資金調達をするつもりなら、自分にたくさんのお金を支払うようなバカなことはしないことだ。それは単にあなたがもっとたくさんのお金を調達しなければならないという結果を引き起こし、それはあなたが自分自身の会社をそれほど所有しないことを意味する。

レッスン3: オプションは希薄化をする最速の手段

特にベイエリアでは、従業員と顧問は株式の4分の1から2分の1を求めることで有名だ。もちろん、優れた従業員は、GoogleやFacebookで働くよりは少ない給料であなたのために働くのだから、たくさんの株を手にするにふさわしい。

しかし、私たちの過ちは、大量の顧問との契約にサインし、彼らが早くから求めたものを彼らの多くに与えたことだ。このせいで、私たちはオプションプールを早く使い尽くすことになったため、私たちが次のラウンドを調達した時にはオプションプールを10%いっぱいにリフレッシュしなければならなかった。これによって、私と共同創設者は、期待していたよりも多く希薄化されることになったのだ。これは私たちの顧問のせいではなかった。彼らはたくさんの価値を提供してくれた。私たちがより良い契約交渉をすべきだったのだ。

自分のオプションをゴールドのように扱うこと。自分の大切な従業員に渡すことができるように、それらを手放さないこと。もし顧問がたくさんの株を求めたら、それらの株に対して彼らが何をあなたに提供することになるのかについて必ず書面での契約を交わすようにすることだ。

そして、顧問が大きなパーソナルブランドを持っている場合、彼らにはあなたを助ける時間はあまりないかもしれないということを頭に入れておくことだ。だから、株に対して彼らがあなたに何を提供するのかについて書面による契約を手に入れるのだ。(これは、彼らがたくさんの株を要求している場合にのみ必要)。

レッスン4: スタートアップネットワーキングイベントの90%が時間の無駄

大部分のスタートアップネットワーキングイベントであなたが学ぶことは、オンラインで学べることと同じだ。唯一の違いは、スタートアップイベントは一般的にお金がかかるということだ。参加する価値のあるネットワーキングイベントもいくつかあるが、ほとんどはそうではない。

カンファレンスやネットワーキングイベントに登録する前に参加者リストを探すこと。見込みクライアントもしくは自分よりもずっと賢い人のどちらかがそのイベントにいることを確かめるのだ。もしも、会社を経営する方法についてあなたが教える側なら、何かが間違っている。自分よりも賢い人々がイベントにいる場合にのみ、あなたは学ぶことができるのだ。

もし良いネットワーキングイベントに参加したいのなら、私的で招待制のものを探すこと。それらのイベントに参加するのは難しいが、もし参加すれば、それには価値がある。それこそが、新しいフレンドシップとビジネスパートナーシップを作ることを可能にするイベントのタイプだ。

レッスン5: サンフランシスコに住む。でも、そのために作らないこと。

私はサンフランシスコに住んでいないが、よくそこにいる。それに、私のビジネスパートナーはこの街をちょっと出たところに住んでいる。私たち二人の過ちの1つは、テック部門にいる個人から得たフィードバックを元にビジネスを築いたことだ。

これは、本当に賢い人々からフィードバックを得るのだから賢いことのように最初は思われるかもしれないが、あなたは、彼らが自分の理想の顧客ではないかもしれないということに一歩下がって気が付く必要がある。スタートアップの人達は物事にお金を支払うことを好まないし、彼らは世界の人口のほんのわずかな一部を占めているにすぎない。

製品やサービスを作る時には、ベイエリアの外に住む人達全てを考慮する必要があるのだ…リンカーン・ネブラスカに住んでいるかもしれない人のように。世界の大部分の人は、テック中心地に住んでいるわけではないということを忘れずに。

しかし、あなたの顧客がサンフランシスコに住んでいないかもしれないからと言って、あなたがサンフランシスコに住むべきではないないという意味ではない。あなたは、サンフランシスコでは他のどんな場所よりも多くのテック投資家を見つけることになるだろう。そして、彼らは自分たちが知っていて信じている人に投資する傾向がある。あなたは、彼らの近くに住まないことには、彼らのことをよく知ることはできない。

レッスン6: お金を稼ぎ始めるのに時期が早すぎるということはない

初めて資金を調達する時には、自分のスタートアップへの利益の流れを作る緊急性は少ない。シリーズAラウンドを受ける時には、顧客にお金を払ってもらうよりも、多くの時間を製品を作ることに費やすことになる。その一方、もしあなたが自分の会社を作るのに自分の個人的な貯金を使っているのなら、できる限り早く収支が合うようにしたいだろう。

私たちがKISSmetricsで犯した最大の過ちは、早くに販売し始めなかったことだ。私たちは優れた製品を作ることや、プロダクトマーケットフィットに手が届くこと、そしてスタートアップがするその他全てのことに焦点を合わせていた。しかし、プロダクトマーケットフィットを手にする前、もしくは製品に取り組む前でさえ、販売を始めることができないというわけではないのだ。

私たちがこの会社にセールス部長を加えてから1年以上が経つが、彼の参加から6か月以内に、私たちの利益は急上昇し始め、ふさわしいところに達した。どんなに販売に長けている人でも、自分の製品を販売したりそこから利益の流れを生み出す方法を見つけ出すのにはしばらく時間がかかるものだ。

私たちは、製品を作り終える前に販売プロセスを始めるべきだったのだ。なぜなら、それは、お金を取り入れて資金燃焼を減らすのに役立つだけでなく、お金を支払う顧客からより速く学ぶことを可能にするからだ。

レッスン7: 経験のある従業員がハングリーな従業員よりも優れているわけではない

あなたのスタートアップが銀行に数百万ドルを持っている時には、雇用に関してたくさんのフレキシビリティがあることになる。これが理由で、あなたは最も賢い人間を探すだろう。そう、エグゼクティブのように、たくさんの経験を積んだ人間、あなたがしたいことをしたことのある人間だ・・・。

私がすぐに学んだことは、それらの高賃金の人達は直近の仕事では成功したが、それはあなたの会社でも成功するという意味ではないということだ。多くの場合、彼らは大企業の環境の中でより良い結果を出す。彼らに欠けていることは、速く動き、他人に依存せずにそれをする能力だ。

それらの企業エグゼクティブは、自分達で物事を行う方法を見つけることよりも、仕事を請け負うことに慣れている。スタートアップが若い時、これらの人々とは距離を置くことを私はお薦めする。その代わりに、まだキャリアの中でそのような大きなブレイクを経験していないハングリーな人間を雇いたい。戦いを厭わず、成功するためなら何でもする人間を。

あなたは後で企業エグゼクティブを雇うことはできるが、初期の頃は彼らを必要としない。

レッスン8: ソーシャルサークルがあなたを定義づける

子どもの頃、賢い子と付き合うように両親に言われただろうか?私はそうだった…私の両親は、私に影響が及ぶことを恐れて、バカな子や行いの悪い子と付き合って欲しくなかったのだ。

同じことが起業家精神にも当てはまる。私が、自分がどれくらいうまくやるかに自分の仲間が大きな影響を与えるということに気が付いたのは、私のキャリアがだいぶ進んでからだった。もしあなたの友人が成功している賢い起業家なら、それはあなたが良い結果を出すのを後押するだろうし、あなたは起業家としてより早く発展するだろう。

例えば、私のビジネスパートナーはたくさんの製品側の人間やエンジニアと付き合いがある。彼はそのことに大変満足している。なぜなら製品を築くこととなると、それが彼のスキル向上に役立つからだ。そして、私はたくさんのビジネス/ファイナンス側の人間と付き合いがあり、それは、資金調達をする方法や企業買収を組み立てる方法のようなことを理解するのに役立っている。

ビジネスパートナーも私も、私たちが発展するのを助ける人々と付き合い始めたのは、最初のスタートアップを作ってしばらくしてからだった。もし私たちが事前にこのことを知っていたら、もっと前にオレンジ・カウンティから出ていただろう。

あなたは、自分が人生で求める場所に達するのを手助けしてくれる人々に囲まれることができるような場所に移るべきだ。そして、それと同時に、必ず、彼らに報いて、あなたができることは何でもするようにすることだ。

レッスン9: 隣の庭の芝生はいつも青い

もしあなたが勤め人の世界の出なら、恐らくTechCrunchを読んだことがあり、どのようにして若い子が何百万ドルの資金調達をして自分の会社を10億ドルでFacebookに売却しているかを目にしているはずだ。

もしあなたがスタートアップの世界にいるなら、あなたは常に、どのようにして人々が大企業で働いて無料の食事のような特権の付いた6ケタの稼ぎを得ているのかについて耳にしている。特に、彼らは9時から17時まで働けばいいので、たくさんのストレスがない。

現実は、上記2つの状況はどちらも正確ではない。スタートアップの世界にいる人々は、身を粉にして働き、大した給料も手にせず、成功することはめったにない。そして、勤め人の世界にいる人は、常に高い給料をもらっているわけではなく、彼らの多くは、週40時間働いた給料しかもらっていないにも関わらず、週70時間働いている。

起業家的なライフスタイルを送りたいからといって、起業家にならないこと。そして、簡単な仕事が欲しいからといって、勤め人の世界で働かないこと。

私が初めて起業家になったのは、率直にいって金持ちになりたかったからだ。もちろん、私は金銭的にはとても上手くいっているが、これまでにたくさんの失敗をした。私が今起業家であるのは、自分が情熱を持っている問題を解決するという困難が好きだからだ。しかし、もし私が自分の労働意欲を持って勤め人の世界に直行していたとしても、恐らく金銭的には成功していただろう。

私がしたように、単にお金のためだけにキャリアを選ばないことだ。スタートアップの世界は、大部分の人が裕福になるような場所ではない。幸運にも私はうまくいったが、もし私があなたなら、運は考慮しない。もしあなたが、自分が情熱を持っている問題を解決したいのなら、お金のためではなく、それを理由に起業家になるのだ。お金は、人々が直面している問題を解決することの副作用である。

レッスン10: 自分が知っていることにこだわる

Warren Buffettは、自分が理解する企業に投資をすることで有名だ。彼はBill Gatesなどの人々と親しいが、彼は、自分がテック業界を理解していないことが理由でMicrosoftに思い切って投資をすることはない。

私はかつて会社を始めたり自分が情熱を持っていることに投資をしていたが、多くの場合、自分が興味を持っていたことを理解していなかった。しかし、私が早いうちに知らなかった1つのことは、情熱は成功するビジネスを作るのに十分ではないということだ。もし私が自分が理解するビジネスを作ることにこだわっていたなら、自分のスタートアップをもっと先に進めていたことだろう。

例えば、KISSmetricsでは、共同創設者と私は、人々がお金を払ってもいいと思うような物を手にするまでたくさんの製品イタレーションを経験した。私たちの製品の以前のバーションはオンラインゲーム企業のために問題を解決することに焦点を合わせていた。

その当時、Facebookゲームがかなり人気になっていたが、1つ大きな問題があった。ビジネスパートナーも私も、ゲームを作ったことがなかったため、ゲームについてあまり理解していなかったのだ。一方、私たちの現在の製品はマーケッターが直面している問題を解決する。それは、マーケティング企業を所有するビジネスパートナーと私がよく理解していることだ。あなたがそのビジネスを見てみると、私たちの成長は、私たちが自分のしていることを知っているために拡大しているということが分かる。

もしも自分の成功する確率を上げたいのであれば、Buffettのアドバイスに従って自分が知っていることにこだわるのだ。

レッスン11: 成功している人が常に、何が一番かを知っているわけではない

始めた当初、私は他の成功している起業家から指導を受けていた。年間を通して、彼らのアドバイスは役に立ったし、彼らがいなかったら私は今ここにいないだろう。

しかし、私が失敗し続けていた1つのことは、これらのメンターからのアドバイスに疑問を持たなかったことだ。1億ドルで自分のビジネスを売ったことのある人に私が偉そうに疑問を持つことではないという理由で、もし彼らが何かを言ったら、私はそれに従った。

メンターは一般的なビジネスのアドバイスをすることやあなたを導くことに優れているが、その人物があなたの業界についてたくさんの知識を持っているのでない限りは、彼らから特定の業界に関するアドバイスを得ることが常に賢いアイディアというわけではない。

成功しているからといって、その人があなたのビジネスにとって何が一番良いかを知っているという意味ではないのだ。ある成功している人が、私たちにKISSmetricsでソーシャルゲーム市場を狙うように言った…しかし、それは私たちにはうまくいかなかった。そして、それは彼らの失敗ではない…それは、そのアドバイスに疑問を持たなかった私たちの失敗なのだ。

結局、私たちは、ピボットして、顧客のニーズに基づいて独自の方向性を築き、それが上手くいった。私たちのメンターは素晴らしく、私たちをたくさん助けてくれた。ただ私たちは、適切な質問をする方法を学ばなければいけなかっただけだ。

最後に

このブログ記事が、あなたが思い切って起業家精神に飛び込むことを止めなければいいのだが。私自身はそれを気に入っているし、自分が他のことをできたとは思わない。あなたはただ、思い切って飛び込む時に現実的な期待を持つ必要があるだけだ。自分はたくさんのお金を集めて、最高の会社を作って、それをFacebookに10億ドルで売却するのだと考えることは現実的ではない。

あなたは会社を始めることについてどう考えるだろうか?思い切って飛び込む前に知っていれば良かったと思うことはあるだろうか?


この記事は、Quick Sproutに掲載された「11 Things I Wish I Knew Before Starting My First Startup」を翻訳した内容です。

新米起業家に限らず、起業家の方には色々感じ入ることが多い内容だったのではないでしょうか。私も経営歴は10年を超えましたが、共感すると共に改めて勉強になった記事でした m(_ _)m 私も今年幾つかの新規サービスをリリース予定で新人アントレプレナの気分で取り組む覚悟ですが、この記事を読んでどこか気持ちがリフレッシュしましたし、10年前の自分に戻って頑張ろうと思います! — SEO Japan [G+]

Saber Blastは、小さな会社がマーケティング同盟を組んでソーシャルメディアを活用するサービス

スモールビジネスや新しいブランドは、ソーシャルメディアの海の中ではイワシにすぎない。しかし、一匹では弱い小魚も群れをなせばはるかに強くなる。それが新しい連合マーケティングツール、Saber Blastがベータを終えて開業した理由だ。

このサービスに登録した会社は、他の会社やブランドと力を合わせ、ソーシャルメディアのコンテンツをRTしたりシェアしたりする。これは、Airbnbのような宿泊シェアサービスが、LyftやGetAroundなど移動に重点を置いたピアツーピアサービスと組めばうまくいく、というアイディアに基づいている。これらのサービスは、旅行者は宿泊と移動の両方を必要とし、顧客はピアツーピアサービスを使うことに慣れつつある、という意味で共通点を持っているが、会社同志は直接競合していない。

Saber Blastでは、LyftとAirbnb、あるいは誰でもが同盟を組み、互いのコンテンツをそれぞれのメディアチャネルを通じてRT、シェアし合う。何をシェアして何をシェアしないかに関しては利用者が全面的に決められるが、仲間のコンテンツをシェアすればするほど、自分のコンテンツを相手が流してくれる可能性が高くなる。

Saber Blasterのウェブには、連合を形成したり、連合がプロモーションを依頼したり、シエア、分析などを行うためのダッシュボードがあり、操作はすべてここで行う。

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Saber Blastは、有料購読モデルによって収益化しており、20社、2000メールアドレスまで月額20ドルから最上位パッケージの月額100ドルまで段階に分かれている。

FounderのMatt Ackersonは、これが4社目の設立となり、Saber Blastはスモールビジネスやスタートアップを対象としているが、大小のブランドも恩恵を受けられると言っている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)

ビジネスプラン抜きでスタートアップが資金調達するための4つの秘訣

最近、個人的なブームになっているHubSpot創業者によるスタートアップ&投資関連の記事を続けて。起業家が投資を受けるために必須と考えられているものの一つがビジネスプラン。アイデア一つで起業してみたものの、市場規模からビジネスモデル、競合調査に売上予測まで、様々な情報をまとめ上げる作業も大変なわけですが、必ずしも出資を受けるためにビジネスプランが必須なわけではない、、、という筆者の考えを。– SEO Japan

これに関して深入りする前に、2つのことをはっきりとさせておく。私が“プラン”なしと言う時は、正式に書式化されたビジネスプランがないことを意味する―自分が何をしたいのかについて何の考えも持たないということではない。そして、私がスタートアップファンディングと言う時、エンジェルからのアーリーステージのシードファンディングについて話している(とは言っても、これらのアドバイスの大部分はVCにも当てはまる)。

地元ボストンの起業家コミュニティのメンバーおよびパートタイムのエンジェル投資家として、私は様々なプロセスの段階にいるたくさんの新しいスタートアップと接触している。そして、ビジネスプランを書くこと(そして書き直すこと)にあまりに多くの時間を費やす起業家がいることにはいつも驚かされる。プロセスの計画を立てることはとても役に立つことが多いが、効率性の度合いはかなり低い。なぜなら、自分の考え、アイディア、ブレーンストーミング、調査を元にして、それを外面的に消費できる書類に“捕え”ようとすることは非常に困難で時間がかかるからだ。あなたが物事について“考えること”(そして、実際にビジネスについて考えることに)に10分費やすたびに、あなたは書類を読む人にとってそれを理にかなう形にしようとして1時間を費やすかもしれない。そして、本当に皮肉なのは、その書類を全て読む人はほとんどいないということだ。

私がビジネスプランを好まない主な理由の1つは、物事は変化することだ。ビジネスプランを書いてそれを継続的に改善することに時間を費やす代わりに、私はむしろ、市場をテストしてアプローチを改善する起業家を見たい。Josh Kopelmanが最近、“Failing Cheaper(安く失敗すること)”というタイトルの素晴らしい記事を投稿した。一読の価値がある。

とにかく、どのようにして正式なビジネスプランを書くという窮状を味合わずに資金を獲得するチャンスを増やすのかについて私の考えをいくつか紹介しよう。ここでは、あなたが少なくとも投資家もしくは投資家グループのいるオーディエンスを獲得する能力を持っていると仮定している。もしそうでないのなら、あなたには別の問題がある(そして、ビジネスプランはそれには役に立たないだろう)。

プランもしくはパワーポイントなしでスタートアップファンディングを調達するための秘訣

  1. ストーリーを持つ:人々はストーリーを好む。ストーリーはワクワクする。ストーリーには登場人物がいて、筋がある(どんなに小さなものでも)。あなたのストーリーは、使用事例に関することかもしれない(すなわち、あなたの製品が、問題を解決するためにどのように使われるのか)。そのストーリーは、あなたがその機会をどのように発見するのかの説明かもしれない:“大企業のオフィスで働いていた私。私たちは、[X]をする方法を必要としていた。顧客を失っていて、[X]を成し遂げる方法を見つけることができずに悩んでいたためにコンサルタントを雇っていた。そして私は思った。この問題の一部を解決する簡単な方法がある…。”このストーリーは期待される“未来の状態”についてかもしれない。例えば:“2年もすると、インターネットと共に育った人達は、今日ほとんどの医者のオフィスに存在している非効率性をもはや受け入れなくなると私たちは思っている。”
  1. レバレッジを示す:人が違えばこれを違う風に呼ぶ(一般的な言い回しは、“不当な優位性”)。基本的に、あなたがする必要のあることは、あなたが持っている(もしくは手に入れそうな)レバレッジの種類を伝えることだ。早期の起業家がほとんど話題にしないレバレッジで私が気に入っているのが、資本効率だ。例:“私たち二人はこの本当にエキサイティングな市場機会に偶然出会った大学生です。私たちは、小豆と米を食べて共同アパートを拠点に仕事をしながら25,000ドル以下でこれを作ることができます…。”このレバレッジポイントは基本的に、あなたが、同じもしくは似たようなことをしている他の人よりも安く身をもって学ぶことになると言っている。[注:誰もがいくつかの教訓を学ばなければならない。問題はあなたがそれらを学ぶのに費やすお金がどれくらいなのか?ということだ。] 他に私が気に入っているレバレッジポイントは、顧客グループへのアクセス(以前の仕事/生活から)、可能性のあるパートナーと流通チャンネルへのアクセス、製品を築くことができるユニークな“才能”へのアクセス、事前に書いたIP(あなたはすでに自分が取り組んできたサイドプロジェクトから必要なコードをたくさん手にしている)などだ。基本的に、ここでのアイディアは、なぜ自分がこれを全く失敗しないという過度なチャンスを持っているのかを説明しようとすることだ。
  1. 自分の子どもが醜いことを受け入れる:ほとんどの親が自分の赤ちゃんは美しいと思っているのと同じように、ほとんどの起業家は自分が美しいスタートアップを持っていると考える。なぜ自分のスタートアップが美しいのかを他人に説明しようとして時間を費やさないことだ。それは違う。その代わりに、なぜ自分の子どもが美しい何かに成長していくのかを説明することにエネルギーを費やすのだ。製品を築いたり、顧客を見つけたり、サポートに取り組んだりするなどの問題にあなたがどのように取り組むつもりなのかを説明するのだ。
  1. 夢は大きく、しかしプランは小さく:アーリーステージの段階では、物事を安く効率的に成し遂げることができる起業家が資金提供を受ける可能性が高い。この理由はシンプルだ。あまりに多くのキャッシュは、市場が本当に求めているものやあなたがそれをどのように届けるかについてあなたが間違った感覚を持つことを許す。持っているキャッシュが少なければ少ないほど、あなたは本当に難しいこと(人々に自分のお金を手放させてあなたが提供するものを買ってもらう方法を探すことなど)に早く取り組まなければならない。大部分のアーリーステージ投資家はこのことを知っている。私は、アイディアには起業家というものよりも多くのお金がかかるということを知っているのだが、少しのキャッシュでそれができると信じ、そうしようと頑張っている人達をサポートする方が好きだ。Joshが言ったように、より安く失敗を学ぶのだ。

もしあなたがアーリーステージのファンドレイジングの初心者なら、自分とエンジェルファンディングの間に立つ唯一のものは、小切手帳が投資家のポケットから飛び出るほどに魅力的な散文ときらめく財政的な予測を備えたピカピカのビジネスプランだと考えるという落とし穴にはまるのは簡単なことだ。私は、これは事実ではないということをあなたに伝えるためにここにいる。今日のスタートアップの大部分は、ビジネスプランという形で書き記すために、実際に自分たちが次第になろうとしているものについて十分に知らないのだ。


この記事は、OnStartupsに掲載された「4 Quick Tips on Raising Startup Funding Without A Plan Or A PowerPoint」を翻訳した内容です。

ビジネスプランを私もたまに読む機会がありますが、実際書いてある8割はどうでもよいことだったりしますし(アプリやネット広告市場について今更語られても・・とか、そもそもサービスが成功することが前提の売上予測とか・・)、特にその分野に出資をする側に多少の経験と知識があれば、ビジネスプランは必ずしも必要ない気もしますけどね。起業家にとっては、それを考えるプロセスで学ぶこともありますから、大事なこととは思いますが、ビジネスプランのためのビジネスプランには陥りたくないものです。

しかしここに書かれている4つの秘訣、どれもなるほどなぁ、と思えるものでした。ストーリーの大切さは投資家に対しても顧客に対してもいえますよね。無数のスタートアップが存在し、大半がスマホがらみだったりする今、真のレバレッジは最強の差別化要素になりえるかもしれません。自分のサービスを客観視できる力は、それを改善し成功に導いていくためにも必須ですし、大きな夢を持つことは大事ですが、何ごとも1つ1つ達成していくことが長続きの秘訣ですよね。資金調達に限らず、スタートアップにとっては大事だな、と思えることばかりでした。 — SEO Japan [G+]

デューデリなんていらない!型破りすぎるエンジェル投資家の秘密

昨日、HubSpot創業者による映画「マネーボール」のレビュー記事を紹介しましたが、内容が面白かったので彼の他の記事も幾つか合わせて紹介することにしました。筆者のダーメッシュ・シャー、HubSpotの創業者/CTO(MIT卒!)であると同時に、それ以前にも複数の事業立上げ/売却を行っており、得た資金を元に数多くの投資も行っているエンジェル投資家でもあるそうなのです。そんな彼のユニークな投資哲学について語られた興味深い記事を。 — SEO Japan

数週間内に、私は、現在は存在しない会社に投資をするために25,000ドルのチェックを書くつもりだ。会社もなければ、チームもない。そして、その会社が何をするつもりなのか、何をしたいのかも私には分からない。私はほぼ完全に盲目な状態で投資をしている。この狂気についてはこの記事のもう少し後の方で詳しく書くことにしよう。

私がそんなにも狂ったことをする理由を理解するために、まずは私のエンジェル投資の歴史と“戦略”(私は戦略という言葉をとても大まかに使用する)について少し説明させてもらう。それは、あなたの典型的なストーリーとは違う。

私は、MITの大学院生の時に初めてエンジェル投資を始めた。最近、自分の最新の会社を売っていくらかのお金を手に入れ、自分が次に何をしたいかを見出すために大学院へと戻った。それがまた別のスタートアップにならないことを妻に約束したため(スタートアップは難しいのだ)、私のプランはエンジェル投資をすることだった。それは、他の起業家を介して多様に生きることによって、自分の起業家としてのうずきを掻くことだった。とても楽しく、痛みはほとんどない。素晴らしいアイディアのように思えた。そして、実際にそうだった。

私が初めて投資した起業家は(自分は含めず)、Brain Shinだった。彼の会社がVisible Measuresだ。彼は、MITでの“New Enterprises”のクラスメイトだった。Brainは文字通り、私がMITで出会った人の中で最も賢い人達の1人だった。そして、彼は猛烈に頑張ることができた。だから、私はBrainのことをよく知らないし、最初のアイディアをそんなに好きでもなかった(彼らは途中でピボットした)にもかかわらず、50,000ドルを投資したのだ。そして、私は自分が何をしているのかも本当の意味では分かっていなかった。そして、エンジェル投資家になるためにはたった一つだけ条件があることが分かった:認可されなければならないのだ(すなわち、リスクを冒す財政的余裕があるということだ)。エンジェル投資の学校に通う必要もなければ、何らかのテストを受ける必要もなければ、あなたの根性を証明する必要もない。ただキャッシュが必要であるのと小切手を書く意思がなければならないだけだ。

私は、大学院在学中および卒業後に自分のスタートアップHubSpotを作っていた時にも投資を続けていた。これまでに35以上の投資をしてきた。あなたは、私のAngelListプロフィールのほとんどを見ることができる。私のアプローチを型破りなものにしているのは、私が持っているいくつかの“ルール”だ。

これらのルール全ては、1つのシンプルな制約に基づいている:私には時間がない。私は、とてもうまくいっている自分の会社(HubSpot)にひたすら取り組み焦点を合わせているため、スタートアップに費やす時間がないのだ。使用できる時間は全てそこに注がれる。もし私がこれらのルールを持っていなかったら、私は全くエンジェル投資をすることができなかっただろう。

これが私のルールだ:

1. デュー・デリジェンスなし。真面目に、ほとんどない。私が携わってきた半分以上の契約において、私は起業家と合ったこともなければ、電話で話したこともないのだ。一般的には一度か二度メールを交換するだけだ。ここでの私の論理的根拠は、2つある:私は、結果の大きさではなく、自分の時間(私の最大の制約)のために最適化している。さらに私は、かなり早い段階で、典型的な投資家が時間をかける大部分のデリジェンスは“不適切”であると考えている。それは、それほど知り得ることではないのだ。その人たちを好きか、そうでないかのどちらかだ。そのアイディアを好きか、そうでないかのどちらかだ(どちらにせよアイディアは変化するため、意味はない)。

2. 後続の投資なし。これは賛否両論のあるルールだ。多くの人は、私が投資に比例して主張する権利を持つ契約で“倍掛け”しないのは経済的に馬鹿げていると反論するだろう。彼らは正しいのかもしれない(私はそうは思わないが)。私が後続投資をしない理由は、それが時間を要する(私には時間がない)からだ。そして、私が投資をしない契約では、私が起業家にとってシグナリング問題を作るかもしれないからだ。一方的にあらゆる後続投資をしないことによって、全てのシグナリング問題はなくなる。私は、すでに自分が関わっている契約に投資するお金を、新しいスタートアップに回したいのだ。物事の大掛かりな構想の中では、これが全ての人にとってうまく機能すると私は思う。

3. 社外役員や顧問の地位もしくは公式な関与なし。ここでも、時間がないことに戻る。私には全力を傾ける時間がないため、それに全力を傾けないのだ。場合によっては、Eメールの自己紹介をしたり、自分のポートフォリオの中の起業家とディナーをすることもあるが、それ以外では、彼らが私に会うことや私から連絡があることはほとんどない。

全面的に私の型破りなアプローチはうまくいっているように思える。私は、あらゆるアーリーステージの起業家(エンジェルまたはVC)に対して自分のエンジェル投資ポートフォリオを掲げる。全てが終わったら、私はかなりの額のお金を稼ぐことになる。もしあなたがそう思わないのなら、私のポートフォリオをチェックしよう

そして、私の型破りなアプローチを批判し、私を“問題の一部”として分類する人達に向けて、私には簡単な返答/立場がある:操業を開始する会社があまりに多すぎるということはない。しかし、十分なだけの会社が操業停止していないということはある…それはまた別の問題だ。

重要:もしあなたがエンジェル投資を求めているのなら、最近の私の投資のほぼ全てがAngelListを介している(実を言うと、私はAngelListのメンバーであるだけでなく、投資家でもある)。そして、私はもっぱらインターネット/ソフトウェア会社にのみ焦点を合わせている。

さて、私の狂気の25,000ドルの投資の話に戻ろう。数週間前、Jason Calacanis主催の近々開催予定のLAUNCH Festivalについて耳にした。JasonはLAUNCHの一部としてそれをアナウンスするEメールを送信し、史上最高のハッカソンを作っていた。Jasonは勝利チームには25,000ドルをエンジェル投資するつもりだった。私はそのメールを見た時、“それはいいアイディアだ。私はもっとバカなことをしたことがある”と、思った。そこで私は、Jasonの25,000ドルと私の25,000ドルを合わせることを申し出たのだ。ひそかに私はHackerpreneurの大いなる信者だ。もし私が、何とかLAUNCHハッカソンに入って勝利する人の株主になることができるなら、それはかなり間違いないことだと思うのだ。

あなたもLAUNCHに参加するチャンスを得ることを望んでいる。そして、もしあなたがHackerpreneurタイプなら、そのハッカソンに参加して私のお金を手にしてくれたら嬉しい。


この記事は、OnStartupsに掲載された「Avoiding Undue Diligence: My Strange Approach To Angel Investing」を翻訳した内容です。

デューデリどころか合わずに投資を決めてしまう?!まさにエンジェル投資家ならではのルール無視の型破りな内容でしたね。一度成功して資金を蓄えたエンジェル投資家にありがちな感情論に走らず、きっちり本人なりのルールに落とし込んでいるのが流石MIT卒。。。?投資規模が少ないからこそできるやり方ともいえるでしょうが、一時の欲望や感情に左右されず、自ら設定した何らかのポリシーに忠実に従って行動する、という手法はエンジェル投資にもそれこそギャンブルに勝つためにも(似たようなものですか)通じる点はあるかもしれません。

私も今の会社が多少形になってから20位は投資してきましたが(新規社内事業含む)、既に10は完全撤退、半分がどうにか健闘中、半分が大きく化ける可能性あり(まだ夢は見れる)、という感じです。1つも大成功していないですし失敗の方がはるかに多いですが、その分学びも多かったので5年後にはトータルで大勝ちしていたいと思います。。。 — SEO Japan [G+]

映画「マネーボール」に登場する17のセリフに学ぶスタートアップの教訓

公開当時スタートアップやベンチャー経営者界隈でもそれなりに話題になり、「ビジネスにも参考になる」と絶賛する人も多かったのが映画「マネーボール」。SEO Japanの読者の方にも観た人が多いと思いますが、褒める人が多いと逆に興味がなくなるヒネクレ者の私、今まで観ないままでした。先日、夜中にテレビのケーブルチャンネルでやっていたので思わず観てしまったのですが、予想通り?の面白さに「これなら早く観ておけばよかった」と後悔しました。同時に、そういえば以前、マネーボールネタの記事を読んだよな、、、と思って調べたところ、SEO Japanで翻訳許可を受けているOnStartupsの記事だったので改めて紹介したいと思います。映画は若干古いですが筆者は日本でも話題沸騰中のHubSpotの創業者(ダーメッシュ・シャー)、映画にかこつけたネタ記事に終わらない、ウェブマーケッターなら必読の内容かも? — SEO Japan

私はバカだ。いつもではないし、ほとんどいつもというわけでもないが、時折、私はバカだ。友人であり共同創設者のブライアン・ハリガンが、“マネーボール”という本を読むように私に言ったときもそうだ。それは、私たちがHubSpotというスタートアップを始めた時のことだった。「でも、野球好きじゃないし」と私は言った。すると彼は、「それは野球じゃなくて、データに関する話なんだよ」と言った。私は、それを自分の読書リストの中に入れたのだが、読むことはなかった。それは間違いだった。

そして私は今、映画“マネーボール”を見終わったところだ。これを見るのは2回目だ。最初に見たのは昨晩のことだった。私は同じ映画を2日間で2回も見たのである。それは、この映画が素晴らしかったからではなく(素晴らしかったのだが)、1回目はたくさんのことを見逃し、2回目にそれを見なければならないと感じたからだ。もしあなたがまだこの映画を見たことがないのなら、この記事を読むのを止めてすぐに見るべきだ。もしそっちに夢中になってこっちに戻って来なかったとしても、私はあなたを許そう。

それでは、余計な話はこれくらいにして、マネーボールに登場する素晴らしい言葉を紹介する。

マネーボールから学ぶスタートアップの教訓

1. 彼は一見魅力的だ。それらしく見えるし、その役には優れている。

目覚ましいスタートアップの成功は、時々、スカウトと採用に関するゲームになる。起業家にありがちな間違いは、それらしく見えるからと言ってチームのメンバーを早い段階で採用することだ。長い目で見れば、紙面上で完璧であるかどうかは関係ない。あなたは、実際に仕事をする人が欲しいのだ。その販売部長候補にはOracleでの15年の経験がある?それはあなたにとっては価値がないことだろう。彼らはそれらしく見えるが、実際に仕事をすることができると保証されているわけではない。そして、ジョニー・デーモンのように、彼らは高くつく。他の人が見ていない才能を見ることに上達すること。

例えば、HubSpotでは、初期チームの大部分が経歴上では良く見えなかった。私たちの大部分は、自分たちがしようとしていたことに関してほとんどバックグラウンドを持っていなかったのだ。

2. あなたは問題を解決してなんていない。問題を見てさえいない

根本的な問題を特定し、その問題を解決することに集中すること。実際の問題の周辺に渦巻いている全ての物事に気を取られないこと。深い業界知識を持ち、現状維持に感情的に結びついている人達の意見をじっと聞き過ぎないこと―彼らが問題の一部である可能性がある。実際の問題が何であるかを見つけ出して、それを解決するのだ。

例えば、Dropboxを見てみよう。CEOのドリュー・ヒューストンは、本当に難しい問題―異なるデバイスにわたってデータを同期させること―を解決しようと試みた。彼は、多くの人々に(私を含む)、このようなアイディアは以前に何度となく追及されてきたのだと言われていたが、そのような騒音には全く気を取られなかった。彼は腰を据えてその問題を解決した。今日、Dropboxには何十億ドルもの価値があり、何百万人ものユーザーを抱えている。

3. 考え方を変えなきゃダメだ。

Appleを思い起こさせる言葉だ。スティーブ・ジョブスは、“Think different(シンク・ディファレント)”と書いた。オークランド・アスレチックスのように、あなたのスタートアップも制約の下で動いている。時には、大きな制約だったり、不条理な制約だったりする。もしあなたが現状維持を破壊して自分よりもずっと大きくて資金のあるライバルを打ち負かそうとしているのなら、あなたはそれを彼らのやり方でやるのではない。違う風に考える必要があるのだ。自分が不利な立場にある時に古いやり方でやることは、負けへの確実な道だ。

これは私が個人的にとても情熱を持っていることだ。HubSpotを始めた時、私たちはスタートアップについて学んだ―そして、その一般通念は、“1つのことをすること。そして、それをとてもとてもうまくやること”だった。一般的には、それは本当に良いアドバイスだ。しかし、そうではない場合がある。私たちのケースのように。私たちが目にしていた問題は、優れたマーケティングアプリがないことではなかった―問題は、その中のどれもがインテーグレートされていないもしくは一緒にうまく機能しないことだった。だから、私たちは考え方を変えたそれを全てするというクレイジーなことをすることに決めたのだ。なぜなら、それこそが、私たちが問題だと思っていることだったから。

4. 野球で初めての仕事?どこにいようとそれは私の初めての仕事だ。

経験は時に過大評価される。最も成功を収めているスタートアップチームの中には、参加当初は関連した経験のない人達から成り立っているチームもあった。しかし、彼らが経験で欠けていたものは、純粋な才能と熱望で補われたのだ。初めの頃は、アスリートを採用すること。未開の才能と物事を成し遂げる傾向を持った人々だ。自分のキャリアの初期段階にいる人を採用することを拒否しないこと。あなたは未来のスターを探しているのだ―なぜなら、あなたは今のスターにお金を支払う余裕もなければ説得することもできないのだから。

5. あなたのゴールは選手を買うことであってはならない。あなたのゴールは勝利を買うことであるべきだ。

これについては、私が去年起業家と交わした会話を用いて簡単な説明で表現することにする。それはこんな感じの会話だった:

私:あなたは何をする必要があるのですか?

起業家:私たちはマネージメントチームを作る必要があります。

私:そうではなくて、今、あなたは実際に何をする必要があるのですか?

起業家:ええと、今は開発の責任者が必要です。

私:何のために?

起業家:ええと、製品開発の取り組みを率いる人が必要なのです。

私:いいえ、実際にはあなたはコードを書いて製品をリリースする必要があるのです。あなたは、顧客の問題に答える必要がある。あなたは、すぐにイタレートする必要がある。そうすればすぐに学ぶことができる。あなたには、なんとか責任者は必要ではないのです。あなたに必要なのは、成し遂げる必要のあることを実行する人です。肩書を買うことを考えるのではなく、結果を買うことを考えるのです。社内にぽっかり開いた穴を埋めることを考えるのです。顧客のサインアップが早すぎて全てのサポートメールに返答できない?それならサポートの責任者を雇うのではなく、あなたがそのサポート問題に対処するのに役立つ人を雇うのです。顧客満足にひたすらに専念する人を。彼らがいつかあなたのサポート責任者になるかもしれません。

6. 彼は、これを人生の最初の職業、最初のキャリアとして受け入れる必要がある。

この言葉は、スタンフォードへの全額支給奨学金とメジャーリーグ野球でのキャリアの間で迷っていた若いビリー・ビーンに対するものだ。ビリーの母親は両方やることはできないのかと尋ねた。その答えは、できないだった。そして、それは野球でも、スタートアップでも、他の超競争の激しい世界について言えることだ。あなたはどっちつかずの立場を取ることはできない。なぜなら、自分と同じ位に上手でもっと専念している人に倒されることになるからだ。あなたはその投資銀行の職とスタートアップを両方取ることはできない。あなたは、地にしっかりと埋まった2本足を維持したままで思い切ったことをすることはできない。選択しなければならないのだ。それは簡単な選択ではないが、選択しなければならない。そして、もしあなたが学生なら、私の個人的な(一部のスタートアップサークルでは評判が良くない)アドバイスは、学校に残ることだ。学ぶこととコネクションを作ることをあなたの“最初の職業”にするのだ。

あなたが何をするにしろ、どっちつかずの態度ではいないことだ。何かに専念すること。行動を制限しないこと。それを自分の人生の最初の職業にするのだ。もしあなたがそれにワクワクしないのなら、他のことを探すのだ。私は自分の職業キャリアの中でたくさんのバカな間違いをしてきた―最もバカなのが、同時に2つのスタートアップを経営しようとしたことだった。その話はまた別の機会にするとしよう。ここは私の最初のスタートアップの共同創設者の言葉で締めくくる:“あまりにも長い間フェンスの上に座っていると、お股が傷つくよ。

7. なぜ彼が好きかって?彼は塁に出るからさ。

スタートアップの世界は、“奇抜”だったり、所定の役職における人物についてあなたがあるべき姿だと考えている先入観にフィットしないことが理由で、見過ごされているもしくはパッとしないスーパースターで溢れている。それらのことはどれも関係がない。エンジニアを採用する時には、問題をシンプルかつ効率的に解決し、脳損傷なしに維持されるコードを書く優れた人を探すのだ。販売担当を採用する時には、高い感情的IQを持ち、顧客の問題を心から理解して、そのソリューションを彼らに販売することに気を配る人を探す。所定の役職における成功がどのように見えるかを把握し、それと関係のない細かいことは無視するのだ。(注:文化的なフィットは無関係な詳細ではない。無関係なこととは、年齢、国籍、性別など、結果に影響を与えないことだ。)

10. やる価値のあることっていうのは難しいんだよ。私たちが教えてあげよう。

あなたの教える能力は、スタートアップの中であなたが持つ唯一最大のレバーだ。なぜって?一つ目に、それはあなたが自分のチームメンバーに届けることができる最大の恩恵だからだ。彼らは他のどこかでもっと高い給料をもらうことができるし、他のどこかでもっと良い特権を得ることができる。しかし、あなたのスタートアップでは、彼らは物事を学ぶことができるのだ。二つ目に、あなたが“完璧な”ファイブ・ツール・プレイヤー(打撃、パワー、スピード、守備、肩の強さの野球に必要な全ての道具を兼ね備えた選手のこと)を見つけることはあり得ないからだ。もし見つけたとしても、あなたは彼らにお金を出すだけの余裕がない。もしあなたが、知識/経験のギャップを補う特定の力を持った人を助けるつもりがあれば、あなたはたくさんの価値を作り出す。

12. まだ最初の1週間の1日目が始まったところだ。判断するにはまだ早い。

少しだけ我慢強くなること。時に、あなたの最高の従業員が本当に輝くまでには少し時間がかかることがある。判断を早まらないこと。背景を究明するのだ。もし誰かがまだグラグラしているとしたら、それはスピードに追い付くのが難しいからなのでは?みんな忙しすぎて彼らにコツを教えられないのでは?初期のパフォーマンスの欠如には背景があるのかもしれない。だから、我慢するのだ。

しかし、我慢しすぎてもいけない。もし1か月もしくは2か月で少なくとも適度に生産的にならない人がいたなら、彼らが次の年に超生産的になる可能性はなさそうだ。本当に優れた人は、ある程度の価値をほぼすぐに届ける傾向がある。

14. 私がソファを買うためのお金はどこ?

アーリーステージの企業で予算を気にすることはいいことだ。長期的に役立つ適切な規律を染み込ませるのだ。しかし、安物買いの銭失いにならないこと。そんなにお金はかからないが人々を幸せにする小さなことがある。それはお金の話ではなく(彼らはソファを買うだけの余裕はある)、不便さと主義の話なのだ。忘れてはならないのは、元来、人々は人間であるということだ。:)

HubSpotから例を一つ:私たちは、従業員なら誰でも、より優れたHubSpotのメンバーになれると思う本をリクエストすることができるというブックプログラムを始めた。私は個人的に、全てのリクエストに対処し、その本のKindle版をすぐに配布した。それはそれほど高くないが、とても評判が良い。

15. これらは人に説明するのが難しいルールだ。ピート、なぜそれが問題なの?

この映画の最高のシーンの1つだ。ピートは、彼らがやっていることがどれほど違うかや、他の人がそれを理解して受け入れることがなぜ難しいかに悩んでいる。しかし、大事なのは、あなたが何かを転換し大きな変更をしている時、全ての人がそれを理解するわけではないということだ。重要なのは、正しくあること―そして、その変化を起こすことだ。自分の理論が正しいのだと人々を説得する一番良い方法は、正しくあり、彼らにあなたが正しいことを示す(教えるのではなく)ことだ。さもなければ、ほとんどの人は決して説得されることはないだろう。

16. 私はかつてのあなたという選手にお金を払っているのでなく、今のあなたという選手に払っている。

力強いアドバイスだ。それはこんな風な意味になる:可能性に基づいて採用するが、実績に基づいて報酬を与える。顧客は、優れたエンジニアが書いたかもしれないコードで感激することはない。関連した話では、“彼が良い打者なら、なぜ彼は良いヒットを打たないの?”、もしくは、“彼女がそんなに優れたセールスパーソンなら、なぜ彼女は売ることができないの?”という言葉がある。

17. 私たちがゲームを変えるのだ。

そして、まさに、それこそが全てなのだ。それは、数百万ドルのエグジットをすることでも、株式公開することでもない。ゲームを変えることなのだ。それは、この世界で何かおかしなことを目にしたら、それを修正しようと決意することなのだ。私にとって、それは、マーケティングが壊れていることを観察することだった。大部分の人はマーケティングを嫌う。私たちは、マーケティングを人々が好むものに転換したいのだ。それは、かなり大掛かりなことだが、私は心の底から、自分たちは正しいと感じている。

あなたはどうだろう?あなたがこの世界の中で目にし、修正しようとしている欠陥は何だろうか?また、マネーボールに登場するお気に入りのセリフはあるだろうか?


この記事は、OnStartupsに掲載された「Startup Lessons From 17 Hard-Hitting Quotes In “Moneyball”」を翻訳した内容です。

思わず映画のワンシーンワンシーンを思い出しながら月曜朝から読み込んでしまった記事でした。映画を観た人はもちろん、映画を観ていない人でも十分に楽しめる内容だったのではないでしょうか?個々の台詞は人それぞれ受け止めてもらうとして、やっぱり最後の台詞「私たちがゲームを変えるのだ」にネット業界・スタートアップで働く者は心惹かれますよね!今週も頑張りましょう。 — SEO Japan [G+]

定期購入型EコマースのCraveboxが成功を収めた仕組み

中国の旧正月?でお休みをいただいており失礼しました。さて休み明け最初の記事は、Eコマースの新しい形として昨年から日本でも話題になった定期購入モデルに関する話題を。日本でも幾つかの試みがあるものの、大きな成功例はまだないこの分野ですが、米国では既に何百億円、何十億円と売り上げるサービスも登場しているこの「サブスクリプションコマース」こと定期購入コマース。今回は、新興サービスとして注目を集めているCraveboxのCEOが語る定期購入コマースの成功のさせ方について。 — SEO Japan

フラッシュセールや一日限定のソーシャルな買い物が、飽和状態に達しつつあるなか、「ディスカバリー」と「キュレーション」がeコマースのスタートアップで注目を集めている。バーチボックスやポップシュガー、そして、設立後間もないクレイブボックスは、よりターゲットを絞った仕組みでブランドと買い物客を結びつけることを狙い、消費者にサンプルを送信する購読ベースモデルを用いて、消費者を誘惑しようと試みている。

昨年の春、クレイブボックスはブログネットワークのSheSpeaks(シースピークス)のスピンオフとして生まれた。CEOを務めるキティ・コルディング氏は、ハウスパーティーと言う名のソーシャルマーケティング会社を率いた経験を持つ。

休暇シーズンは、ショッピングサイトが乱立するこのカテゴリーにおいては、多くのコマースサイトの運命を左右する可能性がある。他社との差別化を図るため、そして、キュレーションの選択の取り組みをバックアップするため、「クレイブボックス」で取り上げられるブランドには、たとえ配送が1万箱以下でも、少なくとも100万人に接触し、最低でも250万から400万のインプレッションを提供することが約束された、配送付きの5部構成の一連のプロモーションプログラムが提供される。今回、アドエクスチェンジャーはコルディングCEOにインタビューを行い、インプレッションをコマースサイトのROIを計測するアイデアについて話しを聞いた。

アドエクスチェンジャー: クレイブボックスのサービスの内容を教えて下さい。また、現在、購読ベースの「今月の製品」をプッシュする取り組みが人気を集めている理由を聞かせて下さい。

キティ・コルディング: クレイブボックスはディスカバリーサービスであり、ターゲットを徹底的に絞った消費者と、テーマを絞った贈り物ボックスを送るブランドとを結びつけることを使命として活動しています。私達は、毎月、中身が異なる5通りから10通りの箱の配送を行っています。配送される箱の中身は、私達が接触する消費者に関連するアクティビティや興味や状況に合わせてテーマが決められています。例えば、「愛犬家」のクレイブボックスの作成を今後行う予定があります。また、過去には「新学期」や「夏のバーベキュー」のクレイブボックスを配送しました。現在は、先日提供した「最高の感謝祭」ボックスに続き、「休暇シーズンのギフト」ボックスの準備を進めています。

ターゲットが絞られたアイテムが送られてくるため、購読料金を支払う価値はあります。まず、オプトインのマーケティングによるメリットが存在します。購読者は月に10ドルか15ドルを支払います。大金ではありませんが、料金を支払ったかどうかは、私達にとっては、顧客が予選を通過したかどうかを意味します。料金を支払ってもらうのは、これが宣伝であり、そして、ブランドによるマーケティングプログラムであり、強い関心を持つ消費者を迎え入れるためです。従って、お得な無料の商品を求める“景品を探している”人は対象から外れます。また、箱自体、美しく、贈り物のようなデザインであり、選び抜かれ、特別な印象をもたらします。一つの箱に5点から6点の製品を詰め、顧客に印象深く、尚且つ効果が長続きする紹介を行うことがクレイブボックスの目標です。そして、消費者と新しい製品の間に生まれた新たなつながり – ディスカバリーと言うアイデア – が最大の効果を発揮するのが購読モデルなのです。

そもそも、どのようにしてボックスの宣伝を行うのですか?

それぞれのボックスに対して、このクレイブボックスの“経験”を考案するキュレイターが関わっています。それぞれの箱を公開する準備が整った時点で、30日間のプロモーションを実施します。これは砂時計のようなものです – つまり、まず、大勢の消費者にプロモーションをかけ、箱を欲しいかどうか多くの人々に考えてもらいます。当該の箱を望む場合、ランディングページにアクセスし、詳しい内容を把握し、そして、基本的に抽選に参加してもらいます。

私達は希少性と言う考えを重要視しています。クレイブボックスは、常に配送可能な箱の数よりも箱を求める消費者の方が遥かに多く、この概念を最大限に利用しています。希少性により、私達はゲームの構造を意図的に活用することが出来るのです。また、希少性には、このプログラムを支えるマーケティングおよびプロモーションの強度と速度を大幅に高める効果があります。

「ゲームの構造」とはどういうことですか?

クレイブボックスが、共有するデータを介して消費者をターゲットにする仕組みです。例えば、「私もコーヒー愛好家ボックスが欲しい」と願うのが、この構造の1つ目の層です。抽選に参加するには、アンケートに答える必要があります。この答えを介して、私達は多くのデータを獲得します。一週間にわたってデータを集めていきます。

データの収集が終わったら、次に抽選の参加者を確認し、2つの作業を行います。まず、この箱に適していない参加者を回避します。例えば、「新学期」ボックスでは、5歳から12歳の子供を持っていない参加者を抽選の対象から外しました。残ったグループの中から、今度は特に活発で、社交的な参加者を選びました。箱を5000個用意したら、このグループから5000人を選びます。ユーザー層として資格があるため、私達は箱を送付します。これが砂時計が最も細くなる中間の部分に当たります。

箱の配送を終えた時点で、私達は残りのプロモーションに取り掛かり、さらにゲームの構造を活用していきます。例えば、ブログのコンテストを開催します。ツイッターパーティーを開催します。そして、フェイスブックでも様々な取り組みを行います。ピンタレストでも、そして、インスタグラムでもコンテストを行い、また、顧客による動画の作成も奨励しています。基本的に、箱を受け取った顧客に対して、製品および感想に関して手際良く話をする手段と理由を与えることを私達は目指しています。何もしなくても大勢の顧客は実際にこのような行動を起こします。例えば、友達に直接紹介したり、フェイスブックで箱に関する投稿を行います。

個人的には、これはブランドにとって大きなプロモーションになると考えており、箱を受け取った方が出来るだけ大勢の人達に製品を紹介する機会を可能な限り与える試みを行っています。配送する5000箱が実質的に100万人もしくはそれ以上の消費者に届くようにすることを目標としているため、感想を共有する手段を出来る限り提供したいのです。これはこのプログラムを動かす数式のようなものです。

このプログラムが終了した後、ブランドからクレイブボックスに参加するための料金を徴収しているため、そして、私達自身、素晴らしい経験を作り出し、適切な顧客を探し、当該の顧客に対して、製品を力強く紹介するこの優れた箱を送りたいため、さらには、ソーシャルプラットフォームを使って出来るだけ製品を宣伝したいため、プログラム終了後のレポートを作成に全力で取り組みます。私達は、ブランドに送る“プログラムのパフォーマンス”を示すレポートを3週間かけて作成しています。このレポートは、容易にその他の戦略や実施中のイニシアチブと比較することが可能です。

どのようにパフォーマンスを計測するのですか?

最も広範囲に渡って計測するのは、リーチとインプレッションの結果です。そのため、私達はSimply Measured等の第三者のツールを用いて、各種のソーシャルプラットフォームを追跡して、結果を数値化し、マーケッターの事前の目標値と比較します。 クレイブボックスは広くエンゲージメントを計測しています。また、ブランドに対して費やされた時間を基にエンゲージメントを特定しています。市場に溢れるガラクタをシャットアウトして、箱の中の5つまたは6つの製品とブランドとの間の記憶に残るつながりを作る取り組みを私達は得意にしています。

調査を行ったところ、箱を受け取った当日に顧客は45分から75分間製品を利用することが判明しています。箱を受け取り、別の場所に運び、それぞれのアイテムを開封し、目を通し、すべての資料を読み始め、インターネットにアクセスし、受け取った箱に関する情報や感想を投稿します。長時間に渡って、この行動は行われています。

計測に関して4番目に長い時間をかけて調査するのが、「ブランドコンシダレーション」(ブランドの考慮)の増加です。ブランドコンシダレーションにおいて私達は5つの計測値に注目します。それは、認知、製品知識、好感度、推奨する意図、そして、購入する意図です。

箱が到着する前から到着した後の期間で、特定の顧客に対して変化をもたらす推移を見せようと心掛けています。そのためには、詳細な顧客調査が必要になります。私達は顧客に様々な項目で評価をお願いしており、ブランドコンシダレーションの増加を分析しています。その中には、すべてのブロガーの記事、そして、感情分析も含まれています。そうすることで、マーケッターは製品に関して交されているソーシャルな会話のトーンと趣旨を理解することが出来るようになるのです。

リターゲティングの重要性は、ここ数年間において、通常のコマースサイトの間で高まりつつあります。このメソッドは、クレイブボックスの購読モデルと両立することが可能でしょうか?

その可能性はあります。しかし、現時点ではリターゲティングを行っていません。回りくどい言い方になりますが、その質問に答えさせてもらいます。今年の始めにクレイブボックスを始めた頃、独自の顧客のコミュニティにこのプログラムを宣伝したところ、大いに成功を収めることが出来ました。ユニリーバ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、クラフト等、誰もが提携を憧れる多くの大きなブランドにこのプログラムを販売しました。私達の戦略における一つ目の段階は、単純にブランドにこのプログラムを利用してもらうことでした。

次の段階で、様々な消費者に接触したかったため、メディアの提携契約を多数結びました。ブランドが交流を望むすべてのユーザー層に接触したかったのです。例えば、私達はTime社との大きな提携を実現させています。この提携では、有用性を証明することが狙いであり、[Time社が所有する] Cooking Lightのクレイブボックスを作成しました。私達はこの箱の有用性をアピールし、クレイブボックスのコミュニティに売り込んでいます。しかし、最も重要な取り組みは、やはりソーシャルプラットフォームを活用して、Cookinglight.comのウェブサイトで宣伝を行い、この箱に興味を持ってもらい、買いたくなるかどうかを確認することでした。

この箱の広告はCooking Lightのウェブサイトで表示されており、次はリターゲティングの手法を使って、この広告が持続し、ウェブユーザーが異なるサイトに向かっても追いかける層を加える予定です。そのため、私達は間違いなくリターゲティングを活用します。ただし、現在はその他のメソッドを介して成功を収めているため、リターゲティングに頼る必要性がないのです。今後の取り組みでは、娯楽業界におけるマーケティングに私達は力を入れることになります。先日、ブッククラブのプログラムを立ち上げたばかりであり、新人の作家の本、または、現役の作家の新作の発売を行う取り組みにおいて、多くの大手出版社と提携する予定です。また、ABC ファミリーやCNN等の大御所とも話し合いを行っており、番組の宣伝を行うかもしれません。このような計画が具体化し、何らかの形でディスプレイ広告を掲載するようになったら、リターゲティングをより深く応用する方法を精査することになると思います。


この記事は、AdExchangerに掲載された「Subscription E-Commerce Player Cravebox Counts Impressions For Retail ROI」を翻訳した内容です。

まず、贈る商品のジャンルが特定カテゴリに集中せず多岐に渡っているのが意外でした。「商品ディスカバリーサービス」とは言いえて妙ですね。内容見るに一種の有料(格安)のサンプル配布サービスのようなものでしょうか。日本でもサンプル系のサービスは以前からオンライン・オフライン共にあったと思いますが、記事にもあるような「ゲーム」要素を加えるなど、上手く今風にアレンジ(サブスクリプションコマース+ゲーミフィケーション!)させているのが新しいです。

さらにアイデアに加え、きちんと効果測定をし改善につなげているのが、既にブログネットワークの運営経験がある会社だけに実績0のスタートアップ起業家とは一味違うところでしょうか。後半にあるマーケティング戦略も既存の会員ネットワークや大手企業にサービスをパッケージ化して売り込んでいくなどネット1本でB2C勝負!になりがちなスタートアップとは一味違う中々のビジネスセンス。日本では定期購入コマースは盛り上がらないままなのでは、という声も最近聞きますが、こうした直球勝負だけではに市場に即した柔軟なアプローチで花咲くものもあるかもしれません。 — SEO Japan [G+]

対話的リアルタイムアプリケーションのためのバックエンドサービスFirebaseが公開ベータへ

Y Combinator出身のFirebaseが昨年4月に同社のアプリケーションインフラストラクチャサービスを発表したときは、最初の一週間で4000名のデベロッパがサインアップし、そのしばらくあとには110万ドルの資金を調達した。その後は、協同ファウンダのJames Tamplinによると、さらにデベロッパ数が増え、また技術も改良された。同社は今日(米国時間2/13)から公開ベータに入り、関心のあるデベロッパは誰でもそのサービスにアクセスできるようになった。

Firebaseは、Envolveというチャットサービスからスタートした。昨年Tamplinが語ったところによると、むしろEnvolveのようなアプリケーションが使っているリアルタイムのインフラストラクチャを、多くのデベロッパたちが利用できるようにした方が、ビジネス機会が大きい、と彼は判断した。そうすればデベロッパは、サーバのことを心配したり、サーバ部分のコードを書いたりせずに、ものすごく短期間でアプリケーションを構築できる。

今Firebaseを利用しているデベロッパは14000人おり、彼らのアプリケーションに同時にアクセスしているユーザの数は最大で25万に達する。まったく新しいアプリケーションを構築するデベロッパもいるが、でもTamplinによれば、Firebaseは、KloutやTwitch.tvなど既存の企業が機能やサービスを新たに拡充するために利用するケースも多い。

今日から公開ベータを開始するのは、アップタイム99.9%という一つの節目に達したからだ。SSLをサポートするなど、セキュリティも良くなり、ほかのプラットホームやサービスとの統合も増えてきた。

今のインフラストラクチャはWebアプリケーション向けだが、Trigger.ioとの提携でモバイルの開発もサポートしている。Tamplinによれば、モバイルのサポートは今後なお一層充実させていくという。

“でも、ヴィジョンは最初と同じだ”、と彼は言う。“デベロッパたちが、「リアルタイムのバックエンドならここだ!」と言えるような、すばらしい開発体験を提供していくことだね”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))