フェイスブックがスマートスクリーンPortalシリーズにバッテリー駆動タイプを追加

FacebookのPortalシリーズは、スマートスクリーンの世界では常にちょっと変わり者という存在だった。Facebookがこの分野に最も顕著に貢献していることと言えばほぼ間違いなく、AIを使って被写体を追跡し、それに応じてパンやズームをしてフレーム内にとらえ続けるスマートカメラだ。大手で初めて市場にこの賢い機能を提供し、GoogleやAmazon、そしてAppleまでも同様の機能にそれぞれ取り組んでいる。

Portalの(NestやEchoと比べた場合の)もう1つの大きな訴求点は、MessengerやWhatsAppといったFacebookのソフトウェアとの統合だ。こうした利点はあるが、コネクテッドホームのハードウェアとスマートアシスタントの世界で、Portalシリーズは出足の良かったAmazonやGoogleとの差別化に苦戦してきた。

画像クレジット:Facebook

米国時間9月21日にバッテリーで動くスマートスクリーンのPortal Goが発表され、興味深い観点が加わった。10インチのデバイスで、背面に持ち手があって手に取りやすい。バッテリー駆動時間は標準的な使い方で5時間、画面をオフにして音楽を再生する場合は最長14時間となっている(現時点ではバッテリー節約用のモードはない)。

ラインナップに追加されるモデルとしては巧みなものだ。タブレットの領域に近づいてきているが、筆者はNest Homeを別の部屋に持っていきたいという衝動に何度も駆られている。使い方は人それぞれ異なるだろう。

画像クレジット:Facebook

実物はまだ見ていないが、デザインを詳しく検討してみよう。丸みを帯びていて黒いベゼルはやや太い。ここ数年のスマートホーム製品でよく見られるように背面は布張りになっている。全体はくさびのような形状で、前面に2つのスピーカー、背面にウーファーが1つがある。

前面には超広角の12メガピクセルカメラがあり、前述したようなスマートなパンができる。プライバシー保護のために物理的なレンズカバーがある。画面の傾きは見やすく調整できる。現時点では複数のスピーカーをセットアップするFar-Fieldテクノロジーには対応していない。対応するとなると、家の中で持ち運ぶ際のセットアップが複雑になりそうだ。

Portal+の新バージョンも発表された。カメラはPortal Goと同様で、傾きを調整できる14インチ薄型ディスプレイにはZoom使用時に最大25人を同時に表示できる。Portal Goは199ドル(約2万1800円)、新しいPortal+は349ドル(約3万8200円)だ。両方とも米国ではすでに予約が始まっており、10月19日から出荷される。

画像クレジット:Facebook

さらにFaceboookは、スマートスクリーンをビデオ会議用製品に位置づけるPortal for Businessも発表した。リリースでは以下のように説明されている。

Portal for Businessを利用すると、中小企業は従業員用のFacebook Workアカウントを作成し、管理できます。これは企業が自社のメールアドレスを使ってPortalをセットアップできる、新しいアカウントタイプです。2022年にはこのWorkアカウントで、Portal以外にも人気のあるFacebookの業務用製品にアクセスできるようになります。

Portal Device Mangerを使うと、IT部門が従業員のマシンをセットアップし、リモートで消去できる。このシステムは現在、クローズドベータとして提供されている。

関連記事:【レビュー】フェイスブックのスマートグラス「Ray-Ban Stories」は「おもちゃ」レベルを超えている

画像クレジット:Facebook

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトがインドのOyoへの出資を正式発表、旅行・ホスピタリティ製品の共同開発へ

Microsoft(マイクロソフト)は、インドのOyo(オヨ)と「複数年にわたる戦略的提携」を締結し、協力して「次世代」の旅行・ホスピタリティ製品および技術を共同開発することとなった。

米国時間9月9日の発表は、7月下旬のTechCrunchの報道を裏づけるものだ。TechCrunchは、MicrosoftがOyoへの投資を交渉中であり、南アジア市場で最も価値のあるインドのこのスタートアップ企業に自社の技術を提供する方法を検討していると報じていた。

関連記事
マイクロソフトがインドのホテルチェーン「Oyo」に投資へ
IPOを控えたソフトバンク出資のインド発ホテルチェーン「Oyo」にマイクロソフトが出資

Microsoftは報道発表の中で、Oyoに対しても戦略的な株式投資を行ったことを確認したが、金額については明らかにしていない。2021年8月の規制当局への提出書類によると、MicrosoftはOyoに500万ドル(約5億4900万円)を投資していた。この投資により、Oyoの評価額は96億ドル(約1兆550億円)となる。

Oyoは、クラウドベースのニーズに対応するためにMicrosoft Azureに切り替え「中小規模のホテルや家庭用の店舗を運営する愛用者に利益をもたらす」ソリューションを共同開発するとしている。「この提携の一環として、Oyoは、Oyoプラットフォームを利用する旅行者向けに、プレミアムでカスタマイズされた室内体験などのスマートルーム体験を開発していきます。MicrosoftのAzure IoTを利用したこの体験には、IoTで管理されたスマートロックやバーチャルアシスタンスに加えて、到着・出発のデジタル登録やセルフのKYC(Know Your Customerの略、本人確認)でサポートされたセルフチェックインが含まれています」。と同社は語る。

Microsoftインドの社長であるAnant Maheshwari(アナント・マヘシュワリ)氏は「Azureのパワーと、Oyoが開発した技術と製品スタックを組み合わせることで、旅行とホスピタリティにおけるイノベーションを加速できることを楽しみにしています。どのようにMicrosoftのクラウドが、Oyoのようなデジタルネイティブに力を与え、業界の変革とイノベーションを加速させ、パンデミック後の時代の課題を未来のチャンスに変えていくのかを見るのは刺激的です」と述べている。

Oyoは、インド、東南アジア、ヨーロッパ、米国に展開する世界最大級のホテルチェーンとして台頭してきたが、積極的な拡大を追求する中で「有害なカルチャー」、ガバナンスの欠如、多くのホテルオーナーとの関係など、いくつかの失策がその成長に傷をつけてしまった。

ホテルオーナーとの関係を改善することを誓った矢先、パンデミックが到来。これを受けてOyoは成長を鈍化させ、2021年初めには世界各国でロックダウンが実施される中、世界中で数千人の従業員をレイオフした。

関連記事:ソフトバンク出資のインド格安ホテルチェーン「Oyo」が世界で5000人レイオフ

パンデミックは、創業7年目のスタートアップに「サイクロン」のように襲いかかったと、CEOのRitesh Agarwal(リテシュ・アガーワル)氏は7月にBloomberg TVに語っている。「何年もかけて作ったものが、たった30日で60%以上も崩れてしまったのです」と述べ、株式公開を検討するかどうかは決めていないと付け加えた。

Airbnb(エアビーアンドビー)に支えられたOyoは、7億8000万〜8億ドル(約857億〜878億9000万円)の資金を持っており、すべての事業の「月次損失」を400万〜500万ドル(約4億3900万〜5億4900万円)に抑えていると、アガーワル氏は最近のオンラインカンファレンスで述べた(同社は、2020年12月には約10億ドル[約1098億円2200万円]の銀行残高があった)。

7月、つまり前述のカンファレンスでアガーワル氏が発言した後、Oyoは6億6000万ドル(約724億8200万円)の負債を受けたと発表した。この件に詳しい人物によると、その負債は以前の負債の返済に充てられたという。

Microsoftとしては、Oyoは同社が国内で行ってきたいくつかの戦略的投資の中で最も新しいものだ。同社は南アジア市場において、ニュースアグリゲーターであり短編動画プラットフォームのDailyHunt(デイリーハント)、電子商取引大手のFlipkart(フリップカート)、物流SaaS企業のFarEye(ファーアイ)など、数多くのスタートアップ企業を支援してきた。

関連記事:GoogleがインドのスタートアップGlanceとDailyHuntに投資、世界第2位市場へさらに注力

画像クレジット:Akio Kon / Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

人気スマートホームセキュリティ製品の遠隔操作で解除できる欠陥を研究者が発表

あるサイバーセキュリティ企業によると、人気の高いスマートホームセキュリティシステムに、セキュリティを完全に解除できる脆弱性があることがわかったという。

サイバーセキュリティ企業Rapid7(ラピッドセブン)は、Fortress Security Stor(フォートレス・セキュリティ・ストア)の「S03」に脆弱性を発見した。Fortress S03は、Wi-Fiを利用してカメラ、モーションセンサー、サイレンをインターネットに接続し、モバイルアプリを使ってどこからでも自宅をリモート監視できるホームセキュリティシステムだ。

また、このセキュリティシステムは、無線制御のキーフォブを使って、玄関の外から家の防犯装置を作動 / 解除することもできる。

しかし、Rapid7によると、このシステムには認証されないAPIと、簡単に傍受できる暗号化されていない無線信号を使用しているという脆弱性があったという。

Rapid7は、セキュリティ研究者がバグを修正するために企業に与える標準的な期間である3カ月間を経てもFortressら連絡がなかったため、米国時間8月31日にこれら2つの脆弱性の詳細を公にした。Rapid7によれば、Fortressにeメールで知らせてから1週間後、同社がコメントを出さずにサポートチケットを閉じたことからのみ、Fortressが認識したことを確認できたとのこと。

FortressのオーナーであるMichael Hofeditz(マイケル・ホフェディッツ)氏は、TechCrunchが送った数通のメールに、開封はしたものの、返信はしなかった(メール開封確認機能からそれがわかった)。Fortressの代理としてマサチューセッツ州の法律事務所であるBottone Reiling(ボットーネ・レイリング)から送られてきたメールでは、この主張を「虚偽で、意図的に誤解を招き、名誉を毀損するもの」としているが、虚偽であると主張する具体的な内容やFortressが脆弱性を改善したかどうかについては言及していない。

Rapid7によると、Fortressの認証されないAPIは、サーバーがリクエストが正当であるかどうかをチェックすることなく、インターネットを介してリモートで問い合わせることが可能だという。住宅所有者の電子メールアドレスを知ることができれば、サーバーはデバイスに固有のIMEIを返し、そのIMEIを使ってシステムをリモートで解除することができると、セキュリティ研究者は述べている。

もう1つの欠陥は、セキュリティシステムと住宅所有者のキーフォブの間で送信される暗号化されていない無線信号だ。電波が適切に暗号化されていないため、Rapid7が試したところ、これを利用して「arm(防犯作動)」と「disarm(防犯解除)」の信号を捕捉し、それらの信号を再生して送信することができたという。

Rapid7のArvind Vishwakarma(アルヴィンド・ヴィシュワカルマ)氏によれば、住宅所有者はパスワードの代用として、長くてユニークな文字列を持つ+タグ付きの電子メールアドレスを追加することができるとのこと。しかし、無線信号のバグについては、Fortressが対処するまで、住宅所有者ができることはほとんどない。

Fortressは、この脆弱性を修正したのか、もしくは修正する計画があるのかを明らかにしていない。Fortressがハードウェアを交換することなく、脆弱性を修正できるかどうかも不明だ。Fortressが自社でデバイスを製造しているのか、それとも他のメーカーからハードウェアを購入しているのかということもわかっていない。

関連記事
グーグルがホームセキュリティ製品「Nest」カメラとドアベルを刷新、日本でも発売
スマート配電盤のSpanがAmazon Alexaと統合、家庭内の電気系統が音声操作で制御・監視可能に
価格を大幅に抑えた家庭用スマート分電盤の新製品をSpanが発表
画像クレジット:D. Babbage / Getty Images

原文へ

(文:Zack Whittaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルがホームセキュリティ製品「Nest」カメラとドアベルを刷新、日本でも発売

Google(グーグル)は米国時間8月5日、そのホームセキュリティ製品に、最近の記憶の中では最も大きな刷新を行った。「Nest(ネスト)」シリーズのドアベルとカメラがアップデートされ、そのうちのいくつかは日本でも販売されることになった。

今回発表された製品は、数え方にもよるが最大で4モデル。その内訳は「Google Nest Cam(屋内用 / 電源アダプター式)」「Google Nest Cam(屋内、屋外対応 / バッテリー式)」「Google Nest Doorbell」「Google Nest Cam with floodlight」となっている。

画像クレジット:Google

Nest Camは、まるでPixar(ピクサー)映画から飛び出してきたようなデザインが特徴だ。ベーシックなGoogle Nest Camは、第2世代の有線(電源アダプター式)デバイスで、屋内での使用のみを想定している。価格は99.99ドル(日本価格は税込1万2300円)。一方、179.99ドル(日本価格は税込2万3900円)のモデルはバッテリー内蔵で防水性能も強化されており、屋内でも屋外でも使用可能となっている。

Googleによると、1日に平均9〜12件の「イベント」が記録される家庭を想定した場合、バッテリーは1回の充電で約3カ月間持続するという。この数字は、通常の日にあなたの家でどれだけの動きがあるかによって、当然ながらかなり変動する。AI(人工知能) / ML(機械学習)は、設定によって人や動物の動き、荷物の配達などをトリガーにし、特定の活動を記録するように訓練されている。

画像クレジット:Google

「MLを使って物体を認識するカメラを作るためには、まずMLモデルに何百万枚もの画像を見せる必要があります」と、Googleはブログに書いている。「私たちの新しいNestカメラとドアベルは、さまざまな環境や照明条件に対応するため、4000万枚の画像で訓練されました。最先端のTPUチップのおかげで、新しいカメラは1秒間に最大7.5回のMLモデルを実行し、信頼性と精度がさらに向上しました」。

画像クレジット:Google

個人的にはGoogle Nest Doorbellの新しい流線型のデザインがとても気に入っている。このドアベルはバッテリー駆動なので、面倒な配線工事は不要で設置することができる。また、チャイムに配線をつながなくても、Nestスピーカーやスマートディスプレイなど、Wi-Fiで接続されたGoogleデバイスで、来客を知らせるように設定することができる。米国では販売が継続される有線式の「Nest Hello」とは異なり、Nest Doorbellはバッテリーの制約から連続録画はできない。バッテリーは平均して約3カ月間の使用が可能だ。価格は179.99ドル(日本価格は税込2万3900円)。

新しいNestデバイスは世界18カ国で予約が開始されており、米国では8月24日に発売される。日本ではGoogle Nest Cam(屋内、屋外対応 / バッテリー式)とGoogle Nest Doorbellが8月26日、Google Nest Cam(屋内用 / 電源アダプター式)は数カ月以内に発売予定となっている。なお、米国では屋外用カメラに外玄関灯を一体化したGoogle Nest Cam with floodlightも販売されるが、日本には導入予定がない。

関連記事
グーグルが正式に新スマホPixel 6を公開、専用チップTnsor搭載
アマゾンも睡眠トラッキング、スマートディスプレイ「Echo Show」新型がレーダーを使った計測機能を搭載か
グーグルが今夏ニューヨークに店舗を開設、ハードウェア販売に本腰

カテゴリー:ハードウェア
タグ:GoogleGoogle Nest防犯カメラスマートホーム

画像クレジット:Google

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾンはデベロッパー向けツールと機能のリリースでAlexaの復活を狙う

Amazon(アマゾン)は、過去1年間にスキル数がさらに減少し、サードパーティの音声アプリデベロッパーが関心を失いつつあることを受けて、Alexa音声プラットフォームを活性化しようとしている。現地時間7月21日に開催されたデベロッパー向けイベント「Alexa Live」では、デベロッパーコミュニティに向けて多数の新機能とツールが発表され、新ツールのリリースとしては最大規模のものになった。新機能の中には、すでにAlexaデバイスを所有しているユーザーに向けてAlexaスキルの発見・利用を促すものや、デベロッパーがスキルを利用して収益を得られる新ツール、再びユーザーの日常生活にAlexaを取り入れてもらうことを後押しするアップデートなどがある。

当初小売業者が期待していた、音声ショッピングプラットフォームとしてのAlexaは、期待外れだったかもしれない実際にスマートスピーカーを使ってAmazon.comの商品を購入したAlexaのユーザーはほんのわずかだった。しかし、Amazonは当日「数千万台」のAlexaデバイスが毎週「数十億回」使用されていて、90万人以上の登録デベロッパーが13万以上のAlexaスキルを公開していると言及し、今でもAlexaの普及状況とデベロッパーコミュニティはかなりの規模を維持していると発表している。

関連記事:スマートスピーカーでの買い物は思ったほど伸びていないとの報告

それでも、Amazonは、ユーザーが使いたいスキルを見つけやすいようにするという、音声のみのデバイスでは難しいとされる課題をまだ克服していない(Alexa Showのようなスクリーン付きのAlexaデバイスが発売されたことで、多少改善されたが)。

Alexaユーザーの大部分は、スマートホームのコントロール、音楽の再生、アラームやリマインダーの設定、リストの作成など、最も基本的な機能しか使っていない。つまり、Amazonはまだ大ヒットといえるような音声アプリを生み出していないのだ。

画像クレジット:Amazon

Amazonによると、同社はこの問題を解決するために、デベロッパーが自分が開発したスキルのウィジェットを作成する方法を導入する。ユーザーはこのウィジェットを使ってEcho Showなどのスクリーン付きAlexaデバイスにスキルを追加することができる。さらに、デベロッパーは「Featured Skill Cards(注目のスキルカード)」を構築できるようになる。Featured Skill Cardsはホーム画面上でスキルをローテーションで表示し、宣伝する機能だ。

Amazonのソリューションは、アプリを発見してもらうという点だけを見れば、Alexaをよりモバイルデバイスに近いものにするものだ。スクリーン付きのAlexaデバイスを持っているユーザーには便利かもしれないが、音声のみで操作できるプラットフォームであるはずのAlexaの将来にとっては良い兆候ではない。

スクリーンが付いていないAlexaデバイスでは「アレクサ、お話を聞かせて」「アレクサ、ゲームをしよう」「アレクサ、ワークアウトをしたい」などの一般的なリクエストにAlexaが応答する際、デベロッパーが開発したスキルを提案するようになる。また、スキルの利用履歴に基づくユーザーごとのおすすめスキルの提案の他にも、新たに導入される「コンテクスチュアル・ディスカバリー(コンテキストに基づく発見)」では、自然言語やフレーズを使って、スキルを探せるようになる。もちろん、Amazonはこれまでもスキルの提案方法の開発に取り組んでいたが、大きなスキルエコシステムに影響を及ぼせるものではなかった(中にはユーザーを困らせるような試みもあった)。

Amazonによると、デベロッパーが自分が開発したスキルで収益を上げる方法も拡大しているという。

すでにAmazonは、消耗品有料サブスクリプションスキル内購入などのツールを提供しているが、今回、新たにスキル内購入の一環として「Paid Skills(有料スキル)」に対応する。Paid Skillsでは、ユーザーはスキルが提供するコンテンツを利用するために1回のみ料金を支払う。さらに、スキル内購入の対象地域にインドとカナダが追加される。

関連記事
Amazon Alexaのスキルの中でゲームのポイントやヒントを売ることができる、近くSony Picturesも利用
デベロッパーの収益源になるAlexaのスキル内購入機能が日本を含む国際展開へ

これまでのところ、スキル内購入はまだ大きな収益を上げるには至っていない。2019年のレポートによると、最初の10カ月間におけるAlexaスキルの収益は140万ドル(約1億5000万円)にとどまり、アマゾンの目標である550万ドル(約6億6000万円)には遠く及ばなかった。購入方法が1つ増えたからといって、どのぐらいの変化があるかは不透明だ。

Amazonは、デベロッパーの収益額については言及せず、デベロッパーのスキル内購入での収益が前年比で「2倍以上」になったと語るだけにとどめた。

Amazonは今後、デベロッパーコミュニティを活用して、小売サイトでの販売を促進しようとしている。

新しい「ショッピングアクション」機能では、デベロッパーは自分のスキルの中でAmazonの商品を販売することができる。例えばSFゲーム「Starfinder」では、ロールプレイングゲーム内でテーブルトップ版の購入をユーザーに提案している。デベロッパーは商品を紹介してアフィリエイト収入を得ることもできる。

音楽やメディアに関連するスキルのデベロッパーは、新しいツールを利用してユーザーにより楽しい体験を届けることができるようになる。iHeartRadioが開発した、DJがAlexa経由で曲のリクエストを受け付ける「Song Request Skill」はその一例だ。ラジオやポッドキャスト、音楽プロバイダー向けの、ユーザーにインタラクティブな体験を提供するスキルの開発期間を短縮できるツールもある。

スキルをより実用的で便利なものにするための新機能もある。

画像クレジット:Amazon

例えばレストランはFood Skill APIを利用して、ピックアップやデリバリーのスムーズな注文を実現することができる。新しい「Send to Phone(スマホに送信)」機能では、デベロッパーは自分のスキルをモバイルデバイスと連携させて、外出する際に家の鍵をかけるように促すスキルのような、イベントベースのトリガーやプロアクティブな提案を実現できるようになる。Amazon傘下のWhole Foods(ホールフーズ)は、2021年後半に登場する店頭受け取りサービスに、これらの機能を利用する予定だという。

また、洗剤や電池といった一般的な日用品を再注文できるAlexaの補充サービスが、交換部品にも拡大され、他の家庭用機器やスマートホーム機器との連携が強化される。サーモスタットメーカーのCarrier(キャリア)やResideo(レシデオ)はエアフィルターの補充に、Bissell(ビッセル)は掃除機にこの機能を利用する。

一方、煙探知機、一酸化炭素探知機、水漏れ探知機などの安全機器メーカーは、Alexaのセキュリティシステム「Alexa Guard」と連携して、モバイル機器に通知を送ることができるようになる。

デベロッパーのスキル開発をサポートするための新しいツールも導入される。また、デベロッパーはAlexa Entities(アマゾンが独自に開発した、ウィキペディアのような一般的な知識をまとめたもの)を利用できるようになる。独自の発音をサポートする新しいツールや、これまで米国のみで提供されていた「Alexa Conversations」の自然言語機能も利用できるようになった(現在、英語圏ではライブ版、ドイツではベータ版、日本ではデベロッパープレビュー版が利用可能)。さらに、既存のツールキット(Alexa Voice Service、Alexa Connect Kitなど)の地域的拡大に焦点を当てたツールや、ユーザーごとのウェイクワードを可能にしてスマートホーム機器との相互運用性を向上させるツールなど、大量のツールが導入されている。

関連記事
アマゾンのFire TV CubeがZoom会議に対応
ダイアン・フォン・ファステンバーグデザインのEcho Dotだって?もちろん、いいんじゃない?
アマゾンがAlexaで利用できる子供向けの「読書仲間」と音声プロフィールを公開

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AmazonAlexa音声アシスタントスマートスピーカースマートディスプレイスマートホームeコマース開発者

画像クレジット:Amazon

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

価格を大幅に抑えた家庭用スマート分電盤の新製品をSpanが発表

エネルギー費が上昇し、多くの住宅所有者が太陽光発電などの実現可能性に注目している中、間違いなく消費者はエネルギーの使用を制御する方法を模索している。スマートホーム機器がこれほど普及した世界で、なぜエンドユーザーへのグリッドエネルギーの普及はなかなか進まないのか。元Tesla(テスラ)のエンジニアだったArch Rao(アーチ・ラオ)氏が設立したSpan(スパン)という会社は、こうした問題に応えようとしている。

3年前の今頃に設立されたSpanは、まだ若い会社だ。2020年の今頃はシリーズAラウンドで1010万ドル(約11億円)を調達し、年末までに全米の家庭に向けて製品を展開していった。そして2021年1月にはさらに2000万ドル(約21億8000万円)を調達した。

関連記事:スマート配電盤のSpanがAmazon Alexaと統合、家庭内の電気系統が音声操作で制御・監視可能に

実際の数字は公表していないものの、ラオ氏は、Spanが「米国のストレージ市場で、特に重要な市場であるカリフォルニアで、有意義なシェアを獲得し始めている」と筆者に語った。この言葉をどう受け取るかはともかく、しかし同社が特にターゲットとしているのは、太陽光発電と蓄電池システムを組み合わせているユーザーだ。

米国時間5月19日に発表されたSpanの第2弾の製品は、より小型で汎用性の高いユニットで、名称はシンプルに「Span Smart Panel(スパン・スマート・パネル)」という。希望小売価格は3500ドル(約38万円)と、第1世代の製品の5000ドル(約54万円)より大幅に安くなっている。もっとも、電力会社はこの技術を太陽光発電パネルなどの他の製品とセットで提供することが多いため、最終的な価格については顧客によって異なる可能性がある。

「これは、Nest(ネスト)で私たちが考えていた当初のビジョンの一部と重なります」と、Nestの共同設立者で、Spanの投資家であるMatt Rogers(マット・ロジャース)氏は、TechCrunchによるインタビューで語った。「自分の家できることはたくさんあります。NestとGoogleが目指す方向は異なるものの、家の中のエネルギーを理解し、それらをつなぎ合わせ、制御できる製品は、今も本当に求められています。特に、エネルギーコストが上昇し、太陽光発電や蓄電システムが普及していくこの世界では。Spanのようなものが存在しない未来の世界は想像できないでしょう」。

このシステムは、ほとんどの家庭用電気ブレーカーと連携でき、回路を細かく制御できる他、イーサネット、Wi-Fi、携帯電話通信網、Bluetooth接続にも対応している。同社が提供するモバイルアプリを使って簡単にコントロールすることもできる。

「私たちがやったことは、家庭の分電盤を根本的に再構築することです」と、ラオ氏はTechCrunchに語った。「私たちは単一のユースケースに縛られることなく、家庭内のあらゆるもののバックボーンとなります。サーモスタットがある家もあれば、ない家もあります。太陽光発電がある家もあれば、ない家もあります。しかし、ほぼすべての家庭には、100年前の技術を使った分電盤があります」。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Spanスマートホーム電力

画像クレジット:Span

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

サムスンが古いスマホに新しい命を吹き込むGalaxy Upcyclingのベータを米・韓・英で公開

Samsung(サムスン)は数年前にGalaxy Upcyclingを発表したが、2021年1月に開催されたCESでのステージを除けば、ほとんど動きが見えなかった。米国時間4月21日、同社はUpcycling at Homeのベータを米国、韓国、英国のユーザーに公開すると発表した。

消費者が2、3年おきに古いデバイスをスクラップしてぴかぴかの新しいデバイスを手にするように仕向けられている世界において、これはなかなか革新的なプログラムだ。このプログラムは、埋め立て地に投げ捨てられたり引き出しの中で忘れ去られてしまうであろうスマートフォンに新しい命を吹き込もうとしている。

画像クレジット:Samsung

バイスプレジデントのSung-Koo Kim(キム・ソンク)氏はこのニュースに関するリリースの中で「我々は既存のリソースをどう活用するかを再考し、アップサイクリングの鍵は古いテクノロジーに価値を付加して新しい何かに変えるソリューションを実現することだと確信しています。我々は持続可能な習慣を日常の生活に統合することに努め、ユーザーはGalaxy Upcycling at Homeを通じて持続可能な未来を目指す我々のジャーニーに参加することができます」と述べている。

具体的には、製品を子どもやペット用のモニターといったスマートホームデバイスに生まれ変わらせることができる。

SamsungのSmartThingsアプリにあるSmartThings Labsから、この機能を利用することができる。有効にすると、子どもの泣き声や犬の吠える声などを検知したときに製品からアラートを送信できる。アラートには録音された音声が含まれる。また、内蔵のセンサーを利用して暗くなったら部屋の明かりをつける機能もある。このサービスではデバイスのバッテリーを最適化して、インプットを検出しながら長期間動作させることができる。

関連記事:古いデバイスに新しい役割を与えるサムスンのアップサイクルプログラム

カテゴリー:ハードウェア
タグ:SamsungSamsung GalaxyスマートホームGalaxy Upcyclingアップサイクルスマートフォン

画像クレジット:Samsung

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

スマート配電盤のSpanがAmazon Alexaと統合、家庭内の電気系統が音声操作で制御・監視可能に

Span(スパン)のデジタルヒューズボックスと、Amazon(アマゾン)の音声認識インターフェース「Alexa(アレクサ)」の統合は、家庭内におけるエネルギー使用量の制御やデバイスの自動化を、少しだけ簡単にする可能性がある。

この統合に合わせて、AmazonのAlexa Fund(アレクサ・ファンド)と巨大保険会社Munich Re Ventures(ミュンヘン・リー・ベンチャーズ)のHSBファンドから、新たに2000万ドル(約20億8000万円)の資金が、このスタートアップ企業に投入された。

Alexaが統合されることで、Spanのスマート配電盤を使用している住宅では、家庭内のあらゆる電気回路や電化製品のオン / オフ、各電化製品が使用している電力の監視、どの電源が家庭で最も発電しているかの判断が可能になる。

たとえば「Alexa、Spanに確認して。今、最も電力を消費しているのは何?」と質問すると、答えが返ってくる。Spanの最高経営責任者であるArch Rao(アーチ・ラオ)氏によると、Alexaの統合によって、住宅所有者は家族が持つスマートフォンなどのデバイスや家電製品を、家庭内の配線と接続することが可能になるという。

Alexaの統合は、Spanにとってテック企業が長い間有望視してきたホームオートメーションのハブとなる方法だと、ラオ氏は考えている。

「今日の家庭には、あまりにも多くのデバイスがあり、あまりにも多くのアプリがあります。我々の利点は、一度設置してしまえば、今後30年から40年の間、家の中に永続的に存在し、家の中のすべての電気に接続されているということです」とラオ氏はいう。

エネルギー使用量や出力の監視に加えて、Alexaのコマンドを使えば、居住者はシステムにプログラムされている各デバイスの電源やスイッチをオフにすることもできる。

「私たちの配電パネルは、建築環境の中で家庭に仮想的なインターフェイスを提供します。それは非常に有能なエッジデバイスであり、住宅内の電気系統をリアルタイムで監視・制御することを可能にする、本当の意味での集約ポイントと神経中枢のようなものになります」とラオ氏は語っている。

今後は、Spanが家庭内の水センサーや火災報知器センサーなどの機器とも統合して、電気系統以外の制御も提供することをラオ氏は想定している。それが実現すれば、Munich Reのような保険会社にとって有益だ。

同社が調達した2000万ドルで、ラオ氏はSpanのデバイスをできるだけ多くの家庭に普及させるために、Munich Re保険会社やAmazonのようなパートナーと協力し、販売とマーケティングを大幅に強化させる予定だ。

ホームオートメーションとエネルギー効率のアップグレードに取り組んできたSpanは、現在大きな追い風を受けており、今後は同社の配電パネルのような技術を普及させるために、政府が補助金を設定する可能性もある。

ラオ氏はSpanの従業員数を増やすことも計画している。同社の従業員は現在35名で、ラオ氏は年末までにその数を2倍の約70名にしたいと考えている。

Spanの成長は、持続可能な選択肢の増加に向けて拡大するホームテクノロジーの分野に見られる幅広い動きのひとつだ。今や多くの家庭で電化が進む給湯器やコンロなどの製品だけでなく、電気自動車の充電ステーションや家庭用蓄電装置など、エネルギーの生成や管理を行うデバイスもすべて、電力網の一部として統合が推し進められている。

「それは家庭に天然ガスを供給するパイプを断ち、オール電化をもたらします。消費者が化石燃料への依存を断ち切ろうとしているように、既存の家庭システムは効率的ではありません。各製品が統合された1つのエコシステムの構築に向け、新たなパートナーシップの機会が見え始めています」とラオ氏はいう。「家電製品の状態を監視するようなアプリケーションや、家全体を見守るようなサービスに、我々が提供するデータを組み合わせれば、これまでにないことが可能になるでしょう」。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:SpanAlexaスマートホーム資金調達

画像クレジット:Span

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

Ringの最新スマートドアベルは約6250円、スマートホーム製品における低価格競争を受けて

Ring(リング)の最新製品における目玉は間違いなく価格だ。60ドル(約6250円)という価格は、スタンダードモデルのVideo Doorbellよりも40ドル(約4160円)安い。Eliteは価格は大幅に上がり、350ドル(約3万6440円)となっている。

おそらくRingは、スマートホーム製品における低価格競争のプレッシャーを感じているのだろう。特にWyzeは、30ドル(約3120円)のスマートドアベルを他の多くの製品とともに2020円9月にローンチした。記事執筆時点では、製品はまだ 「予約」 として表示されている。

Wyzeのデバイスは2021年1月に発売される予定だったが、2月に延期された。Ring Video Doorbell Wiredも2021年2月24日に出荷予定だ。その名前が示すように、新製品はハードワイヤード(有線)でのみ利用可能だ。他の標準機能としてはナイトビジョン付きの1080pビデオカメラ、通知を出すモーションゾーン、ノイズキャンセリング内蔵の双方向オーディオが含まれている。これは同社でも最小のスマートドアベル製品となる。

Amazon(アマゾン)傘下のRingには、トラブルがないわけではない。2021年1月初めには、Neighborsアプリを使用する人の住所や自宅の住所が明らかになるというセキュリティ上の欠陥を、米TechCrunchが指摘している。また、法執行機関との提携への意欲にも多くの懸念があり、多くの市民権団体が2019年に公開書簡を提出した。2021年初め、Ringはついにユーザーのオプトインを必要とするエンド・ツー・エンドの暗号化を可能にした。

この新しいスマートドアベルは、当然のことながらAmazonから販売され、3月下旬まではHome Depotの店頭で独占的に販売される予定だ。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Ringスマートホーム

原文へ

(翻訳:塚本直樹 / Twitter

ユーザーの動きに合わせて点灯、家族が倒れたら介護者に通知が届くスマートランプNobi

予想されていたとおり、バーチャルで行われたCES 2021は、スマートホーム用ガジェットの新たな洪水が起きた。ここ数年、この技術はCESで大きな存在感を示しており、当分の間、家に閉じこめられるであろう状況において、スマートホームテクノロジーの多くはより気になるものになっている。

Nobiは派手な機能のためというよりも、実用性の面で群を抜いている。ベルギーの同名スタートアップが開発したNobiは、天井に取りつけるスマートランプで、モーションセンサーや赤外線検出機能を搭載している。

Nobiはユーザーが座ると一番上のライトが点灯し、立ち上がって歩くと床を照らす。さらにおもしろいのは、ユーザーのいつもと違う動きや転倒も検出する。倒れた場合は、スピーカーから「did you fall?(転びましたか?)」というメッセージが流れる。

答えが「いいえ」の場合は、そのまま何も怒らない。しかしそれ以外の答えのときは、介護者に通知が送られる。また、通知に写真を貼付する設定もできる。スマートライトNobiは現在テスト中で、発売は2021年末の予定。ユーザーは購入できるが、サブリクションプランでレンタルすることもできる。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:NobiスマートホームCES 2021

画像クレジット:Karel Waignein

原文へ

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa