法律事務所のマーケティングと顧客管理を助けるLawmaticsが2.6億円を調達

弁護士のためのマーケティングと顧客管理ソフトウェアを構築しているサンディエゴのスタートアップLawmaticsが、250万ドル(約2億6000万円)のシード資金を調達したことを発表した。

CEOのMatt Spiegel(マット・シュピーゲル)氏は、かつて法律の勉強をしていたことがある。現在、テック企業にはさまざまなマーケティングツールが出回っているが、「弁護士は、特定のニーズに合わせた製品を必要としているため、それらを採用することができていない」という。

そこでシュピーゲル氏は、CTOのRoey Chasman(ロイ・チャスマン)氏とともにLawmaticsを創業した。シュピーゲル氏によると、

法律事務所とクライアントとの関係は、第1にインテーク(クライアントが法律事務所を雇うかどうかを決めるとき)、第2に活動中の法的事件、そして第3に事件が解決した後といった3つのフェーズに分けることができるという。ほとんどの法律ソフトは第2段階に対応するように設計されているため、Lawmaticsは第1段と第3フェーズにフォーカスしているという。

プラットフォームには、初期のクライアントの採用過程を管理するCRMシステムだけでなく、シュピーゲル氏はマーケティングの「ブロックと追跡」(クライアントの固定客化と長期アフターケア)と呼ばれるものの多くを自動化するツールが含まれている。マイナーなタスクのように聞こえるかもしれないが、彼らのビジネスの多くは紹介から始まるため、それらの関係を「育てる」ことが法律事務所にとって重要だとシュピーゲル氏はいう。

さらにシュピーゲル氏によると、Lawmaticsのアーリーアダプターはよくある一般消費者向け法律事務所であり、Google(グーグル)で「人身事故」や「倒産」、「遺産相続」などのワードで検索すると出てくるタイプだという。パンデミックは同社の成長を加速させた。「弁護士は現在、自宅にいて彼らのビジネスはバーチャルになっており、より多くのツールを必要としている」ためだ。

シュピーゲル氏は過去にも弁護士へのテクロノジー販売で成功しており、2012年には実務管理ソフトのスタートアップMyCaseはAppFolioに買収されている(AppFolioリリース)。また、AppFolioは最近、MyCaseを複数のファンドに1億9300万ドル(約203億4000万円)で売却している(GlobeNewswireリリース)。同氏によると両社の成長戦略は「ほとんど同じ」であり、プロダクトは異なるが、「実際には同じセグメントであり、同じ戦略をとっており市場への進出戦略が追加されているだけだ」という。

シードラウンドをリードしたのはEniac VenturesとForefront Venture Partnersで、Revel VenturesとBridge Venture Partnersが参加した。

EniacのTim Young(ティム・ヤング)氏は 「10年間の投資の中でこれほど情熱的で決意があり、業界に革命を起こすことができるチームを目の当たりにしたことはない。Lawmaticsは法律市場が見てきた中で、最高のソフトウェア製品を生み出しただけでなく、ムーブメントを起こしたのです」と声明で述べている。

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コンテナ時代のAPIテストを自動化するSpeedscaleが2.3億円を調達

Y Combinatorのデモデーでデビューしてわずか数週間後に、APIのテストを自動化するアトランタのSpeedscaleが、初めての資金調達として220万ドル(約2億3000万円)を調達した。

ジョージア工科大学を卒業して長い間、開発者だったKen Ahrens(ケン・アーレンス)氏とMatthew LeRay(マシュー・ルレイ)氏、そしてNate Lee(ネイト・リー)氏の3人は、およそ20年来の知己だが、一緒に仕事をするのは今回が初めてだ。

DevOpsとモニタリングの世界で複数のプログラミングジョブを互いに接続するという、回りくどい道のりが、この3名に現在の新人プログラマーが直面する困難を解決することにビジネスの機会があることを悟らせた。それは、いまのコンテナ化されたプログラミングの世界で、アプリケーションに統合したAPIのアップデートがアプリやサービスを確実に壊さないようにすることだ。

「サービスの中断やダウンタイムの原因になるインシデントを解決することが、私たちの仕事だ。現在のアプリケーションは、いろいろ部分がいろいろ場所にあり、部分間の接続点が多い。そういう接続点の質を確保することが難しい。しかも接続点は、使用するAPIやコンテナが増えると増加する。そこで、この問題を解決することとスケーラブルなオートメーションで先回り的に事故の事前防止を図り、リリースのペースを維持することが仕事になると考えた」とリー氏は語る。

通常、企業におけるコードのアップデートのリリースは段階的に行われたり、あるいはテスト環境で何も問題がないことを確認してから行われる。しかしSpeedscaleは開発者がリリースタイムを加速できるように、本物のトラフィックを使用するテストのオートメーションを提案する。

「彼らはとても頻繁に変更をしたがる。変更の多くは立派なものだが、なかにはシステムの一部を壊す変更もある。そんなときのための最先端技術は、壊れるのを待って誰かがすばやく直すことだ」と開発のライフサイクルについてアーレンス氏は語る。

しかしSpeedscaleは開発者たちに、コードをリリースする前に問題を発見できると主張する。同社のサービスは、ステージング環境と、オートメーションスイートとオーケストレーションの作成を自動化して、問題発見のための環境を作る。

さらにアーレンス氏は「私にとって大きかったのはKubernetesの勢力拡大で、これによってエンジニアリングのリーダーはもっと幅広い自律性をデベロッパーに与えることができると思ったが、それを実証するすばらしい方法はどこからも出てこないため、Speedscaleがその問題解決をやるしかないと思っている」と述べている。

ルレイ氏によると、同社は数カ月前にY Combinatorを卒業し、現在はパイロット事業のために選んだパートナーたちと非公開アルファを進めている。資金はこれまで220万ドルを獲得し、ベイエリアのSierra Venturesや故郷アトランタのTech Square Venturesなどがその投資に参加した。

「APIは巨大なマーケットだ。APIを使って開発をしているデベロッパーは1100万人いる。私たちの市場の規模は、数十億ドルに達するだろう」と同社の今後についてアーレンス氏は述べている。

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マイクロサービスオーケストレーションプラットフォームのTemporalが19.8億円を調達

オープンソースのステートフルなマイクロサービスオーケストレーションプラットフォームを開発している、シアトル拠点のスタートアップTemporal(テンポラル)が、米国時間10月15日、Sequoia Capitalが主導するシリーズAラウンドで1875万ドル(約19億8000万円)を調達したことを発表した。既存の投資家であるAddition VenturesとAmplify Partnersも、新しい投資家であるMadrona Venture Groupとともに参加した。これにより、同社のこれまでの調達額は、総額2550万ドル(約26億9000万円)となった。

Temporalは、オープンソースのCadence(ケイデンス)オーケストレーションエンジン(GitHubレポジトリ)をUber在籍当時に開発したMaxim Fateev(マキシム・ファティーフ)CEOとSamar Abbas(サマール・アッバス)CTOによって設立された。その狙いは開発者とオペレーターが、本番環境でのマイクロサービス実行をより簡単に行えるようにすることだ。現在のユーザーには、Box(ボックス)やSnap(スナップ)などが含まれている。

TemporalのファティーフCEOは「マイクロサービス以前は、アプリケーションのコーディングははるかに単純でした」と私に語った。「リソースは常に同じ場所、つまり単一のDBとともに一枚岩のサーバー上に配置されていました。つまり、開発者は何がどこにあるかについての多くの推測コードを書く必要はありませんでした。ところが、マイクロサービスは、高度に分散されているため、開発者は物理的に異なる場所にある多数のサーバーの間での変更をまとめる必要があります」。

そうしたサーバーは、常にダウンする可能性があり、エンジニアはこれらのサービスを呼び出すための個別の信頼性コードの開発に、多くの時間を費やすことが多い。ファティーフ氏が主張するように、それは必要なことではあるものの、それ自身が開発者に真のビジネス価値を生み出させる役に立つことはない。Temporalは、そうした開発者たちに対して、同社が「信頼性プリミティブ」と呼ぶ、こうしたユースケースを扱うための基本的な仕掛けを提供する。「つまり、この仕かけを使うことは、開発者はビジネスを差別化するためのコードを書くことにはるかに多くの時間を費やし、自分自身で開発するよりも信頼性の高いアプリケーションを作成できるようになることを意味するのです」とファティーフ氏は語る。

Temporalがターゲットにするのは、マイクロサービスを使用し、そしてそれらの信頼性を確保したい、ほぼすべての開発者である。このため、システムを管理および監視する読み取り専用のウェブベースのユーザーインターフェイスを同社は提供してはいるが、それはここでは主な焦点ではない。同社はまたノーコード/ローコードのワークフロービルダーを作成する計画もない、とファティーフ氏は私にいう。とはいえ、それはオープンソースであるため、かなりの数のTemporalユーザーがその上に独自のソリューションを構築している。

同社自身は、クラウドベースのTemporal-as-a-Serviceの提供をまもなく開始する予定だ。興味深いことに、ファティーフ氏は私に対して、チームは近い将来の企業向けのサポートやライセンスの提供は検討していないと語った。「長い時間をかけて考えた結果、オープンソースコミュニティとビジネスの長期的な成長のためには、ホストベースの提供が最適だという結論に達しました」と彼はいう。

当然のことながら、同社は新しい資金を使って既存のツールを改善し、クラウドサービスを開発する予定であり、2021年には一般提供を開始する予定だ。同時に、チームはオープンソースのルーツに忠実であり、イベントを開催してより多くのリソースをコミュニティに提供することを計画している。

「Temporalを使用することで、Snapchatは複雑な状態管理インフラストラクチャを必要とすることなく、堅牢な非同期APIシステムのビジネスロジックの開発に集中できます」と語るのは SnapのテクニカルリードでありスタッフソフトウェアエンジニアであるSteven Sun(スティーブン・サン)氏だ。「これによって、Snapchatコミュニティ向けのサービスをローンチする効率が向上しました」。

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(翻訳:sako)

「個人事業主」向けバックオフィスプラットフォームのCollective、シードラウンドで9億円を調達

米国だけでなく世界中で自営業者の数が増えている。数ある中でも特に大きな原因となっているのは、優れたソフトウェアが利用できること、柔軟な働き方が必要とされていること、高いスキルを要するサービスを提供できる場合には特に高報酬が期待できることだ。

ちょうど1年前、フリーランサー向けのデジタルプラットフォームであるFreelancers UnionとUpworkが公開したレポートの推定によると、米国の労働者の35%がすでにフリーランスに転向しているという。国内でも世界中でも新型コロナウイルスの流行が依然として続いており、何千万という人々が働き方を大幅かつ継続的に変えることを余儀なくされているため、フリーランサーの割合は急上昇することが予想される。

大半のフリーランサーは、自身のビジネスの安定的成長には関心を持つが、人や物事を管理する作業は煩わしいと思っている。当然ながら、そうした自営業者の経済力に目を付ける抜け目のないスタートアップが登場している。その代表例が、サンフランシスコを拠点とする、創業2年半、従業員数20名のスタートアップ企業、Collective(コレクティブ)だ。コレクティブは、これまであまり注目されてこなかったが、同社が言うところの「個人事業主」向けに確定申告書類の作成や簿記といった事務管理サービスを構築してきた。同社は最近、シード投資ラウンドで865万ドル(約9億1300万円)の資金調達を終えたばかりだ。

この投資ラウンドをリードしたのはGeneral Catalyst(ゼネラル・カタリスト)とQED Investors(QEDインベスターズ)の2社で、Uber(ウーバー)共同創業者のGarrett Camp(ギャレット・キャンプ)氏、Figma(フィグマ)創業者のDylan Field(ディラン・フィールド)氏、DoorDash(ドアダッシュ)経営幹部のGokul Rajaram(ゴクル・ラジャラム)氏などの有名エンジェル投資家たちも参加した。

コレクティブの共同創業者兼CEOのHooman Radfar(フーマン・ラドファー)氏に、同社のミッションである「自営業者コミュニティのパワーアップ、支援、つながり形成」や提供しているサービスの内容について話を聞くことができた。

TechCrunch(以下、TC):以前会社を興し、2016年にその会社をOracle(オラクル)に売却する前に、早々とベンチャーキャピタル業界に転身して、ギャレット・キャンプ氏のスタートアップスタジオExpa(エクスパ)で仕事をしておられましたね。起業支援ではなく起業する側に戻ってこられたのはなぜですか。

ラドファー氏(以下、HR):AddThis(アドディス)やエクスパでの経験やエンジェル投資事業を通して、財務管理業務は大変な仕事だということがわかりました。小企業にとって、会計、税務、コンプライアンスといった一連の業務は、本当に厄介なものです。

2年前、[コレクティブの共同創業者の]ウグル[Ugur Kaner(ウグル・ケーナー)氏]がエクスパにやってきて、「お手軽スタートアップ」プログラムなるものを売り込もうとしてきました。起業支援ビジネスを立ち上げる話だったのですが、[どちらかというと起業に伴う事務作業や管理業務を引き受けるのが狙いでした]。ウグルは私と同じ移民で、起業に関する財務に疎く、追徴税を取られる羽目になった苦い経験がありました。フリーランサーにとって、こうした追徴税は企業よりも厳しいのです。我々が提供しているサービスのオーダーメイド版のようなものを提供しようとするスタートアップもありますが、我々から見れば「そんなサービスなんて必要ないんじゃないか」と。このようなサービスはいわば便利な道具のようなものですが、それを1つのプラットフォームにまとめると、非常に強力なサービスになり得るのです。

TC:そうした業務をコレクティブで一手に引き受けるということでしょうか。それともサードパーティーの協力を仰ぐのですか。

HR:両方です。我々は、会計や税務といった事務管理業務をメインに行うオンライン・コンシェルジュであると同時に、S法人(小規模法人)の設立のお手伝いもします。そうすれば、LLCとして起業するよりも資金を大幅に節約できますから[LLCとS法人とでは税金の要件が異なる]。ですから、統合レイヤーがあって、その上にダッシュボードがあるというイメージです。S法人の場合は給与支払名簿が必要ですから、そこはGusto(ガスト)と提携しています。ガストのサービスは当社のサブスクリプション契約に含まれています。QuickBooks(クイックブックス)とも提携しています。コンプライアンス業務についてはサードパーティーと協力して対応しています。当社のビジョンはこうした事務管理業務を簡素化してオートパイロット方式で行えるようにすることです。まさに時は金なりです。起業家には、面倒な事務仕事をしている時間などないことはよく分かっていますから。

TC:料金を教えてください。

HR:税務、会計、企業バンキング、給与のコアパッケージで、月200ドル(約2万円)です。簿記と、より包括的なサービスを含むフルパッケージについても現在試験的に導入中ですが、徐々に[それに近い姿か]その方向に向かうと思います。フルパッケージは追加料金になります。

TC:こうしたサービスが料金に見合うものであることを、個人事業主にどのようにアピールされますか。

HR:米国には、年収10万ドル(約1000万円)以上[の個人事業主]が300万人近くいます。そうした個人事業主が上記の[各種サービスの]うちすでに利用しているものがどのくらいあるのか考えると、当社のサービスは大いに利用価値があります。クイックブックスやガストは、当社経由で利用したほうがお得です。出費を抑えることで節約できます。ポイントは、S法人をすぐに立ち上げることです。S法人には普通所得税がかかりますが、配当は所得と課税方法が異なります。所得税より税率が低くなります。ですから、給与データを取り込み、各州の支出の集計を見て、「キャッシュフローの状態から判断すると、お勧めの方法はこちらになります。これで、この配当を規制に準拠した方法で認識できます」と伝えます。

TC:有益な顧客データを蓄えることになりますね。そうしたデータはどのように利用するのですか。

HR:第一に考えるべきことは、然るべき人だけがデータにアクセスできるよう配慮することです[我々はプライバシーを重視しています]。とはいえ、データの使用権を獲得すれば、そのデータを集約していろいろなことができます。たとえば、理論的には、新しい形の財務スコアを作成することも可能です。個人事業主の場合、住宅ローンや通常のローンを組むのが難しい。クレジット会社側に彼らを査定するためのツールがないからです。ですが、数年に渡る財務履歴があれば、自分が真っ当な人物で、きちんとした会社を経営していることを示せます。

これから会員ユーザー(もうすぐ2000人になる)が増えれば、別の面白い方向性も見えてきます。会員数の力で、会員が安価で保険に加入したり、クレジットを容易に利用[信用が提供される]できたり、401kに対応[サポートを受けられる]できたりといったことが実現します。

TC:プロジェクト管理からグラフィックデザインまで、他にもできることはたくさんありそうですね。

HR:現時点では、コアサービスを確実に提供したいと考えています。

Uber(ウーバー)はライドシェアリングに、Uber Eats(ウーバーイーツ)は食品宅配に、透明性と安心感をもたらしました。調理中とか、配達中とか、到着予想時刻といった情報を確認できるからです。我々は、多くのものについて、そうした高レベルの透明性と説明責任が提供されることを当然と思うようになっていますが、会計処理サービスに関してはそうなっていません。これはおかしな話です。ユーザーのお金を扱っているにもかかわらず、透明性も説明責任も果たされていない。この状態を変えたいと思っています。

TC:「個人事業主」を対象にするということは、断片化の度合いが大きい市場を相手にすることになります。潜在的な顧客にリーチできるよう、どのような企業と提携しようと考えていますか。

HR:現在交渉を進めているところですが、まずネオバンクが浮かびます。他にも、看護師と医師、不動産仲介業者、ライターのための垂直市場などが考えられます。多くの可能性があります。

写真は、コレクティブの共同創業者たち。左から順に、CTOのBugra Akcay(ブグラ・アッケイ)氏、CEOのフーマン・ラドファー氏、CPOのウグル・ケーナー氏。

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(翻訳:Dragonfly)

Twilioによる3370億円でのSegment買収でデベロッパーはデータ活用アプリ開発が容易に

新型コロナウイルスのパンデミックで事業者は顧客とのやりとり方法の変更を余儀なくされた。商品あるいはサービスを提供しているか、またはどのようにコミュニケーションを取っているかにかかわらず、1つ共通することがある。すべてにおいてかなり迅速なデジタル化を強制されているということだ。

それは米国時間10月12日に発表されたTwilio(トゥイリオ)による32億ドル(約3370億円)でのSegment(セグメント)買収をある程度促した(この買収についてはすでに取り上げているForbesは10月9日夜に報じた)。この買収について突き詰めて考えると、2社は相性が良く、Twilioの顧客が価値ある顧客データにアクセスできるようにすることでプラットフォームが拡大する。Twilioの最高製品責任者でありうChee Chew(チー・チュー)氏は、同社が顧客エクスペリエンスの方向に転換しているように感じるかもしれないが、必ずしもそうではないととらえていると話す。

「多くの人が、当社をコミュニケーション企業だと考えていたでしょう。しかし我々は自社を顧客エンゲージメント企業だと考えています。事業者がより効率的に顧客とコミュニケーションを取れるよう当社がいかにサポートするかを真剣に考えています」とチュー氏はTechCrunchに語った。

共同創業者でSMB(中小企業)グループ担当パートナーのLaurie McCabe(ローリエ・マッケイブ)氏は、パンデミックに関連する動きと、企業がよりデジタルな方法で顧客に接しなければならないニーズを目の当たりにしている。「素晴らしい顧客エクスペリエンスの提供はパンデミックを生き残り、経済の回復とともに成長するための鍵だと多くの企業が認識するようになっています。企業は不透明な時代であるにもかかわらず、生き残って成長するために喜んで資金を注入します」とマッケイブ氏は述べた。

もちろんチュー氏は、デベロッパーが直接顧客データにアクセスできるようにすることでSegmentがTwilioに欠けていたものを与え、それが興味深い応用につながるかもしれないことを認識している。

Segmentが持つデータ取り扱い能力は顧客の全容を提供し、我々が行うすべてのものを真に網羅しています。チャンネルやそれ以外のものにも広く作用するでしょう。なので、顧客の全体像を得たり、当社の顧客がインテリジェンスサービスを構築できるよう、Segmentは異なる方法で当社を発展させてくれると考えています」と同氏は述べた。

CRM Essentialsの創業者でプリンシパルアナリストのBrent Leary(ブレント・リアリー)氏は、Segmentがデータを活用しているデベロッパーのエクスペリエンスを支えているとみている。「今回の動きで、Twilioは自社のプラットフォームを使っているデベロッパーから困難を取り除くことで、データ・洞察・相互作用エクスペリエンスのトランスフォーメーションプロセスに影響を及ぼすことができます」とリアリー氏は説明した。言い換えれば、TwilioのAPIを使ってこれまで以上に多様なアプリケーションを構築するためのデータをデベロッパーが使えるようになる。

「CRM at the Speed of Light」の著者で、56 GroupのプリンシパルアナリストであるPaul Greenberg(ポール・グリーンバーグ)氏は「Segmentは、すでにパワフルな統一コミュニケーションプラットフォームとハブで顧客データを使用する能力をTwilioにもたらします。そのため、両社のAPI、デベロッパーにとってのフレキシビリティは事実上、かなりのものです」と述べて賛同の意を示した。

そうなのかもしれない。しかしConstellation ResearchのアナリストであるHolger Mueller(ホルガー・ミュラー)氏は、SMSのようにTwilioプラットフォームのコミュニケーション部分はかなりコモディティ化していて、今回の買収は2018年のSendGrid(センドグリッド)買収とともにTwilioにより儲かるデータ分野へとプラットフォームを拡大する余地を与える、とみている。

「Twilioはさらに成長するための方策を必要としていて、同社の戦略は少なくともSegment買収でステップアップしているように見えます。データの移動とデータ保管コンプライアンスは、次世代のアプリケーションを構築する際に企業にとって大きな頭痛の種です」とミュラー氏は述べた。

チュー氏が指摘したように、初期の問題はSMSメッセージをアプリケーションに組み込むのに関連するもので、デベロッパーが当時必要としていたためにTwilioが解決しようとしていたものだった。しかし状況は変わり、同社はより統一された顧客コミュニケーションエクスペリエンスを提供したいと考えていて、Segmentがその能力を大きく前進させるのに役立つはずだ。

関連記事:Twilioが顧客データのSegmentを3200億〜4200億円で買収へ

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(翻訳:Mizoguchi

Android Studioが折り畳みスマホ用エミュレータを搭載、機械学習プラットフォームTensorFlow Liteのサポートも強化

Google(グーグル)は米国時間10月12日、Androidアプリの統合開発環境(IDE)であるAndroid Studioのバージョン4.1の安定版をリリースした。いつものことだが、Android Studioはバージョン番号が少し上がっただけではアップデートの効果は十分ではないが、バージョン4.1では新機能や改良された機能が数多く含まれており、Android開発者にとっては開発が少し楽になるはずだ。また、このリリースサイクルで2370件ものバグを修正し、275件の公開問題を解決した。

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本日のリリースのハイライトは、新しいデータベースインスペクタと、開発者がTensorFlow LiteモデルをAndroidに導入可能にすることで、オンデバイスでの機械学習のサポートを強化した点、Android Studioの中でAndroidエミュレータを実行できるようになった点、エミュレータで折り畳み式のスマートフォン用アプリをテストできるようになった点だ。これに加えて同社は、さまざまな変更点についても説明している。

おそらく開発者の生産性を向上させる機能としては、Android StudioでAndroidエミュレータを実行できる点だろう。これは今夏に発表済みで大きな驚きではないが、アプリのテストのために異なるウィンドウやツールの間を行ったり来たりする必要がなくなるので、開発者にとってはうれしいアップデートだ。

テストといえばもう1つある。Androidエミュレータでの折り畳み式デバイスのサポートだ。こちらはまだニッチな市場だが、より多くの開発者がこれらのデバイスを実際にサポートするアプリを提供しやすくすることを目指している。

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さらには、Android StudioのTensorFlow Liteモデルのサポートが改善され、開発者は機械学習モデルをアプリに導入できるようになった。

そのほかのアップデートとしては、グーグルのMaterial Design Componentsに準拠する新規プロジェクトダイアログのテンプレート搭載、Daggerナビゲーションのサポート、システムトレースUIの改善、アプリのパフォーマンスとメモリ使用量の最適化に役立つ新プロファイラなどがある。¥。

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タグ:Google、Android、Android Studio

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(翻訳:TechCrunch Japan)

個人ECのノーコードによるアプリ化サービス提供のAppify Technologiesが2億円を調達

個人ECのノーコードによるアプリ化サービス提供のAppify Technologiesが2億円を調達

個人ECをノーコードでアプリ化できる「Appify」(アッピファイ)提供のAppify Technologiesは10月12日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資として、J-KISS型新株予約権方式により総額約2億円の資金調達を実施したと発表した。引受先はEast Ventures、グリーベンチャーズ、エンジェル投資家。

今回調達した資金をもとに、海外も含めたAppifyのさらなるプラットフォーム連携拡大・開発およびエンジニアを中心とした人材の採用を進めるとしている。

Appify Technologiesは、月額1万円未満のサブスクリプション型でアプリをノーコードで作成できるAppifyを提供しているスタートアップ企業。コロナ禍で需要が拡大するBASEや日本での導入が加速しているShopify、サブスクリプション型モデルで支援を募ることができるCAMPFIRE Communityといったプラットフォームと連携し、様々なネイティブアプリの作成が可能という。

カテゴリー: ソフトウェア
タグ: Appify TechnologiesAppify資金調達ノーコード日本

Twilioが顧客データのSegmentを3200億〜4200億円で買収へ

情報筋がTechCrunchに語ったところによると、Twilio(トゥイリオ)は顧客データスタートアップのSegment(セグメント)を30〜40億ドル(約3200億〜4200億円)で買収する意向だ。Forbesが10月9日にこのニュースを報じ、買収額は32億ドル(約3400億円)と伝えた。

TechCrunchは複数の業界筋から、このディールが進行中で早ければ10月12日にも発表されるとの情報を得た。

TwilioとSegmentはいずれもAPI企業だ。つまりデベロッパーが膨大な量のコードを書かなくても特定の種の機能を利用できるようにする簡単な方法を両社は開発している。筆者が2017年にSegmentについての記事で書いたように、同社はさまざまなソースからの顧客データをまとめるための一連のAPIを提供している。

SegmentはCRMツールや顧客サービスアプリ、ウェブサイトといったさまざまなソースから顧客に関するデータを集め、1カ所で閲覧できるようにする一連のAPIを提供していることで知られている。これは顧客情報の事業を展開するあらゆる企業が目指しているところだ。

2008年の創業以来、Twilioは主にコミュニケーション機能をアプリに簡単に埋め込めるようにすることに注力してきたが、その一方で2018年3月、顧客サービスAPIのFlexをリリースしたときに方向性の変更を示していた。そして同年後半に同社は電子メールマーケティングAPI企業SendGrid(センドグリッド)を20億ドル(約2100億円)で買収した。

Twilioの時価総額は10月9日時点で450億ドル(約4兆8000億円)とかなりのものだった。同社が基幹のAPI、特にFlexにSegmentの顧客データを統合し、またカスタマイズされた電子メールや広告をSendGridと作成するためにいかに潤沢な資金を持っているか想像できるだろう。

今回の買収でTwilioはコミュニケーション対応という従来の主要サービスを超えて事業を拡大することができるかもしれず、これには50億ドル(約5300億円)かかるかもしれない。複数のチャンネルを使って顧客を理解したり顧客とコミュニケーションをとったりする方法を模索する企業が増える中で、大きなビジネスに発展する可能性を秘めている良いディールだ。

アーリーステージVC企業HaystackのSemil Shah(セミル・シャー)氏は「Segmentが顧客データを集めるのに異なる方法を活用していることにTwilioが賢くも目をつけて買収しようとしている」と10月10日付の社のブログに書いた。

従来のCRMが企業にとってきちんとパイプを管理するほど強固なものではない、というのがSegmentの考えだった。より統一された体験を提供するためにSegmentは顧客データインフラに参入した。いま、Twilioの下でSegmentは主要なインテグレーションを引き続き構築できる。こうしたインテグレーションは世界のFortune 500企業ですでに使用されている。

Crunchbaseのデータによると、Segmentは2011年に創業され、これまでに2億8300万ドル(約300億円)を調達した。直近では4月に15億ドル(約1590億円)のバリュエーションで1億7500万ドル(約185億円)を調達した(CrunchBase記事)。

Twilioの株価は10月9日、2.39%アップの1株あたり306.24ドル(約3万2000円)でひけた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Twilio、Segmen

画像クレジット: Twilio

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(翻訳:Mizoguchi

パキスタンが「不道徳で卑猥な」ビデオとしてTikTokを禁止に

パキスタンは、不道徳で下品な動画の流通を理由に人気のショートムービーアプリTikTokを禁止した。この動きは、南アジアの国が、TikTokの一部の動画の内容や社会への影響について深刻な懸念を示してから数カ月後のことだ。

同国の通信当局であるパキスタン通信局は10月8日夜、警告と数カ月におよぶ時間にもかかわらず、TikTokが「指示に従わなかったため、国内でのTikTokアプリのブロッキングの指示が出された」と声明で述べた。当局は「国内で多方面からの苦情を受けていた」とのこと。

約7500万人のインターネットユーザーを抱えるパキスタンのあるユーザーがTechCrunchに語ったところによると、TikTokのアプリとウェブサイトにはすでにアクセスできない状態だという。

パキスタン通信局は声明で「TikTokは当局との契約に応じる用意があり、TikTokが違法なコンテンツを緩和するための十分なメカニズムに従うことを条件に決定を見直す」と説明している。

パキスタンの動きは、隣国であるインドがサイバーセキュリティの懸念からTikTok、Bigoと中国企業によって開発されたほかの57本のアプリを禁止した数カ月後に起こった。禁止の前にTikTokは、2億人以上の月間アクティブユーザーを集めているインドを中国以外の最大の市場と考えていた。パキスタン南部のカラチに本社を置く配車サービスのスタートアップBykeaの幹部であるDanish Khalid(ダニッシュ・ハリド)氏は「インドと同様に、パキスタンでもTikTokは絶大な人気を誇っている」と述べた。

TikTokの最大の市場は米国だが、アプリの将来はまだ不透明だ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:パキスタンTikTok

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:TechCrunch Japan)

グレートファイアーウォールを乗り越える中国製ブラウザTuber

中国では現在、ユーザーがYouTube、Facebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Instagram、Google(グーグル)および他のインターネットサービスにアクセスすることができるツールを持っているが、それ以外の方法では、国内で長い間禁止されている。

最近、Tuberと呼ばれるモバイルブラウザが中国のサードパーティ製Androidストアでデビューし、iOS版のリリースも予定されている。アプリのランディングページは、YouTubeの動画のスクロールフィードを備えているほか、ユーザーが欧米で主流のインターネットサービスをアクセスできるタブも備える。

このアプリを中国のインターネットにおける前例のない「解放」と称賛する人もいれば、ブラウザに検閲のベールがかかっていることにすぐに気づいた人もいる。TechCrunchが行ったテストによると、YouTubeは政治的にセンシティブなキーワード「天安門」「習近平」で検索したが、アプリ上では何の結果も返さなかった。

アプリの使用にも責任が伴う。登録には中国の電話番号が必要なので、個人情報と結びついている。アプリの利用規約によると、ユーザーが憲法違反、国家の安全と主権の危険、噂の流布、社会的秩序の破壊、その他の現地法違反などのコンテンツを「積極的に見る、または共有する」した場合、プラットフォームはユーザーのアカウントを停止し、データ「関係当局と」を共有することができるとある。

中国政府の管轄外にあるサイトをブロックしたり、VPNを使ってGreat Firewall(グレートファイアーウォール)を回避している個人を追跡するのではなく、中国政府は現在、西側諸国のインターネットを垣間見ることができるアプリを提供している。その履歴は当局によって厳重に監視されている可能性はあるが。

アプリについての多くは、起源や背後にある動機など不明のままだ。このアプリの公式ウェブサイト(上海丰炫信息技术有限公司)の運営者は、中国のサイバーセキュリティソフトウェア大手Qihoo 360の子会社が70%を所有している。このアプリが軌道に乗るかどうかはまだわからない。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

SaaS管理サービスのBlissfullyが中企業向けの総合的なITサービスに事業拡大

Blissfullyが2016年にローンチしたときは、企業が自分の会社でSaaSをどのように利用しているか、その理解を助けることが仕事だった。しかし年月とともに同社は、特に中規模企業にはもっと幅広いニーズがあることを多く見てきた。米国時間10月8日に同社は「総合的なIT管理を提供していく」と発表した。

同社の共同創業者でCEOのAriel Diaz(アリエル・ディアス)氏によると、同社は当初SaaSの使われ方を調べるサービスを企業に提供していたが、やがて新入社員の研修や一般社員の退社の処理などにも手を広げることになり、そこで本日、総合的ITサービスへの転換を図った。

ディアス氏は「会社を始めたときの私たちのビジョンは、SaaSの時代にはITが変わる、というものだった。そこで最初のステップでは、SaaSの管理に関するものなら何でもやった。そしてその次のステップは、幅広いIT管理のビジョンという枠組みの中で、それをやっていくことになる」と説明する。

Blissfullyは、マインドシェアと支出および管理の面で、SaaSがITのますます大きな部分になっていく、と考えていた。その信念は、正しかった。そして今は、その最初の考えをもっと大きなIT管理機能に広げて行くべきときだ。

そこで本日リリースされた新しい拡張プラットホームは、これまでずっと提供してきた初期からのSaaS管理だけでなく、4つの新しいカテゴリーを提供していく。

第一は、ITの資産管理だ。「今の弊社はSaaSアプリケーションだけでなく、ハードウェアデバイスや従来からあるソフトウェアも含む顧客のすべてのIT資産を調べる能力を提供している」と同氏は語る。

そしてその次が、ヘルプデスクの管理とそのチケット発行を通じて、SaaS管理のワークフローからこぼれるようなリクエストを処理することだ。また役割ベースのアクセスコントロールにより、さまざまな人がさまざまなIT管理サービスにアクセスできるようにする。新型コロナウィルスの感染蔓延のために自宅からトラブルシュートやIT問題の管理をせざるをえない状況では、このコントロールが特に重要だ。最後の4つ目は、APIを公開して企業のITがそれを利用できるようにすること。それにより、機能性やワークフローのカスタマイズをBlissfullyのプラットホーム上でできるようになる。

ディアス氏は同社が「SaaSの管理では成熟点に達し、中企業のための拡張ITサービスの必要性が目の前にある」と言う。それは、大企業ならServiceNowのような企業から得ているサービスだ。

Blissfullyの新しいサービスは、米国時間10月8日から利用できる。

関連記事:Blissfullyが全てをサーバーレスで行うと決めた理由

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Blissfully、SaaS

画像クレジット:Alistair Berg / Getty Images
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

GoogleアシスタントからAndroidアプリを操作可能に

Google(グーグル)は米国時間10月8日、Googleアシスタント内から音声でAndroidアプリを操作できるようになったと発表した(Googleブログ)。「Ok Google」でアプリを起動しさらにいくつかの操作コマンドを送ることができる。この機能はGoogleアシスタントを搭載したあらゆるAndroid端末で利用できる。ユーザーは音声でアプリを起動した後、アプリ内での検索、料理の注文、音楽再生、ソーシャルメディアへの投稿、タクシーの配車依頼いくつかのタスクを実行可能だ。

例えば、「Ok Google、Etsyで快適な毛布を探して!」「Snapchatでセレナ・ゴメスを開いて!」「Nike Run Clubで記録を開始して!」「Twitterで最新のニュースを調べて!」などと命じることができる。

スタート時点ではまず英語の命令がサポートされるが、世界のGoogle Playの上位アプリ30種類で利用可能であり、今後さらに多数のアプリがサポートされるという。現在利用できるアプリは、Spotify、Snapchat、Twitter、Walmart、Discord、Etsy、MyFitnessPal、Mint、Nike Adapt、Nike Run Club、eBay、 Kroger、Postmates、Wayfairなどが含まれる。

またこの新しいバージョンでは普段使うボイスコマンドがユーザーにとって不自然な場合、そのコマンドを起動するための音声ショートカット作ることができる。例えば、ユーザーが自動的に靴紐を締めてくれるナイキのハイテクシューズを履いている場合、「Ok Google、Nike Adaptで靴紐を締めて」という代わりに「Ok Google、締めて」というだけでいい。つまりコマンドのフレーズをカスタマイズできるわけだ。ユーザーがショートカットを作りたいときは「Ok Google、私のショートカット」と命じれば設定画面が表示される。

これはApple(アップル)の iOSにおけるSiriの機能によく似ている。アップルは最新のSiriでiOSアプリを開きいくつかの操作を命じることができるようにしている。また命令フレーズのカスタマイズもできる。

グーグルの場合、アプリ内で音声に反応する仕組みはデベロッパーが作成するxlmファイルでユーザーの意図をアプリの動作にマッピングすることで実現している。この仕組みはApp Actionsと名付けられている(Google Develoverサイト)。ユーザーが音声でアプリを開く場合コマンドはApp Actionsに引き渡される。今回App Actionsの機能が強化され、単にアプリを開くだけではなく、アプリ内で検索を実行するなど各種のコマンドがサポートされるようになったわけだ。

同社によれば現在App Actionsのカタログには10分野60種類以上のユーザーアクションが登録されているという。具体的には、財務、配車、料理配達など既存の分野にソーシャルゲーム、旅行、ショッピング、近隣店舗、コミュニケーション、生産性ツールなどが追加されている。

ユーザーがこのApp Actions機能を適切に使えるよう、同社でははAndroidアプリに新しい仕組み設定している。例えば、ユーザーがアプリを指定せずに「テイラー・スウィフトを見せて」と命じた場合、グーグルはTwitterをトップとする検索結果を表示し、ユーザーが Twitter のテイラー・スウィフトアカウントに移動することを助ける 。

画像クレジット:Google

新機能に関連して同社は、スマートディスプレイ上でカスタムアプリを作るための支援ツール各種と新しい音声(英語)を2種類リリースした。

同社は米国時間10月8日に開催されたGoogle Assistant Developer Dayイベントで、いくつかの新しいプロダクトとアップグレードを発表した。これにはGoogle Duoへの画面共有やスパム通話防止のためのVerified Calls(認証済み通話)のサポートデバイスの拡大(Android 9以降が必要)などが含まれる。

Google Playの Movies&TVアプリは先週TechCrunchが報じたとおり、Google TVアプリへリニューアルされた。またアクセシビリティも強化された。音声通知機能を聴覚にハンディキャップがあるユーザーのためにカスタマイズできるようになった(Googleブログ)。さらには、脳性まひ、自閉症、失語症などの障がいをもつユーザーのアクセシビリティをAction Blocksアプリを利用して容易に改善できるようにした。新機能はすでに公開されている。

【Japan編集部追記】日本語サポートについてはGoogleアシスタントのサイトを参照してほしい。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Goolge、Googleアシスタント

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Googleアシスタントにゲストモードが加わる、履歴を残さずスマートスピーカーなどを操作可能に

Google(グーグル)は米国時間10月7日、新たなプライバシー機能をいくつか発表した。改定されたSafety Center(セーフティ・センター)を米国で公開し、近く全世界にも提供する。また、ユーザーのアカウントが不正使用されそうだと予測したときの警告をもっと目立つものにする。

最も興味深い新機能は、Googleブランド・デバイス上のGoogleアシスタントに追加されたゲストモードだ。これはGoogle Chromecast(クロームキャスト)などをゲストに使わせるための機能ではないので間違えないように。

このゲストモードはむしろブラウザーのシークレットモードに近い。「Hey Google, turn on guest mode」などと話しかけてゲストモードをオンにすると、アシスタントはパーソナライズされた応答をしなくなり、やり取りはアカウントに保存されない。ユーザーがオフにするまでこのモードは続く。

通常、Googleアシスタントは対話内容をすべてアカウントに保存する。もちろん、手動で削除したり、3、18、36カ月後に自動消去させることや、音声録音を一切保存させないこともできる。

ゲストモードは、スマートスピーカーやスマートディスプレイに近々実装される。

データの削除といえば同社は同日、近々Googleマップのタイムラインで位置履歴データを編集できるようにすると発表した。

もう1つの注目は「Is my Google Account secure」(私のグーグルアカウントは安全?)といった問い合わせをすると、グーグルがユーザーのセキュリティーとプライバシーの設定を表示してくれる機能。いまやこの手の設定がどこにあるのかわからいところまで複雑化していることを思うと、これは大きな前進と言えるだろう。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Google、Googleアシスタント、Google Home

画像クレジット:Google

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

翻訳アプリのReversoがデスクトップ版をリリース、文書翻訳や企業内サイト翻訳など事業も拡大中

言語学習会社のReverso(リバーソ)が、macOSならびにWindows用のデスクトップアプリ(Reversoサイト)をリリースした。モバイル版と同様に、翻訳辞書にアクセスして、文脈付きの例文を取得することができる。2日間で4万回のダウンロードがあった。

Google翻訳は大成功を収めているが、一方でReversoはiOSとAndroid上で2000万ダウンロードを達成している。ほとんどのユーザーはフランス、イタリア、ロシア、米国からアクセスしている。同社のウェブサイトには、毎月数千万ものユニークビジターが集まり、そのページビューは5億人を超えている。

今回の新しいデスクトップアプリを使うことで、コンピューターを使用しているときにReversoに素早くアクセスできるようになる。任意のアプリ上で、1つまたは複数の単語をハイライトさせて、キーボードショートカットを使用してReversoでそれらの単語を検索できる。問い合わせの結果を表示するアプリウィンドウには自動的に切り替わる。

アプリから同義語にアクセスしたり、単語の発音を聞いたりすることもできる。モバイルと同様に、アプリは無料で、より多くの機能にアクセスするためのサブスクリプションオプションがある。

そのほかのニュースとして、Reversoは最近Reverso Documents(リバーソ・ドキュメンツ)もローンチした。このサービスを使えば、自分のドキュメントをアップロードして、オリジナルのレイアウトで翻訳を得ることができる。ドキュメントをダウンロードする前には、翻訳を確認し編集することができる。舞台裏では、同社はこの種の製品のためのニューラル機械翻訳技術の向上を行ってきた。

現在Reverso Documentsは、Word、PowerPoint、PDF、Excelファイルをサポートしていおり、毎月5万人がReverso Documentsを利用しているという。このサービスを利用する際には、1回ごとの支払いか、サブスクリプション支払いかを選ぶことができる。

同社はまた、企業クライアントと協力して、ユーザーガイドや社内ガイドラインなどの翻訳支援を進めている。企業はReversoが特定の語彙について学習できるように、すでに翻訳されているドキュメントをアップロードすることができる。クライアントには銀行や自動車メーカーなども含まれている。

Reversoは、ウェブ広告以外への収益源の多様化を行っている最中だ。また、同社は入口に大きなユーザーベースを抱えており、この先多くのReverso製品との出会いが期待される。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Reverso、翻訳

画像クレジット:Romain Vignes / Unsplash

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(翻訳:sako)

OktaがIDを使用して販売およびマーケティングタスクを自動生成する新ノーコードワークフローを提供

どうやらノーコードが今年のテック界の合言葉のようだ。これは、ドラッグ&ドロップすることで通常なら開発者がコーディングする必要があるものを作成し、開発者の役割を置き換えられる能力を意味している。ノーコードにより、技術的な背景がほとんどないビジネスユーザーでも開発タスクに参加できるようになる。そんな中、米国時間10月7日、Okta(オクタ)が、IDを使用して顧客中心のワークフローを起動する、新しいノーコードワークフローを発表した。

Oktaの共同創業者でCEOのTodd McKinnon(トッド・マッキノン)氏は「販売およびマーケティングツールを含むワークフローに、IDを簡単に接続できるようにするための一連のコネクタを開発した」と語る。これは、4月のOktane顧客会議で紹介されたIDライフサイクルワークフローに続くものだ。

「このリリースで私たちは、顧客IDワークフローを導入します。これはSalesforce(セールスフォース)やMarketo(マルケト)などの、顧客IDを扱いたいすべての顧客中心アプリケーション用コネクターに焦点を当てたものです。そして時間が経つにつれて、企業が使用したいと思うあらゆる種類のシナリオをカバーする、ますます多くの分野に、これが展開されていくことは、ご想像いただけるでしょう」とマッキノン氏はTechCrunchに語った。

マッキノン氏は、昨年同社がPlatform Services(プラットフォーム・サービス)を導入したことを述べた、このサービスは同社のプラットフォームから様々な部分を取り出し、個別のサービスとして利用できるようにしたものだ。これにより、大企業の顧客は必要に応じてそれを利用することができる。同氏は「今回の発表はそのアイデアを拡張したもの」だ説明するが、例えば、OktaサービスをSalesforceに接続するには、技術者を使って複雑なコードを書く代わりに、ユーザーは単純にSalesforceコネクターをワークフロー内にドラッグすればいい。

マッキノン氏は、アーリーアダプターのMLB(メジャーリーグ)を例に挙げて説明している。ユーザーがMLBアプリをダウンロードし、アカウントを作成(サインアップ)してサインインしたとしよう。もしその時点でMLBのマーケティング担当者が、Okta外のアプリケーションに接続したいと考えた場合、これまではプログラミングの助けを借りてそれを実現する必要があった。

しかし、新しいワークフローツールを使用すると、マーケティング担当者はそのログインが不正か否かをチェックし、ログインした人物の情報をSalesforceに自動的に送信して顧客レコードを作成し、Marketoでウェルカムメールを送信するように指示するワークフローを設定できる。そして一連のこの仕事は、顧客がサインアップすることで自動的に実行できるのだ。

画像クレジット:Okta

この機能は、昨年、OktaがAzuqua(アズカ)を5250万ドル(約55億6000万円)で買収した(未訳記事)ことによって可能になった。COOで共同創業者のFrederic Kerrest(フレデリック・ケレスト)氏は、買収時にブログ投稿に以下のように書いた(Oktaブログ)。

OktaとAzuquaを使用することで、ITチームは事前に用意されたコネクタとロジックを使用して、合理化されたIDプロセスを構成し、運用速度を向上させることができます。また、企業の製品チームは、Oktaのコア認証およびユーザー管理テクノロジーとともに、このテクノロジーを自社のアプリケーションに組み込んで、統合されたカスタマーエクスペリエンスを開発できるようになるでしょう。

そして、それこそがまさに、同社が今回新しく提供を始めたアプローチなのだ。現在のところ、同機能はアーリーアダプタープログラムとして利用できるが、Oktaが諸問題を解決するにつれて、このビジョンの拡大に伴い機能が拡張され、他のエンタープライズワークフローコネクタも追加されるだろう。このことはOkta自身に、純粋なID管理企業の枠組みを超え、組織の他の部分と接続する手段を与えることになるだろう。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Okta、ノーコード

画像クレジット:Olena_T / Getty Images

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(翻訳:sako)

Envoyが従業員が安全にオフィスに戻って働けるようにするためのプロダクト「Protect」をリリース

業界を問わず、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によって我々の働き方はすっかり変わった。在宅勤務が新しい標準になっている。しかし多くの人がオフィスに戻りたいと望み、スタートアップはできるだけ安全なオフィスへの移行を支援したいと考えている、

そうしたスタートアップの1つが、2013年にオフィス向けの来客受付プラットフォームをリリースしたEnvoyだ。Envoyは米国時間10月6日、Envoy Protectという新しいプロダクトスイートをリリースした。これは従業員が安全にオフィスに戻れるように支援するプロダクトだ。

このプラットフォームはここ数カ月間ベータ版として公開されていたため、すでに5000社以上が登録している。10月第2週の時点で、Envoyを利用して100万人が安全に職場に戻った。

Envoy Protectは従業員が安心してオフィスを利用することに特化して作られていて、健康アンケートや室内の人数管理ツール、健康で承認を受けている人のみがオフィスに入れるようにする入室制限プロバイダとの統合、QRコードによる非接触のサインイン、接触追跡、検温との統合などの機能がある。管理者は各地の健康と安全に関する要件に基づいて地域によって入室登録をカスタマイズしたり、登録手順をカスタマイズしたり、オフィスの人の流れを分析したりすることもできる。

画像クレジット:Envoy

またEnvoyは「Desks」も発表した。これはオフィスにいる従業員のソーシャルディスタンスを適切に確保し、従業員を迎えるにあたって清潔で安全な職場にするためのプロダクトだ。Desksはクローズドベータとして今後公開され、Envoyはテストを継続する。

Envoy ProtectはEnvoy Visitorsのサービスに含まれ、企業は追加費用なしでEnvoy Protectを利用できる。

ワークスペースの未来に向けての動きは山ほどある。2020年8月にはEdenがオフィスの安全な再開を支援する同様の製品を発表した(未訳記事)。

EnvoyはAndreessen Horowitz、Menlo Ventures、Initialized Capitalなどの投資家から6000万ドル(約63億4000万円)近くの資金を調達しており、この分野では有利な立場にある。

創業者でCEOのLarry Gadea(ラリー・ガデア)氏は、前四半期は新型コロナウイルス感染拡大による変化があったにもかかわらず、売上の面ではこれまでで最高の四半期だったと述べている。

同社の従業員数は約150人で、そのうち40%が女性、20%がマイノリティーだ。

ガデア氏は、Envoyにとっての現在の最大の課題の1つはProtectという製品名を広めることだと語る。Envoy Visitorsは来客がオフィスに入れるようにするプロダクトで、口コミで広がりやすい性格がある。Envoyを使っているオフィスを訪れた人は、自分のオフィスにも同じシステムを入れたいと考える。

「職場では多くのことが起きていて、私たちのプロダクトで多くのことを支援できると伝えるのが最大の課題です。人々は家のことばかり考えていますが、職場に戻るとなったら、その職場はきちんと考え一緒に働くのに適した場所だと思い出さなくてはなりません。我々の課題は、人々がそれを安全に実現できるようにすること、よく考えずに慌てて実行しないようにすることです」とガデア氏は語る。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Envoy新型コロナウイルス

画像クレジット:Envoy

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(翻訳:Kaori Koyama)

Spotifyが新しいボイスキャプチャーアプリ「Soundtrap」を発表、曲やトラックごとのコラボが可能に

2017年にSpotifyに買収されたSoundtrapは、より大きなSpotifyブランドの下でポッドキャスト作成ツールのAnchorと同様の役割を果たしている。Soundtrapは音楽制作に主眼を置くクラウドベースのサービスで、ミュージシャンが離れた場所から曲やトラックごとにコラボレーションできるように設計されている。正直なところ、このような社会的距離感のある瞬間にぴったりのツールだ。

米国時間10月6日朝発表された新しいSoundtrap Captureは、このアイデアをベースにしており、よりモバイル性を高め、作曲プロセスの初期段階に対応している。自身のポッドキャストで多くのミュージシャンにインタビューをしている者として、ボイスメモが作詞作曲においてますます重要なツールになっているという事実は確かなものだ。クリエイティブな分野にいると、自分の時間を作ることができる半面、思いもよらない時にインスピレーションが湧いてくることもある。

多くのミュージシャンにとってスマートフォンは、インスピレーションを歌にしたり、鼻歌にしたりするできる常に存在する白紙の板としてかなり重要なものとなっている。これがCaptureの基本的な原理だ。このアプリは基本的には巨大な赤い録音ボタンのインターフェイスを備える非常にシンプルなボイスメモツールとなっている。ボタンをタップして、ユーザーがひと言歌うと他の人と共有できるトラックとして保存される。オーバーレイを録音することも可能で、ボイスメモとGoogle Docsを合体させたようなものといえる。

このアプリは昨年から開発が進められてきた。春からはベータ版となっており、正直言ってこの時期のリリースは、新型コロナ禍の影響を受けている多くのミュージシャンにとってかなりいいタイミングだ。

このアプリは、インスピレーションの最初の瞬間のために開発されているので、コントロールはかなり制限されている。例えば、トラックのボリュームは調整できるが、ほかのレベルの調整には対応していない。見つけた音のループを作成することもできない。それはそれで楽しくて便利なトリックだが、共同設立者のPer Emanuelsson(パー・エマニュエルソン)氏はTechCrunchに「一般的に後から行われる作曲プロセスの側面と考えている」と語った。

このアプリにはメモ用のライブストレージが搭載されており、今年後半にはメインのSoundtrap Studioアプリに統合される予定だ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Spotify、Soundtrap

画像クレジット:Spotify

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(翻訳:TechCrunch Japan)

SpotifyとChernin Entertainmentがポッドキャストのテレビ番組化・映画化に向け優先交渉権契約を締結

まもなくより多くのSpotify(スポティファイ)ポッドキャストがテレビ番組化・映画化されることになるだろう。米国時間9月24日、Spotifyは、ストリーミング音楽のプロバイダーであり、映画やテレビ番組の制作会社でもあるChernin Entertainment(チャーニンエンターテイメント)と複数年契約を結んだことを発表した。この契約により、合計数千時間のコンテンツに相当する250を超すオリジナルポッドキャストシリーズを収めたライブラリから、Chernin Entertainmentが映画化・テレビ番組化に相応しいコンテンツを特定できるようになる。

両社はすでに、Spotifyが所有するGimlet Media(ギムレットメディア)を通し、連続殺人犯Edward Wayne Edwards(エドワード・ウェイン・エドワーズ)に関するポッドキャストシリーズ「The Clearing」の映像化に向けた取り組みをPineapple Street Media(パイナップルストリートメディア)と共に共同で進めていた。これらの取り組みは今後も引き続き行われるが、今回の契約によりChernin Entertainmentは、世界中から寄せられた数多くのポッドキャストを収めたSpotifyのライブラリにアクセスできるようになる。

Image Credits: Spotify screenshot via TechCrunch

Chernin Entertainmentは現在、「フォードvsフェラーリ」 、「The Planet of the Apes/猿の惑星」トリロジー、「グレイテスト・ショーマン」、「ドリーム」などの映画のほか、「New Girl ~ ダサかわ女子と三銃士」やApple TV+の 「See」、「真相 ~Truth Be Told~」といったテレビ番組の制作でも知られている。同社は、20th Century Fox(20世紀フォックス)との優先交渉権契約を締結することを望んでいたものの、Disney(ディズニー)がFoxの長編映画部門を買収したためこれをなし得なかったが、今春、Netflix(ネットフリックス)との優先交渉権契約を締結した

こうした契約や業界での他の変化により、Chernin Entertainmentは映画、テレビ、その他のデジタルビデオ化が可能な新たなIP(知的財産)を求め、歩み出すこととなった。

一方、ポッドキャストの成長により、オーディオプログラミングは映画やテレビといった他のメディアへの置き換えが可能なオリジナルコンテンツの有望なソースとなっている。このポッドキャスト市場は、SpotifyがGimletThe Ringer(ザ・リンガー)といったポッドキャスト制作会社や、より多くの人がクリエイターになることを可能にするAnchor(アンカー)といったポッドキャスト作成ツールの買収を通し、多額の投資を行ってきた市場である。

「オーディオは、エンターテイメントビジネスにおいて最も急成長中のメディアです。Spotifyは今日、数千時間にもおよぶ250以上のオリジナルコンテンツを収めた、世界最大の手つかずのIPライブラリの1つを所有しています。そして、このライブラリには日々作品が追加され続けているのです」とChernin Entertainment会長兼CEOのPeter Chernin(ピーター・チャーニン)氏は語る。「このコンテンツの宝庫に加え、さらに新たなストーリーが加速度的に追加されており、これにより、魅力的なストーリーや知的財産をスクリーンコンテンツへと置き換える巨大な機会がもたらされます」

SpotifyがTechCrunchに語ったところによると、この契約には、いくつのポッドキャストを映像化するかについての明確な数の取り決めは含まれていないが、Spotifyではかなりの数になると見込んでいる。収益配分の詳細など、契約の具体的条件も公開されていないが、この契約では、Chernin Entertainmentが映像化を見送ったプログラムについては、Spotifyが他の制作会社と映像化を進めることを禁止する条件は含まれていない。またマーケティングやプロモーションへの取り組みについても具体的な取り決めはなされておらず、Spotifyによると、これらについては、プロジェクトごとに処理することになるという。

Spotifyの250にのぼるオリジナル番組を収めたライブラリ、そして数週間後、数カ月後に継続的にリリースされるコンテンツそのものが、依然としてこの契約の中心である。しかし、Spotifyによると、両社がそのグループの枠を超え、映像化に共に取り組むシナリオもあるとのことである。

その目的は、どういった種類のプログラムが映画やテレビ番組へうまく置き換えられるかを発見することである。Spotifyはこの点について、Spotifyの多彩なコンテンツ、データ分析能力、クリエイターからのアクセスが同社に有利に働くと考えていると語った。

Spotifyのオリジナルポッドキャストライブラリには現在、さまざまなジャンルの人気番組が収められおり、これがこの契約の一番の資産である。さらにSpotifyは、先に開発した分析専用ツールにより、その番組の視聴状況を確認するデータを活用することができるようになる。

例えば、Spotifyは現在Spotify for Podcasters(スポティファイ・フォー・ポッドキャスターズ)を通して、ポッドキャスターが自らの番組の視聴状況を確認したり、他の匿名化された視聴者データを追跡できるようにしている。今後、同社はこのデータを使用して、映像化が成功しそうなものを特定できるようになる。Spotifyは複数の制作会社を所有しているため、より大規模な映像化に適したビジョンを持つクリエイターを特定する作業を支援することも可能だ。

Spotifyのポッドキャストコンテンツが映画化またはテレビ番組化されるのはこれが初めてではない。同社は現在Amazon Prime Video(アマゾンプライムビデオ)向けの「ホームカミング」の映像化や、HBO Max(HBOマックス)向けの「The Two Princes」、Prime Video向けの「The Horror of Dolores Roach」といった今後のプロジェクトを含め、様々な制作段階のプロジェクトを12件抱えている。

SpotifyとChernin Entertainmentは、本日発表された契約を契機として進められることになる最初のプロジェクトについて何ら発表を行ってはいないが、通常の企画と制作のタイムラインを踏まえると、そうしたコンテンツがお目見えするのは、最も早くて2021年になるだろう。

「Spotifyでは、オーディオの驚異的な成長が世界で最も才能に溢れたクリエイターたちを今後も魅了し、ポッドキャストがオリジナルIPの最高の到達点になることを確信しています。当社が引き続きコンテンツに対する志を拡大させて行く中、チャーニン氏や彼の優秀なチームと手を組むこととになったことに期待を膨らませています。当社がこれらのストーリーをさまざまなメディアを通し世界中の視聴者に配信して行くにあたり、Chernin Entertainmentは完璧なパートナーと言えます。私たちは、ソース素材としてのポッドキャスト新時代の到来を共に告げようとしています」とSpotifyのコンテンツおよび広告事業責任者のDawn Ostroff(ドーン・オストロフ)氏は語った。

関連記事:音声配信アプリ「stand.fm」が配信者の収益化を支援する「月額課金チャンネル機能」開始
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Spotify エンターテインメント ポッドキャスト

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(翻訳:Dragonfly)

Google Pixelはメンタルヘルスの観点から「美化フィルター」に狙いを定める

Google(グーグル)は、特にメンタルヘルスの専門家が自信を歪めると考えている顔写真フィルターやその他の美化(ビューティファイイング)技術に狙いを定めている。特に若いユーザーに紹介するときに。

同社によると、今後はPixelスマートフォンのAndroidカメラアプリで使用される写真フィルタの設計原則を適用する際、専門家のガイダンスに頼る予定だという。

Pixel 4 aでは、Googleはすでに顔のレタッチをデフォルトでオフにしており、近い将来にはインタフェースがアップデートされ、同社によると「価値判断の影響を受けない」顔のレタッチ効果を表す、アイコンやラベルが追加されるという。

つまり「ビューティーフィルター」のような言葉を使用しないことを意味する。これらの変更はまた、アップデートを通じてほかのPixelスマートフォンのAndroidカメラアプリに適用される。

この変更は、おそらくエンドユーザーには気づかれないかもしれないが、時間をかけて変化を生み出すかもしれない。

同社によると、Android上の写真の70%以上が前面カメラで撮影されており、Googleフォトは240億枚以上の写真が「自撮り」と表示されているそうだ。

しかし、我々がスマートフォンで見せられている画像は、より多くの人の外見に不満にさせている。米国の顔面形成外科学会(American Academy of Facial Plastic and Reconstructive Surgery)の昨年の調査によると、会員の72%が患者が自分の自撮りを改善するためにフィルターを求めたと答え、前年比15%の増加となったという。

また、親の80%がフィルターの影響を心配していると答え、10代の若者の3分の2が写真の中の自分の容姿についていじめられたことがあると答えている。

同社は、フィルターが人々の幸福に与える影響をよりよく理解するために、子供と精神衛生の専門家の助けを求めたと説明している。

写真フィルターが適用されていることを認識していなかった場合、結果として得られる写真は精神的な幸福に悪影響を与える可能性がある。人々は静かに美しさの基準を設定し、時間の経過とともに自分自身と比較するようになるからだ。

また、「美容」「美化」「強化」「タッチアップ」などの用語を使ったフィルターは、修正が必要な人の外見に問題があることを示す。同社によると、これは見た目の悪さを示唆しているという。「痩身」 という言葉にも同じことが言え、これは体を改善する必要があることを意味する。同社はまた、使われているアイコンでさえも問題を引き起こす可能性があることを発見した。

例えば、顔のレタッチオプションに 「ナチュラル」 というラベルを付ける代わりに 「微妙」 というラベルが付く。アイコンの代わりに顔のアイコンが表示され、どのボタンを押せば機能が有効になるかが編集ペンで示される。調整レベルも新しいガイドラインに従い、数字や記号、または 「低」 や 「高」 などの単純な用語を使用し、美しさを示すものにしない。

グーグルは、カメラアプリでもフィルタが有効になったときに、リアルタイムのキャプチャとその後のフィルタとの違いを明らかにすべきだと述べている。例えば、画面上部のインジケーターはフィルターがオンになったときにユーザーに知らせることができるので、ユーザーは自分の画像が編集されていることを知ることができる。

Pixel 4a以降のPixelスマートフォンでは、顔のレタッチ効果を使用する際に、各設定がどのように適用されているか、画像に具体的にどのような変更を加えるかについて、より多くの情報が表示されるようになった。例えば「微妙な」効果を選択すると、肌の質感、目の下のトーン、目の明るさを調整することが説明される。適用される効果について透明性を持たせるのは、顔のレタッチフィルターが私たちの写真に加えている微妙な調整を理解しやすくするのに役立つ。

米国時間10月1に発表されたPixel 4a 5GやPixel 5を含む新しいPixelデバイスでは、フェイスレタッチがシャットオフされている。そして、ラベルや説明文の変更は、Pixel 2以降のデバイスをサポートする次期アップデートで適用されるとグーグルは公表している。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Google、Google Pixel、フィルター

画像クレジット:Google

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Google MapのライブビューAR道案内機能が改善された

Google(グーグル )は米国時間10月1日、昨年正式にリリースされた、Google MapアプリのライブビューAR道案内機能に、いくつかのアップデートを施したことを発表した。ライブビューは、携帯電話のカメラとGPSを利用して、どちらへ向かうべきかを正確に教えてくれる機能だ、これは地図を中心とする類似の一般的な地図アプリケーションに対する、便利な機能追加の1つだ。

Googleが発表によれば 、新たに複数の交通手段を含む移動中でも、Googleマップの経路タブからライブビューを呼び出すことができるようになったということだ。これまでは、純粋な歩行道案内を行っているときにしか、ライブビューを表示することができなかった。

画像クレジット:Google

もしあなたが私のような、新しく訪れた街(まだ旅行ができていた2019年のことを覚えているだろうか?)の地下鉄の駅を出た後には混乱してしまうようなタイプなら、これは天の恵みだ。白状すると、私はライブビューの存在をしばしば忘れていた。だが複数交通手段を使う案内中に追加されたことで、この機能をより頻繁に試してみることになるだろう。それにいまやアプリのなかでより目立つようになっているのだ。

またGoogle Mapでは、周囲のランドマークを識別して、より良いガイダンスと街の中のどこにいるかがよりはっきとわかるようにもなった。たとえば、ニューヨークのエンパイアステートビルのことを考えて欲しい。

画像クレジット:Google

これらの新しいランドマークは、アムステルダム、バンコク、バルセロナ、ベルリン 、ブダペスト、ドバイ、フィレンツェ、イスタンブール、クアラルンプール、京都、ロンドン、ロサンゼルス、マドリード、ミラノ、ミュンヘン、ニューヨーク、大阪、パリ、プラハ、ローマ、サンフランシスコ、シドニー、東京、ウィーンで提供される予定で、他の都市も順次追加される。

普段ライブビューを使っているひとなら、このモードでは実際のピン位置がずれているときがあることをご存知だろう。たとえば、丘陵地帯では、ピンが目的地の上に浮かんでいることがよくある。現在、Googleは、機械学習とより優れた地形図を組み合わせて、ピンを本来あるべき場所に正確に配置できるように修正することを約束している。

また、ライブビューをGoogle Mapの移動状況共有機能と組み合わせることもできるようになった。そのため、友人の1人が位置を共有した場合には、その正確な位置をライブビューの中でも知りことができるようになった。そして友人と会うためにどちらへ行けば良いかが示される。

関連記事:Googleマップが歩行者のためのナビ「Live View」を拡張現実で実装

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(翻訳:sako)