LayerXとJCBが複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラの共同研究開始

LayerXとJCBが複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラの共同研究開始

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月20日~12月26日の情報から。

ジェーシービー(JCB)LayerXは12月22日、複数企業間をつなぐ次世代「BtoB取引履歴インフラ」に関する共同研究の開始を発表した。共同研究において両社は、プライバシーに配慮した利用者主体の商流情報の流通を実現し、それらを活用した高度なサービスを可能にする新たなデジタルサプライチェーン構築を目指す。

近年、中央銀行デジタル通貨(CBDC。Central Bank Digital Currency)をはじめデジタル通貨による決済プラットフォーム構築に向けた動きが活発化している。これらデジタル通貨に関する試みおよびメリットのひとつに、「様々な機能・ロジックを付加できるお金」という側面があり、こうした新形態のお金は「プログラマブルマネー」と呼ばれている。契約・請求・支払いなど一連のオペレーションのデジタル化・効率化、さらには自動執行が期待される。

これを受け共同研究では、JCBの強みを生かし、地域金融機関、BtoB決済に関わるソリューションプロバイダーなどとの協業も視野に入れ、BtoB取引履歴インフラの新モデルを検討していく。次世代インフラは、オペレーションの効率化に留まらず、業種・業界を超えたサプライチェーンプラットフォームならではの、商流情報を活用した高度なサービスの実現を目指すという。

LayerXとJCBが複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラの共同研究開始

また、異なる業種・業界間における取引情報の共有においては、ブロックチェーン技術を用い取引情報を記録することで改ざん困難かつ確かなデータ流通が可能になるものの、両社はこれだけでは不十分という。社会実装においては、データ保護・プライバシーの観点から、情報主体(利用者)それぞれが「金融機関など業務上必要のある事業者には開示する」「不必要な事業者には開示しない」など取引情報の閲覧権限を柔軟に設定できるデータコントロールの仕組みが、情報提供者に対して求められる。

さらに与信情報の照会・確認などでは、データを秘匿したままデータ演算を行うといった高度なプライバシー技術を必要とする。

LayerXとJCBが複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラの共同研究開始LayerXとJCBが複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラの共同研究開始今回の共同研究では、TEE(Trusted Execution Environment)を応用しLayerXが開発したソリューション「Anonify」(アノニファイ)とブロックチェーンを組み合わせ、取引情報の秘匿性・信頼性を担保し、利用者による開示情報の取捨選択を実現する。

TEEは、PCやスマートフォンが搭載するプロセッサーのセキュリティ機能にあたり、アプリケーションを安全な実行環境で動作させるための技術。ユーザーであってもアクセス不可能なデータ領域を端末に構築し、アクセス制限をハードウェアレベルで保証する。これにより同環境下では、クラッキングやマルウェアによる攻撃などの脅威を防ぐことができる。

LayerXとJCBが複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラの共同研究開始Anonifyは、TEEを活用した、ブロックチェーンのプライバシー保護技術。ブロックチェーン外のTEEで取引情報の暗号化や復号を行い、ビジネスロジックを実行することで、ブロックチェーンの性質を活かしながらプライバシーを保護する。複数の企業や組織が共同で利用する共通基盤において、秘匿性と監査性を両立させたアプリケーションを構築可能という。詳細は、ホワイトペーパーAnonify Book(JP)ソースコードをはじめ、LayerXサイトのAnonifyに関するページを確認してほしい。

LayerXとJCBが複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラの共同研究開始LayerXとJCBが複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラの共同研究開始JCBは、デジタルによる取引が増えていく社会の中で、デジタル取引・送金の履歴を蓄積し、必要に応じて取り出して参照できるインフラの必要性が高まると考え、同共同研究に挑む。両社はBtoB決済におけるトランザクションの記録・活用に加えて、デジタル通貨を用いた国内外送金などの金融取引に関するマネーローンダリング(資金洗浄)防止(AML。Anti-Money Laundering)およびテロ資金供与対策(CFT。Counter Financing of Terrorism)強化に向けたトランザクション識別と追跡性担保を可能にするといった、今後は必要不可欠となるインフラへの応用も視野に入れて、研究開発に取り組んでいく。

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The Sandboxがイーサリアム基盤のデジタル不動産オークションによりユニセフ暗号資産ファンドに寄付

The Sandboxがイーサリアム基盤のデジタル不動産オークションによりユニセフ暗号資産ファンドに寄付

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月13日~12月19日の情報から。

中国・香港拠点のゲーム開発会社「Animoca Brands」(アニモカブランド)は12月18日、ブロックチェーンゲームプラットフォーム「The Sandbox」において、NFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)にあたるデジタル不動産を販売するチャリティーオークションを開催した

収益は、UNICEF(ユニセフ。国連児童基金)暗号資産ファンド(UNICEF CryptoFund)に寄付され、UNICEF Innovation Fundを介し子どもや若者に影響する可能性があるオープンソース技術・デジタル公共財への資金提供に使用される。

チャリティーオークションは、12月18日午後10時(日本時間)より3日間開催。The SandboxのユーティリティトークンSANDのみの入札に限定されており、最終的に70万SAND相当のデジタル不動産が落札された。落札時点のSAND相場価格で換算すると、落札価格は約3万2373米ドル(334万円相当)になる。

The Sandboxは、ブロックチェーン基盤のメタバース(仮想空間)にあたる、コミュニティ主導型ゲームおよびゲーム作成プラットフォーム。すでに過去に仮想空間内のLANDを販売する複数回のプリセールが行われており、The SandboxのLANDは人気のNFTとなっている。今回のチャリティーオークションでは、Animoca BrandsがNFTマーケットプレイス「OpenSea」(オープンシー)と提携し、12×12(144個)のLANDで構成されたエステート(土地)と呼ばれる区域を出品した。土地はThe Sandboxの中心にあたる人気かつ需要の高いロケーションが出品された。

オープンソース技術とデジタル公共財の開発を支援する、UNICEFの暗号資産ファンドおよびイノベーションファンド

今回のチャリティーオークションの収益はすべて、UNICEFの暗号資産ファンドに寄付され、UNICEF Innovation Fundを介して世界中の子どもや若者に影響する可能性があるオープンソース技術やデジタル公共財への資金提供に使用されるという。

UNICEFは暗号資産ファンドを2019年に設立。この2020年6月などにも新興国のテクノロジー企業に法定通貨と暗号資産による投資を実施しているものの、ブロックチェーン技術を基盤としたNFTを慈善事業に活用するのは今回が初の試みという。

UNICEF フランスのエグゼクティブディレクターSebastien Lyon氏は「UNICEFは暗号資産ファンドを持つ最初の国連機関であり、最先端の技術を活用し、慈善事業に役立てています。Animoca Brandsのようなパートナーと、世界中の子どもたちの生活を向上させる手段として、オープンソースで革新的なソリューションを生み出す暗号資産を利用できることを誇りに思っています」と語っている。

The Sandboxとデジタル不動産「LAND」

The SandboxのユーティリティトークンSANDは、Ethereum(イーサリアム)ブロックチェーン上で発行されたERC-20準拠トークンで、メタバースにて利用できる主要トークンとなる。暗号資産取引所BinanceのIEOプラットフォームBinance Launchpadを通じ、300万ドル(約3億1700万円)相当のSANDが販売され、すでに上場も果たしている。

これらによりThe Sandboxユーザー(コンテンツ制作者)は、アセットを使用しゲームを作ったり、他人の作ったゲームをプレイしたりできる(ゲーム体験)。また、所有する土地(LAND)やキャラクター、アイテムなどデジタルアセットについても、NFTとしてマーケットプレイスにて売買可能(収益化可能)となっている。

LANDは、Ethereum上で発行されたNFT(ERC-721)。The Sandboxにおけるデジタル不動産であり、プレイヤーはその上にエクスペリエンス(デジタルアセット)を構築するために購入できる。発行上限が16万6464LANDと決まっており、すでに多くのLANDがプレセールによって販売済みになっている。

より早くプレセールに参加してLAND所有権を得たユーザーは、The Sandbox内の限られたLANDの中でも人気のロケーションを確保可能。LAND所有者は、The Sandboxでゲームプレイに参加できるほか、自分のLANDにおいて他のプレイヤーに対して独自のゲーム体験を提供できる主催者になれる。さらに、LANDの一部を他のプレイヤーにレンタルをしてSANDを稼ぐことも可能という。

また、メタバースガバナンスに参加できるといった様々な権利を得られるほか、それら権利をNFTマーケットプレイスなどで売買できる。

プレシーズン0のリリース予定を変更、具体的な開始日を2021年1月に発表予定

なお、The Sandboxは現在開発中で年内にローンチ予定だったが、公式ブログにおいてプレシーズン0のリリースを2021年の初めに行うと、予定を変更した。具体的な開始日は、2021年1月に発表するという。

現在、The Sandboxはプラットフォームの一部として3Dボクセル(ブロック)アセットを作成できる「VoxEdit BETA」と、VoxEditで作成されたゲーム内アセットを取引できる分散型マーケットプレイスを公開。メタバース内で3Dゲームを作成できるビジュアルスクリプトツールボックスGame Makerのアルファ版も提供している。

プレシーズン0へのアクセスは、LAND所有者のみの限定公開となる。開始タイミングは事前登録をすることでメール通知を受けることができ、事前登録をしたLAND所有者に対して、順次アクセスを可能にしていくという。

プレシーズン0では15日間のイベントが開催され、プレイヤーは$SAND賞品のほか、NFTを含むその他の限定賞品を獲得できる。

また、ソーシャルハブ、派閥レベル、ギャラリーやGame Makerファンドで制作された「UGCゲーム」40以上が公開され、プラットフォーム制作、戦闘、謎解き、調査、探検、タイムアタック、収集など、ゲーム性を持った体験もプレイ可能という。

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タグ:Animoca BrandsNFT(Non Fungible Token)オープンソース / Open Source(用語)The Sandboxブロックチェーン(用語)メタバースUNICEFUNICEF Innovation FundUNICEF CryptoFund中国(国・地域)

不動産投資クラウドファンディング「大家.com」がSTOスキーム導入、運用期間中でも出資持分を譲渡可能

不動産投資クラウドファンディング「大家.com」がSTOスキーム導入、運用期間中でも出資持分を譲渡可能

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月6日~12月12日の情報から。

不動産や商業施設建築事業のグローベルス(旧社名:キーノート)は12月11日、同社運営の不動産投資型クラウドファンディング「大家.com」の第1号案件「Foresight南麻布」において、STO(Security Token Offering)スキームを導入すると発表した

これまで不動産事業や多種多様な商業施設のデザイン・設計・施工を行ってきたグローベルスは、「不動産特定共同事業法に基づくクラウドファンディング事業」を定款に追加し、8月4日付けで東京都知事より不動産特定共同事業の許可を取得。オンラインで手軽に不動産投資を行える不動産投資型クラウドファンディングサービスサイト大家.comを展開している。

従来の不動産投資は投資の最小金額の規模が大きく、最低でも数千万円超の投資額となってしまうことが課題だったが、大家.comは少額投資(1口1万円)を可能にし、誰でも気軽に「大家さん」になれるサービスとなっている。また当初のスキームでは、一度出資すると運用期間中は出資金がロックされてしまうため、運用期間終了まで出資持分を保有し続けなければならなかったが、不動産特定共同事業者向けSTOスキームでは、運用期間中であっても出資持分を譲渡することが可能となり、投資家の資金流動性リスクの軽減につながるという。

今回、大家.comに導入されたのは、LIFULLおよびSecuritize Japanが提供する不動産特定共同事業者向けのSTOスキームとなる。

不動産特定共同事業者向けSTOスキームを利用するには

不動産特定共同事業者向けSTOスキームを利用するには、投資家は大家.comに投資家登録をし、対象案件の成立前書面の確認を行う必要がある。大家.comにて出資した投資家は、出資持分の譲渡を希望する際は、グローベルスにセキュリティートークンの発行を依頼する。セキュリティートークンが発行された出資者は、ブロックチェーン上で持分の譲渡が可能となる(2021年3月下旬予定)。また、出資持分を譲り受ける第三者もまた、大家.comへの投資家登録、対象案件の成立前書面確認が必要となっている。

ちなみに、ここで発行されるセキュリティートークンは、不動産特定共同事業法第2条第4項に定める不動産特定共同事業(1号事業)にもとづく出資持分を表象したものであり、金融商品取引業等に関する内閣府令第1条4項17号に規定される電子記録移転有価証券表示権利等に該当するものではない(金商法第2条2項5号に定める有価証券から除外されている)。

大家.comの第1号案件「Foresight南麻布」では、12月14日(予定)より投資申込を開始し匿名組合出資持分を表象するセキュリティートークンの発行を受けることが可能になる。出資者は案件運用開始後、LIFULLおよびSecuritizeが提供するプラットフォーム上でのセキュリティートークン譲渡により、第三者への出資持分の譲渡が可能になる。

ちなみにForesight南麻布案件は、グローベルスが所有する港区南麻布に所在する収益ビルとなる。1992年3月築の建物で、2012年にグローベルスが取得。その後、エントランスの改修工事や各階の設備の更新・交換工事を行うことで、2020年12月現在は満室稼働となっているという。建物の管理・運営・入居者などの問合せ対応はグローベルスが行っている(一部外部委託)。

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タグ:大家.comクラウドファンディング(用語)グローベルスSecuritize不動産テック(用語)ブロックチェーン(用語)LIFULL

IndieSquareが複数ブロックチェーン間におけるデジタル資産の管理・転送技術で特許取得

IndieSquareが複数ブロックチェーン間でデジタル資産の管理・転送を可能とする技術で特許取得

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年11月29日~12月5日の情報から。

スマートフォン向けウォレットアプリ「IndieSquare Wallet」などを開発するブロックチェーン・スタートアップ「IndieSquare」は12月1日、次世代ブロックチェーン技術「HAZAMA」(ハザマ。ホワイトペーパー)の技術に関する特許取得を発表した。なお特許出願時には、本技術を原則としてオープンソース化するとしている。

HAZAMAは、サイドチェーンに相当するもの。サイドチェーン・ノードの立ち上げ後、ビットコインやイーサリウムといった異なるブロックチェーンと相互接続することでそれらを単一のプロトコル上で扱える暗号資産へと変換し、同じフォーマットで送受信や交換取引といった処理を行うことを可能にする。また、独自のコンセンサス・アルゴリズムにより、法的・業界要件的な適切性によって外部ブロックチェーンとの接続を許可/拒否するといった許認可基準を設けた運用も可能。

同社は、複数ブロックチェーンと相互接続し、安全に暗号資産などのデジタル資産の管理・転送を可能とする「ブロック・チェーン間でデジタル資産を転送するシステム」として特許を取得。同発明は、ブロックチェーンによる高い耐改ざん性により複製・偽造されないことが保証された信頼のおけるデータを、安全に流通させるための基幹技術となることが期待でき、AIやIoTの発展・普及により需要が高まるデータの信頼性向上にも寄与するという。

同発明は、複数の暗号資産を扱うウォレットサービスや分散型アプリケーション(DApps)や分散型金融(DeFi)などに応用可能であり、利用者は各バックエンドにどんなブロックチェーンが使用されているかを意識することなくサービスを利用できるようになる。また、開発においても信頼が求められるデータを扱うサービスを短期間かつ低コストで構築可能になるとしている。

さらに応用技術として、コンソーシアム型の特定用途の専用ブロックチェーンとして独自の許認可基準を設定し、基準を満たすデータのみを流通させる仕組みや、グローバルな取引所間にて、各国の法的要件を満たす暗号資産のみを取扱うための技術として運用することも可能になる。

同発明は、将来的には暗号資産のみならず、デジタルポイント、電子チケット、ゲームデータなどのデジタルデータとの互換性を持たせるために技術開発を進めており、ブロックチェーンの本質である価値保存、価値交換技術としての価値を向上させていくことを目的としているという。

サイドチェーン技術のHAZAMAは、ビットコイン(およびカウンターパーティ)、イーサリアム(およびERC-20)に接続可能なほか、多くのブロックチェーンと接続し、相互運用性を実現することを目指している。その技術が、今回の発明につながっている。HAZAMAは、プライベートチェーンの高速検証時間を実現しながら、ビットコイン・ブロックチェーンにイーサリアムなどのプログラム可能なスマートコントラクト環境を提供可能になるなど、既存のブロックチェーンの機能を強化できる。

また、シンプルな言語仕様で知られるスクリプト言語Luaをベースとしたスマートコントラクトの実行や、HAZAMA DNSといった独自のドメインにおいて不明瞭なアドレス形式などを置き換え、HAZAMAにてペッグされた複数の暗号資産をひとつのドメインで管理できるといった特徴を備えている。

なお、同特許の詳細については、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)において特許公報を閲覧できる。

  • 特許番号:第6788875号
  • 発明の名称:ブロック・チェーン間でデジタル資産を転送するシステム
  • 特許権者:株式会社IndieSquare
  • 出願番号 :特願2019-088304
  • 出願日:2019年(平成31年)4月16日
  • 登録日:2020年(令和2年)11月5日

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シンガポール政府が9.3億円でコロナ禍でさらに重要度が増したブロックチェーン研究プログラム開始

シンガポール政府機関のグループが、1200万シンガポールドル(約9億3600万円)の資金提供を受けて、ブロックチェーン技術のための新しい研究プログラムを開始する。Singapore Blockchain Innovation Programme(SBIP)と呼ばれるこのプロジェクトはEnterprise Singapore(シンガポール企業庁)、Infocomm Media Development Authority(情報通信開発庁)、およびNational Research Foundation Singaporeの3つの機関が協力しており、シンガポールの中央銀行で金融規制当局であるシンガポール金融管理局の支援を受けている。

SBIPの資金は国立研究財団から提供されており、企業によるブロックチェーン技術の開発、商業化、採用促進に使われる。プログラムではまず貿易、物流、サプライチェーンにおけるブロックチェーンの利用に焦点を当てる。

プレスリリースによると、このプログラムは今後3年間で「75社近くの企業と参加する」という。すでに世界的なサプライチェーンプラットフォームであるDimutoと提携して、ブロックチェーン技術を使って生鮮食品の追跡を行い、農家の信用力を高めることを目指している。

このプログラムにおける他の計画には、ブロックチェーンのシステムとネットワークが互いに協力するのを助ける方法を見つけること、ブロックチェーン部門の人材プールを増やすことが含まれている。

スタートアップからIBMのような巨大企業まで、何年も前からブロックチェーン技術を使ってより透明で結束力のあるサプライチェーンを構築しようと模索してきているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行が国際的な物流とサプライチェーンの脆弱性を浮き彫りにしたことで、この問題はより緊急性を帯びてきた。

シンガポール企業庁の会長であるPeter Ong(ピーター・オン)氏は声明で、「新型コロナウイルスは、新しいデジタルの世界において、信頼できるビジネスシステムの必要性を強調してきました。ブロックチェーン技術は、物流やサプライチェーンにまたがるアプリケーションへの信頼の向上、デジタルアイデンティティや認証情報への貿易金融を支援します」と述べている。

シンガポール政府は自らをブロックチェーン開発者や企業のパートナーと位置づけ、他国よりもオープンな「暗号ハブ」になることを目標にしている(未訳記事)。他のブロックチェーンに関する政府の取り組みとしては、シンガポール金融管理局の「Project Ubin」がある。2016年にスタートしたこのプロジェクトは、40社以上の企業と行ったテストの結果、同社のマルチカレンシー決済ネットワークがその商業的可能性を証明したと2020年7月に発表している。

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タグ:シンガポールブロックチェーン

画像クレジット:cgImages / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

PS5・PC用ブロックチェーンRPG「The Six Dragons」がDeFi・イールドファーミング導入

PS5・PC用ブロックチェーンRPG「The Six Dragons」がDeFi・イールドファーミング導入

BlockPegnioは12月1日、オープンワールドタイプのブロックチェーンRPG「The Six Dragons」にDeFi(分散型金融)で知られるイールドファーミング(Yield Farming)の仕組みを導入予定と発表した。The Six Dragonsは、現在PC版(アーリーアクセス)のみリリース済みで、PlayStation 5版を2021年第4四半期発売予定。PC版については、2021年前半公開予定のバージョン1.0で導入する。

The Six Dragonsは、256km2(「Skyrim」の約7倍)という広大なゲームフィールドを特徴とするオープンワールドタイプのRPG。今後、PvPや協力クエストの機能も導入することで、より多くの動画実況コミュニティやeスポーツコミュニティのファンを呼び込む予定という。

The Six Dragonsは、プレイヤーがゲームの将来の方向性に影響を与えることができる「ガバナンスNFT」の導入を計画。ガバナンスNFT保有者(Governor。ガバナー)となっているプレイヤーは、開発陣が提案するゲームに関する変更点や開発の優先順位への投票、「イールドファーミング」による収入といったメリットを得られる。イールドファーミングでは、クラフト/エンチャント/オフチェーンからのアイテム取引含め同ゲームで発生するすべてのオンチェーン・トランザクションにおいて、一定割合の利益を取得できる。なお、プレイヤーがウォレットからガバナンスNFTを取り出すと、Governorのステータスが失われる。

これら利益は、Enjinが提供しているEthereum(イーサリアム)ベースの「Enjin Coin」(ENJ)トークンと1:1の交換を保証(ペッグ)されたユーティリティトークン「TSDT」で分配される。TSDTトークンはゲームで遊んでいる最中でもENJに交換可能で、ユニークな「Play-to-Earn」(ゲームプレイで稼ぐ)を体験できるとしている。また収入の可能性を高めるために、プレイヤーはひとつのウォレットに複数のガバナンスNFTを保有できる。

なお、PC版(アーリーアクセス)では、鍛冶屋サービスで報酬を獲得可能。プレイヤーは他のプレイヤーのアイテム作成レシピを元に、トークン化された新たなゲーム内アイテム(武器・防具・宝石など)を作れるようになっており、その見返りとして報酬を受け取れる。The Six Dragonsでは、このレシピ自体も希少な資産としており、他プレイヤーと取引できる。

ゲームとブロックチェーンのエコシステム構築を目指すEnjinが提供する「Enjin Platform」

Enjin提供の「Enjin Platformは、Ethereum(イーサリアム)ベースのERC-1155準拠トークンをサポートしており、既存ゲーム(または開発中のゲーム)のブロックチェーン化を支援する開発ツールとして利用可能。ゲーム開発者はEnjin Platformを導入することで、単一のスマートコントラクトでNFTを発行できる(ERC-1155の競合として、Loom Networkが提案した規格ERC-721xがある)。

The Six Dragonsは、Enjinのスマートコントラクトを用いて、アイテム(NFT)生成・取引におけるトランザクションをEthereum上に発行。またEnjin提供のツールを用いることで、ガバナンスにおけるロジックを設定し、またNFTマーケットプレイス「Enjin Marketplace」と連携させる。

BlockPegnioのSavvas Lazopoulos CEOは、「分散型の意思決定メカニズムが、現実社会における政府のガバナンスに組み込まれるのは、時間の問題であると考えている。The Six Dragonsのバージョン1.0、そしてPS版ローンチにより、同メカニズムの有効性を証明し、より多くの人がメリットを享受できる仕組みを構築できればと考えている」とコメントしている。

EnjinのVP of Developer Success、Simon Kertonegoroは、「BlockPegnioが発行するThe Six Dragonsのガバナンストークンは、Play-to-Earnの仕組みをPlayStation 5にもたらす画期的な仕組み。The Six Dragonsは、数多のブロックチェーンゲームの中でも特に完成度が高く、家庭用ゲーム機の発展において重要な役割を果たすといえるだろう」と述べた。

Enjinは、2009年にEnjin Networkの提供を開始し、2000万人以上のユーザーが参加するゲームコミュニティのプラットフォームを構築。2017年にICOで1890万ドルを資金調達した後、誰でも簡単にブロックチェーンを用いた開発・マーケティング・取引ができるプラットフォームの開発を進めている。

ゲーム開発者は、Enjin Platform・Enjin Explorer・Enjin WalletEnjin Beamを利用することで、トークン化されたデジタル資産を、新規ユーザー獲得やエンゲージメント率向上などに活用できる。またこれらプロダクトでは、Ethereumベースのトークン「Enjin Coin」(ENJ)が採用されている。

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原宿発アイドル「神宿」がアルバム発売記念にブロックチェーン利用のNFTデジタルコレクションカード発行

原宿発アイドル「神宿」がアルバム発売記念にブロックチェーン利用のNFTデジタルコレクションカード発行

個人の自己目標「夢」をファンが支援するクラウドファンディング「FiNANCiE」を提供するフィナンシェは11月27日、アイドルグループ「神宿」(かみやど)のニューアルバム「THE LIFE OF IDOL」の発売を記念したデジタルコレクションカードの販売開始を発表した

期間限定の同デジタルコレクションカードは、NFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)として発行されるもの。10月21日にリリースした「THE LIFE OF IDOL」の発売を記念したコレクションカードで、第1弾として12月13日23時まで、全15種類の販売となる。今後、第2弾、第3弾も予定。

2014年9月結成の神宿は、UUUM所属の原宿発アイドルユニット。一ノ瀬みか羽島めい羽島みき塩見きら小山ひなの5人組。グループ名の「神宿」は「神宮前」と「原宿」を合わせたものという。

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ブロックチェーンにより管理されたコレクションカードは、同社のFiNANCiEサービス内でコレクション・売買でき、カードのナンバリング(ランダム付与)・保有者名が記載されている。NFTのコレクションカードは現時点でもFiNANCiEアプリ内で売買が可能だが、神宿のコレクションカードを皮切りに、将来はNFTとしてオープンな市場での取引やその他アプリの連携なども視野に入れ、先日リリースされたOpen Contents Token共通仕様「Oct-Pass」に準拠し、システム対応をしていくという。

Oct-Passは、誰でも無償で自由に利用できるオープンなNFT共通仕様で、同社がdouble jump.tokyoCryptoGamesスマートアプリと提携し、異なるアプリケーションやブロックチェーン間でNFTを相互利用するために策定した共通仕様となる。Oct-Passに準拠してNFTメタデータを作成することで、アプリケーション間におけるNFTの相互利用が可能になる。

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フィナンシェが運営するクラウドファンディング「FiNANCiE」は、夢を追う人「オーナー」と夢を支援する人「サポーター」が出会い、一緒に夢を実現していく新しいタイプのSNS。夢を実現したいインフルエンサー・アーティスト・アイドル・スポーツチームがオーナーとなりトークン(FT&NFT)を発行・販売し、夢を支援したいサポーターを募集する。夢の実現に向けて、サポーターと一緒に歩む、新世代のクラウドファンディングサービスとしている。

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電気の生産者や空気の「顔の見える化」で社会をアップデートする「みんな電力」が15億円を調達

電気の生産者や空気の「顔の見える化」で社会をアップデートする「みんな電力」が15億円を調達

電気の生産者や空気の「顔の見える化」で社会をアップデートする、みんな電力は10月26日、プレシリーズCラウンドにおいて、新株予約権付転換社債発行などで総額15億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、ディップのCVCであるDIP Labor Force Solution 投資事業有限責任組合、丸井グループ、日本政策金融公庫など。今回の資金調達により、現在まで累計調達額は約30億円となる。

調達した資金により、みんな電力は、気候変動など地球規模での問題解決に向けて、脱炭素社会の実現に貢献していく。

具体的には、再生可能エネルギー由来の電気の生産者と購入者をつなぎ、CO2削減アクションのひとつでもある「顔のみえる電力」の普及に努めるとともに、脱炭素化社会の実現を目指す様々な企業と積極的に連携することで、再エネ電気の利用を促進。

また、みんな電力独自のブロックチェーン技術を活用したトレーサビリティシステム「ENECTION2020」の書き込み機能の高速化、低コスト化をより一層進めることで、空気、リチウムイオンバッテリー、土、住居など電力以外の領域へ拡大を図り、「顔の見えるライフスタイル」の実現を目指す。

みんな電力は、大手印刷会社で新規事業を担当していた大石英司氏が、再生可能エネルギー事業会社として2011年に設立。2016年に発電者と生活者をつなぐ電力小売りサービス「顔の見える電力」を始めるなど、「納得感を持って選択する」という体験の提供にこだわり、2020年には清潔な空気環境の選択につながる空気環境改善事業「みんなエアー」を開始。今後もソーシャル・アップデート・カンパニーとして、独自のブロックチェーン技術を基盤とした「顔の見えるライフスタイル」の実現を目指す。

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タグ: みんな電力
再生可能エネルギーブロックチェーン資金調達日本

異なるブロックチェーンやアプリ間でNFTを相互利用するための共通仕様「Oct-Pass」を策定開始

異なるブロックチェーンやアプリ間でNFTを相互利用するための共通仕様「Oct-Pass」を策定開始

デジタルトークン活用のブロックチェーンプラットフォーム「GO BASE」を展開するスマートアプリは10月23日、double jump.tokyoCryptoGamesフィナンシェの3社と共同で、異なるアプリケーションやブロックチェーン間でNFTを相互利用するためのOpen Contents Token共通仕様「Oct-Pass」(Oct-Pass metadata format)を策定すると発表した。

Oct-Passは、誰でも無償で自由に利用できるオープンなNFT共通仕様。同仕様準拠のNFTメタデータを作成することで、アプリ間におけるNFTの相互利用が行えるようにするという。これにより、ゲーム、SNS、マーケット、ウォレットなど異なるアプリや、異なるブロックチェーンをまたいで、NFTで世界がつながる「NFTメタバース」を実現する一助となることを目指す。

また4社は、Oct-Pass共通メタデータ仕様 第0版「Oct-0」(Open Contents Token Spec ver.0)を「www.oct-pass.org」で公開。同時に、業界各社やNFT作成者からの意見募集を2020年11月23日まで実施する。意見募集に基づき、第1版「Oct-1」を策定予定。Oct-1は、ブロックチェーンコンテンツ協会などの業界団体に草稿を提案し、2020年内に標準化をおこなうことを目指している。

また、複数のブロックチェーン上でNFTを取り扱うためのAPI仕様「Oct-Pass API spec」β版を2020年内をめどに公開する予定。

異なるブロックチェーンやアプリ間でNFTを相互利用するための共通仕様「Oct-Pass」を策定開始

NFT(Non-Fungible Token)は、イーサリアムの技術規格ERC-721に準拠して発行された非代替性トークン。ERC-721は「所有、譲渡、譲渡の委任」を定義する規格であり、NFTのコンテンツ情報はメタデータで定義されている。

このNFTの課題としては、NFTごとにメタデータフォーマットが異なるため統一した取り扱いが難しい点、NFT作成者やアプリごとに個別に対応するためのシステム開発や調整が必要となっている点があるという。

そこで、NFTメタデータの共通仕様「Oct-Pass metadata format」を定めることで状況を改善し、NFT作成者やアプリでNFTの取り扱いを簡便にすることを目指す。

また、イーサリアムのスケーラビリティやトランザクションフィー(送付手数料)の高騰などによるNFTの流動性不全を解決するために、特定ブロックチェーンに依存せず複数のブロックチェーン上でNFTを取り扱うためのAPI仕様「Oct-Pass API spec」についても提案する。

「Oct-Pass」(Oct-Pass metadata format)

NFTは、特定のプラットフォームに依存することなく、異なるアプリやブロックチェーン環境で表示・利用されることが想定される。この場合、従来のNFTマーケットに対応するためのメタデータだけでは、ライセンスや表示・改変などの許諾、コンテンツごとの性質の表現に対応できないケースが考えられるという。

そのため、Oct-Passでは、basic(NFTの基本的情報。名前、種類、サムネイル画像、発行数など)、contents(NFTのコンテンツ情報と利用や改変に対するライセンス情報)、property(コンテンツの性質などの付随情報)のカテゴリー別にメタデータの共通仕様を定義。ブロックチェーン時代のコンテンツ利用に適したフォーマットを目指す。

Oct-Passに準拠することで、NFTがゲーム、SNS、マーケット、ウォレットなどのアプリやサービスで取り扱いやすくなるとしている。

Oct-Pass API spec

Oct-Pass API specでは、異なるブロックチェーン間でNFTを流通・利用するためのAPI共通仕様を定義。

従来、NFTはイーサリアムなど特定ブロックチェーンの中だけに存在していたが、同仕様に準拠し複数チェーン対応のゲートウェイを実装することで、異なるブロックチェーン上のアプリやサービスでNFTが取り扱いやすくなるとしている。

同API仕様のリファレンス実装として、double jump.tokyo提供のブロックチェーンゲーム開発支援サービス「MCH+」において、NFTマルチチェーンゲートウェイの実証実験を2020年内に開始する予定。

スマートアプリは、暗号資産ウォレットアプリ「GO! WALLET」と、IP・コンテンツ事業者向けブロックチェーンプラットフォームサービス「GO BASE」を運営。ブロックチェーン上で提供されている様々なアプリ・ゲームと、既存IP・コンテンツ事業者とを連携し、ブロックチェーンサービスの経済圏を拡大していくことを目指している。

GO BASEは、「ブロックチェーンサービスの価値を迅速に最大化する」がコンセプトのブロックチェーン事業者向けプラットフォームサービス。特許出願中であるNFT情報の閲覧制限機能も搭載、著作権保護などにも対応した次世代のサービスをスピーディーに事業者に提供するとしている。

double jump.tokyoは、ブロックチェーンゲーム専業開発会社として2018年4月に設立。イーサリアム基盤のブロックチェーンゲームとして取引高・取引量で世界1位を記録した「My Crypto Heroes」、ブロックチェーンゲーム開発支援サービス「MCH+」などを提供。

CryptoGamesは、ウォレット・イーサリアムなしで遊べるブロックチェーンカードゲーム「クリプトスペルズ」などを提供。NFTでカードを発行することでユーザーは所有権が証明され、デジタル上でもアナログカードのように自由に取引できる。

フィナンシェは、ブロックチェーン技術活用のクラウドファンディングサービス「FiNANCiE」を運営。同サービスでは、夢を実現したいインフルエンサー・アーティスト・アイドル・スポーツチームがトークン(FT&NFT)を発行・販売し、夢を支援したいサポーターを募集できる。

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カテゴリー: ブロックチェーン
タグ: EthereumOct-Passブロックチェーン(用語)日本

ブロックチェーンで不動産取引を完全にオンライン化し安全かつ簡潔化するPropyが資金調達

数年前から、ブロックチェーン技術は不動産の売買を証明できる優れた方法として推奨されてきた。どんな不動産であってもだ。そこで起業家たちは、不動産の取引をブロックチェーン上で完結させることができるスタートアップを作ろうと我先にと取り組んできた。

そのような状況で当初から傑出していたのが、Natalia Karayaneva(ナタリア・カラヤネバ)氏が創業したPropyだ。カラヤネバ氏は経験豊富な不動産デベロッパーで、ブロックチェーンの世界に参入している。Propyのもう1人の創業者は、Denitza Tyufekchieva(デニツァ・チュフェクチェワ)氏だ。

Propyはこのほど、ベンチャー投資家のTim Draper(ティム・ドレイパー)氏から資金を調達したが、その額は公表されていない。ドレイパー氏はTeslaやSkype、Twitter、Coindesk、Robinhoodなどへの初期の投資家としてよく知られている。TechCrunchは、今回の投資がこれからも続くり大きな額の資金調達の一環であると考えている。

同社によると、Propyのプラットフォームはブロックチェーンを使用しており、住宅購入体験を簡素化し、詐欺的な取引を排除するというものだ。このアイデアは、従来の不動産取引を完全にオンラインで完結させようというものだ。そのオファー(物件情報)とDocuSignで署名した購入契約、安全な電信送金、権利証書などはすべてオンラインで簡潔する。同社によると、これによって1件につき10時間のペーパーワークが不要になるという。

「Propyにおける私のビジョンは、必要なロジスティクスのすべてがシームレスにバックエンドで行われ、自動運転の不動産取引を世界にもたらすことだ。私たちのプラットフォームは、リアルタイムで取引を観察する端末を提供し、不動産企業や登記企業、 住宅建築企業、購入者そして不動産投資信託企業などのために取引過程を透明化する。今回の新たな投資により、私たちは業界に必要とされる変化をもたらし、消費者を満足させ、世界中の不動産のプロに力を与えることができて、本当に喜ばしい」とカラヤネバ氏は声明で述べている。

ここでは、暗号通貨という奇妙な存在の出番はない。取引のほとんどが、Propy上でドルで行われる。70の銀行に接続された送金システムとの統合により、電子送金を処理することができるため、一般の人でも手にしたその日から利用することができる。

さらにカラヤネバ氏は「私たちは弁護士の代わりになるのではなく、むしろ弁護士の手助けをする。DocuSignを統合することで、彼らはPropy上で書類に署名することができ、すべての関係者に通知が届く。米国では、各エージェントのフォームがPropy上にあるため、それに記入すれば取引において弁護士を必要としない」という。

Propyが企業向けにサービスを提供している点も重要だ。同社のプラットフォームは、リアルタイムの取引報告書と自動化されたコンプライアンスを備えたバックオフィスシステムを不動産企業に提供している。

「Propyはブロックチェーン技術を革新的に利用することで、取引と権利事務を単純化し、より安全にかつ安価なものにし、不動産を変革する可能性を秘めている。詐欺行為を防ぎ、簡潔処理をより安全で効果的、合理化する。」とドレイパー氏はいう。

ある調査によると、ミレニアル世代の1/5は、新型コロナウイルスのパンデミックで在宅時間が増えたため、住宅の購入を検討している(Investment Executive記事)おり、多くの人がPropyのような簡単な取引方法を探している。

Propyには、ブロックチェーンのプロップテック分野に仲間がいる。ShelterZoomは、オフィスやクライアントとのバーチャルでリモートのコラボレーションに利用されるブロックチェーンプラットフォームであり、StreetWireは、不動産業界向けのブロックチェーンを使ったデータサービスだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:不動産ブロックチェーンPropy資金調達

画像クレジット:Propy

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

LayerXが行政機関・中央銀行などと共同研究を手がけるLayerX Labs開設、デジタル通貨・スマートシティなど注力

LayerX Labs デジタル通貨 スマートシティ パブリックブロックチェーン

ブロックチェーン技術など活用した経済活動のデジタル化を推進するLayerXは7月29日、デジタル通貨およびスマートシティ、パブリックブロックチェーンの3領域を研究開発の柱にすえた「LayerX Labs」(レイヤーエックス・ラボ)を開設すると発表した。LayerX Labs所長は中村龍矢氏。

同社は、これまでブロックチェーンの社会実装にむけた研究開発を独自で多く手がけてきており、イーサリアムのプロトコルアップグレードプロジェクト「イーサリアム 2.0」の研究、次世代のプライバシー技術「Zerochain」、「Anonify」(アノニファイ)といったソフトウェア開発に取り組んできた。またブロックチェーン技術を活用した次世代金融取引サービスやアセットマネジメント事業、サプライチェーン分野における取り組みを通じて、様々な知見を蓄積している。

今後、ブロックチェーンの社会実装を推進すべく研究開発を一層発展させる上では、長期的な研究開発領域の柱を明確に据えることに加えて、外部知見を積極的に取り入れることが必要不可欠としている。

行政機関・中央銀行等・学術機関および民間企業との共同研究をさらに進めることを通じて、さらなる社会への適用を加速すべく、2020年8月より「LayerX Labs」を開設すると決定した。

LayerX Labsが本年度取り組むテーマは、「デジタル通貨・決済」、「スマートシティ」(特に、組織やサービスをまたぐデジタル化)、「パブリックブロックチェーン」の3点としている。

LayerX Labsでは、(1)行政機関・中央銀行等・学術機関および民間企業との共同研究、(2)基礎技術研究として学術論文の執筆やオープンソースコミュニティへの貢献(例:Anonify、Cordage)、(3)外部識者を招聘したアドバイザリーボード(仮)の設置、(4)ホワイトペーパーやニュースレターなどを通じた研究成果の発信を行う。

同社は、LayerX Labs設立を通じて、行政機関・中央銀行・学術機関・民間企業と連携しながら、これまで以上にブロックチェーン技術の実用化にむけた研究開発を加速していくとしている。

LayerX Labs所長は、LayerXに創業時より参画している中村龍矢氏。ブロックチェーンの研究開発に従事し、学術論文の執筆やOSS開発を行う。特に、イーサリアムのPoSプロトコル「Casper」コアリサーチャーを務め、改善案や脆弱性を複数提案。世界で初めて査読付き国際学会にてCBC Casperに関する論文を発表。また、ブロックチェーンのシャーディング技術の研究開発を行い、IPA 2020年度未踏IT人材発掘・育成事業に採択されている。

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暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.7.12~18)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年7月12日~18日の情報をまとめた。

デジタル日本円の行方は? 日本における中央銀行デジタル通貨(CBDC)動向

日本銀行の「中央銀行発行デジタル通貨とは何ですか?」によると、一般には、中央銀行デジタル通貨(CBDC。Central Bank Digital Currency)とは「デジタル化されていること」「円などの法定通貨建てであること」「中央銀行の債務として発行されること」の3要素を満たすものという。簡単にいえば、デジタル日本円、デジタル米ドルなどにあたるデジタル通貨と考えて差し支えない。

国内におけるCBDCについて日本銀行は、現時点では発行は未定であるとするも中央銀行がCBDCを発行すべきかどうかは重要な検討課題であるとしている。

2017年9月6日、欧州中央銀行と共同で分散型台帳技術(DLT。Distributed Ledger Technology)に関する調査「プロジェクト・ステラ」による共同調査報告書を公表

2020年1月21日には、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、スウェーデン・リクスバンク、スイス国民銀行、国際決済銀行(BIS)とともに、それぞれの国・地域においてCBDCの活用可能性の評価に関する知見を共有するために、グループを設立したことを報告した

また日本銀行決済機構局は2020年7月2日、「中銀デジタル通貨が現金同等の機能を持つための技術的課題」と称したCBDCにおける課題についてレポートを公開した。レポートでは、CBDCが現金と同等の機能を持つためには、「誰もがいつでも何処でも、安全確実に利用できる決済手段」であることが求められることから、CBDCが多様なユーザーが利用可能になる「ユニバーサル・アクセス」と、通信・電源途絶への耐性を備えたオフライン決済機能等を備える「強靭性」という2つの特性が技術的に実現可能かどうかを検討することが重要なテーマになることを報告している。

7月17日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2020~危機の克服、そして新しい未来へ~」(骨太方針2020)でも、短いながらCBDCの話題が登場した。「中央銀行デジタル通貨については、日本銀行において技術的な検証を狙いとした実証実験を行うなど、各国と連携しつつ検討を行う」としている。

タイ中央銀行がCBDCの実証実験を開始、実際に利用されている企業システムに統合

Facebook(フェイスブック)が支援するLibra(リブラ)プロジェクトへの懸念を皮切りに、中国のデジタル通貨/電子決済(DECP。Digital Currency/Electronic Payment。デジタル人民元)の試験運用などがすでに2020年4月には報じられており、積極的なスタンスを採っている国もある。

タイ中央銀行(BOT。Bank of Thailand)は、研究開発中のCBDCが次の段階へと進み、大手企業間の金融取引にて実証実験を開始した。この実験について、BOT副総裁のバチラ・アロムディー氏が語った説明をタイ英字メディア「The Nation」が7月16日に報じている

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間

BOTは6月18日、CBDCを利用した、企業向け決済システムのプロトタイプ開発プロジェクトを発表している。同プロジェクトは、実現可能性調査の実施に加えて、実際に企業で利用されているシステムにCBDCを統合するようで、バチラ氏の発言はその発表内容について公に語ったものとなっている。

また、バチラ氏は「中央銀行はCBDCの利用を一般向けに拡大することも考えているが、それには包括的な調査をする必要がある」と、課題についても述べている。CBDCが実現できれば金融取引のコストを削減できるだろうと、メリットについても言及。同氏は、中国においてはトークンの形でのデジタル通貨の公共利用は金融システムには影響を与えなかったことを引用し、付け加えている。

BOTのプロジェクトは、セメント・建設資材会社Siam Cementとそのサプライヤーの調達・財務管理システムに、プロトタイプCBDCを統合するという。プロトタイプCBDCは、企業間の資金移動の柔軟性を高め、サプライヤー間でより迅速かつ機動的な決済を実現するなど、企業にとってより高い決済効率を実現する金融イノベーションとして期待されている。同プロジェクトは年内には終了する予定で、その後、BOTはプロジェクト概要と成果を公表する予定。

また、BOTとタイの主要金融機関8社によるCBDC共同研究プロジェクト「Project Inthanon」では、ホールセール(機関投資家・公共機関等大口顧客対象の営業)CBDCを利用した国内ホールセール資金移動の研究・開発を行っている。同プロジェクトは、2019年5月より香港金融管理局(HKMA)とも共同研究を実施。越境決済のプロトタイプを開発し、タイバーツと香港ドルのリアルタイム交換および送金の実現可能性を探ってきた。2020年1月にプロトタイプの完成を報告している。バチラ氏は今回、2020年9月にはBOTと香港金融管理局との取引にCBDCを利用し始めることも明らかにしている。

マネックス証券が暗号資産CFD(差金決済取引)取扱い開始

マネックス証券は7月17日、新たに提供を開始した金融商品サービス暗号資産CFD(差金決済取引)に対応する専用アプリ「MONEX TRADER CRYPTO」のiOS版リリースしたAndroid版は公開済み)。

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同証券の暗号資産CFDは、ビットコイン(BTC)・ビットコインキャッシュ(BCH)・イーサリアム(ETH)・XRP(リップル)の4銘柄、最大2倍のレバレッジ取引が行える。専用アプリは、暗号資産CFDのストリーミング注文や指値・逆指値注文ほか、OCO、IFD、IFOなどの複合注文にも対応している。アプリは、マネックス証券に口座を開設していない場合も暗号資産の相場価格やチャートなどの機能のみ利用可能。

改正金融商品取引法(金商法)の2020年5月1日施行により、暗号資産のデリバティブ取引は金商法の「金融商品」と規定されたため、改正法施行後に暗号資産デリバティブ取引を取り扱うには、金融庁の第一種金融商品取引業ライセンスが必要となった。それに伴い、ライセンス取得済みの証券会社は、暗号資産デリバティブ取引を取り扱うことが可能となった。

マネックス証券は、7月8日より主要ネット証券では初となる暗号資産関連店頭デリバティブ取引の取り扱いを開始した

また、これまで(5月1日以前)暗号資産デリバティブ取引を行ってきた暗号資産交換業者(仮想通貨交換業者)は、第一種金融商品取引業ライセンスがなくとも「みなし金融商品取引業者」として業務を継続できるとした。また、経過措置として改正法施行日以後6ヵ月以内に金融商品取引業の登録申請を行うことで、原則1年6ヵ月間業務を継続できるとしている。ただし経過措置は既存の業務範囲に限られるため、新規の顧客を獲得するといったことはできない。

NFTマーケットプレイス「miime」で、ブロックチェーンゲーム内キャラクター・アイテムが日本円で取引・決済可能に

メタップスアルファは7月14日、ブロックチェーンゲームのキャラクターやアイテムなどNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)をの売買できるマーケットプレイス(取引所)「miime」(ミーム)において、日本円による決済機能を追加したことを発表した

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ブロックチェーンゲームにおけるデジタルアイテム(NFT)は、一般には(ゲーム会社のものではなく)プレイヤーの保有物として設計されており、プレイヤー間で自由に取引できるようになっている。

ただし取引の際、イーサリアム(ETH)など暗号資産を事前に準備しておく必要がある。暗号資産を保有していない新規ユーザーにとってこれが大きなハードルとして存在するとともに、NFT取引市場の発展における課題となっていた。

従来miimeも例外ではなく、取引にはイーサリアムを必要としていたため、その解決に取り組んできたという。

今回miimeでは、クレジットカード(VISA・マスターカード)による決済方法に加えて、グループ会社が運営する送金アプリ「pring」による決済手段を導入。暗号資産を保有していないユーザーもmiimeを介してデジタルアイテム(NFT)の取引を日本円で行えるようになった。

ちなみにNFTとは、イーサリアムのトークン規格ERC-721準拠など、代替不可能性を備えるトークンを指す。NFTは、発行するトークンそれぞれに固有の性質や希少性を持たせられるため、ゲーム内のアイテムやキャラクターをNFTとして設計することで、他と交換不可能(代替不可能)な世界にひとつしかないアイテムやキャラとして表現できる。またそもそもブロックチェーン技術を基盤としているため、NFT保有者(プレイヤー)は、所有権やその移転について、改ざん・偽造が不可能な形で透明性を保ちつつ管理できる。

miimeの場合は、ブロックチェーンと組み合わせたWebアプリケーションとして動作し、ブロックチェーン上において様々な処理を自動化する仕組み「スマートコントラクト」によりデジタルアイテムの売買成立と同時に所有権の移転を実行しているという。

現在miimeは、「My Crypto Heroes」 や「CryptoSpells」など、国内主要ブロックチェーンゲームタイトルのデジタルアイテム(NFT)を中心に、全9タイトルに対応している。今後は、コレクション要素を持ったカードアイテムや、ワイン・アートといった高付加価値商品など、非ゲーム領域におけるデジタルアイテムの売買も視野に事業展開を考えているという。

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NFTおよびNFTマーケットプレイスは、あらゆるデジタルアイテムの所有権売買の取引をユーザー間で行うことを可能にし、将来有望なブロックチェーン技術・サービスのひとつともいわれている。

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