BuzzreachがAPI連携で構築したがん治験情報検索サービスをFWD富士生命と患者に向け提供

BuzzreachがAPI連携で構築したがん治験情報検索サービスをFWD富士生命と患者に向け提供

製薬企業と患者を直接つなぐ治験情報インフラを展開するBuzzreachは10月5日、API連携などにより構築したがん領域(オンコロジー)の治験情報サービスをFWD富士生命保険とがん患者に向け業界で初めて提供すると発表した。2020年11月から開始する。

Buzzreachは、がんに特化したサービスや情報提供を行う患者支援団体、患者会、ウェブメディアやSNSアプリ運営企業との業務提携を実施。API連携で製薬企業などが登録する治験情報を提供し、IT連携することで、より多くのがん患者やその家族に治験情報を届けるスキームを構築し、2020年4月から提供している。

Buzzreach

FWD富士生命では、がんの「治療」だけではなく「生活」もサポートすることをコンセプトにした無解約返戻金型がん保険「FWD がんベスト・ゴールド」を11月2日より発売。また先の連携により、日本全国で実施中のがん治験情報を検索できる業界初のサービス「FWD がん治験情報提供サービス」を商品付帯サービスとして提供する。

現在、がん治療薬は各製薬企業が進める開発品目の中心にある。平成30年度(2018年度)のPmda(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)報告では、全764本の治験届けのうち、343本が抗悪性腫瘍薬となっており、製薬企業と患者双方のニーズが高まっているという。

これまでBuzzreach提供の験情報マッチングプラットフォーム「smt」では、中枢神経系や希少疾患、小児疾患を中心に治験情報を提供してきた。今回の取り組みにより、がん領域の治験情報を新たに加えることで、製薬企業と患者、治験に携わっていない医師などに向け、不足している治験情報ニーズに合わせた情報提供に拡大。同時に、日本初となるがん保険との連携でがんと宣告された被保険者およびその家族に対して、希望のひとつである新たな治療の選択肢を提供できるようになるとした。

BuzzreachがAPI連携で構築したがん治験情報検索サービスをFWD富士生命と患者に向け提供

2017年6月設立のBuzzreachは、治験の様々な課題を解決するSaaSサービス「puzz」、患者(被験者)向け治験情報マッチングプラットフォーム「smt」(エス・エム・ティ)、患者(被験者)向け治験管理・リテンションアプリ「スタディ・コンシェルジュ」を開発・販売。

puzzは、製薬企業やアカデミア、医師主導で行われる治験を含む臨床試験、臨床研究の様々な課題を解決する機能が搭載されたSaaS型の管理システム。治験を筆頭とした臨床試験、臨床研究のフィージビリティ調査、施設選定業務をサポートする機能、プロジェクト(試験)運用・運用管理機能、製薬企業・研究者および医療機関向けの治験情報公開・管理機能を採用。治験情報公開・管理機能では、製薬企業や臨床試験実施機関が主体となり治験を筆頭とした臨床試験情報を登録・公開・管理し、治験を主とした臨床試験情報を必要とする患者や家族に向けて情報を提供、臨床試験実施医療機関の公開およびマッチング、参加申し込みまでをオンラインで完結できる。

smtは、新しい治療法や治療薬の情報を求める患者や家族と、日本にあるすべての臨床試験情報とをウェブ上でマッチングするサービス。患者自身や家族の環境、状況に合った治験情報だけでなく、近隣で、どの医療機関が該当する治験を実施するのかを知ることができる。

Buzzreachは、smtの登録情報とITインフラを活用したsmtAPIサービスを用意。ペイシェントセントリシティ(患者の声を取り入れた医薬品開発)の一環として患者向け治験情報を自社コーポレートサイトに公開したい製薬企業や、患者側の団体(患者会やメディア)などに対して、smt公開情報とインフラを提供できる。治験情報の公開から実施医療機関への応募までワンストップで行えるインフラを整備しているという。

スタディ・コンシェルジュは、治験参加患者に寄り添ったリアルタイムのコミュニケーションにより、治験参加患者の不安を和らげ、効率的に有効データを得ることで治験中止リスクを軽減し、新薬の早期承認を支援する業界初のアプリ。治験参加患者の治験薬の服薬忘れや飲みすぎを防ぎ、治験コーディネーター(Clinical Research Coordinator。CRC)のサポート的な役割を担う。

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医療用画像向け機械学習ツールと遺伝子配列解析のSOPHIA GENETICSが日立ベンチャーズなどから約116億円を調達

SOPHIA GENETICSというスタートアップが、1億1000万ドル(約116億円)の資金を新たに調達した。このスタートアップは、医療画像の解析ための機械学習ツールと遺伝子配列決定を組み合わせ、より良い患者ケアのために、より包括的な病気の見方を考え出す。

同社のシリーズFラウンドは、イスラエルのヘルスケア・ライフサイエンス投資ファンドのaMoonと、日立グループの投資部門である日立ベンチャーズがリードした。

Credit Suisse(クレディ・スイス)やPictet Group(ピクテ・グループ)などの金融サービス会社のほか、Swisscom Ventures(スイスコム・ベンチャーズ)、, Endeavour Vision(エンデバー・ビジョン)、Generation Investment Management(ジェネレーション・インベストメント・マネジメント)、 Eurazeo Growth(ユーラゼオ・グロース)などの既存投資家も資金調達に参加している。

同社の技術は、複数の医療データのソースを使用して、病気が体内でどのように広がるかについての新しい洞察を導き出し、ケアを調整するためのより良い方法を提供する。声明によると、ボストンとスイスのローザンヌに拠点を置く同社の技術は、現在1000以上の医療機関で使用されており、60万件のゲノムプロファイルを分析した実績があるという。

同社の目標は、より良い患者ケアにある。声明によると、今回の新たな資金調達は、米国とアジア市場での事業拡大に充てられる。

また、同社は株式公開の準備を進めているようだ。化学分析機器・電子計測機器大手Agilentの前最高財務責任者であるDidier Hirsch(ディディエ・ハーシュを)氏を取締役会に加え、監査委員会を設置した。もちろんIPOに向けた足固め人事だ。

「SOPHIAの分散型モデルは、医療機関がより良い患者ケアを提供できるようにする上で重要な役割を果たすと考えています」とaMoonのパートナー兼CFOのTomer Berkovitz(トマー・ベルコヴィッツ)氏は声明で述べている。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

眼科遠隔診療サービス提供のMITAS Medicalが資金調達、チーム強化やデバイス・AI開発加速

眼科遠隔診療サービス提供のMITAS Medicalが資金調達、チーム強化やデバイス・AI開発加速

眼科診療サービスを提供するMITAS Medicalは10月1日、資金調達の実施を発表した。引受先はタカギセイコー。

今回の調達により、チーム強化、診療の幅をさらに広げる新たなPOC(Point of Care。ポイント オブ ケア)デバイスの開発、AI開発のさらなる加速を行う。POCとは、病院の検査室・検査センター以外の場所で実施する臨床検査を指す。患者が病院などに検査を受けに行くのではなく、患者の近くで検査を行うことで検査結果を即座に医師が判断し、迅速な処置を施せるというもの。

同社は「これのおかげで失明せずに済んだ」といってもらえる仕組みを世界中に届けることを目標に、今後も邁進するとしている。

MITAS Medicalは、「医療が届かないところに医療を届ける」というミッションのもと、眼科医以外の方でも診察に必要なクオリティの眼画像を簡単に撮影できるスマートフォン接続型眼科診療機器「MS1」タカギセイコーと共同開発し、現在80ヵ国で販売を開始している。

眼科遠隔診療サービス提供のMITAS Medicalが資金調達、チーム強化やデバイス・AI開発加速

また、このMS1をMITAS Medicalが開発した専用アプリケーションと組み合わせて利用することで、眼科診療の経験がない方でも必要な問診・眼画像などを使用し、遠隔で眼科医に相談することを可能にした。

このサービスは Dr. to Dr. 診療支援システムとして、眼科疾患の予防・早期発見・早期治療へ貢献している。

これまでの活動例としては、眼科医療の領域で課題を抱える新興国で活動。

モンゴルでは、2019年10月からモンゴル国立医科大学と保健省の支援の下、西部のある州の全診療所にMS1と専用スマホアプリを配布し、各診療所から州中心部の眼科医とつなぐ遠隔診療サービスを導入した。

月に100件以上の症例がMS1の遠隔診療システムを介して診療され、実際に緑内障発作による失明を未然に防ぐなど、その医学的・社会的必要性を再確認できたという。モンゴルの公共衛生に貢献するとともに、遠隔診療システムのオペレーションを円滑にまわすノウハウや、AI診断を可能にするためのデータ蓄積など数多くの成果を得ているとした。

カンボジアにおいては、首都プノンペンにある外資系総合病院にて、MITASの遠隔診療サービスが採択され、2020年1月から運用を開始した。

眼科遠隔診療サービス提供のMITAS Medicalが資金調達、チーム強化やデバイス・AI開発加速

昨今のCOVID-19の拡大に伴い、非接触診療のニーズが高まっており、国内において遠隔診療の法規制が緩和されるなどの様々な環境変化に合わせ、国内事業も開始している。

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タグ:MITAS Medical、タカギセイコー、遠隔医療資金調達人工知能・AI、ポイント オブ ケア

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米食品医薬品局承認の減量製品Plenityを誰もが利用できるように市販するオンライン薬局Roの挑戦

遠隔医療処方を提供するスタートアップRo(ロー)の重要な新事業の開発の第一歩となる可能性があるものとして、ついに減量製品Plenity(プレニティ)の一般的な商業利用可能性を発表した。

胃腸障害の治療薬を作るバイオテクノロジー企業のGelesisによって開発されたPlentiyは、クエン酸とセルロースを使用して無毒のペーストを作成し、摂取後に満腹感を感じるようにする減量治療薬だ。食事の前に服用するとピル(錠剤)が膨張して胃の約25%を占める物質になるので、人々はより少ない量で満腹感を得られる。

この製品は、米国食品医薬品局(FDA)によってすで承認されており、ほかの減量製品よりもはるかに幅広い層の人々が利用できるようになっている。ほとんどの処方薬は肥満の人々向けに想定されており、Gelesis製品も太りすぎている人々のために作られている。

Gelesisの最高経営責任者兼執行役員であるDavid Pass(デビッド・パス)氏によると「対象者はBMIが25〜40の1億5000万人の米国人の大人です」と説明する。

Plenityは昨年4月にFDAの承認を受け、GelesisはすぐそのあとRoと共同作業を開始した。アイデアは、医療機器と薬物ではなく、分類されている治療を得られる戦略を作ることだった。できるだけ早く多くの患者の手に届けるために。

Roの場合は、Gelesisとの契約は、来るべき潜在的なものの兆候です。同社は、プレニティ治療の排他的なオンラインプロバイダーであり、Roの創業者のZachariah Reitano(ザッカライア・ライターノ)氏は、信じられないほどの可能性があることを言ったこれらの種類の取引の多くに従事する。

RoにとってGelesisとの合意は、将来の事業展開の可能性を示すものだ。同社はPlenity治療の独占オンラインプロバイダーであり、Ro創設者のZachariah Reitano(ザッカライア・ライターノ)氏は、「これらのタイプの取引にもっと関与することについて、信じられないほどの高い確率があります」と語る。

「製薬会社と提携して流通コストを削減したいと思っています。私たちは、体重管理のためのエキサイティングな治療ソリューションを構築することに興奮していました。私たちのハイレベルな使命は、患者さんからのファーストコールになることです」と続けた。

「Gelesisとの提携により、Roに非常に望ましい治療法を追加することができます。一方で、すでに治療楽を提供しているほかの疾患の重症度を高める要因にもなり得えます」とライターノ氏。

同氏は「現在、当社が治療している疾患の中には、太りすぎや肥満によって症状が悪化するものがいくつかあります。体重管理に苦労している人にもEDが発生します。肥満は心不全や脳卒中、冠動脈性心疾患、低血圧、うつ病につながる可能性があります」と説明する。「対象者の幅の広さは興味深いです。FDAが承認したのはBMIが25から40までですが、FDAが承認した治療対象は30から40の間でした。この承認により、治療をより多くの人々の、より多くの疾患を持つ人々は利用可能になります」とのこと。

Roは、治療の唯一のオンラインプロバイダーとして摂食障害に苦しむ人々がPlenity治療を乱用しいないことを確認するために、オンボーディングプロセスを開発した。「私たちのオンボーディングでは、患者さんに体重管理について質問するだけではありません。画像をアップロードして、プロバイダーと一緒に撮影しなければならない連続した作業を伴います。これは私たちが時間とエネルギーをかけて確認してきたことです」と同氏。

Roが提供している他の治療法と同様にPlenityも現金払いの処方箋薬だ。「減量治療は通常保険でカバーされない」とのこと。Roのようなオンライン薬局と協力して新しい治療法の流通を提供することの利点は、両方のスタートアップにとって明らかだ。

「私たちは、消費者を私たちがすることすべての中心に置くことによって、この市場をその頭の上にひっくり返しました」とGelesisのパス氏は説明する。同氏によると、この治療法のコストは月98ドル(約1000円)で、他の治療法やブランド薬が月300ドル(約3150円)や350ドル(約3600円)になる可能性があるのと比較しても治療法のコストは高いという。

「私たちは消費者を私たちの活動の中心に据えることでこの市場をひっくり返しました」とパス氏。同氏によると、他の治療法やブランド医薬品が月に300ドル(約3150円)から350ドル(約3600円)かかるのに対し、この治療法は月に98ドル(約1000円)という。

Gelesisが薬の価格を下げることができる1つの理由は、それを売るためにに大規模な販売力を必要としない点が挙げられる。同社はそのためにRoと連携している。「通常、製薬会社は営業部隊を雇って戸別訪問をしなければならず、それは新薬のコストを増加させます。RoはPlenityのような新しく革新的な治療法を全国で利用できる展開できます」とライターノ氏は締めくくった。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

美容クリニックにテックスタートアップの方法論を持ち込むSISU、施術価格の透明化やオンライン即時評価などを提供

最近では多くの人が、肌のたるみやシワの補正するためにボトックスやフィラー(注入)治療を顔に受けるようになっている。新型コロナウイルスの感染蔓延でその傾向はさらに強まったかもしれない。ベンチャーキャピタルがこの分野に目を向けるのも不思議ではない。小規模で散在していた眼鏡店の市場がWarby Parker(ワービー・パーカー)のようなスタートアップによって壊滅的な打撃を受けたのと同じように、裏通りの美容クリニックの非常に変化に富んだ経験がいま投資のターゲットになりつつある。

SISUは、この比較的未開拓の世界にテックスタートアップの方法論を持ち込んだ美容クリニックのチェーンだ。同社は現在、GreycroftとBullpen Capitalが率いるシリーズAラウンドで550万ドル(約58億円)を調達している。このラウンドには、PCHの創設者兼CEOであるLiam Casey(リアム・ケイシー)氏、Voxproの共同創設者であるDan & Linda Kiely(ダン&リンダ・キーリー)氏などのエンジェル投資家とともに、Mana VenturesとGaingels Syndicateも参加した。

今回調達した資金は、米国の美容クリニック市場に参入し、唇、あご、目の下、頬、眉などの「顔の特徴」の施術価格を標準化するために使用される。また、シワ除去注射、真皮や顔のフィラー(ヒアルロン酸などの注入)、レーザー、歯のホワイトニングなどの治療も提供する予定だ。いうなれば、Face as a Services(サービスとしての顔)、FaaS事業を展開している。

SISUによると、ボトックスの利用者は単位ごとに課金されるが、多くの場合は結果に関係なく最大本数が販売されることが多いという。SISUは、患者の希望価格を設定するだけで、ウェブサイトには「オンラインでの即時評価」と「デジタル予約」の機能を用意する。

同社は米国でeコマースプラットフォームを立ち上げ、東海岸では20施設の美容クリニックの開設を計画している。アイルランドではすでに8つのクリニックを展開済みだ。

創業者自らが「美容治療のためのOne Medical」と呼ぶSISUは、Dr. James Cotter(ジェームズ・コッター博士)、Dr. Brian Cotter(ブライアン・コッター博士)、アイルランドの起業家であるPat Phelan(パット・フェラン)氏によって率いられており、以前は通信市場で名を馳せていた。フェラン氏は、米国の消費者信用調査会社のTransUnionに2015年に4400万ドル(約46億4200万円)で売却したオンライン本人確認技術を擁するTrustevと、2012年に売却したモバイル接続管理技術をCubic Telecomの両方を設立した人物だ。

彼らは大きな市場に参入している。一部の推計によると「美容医療」市場は2023年までに145億ドル(1兆5300億円)に達すると予測されている。

画像クレジット:Blackrock Clinic

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ユニリーバがメンタルヘルスアプリ「eQuoo」を世界の若者向けキャンペーンに採用

2019年12月(そう、昔のことだ)、英国拠点のメンタルヘルススタートアップであるeQuooは一連の発表を行い、NHS(国民健康保険)公認のメンタルヘルスゲームになったこと、およびドイツ最大の保険会社であるBarmer(バールメール)などを顧客として獲得したことを明らかにした。

このほど同アプリは、Unilever(ユニリーバ)が世界中の若者のメンタルヘルスをターゲットにした新しい世界プロジェクトのメンタルヘルスアプリに選ばれた。これに先がけUnileverのPeople Data Centre(PDC)は、Google Play Store(グーグル・プレイストア)上の全メンタルヘルスゲームの中から、科学研究に基づく数少ないアプリの1つとしてeQuooを選んでいる。eQuooアプリを採用したUnilieverの新しいブランドキャンペーンは、18~35歳の7万人以上を対象に展開される。

「eQuooは重要なスキルを楽しく魅力的に教えてくれる」とUnileverのグローバルPDC検索・ソーシャル・アナリストであるJanelle Tomayo(ジャネル・トマヨ)氏はいう。「このゲームは架空の人物を使って困難な状況を経験しながら優れたコミュニケーターになる方法を教えるもので、スキルや物語は現在の心理学研究の実験と経験に基づいています」。

eQuooのファウンダーでCEOのSilja Litvin(シルヤ・リトヴィン)氏は、「若者の3人に1人が不安障害を経験し、成人生活を送る前に多くの人たちを傷つけたり害を与えたりしている。eQuooとUnileverは力を合わせて、何千人もの人たちに現代世界のプレッシャーを生き抜くパーソナルレジリエンス(復元力)を身に付けさせようとしている」。

eQuooを開発したPsycAppsは、ゲーミフィケーション、認知行動療法(CBT)、ポジティブ心理学、AIなどを利用して心の病を治療するメンタルヘルスのスタートアップだ。同社は医療アプリ評価プラットフォームとして定評のあるORCHAで最高得点を獲得したほか、データバンクのGP EMISでも入手できる。これは英国の医師が患者の精神的健康と幸福感を増進するためにeQuooを正式に紹介できるようになったことを意味している。

メンタルヘルス志向ゲーム、アプリの市場はかなり広がってきている。AKILIは、子供向けADHD(多動性障害)ゲームとして初めてFDA(食品医薬品局)の認証を得た。2020年6月に欧州医薬品庁は、ビデオゲームを用いて症状の根底にある原因を治療するAkiliのデジタルセラピーをADHD患者向けに認定した。また欧州委員会(EU)はEndeavorRxというゲームにCEマークを付与し、欧州での販売を許可した。

関連記事:メンタルヘルスのスタートアップeQuooのアプリが英国国保公認に

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タグ:eQuoo Unilever

画像クレジット:eQuoo game / eQuoo game

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

バイオテックや医薬品研究のコラボサービス「Within3」が105億円以上を調達

バイオテクノロジーや製薬業界のためのコラボレーションとコミュニケーションのサービスを提供しているオハイオ州レイクウッドのWithin3が、新たに1億ドル(約105億円)以上を調達したと発表した。

今回の資金調達はInsight Partnersによるもので、Silversmith Capital Partnersも参加した。

Within3の発表によると、トップ20に入る製薬会社の大半が同社のサービスを利用して臨床研究の公開や諮問委員会の開催、研究者や医薬品開発関係者との共同作業をしているという。

Within3は、今回調達した資金で製品開発を進め機能を増やして成長を支えると述べている。

Insight PartnersのマネージングディレクターであるDeven Parekh(デビン・パリク)氏は発表の中で「Within3のような企業に投資をする機会はなかなかめぐってこない。同社はこの12四半期で爆発的な成長を見せ、毎月記録を更新し続けている。世界中のライフサイエンスのエコシステムで共同作業、コミュニケーション、協力がますます不可欠になっている現在、我々は戦略的な専門知識を提供してWithin3の成長を支援することとなり、たいへん喜んでいる」と述べた。

今回の資金調達の結果、パリク氏のほか、Insight PartnersのマネージングディレクターであるAdam Berger(アダム・ベルガー)氏とRoss Devor(ロス・デボー)氏がWithin3の取締役になる。

新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大によって、さまざまな業界でバーチャルコラボレーションツールを求める企業が増えている。製薬やバイオテクノロジーの企業も例外ではない。

むしろ規制による要件があるため、製薬やバイオテクノロジー業界の厳しいニーズに合わせて設計された専用のツールキットが多額の資金を調達したことは納得できる。

Within3は150カ国以上で使われていることを誇る。

同社CEOのLance Hill(ランス・ヒル)氏は発表の中で「我が社のソリューションに対する世界的な需要は空前の勢いで高まっている。ライフサイエンス企業は、従来の直接のやり取りによるエンゲージメントのレベルを超え、コンプライアンスのニーズをすべて満たし、全社にスケールできるバーチャルワークのソリューションを求めている。そうした企業は、望むソリューションをWithin3に見つけた」と述べた。

カテゴリー:ヘルステック

タグ:Within3 資金調達

画像クレジット:Eugeneonline / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

首輪型猫用バイオロギングデバイス「Catlog」がのべ約3億件の行動データ蓄積、水飲みラベルの実装も予定

RABOは9月25日、首輪型猫用バイオロギングデバイスCatlog(キャトログ)の販売開始およびリリースから1周年を迎え、Catlogが保有する猫の行動データがのべ約3億件を突破したことを明らかにした。これら行動データを基に近日中に7つ目となる新しい行動ラベル「水飲み」を追加することも明らかになった。

同製品は、加速度センサーをはじめとする各種センサーを内蔵し、現在3000匹の猫で利用されている。同社ではセンサーが取得した数字をAIが解析することで、現在の猫の状態を把握している。

具体的には、寝ているのか、歩いているのか、走っているのか、くつろいでいるのか、毛繕いしているのか、食事をしているのかの6種類の猫の行動を、専用のスマホアプリで遠隔から確認できるのが特徴だ。

首輪(ペンダント)とは別料金となるが、利用スタイルに応じて月額無料と有料のプランを用意。無料プランは、今日の猫、前日のみ猫日誌、当日を含む週のみ猫グラフのデータを閲覧できるのみ。有料プランは、「みまもりプラン」の月額380円と「親バカプラン」の月額580円を2種類を用意している。みまもりプランで参照できるデータは無料プランと同じだが、付加機能として「飼い主追加」機能を利用可能だ。親バカプランでは、参照できるデータが無制限となる。

付加機能については、現在は両プランとも飼い主追加機能しか利用できないが、近日中にみまもりプランでは「行動ラベル」、親バカプランではそれに加えて「他猫比較機能」が搭載される予定だ。ちなみに有料プラン加入者の88%は親バカプランを選んでいるとのこと。

また同社では1周年を記念し、「猫鈴ゴールド」「キトンブルー」のペンダントに加え、「黑猫ブラック」「白猫ホワイト」の2つの新色を投入。本日より公式ストアでの予約販売を開始する。ペンダントの通常価格は税別1万4800円。初回購入のみとなるが、月額有料プラン「猫バカプラン」の継続加入を条件として税別9800円で購入することも可能だ。

なお同社はアニコムグループとの共同研究などで、病気が疑われるような行動(痒み、嘔吐、けいれん、長期的な活動量の低下など)を検出するための機能開発も進めている。将来的には、未病レベルの行動を検知・通知する「次世代の疾病予測モデルの確立」を目指すという。

生産性と睡眠を向上させるパーソナルな「音環境」を生み出すEndelが5.3億円調達

ベルリンに拠点を置くEndel(エンデル)の売り文句は単刀直入だと、共同創設者でCEOのOleg Stavitsky(オレグ・スタビッツキー)氏は言う。

「私はEndelを説明するとき、いつもこう言います。これは集中とリラックスと睡眠を助けるテクノロジーですと」と。「もちろん、実際にやっていることは、もうちょっと複雑ですが」と同氏。

このスタートアップは米国時間9月23日、500万ドル(約5億3000万円)のシリーズA投資を獲得したことを発表した。主導したのはTrue VenturesKevin Rose(ケビン・ローズ)氏。そこに、SleepScore Ventures、Techstars Ventures(EndelはTechstars Music Acceleratorに参加していた)、Impulse Ventures、Plus 8 Equity Partners、Waverley Capital、Amazon Alexa Fund、Target Global、その他さまざまな投資家が参加している。

同社のメンバーは子供向けアプリの会社Bubl(バブル)でともに働いていた仲間だとスタビッツキー氏は教えてくれた。Bublを売却した後、彼らはサウンド関連の仕事を探し始めたのだが、やがて「睡眠や集中力、さらには成長などを助けるようデザインされた、マインドフルネスアプリのプレイリストが伸びていることを知った」とスタビッツキー氏は言う。

「仕事を始めた当初は、環境音楽を生成する機械を作ろうと考えていました」と彼は振り返る。しかしリサーチを進めると「パーソナルなものでないとダメだ。ひとつの曲や、ひとつのプレイリストや、ひとつの音風景では実現しない。それは、自分だけの宇宙に強く依存するからだ」と気付いたそうだ。

そしてそれが、Endelの製品となった。彼らのテクノロジーであるEndel Pacific(エンデル・パシフィック)が作り出す「音環境」は、集中、睡眠、リラックスをしたいとき、または外に出かけるときであっても、それぞれの人に応じてデザインされる。この環境は、時刻や天気、またはユーザーの心拍数や動作などによって、部分的に変化する。

画像クレジット:Endel

ローズ氏は、「リアルタイムのフィードバックを利用して、肉体を非常にポジティブな方向にコントロールし変化させる、閉ループシステムというアイデア」に興奮を覚えたという。そしてEndelは「科学に裏打ちされている」と強調する。

Endelのアプローチは、いくつかの科学分野から引き出されている」とスタビッツキー氏。概日リズム(毎日の睡眠周期の中の今どこにいるかを把握)、ペンタトニック音階(心地よいサウンド)、サウンドマスキング(気が散る音を小さくする)に関する研究だ。

このアプローチを支える科学の検証を強化するために同社はパートナー企業と協力しているが、すでにxフローの概念を提唱し関連本も執筆している心理学者であるMihaly Csikszentmihalyi(ミハイ・チクセントミハイ)氏が開発した経験サンプリング法を用いて、その音環境が集中力を6.3倍高め、不安を3.6倍鎮めることを確認できているという。

私も試してみた。昨日仕事中にEndelがミキシングした心地よい音楽とホワイトノイズを聞いた。もちろん、この原稿を書きながらも聞いている。活力や集中力が即座に、また劇的に高まった感じがしたとは言えない。しかし、時が経ち、いつもより長い時間、気が散ったり疲れたりせずに仕事が続けられていたことに気がついた。

EndelのCEOを務めるオレグ・スタビッツキー氏

Endelは、iOS、Apple Watch、macOS、Amazon Alexa、Android用にアプリをリリースしている。ダウンロードは200万回近くに達する。サブスクリプションの料金は1年で49.99ドル(約5300円)だ。

スタビッツキー氏はまた、例えば日本の全日空と協力してこの技術を飛行機に応用するといった大規模な事業にも着手していると話している。さらに自動車メーカーやスマートスピーカーのメーカーとの提携も考えているという。

さらに、歌やアルバムをアルゴリズムで制作するために、Warner Music(ワーナー・ミュージック)との契約(The Verge記事)に署名した。スタビッツキー氏は、ミュージシャンとの協力も望んでいる。彼らが新しいアルバムをリリースするとき、従来型のアルバムと同時に「仕事をしたり眠りたいときの音風景として使える機能性と適用性のあるアルバム」も同時に出せるようにとの考えだ。

「大きな展望としては、最終的にはサウンドを超えることです」と彼は言う。その手始めに、今年末からApple TV用アプリとして動画も取り入れる。

Endelは、現在までに合計710万ドル(約7億5000万円)を調達している。

関連記事:Kevin Rose on health apps, crypto and how founders get through this time with their sanity intact(未訳記事)

画像クレジット:Jasper James  / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

AI搭載のフィットネスアプリ開発するドイツ拠点のFreeleticsが約26億円を調達、身体と精神の健康をAIがコーチング

AIを搭載したフィットネスコーチングアプリを開発するFreeletics(フリーレティックス)が、シリーズBの資金調達を2500万ドル(約26億円)で締めくくった。このラウンドをリードしたのは、米国を拠点とするJAZZ Venture PartnersとCauseway Media Partnersで、石油・ガス事業などを手掛けるKKCGグループの支援も受けている。

今回の調達は、2018年後半に実施されたシリーズAの4500万ドル(約47億円)に続くもの(未訳記事)となる。調達した資金は、新技術の開発、グローバル展開のさらなる拡大、新事業の垂直展開のために投下される。

2013年にドイツのミュンヘンで設立され、ヨーロッパでサービスが定着しているFreeleticsは、シリーズA以降、米国上陸を着実に進めてきた。資金調達前は、見事なまでにブートストラップ(資金調達)で運営していたほどだ。同社のミッションは「精神的にも肉体的にも最高の自分になるために人々に挑戦し、インスピレーションを与えること」。

Freeleticsアプリは、AIを使ったフィットネスとマインドセットコーチングを提供しており、160カ国以上で4800万人のユーザーが使っている。ヨーロッパでは、60万人以上の有料会員数を獲得しており、域内ナンバーワンのフィットネスアプリであると主張している。「ポケットの中のパーソナルトレーナー」は、いつでもどこでも個人に合わせたトレーニングプランやワークアウトでトレーニングを支援してくれるのが特徴だ。そのアルゴリズムは、アプリの何百万人ものユーザーと、そのユーザーが提供する個別のフィードバックから学習し、異なるコンテキストで異なるユーザーに合わせて独自に設計された「スマート」なトレーニング・ジャーニー(トレーニングの旅)の開発が目標になっている。

JAZZ Venture PartnersのマネージングパートナーであるJohn Spinale(ジョン・スピナール)氏は「米国では比較的新しいプレイヤーですが、Freeleticsはホームフィットネスの世界的リーダーであり、米国市場における新型コロナウイルスの感染蔓延後の未来に向けてフィットネス業界をリードし続けるための完璧なポジションにあると確信しています」と述べている。「非パーソナライズされたフィットネスストリーミング動画があふれる中、Freeleticsは、精神的なものであれ肉体的なものであれ、パフォーマンスとウェルビーイングのあらゆる側面に対応する洗練され、適応性の高いパーソナルコーチを提供しています。これは、まだこれからの時代に何が起こるかを示す有望な兆候です」と続けた。

FreeleticsのCEOであるDaniel Sobhani(ダニエル・ソバニ)氏は、「Freeleticsは誰にでも、自分の条件で目標を達成するための適切な計画と達成方法を提供し、最終的には長期的な行動変容につなげて、一生そのライフスタイルをリードし続けることができるようにしたいと考えています」と説明する。「この30年間、フィットネス業界が伝えてきたことすべてが人々を成功に導いてきたわけではありません。そして、フィットネスの目標は単に体重を減らすことだけではありません。ゴールがどのようなものであれ、私たちは最も効率的で、持続可能で、楽しい方法で人々をそこに導きたいと考えています」と続けた。

ソバニ氏によると、FreeleticsのAIは「超パーソナライズされた」フィットネスコーチングを提供し、マインドセットトレーニングと組み合わせて、より包括的な体験を提供しているという。「AIを搭載したコーチは、ユーザー一人ひとりに最適なワークアウトをキュレーションするので、常に効率的かつ効果的で、目標に向かって取り組みやすくなります」とのこと。

「私たちがパーソナライゼーションに力を入れているのは、健康とフィットネスに関しては、最終的にはワンサイズフィットのソリューションは存在しないからです。私たちはこの技術と製品への取り組みを組み合わせることで、時間、スペース、機器、知識、お金、自信など、定期的にワークアウトする際に人々が直面する日常的なハードルを減らすことができます」と同氏。

同社が狙っているのは「いつ、どのように、どこで、どのようにワークアウトするか」という点で、自分の好みの条件でワークアウトできるようにするというものだ。トレーニングプランの各日について、AIコーチは350万種類の選択肢の中から内容を選ぶ。例えば、都会の小さなアパートで隣人の邪魔にならないような、器具を使わない静かなワークアウトプランがいいかもしれない。あるいは、15分で済むものがいいかもしれない。あるいは、ウェイトを持ち上げたい場合もあるだろう。Freeleticsは、これらのさまざまな基準に基づいて、最適なフィットネスを提案できるのが強みだ。

「最後の仕上げとして、このパーソナライズされたトレーニング体験を、精神的要素であるオーディオコーチングと組み合わせています。オーディオコーチングは、トレーニングを実施して、モチベーションを高め、経験全体にマインドフルネスをもたらすことを目的としています」とソバニ氏。「このマインドセットのコーチングは、ユーザーが健康的な習慣を身につけ、トレニーングの旅をより深く理解するのを助けることを目的に、ライフスタイルを生涯にわたって改善するための持続可能な基盤を構築します」と続けた。

一方、Freeleticsは古典的なフリーミアムモデルも運営している。アプリのダウンロードと使用はある程度無料で、より個人的なコーチングを受ける際に購読料を支払う必要がある。このモデルでは、トレーニング、栄養学、マインドセットコーチングを組み合わせたさまざまなオプションを、1カ月から12カ月までの購読期間で提供している。

「ユーザーは週に1杯のコーヒーよりも安い価格でデジタルパーソナルコーチからの指導を受けられるので、ジムでのパーソナルトレーナーの費用と比較すると魅力的なオプションです。さらにこのアプリは、ジムの会員権や機器など、ワークアウトに関連するその他の金銭的なハードルを取り除くためにも機能します。昨年1年間で有料会員数を2倍の60万人以上に増やすことができましたが、これは類似の会社を見れば、業界基準になると言えるでしょう」と締めくくった。

画像クレジット: Freeletics

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(翻訳:TechCrunch Japan)

千葉大学医学部附属病院とTISが共同開発したクラウド型地域医療連携サービス「ヘルスケアパスポート」を公開

千葉大学医学部附属病院とTISが共同開発したクラウド型地域医療連携サービス「ヘルスケアパスポート」を提供開始

千葉大学医学部附属病院は9月23日、TISと共同開発したクラウド型地域医療連携サービス「ヘルスケアパスポート」の提供を発表した。9月28日からアプリを配布し運用を開始する。2018年10月から運用停止していた健康管理&情報共有システム「SHACHI」(Social Health Assist CHIba)をリニューアルしたもの。

ヘルスケアパスポートの本格運用は令和3年(2021年)4月としており、今後電子お薬手帳システムやクラウド型電子カルテシステムなど既存システムとの連携(API連携)を順次進めていく予定。

ヘルスケアパスポートは、地域医療情報連携システムに参加する医療機関同士で生活者の医療・健康情報の共有や、それに伴う患者からの情報提供の同意や利用停止の申請などが電子的に処理できるクラウドサービス。

従来の個別システム構築型ではなくSaaS型(サービス利用型)のため、地域医療情報連携に必要な基本機能は独自に構築・運用する必要がなく、システムに関する導入・運用・保守コストを削減可能。投資負担が課題であった中小医療圏でも導入しやすいことを意図しており、地域の中核病院や、小さな自治体などでのスモールスタートが可能という。

千葉大学医学部附属病院とTISが共同開発したクラウド型地域医療連携サービス「ヘルスケアパスポート」を提供開始

また患者および家族側は、情報提供の同意を施設単位で電子的に行う電子オプトイン(スマホなどを利用した電子的な同意)機能が利用できるようにしており、紙の同意書への署名・提出が不要となる。承認された医療・健康情報は、医療従事者間で共有され、医療従事者は他の医療機関の検診結果・健康情報を把握し、適切な治療や健康増進のアドバイスを行いやすくなるという。同時に医療機関側では、紙の処理業務の事務負担が軽減され、要配慮個人情報を法令順守しつスピーディに情報連携できる。

千葉大学医学部附属病院とTISが共同開発したクラウド型地域医療連携サービス「ヘルスケアパスポート」を提供開始

千葉大学医学部附属病院とTISが共同開発したクラウド型地域医療連携サービス「ヘルスケアパスポート」を提供開始

さらに、厚生労働省により定められている医療機関データの蓄積・管理の標準的な交換フォーマットであるSS-MIX2標準化ストレージに準拠しており、一般的な医療システムとの接続性も確保しているという。

地域医療における情報連携は、この10年余りで取り組みが進み、全国に300件近くの地域医療情報連携システムが構築されているという。しかし、地域の生活者が利用メリットを実感できる機会は少なく、その参加率が伸び悩んでいる状況にある。また従来の個別構築型では、構築・運営にかかるコスト、地域の人材への負荷が大きく、継続性にも課題がある。

ヘルスケアパスポートを活用することで、従来の地域医療情報連携システムでは実現が難しかった「医療従事者間、医療従事者と生活者の医療・健康情報共有」「患者による情報共有の承認」を低コストで、安全なサービスとして利用でき、持続可能な地域医療情報連携の実現を目指すとしている。

大麻栽培者の規制上のデータ入力をRFIDスキャナーとBluetooth対応の測量器で容易にすることを目指すCanix

工業規模で大麻を栽培するには、コンプライアンス法を遵守しながら利益を管理する必要がある。大小を問わず、多くの生産者にとって、これは種から販売までのデータ入力の継続的な作業となっているのだ。

Canix(カニックス)のソリューションは、データ入力にかかる時間を短縮することに重点を置いた、堅牢なERP(エンタープライズリソースプランニング)プラットフォームだ。このプラットフォームは、RFIDスキャナーとBluetooth対応の測量器を使用することで、一般的な会計ソフトや業界全体の規制プラットフォームであるMetrcとうまく統合されている。

Canixは2019年6月にローンチし、新型コロナウイルスの感染拡大のありながら、1年ちょっとで1000以上の栽培施設にまたがる300社以上の顧客を獲得し、250万本の植物の動きを追跡している。

創業者は、このソフトウェアの目標である人件費の削減を率直に語っている。TechCrunchとのインタビューの中で「人件費を改善することで生産者がどのようにして利益を上げることができるか」を力説していた。

生産者は一般的に、作物の追跡と予測を行うためにERPプラットフォームに頼っているが、Canixは会社のコンプライアンスを維持しながら、請求書の発行、原価計算、レポートを処理する。現在の在庫を監視するだけでなく、予測機能も備えている、植物のクローンだけから始めて、これらの予測機能は、生産者が90日先の収量を予測するのに役立つとのこと。

Canixを理解する前に、米国の合法大麻栽培の状況を知ることが不可欠だろう。生産者は、植物が施設内を移動するたびに書類を提出するなど、厳格な監視体制を守らなければならない。これには多くのデータ入力が必要で、ほとんどの州では生産者がMetrcでこの情報を提出することを要求している。

Metrc自体もスタートアップだ。2013年創業で、現在では13州で大麻のオペレーションを追跡している。2018年10月、Metrcは5000万ドル(約5230億円)を調達した。このプラットフォームは、コンプライアンスに深くフォーカスしており、種から販売までの大麻を追跡するように設計されている。一部の生産者はシンプルさのためにそのように使用していますが、それはERPプラットフォームではない。Metrcは現代の農業経営のための詳細に構築されており、一部の生産者にとっては、Metrcにデータを入力するのは、多くの場合、コンプライアンスを維持するために栽培者がスタッフを雇用しなければならない、労働集約的な作業です。

 

このプラットフォームは、大麻の種子から販売までを追跡するように設計されており、コンプライアンスを重視している。これはERPプラットフォームではないが、単純化のためにそのまま使っている生産者もいる。Metrcには近代的な農業経営のために詳細なシステムが構築されているのだが、一部の栽培者にとっては、Metrcへのデータの入力はコンプライアンスを維持するためにスタッフの雇用が必要な、労働集約的な仕事になってしまう。

Canixは、大麻のライセンスを持っている商業運営のために設計されている。MJ PlatformやBioTrackなど、いくつかのスタートアップがこの市場向けに同様のプラットフォームを構築しているが、Canixはデータ入力の改善に重点を置いていることが他社との差別化を図っているという。

Stacey Hronowski(ステイシー・フロノウスキー)氏とArtem Pasyechnyk(アルテム・パセチニック)氏は、Metrcの欠点を発見した後に同社を設立した。

フロノウスキー氏は「私が最初にCanixを始めたのは、ベイエリアの大麻会社のコンサルティングをしていた時でした」と話してくれた。「私は、同社のCRMと流通システムを接続し、請求書を作成するたびに行っていた二重のデータ入力を減らすソフトウェアを書いていました。その会社から、私が作ったシステムをMetrcに接続することを検討してほしいと頼まれました。Metrcを見始めた私は、生産者が紙にバーコードを書き込んでいることに非常に驚きました。Canixの最初のアイデアが出たのはその時でした」と続ける。

v氏は、Facebookの共通の友人を通じてパセチニック氏と知り合い、2人はプラットフォームの構築を始めた。ベータ版が好意的なフィードバックを受けた後、2人は本格的な運用にまで拡大した。

Canixは、その短い期間に何人かの重要な投資家の目に留まった。同社はY Combinatorの2019年夏のプログラムに参加し、2020年5月にはFloret Ventures、Yleana Venture Partners、Altair VC、Mava Ventures、Nano LLC、元コロラド州大麻取締官のAndrew Freedman(アンドリュー・フリードマン)氏から150万ドル(約1億5600万円)のシードを調達した。

画像クレジット:Canix

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(翻訳:TechCrunch Japan)

イマジニアがNintendo Switch用ボクシングエクササイズ最新作「Fit Boxing 2」を12月3日発売

イマジニアがNintendo Switch用ボクシングエクササイズ最新作「Fit Boxing 2」を12月3日発売

イマジニアは9月18日、任天堂の協力のもとNintendo Switchソフト「Fit Boxing 2 -リズム&エクササイズ-」(Fit Boxing 2、国内版)および「Fitness Boxing 2 : Rhythm & Exercise」(海外版 発売元:任天堂)を12月3日に発売すると発表した。価格は税別5800円。全世界累計出荷販売本数が100万本突破したエクササイズゲーム「Fit Boxing」の最新作にあたり、トレーニングコースおよび楽曲が刷新、新機能や新インストラクターが追加されている。

Fit Boxing 2は前作からエクササイズメニューや楽曲を一新。ゲームスコアに応じてエクササイズ中の背景が変化する新要素「Zone」など演出面を強化し、さらに楽しくエクササイズに取り組めるようにしている。エクササイズの目的や時間を設定して毎日取り組むデイリーモードでは、その日の気分や体調に合わせて「いつも通り/軽め/重め」が選択できるようになったほか、2名同時プレイも可能。

イマジニアがNintendo Switch用ボクシングエクササイズ最新作「Fit Boxing 2」を12月3日発売

また、プレイ実績に応じて解放され、目的達成をサポートするアチーブメント機能やプレイ時間を知らせてくれるアラーム機能、苦手なアクションを外せる仕組みなど、続けやすくなる仕組みが充実。前作のプレイ記録も引き継げる。

イマジニアがNintendo Switch用ボクシングエクササイズ最新作「Fit Boxing 2」を12月3日発売

イマジニアがNintendo Switch用ボクシングエクササイズ最新作「Fit Boxing 2」を12月3日発売

前作のインストラクターに加えて、3名のインストラクターが新たに追加された(CVは釘宮理恵、鬼頭明里、石田彰)。豪華声優陣がボイスを担当する計9名のインストラクターが、アクションのポイントを指導してくれたり、時には喝を入れたりするという。

前作Fit Boxingは、Nintendo Switch初のエクササイズゲームとして2018年12月に発売以降継続的に販売を伸ばし、2020年9月に全世界累計出荷販売本数100万本を突破。食事管理アプリ「あすけん」と連携し、食事管理をしながら「Fit Boxing」を30日以上プレイした方の減量効果の統計発表や、基本フォームを身につけるためのプロインストラクターによるレクチャー動画の発信など、利用者に「Fit Boxing」をよりよく活用して頂けるような発信も継続的に展開している。

「Fit Boxing 2 -リズム&エクササイズ-」: ©Imagineer Co., Ltd.

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家族と最適な介護者とを引き合わせるHomageのジリアン・ティーが「世界の高齢化にテクノロジーをどう生かすか」を語る

Homage(ホメッジ)の共同創業者であり最高責任者のGillian Tee(ジリアン・ティー)氏の話が聞けるのは、いつだってうれしい。なぜなら、高齢者や弱い立場の人たちをテクノロジーで支援する方法に関する彼女の見解には含蓄があるからだ。国連によれば、世界で最も急速に増加している年齢層は65歳以降の高齢者だという(国連レポート)。同時に、多くの国々で介護者不足が深刻化しいて、介護者の燃え尽き症候群による高い離職率が問題をさらに複雑にしている。

「これはまさに、最も重要な社会的テーマであり、全世界的な問題です」とティー氏はDisruptのセッションで語った。

4年前にシンガポールで創設されたHomageのプラットフォームは、マッチング・エンジンを使って家族と最適な介護者とを引き合わせる。同時に遠隔医療プラットフォームでは、オンライン診療やスクリーニング検査などのサービスを提供している。その後にマレーシアにも立ち上げられ、米国時間9月14日には日本の医療技術大手であるインフォコムによる新たな戦略的投資を発表した。この提携により、Homageのアジア太平洋地域での拡大が加速することになる。

Homageを創業する前、ティー氏はニューヨークでRocketrip(ロケットリップ)を共同創業している。Rocketripは、出張関連費用の削減を目的とした企業向けのチケット予約プラットフォームで、Google Ventures、Y Combinator、Bessemer Venturesといった投資会社を引きつけ、3000万ドル(約31億4000万円)以上を調達した。しかし2016年、およそ15年間の外国暮らしに終止符を打ち、ティー氏は故郷シンガポールに帰ることに決めた。「帰郷は母の近くにいるためであり、また、自身のスタートアップの経験を東南アジアでも生かせると考えたからだ」と彼女はDisruptセッションで話していた。

ティー氏は新しい会社を興したいと考えていたが、すぐに介護の世界に飛び込むことはしなかった。そのアイデアが実体化したのは、彼女に近い親類の何人かが慢性疾患の診断を受け、介護の必要性が生じてからのことだった。

「私たちは何をすればいいのかわからず、何が必要なのかを考える方法すら知りませんでした。そのとき私は『大変だ、たくさん勉強しなければ』と悟ったのです」。

高齢化の進行と社会動学の変化に伴い、世界中の多くの家族が同じ問題で奮闘している。伝統的に親類の面倒を見ることになっていた家族も、遠くに離れて暮らすようになったり、仕事で時間が取れなくなるなどの理由で世話が難しくなっている。

家族は、介護者の紹介を口コミや代行業者に頼ることが多いのだが、その手続きは複雑で、長い時間を要し、ときに感情に左右される難しさがある。Homageは、マッチング・アルゴリズムでそこを楽にする。このプラットフォームでもっともユニークな点はきめ細かな対応だ。画面で紹介されるのは、介護事業者の資格や提供できる介護の種類(たとえば長期ケア、ショートステイ、理学療法、リハビリなど)だけでなく、特別な技能も含まれる。たとえば、移動の支援を必要とする利用者も多いので、Homageでは安全に移動できる手段を評価してくれる。

そして同社のマッチング技術が利用者にとって最適な介護業者を見つけ出し、Homageのスタッフが契約手続きを最後まで代行する。このプロセスを合理化することにより、Homageはコストを削減し、より多くの人がサービスを利用できるようにする一方で、サービス提供者の報酬の比率の引き上げが可能になった。

賃金の引き上げは、Homageのもうひとつの目標への助力にもなる。それは、介護人員の拡大と、人材の維持だ。他にも、Homageのプラットフォームから介護人材を最適な働き口に送り出すという取り組みで、同社は介護者不足問題に対処しようとしている。継続的な教育プログラムを提供し、スケジュールが過密にならないよう調整もする。このプラットフォームには長期契約で登録している介護サービス提供者もいれば、週に数日だけHomageの利用者にサービスを提供する人もいる。

「エイジテック」への総合的なアプローチ

6月にHomageは遠隔医療サービスを開始(未訳記事)した。Homage Health(ホメッジ・ヘルス)というこのプラットフォームは、しばらく開発段階にあったのだが、新型コロナウイルスの大流行に開始を後押しされた。「ハイタッチ」つまり人間的な触れ合いを重視した対面の遠隔診療は、同社の介護事業の側面にも即している。なぜなら、多くの患者は定期的なスクリーニング検査や、医師や専門医による診察を必要としているからだ。移動が困難であったり免疫力が低下している患者も、これによって楽に定期的な診察を受けられるようになる。

「ウェアラブル・センサーなどのハードウェアは、救急治療が必要になる前に心臓病などの潜在的健康問題を特定するという点で有望だが、患者の日常生活に簡単にそれらを組み込ませる、あるいは装着を忘れさせない方法が課題だ」とティー氏は説明する。

全体としてHomageの使命は、介護を必要とする多くの人たちに対応する総合的プラットフォームの構築だ。戦略的投資を行ったインフォコムとの新しい提携関係により、それは前進することになるだろう。なぜなら、Homageが数年かけて協議してきたとティー氏が話すその企業は、高齢者住宅や病院を含むおよそ1万3000の日本の施設と協力関係にあるからだ。

インフォコムにも独自の介護サービス・プラットフォームがある。Homageとの提携で、双方の企業は手を結び、より多くの患者に対応できるようになる。「日本は、世界で有数の高齢者人口を抱える国だ。その需要に応えるために、日本では今後5年から10年以内に、少なくとも50万人の介護サービス提供者を動員しなければならなくなる」とティー氏は言う。

「私たちは、求められる種類の介護サービスを利用しやすくするインフラを作り始める必要があります。そうした使命においては、私たちはインフォコムとぴったり一致しています」とティー氏。「彼らにも、日本の介護サービス提供者に仕事を紹介するプラットフォームがありますが、Homageのモデルは審査も行うため、とくに適用性が高いと見てもらっています」。

画像クレジット:Homage

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(翻訳:金井哲夫)

コネクテッド・フィットネスのスタートアップTonalがさらに115億円超を追加調達、多数のアスリートも投資に加わる

コネクテッドホームフィットネスのスタートアップであるTonalは米国時間9月17日、1億1000万ドル(約115億円)の追加資金調達を明らかにした。最新の資金調達ラウンドには、既存投資家であるL Cattertonのほか、Delta-v Capital、AmazonのAlexa Fund、Mousse Partners、アスリートのStephen Curry(ステフィン・カリー)氏、Paul George(ポール・ジョージ)氏、Michelle Wie(ミシェル・ウィー)氏、Bobby Wagner(ボビー・ワグナー)氏などの新規投資家が名を連ねている、このラウンドは、ベイエリアをベースにした会社の総資金調達額を2億ドル(約210億円)にまで引き上げた。

筋力トレーニングの会社にとってはかなり大規模な資金調達であり、特にこの分野は近年ますます競争が激しくなっている。しかし、新型コロナウイルスの大流行により、世界中で公共のジムやフィットネスの施設が閉鎖されていることから、投資家が自宅でのジム体験に近いものを提供できる技術に乗り出したいと考えていることは明らかだ(未訳記事)。

いくつかの施設が再開し始めたとはいえ、その多くは限られた定員数で営業している。ジムに戻ることになると、多くのメンバーは細心の注意を払わなければならない。なんと言っても、感染拡大の危険性が高いからだ。この事実を踏まえると、在宅ワークアウトは今後数カ月から1年の間に成長を続ける可能性が高い。同業のLululemonが最近、おそらくTonalの最大のライバルであるMirrorを5億ドル(約523億円)で買収したという事実もある。

Tonalの他の多くの競争相手と差別化できる点は、反射スクリーンと強度トレーニングの要素だ。システムは、より伝統的なダンベル・バーベルベースのウェイトトレーニングに近い抵抗技術を活用している。

NBAのゴールデンステート・ウォリアーズに所属するバスケットボール選手のステフィン・カリー氏は「私はほぼ2年間Tonalを持っていた。新型コロナウイルスの感染蔓延で隔離されている間、私はハードなトレーニングを維持するためにTonalに大きく依存しているし、そしてTonalは将来的にワークアウトする方法に革命を起こす信じている」と語る。

Tonalもこの機会を使用して、ミネソタ州総合病院であるMayo Clinic(メイヨークリニック)での理学療法の試験のための作業を開始しており、結果はまもなく明らかになる予定だ。また同社は、Andaz Scottsdale Resort & Bungalows(アンダーズ・スコッツデール・リゾート&バンガローズ)、Waldorf Astoria Boca Raton Resort(ウォルドーフ・アストリア・ボカ・ラトン・リゾートとクラブ)、JW Marriott Anaheim(JW・マリオット・アナハイム)を含むホテルやリゾートとも連携している。

画像クレジット:Tonal

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(翻訳:TechCrunch Japan)

コネクテッド・フィットネスのスタートアップTonalがさらに115億円超を追加調達、多数のアスリートも投資に加わる

コネクテッドホームフィットネスのスタートアップであるTonalは米国時間9月17日、1億1000万ドル(約115億円)の追加資金調達を明らかにした。最新の資金調達ラウンドには、既存投資家であるL Cattertonのほか、Delta-v Capital、AmazonのAlexa Fund、Mousse Partners、アスリートのStephen Curry(ステフィン・カリー)氏、Paul George(ポール・ジョージ)氏、Michelle Wie(ミシェル・ウィー)氏、Bobby Wagner(ボビー・ワグナー)氏などの新規投資家が名を連ねている、このラウンドは、ベイエリアをベースにした会社の総資金調達額を2億ドル(約210億円)にまで引き上げた。

筋力トレーニングの会社にとってはかなり大規模な資金調達であり、特にこの分野は近年ますます競争が激しくなっている。しかし、新型コロナウイルスの大流行により、世界中で公共のジムやフィットネスの施設が閉鎖されていることから、投資家が自宅でのジム体験に近いものを提供できる技術に乗り出したいと考えていることは明らかだ(未訳記事)。

いくつかの施設が再開し始めたとはいえ、その多くは限られた定員数で営業している。ジムに戻ることになると、多くのメンバーは細心の注意を払わなければならない。なんと言っても、感染拡大の危険性が高いからだ。この事実を踏まえると、在宅ワークアウトは今後数カ月から1年の間に成長を続ける可能性が高い。同業のLululemonが最近、おそらくTonalの最大のライバルであるMirrorを5億ドル(約523億円)で買収したという事実もある。

Tonalの他の多くの競争相手と差別化できる点は、反射スクリーンと強度トレーニングの要素だ。システムは、より伝統的なダンベル・バーベルベースのウェイトトレーニングに近い抵抗技術を活用している。

NBAのゴールデンステート・ウォリアーズに所属するバスケットボール選手のステフィン・カリー氏は「私はほぼ2年間Tonalを持っていた。新型コロナウイルスの感染蔓延で隔離されている間、私はハードなトレーニングを維持するためにTonalに大きく依存しているし、そしてTonalは将来的にワークアウトする方法に革命を起こす信じている」と語る。

Tonalもこの機会を使用して、ミネソタ州総合病院であるMayo Clinic(メイヨークリニック)での理学療法の試験のための作業を開始しており、結果はまもなく明らかになる予定だ。また同社は、Andaz Scottsdale Resort & Bungalows(アンダーズ・スコッツデール・リゾート&バンガローズ)、Waldorf Astoria Boca Raton Resort(ウォルドーフ・アストリア・ボカ・ラトン・リゾートとクラブ)、JW Marriott Anaheim(JW・マリオット・アナハイム)を含むホテルやリゾートとも連携している。

画像クレジット:Tonal

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(翻訳:TechCrunch Japan)

屋内トレーニングアプリ開発のZwiftが470億円超を調達、ハードウェア事業にも参入へ

Zwiftは、米国カリフォルニア州ロングビーチに拠点を置き、サイクリストやランナーを3D生成された世界に没頭させるオンラインフィットネスプラットフォームを350人規模で展開している。この度同社は、投資会社KKRの事業の少数株主と引き換えに4億5000万ドル(約471億円)という高額な資金調達を実施した。

このラウンドには、Amazon Alexa FundのPermira、Specialized Bicycleのベンチャーキャピタルファンド、Zone 5 Venturesのほか、Highland Europe、Novator、Causeway Media、ヨーロッパに拠点を置く消費者専門企業のTrueも参加した。

Zwiftは現在、総額6億2000万ドル(約650億円)を調達しており、その評価額は10億ドル(約1060億円)以上となっている。なぜこのような大規模な資金調達を行ったのか?今のところ、同社は人気のあるアプリを作っているだけだ。

同社は2015年の創業以来、250万人が登録している。米国のアウトドア雑誌のOutsideがかつて表現したように「一部のソーシャルメディアプラットフォーム、一部のパーソナルトレーナー、一部のコンピュータゲーム」の世界に入るためにZwiftに登録しているのだ。この特定の組み合わせによりZwiftのアプリは、外の状況に関係なくトレーニングをしたいと考えているレクリエーションライダーとプロの両方に魅力的なものとなっている。

同社は月額15ドルのアクティブな登録者数を明らかにするのは拒否したが、忠実なユーザーのベースを持っているようだ。例えば、全登録者の内の11万7000人は、Zwiftが7月に主催したツール・ド・フランスのバーチャル版で競い合った。

Zwiftは、この巨大な資金調達ラウンドで得た資金を何に使うのか。現在、Zwiftの自転車愛好家がこのアプリを使うには、EliteやWahooなどのブランドが作った300ドル〜700ドルのスマートトレーナーを購入する必要がある。一方、ランナーはZwiftのアプリを自分のランニングマシンと一緒に使える。

そこでZwiftは、ハードウェアビジネスに飛び込んだ。同社の広報担当者は、「ハードウェアを適切に開発するには時間がかかり、新型コロナウイルスの感染蔓延は生産のプレッシャーを強めている」としながらも「『できるだけ早く』最初の製品を市場に投入したい」と考えていると述べた。また、このハードウェアはZwiftを「より没入感のあるシームレスな体験をユーザーに提供する」とも付け加えた。

いずれにせよ、この方向性は同社にとって驚くべきものではなく、またSpecialized Bicycleが戦略的支援者としてこのラウンドに参加というだけではない。共同創業者兼CEOのEric Min(エリック・ミン)氏は過去に「いつか独自のトレーナーを生産することを望んでいる」と語っていた。

家庭用フィットネスでのPelotonの大成功を考えれば、トレッドミルに続いて、あるいはまったく別の製品が出てきても不思議ではないだろう。Zwiftの広報担当者は「将来的には、他の分野やよりゲームのような体験をもたらすことができる可能性があります」と語る。Zwiftは、フィンランドのゲーム会社Supercellの共同創業者でありCEOであるIlkka Paananen(イルッカ・パーナネン)氏を投資家兼取締役会メンバーとして迎え入れたばかりで、その場合はこの分野の専門家のアドバイスを受けることになるだろう。

それまでの間、「Pelotonが成功を収めているような分野は、類似点を引き出そうとするようなものではない」と同社はTechCrunchに伝えた。

Zwiftは、ユーザーがグループライドやラン、ワークアウトを企画できることを特徴としているが、同社の広報担当者によると、クラスについては「予定していない」と回答した。

画像クレジット:Zwift

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(翻訳:TechCrunch Japan)

まったく新しい手法で新薬開発を進めるInsitro、「デジタル生物学は素晴らしい分野」と創業者が力説

「生物学とコンピューティングが交わるところでの研究開発は、テクノロジストにとっていま最もエキサイティングな領域かもしれません」。

Insitro(インシトロ)の創業者兼CEOのDaphne Koller(ダフニー・コラー)氏はそう語る。このバイオテック企業は、立ち上げからわずか2年で2億4300万ドル(約254億円)余りの資金を調達した。

TechCrunch取材のバーチャルカンファレンスであるDisrupt 2020で講演したコラー氏は連続起業家でもあり、以前は教育系スタートアップのCoursera(コーセラ)を共同創業し、Alphabetの子会社で健康と長寿にフォーカスしたCalico(カリコ)のチーフ・コンピューティング・オフィサー(CCO)を短期間務め、「現在ではデジタル生物学が次の大きな技術革新だ」同氏は見ている。

インタビューでコラー氏は「今現在デジタル生物学は最高に素晴らしい分野だ」と述べた。確かにそれは、同氏にとってまたとない好機だ。現在の同氏の仕事は、神経疾患が疑われる症状の治療法の開発や、Gilead Pharmaceuticals(ギリアド製薬)と共同で進めている肝炎関連の短期的な研究開発事業など多岐にわたっている。

コラー氏の企業のInsitroという名前は、生物学の研究における2つの相異なる方法を組み合わせている。1つは「in vitro」で、これは試験管の中でという意味だ。生体の上ではなく生きた標本を研究室の中で実験観察し研究する。そしてもう1つの「silico」はシリコンに由来し、文字どおりコンピューターの上で実験やシミュレーションなど実行する。

Insitroは、この2つの研究手法を組み合わせて、新薬発見の方法を根本的に変え、大量のデータをふるいにかけることによって、一定の条件の現れの中にパターンを探す。パターンが認められたら、その現れに結びついている経路や機構を調べ、治療のターゲットを判定する。そして、病状の進行を逆転または停止するために使える新しい分子の開発を追究し、病状の進行に結びついている生物学的な機構の停止を目指す。

コラー氏は「弊社には人間の疾患と関係のある大量のデータがあります。機械学習は、データの意味を理解するための多くのツールを私たちに与えました」と語る。

同社は、それらの条件の現れを変えるかもしれない新たな患者集団や新たなインターベンション(カテーテルを血管に挿入して行う治療法の総称)、新たな薬を同定できる。「私たちは機械学習の利用という非常に長い旅の最初の段階にいると自覚しています」とコラー氏。

ギリアドと共同で進めている肝炎に関する研究では、コラー氏のチームがギリアドの試験から小さくて高品質なデータ集合を取得し、患者データの時系列を見ながら病気の進行を分析する。進行を見ることによって同社は、組織の損傷を起こす繊維症の進行の直接の原因を突き止める。そして同社はそれらのターゲットを始点として、疾患の進行を遅らせるための因子を見つける。

「同社が研究しているのは、コンピューターを使って生物学と、シャーレの中でその生物学を形にするバイオテクノロジーと、そのさまざまな形から違いを作り出すインターベンションを理解することなのです」と同氏。

コラー氏は「いま私たちが進めようとしていることは、これまでの製薬企業のやり方とまったく違いますし、似てもいないものです。弊社は何十万もの人たちが働いているこれらの企業の軌道を変え、その文化をいま真の挑戦になりつつあるテクノロジーの文化に変えようとしているのです」と説明する。

同氏が大手製薬企業に入らずに自分の企業を立ち上げたのもこの目的のためであり、それは革新者のジレンマの古典的な例でもある。そして、Insitroのようなテクノロジーの破壊的パワーは、Disruptカンファレンスの命名者であるClayton Christensen(クレイトン・クリステンセン)氏の理論でもある。

「革新者のジレンマとともに重要なのは、これまでとはまったく違ったやり方でやるという心構えです。新薬発見はますます高コストで、失敗の多い事業になりつつあるので、まったく違うやり方のほうがよい結果が得られる可能性があります」とコラー氏は締めくくった。

画像クレジット:Insitro

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Formlabsが人工装具・歯列矯正器具向け大型光造形法3Dプリンタを発表

Formlabsは数年前の巨大なテックバブルを乗り越えた数少ないデスクトップ3Dプリンタ企業のひとつだ。マサチューセッツ州サムヴィルを拠点とする同社は、高度な産業用3Dプリント技術をコンシューマー向けに取り入れることで差別化してきた。また最近では、この技術によってさまざまな製造分野に進出し、競合をリードしている。

医療と歯科の2つは重要なターゲットだ。カスタマイズ可能ですぐに作れるという2つのメリットを生かせるプロダクトの最も良い例は、人工装具や歯列矯正器具だ。米国時間9月15日、FormlabsはForm 3LBを発表した。これは最近発表した1万ドル(約106万円)の大型ステレオリソグラフィ(光造形法)プリンタのForm 3Lを医療・歯科に特化したものだ。

Form 3BLは標準のForm 3プリンタのおよそ5倍の体積のものが作れるなど、スペックは3Lとほとんど同じだ。最大の違いは、生体適合性のある材料に最適化されている点だ。このシステムは医療・歯科関係者の院内や社内で、模型や歯科で必要なものをすぐに作ることを想定している。

Form 3LBの発表の同日に、プリントした大きいオブジェクトを処理するWash L + Cure Lも発表された。これは2021年中の出荷を予定している。さらに同日、Form 3Lの出荷と3BLの注文が開始された。3BLは来月から出荷される。

画像クレジット:Formlabs

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(翻訳:Kaori Koyama)

視力回復装置のための世界初のヒト臨床試験を豪州の研究チームが準備中

オーストラリア・メルボルンにあるモナシュ大学の科学者による10年以上にわたる研究の成果として、スマートフォンスタイルの電子機器と脳に埋め込まれたマイクロ電極の組み合わせで、視覚障がい者の視覚を回復させる初のデバイスを生み出した(モナシュ大学プレスリリース)。このシステムは、羊による前臨床試験で機能することがすでに示された。そしていま、研究者らはメルボルンで行われる最初のヒト臨床試験の準備中だ。

この新しいテクノロジーは、医学的失明と定義される状態の原因となっていることが多い損傷した視神経にバイパスを作ることができる。カメラによって収集しビジョンプロセッサユニットとカスタムソフトウェアによって解釈した情報を、脳内に直接埋め込まれたタイルのセットにワイヤレスで送る。タイルが画像データを電気信号に変換する。電気信号は人の髪よりも細い微小電極を通って脳のニューロンに送信される。

実際に生産され商業的に使用可能になるまでには、特に大規模なヒトの臨床試験プロセスには、まだまだ多くのステップが必要だ。テクノロジーを開発するチームは商業ベンチャーとして、デバイスの製造と流通を拡大するための追加資金の確保も目指している。羊に10セットを移植した初期の研究では、2700時間以上の継続的な刺激を与えたところ健康への悪影響はみられなかった。

動物の研究は人間のそれとは非常に異なるが、研究チームはこのテクノロジーの成果は視覚にとどまらないと考えている。同じアプローチは根本原因が麻痺などを含む神経系にある患者にメリットと治療の選択肢を提供できると予想する。

どこかで聞いたことがあると思うなら、それはおそらくElon Musk(イーロン・マスク)氏が最近、同氏創業の会社であるNeuralink(ニューラリンク)で同様の脳インプラント技術を使用して同種類の結果を達成するという野心を示したためかもしれない。最新のソフトウェアとテクノロジーを組み合わせたデバイスにより生物学的限界をどう克服できるかを想像させてくれるのは同氏のプロジェクトが初めてではない。モナシュ大学の取り組みは、この種の科学を人々の日常の生活に影響を与える何かに変えることに向けて取り組んできた長い歴史の延長線上にある。

画像クレジット:Monash University

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(翻訳:Mizoguchi