Spotifyが要望の多かった高品質サブスクプラン「Spotify HiFi」を提供へ

Spotify(スポティファイ)は米国時間2月22日、新コンテンツの契約やクリエイター向けの機能といったものと合わせてSpotify HiFiというハイエンドなサブスクサービスを提供する計画を発表した。同社は2021年後半にいくつかのマーケットでSpotify Premium購読者向けに「Spotify HiFi」の提供を開始、このサービスでは「CD品質、オーディオフォーマット圧縮なし」で音楽を聴くことができると述べた。

このニュースはSpotifyのオンラインイベント「Stream On」で発表された。

高品質の音楽ストリーミングは常にユーザーが最も要望していた機能の1つだったとSpotifyは述べ、ライブストリーミングイベントでSpotifyに代わってBillie Eilish(ビリー・アイリッシュ)氏が高品質オーディオのパワーを宣伝した。

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Spotifyはまた、HiFiサービスはSpotify Connectが利用可能なスピーカーを含むデバイスでも利用できると説明。そしてSpotify Connectを介してSpotify HiFiをより多くのファンが利用できるようにするために世界最大のスピーカーメーカー数社と協業していることも明らかにした。

しかしこのSpotifyのニュースには、料金やサービス開始日、どのマーケットで展開されるのかなど、ユーザーが本当に知りたい情報が不足している。明らかにサブスクがPremiumサービス料金を上回ることは理解しているが、正確な料金はマーケットによって異なるだろう。Premiumの「アドオン」として展開されるかもしれない。

Spotifyは既存のアーティストプログラムもアップデートした。初めてプレイリストに7万6000人ものアーティストを加え、編集とマーケティングをサポートするRadarプログラムを通じて新進気鋭の175人のアーティストを特集した。また、いかにアーティストがEnhanced Albums、Stories機能、より多くのアーティストに間もなく提供されるClipsといった新しいツールを使っているかも特集した。加えて、曲をともなうルーピングビジュアルを全Spotifyアーティストが利用できるようになっている、とも話した。

同社は、今後数日で新たなマーケットに進出して世界の10億人超にリーチできるようになると話し、グローバルで同サービスへのアクセスを拡大する計画だとした。10億人超というとすでにインターネットを使用している人口のおおよそ半分だ。アジア、アフリカ、カリブ、欧州、中南米など新たに世界85のマーケットに進出すると話す。

ポッドキャスト事業に関しては、同社は新しい朝の番組「The Get Up」、Russo Brothersのエンターテインメント会社AGBOとの複数年にわたる新コンテンツ契約、台本なしポッドキャストのためのAva DuVernayとの契約、Higher Groundとの提携によるムスリム教徒の声をピックアップする新ポッドキャスト「Tell Them I Am」に言及した。また、Warner Bros.とDCがテキストのある物語ポッドキャストを展開するとも述べた。

R&Dに関しては、新機能、そしてアルゴリズムや既存のテクノロジーを改良することでポッドキャストのレコメンデーションとディスカバリーを改善する計画を明らかにした。

とある機能では、実際の番組やエピソードの名称を調べなくてもカテゴリーでポッドキャストを特定できる。たとえばユーザーは検索バーに「クッキング」と入力すると、マッチするポッドキャストが表示される。この機能は現在米国でテスト中で、2021年他のマーケットでも展開される予定だ。

ポッドキャスト制作アプリAnchorに関しては、テキストをオーディオに変えたり、ビデオをポッドキャストに加えたり、またリアルタイムのファンとのコミュニケーションを番組に加えるために投票やQ&Aなど新しいインターラクティブな機能にアクセスできるようにするためにWordPressと提携していると話した。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Spotifyがオーディオ広告マーケットプレイス「Spotify Audience Network」を開始

Spotify(スポティファイ)は米国時間2月22日、ポッドキャストへの投資を収益化する計画について詳細を明かした。同社は、新しいオーディオ広告マーケットプレイス「Spotify Audience Network」を立ち上げると発表し、これにより広告主は、同社独自のプログラムであるSpotify OriginalsとExclusives、さらにはMegaphoneや作成ツールAnchorによるポッドキャストや、広告付きの音楽などのリスナーにリーチできるようになるという。また同社は、セルフサービス広告プラットフォームであるSpotify Ad Studioでもポッドキャストを提供する計画で、米国ではSpotify OriginalsとExclusivesを皮切りに、ベータテスト段階での提供を開始すると述べている。

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これは将来的にはサードパーティ制作のポッドキャストにも拡大していく予定だと、同社は22日のオンラインライブイベント「Stream On」の中で述べた。

現在、Spotify Ad Studioは2017年のサービス開始後、22の市場で広告主に利用されており、音声広告と動画広告の両方でSpotifyの音楽リスナーにリーチしている。Spotifyは、同サービスが最も急成長している購買チャネルであると述べたが、その成長を詳細に示す具体的な数字は提供しなかった。

画像クレジット:Spotify

しかし、広告サイドの大きなニュースは、新しいオーディオ広告マーケットプレイス「Spotify Audience Network」の立ち上げだった。将来の見通しに関する他のいくつかの発表と同様、Spotifyは、実際にSpotify Audience Networkがどのように機能するかの詳細については触れたがらなかった。同社は「サービスを開発する初期段階」にあるということ、そして後日、より多くの情報を共有できるだろうとだけ述べた。

しかし、特に広告で収入を得ようとしているポッドキャスターや、Spotifyの内外から、同社の数億におよぶオーディエンスにリーチしたいと考えている広告主にとっては、同社はこのマーケットプレイスを「ゲームチェンジャー」だと位置づけている。

このニュースは、2021年の初めにThe Vergeが報じた調査レポートに続くもので、それによれば、同社は小規模なポッドキャスターのためにスポンサーを見つけると約束したにもかかわらず、実はSpotifyが現在までのAnchorの広告のメインスポンサーであることがわかったという。Spotifyはそうした約束を果たすために広告マーケットプレイスとツールを構築する過程で、広告主へのアウトリーチを優先していなかったように見受けられる。

画像クレジット:Spotify

またSpotifyは、最近Megaphoneを買収したことで、2020年初頭に開始したストリーミング広告挿入(Streaming Ad Insertion、SAI)技術を、自社のオーディオ番組OriginalsやExclusives以外のパブリッシャーにも拡大していくことが可能になると明らかにした。現在、SAIは米国、カナダ、ドイツ、英国で利用可能だが、2021年には他の新しい市場にも拡大する予定だという。

SAIはデビュー以来、オーディエンスベースのバイイング、ネイティブ広告プレイスメント、クリエイティブパフォーマンスのレポートなどの新機能を展開している。2021年後半には、Megaphoneのポッドキャストパブリッシャーや「主要な」AnchorのクリエイターがSAIを利用できるようにするとSpotifyは述べている。

しかし、Anchorのクリエイターが収益を伸ばす方法は広告に限られない。

TechCrunchが以前報じていたように、数カ月以内に、Anchorクリエイターが最も熱心なファンに向けて有料のポッドキャストコンテンツをSpotifyで公開できるようにする新機能のベータテストを開始すると、Spotifyは簡単に述べた。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

ポッドキャスト広告のAcastがポッドキャストアプリRadioPublicを買収

ポッドキャスト広告会社Acast(エーキャスト)は公共ラジオマーケットプレイスPRXから2016年にスピンオフしたスタートアップRadioPublic(ラジオパブリック)を買収したと発表した。

まず最初に、RadioPublicのメインプロダクトはポッドキャスト視聴のためのモバイルアプリで、同社はまだアプリを展開している。しかし共同創業者で最高製品責任者のMatt MacDonald(マット・マクドナルド)氏は、チームの注力対象がポッドキャスターのためのプロダクト、特にListener Relationship Management Platform(リスナー関係管理プラットフォーム)に移行したと繰り返し述べていた。同プラットフォームには埋め込み可能なウェブプレイヤーPodsitesと呼ばれるカスタムウェブサイトなどが含まれる。

「我々は構築したかったものすべてのロードマップを持っていましたが、当社の規模ではより大きな組織と提携することでもっと満足してもらえるのではと認識しました」とマクドナルド氏は話した。

最終的に、RadioPublicはAcastがパートナーとしてだけでなくオーナーとしてふさわしいと結論づけた。Acastの事業はまだポッドキャスト広告が中心だが、Acast Openホスティングプラットフォームのような新しいツールで事業を拡大している。そしていま2万のポッドキャストをホストし、月間ユーザー数は3億人に到達した、としている。

「RadioPublicの買収は、基本的に価値観の提携です」とAcastの最高事業戦略責任者Leandro Saucedo(リアンドロ・サウセド)氏は声明で述べた。「両社ともオープンなポッドキャスティングのエコシステムを信じていて、リスナーの発見とクリエイターのサポートというコミットメントを共有しています。RadioPublicがこれまで成し遂げたことに我々は感銘を受け、ポッドキャスティングがこれまでになく勢いを得ている現在こそRadioPublicの才能あるチームと社のミッションをAcastに持ってくる時だと確信しています」。

買収の条件は明らかにされなかったが、買収はRadioPublicの事業に影響しないとAcastは話している。

マクドナルド氏と共同創業者でCTOのChris Quamme Rhoden(クリス・クアメ・ロデン)氏は2人ともAcastに加わり、RadioPublicの機能をAcastのプラットフォームに統合するのに取り組むが、RadioPublicは「予見可能な未来」のために自前のプロダクトとモバイルアプリのサポートを続ける、とマクドナルド氏は述べた。

同氏はまた、RadioPublicがAcastと協業しながら「ポッドキャスターとリスナーの関係や結びつきを強化、深化する」ことに引き続きフォーカスするとつけ加えた。同氏の見方では、Spotifyのような大手がポッドキャスティングに投資しても、そこにRadioPublicのチャンスがある。

「我々はどうやってクリエイターがオーディエンスとの関係をコントロールできるようにするのでしょうか。ポッドキャストのリスナーはあくまでリスナーであり、プラットフォームの顧客ではありません 」とマクドナルド氏は話した。

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タグ:AcastRadioPublic買収ポッドキャスト

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

ポッドキャストと短編オーディオのサブスクサービスを提供するPodimoが14.3億円調達

コペンハーゲンで創業し、短編オーディオストーリーとポッドキャストのサブスクリプションサービスを提供するPodimo(ポディモ)が、1120万ユーロ(約14億3000万円)の追加資金調達を行った。

今回のラウンドを主導したのはChr. Augustinus投資ファンドで、前回の600万ユーロ(約7億7000万円)のシリーズAが行われてからわずか8カ月しか経っていない。既存の投資家たちに加えて、スペインのVCであるAldea Opportunity Fundもラウンドに加わった。

2019年に創業したPodimoは、ポッドキャストおよび短編オーディオプラットフォームだが、リスナーにパーソナライズされたレコメンデーションを行う一方で、クリエイターにはプレミアムサブスクリプションからの収益を提供する。

プレミアム会員は、Podimo限定の600以上の番組にアクセスすることが可能で、その月会費は各月ごとに聴いているPodcastクリエイターたちに直接分配される。このサービスは現在、ドイツ、デンマーク、スペイン語圏の市場で提供されている。

共同創業者のMorten Strunge(モーテン・スコーギ)氏は、過去にはオーディオブックサービスのMofibo(モフィボ)によるサブスクリプションメディア製品の経験がある(同社はStorytelに売却された)。Podimoは、増えつつあるポッドキャストへの需要に対して投資を行いたいと考えている。同スタートアップの他の共同創業者は、Nikolaj Koppel(ニコライ・コプ)氏、Andreas Sachse(アンドレアス・サクス)氏、Sverre Dueholm(スベア・ドゥフム)氏だ。

「私たちの夢は、発展途上のポッドキャスト業界の2つの課題に取り組むことです」と、スコーギ氏は説明する。「第1は発見性です。私たちはリスナーをその好みのコンテンツにインテリジェントにマッチングさせます。2つ目はマネタイズです。クリエイターに新たな収益手段を提供することで、クリエイターは制作に専念し、すばらしいストーリーテリングに投資をすることができるのです」。

有料版の中で無制限のリスニングと機能を提供するフリーミアムモデルを提供することで、スコーギ氏はポッドキャストのクリエイターと密接に協力してポッドキャストのエコシステムを強化し、広告収入への依存度を低くできるチャンスがあると考えている。

彼はPodimoがシリーズA調達を実施した際に「私たちは、クリエイターに好まれるパートナーになりたいと考えています。そのためには、コンテンツと密接に連携し、キュレーションを行い、個々のユーザーさんへマッチさせるだけでなく、優れたマネタイズモデルも提供します」と語った。彼は、より強固な収益源を提供することで、新しいコンテンツ制作者たちが市場に参入し、既存のコンテンツ制作者もより多くの収入を得ることができるようになることを期待しているのだ。そうすることで、質の高いコンテンツにさらに多くの時間と労力を投資するための資金的な余裕が生まれることになるだろう。

「当社のポッドキャストと短編オーディオのサブスクリプションサービスには強い牽引力があります【略】現在では成長の50%以上を国際市場から得ています」とスコーギ氏は私に語った。「私たちの限定カタログには600以上の専属プロダクションが含まれるまでになりました。短いコンテンツのクリエイター向けに収益源を生み出すという私たちのビジョンは、本当に牽引力をもっているようです」。

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タグ:ポッドキャストPodimoサブスクリプション

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(文:Steve O’Hear、翻訳:sako)

ポッドキャスト制作のZencastrがビデオ機能のベータ版を全ユーザーに公開、約4.8億円の調達も発表

ポッドキャスト制作サービスのZencastrは2014年後半に創業したスタートアップで、ソルトレイクシティを拠点としている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大にともなって以前は対面だったポッドキャスト制作がオンラインになり、Zencastrは多くのポッドキャスト制作者にとってある種のライフラインになっている。Zencastrの名前はあまり知られていないが、同社によれば世界で80万〜120万の番組がアクティブであると推計されることから、全ポッドキャストのおよそ6%でZencastrが使われているという。

筆者が個人的にポッドキャスト制作者に話を聞いた範囲では、そのほとんど全員がZoomやSkypeなどのビデオチャットプログラムよりも専門的なソリューションを提供するZencastrを試用した経験がある。ZoomやSkypeを自分のニーズに合わせて何とか使いこなす制作者もいるが、Zencastrのソリューションは高品質のオーディオをローカルとクラウドの両方に保存できる点が特に優れている。

2020年6月の時点でZencastrはビデオ機能をテストしていた。ビデオは登場が長く待たれている機能だ。筆者はコロナ禍で自分の番組をオンラインで録画するようになり、Zoomに乗り換えた。感染拡大から1年あまり経って多くの人が言っているように、ビデオチャットは対面でのやり取りの代わりにはならないがピンチのときには役に立つ。少なくとも声だけのやりとりでは不可能な次元で対話ができる。

これまでビデオ機能はクローズドベータとして提供されてきた。米国時間2月16日にベータが全ユーザーに公開され、すでに提供されている高品質サウンドとともにHDビデオを収録できるようになった。筆者は自分のポッドキャストでこの機能をいろいろと試した結果、Zoomなどのサービスほどわかりやすくはないが柔軟にカスタマイズできることがわかった。HDビデオのファイルがあるので、編集して短い番組にしたり単純に画面を分割したりすることができる。ライブチャット、フットノート、サウンドボードもあり、基本的にはリアルタイムで番組を編集することを目指しているようだ。

Zencastrはビデオ機能を広く提供することと同時に、シードラウンドで460万ドル(約4億8000万円)を調達したことも発表した。これは同社のサービス開始以来初の大きな資金調達だ。

創業者でCEOのJosh Nielsen(ジョシュ・ニールセン)氏はTechCrunchに対し、Zencastrはこれまで「自己資金で独自にやってきた、ポッドキャスティング界では草の根のような企業でした。現在は多くの人がポッドキャスティングに興味を持つようになり、我々のような企業がクリエイターの考えを代弁し続けていくことが重要だと感じています。これが我々のノーススターです」と述べた。

ポッドキャスティングへの関心が高まり、それにともなってZencastrの利用は増えている。同社によれば、新型コロナウイルス感染拡大以降、ポッドキャスティングの時間はおよそ147%増加しているという。同社のシードラウンドを主導したのはユタ州を拠点とするKickstartで、他にFlipagramの幹部だったBrian Dilley(ブライアン・ディリー)氏とFarhad Mohit(ファハド・モヒト)氏や、SkullcandyのCEOだったJeremy Andrus(ジェレミー・アンドラス)氏などが参加した。

ニールセン氏は「我が社は小規模にスタートし、リソースも多くはありませんでした。しかし我々は常に利益を上げ、成長し続けてきました。それは現在も続いていますが、資金を調達してこの成長をさらに加速します。これはリブランドでもあり、プラットフォームの信頼性と安定性の面でも前進します」と述べた。

安定性は、筆者がこれまでに話をしたZencastrユーザーの多くが指摘していた問題だった。このニュースに先立ってZencastrをしばらく使ってみたところ、SkypeやZoomなどポッドキャスト専用以外のサービスでは経験したことのないオーディオ遅延などの問題が確かに発生した。この世の終わりというほどではないが、インタビューではリズムを崩してしまいかねない問題だ。ビデオプレゼンテーションもあまり洗練されていないが、クローズドベータではやむを得ない。

同社は調達した資金でこうした問題を解決し、人材も雇用する予定だ。

共同創業者でCPOのAdrian Lopez(アドリアン・ロペス)氏はTechCrunchに対し「この資金調達ラウンドを実施した主な理由の1つが従業員の数です。我々はコロナ禍以前から分散して働いていました。世界中の11カ国に従業員がいます。これは極めて意図的な判断でした。分散した形態にすることで、その人がどこにいるかに関係なく最高の人材に働いてもらえると考えています」と説明した。

Zencastrのプロデュースで同社のこれまでのストーリーをたどるポッドキャストシリーズの「デジタルノマド」も発表された。ただし同社はオリジナルコンテンツのプロデュースにこれから力を入れていくわけではないと述べている。

ロペス氏は「ポッドキャスティングは、人々をつなぐメディアであると強く確信しています。我々はそのために会社を設立しました。完全に分散している会社なので従業員はどこにいてもよく、このメディアを通じてつながることができます。その物語をこれから伝えていきたいと思います」と語った。

このカテゴリーではSquadCastRiverside.fmなどとの競争が厳しくなっている。Zencastrはここ1年で堅調に成長してきたが、新型コロナウイルスのワクチンが十分に供給され、安心して対面で番組を収録できるようになれば、成長にかげりが見えてくるかもしれない。

ロペス氏は「物事や人々が元に戻れば若干の縮小はあると見ています。しかしポッドキャスティングに対する関心の高まりはそれをはるかに上回っているので、縮小は帳消しになると思います。コロナ禍より前に始まった関心の高まりはコロナ禍収束後にも続くでしょう」と述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Zencastrポッドキャストビデオポッドキャスト資金調達

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

長いポッドキャストを60秒のパーソナライズされた「音声ニュースフィード」に変えるPodz

PodzはM13、ジャーナリストのKatie Couric(ケイティ・クーリック)氏、Paris Hilton(パリス・ヒルトン)氏などの投資家から支援を受けて、ポッドキャストの発見という問題を解決しようとしている最新のスタートアップだ。

米国では1億人がポッドキャストを聞いていますが、勢いを増しているとはいえ、オーディオが日常生活の一部になるようなクロスオーバー行動はまだ見られません」とCEOのDoug Imbruce(ダグ・インブルース)氏は述べている。「それは、ポッドキャストを発見して消費するという体験が古いからだと考えています。まさに、1997年にウェブブラウジングしたような感覚です」。

インブルース氏の名前は長年のTechCrunch読者には馴染みがあるかもしれない。彼は以前、2010年のTechCrunch Disruptでスタートアップ戦線を制したQwikiのCEO(Cloudflareが次点の1つだった)であり、同スタートアップは数年後にYahooに買収された

同氏も認めているように、Qwikiはオンラインメディア消費を再構築するという彼の期待には決して応えられなかったが、その「機械で作成されたメディア」のビジョンは、彼がPodzによって切り拓いていきたいと思っている未来の「一端」を垣間見せてくれたという。

このスタートアップが解決しようとしている問題は非常に単純だ。ポッドキャストは多くの場合、30分または60分以上の口語音声で構成されているため、それらを聞くするのは難しく、新しいものを発見したとしても、それは通常、口コミでの推薦や不便な検索ツールを介して行われている。

Headlinerのようなツールは、ポッドキャスターがソーシャルメディア上の短いクリップでコンテンツを宣伝することを簡単にするが、Podzはその作成プロセスを自動化し、それらのクリップをリスニング体験の中心にする。

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Podzモバイルアプリでは、ユーザーは60秒のポッドキャストクリップで構成された、同社が「初の音声ニュースフィード」と呼ぶものを視聴することができる。これらのクリップは、各ポッドキャストの最高の瞬間をハイライトするように設計されており、現在ユーザーが購読しているポッドキャストよりもはるかに幅広いタイトルを簡単に試せるようになっている。それぞれのクリップは独立しているが、より深く掘り下げたい場合は、全エピソードを保存しておいて後で聞くこともできる。

これらのクリップは自動的に作成され、インブルース氏によると「Podzプラットフォームの鼓動している心臓部」は、「ポッドキャストの最も興味をそそる部分を識別する」機械学習モデルだという。このモデルは、ジャーナリストやオーディオ編集者と相談し、10万時間以上のオーディオを使って訓練された。

ここでたとえばTC Original Contentポッドキャストの最新の3つのエピソードから選ばれたクリップを見て(聞いて)みよう。「Soul」「The White Tiger」そして「Bridgerton」に対する我々のレビューだ。各クリップはまあまあ自己完結しているように思え、(より雄弁な共同ホストではなく)すべて私に焦点が当たっていたことには少し落胆したが、Podzの広報担当者は、アプリが「最高密度のスピーカーに焦点を当てるためだ」と説明してくれた。

Podzのニュースフィードは、ユーザーの興味に合わせてパーソナライズされている(そして、そう選択した場合、ユーザーがApple Podcastsでフォローしているポッドキャストや、Twitterでフォローしているアカウントを参考にすることもできる)。インブルース氏は、リスナーの行動を観察しながら、時間の経過とともに賢くなっていくはずだと述べている。

同社のチームは時間の経過とともに、ポッドキャスターのためのより多くの創造的なツールやマネタイズツールを導入していきたいと考えていると彼はつけ加えた。「作成されるオーディオの量を10倍に増やし、オーディオの収益化を100倍にすることができると実際に期待しています」とも。

インブルース氏に加えて、Podzの設立チームには、CTOのSeye Ojumu(セイエ・オジューム)氏、デザイン責任者のRasmus Zwickson(ラスマス・ズウィックソン)氏、iOSリーダーのGreg Page(グレッグ・ページ)氏がいる。同社はM13、Canaan Partners、Charge Ventures、Humbitionの他、前出のクーリック氏、ヒルトン氏(自身のポッドキャストを立ち上げる予定)、ABCのThe Trend ReporterのジャーナリストであるMara Schiavocampo(マーラ・スキアヴォカンポ)氏など、著名なエンジェル投資家からプレシード資金として250万ドル(約2億6000万円)を調達している。

「私たちはオーディオの黄金時代を生きていますが、5000人以上の聴衆に到達しているポッドキャストはわずか1%です」とM13のゼネラルパートナーであるLatif Peracha(ラティフ・ペラチャ)氏はメールで筆者に話してくれた。「Podzは既存のオーディオの視聴者を増やすことを計画していますが、本当の焦点は、クリエイターツールを活用して新しいオーディオを増やすことにあるでしょう。すでに、平均的なポッドキャストリスナーは7つのポッドキャストを購読していますが、Podzでは30近くのポッドキャストをフォローしています。初期の段階では、同社のチームはこのカテゴリで変革的な製品を構築できると楽観視しています」。

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タグ:Podzポッドキャスト資金調達

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(文:Anthony Ha、翻訳:Aya Nakazato)

Spotifyがポッドキャストのサブスクリプションやアラカルト課金のプランを示唆

Spotifyはポッドキャストに対する投資から収益を得る新たな手段を考えていることを再び示した。第4四半期の業績発表でCEOのDaniel Ek(ダニエル・エク)氏は、今後ポッドキャストに広告つききサブスクリプションとアラカルトのオプションのような複数のビジネスモデルが存在することになるとの予測を示唆している。

Spotifyはポッドキャストのプログラム数が220万に増えたことも公表し、ここ数カ月でオーディオフォーマットの需要の増加が見られると述べた。

例を挙げると、Spotifyの月間アクティブユーザーの25%はポッドキャストを聴いており、直前の四半期の22%から増加している。ポッドキャストの消費量も増え、第4四半期の聴取時間は前年同期比で2倍近くになった。

現在、Spotifyプラットフォームでは無料ユーザーも有料ユーザーもポッドキャストを聴くことができ、広告で収益化している。これが同社にとって重要であることには変わりない。同社は最近、ポッドキャストのホスティングと収益化のプラットフォームであるMegaphoneを買収し、ストリーミングに広告を挿入するテクノロジーを他社パブリッシャーに提供すると同時にターゲティング可能なポッドキャストのプログラム数を増やそうとしている。

しかしSpotifyには最近、ポッドキャストを収益化する別の手段を探る動きもある。

たとえば2020年に同社は顧客に対し、ポッドキャスト単体のサブスクリプションに費用を支払うかどうか、支払うとしたらどのようなものにいくら支払うかを尋ねるアンケートを実施した

このとき、アンケートにはコンセプトがいくつか示されていた。

低価格帯のサブスクリプションは、1カ月3ドル(約315円)で広告つきの限定エピソードとボーナスコンテンツを聴けるものだ。これは人気番組の限定コンテンツやその他のボーナスエピソードを提供するStitcher Premiumに似ている。ただしSpotifyが提示しているのは広告つきで、Stitcher Premiumには広告が入らない。

中価格帯はStitcher Premiumにさらに近く、限定番組とボーナスコンテンツがあり広告がないプランが提示されていた。価格もStitcher Premiumと同じく、1カ月5ドル(約525円)となっていた。高価格帯では広告なしのインタビューやエピソードを先行して聴くことができ、1カ月8ドル(約840円)となっていた。

もちろんアンケートはこの種のサブスクリプションに対する消費者の意向を測定するものであり、Spotifyが開発中の新しいプロダクトを示唆するものではない(Spotifyがこのニュースについてコメントを求められたときにこう答えていた)。

しかしSpotifyはポッドキャストに対する相当な投資をどう回収しようと考えているのか、投資家も知りたがっていることは明らかだ。

顧客はポッドキャストに費用を支払うと思うかという質問に対し、業績発表でエク氏は調査対象となるような新しいモデルがいくつかあると思うと答えた。

エク氏は「インターネットでオーディオをどう収益化するか、我々はその長期的な進化の初期段階にいると思います。以前にお話ししましたが、万能な方法はないと考えています。我々にはあらゆるビジネスモデルがあり、それがすべてのメディア企業の未来です。広告つきサブスクリプションとアラカルトのようなものが同じ空間にあり、未来のどのメディア企業もそうなるでしょう」と述べた。

さらに同氏は「Spotifyはそのような戦略とパターンに従うと期待してください」とはっきり補足した。

この答えはSpotifyが最近のアンケートにあったアイデアを検討していることを示唆すると考えられる。消費者は無料ですべてのポッドキャストを聴取したり音楽のサブスクリプションにポッドキャストがバンドルされたりするのではなく、ポッドキャストに費用を支払うようになるということだ。

これは「ポッドキャスト」という言葉の意味を変えることになるかもしれない。現時点ではこの言葉はRSSフィードを利用して無料で配信されている連続もののオーディオプログラムを指している。

もしSpotifyがサブスクリプション以外に費用を支払わないと利用できないポッドキャストやアラカルト方式の課金を選択すれば、それはもはや本当の意味でのポッドキャストではなく、新しいタイプのプレミアムオーディオプログラムだ。

Spotifyが数年にわたって巨額の投資をしてきたことを考えると、同社にとってポッドキャストは十分に成長の余地がある分野だ。SpotifyはこれまでにGimlet MediaやThe Ringer、Parcastなどのコンテンツ制作企業を買収し、Joe Rogan(ジョー・ローガン)氏、Addison Rae(アディソン・レイ)氏、Kim Kardashian West(キム・カーダシアン・ウェスト)氏、DC Comics、Michelle Obama(ミシェル・オバマ)氏、ヘンリー王子とメーガン妃などのトップクリエイターとも契約してきた。Anchorのようなポッドキャスト用ツール、広告テクノロジー、ホスティングサービスも買収した。

広告に加えてサブスクリプションや直接の課金という手段をSpotifyが選ぶとすれば、このように同時に複数の手段で収益化できるのがポッドキャストのアドバンテージとなる。そしてもちろん、音楽ストリーミングのようなライセンス料やロイヤルティも発生しない。

地域の事情や、ポッドキャストコンテンツの聴取と支払いに関する世界中の顧客の好みに合わせ、必要に応じてポッドキャストの課金モデルを調整することもできるだろう。

エク氏は、いずれも近いうちに開始するものではないことも明らかにした。

どのようなモデルになるかについて同氏は「どう実現するかを具体的に検討するのはまだ早いと考えています。しかしその時がくれば、収益構造は音楽とは明らかに異なるものになるでしょう」と述べた。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

SquadCastがリモートにうれしいビデオポッドキャスト録画機能を追加

リモートのビデオポッドキャストは、意外にも未だに西部開拓時代にある。現在、この分野には大金が投じられているため、もっと統一されたソリューションが登場するのを期待したい。2020年、ポッドキャストのほとんどすべてが、リモートになってしまった。しかしその多くは今でも、多機能なリモート会議サービスに、依存して自分の仕事をしようとしている。実はそういう私も、パンデミックの間は自分のポッドキャストをZoomで記録している。

もちろん、いろいろな試行がないわけではない。現在、多くの企業がリモートポッドキャストのZoomやSkypeになろうとして頑張っている。中でもよく知られているのがZencastrだ。SquadCastも、この分野におけるもう1つのビッグネームだ。同社は、すでにユーザー数がかなり多いことを自慢しているが、今でも主な競合相手は、特に専門化されていないビデオ通話アプリなのだ。

これらのプラットフォームは一般的に信頼性が高く、広く利用されているが、録音、録画のクオリティという共通した欠陥がある。SquadCastのセールスポイントは高品質な録音であり、音質のことを最初から考えていないようなサービスと我々は違う、と訴えている。今週、このオークランドの企業は、ビデオの録画機能も追加した

「弊社は新型コロナウイルスの流行前にも成長していたが、パンデミックの間は売り上げも、ユーザーも4倍近く増加した。ビデオの録画はあらゆるユーザーから最も要望の多い機能だったため、ポッドキャストのプロへのバーチャル録画機能の提供は、当然のステップだった」とCEOのZachariah Moreno(ザカリア・モレノ)氏は、プレスリリースで述べている。

既存ユーザーへの本機能提供は、現在の四半期からになる。最新のベータバージョンでは、動画を別のファイルとしてローカルに720pで保存する。録画が終わると、それをMP4やWebMに変換する。

SquadCastのバージョン3.0のベータにはStudio Quality Video Recordingがあり、コンシューマー向けのプランは月額40ドル(約4210円)から300ドル(約3万1580円)まである。Zencastrも2020年夏に、独自の録画機能をベータで提供し始めている。

関連記事:Zencastrが人気が高まるビデオポッドキャストツールを限定版ベータとしてテスト中

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タグ:SquadCastポッドキャストビデオポッドキャスト

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Spotifyが映画監督エイヴァ・デュヴァーネイとの独占ポッドキャスト契約を発表

Spotifyは、ポッドキャストの取り組みにビッグネームを起用し続けている。最新の参加者は、映画監督のAva DuVernay(エイヴァ・デュヴァーネイ)と彼女のアート集団のARRAYだ。

デュヴァーネイ監督は「Selma(グローリー / 明日への行進)」や「A Wrinkle in Time(五次元世界のぼうけん)」などの劇場公開作品を監督してきたが、Netflix向けに「13th(13th -憲法修正第13条-)」や「When They See Us」も制作しており、彼女は自分の物語をより身近に伝える方法としてストリーミングを強く提唱してきた。

Spotifyによると、エイヴァ(・デュヴァーネイ)氏はこの複数年にわたるパートナーシップを通じて、ストリーミングオーディオプラットフォーム向けに脚本つきおよび脚本なしの番組を独占的に制作する予定だという。これらの作品については、Spotifyが2019年に買収したポッドキャストネットワークのGimletと連携する。

デュヴァーネイ監督は声明の中で「声と音の持つ確かな力を認識し、ARRAYのストーリーテリングをポッドキャストの領域にまで広げることに興奮しています」と述べている。「Gimletのコンテンツ責任者であるLydia Polgreen(リディア・ポルグリーン)氏と彼女の情熱的なチームと一緒に仕事をする機会を得たことで、私たちのオーディオ・ナラティブのホームとしてSpotifyに惹きつけられ、新しい創造の旅を始めることができ、これ以上の喜びはありません」。

SpotifyはGimletの買収に加えBarack Obama & Michelle Obama(バラク・オバマとミシェル・オバマ)Joe Rogan(ジョー・ローガン)Prince Harry & Meghan Markle(ハリー王子とメーガン・マークル)とPodcast契約を結んだ。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

出演者や評価などをまとめた広範なポッドキャストデータベースを構築するPodchaserが4.2億円調達

いわゆる「ポッドキャストのIMDb(インターネット・ムービー・データベース)」を構築しているスタートアップのPodchaserが、Greycroftが主導するラウンドで400万ドル(約4億1500万円)を調達したと発表した。

Podchaserは、Amazon(アマゾン)傘下のIMDb同じように、誰がどのポッドキャストに出演しているかを調べ、ポッドキャストの評価やレビューをして、リストに追加できるサイトだ。PodchaserのCEOであるBradley Davis(ブラッドリー・デイビス)氏は筆者に対し「ポッドキャスト愛好家の活発でエキサイティングなコミュニティ」はこれまでにポッドキャストのクレジットを850万件、データベースに追加したと述べた。

デイビス氏は、このようなサイトが存在してほしいし、きっとすでに存在するだろうと思っていたという。ところが実は存在しないと知って、誰か一緒に会社を作らないかとRedditに投稿した。ここで出会ったのが、後に共同創業者でCTOになるオーストラリアのBen Slinger(ベン・スリンガー)氏だ。Podchaserは完全に分散して運営されている企業で、デイビス氏は現在、米国オクラホマシティにいる。

誤解のないように書いておくと、デイビス氏はポッドキャスト愛好家だけがリストを活用しているわけではないと考えている。同氏は、ポッドキャストについて詳しく知りたい人や新しいポッドキャストを見つけたい人なら誰にとってもPodchaserのリストは便利だという。Podchaserの月間アクティブユーザー数はこの1年間で5倍になった。

例としてデイビス氏が説明したのは、政治家のPete Buttigieg(ピート・ブティジェッジ)氏のプロフィールページが人気を集めているということだ。このページを見る人は、ブティジェッジ氏自身のポッドキャストについて詳しく知りたいというだけでなく、同氏が出演している他のポッドキャストも調べている(TechCrunchのEquityMixtapeOriginal ContentのポッドキャストもPodchaserで調べられるが、プロフィールをもう少し詳しく記入する必要がありそうだ)。

どうすればポッドキャストがもっと見つけやすくなるかについての議論は尽きない。デイビス氏は、Podchaserがこの問題をすっかり解決するとは主張していないが、Podchaser自体のデータベースに加えて同社がオーガナイザーとして参加している広範なPodcast Taxonomy(ポッドキャストの分類)プロジェクトが解決の一助にはなるだろうと考えている。

デイビス氏は「多くの用語を標準化し、あらゆるポッドキャストとその人気を分析できれば、(多くのリスナーが)好きなポッドキャストを選んで見つけられるようになるでしょう」という。

Podchaserは、ゲーミフィケーションやディスカッションのシステムなどユーザーがもっと積極的に関わる新機能を追加する計画だ。

コンシューマ向けサイトは無料だが、同社は最近Podchaser Proという有料プロダクトの提供を開始した。Podchaser Proでは180万件のポッドキャストに関してリーチやデモグラフィックのデータを利用できる。また、ポッドキャストプレイヤーがAPI経由でPodchaserのクレジットにアクセスできるようにすることでも収益化している。

デイビス氏は、特定のポッドキャストプレイヤーに「依存しない」データベースを構築することにしたのはPodchaserにとって「ラッキー」だったと語る。

「だから我々はさまざまなプラットフォームと自由に連携し、統合することができました。(ポッドキャストプレイヤーに)Podchaserのクレジットがたくさん表示されるようになるでしょう」と同氏はいう。

Greycroftに加えて、Advancit Capital、LightShed Ventures、Powerhouse Capital、High Alpha、Hyde Park Venture Partners、Poplar Venturesもこのラウンドに参加した。さらにTrendKite創業者のA.J. Bruno(A.J.ブルーノ)氏、Ad Results MediaのCEOであるMarshall Williams(マーシャル・ウィリアム)氏、Shamrock CapitalパートナーのMike LaSalle(マイク・ラサール)氏も参加した。

Greycroftの共同創業者でチェアマンのAlan Patricof(アラン・パトリコフ)氏は発表の中で「パンデミックに直面している中でも、ポッドキャスト市場は猛烈な勢いで成長を続けています。利用者とブランドの需要は止まるところを知りません。Podchaserのデータと発見ツールは、ポッドキャストを新たな高みに引き上げるために極めて重要です」と述べている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Podchaserポッドキャスト資金調達

画像クレジット:Podchaser

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(翻訳:Kaori Koyama)

アップルが新進気鋭のポッドキャスト製作者に光を当てる「Apple Podcasts Spotlight」発表

Apple(アップル)は米国時間1月19日、米国の新進気鋭ポッドキャストクリエイターにスポットライトを当てることを目的とした「Apple Podcasts Spotlight(アップル・ポッドキャスト・スポットライト)」と呼ばれる新しい編集プログラムを発表した。Appleの編集チームは、毎月新しいポッドキャストの製作者を選んで特集を組み、彼らをApple Podcastsアプリの画面で目立つ位置に表示して、ソーシャルメディアやその他の場所でプロモーションを行う。

これによって、App Storeがおすすめアプリやゲームのセレクションを画面上部に大きなバナーで紹介するのと同じように、ポッドキャストクリエイターはより多くのリスナーにリーチすることができるようになる。

最初のスポットライトクリエイターは、ポッドキャスト「Celebrity Book Club」のホストを務める映画監督のChelsea Devantez(チェルシー・ディヴァンテス)氏。毎週金曜日には、チェルシー氏と、脚本家のEmily V. Gordon(エミリー・V・ゴードン)、女優のGabourey Sidibe(ガブーレイ・シディベ)、 Ashley Nicole Black(アシュリー・ニコル・ブラック)、Lydia Popovich(リディア・ポポビッチ)などの特別ゲストが集まり、「badass celebrity women(イカしたセレブ女性たち)」の思い出について話し合うと発表されている。

この番組のアイデアは、1年前にJessica Simpson(ジェシカ・シンプソン)の回顧録を読んでいたデヴァンテス氏が、Instagram(インスタグラム)でその要約を紹介したことから始まった。フォロワーからの反響を受けて、彼女はこのコンセプトをポッドキャストに発展させた。

今後のエピソードでは、アカデミー賞にノミネートされた脚本家でプロデューサーのEmily V. Gordon(エミリー・V・ゴードン)が、Drew Barrymore(ドリュー・バリモア)の自叙伝「Little Girl Lost」について語り、女優のStephanie Beatriz(ステファニー・ベアトリス)がCeline Dion(セリーヌ・ディオン)の自叙伝「My Story, My Dream」について語り、モデルで女優、歌手でもあるLeighton Meester(レイトン・ミースター)がシンガーソングライターのCarly Simon(カーリー・サイモン)のアルバム「Boys in the Trees(男の子のように)」について語る。そしてバレンタインデーの特別エピソードでは、チェルシーとTikTokスターのRob Anderson(ロブ・アンダーソン)が、Burt Reynolds(バート・レイノルズ)とLoni Anderson(ロニ・アンダーソン)の相反する離婚の回顧録を読む予定だ。

「Apple Podcasts Spotlightは、非凡な声を持つクリエイターに光を当てることで、リスナーが世界最高の番組を見つけるためのお手伝いをします」と、Apple Podcastsのグローバルビジネス責任者であるBen Cave(ベン・ケイブ)氏は、今回の発表について声明で述べている。「チェルシー・ディヴァンテス氏は、Celebrity Book Clubという番組で、私たちが知っていると思っていたセレブリティについて、リスナーが新たな視点を得られるように、楽しくて活気のある空間を創り出してきました。私たちは、チェルシーとCelebrity Book Clubを、Spotlightの第1回目のセレクションに認定することができてうれしく思います。また、チェルシーのようなクリエイターを毎月リスナーに紹介していくことを楽しみにしています」と付け加えた。

Appleによると、今後のSpotlightのクリエイターはポッドキャストの様々なジャンル、フォーマット、地域の中から選ばれ、毎月発表されるという。また、これまであまり採り上げられたことのないインディペンデントなポッドキャストにも、しばしば焦点を当てていくそうだ。コンテンツは選考に先立って質を確認するためにプレビューされるが、ポッドキャストのサイズやリーチについては特に問わない。

基本的に、Spotlightのクリエイターは最初の週に向けて発表されるが、具体的な日にちは祝日や大きな文化イベントなどに合わせて流動的だ。たとえば次のSpotlightのセレクションは2021年2月中旬に発表される。

Spotlightのクリエイターは、Apple Podcastsの「ブラウズ」タブの上部に掲載され、Apple Podcastsのソーシャルメディアアカウントを通じて宣伝される。アプリ内での特集は、クリエイターが「スポットライト」を浴びている間はずっと継続される。

Appleによれば、特集されるクリエイターとApple独自のチャンネルでコラボレーションすることもあるという。今後は米国の主要都市での屋外広告など、Appleが運営するチャンネルでもプロモーションが行われるようになる。

今回の新しい編集プログラムのニュースが発表されたのは、テクノロジー業界メディアのThe Information(インフォメーション)が、Appleはポッドキャストのサブスクリプションサービスの導入を計画していると報じた直後のことだった。Appleが取り組んでいるポッドキャストプラットフォームの拡大は、Spotify(スポティファイ)やSiriusXM(シリウスXM)、Amazon(アマゾン)などの競合企業にとって脅威になるだろうと、その記事には書かれていた。

Apple Podcastsはまだ市場をリードしているが、SpotifyはAnchor(アンカー)、The Ringer(リンガー)、Gimlet Media(ギムレットメディア)、そして最近ではポッドキャスト広告会社のMegaphone(メガフォン)といったポッドキャスト企業に8億ドル(約831億円)以上を費やし、Appleに追いついてきている

一方、SiriusXMはポッドキャスト管理・分析プラットフォームのSimplecast(シンプルキャスト)、アドテックプラットフォームのAdsWizz(アズウィズ)、ポッドキャストアプリのStitcher(ステッチャー)を買収した。取り残されないように、アマゾンは数週間前、ポッドキャストネットワークのWondery(ワンダリー)を買収すると発表した。

Appleによると、このプログラムの大きな目標は、クリエイターのオーディエンス増加を支援するだけでなく、ポッドキャスト全般に新しいオーディエンスを迎えることだという。

ポッドキャストの人気は高まっているが、Edison Research(エジソン・リサーチ)によると、米国では1カ月あたりの集計でポッドキャストを聴いている人の数はわずか37%にすぎないという。つまり、現時点では、米国の人口の大多数に人気のあるアクティビティにはほど遠いということだ。Appleがサブスクリプションサービスを導入して効率的にポッドキャストを収益化するためには、まず定期的にポッドキャストを聴く人の数が増えるように働きかける必要がある。

このプログラムが後日、米国以外の地域にも拡大するかどうかについて、Appleは明らかにしなかった。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

TwitterがソーシャルポッドキャスティングアプリBreakerを買収、Twitter Spacesの開発を支援

米国時間1月4日、Twitter(ツイッター)はソーシャルブロードキャストアプリBreakerを買収したことを、ブログとツイートの両方で発表した。これによりBreakerのチームはツイッターに加わり、同サービス上に「公開される会話の健全性を改善」し、またツイッターが新たに立ち上げた音声によるネットワーキングプロジェクトであるTwitter Spacesに力を貸すことになる。Breakerアプリは、2021年1月15日に閉鎖する。

Breakerは買収を同社のブログで発表し、チームがツイッターと相性が良いと信じる理由を述べている。

「Breakerで私たちは音声によるコミュニケーションを真剣に追究してきましたが、その際、私たちはツイッターが世界中の人びとに公開会話の便宜を提供しているやり方を参考にしてきました」とBreakerのCEOであるErik Berlin(エリック・ベルリン)氏は書いている。そして「私たちはツイッターにおける起業家精神に感銘を受け、また同社のチームが作っている新しい体験を感動をもって迎えている」そうだ。

Breakerは2016年に創業され、当時のリーダーはソーシャル広告企業140 Proofの創業者でCTOだったCEOのベルリン氏と、以前にPownceとGroveを創業し、ウェブ技術のOAuthとoEmbedを共同開発したCTOのLeah Culver(リア・カルバー)氏だ。なお、その後140 ProofはAcuityが買収している。

Breakerアプリは、ポッドキャストが音声によるフィードで生産性ツールの一種と考えられていた時期にローンチした。当時、ポッドキャストを軸にコミュニティを作れることは、ほとんど見過ごされていた。Breakerはポッドキャストのそういう受け取られ方を変えようと努力し、ユーザーが「いいね」を付けたり、エピソードにユーザーがコメントを付ける機能や、友だちをフォローして新しいポッドキャストを見つけたり、好きな番組をソーシャルメディアで共有する機能などを加えてきた。

カルバー氏のツイートによると、彼女はツイッターでTwitter Spacesに専念することになる。それは音声によるソーシャルネットワーキングプロダクトで、Clubhouseのライバルだ。ツイッターのユーザーはSpacesで、これまでのようなテキストでなく、音声によるリアルタイムのチャットを行う。Spacesは、2020年12月にベータテストに入っている。そして現在は、技術的な問題やバグだけでなく、モデレーションなど、ライブのオーディオのホスティングにともなう問題に取り組んでいる。

別のツイートでは、ツイッターのEngineeringのリーダーであるMichael Montano(マイケル・モンターノ)氏が、ベルリン氏とカルバー氏、そしてBreakerのデザイナーであるEmma Lundin(エマ・ルンディン)氏が買収によりツイッターに移籍することを確認している。

彼はベルリン氏とカルバー氏の起業家精神と、カルバー氏の長年のオープンスタンダードへの貢献を賞賛している。

コメントを求めるとツイッターはモンターノ氏のツイートを指摘したが、買収の価額や今後の計画などについての詳細は得られなかった。

Breakerによると、同社は数日後にこれまで何年もかけて開発してきたアプリとサービスを閉鎖する。

2021年1月15日にBreakerは永久に閉鎖する。それまでBreakerのユーザーは、自分のOPMLファイルをエクスポートして、自分のサブスクリプションを他のポッドキャストアプリへ移すことができる。Breakerが勧めている代替アプリは、Apple、Spotify、Stitcher、Overcast、Pocket Casts、そしてCastroなどだ。Breaker上でポッドキャストをホスティングしている人は、RSSフィードでそれをどこかへ移せる。

Breakerの買収のほかにも、最近はポッドキャストのM&Aがいろいろある。しかしBreakerの場合はポッドキャストのコンテンツではなく、そのスタッフと技術が対象だ。というのもツイッターは従来から、自作のコンテンツを提供するサービスではなく、他人のコンテンツ(発言など)をまとめるだけであるため、既製のコンテンツを必要としない。

Breakerの買収は、価額の公表はないが小額の取引だろう。つまり、同社がBig Tweet(ツイッターのあだ名)にエグジットしたことは、同社としての流動性を見つける1つの方法だったとしても、しかし一般的な評価としては、ポッドキャストサービスやコンテンツのポッドキャスティングには、それほど大きな企業価値はないことが通説だ。

この買収の数週間ないし数カ月前には、ポッドキャストのコンテンツをめぐる買収案件がいくつかあった。それには、Amazon(アマゾン)によるWonderyの3億ドル(約308億9000万円)の買収(Tubefilter記事)や、SiriusによるStitcherの3億ドルの買収(The Wrap記事)などがある。そして、最近次々とコンテンツの買収を繰り返しているSpotifyもそんな動きの仲間だ。

今回のポッドキャスト買収も3億ドルだった、という話が早くもジョークとして広まっている。「3億」は一見大きな額に見えるかもしれないが、ベンチャーキャピタリストが狙うほどのエグジットではない。Breakerとツイッターの提携も、ポッドキャストに焦点を当てた企業を作ることは、それほど大きくない未来を自ら認めることだとする考え方を否定するほどのものではない。

もちろん、ベンチャーキャピタリストが2021年にはポッドキャストへの投資から手を引くと主張するつもりはないし、Breakerの買収が個人投資家は投資すべきでないという説の根拠になるわけでもない。

今回の勝者は、Breakerよりもむしろツイッターだ。音声によるソーシャルネットワークという、今後バズりそうな2021年の新しい市場に入っていくための鍵となる人材を同社は手に入れた。パンデミックで人びとが家に閉じ込められたことが、この新市場の契機かもしれない。カンファレンスもパーティーもなくなった現在、多くの人がオンラインでつながるためのもっと良い方法を探している。

しかし、オンライン中毒とモデレーションの失敗で苦戦してきたツイッターが、音声ネットワークをユーザーがチャットする安全な場所にできるだろうか。それとも、ツイッターが現在、直面している問題が増幅されるだけだろうか。そしてもう1つの心配は、新型コロナウイルスが収束して人びとが再びリアルで会えるようになったとき、Twitter Spacesのような音声によるネットワーキングに未来はあるのだろうか。

関連記事:Twitterが音声によるソーシャルネットワーク機能「Space」のベータテストを開始

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アマゾンが米国で第4位のポッドキャストネットワークWonderyを買収

Amazon(アマゾン)は「Dirty John」や「Dr. Death.」などのポッドキャストを運営するネットワークのWonderyを買収(Amazonリリース)すると発表した。

Wonderyポッドキャスト(オリジナル番組を含む)のサポート(未訳記事)を追加したAmazon Musicの一部となる。発表では「リスナーにとっては何も変わりません」としており、同ネットワークのポッドキャストは今後も「さまざまなプロバイダー」から利用できる。

メディア企業やストリーミングオーディオプラットフォームはいずれもポッドキャストに大きく賭けており、Spotify(スポティファイ)はポッドキャストネットワークのGimlet(未訳記事)を、SiriusXMはStitcherを(未訳記事)、The New York TimesはSerial Productionsを買収するなど、続けて買収を行っている。アマゾンはこの市場に比較的遅れて参入しているが、他社に追いつくために人気ポッドキャストメーカーのサポートを受けることになる。

「Amazon Musicを利用することで、Wonderyはさらに高品質で革新的なコンテンツを提供でき、視聴者がどこで聴いていてもエンターテインメントと知識の世界をもたらすという使命を継続することができます」と、アマゾンは述べている。

買収の金銭的条件は明らかにされていない。アマゾンによるWonderyの買収交渉が進行中であり、評価額は約3億ドル(約310億円)だとThe Wall Street Journalは以前報じていた

このスタートアップは、2016年にFoxの元幹部のHernan Lopez(エルナン・ロペス)氏(未訳記事)によって設立された。Podtracの調査によると、Wonderyは2020年11月のポッドキャストパブリッシャーとして第4位に位置しており、米国では900万人以上のユニークリスナーがいるという。

Crunchbaseによると、WonderyはAdvancit Capital、BDMI、Greycroft、Lerer Hippeauらから合計1500万ドル(約15億円)の資金を調達している。

関連記事:NYタイムズが人気ポッドキャスト制作スタジオSerialを約27億円で買収

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タグ:Amazonポッドキャスト買収

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

ポッドキャスト用ホームページを簡単に作れるスマートなツールPodpage

ポッドキャストのホームページなんて、自分の番組を立ち上げるまでは気にしたことがない。いや、正直にいって、自分でやるようになってもホームページについて考えたことはない。そこで、私の番組の多くまたはほとんどはTumblrのページを使っている。それはまぁせいぜい2020年の喜ばしいニュースだろう。

ホームページを気にしないポッドキャスターが多いのは、それを聴く人の多くがプラットフォームに依存しているからだ。いつも大量のポッドキャストを消費する人は一般的に、1つのプラットフォームやアプリしかそのために使っていない。それがApple Podcastsの場合もあれば、Spotify、Google(グーグル)、Stitcher、Castboxなどであることもある。しかし、ソーシャルメディア上で自分の番組を宣伝するのなら、プラットフォームを特定しないリンクが最も有効だ。

米国時間12月29日、Podpageでちょっと遊んでみた。この新しいアプリを作ったBrenden Mulligan(ブレンデン・マリガン)氏は、アプリのデベロッパー向けツールボックスLaunchKitの創業者だが、そのツールは2016年にGoogleが買収した。Podpageアプリはずっと健在だったが、マリガン氏は一部をアップデートし、最近ではProductHuntに掲載された

まだ勉強中だが、基本的にはプラグ&プレイで起動して実行するが、それ以上のカスタマイズも可能だ。参考までに、今朝ぼくのポッドキャスト「RiYL」のために作ったのがこれだ

画像クレジット:Brian Heater

2時間も経つと、長く使っていたTumblrを止めてこのサービスを使おう、という気になってきた。私のページは現在のところかなりシンプルだ。シンプルなものを目指しているところもあるが、自分にエピソードのアートを更新する才能がないせいでもある。だから、やることも限られている。いつか、雨の日には400以上のエピソードを処理することになるだろう。

最初に、ポッドキャストの名前を入力する。そこからサービスは仕事を開始し、適切な情報を拾い上げてページを作る。それから、Patreonのような収益化の方法と、関連するすべてのソーシャルメディアを加える。このように目的指向のサービスの良い点は、適切な情報のすべてを一点に集めることだ。サイドバーにはさまざまなポッドキャッチャーの分類があり、それらの番組を聴ける。また、番組の最新情報を得るための登録フォームがある。

下の方には、さまざまなポッドキャスティングサービスから選んだレビューがある。その上のリンクは、フィードバックを送る先のサービスだ。サブスクリプションのリンクや連絡先のフォームもあるため、個人情報を教えなくてもいろんな人からメールをもらえる。フォームで渡された注記は、それに結びついているメールへ送られる。

ベーシックなユーザー体験は無料で、現在は2つのアップグレードオプションがある。月額5ドル(約520円)では自分のウェブサイトでホストでき、12ドル(約1240円)ならたくさんのカスタマイズオプションと機能の揃ったウェブサイトを利用することができる。たとえばブログもあるし、書き起こし機能もある。

関連記事:アプリのローンチツールを提供するLaunchKitがGoogleに買収され、デベロッパーのために製品をすべてオープンソース化

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タグ:ポッドキャストPodpage

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Spotifyが英ヘンリー王子とメーガン妃との複数年のポッドキャスト契約を締結

ポッドキャストの独占配信で競合他社に打ち勝つ最新の試みとしてSpotify(スポティファイ)は米国時間12月15日朝、サセックス公爵のPrince Harry(ヘンリー王子)とサセックス公爵夫人のMeghan Markel(メーガン・マークル)妃が設立したArchewell Audioと複数年契約を結んだと発表した。金銭的な詳細は明らかにされていないが、知名度やこれまでの独占契約の費用を考えると、同社がかなりの金額を支払ったのは間違いなさそうだ。

最初のポッドキャストシリーズは2021年のいずれかの時点で配信される予定で、他のすべてのSpotifyポッドキャストと同様、無料で聴くことができる。しかしそれに先立ち、ArchewellとSpotify傘下のGimletは、公爵夫妻が共催するホリデースペシャルをリリースする。想像通り、これは2020年12月中にリリースされる予定だ。そして契約期間中は、彼らは番組の制作とホストの両方を担当する。

以下は、Spotifyに提供された2人の共同声明だ。

ポッドキャスティングの好きなところは、私たちみんなが時間を割いて本当に耳を傾け、気を散らさずにお互いにつながっていることを思い出させるところです。2020年の課題に直面しているいまほど、重要なときはありません。なぜなら、私たちはお互いの話を聞き、お互いの話を聞くことで、どれだけ相互につながっているかを思い出すからです。

Spotifyはここ数年、数億ドル(数百億円)をかけてポッドキャスティングコンテンツのライブラリーを構築してきた。2020年11月、音楽ストリーミングサービスは広告会社のMegaphoneを2億3500万ドル(約243億6000万円)で買収した。他にもGimlet、The Ringer、Parcast、Anchorなどの買収が注目を集めている。同社はまた、物議を醸したホストのJoe Rogan(ジョー・ローガン)氏と1億ドル(約103億7000万円)を超える複数年契約を結んでいる。

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画像クレジット:Dinendra Haria/Anadolu Agency/Getty Images

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

mikme pocketはポッドキャスター、リポーター、クリエイターに最適なモバイルオーディオソリューション

携帯型のオーディオ録音ソリューションは数多くあり、最近発売された数々のデバイスには、ポケットに入れて持ち運べる録音デバイスの利便性と品質を向上するためのさまざまな取り組みがなされている。これはスマートフォンとそのビデオ録音機能の継続的な進化によっても促進された。オーストリアのmikme社が提供する新しいデバイスmikme pocket(369ユーロまたは450米ドル弱、日本円で約4万7000円)は、非常にポータブルなパッケージながらきわめて高い柔軟性と品質を実現し、レポーター、ポッドキャスター、ビデオクリエイターたちに究極のポケットサウンドソリューションを提供する。

製品の概要

mikme pocketは小ぶりで、スマートフォンの約半分の大きさだが、スクエア型で厚さはスマートフォンの2倍程度だ。Rode Wireless GOほどコンパクトではないが、オンボードメモリとBluetoothアンテナを内蔵しており、最大3つのmikme pocketから音声をローカルに録音し、接続されたスマートフォンに直接送信することができる。

mikme pocketには、コントロール用のボタンだけでなく、専用の音量ボタン、オーディオをモニターするための3.5mmヘッドフォンジャック、充電および物理的な接続を介してファイルをオフロードするためのマイクロUSBポート、Bluetoothペアリングと電源ボタンが付いている。内蔵のベルトクリップとマイクスタンド用の3/8インチ(約9.53mm)のネジ式マウントがあり、1/4インチ(約6.35mm)の標準的なカメラの三脚接続用アダプターが付属している。

商品の箱の中には、mikme pocket向けのインターフェースであるミニXLRコネクター付きのラベリアマイク、マイク用のクリップと風よけのウィンドスクリーンが2つ入っている。また、付属のラベリアマイクよりも音質とダイナミックレンジの点で優れた性能を発揮する「プロ仕様」のラべリアマイク(mikme lavalier pro microphone)が別売されている(149ユーロまたは約180米ドル、日本円で約1万9000円)。

画像クレジット:mikme

 

mikme pocketの内蔵バッテリーは最大3.5時間の録画時間で、録画の合間のスタンバイモードでは6か月以上持続する。

デザインと性能

mikme pocketはかなり飾り気のない黒いブロックのような姿ではあるが、その控えめなデザインが強みのひとつだ。マットな質感が特徴で、ダークな服装であればほとんど目立たず、ベルトクリップが内蔵されているので声を拾おうとしている対象の人物に容易に固定できる。制御を簡素化するため大きなボタンが1つだけ装備されており、LEDバックライトを使用して接続状態を簡単に確認することが可能だ。

Bluetooth接続やmicro-USBポートなど、より高度な機能のためのコントロールは、録音中に誤って圧力がかかることのないように底部に位置している。マイク用のミニXLRインターフェースは、マイクが差し込まれるとその位置にしっかりとロックされ、セッション中にずれないようになっている。

16GBの内蔵ローカルストレージを備えるmikme pocketはもちろん単独で使用できるが、スマートフォンアプリを使うことでさらにその良さが光る。アプリは最大3つのmikme pocketを同時に接続することができ、内蔵ビデオレコーダーを備えているので、iPhone 12のような最新デバイスの録音機能をフルに活用して、撮影しながらリアルタイムで同期したオーディオを簡単に取り込むことができる。mikme pocketとアプリにはフェイルセーフ機能も内蔵されており、ローカルでの録音バックアップにより、接続が途切れることで生じるギャップを埋めることができる。

音質の面では、セッティングを調整することなく生み出されるサウンドが素晴らしい。他のラベリアマイクと同様、実際のマイクカプセル自体をスピーカーの口元に近づけるほどより良い結果が得られるが、細かい設定を施さなくても、特別に遮音性がない、またはバックグラウンドノイズがない環境であれば、非常にクリーンで高品質なオーディオが生成される。

同梱されているミニXLRラベリアマイクはほとんどのアマチュアや愛好家のニーズに対応しているが、lavalier proは、特にデスクトップオーディオ編集ソフトウェアを介してポスト処理を行うことで録音を最大限に活用したい人にとって、秀逸のアップグレードオプションだ。mikmeアプリにはオーディオの微調整コントロールが内蔵されており、リアルタイムで微調整処理の効果を聞くことができる素晴らしいビジュアルインターフェースを備えている。これは、デバイスからソーシャルネットワークまたは公開プラットフォームに直接クリップやビデオを共有する前に、外出先で音質を最大限高めるのに最適だ 。

総合評価

携帯電話用のショットガンマイクからハンドヘルドレコーダーまで、外出先での録音にはさまざま選択肢が存在する。そうした中でmikme pocketは、高音質なサウンドをすぐに配信できる状態にし、どこへでも持ち運びやすく、耐久性と使い勝手の良さを兼ね備えたパッケージで、初心者にもエキスパートにも適した特性を有している。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:ガジェット レビュー ポッドキャスト

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(翻訳:Dragonfly)

Apple Podcastのウェブ埋め込みが可能に

Apple(アップル)はウェブ経由でポッドキャストを簡単に見つけ、聴くことができるようにする。同社は米国時間11月16日、Apple Podcastsの埋め込みウェブプレーヤーが利用可能になったと発表した。クリエイター、リスナー、マーケターを含む誰もが、Apple Podcastsサービスで利用可能な150万以上の番組の埋め込みコードを生成できるようになる。

コードはウェブ上のApple Podcastsのプレビューページ、またはApple Podcasts Marketing Toolsのウェブサイトから生成できる。

前者の場合、まず番組または個々のエピソードのプレビューページで共有アイコンをクリックする。​すると、左側に新しい「embed(埋め込み)」ボタンが表示される。

後者の場合は、Marketing Toolsのウェブサイトに埋め込みたいポッドキャストやエピソードのURLを入力し、ページの一番下までスクロールして埋め込みプレーヤーのオプションを表示する。

プレイヤーの高さと幅のオプションを自分の好みに合わせて調整することも、デフォルトの450×660ドットのままにしておくこともできる。コードを取得する準備ができたら「Copy Embed(埋め込みをコピー)」ボタンを選ぶだけで、クリップボードにコードがコピーされ、他の場所に貼り付けることができる。

閲覧者は組み込みウェブプレーヤーからエピソードを再生したり、iOS、iPadOS、またはmacOS用のApple Podcastsアプリケーションを開いてプログラムの詳細を確認したり、既存のポッドキャストサブスクリプションに追加したりすることで、すぐにポッドキャストが楽しめる。

この新機能は、アップルがお気に入りのオーディオ番組をフォローするために独自のアプリを使用しているポッドキャストリスナーの聴衆を維持し、成長させることを目的としている。さらに現在はSpotify(スポティファイ)に代表されるライバルが、ポッドキャストへの投資を増やしている最中だ。Spotifyはポッドキャストスタジオや広告技術の買収を続ける一方で、ポッドキャストのクリエイターやリスナーのためのツールや機能も追加している。Spotifyもすでにポッドキャストの埋め込み機能を提供しており、ユーザーを自社サービスに誘導しようとしている。

アップルによると、Apple Podcastsのウェブ埋め込み機能は米国時間11月16日から広く利用できるようになるという。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Appleポッドキャスト

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

Spotifyがポッドキャストのホスティングと広告会社のMegaphoneを約250億円で買収

最近ミュージシャンの報酬をめぐる問題で批判を浴びている​Spotify(スポティファイ)だが、ポッドキャスティングに関していえば巨額の資金がある。米国時間11月10日朝、同社は2億3500万ドル(約250億円)でMegaphone(CNBC記事)を買収したことを認めた(Spofiyリリース)。

Megaphoneは​2015年2月にThe Slate GroupによってPanopolyとして設立され、2019年に現在の名称に再ブランド化された。当初はBuzzfeed、The Wall Street Journal、Voxなどの有名メディアブランド向けの主要なポッドキャストを多数制作していた。​しかしブランド変更に合わせ、ホスティングや広告ツール、配信といったバックエンドの懸念事項に注力するため、編集作業を中止していた。

Spotifyはすでにホスティングサービスの利用などで、Megaphoneとパートナーシップを結んでいた。​今回の買収は主に、同社の広告ツールに焦点を当てているようだ。​Spotifyはプレスリリースで、「SpotifyとMegaphoneはPodcastのパブリッシャーに、より多くの収入を得るための革新的なツールを提供すします」と述べた。​「これにより彼らのコンテンツを収益化し、忠実なリスナーと広告主からのさらなる需要をマッチングするために、オプトインする機会が含まれます」と述べている。

Megaphoneの買収は、Spotifyが最近ポッドキャスト事業を中心とした買収の中でも最新のもので、その額は数千万〜数億ドル(数十億〜数百億円)に及ぶ。​これはメディア大手の1社になるという、同社の長年の夢を実現するための一歩となるはずだ。

買収した企業のリストにはGimlet、The Ringer、Parcastなどのコンテンツ制作企業や、Anchorなどのテクノロジー企業も含まれている。​2020年5月には非常に大人気のポッドキャスト番組「Joe Rogan Experience」の独占権を、1億ドル(約105億円)以上で購入した。この買収は物議を醸している同番組の題材に異議を唱えている従業員の間で、いくらかの不安を引き起こしたとされている。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

ポッドキャスト広告におけるビジネスインテリジェンスの問題

著者紹介:クリスティーナ・ルビーノ氏は、Right Side Up(ライト・サイド・アップ)社のマーケティングエグゼクティブとして、オフラインにおけるグロースマーケティング活動を主導している。

グラント・ドゥランド氏は、現在、グロースマーケティングのリーダーとして、ライト・サイド・アップ社においてポッドキャストおよびオフライン広告のコンサルティングを行っている。

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ポッドキャストの利用とエンゲージメントに関する統計情報の収集と公開には、かなり重大な問題が数多く存在している。このメディアの分散型特性のために広告技術がいまだに発展途上であることも相まって、ユーザーの利用状況、広告の露出と効果を把握することが難しくなっている。また、 マーケターがこれらのチャネルで直面する課題についても、誤報や誤解が数多く見られる。

こうした問題はどれも新規および追加の広告投資を妨げ、チャネルにおける投資関係者全員のビジネスチャンスを奪うことになるため、クリエイターやパブリッシャー、ネットワーク関係者にとって広告収入の成長を阻害するものとなっている。業界全体に求められていることは、無料の統合レポートソリューションや新しいビジネスベンチャーを活用してより包括的なデータの収集と公開を行い、最終的にそれをポッドキャスト広告の成長につなげることだ。

ポッドキャストの配信、利用、コンバージョンに関する分析については、常に課題が指摘されてきた。ある業界では、2021年の広告費が10億ドル(約1050億円)を超えると推定されているが、驚くべきことにその広告にはRSSが使用されるという。確かに安定した技術ではあるが、数十年前の、文字通り大変シンプルな配信技術である。このテクノロジーにはデータフローが単方向であるという特性がある。公開が容易であるため普及率は高く、クリエイターにとってもコンテンツを共有しやすいメディアではあるが、広告主にとってはパフォーマンスを測定して広告費の投資先を決定するのが難しいという欠点がある。さらに、このメディアに特有の、クリエイター、サーバー、配信先やエンドポイントが分散しているという状況が、この問題をさらに複雑にしている。

クリエイター側では、Art19(アート19)Megaphone(メガフォン)Simplecast(シンプルキャスト)などといったホスト統合サービスの増加や、IABの影響を受け、ポッドキャストの配信分析の正規化が始まっている。一方、広告主側では、消費やコンバージョンの分析がいまだ大幅に遅れている状況にある。我々のようなパフォーマンス重視のマーケターや、我々がサポートするような成長著しいテクノロジー企業にとって、広告費の投資利益率を測定することは必須である。

ポッドキャストはビジネスインテリジェンスの点で他のメディアチャネルよりも遅れているため、消費者へのリーチ力や購入行動に与える影響が大きい割に、十分な投資がなされていない。このことは、今年の新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、ポッドキャスト広告に非常に関心を持っている広告主や、すでに多額の投資を行っている広告主から、「新型コロナウイルス感染症とそれに伴うライフスタイルの変化により、ポッドキャストの利用状況も影響を受けているのか。受けているとすればどのような影響か」という非常に基本的な質問が出されたことからも分かる。

分散型ポッドキャストの広告データにおける課題

信頼できるパートナー企業に、それぞれの番組の現状について取材した。Acast(エーキャスト)でセールスおよびブランドパートナーシップの米国ディレクターを務めるNick Southwell-Keely(ニック・サウスウェル・キーリー)氏によると、「パンデミックにもかかわらず、ポッドキャストの再生回数はこれまでで最多となっている。[7月]には、1万件を超えるポッドキャストエピソードを含むポートフォリオ全体で、再生回数がエーキャスト史上最高の日が発生した」という。実際、他のほとんどのパートナー企業から同様の情報が得られた。しかし、このようなデータは集計されていないため、1社だけへの取材や1本のレポートだけで全体像を把握することはできなかった。さらに重要なこととして、それぞれのパートナー企業から得られたような情報を証明するサードパーティーの見解も発表されていないのだ。

広告のパブリッシャー、代理店、関連企業からは、質問への回答が多数寄せられた。それにもかかわらず、数か月経った今でさえ、何かが生じたのか、生じたとすれば実際にはどのようなことか、それは現在も続いているのかといった問いに対し、チャネル全体の一元的かつ本質的な情報は得られていない。むしろ、マイクロトレンドを特定してそこに資金を供給できるよう、引き続きさまざまなパートナー企業に対する調査を行っている。このような現状は、有料検索メディアや有料ソーシャルメディア、「従来の」接続型メディア(TV、CTV/OTTなど)といったネイティブなデジタルチャネルとは対照的だ。そのようなチャネルでは、メディアに投資する際の参考となる統合レポートをマーケターに提供しているためだ。

新型コロナウイルス感染症の流行により露呈したポッドキャストメディアの不透明な挙動は、分散型の(あるいは、存在しない)世界的な調査ベンダー/企業が直面している課題や、広告主の収益が受けている可能性がある影響に関する最近のケーススタディの1つにすぎない。分かりやすい例を挙げよう。ある広告主は、ダウンロードに関するレポートを取得できず、投資の効果が得られないことを心配し、配信不足を恐れるあまり、定額料金単位の広告をキャンセルしたため、収益増加のチャンスを逃す結果となる。広告業界にとって、ポッドキャストの広告費が予測額を超えることよりも、このような基本的な欠点について説明することの方が重要と言えるだろう。

投資の効果が得られないことを心配する広告主は、配信不足を恐れるあまり、広告をキャンセルし、収益増加のチャンスを逃してしまうかもしれない。

指標やインテリジェンスが不明確なポッドキャスト広告に希望があるとすれば、それは優秀なグロースマーケターたちがこの新しいメディアを採用し、それを最大限に活用してパーソナライズした広告を使ってコンバージョンを増やそうとしていることである。それらの「ベテランたち」は、需要と料金がデータとともに増大する広告業界において、今のところ比較的目立たない存在であるポッドキャスト広告を巧みに活用している。

Babbel(バベル)でオフライングロースマーケティングのシニアマネージャーを務めているAriana Martin(アリアナ・マーティン)氏は、次のように述べている。「一方、パーソナリティーによる読み上げ広告を使ったポッドキャストマーケティングは、パーソナリティーの技量に依存するという側面もあり、時代やポッドキャストの内容によって効果が変化する可能性がある。このような要素が関係するため、ポッドキャストマーケティングがデータのみで単純に判断できるものになるとは言い切れない。ポッドキャストのデータは限られているという点を受け入れた上で、例えば、ポッドキャスト[広告]による売上を[アンケート調査]で特定する[など]、結果を判断するための基準があるのであれば、ポッドキャストは非常に有用だと言える」。

では、革新的ではあるものの、少数のブランドだけが利用している秘密のチャネルのようなポッドキャスト広告が、業種や業界全体に普及するために必要なものは何だろうか。

ここからは、ポッドキャスト関連のデータが普遍的ではないという問題と、その問題が広告主やパブリッシャー、サードパーティーの調査/追跡組織、そして広い意味ではポッドキャストのエコシステムにどのように損失となるかについて説明しよう。また、ポッドキャスト広告の利用率を増やしていくためのステップや、業界の今後の展望についても概説していく。

ポッドキャストの測定に関連した根強い誤解

1. ダウンロードの標準化

多くの記事では、注目を集めているこの成長中のチャネルが、より確立されたメディアタイプと比べて広告収入の点でどれほど遅れているかについて、正規化されていない「リスナー」数や「ダウンロード」数を根拠にしようとしている。ライト・サイド・アップ社は、直接の広告主によって実行されるスケーリング済みプログラムのほとんどをサポートしており、DR購入力においては業界トップ3に入っているが、把握している限りでは、ほとんどのパブリッシャーはIAB Podcast Measurement Technical Guidelines(IABポッドキャスト測定テクニカルガイドライン)バージョン2.0を採用している。

さまざまなネットワークや番組において、CPM計算の基礎成分となる変数、つまり非標準的な「ダウンロード」を測定する際にこのガイドラインを使用できるため、同じ基準による比較が可能となった。このガイドラインが広く採用される前は、あるパブリッシャーが言う「ダウンロード」と別のパブリッシャーが言う「ダウンロード」が同じものかどうかを判断できなかったため、特定のCPMを使ってパフォーマンスマーケティングの成果を予測することが困難だったのである。

ただし、Chartable(チャータブル)のCEOであるDave Zohrob(デイブ・ゾロブ)が指摘しているように、IAB 2.0ガイドラインはユニークユーザーの識別に関する問題を完全に解決しているわけではない。「ある種の匿名化されたユーザー識別子を使用してリスナーの規模を適切に計算することが望まれる。IABガイドラインでは、手元のデータに基づく概算が提供されるが、それぞれのIPまたはユーザーとエージェントの組み合わせが表す実際のリスナー数を知ることができれば、大変有用だろう」。

2. 広告配信の証明

多くの記事で成長阻害の原因として指摘されている2つ目のビジネスインテリジェンスの問題は、「配信証明」がないことである。広告のインプレッションを確認できず、チャネルに投稿ログがないため、ポッドキャストの広告主がスポットの実行を確認するためには、ポッドキャスト広告そのものの「エアチェック」(録音された音声の確認)を行う必要がある。

昔からポッドキャストを使っている広告主は、未熟なスタッフからなるフルタイムのチームから電話やメールで面倒なエアチェックを求められたことや、時にはスポットの実行確認に1週間以上もかかったことを記憶している。このように正確な支出レポートを提供するのに時間がかかったため、パフォーマンスを重視するマーケターの迅速な要望に応えられず、ポッドキャストは遅く、柔軟性がなく、融通が利かないメディアタイプであるという印象を与える結果となった。

エアチェックの収集が体系的に行われるようになったことは、費用の検証だけでなく、創造的なコンプライアンスと最適化という点でも、ポッドキャスト広告への信頼を高める出来事であった。興味深いことに、これらのサービスを提供している企業が主に行っているのは実際には別のビジネスであり、ほとんどの場合、この機能は別の開発過程における副産物として誕生している。例えば、我々の良きパートナーであるMagellan AI(マゼランAI)は、本来、優秀なインテリジェンスプラットフォームであるが、広告主にとってエアチェックが問題となっていることに気付き、このサービスも提供するようになった。また、AI企業のVeritone(ベリトーン)は、エアチェックサービスを同社の広告代理店事業、Veritone One(ベリトーン・ワン)に関連付けて提供している。さらに、Podsights(ポッドサイツ)は、ピクセルベースのアトリビューションモデリングソリューションである。

3. 競合分析

最後に、競合分析とメディアリサーチは未解決の課題となっている。マゼランAIとポッドサイツは、業界活動を示す有料および無料のさまざまなレポートを提供している。このようなレポートでは、関連のあるポッドキャストの広告活動について、番組、広告主、カテゴリなどを検索でき、全体像とは言えないが、ある程度の方向性を見極めることができる。完璧ではないが、ポッドキャストに参加するかどうかを決定する際に、業界を垣間見て検討するには十分なリソースだと言えるだろう。

ポッドサイツの創業者、Sean Creeley(ショーン・クリーリー)氏は、適切にも次のように指摘している。「ポッドキャストを推進したいという思いから、ポッドサイツでは調査データ、分析、投稿などをすべて無料で提供している。DIYの広告主としてポッドキャスティングを採用する [ブランド]には、実に大変な作業が求められる。このような調査結果を見れば、少なくとも同じ分野の企業が何をしているのか理解できるだろう」。

パブリッシャーにとって役立つ非技術的なツールもある。Wonder Media Network(ワンダー・メディア・ネットワーク)の共同創業者であるShira Atkins(シーラ・アトキンス)に、ポッドキャストに関する調査をどのように行っているか尋ねたところ、驚くには当たらないが、非常に斬新な答えが返ってきた。「正直に言うと、私が行っている『調査』とは、本当に有能でポッドキャストを愛用している営業担当者の知人3~5人にテキストメッセージを送ったり電話をかけたりすることだ。私が高校生の時にラジオの営業をしていた人たち、ポッドキャストの複雑さを分かっている人たちは、パブリッシャーと広告主のどちらにも役立つキャンペーンをうまく展開している。異なる業界の在庫を追跡して、どのくらい売れているかを追跡する方法があればいいと思う。はっきりしているが、ポッドキャストで成功するための良い方法は、トップクラスのパブリッシャーの番組のサンプルを聞いて、どのように販売しているか、どのような広告を流しているかを体感することだ」。

ポッドキャスト広告の問題は、ダウンロードの標準化、支出の検証、競合調査などによって解決されているとはいえ、チャネルには克服すべきハードルがまだ残っている。

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(翻訳:Dragonfly)

音声配信プラットフォーム運営のRadiotalkが約3億円調達、ライブ配信やスコアなどの新機能拡充へ

音声配信プラットフォームを運営するRadiotalkは10月16日、約3億円の資金調達を発表した。第三者割当増資によるもので、引受先はSTRIVE、Gunosy Capital、オー・エル・エム・ベンチャーズ、マネックスベンチャーズ。

今回調達した資金は、新しい音声エンターテイメントプラットフォームを構築することを目指し、ライブ配信やスコア、ギフトなどの機能の拡充に注力しつつ、事業拡大・採用強化に投下するとのこと。

Radiotalkは、配信者がワンタップすぐ始められる音声配信配信プラットフォーム。収録した音声は速度や声の高さなどをカスタマイズしてSNSへ投稿可能だ。2017年8月のサービス開始以来、多くのコミュニティが生まれているという。Radiotalkはトーク形式で、顔を出さずに心理的安全を保ちながら、テキスト以上に「人」を伝えることができるサービスと説明する。「意見、思考、思想、感想、思い出などを 自由に届けること」を誰でも簡単にできるようにして、個をエンパワーメントする世界を目指すとのこと。

Radiotalkは、XTechがエキサイトをTOBしてから約2年後に、そのエキサイトから2019年3月にカーブアウトして設立したスタートアップ。競合としては、Voicyや8月に5億円を調達したstand.fm、プロサッカー選手の本田圭佑氏が手掛ける「NowVoice」などがある。海外でも今年Spotifyが複数のポッドキャスト企業を買収したことが事業成長につながったほか、中国LizhiのIPOもあり、盛り上がっているという状況だ。

Radiotalkでは耳のシェアを「作り合い」するための独自ポジションとして、コンテンツの囲い込みをせず、Radiotalkで配信されたコンテンツはSpotifyやAmazon Musicで流すことも可能だ。

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