マッチング系アプリの決済に関するオランダにおけるアップルの罰金総額が約68億円に

出会い系アプリの決済方法に関してオランダで独占禁止法上の命令を受けたApple(アップル)に対する罰金の額は、継続的なコンプライアンス違反で規制当局が10回連続で毎週500万ユーロ(約6億8000万円)を科して5000万ユーロ(約68億円)となり、(現時点では)最大額に達した。

しかし、消費者市場庁(ACM)は現地時間3月28日、Appleが前日に直近の提案を修正したことを受け、修正提案は「出会い系アプリのプロバイダーにとって決定的な条件となるはずだ」と述べ、より前向きにとらえている。

完全な詳細を受け取り次第、当局は市場のフィードバックを求め、提案が受け入れられるかどうか早急に決定すると述べた。しかし、その評価にどれくらいの時間がかかるか、また修正案自体の詳細については、何ら情報を提供していない。また、修正案が受け入れられないと判断された場合、Appleはさらなる罰則を受ける可能性があるとも警告している。つまり、すでに数カ月に及ぶこの騒動は、まだ終わらないかもしれない。

Appleによるこれまでの提案は、当該開発者に不合理な摩擦をもたらすとしてACMによって拒否された。

3月28日発表された声明の中で、オランダの規制当局は次のように述べている。「ACMはAppleの今回の措置を歓迎します。修正された提案は、App Storeの利用を希望する出会い系アプリのプロバイダーにとって決定的な条件となるはずです。最終的な条件についての提案を受け取った後、ACMはそれを市場参加者に提出し、協議を行う予定です。ACMはその後、Appleがこれらの確定条件を実施する際に、出会い系アプリにおいて代替の支払い方法が可能であるべきというACMの要件を遵守しているかどうか、できるだけ早く判断を下す予定です」。

「先週末までは、AppleはまだACMの要件を満たしていませんでした。そのため、10回目の罰金を支払わなければならず、Appleは最大5000万ユーロの罰金を支払わなければならないことになります」と付け加えた。「Appleが要件を満たしていないという結論に達した場合、ACMはAppleに命令遵守を促すために、定期的な罰金支払いを条件とする別の命令(今回はより高い罰金となり得る)を科す可能性があります」。

TechCrunchはAppleに対応を問い合わせている。

ACMの命令は2021年までさかのぼるが(しかしAppleによる法廷闘争により、報道は制限された)、オランダの出会い系アプリが希望すればデジタルコンテンツのアプリ内販売を処理するのにApple以外の決済技術を使用できるようにするというACMが命じた権利の付与をめぐる世論戦は1月から続いている。

この件は、ACMがこのような命令を出す権限を与えられている欧州の小さな1つの市場内のアプリのサブセットという、ほとんど滑稽なほど小さなものに見えるかもしれない。一方で、デジタル市場法(DMA)として知られる汎EUデジタル競争法の改正が進行中で、ビジネスユーザーに対するFRAND(公平、妥当、差別のない)条件、相互運用性要件の組み込み、自己参照のような反競争的行為の禁止など、ゲートキーパーである大手の「すべきこと」と「すべきでないこと」といった領域における行動基準を前もって定義することで、近い将来、最も強力なプラットフォームがEU圏内でどのように活動できるかを再構築しようとしている。

つまり、ACMの命令は、今後予想されるEUの大きな要求の縮図を垣間見せている。

DMAはAppleのApp Storeにも適用される可能性が高い。そのため、オランダのケースはEU内で高い関心を集めているが、これは少なくとも今秋以降、欧州委員会がゲートキーピングプラットフォームの事前監視に切り替える際に、執行上の大きな課題を突きつけるものだからだ(EU機関は先週、DMAの詳細について政治的に合意したが、正式な採択はまだ先だ)。

市場改革の下では、欧州委員会が科すことのできる罰則の規模はかなり大きくなり、違反が繰り返される場合には全世界の年間売上高の20%にも達する。したがって、プラットフォーム大手にとっては無視できない体制となりそうだ。

もう1つの重要な変化は、DMAが積極的に行動し、EUの競争規制当局が変更を命じる前に数カ月あるいは数年かけて遵守していないことをを証明する必要がなく、最初から遵守を求めるようになることだ。

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

出会い系アプリ決済めぐる独禁法違反でアップルがオランダで9回目の罰金、当局に新たな提案も

Apple(アップル)は、出会い系アプリに関連する独占禁止法上の命令をめぐり、オランダで再び罰金を科された。この命令は、AppleのiOS向けアプリ内決済APIしか使えないよう縛るのではなく、開発者が希望すればサードパーティーの決済技術を利用できるようにすることを求めている。

消費者市場庁(ACM)は1月以来、命令を継続的に遵守していないとしてAppleに対し一連の罰則を(週ごとに)科している。

今回で9回目となる500万ユーロ(約6億7000万円)の罰金により、この問題に関するAppleに対する罰金総額は4500万ユーロ(約60億円)に達した(来週までに再び規制当局を満足させられなかった場合の最大総額は5000万ユーロ[約67億円]だ)。

Appleはこの間の一連の罰金に対して、規制当局が明らかに異なる(反対の)見解を示しているにもかかわらず、命令を遵守していると主張している。

ACMは、Appleの対応を失望するもの、かつ不合理なものとし、Apple以外の決済技術を使用してアプリ内決済を処理する法的資格を得ようとする開発者に、単にそうすることを容易に選ばせるのではなく、不必要な障害を作り出していると非難している。

この争いは何週間も続いていて、また新たに罰金が科せられたにもかかわらず、Appleによるシフトの兆しがあるかもしれない。ACMによると、Appleは現地時間3月21日に「新しい提案」を提出した。ACMはその合否を決定するために精査しているとした。

「我々は今、これらの提案の内容を評価するところです」とACMの広報担当者は声明で述べた。「そうした状況下で、さまざまな市場参加者と話をする予定です。この評価をできるだけ早く完了させることが目標です」。

ACMは、Appleがこの修正されたコンプライアンスオファーで提案している内容の詳細を明らかにしていない(そして当局はより詳細な情報の求めには応じなかった)。

「先週末まで、AppleはまだACMの要件を満たしていなかったことに留意すべきです」と広報担当者は付け加えた。「そのため、同社は9回目の罰金を支払わなければならず、同社が支払わなければならない総額は現在4500万ユーロに達しています」。

Appleにもこの展開についてコメントを求めたが、本稿執筆時点では回答はない。

更新:Appleはコメントを却下した。

ACMの独禁法命令はオランダ国内でのみ適用され、アプリの一部(出会い系アプリ)にのみ適用されるため、テック大手の壮大でグローバルなスキームの中ではかなり些細なことに見えるかもしれない。しかし、国の規制当局とプラットフォームの巨人の間の綱引きは、欧州連合(EU)でかなりの注目を集めている。つまり、この法執行は、政策立案者が主要な競争改革の最終的な詳細を打ち出す中で注視されている。

EUは、デジタル競争政策(デジタル市場法、通称DMA)の長年の懸案であった改革を完結させようとしている最中であり、これは最も強力な中間インターネット・プラットフォームのみに適用される予定だ。

AppleはDMAの下で「ゲートキーパー」に指定されることがほぼ確実であるため、これは関連性がある。DMAでは、デジタル市場をよりオープンで競争しやすいものにすることを意図した、反トラスト法遵守の積極的な体制が導入されることになる。例えば、プラットフォームがアプリケーションを交差結合することを禁止、あるいはロックインを強制し、同時に相互運用性のサポートやサービスの切り替えを義務化する。つまり、Appleは今後、同様の(実際にははるかに広範な)汎EU反トラスト法に基づく命令に直面する可能性があり、第三者に対してどのように行動しなければならないか(してはならないか)を規定されることになる。

EUの反トラスト部門を統括し、デジタル政策立案を主導するMargrethe Vestager(マルグレーテ・ヴェスタガー)委員は2022年2月の講演でオランダの事例を取り上げ、Appleが同意できない競争法の判決に従うよりも、定期的な罰金を支払うことを「本質的に」好んでいると非難している。また、AppleのApp Storeにおけるサードパーティアクセスに関する義務について「……DMAに含まれる義務の1つになるだろう」と警告している。

この来る汎EU法は、重大な効力を持つ。世界の年間売上高の最大10%の罰金を科すことができ、またゲートキーパー解体を命令する構造的救済を適用することによって、欧州連合が組織的なルール違反に対応することができる。

したがって、DMAの対象となるハイテク企業にとっては「遵守 vs 拒否」の計算は罰則を「ビジネスを行うためのコスト」として帳消しにできる場合にのみ可能であり、再起動したEU競争体制の下では根本的なバランス再調整を模索することになる。500万ユーロ、あるいは5000万ユーロの罰金で事業運営に影響を与えることはできないが、数十億ユーロ(数千億ユーロ)にもなり得る罰金は、法的要件を回避し続けることによって、規制当局が解体用ハンマーを手にせざるを得なくなるリスクと背中合わせで、コンプライアンスとはまったく別次元の話のようだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

Match Groupがひとり親向け最新デートアプリ「Stir」を米国で提供開始、スケジュール管理機能搭載

Tinder(ティンダー)、Match(マッチ)、OkCupid(オーケーキューピッド)、Hinge(ヒンジ)などを展開している出会い系アプリ大手のMatch Group(マッチ・グループ)が、米国時間3月21日、その出会い系サービスのラインナップに、シングルペアレント専用アプリStir(スター)を新たに追加した。今回のリリースは、既存の出会い系アプリでは十分なサービスを受けられていない、全米2000万人のシングルペアレントへの対応を目指すという。Stirの最大の特徴は「Stir Time」(スター・タイム)という名のスケジュール管理機能だ。この機能を使えば、デートの時間を調整する際の困難が軽減される。たとえばコペアレント(元配偶者との間で分担する養育)時間や、子どもの習い事、その他の子育て関連に関連する時間だ。

Match Groupによれば、シングルペアレントの4人に1人(27%)がスケジュールの調整でデートに行けないと回答していることから、Stir Timeを導入したのだという。

アプリ内の機能として、空いていることが多い曜日や時間帯を「午前」「午後」「夜」という一般的な形で指定することができる。こうすることで、いわゆる「自由時間」が週に数回しかないような親でも、同じようなスケジュールの人とマッチングすることができる。

画像クレジット:Match Group

デートの調整を容易にするだけでなく、Hingeと同様に、ユーザーがどのような関係を求めているのかをよりよく説明し、自分の個性をアピールすることができるように、アプリからの質問に答えるよう促す。

例えばStirはユーザー登録にあたって、子どものいない夜をどのように楽しみたいか、人間関係にどのように対処するか、週末は何をしているか、大声では言いにくいお気に入りの楽しみはあるか、酒は飲むか、どんなペットを飼っているか、などの質問をしてくる。その後、ユーザーは写真を追加し、残りのプロフィールを記入するよう促される。

画像クレジット:Match Group

Stirはサブスクリプションで収益を挙げるが、そこに含まれるサービスは、ユーザーが自分に「いいね!」をくれた人を確認したり、マッチングする前にメッセージを送ったり、プライバシー保護のために自分のプロフィールを好きな人にだけ見せるように設定したり、プロフィールを強調したり、誤ってパスしたプロフィールを巻き戻して見たり、目立つために「スーパーいいね!」を送る機能などだ。しかし、シングルペアレントにとって、それも養育費をもらっていないような人たちもいることを考えると、サブスクリプション費はかなり割高感があるかもしれない。テスト期間中のApp Storeのレビューには、この問題に言及するものが多く、アプリの他の機能は気に入っている人でも、価格設定が納得いかないという声があがっていた。

ユーザーからのフィードバックを受け、Stirはアプリとメッセージは無料で使用でき、オプションでサブスクリプションによる有料機能にアップグレードできるフリーミアムモデルに移行した。Stirは1カ月間、39.99ドル(約4800円)で、メッセージングとプロフィール調整機能のみを提供する。3カ月または6カ月の前払いで月額費用を抑えることができるが、その際にはアップグレードされた機能をフルセットで利用できる3カ月のプレミアムサブスクリプション89.99ドル(約1万1000円、または月額30ドル[約3600円])の利用を促される。

アプリ自体は、Match GroupのTinderやHingeのような仕組みで、写真中心のプロフィールを閲覧して、マッチング候補の相手を決めていくことに重点を置いている。ただし、スワイプではなく、Xやハートのアイコンをタップして、パスやいいね!を示す。中央のボタンを押すと「スーパーいいね!」のパックを5個入り1.60ドル(約192円)で購入することができる(よりたくさん買うこともできる)。

Match Groupの新規事業担当副社長のDinh Thi Bui(ディン・ティー・ブイ)氏は、このアプリの正式リリースに関する声明の中で「子どもがいることが、デートの邪魔になってはいけません」と述べている。「シングルペアレントのみなさんが祝福され、自分らしくいられるような出会いを提供することに注力致します。そうすることで、子育てだけでなく、個人的な生活にも目を向けられるようになっていただきたいと思っています」と彼は付け加えた。

しかし、Stir Time や、このアプリがひとり親に焦点を当てている(少なくとも、子どものいる人とデートすることに興味のない人とマッチするという頭痛の種は解消されている)にもかかわらず、このアプリは親向けの包括的な機能セットは提供していない。

例えば、性犯罪者がしばしば子どもへの接触手段として、独身女性親をターゲットにすることを考えると、デートする親にとってかなりの心配事となるマッチ候補の身元確認を行う機会は提供されていない。一方、Match Groupは、身元確認サービスのGarbo(ガルボ)に出資を行い、その後、Tinderに統合した。まもなくMatchの他の出会い系アプリでも同じことを行う予定だ。だが不思議なことにStirには提供されていない。

また、このアプリは、親が子どもの年齢(あるいは一般的な年齢範囲)を指定することができない。これは、年長の子どもを持つ人との交際には前向きでも、子どもが赤ちゃんの時期は再び経験する決心ができていない人がいることを考えると、もう1つの見落としだ。さらに、他の出会い系アプリ、たとえばBumble(バンブル)が提供するような高度なフィルタリングオプションがない。

Stirは、出会い系アプリ大手のMatch Groupが開発したBLK、Chispa、Upwardといったニッチな出会い系アプリの仲間に加わる。これらは、Match Groupの主力アプリ(Match)やその他のニッチな出会い体験の開発をサポートする、Match部門で開発されている。Stirも他と同様、Match社内に専門チームがある。

新しいアプリは、iOS App StoreGoogle Playの両方で利用可能だ。

編集部注:日本時間3月22日午後の時点で日本のApp Storeには登録されていない、Google Playには登録されているが日本での利用は解禁されていない。

画像クレジット:Match Group

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビのAillがJR西日本グループと連携、新しい出会いを創出する「食レポイベント」実証実験

企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビアプリ「Aill goen」(エール ゴエン)を提供するAill(エール)は3月8日、JR西日本イノベーションズジェイアール西日本ホテルズ、ルクア大阪などを展開するJR西日本SC開発と連携し、AIによるデート提案「食事レポートイベント」(食レポイベント)の実証実験を3月9日より開始すると発表した。

実験では、Aill goen対象者のうち、恋愛相手を求める二者のデートにふさわしいタイミングで、Aillの独自AIが食レポイベントの提案を行う。ここからデートに行くきっかけや、お互いを知るきっかけを作り、デート成功確率向上を目指す。イベントは、JR西日本グループの「ホテルグランヴィア京都」・「ホテルグランヴィア大阪」およびJR大阪駅直結の駅型商業施設「ルクア大阪」館内の対象レストランにて行う。

具体的にはは、まずAIがチャットで「お互いを知る」会話のアシストを行った後、デートに行きそうな2人にAIが食レポイベントを提案する。ユーザーは提携レストランからお店を決定し予約。食事後、2人で食レポを執筆しAill goenアプリに投稿する。そのお礼として、ユーザーにはお得なクーポン券がプレゼントされる。

「食レポイベント」概要

  • AIがチャットで「お互いを知る」会話のアシストを行う
  • デートに行きそうな2人に、AIが「食レポイベント」を提案
  • 「食レポイベント」提携レストランからお店を決定し、予約
  • レストランに来店
  • 2人で食レポを執筆・Aill goenアプリに投稿
  • 食レポ投稿のお礼として、お得なクーポン券をプレゼント

Aill goenは、企業が福利厚生サービスとして登録する、独身社員専用プラットフォーム。信用できる企業専用のコミュニティとなるため、安心・安全な出会いの機会を提供する。さらにAIナビゲーションアプリを通じて、社外の出会いからお付き合いまでをサポートする。現在の利用対象企業は851社。

Aill goenでは、今回行う実証実験で「相手を知ってから会う」を独自開発のコミュニケーションアシストAIによって増加させたうえ、食レポを一緒に執筆することでリアルでも自然とお互いを知るきっかけを創出するとしている。イベントを通すことでデートによる成功率・リピート率の向上を目指す。

アップルに5回目の罰金、出会い系アプリの決済めぐりオランダ独禁当局との対立続く

オランダの競争当局は、決済技術および同国の出会い系アプリに関する独占禁止命令に遵守しなかったとして、Apple(アップル)に科した罰金を再び引き上げた。

5回目の罰金として500万ユーロ(約6億4900万円)が科せられたことにより、Appleは2500万ユーロ(約32億3700万円)の支払い義務を負うことになり、命令に従っていないとみなされ続ければ、最大で5000万ユーロ(約64億7200万円)に達する可能性がある。このような状況の中、同社は、解決策を提示するどころか障壁を作り続けていると、いら立ちを隠せない様子の規制当局から非難された。

消費者市場庁(ACM)は、声明で次のように述べている。

過去1週間の間に、AppleからACMの要求を満たすような新たな提案は得られませんでした。そのため、Appleは5回目の罰金を支払う必要があります。つまり、すべての罰金の総額は現在2500万ユーロ(約32億3700万円)となります。

「当庁はAppleに対し、どのようにすればACMの要求事項を満たすことができるかを明確に説明しました。ですがこれまでのところ、Appleは真剣な提案をすることを拒否しています。特に、12月24日にACMの要求が裁判所で支持されたことを考えると、Appleの態度は遺憾です。Appleのいわゆる「ソリューション」は、独自の決済システムを利用したいと考えている出会い系アプリ業者にとって、あまりにも多くの障壁を設けています。

「Appleが支配的地位にある企業であることはすでに確立されました。それには、同社サービスの購入者、さらには社会全体に対する責任が伴います。Appleは、自社のサービスを利用すのに妥当な条件を設定しなければなりません。その文脈において、Appleは同社の支配的地位を濫用してはなりません。Appleの規約は購入者の利益を考慮したものでなければなりません。

規制当局の広報担当者は、先週の提案が「不合理」であると判断されて以来、Appleが新たな提案を行っていないことを確認した。

「Appleがこの命令に従うことを期待しています」と同担当者は付け加えた。「それができなければ、定期的な罰金支払いの対象となる、別の命令を下す機会となります」。

ACMからの最新の罰金に対するコメントをAppleに求めているが、同社の広報部門はここ数週間、罰金や告発の件数が増えていることから、これからの問題に備え静かにしているようだ。

Appleに収益の大部分を渡さずにデジタルコンテンツを販売したいと考えている一部のアプリからの苦情を取り締まろうとする、欧州の(小さな)一国の競争規制当局と、自らのエコシステムのコントロールを維持しようとする巨大プラットフォーム企業との間での争い。これは、EU(およびその他の区域)がデジタル巨人に対して、厳しい事前規制とそれに見合った罰則を採用(および施行)した場合にどうなるか、今後のはるかに大きな戦いを予見させるという点で有益だ。

例えば、導入が急がれているEUのデジタル市場法(DMA)案では「ゲートキーパー」と判断されたプラットフォームが、事前に設定された運用上の義務のリストに違反していた場合、全世界売上高の10%を上限とする罰金などの制裁措置が講じられる可能性がある。

そうなればAppleの場合は、2500万ユーロ(約32億3700万円)ではなく、2500億ユーロ(約32兆3700億円)に近い罰金が科せられることになる(クパチーノにとって、軽く見ることがより難しくなるのは確かだ)。

それでも、規制当局が、リソース豊富なテック巨人を自分たちの思うように踊らせようとするのは至難の業であることは明らかだ。

ACMの苦情に対するAppleの対応は、規制当局が不公平だと判断したからといって、儲かる収入源を簡単に放棄する気はないことを示しており、同社は代わりに事業を再構成して、ほぼ同じ手数料を取るための新しい方法を見つけることで、それに対抗しようとしている(Appleは、サードパーティの決済技術を利用するオランダの出会い系アプリに対して、App Storeの標準的な手数料30%に対して、売上の27%の手数料を請求すると述べている)。

関連記事:アップル、オランダのマッチングアプリの代替決済システム使用に手数料27%を請求へ

収益に影響を与えるような規制上の制限を回避することに大きなインセンティブを持っている、高速なイテレーションを武器とするテック巨人を取り仕切ることは、我々がこれまで見てきたように、果てしない遅延に負けてしまいがちなゲームだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Den Nakano)

Tinderも写真やプロフィールを見る前に会話をするバーチャルのブラインドデートを導入

米国時間2月10日、Tinderは新たなアプリ内機能で「ブラインドデート」を復活する。ただし今回は、2人の会員を一緒にブラインドデートに送り出すのではなく、お互いをソーシャルなチャットで紹介しあい、相手のプロフィールを見る前に対話とチャットができる。この機能は、写真ではなくお互いの人柄や会話に基づいて第一印象を得ることを狙っている。

Tinderの親会社であるMatch Groupは先に行われた決算報告でこの機能を追加する計画をちらつかせ、まだ新しい「Explore」セクションで新しい体験を試すことができ、ユーザーのエンゲージを継続できるようになったと述べた。2021年9月に導入したExploreは今では、Tinderのさまざまな対話的機能のホームであり、ビデオシリーズの「スワイプナイト」の他、互いの関心事項でマッチを見つけたり、マッチングの前に気軽なチャットを始めるなどの機能もある。後者をTinderは「ファストチャット」と呼んでおり、それがブラインドデート機能のベースでもある。

ブラインドデートを利用するためには、会員はまず、少々の肩慣らしの質問に答えてから、共通性に基づいて誰かとペアになる。2人は時間制限があるチャットを開始するが、相手の詳細はわからず、選択式の質問に答えるだけだ。軽い質問ばかりで、中には馬鹿らしいのもある。

・シャツを洗わずに__回着られます。
・ケチャップは___にもかけます。

時間が来たら、互いのプロフィールを見ることができる。そして気に入ったら、もっと相手のことを知ることができる。

Tinderによると、この新たな体験は、本物性を重視するZ世代のデート文化を反映している。同社によると、ブラインドデートのテストは大成功で、同じファストチャットを使った機能でも、最初からプロフィールを見られるものと比べてマッチの成立率が40%高かった。そこでTinderは今回、展開に踏み切ったのだ。

もちろん、Tinderのようなデートアプリの最大手が、写真に頼らない紹介方法を導入したのはちょっと皮肉だ。Tinderをはじめ、今のデートアプリはデートを表層的な環境に変えてしまったと批判されている。そこでは人間に関する決定が、写真の魅力だけに基づいて1秒にも満たない時間で行われてしまう。そのため近年は新種のデートアプリが勃興し「反表層的」で真実性があると謳っている。そんなアプリは、ルックスよりも人柄を重視して、写真を隠したり、音声チャットで互いを結びつけたりしている。S’MoreSwoonMeJigsawなどが、そのようなアプリの例だ。

しかしTinderは、本物的で人間的な出会いのためにわざわざまったく新しいアプリを作らなくても、自分たちが提供するブラインドデートで十分だと信じているのだ。

Tinderのプロダクトイノベーション担当副社長Kyle Miller(カイル・ミラー)氏は、Fast Chat:Blind Date(ファストチャット:ブラインドデート)の立ち上げの発表で次のように述べている。「写真で先入観を作らずに、会話で人柄を紹介することには、何か本当に特別の感覚があります。Tinderのブラインドデートは、意外なほど楽しくて、冗談なども言い合えるような、対話と結びつきを作れるTinderにとってもまったく新しい機能だ」。

英語圏では、今日からExploreの中でブラインドデートが展開される。グローバルな展開は数週間後だ。

画像クレジット:Tinder

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップル、オランダのデートアプリの決済に関する命令で再び罰金を食らう

デートアプリの支払い方法をめぐって、オランダでApple(アップル)の反トラスト法違反が続いている法案が、さらに500万ユーロ(約6億6000万円)増えて1500万ユーロ(約19億8000万円)になったことを同国の消費者保護・市場監督局(Authority for Consumers and Markets、ACM)が認めた。

このペナルティは消費者保護・市場監督局の命令に関わるもので、それによるとAppleは同国のデートアプリがデジタルコンテンツを販売した場合、その代金の支払いに関して、Appleに手数料をもたらすApple自身の決済インフラの使用を強制するのではなく、サードパーティの決算プロバイダーの使用を容認しなければならない。

iPhoneのメーカーであるAppleは2021年以来、オランダの命令に逆らい、控訴を続けてきた。しかし2022年1月、最初のコンプライアンスの締切とペナルティ執行の脅威が近づくにともない同社は、アプリがApple以外の決済技術に接続することに合意し、オランダのApp Store上にあるデートアプリに限り、2つの「オプション的資格」を導入するとした。それによりアプリは、命令が指示しているように別の決済処理の選択肢をユーザーに提供できる。

しかしAppleの1月のコンプライアンスの主張を、ACMはただちに無効として罰金を科した。どうやら規制当局は、Appleが命令のすべての要求に従うことをためらっている点を問題にしたようだ。

ACMの命令に対するAppleの抵抗に関する裁判所命令は、まだ一部しか公表されていないため、消費者保護・市場監督局は、現在、言えることに限界があると述べている。

一方、Appleは命令に逆らうことをPRに活かそうとしている。そして1月の声明では「複数の決済サービスを使えることによりユーザー体験が損なわれ、プライバシーとデータのセキュリティに新たな脅威が作り出される」と主張している。

自分たちのデートアプリにApple以外の決済技術を使いたいと思っている開発者にAppleが提供した情報も、できる限りその決定に二の足踏ませようとしている。つまりAppleの主張では「ユーザーはApp Storeの機能の一部を使えなくなり、そのような販売方法によって発生する返金や購入履歴やサブスクリプションの管理といったサポートの欠如により、ユーザー自身がそれらの責任を負うことになる」という。

の新たな打撃でAppleは、Apple以外の決済技術を使うデートアプリからの販売に関しては27%の手数料を課すと発表した。これはAppleが通常、アプリ内購入に課している30%とほぼ同額だ。

つまり、標準料金のわずかな割引と、カスタマーサービスの責任、および技術的な諸経費を追加するだけでは対象となるアプリの収益が増えるとは思えない。これは、Appleが、ローカル開発者がサードパーティの決済システムを使用することをできるだけ難しく、そのハードルを高くしようとしていることを示唆している。

関連記事:アップル、オランダのマッチングアプリの代替決済システム使用に手数料27%を請求へ

しかしこれは、Appleのアプローチが偽りのコンプライアンスを選択することであることを意味している。ACMの命令の字面ではなくその精神に反して、同社は外部決済を使うことを開発者にとってほとんど魅力のないものにしている。しかしながらACMの最新のペナルティは、Appleが規制当局が命令で強制していることの中核にさえ達していないことを示唆している。

懸案のコンプライアンス問題の詳細を尋ねたところ、競争当局は、Appleが完全な情報を提供していないと答えた。これはおそらく、Appleがコンプライアンスに従っているかどうかを正しく評価できないと感じていることを意味する。

「ACMは、Appleが定期的な違約金支払いを条件とする命令を遵守するために既に実施したとする変更について、Apple自身からまだ何らの情報も受け取っていません。当該命令に基づき、Appleはこれを行うことが要求されています。Appleは、そのような情報を適時に、また完全な形で提供していないため、Appleは引き続き同命令に定められた要件を遵守していないことになります。そのため、Appleは3回目の違約金を支払わなければならず、Appleが支払わなければならない総額は現在1500万ユーロに達しています」と広報担当者は述べている。

「Appleのウェブサイトに掲載されている情報だけでは、同社が定期的なペナルティ支払いを条件とする命令で定められた実質的な要件を遵守しているかどうかを評価することはできない。ACMは、Appleの行動と行為に失望しています。私たちは、Appleが最終的にACMの要求事項を遵守することを望んでいます。しかも、これらの要件は裁判所によって支持されています」と付け加えた。

Appleにコメントを求めたが、本稿を書いている時点では返事はない。

金儲け主義の巨大企業にとって、比較的小さな欧州の単一市場のアプリのサブセットなど大した問題ではないかもしれないが、同社のApp Store手数料モデルは現在、世界中の開発者からの苦情や規制の圧力にさらされている。

つまり、Appleは市場ごとに足を引っ張り、現地の開発者に複雑さと疑念をもたらし、一般的にこのプロセスを遅くて辛いものに空回りさせるよりも、App Storeの中核的な収益モデルを切り崩すような大規模で意味のある変更をすばやく行うことの方が、ビジネスにとってはるかに大きなリスクとなると考えているだ。

ACMによると、Appleのノン・コンプライアンスの罰金は毎週上昇し、最大の5000万ユーロ(約66億円)に達するまで上がり続ける。しかしそれは、時価総額2兆8170億ドル(約325兆円)の企業にとってポケットの小銭であるため、この問題を困難で不快なものにし続けても問題ない。

とはいえ、ヨーロッパの市場の一部は現在、競争法の改定に取り組み、テクノロジー大手からの途方もないチャレンジに対応しようとしている。たとえばEUのDigital Markets Actは、インターネットのいわゆるインターネットの「門番たち」のための先取り的ルールの提案だ。またドイツの、すでに法律として成立した規則は「すべての市場で重要な意義を持つ」プラットフォームに対する権力の迅速な介入について定めている。現在、その対象企業はGoogleだ

ドイツ連邦カルテル事務局はAppleのApp Storeの捜査に関してオープンな手続きをとっているが、こちらも同社のやり方が競争に関するローカルな限度を超えそうなときは、規制のギアをさらに上げるだろう。

英国でも、競争保護促進のためのリフォームが進んでいる。こちらも議会の判断で「大きな市場ステータス」を持つとされるテクノロジー大手に対する特別法を導入できる。

このように各国の議会は、気に入らないルールを単純に無視しようとするプラットフォームをターゲットとする権力を急速に強化している。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

マッチングアプリBumbleの初買収はZ世代向けの同アプリFruitz、あらかじめ目的を明らかしておける点が人気

マッチングアプリ企業のBumble, Inc.(バンブル)は、米国時間2月7日、初の買収を行い、急成長中のフランスのマッチングアプリ「Fruitz(フルーツ)」を自社アプリのファミリーに加えるというニュースを発表した。Bumble, Inc.は、欧州で特に人気のあるBadooの親会社としてすでに国際的な事業展開をしているが、Fruitzを傘下に加えることで、より若いZ世代の利用者の間で勢いを増すことができると考えている。

取引条件は公開されていない。

Fruitzは、ユーザーのマッチングを支援するために、型にはまらないアプローチをとっている。同アプリでは、長期的な関係を望む人から一夜限りの関係を求める人まで、特定の関係タイプごとにフルーツが割り当てられている。これにより、ユーザーは自分と同じ考えを持っていない人を除外することができる。また、マッチングされた相手にメッセージを送る前に、アイスブレーカーとして機能する質問に答えるよう促される。

Fruitzは、CEOのJulian Kabab(ジュリアン・カバブ)氏、CTOのFabrice Bascoulergue(ファブリス・バスクーラーグ)氏、CFOのArnaud Ruols(アルノー・ルオール)氏によって共同設立され、最初は2017年2月1日にフランスでサービスを開始した。カバブ氏は、このアプリのアイデアは、自身がマッチングアプリを利用しようとした際に、その体験に何を求めているかという点で意図が異なる相手とマッチングしたことがきっかけだと語っている。

「自分が求めているものを表現することは、批判されることを恐れているので容易ではありません。その結果、誰もが自分の意図に正直にならず、お互いに時間を無駄にしていたのです」と同氏は語る。「人々が自分の意図に関して正直になれるようにすることが、私たちの最初のミッションでした」。

画像クレジット:Fruitz

Sensor Towerのデータによると、現在までにFruitzは、App StoreとGoogle Playで全世界で560万回ダウンロードされている。2022年2月3日現在、ホームマーケットであるフランスでは、iPhoneのトップ無料アプリチャートの「ライフスタイル」カテゴリーで4位にランクインしている。

現代の多くのマッチングアプリと同様に、Fruitzはスワイプベースのインターフェースとフリーミアム体験を提供している。

だがBumbleにとっての魅力は、このアプリのユニークな機能ではなく、その利用者層にある。Bumbleは、Fruitzがマッチングアプリ市場で成長しているZ世代に特にリーチしていることに着目した。またフランス、ベルギー、オランダ、スイス、スペインなど、西ヨーロッパの主要国でも人気を博しており、カナダでも急成長を遂げていた。

Bumbleの創業者兼CEOであるWhitney Wolfe Herd(ホイットニー・ウォルフ・ヘルド)氏は、声明の中でこう述べている。「Fruitzは、私が何年も動向を追ってきたブランドであり、リーダーシップチームです。ジュリアン(・カバブCEO)、ファブリス(・バスクーラーグCTO)、アルノー(・ルオールCFO)は3人ともダイナミックですばらしいリーダーであり、フランスをはじめとするヨーロッパ全域の消費者の共感を強く得るユニークな製品を作り上げました。このアプリを当社の技術プラットフォーム、コミュニティサポート、ブランドおよび成長マーケティングと組み合わせることで、Fruitzの成長を加速させることができます。Fruitzの買収により、当社が重視する人間関係のエンパワーメントに沿って、消費者向けの製品提供を拡大することができます」。

Bumbleは、Fruitzを同社の一連のマッチングアプリに組み込むとともに、機械学習(ML)技術、マーケティング、ローカリゼーション、安全性プラットフォームなどのリソースを提供する。なお、Fruitzのブランド変更や運営終了の予定はない。その代わり、共同創業者全員を含む9人のチームが、母国フランスでアプリの運営を継続する。現在、Fruitz、Badoo、Bumbleを擁するBumble, Inc.を合わせると900人以上の従業員がおり、オースティン、ロンドン、バルセロナ、パリ、モスクワにオフィスを構えている。

画像クレジット:Bumble

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

アップル、オランダのマッチングアプリの代替決済システム使用に手数料27%を請求へ

裁判所の命令により、マッチングアプリの開発者はオランダでApple(アップル)のアプリ内課金システムを使用する必要はなくなった。また、これらの課金決済はAppleによって処理されないため、Appleはデジタル購入の際に通常の30%の手数料を取ることはない。しかし、サードパーティの決済システムを利用する開発者は、依然として手数料を支払わなければならない。Appleは27%の手数料を請求する予定だ。

オランダの反トラスト法問題を把握していない人のために説明すると、オランダ消費者市場庁はもともと、Appleが非常に特殊なケース、つまりマッチングアプリ開発者が販売する「superlike」や「boost」といったデジタルコンテンツでオランダの競争規則に違反していると指摘していた。

これは、Appleのアプリ内課金システムにとって、別の新たな脅威となる。韓国では、デジタル決済に関する新法に基づき、Appleはサードパーティーの決済システムを認めることに同意した。また、米国と欧州では、いくつかの訴訟が進行中だ。

オランダに関しては、Appleは外部決済を認めることはユーザーの利益にならないと主張し、反トラスト法に基づく決定について上訴している。

「これらの命令がユーザーの最善の利益になるとは思えません。当社はACM(消費者市場庁)の決定を受け、高等裁判所に上訴しました。これらの変更がユーザーの体験を損ない、プライバシーとデータセキュリティに新たな脅威をもたらすことを懸念しています。一方、当社は本日開始する、義務付けられた変更を行う義務があり、近日中にさらなる情報を提供する予定です」と同社は1月に述べた。

オランダの競争当局は、Appleが裁判所命令に従う最初の期限を過ぎていることからすでに500万ユーロ(約6億5000万円)の罰金を科しており、同社に選択の余地はあまりない。

Appleは現地時間2月4日、マッチングアプリの開発者がオランダで代替決済システムを利用する方法を説明するドキュメントページを更新した。これはかなり技術的なものに関する文書で、開発者がどのように代替支払いオプションを提供できるかを説明している。

しかし、Appleがアプリ開発者に手数料を請求する予定であることも書かれている。基本的に、Appleが取引を扱わないため、開発者はApp Storeの手数料を3%カットされる。しかし同社は、提供するさまざまなサービスに対して27%の手数料を請求することは、まだ正当だと考えている。

ACMの命令に従い、サードパーティのアプリ内決済プロバイダをリンクアウト、または使用する権利を付与されたマッチングアプリは、取引にかかる手数料をAppleに支払うことになります。Appleは、付加価値税控除後のユーザが支払う価格に対して27%の手数料を請求します。これは、決済処理および関連する活動に関連する価値を除いた率です。開発者は、サードパーティの決済プロバイダーによって処理された売上について、オランダの付加価値税(VAT)など、適用される税金の徴収と送金に責任を負います。

アプリ開発者は毎月、App Storeでホストされているアプリに関連するデジタル売上を報告する必要がある。その後、Appleは27%の手数料の請求書を送付する。

つまり、開発者はAppleの決済システムを回避することで、追加でかなりの収益を得ることはない。しかし、それだけではない。サードパーティの決済システムには技術的な費用もいくらか発生する。

マッチングアプリではよくあることだが、複数の国にユーザーを持つアプリ開発者の場合、同じアプリのバイナリを提出することはできない。開発チームは、オランダ語のアプリとオランダ語ではないアプリの2種類のバイナリをまとめて提出しなければならない。

Appleは、サードパーティの決済システムを使用することを可能な限り難しく、高価にしたいと考えている。ほとんどの開発者は、Appleのアプリ内課金APIを使い続ける可能性がある。

「Appleのアプリ内課金システムを使い続けたいマッチングアプリの開発者は、そうすることができ、追加で何かを行う必要ありません」とAppleは書いている。

しかし、それは同社がただ時間を稼いでいるように感じられる。App Storeは依然として、さまざまな管轄区域で独占禁止法の厳しい監視下に置かれている。Appleは、最初の裁判所命令や競争促進的な改革を回避する方法を見つけるだろう。しかし、規制当局が本当にAppleのアプリ開発者向け手数料を下げたいのであれば、もっと賢くなるはずだ。

 画像クレジット:TechCrunch

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

オランダ当局がアップルに約6.4億円の罰金、出会い系アプリの独占禁止法違反で

オランダの競争当局は、同国の出会い系アプリがサードパーティの決済技術を利用できるようにするよう求めた命令に従わなかったとして、Apple(アップル)に500万ユーロ(約6億4000万円)の罰金を科した。

来週までに当局が求める要件を満たさなければ、同社はさらに500万ユーロの罰金が科される可能性があり、その後も毎週、数カ月にわたって、この命令に関連して最大5000万ユーロ(約64億円)の罰金が課される可能性がある。

この罰金は、オランダの監視機関である消費者・市場庁(ACM)が2021年に出した命令に関連するものだ。当局はAppleが独占禁止法に違反していると判断し、出会い系アプリプロバイダーに押し付けている条件を見直すよう命じていた。

独占禁止法上の問題となっているのは、デジタルコンテンツの販売にApple独自のアプリ内決済インフラ(別名IAP API)を使用することを義務付けるApp Storeの規約で、AppleはこのAPIを通じて手数料を徴収している。

Appleの規約では、出会い系アプリが代替決済システムを利用することも禁止している。

当局は、出会い系アプリがアプリ内で他の支払い方法に言及することをAppleが禁止していることも問題視した。

ACMは1月24日、Appleが命令に従っておらず、出会い系アプリに関する規則を命令に沿うよう修正しなければならないと発表した。

「出会い系アプリのプロバイダーがApp StoreでApple以外の決済システムも利用できるようにしなければならない。加えて、出会い系アプリのプロバイダーは、アプリ外の決済システムを参照できなければならない」と発表にはある。

現在も続くAppleの違反の全容は、明確に述べられていない。しかし、重要なのは、Appleが求められていることをまだ行っておらず、実際に出会い系アプリのプロバイダーが他の決済システムを利用できるようにしていないことのようだ。

オランダ当局はまた、出会い系アプリのプロバイダーがApple以外の決済インフラを利用することを難しくするためにAppleが構築したと示唆する障壁を批判している。

「Appleはいくつかの点で要件を満たしていない」とACMは書いている。最も重要なのは、Appleが条件を見直さなかったことであり、その結果、出会い系アプリのプロバイダーはいまだに他の決済システムを利用できないでいる。現時点では、出会い系アプリのプロバイダーは、単に「関心」を表明することしかできない。

「加えてAppleは、出会い系アプリのプロバイダーがサードパーティの決済システムを利用することに対して、いくつかの障壁を設けた。これもACMの要求と相反する。例えば、Appleはアプリプロバイダーに対して、アプリ外の決済システムを参照するか、代替の決済システムを参照するかの選択を迫っているようだ。これは許されない。プロバイダーはどちらの選択肢も選ぶことができなければならない」。

ACMは2021年に下した決定で、出会い系アプリに対する条件を修正する必要があるとAppleに伝えた。しかし、TechCrunchが報道したように、Appleは差止命令を求め、命令への対応を遅らせることに成功した(命令の一部はまだ封印されたままだ)。

また、同社はこの命令の適用を1月中旬まで遅らせることもできた。

Apple以外の決済インフラで処理されたデジタルコンテンツの販売について、同社はオランダの出会い系アプリから依然として手数料を徴収する意向があることが先週明らかになった。開発者向けサポートノートには「ACMの命令に従い、リンクアウトまたはサードパーティのアプリ内決済プロバイダーを使用する資格を与えられた出会い系アプリは、取引にかかる手数料をAppleに支払う」と記されている。

本稿執筆時点では、その主張はAppleの「StoreKit External Purchase Entitlement」(ACM命令に言及している)に関する投稿にまだ掲載されている。そして、封印されたままの命令の一部は手数料に関係している可能性がある。しかし、詳細を確認することはできていない。

Apple以外の決済システムを使用するアプリにも手数料を課すことができるというAppleの主張について、TechCrunchは先週ACMに問い合わせたが、当局の広報担当者は回答を却下した。「裁判所が支持し、公表を許可した命令の部分しか言及できない」とのことだ。

一方、Appleのサポートサイトは、Apple以外の決済手段を導入するための明確なプロセスを提供する代わりに、関心のあるデベロッパーに「developer interest form」を紹介するにとどまっている。

説明文も「間もなく」詳細情報が提供される、という曖昧な表現にとどまっている。

オランダの出会い系アプリが代替決済手段を導入するための手続きの実装遅れによってAppleに500万ユーロの罰金が発生した(そして増えている)。

もちろん、数百万ドル(数億円)の罰金、あるいは5000万ユーロ(約64億6000万円)の罰金でも、Appleは騒ぎはしないだろう。

しかしいま、App Storeの規約に対する複数の競争法上の苦情や調査はAppleにとってはるかに大きな懸念となっている。これらはアプリ内課金で徴収する手数料を攻撃していて、EU英国アジア米国ではデベロッパー向けの契約条件について当局が調査し、命令が出されているところもある。

短期的には、そして(または)AppleがApp Storeの競争に関する苦情をなくすような実のあるグローバルな競争改革の提案をしない場合、各市場 / 地域の規制当局がAppleの規約の評価に注意を向けるため、iOSアプリ開発者のための規制のパッチワークが迫っている。

差し当たり、iOSアプリの競争と価格設定に関する消費者と開発者の勝利は、しぶしぶもたらされる可能性が高く、苦労して勝ち取るもののようだ。

しかし、Appleの契約条件の事前規制は現在多くの市場で検討されており、その明確な目的は、行動修正を加速させることにある。つまり、故意に遅らせるという戦略は、将来的にもっと高くつくことになりそうだ。

ACMの罰金についてAppleにコメントを求めている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

コロナ禍での友達同士の出会いを支援するアプリ「Flox」がNYの大学生に人気

新成人の困難に勝るものはないが、ロックダウンの中、人格形成期を過ごした大学生の年齢のZ世代にとって、有意義な友達づくりはさらに難しくなる可能性がある。パンデミック中はコロンビア大学のリモート授業に参加していたJamie Lee(ジェイミー・リー)氏は、この隔離がいかに同級生、特にクラスメイトと一度も顔を合わせることなく通学する2~3年生に影響したかに気づいた。

「ミドルスクールでInstagramをダウンロードしてから、オンラインで常に私自身を個人として表現してきましたが、オンラインでリアルに自己表現するのをとても不安に感じました」と、リー氏はいう。「『それじゃ、どうやってみんなとリアルにつながる方法を探そうか?』という考えを受け入れたかったのです。そして一番リアルな存在である友人と一緒に行うのが最善策だと思いました」。

2020年夏、リー氏はFlox(フロックス)のノーコードのベータ版を立ち上げた。人々が会うのを助けるアプリである。プロフィールを作成してマッチするTinder(ティンダー)、Hinge(ヒンジ) 、Bumble(バンブル)のようなもので、グループとしてサインインしてから他の友人グループとつながるだけでよい。

「利用者からはオンラインで体験したものの中で一番楽しいとのフィードバックをもらいました。私にとってはターニングポイントでした。これはとても本気のものになり得る、これをやるなら今だと思いました」とリー氏はいう。

そうして彼女はアプリに全力を挙げるため、コロンビア大学卒業まであと1年を残して中退した。

画像クレジット:Flox

2021年2月、リー氏と2人のフルタイム勤務のエンジニアは(彼女のチームの範囲では)約250人の利用者を対象にアルファテストを実施し、ニューヨークシティだけで学部生と最近の卒業生にプライベートなベータテストを開発した。これまでに順番待ちの利用者は2万人に達したが、リー氏は2021年11月頃にFloxを順番待ちしている大学生の年齢のニューヨーカーにも公開し始めると述べた。後に他の都市にも拡大する。さらに、FloxはHoneycomb Asset Management (ハニーコムアセットマネジメント)が主導しBBG Ventures(BBGベンチャーズ)とBanana Capital(バナナキャピタル)が参加した120万ドル(約1億3662億円)の資金調達ラウンドを終えた。

「正直なところ、最初のラウンドは驚くほど難しかったです。私はプエルトリコ人であり中国人です。当時21歳で、これに関する経歴もないし、コロンビアも退学しました」とリー氏は述べた。「こういう会話に入る上で、そもそもみなさんから私に関するご意見があるに違いないと思います。ピッチミーティングではもっとZuck(ザック)のようになれと言われました」。

リー氏は彼女自身の年齢層の人々のためにプラットフォームを開発する創設者として、賢いやり方でアプリを市場に出した。利用者にはリアルに感じて欲しいと考えた。そこで、TikTok(ティックトック)利用者でもあるオーディエンスに会い、アプリの販促用の動画を投稿したところ三つの投稿で閲覧数は180万回とバズった。

「トイレにも1人で行けないのに」リー氏はあるTikTokでいう。「なぜ1人で出会いアプリを使っているの?」。

@jamietylerlee

WELCOME TO FLOX. Waitlist early access in bio #startup #entrepreneur #app #friends #dating #fyp #selfimprovement #watchmegrow #tech #foryou

♬ original sound – Jamie Lee

Floxはグループ基準のソーシャルネットワーキングを試みる初のアプリではない。Tinderは友人とグループに参加し、他のグループとマッチする機能を持つTinder Social(ティンダーソーシャル)にこのアイデアを反映していた。しかし2016年の前途多難なスタートのあとたった1年ほどでこの機能は終了した。不注意にも、自身の連絡先からTinderのアカウントを持っている人を特定できたからである。リー氏は、Tinder SocialがうまくいかなかったのはTinderがすでに出会い(ナンパ)アプリとしてのブランドを確立していて、利用者1人がそのプロフィールを持っていると、同じバージョンの自分を友人やデート相手となる可能性がある人に見せることになったからだと考えている。

「個人に焦点を当てることはやめたいと考えています。それはデートを指すからです」とリー氏。「グループのアイデンティティを受け入れたいと思います。そうすればフロックは『アパートメント11』と呼ばれるかもしれません。グループを構成している人々よりも、誰がグループを立ち上げているかを見られます。強調されることを入れ替えているのです」。新たな人に会うことに焦点を置きながら、リー氏はFloxのグループ(フロック)を作る友人同士も近付くことを望んでいる。

Bumbleも出会いアプリとして始まったが、友達を作りビジネスパートナーを見つけるモードもある。リー氏は、Bumble BFF(バンブルBFF)をFloxのインスピレーションとして言及するが、彼女がアプリを使用したとき、ほとんどの人が新しく友達を作るよりもルームメイトを探しているように見えた。

画像クレジット:Flox

「Z世代は最も孤独で、不安で、落ち込んだ世代です。友人が必要な人はとてもたくさんいます」。リー氏は述べた。「しかし、『一対一の友情アプリを使用すること』にともなう社会的スティグマがあります。不運にも、一対一で友達を探すとき、相手や、あなたがBumble BFFを使用していることを知っているかもしれない誰かに、あなたが友人がおらず、希望する立ち位置に自らを置いていないことを示唆することがよくあります。そのため、私達のFloxの目標は、より快適に、安全に、楽しくすること、そして友人探しの裏にある社会的スティグマを取り除くことです」。

このアプリは、人は現在の友人に無視されると、新たな人と会うことを最も心地よく感じるというリー氏の仮説に依存する。しかし集団力学によって安全の層が新たに備わる。Floxは出会いアプリではないが、リー氏は一部の人がその目的でアプリを使用することを知っている。しかし、グループの中の人と出会うことで、他人と一対一で会うことにつきまとうリスクの軽減に役立つ可能性がある。

「2~3年前に住んでいた街で、出会いアプリで散々な目に遭いました。私はその出来事を報告しましたが何も措置が取られず、そのプラットフォームでは守られている感覚を得られませんでした」とリー氏はいう。「2020年、利用者と初めてお話ししたとき、利用者は『出会いアプリで他者に会うのは不安。一対一では安全ではないと感じるから。』と言っていました。そのため、私達はもっと心地よく、安全に人と会えるこの環境を提供したいのです」。

Floxの最近のシードラウンドにより、リー氏はアプリを構築し、利用者をどんどん増やし続けることを願っている。同時に、アプリ体験が既存の利用者にとって肯定的でリアルな物であり続けるよう慎重に進めたいとしている。

画像クレジット:Flox

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

【コラム】ソーシャルメディアとマッチングアプリが抱える深刻な身元確認問題

ソーシャルメディアとマッチングアプリはそろそろ、自分たちが蒔いてきた種を刈り取り、各プラットフォームから詐欺、偽装、デマ情報を一掃すべきだ。

その誕生当初、ソーシャルメディアやマッチングアプリは、インターネットの世界の小さな一角を占めるにすぎず、ユーザーはわずかひと握りだった。それが今では、Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)が、選挙に影響を及ぼしたり、ワクチン接種の促進を後押しまたは阻害したり、市場を動かしたりするほどに巨大な存在になっている。

また、何百万もの人々が「生涯の」伴侶と出会うためにTinder(ティンダー)やBumble(バンブル)などのマッチングアプリを利用しており、そのユーザー数はFacebookやTwitterに迫る勢いだ。

しかし、お祭り騒ぎはここまでだ。信用や安全よりも利益が優先されてきた結果、なりすまし犯罪やオンライン詐欺が入り込む隙が作り出されてしまった。

今や、BumbleやTinderで友達が「キャットフィッシング(なりすましロマンス詐欺)」に遭ったという話も、家族の誰かがTwitterやFacebookでオンライン詐欺の被害を受けたという話も、日常茶飯事である。悪意のあるネット犯罪者が個人情報を盗んで、あるいはなりすましの個人情報を新たに作って、詐欺を行ったり、政治的または商業的な利益のために偽情報を拡散したり、ヘイトスピーチを広めたりした、というニュースは毎日、耳に入ってくる。

ほとんどの業界では、ユーザーによるなりすまし詐欺の実害を被るのは当事者である企業だけで済む。しかし、マッチングアプリやソーシャルメディアのプラットフォームで信用が崩壊すると、その被害はユーザーと社会全体に及ぶ。そして、個人に及ぶ金銭的、心理的、時には身体的な被害は「リアルな」ものだ。

このような詐欺事件の増加を食い止める、あるいは撲滅する責任を果たしてきたのは誰だろうか。何らかの措置を講じてきたと主張するプラットフォームもあるが、各プラットフォームがその責任を果たしてこなかったことは明白だ。

Facebookは、2020年10月から12月の期間に、13億件の偽アカウントを摘発したが、これは十分というには程遠い数だ。実際のところ、ソーシャルメディアやマッチングアプリは現在、最低限の詐欺防止策しか講じていない。簡単なAIと人間のモデレーターは確かに有用だが、膨大な数のユーザーには到底追い付かない。

Facebookによると、3万5000人のモデレーターが同プラットフォームのコンテンツをチェックしているという。確かに大勢だ。しかし、概算すると1人のモデレーターが8万2000件のアカウントを担当していることになる。さらに、ディープフェイクの使用や合成ID詐欺犯罪の手法の巧妙化など、悪意のあるネット犯罪者は手口を日ごとに進化させているだけではなく、その規模も広げつづけている。経験豊富なユーザーでさえもそのような詐欺行為に引っかかってしまうほどだ。

ソーシャルメディアやマッチングアプリのプラットフォームは、この問題と闘う点で腰が思いと批判されてきた。しかし、実際のところどのように闘えるのだろうか。

なりすましロマンス詐欺の被害は深刻

次のような場面を想像するのは難しくない。マッチングアプリで誰かと出会って連絡を取り始める。その相手がいう内容や質問してくる内容に、怪しさは感じられない。その関係が「リアル」だと感じ始め、親しみを覚え始める。その感情は気づかないうちにエスカレートして、警戒心は完全に解け、危険信号に対して鈍感になり、やがて恋愛感情に発展する。

このようにして新たに出会った特別な人とあなたは、ついに直接会う計画を立てる。するとその相手は、会うために旅行するお金がないという。そこであなたはその人を信じて、愛情を込めて送金するのだが、間もなくその人からの連絡が一切途絶えてしまう。

なりすましロマンス詐欺事件の中には、被害が最小限にとどまり自然に解決するものもあるが、上記のように金銭の搾取や犯罪行為につながる事例もある。米国連邦取引委員会によると、ロマンス詐欺の被害額は2020年に過去最高の3億400万ドル(約348億8000万円)を記録したという。

しかし、これは過少に報告されている結果の数字であり、実際の被害額はこれよりはるかに大きい可能性が高く「グレーゾーン」やネット物乞いを含めるとさらに膨れ上がるだろう。それなのに、ほとんどのマッチングアプリは身元を確認する術を提供していない。Tinderなど一部の人気マッチングアプリは、身元確認機能をオプションとして提供しているが、他のマッチングアプリはその類いのものを一切提供していない。ユーザー獲得の妨げになるようなことはしたくないのだろう。

しかし、オプションとして身元確認機能を追加しても、単に上っ面をなでるような効果しかない。マッチングアプリ各社は、匿名IDや偽IDを使ったユーザーの加入を防ぐために、もっと対策を講じる必要がある。また、そのようなユーザーが社会と他ユーザーに及ぼす被害の重大さを考えると、マッチングアプリ各社が防止策を講じることを、私たちが社会として要求すべきだ。

身元確認はソーシャルメディアにおいて両刃の剣

ロマンス詐欺はなにもマッチングアプリに限ったことではない。実際のところ、ロマンス詐欺の3分の1はソーシャルメディアから始まる。しかし、ソーシャルネットワークサービスにおいて身元確認を行うべき理由は他にもたくさんある。ユーザーは、自分が本物のOprah Winfrey(オプラ・ウィンフリー)やAriana Grande(アリアナ・グランデ)のアカウントを見ているのか、それともパロディアカウントを見ているのかを知りたいと思うかもしれない。オプラ・ウィンフリーやアリアナ・グランデ本人たちも、本物のアカウントとパロディアカウントとの違いがはっきり分かるようにして欲しいと思うだろう。

別の重要な点は、ソーシャルネットワーク各社は身元確認を行うことによってネット荒らしの加害者を抑制すべきだという世論が高まっていることだ。英国では、同国のリアリティー番組人気タレントKatie Price(ケイティー・プライス)が主導して始まった「#TrackaTroll(#トロール行為を取り締まる)」運動が勢いを増している。プライスがHarvey’s Law(ハーヴェイ法)の制定を求めて英国議会に提出した嘆願書には、およそ70万人が署名した。ハーヴェイとは、匿名の加害者からひどいネット荒らしの被害を受けてきた、彼女の息子の名前だ。

しかし、ソーシャルネットワークを利用する際の身元確認を義務化することについては、強く反対する意見も多い。身元確認を行うと、家庭内暴力から逃げている人や、政治的な反対勢力を見つけ出して危害を加えようとする抑圧的な政権下の国にいる反体制派の身を危険にさらすことになる、というのが主な反対理由だ。さらに、政治やワクチンに関する偽情報を拡散しようとする多くの人々は、自身の存在を顕示して、自分の意見に耳を傾ける人を集め、自分が何者なのかを世の中に認知させたいと考えているため、身元確認を行っても彼らを抑止することはできないだろう。

現在、FacebookとTwitterは、正規アカウントに青い認証済みバッジを表示させる制度に「認証申請」プロセスを導入しているが、確実な措置というには程遠い。Twitterは最近、「認証申請」プログラムを一時的に停止させた。いくつもの偽アカウントを正規アカウントとして誤認証してしまったためだ

Facebookはもっと進んだ措置を講じてきた。かなり前から、特定の場合、例えばユーザーが自分のアカウントからロックアウトされたときなどに、身元確認を行ってきた。また、投稿されたコンテンツの性質、言葉遣い、画像に応じて、投稿者のブロック、認証の一時停止、人間のモデレーターによるレビューを行っている。

身元確認とプライバシー保護を両立させることの難しさ

悪意のあるネット犯罪者がマッチングアプリやソーシャルメディアで偽のIDを作って詐欺行為を働いたり、他の人に危害を加えたりすると、それらのプラットフォームに対する社会の信頼は損なわれ、プラットフォームの収益にも悪影響が及ぶ。ソーシャルメディアのプラットフォーム各社は今、ユーザー数を最大限まで伸ばすことと、ユーザーのプライバシーを保護することを両立させるために、あるいは、より厳しくなる規制とユーザーからの信頼失墜に直面して、日々格闘している。

盗難やハッキングによる個人情報の悪用を防ぐことは非常に重要である。もしTwitterやFacebookで誰かが自分になりすましてヘイトスピーチを拡散させたらどうなるだろう。自分はまったく関与していないのに、職を失うかもしれないし、もっと深刻な被害を受ける可能性もある。

ソーシャルメディアプラットフォーム各社は、ユーザーと自社のブランドを守るためにどのような選択をするのだろうか。これまで、プラットフォーム各社の決断は、テクノロジーよりも、ポリシーや利益の保護を中心として下されてきた。プライバシーに関する懸念に向き合って信頼を築くための対策と、利益確保の必要性とのバランスを取ることは、彼らが解決すべき戦略上の大きなジレンマだ。いずれにしても、ユーザーにとって安全な場所を作り出す義務はプラットフォーム各社にある。

ソーシャルメディアやマッチングアプリのプラットフォームは、ユーザーを詐欺や悪意のあるネット犯罪者から守るために、もっと大きな責任を担うべきだ。

編集部注:本稿の執筆者Rick Song(リック・ソング)氏はPersonaの共同設立者兼CEO。

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Rick Song、翻訳:Dragonfly)

Metaが実験的出会い系動画サービス「Sparked」を閉鎖

Meta(メタ)は、2021年以降、テストを続けてきたビデオを使ったスピードデーティングアプリを終了することを、同サービスのユーザーにメールで伝えた。2021年4月、当時Facebook(フェイスブック)と呼ばれていた同社は、新しいデーティング(出会い)サービス「Sparked」をテストしていることを正式に認めた。同サービスは社内の新製品開発チームであるNPEチームが開発した。ユーザーが相手のプロフィールをスワイプして相手を見つける近年のデーティングアプリと異なり、Sparkedの狙いは、1対1のスピードデーティングによる意外な発見をオンラインサービスにもたらすことだった。

Sparkedでは、デート希望者はあらかじめ決められたイベント中に自身の地域内の人たちと、短時間の「ビデオデート」を繰り返していく。開発チームはシカゴをはじめとする選ばれた地域でサービスをテストした他、1年を通じて何回かの「グローバル」デートナイトや、LGBTQユーザーや特定の年齢グループなどの層に特化したイベントを開催した。

画像クレジット:Meta

Sparkedのユーザーは、まず4分間の短いビデオデートでおしゃべりをして、うまくいけばその後10分間のデートができる。デート希望者は自分の電話番号、メールアドレス、Instagramアカウントなどの連絡先情報を相手に伝えることもできる。

Metaは当時Sparkedについて、ビデオデーティングがどのようなものになるかを評価するための「小規模な社外ベータ」テストだと説明していた。

しかし、2021年夏Sparkedは、ビデオチャットをともなわない別の種類のオンラインデーティングを実験し始めた。オーディオデーティングだ。何回かの「オーディオオンリー」のデートナイトを開催し、そこではユーザーは互いにおしゃべりできるが、ビデオには現れない。偶然ではなく、そのすぐあとFacebookの主要なデーティングサービスである、Facebook Dating(フェイスブックデーティング)も、Audio Dates(オーディオデート)という新機能を公開し、同じように出会った相手とオーディオチャットする仕組みを提供した。

そして今、Sparkedは店じまいしようとしている。同社はテスト参加者宛のメールで、サービスは2022年1月20日に終了することを告げた。

「私たちは2020年の終わりに、みんなが善意に基づく体験を通じて好きな相手を見つける方法の1つとしてSparkedの開発を始めました。以来、みなさんからの絶え間ない助言とフィードバックのおかげで、多くのことを学び、改善し、人と人との繋がりを作ってきました」とメールに書かれている。「多くの優れたアイデアがそうであるように、成功するものもあれば、Sparkedのように、終わらなくてはならないものもあります。

このメールは、Sparkedが「成功」した「多くの優れたアイデア」に入らなかったことを示唆しているようにみえる。

Metaの広報担当者にコメントを求めたところ、Sparkedユーザーにメールで伝えた以上に追加することはないという返事だった。

同社はユーザーに対して、閉鎖される前にSparkedのウェブサイトから各自の情報をダウンロードする方法を提供している。1月20日以降は、全ユーザーのアカウントが削除される。

Metaがこの実験を中止することに驚きはない。NPEチームのプロジェクトの中で、スタンドアロンアプリとしてMetaで永住の地を得たものはほとんどない。これまでに実施してきた中途半端なテストの数々には、通話アプリミームメーカーの他、TikTok(ティックトック)や Twitter(ツイッター)、Clubhouse(クラブハウス)といった人気ソーシャルアプリの類似品もあった。現在、米国App Storeで今も生きているNPEプロジェクトは3つだけ、ラップミュージックに特化したTikTokライクなアプリ、BARS(バーズ)、協力して音楽を作るアプリ、Collab(コラボ)、およびカップル向けアプリのTuned(テューンド)だ。

ちなみに、Facebookによるさまざまなデーティングの取り組みは、先行サービスと比べて成功しているとはいえない。The Verge(ザ・バージ)が2021年春に行ったMetaのFacebook Datingアプリ広告の分析を見ると、Facebookは数百万人のユーザーをさまざまな都市でFacebook Datingユーザーへと転換させることに苦闘している、Facebookアプリ内で直接利用できる機能であるにもかかわらず。

そしてこれに関してMetaはパンデミックのせいにすることはできない。トップクラスのデーティング・アプリは、パンデミック中に人々がバーチャル・デーティングを活用したことで利用が急増し、2021年にもそれが続いた

Facebookは自社のFacebook Datingサービスについて数値を公表しておらず、Facebookアプリの組み込み機能であることから、他の方法で利用状況を知ることはできない。

継続的投資のハードルを越えられなかったに違いないことに加えて、会社が消費者向けの新たなソーシャル体験だけでなく、新興市場にもっと力を入れていく方針を進める中、SparkedはNPEチームの新たなビジョンと必ずしも一致していない。

NPEグループはナイジェリアのラゴスにオフィスを作り、アジアにも人員を配置している。さらに同グループは、小規模な起業家たちにシード・ステージ投資を行うなど新しいアイデアを外部に求めようとしていることを最近発表した

画像クレジット:Sparked

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Tinder、Spotifyと提携して新機能「ミュージックモード」を開始

Tinder(ティンダー)はSpotify(スポティファイ)と提携し、ユーザーがプロフィールをチェックしているときに、相手が選んだ曲を30秒間ループで聞くことができる新機能「Music Mode(ミュージック・モード)」を開始した。Spotifyのアカウントをリンクし「Anthem(アンセム)」と呼ばれる選曲をTinderのプロフィールに追加したユーザーは、ミュージックモードに入ることができる。なお、TinderとSpotifyは、ユーザーがプロフィールに音楽を加えることができるAnthem機能を開始するために2016年に初めて提携していた。今回の最新の統合は、ユーザーが潜在的な相手のお気に入りの曲を発見するための新しい方法だ。

ミュージックモードは、今後数週間のうちに、Spotifyが利用可能なすべての市場で、Tinderユーザーにグローバルに展開される。この新機能は、Tinderのインタラクティブな「Explore」ページに表示される。Tinderは、この新機能が、音楽と人のつながりの自然な結びつきの上に構築されており、ユーザーが音楽の好みを通じてつながることを可能にすると述べている。

「ミュージックモードによって、ユーザーは、パーティーで自分と同じ曲を好きな人がいることを知ったときの感覚を体験することができます」とTinderのプロダクトイノベーション担当副社長であるKyle Miller(カイル・ミラー)氏は、プレスリリースの中で述べている。「歌は深く個人的なものであり、ミュージックモードは、音楽を通じて何か新しいことを引き起こす場所です」。

同社によると、Z世代のTinderユーザーの約40%がすでにAnthemをプロフィールに追加しており、追加するとマッチ数が10%近く増加するとのことだ。

今回の発表は、ユーザーが新しい方法で相手と関わることができるよう、Tinderが新機能を展開していることを受けたものだ。例えば、前述の新しいExploreセクションでは、イベントの紹介や、興味でマッチする相手を発見する新しい方法を提供している。また、ユーザーは、マッチングが成立する前に、相手と簡単な会話をすることができる。また、同社は、「Plus One(プラス・ワン)」機能も新たに追加した。この機能により、ユーザーは、自分が結婚式に参加する相手を探している、または結婚式に参加したいと思っていることを伝えることができる。

Tinderは2021年11月、アプリ内のインタラクティブなイベント「Swipe Night(スワイプナイト)」を復活させた。このイベントでは、マッチングやチャット以外に、ユーザーが打ち解けるための別の方法が用意されており、今回は「whodunit(フゥダニット)」と呼ばれる殺人事件をテーマにしている。Swipe Nightは、Exploreセクションから利用できる。また、このセクションでは、スピードデートのように時間を区切ってリアルタイムでチャットできる「Hot Takes(ホット・テイク)」や、同じ趣味を持つ人と出会える「Passions(パッション)」なども利用できる。

画像クレジット:Tinder

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

ライブ配信で表情や雰囲気を確認できる、英語圏在住のアジア人向け恋活・婚活マッチングアプリEME Hiveが約8億円調達

ライブ配信でお互いの表情や雰囲気を確認できる、英語圏在住のアジア人向けマッチングアプリ「EME Hive」が約8億円調達

英語圏在住のアジア人向けマッチング・ライブ配信アプリ「EME Hive」(イーエムイー ハイブ。Android版iOS版)を運営する米国EAST MEET EAST(EME)は11月25日、第三者割当増資による700万ドル(約8億円)の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家のディー・エヌ・エー、朝日メディアラボベンチャーズ、モバイル・インターネットキャピタル。

調達した資金により、画期的かつコロナ禍でも安心して利用できるマッチング×ライブ配信のシステムを強化する。さらに、ヒスパニック系をはじめとする多人種コミュニティのシェア拡大を進める。

EME Hiveは、英語を主要言語としたアジア人を主な対象とする恋活・婚活マッチングサービスで、2013年12月にニューヨークでローンチした。ユーザー登録数は累計14万人以上という。コロナ禍で直接会うことができなかった時期でもリアルタイムにコミュニケーションが取れたことから、ユーザー数が急増したそうだ。

従来のマッチングアプリでは、「相手の写真だけを確認し、チャットのみでコミュニケーションを行いその後に直接会う」といった形式が多く、「実際に会ってみると写真と違っていた」「チャットだけでは雰囲気がわからない」などの問題が起こっている。

これに対してEME Hiveでは、写真・チャットだけではなく、ライブ配信によりお互いの表情や雰囲気を確認できるため、安心してコミュニケーションを取ることが可能だ。また米国移住時の年齢、母国語など、アジア人の関心事項に的を絞った項目を検索条件に設定できる上、アルゴリズムを入れることによってマッチングの成功率を最大化している。共通の文化コミュニティを通じて、恋愛に向けた出会いだけではなく、同じ趣味の仲間を見つけることもできるという。ライブ配信でお互いの表情や雰囲気を確認できる、英語圏在住のアジア人向けマッチングアプリ「EME Hive」が約8億円調達

780社以上が利用、企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビAill goenが全国版・九州版に続き関西エリアでもサービス開始

企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビAill goenが全国版・九州版に続き関西エリアでもサービス開始Aill(エール)は11月15日、企業の福利厚生サービスとして利用可能なAI縁結びナビゲーションアプリ「Aill goen」(旧Aill)の全国版九州版に加え、同日より関西版を開始することを発表した。これにより、これまでの関東、九州、東北に加えて対象地域が拡大する。

Aillは、ウェルビーイング(=心も身体も健康な状態)が浸透する社会を目指し、幸福度の高い「ワークライフシナジー」を実現する一助として、公的・私的承認が満たされる重要性に着目。公的承認は、仕事(ワーク)などの社会活動によって得られるものの、仕事をがんばることでプライベートの時間・出会いの機会が少なくなり、パートナーシップや家族との関り(ライフ)によって得られる私的承認が満たされにくいという状況が課題となっているという。

そこで同社は、勤務先企業を通じて審査を受けた安心・安全なユーザーが集まるコミュニティを形成し、AIが出会いとコミュニケーションに伴走することで、信頼をともに育むライフパートナーの縁結びを提供している。Aill goenにより、社外の良縁とAIのテクノロジーの力で先の課題を解決すると同時に、社員の幸福度向上をアシストするという。

Aill goenは、福利厚生サービスとしてAillと提携した企業の独身社員のみが利用可能。社員の「ワーク」だけでなく「ライフ」もサポートする福利厚生サービスとして、現在780社以上の企業に利用されている。Aill goenには、生活サイクルやキャリアプランを軸に価値観が近い相手をAIが探す「紹介ナビゲーション」、AIがチャットをアシストする「会話ナビゲーション」、相手の好感度をAIが可視化する「好感度ナビゲーション」の機能を搭載。無料のトライアルプランのほか、紹介人数とチャット人数が充実した有料のスタンダードプランが用意されている。企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビAill goenが全国版・九州版に続き関西エリアでもサービス開始

「AIでウェルビーイングな社会をつくる」をミッションに掲げるAillは、今回のサービス地域の拡大により、利用者のさらなる良縁サポートに貢献したいという。

 

Tinderの殺人ミステリーをテーマにした新しい「スワイプナイト」が11月7日に復活

Tinder(ティンダー)は、ユーザーがマッチングしてチャットする以外の別の方法で打ち解けることができる、アプリ内のインタラクティブなイベント「Swipe Night(スワイプナイト)」を復活させる。Tinderは、第1シーズンの「あなたが選ぶアドベンチャー」のような世界の終末的なストーリーで2000万人以上のユーザーを獲得した後、今度は「whodunit(ホワイダニット)」と呼ばれる殺人ミステリーをテーマにした新しいイベントを導入すると発表した。このイベント「Swipe Night:キラー・ウィーク」は、米国時間11月7日の午後6時にスタートする。

「スワイプナイト」は、6月に導入されたTinderの新しいセクション「Explore」で実施されるが、このセクションには今後、より多くのソーシャル体験が搭載されることになる。このセクションには「スワイプナイト」以外にも、スピードデートのように時間を区切ってメンバー同士がリアルタイムでチャットできる「Hot Takes(ホット・テイク)」や、同じ趣味を持つ人と出会える「Passion(パッション)」などがある。

今回、Tinderは「スワイプナイト」の仕組みにいくつかの変更を加えた。今回のイベントでは、ストーリーを見て次に何をすべきかを選択するのではなく、Tinderユーザー自身が殺人事件の容疑者になるという、より直接的なイベントになっている。また、プレイヤーは家の中の部屋を探索・検索したり、物を調べててがかりを探したりすることができる。

毎週末、参加者は自分の怪しいと思うユーザーを選ぶことになるが、その際、別の容疑者を選んだ別のユーザーと「Fast Chat(ファスト・チャット)」(マッチングしなくてもチャットができる)でペアを組み、感想を語り合ったり、手がかりを分析したりして、一緒に謎を解き明かすことになる。これらのペアリングは、年齢、性別、距離などの要素で探している人物を示したユーザーのプロフィール設定に基づいたアルゴリズムにより行われる。しかし、ユーザーが別の容疑者を選択することで、会話を円滑に進めることができる。オンラインの出会い系アプリでは、ユーザーが最初の言葉を交わすのに苦労することが多いのだが、ここではそのようなことはない。

会話が終わり、プレイヤーが「スワイプナイト」の体験を超えて相手と話を続けたい場合、相手とのマッチングを選択することができるようになっている。

同社は、このようなプレッシャーの少ないチャットによって、ユーザーはマッチングの前に相性を試しやすくなり、アプリ内でメッセージを送信しても翌日まで見られない可能性があるよりも、全体的に良い体験ができると考えている。また、一緒にゲームをすることで、ユーザーは自分の考えや選択をよりリアルに表現できるようになるかもしれない。これは、ユーザーのプロフィールを見て即決するよりも、相手を知るためのより良い方法だとTinderは主張している。

さらに、Tinderのプロダクト担当副社長であるKyle Miller(カイル・ミラー)氏は、このようなリアルタイムのチャットは、TinderのZ世代のような若いユーザーに好まれていると述べている。

「人口統計学的に見て、Z世代は、新しい人と出会うために、このようなインタラクティブで楽しい方法をより多く利用しています」と同氏は説明する。「これが、私たちが『Explore』を作った大きな理由の1つです。Tinderが生き生きとしていて、体験的で没入感のあるものにしたかったのです…。スワイプしてマッチングしてチャットするという同じパターンを何度も繰り返していると、単調になってしまいます。これは私たちが望んでいたことではありません。楽しさや目新しさだけでなく、本質的なものを注入することで、Z世代が本当に惹かれていることがわかると思います」とミラー氏は述べている。

Tinderは「スワイプナイト」をより広く提供するために、オリジナル版が米国のみでスタートしたのに対し、今回は世界25カ国の市場で開始する。

また、第1シーズンとは異なり、いつでもプレイできるようになる。

「前回の『スワイプナイト』は、日曜日や週末にしかプレイできず、かなり限定的なものでした。しかし、今回は『Explore』セクションでライブ配信され、シーズン終了後も『Explore』セクションで利用できるようになります。半年後には、実際に『スワイプナイト』に参加して、今日のストリーミングと同じように、エピソードを再視聴、つまり再体験して、より多くの手がかりを探しに行くことができるでしょう」とミラー氏は述べている。

同氏は「スワイプナイト」のすべてのバージョンではないにしても、ユーザーがいつでも参加できるインタラクティブな体験のカタログを用意するという将来的な可能性も否定はしなかった。

このような種類の体験が開始されれば、Tinderは時間をかけてユーザーのエンゲージメントを高め、会員にとってより良い結果をもたらすことができるだろう。Tinderによると、最初の「スワイプナイト」の2000万人のユーザーは、マッチ数が26%増加したという。また、現在「トゥルー・クライム(実録犯罪)」系のジャンルへの関心が過去最高となっており、それに言及したプロフィールが年初から20%増加している。Tinderのユーザープロフィールの3万件以上に「犯罪のパートナー」を探していると書かれている。

今シーズンの「スワイプナイト」は、Sasie Sealy(サジー・シーリー)氏が監督を務め、Z世代の若手キャストとして、Ashley Ganger(アシュリー・ガンガー:『グランド・アーミー』 / Netflix)氏、Calvin Seabrooks (カルヴィン・シーブルックス:『ドールフェイス』 / Hulu、『ウエストワールド』 / HBO Max)、Luke Slattery (ルーク・スラッタリー:『ニュー・アムステルダム 医師たちのカルテ』、『レイトナイト 私の素敵なボス』)氏、Francesca Olivia Xuereb (フランチェスカ・オリビア・シューレブ:『Room203』、『The Sex Lives of College Girls』 / HBO Max)氏、Nozipho Mclean(ノジポ・マクリーン:『インヘリタンス』、『Are You Happy Now』)、Ivan Carlo (イワン・カルロ:『ゴシップガール』 / HBO Max)氏、Emile Ravenet(エミール・ラベネット)氏が出演する。

画像クレジット:Tinder

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

結婚式に参加するパートナーを探す新機能「Plus One」をマッチングアプリTinderがリリース

Tinder(ティンダー)は米国時間10月14日、年末の結婚式シーズンに向けて、結婚式に参加するパートナーを探すための新しい方法を展開することを発表した。同日より、ユーザーはアプリ内の「Plus One」オプションに加入することで、結婚式に参加する相手を探す、またはその意思があることを示すことができるようになった。この新機能は、2021年9月にリリースされたTinderの「Explore」セクションからアクセスでき、興味のある分野などからマッチする相手を見つけることができる。

Tinderのプロダクト・イノベーション担当副社長であるKyle Miller(カイル・ミラー)氏は「多くの会員が次の結婚式のためにパートナーを探していることを知っているので、Tinderでまさにそれができる方法を提供できることに興奮しています」とブログで述べている。

Tinderは、ウェディングプランナーの会社であるWeddingWire(ウェディングワイヤー)と提携し、新しい結婚祝い金プレゼントを通じて、独身のゲストがウェディングシーズンの費用をまかなえるよう支援している。

また、対象となるTinderユーザーでPlus Oneに加入した最初の100名に旅行、ギフト、宿泊など、これから参加する結婚式にかかる費用をまかなうための460ドル(約5万2000円)をプレゼントする。WeddingWireの調べによると、ゲストが結婚式に出席するために費やす費用は平均460ドル(約5万2000円)とのことで、この金額がプレゼントに選ばれた理由だ。

画像クレジット:Tinder

Tinderによると、Tinderのプロフィールで「結婚式のパートナー」について言及している人が年初から45%増加していることから、ユーザーはすでに結婚式シーズンに向けて準備を進めているという。この最新機能により、Tinderのユーザーは、興味のない候補者を選別する必要がなくなり、結婚式へのデート相手を直接検索できるようになる。

今回の新機能は、Tinderがユーザーとの関係を強化し、デート相手を探したり、交流したりするための選択肢をより増やすための新機能を展開してきたことを受けてのものだ。例えば、前述の新しいExploreセクションでは、イベントや、関心事別にマッチする相手を発見する新しい方法を提供している。また、ユーザーは、マッチングが成立する前に相手と簡単な会話をすることもできる。

また、Tinderは先週、Lyft(リフト)と提携し、ユーザーがデート相手の乗車料金を支払うことができるようになった。この機能では、ユーザーが住所や場所を交換する必要はなく、代わりに車を予約する相手にクレジットを送ることで完結する。

これらのソーシャル機能に加えて、Tinderはユーザーのための安全ツールのリリースにも力を入れている。例えば、8月には、任意のID認証を全世界で提供する予定であることを発表した。また、6月には、ユーザーが自分の携帯電話の連絡先をアップロードして、アプリで見たくない特定の人をブロックできる機能をリリースしていた。

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ライドシェアLyftでマッチングアプリTinderで出会った相手に乗車をプレゼント
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画像クレジット:Tinder

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(文:Aisha Malik、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Tinderが「ワクチン接種有無」を表示できる新機能を日本で開始、デート相手に「ワクチン接種」を求めるニーズに対応

マッチングアプリTinderが「ワクチン接種有無」を表示できる新機能を日本で開始マッチングアプリのTinderは、新機能「ワクチンセンター」を10月15日から日本で導入します。

同機能では、“新型コロナワクチンの接種状況”や”ワクチン接種に対する考え方”などを表現したTinderオリジナルのステッカーを、プロフィールに表示できます。さらに、ワクチンセンター内に貼られたリンクから近くのワクチン接種会場の案内などを確認できます。

マッチングアプリTinderが「ワクチン接種有無」を表示できる新機能を日本で開始

若者への新型コロナワクチン接種が本格化し始めた7月以降、Tinderではプロフィール欄に「ワクチン」や「接種」というワードを使うユーザーが急増。7月単月では、日本において「ワクチン」を含んだプロフィールが前月比で2.4倍、今年1月比較で約68倍に増え、 「接種」を含んだプロフィールは前月との比較で2.3倍、1月との比較で115倍にも増加したといいます。

このような数字から、Tinderのメンバー間ではマッチ相手にワクチン接種の状況を確認したり、自分が接種済みであることをアピールポイントとする傾向が見られるといい、今回の新機能の実装に踏み切ったといいます。

(Source:TinderEngadget日本版より転載)

最大15秒の短尺動画を投稿し気の合う人と出会える、Z世代向けソーシャルマッチングアプリ「mow」がリリース

最大15秒の短尺動画を投稿し気の合う人と出会える、Z世代向けソーシャルマッチングアプリ「mow」がリリース

Vチューバーのマネジメント事業を行うV Chuu(ブイチュー)は8月23日、動画を使ったソーシャルマッチングアプリ「mow」(モウ。iOS版)を8月2日にリリースしたと発表した。主にZ世代に向けたアプリで、TikTok・Instagramのストーリー機能やリールズ機能のような感覚で相手を探すことができるという。男女の出会いだけでなく、「同じ趣味を持った友人」「気の合う友人」も探せることを意図しているため、あえて「ソーシャルマッチング」としている。現在mowは、有料会員機能を無料提供している。

最大15秒の短尺動画を投稿し気の合う人と出会える、Z世代向けソーシャルマッチングアプリ「mow」がリリース

V Chuuによると、SNSアプリはすでに数多く存在するものの「声をかける」という行為を前提として作られていないため、フォローはしてもそこからの声かけのハードルが非常に高いと考えているという。一方mowでは、従来からの「マッチングアプリ」の前提で自分の動画をアップロードしたり、相手がアップロードした動画にリアクション(=いいね)を送ることができ、マッチングすればそこからの会話のスタートは非常にスムーズとしている。

またV Chuuは、ソーシャルメディアとしての責任にも重点を置いている(インターネット異性紹介事業届出済み)。たとえば、インターネット異性紹介事業では公的証書による年齢確認が義務づけられているが、それらデータを確認後にすぐに削除している(mowは、18歳未満は利用不可)。通報やブロック機能もリリース当初から備え、利用規約に反する行為や投稿などをパトロールで見張っている。違反者があれば、即刻アカウントを停止するという。

2020年1月設立のV Chuuは、主要メンバーのほとんどがZ世代という若い企業。メンバーは、既存マッチングアプリに対して、「テキストと加工された写真だけでは人柄が分かりにくい」「実際に会ってみると想像と違った」といった不満を抱えていた。そこで、動画投稿に抵抗のないZ世代ならではの発想として、情報量が多く「ありのままを映し出す」動画を使ったマッチングサービスを思いついた。また、「男性が有料・女性が無料」「性別を男性もしくは女性のみしか選べない」という一般的なマッチングアプリに違和感を覚えていたことから、ジェンダー的に自由なアプリを目指した。

最大15秒の短尺動画を投稿し気の合う人と出会える、Z世代向けソーシャルマッチングアプリ「mow」がリリース

今後は、mowのブランドコンセプトにあったインフルエンサーを起用したプロモーションを展開してゆくという。