Microsoftがリモートワークが当然になった時代の新しい社内イントラネット「Viva」を発表

米国時間2月4日、Microsoft(マイクロソフト)は新しい「従業員エクスペリエンスプラットフォーム」、マーケティング用語を使わずにいうなら多くの大企業が従業員に提供しているイントラネットサイトの後継となるVivaを発表した。VivaはSharePointやYammerといったMicrosoftのツールの統合をベースに設計され、社内コミュニケーションへのアクセスなど標準的な機能を備えている。Vivaでチームの分析をしたり、LinkedInラーニングなどのトレーニングコンテンツプロバイダ(SAP SuccessFactorsのようなもの)と統合することもできる。MicrosoftがViva Topicsと名づけた、社内でナレッジを共有する機能もある。

企業が社内コミュニケーションやそのためのイントラネットの提供に多額の費用をかけていることをご存じだろう。そして従業員は実務をこなすためにそれをすぐに無視してしまう。しかしMicrosoftは時代が変わりつつあると主張する。多くの企業でリモートワークが継続され、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が終息しても(そう願いたい)それは続くからだ。一部の従業員だけがリモートワークを続けたり出社とリモートのハイブリッドを選んだりするとしても、このような従業員が適切なツールにアクセスでき、自分が会社の一員であると感じられるようにする必要はある。

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MicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は事前に収録されたビデオの中で「我々は世界がこれまで見てきた中で最大規模のリモートワークの実験に参加し、従業員のエクスペリエンスに劇的な影響がありました。世界が元に戻っても、後戻りすることはありません。働く時間、場所、方法が柔軟であることが重要です」と語った。

ナデラ氏は、どんな組織にも社内のオンボーディングのプロセスから同僚との共同作業、教育の継続を通じて従業員をサポートする、統一された従業員エクスペリエンスプラットフォームが必要になると説明する。従業員がリモートで仕事をしているため、企業は社内文化を維持し従業員間のコミュニティを育むのに苦戦している。Vivaはこうした状況を改善することを目指している。

当然のことながら、VivaはMicrosoft 365やそれに付随するツールと連携し、主力コラボレーションサービスのMicrosoft Teamsや、2012年に買収しサポートが継続されている従業員コミュニケーションツールのYammerとも統合されている。

Vivaは複数のサービスから構成されている。Viva Connectionsは社内のお知らせやポリシー、福利厚生、社内コミュニティにアクセスするためのサービスで、Yammerを利用する。Viva Learningはその名のとおり学習リソースを利用するためのサービス、Viva Topicsは社内全体でナレッジを共有するサービスだ。いずれもモダンなイントラネットであれば、スタートアップが提供するものであってもJiveのような定評のある企業が提供するものであっても、標準で備えているサービスだ。

Viva Insightsは異質なもののように感じられる。少し前にMicrosoft Productivity Scoreが議論になったことを考えればなおさらだ。Viva Insightsはたとえば管理職が、チームが(個々のチームメンバーではなく)燃え尽き症候群の危機に瀕していないかといったことに関する洞察を得て、通知をオフにしたり日々の優先順位を設定したりするように促そうとするものだ(良いマネージャーなら分析がなくてもそのようにしてほしいが、2021年はこれが必要だ)。Viva Insightsは企業のリーダーが「組織の仕事のパターンと傾向に目を向けて、複雑な課題を解決し変化に対応する」のにも役立つように作られている。なるほど。

2021年のMicrosoftだけあって、今回の発表には従業員の健康に関する話も多い。大半の従業員にとって健康とは、会議が少なく、集中する時間が長く、仕事が終わったら通知をオフにすることだ。こうしたことを支援するテクニカルなツールはもちろんあり、これはまさに企業文化とマネジメントの問題だ。そのためにLinkedInのソリューションであるGlintと統合して分析する必要があるのかどうか筆者にはわからないが、こうしたこともできるようになった。

Microsoft 365のコーポレートバイスプレジデントであるJared Spataro(ジャレッド・スパタロウ)氏は次のように語った。「仕事を取り巻く世界が変化する中で、創造性とエンゲージメント、健康を重視することでイノベーションの次の展望が得られます。その結果、組織はレジリエンスと創意工夫の文化を築くことができます。我々のビジョンは、組織が積極的な従業員と成長を促すリーダーの協力で繁栄する文化を創造できるよう支援するための従業員エクスペリエンスプラットフォームを提供することです」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:MicrosoftMicrosoft VIvaリモートワーク

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

生産性を重視したTeamflowの仮想HQプラットフォームが390万ドルを獲得

ビデオ通話やSlackによるメッセージが主なコミュニケーション手段となってから約1年。ここにきて再び働き方や職場のあり方が変化を遂げようとしている。Teamflow(チームフロー)の創設者Florent Crivello(フロレント・クリベロ)氏は、オフィス勤務を再開する人やリモートワークを続ける人など多種多様なポストコロナの世界で仕事の効率化を図るための、非常に有益なアイデアを生み出したとして高額の資金調達に成功した。

以前はHuddle(ハドル)として知られていた同社は、様々な場所から働くチームメンバーが単一のプラットフォームから共同作業やコミュニケーションをできるようにする仮想本社を構築している。過去6か月間プライベートベータテストを行ってきた同スタートアップは、本日Menlo Ventures(メンロ・ベンチャーズ)のNaomi Ionita(ナオミ・イオニータ)氏が率いるシードファイナンスラウンドで390万ドル(約4億円)を調達したと発表した。

競争が「過熱」しているこのタイミングでの資金調達にクリベロ氏は満足しているようだ。現在HQプラットフォームは市場に溢れかえっており、ベンチャー企業に支援されているものや独自開発のものなどがあるが、どれもゲーミフィケーションと生産性を組み込んだサービスとなっている。

「シリコンバレーのエンジニアや技術者の多くがこの1年、この課題を肌で感じてきたかと思います」とクリベロ氏。

以前はUber(ウーバー)でチームを率いていたクリベロ氏によると、競合他社のプラットフォームがソーシャル的な要素に注力する中、Teamflowのフォーカスは仕事そのものであるという点で他社と差別化を図ることができているという。競合他社には、よりソーシャル的な要素が強いBranch(ブランチ)や、最近20億ドル(約2080億円)で評価されたプラットフォームで、デジタル会議をプロデュースするHopin(ホップイン)などがある。

「ポケモン的な楽しみ方が製品の強みではありません。仕事自体が我々のフォーカスです」と同氏は言う。

Teamflowをひと目見てみると、デザイン性よりも生産性を重視しているということが見て取れる。仮想空間に入るとホワイトボードやカウントダウンタイマーなどのサイドバーが用意されており、さらには近々NotionやGoogle Docsとの統合も追加されるようだ。

現在のリモートワークがもたらした「アプリ中心」の世界で、Teamflowがその中心的な存在になれたらとクリベロ氏は考えている。アプリだらけの混沌とした状況を整理し、コラボレーションレイヤーとして一箇所に集約させるプラットフォームになろうというわけだ。

従業員がより自然な体験を得られるようにするための空間技術が使用されており、同僚の横を通り過ぎると会話に参加することができ、そこから遠ざかると会話の音量も徐々に小さくなっていく。また個室空間も用意されているため、招待制の会議を行うことも可能だ。

同製品はベータ版を開始して以来すでに成長の兆しを見せている。プラットフォームの利用時間は週ごとに30%増加しており、プラットフォーム体験において計5万時間以上のユーザーテストを達成。さらに待機リストには1000人ものユーザーがいる。

「朝から一日中開けっぱなしで使用するような製品になってくれるのではないでしょうか」とクリベロ氏は言う。

いくら生産性を重視しているからといっても、消費者にこのアプリを終日使ってもらえるようにするためにはデザインの良し悪しも無視できない。より多くの時間を同プラットフォームで過ごしてもらうには、仮想本社の雰囲気をユーザーがより深く感じられるようにするための投資がTeamflowには必要である。競合他社がゲーム的機能を前面に押し出している理由はここにある。

どんなバーチャルHQ企業であれ、毎日の貴重な時間をプラットフォームでおとなしく過ごしてもらえるようユーザーを納得させる必要がある。

うまくいけばTeamflowはSlackやZoomに取って代わるリモートワーク・ソリューションになれるかもしれない。クリベロ氏によると既にこの2つのアプリの使用を中止した「企業が複数いる」とのことで、Teamflowは現在Slackに匹敵する社内チャット機能を構築中だという。

最新の価格情報によると、1か月あたりのサブスクリプションコストは1人につき15ドル(約1560円)からとなっている。

「コミュニケーションの方法以外にも、リモートワークの共同作業において必要なことはたくさんあります」とクリベロ氏は述べている。SlackとZoomが主に従業員同士をつなげることを重視している一方で、Teamflowを使用すれば仕事も会話も全てを一箇所で済ませられるようになるというのが同氏の考えだ。

言うまでもなく、遠隔で働くチームに向けたプラットフォームを広く普及させることができればその利益は絶大だ。コロナ禍か否かにかかわらず、時代は分散型ワークの主流化に向けての転換点を迎えたとTeamflowは考えている。創業者らはチームの幸福度と生産性を高く保つためのソリューションを模索することになるだろう。

「今後リモートワークを選択肢としない企業は、競争上不利になるのではないでしょうか」とクリベロ氏。

アーリーステージのスタートアップというのは、長期的な成功が初めから明らかでなくても多少許されるものだ。しかしTeamflowやその他多くの仮想HQプラットフォームに関して言えば、成功の行方はパンデミック後の消費者習慣が顕在化した瞬間すぐに、明確に見えてくることだろう。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:リモートワーク 資金調達

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Dragonfly)

リモートワークは環境に優しいがそのためのテクノロジーにも炭素コストがある

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるリモートワークへの大幅なシフトによって、自動車その他の二酸化炭素排出量は大幅に減少したが、また別のコストがかかっている。最新の研究によると、自宅勤務を可能にするためのネット接続やデータインフラストラクチャーは一時的な炭素コスト引き上げを起こしている。そしてそれは、カメラをオフにするいい訳になる。

パデュー大学、イェール大学、およびMIT(マサチューセッツ工科大学)の研究者が、インターネットインフラストラクチャーの炭素、土地、および水のコスト分析を試みた。

「持続可能なデジタル世界を構築するためには、インターネットの環境負荷を慎重に評価し、その増大に最も影響を与える個人あるいは集団の取るべき行動を見定める必要がある」と彼らの論文の導入部に書かれている。

単一の指標を使うのは短絡的すぎると彼は指摘する。炭素排出量は有効な指標だが、電力源や水のコスト(データセンターの冷却・運用に必要)に加え、製品を作るために必要な理論的「用地費」を追跡することも重要だ。もしこれが少々根拠に欠けると感じたなら、それは一連の推計がそうだからだ。

「この種の計算を地球規模で行うためには、数多くの仮定が必要であり、必要なデータの多くが欠けています」と筆頭研究者であるイェール大学のKaveh Madani(カーヴェ・マダニ)氏はTechCrunch宛のメールで述べた。「それでもこれは良い出発点であり、手に入るデータを使ってできることにベストを尽くすだけです」(マダニ氏は、統計的や科学的な厳密さの欠如よりも、業界の透明性の欠如の方が、研究の精度を妨害していると指摘した)。

研究結果の一例を挙げると、1時間のHDビデオストリーミングは最大440gの二酸化炭素を排出する。YouTubeの排出は最大1000g、Zoomやビデオ会議では160gなどビデオ品質によって異なる。一方、現代の自動車はガソリン1ガロン当たり8887g(1リットル当たり2347g)排出している、とEPA(米国環境保護庁)はいっている。職場まで20マイル(32 km)通勤する代わりに、ビデオミーティングを1時間行っているなら、間違いなくグリーンであり、1桁か2桁は違う。

画像クレジット:Madani et al

ただし、在宅勤務へのシフトやデジタル消費が悪いことだといっている人はいない。「もちろん、バーチャル会議はオフィスにクルマで行くよりも環境に良いけれど、もっと良い方法があるはずです」とマダニ氏はいう。

問題は、わずかな環境コストでビットを動かすことだけではないことだ。たしかにそのデータはファイバーを通じて送られるだけたが、それは巨大なデータセンターや通信インフラ、そしてもちろん無駄なデバイス買い替えの永遠のサイクルのおかげでもある。ただし最後の1つはこの論文の推計には含まれていない。

使うもののコストを知らなければ、情報に基づく使い方はできないと研究者らは警告する。
「バンキングシステムはペーパーレスによる環境への好影響を訴えるが、カメラをオフにしたりストリーミングの解像度を下げることの有益性は誰も教えてくれない。つまり、ユーザーの了解を得ることなく、各プラットフォームは私たちの環境負荷を増やしているのです」とマダニ氏はパデュー大学のニュースリリースで語った。。

顔が見える必要のない通話でカメラをオフにすることによる炭素排出量の削減は、わずかではあるが些細ではない。同様に、ストリーミングの品質をHDからSDに落とすことで、通信に関わるエネルギーを約90%節約できる(もちろんテレビやスピーカーの使用電力は変わらない)。

悲観的情報を読み続けるあの「ドゥームスクローリング」の習慣はすでに問題になっているが、親指のフリック1つずつが、間接的にどこかのデータセンターに熱い不気味な気体を排出させ、空調費用をわずかに上昇させていることを思うと、いっそう問題だ。ソーシャルメディア一般はHDストリーミングほどのデータを消費していないが、TikTokをはじめとするビデオ中心ネットワークの普及は、すぐに追いつくことを意味している。

マダニ氏は、彼らの研究に関する誤解を招く記事はともかく、この研究はカメラをオフにするなどといった簡単な治療薬を処方するものではないと説明する。もちろんそうすることは可能だしするべきだが、我々が見るべきは体系的変化であり個人ではない、と同氏はいう。何百何千万人の人々がそれぞれカメラをオフにしたりストリーミング品質を4Kから720pに下げる可能性を考えてみてほしい。ほんのわずかだろう。

その一方で、もしこれらのサービスのコストが明確になれば(マダニ氏らが取り組み始めているように)、対象となる企業にインフラ側の変化を求める圧力がかかり、アルゴリズムを改善することで、5000万人がかすかな不快を受け入れる意識的決断をする以上のエネルギーが節約されるだろう。

「消費者には、今起きていることをもっとよく知る権利があります。彼らは自分のコンピューターでEnterボタンを押したとき何が起きるかを知りません。知らない人たちが行動を変えることは期待できません」とマダニ氏はいう。「政策決定者は立ち上がってこの分野の問題を提起し、規制を検討し、透明化の改善を強制し、公害税を課し、インセンティブ機構を作るべきです。将来もう1つの維持不可能で制御不能なセクターを見たくなければ」。

デジタルへの転換は、驚くべき効率を生み出し多くの無駄を削減あるいは排除してきたが、その過程で新たな問題を生み出した。進歩とはそういうものだ。新たな問題が古い問題より好ましいことを願うばかりだ。

この研究は学術雑誌、Resources, Conservation and Recyclingに掲載されている。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:リモートワーク二酸化炭素排出量

画像クレジット:Olivier Doiliery / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフトのビジネス向け最新Surface7+はリモートワークにフォーカス、米では本日より予約開始

米国時間1月11日から本格的に始まるCESでは、リモートワークに特化した製品が数多く登場するだろう。2020年はスマートフォンの売上が低迷していたにもかかわらず、PCの売上が大幅に伸びた。オフィスからバーチャルワークへの移行など多くの変化があったが、今ではハードウェアメーカーの努力が実を結び始めている。

新しいSurface Pro 7+は、間違いなくその要件を満たしているようだ。キーボードケース付きの2in1製品を主要なプロダクティビティデバイスとして推奨することにはまだ躊躇があるが、人々はその方向へさらに進もうとしているようだ。

画像クレジット:Microsoft

主な特長としては、オプションのLTE通信および第11世代インテルCoreプロセッサによる高速処理(Microsoftによれば最大2.1倍のパフォーマンス)を実現している。これに、最大32GBのRAMと1TBのストレージが組み合わされる。ビデオ会議用の1080pウェブカメラとクアッドマイクも搭載されている。

外部ポートは1個のフルサイズのUSB-Aと、厄介なSurfaceコネクタが用意されている。残念ながら、USB-Cポートは1個しかない。フル充電での駆動時間は最大15時間だが、これは特筆するほどではない。

Wi-Fiバージョンは899ドル(約9万4000円)で、LTEバージョンは1149ドル(約12万円)からとなる。予約は本日から開始され、出荷は来週を予定している。また、すでに発表されているホワイトボード型PCであるSurface Hub 2S 85が、ついに2021年2月から「一部の市場」で発売される。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:MicrosoftSurfaceCES 2021リモートワーク

画像クレジット:Microsoft

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

Zoom疲れ対策を目指す元GitHubエンジニアのビデオ会議データベース化サービス「Rewatch」

パンデミックによってリモートワークが増加した。オフィスが閉鎖、準閉鎖状態のため企業は業務を分散作業に切り替えている。我々は以前よるはるかに多くの時間をビデオ会議に費やすようになり、ZoomやGoogleハングアウトを使ってコミュニケーションを図っている。企業は事業部署やタイムゾーンを超えて、世界に広く拡散したチームが緊密にコミュニケーションを図る方法を考え出す必要が生じている。

Rewatchは、会議を効率化(できれば短縮化)したいと考えている。共同ファウンダーのConnor Sears(コナー・シアーズ)氏、Scott Goldman(スコット・ゴールドマン)氏は 企業が会議を保存してプライベートなビデオチャンネルを作り、社員が自分の都合がいい時間に再生するサービスを提供しようとしている。

Rewatchは本質的な部分でZoomなどと反対の非同期的体験だ。共同ファウンダーたちはビデオ会議を視聴する新しい方法を提供することで、「Zoom疲れ」と戦うことができると期待している。

仕組みはこうだ。Rewatchを導入した企業はZoomまたはGoogleハングアウトによる会議を記録し、データベースにアーカイブする。この際、タグとメモを書き込んで動画検索を効果的にすることができる。たとえば参加者は自分が取り組んでいるプロジェクトが話題になった時間を記録しておくことができる。また同僚が突然なにか大声で主張した時間もタグ付けしておけば後からの検索に便利だ。

Rewatchでは企業独自のビデオライブラリを「ミニYouTubeチャンネル」と呼んでいる。サービスには会議音声の文字起こしも含まれている。つまり現在のビデオ会議は、リアルタイムでしか参加できない同期体験をRewatchはこれを非同期の動画掲示板とドキュメントに変換する。

「これまでビデオ会議の利用範囲を拡大する唯一の方法は、会議時間を長くするか会議の数を増やすしかありませんでした」とシアーズ氏は説明する。Rewatchを使えば「会議は終了しました」というそっけない無音の表示をどんなタイムゾーンにいるユーザーでもタグとテキストで検索できる対話的なビデオ情報源に変えることができる。

シアーズ氏は有名なデベロッパー向けサービスであるGitHubの元社員で、そこでRewatchのアイデアを得たという。オープン分散サービスであるGitHubは、タイムゾーンを超えて世界のデベロッパーが協力できるよう部内にYouTubeチャンネルを作成した。現在、共同ファウンダーたちは、GitHub内で人気を得ているこの機能を利用し、さらに拡充してメインストリームのサービスとしようと試みている。


RewatchはすでにGitHub自身を含め多くの顧客を獲得できたという。ただしその数は明らかにされていない。料金は未定だがサブスクリプションモデルを考えており一般公開の際には課金することになる。

当然GoogleドライブがRewatchのライバルとなる。しかしGoogleドライブはビデオコンテンツの保存と構造化に関して相当に遅れをとっている。Rewatchは、ライブ文字起こしやタグ付加などビデオを検索しやすい機能を追加してライバルに対する優位性を得ようとしている。他のライバルとしてはベルリンのスタートアップで非同期会議に取り組んでいるAcapela(未訳記事)や、ポッドキャストサービスのStoryboard(Business Wire記事)などが含まれる。後者は、ポッドキャストの作成者がオーディオコンテンツをオンデマンドで関係者に公開するのを支援する機能が含まれる。最近、両社とも数百万ドル(数億円)クラスの資金調達を実施した。

ビデオ会議開催体験の改良は確かに重要だ。しかしRewatchやそのライバルは企業の社員が会議コンテンツのデータベースをかなり頻繁に利用し、大きな意義を認めることにビジネスを賭けている。このビジネスはユーザー行動に大きく左右される。ただ正直なところ、現在の我々は休暇中に開催されて見逃した会議をわざわざ後から再生することは滅多にないだろう。

テクノロジー上のイノベーションが無意味だというという意味ではまったくないが、非同期ビデオ会議再生のようなビジネスが成功するためには、ユーザーの習慣に大きな変化が起こること必要になる。一方、冷笑主義を否定する投資家はすでに何百万ドルもこうした事業に投資している事実も考えねばならない。

実際、Rewatchのビジョンに納得した投資家は数多い。このスタートアップはTechCrunchの取材に対し、今回のプレシードラウンドはSemil Shah(セミル・シャー)氏のHaystackがリードし、Kent Goldman(ケント・ゴールドマン)氏のUpside Partnershipが参加し200万ドル(約2億1000万円)の資金の調達に成功したことを確認した。投資家にはこの他、GumroadのCEOであるSahil Lavingia(サヒル・ラビンギア)氏、GitHubのCTOであるJason Warner(ジェイソン・ワーナー)氏、ZendeskのシニアバイスプレジデントであるJason Smeale(ジェイソン・スミール)氏らが含まれる。

関連記事:シリコンバレーに広がる冷笑主義に対抗する方法はSubstack、Clubhouseそしてマイアミ脱出だ

カテゴリー:ネットサービス
タグ:RewatchGitHubZoomリモートワーク

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

コワーキングスペースの「いいオフィス」が2.4億円を調達、新プランに向けシステム開発強化

コワーキングスペースの「いいオフィス」が2.4億円を調達、新プランに向けシステム開発強化

「働き方を自由にする」をテーマにコワーキングスペース事業を展開する「いいオフィス」は1月5日、第三者割当増資による合計2.4億円の資金調達を発表した。引受先は、江口勝義氏(エグチホールディングス 代表取締役)、高原直泰氏(沖縄SV CEO)、NKC ASIA、ほか個人投資家。累計資金調達額は4億円となった。

調達した資金により、店舗開拓とブランディング、さらに新プランに向けたシステム開発を強化する。

いいオフィスでは、コワーキングスペース「いいオフィス」を全国をはじめ海外にも展開。国内外問わず月額制でどこでもご利用できるサービスを提供している。国内外270店舗を運営しており、2020年度中には契約ベースで400店舗の展開を目指し、さらなる店舗開拓を進めている。

同社によると、リモートワーク・テレワークが急速に広がり、「働き方改革」が進んだ一方、労働環境が充実しているとはいえない「在宅ワーク」により、効率低下や社員の孤立化など、新たな問題も発生しているのが実情という。また、リモートワークやテレワークは「会社に行かなくていい」ではなく、「働く場所」=「快適でアクセスしやすい労働環境」を充実させることが不可欠と指摘。

電車・車を使って遠くにある快適な労働環境へ移動するのではなく、「今いる場所の近く」で、「快適で、人とのつながりを構築できる労働環境」がある「働き方の未来」を目指すという。「まるでコンビニのように働く場所」にアクセスできれば、「働き方」はより自由になるとしている。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:いいオフィス(企業)コワーキング資金調達(用語)新型コロナウイルス(用語)リモートワーク / テレワーク(用語)日本(国・地域)

Turing、エンジニアをリモートで調達・管理するAIベースのプラットフォームに3200万ドルを確保

リモートワークが今日のビジネスの重要な側面としての地位を確立し続けている中、企業向けにエンジニアのカテゴリーに特化してリモートスタッフの調達とオンボーディングを支援するプラットフォームを構築したスタートアップが、その需要に応えるため、さらなる資金調達を行っている。

遠隔地にいる有望なエンジニアを評価して企業に代わってマネジメントを行う、AIベースのプラットフォームを手がけるTurin(チューリング)が、WestBridge Capital(ウエストブリッジキャピタル)主導のシリーズBラウンドで3200万ドル(約33億円)を調達した。同社の計画は、対応する世界と同様に野心的だ。AIプラットフォームによって企業が成長のためにIT関連の人材を調達するための、未来の方法を定義するというものだ。

チューリング共同創設者兼CEOのJonathan Siddharth(ジョナサン・シダース)氏は、主要投資家について、先日のインタビューで「彼らはCognizant(コグニザント)やGlobalLogic(グローバルロジック)のようなグローバルITサービスへの投資に豊富な経験を有しています。彼らにとって、チューリングはそのモデルの反復だと私たちは考えています。ソフトウェアがITサービス業界を席巻すると、Accenture(アクセンチュア)はどうなるでしょうか?」。

同社のデータベースには現在、約18万人に上るエンジニアが登録されており、React、Node、Python、Agular、Swift、Android、Java、Rails、Golang、PHP、Vue、DevOps、機械学習、データエンジニアリングなどを含む約100種類のエンジニアリングスキルに対応できる。

ウエストブリッジに加えて、今回のラウンドにはFoundation Capital(ファウンデーション・キャピタル)、Altair Capital(アルテイア・キャピタル)、Mindset Ventures(マインドセット・ベンチャーズ)、Frontier Ventures(フロンティア・ベンチャーズ)、Gaingels(ゲインジェルズ)などの投資家が名を連ねている。また、著名なエンジェル投資家が数多く参加しており、創設者自身が蓄積してきたネットワークが顕著に示されている。その中には、名前を明らかにしていないが、Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)、Amazon(アマゾン)、Twitter(ツイッター)、Microsoft(マイクロソフト)、Snap(スナップ)などの幹部を始め、フェイスブック初のCTOであり現在はQuora(クオラ)のCEOを務めるAdam D’Angelo(アダム・ディアンジェロ)氏、Gokul Rajaram(ゴークル・ラジャラム)氏、Cyan Banister(サイアン・バニスター)氏、Scott Banister(スコット・バニスター)氏、Upwork(アップワーク)の創設者Beerud Sheth(ビーラッド・シェス)氏も含まれている(本記事の下に全リストを提供する)。

チューリングは評価額を公表していないが、ファウンデーション主導のシードラウンドで1400万ドル(約15億円)を調達したのが8月に過ぎないことがその勢いを示している。シダース氏によると、同社はその評価中に十分な成長を遂げており、評価額と関心の高さから、シリーズAを完全にスキップしてシリーズBに進んだという。

同社のプラットフォームに登録している開発者は、8月時の15万人から18万人とさらに数を増やし、その拠点は1万もの都市に広がっている。そのうち約5万人がチューリングのプラットフォーム上での自動審査を通過しており、今後はこうした人材を活用する企業の数をさらに増やすことに取り組む。

シダース氏はこの状況を「需要に束縛されている」と表現した。同時に、同社の収益は増加を続けており、顧客ベースも拡大している。収益は10月の950万ドル(約9億9000万円)から11月には1200万ドル(約12億5000万円)へと急増し、14か月前に一般公開されて以来17倍に達した。現在の顧客には、VillageMD(ビレッジMD)、Plume(プルーム)、Lambda School(ラムダスクール)、Ohi Tech(オーハイテック)、Proxy(プロキシ)、Carta Healthcare(カータヘルスケア)などがいる。

リモートワーク = 即時の機会

新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、多くの人がオフィスに出社することができなくなっている今日の状況の中で、リモートワークについて語られる機会も増えている。しかし実際には、もう何十年も前から、別の形でそのワークスタイルは存在してきた。

アクセンチュアやその他のシステムインテグレーターなど、サードパーティの支援によるオフショアリングとアウトソーシングの2つは、雇用、規模の拡大、場合によっては労働力そのものを縮小するために必要な運営コストを負担するのではなく、任意の機能を実行し、特定の分野を構築するこれらのサードパーティに一定の金額を支払うことによって企業の事業規模の拡大と運営を推進する方法である。

チューリングは実質的に両方のコンセプトを採用している。エンジニアに特化した人材チームの調達を代行し、チームを運用する新しい方法を創出した。その一方で、事業立ち上げの昨年来、この機会を活用して、以前はオフィスに人材を派遣することを強く希望していたであろうエンジニアリングマネージャーなどに対して、リモートで働いてもオフィスにいる場合と同様の生産性を維持できるという意識の変換を促している。

シダース氏と、共同創設者でCTOを務めるVijay Krishnan(ヴィジェイ・クリシュナン)氏は、その背景を十分認識している。両氏ともインド出身で、最初は学生としてシリコンバレーに移り住み(スタンフォード大学の大学院を修了している)、その後働いている。当時は、彼らのような野心家にとって、大規模でグローバルなテクノロジー企業に就職したり、スタートアップ企業を立ち上げたりするためには、事実上シリコンバレーに移住することが唯一の選択肢だった。

シダース氏は今年初め、その状況について「才能は普遍的なものですが、機会はそうではありませんから」と筆者に語った。

過去に両氏が共同設立したスタートアップであるコンテンツ発見アプリRoverは、市場のギャップを浮き彫りにした。遠隔地に分散したエンジニアチームを中心にスタートアップを構築したことで、コストを抑えながら優秀な人材を確保することができた。その間、ライバルたちはシリコンバレーでチームを構築していた。「パロアルトや周辺地域の競合他社は多額の現金を投じていましたが、状況は悪化するばかりです。給与水準が急上昇しましたから」と同氏は言う。

TaboolaやOutbrainなどと競合するレコメンドプラットフォームRevcontentにRoverを売却した後、両氏は、かつて自分たちがスタートアップを築きあげた方法に基づいて、新たなスタートアップを築くことに目を向けた。

リモートで働く機会のさまざまな側面を活用して人材の調達と管理方法に取り組む企業は、数多く存在する。

そうした企業には、11月に3500万ドルを調達したRemote(リモート)、9月に3000万ドルを調達したDeel(ディール)、同様に9月に4000万ドルを調達したPapaya Global(パパイヤグローバル)、7月に4500万ドルを調達したLattice(ラティス)4月に1600万ドルを調達したFactorial(ファクトリアル)などが挙げられる。

チューリングの興味深いところは、新しい人材を見つけるためのさまざまな段階に対応し、サービスを提供しようとしているところだ。まず、AIプラットフォームを使って候補者の情報を集め、精査する。そして、機会と人材をマッチングし、そのエンジニアのオンボーディングを行う。彼らの仕事と生産性を安全な方法で管理する手助けをし、請負業者、あるいは将来的にはフルタイムのリモート従業員として、最も準拠した方法で労働者を管理する最善の方法についてガイダンスを提供する。

同社はフリーミアムではないが、プロジェクトにコミットする前に2週間の試用期間を与える。チューリングは、アクセンチュアとは異なり、ある程度の弾力性を顧客に約束するのではなく、自社製品に持たせようとしている。

今では素晴らしいアイデアに思えるが、印象的なことに、このアイデアが本格的に軌道に乗り始めたのは、今年の3~4月ごろにリモートワークが一般的になってからだ。

ウエストブリッジキャピタルのマネージングディレクター、Sumir Chadha(スミル・チャダ)氏は、インタビューで、「コロナ禍がもたらしたことには驚かされます。それはチューリングにとって大きな機運となりました」と語っている。さらに、テクノロジーチームを立ち上げようとしている人たちにとって、「もはやエンジニアを見つけて顧客にマッチングする労力は不要になりました。これらはすべてクラウドでできるのです」とも述べている。

アルテイア・キャピタルのマネージングパートナー、Igor Ryabenkii(イゴール・リャベンキー)氏は声明の中で「チューリングのビジネスモデルは非常に興味深く、今の時節においてはとりわけ重要です。世界中の優れた人材にアクセスでき、適切に管理されたコスト効率の高いサービスの提供は、多くの企業にとって魅力的です。創設チームのエネルギーは同社に急速な成長をもたらし、Bラウンド後、その成長はさらに加速するでしょう」と述べている。

追伸:前述したように、今回のラウンドの完全なる長い投資家リストを掲載する。コロナ禍の時代において、今後しばらくの間はこれが最大のリストの1つとなるだろう。上記で既に挙げた投資家に続く、深いため息が出るほど長い一覧は次のとおり。Founders Fund(ファウンダーズファンド)、Chapter One Ventures(チャプターワンベンチャーズ)のJeff Morris Jr.(ジェフ・モーリス・Jr.)氏、Plug and Play Tech Ventures(プラグアンドプレイテックベンチャー)のSaeed Amidi(サイード・アミディ氏)、UpHonest Capital(アップオネストキャピタル)のWei Guo(ウェイ・グオ)氏、Ellen Ma(エレン・マー)氏、Ideas & Capital(アイディアズアンドキャピタル)のXavier Ponce de León(ハビエル・ポンセ・デ・レオン)氏、500 Startups Vietnam(500スタートアップス・ベトナム)のBinh Tran(ビン・トラン)氏、Eddie Thai(エディー・タイ)氏、Canvas Ventures(キャンバスベンチャーズ)のGary Little(ゲイリー・リトル)氏、B Capital(Bキャピタル)のKaren Appleton Page(カレン・アップルトン・ペイジ)氏、Kabir Narang(カビール・ナラン)氏、Peak State Ventures(ピークステートベンチャーズ)のBryan Ciambella(ブライアン・キャンベラ)氏、Seva Zakharov(セーバ・ザハロフ)氏)、Stanford StartX Fund(スタンフォードスタートエックスファンド)、Amino Capital(アミノキャピタル)、Spike Ventures(スパイクベンチャーズ)、Visary Capital(ビサリーキャピタル)のFaizan Khan(フェイザン・カーン)氏、Brainstorm Ventures(ブレインストームベンチャーズ)のAriel Jaduszliwer(アリエル・ジャドゥスリワー)氏、Dmitry Chernyak(ディミトリ―・チェリニャック)氏、Lorenzo Thione(ロレンゾ・ティオーネ)氏、Shariq Rizvi(シャリク・リズビ)氏、Siqi Chen(スィーキー・チェン)氏、Yi Ding(イー・ディン)氏、Sunil Rajaraman(スニル・ラジャラマン)氏、Parakram Khandpur(パラクラム・カンドプール)氏、Kintan Brahmbhatt(キンタン・ブランバット)氏、Cameron Drummond(キャメロン・ドラモンド)氏、Kevin Moore(ケビン・ムーア)氏、Sundeep Ahuja(サンディープ・アフジャ)氏、Auren Hoffman(オーレン・ホフマン)氏、Greg Back(グレッグ・ベック)氏、Sean Foote(ショーン・フット)氏、Kelly Graziadei(ケリー・グラジアデイ)氏、Bobby Balachandran(ボビー・ブラキャンドラン)氏、Ajith Samuel(アジス・サムエル)氏、Aakash Dhuna(アカーシュ・ドゥーナ)氏、Adam Canady(アダム・キャンディ)氏、Steffen Nauman(ステフェン・ニューマン)氏、Sybille Nauman(シビル・ニューマン)氏、Eric Cohen(エリック・コーエン)氏、Vlad V(ブラッド・V)氏、Marat Kichikov(マラット・キチコフ)氏、Piyush Prahladka(ピユーシュ・プララドカ)氏、Manas Joglekar(モナス・ジョーグレイカー)氏、Vladimir Khristenko(ウラジミール・クリステンコ)氏、Tim/Melinda Thompson(ティム/メリンダ・トンプソン)氏、Alexandr Katalov(アレクサンダー・カタロフ)氏、Joseph/Lea Anne Ng(ジョセフ/リーアン・イング)氏、Jed Ng(ジェド・イング)氏、Eric Bunting(エリック・バンティング)氏、Rafael Carmona(ラファエル・カルモナ)氏、Jorge Carmona(ホルヘ・カルモナ)氏、Viacheslav Turpanov(ビチャスラフ・トゥルパノフ)氏、James Borow(ジェームス・ボロー)氏、Ray Carroll(レイ・キャロル)氏、Suzanne Fletcher(スザンヌ・フレッチャー)氏、Denis Beloglazov(デニス・ベログラゾフ)氏、Tigran Nazaretian(ティグラン・ナザレティアン)氏、Andrew Kamotskiy(アンドリュー・カモツキー)氏、Ilya Poz(イルヤ・ポズ)氏、Natalia Shkirtil(ナタリア・シキルティル)氏、Ludmila Khrapchenko(ルドミラ・クラプチェンコ)氏、Ustavshchikov Sergey(ウスタブシチコフ・セルゲイ)氏、Maxim Matcin(マキシム・マッチン)氏、Peggy Ferrell(ペギー・フェレル)氏。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:リモートワーク 資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

リモートワーク疲れの市場を狙うバーチャルオフィススタートアップ

今にして思えば、2019年は実社会で無理なく自然に振る舞える最後の年だったように思える。パンデミック前は、しょっちゅう会議があったし、同僚とも自由に会えた。仕事帰りには楽しい時間も過ごせた。今は、Microsoft(マイクロソフト)やTwitter(ツイッター)といった企業が、これからはリモートワークの時代になると宣言しており、物理的なオフィス自体が今後も存続していくのかどうか、あやしい状態になっている。

しかし、シリコンバレーでは、物理的なドアが1つ閉じたら、仮想的なドアが1つ開く、と考える起業家が増えている。リモートワークをより自然なものにするという目的を掲げて、数十の新しいスタートアップがバーチャルオフィスを構築してチームを分散化させる取り組みを進めている。その先頭を走っているのが、Z世代のゲーマーが創業したBranch(ブランチ)、Zoomをゲーム化したエンジニアが設立したGather(ギャザー)、そして未だに正体がはっきりしないHuddle(ハドル)の3社だ。

この3つのプラットフォームは、バーチャルオフィス実現の準備は整っていることを証明するために競争を繰り広げている。マルチプレーヤーゲームの文化を背景として生まれたこの3社は、空間認識テクノロジー、アニメーション、生産性ツールを使用して、オフィス向けのメタバースを作り上げる。

こうしたスタートアップの今後最大の課題は、自分たちのプラットフォームが単なるエンタープライズ版のSims(シムズ)や、Zoomに常時ログオンしている状態とは異なることを、ベンチャーキャピタルとユーザーたちに納得してもらうことだ。成功すれば、ゲームとソーシャル化を融合させてチームを分散化できる可能性が出てくる。

多肉植物と空間認識テクノロジー

バーチャルオフィスを導入する企業は、生産性向上を目的とする企業からビデオゲーム開発企業まで多岐にわたる。その中間には、仕事と遊びを混在させた世界があり、ブランチはまさにそうした世界をターゲットとしている。

ブランチの順番待ち名簿には500を超える企業が並んでいる。現行ユーザーで、同プラットフォームを1か月間使った後の定着率は60%だ。同社はこれまで、Homebrew(ホームブルー)、Naval Ravikant(ナバル・ラヴィカント)氏、Sahil Lavingia(サヒール・ラヴィンギア)氏、Cindy Bi(シンディ・パイ)氏などの投資家から合計150万ドル(約1億5600万円)を調達している。

ブランチのバーチャルオフィスを眺めてみると、サンフランシスコの中心街で見る典型的なオフィスにあるものはすべて揃っている。会議室、ランチテーブル、休憩所、そして、同僚のデスクの上には多肉植物まである。大半の社員は12時間ログオンしており、大統領選の投票日には、オフィスエリアに開票速報のライブストリームが映し出され、皆が観ていた。

バーチャルオフィスには、現行社員も解雇された社員もいる。物理的なドアがあるかないかの違いは大きい、とブランチの創業者は言う。

ブランチのプラットフォームはパンデミックへの対策として構築されたものではなく、創業者のDayton Mills(デイトン・ミルズ)氏とKai Micah Mills(カイ・ミカ・ミルズ)氏の長年にわたる実験の結果として生まれたものだ。2人の創業者はどちらも、15才のときからマインクラフトサーバーを建ててゲームを販売し、毎月数千ドルの純益を上げてきた。カイは高校を中退してマインクラフトサーバーの運営に専念し、デイトンは13才でゲームスタジオを設立してイラスト作成のためのアーティストまで雇っている。このゲームスタジオは、「13才の子供で資金もない」という理由で失敗に終わった。

共同創業者のデイトン・ミルズ氏はこう語る。「私は大半の時間、オンラインでゲームをして過ごしていた。とにかく1日中ビデオゲームをプレイしていて、バックグラウンドで皆とチャットしていたんだ。チャットはいつでも待機中になっていたからね。だから、私はバーチャルオフィスのプラットフォームをまったく問題なく受け入れられる。問題は、他の人にも同じように感じてもらえるかどうかだ」。

現時点で同氏は、このプラットフォームが成功するという自信を崩していない。結局のところ、オフィスというのは、否が応でも毎日顔を出さなければならない場所だ。それなら、もう少し面白い場所にしたっていいんじゃないか、というのが同氏の考えだ。

「まず、社員が働くスペースを構築する。それができたら、仕事の後に行けるスペースを構築する。そこから発展させて、さらにいろいろなスペースを作っていきたい」。

ブランチも、他のバーチャルオフィスプラットフォームと同様、適切な機能を備えつつも、重荷だと感じさせない程度にアプリとして受動的であるという特性を持ち、そこで時間を過ごすことが楽しいと思えるスペースになることを求められている。「このダイナミックさを実現するために、動画や音声を強制しない機能や、発話していることを示すアイコンをユーザーごとに用意し、リアルタイムで会話が行われている感じを出す機能を追加した」とデイトン・ミルズ氏は説明する。目指すのは、1日6時間ログオンしても負担を感じないカジュアルさを維持することだ。

「人々はリモートワークでSlackを使っているが、実際にオフィスに行ってもやはりSlackを使っている」とデイトン・ミルズ氏は言う。同氏は、ブランチでも同じようになることを願い、社員が一日何回くらい互いに言葉を交わすかを測定し始めた。1日あたりのチャットの回数は、数秒程度のものも含め、数百回程度だという。

ブランチやその他のスタートアップが負担の少ない自然なオフィスを作り出すために使っている主要テクノロジーは、空間ゲーミングインフラストラクチャだ。このテクノロジーの中核となるのは、近接する範囲内にいる人の声だけが聞こえるようにして、その範囲から外れていくとその人の声も徐々に聞こえなくなるというものだ。これにより、廊下ですれ違ったときのような感覚が実現される。

デイトン・ミルズ氏は、競争の激しいこの分野で勝ち残っていくのは、無理のない自然な空間を作り出せる企業だと考えている。

「セレンディピティ(偶然に出会う幸運)を直接作り出すことはできない。だから、それを生み出す環境を作る」と同氏は語る。

バーチャルオフィスの最大手と思われるギャザーは、まさにミルズ氏の提案を実現する機能を組み込んでいる。例えば、「肩をポンと叩く」という動作で同僚とのおしゃべりを促す機能や、社員が集まってきてバーチャルビリヤードができるビリヤード台などだ。オフィスを見回すと、コーギーがデスクの横に座っていたり、ジャック・オ・ランタンが飾られていたりする。この例ではフロアにいくつか観葉植物も配置されている。

ギャザーのメインフロア

 

「自分が見られているかどうかいつも気にかけている必要はなく、近づいて話しかけてくる人の声が聞こえるだけだ」とギャザーの創業者Phillip Wang(フィリップ・ワン)氏は言う。

オフィスには、ホワイトボードや、任意の場所に動かせるGoogleドキュメントが配置されており、いつでもアナウンスや会話ができるようになっている。

ギャザーは、ワン氏と同氏の友人が大学卒業後に創業し、現在創業18か月を過ぎたところだ。ギャザーのチームは当初、今話すことができる友人を表示して会話を始められるカスタムのウェアラブルデバイスを作ろうとしていたが、うまくいかず、アプリ、VR、全身ロボットへと方向転換を図った。ちょうどその頃、新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、職場は閑散とし始めていた。

巨大なのか?意外と小さいのか?市場規模は未知数

ギャザーはエンジェル投資家から資金を調達したことがあるが、機関投資家からの資金調達は、資本政策表によって会社の成長と方向性が捻じ曲げられる可能性があると判断し、避けていた。

このステージでのVCからの資金調達について、ワン氏は「結局、自分がやりたくない選択肢だけが残ってしまうという状況になることはよくある」と指摘する。「我々は、ユーザーにとって有益な方向に進む原動力となるような方法で利益を出したいといつも考えている」。

エンジェル投資家のJosh Elman(ジョッシュ・エルマン)氏は、多くのVCがギャザーの製品に興味を持っているが、その理由は同社のトラクション(牽引力となる顧客数)とチームだけではない、と語る。バーチャルオフィスはバーチャルオフィスで終わらない可能性を秘めているからだ。オフィスはテクノロジーで支配できる空間だが、学校、イベント、ウェディングなどにも同じことが言える。

エルマン氏は、バーチャルオフィスの潜在市場を示す例として、最近1億2500万ドル(約130億3500万円)を調達し、評価額21億ドル(約2190億円)に達したHopin(ホッピン)を挙げる。大半のVCは、イベントの分野で多くの勝ち組が生まれることに同意している。問題はプラットフォームのスティッキネス(ユーザーを惹きつける力)だ。

正しい価値提案を行えば、マルチプレーヤーゲームの可能性を人々に理解してもらうことはそれほど難しくない。例えば、Epic Games(エピック・ゲームズ)のFortniteは、サイケデリックなTravis Scottのライブを配信し、1230万人を超える視聴者を動員した

このように、ゲームテクノロジーが持つ可能性はすぐに理解できる。しかし、きらきらした照明の中で音楽を楽しむライブではなく、ただ同僚だけがいるバーチャルオフィスで毎日過ごすとしたらどうだろう。ビジネス用途のソーシャルゲーミングのTAM(獲得可能な最大の市場規模)は未知数だ。これらのプラットフォームが、いつか1000億ドル(約10兆4000億円)規模になる潜在能力を秘めたベンチャー企業ではなく、普通の事業よりも少し大きくなる程度のものだという可能性だってある。

画像クレジット:Bryce Durbin

 

しかし、ハドルのFlorent Crivello(フローレント・クリベロ)氏はそうは思っていない。同氏は自分の会社(正体は不明だがリモートオフィス事業の会社らしい)は、不動産、輸送機関、そしてマクロ的には都市全体に大きな変革をもたらす潜在性を秘めており、その市場規模は数兆ドルに達すると考えているからだ。

「Uber(ウーバー)時代の同僚には、『自分は今でも輸送関連のビジネスに取り組んでいるよ。ただ、輸送機関は将来消えてなくなると考えているというだけのことだ』と話す」とクリベロ氏は言う。

ハドルが6か月前にローンチした非公開ベータ版は、アップルやウーバーのチームで使用されている。ハドルのプラットフォーム上ではすでに数万時間におよぶ会議が行われており、クリベロ氏によると、中にはSlackやZoomを使うのをやめた顧客もいるという。

「Slackは、画面に表示される名前の一覧を見ることと名前をクリックすることは違うということを理解していない。オフィスで誰かを見かけることは、『やあ』と声をかけることとは違う。後者のほうが人間味にあふれていると思う」と同氏は語る。

Gumroad(ガムロード)を創業したSahil Lavingia(サヒール・ラヴィンギア)氏は、ガムロードの物理的なオフィスを2016年に閉じてしまった。元に戻るつもりはまったくないという。

ラヴィンギア氏はブランチのシードラウンドでは次のように語った。「オフィスは維持費が高すぎるし、週40時間もそこで過ごす必要性はない。物理的なオフィスがなくなることはないと思うが、こうしてリモートでも効率的に働けることがわかってしまった今、大幅に減少するだろう。経費もリモートのほうがはるかに安くすむ」。

Sweat Equity(スイートエクイティ)のパートナーで人事部に在籍していた経験のあるMegan Zengerle(メーガン・ゼンゲール)氏は、バーチャルオフィスの導入を検討している企業は、ソリューションの賞味期限について考えておく必要があると指摘する。

「それが本当に会社のために構築したい文化なのか。会社にとって長期的に有益なものなのか。そうした方向に進むことは論理的に意味をなすことなのか。こうしたことを考える必要がある。文化は生きており呼吸している。一度設定してそれで終わりといった静的なものではない」とゼンゲール氏は言う。

バーチャルオフィスは、チームの知的能力と扱う製品によって大きく異なってくるとゼンゲール氏は考えている。明らかに同氏は、バーチャルオフィスがすべての会社に適用できる万能ソリューションだとは考えていない。

「パンデミックに対応するための数々の戦略が提言されているが、そうした対応策は、組織ごとではなく、組織内の社員ごとに異なるものだ」とゼンゲール氏は指摘する。

これまでもスタートアップが大規模な顧客ベースを惹きつけることを阻害するさまざまな障害があった。2011年のTechCrunch Disruptの勝者であるShakerも例外ではない。

パンデミック以前の世界ではリモートワークを普及させる文化が整っていなかった。新型コロナウイルスの感染拡大によって、オフィスは閉鎖され、社員は適応することを余儀なくされた。本記事で取り上げたスタートアップ各社は、社会全体の大規模な適応によって新しい文化的シフト、メタバース(コンピューターが作り出す3次元の仮想空間)が主流となるような新しい文化的シフトが起こると確信している。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:リモートワーク

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(翻訳:Dragonfly)

フィル・リービン氏のmmhmmがMemixを買収、オンライン会議でのプレゼンをもっと楽しく

近頃は、誰かと話をするのにオンライン会議を利用することがすっかり定着した。今後、新型コロナウイルス感染症の影響を軽減する効果的な方法が見つかったとしても(見つかるかどうかはまだわからないが)、オンライン会議は存続すると多くの人は考えている。つまり、オンライン会議を改良することがビジネスチャンスになるということだ。はっきり言おう。「Zoom疲れ」は現実に起きているし、少なくとも筆者は、誰かのTeamに参加することに正直うんざりしている。

mmhmm(ンーフー)は、Evernote(エバーノート)の前CEOであるPhil Libin(フィル・リービン)氏が設立した動画プレゼンアプリのスタートアップだ。同氏は、オンライン会議というメディアの機能や、それに対する一般的な概念を変えたいと思っている。ンーフーが最初に取り組んだのは、まるでニュース番組のように、動画の中でプレゼンテーションをリアルタイムで操作する機能だ。同社は米国時間10月24日、現在は招待制のベータ版であるmmhmmの一般公開を目指して買収を行ったことを発表した。

ンーフーが買収したのは、サンフランシスコを拠点とするMemix(メミックス)という企業だ。メミックスは、(録画済みかストリーミングかを問わず)動画に適用できるさまざまなフィルター(照明、背景の詳細、画面全体の変更)や、各種動画プラットフォームでそのようなフィルターを使用するためのアプリを開発している。

mmhmmと同様、メミックスも現在、動画プレーヤー本体ではなく、既存の動画プラットフォーム上で使用するツールの開発に注力している。メミックスは、Zoom、WebEx、Microsoft TeamsなどのWindowsアプリを介して、またはChrome、Edge、およびFirefox上で動作するFacebook MessengerやHousepartyといったウエブアプリを介してアクセス可能なバーチャルカメラという形で提供されている。

リービン氏はインタビューに答えて次のように語った。「このバーチャルカメラは現在の形のまま維持し、各種フィルターとメミックスのテクノロジーをmmhmmに統合する取り組みと、mmhmmプラットフォーム上により多くの機能を構築するための土台作りを同時に進めていく」。

市場には現在、動画関連の製品がひしめいており、ユーザーも多いが、どの製品もまだスタートラインに立ったばかりで、テクノロジーも求められる機能も日進月歩だとリービン氏は考えている。同氏によると、この市場は今、(会議などの)既存のエクスペリエンスの焼き直しではなく、まったく新しいエクスペリエンス、さらに優れた何かを創造する方向へと移行している段階だという。

リービン氏はこう語る。「この分野は大きな転換期を迎えており、それはまだ始まったばかりだ。重要なのは、すべてがハイブリッド型エクスペリエンスになっているという事実だと思う。動画プレゼンテーションのエクスペリエンスには、直接会う、オンライン、録画、ライブという4つの形態がある。これまでは、どのプレゼンテーションもこの4つのいずれかに収まっていた。つまり、境界が固定されていたわけだ。ところが今、この境界が徐々に消えつつあるため、すべてのエクスペリエンスを再構築して本質的にハイブリッドなエクスペリエンスを実現できるようになっている。これは、極めて重要な変化だ」。

メミックスの創業者たちは、この概念について頭の中で考えてきただけでなく、それを実現するソフトウェアの構築を進めてきた。
「やるべきことはたくさんある」と創業者の1人であるPol Jeremias-Vila(ポル・エレミアス・ヴィラ)氏は言う。「プロとしてストリーミング配信を行うとなると、高価なカメラ、照明、マイク、スタンドなど、非常に複雑なセットアップが必要になるが、それに代わる選択肢を提供する、というのが我々の基本的な考えだ。しかも、こうした複雑なセットアップを数回のクリックだけで提供できるようにしたい。先ほど挙げたようなハードウェアと同じ効果を実現できるテクノロジーを、膨大な数の視聴者向けに(ソフトウェアだけで)実装できる方法を考案したい」。

メミックスの2人のスペイン人創業者、 Inigo Quilez(インディゴ・キレス)氏とポル・エレミアス・ヴィラ氏は、スペインではなくサンフランシスコのベイエリアで出会った。2人ともメミックスの運営にフルタイムで関わっているわけではないが、同社が開発するテクノロジーの移行や統合には関わっていくつもりだという。

リービン氏が最初にキレス氏のことを知ったのは彼がYouTubeに投稿した「数学で絵を描くための原理」と題する動画だった。しかし、この動画だけでは2人の創業者の人物像はよくわからない。彼らはグラフィックエンジニアリングの達人だ。エレミアス・ヴィラ氏は現在、Pixar(ピクサー)の主任グラフィックソフトウェアエンジニアであり、キレス氏は昨年までFacebook(フェイスブック)でプロダクトマネージャー兼主任エンジニアとして、OculusのQuill VRアニメーションや生産性ツールを開発していた。

テック企業でエンジニアとしての仕事をこなしているだけでは、グラフィックアプリケーションに取り組むための十分な時間を確保できなかったため、2人はBeauty Pi(ビューティー・パイ、Beauty Pieとは異なる)という取り組みを始めた。Beauty Piは2人が本業とは関係のないさまざまな共同作業を行うための場となった。メミックスは、Beauty Piのプロジェクトとして、2人がゼロから作り上げたものだ。Beauty Piには他にもShadertoy(シェイダートイ、3Dシーンに影を作成するコンピュータープログラムShadersを作成するためのコミュニティとプラットフォーム)などのプロジェクトがある。

このように、メミックス誕生の背景を見ると、今まさに動画の世界で興味深いビジネスチャンスが生まれていることがわかる。現在、パンデミックのせいで(少々、言い方が悪いかもしれないが)猫も杓子も動画をメディアとして活用する分野に手を出している。加えて、ブロードバンド、デバイス、アプリ、動画関連の技術が進化しているため、動画ストリーミングの基本概念に面白い変化を加えたり改善を施したりするスタートアップが雨後の筍のように現れている。

テレビ会議の分野だけでも、いくつか有望な企業がある。Headroom(ヘッドルーム)は数週間前、会議中に有意義なメモを取れるようユーザーを支援する機能や、聴衆が退屈したり不快に感じたりしていないかをコンピュータービジョンを使って検出してプレゼンターが聴衆の反応をより正確に把握できるようにする機能などを含む、非常に興味深いAIベースのサービスを発表した。

Vowel(ヴァウエル)が提供している新しいツールは、会議とその文字起こし原稿に有意義な注釈を付けられるだけではない。すべてのセッションを横断的に検索してさまざまな項目を追跡したり、複数のイベントにおける参加者の発言内容を掘り下げて調べたりすることが可能だ。

もともと音声トラックの編集ツールを開発していたDescript(デスクリプト)は今週始め、動画から文字起こししたWord文書を切り取り、貼り付け、修正して動画のビジュアルと発言内容を編集できる動画用コンポーネントを発表した。これらはすべて、mmhmmと同じく、明らかにB2Bを前提として開発されている。そして、上に挙げた企業は氷山の一角にすぎない。

確かに、現在市場に出ている多数の画像処理技術はそれ自体が興味深いものだ。以前より明確なビジネスモデル(と主要企業)がようやく登場した段階にあるため、この分野はまだ成熟しておらず、関連技術がどのような領域で最も活用されるようになるのかは、まだ不明である。

そのため、ズーム、グーグル、マイクロソフトといった大手だけでなく、ゼロからまったく新しいプラットフォームを構築する新規参入組にとっても、面白いビジネスチャンスだと言える。

その意味で、mmhmmは注目に値する存在だ。リービン氏は、不運なチャットボット市場に同氏が進出するというだけで見出しになるほどの大きな影響力を持つ人物だ。mmhmmは、そのリービン氏の名声とインスピレーションが背景にあるというだけでなく、Sequoia(セコイア)をはじめとする有名VCの支援を受けている(セコイアは今月始め、mmhmmに対する3100万ドル(約32億4700万円)の資金調達ラウンドをリードした)。

リービン氏は「mmhmmを通してこの業界における統合を進めようとは考えていないし、この業界で統合が進んでいるとも思っていない」という。統合は、ある程度成熟した分野で行われるものだが、このハイブリッド型オンライン会議市場はまだ誕生したばかりだと同氏は考えているからだ。

「当社が行っているのは、統合というより市場シェアの獲得だ。自分たちが本当に気に入ったチームと一緒に仕事ができるかどうか、それが当社の買収基準だ。メミックスはその条件を満たしていた」とリービン氏は続けた。

関連記事:Headroom、AIを使ってビデオ会議の質を飛躍的に向上させるために500万ドルのシード資金を調達

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ビデオチャット 買収 リモートワーク

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(翻訳:Dragonfly)

9万円超のtCentric Hybridはアーロンチェアに代わる確かなワークチェア

まずいわせて欲しい。アーロンチェアはいい。でも完璧じゃない。その理由を話そう。

ergoCentric(エルゴセントリック)のtCentric Hybrid(ティーセントリック・ハイブリッド)の価格は900ドル(約9万3000円)〜。働きづめの人たちに、本物の座り心地とサポートを提供する。自由自在な調整レバー、ノブ、オプションがある。アクセサリーや付属品は山ほど揃っている。私がいま座っているものには、オプションのヘッドレストが付いているが、机に向かったまま家族にバレることなく何時間も居眠りができる心地よさがある。

造りは岩石のように頑丈だ。しっかりしていて重厚で、工業的な美しさがある。ランバーサポートはゆったりとしていて、クッションも、中年の私の背中を支えるには十分に入っている(でも多すぎることがない!)。誤解しないで欲しいのだが、これはくつろぐためのチェアではない。オフィスチェアなのだ。だけどやっぱり心地いい。

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このHybridチェアには、欲しいオプションがすべて揃っている。どの部分も調整可能で、ランバーサポートには空気を出し入れしてちょうどいい形状にできる機構もある。肘かけも自在に調整でき、あり得ない位置に合わせることも可能だ。肘かけは自由を得た。

私はおよそ2カ月前にこの試用品を借りてたのだが、以来、ハーマンミラーのアーロンチェアを脇にどかして、これを使っている。tCentric Hybridのほうが好きかって?そうともいえない。私にすれば、ほとんど同じだ。ただし、アーロンチェアと同じレベルに調整できるようになるまでには1週間ほどかかった。

私が試しているこのチェアには、いくつかの付属品が装着されていて、それがとてもよくできている。メーカーには、このチェアのオプションが何十種類も用意されている。もっと高くしたい?それなら大きめのリフトを注文すればいい。脚が長い?それなら長めのシートに交換できる。クッションの選択肢も幅広い。おわかりいただけるだろうか。

このチェアは、カナダのオンタリオ州ミシサガのergoCentricで作られている。同社は米国市場を目指して販路を南下させている。ergoCentricはサードパーティーの販売業者から購入できるが、同社の販売チャンネルを通じて直接買うことも可能だ。

Hybrid Mesh Backは900ドルからだが、問題はそこだ。みんなが憧れるハーマンミラーのアーロンチェアと同価格帯なのだ。2カ月間、このチェアを使ってきたが、アーロンに戻りたいと切望する気持ちはない。2カ月経って、私はこれを快適な作業用の玉座として認め、当面使い続けたいと思っている。アーロンチェアに対抗するチェアは数多く出回っているが、私が見てきた中では、tCentric Hybridは、その造りの質の高さからも最高だといえる。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:ergoCentricリモートワークレビュー

画像クレジット:Matt Burns

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(翻訳:金井哲夫)

Dropbox出身者による新スタートアップTwingateが問題だらけのVPNに終わりをもたらすかもしれない

00VPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)は、社内ネットワークのセキュリティの柱だ(他国からのアクセスを装い、その国のNetflixを視聴するために使う人もいる)。VPNは、ノートパソコンやスマートフォンなどのデバイスと会社のサーバーとの間に暗号化チャンネルを設ける。インターネットを使う際には、あらゆるトラフィックは会社のITインフラを通ることになり、あたかも物理的に社内のオフィスにいるかのような形になる。

至るところで使われているこのVPNだが、そのアーキテクチャーには大きな欠陥がある。社内ネットワークとVPNは、ほぼすべての社員が物理的にずっとオフィスにいることを想定して作られており、例外的なデバイスはVPNを使うことになっている。パンデミックによって、実際にオフィスに出勤してEthernet(イーサネット)に接続されたデスクトップコンピュータで仕事をする人の数は、どんどん減少することがはっきりした。つまりデバイスの大半が、いまや会社から遠く離れた場所にあるということだ。

さらに悪いことに、VPNには性能上の問題が山ほどある。すべてのトラフィックを1つのデスティネーションに集中させるため、インターネット接続に遅延をもたらすばかりでなく、仕事とは関係のないトラフィックまでもが会社のサーバー経由で通信されることになる。セキュリティの観点からすれば、VPNでは一度ネットワークに参加すれば、そのデバイスは十分に安全なものと認定されてしまう問題もある。VPN自身がネットワークのリクエストを積極的に検査し、すべてのデバイスが本来アクセスすべきリソースのみにアクセスしているかを確認することはないのだ。

Twingate(トゥインゲート)は、まったく新しいアーキテクチャーで職場のVPNと直接対決しようとしている。それは、ゼロトラストで、メッシュとして機能し、仕事とそれ以外のインターネットトラフィックを仕分けして、会社と従業員の両方を守ってくれる。要するに、世界中で働く何億人もの人々の仕事のやり方を劇的に改善するものだ。

これは、3人の野心的な共同創設者が抱く大胆なビジョンだ。CEOのTony Huie(トニー・ヒューイ)氏はDropbox(ドロップボックス)に5年間在籍し、そのファイル共有サービスの巨大企業での最後の役職は、国際および新規市場拡大の責任者だった。直近では、ベンチャー投資会社SignalFire(シグナルファイヤー)の共同経営者を務めていた。最高製品責任者のAlex Marshall(アレックス・マーシャル)氏はDropboxでプロダクトマネージャーを、その後は研究所管理ソフトウェアの企業Quartzy(クォーツィ)のプロダクトリーダーを務めた。CTOのLior Rozner(リオー・ロズナー)氏は、直近では楽天、その前はMicrosoft(マイクロソフト)に在籍していた。

Twingateのアレックス・マーシャル氏、トニー・ヒューイ氏、リオー・ロズナー氏(画像クレジット:Twingate)

このスタートアップは2019年に創設され、米国時間10月28日、製品の一般向け販売が始まった。同時にWndrCo、8VC、SignalFire、Green Bay VenturesからのシリーズA投資1700万ドル(約17億7000万円)の調達も発表している。この投資にはDropboxの2人の創設者Drew Houston(デュー・ヒューストン)氏とArash Ferdowsi(アラシュ・フェルドーシ)氏も参加している。

Twingateの発想は、ヒューイ氏のDropboxでの経験から生まれた。そこで彼は、Dropboxが事業の中にどのように採り入れられ、クラウドの台頭により共同作業の形が変化していく様子を間近でつぶさに見てきた。「そのときに仕事の本質を変化させるという考え方と、この新しい現実に合わせて組織を効率的に再構築する方法に、私は単純に魅了されていました」とヒューイ氏は話す。彼はSignalFireでさまざまなプロジェクトを繰り返し練り続けてきたが、最終的に、社内ネットワークの改善という方向に落ち着いた。

では、Twingateは結局何をしてくれるのだろうか?社内ITの専門家たちにとってそれは、従業員のデバイスをVPNよりも柔軟に社内ネットワークに接続できるものとなる。例えばデバイス上のサービスやアプリケーションを個別に安全に、別のサーバーやデータセンターに接続できるようになる。そのため、Slack(スラック)アプリを直接Slackに接続でき、自分のJIRAサイトを直接JIRAサーバーに接続できる。いずれの場合も、VPNがいつも要求してくる中央ハブの経由をしなくて済む。

この柔軟性には、大きく2つの利点がある。1つは、エンドユーザーのデバイスとサーバーを接続する際に、いくつものレイヤーの間を行き来することなくトラフィックを直行させられるため、インターネット接続が高速化されることだ。その上、Twingateでは、変化するインターネットの状況に応じてルーティングを行い、積極的にパフォーマンスを高める「Congestion」(コンジェチョン、密集)テクノロジーが提供されると話している。

さらに重要なこととして、Twingateでは社内IT担当者が、ネットワーク層のセキュリティポリシーを入念に検査し、個々のネットワーク要求がその状況において合理的であるか否かを確認できるようになる。例えば外回り中の営業担当者が、突然に会社のコードサーバーへのアクセスを試みるといった事態が発生すると、Twingateはその要求をかなり異常だと判断して、即座にブロックする。

「これには、エッジコンピューティングと分散型コンピューティングの考え方が使われています。私たちは基本的にこれらの概念を採り入れ、ユーザーのデバイスで走らせるソフトウェアに組み込んでいます」ヒューイ氏は説明する。

こうしたカスタム化と柔軟性は、きめ細かい制御でパフォーマンスと安全性を高めたいと願っているIT担当者には大きな恩恵となる。同時に、従業員の利便性も改善される。特に西海岸のVPNサーバーから遠く離れた、例えばモンタナからリモートで仕事をする人などにはありがたい。

当然、社内ネットワークを利用するエンドユーザーの多様性と、各ユーザーがアクセスするサービスの数によって状況は異なるだろうが、ヒューイ氏によれば、Twingateは新規顧客が導入しやすいよう設計されているという。Twingateは、人気のシングルサインオンプロバイダーの統合もできる。

「私たちの根本命題は、攻撃に耐える技術とセキュリティで、エンドユーザーと管理者双方の、利便性のバランスを重要せよというものです」とヒューイ氏はいう。1700万ドルの資金と新製品。未来は明るい(VPNのではなく)。

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(翻訳:金井哲夫)

Redditでも期限なしでリモートワークが可能に、オフィスはコワーキングスペース的に活用

いつ終わるかわからない新型コロナウイルスのパンデミックと、Twitterといった他社の動きに押されて、Redditは同社のスタッフに今後ずっとリモートで仕事ができるようにしたい、という計画を発表した。発表は米国時間10月27日に同社のブログ上で行われた。例外として設備や機器の担当者、そしてITのサポート担当者は出社する。

「今後のことを考えると、社員が良い仕事をできるためのニーズに応えたい。現在のような、不確定な時期にはなおさらだ。これからも世界中の人びとの役に立つものを作るというミッションを継続し、Redditはコミュニティとユーザーの多様性に合った仕事をしていきたい」とブログには書かれている。

同社によると、ときどきまたは毎日オフィスで仕事をしてもよいが、そのための使用スペースはよく検討すべきだという。この表現に対して、オフィスで仕事をしたい従業員はさまざまな意見がありそうだ。

ブログではまた「気軽なコーヒーショップような席や、頭を下げた姿勢で集中するためのプライベートなスペース、予約して使う大きな場所、どうしてもリアルで顔を合わせたいチームのためのコラボレーションスペースなど、さまざまなスペースに対するニーズがあるだろう。これからは、デスクの位置を固定しない。チームは集まりやすいように1カ所に集まってもいいし、デスクも予約制にして誰でも使えるようにしたい」と述べられている。

ブログを読む限りでは、Redditのオフィスは伝統的なものではなく、コワーキングスペースに近いもののようだ。これによって同社は、ニューヨークやサンフランシスコといった生活費が高い都市に住む社員と同程度の給与を、他の地域で暮らす一部の社員にも支払うことになりそうだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Redditリモートワーク

画像クレジット:REUTERS/Robert Galbraith

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Cansellが3泊以上の長期滞在に特化した宿泊予約リクエストアプリ「Ellcano」をリリース

Cansell-Ellcano

Cansell(キャンセル)は10月26日、3泊以上の長期滞在に特化した宿泊予約リクエストアプリ「Ellcano」(エルカノ。Android版iOS版)のサービスを開始したと発表した。GoToトラベルキャンペーンにも対応しており、対応施設の予約時に自動的に割り引かれた予約が可能。

エルカノは、3泊以上の長期旅行・出張、ワーケーション、ホテル暮らしなどで宿泊施設を予約する際に、予算などを直接宿泊施設にリクエストし予約できる宿泊予約リクエストアプリ。

長期滞在の場合、どうしても宿泊料金が高額になってしまい費用面から長期滞在をしづらいという課題がある。一方で宿泊施設は、長期滞在の場合は通常料金より多少安くても泊まってもらいたいというニーズがある。

そこでエルカノは、宿泊希望者から予算などの希望条件を宿泊施設に直接リクエストできるようにすることで、双方が納得できる料金・条件での長期滞在を実現する。

Cansellが3泊以上の長期滞在に特化した宿泊予約リクエストアプリ「Ellcano」をリリース

Cansellは、長期滞在に関する様々な課題を解決し、長期滞在が普及することで、地方創生、ワーケーション、休暇の分散化といった分野に対してもプラスの影響があると考えており、また貢献していきたいとしている。

  • 3泊以上の長期滞在に特化: 3泊以上の長期滞在に特化しており、従来予約サイトにはない、長期滞在だからこそ必要な情報や機能を数多く用意
  • 予算を伝えられるリクエスト予約形式: 宿泊希望者自身の予算を宿泊施設に伝えて予約できる(リクエストした料金が低すぎた場合や空き状況によって、希望料金で泊まれない場合もある)
  • 複数の施設に一括リクエスト: 引っ越しの一括見積もりサービスと似た形で、宿泊希望者は複数の施設に一括でリクエスト可能。宿泊施設に迷った際にも手間なくリクエストできる
  • 滞在中のサポート(サービス開始時には未提供): エルカノは、長期滞在中も快適にすごせるように様々なコンテンツや、サポートメニューを提供予定

感染拡大の影響で旅行や出張の機会が減り、訪日外国人の需要も消滅。将来的には回復するとされるものの、それがいつ回復するのか、回復したとしても今までと同じような旅行や出張になるかのか誰にもわからないのが現状となっている。特に宿泊業界は、この変化に早急に対応していく必要に迫られているという。

一方で、この影響でテレワークが多くの企業で導入されたことから、オフィスの必要性が見直され、テレワークやワーケーション、ホテル暮らしといった、従来にない新しい需要も生み出されている。これは宿泊業界にとっても新しい旅行・宿泊施設のあり方・使われ方を見直し、また取り込んで行くチャンスとなっている。

そこでCansellは、アフターコロナで訪れる、新しい未来の旅行・宿泊施設のあり方・使われ方を見据え、長期滞在に特化した宿泊予約リクエストアプリ「Ellcano」を開始した。​​8月4日には旅行客・宿泊施設の事前登録を開始し、すでに多くの問い合わせ・登録があったという。宿泊施設の募集は現在行っており、申し込みサイトより問い合わせを行える。

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カテゴリー: ネットサービス
タグ: EllcanoCansell(キャンセル)リモートワーク / テレワークワーケーション日本

Headroom、AIを使ってビデオ会議の質を飛躍的に向上させるために500万ドルのシード資金を調達

ビデオ会議は昨今の我々の業務形態を支える要となってきた。主要なビデオ会議システムのZoom(ズーム)にいたっては、世間にあまりに浸透したため、「Zoomする」という動詞が生まれたほどだ。

しかし、だからといってビデオ会議は本来の機能を十分に果たせているのだろうか。果たせていないという確信のもとに、Headroom(ヘッドルーム)という新しいスタートアップが本日、ステルスモードを解除してその姿を現した。AIツールの原動力とも言えるコンピュータービジョン、自然言語処理などを手がけるヘッドルームによれば、先の問いの答えは明らかに「いいえ」なのである。

ヘッドルームは、ビデオ会議システムに加えて、トランスクリプト(文字起こし)機能、要約と見出しを書き出す機能、ジェスチャー認識機能、ビデオ画質の最適化などを提供する。フリーミアムサービスの立ち上げに向けて、同社はシード投資ラウンドで500万ドル(約5億2700万円)の資金調達を行ったと発表した。

ここから、パイロットに参加するための順番待ち名簿に登録したり、その他の最新情報を入手したりできる。

今回の投資ラウンドには、グーグルのAIに特化したベンチャーファンド「Gradient Ventures」(グラディエント・ベンチャーズ)のAnna Patterson(アンナ・パターソン)氏、 視覚技術の企業を支援するスペシャリストVC「LDV Capital」(LDVキャピタル)のEvan Nisselson(エバン・ニセルソン)氏、Yahoo!(ヤフー)の創業者で近年AME Cloud Ventures(AMEクラウドベンチャーズ)を創設したJerry Yang(ジェリー・ヤング)氏、 Morado Ventures(モラド・ベンチャーズ)のAsh Patel(アッシュ・パテル)氏、Kaggle.com(カグル・ドット・コム)の共同創業者でCEOのAnthony Goldbloom(アンソニー・ゴールドブルーム)氏、Cornell Tech(コーネルテック)の副学部長でコンピュータービジョン技術と機械学習の教授でもあるSerge Belongie(サージ・ベロンギ)氏が参加している。

なかなか興味深い顔ぶれだが、それは投資家たち自身が幾年にもわたり最先端の視覚技術を駆使して個人や企業の顧客に向けたサービスを構築し、特筆すべき業績を収めてきたことによるのかもしれない。

英国の移住者であるJulian Green(ジュリアン・グリーン)氏は、つい先日までGoogle(グーグル)に勤務しており、Cloud Vision APIのリリースを統括するなど、同社のコンピュータービジョン製品を手がけていたやり手だ。 同氏がグーグルに入社したのは、自身のスタートアップであるJetpac(ジェットパック)をグーグルが買収したことによるが、ジェットパックはディープラーニング(深層学習)やその他のAIツールを活用して写真を分析し、旅行先を提案するサービスを提供していた。Jetpacの前には、視覚的な対話システムを利用するまた別のプラットフォーム、Houzz(ハウズ)を共同で創業した経歴の持ち主だ。

ロシア生まれのAndrew Rabinovich(アンドリュー・ラビノヴィッチ)氏について言えば、過去5年間、Magic Leap(マジック・リープ)に勤務していた。深層学習のディレクターとエンジニアリングの責任者を経て、AIの責任者を務めた経歴を持つ。マジック・リープに入社する前は、同氏もグーグルに勤務しており、コンピュータービジョンと機械学習を専門とするソフトウェアエンジニアだった。

ビデオ会議システムのサービスを改良する分野への転職という選択は、今年に入ってから起きたこのシステムの急激な需要拡大を考えると、日和見的な動きに見えるかもしれない。しかし、グリーン氏によれば、このサービスの構想を練り、サービスの構築に着手したのは、「新型コロナウイルス感染症」という言葉が存在もしなかった2019年の終わりだと言う。

「もちろん、感染症の大流行によって、ビデオ会議システムの分野への関心は高まった」とグリーン氏は冗談めかして語り、実際、資金調達が非常に容易になったと付け加えた(シード投資ラウンドは7月に終了したとのことである)。

AR(拡張現実)やVR(拡張現実)はビジネス展開が極めて難しいことが判明している。とりわけ短~中期的に難しく、VCから数億ドルの支援を得たスタートアップであっても厳しい。実際、マジック・リープは長い間苦境に立たされていた。また、事業の方向性を転換し興味深いアイデアの数々に手を出すこともできたこと、マウンテンビューの本社に全技術が集結するグーグルにはグーグルの意義があることを考えると、両氏が以前の所属企業に技術を売り込むのではなく、独立してヘッドルームを創設することにしたのは、これまた興味深い。

これには理由が2つあるとグリーン氏は語っている。 1つ目の理由は、物事の構築には小さな組織の方が効率が良いことだ。「スタートアップのスピードに合わせて動けるのはとても良い」と同氏は述べている。

2つ目の理由は、物事を一から構築していく場合、従来のプラットフォームを使うと新しいプラットフォームとは異なる課題が生じることだ。

ビジネスユーザー向けのMeet(ミート)や一般ユーザー向けのHangouts(ハングアウト)の開発チームにアイデアを持ち込むことは考えなかったのはなぜかと尋ねると、「グーグルであれば、やりたいことは何でもできる。ただし、ビデオ会議システムでリアルタイムのAIを実行するには、開発当初からそれを念頭に置いて構築しておく必要がある。ヘッドルームでは最初からそのように開発を始めた」とグリーン氏は回答した。

ヘッドルームの面白みは、何と言ってもその課題にあるようだ。サービスがいたるところにあふれ、テレワークが主流の状況下では、ビデオ通話を利用することにさほど抵抗がなかった一方、良くも悪くも、すでに使用しているものに慣れ親しんでいるということでもある。それで、1つ2つのサービスに課金してプレミアムユーザーとなっている多くの企業は、新しくて実績があまりないプラットフォームを試すことに乗り気ではないというのが実情だろう。

しかし、テクノロジー業界が往々にしてそうであるように、後発者が報われることもあり、先発者が常に勝者とは限らない。

ヘッドルームの初回のイテレーションでは、会話の内容をすべて自動的に書き起こすトランスクリプト(文字起こし)機能、トランスクリプトで間違っている箇所をビデオを再生して編集できる機能、通話内容の要点を書き出す機能、およびジェスチャーを認識して会話が切り替わるタイミングを見極める機能が提供される。

グリーン氏によれば、同社は今後のイテレーションで追加する機能の開発もすでに始めているということだ。ビデオ会議でプレゼンテーションの補足資料を使用する際にも、要点を書き出したり文字起こしをしたりするエンジンを利用できる。

また、画面のピクセルを最適化して、ビデオ画質を大幅に向上させる機能も開発しているとのことだ。この機能はインターネットへの接続状況が悪いときに特に重宝すると考えられる。
グリーン氏は、「ビデオ会議の画面のどこに何のピクセルがあるかを特定し、適切なピクセルを送信できる。画面内の人や背景はそれほど変化するものではないので、そうしたものを常時送信する必要はないのだ」と語っている。

こうした機能はすべて、高度なコンピュータービジョンと自然言語アルゴリズムのとても興味深い側面のいくつかを利用したものだ。たとえば、要約の作成機能では、発言内容を認識するだけでなく、発言の最も重要な部分を抽出する技術を利用している。

また、ビデオ通話で、話に直接割り込まずに、発言したいという意思を表示するのに苦労した経験があると、ジェスチャー機能が非常に有効である理由を理解できる。

この機能は、聴衆の注意が散漫になっているかどうかを発言者が確認するためにも役立つ。発言したいと思っている参加者のジェスチャーを検出するためにヘッドルームが使用しているのと同じ技術で、聴衆が退屈したりイライラしたりしていることを検出し、発言者に知らせることができるのだ。

グリーン氏が「要はEQのサポートだ」と言った時に半分からかっているように見えたが、対話に使用していたグーグルミートには表情を読む機能がないため、勘違いかもしれない。

グリーン氏の言葉から、ヘッドルームが興味深いビジネスチャンスを活用する理由がうかがえる。このようなツールがその真価を遺憾なく発揮すると、ビデオ会議の質を飛躍的に向上させるだけでなく、対面式の会議で起こり得る問題を解決できる可能性さえ秘めているのだ。実際に「本物」よりも優れているかもしれないソフトウェアを構築することは、現在の状況(永続的なものではないことを願うが)において高まる需要に対応できる底力を実証する1つの形なのである。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:リモートワーク ビデオチャット 資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

ドバイに移住しリモート環境で働く機会を提供する「バーチャル・ワーキング・プログラム」が開始

ドバイに移住しリモート環境で働く機会を提供する「バーチャル・ワーキング・プログラム」が開始

ドバイ政府観光・商務局は10月16日、リモートワーカーが母国の雇用主のもとで業務を行いながら、ドバイに住むことを可能にする「バーチャル・ワーキング・プログラム」を発表した。

同プログラムでは、リモートワーカーとその家族が、世界有数の観光・ビジネスの地であるドバイに移住する機会を提供。リモートワーカーは、仕事の合間に太陽を浴びながらビーチでくつろいだり、世界各国料理を楽しんだり、様々な文化を体験できる。

また、UAEの強力なデジタル・インフラと接続性、安全で質の高いライフスタイル、グローバルなネットワーキングの機会、さらに個人の所得税がゼロといったメリットを享受できる。

個人の加入希望者は、「Work remotely in Dubai」ウェブサイトから年間プログラムに申し込み可能。同プログラムの申込料金としてはは、約3万円(287米ドル)に加えて、別途UAE国内で有効な医療保険への加入、および手続きに対する手数料が必要となる。

同プログラム申し込みの際には、以下の条件を満たす必要がある。

  • パスポートの有効期限が6ヵ月以上あること
  • UAE国内で有効な医療保険への加入
  • 現雇用主からの雇用証明書で、1年間の契約有効期間があり、月収約55万円(5000米ドル)以上である前月の給与明細書、前月分の銀行口座明細書の提出
  • 申請者が会社経営者である場合は、1年以上の会社所有の証明、平均月収約55万円(5000米ドル)の月収明細書、前3ヵ月分の銀行口座明細書の提出

ドバイでは、以下ワーキングスペースから希望に沿ったものを選べるようになっており、より生産性を上げて、業務に集中できる環境を用意している。

  • Letswork: ドバイ市内のカフェやホテル、ビジネスセンターなど様々なロケーションのワークスペースを用意。アプリを使って現在利用できる場所を探し出すことで予約を行える。会議室の予約ほか、他の利用者とのネットワーキングの機会などニーズに合わせて利用可能
  • Nasab: プライベートなワークスペースとソーシャルクラブを融合させた施設で、ワーク、ウェルネスなど他者と関わりを持つには最適なスペースを提供。仕事と遊びを両立させたい方にぴったりで、プライベートオフィスほか、オープンな場での共有ワーキングスペースも用意。併設のプール、ジム、テニスコートも利用できる
  • Our Space ドバイ: プライベートデスク、オフィス、ミーティングルームに加え、「より活発な自己表現」をするためのタン・ルーム、音波セラピーベッドを備えたゼン・ルーム、ウェルネスに特化したシグネチャーカフェ、スパ施設を併設
  • A4 Space: アルサーカル・アベニューに位置するA4 Spaceは、一般の方も利用できるコワーキング・コミュニティの場を提供。映画館や、図書館、専用のワークスペース、カフェなどを利用可能

ドバイ政府観光・商務局は、ドバイが世界を代表する観光地として商業の中枢を担うというビジョンのもと、世界中のオーディエンスのドバイに対する認知度の拡大、首長国への対内投資の牽引を使命としている。本国の観光分野における計画、管理、開発、マーケティングにおける主要局であり、首長国の商業分野のマーケティングやプロモーション、宿泊施設や旅行案内業者を含めたすべての観光サービスの許認可・種別分類を担当している。

カテゴリー: そのほか
タグ: シェアリングエコノミーリモートワーク / テレワークドバイ

Twilioはいかにして社内で独自の会議プラットフォームを構築したのか

Twilio(トゥイリオ)は毎年恒例となっている顧客企業向けカンファレンスの開催を5月に予定していたが、今年予定されていた他のライブイベントと同様、新型コロナウイルス感染症の影響による打撃を受けて中止を余儀なくされた。そのため、同イベントをオンラインで仕切り直す方法を考えることになった。支援を求めるベンダーを探すRFPプロセスを開始したが、結局自社のAPIが使えるという結論に至り、プラットフォームを独自に構築することにした。

かなり大胆な方法ではあったが、トゥイリオが直面していた大きな課題には、顧客が特定のAPIエキスパートとじかに会って話ができるという会場での体験をいかに再現できるかという点があった。社内で何度も慎重に検討した結果、自社のコミュニケーションAPI製品がこうした体験を実現するよう設計されていることに気付いた。

独自の方法でやることに決めると、長いプロセスが始まった。必須の機能を把握し、社内での合意を得て、開発とテストのサイクルを構築し、そして自社製品での限界にぶつかったときに支援してくれるサードパーティーのパートナーを探した。

こうしたすべての取り組みは、今週の水曜日と木曜日、トゥイリオが毎年恒例のSignal Conference(シグナルカンファレンス)をオンラインで開催するときにクライマックスを迎える。このプロジェクトがどのようにうまく進展したのか、トゥイリオのエクスペリエンス担当ディレクター、In-Young Chang(インユン・チャン)氏に聞いた。

チャン氏によれば、バーチャルでやると決めたら、プロジェクト担当者(そしてバーチャル会議を開催するすべての人)にとっての最大の課題は、じかに会えるカンファレンスで自然に生じる人とのつながりをいかに再現するかということだった。

トゥイリオは最初のステップとして、提案依頼書を複数のイベントソフトウェアベンダーに提出した。チャン氏が言うには、問題となったのは大部分を完全にバーチャルで行うプラットフォームを設計したことがなかったことだ。せいぜい存在したのは混成のアプローチで、バーチャルで参加する人もいた一方、ほとんどの人は直接参加した。

「大手テクノロジー企業の多くが利用していた数多くのベンダーと会ったが、どのベンダーにも一長一短があり、当社の必要すべてを満たすベンダーはなかった。(じかにカンファレンスに参加する場合のように)当社のお客様が製品エキスパートとつながるようにできるものはなかった」、とチャン氏はTechCrunchに語った。

トゥイリオは提案を精査して数社のベンダーに絞り込んだが、イベントソフトウェアベンダーからの提案に完全に満足することはできなかった。そして、あることに気付いた。

「完全なカスタム注文にも3か月で対応できるベンダーを探すか、それとも(自分たちでやるか)。自分たちで行うというのが、トゥイリオのあり方だ。それで、プラットフォームも自社で構築できると考えた。このようにしてカンファレンスを全面的にソフトウェアベースにしてからは、可能性が無限に広がったので、今度はどうやって優先順位付けをするかが難題となった」、とチャン氏は言った。

このすべてがあっという間に進展した。チームは5月にベンダーと会議を行い、6月までには自社で構築することに決めた。使用するイベントソフトウェアを設計するプロセスを開始した。その際、自社のコミュニケーション機能を真っ先に活用した。

まず、社内のさまざまな関係者と話し合い、カスタムプラットフォームに必須の機能を把握する必要があった。バージョン1.0のプラットフォームに対する関係者の期待事項をうまく取りまとめることは、プラットフォームを完成しようとする際に直面した課題の1つだった、とチャン氏は語った。

「3か月しかなかったので、すべてを完璧にできるとは考えていなかった。いくらかの優先順位付けと妥協はあったが、自社のAPIで必ずできると感じていた」。

チームは社内のさまざまなグループとの話し合いを始め、それぞれにとっての必須機能を確認した。対面のやり取りを再現したいというニーズは把握していた。さらに加えて、リードの集客や議題の作成といったカンファレンスでの通常アクティビティや、直接参加かバーチャル参加かに関わらずカンファレンスで行えるようなことについてのニーズも挙げられた。

チームは社内のさまざまな関係者と話し合うにつれて、何を構築すべきかを見極めていった。その後、優先度に関するドキュメントを作成し、Signal(シグナル)のリーダーシップチームとそれを見直した。「激しいやり取りや多少の議論はあったが、ほんの数か月しかなかったので全員が本当に信頼し合っていた」、とチャン氏は語った。

Signal Concierge Agent(シグナルカンファレンスエージェント)はオンラインカンファレンス上で参加者をガイドするのに役立つ。画像のクレジット:トゥイリオ

チームは自分たちが会社の必要を満たすプラットフォームを構築できると信じていたが、チーム内には開発者が10人しかいなかったので、3か月でやり遂げるのは大きな挑戦となった。

最優先事項の1つは、顧客がトゥイリオの適切なスタッフにつながることができるようにすることだったので、その問題に対応すべくTwilio Flex(トゥイリオフレックス)という自社の顧客サービスプラットフォームを使用することにした。フレックスは、音声通話、メッセージング、ビデオ、チャットを1つに組み合わたインターフェイスだ。カンファレンスは純粋なカスタマーサービスの問題ではなかったが、チームは、そのプラットフォームを利用してリクエストを適切な専門知識を持つスタッフに送ることで、ブースに赴いて特定のスキルを持つトゥイリオの従業員にたずねるという体験を再現できると考えた。

「トゥイリオフレックスのTaskrouter(タスクルーター)を使うと、スキルに基づく独自の特徴を担当者に割り当てることができる。たとえば、ビデオエキスパートには、ビデオエキスパートというタグを付けることができる。ビデオに関する質問があれば、その質問を直接ビデオエキスパートにルーティングできる」、とチャン氏は説明した。

トゥイリオはSignal Concierge(シグナルコンシェルジュ)というコンパニオンボットも開発した。これはカンファレンス環境で同社のカスタマーサービスのアプローチを応用することで、オンライン上で参加者一人ひとりをガイドして必要なものを見つけられるようサポートするというものだ。

「シグナルコンシェルジュがカンファレンスの案内役となる。次にどのセッションに行ったら良いかたずねる場合、あるいは(エキスパートと話したい場合)、1か所で質問の答えが得られ、そこでサポートを受けることもできる」、とチャン氏は言った。

トゥイリオは自社ツールで対応できなかった分野について、サードパーティーに支援を求めた。「Klik(クリック)とのパートナーシップを継続することによって、会議のデータとバッジプラットフォームはすべてAPI経由で利用できた。また、トゥイリオのSIパートナーであるPerficient(パ―フィシエント)を採用し、限られた時間の中で社内チームを強化して、トゥイリオフレックスのカスタマイズを迅速に実装できるようにもした。さらにPlexus(プレクサス)からは、オープンソースのビデオプレーヤーで使用できるストリーミング機能が提供された」、とチャン氏は語った。

9月には構築したものをテストし、シグナルコンシェルジュがリクエストを正しくルーティングすること、すべてのカスタマイズ要素が機能していることを確認した。トゥイリオは水曜日の朝にバーチャルの扉を開いて、どれほどうまくやり遂げられたか見ることになる。

チャン氏はチームがやり遂げたことを誇りに思うと述べているが、これは最初の通過点に過ぎず、今後のバージョンには今回構築する時間がなかった機能が追加されることも認め、こう述べる。

「これはバージョン1のプラットフォームであり、当社が必要とするプラットフォームとまさしく同等のものではないが、コンテンツの範囲の定義付けから実際のプラットフォーム構築までを3か月以内で実施できたことを本当に誇りに思う」。

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カテゴリー:ネットサービス

タグ:Twilio リモートワーク

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(翻訳:Dragonfly)

DropboxのCEOドリュー・ハウストン氏は「パンデミックが仕事とは何かを再考させてくれた」と語る

米国時間9月15日、Dropbox(ドロップボックス)のCEO、Drew Houston(ドリュー・ハウストン)氏はTechCrunch Disruptに登壇し、ずっと前から議論されてきた分散型ワークへの移行が新型コロナウイルスによって加速され、この新しい仕事のやり方はパンデミックが終わっても消えてなくならないだろうと語った。

「分散型ワークへの移行による影響を大きな視点で考えると、話は、いつオフィスに戻るかという問題をはるかに超えたものになります。私たちは、逆戻りできないドアを通り抜けたのです。おそらくこれは、1959年にその言葉が誕生して以来、『頭脳労働』界に起きた最大級の変化と言えます」と、ハウストン氏はTechCrunch編集長Matthew Panzarino(マシュー・パンザリノ)に話した。

そうした変化が、この6カ月間、人々の仕事のやり方が劇的に変わっていく様子を注視してきたDropboxに、製品の完全な再考を促した。Dropboxはクラウドサービスではあるが、彼の視野に入るSaaSツールには、今の新しい仕事の仕方に沿って作られたものはひとつもない。この新たな流れの中では、仕事とは何かを改めて考える必要があると彼は言う。

「3月、私たちはこのことを、そして(分散ワークへの急速な移行が)どのように引き起こされたのかを考え始めました。それは、まったく計画外のことでした。計画できたとしたら、どうだったか?この出来事が本当に良い方向に進むよう計画することは可能か?そうして私たちは、3月にすべての製品のロードマップを、分散型ワーク中心で見直したのです」と彼は話した。

また彼は、その見直しの成果がもうすぐ現れると、大まかな示唆を与えてくれた。「将来発表するものについて、もっとたくさんお話することがあります」と彼は述べていた。

ハウストン氏は、自分の会社は自宅勤務によく対応できていたはずだが、実際にオフィスが閉鎖されることになると、パンデミックの渦中に会社を維持しなければならない他のCEOたちと同じ境遇に陥ったという。どうすればよいのか、誰も設計図を持っていなかった。

「それが始まった当初、世界的なパンデミックの中で会社を運営するための脚本は存在しなかったため、まずは顧客対応、従業員の援助を確実に行えるようにしなければなりませんでした。人生がひっくり返ってしまった人たちがあまりにも多いのです。しかもその状況も非常に多岐にわたる」と彼は話す。

しかし、彼が顧客の様子を伺ってみると、顧客たちから新しいワークフローと新しい仕事のやり方を求められた。そこで彼は、これを需要に応えるツールを生み出す好機と捉えた。

「この転換は、人の想像を超えた突然にして劇的にして予期しないものでした。それを形作ることができる、意図的に作り出せるというのは、大変な幸運です」とハウストン氏。

ハウストン氏は、2008年、TechCrunch Disruptの前身でTechCrunch 50と呼ばれていたカンファレンスでDropboxをデビューさせた。デモの最中にWi-Fiが切断され、ライブデモの危うさを露呈したことに触れていたが、今週開催されるTechCrunch Disrupt Battlefieldの参加者に励ましの言葉を贈っていた。

彼の会社は18億ドル(約1900億円)のランレートを誇る上場企業だが、スタートアップのあらゆるステージを体験し、資金を集め、株式公開を行い、今では成熟した公開会社となった。しかしDropboxは、市場の求めの変化に対応しようと、今でも進化と変化を続けている。

カテゴリー:ネットサービス

タグ:Dropbox リモートワーク / テレワーク Disrupt 2020

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(翻訳:金井哲夫)

H-1Bビザ停止で進むニアショアリングはスタートアップにとって好機になる

著者紹介:Andrés Vior(アンドレ・ボワール)氏はintive(インティブ)のVP兼アルゼンチン担当マネジャー。コンピューターエンジニア、ブエノスアイレス大学(UBA)卒。アルゼンチン・ソフトウェア・コンピューターサービス企業会議所(CESSI)会員。

今年6月、ドナルド・トランプ大統領はH-1B就労ビザの発給を一時停止する大統領令に署名した。このビザの対象者には、ソフトウェア開発に従事する専門職も含まれる。

シリコンバレーや、テック企業が集まるその他の拠点において、労働者の71%が外国人であることを考えると、この大統領令により、スタートアップは物流面とビジネス面の両方でいくつもの困難に直面することになる。

ニアショアリングは、パンデミック前から選択肢の1つとして存在していた。しかし、就労ビザの発給停止にリモート革命の進行が重なってその緊急性が増し、企業はニアショアリングをソリューションとして再考し始めた。その結果、今回のビザ発給停止は、企業はソフトウェア開発能力を海外から調達する好機となっている。

ニアショアリングとは、距離または時間帯が近い地域から人材やチームを採用することだ。ニアショアリングにより、米国企業は、優れた人材が見つかりやすく、就労環境や給与もより良好な近接地域からサービスを調達できる。これにより、企業はコストを最大80%削減できる可能性があり、同時に、柔軟で自由が利く、より良いキャリア開発オプションを従業員のために用意できる。

ニアショアリングはビザ発給停止への実際的な対応策であるだけでなく、企業にとって長期的な人材採用方法になる可能性がある。ニアショアリングの具体的な手順について、以下に説明してみようと思う。

リモートチームの基礎を築く

パンデミックの最中でも開発者の需要が下がることはなかった。多くの企業がサービスのオンライン化に向けてチームデジタルプラットフォームを構築、運用、最適化するチームを必要としているためだ。ビザの発給が停止されたということはつまり、米国外の企業が開発者ニーズを満たせること、特に、企業が問題を新たな方法で解決するのを助けるフレッシュで多様なスキルセットを持つ外国人のテック人材を調達する方法があることを意味している。

かつては、米国に移住してアメリカンドリームをつかむことが外国人プロフェッショナルたちの目標だった。しかし、その流れは変わった。パンデミック前から、米国は「外国人が住みやすいと思う国ランキング」で順位を46位から66位に落とし、移住先として人気を失いつつあった。コロナ後にはその人気低下が加速する恐れがある

世界中がかつてなくオンラインでつながっている現在、企業も個人も、世界トップレベルのテクノロジースタック、話題の企業との付き合い、世界トップレベルの研究など、米国が提供するチャンスから移住せずして恩恵を受けられる。そういう意味では、ニアショアリングとは、外国人メンバーが、母国の快適さと世界的な大手企業とのつながりという、両方のいいとこ取りができる環境だと言える。

リモート勤務へのシフトが進んでいることは、メンバーが互いに離れた場所で働いていてもチームが十分に機能することを実証している。リモート勤務の方が生産性幸福度が向上する、という研究結果もあるくらいだ。世界的にリモート勤務へのシフトが進む中で、ニアショアリングは現在、適切かつ有益な方法だとみなされるようになっている。ビザ発給停止をうけてニアショアリングを選択する企業は、この波をうまくとらえて活用し、リモートチームの働き方に関するベストプラクティスを確立する機会とすることができる。例えば、コミュニケーション、進捗状況の追跡、休暇、開発計画などに関する方針を、新たな状況と明確な経営理念に基づいて決めることができるだろう。そうすれば、開発者たちとのパートナー関係をスムーズに築くことができる。

ニアショアリングの別の利点は、柔軟なチームが、スタートアップのスケールアップモデルに役立つことだ。さまざまな国にいる開発パートナーと協力できるため、より広いネットワークを構築でき、それぞれの現地市場でより早く成長できる。ゼロから海外展開する場合とは異なり、ニアショアリングを行っていれば、どんなに小さくてもすでに現地に拠点があるため、それを足掛かりとして海外展開を進めていくことができる。

投資家の注目を集める

スケールアップモデルの場合と同じく、H-1Bビザの発給停止がきっかけで、ニアショアリングは海外の開発スタジオと戦略的なパートナー関係を築くための現実的な方法となっている。オフショアリングとは対照的に、ニアショアリングのパートナーは、時差がなく、より緊密かつ迅速に動けるため、オフショアリングの場合よりも重要な役割を任されることが多い。アジャイル開発のように、製品やサービスのテスト、反復、修正という一連の工程を短い期間にまとめて何度も繰り返すことが必要なスタートアップにとって、そのような敏しょう性は非常に重要だ。これがアウトソーシングのチームになるとアウトプットが限定的になるし、フリーランサーは複数社のプロジェクトを同時に抱えるため、企業のビジョンに深く共感して働くことはない。

ニアショアリングであれば、スタートアップは特定のビジネス分野やテクノロジーに関する専門性を備えたパートナーを見つけることによって、市場投入までの時間を短縮できる。システムをゼロから構築するのではなく、バージョン2.0を投入するところから始められる。なぜなら、より幅広い選択肢から専門家を選べるということは、業界の仕組みをすでに理解しているチームと提携できる可能性が高まることを意味するからだ。ニアショアリングのパートナーには、さまざまな産業分野に関して、企業が直接採用する人材では知り得ないレベルの膨大な知識がある。そのため、ニアショアリングのパートナーという心強い相手がいれば、企業は優秀なチームをゼロから集めるという難しい仕事にわざわざ取り組む必要はない。

資金調達の面でも、ニアショアリングが持つ同時性、敏しょう性、即応性はスタートアップにとって追い風となる。投資家は、ニアショアリングを行っている企業は、挑戦しようとしている潜在市場について現場からインサイトを得ており、リモートチームを活用して成功するビジネスモデルを持つ企業だと考える。世界全体が完全デジタル化へと向かう今、成長を促進するリモート開発をすでに導入しているスタートアップは間違いなく投資家を振り向かせることができる。

チームの多様化を促進する

ニアショアリング先を探す米国企業がまず目を向けるのは中南米だ。中南米は米国から近く、インターネットの普及率も向上しており、高度なスキルを持つ開発者が非常に多くいるため、ニアショアリング先として非常に魅力的な場所である。

ニアショアリングではダイバーシティ(多様性)が中核的な役割を担うことも注目すべき点だ。現在、テック業界ではヒスパニック系従業員の割合が突出して低く、全体のわずか16.7%にすぎない。物理的に離れているとはいえ、中南米にニアショアリングすれば、異なる社会的・経済的背景を持つ人材を社内に迎えることになり、業界全体における彼らの存在感が目に見える形で向上し、平等化への確かな基盤が据えられる。

一部の研究でも、多様性はチームの創造性に影響を与え、企業の利益増加にもつながることが証明されている

さらに、ニアショアリングは、より自然な形で多様性を向上させる。外国人のチームメンバーはキャリアを築くために、自宅、友人、家族を後にする必要がない。海外で働いたことがない人にとって、米国に移住するというのは気が遠くなるような大仕事だろう。生活水準が変わり、新しい文化に慣れなければいけないのだから、当然だ。ニアショアリングであれば、慣れ親しんだ場所で働くことができるため、ビジネスプロセスのスピードに慣れるまでに必要な時間も少なくて済む。地元の人間関係から感情的なサポートを得ることもできる。これは今のような状況において、職場でもプライベートでも従業員の福祉を守るために重要なことだ。

適切なパートナーを見つける

適切なニアショア先を見つける鍵はリサーチだが、スタートアップには、候補地の場所や現地のエコシステムについて詳細な分析を行う時間もリソースもないことが多い。適切な人材をニアショアで見つけるには、ニアショアリングパートナーに、現地人開発者のスカウト、調査、彼らとのコミュニケーションを担当してもらうことが、最も実際的である。

適切なニアショアリングパートナーを見つけるには、該当する業界における実績があり、ニアショア元にあるスタートアップから良い評価を受けているかどうかを確認することが必要である。そのパートナーが拠点とする地域で高い知名度を持っているかどうかも重要なポイントだ。インターネットでそのパートナーのプレスリリースや、主催イベント、ウェブサイトの全体的な内容をチェックして、顧客からの依頼が途切れない、評判の良い企業かどうかを確認する。

適切なニアショアパートナーが見つかったら、希望する場所に置くチームが文化的な面で何を必要としているかを理解するために、彼らから情報を収集する。ニアショアパートナーはあなたの会社のいわば開発パートナーになるのだから、彼らを自社の研究開発部門として活用できる。彼らは、あなたの会社をテック面でサポートし、適切なタイミングで適切なチームを編成できるようアドバイスし、スタックや手法について指針を与え、チームが生産的に働ける環境を整えてくれる存在だ。対照的に、フリーランサーを使うことにはリスクがある。なぜなら、現地の具体的なニーズを把握することができるとは限らないからだ。文化面での理解が欠けると、パートナーを見つけることはできない。代わりに、あなたのスタートアップが真に目指すものではなく、表面的な部分だけに注目するベンダーが見つかってしまうので、注意が必要だ。

相性が良いニアショアパートナーが決まったら、詳細な契約と秘密保持契約をすべてのチームメンバーと締結することが必要だ。ニアショアリングの場合、ある程度は相互に信頼することが必要だが、スタートアップのライフサイクルの中で極めて初期段階にあるこの時点では、自社のプロセスやデータが競業他社に漏れないようにすることが重要である。ニアショアパートナーの財務状況が健全であり、長期的なモデルに耐えうる状態であることも確認しておく。それに応じて、職責や成果物を測る基準をサービスレベル契約で定義する。これらの手続きをすべて完了したら、いよいよ、有意義で長期的なパートナーシップの構築に専念できる。

新しいノーマルに順応する

新型コロナウイルス感染症により、人材採用はリモート優位の領域になった。従来型の採用方法は見直されており、生産的に働くために必ずしもオフィスに出勤する必要はないことに企業も気づき始めている。実のところ、外国人従業員のビザ費用や管理費が不要になることで、企業のコストは大幅に削減される。

リモート勤務に最適化された慣行を時間の経過とともに企業が確立していけば、ニアショアリングはさらに増えていくだろう。人々は、キャリア開発、福祉、倫理すべてが守られるチームで働きたいと願っており、ニアショアリングは、生活環境を変えずにそれらすべての条件を満たすことができる。

創業初期からニアショアリングを行うスタートアップは、採用制限に苦しむ大手テック企業と競合することになるかもしれない。パンデミックがいつ終息するかわからない今、ビザの発給再開の時期を予測することは難しいため、テック企業は別の方法で開発チームを構築しなければならない。スタートアップには、ワークフローを大幅に変えることなく製品のリモート開発アプローチを調整できるという強みがある。また、より幅広い人材を引きつけるフェアで革新的な職場を整えるという意味でも、スタートアップは大手企業の先を行っている。

開発者は仕事のチャンスをつかむために自分の文化から離れる必要がなく、企業は多様性から恩恵を受けられるニアショアリングは、双方にとって有益だ。結局のところ、H-1Bビザ発給停止は、テック業界おいて、世界中のリソースを活用して最善の成果を生み出すという真のグローバル化を促進したのかもしれない。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ

タグ:コラム ビザ リモートワーク

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(翻訳:Dragonfly)

リモートでも同僚との自然発生的な会話やカジュアルなコラボを実現するTeemycoの仮想オフィス

ストックホルムのスタートアップであるTeemycoを紹介しよう。彼らは仮想環境の中でオフィスでのやりとりを再現することを狙っている。部屋をイメージしたインターフェイスを使って、自然発生的な対話や、カジュアルなコラボレーションを促進したいと考えているのだ。それぞれの従業員は、実際のオフィスのように、ある部屋から別の部屋へと移動する。

もし実際のオフィスで仕事をしなくなっているなら、おそらくメール、Slack、Microsoft Teams、Zoom、Google Meetあるいはこれら全部を組み合わせたものに大きく依存しているのではないだろうか。こうしたツールは、果たすべき用途に対しては完璧に機能するものの、多くの企業は大切な情報が失われていると感じている。コーヒーマシンの前で居合わせた同僚に、気軽な質問をするというわけにはいかないからだ。

Teemycoを使用する場合、各ユーザーは仮想部屋で作業を行う。デフォルトでは、ロビーで作業することになる。ロビーは複数の机が置かれたオープンスペースと考えることができる。事前に予定されていてもいなくても、会議を行いたいときには、ロビーから他のユーザーたちを呼び集めて、新しい部屋を作ることができる。

その新しい部屋の中で、音声通話やビデオ通話を始めることができる。画面の隅に同僚たちを表示しながら、自分のドキュメントに集中したり、全画面でビデオ通話を行ったりすることもできる。用事が終わったら部屋を出ていくことができる。

こうしたやり取りは、ビデオ会議サービスで体験するものよりは堅苦しくない。Zoomルームへのリンクを送信する必要はないし、カレンダーを使った招待状を送信する必要もない。ただみんながふらりとやってきたり、ふらりと去っていくだけだ。

もし重要な作業をしている場合には、フォーカスルーム(集中部屋)に移動して、15分ごとに割り込まれたりしないようにすることもできる。他の人が仮想デスクからあなたを引き剥がすことはできない。もしトイレに立つときには、外出中を掲げた部屋に自分を置いておくことができる。そうした部屋はステータス表示として利用することができる。

またTeemycoを使って、お気に入りの同僚の隣で作業することもできる。部屋を作成しトランシーバー機能を使用して、一日中素早くやり取りを続けることができる。そしてもちろん、仕事に関係のない雑談のための休憩室を作ることができる。

Teemycoはまだ若い会社だ。この製品はベータ版のみが提供されている。同社はLuminar Venturesが主導しAntler、Gazella、その他の複数のビジネスエンジェルたちが参加したシードラウンドで100万ドル(約1億1000万円)を調達した。

またこの製品はどんな企業にも役立つわけではない。例えば何百人もの従業員を抱える企業に適しているかどうかはわからない。内向的な人は、リアルタイムコミュニケーションを好まないかもしれない。

リモートファーストの企業であれば、透明性のある文化(未訳記事)を持つことが重要であることを理解しているだろう。書面による情報は、ビデオ会議よりも常に透明性が高い。

それでも企業文化によっては、Teemycoのようなものが役立つ場合があるだろう。それを使うことで、共有ドキュメントや内部コミュニケーションツールに保存されている情報を補強することができる。

これは、物理的なオフィスとリモートチームを比較する避けられない議論が、単なる二元論的な問題ではないことを証明する興味深いプロダクトだ。なお企業は特定のニーズに応じて様々な調整を行うことができる。

カテゴリー:ソフトウェア

タグ:Teemyco リモートワーク

画像クレジット:Teemyco

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(翻訳:sako)

安く長く住むワーケーション特化の宿泊予約サービス「Ellcano」の事前登録スタート、3泊以上の連泊が対象

Cansellは8月4日、長期滞在に特化した宿泊予約リクエストアプリ「Ellcano」(エルカノ)の事前登録を開始した。サービス開始は9月を予定している。事前登録で5000円ぶんのポイントをプレゼントするキャンペーンを実施するほか、GoToトラベルキャンペーンにも対応を予定とのこと。

また、宿泊施設の掲載も本日より募集開始する。同社とこれまで取引があった宿泊施設に対しては先立って案内を進めており、すでに一定数が参画を決定しているとのこと。

同社は2016年1月設立のスタートアップ。主力事業はこれまで、社名からも想像できるように「キャンセル」に特化した内容だった。ホテル予約の売買サービス「Cansell」を運営しており、ホテルの宿泊予約をした人がやむを得ずキャンセルしなければいけないとき、その宿泊権利を他のユーザーに売却できるサービスを展開していた。

売却するユーザーは、通常通りホテルに宿泊代金を支払うが、Cansellを使って宿泊権利を売却して代金を受け取ることで、トータルの負担額を減らすことができる。また、購入者は通常より安い料金でホテルに泊まれるというメリットがある。

しかし現在、新型コロナウイルスの感染拡大と消費者の自粛傾向が強まり、観光・宿泊業界は壊滅的な打撃を受けている。そもそもの宿泊人数が減っているうえ、海外から観光客の長期滞在なども当面見込めない。Go Toトラベルによって少し持ち直した業者は出ているが、1日あたりの感染者数だけを喧伝するマスコミやワイドショーの風潮も相まって、終了期間は決まっていないながらもGo Toトラベル自体のイメージは地に墜ちている。

生き方、働き方、知識不足、思考停止、緊急事態など個人のさまざまな事情はあるものの、十把一絡げな自粛ムードをマスコミやワイドショーがこれ以上醸成してしまうと、コロナ禍で2020年第2四半期(4〜6期)にすでに大打撃を受けている観光・宿泊業界は、年内にも多くの業者が操業停止や廃業に追い込まれてしまうだろう。となると、ワクチンや特効薬の開発が進んで新型コロナウイルスの蔓延が終息しても、業界自体の復興に相当な時間かかり、さらにチャンスを逃してしまう。いま観光・宿泊業界にとって必要なのは、なんとかして持ちこたえるための施策と、それに賛同してくれる消費者だ。

Cansellは観光・宿泊業界のコロナ禍問題を打開すべく、従来サービスをベースにしながらも切り口の異なる新しいサービスを開始した。それがテレワーク・ワーケーション需要を取り込むことだ。コロナ禍で大手企業やネット企業、スタートアップ企業ではテレワークがさらに浸透しているが、一方で自宅に仕事場を確保できない、そもそも自宅で仕事したくないというニーズも高い。夏休みの旅行が自粛ムードで中止になった家庭もあるだろう。

同社こういったニーズに着目して、ホテルに長期滞在してテレワーク・ワーケーションにい使うという需要を喚起するため、長期滞在に特化した宿泊予約リクエストアプリ「Ellcano」をリリースすることになった。特徴は、長期で旅行や出張、ワーケーションで宿泊施設を予約する際に、予算などを直接宿泊施設にリクエスト・予約できる点。

各腫ホテルの予約サイトなどでは、長期滞在時であっても通常の1泊の宿泊代金×滞在日数と掲載されてしまうケースが多い。そのため、長期滞在プランがあらかじめなどが用意されていないと、なかなか手を出せない料金になってしまう。一方でコロナ禍のご時世、宿泊施設にとっては長期滞在してくれるなら、多少安くても泊まってほしいニーズがあるのも確か。

Ellcanoでは、宿泊希望者から予算などの希望条件を宿泊施設に直接リクエストできるようにすることで、双方が納得できる料金・条件での長期滞在を実現する。具体的には、3泊以上の長期滞在に特化、予算はリクエスト形式、複数の施設に一括リクエストという特徴がある。目的地が決まっている場合は、場所と予算、滞在日数を伝えるだけで複数のホテルなどからマッチングしてくれる。

体調管理、マスク着用などの感染対策を施したうえで、到着後数日はホテルや旅館の館内や食事を楽しみつつテレワーク、感染症の症状がでなければソーシャルディスタンスを意識して観光という、働き方、楽しみ方も生まれてくるのはないだろうか。