【コラム】前代未聞のペースでインドにユニコーン企業を生み出しているTiger Global

過去15年間、世界第2位のインターネット市場であるインドのスタートアップ企業を世界的に有名にしたとして名高い、ある投資会社の最近の勢いは、前代未聞のペースで地元の若い企業をユニコーン企業へと変貌させている。

Tiger Global(タイガー・グローバル)は、2021年中にインドのスタートアップ企業と25件以上の契約を締結する(一部は締結済み)。これらの投資のうち、約10件はこれまでに公表されており、残りは1000万ドル(約11億円)から1億ドル(約109億円)を超えるものまで、今後数週間から数カ月の間に準備が進められる。

ニューヨークに本社を持つ同社は、最近67億ドル(約7297億円)のファンドを完了し、先週、ソーシャルネットワークサービスを運営するShareChat(シェアチャット)ビジネスメッセージングプラットフォームのGupshup(ガップシャップ)投資アプリのGroww(グロウ)への投資を主導し、フィンテックアプリのCREDのラウンドにも参加して、これらのスタートアップ企業がユニコーンとなるのを支援した。

関連記事
Tiger Globalが同社最大のベンチャーファンドを約7351億円でクローズ
顧客との会話型エクスペリエンスを支えるメッセージプラットフォームGupshupが約109億円調達しユニコーンに
インドのミレニアル世代向け投資アプリのGrowwが91.2億円調達、新たなユニコーンに
インドのハイエンド層にフォーカスしたクレジットカードを提供するCREDが新規ラウンドで評価額2415億円に

(インドでの報道によると、Tiger Globalは新しいファンドのうち30億ドル、約3267億円)をインドのスタートアップ企業に投資する予定だと推測されているが、TechCrunchでは、この30億ドルという数字は的外れだと考える)

Tiger Globalは、2021年初めにユニコーン企業となったインドのスタートアップ企業であるInfra.Market(インフラ・マーケット)とInnovaccer(イノヴァッサー)にも投資している(インドでは2020年11件、2019年には6件のユニコーン企業が誕生したが、2021年はすでに10件のユニコーン企業が誕生している。Tiger Globalはインドのユニコーン企業47社のうち20社以上に投資している)。

関連記事:小規模メーカーと大手建設業者を結ぶInfra.Marketが106億円調達、インドの最新ユニコーンに

また、支援の発展段階にあるのは、先週ユニコーン企業になった電子薬局のPharmEasy(ファームイージー)、フィンテックのClearTax(クリアタックス、評価額10億ドル、約1090億円の可能性)、暗号資産取引所のCoinSwitch(コインスイッチ)、保険会社のPlum(プラム)、B2BマーケットプレイスのMoglix(モグリックス、評価額10億ドル、約1090億円以上)、ソーシャル企業のKutumb(カタム)とKoo(クー、評価額1億ドル(約109億円)以上、CapTable調べ)、ヘルステック企業のPristyn Care(プリスティンケア)、B2B電子商取引のBzaar(バザー)、アグリテックのReshamandi(レシャマンディ)などが含まれていると関係者は話す(一部の案件はまだクローズしていないので、条件が変わる可能性もある)。

関連記事:Tiger Globalがインドの若いSNSに約190億円規模の投資を検討中

2021年、あるいはこれまでに、インドの企業にこれほどの規模の投資をした企業は他にない。この大盤振る舞いには、何十人ものベンチャー企業の創業者がTiger Globalのパートナーを紹介してもらおうと躍起になっているほどだ。

Tiger Globalのインドの若い企業への信頼は、過去にさかのぼる。2009年のFlipkart(フリップカート)と2012年のOla(オラ)への投資は、両社がインドの大手投資家からの資金調達に苦戦していた時期に、米国のTiger Globalがインドで事業を展開する際のリスク許容度を示すものだった。

元パートナーのLee Fixel(リー・フィクセル)氏の下で、Tiger Globalは、オンライン食料品店のGrofers(グローファーズ)、物流ベンチャーのDelivery(デリバリー)、ファッションEコマースのMyntra(ミントラ)、フィードリーダーのInShorts(インショーツ)、電動スクーターメーカーのAther Energy(アザーエナジー)、音楽ストリーミングサービスのSaavn(サーブン)、フィンテックのRazorpay(レーザーペイ)、ウェブプロデューサーのTVF(ティーブイエフ)など、若い企業を支援してきた。

何人かのベンチャー企業の創業者たちは、匿名を条件にTiger Globalからの投資を振り返り、Tigerの投資は最初の連絡から2~3週間で完了したと話す。

しかし、2019年の幹部交代でフィクセル氏が離脱した同社は、インドにおける投資のペースを落とし、一時的に主にSaaS系ベンチャー企業にフォーカスを移した。

Tiger Globalとともにいくつかのベンチャー企業に投資してきたあるベンチャー投資家は、率直な意見を述べるために匿名を条件に「最近の状況は変わり、Tiger Globalはこれまで以上に積極的になっている」と語る。

後期段階の企業への投資を続けている同社は、設立数カ月のベンチャー企業への投資機会も模索しているという。

上述の投資家は、Tiger Globalの新しい戦略のもう1つの例としてInfra.Marketを挙げた。Tiger Globalは2019年、まだ設立2年目だったB2BベンチャーであるInfra.Marketに最初に投資をしている。

「Tiger Globalはそれから、このスタートアップ企業が成長できるかどうか、そして他の投資家から投資を引き出せるかを見極めたいと考えました。その年12月、Infra.Marketが約2億ドル(約218億円)の資金を調達すると、その2カ月後、Tiger Globalは評価額10億ドル(約1090億円)で新たなラウンドを完了しました」とその投資家は述べる。

スタートアップ企業にとってはすばらしいことである一方、一部の投資家にとっては課題となっていると2人の投資家が話す。

彼らによれば、Tiger Globalが、業界の他社が太刀打ちできないレベルでスタートアップ企業を評価し、その後のラウンドを主導しない場合、次の資金調達ラウンドに投資できる企業は非常に少なくなるとのこと。

非公開のフォーラムや最近のClubhouseでは、多くの投資家が「一部の投資家が共有している最近の楽観的な見通しが実現するのは難しい」と警告している。ある投資家は「Tiger Globalは2~3年周期で、インドで非常に楽観的な投資を行います。問題は、状況が楽観的でないときに、我々がツケを払う羽目になっていることです」と語った。

「Scott Shleifer(スコット・シュライファー、Tiger Globalのパートナー、上の写真)の下では、状況は変わるかもしれない」と、別の投資家は付け加える。Tiger Globalの最近のインド国外における活動を見ると、いくつかの市場ではより積極的になっているように見える。

Steadview(ステッドビュー)、Prosus Ventures(プロサスベンチャーズ)、Falcon Edge Capital(ファルコンエッジキャピタル)、さらにはGoogle(グーグル)などの企業が、世界第2位の人口を誇るインドへの投資戦略を強化している中で、米国企業であるTiger Globalもインドへの関心を高めている(ある投資家は、最近のClubhouseのセッションで、この投資の狂乱は市場で余っている資本の多さの表れでもあると語っている)。

Credit Suisse(クレディ・スイス)のアナリストは2021年3月、世界第3位のスタートアップ企業の拠点であるインドは、今後数年間で100社のユニコーン企業を生み出す可能性がある、と顧客向けの報告書に書いている。

インド企業の状況は、過去20年間の資金調達、規制、ビジネス環境の著しい変化が重なり、急激な変化を遂げている。さまざまな分野で前例のないペースで新会社が設立され、イノベーションが進んだことで、価値の高い、未上場の企業が急増している。

評価の高い企業の成長の背景には、以下のようなさまざまな要因がある。

(1)1人当たりの資産が少ない経済ではベンチャー企業への投資が不足するのは自然だが、(主に外国の)プライベートエクイティが急増して、過去10年間は毎年、公開市場での取引額を上回るようになった。

(2)携帯電話の普及率、スマートフォンやインターネットの普及率の向上。2005年まではインド人の15%以下しか携帯電話を持っていなかったが、現在では85%に達している。また、安価なデータ通信とスマートフォンの低価格化により、7億人以上の人々がインターネットにアクセスできるようになった(現在の普及率は40%)

(3)深く根差した物理的なインフラの変化。2000年には半分しかなかった舗装道路がほぼすべての居住地に整備され、2001年には54%しかなかった電力供給が全世帯に供給されるようになった。

(4)金融イノベーションが加速している。世界をリードする『インディア・スタック』は、データの可用性の向上にも助けられ、ユニバーサルバンク口座へのアクセス、モバイル、生体認証ID(アドハー)をベースに構築したUPIといった革新的なアプリケーションが備わっている。(5)いくつかの分野でエコシステムが発展し、現在では世界の競合他社に対して競争力を持っている。例えば、テクノロジー(450万人のIT専門家)や製薬・バイオテクノロジー(インド企業のいくつかは、年間2~3億ドル(約218億円~326億円)の研究開発費を確保できる)などが挙げられる。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Tiger Globalインドコラム

画像クレジット:Amanda Gordon / Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Dragonfly)

アマゾンがインドのスタートアップに投資する272億円規模のベンチャーファンドを発表

Amazon(アマゾン)はインド時間4月15日、主要な海外市場であるインドの中小企業(SMB)のデジタル化に焦点を当てた、同国のスタートアップや起業家に投資する2億5000万ドル(約272億円)のベンチャーファンドを発表した。

今回の発表は、これまでインド事業に65億ドル(約7062億円)以上を投資してきた米国のeコマース巨人が、政府当局や、同社がサービスを提供していると称する中小企業からの批判に直面している中でのことだ。

「Amazon Smbhav Venture Fund」と名づけられたこの新しいベンチャーファンドを通じて、Amazonは中小企業のオンライン化、オンライン販売、業務の自動化とデジタル化、そして世界中の顧客への拡大を支援することに重点を置いたスタートアップに投資したいと述べている。同社は、このファンドのライフサイクル(つまり、何年かけて2億5000万ドルを使い切る予定か)については明らかにしなかった。

Amazonの次期CEOであるAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏は4月15日に開催されたバーチャルイベントで「中小企業は経済のエンジンであり、生命線です」と述べた。「当社は、中小企業を加速させることに情熱を持っています」とも」。

Amazonは、中小零細企業(MSMEs)向けに売掛債権のオンラインマーケットプレイスを運営する、グルグラム(旧称グルガオン)に本社を置く設立3年目のスタートアップであるM1xchangeに1000万ドル(約10億9000万円)の投資ラウンドを実施したと発表した。M1xchangeは、マーケットプレイスを介して中小企業と銀行やノンバンク金融会社を結びつける企業だ。中小企業は売掛債権(為替手形や請求書)を銀行や金融機関に譲渡することでより有利な金利で融資を受けることができ、これにより、中小企業・小規模事業者の支払いに関する課題を解決することができるという。これは、同社のAmazon Smbhav Venture Fundからの最初の投資となる。

Amazon Smbhav Venture Fundは農業とヘルスケアの2つの分野にも重点を置いているが、中小企業との接点があれば、他業種のテックスタートアップも視野に入れていくとのこと。

アグリテック分野ではAmazonは、テクノロジーを活用してアグリインプットを農家によりアクセシブルにしたり、農家にクレジットや保険を提供したり、食品の無駄を減らしたり、消費者に届ける農産物の品質を向上させるインドのスタートアップに投資することを検討している。ヘルスケア分野では、医療機関が遠隔医療、電子診断、AIによる治療提案を活用できるように支援するスタートアップに投資するとしている。

今回の発表は、インドに拠点を置く中小企業に焦点を当てた、Amazonが毎年4日間にわたって開催するSmbhav(ヒンディー語で「できる、可能」を意味する)イベントで行われた。またAmazonはこのバーチャルイベントで、2025年までにインドの北東地域の8つの州から5万人の職人、織工、中小企業をオンライン化し、同地域からの茶、スパイス、蜂蜜などの主要商品の輸出を促進するための取り組みである「Spotlight North East」を発表した。

2020年の第1回Smbhavイベントで、Amazonは10億ドル(約1087億円)を投じて中小企業1千万社のデジタル化を支援することを発表した。同社は2021年4月初め、2020年1月以降、インドで30万人の雇用を創出し、30億ドル(約3260億円)相当のインド製商品の輸出を可能にしたと発表した。

関連記事:Amazonがインドのスモールビジネスのデジタル化促進のため約1100億円を投資

同社によると、5万以上のオフライン小売業者や近隣店舗(現地ではキラナと呼ばれる)がAmazonマーケットプレイスを利用しており、約25万の新規出品者もプラットフォームに参加したという。同社は15日「Local Shops on Amazon」プログラムを通じて、2025年までに100万のオフライン小売業者・近隣店舗のオンボーディングを目指していると述べた。

2020年には、Amazonの創業者兼CEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が参加した最初のSmbhavイベントからそれほど遠くない場所で、何万人もの抗議者が通りをデモ行進し、Amazonは自分たちをつぶすために不公正な行為を行っている、と主張して懸念を表明した。

今回も同様の抗議活動が行われ、商人たちはAsmbhav(ヒンディー語で「不可能」の意)と名づけられたイベントで政府の介入を求めた。こちらから、彼らのストーリーを一部見ることができる。これはインドでの論争に巻き込まれないように長い間苦労してきたAmazonにとって、継続的な課題だ。

関連記事:進出から7年半で6775億円投じたインドでアマゾンは多くの問題に直面している

2021年2月には、米国のeコマースグループである同社がインドの一部の販売者を優遇し、それらの販売者との関係を公に偽り、インドの外資規制を回避するために利用しているとの報道を受け、何千万もの実店舗を代表する有力なインドの業者団体が、インド政府にAmazonの国内事業禁止を要請した。

関連記事:全インド商業者連合がアマゾンの事業禁止を政府に要請

全インド商業連合(The Confederation of All India Traders、CAIT)は、ロイター通信の記事で明らかになったことを受けて、インド政府にAmazonに対する深刻な措置を取るよう「要求」した。「CAITは長年にわたり、AmazonがインドのFDI(外国直接投資)規制を回避し、不公正で非倫理的な取引を行っていると主張してきました」とCAITは述べていた。

Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)、そしてMicrosoft(マイクロソフト)を含む複数の国際的なテクノロジー大手が、近年、インドのスタートアップ企業に投資している。Amazonも、配車スタートアップのShuttlや、消費者ブランドのMyGlammなど、多くの企業を支援している。2021月3月、同社はリテール決済スタートアップであるPerpuleを約2000万ドル(約21億7000万円)で買収した。

関連記事
グーグルが世界最後の成長マーケットであるインドに1兆円超を投資
アマゾンがインド小売業者のデジタル化を支援する同国スタートアップを買収

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Amazonインド投資Amazon Smbhav Venture Fundeコマースアグリテックヘルスケアスモールビジネス

画像クレジット:Pradeep Gaur/Mint / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

インドのEC大手Flipkartがオンライン旅行会社のCleartripを買収へ

インドのeコマース大手Flipkart(フリップカート)は現地時間4月15日、旅行・宿泊予約サイトのCleartrip(クリアトリップ)の買収で合意したことを発表した。Walmart(ウォルマート)傘下のeコマース会社は、世界で2番目に大きいインターネット市場での存在を拡大しようとしている。

この契約で、設立14年で買収前に約7400万ドル(約80億6000万円)調達していたCleartripの評価額が約4000万ドル(約43億5000万円)だったと本件に詳しい情報筋がTechCrunchに話した。この破格な売値は、他の多くの旅行業者同様、世界的パンデミックによる人々の旅行意欲の激減によってCleartripが多大な影響を受けたためだ。

インドの報道機関MoneyControlは、両社が2021年3月からこの交渉を進めていたことを報じている

CleartripはFlipkartに4000万ドルで売られる前に約7400万ドルを調達した(データ出典:Tracxn)

CleartripはインドにおけるAmazon(アマゾン)のパートナーでもあり、米eコマースグループのチケット予約機能を担っている。この2社は2019年に契約を結んだ。TechCrunchは今週Amazonに、パートナー企業がFlipkartと買収交渉していることについて、知っていたのか、不満はないのか尋ねた。現在インドの疎遠なパートナーであるFuture GroupのReliance Retailへの身売りを阻止する法廷闘争中の同社からは、返答がなかった。


今後もCleartripは独立ブランドとして運営を続け、全従業員の雇用も維持しつつ、Flipkartと密接に協力して「顧客が簡単に旅行できるテクノロジー・ソリューションを開発」していく。

Flipkartは1年以上前から、マーケットプレイスに航空券購入機能を導入する準備をしていると噂されていた。

関連記事:Amazonに大打撃を与えるインドRelianceによるFutureの資産買収を同国証券取引所が承認

「Flipkart Groupはデジタルコマースを通じて顧客体験を変えていくことを約束します。Cleartripは多くのお客様にとって旅行の代名詞であり、当社が多様化して新しい分野での成長を目指す中で、この投資は当社のお客様に向けた多様なサービスをさらに強化するものです。Flipkart Groupは業界の深い知識と技術力をもつCleartripチームを歓迎し、一致協力してお客様にいっそう意味のある価値と旅行体験を届けることを楽しみにしています」とFlipkart GroupのCEOであるKalyan Krishnamurthy(カリアン・クリシュナムルシー)氏が声明で述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Flipkartインド買収旅行Amazon

画像クレジット:Manish Singh / TechCrunch

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソフトバンクがインドのフードデリバリーSwiggyに最大543億円投資か

SoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が最大5億ドル(約543億円)をインドのフードデリバリーのスタートアップSwiggy(スウィギー)に出資することで交渉がかなり進んでいる。この件に詳しい2人の情報筋がTechCrunchに明らかにした。新たな投資はSwiggyを55億ドル(約5975億円)で評価しているとのことだ。

新規の投資は、Swiggyが2021年4月初めに発表した8億ドル(約869億円)の資金調達に追加される。ソフトバンクは2021年初めにインドのフードデリバリーへの投資拡大を模索しはじめ、SwiggyのライバルZomato(ゾマト)にも目を向けた。しかし今週初め、ソフトバンクはSwiggyを選んだ、と情報筋は話した。

関連記事:新型コロナ後の成長加速へ向けインドのフードデリバリーSwiggyが約880億円調達

Swiggyとソフトバンクはコメントを控えた。この件の詳細はまだ公になっていないため、情報筋は匿名を希望した。

新たな投資の交渉は、Zomatoがここ数カ月で9億1000万ドル(約988億円)を調達している中でのものだ。グルガオン拠点のZomatoは2021年のIPOに向け準備を進めている。最後の取引でのZomatoの評価額は54億ドル(約5866億円)だった。資金調達の間、Zomatoは「当社の事業のさまざまな分野における競合相手からの攻撃や価格競争」と戦うために資金を調達している、と話した。

サードプレイヤーであるAmazon(アマゾン)もまた、2020年インドのフードデリバリーマーケットに参入したが、事業展開はまだバンガロールの一部に限定している。

関連記事
インドのフードデリバリーZomatoが約263億円調達し企業価値約5672億円に、2021年前半にIPO予定
アマゾンがインド・バンガロールのフードデリバリーサービスを全市域に拡張

Bernsteinのアナリストは、インドのフードデリバリーマーケットが2022年までに120億ドル(約1兆3036億円)に成長することが見込まれる、と2021年初めのクライアント向けのレポートに書いた。

8億ドル調達後、Swiggyの共同創業者でCEOのSriharsha Majety(シュリハルシャ・マジェティ)氏は従業員へのメモで「新たな資金は現在のビジネスラインのために計画していた投資よりも多くのパワーを与えてくれます。我々の野心は果てしなく、後に投資の準備が整うかもしれない将来のために引き続き新たなサービスの種を撒いたり実験などをします。我々は今、インドから永続するアイコン的企業を生み出すために、今後数年にわたって絶えず考案して実行する必要があります」と伝えていた。

同氏はまたメモの中で、同社の長期的な目標は今後10〜15年でユーザー5億人にサービスを提供することだと述べ、評価額が1000億ドル(約10兆8600億円)を超えた中国のフード大手Meituan(美団)を引き合いに出した。

関連記事:パンデミックの最中に中国の食品配達大手Meituanが10.8兆円の評価額を達成

「2020年の新型コロナウイルスによる非常に厳しい局面から我々は脱しつつあり、嵐は乗り越えました。しかしここから取り組むすべてのことは長期的に成功するチャンスを最大化する必要があります」とも書いた。

Prosus Venturesを最大の投資家の1つに持つSwiggyは2020年一部の従業員を解雇し(Zomatoも同様だ)、インド政府が数カ月にわたるロックダウンを命令することになったパンデミックをしのごうとクラウドキッチン事業を縮小した

ソフトバンクの出資を確認したインドのニュースメディアCapTableは交渉についてより詳細に報じている。

TechCrunchは4月14日にソフトバンク・ビジョン・ファンド2がZetaへの出資についても交渉していると報じた。eコマース大手Flipkart、配車サービスOla、格安ホテルスタートアップのOyoにも出資している同ファンドは2021年4月初め、ソーシャルコマースのMeeshoにも出資した。

関連記事
印フィンテックZetaがシリーズDラウンドに向けソフトバンクと交渉中、ユニコーン目前か
インドのソーシャルコマースMeeshoが新たに330.3億円の資金を調達、評価額は約2312億円に

カテゴリー:フードテック
タグ:SwiggySoftBank Vision Fund投資インド資金調達フードデリバリー

画像クレジット:Indranil Aditya / NurPhoto / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

印フィンテックZetaがシリーズDラウンドに向けソフトバンクと交渉中、ユニコーン目前か

デジタル銀行プラットフォームのフィンテックスタートアップZeta(ゼータ)は、新たなラウンドに向けて投資家らと最終的な交渉を行っており、ユニコーンの地位に少しずつ近づいていると、この件に詳しい情報筋がTechCrunchに語った。

情報筋によれば、SoftBank Vision Fund 2(SVF2、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)は、設立5年目のZetaに2億5000万ドル(約272億3000万円)規模のシリーズDラウンドを提案しているとのこと。この投資提案では、著名な起業家であるBhavin Turakhia(バヴィン・ターアクヒア)氏が共同設立したインドの同スタートアップを、2019年に行われた初の外部資金調達(シリーズC)の際の3億ドル(約327億円)から大きく引き上げた10億ドル(約1090億円)以上に評価している。

関連記事:フィンテックのZetaが初の外部資金調達で企業価値325億円に

このラウンドはまだ終了していないと、3人目の情報筋は指摘した。

ソフトバンクの広報担当者はコメントを差し控えた。

5年前に設立されたZetaは、銀行が最新のリテールおよびフィンテック商品を立ち上げることを支援している。そのテーゼは、銀行は主として時代遅れの技術で運営されており、今日、何億人もの顧客やフィンテック企業に最高の体験を提供するための時間や専門知識を持ち合わせていないというもの。

Zetaは、銀行が同社のクラウドネイティブでAPIファーストのバンキングスタックをコアフレームワークとして使用するか、またはその上にサービスを構築して、モバイルアプリやデビット・クレジット機能の改善など、すべての顧客に優れた体験を提供できるよう支援しようとしている。また、銀行がフィンテック企業とより効率的に連携できるよう、API、SDK(ソフトウェア開発キット)、決済ゲートウェイも提供している。

同社は、アジアやラテンアメリカのいくつかの市場で多くのクライアントを獲得している。

ターアクヒア氏は、弟のDivyank(ディビャンク・ターアクヒア)氏とともに、1998年に最初のベンチャー企業を立ち上げた。その過程で、ウェブ企業4社をEndurance(エンデュランス)に1億6000万ドル(約174億3000万円)で売却している。Zetaは、バヴィン・ターアクヒア氏が共同設立した3社目のスタートアップで、彼が立ち上げた他の企業にはビジネスメッセージプラットフォームのFlockとRadixがある。

最終的に確定すれば、Zetaは2021年4月だけで7社目のインド発ユニコーンになる可能性がある。先週は、同じくSoftBank Vision Fund 2の支援を受けたソーシャルコマースのMeesho、フィンテック企業のCRED、e薬局のPharmEasy、ミレニアル世代に特化した投資アプリのGroww(グロウ)ビジネスメッセージプラットフォームのGupshup、そしてソーシャルネットワークのShareChat(シェアチャット)がユニコーンの地位を獲得した。

【更新】本記事はラウンドがまだ終了していないことを明確化して更新された。

関連記事
インドのソーシャルコマースMeeshoが新たに330.3億円の資金を調達、評価額は約2312億円に
インドのハイエンド層にフォーカスしたクレジットカードを提供するCREDが新規ラウンドで評価額2415億円に
インドのミレニアル世代向け投資アプリのGrowwが91.2億円調達、新たなユニコーンに
顧客との会話型エクスペリエンスを支えるメッセージプラットフォームGupshupが約109億円調達しユニコーンに

カテゴリー:フィンテック
タグ:Zeta資金調達インドSoftBank Vision Fund

画像クレジット:Zeta

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

インドのEdTech大手Byju’sが米英・ラテンアメリカ・インドネシアに進出、国際市場へ拡大

評価額130億ドル(約1兆4210億円)以上のインドのEdTech大手Byju’s(バイジュース)が成長を加速させるために、2021年5月後半に国際市場への進出を計画していることがTechCrunchの取材で確認された。

インド時間4月5日に設立33年の個別指導塾Aakashを約10億ドル(約1093億円)で買収したバンガロールを拠点とするこのスタートアップは、来月には米国、英国、ブラジル、インドネシア、そしてメキシコでサービスを開始し、2021年後半には他の地域を開拓する予定であると、従業員にメールで伝えた。

関連記事:インド最大の教育オムニチャネル構築を目指しEdTech大手Byju’sが個別指導塾Aakashを約1102億円で買収

「Byju’s Future School」と名づけられたこのスタートアップの国際事業は、Byju’sが2020年に3億ドル(約328億円)で買収したコーディングプラットフォームWhiteHat Jr.の創業者であるKaran Bajaj(カラン・バジャイ)氏が率いるという。

Byju’sの創業者兼CEOであるByju Raveendran(バイジュー・レヴィーンドラン)氏は、声明の中で次のように述べた。「私たちは、テクノロジーを通じて、世界中の子どもたちが学ぶことを好きになってくれると信じています。当社のグローバル展開は、子供たちが創造性を発揮し、実践により学ぶことを奨励する補助学習を家族が積極的に求めている重要な時期に行われます。今回のローンチは、世界中にアクティブラーナー(能動的学修者)を生み出すという当社のビジョンをさらに後押しするものです」。

WhiteHat Jr.のプラットフォームは、Byju’sの国際的な活動において重要な役割を果たしている。教師と生徒が1対1でセッションを行うコーディングプラットフォームにより、Byju’sは同期型と非同期型の両方の形式でコースを提供できるようになっている。

同社は2020年末にいくつかの国際市場で実験を開始し、ここ数カ月の間に、各地域を管理するために数名のトップクラス幹部を採用した。これらの幹部はすべてバジャイ氏の直属となると関係者は述べている。

「Byju’s Future Schoolは、6歳から18歳までの子供たちを対象に、リアルタイムの指導と創造的な成果を生み出すレッスンを融合させたインタラクティブな学習プラットフォームを提供することで、受動的な学習から能動的な学習への橋渡しをします」とメールには書かれている。

「Byju’s Future Schoolは、英語圏の生徒を担当する1万1千人のインドに拠点を置く有資格女性教師を擁しており、メキシコやブラジルなどの非英語圏市場へのさらなる浸透を目指しています。コーディングのカリキュラムは、スペイン語とポルトガル語でも提供され、これらの2カ国の生徒を担当する資格を持った女性教師を採用する予定です」とも。

Byju’s Future Schoolは、音楽、英語、美術、科学を含むさまざまな科目を提供する予定であると同社は従業員に伝えており、立ち上げ時にはコーディングと数学が利用可能になる予定だという。

【更新】本記事はByju’sからの確認を含めて更新された。

カテゴリー:EdTech
タグ:Byju’sインド

画像クレジット:Paul Yeung / Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

顧客との会話型エクスペリエンスを支えるメッセージプラットフォームGupshupが約109億円調達しユニコーンに

15年前にインドで起業し、事業者が顧客とテキストを通じてやり取りするのをサポートしているスタートアップが米国時間4月8日、ユニコーンのステータスを獲得し、また黒字であることを明らかにした。

サンフランシスコ拠点のGupshupはシリーズFラウンドでTiger Global Managementから1億ドル(約109億円)を調達し、評価額は14億ドル(約1529億円)になった。

Gupshupは会話型のメッセージプラットフォームを運営しており、10万超の事業者やデベロッパーがユーザーや顧客にサービスを提供するためのメッセージや会話のエクスペリエンスを構築するのにGupshupを使っている。

2011年にシリーズEを完了し、これまでに計1億5000万ドル(約163億円)を調達したGupshupは、同社の顧客が毎月60億件超のメッセージを送っていると話す。

「メッセージと会話型エクスペリエンスのビジネス使用の増加は、事実上、あらゆる顧客接点を変革しているエキサイティングな現代のトレンドです」とTiger Global Managementのパートナー、John Curtius(ジョン・カーティス)氏は声明で述べた。「Gupshupは異なるプロダクト、クリアで持続可能なモート(堀)、確かな実績を持つ経験豊かなチームでこの分野で勝利を収めるユニークな位置につけています。マーケットリーダーシップに加え、Gupshupのスケール、成長、収益性の組み合わせが我々を引きつけました」。

しかし、インドの数千万のユーザーが異なる理由でGupshupを記憶している。Gupshupの創業後6年は、インドのユーザーが友人にグループメッセージを送れることで最も知られていた(これらの安いテキストと他のスマートなテクニックによって、10年前に何千万というインド人が電話で互いに連絡を取り合っていた)。

そのモデルは結果的に維持できなかった、とGupshupの共同創業者でCEOのBeerud Sheth(ビールード・シェス)氏はインタビューでTechCrunchに語った。

「そのサービスを続けるために、Gupshupはメッセージ料金を負担していました。当社はモバイルオペレーターに費用を払っていました、一度スケールを拡大すれば、そうしたメッセージに広告を掲載するという考えでした。要するに、メッセージの量が増えるにつれ、オペレーターは価格を下げると思っていましたが、実際はそうではありませんでした。また、規制当局はメッセージに広告を掲載することができないと指摘しました」とシェス氏は回顧した。

そうしてGupshupは方向性を変えることにした。「当社はメッセージの費用を持つことも、ユーザーベースで収益化を図ることもできませんでした。しかし高パフォーマンスなメッセージのための高度な技術を持っていました。それで、当社は消費者モデルから法人モデルへと転換しました。高度なレベルのメッセージを送る必要があり、その費用を払える銀行やeコマース企業、航空会社などへのサービス提供を始めました」とシェス氏は話した。同氏はフリーランスワークプレイスElanceを1998年に共同で創業してもいる。

Gupshupは新しいメッセージチャンネルへと拡大してきた。ここには会話型のボットが含まれる。また、事業者が顧客に対応するのに自分たちのWhatsAppチャンネルを準備して運用するのをサポートしている。

シェス氏は、銀行、eコマース、旅行、ホスピタリティ、その他の部門の大手企業の多くがGupshupのクライアントだと話した。これらの企業は、顧客に決済情報や認証コードなどを送るのにGupshupを使っている。「これらは広告的なメッセージでもなければ販促のメッセージでもありません。コアなサービス情報です」と述べた。

年間ランレート1億5000万ドル(約163億円)だったGupshupは、提供するサービスを拡大し、さらに多くのマーケットで顧客を取り込むのに新たに調達した資金を使う。10年前にインドで目にした似たような事業者のユースケースが多くの新興マーケットで展開されていて、ビジネスメッセージプラットフォームにとって成長機会が広がっているとシェス氏は話した。

「Gupshupの使命は事業者がモバイルメッセージと会話型のエクスペリエンスを通じて顧客対応をさらに良いものにするのをサポートするツールを構築することです。使命を達成すべく取り組む中で、イノベーティブでカテゴリーを定義づけるような世界中の企業に多額かつ堅牢、成功的な支援をしてきた経歴を持つTiger Globalから出資を受けられることをうれしく思います」と述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Gupshupインドユニコーン資金調達メッセージ

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

インドのミレニアル世代向け投資アプリのGrowwが91.2億円調達、新たなユニコーンに

インドでは2億人以上がデジタルでお金のやり取りをしているが、投資信託や株式に投資している人口は3000万人にも満たない。

この現状を変えようと、ミレニアル世代をターゲットにするインドのスタートアップ企業が、インド時間4月7日に新たな資金調達を発表し、世界第2位のインターネット市場のインドにおける、新たなユニコーンとなった。

バンガロールを拠点とするGroww(グロウ)が、シリーズDの資金調達ラウンドで8300万ドル(約91億2000万円)を調達し、これによってインドのスタートアップの評価額は10億ドル以上(約1097億4000万円)となった。なお2020年の9月に行った3000万ドル(約33億円)のシリーズC調達時には評価額は2億5000万ドル(約274億6000万円)だった。

Tiger Globalが新ラウンドを主導し、既存の投資家であるSequoia Capital India、Ribbit Capital、YC Continuity、Propel Venture Partnersが参加した。これで4年前に設立されたインドのスタートアップ企業は、計1億4200万ドル(約156億円)を調達したことになる。

なお、Growwはインドのスタートアップでユニコーンとなった8社目の企業だが、今週では4社目となる。ソーシャルコマースのMeesho(ミーショ)は4月5日(インド時間、以下同様)にユニコーンになり、フィンテック企業のCRED(クレド)は4月6日に、そして電子薬局のPharmEasy(ファームイージー)は4月8日朝に未明に新たな資金調達ラウンドを発表したが、同社の評価額は約15億ドル(約1647億8000万円)だった。

関連記事
インドのソーシャルコマースMeeshoが新たに330.3億円の資金を調達、評価額は約2312億円に
インドのハイエンド層にフォーカスしたクレジットカードを提供するCREDが新規ラウンドで評価額2415億円に

Growwを使えばユーザーは、システマティックな投資計画(SIP)や株式連動型の貯蓄を含む投資信託、金そして米国の取引所に上場されているものを含む株式に投資することができる。このアプリは、現在インドで販売されているすべてのファンドを提供している。

Growwの共同創業者であり最高経営責任者であるLalit Keshre(ラリット・ケシュレ)氏は、TechCrunchのインタビューに答えて、彼のスタートアップが800万人以上の登録ユーザーを集めており、そのうちの3分の2は投資初心者であると語っている。

ケシュレ氏は、Flipkart(フリップカート)の元幹部だったHarsh Jain(ハーシュ・ジェイン)氏、Neeraj Singh(ニーラ・シン)氏、Ishan Bansal(イサン・バンサル)氏らと4人で創業したこのスタートアップが、この先新たな資金を使って成長を加速させ、より多くの人材を雇用すると述べている。「私たちは今、より長期的な思考とより速い成長のための燃料を手に入れたのです」と彼はいう。

Growwのユーザーの60%以上はインドの小さな市や町からのアクセスであり、そのうちのさらに60%は、これまでこのような投資をしたことがないとケシュレ氏はいう。スタートアップは、投資教育を目的として、いくつかの小都市でワークショップを行ったのだという。

仲介市場におけるフィンテックの市場シェア比較(BCG)

また、新型コロナウイルスの大流行により、若者が新しい趣味を探求するようになったおかげもあって、スタートアップの成長が加速した。このスタートアップは、Zerodha(ゼローダ)、Paytm Money(ペイトム・マネー)、Upstox(アプストックス)、ET Money(ETマネー)、Smallcase(スモールケース)、そして旧来の企業を含むひと握りの企業たちと競合している。

ケシュレ氏は「私たちは、インドに住むすべての人にとって、投資を身近で透明なものにするために、約5年前にGrowwを設立しました。順調に進んではいますが、まだ始まったばかりという気持ちです」と語った。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Groww資金調達ユニコーン企業インド

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:sako)

インドのハイエンド層にフォーカスしたクレジットカードを提供するCREDが新規ラウンドで評価額2415億円に

創業2年のCRED(クレド)は評価額が20億ドル(約2195億円)を超える最も若いインドのスタートアップになった。

バンガロール拠点のCREDは現地時間4月6日、新規ラウンドのシリーズDで2億1500万ドル(約236億円)を調達し、ポストマネーの評価額は22億ドル(約2415億円)だと発表した。2021年1月に8100万ドル(約89億円)を調達したシリーズC時の評価額は約8億ドル(約878億円)だった。

新規投資家のFalcon Edge Capitalと既存投資家のCoatue Managementが新規ラウンドをリードした。Insight Partners、そして既存投資家のDST Global、RTP Global、Tiger Global、Greenoaks Capital、Dragoneer Investment Group、Sofinaも本ラウンドに参加し、CREDの累計調達額は4億4300万ドル(約486億円)となった。

TechCrunchは2021年3月、CREDが評価額20億ドルほどで約2億ドル(約219億円)を調達する交渉がかなり進んでいると報じた

CREDはクレジットカードの請求を期日までに支払う顧客にリワードを与え、クレジットや高級ブランド製品を集めたプレミアムカタログのようなさまざななサービスへのアクセスを提供するアプリを運営している。

クレジットスコアが少なくとも750以上の個人がCREDに申し込むことができる。ハードルを高く設定することで、人々が財務に関する行動を改善するよう動機付けされるようにしている、と同社は話す。

CREDは現在、顧客600万人超にサービスを提供しており、この数字は世界で2番目に大きいインターネットマーケットであるインドのクレジットカード保有者の22%にあたる。プレミアムなクレジットカード所有者に限ると全体の35%を占める。

CREDの創業者でCEOのKunal Shah(クナル・シャー)氏はTechCrunchとのインタビューで、インドの裕福な顧客のためのプラットフォームとなり、商品を金融サービス以外にも広げるつもりだと語った。

例えば前述のeコマースサービスが急成長してきた、とシャー氏は話した。そして、これまでの成功は顧客がCREDでアイテムのキュレーションを楽しみ、小売業者はCREDでの各取引の規模が大きくなる傾向にあるためにCREDを魅力的なプラットフォームととらえているからだとの考えを示した。

新たに調達した資金は、いくつかの売上チャンネルの拡大と、より多くの実験を行うのに使う計画だと同氏は話した。

いつの日かインドの全クレジットカードユーザーにサービスを提供したいかと尋ねると、一部の部門ではCREDはサービスを提供できないが、より多くのユーザーが将来クレジットスコアを改善することについては楽観的だと同氏は述べた。

インドの同業他社と異なり、CREDは普通のTAM(獲得可能な最大市場規模)、すなわち世界で2番目に人口が多いインドの数億ものユーザーにフォーカスしていない。その代わり、最もプレミアムなユーザーの一部に応じている。

インドのフィンテック企業にとっての消費者セグメンテーションと獲得可能な最大市場規模(BofA Research)

「インドで発行されているクレジットカードは5700万枚で(デビットカードは8億3000万枚)、主にハイエンドマーケット向けです。クレジットカード産業はトップ銀行4行(HDFC、SBI、ICICI、Axis)に集中しており、そうした銀行が全マーケットの70%を握っています。SBI CardsのIPOからわかるように、この分野はこうした銀行にとってかなり利益率が高いものとなっています」とBank of Americaのアナリストは顧客向けの最新レポートに書いた。

「CREDのような極めて少ないスタートアップがこのハイエンド層にフォーカスし、プラットフォームベースのアプローチ(顧客をまず獲得し、後に収益化を探る)を取っています。インドではクレジットカードは依然として憧れのプロダクトです。まだ浸透していないことは、今後引き続き力強く成長することを約束しています。今後、その形態は進化するでしょうが(たとえばプラスティックカードからバーチャルカードに移行するなど)、クレジットカードに対する需要は成長することが見込まれます」と付け加えた。

CREDはインドで最も話題の企業の1社になった。部分的にはこれは、資金調達のペース、大きくなるばかりの評価額、そして選ばれた顧客のみに対応しているという事実のためだ。

一部のユーザーはCREDが1年前ほど魅力的な特典を提供していないと指摘した。

インドで最も儲けているエンジェル投資家の1人で、以前経営していたベンチャーがインドにおいて稀なエグジットの1つとなったシャー氏は、CREDがすでにこうした懸念を解決していると話した。例えば顧客がCREDポイントを1000超の販売業者で使えるようにしている新機能はリワードをより魅力的なものにしたと述べ、CREDが徐々にこの機能を自社のeコマース店舗に組み込んでいるとも付け加えた。

「こうしたポイントは資産であり負債ではないことに顧客が気づくのに、そう時間はかからないでしょう。顧客は多くの場所でポイントのメリットを目にし始めるはずです」とシャー氏は述べ、さらにはパンデミックによりCREDが計画していたものの一部が妨げられたことにも言及した。

2021年1月に従業員から120万ドル(約1億3200万円)分の株を買い戻したCREDは4月6日の従業員への電子メールの中で、500万ドル(約5億4900万円)分の株を間もなく買い取ると伝えた。「資金調達はCREDが未来に投資するのをサポートし、株の買い戻しがみなさんの未来への投資をサポートすることを願っています」と電子メールにはある。

カテゴリー:フィンテック
タグ:CRED資金調達クレジットカードインド

画像クレジット:Manish Singh / TechCrunch

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

インドのソーシャルコマースMeeshoが新たに330.3億円の資金を調達、評価額は約2312億円に

インドのソーシャルコマース系スタートアップMeeshoはインド時間4月5日「すべてのスモールビジネスがオンラインで成功できるようにする単一のエコシステム」になることを目指して、SoftBank Vision Fund 2(SVF2、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導する新たな資金調達ラウンドで3億ドル(約330億3000万円)を調達したと発表した。

この新しいシリーズEラウンドにより、設立5年目の同スタートアップの評価額は21億ドル(約2312億円)となり、2019年に行われたシリーズD時点での約6億ドル~7億ドル(約661億円〜771億円)から上昇した。これまでに総額約4億9000万ドル(約539億5000万円)を調達している同社は、既存投資家であるFacebook(フェイスブック)、Prosus Ventures、Shunwei Capital、Venture Highway、Knollwood Investmentも新ラウンドに参加したと述べている。

今回の出資はShunwei Capitalにとって、約1年ぶりのインドのスタートアップへの投資となるようだ。インド政府は2020年、中国の投資家がインド企業に出資する際に、当局の承認を必要とする規則を導入した。

関連記事:インドが中国からの投資に政府承認を義務付け、新型コロナ渦中での敵対的買収を予防

バンガロールを拠点とするMeeshoは、WhatsApp、Facebook、Instagram(インスタグラム)などのソーシャルメディアプラットフォーム上で売り手と顧客をつなぐ、同名のオンラインマーケットプレイスを運営している。同社の提供するサービスには、注文管理、物流管理、オンライン決済、ショップのリアルタイム更新、顧客にサブスクライブしてもらうためのシステムなどが含まれる。

同社はインドの約5千市町村に広がる、女性を中心とした1300万人以上の起業家と、10万以上のサプライヤーからなるネットワークを有しており、主に食料品、アパレル、家電、電子機器などを取り扱っているという。

Meeshoのミッションを短い言葉で表現するとすれば「女性の経済的自立」です。

ですから、@meeshoappがGoogle Indiaの女性デーにPlay Storeでフィーチャーされ、今度は独立記念日にスポットライトを浴びるのはふさわしいことだと思います。

大規模な真のインパクトが認められたのです! pic.twitter.com/jcFz2ZOrDA
– スダンシュ・シェカール (@sdhskr) 2019年8月10日

Meeshoはこの新たな資本を、国内で1億人いる個人事業主や中小企業のオンライン販売を支援するために投入するとのこと。Meeshoの共同設立者兼CEOであるVidit Aatrey(ヴィディット・アートレイ)氏は、声明の中で「この1年間で、オンラインでのビジネス展開を目指す中小企業や起業家が非常に増えました」と述べている。

インド政府が数カ月間のロックダウンを余儀なくされたパンデミックの中で、Meeshoは誰もがゼロ投資でオンラインの食料品店を始めることができる製品「Farmiso」をローンチした。アートレイ氏は5日に、FarmisoはMeeshoで最も急成長している事業に浮上したと述べている(パンデミック以前、Meeshoは東南アジアでの展開も始めていたが、ここ数カ月はその取り組みを縮小している)。

SVF2を運営するソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズのパートナーであるSumer Juneja(スマー・ジューンジャ)氏は、声明でこう述べた。「当社は過去18カ月間にわたりMeeshoを注意深く追跡してきましたが、その成長、日々のエンゲージメント指標、ユニットエコノミクスへの注力、そして強力なチームを作る能力を高く評価しています。Meeshoは、中小規模のサプライヤーやソーシャルリセラーがインドのeコマース革命に加わるための効率的なプラットフォームを提供し、彼らが消費者にパーソナライズされた体験を提供するのに役立つと考えています」。

UBSのアナリストは最近のレポートの中で、ソーシャルコマースやB2Bマーケットプレイスが、インドにおいてはAmazon(アマゾン)やFlipkart(フリップカート)などのeコマース企業に対する潜在的な競争要因であると指摘している。

画像クレジット:Meesho

ソーシャルコマースは、AmazonやFlipkartが何十億ドル(何千億円)も投じたにもかかわらず、インドではなかなか浸透しなかった近代的なeコマースに対抗するための有力な賭けの1つだ。もう1つの賭けは、インドの何万もの町や都市、村に点在する、ソーシャルな要素をあまり含まない近隣店舗のデジタル化だ。世界的な大企業であるFacebookとGoogle(グーグル)は、これら両方の馬に賭けている

関連記事
グーグルらが実店舗を簡単にオンライン化するインドのDotPeに約30.1億円投資
インド独禁監視当局がGoogleによるJio Platformsへの4740億円出資を承認

ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズのマネージングパートナーであるMunish Varma(ムニッシュ・ヴァルマ)氏は、声明の中で次のように述べた。「ソフトバンクは、世界各地の市場に独自のソリューションを提供するファウンダーを支援してきました。MeeshoはAIと機械学習の力を利用して、多くの中小企業オーナーが次世代ネットユーザーに販売するためのプラットフォームを構築しました。当社は、この旅の一部になれることを楽しみにしています」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:MeeshoインドSoftBank Vision Fund資金調達ソーシャルコマースeコマース

画像クレジット:Meesho

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

インド最大の教育オムニチャネル構築を目指しEdTech大手Byju’sが個別指導塾Aakashを約1102億円で買収

なぜByju’s(バイジュース)は2020年に10億ドル(約1102億円)以上の資金を調達し、さらに5億ドル(約551億円)の確保に向けてすでに少しずつ近づいているのか。今日、その答えが見えてきた。

Byju’sはインド時間4月5日、33年の歴史を持つ物理的な個別指導センターのチェーンであるAakash Educational Servicesを買収したと発表した。これは、インドのオンライン学習の最大手が、世界第2位のインターネット市場におけるリーダーとしての地位をさらに固め、オフラインでの成長を加速させるためだという。

関連記事:加速するオンライン学習サービス、インドのEdTech大手Byju’sが評価額1.6兆円で近く654億円調達か

現在評価額が130億ドル(約1兆4300億円)の同スタートアップは、この買収のために「10億ドル(約1102億円)近く」の現金と株式を支払った(現金約6億ドル/約661億3000万円、残りは株式)とのことで、これはEdtech分野では最大級の規模だと、事情に詳しい関係者3名がTechCrunchに語った(EYは、この取引について両社にアドバイスを行った。2021年1月に、両社が交渉中であることをBloombergが初めて報道した)。

Blackstoneが出資しているAakashは、一流の工科大学や医科大学への入学を目指す学生を対象に、全国で200以上の物理的な個別指導センターを所有・運営している。同社は25万人以上の高校生にサービスを提供している。

数十年の歴史を持つこの会社は近年、一部の製品をオンラインで利用できるようにしていたが、パンデミックの影響で学生の好みが変わってきたことから、6~7カ月前にAakashとByjuは買収の可能性を模索するようになったと、同社の幹部がTechCrunchの共同インタビューで語った(両社は、取引の財務的側面についてのコメントは控えた)。

Aakash Educationalのマネージングディレクター兼共同出資者であるAakash Chaudhry(アーカッシュ・チャウドリー)氏は、2社が手を組むことで「非常に充実した付加価値の高いサービスを学生に提供できる」と述べた。「Aakash Educationalの幹部は、買収後も同社に留まります」とも。

今回の買収により、両社はインドで最大の学生向けオムニチャネルを構築することができる、と同氏は続けた。「物理的な教室へのアクセスを希望する学生には、当社が対応しています。オンラインでコンテンツや学習にアクセスしたいと思っている学生には、Byju’sがサービスを提供してきました。我々はこれから一緒に、物理的なロケーションとテクノロジー、オンライン学習を活用して、他にはないものを学生に提供していきたいと思います」。

教育の未来はオフラインとオンラインが融合したものになるだろうと、同名のスタートアップの共同設立者兼CEOであるByju Raveendran(バイジュー・レヴィーンドラン)
氏はインタビューで語った。自身も教師の彼は(写真上)、それを理解しているのだろう。レヴィーンドラン氏はオンラインプラットフォームを立ち上げる前、スタジアムで何百人もの生徒に授業を行っていた人物だ。

Byju’sが提供する試験準備などのいくつかのサービスについては、オンラインのみのモデルはまだ数年先になるだろうと同氏は述べている。今回の契約は、ByjuとAakash Educationalのサービスをより小さな町や都市で展開することも目的としている。

2019年にAakashの株式37.5%を約1億8300万ドル(約201億7000万円)で取得した、Blackstoneのアジア買収共同責任者兼インドプライベートエクイティ責任者のAmit Dixit(アミット・ディクシット)氏はこう述べている。「オムニチャネルは、テスト対策と個別指導の勝利モデルとなっていくでしょう。インド有数の補習教育企業であるAakashとByju’sのパートナーシップに参加できることをうれしく思います」。

近年インドの教育スタートアップが受け取った資金(Blume Venturesがまとめた画像・データ)

大学・大学院への進学を目指す学生のための準備コースを提供するByju’sのユーザーベースは2020年から大幅に増加し、現在では8000万人以上のユーザーが利用しており、そのうち550万人が有料会員となっている。収益性の高いByju’sは、2020年、米国で1億ドル(約110億2000万円)以上の収益を上げたと、インドのベンチャーファンドBlume Venturesが先月開催したセッションで、(インドのスタートアップを支援している)GSV VenturesのマネージングパートナーであるDeborah Quazzo(デボラ・クアッゾ)氏が語った。

Lightspeed VenturesとNaspersが出資しているこのスタートアップは、近年、買収による無機的な成長も試みている。2019年には米国のOsmo(オズモ)を1億2000万ドル(約132億2000万円)で買収し、2020年には子供向けのコーディングプラットフォームWhiteHat Jr.を3億ドル(約330億6000万円)で買収している。レヴィーンドラン氏は、同社はさらに多くの企業を買収することを検討していると述べた。TechCrunchは先週、Byju’sがカリフォルニア州に本社を置くスタートアップEpic(エピック)を「3億ドル(約330億6000万円)を大幅に上回る額」で買収する交渉を行っていると報じた。

コンサルタント会社Convergence CatalystのチーフアナリストであるJayanth Kolla(ジャヤント・コラ)氏は、Aakashの買収によりByju’sはブランド認知度を高め、より多くの学生にリーチできるようになると述べている。「インドのような市場では、ウェブ上での有機的な急成長は、ある時点で停滞してしまいます」と彼は語った。

カテゴリー:EdTech
タグ:Byju’s買収インド

画像クレジット:Paul Yeung / Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

新型コロナ後の成長加速へ向けインドのフードデリバリーSwiggyが約880億円調達

インドのフードデリバリースタートアップSwiggy(スウィギー)は現地時間4月5日、新規ラウンドで約8億ドル(約880億円)を調達したと従業員に伝えた。同社は数四半期前にパンデミックを乗り切るために従業員を解雇していたが、インドで事業を拡大するようだ。

従業員への電子メールの中で、Swiggyの共同創業者でCEOのSriharsha Majety(シュリハルシャ・マジェティ)氏は、同社が新規投資家のFalcon Edge Capital、Goldman Sachs、Think Capital、Amansa Capital、Carmignac、そして既存投資家のProsus VenturesとAccelから約8億ドルを調達したと述べた。このニュースはTimes of IndiaのジャーナリストDigbijay Mishra氏が最初に報じた

「この調達では、現在の業務のために計画していた投資よりもさらに多くの資金を獲得します。ただ、我々の野心は果てしなく、後に投資の準備が整うかもしれない将来のために引き続き新たなサービスのタネを撒いたり実験などをします。我々は今、インドから永続するアイコン的企業を生み出すために、今後数年にわたって絶えず考案して実行する必要があります」とマジェティ氏は電子メールに書いた。TechCrunchはこの電子メールを入手した。

マジェティ氏はSwiggyの新たな評価額を明らかにしなかったが「投資家らはSwiggyに対してポジティブな感情を持っており、新規ラウンドは既存投資家からの出資がかなり多かった」と述べた。この件に詳しい人物によると、新たな評価額は49億ドル(約5395億円)を超えた。同社の累計調達額は約22億ドル(約2422億円)となった。

Swiggyは2020年、約37億ドル(約4074億円)の評価額で1億5700万ドル(約172億円)を調達した。この調達は今回の新規ラウンドには含まれないと情報筋はTechCrunchに語った。

情報筋によると、かなりの資金を調達しているZomato(ゾマト)、そして新規参入者のAmazon(アマゾン)と競合しているSwiggyの長期的な目標は今後10〜15年でユーザー5億人にサービスを提供することだ。情報筋は2020年取引したユーザー数が5億人となり、評価額が1000億ドル(約11兆109億円)を超えた中国のフード大手Meituan(美団)を例に挙げた。

関連記事:パンデミックの最中に中国の食品配達大手Meituanが10.8兆円の評価額を達成

「2020年の新型コロナウイルスによる非常に厳しい局面から我々は脱しつつあり、嵐は乗り越えました。しかしここから取り組むすべてのことは長期的に成功するチャンスを最大化する必要があります」とマジェティ氏は電子メールに書いた。

Swiggyは2020年いくつかの業務を削減し(Zomatoも同様)、インド政府が数カ月にわたるロックダウンを命令することになったパンデミックをしのごうとクラウドキッチン事業を縮小した

4月5日の資金調達の伝達は、グルがオン拠点のZomatoが2021年のIPOに向けてここ数カ月で9億1000万ドル(約1002億円)を調達した中でのものだ。直近の調達でZomatoの評価額は54億ドル(約5946億円)だった。資金調達の際、Zomatoは部分的には「自社の事業のさまざまなエリアにおける競合他社からの攻撃や価格競争」を退けるために資金を調達していると述べた。

関連記事:インドのフードデリバリーZomatoが約263億円調達し企業価値約5672億円に、2021年前半にIPO予定

3番目のプレイヤーであるAmazonはインドのフードデリバリー分野に2020年参入した。ただし、事業はまだバンガロールの特定地域に限定されている。

関連記事:アマゾンがインド・バンガロールのフードデリバリーサービスを全市域に拡張

インドのフードデリバリーマーケットは2022年までに120億ドル(約1兆3213億円)に膨張するとBernsteinのアナリストは2021年初めの顧客向けレポートに書いた。そしてZomatoが現在マーケットをリードしていて、シェアは約50%だと指摘している。

「インドのフードテック産業はユニットエコノミクスを改善することで成長を維持します。テイクレート(取り分の割合)は20〜25%とインドでは最高の部類で、消費者の取り込みは増えています。マーケットは ZomatoとSwiggyが寡占していて2社でシェア80%超を占めます」とBank of Americaのアナリストは最近のレポートに書いた。TechCrunchはこのレポートを確認した。

「フードデリバリービジネスはかつてなく勢いがあります。そしていま、我々は今後10年で継続的な成長を推進するところにまできています。加えて、(グローサリー配達)Instamartのような新規事業のいくつかはかなり将来性があり、その一方で我々は間もなく展開する他の事業の準備を着々と進めてきました」とマジェティ氏は述べた。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Swiggyインド資金調達フードデリバリー

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンがインド小売業者のデジタル化を支援する同国スタートアップを買収

Amazon(アマゾン)はオフラインの店舗がオンライン店舗を展開するのをサポートするインドのスタートアップを買収した。オフライン店舗が小売販売の95%超を占め、そして人口が世界第2位のインドに食い込もうというAmazonの最新の試みだ。

Amazonは現地時間3月30日、創業4年のPerpule(パーピュール)を買収したと発表した。規制当局へ提出した書類には、Amazon Technologiesがインドのスタートアップを買収するのに現金1470万ドル(約16億円)を支払ったとある。そしてPerpuleの従業員への補償として追加で500万ドル(約5億5300万円)拠出するはずだ。

これまでに636万ドル(約7億円)を調達したPerpuleはオフラインの小売業者がデジタル決済を受け付け、そPaytmやPhonePe、Google Payなどがインドで展開しているさまざまなミニアプリストアで出店できるようにするためにモバイル決済デバイス(POSマシーン)を提供している。

「Perpuleは、インドのオフラインの小売店舗が在庫や精算プロセス、全体的な顧客エクスペリエンスをうまく管理できるようにする、イノベーティブなクラウドベースPOSを構築しました」とAmazonの広報担当は声明で述べた。

「インドの顧客のために買い物エクスペリエンスの水準を引き上げながら、あらゆる規模の事業者への成長機会の提供に注力すべく、Perpuleのチームに加わってもらうことを喜んでいます」。

2016年に創業されたPerpuleの最初のプロダクトは、Shoppers Stop、Spar Hypermarket、Big Bazaarといったスーパーチェーンでの行列を顧客が回避できるようにすることにフォーカスしていた。しかし、PerpuleのCEOであるAbhinav Pathak(アビナブ・パタック)氏が最近のインタビューで語ったところによると、同社はそのプロダクトを展開しようとしたが、広がらなかったという。

Prime Venture Partners、Kalaari Capital、Raghunandan G(ラグナンダン・G)氏(ネオバンクZolveの創業者)などから出資を受けているバンガロール拠点のPerpuleは近年、事業者がグループ注文に対応できるようにするStoreSEのようなプロダクトを立ち上げるなど、事業を拡大してきた。

そして2020年は事業地域も拡大し、インドネシアやマレーシア、タイ、シンガポール、ベトナムなど東南アジアマーケットでサービスの提供を開始している。

Amazonは近年、デリバリーネットワークや倉庫を拡大するために、実在(オフライン)店舗のインドでの圧倒的な存在感を出し、販売促進のために実在店舗の在庫に頼るなど、積極的に実在店舗を取り込もうとしている

Amazonの実在店舗への接近は、Flipkart、そして2020年(FacebookやGoogleなどから)200億ドル(約2兆2100億円)超を調達したReliance Jio Platformsがこのマーケットを支配しようと競っている中でのものだ。Perpuleの買収は、Googleがが似たようなプロダクトを展開しているDotPeへ出資してから1週間も経っていない。

関連記事
グーグルがインドの通信大手Reliance Jio Platformsに約4800億円出資
グーグルらが実店舗を簡単にオンライン化するインドのDotPeに約30.1億円投資

あらゆるものを売っている零細の小売店は、家族経営で賃金は安く、家賃がほとんどない。どこにでもあるため(業界推定ではインドには3000万の零細小売店がある)、より迅速な配達を提供できている小売大手はない。その上、そうした零細小売店の経営状態は往々にして大半のデジタル店舗よりも良好だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazonインド買収Perpule小売

画像クレジット:Noah Seelam / AFP / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグルらが実店舗を簡単にオンライン化するインドのDotPeに約30.1億円投資

Googleのインドにおける最新の投資は、企業のオンライン化を助けるスタートアップだ。

現地時間3月26日、創業1年でグルガオンに拠点を置くDotPeが、シリーズAで2750万ドル(約30億1000万円)を調達したことを発表した。ラウンドをリードしたのはPayUで、これまでの投資家であるInfo Edge VenturesとGoogleが参加している。

この今や約9000万ドル(約98億7000万円)の価値が付く若きスタートアップは、路上の実店舗がオンラインでも販売を行い、デジタルで決済できるようにする。

インドの多くのスタートアップが現在解決しようとしている問題だが、DotPeにはさらにいくつかの魅力がある。これにより、販売業者は在庫をスキャンし、オンラインで迅速にログを作成できる。

カタログが用意できたら、店はWhatsAppでそれを公開し、顧客に届ける。WhatsAppはインドで人気最大のスマートフォンアプリで、ユーザーは4億5000万人以上いる。DotPeは、ユーザーの商業者がGoogleの検索結果にも出るようにする。

PayUの元共同創業者でマネージングディレクターのShailaz Nag(シャイラズ・ナグ)氏が共同設立したこのスタートアップは、近所の店が来店客から支払いを集めることを可能にし、顧客のエンゲージメントを高めるためにポイントや割引を提供するツールを備えている。

「この新しいパートナーシップにより、企業はより発見しやすくなり、ビジネスの道が広がり、これまでにない商取引を行うことができるようになります」とナグ氏はいう。「パンデミックであろうとなかろうと、私たちはオフラインビジネスのあり方を再考し、すべての起業家にデジタル革命をもたらすためにここにいます」。

画像クレジット:DotPe

DotPeの場合、店はアプリをインストールしなくてもよいため、これまでの6カ月で500万を超える事業者が利用した。それらの店では、リピーターからのオーダーの38%がオンラインからになっている。

インドPayUのCEOであるAnirban Mukherjee(アニルバン・ムカルジー)氏は「DotPeはその非の打ち所のないプロダクト体験とイノベーションで、非常に短期間に将来性に富む商業者ベースを獲得しました」と述べている。

Google India担当の副社長で、国別ではインドのトップであるSanjay Gupta(サンジェイ・グプタ)氏は声明で、同社のDotPeへの投資は「万人の利益になるさらに包括的で差別のないデジタル経済を作るという目標を、インドのスタートアップのエコシステムと一緒に実現する」というGoogleのポリシーを表している、と述べている。

Googleは2020年、ユーザー数では最大の市場であるインド向けの100億ドル(約1兆960億円)のファンドを発表した。AndroidのメーカーでもあるGoogleは、インドで他にも数社のスタートアップに投資しており、その中にはハイパーローカルなデリバリー企業Dunzoや、InMobi GroupのGlanceやDailyHuntがいる。

DotPeによると、同社は新しい資金を、同社のサービスがインドのもっと多くの商業者に到達し、その技術スタックを需要の成長に合わせてスケールすることに充てたい、という。

関連記事
グーグルが世界最後の成長マーケットであるインドに1兆円超を投資
グーグルがインドのハイパーローカル配達サービスDunzoを41億円の資金調達ラウンドで支援
GoogleがインドのスタートアップGlanceとDailyHuntに投資、世界第2位市場へさらに注力

カテゴリー:ネットサービス
タグ:DotPeインドeコマースGoogle投資

画像クレジット:ANNA ZIEMINSKI/AFP/Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

加速するオンライン学習サービス、インドのEdTech大手Byju’sが評価額1.6兆円で近く654億円調達か

新型コロナウイルスパンデミックによってインドでオンライン学習サービスの浸透が加速したことを受け、2020年約10億ドル(約1091億円)を調達したインドのEdTech大手Byju’s(バイジュース)が新たな資金調達を開始させようとしている。

この件に詳しい2人がTechCrunchに語ったところによると、Byju’sは評価額150億ドル(約1兆6367億円)で新たに6億ドル(約654億円)超を調達することで交渉している。評価額は2020年後半に110億ドル(約1兆2002億円)、2019年7月は57億5000万ドル(約6274億円)だった。

関連記事:インドのオンライン学習大手Byjuが約530億円を調達、アプリ登録者6400万人超、有料購読者420万人超

共同創業者でCEOのByju Raveendran(バイジュー・レヴィーンドラン)氏は2021年2月、一部の既存投資家にかなりのサイズの新規調達を3月に行うことを告げた、と情報筋は話した。新規ラウンドの交渉はかなり進んでおり、いくつかの新規投資家がラウンドをリードすることが予想されているとのことだ。

Byju’sの広報担当は2021年2月と今週初め、コメントを控えた。

近年、インドの教育スタートアップが受け取った資金(Blume Venturesがまとめた画像とデータ)

同社は調達する資金をスタートアップのさらなる買収に使う計画だ。現在、米国拠点のスタートアップ(TechCrunchは社名を確認できなかった)と買収の話し合いをしており、インドの対面式コーチング機関Aakashを買収するためにデューディリジェンスを行っていると匿名希望の情報筋は語った。Byju’sは1年前に、インドと米国で学生にオンラインコーディングクラスを提供しているWhiteHat Jrを3億ドル(約327億円)で買収した

Byju’sは大学の学部や修士レベルのコースを学生が履修うできるように準備しており、近年は学校に通うすべての生徒にサービスを提供するためにコースを拡大してきた。Byju’sアプリでの個人指導はピザやケーキといった実社会のものを使って複雑な科目に取り組んでいる。

インド政府が数カ月にわたる全国規模のロックダウンと学校閉鎖を命令することになったパンデミックは、Byju’sそしてUnacademyやVedantuなどを含む他のオンライン学習スタートアップの成長を加速させた。

Byju’sはユーザー8000万人を抱え、うち550万人が有料のサブスクを利用している。GSV Venturesのマネージングパートナー、Deborah Quazzo(デボラ・クアゾ)氏は今週初めにインドのベンチャーファンドBlume Venturesが開催したセッションで、利益を上げているByju’sの2020年の米国での売上高は1億ドル(約109億円)超だったと話した。

スタートアップの幹部たちは最近開催されたUBSイベントで、Byjuの現在の収益ランレートは8億ドル(約874億円)で、今後12〜15カ月で10億ドルに達すると予想している。

Byju’sは現在、前回の資金調達で160億ドル(約1兆7473億円)と評価された金融サービスのPaytmに続くインドで2番目に価値のあるスタートアップになっている。

関連記事:インドの教育系スタートアップByju’sのCEOが将来の買収、新型コロナ影響、海外展開について語る

カテゴリー:EdTech
タグ:Byju’s資金調達インド

画像クレジット:Paul Yeung / Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

インドの独占禁止監視機関がWhatsAppのプライバシーポリシー変更に対する調査を命じる

WhatsApp(ワッツアップ)が計画しているポリシー変更は、このインスタントメッセージングサービスが最大のユーザー数を抱えるインドで順調に進んでいない。同国の独占禁止監視機関であるインド競争委員会は現地時間3月24日、Facebook(フェイスブック)傘下のWhatsAppが、ポリシーの更新を装い現地の独占禁止法にあたる競争法に違反しているとして、同社のプライバシーポリシー変更に関する調査を命じた(PDF)。

インドの監視当局は、WhatsAppの新ポリシーを調査し「ユーザーの不本意な同意によるデータ共有の全容、範囲、影響を確認」するよう、同国の事務局長(DG)に命じた。事務局長は、60日以内に調査を完了し、報告書を提出するよう命じられている。

インドの監視当局はこの命令の中で、WhatsAppのプライバシーポリシーと利用規約の「嫌なら使うな」的な本質について「WhatsAppが享受している市場での地位と市場支配力を考慮すると、詳細な調査が必要である」と述べている。

関連記事:WhatsAppが新プライバシー規約を同意しないユーザーへの対応内容を説明

これに対しWhatsAppの広報担当者は声明で「インド競争委員会との交渉を楽しみにしています。WhatsAppは、エンド・ツー・エンドの暗号化によって人々の個人的なコミュニケーションを保護し、これらの新しい任意のビジネス機能がどのように機能するかについて、透明性を提供することに引き続き取り組んでいます」と語っている。

「WhatsAppは顕著なネットワーク効果を享受しており、インドのインスタントメッセージング市場に信頼がおける競合他社が存在しないことから、個人情報保護の観点における水準を妥協できる地位にあり、ユーザーベースの減少を恐れることなく、『オプトアウト』などのユーザーフレンドリーな選択肢を保持する必要がないと判断できる立場にあると思われる。さらに、WhatsAppを継続したくないユーザーは過去のデータを失う可能性がある。なぜなら、WhatsAppから他の競合アプリにデータを移植することは、面倒で時間のかかるプロセスであるだけでなく、すでに説明したようなネットワーク効果により、ユーザーがアプリを切り替えることは困難だからだ。以上のことは、ポリシー変更によって代替アプリへの移行を希望するユーザーの乗り換えにともなう代償を増大させ、強調するものである」と、インド競争委員会の命令文には書かれている。

「プライバシーポリシーの2021年の更新により、事業者はFacebookのような第三者のサービスプロバイダーに、通信内容を送信、保存、読み取り、管理、その他の処理を行うことができるアクセス権を与えることになる。Facebookが企業にサービスを提供する際には、収集したデータの使用を条件とする可能性もある。DGは調査の際にこれらの点についても調査することになるだろう」。

今回の動きは、WhatsAppが2021年5月に施行を予定している新たなポリシーのアップデートをめぐり、インドで繰り広げてきた数カ月に及ぶ法定闘争に続くものだ。インド政府は先週、WhatsAppが計画しているプライバシーアップデートがいくつかの点で現地の法律に違反していると主張した。また、連邦政府はデリー高等裁判所に提出した書類の中で、WhatsAppがインドでアップデートを実施することを阻止するように裁判所に求めてもいる。

関連記事
イーロン・マスク氏が米議会議事堂での暴動受けてFacebookの代わりにセキュリティ重視のSignalを推薦
インド政府がWhatsAppの新プライバシーポリシーを法律違反として裁判所に差し止めを申請

2021年初め、インドのIT省はWhatsAppの責任者であるWill Cathcart(ウィル・カスカート)氏に書面を送り、アップデートとその影響について「重大な懸念」を表明し「提案された変更を撤回するよう求め」ていた。

WhatsAppは2021年初めから、その懸念を払拭するためにインド政府に協力してきた。しかし、インドはFacebookの説明に納得していないようだ。インドの監視当局は、強い言葉で書かれた命令の中で「Facebookは新しいアップデートの直接的かつ隣接的な受益者であり、このような状況下でFacebookがアップデートの潜在的な影響についてまったく知らないふりをして、それについての見解の提供を避けているのは言語道断である」と述べている。

20億人以上のユーザーに利用されているWhatsAppは、2016年から親会社のFacebookと一部の情報を共有している。それ以来、利用規約を大幅に更新していなかった同社は、2020年、電話番号や位置情報など、ユーザーの個人データをFacebookと共有するために、いくつかの変更を行うと発表した。

関連記事:WhatsAppのユーザー数が20億人に、2年前から5億人増

2021年1月にWhatsAppは、アプリ内のアラートを通じて新規約への同意をユーザーに求めたが、これに対して一部のユーザーは即座に反発。数千万人のユーザーがSignal(シグナル)やTelegram(テレグラム)などの競合サービスを求めるようになったため、WhatsAppはユーザーに新しい規約を確認するための期間をさらに3カ月間設けると発表した。

関連記事:ユーザーの反発を受けWhatsAppがプライバシー規約の施行を3カ月延期

月間アクティブユーザー数が4億5千万人を超えるインドは、WhatsAppにとって、そしてその親会社であるFacebookにとっても、最大の市場だ。この巨大ソーシャル企業は近年、インドを重要な市場にすることに賭けており、そのための投資を倍増させている。2020年はインド最大の通信事業者であるJio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)に57億ドル(約6211億円)を投資した。この会社は、インドで最も裕福な人物であるMukesh Ambani(ムケシュ・アンバーニ)氏が経営している。

関連記事:Facebookがインド最大の通信事業者Jioに約6100億円を出資

カテゴリー:ネットサービス
タグ:インドプライバシーWhatsApp独占禁止法

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ローカルに繋がるインドのビデオSNSアプリPublicが44.6億円調達、半年で評価額は2倍強に

世界第2位のインターネット市場で存在感プレゼンスを高めようとしているハイパーローカルなインドのソーシャルビデオアプリ「Public」が、前回3500万ドル(約38億円)を調達してからわずか6カ月で、新たなラウンドで4100万ドル(約44億6000万円)を調達した。Publicは位置情報に基づき、ユーザーとその周辺にいる人々を結びつけるソーシャルネットワークだ。

A91 Partnersが主導したPublic appの新ラウンドで、同社の価値は2億5000万ドル(約272億円)以上と評価された(前回の資金調達時から2倍以上)。人気のニュースアグリゲーターアプリInShortsも運営しているこのインドのスタートアップは、既存投資家の一部も今回のラウンドに参加したと述べているが、その名前は明らかにしていない。Publicの投資家には、Peloton(ペロトン)やSpotify(スポティファイ)への早期投資で知られるLee Fixel(リー・フィックセル)氏のAddition、SIG、Tanglin Venture Partnersなどが数えられる(同社は新しいラウンドの名前を明らかにしていない)。

Public appの創設者兼CEOであるAzhar Iqubal(アジャール・イクバル)氏によれば、同社の新しいSNSはすでに5000万人以上のユーザーを集めており、いずれは国外への展開を目指しているという。2019年4月にスタートしたこのアプリは、すでに政治家などの個人ユーザーや、Amazon(アマゾン)、HDFC銀行、GSK(グラクソ・スミスクライン)などの複数の大手企業に利用されており、彼らはPublicアプリを使ってオーディエンスにリーチしている。

A91 Partners社のゼネラルパートナーであるGautam Mago(ゴータム・マゴ)氏は声明の中でこう述べた。「Publicは規模を拡大しながら、クラス最高のリテンションとエンゲージメントの指標を維持し続けています。同社の創業者たちと緊密に協力して、優れた企業の構築に貢献できることを楽しみにしています」。

インドの主要言語(ヒンディー語、ベンガル語、パンジャブ語、テルグ語、タミル語、カンナダ語、マラヤーラム語、オディア語、アッサム語、グジャラート語、マラーティー語など)に対応しているPublic appは、ショップオーナーなどの地元企業がeコマースを促進したり、地元の人材を募集・雇用することを可能にし、また、政治家や政府当局、メディアが地元の視聴者にリーチすることを可能にする。

「このアプリはすでに5万人以上の政治家、政府当局、市民ジャーナリストに利用され、地元とのつながりを深めるのに役立っています。また多くの地元企業も、地元の顧客にリーチするために、アプリを使い始めています」と同社は述べている。

同アプリはエンターテインメントやニュースのサービスも提供しており、毎月100万本以上の動画がこのプラットフォーム上で作成されている。

同社は今回の資金調達により、技術インフラの拡充、提供コンテンツの拡大、人材の採用などを計画している。

かつては混沌としたスペースと思われていたが、近年、いくつかのインドのスタートアップ企業が独自のソーシャルネットワークを立ち上げている。設立して8カ月のスタートアップKutumbは、約1億7000万ドル(約185億円)の評価額での資金調達ラウンドに向けて、Tiger Globalと交渉中だとTechCrunchは2021年3月初めに報じた。

関連記事:Tiger Globalがインドの若いSNSに約190億円規模の投資を検討中

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Public appインド音声ソーシャルネットワーク

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

MAU700万人を突破したインドの美容系eコマース「Purplle」がシリーズDで約49億円を調達

インドで美容製品のeコマースプラットフォームを展開するPurplleは、世界第2位のインターネット市場である同国でのプレゼンス拡大を目指し、新たな資金調達ラウンドで4500万ドル(約48億9000万円)を調達したとインド時間3月22日に発表した。

シリーズDとなる今回の資金調達はSequoia Capital Indiaと、既存の投資家であるVerlinvest、Blume Ventures、そしてJSW Venturesによって行われた。この新しいラウンドはこれまでに9500万ドル(約103億2000万円)を調達してきた同社の価値を、2019年のシリーズCラウンド時点での1億5,000万ドル(約163億円)から引き上げ約3億ドル(約325億8000万円)と評価したものであると、事情に詳しい関係者がTechCrunchに語った。

今回のラウンドでは、2015年にPurplleに約200万ドル(約2億2000万円)を投資していたIvyCap Venturesが一部退出した。同VCは声明の中で、Purplleは22倍のリターンを実現し、1号ファンド全体の1.35倍のリターンを実現したと述べている。

IvyCap Venturesの創業者兼マネージングパートナーであるVikram Gupta(ヴィクラム・グプタ)氏は、「当社は引き続きこの会社の成長を信じているので、2号ファンドへの出資を維持しました」と述べた。

Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)が投資家の中に名を連ねる設立8年目のPurplle.comは、1000以上のブランドから約5万にわたる製品を販売しているという。また、月間アクティブユーザー数(MAU)は700万人に達しているとのこと。

Purplleの共同創業者兼CEOであるManish Taneja(マニッシュ・タネジャ)氏(写真上)は3月22日の声明で次のように述べている。「Purplleは力強い成長を遂げてきました。パンデミックの年を入れても、過去3年間、90%以上のGMV CAGR(流通取引総額 年平均成長率)を達成しています。また、プライベートブランドの拡大にも成功しており、Good Vibesはすでに1億5000万インドルピー(約2070万ドル、約22億5000万円)のブランドとなっています。今回の投資は、Purplleを数十億ドル規模のデジタルファースト・ビューティ&パーソナルケア企業に成長させるのに役立ちます」。

Purplleの成長はユーザーがファッションや美容製品をオンラインで購入し始めている、インドのECスペースの成長を示している。インドを拠点とするオムニチャネルのDTCブランドMyGlammは先週、Amazon(アマゾン)が共同で主導したラウンドで2420万ドル(約26億3000万円)を調達した。

Sequoia Indiaのプリンシパル、Sakshi Chopra(サクシー・チョープラ)氏はこう述べた。「当社は、Purplleが高いリテンションと低い顧客獲得コスト(CAC:customer acquisition cost)で構築されたビジネス、高品質をベストプライスで提供する幅広いブランドの品揃え、そして魅力的なプライベートブランドのポートフォリオ・ミックスという3つの重要な鍵で、バリューリテイリングの美容プレイブックを解読したと信じており、同社と提携できることを嬉しく思います。今後10年間でオンラインでの美容関連の普及率が10%から25%以上になる中で、Purplleは支配的な美容ショッピングスポットになると考えています」。

関連記事:eコマースマーケティングのスタートアップ企業Yotpoが約250億円調達、企業価値は約1524億円に

カテゴリー:ネットサービス
タグ:インド eコマース

[原文へ]

(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

「次の10億ユーザー」イニシアチブ責任者・決済サービスVPがグーグルを去ることに

Google(グーグル)の「Next Billion Users(次の10億ユーザー)」イニシアチブの責任者を長年務めてきたCaesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏が、2021年4月末に同社を退社することをインド時間3月22日に発表した。セングプタ氏は他にも過去3年間、同社のGoogle Pay決済サービス事業も担当しており、約15年間勤めた同社を去ることになる。

インドやブラジル、そしてインドネシアで開催されるGoogleのイベントには欠かせない存在だったセングプタ氏(写真)は、発展途上市場のユーザーがインターネットやサービスをより利用しやすくするための取り組みであるNext Billion Users部門を率いていることで社外でもよく知られている。

Next Billion Usersイニシアチブの一環としてGoogleは、インドやその他の市場の何百もの鉄道駅やその他の公共の場所にWi-Fiを通じてインターネット接続をもたらし(その後Stationプログラムは閉鎖)、インドでGoogle Payを開始し(米国のGoogle Payとは異なり、クレジットカードを前提に開発されたものではない)、Android Go、Datally、Kormo JobsFilesアプリなどの製品を構築した。

関連記事
インドの鉄道駅では800万人がGoogle提供の無料Wi-Fiを利用している、Googleには広告収入がある
Googleがインドの駅や僻地で提供してきた無料Wi-Fiプログラムを終了させる
グーグルが非熟練労働の求職を支援するKormoアプリをインドで立ち上げ、リモート面接も可能に
GoogleのAndroid用ファイルマネージャー、Files Go,、ベータ版公開

セングプタ氏はNext Billion Users部門の前には、Chromebookに搭載されているデスクトップOSであるChromeOSのVP兼プロダクトリードを務めた。

Googleの広報担当者は声明の中でこう述べている。「シーザー・セングプタは、Googleでの15年にわたるキャリアの後、当社を離れ、Googleの外で起業することを個人的に決断しました。シーザーはGoogleではChromeOS、Next Billion Users、Google Payなどのイニシアチブの立ち上げ、構築、主導に重要な役割を果たしてきました。私たちは、彼が次に何を構築するかを楽しみにしており、彼の新しい旅での成功を願っています」。セングプタ氏の現職は、Next Billion UsersおよびPayments担当のVP兼GMだ。

「アフリカ、APAC、LATAM(中南米)、MENA(中東・北アフリカ)で働いている多くのGoogler(グーグラー)のみなさん、みなさんの声がGoogleの製品により反映されるようになったことに感動しています。やるべきことがまだたくさんあることはわかっています」と、セングプタ氏は同僚に宛てたメールの中で述べ、それを公開した

「しかし、私たちはほんの少し前に比べて何光年も進歩しています。みなさんは、経済のデジタル化に貢献し、Googleを地元に根づかせ、Googleの各国への投資を前例のないレベルにまで高めてくれました」と、アジアを拠点とする同氏は続けて書いた。セングプタ氏は、今後の計画については語らなかった。

また同氏のリーダーシップの下、Googleはアジアのスタートアップ企業にいくつかの投資を行った。これらの投資の中には、バンガロールを拠点とする配送サービスのDunzo、Androidのロック画面を開発するGlance、人気のニュースソーシャルアプリDailyhuntなどがある

関連記事:グーグルがインドのハイパーローカル配達サービスDunzoを41億円の資金調達ラウンドで支援
GoogleがインドのスタートアップGlanceとDailyHuntに投資、世界第2位市場へさらに注力

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Googleインド

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

インド政府がWhatsAppの新プライバシーポリシーを法律違反として裁判所に差し止めを申請

WhatsAppが計画するポリシーの変更に関して同社は、何カ月もかけてユーザーの心配や混乱の解消に努めてきたが、その努力があまり功を奏さなかった相手が、インド政府だ。

インド政府は現地時間3月19日、2カ月後に発効するWhatsAppのプライバシーに関する新しいポリシーが、いくつかの点でインドの法律に違反していると主張した。

関連記事:イーロン・マスク氏が米議会議事堂での暴動受けてFacebookの代わりにセキュリティ重視のSignalを推薦

デリー高等裁判所に提出した文書で連邦政府は、FacebookのメッセージングアプリWhatsAppに、ユーザー数では世界最大の市場であるインドでポリシーのアップデートをさせないよう求めた。

「近年、ソーシャルメディアは世界中で数十億の人々に利用され、今日では数百万のインド人がWhatsAppに依存している。つまり大量の個人情報が共有されている。この情報はソーシャルメディア大手が販売や悪用をしようと思えば、間違った使われ方をする可能性があり、ユーザーが人に知られたくない情報などがサードパーティーの手に渡るおそれがある」と同国政府は提出文書で述べている。

この裁判所提出文書は、WhatsAppが政府の懸念を払拭できなかったことを示唆している。インド政府がWhatAppのポリシー変更の計画を最初に問題として提起したのは2021年1月だ。

2021年初めにインドのIT省はWhatsAppのトップであるWill Cathcart(ウィル・カスカート)氏に書簡を送って、ポリシー変更とその含意に関する「重大な懸念」を表明し、ポリシー変更案の「撤回を求めた」。

関連記事:インド政府がWhatsAppに「深刻な懸念」を表明、新たなプライバシーポリシーの撤回を求める

一方、WhatsAppの広報担当者は、声明で次のように述べている。「この問題が最初に提起された2021年1月に申し上げたように、私たちが強調したいのは、このアップデートがFacebookとデータを共有する私たちの能力を拡大するものではないという点です。私たちの狙いは、ユーザーが企業とエンゲージするときの透明性と新しいオプションを提供して、彼らが顧客に奉仕し成長できるようにすることです。WhatsAppは常にエンド・ツー・エンドの暗号化で個人のメッセージを保護し、WhatsAppにもFacebookにもそれが見えないようにします。私たちは誤った情報への対処に努め、いかなるご質問にもお答えする体制を今後も維持いたします」。

WhatsAppの今後の規約と条件の変更に対し、インド政府の態度が変わらないことと訴訟が進んでいることは、人気の高いインスタントメッセージング企業にとってまた新たな頭痛だ。さらに同社は、インド政府からの今後の新しいガイドライン、特にその中のエンド・ツー・エンドの暗号化を法執行目的のために解読できる件についても悩んでいる。

関連記事:インド政府がソーシャルメディアやストリーミングサービス企業に厳しい新規制を発表

ユーザー数20億ほどのWhatsAppは2016年以降、情報の一部を親会社のFacebookと共有している。これまでサービス規約を大幅に変えたことがない同社は2020年、その一部を変更し電話番号や位置といった一部の個人データをFacebookと共有すると発表した。

2021年初めのアプリ内通知でWhatsAppはユーザーに対して、新しい規約への同意を共有するよう求めた。それに対し、一部のユーザーからの反発が起こった。反発に続いて現在では、何千万ものユーザーがSignalやTelegramなどの競合するサービスを検討している。WhatsAppはユーザーに、新しいポリシーの検討のためにさらに3カ月の猶予を与えている。人気の某モバイル情報サイトによると、Signalのモバイルアプリは月間アクティブユーザー数が1億を超えたという。

関連記事
WhatsAppが新プライバシー規約を同意しないユーザーへの対応内容を説明
ユーザーの反発を受けWhatsAppがプライバシー規約の施行を3カ月延期
WhatsAppのユーザー数が20億人に、2年前から5億人増

カテゴリー:ネットサービス
タグ:WhatsAppインドプライバシー

画像クレジット:SAJJAD HUSSAIN/AFP/Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)