グーグルが次期Androidアップデート内容を発表、危険なパスワードの警告機能やSMSの送信予約機能が追加

Google(グーグル)は米国時間2月23日、Android(アンドロイド)に搭載される6つの新機能を発表した。パスワードの検査機能とテキストメッセージの送信日時設定機能が新たに搭載された他、画面読み上げ機能「TalkBack」やGoogle マップ、Google アシスタント、Android Auto(アンドロイドオート)といった既存のアプリにも改良が施された。2021年春に導入されるこれら一連の小規模な最新アップデートは、iOSの「ポイントリリース」と似たもので、より大規模なアップデートの周期以外に、Androidに新機能や改善を加えるものだ。

まずセキュリティ面では、このアップデートはAndroid 9以降が作動しているデバイスに「Password Checkup(パスワード・チェックアップ)」と呼ばれる機能を統合させる。これは、ユーザーが入力したパスワードが、以前流出したことがものと一致すると警告を表示する。

この機能は、Androidユーザーがアプリやサービスに迅速にサインインするための「Autofil(自動入力サービス)」と連携して動作し、ユーザーがパスワードを入力すると、Password Checkupがそれを既知の漏洩したパスワードのリストと照合して信頼性を検査する。このリストと合致した場合はユーザーに警告し、変更を促す。

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このプロンプトから、直接Google パスワードマネージャーのページに移動し、これまで保存されたすべてのパスワードを見直して、同様の問題がないか確認することもできる。

この機能を使用するには、自動入力サービスを有効にする必要がある(設定 > システム > 言語と入力 > 詳細設定 > 自動入力サービスとタップし、「Google」が選択されていることを確認)。

今回のアップデートで導入される「メッセージ」の新機能は、頻繁にSMSを利用する人ならAndroidへの乗り換えを検討するかもしれない。それはSMSが発明されて以来、最も求められていた機能の1つ、テキスト送信の日時予約だ。

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この新しいスケジュール送信機能を使えば、いつでも時間がある時に先にメッセージを作成しておき、後でもっと最適な時間になってから自動的に送信するように設定しておくことができる。これは他のタイムゾーンにいる友人や家族、同僚にメッセージを送る場合など特に便利だ。こちらは仕事中でも、あちらは仕事を終えて、眠っていたり家族との時間を楽しんでいるかもしれない時、相手の都合が良さそうな時間を設定しておけば、迷惑をかけずに済む。また、メッセージを送るつもりだったことを夜遅くなってから思い出すことが多い人にも役立つだろう。

この機能を使用するには、いつものようにテキストを書いてから、送信ボタンを長押しして、メッセージを配信する日時を選択するだけ。ただし、Androidのメッセージアプリを最新バージョンにアップデートする必要がある。

今回のアップデートにおける主な改良の1つは、「TalkBack」という名前で知られるAndroidのスクリーンリーダー(画面読み上げ機能)を、目が見えない人や弱視の人にとって、もっと使いやすくすることだ。これまでもTalkBackでは、自分の声とジェスチャーでデバイスをナビゲートすることができ、読み、書き、メールの送信、ソーシャルメディアの共有、注文などを行うことができた。

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アップデートされたバージョン(TalkBack 9.1)では、新たに10を超えるマルチフィンガージェスチャーを採用。テキストの選択や編集、メディアの操作、ヘルプの取得など、一般的なアクションを実行することができるようになる。Googleによると、これはPixelとSamsung GalaxyのOne UI 3以降を搭載するデバイスで機能するという。

Googleは、TalkBackのマルチプルメニューがまぎらわしいというユーザーからのフィードバックにも応え、ユーザーが求めるシングルメニューに戻している。これはコンテキストメニューに対応し、一般的な機能には統一されたアクセスが提供される。

その他の改良としては、右上にスワイプすること25以上の音声コマンドが使える等の新しいジェスチャーが加わった他、読み上げコントロール機能ではページをスキップしたり、見出しのみを読んだり、一字または一句ずつ聞くことができるようになった。

ユーザーは、TalkBackのメニューや読み上げコントロールにオプションを追加または削除したりして、インターフェイスをカスタマイズすることもできる。さらに、TalkBackの点字キーボードにはアラビア語とスペイン語のサポートが追加された。

今春のアップデートではGoogleマップ、Googleアシスタント、Android Autoにも細かな改善が施されている。

マップにはダークモードが追加され、「設定 > Theme(テーマ)」で「Always in Dark Them(常にダークテーマ)」を選択すればデフォルトでダークモードを有効にすることもできる(訳者注:日本語版の表示がどうなるかは現時点では不明)。

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Googleアシスタントのアップデートでは、携帯電話がロックされているときや、部屋の中で手元から離れた場所にある時でもこの機能を使うことができるようになる。Googleアシスタントの設定で「Lock Screen Personal Results」(訳者注:こちらも日本語版の表示がどうなるかは現時点では不明)をオンにした後、必要なときに「Hey Google」と呼びかければよい。

また、Googleによれば、携帯電話がロックされているときに表示されるカードが、ひと目で読みやすいように変更されるという。

そしてAndroid Autoでは、カスタム壁紙の他、トリビアや「Jeopardy!(ジェパディ!)」のような「Hey Google」コマンドを使って音声で起動するゲームが追加される。

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起動画面には、連絡先にアクセスしたり、Googleアシスタントを使って天気の確認や温度の調整などが行えるショートカットも用意される。ワイドスクリーンを搭載するクルマでは、画面を二分割して、運転席側にマップ、助手席側にメディアコントロールを表示すること等も可能になる。

Android Autoの新機能は、Android 6.0以降を搭載しているスマートフォンとそれに対応した車載システムを搭載する車種で「今後数日以内に」利用可能になると、Googleは記している。

関連記事:グーグルが最初のAndroid 12開発者プレビューを公開

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleAndroid

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ビジネスアプリのフロントエンド設計を簡単にするKleeenが約4億円を調達

ビジネスアプリケーションのフロントエンド構築は車輪の再発明、つまりすでに存在する技術をまた作ってしまう作業であることが多いが、企業によってニーズがそれぞれ少しずつ異なるため自動化が難しい部分でもある。Kleeenはこの問題を解決しようとする新しいスタートアップで、最近のデータセントリックなアプリケーションに適したユーザーインターフェイスとエクスペリエンスの構築に取り組んでいる。かつてベイエリアでUI / UXスタジオを営んでいたチームが始めたこのサービスを利用すると、ウィザードのようなインターフェイスでアプリの定型的なエレメントを作り、企業のデザイナーや開発者はアプリのカスタムエレメントに集中できる。

米国時間2月23日、KleeenはFirst Ray Venture Partnersが主導するシードラウンドで380万ドル(約4億円)を調達したと発表した。Leslie Ventures、Silicon Valley Data Capital、WestWave Capital、Neotribe Ventures、AI Fund、エンジェル投資家グループもこのラウンドに参加した。Neotribeは150万ドル(約1億5800万円)のプレシードラウンドを主導しており、Kleeenのこれまでの調達金額は530万ドル(約5億5800万円)となった。

画像クレジット:Kleeen

Kleeenの共同創業者でCPO兼プレジデントのJoshua Hailpern(ジョシュア・ハイルパン)氏は筆者に対し、自分が働いていたスタートアップが売却された後にフロントエンドの設計とエンジニアリングに特化したB2Bのデザインスタジオを立ち上げたと述べた。

同氏はこう語る。「何度も同じパターンの繰り返しだと気づきました。顧客のところに行くと『史上最高のアイデアがあるんだ。これとこれとこれをしたい』と言われます。そのようなクールなことをたくさん聞かされ、我々は『そのお手伝いをさせてください』と答えます。しかしその後、結局そうはなりません。プロダクトを作る際に、プロダクトのショーケースがあり、そのプロダクトをサポートするのに必要なパーツがすべて揃っていても、誰かが設定画面を気に入ったからといってそれで契約を取れるわけではないのです」。

何をしようとしているか、ユーザーにとって何が必要かをシステムに伝えられるようにするというのがKleeenの考え方だ。結局、企業が基本的な構成要素に求めることは、多少の違いはあるものの、大きな違いはない。必要なことをシステムに伝えるとKleeenがユーザーインターフェイスとワークフローを生成し、このモックアップを動かすためのサンプルデータも生成する。

おそらく数回反復した後にこの作業が完了すると、KleeenがReactのコードを生成し、開発チームはこのコードを直接扱えるようになる。

画像クレジット:Kleeen

Kleeenの共同創業者でCEOのMatt Fox(マット・フォックス)氏は、同社のプラットフォームをすべての人が何でもできるものにするつもりはないという。

フォックス氏は「ノーコードの分野であらゆるユースケースをカバーしようとする場合、どんなアプリでも作れるということはおそらく優れたアプリは作れないということです。マッチングアプリのBumbleのように左右にスワイプして次の相手を見つけるアプリを作りたい人にとって、我々のアプリケーションプラットフォームは向いていません。我々はデータを集約するワークフローに的を絞っています」と語る。同氏は、情報の分析や監視、そして重要なこととしてその情報に対してアクションを起こすアプリを開発する際にはKleeenが最適だと強調した。アクションを起こすという部分が、一般的なビジネスインテリジェンスプラットフォームとの明確な違いでもある。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Kleeen資金調達ノーコード

画像クレジット:Kleeen

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

中小企業のIT部門をクラウド化しシンプルなものにするElectricがシリーズCで42億円を調達

パンデミックの間、企業に特化したスタートアップたちの業績は、好調だったといっても過言ではないだろう。各組織がリモート化に注目し、私たちの働き方が転換する中で、そうした移行を簡素化してくれるテック企業には大きな需要が集まり、急成長が続いている。

実際、そのようなスタートアップの1つが、過去12カ月間だけで6150万ドル(約64億8000万円)を調達した。IT部門のクラウド化を推進するElectricが、4000万ドル(約42億円)のシリーズCラウンドのクローズを発表したのだ。今回のラウンドは、2020年3月に1450万ドル(約15億3000万円)で行われたシリーズBを延長し、2020年5月に行われた01 Advisorsからの700万ドル(約7億4000万円)の追加調達に続くものだ。

このシリーズCラウンドはGreenspring Associatesが主導し、既存の投資家であるBessemer Venture Partners、GGV Capital、01 Advisors、Primary Venture Partnersに加え、Atreides Management、Vintage Investment Partnersといった新規投資家が参加した。

関連記事:IT部門をクラウドから支援するElectricが01 AdvisorsとSlack Fundから7.6億円調達

Electricは、中小企業のITをもっとシンプルにすることをミッションとして2016年に立ち上げられた。Electricのソフトウェアは、各企業が専任のIT部門を立ち上げたり、高額な地域のサービスプロバイダと契約する代わりに、デバイス、ソフトウェアのサブスクリプション、許可などを1人の管理者が行えるようにする。

創業者のRyan Denehy(ライアン・デネヒー)氏によれば、IT部門の仕事の大半は、どんな企業でも、多種多様なソフトウェアプログラムの管理、配布、メンテナンスなのだという。Electricはそうした仕事のほとんどをIT部門に代わって行うのだ。つまり中小企業は、システム全体を心配する代わりに、個別のトラブルシューティングを行うだけでよくなる。

Electricの価格は1ユーザーあたりの月額料金が一律で決まっており、デネヒー氏は2020年1年間で顧客数が2倍以上に増えたと語る。同社は現在、400以上の独立した顧客組織の約2万5000人のユーザーをサポートしていて、Electricの年間経常収益(ARR)は2000万ドル(約21億円)をわずかに下回るレベルに達している。

デネヒー氏が収益の数字を公にするのは初めてだが、そうするには良いタイミングだった。同社は最近、より高価な製品とほぼ同じ機能を含むが、チャット機能にはアクセスできない、より軽量な新製品を発表した。

「肝心な点は、とにかくシンプルに、シンプルに、シンプルにということです」とデネヒー氏はいう。「これは、ハイブリッドワークがこの先も続くことを、みんなが認識しているという事実への対応という側面もあるのです。パンデミックの中で家賃の支払いを止めた人もいましたが、私たちへの支払いが滞ることはありませんでした。そこで2020年夏には、より多くの企業の手に渡り、私たちと一緒に旅を始めていただくためには、どのようなオプションをご用意すれば良いかに焦点を当て始めたのです」。

デネヒー氏によれば、Electric社の顧客の半分弱はテック系のスタートアップだという、これは、同社がテックとメディア中心のエコシステムの中にあるニューヨークで起業したことを考えるとうなずける。その他の業界に進出する手段として、Electric社はITサービスプロバイダのSinu(シヌ)を買収した。同社は法律、会計、非営利企業などのElectricの得意とする分野以外に多くのクライアントを抱えている。

そのときのデネヒー氏の発言は以下のようなものだ。

自力での市場参入は、たとえそれが隣接する市場であっても、非常に時間がかかり、コストもかかる可能性があります。Sinuのチームは、私たちが現在は参入していないものの、おそらくこの先参入すべきだと思われる多くの業界で、すでに顧客を獲得し満足させるというすばらしい仕事をしてきました。私たち2つの会社の組み合わせは、私たちの全国的な拡大戦略に向けてのカンフル剤となります。

Electric自身のチームと顧客基盤の双方の成長に加えて、同社は多様性プログラムや慈善活動の拡大にも投資を行っている。

Electricのチームは現在250名弱の従業員で構成されており、その中で女性が32.5%、非白人が約30%を占めている。また従業員の12%近くが黒人、10%がラテン系だ。

デネヒー氏は、給与支払い合計で数千万ドル(数十億円)におよぶ同社の従業員たちを、彼が世界を変えられる最大の方法の1つだと考えていると語った。

「私たちは、可能な限り最も多様性のある候補者のパイプラインを確保するために、個々の求人に時間をかけています」とデニー氏はいう。「多くの創業者が、応募者がいなかったのだと言い訳をします。しかし実際には、十分に見る努力を怠ったということなのです。私たちは単に、特定の役割にフィットする人物を選ぶのに時間をかけることを選んだだけなのです」。

今回の最新のラウンドの結果、Electricの資金調達総額は1億ドル(約105億1000万円)以上になった。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Electric資金調達クラウドコンピューティング

画像クレジット:Electric

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(文:Jordan Crook、翻訳:sako)

大手3DモデルプロバイダのCGTraderがシリーズBで約10億円を調達

リトアニアの首都ビリニュスを拠点とする3DモデルプロバイダのCGTraderが、フィンランドのVCファンドであるEvli Growth Partnersが主導するシリーズBで950万ドル(約10億100万円)を調達した。以前に投資していたKarma VenturesとLVV Groupもこのラウンドに参加した。RovioのCEOだったMikael Hed(ミカエル・ヘッド)氏も投資し、取締役会長となる。TechCrunchではCGTraderがPractica Capitalから20万ユーロ(約2600万円)を調達した際に初めて記事として取り上げている

関連記事:3Dプリントと3Dモデリングが利益を生む産業として成り立つか: CGTraderに努力の一端を見る

3Dデザイナーで現在はCOOを務めるMarius Kalytis(マリウス・カリティス)氏が2011年に創業したCGTraderは、大手3Dコンテンツプロバイダに成長した。同社は世界最大と称している。同社のマーケットプレイスには110万個の3Dモデルと350万人の3Dデザイナーが登録され、Nike、Microsoft、Made.com、Crate & Barrel、Staplesをはじめとする37万社にサービスを提供している。

写真と違って、3Dモデルから静止画とARエクスペリエンスの両方を作成できるため、ユーザーは自宅に商品を置いたらどのようになるかを確認できる。同社は3Dモデリング、品質保証、アセット管理のプロセスをAIで自動化するための投資も検討している。

CGTraderの共同創業者でCEOのDalia Lasaite(ダリア・ラサイテ)氏は発表の中で次のように述べている。「3Dモデルは専門の業界で広く使われているだけでなく、eコマースで高品質な商品ビジュアルを生成する際にも便利でコスト効率の良い手段になっています。我が社のARsenalエンタープライズプラットフォームを利用すると、写真と見分けがつかないフォトリアリスティックな3Dビジュアルの作成コストを最小で10分の1にまで抑えられます」。

CGTraderは地位を固め、プラットフォームの構築をさらに進める計画だ。

同社の競合には、Shutterstockに7500万ドル(約79億円)で最近買収されたTurboSquidやThreekitがある。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:CGTrader資金調達3Dモデル

画像クレジット:CGTrader founders Marius Kalytis and Dalia Lasaite

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(文:Mike Butcher、翻訳:Kaori Koyama)

EDM制作をサポートする「音楽プロデューサーのためのGitHub」Spliceが57.8億円調達

ニューヨークのSpliceは、グループメッセージングGroupMeの創業者が音楽プロデューサーたちのために作った、AIを利用するビート作成ソフトウェアサービスだ。同社は新たに5500万ドル(約57億8000万円)の資金を調達した。

音楽プロデューサーのためのGitHubとも呼べるこのソフトウェアサービスは現在、Hook N SlingMr Hudson、SLY、Steve Solomon、そしてTechCrunchのMegan Rose Dickeyらも利用している。ユーザーが一気に増えた理由は、Spliceがエレクトロニック・ダンス・ミュージック(EDM)の作者による音楽の保存や共有、共作、リミックスなどの作業をサポートしてくれるためだ。

同社の人気の高まりとともにSpliceは、ベッドルームDJのツールからGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)役員会議室まで広がった。金融サービスの巨人がMUSICに参加した。MUSICは音楽のエグゼクティブであるMatt Pincus(マット・ピンカス)氏とブティック金融サービス企業Liontreeのジョイントベンチャーで、同社の最新の5500万ドルのラウンドを主導している。同社のこれまでの投資家にはUSV、True Ventures、DFJ Growth、Flybridgeが含まれる。

Goldman Sachsのグロース担当副社長であるStephen Kerns(スティーブン・カーンズ)氏は「音楽制作プロセスはデジタル化されつつある。アーティストたちは、使いやすく、共同作業が可能で、手頃な価格の音楽制作プラットフォームを提供するソリューションに群がっているユーザー数400万人のSpliceは、この変革の最前線に立ち、クリエイターコミュニティに愛されている。Spliceでスティーブン・カーンズ氏と彼のチームとパートナーシップになることができてとてもうれしい」と声明で述べている。

今回のSpliceの資金調達は、2020年に同社が音楽テクノロジー企業であるAudiaireとSuperpoweredを買収したという驚くべき買収劇に続くものだ。

さらにSpliceは、Adobe Creative Cloud Experience and EngagementのバイスプレジデントであるKakul Srivastava(カクル・スリバスタヴァ)氏を取締役に迎えている。

上記のように今回の資金調達の直前には、同社は音楽テクノロジー企業のAudiaireとSuperpoweredを買収し、オーディオと音楽制作のプロセスを改善し活気づけた。またそれと並行して、上記のカクル・スリバスタヴァ氏の招聘も行われている。

2016年のTechCrunch Disruptにおけるスティーブ・マルトッチ氏(画像クレジット:Getty Images)

Spliceのバランスシートの強化は、新規参入者がSpliceの音楽制作市場の一部を奪い合い始めていることを受けてのものだ。2020年にSounds.comマーケットプレイスをローンチしたハードウェアメーカーのNative Instrumentsや、Arcade by Outputも同様のサービスを提供している。

一方、Spliceはプロデューサーの生活をより楽にするための新技術に対する投資を続けている。2019年11月には、異なるジャンルのサンプルを機械学習を使ってマッチさせる人工知能プロダクトを発表した。

Spliceの創業者でCEOのSteve Martocci(スティーブ・マルトッチ)氏は「私の仕事は、できるだけ多くの人の創造力をインスパイアしづけることです」とTechCrunchに語っている。

ローンチからわずか1年で、TechCrunch DisruptハッカソンのチャットアプリGroupMeをSkypeに8500万ドル(約89億4000万円)で売ったことで知られる連続起業家にとって、また1つの勝利だ。

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タグ:Splice音楽

画像クレジット:(写真:Jeffrey Greenberg/Universal Images Group via Getty Images)/Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hiroshi Iwatani)

世界のアプリ支出額は2025年までに約28.4兆円に成長との予測、2024年に非ゲームへの支出がゲームを上回る

新たなマーケット予測によると、アプリの支出額は2025年までに2700億ドル(約28兆3545億円)に達する。ここには有料のダウンロード、アプリ内購入、サブスクリプションが含まれる。Sensor Towerのデータでは、アプリ内支出は今後数年、パンデミック前の水準に戻って安定成長し、ダウンロードは増え続ける。そしておそらく最も特筆すべきは、ゲーム以外のアプリのアプリストア支出額が2024年までにモバイルゲーム支出額を上回るという予測だ。

今日では消費者はゲーム以外のアプリの倍の額をモバイルゲームに注いでいることを考えると、これは大きな賭けだ。しかしながらSensor Towerは多くのモバイルアプリに導入されているサブスクモデルがシフトすると確信している。2024年までに非ゲーム支出は860億ドル(約9兆300億円)に達し、一方のモバイルゲーム支出は730億ドル(約7兆6680億円)となると予測している。そして2025年までにこの差は広がり、非ゲーム支出は1070億ドル(約11兆2380億円)に、モバイルゲーム支出は780億ドル(約8兆1930億円)に達する。

画像クレジット:Sensor Tower

参考までにマーケットの現状をいうと、2020年に世界の消費者がトップ100のサブスクアプリに費やした額は前年比34%増だった。しかしすでにサブスクの成長はアプリ内購入の回避策を取っているNetflixやTinderのような大手アプリの影響を受けていることが示されている。

関連記事:2020年サブスクアプリのトップ100は34%増の約1.4兆円に、総支出に占めるシェアは変わらず

Sensor Towerが予測できないのは、今後数年の規制環境がアプリストア全体にどのように影響をおよぼすかだ。Apple(アップル)やGoogle(グーグル)のような企業は現在、自社の決済メカニズムを通じたサブスク料金を顧客に課金することを求めている。しかしアプリメーカーがアプリ内でサブスクを展開できるようにする新しい反独禁法が導入されるかもしれない。ゆえに、そうした変更はアプリストアのサブスク成長トレンドに大きな影響をおよぼし得る。

パンデミックにより2020年のアプリ内支出は前年比30%増の1110億ドル(約11兆6590億円)に達したが、全体のアプリ内支出は今後5年間でコロナ前の水準に戻るとSensor Towerは予測している。そして2つのアプリストアの売上高は毎年、年平均成長率(CAGR)19.5%で増加し、2025年には合計2700億ドル(約28兆3610億円)に達すると見込んでいる。この数字の内訳は、1850億ドル(約19兆4330億円)がAppleのApp Store、850億ドル(約8兆9290億円)がGoogle Playだ。

画像クレジット:Sensor Tower

米国は他のグローバルマーケットよりもゆるやかに成長し、CAGR17.7%で2025年までに740億ドル(約7兆7730億円)に達する。

欧州マーケットのアプリストア支出は2020年から2025年にかけて成長し、英国がそれを牽引する。これは支出総額が最も多いことを意味するのではなく、どこで成長しているか、言い換えればアプリマーケットの機会を示すものだ。2025年までに欧州の11カ国が消費者支出額10億ドル(約1050億円)というマイルストーンを超え、合計で420億ドル(約4兆4120億円)に達する。

画像クレジット:Sensor Tower

一方、ダウンロード数は今後数年間は成長し続け、2025年までに2300億回に達するとSensor Towerは予測している。この数字の大部分はGoogle Playが占め、1870億回だ。しかしながら米国では2025年のApp Storeのダウンロード数は106億回でGoogle Playの63億回を上回る、とSensor Towerはレポートを締めくくっている。

画像クレジット:Sensor Tower

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:サブスクリプションアプリSensor Tower

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

コード不要でさまざまなeコマースツールを利用可能にするPipe17が約8.5億円調達

eコマース(電子商取引)市場に焦点を当てたソフトウェアを手がけるスタートアップのPipe17は、800万ドル(約8億4600万円)の資金調達を終えたと米国時間2月18日朝に発表した。

Pipe17のサービスは、小規模なeコマース事業者が、コードを書かずにデジタルツールを導入するのに役立つ。このスタートアップのサービスを利用することで、社内にIT機能がないeコマース業者でも、同社の販売プラットフォームを利用して発送したり、POSデータとERPを連携させることが、すぐにできるようになる。

大手物流不動産会社GLPのベンチャー部門であるGLP Capital Partners(GLPキャピタル・パートナーズ)が、この資金調達ラウンドを主導した。

Pipe17の共同設立者であるMo Afshar(モハマド・アフシャール)氏とDave Shaffer(デイヴ・シェーファー)氏が、TechCrunchのインタビューで語った話によると、彼らのスタートアップのアイデアは、eコマース市場を調査したところ、販売プラットフォームに関わる意欲に対し、電子商取引ツールを連携させるためのソフトウェアが比較的不足していることに気づいたところからきているという。Shopify(ショッピファイ)やBigCommerce(ビッグコマース)、Shippo(シッポ)などは優れたプラットフォームだが、eコマース運営の勢いを維持するためには、自社でコードを書くことができなければ、結局はデータをすべて、1つのプラットフォームから別のプラットフォームへ移動させなければならない。そのギャップを埋めるために、彼らはPipe17を開発した。

アフシャール氏によると、Pipe17は接続というレンズを通して、eコマース業者の運営を簡素化したいと考えているという。2人の共同設立者は、簡単な相互互換性こそが、現代のeコマースのソフトウェアに欠けている重要な要素だと考えており、現在のeコマース市場をSplunk(スプランク)やDatadog(データドッグ)が登場する以前のITやデータセンターの世界になぞらえている。

問題を解決するためには別のアプリケーションを購入しなければならないというのが、eコマース業界における一般的な認識だと、共同設立者は説明する。Pipe17は、ほとんどのeコマース企業はおそらく十分なツールを持っているが、それらの既存のツールをコミュニケーションさせる必要があると考えている。

このスタートアップの巧妙なところは、我々がノーコード・ローコードと呼ぶもの、あるいはより高度なノーコードというべきものを構築していることだ。開発者ではない人に、異なるソフトウェアサービス間の接続を視覚的にマッピングするためのインターフェースを提供するのではなく、マッピングする必要がありそうなものをあらかじめ構築するのだ。リンクさせたい2つのeコマースサービスを選ぶだけで、Pipe17はインテリジェントな方法でそれらを接続してくれる。コーディングが苦手な人にとって(おそらく多くの小規模オンラインストア運営者がそうだろう)、これは魅力的なセールスポイントになるだろう。

このスタートアップの顧客ターゲットは、年間売上高が数百万ドルから数億ドル(数億円から数百億円)の販売業者だ。

なぜPipe17は今になって資本を調達したのだろうか?2人の共同設立者は、Plaid(プレイド)やTwilio(トゥイリオ)がそれぞれのニッチで行ったのと同じように、大きな市場を単純化するチャンスは限られているため、今資金を調達することは理に適っていると述べている。アフシャール氏の見解によれば、eコマースの運営はまさに大規模化が進んでいるというが、2020年見られたデジタル販売の成長を考えると、これは議論の余地がない展望だ。

関連記事:新型コロナパンデミックで米国におけるeコマースへのシフトが5年分加速

Pipe17が埋めようとしているニッチには、複数のプレイヤーが存在する。各企業がどれだけ競合するかについては異論があるかもしれないが、Y Combinator(Yコンビネーター)の支援を受けたAlloy(アロイ)は最近、ノーコードのeコマース自動化サービスを構築するために400万ドル(約4億2300万円)の資金を調達した。これはPipe17がやっていることに関わりがある。もし彼らが競争に巻き込まれたら、果たしてどこがトップに立つだろうか。それを見るのは興味深いことになるだろう。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Pipe17eコマースノーコード資金調達

画像クレジット:Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

業務用車両管理の支援プラットフォームのBigChangeが107.6億円調達

近頃、仕事の未来と分散したスタッフのための新しくてより便利なツールの広がりが話題になるが、車両管理ソフトウェアの開発に焦点を合わせている企業は、あまり「技術系スタートアップ」とみなされていない企業でさえ、すでに何年にも渡ってこの問題に取り組んできた。2021年2月第1週、この分野の古参企業の1つが最初の重要な投資ラウンドを発表した。これは投資家たちがこうしたB2B企業にいかに注目し、いかに企業自体も新たな成長の機会と捉えているかの証だ。

BigChangeは、車両が「オフィス」になりがちな外回り業務の追跡や指示の支援をする、車両管理ソフトウェアを開発している英国のスタートアップで、7500万ポンド(約107億6000万円)のラウンドを完了したところだ。このラウンドは米国の投資会社であるGreat Hill Partnersが主導している。

同社はフィールドサービスエンジニア、社内で業務管理を行うスタッフや、これまでは電話をかけ、書類を作成し、オフィスと現場の間を往復して業務を行っていたスタッフ向けに、テクノロジーの進歩を活用してアプリを開発することでビジネスを築き上げてきた。

「21世紀にふさわしいモバイルワーカー管理への大変革をもたらすために、BigChangeを設立しました。当社のプラットフォームは、ペーパーワークをなくして炭素を劇的に削減し、効率を上げて安全運転を促進することで、エンジニアの移動や書類の記入にかかる時間を減らし、本来の業務にかけられる時間を増やせます」と設立者でCEOのマーティン・ポート氏は声明で述べた。「Great Hillと提携し、英国および海外でバーティカルおよびエンタープライズソフトウェア企業の拡大に成功を収めた同社の実績を活用できることをうれしく思います」。

BigChangeによると、同社に対するGreat Hillの出資額は1億ポンド(約144億5千万円)となっている。あるレポートによると、そのうちの4800万ポンド(約69億3500万円)をポート氏が手にしており、今回の資金調達は二次取引だと指摘している。同社は2012年から存在し、利益を上げているようだ。PitchBookが追跡した報告書によると、これ以前の資金調達は極めて少なく(約200万ドル、日本円で約2億1000万円)、ある時点でエンジェルラウンドの資金調達を試みたが、完了前にプロセスをキャンセルしている。

テクノロジー業界は基本的には、世の中のあらゆる業界の一部となり続けているため、この取引は、その境界がいかにして拡大し、さらに曖昧になっていくのかを示すものとして注目に値する。

BigChangeはロンドンからのスタートアップ企業でもなければ、ケンブリッジやオックスフォード地域、ブリストルや南部からでもない。具体的にいえば北部、リーズで始まった。都市部や南部地域のスタートアップ企業が引きつける資金調達や注目はなかったが、そこには見事なまでの多くのスタートアップ企業が存在する。(目を引く例外の1つは、オンラインストアのPharmacy2Uだ。このリーズのスタートアップ企業はAtomico、BGFなどによって支援されており、Amazonのような企業がこの分野での成長に関心を寄せていることを考慮すると、注目株の可能性が高いといえる)

現時点のテクノロジーの大きな課題の1つは、いかに多くの活動が分散されつつあるのかということだ。現在、新型コロナウイルスの蔓延を食い止めるために私たちの多くがリモートで働いている結果、たくさんの人々がこうした状況を利用して特定の場所に住む必要がまったくないと考え、ベイエリアのような高級地域から生活の質を高めるために他の場所へと移住することを選択している。

もちろん英国には、(長年に渡って米国の多くの都市にあったように)テクノロジーエコシステムを備えたマンチェスター、エジンバラ、カーディフなどのような都市がある。だが、これらの都市の1つ、今回はリーズが、かなりの資金調達ラウンドを引きつけていることで、才能だけでなく、より多額の資金が意外な地域に流れ込む同様の展開が英国で起きる可能性があることも示している。

ここで焦点を当てているのは、BigChangeが実際に構築しているその他の分散化に関する話だ。

同社は「ナレッジワーカー」ではなく、デスクに座らず、移動しながら業務を行うスタッフ向けのアプリやより大きなソフトウェアの開発分野に参入した数多くの企業の1つだ。外回りのスタッフには、業務やルートをより適切に管理することができる(JourneyWatchと呼ばれる)アプリがある。発送業務の際には追跡を行うアプリがあり、ソフトウェアを使用して仕事のバランスを取り、業務のさらなる分析も行うことができる(JobWatchとして販売されている)。これらは耐久性のあるデバイスで動作し、ディストリビューションはSaaSアーキテクチャに依存している。現在、世界中と取引があるものの、大半の顧客を英国国内に抱える約1500の企業に勤務するおよそ5万人がアプリを使用している。

BigChangeはこの分野のスタッフを対象とする唯一の企業ではない。TechCrunchでは2021年1月、サービスプロフェッショナル向けのソフトウェアを開発する企業の1つである北米のJobberを取り上げたばかりだ。ナレッジワーカー以外の幅広いオーディエンスにテクノロジーを提供する機会を生かしているその他の企業には、Hover(家の修理担当者が材料の調達、価格の設定、作業の見積もりやビジネスの管理を行うためのテクノロジーと幅広いツール一式を提供)や、GoSite(あらゆる種類のSMBを支援するプラットフォームを提供)などがある。この特定分野のその他の企業は、KlipboardAzugaServiceTitanServiceMaxなどがある。

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Great Hill Partnersの名称はGizmodo、(かつての)Ziff DavisStoryblocksなどのさまざまなメディア企業や、The RealRealWayfairなどの支援企業の過半数の株式を保有する未公開株式投資会社として見覚えがあるかもしれない。今回のケースでは、仕事の一部に「フィールドサービス」がある、非常に幅広い業界でBigChangeがいかに採用されているかに注目したということになる。

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「小口顧客や特定のサブバーティカルに注力するニッチプレーヤーとは異なり、マーティンと優秀なスタッフたちは、フィールドサービス担当者や運営担当者向けの柔軟なオールインワンプラットフォームを構築しています」とGreat Hill Partnersのパートナーであるドリュー・ロークス氏は声明で述べた。「BigChangeのテクノロジーは、およそあらゆる規模やバーティカルの商業および住宅用顧客にサービスを提供する能力だけでなく、実績のある製品開発やカスタマーサービス能力によっても差別化されています」。

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タグ:BigChange資金調達

画像クレジット:BigChange

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

複数の事業体を運営する中堅企業向け財務管理ソフトウェアのAccountsIQが約7.4億円を調達

公認会計士のチームによって設立された財務管理ソフトウェア(FMS)のスタートアップであるAccountsIQは、580万ユーロ(約7億4000万円)の資金調達を行った(会計士が起業家になりたいと思った時には、スタートアップとはどんなものであるかを知っていたに違いない)。

ダブリンを拠点に、複数の事業体を運営する中堅企業を対象とするこの会社を支援しているのは、最近3番目のファンドを発表したばかりのフィンテックに特化したVC、Finch Capital(フィンチ・キャピタル)だ。AccountsIQによると、今回の資金注入は、成長の加速と、製品強化を継続するための営業・マーケティング、カスタマーサクセス、エンジニアリング全般にわたる雇用に充てられるという。

2008年にダブリンで創業したAccountsIQが手がけるクラウドベースのFMSは、複数の事業で「決算の把握、処理、報告」を簡素化することを目的としている。これには子会社、支店、SPV、フランチャイズモデルなどを介して拡大している企業が含まれるが、中でも異なる場所、通貨、管轄区域で取引を行っている企業が主な顧客だ。このアイデアはXero(ゼロ)、QuickBooks(クイックブックス)、Sage(セージ)のようなローエンド製品と、NetSuite(ネットスイート)、Intacct(インタクト)、SAPのようなハイエンドで高価な製品との間に存在する市場のギャップを埋めるものだと、AccountsIQは述べている。

「クラウド以前は、マルチエンティティビジネスの財務管理は困難であり、各事業体がアカウントを作成し、レビューや分析のために一元的に送らなければなりませんでした」と、AccountsIQ共同設立者のTony Connolly(トニー・コノリー)氏は説明する。「当社のクラウドソリューションは、すべての事業体が同時にアクセスし、本社や経理担当者と協力して、それぞれの取引を処理することができます。同時にグループの基準通貨で決算を完全に統合することによって、グループ全体の決算をボタン1つで簡単に中央に報告し、ベンチマーキングできるようになります」。

この「真実の一本化」を可能にするために、AccountsIQは、サブグループ、複数通貨の再評価、企業間取引など、さまざまな複雑な報告に対応できるように設計されている。

このソフトウェアはまた、「人工知能」とオープンAPI戦略を採用し、銀行口座の自動同期、電子決済の生成、電子請求書の自動投稿、フロントエンドシステムとスマートフォンを介した経費の取り込みや簡単な承認ワークフローの統合を実現していると主張する。現在統合されているのは、TransferMate Global Payments(トランスファーメイト・グローバル・ペイメンツ)、TINK(ティンク)、BrightPay(ブライトペイ)、Kefron AP、Chaser(チェイサー)、Concur(コンカー)、Salesforce(セールスフォース)、各種ISAM(アイサム)などだ。

現在までにAccountsIQのソフトウェアは、非営利団体から銀行まで、さまざまな業界の4000社で使用されており、顧客にはPwC(プライス・ウォーターハウス・クーパース)、Linesight Global Construction Group(ラインサイト・グローバル・コンストラクション・グループ)、Asavie Technologies(アサヴィ・テクノロジーズ)、Throgmorton(スログモートン)などの企業がいる。コノリー氏によると、このスタートアップがターゲットとする顧客は、複数の事業体が関与しており、各事業体を個別に会計処理する必要があるが、一元的に管理したい企業だという。国境を越えた電子商取引の加速と、英国のEU離脱のようなマクロな出来事により、その顧客プロファイルは明らかに拡大している。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AccountsIQ資金調達人工知能

画像クレジット:Khali Ackford / AccountsIQ

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

クラウドネイティブアプリ構築を支援するマイクロソフトのオープンソースプロジェクト「Dapr」が1.0に

Microsoft(マイクロソフト)が進めるオープンソースプロジェクトのDaprは、開発者がイベントドリブンのクラウドネイティブな分散アプリケーションを簡単に構築できるようにすることを目的としている。Daprは米国時間2月17日に、本番のユースケースに使用できることを意味する1.0のマイルストーンとなった。Microsoftは2019年10月にDistributed Application Runtimeをローンチした(Daprはこの頭文字を取ったものだ)。それ以降14のアップデートがあり、AzureのほかAWS、Alibaba、Google Cloudなどほぼすべての大手クラウドプロバイダとの統合がローンチされた。

Microsoft AzureのCTOであるMark Russinovich(マーク・ルシノビッチ)氏は筆者に対し、Daprの目標は企業の開発者に対してクラウドネイティブの開発を民主化することだと語った。

同氏はこう説明する。「企業の開発者に求められているのは、これまではクライアント、サーバー、ウェブ、そしてデータベースタイプのアプリケーションでした。しかし現在ではコンテナ化して、スケールアウトしダウンタイムなしでアップデートできるマイクロサービスを作ることが求められています。しかもクラウドサービスと統合する必要があります。その上、多くの企業はオンプレミス環境やクラウド環境で移植でき、さらにクラウド間でも移行できるアプリの作成を求めています。このように、解決に取り組んでいるビジネス上の問題に固有のものではない、あるいは関連していない複雑な問題が山ほど開発者に投げかけられています」。

開発の多くの部分が、アプリケーションが他のさまざまなサービスと信頼性の高い通信をするための仕組みの刷新に関わっている。Daprの背景となっている考え方は、イベントドリブンのマイクロサービスを構築するために必要なツールとなる、これまでになかった単一のランタイムを開発者に提供することだ。とりわけDaprはサービス間通信、状態管理、pub/sub、シークレット管理などに関する多様なビルディングブロックを提供している。

画像クレジット:Dapr

ルシノビッチ氏は「Daprが目指しているのは、クラウドネイティブの分散型で、可用性が高く、スケーラブルで、セキュアなクラウドサービスを日常的に書く作業はすべてDaprが面倒を見て、開発者が自分のコードに集中できるようにしようということです。我々はサーバーレスや、たとえばAzure FunctionsのようなイベントドリブンなFunctions-as-a-Serviceから学びました。開発者はビジネスロジックに集中し、その後はAzure Functionsのバインディングのようなものが他のサービスとの接続を処理します」と述べた。

同氏は、Daprのもう1つの目標は言語固有のモデルから離れてどの言語からでも利用できるプログラミングモデルをつくることだとも述べた。企業の既存のコードには複数の言語が使われている傾向があり、多くの企業が現在のコードを残して既存のアプリケーションをモダナイズする最適な方法を探っている。

ルシノビッチ氏によれば、現在このプロジェクトにはMicrosoft社外に700人以上のコントリビューターがいて(ただし中心メンバーの多くはMicrosoft社員)、1.0のリリースよりも前に本番環境で使い始めた企業も多いという。Daprをすでに利用している大手クラウドプロバイダの1つがAlibabaだ。ルシノビッチ氏は「Alibaba CloudはDaprを本当に気に入って、大いに活用しています」という。他にはHashiCorpや、初期ユーザーであるZEISS、Ignition Group、New RelicなどがDaprにコントリビュートしている。

クラウドプロバイダであるMicrosoftが自社のイノベーションを競合他社がすでに使っていることを喜んでいるとはちょっと奇妙に思えるが、ルシノビッチ氏はこれはまさに計画どおりでDaprを近々ファンデーションの一部にすることを望んでいると述べた。

「我々は数カ月前からオープンガバナンスに向けた取り組みをしており、Daprをファンデーションの一部にすることを目指しています。【略】ゴールはオープンにすることです。これはMicrosoftのものではありません。業界のものです」と同氏はいう。しかしどのファンデーションを指しているかはまだ公表できる段階ではないようだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:MicrosoftDaprオープンソース

画像クレジット:Lynne Gilbert / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

企業向けバーチャルコミュニケーションプラットフォームのRocket.Chatが約20億円調達、米海軍そしてイスラム国も利用

Slackのようなチャットプラットフォームは、ビジネスユーザーが仕事上のコミュニケーションから何を求め、何を期待するかという点で、従来の流れを変える役割を果たしてきた。統合されたオープンソースに狙いを定めた会社が米国時間2月3日、その成長を加速するための資金調達を発表した。

Rocket.Chatはオープンソースのプラットフォームを手がけるスタートアップで、銀行、米海軍、NGO、その他大小さまざまな組織が、同社のサービスを活用して1つの場所から安全性の高い各種のバーチャルコミュニケーションサービスをセットアップし、運営している。チームチャットに加えて、顧客サービス、スタッフや外部パートナーをカバーするコラボレーションプラットフォーム、学校の教室、会議などにも対応する。このRocket.Chatが1900万ドル(約20億円)を調達した。

同社は今回調達した資金を、さらなる顧客の拡大に充てるとともに、セキュリティ機能の強化、ブロックチェーンアーキテクチャ上での連携、マーケットプレイスのアプリ、ボットのオプション、ソーシャルメディアとオムニチャネルの顧客サービスの統合、バーチャルイベント向けの設備拡充など、プラットフォームの機能を拡張するために活用する予定だ。

ビジネス上のやり取りがますますバーチャル化していく中、バーチャルコミュニケーションプラットフォームを構築するRocket.Chatのような企業がより多くの機能を実装する道が開かれてきている。

シリーズAの資金調達ラウンドはValor Capital Groupが主導しGreycroftMonasheesNEAによる強力な支援の他、e.venturesGraphene VenturesONEVCDGFの参加も得た。ブラジルのポルトアレグレを拠点とするこのスタートアップ(デラウェア州で法人化)は、現在までに2700万ドル(約28億円)を調達している。

「私たちはGabriel(ガブリエル・エンゲル氏、Rocket.Chatの創設者兼CEO)とRocket.Chatのことを数年前から知っており、彼らのオープンソースプラットフォームには非常に感銘を受けています。どのような組織でも、カスタマイズされたルックアンドフィールで独自のチャットツールを安全に管理することができます」 とValor Capital Groupでパートナーを務めるAntoine Colaço(アントワーヌ・コラソ)氏は述べている。「彼らは国際的な顧客ベースを通じて自社のプラットフォームの価値を証明しました。これには世界的な大企業や政府機関がクライアントとして含まれています。今回のラウンドの後も、同社の強力な顧客と開発者の成長が世界中に広がっていくことを期待しています」 。

Rocket.Chatは今回のラウンドでの評価額を明らかにしていないが、2020年の顕著な成長を反映していることは確かだ。同スタートアップは現在、1600万人の登録ユーザーを150カ国に擁しており、そのうち800万人が月間アクティブユーザーである。この1600万人のうち1130万人は過去6カ月内に同サービスに登録したユーザーだ。同社によると、現在約84万5000のサーバにインストールされており、1500人以上の開発者が同社のプラットフォーム上で開発を行っているという。

Rocket.Chatは、オープンソースプラットフォームへの大規模な取り組みの一環として、資金調達とビジネス拡大を進めている。

エンタープライズITの世界でオープンソースが約束しているのは、対象となる組織が必要とする用途に合わせてサービスをカスタマイズするプラットフォームを提供すると同時に、ビジネス環境でのセキュリティや拡張性などの面で十分に堅牢であることを確保するためのツールを備えていることだ。

ここ数年にわたって、これは大きなビジネスチャンスにつながるものとなっている。企業がITサービスに期待し、必要とするものがより洗練されてきていることから、既製のアプリケーションが必ずしも要求を満たすとは限らない場合もあるからだ。

Rocket.Chatはあらゆる通信ニーズに対応するオールインワン型の大型店舗のような存在であり、各組織はそれぞれの目的に合った方法でサービスを組み合わせている。

顧客自身がホストして管理することもできるし、クラウドベースのSaaSとして利用することもできる。料金は、顧客がどのサービスを利用したいか、ホストされているかどうか、およびプラットフォームの毎月の使用量によって異なり、無料(最小限のセルフホスティングサービスの場合)からユーザー1人当たり月額4ドル(約420円)、あるいはそれ以上となっている。

画像クレジット:Rocket.Chat

ここに示したモックアップからわかるように、基本的なプラットフォームはSlackに少し似ている。しかし、たとえば顧客サービスのためのオムニチャネル通信に使用している場合、顧客との通信に使用される可能性のある他のプラットフォームからの通信を組み込むことができるプラットフォームをRocket.Chat内に構築することが可能だ。

同社のワークコラボレーションプラットフォームは基本的なチャットインターフェイスからスタートするが、定期的に使う他のアプリやビデオ通話などへのアラートやリンクを統合することもできる。Rocket.Chat上に構築されたこれらの機能やその他の機能は別に使うこともできるが、顧客サービスのチケットを社内の技術サポートチームに渡すなど、相互にやり取りすることもできる。

つまり、組織自身がホストして管理できるバージョンを提供することで、組織の電子的なメッセージングに対するプライバシーと管理を強化できるということだ。

同社の何千もの顧客は、まさにそれを実現するソリューションを求めているわけだが、興味深い組織が顧客に名を連ねている。

CEOで創設者のGabriel Engel(ガブリエル・エンゲル)氏がTechCrunchに語ったところによると、そのリストには米海軍を含む軍事および公共部門の組織の他、クレディ・スイスのような金融サービス企業、コーネル大学、カリフォルニア大学アーバイン校、ビーレフェルト大学などの教育機関、ドイツ鉄道輸送網など、多数の民間企業が名を連ねているという。かつての顧客にはシティバンクやアリゾナ州も含まれている。

しかし、この柔軟性が常にRocket.Chatの有利に働くとは限らない。議論の余地はあるが、このリストには、メッセージを特定の利用者に限定したいと考えている対極的な種類の組織も含まれているようである。イスラム国もまた、メッセージ配信のためにRocket.Chatをホストし、運用していることが判明している。

エンゲル氏は、これは同社がサポートしているものではなく、当局と協力してこのようなユーザーを可能な限り排除しているものの、サービスの構築方法がもたらした結果だと説明する。

「彼らが独自のRocket.Chatサーバーを運用している場合、利用状況を追跡することはできません」と同氏はいう。「米海軍がRocket.Chatを使うのには理由があります。それは私たちが彼らが何をしているのかを追跡できず、知ることができないからです。良くも悪くも、いかなる外的影響からも切り離されています」。また、違法な組織がSaaSバージョンを使用している場合、当局と協力してそれらを削除するポリシーを同社は持っているとつけ加えた。「しかし、Linuxと同様に、Rocket.Chatを自分のコンピューター上でダウンロードして実行する場合は当然ながら私たちの手の届かないものとなります」。

意図的にプライバシーを確保して構築されたプラットフォームが悪用される可能性があると聞くと、悪用を防ぐ手立てはほとんどないように思われ、その利点の一部は打ち消されてしまうように見える。この倫理上の問題、およびテクノロジーがそれを解決できるかどうか、あるいはそれが政府当局に委ねられるかどうかは、Rocket.Chatだけでなく私たち全員にとっての問題であり続けるだろう。

そうした中で、それを必要とするグループに代替案を提供することに投資家たちの関心が集まっている。

「今日の環境において、組織は、チームを内部的に関与させ、顧客やパートナーと外部的に通信し、安全な利害関係に基づくコミュニティと接続するための安全な通信プラットフォームを持たなければなりません」とGreycroftでパートナーを務めるDylan Pearce(ディラン・ピアース)氏は声明の中で語った。「Rocket.Chatの世界クラスの経営チームとオープンソースコミュニティは、イノベーションにおいて業界をリードし、地球上のすべての人にサービスを展開できるコミュニケーションプラットフォームを提供するものです」。

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タグ:Rocket.Chat資金調達

画像クレジット:Rocket.Chat

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

MSが永続ライセンス版次期「Office」発表、本音はクラウド対応Microsoft 365に乗り換えて欲しい

「Office」を使うのであれば、クラウド対応サブスクリプション制の「Microsoft 365」(旧Office 365)を購入してほしいというのが、Microsoft(マイクロソフト)の本音だろう。しかし、同社が約束しているように、当面の間、スタンドアローンで使える永続ライセンス版のOfficeは、引き続き提供されるようだ。しばらく前に発表された「Office 2019」には、標準的なOfficeツール一式が含まれているが、サポート期限が設定されており、定期的な機能アップデートやサブスクリプション版に付属するクラウドベースのツールの恩恵は受けることができない。

関連記事:Microsoftが双子のCMでOffice 2019をけなしまくった理由

Microsoftは米国時間2月18日、いわゆる買い切り版Officeの新バージョンとして「Microsoft Office LTSC(Long Term Servicing Channel)」と呼ばれる製品を発表した。2021年4月には商用プレビューとして提供が開始される予定で、Mac版とWindows版、32ビット版と64ビット版がリリースされるという。

以前のバージョンが発売された時と同様、Microsoftが本当に望んでいるのは、ユーザーがすでにクラウド版に移行していることであるのは明らかだ。しかし、誰もがクラウドに接続できる環境で使えるわけではないこともわかっているため、このバージョンは一度支払えば、その後は(または互換性のあるハードウェアを持っている限り)使いたい限り使い続けられる永続ライセンスを備えた「特殊なシナリオのための特殊な製品」と同社では呼んでいる。その「シナリオ」には、Microsoftが同意しているように、何年も機能アップデートを受けることができない規制対象のデバイスや、製造現場のプロセス制御デバイス、あるいは単にインターネットに接続できないデバイスなどが含まれる。

「私たちは、Office LTSCを使用するほとんどのお客様が、組織全体ではなく、特定のシナリオでのみ使われることを想定しています」と、Microsoft 365担当執行役員であるJared Spataro(ジャレド・スパタロ)氏は、同日の発表で書いている。

特殊な製品であるためMicrosoftはOffice Professional Plus、Office Standard、および個別のOfficeアプリの価格も最大10%値上げする予定だ。

「将来的に仕事を促進するためには、クラウドの力が必要です」とスパタロ氏は述べている。「クラウドは私たちが投資を行い、イノベーションを起こし、お客様が組織内のすべての人に力を与えることを支援するソリューションを我々が発見する場所であり、私たち全員が順応していく仕事をするための新しい世界でもあります。しかし、時間が止まったシナリオの中にあるお客様に対応する必要があることも我々は認識しています。今回のアップデートは、お客様がこの必要性に対応することを支援するという当社のコミットメントを反映しています」。

このような特殊なユースケースにある人は、価格の上昇を気にすることもないだろうし、Microsoftが将来的に、この長期チャネル版で他の製品のリリースも約束していると聞けばうれしく思うだろう。

今回の新バージョンの目玉としては、ダークモードのサポート、ExcelにDynamic ArraysやXLOOKUPなどの新機能が導入されることが含まれると、スパタロ氏は述べている。もう1つの変更点は、Skype for Businessではなく、Microsoft Teamsのアプリが出荷時に同梱されるということだ(とはいえ、必要ならSkype for Businessをダウンロードすることも依然として可能だ)。

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タグ:MicrosoftOffice

画像クレジット:Billy H.C. Kwok / Bloomberg / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

カレンダーの使い方を再定義、コラボレーションツール化を目指すMagicalが約3.5億円調達

カレンダー。それは私たちの仕事や会議を整理する中心的な存在だ。しかしカレンダーの全般的なエクスペリエンスをモダナイズしようとする試みは常にあるものの、OutlookやGoogle Workspace(旧G Suite)のカレンダーのエクスペリエンスは現在も根本的には変わっていない。近年、CalendlyやReclaimAIなどのスタートアップが取り組んでいる分野は主にスケジューリングだ。

Magicalはテルアビブを拠点とするスタートアップで、カレンダーのエクスペリエンスを根本から作り直し、カレンダーを単なる個人の時間管理サービスではなくチームのコラボレーションツールにすることを目指している。米国時間2月18日、同社はResolute Venturesが主導するシードラウンドで330万ドル(約3億5000万円)を調達したと発表した。このラウンドにはIbex Investors、Aviv Growth Partners、ORR Partners、Homeward Ventures、Fusion LAそしてプロダクティビティ分野のエンジェル投資家が参加した。

このサービスのアイデアは、ワークスペースとプロダクティビティを扱う大きなコミュニティであるSupertoolsでのディスカッションから生まれた。Supertoolsも、Magicalの創業者でCEOのTommy Barav(トミー・バラブ)氏が始めたものだ。

画像クレジット:Magical

このコミュニティからのフィードバック、そして自身が手がけるFortune 500に名を連ねる巨大多国籍企業のコンサルティング業務から、バラブ氏は時間管理はビジネス上の未解決の問題であると認識した。同氏は筆者に対し「時間管理の分野は非常に細分化されています。時間を管理するための小さなツールやフレームワークはたくさんありますが、そうしたものはメインのワークフローであるカレンダーに組み込まれていません」と語った。

これまでのカレンダーは大きなプロダクト群のアドオンで、その中に閉じ込められているとバラブ氏は主張する。「Outlookのカレンダーはメールの相棒ですが、実は1日の中心です。このように、カレンダーを時間管理のハブとして使うという満たされていないニーズがあります」(同氏)。

Magicalはまだプライベートベータで、AIスケジューリングや自動化ツールなど最近のスケジューリングやカレンダーのスタートアップが取り組んでいる多くの機能の統合を目指している。しかしMagicalの野望はこれにはとどまらない。

画像クレジット:Magical

「まずはカレンダーの使い方を再定義したいと考えています。これまでのイノベーションの多くはスケジューリングに関するものでした。自分のスケジュールを立て、会議のスケジューリングを効率化し、カレンダーの表示を変えるといったことです。【略】しかし我々は優れたカレンダーを提供し、スケジューリングや調整、利用といったワークフローをカレンダーに組み込んで、時間管理を再定義しようとしています。モダンなワークスペースにおけるカレンダーの利用を再定義しているのです」とバラブ氏は説明する。

Magicalはまだスタートしたばかりで細部を作っているところだが、たとえばカレンダーを会議資料の中心的なリポジトリにするというのが大まかな考え方だ。資料の共同作業や共有のツールも搭載しようとしている。チームメンバーは会議に出席しなくても資料をフォローできる(あるいは会議に関するメールで入手できる)。

バラブ氏は「無駄な会議を減らすのに役立つでしょう。そのために、他のサービスもカレンダーのエクスペリエンスに統合しようとしています。一般的にはZoomやSlackですが、たとえばSalesforceやNotionなども考えられます」という。

Magicalに投資しているResolute Venturesの創業パートナーであるMike Hirshland(マイク・ハーシュランド)氏は「市場機会をこれほど明確に認識している起業家には滅多に出会えません。トミーとMagicalのメンバーは3年間にわたり多くのユーザーと話をして機会を認識し、市場のニーズに合うプロダクトをゼロから設計しました。今こそ『出発の時』であり、私はこのジャーニーの一員であることを嬉しく思っています」と述べた。

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画像クレジット:Magical

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

アイデンティティ管理のSailPointがSaaS管理スタートアップIntelloを買収

2017年に株式を上場したアイデンティティ管理企業のSailPoint(セイルポイント)が、米国時間2月19日、アーリーステージのSaaS管理スタートアップのIntello(インテロ)を買収することを発表した。両社は買取価格を公表していない。

SailPointは、顧客が社内で使用されているすべての SaaS ツールの場所を特定できるようにすることで、IT部門が企業の安全性を高めることができると信じている。ここで考慮されている問題は、ITの知識がなくても従業員がSaaSツールを導入するのが非常に簡単なことだ、そこにIntelloは、より高い可視性とコントロール性を与える。

実際、ここ十年ほどのうちに定着した「シャドーIT」という用語は、ITのプロの目が届く範囲外で、ソフトウェアを導入できてしまう状況を表現するためのものである。Intelloのようなツールを使えば、すべてのSaaSツールを検索して従業員を認可済みのツールに誘導することが可能になり、セキュリティのプロがみんなに利用してほしくないサービスをシャットダウンすることができる。

SailPointの製品担当上級副社長であるGrady Summers(グラディ・サマーズ)氏によれば、パンデミック中に多くの企業がリモート化したことで、シャドーIT問題はさらに深刻になっており、従業員がどのようなSaaS ツールを使用しているのかを知ることは IT部門にとってさらに困難になっているという。

「この問題によって、無秩序にSaaSが蔓延し、そうしたアプリ内に保存され共有されているために、保護されないデータが急増しています。組織内にどのようなシャドウアクセスが存在するかをほとんど把握できないために、各社のITチームは、ここ1年の間にさらに増加したサイバーリスクから保護することが、より困難になっているのです」とサマーズ氏は声明で説明している。彼は、Intelloを導入することで、無認可の利用を根絶し、企業の安全性を高めると同時に、SaaS支出もよく理解して貰えるようになると考えている。

Intelloは常に自身を、セキュリティとコンプライアンスを向上させるための手段として位置づけ、過去にはOkta(オクタ)やOnelogin(ワンログイン)などの他のアイデンティティ管理ツールと提携している。同社は2017年に創業され、Crunchbaseのデータによれば580万ドル(約6億1000万円)を調達している。その中には、2019年5月に行われた250万ドル(約2億6000万円)の拡大シード調達も含まれている。

米国時間2月18日には、別のSaaS管理ツールのTorii(トーリ)が1000万ドル(約10億6000万円)のシリーズAを発表した。SaaS管理領域における他のプレイヤーには、BetterCloud(ベタークラウド)やBlissfully(ブリスフリー)などもある。

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画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)

グーグルが最初のAndroid 12開発者プレビューを公開

Google(グーグル)がAndroid 11の最初の開発者プレビューを発表してからほぼ1年後、同社は米国時間2月18日、Android 12の最初の開発者プレビューを公開した。新型コロナウイルスの影響で、GoogleはAndroid 11のロールアウトを少し遅らせたものの、それによってAndroid 12がスケジュール通りにいかなくなるということはなかったようだ。初期の開発者プレビューということから予想されたとおり、今回の変更点のほとんどはフードの下にあり、それを操ってみたいと思う勇敢な非開発者のためのOTAアップデートはまだ用意されない。

関連記事:GoogleがAndroid 11最初のデベロッパープレビューを公開

画像クレジット:Google

今バージョンにおけるハイライトは、現在明らかになっているものの中では(今後のプレビューサイクルを通じて、Googleがさらにユーザーインターフェイスの変更やUIの刷新を行う傾向にあることは留意すべきだ)AVIF(AV1 Image File Format)のような、より高画質のフォーマットにメディアを変換する機能や、速度と応答性が改善された通知などとなる。開発者向けには、プラットフォーム内の変更を個別に有効 / 無効に切り替えられる機能が用意された。これによって開発者は自分が作ったアプリの互換性を簡単にチェックできる。Googleはまた、Android 11の時に同様に、Platform Stability と呼ばれるマイルストーンをAndroid 12にも設定することを約束している。これはアプリに関わる変更点が最終的に確定したことを開発者に知らせるもので、2020年は7月にAndroid 11のBeta 2がリリースされたとき、Platform Stabilityに到達した。

「バージョンを重ねるごとに、我々はこのOSがよりスマートに、より使いやすく、より優れたパフォーマンスを発揮できるように、プライバシーとセキュリティを核に改良を続けています」と、Googleのエンジニアリング担当VPであるDave Burke(デイヴ・バーク)氏は述べている。「Android  12では、すばらしいユーザー体験を構築する新しいツールを提供することにも取り組んでいます。まず、アプリが最新の動画フォーマットに対応していない場合でも、簡単に動画や画像のリッチコンテンツをコピー / ペーストできるメディアトランスコーディング互換機能。また、プライバシー保護の追加、UIのリフレッシュ、アプリの応答性を維持するためのパフォーマンスの最適化も行っています」。

画像クレジット:Google

明らかに、Android 12には数十の開発者向けアップデートが施されている。そのいくつかを詳しく見てみよう。

たとえばAndroid 12のWebViewに、GoogleはChrome(クローム)で動作するものと同じSameSite Cookieを実装する。同社は2020年、広告主がChromeで閲覧者のサイト間の行動を追跡することを困難にしたこの変更の導入を遅らせた。それは単に、あまりにも多くのサイトで問題が発生したからだ。現在はこの機能がChromeに完全に実装され、Androidチームも明らかにそう感じているため、WebViewに同じ機能を実装することが可能になった。これは他のアプリでもウェブコンテンツを表示するために使用される。

エンコーディング機能に関して、バーク氏は「モバイルデバイスにおけるHEVCハードウェアエンコーダーの普及にともない、カメラアプリは旧来のコーデックよりも画質と圧縮率が大幅に改善されたHEVCフォーマットで録画することが増えています」と指摘する。ほとんどのアプリがHEVCをサポートしているが、そうでないアプリのために、Android 12はHEVCをAVCにトランスコードするためのサービスを提供すると、バーク氏は記している。

画像クレジット:Google

さらにAndroid 12では、画像やGIFに似た画像シーケンスを収めるコンテナとして、AV1 Image File Formatをサポートする。「他の最新の画像フォーマットと同様に、AVIFは動画圧縮コーデックからフレーム内エンコードされたコンテンツを利用します」と、バーク氏は説明する。「これは、JPEG などの古い画像フォーマットと比較して、同じファイルサイズでも画質が劇的に向上します」。

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毎回Androidの新バージョンがリリースされる度に、Googleは通知システムをいじくり回しているが、今回のリフレッシュでは「よりモダンに、より使いやすく、より機能的になる」とチームは約束する。バーク氏によれば、トランジションやアニメーションが最適化され、アプリが独自のコンテンツに合わせて通知をデコレートできる機能も備わるという。Googleはまた、以前に推奨していたような、中間にBroadcastReceiverやサービスを介さず、通知からアプリにユーザーを即座に移動させるシステムを実装するように開発者に求めている。

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Android 12では他にも、最大24チャンネルとなったマルチチャンネルオーディオ(音楽や他のオーディオアプリには間違いなく恩恵を受ける)や、空間オーディオ、 MPEG-Hサポート、音と触覚を結合させた効果(音に合わせて振動の強さや速さが変えられる。ゲームには間違いなく恩恵を受ける)などの機能サポートが向上する。また、ジェスチャーナビゲーションの改善や、その他多くの最適化、OS全体に渡る小変更などが施される。

Googleはまた、Project Mainlineにも引き続き力を入れている。これはAndroid OSのコア機能を、Google Playシステムを介してアップデートできる機能で、ハードウェアメーカーの遅れがちなアップデートを待たずに済む。

Android 12では、MainlineにAndroid Runtimeモジュールが加わることで、Googleがデバイスにコアランタイムとライブラリのアップデートを施すことが可能になる。「これによって我々は、ランタイムのパフォーマンスと正確性を向上させ、メモリをより効率的に管理し、Kotlin(コトリン)の操作を高速化することができます。システムをフルアップデートさせなくとも、これらのすべてが可能になります」と、バーク氏はいう。「また、既存のモジュールの機能も拡張しました。たとえばシームレスなトランスコーディング機能を、アップデート可能なモジュール内で提供しています」。

Android 12の変更について、すべての詳細はこちらで見ることができる。

画像クレジット:Google

Android 12に自分たちのアプリを適応させたいと考えている開発者は、Pixel(ピクセル)のデバイスにシステムイメージをインストールして、今から作業を始めることができる。現在Android 12がサポートしている機種は、Pixel 3 / 3 XL、Pixel 3a/ 3a XL、Pixel 4/ 4 XL、Pixel 4a/ 4a 5G、Pixel 5のみだ。GoogleのAndroid Studioに用意されているAndroidエミュレータでもシステムイメージを使うことができる。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleAndroidAndroid Studio

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルが機能していないアプリ「Trump 2020」を一時停止措置に

Google(グーグル)は、規則に違反したとしてTrump 2020選挙運動アプリのGoogle Play Storeでの扱いを一時停止した。Android Policeの報道を受けてGoogleはその事実を認めた。報道では、アプリはいかなるコンテンツも取り込めず、Storeから取り除かれたようだとされている。同アプリのAndroid版、iOS版ともに2020年11月の選挙後もオンライン上にまだあるが、アップデートされていない。これがアプリの安定性の問題につながったようだ。

たとえばAndroid版は2020年10月30日からアップデートされていない、と調査会社Sensor Towerは指摘する。

Android Policeの報道によると、アプリはまだ存在するがコンテンツを取り込むことができず、接続面での問題もある。この問題は報道にあるとおり、ユーザーがアプリをダウンロードすると、Tロゴが回転する最初のローディングスクリーンになるか、すぐにサーバーエラーが表示されるかだとTechCrunchは理解している。どちらにせよ、アプリの中身をまったく取り込まない。

Google Play Storeにある直近のユーザーレビューでも「開かない」「アプリは起動すらしない」「まったくひどい、機能しない」「接続確認を、というだけで開かない」などと問題が報告されている。とあるユーザーは「みんなのコメントに返事してください。ロードしていません」とデベロッパーに多くの苦情に対応するよう求めた。別のユーザーは「Googleが削除するまでは機能していた」と記し、この問題はGoogleの不手際だとほのめかした。

しかし、Googleは削除していない。Trump 2020 Androidアプリは実際にはGoogleが行動する前から問題を抱えていた。

たとえば1カ月ほど前のツイートでも同様の問題が指摘された。

GoogleはTechCrunchに対し、Play Storeで禁止にはなっておらず、機能していなかったために一時停止になっているだけだと述べている。もし問題が解決すれば、復活するかもしれない。Googleはまた、アプリを一時停止とする前に、このアプリのデベロッパーに連絡を試みたが、返事が一切なかったとも述べた。

「Trump 2020選挙運動アプリはこのほど機能を停止し、問題を解決してもらおうと複数回デベロッパーに連絡を取りました」とGoogleの広報担当は述べた。「人々はGoogle Playからダウンロードしたアプリが最低限のレベルの機能性を提供すると考えており、問題を解決しないなら機能しないアプリはストアから取り除く、というのが当社のポリシーです」。

Androidでの問題にもかかわらず、TechCrunchはiOS版アプリがまだ最初の立ち上げが可能で、サインアップで電話番号に確認コードを送れることを確認した。しかしアプリのメイン表示にいくと、エラーメッセージが表示される。ただし、過去のコンテンツをブラウズする能力に影響はない。

iOSのTrump 2020(スクリーンショット)

Sensor Towerは、Trump 2020アプリのAndroid版は2021年2月7日から新規インストールされていないようだと話す。同社はまた、同アプリのiOS版のインストールが150万回だったのに対し、Android版は約84万回だったと指摘した。

Trump 2020アプリの問題がニュースになるのは今回が初めてではない。

2020年の米大統領選挙までの数カ月、多くのTikTokユーザーがApp StoreユーザーレビューでTrump 2020アプリを貶めた(なぜか、Z世代ユーザーは低い評価のアプリは自動的にアプリストアから削除されると信じている。それは真実ではない)。しかしTikTokユーザーのそうした取り組みによって、Trump 2020アプリの全体評価は星1.2に落ち、Trump 2020陣営はアプリ評価のリセットを余儀なくされた。

大統領選はだいぶ前に終わったが、ユーザーはまだアプリに星1という低い評価をつけている。時にネット上の荒らし者たちは、その過程でちょっとしたユーモアを見せようとさえする。

とあるPlay Storeのレビュワーは「アプリは私の携帯のOSを乗っ取ろうとクーデーターを試みた」と書き込み、別の人はiOSで「私は2016年から十分苦しんだ」と記した。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleアプリDonald Trump

画像クレジット:Alex Wong / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

アプリ監視プラットフォームのSentryが約63億円調達、評価額は約1057億円を超えユニコーンに

アプリケーションパフォーマンスモニターを開発するスタートアップのSentryは米国時間2月18日、シリーズDで6000万ドル(約63億4000万円)を調達し、資金調達後の評価額が10億ドル(約1057億円)のユニコーンの地位に到達したと発表した。今回のラウンドをリードしたのはリターン投資家のAccelとNew Enterprise Associatesで、Bondも投資に参加した。

Accelは2015年にSentryのシード資金調達を主導し、それ以来各ラウンドに投資してきた。同社は6万8000の組織にサービスを提供し、これまでに合計1億2700万ドル(約134億2000万円)を調達している。クライアントにはDisney(ディズニー)、Cloudflare(クラウドフレア)、Peloton、Slack(スラック)、Eventbrite、Supercell(スーパーセル)、Rockstar Games(ロックスター・ゲームス)などがある。

Sentryのソフトウェアはアプリに潜在的な問題がないかどうかを監視し、サービス停止やダウンタイム、ユーザーの不満を招く前に開発者がバグを発見するのを助ける。シリーズDの資金はより多くの言語やフレームワークのサポートの追加、サンフランシスコ、トロント、ウィーンのオフィスでの雇用など、製品開発に使用される。

Sentryの製品は幅広い分野で使用されているが、ゲームやストリーミングメディアでは継続的な成長が見られ、金融、商業、ヘルスケアを含むインフラとサービスのデジタル化が進む業界で新たな需要が見込まれる。

2020年7月、SentryはPythonとJavascriptのフロントエンド監視ソフトウェアのローンチを発表した。当時、同社のMilin Desai(ミリン・デサイ)CEOはTechCrunchに対して、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的流行によって仕事、教育、eコマースアプリの利用が増加したため、あらゆる分野の顧客がプラットフォームに大きく依存していると語った。

AccelのパートナーであるDan Levine(ダン・レヴィン)氏はプレスリリースで、「ほぼすべての企業がデジタルファーストの働き方や顧客とのやり取りを行うようになったことで、アプリケーションの健全性はビジネスクリティカルなイニシアティブとなり、Sentryは爆発的な成長を遂げる準備が整っています」と述べた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Sentry資金調達ユニコーン

画像クレジット:Sentry

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(文:Catherine Shu、翻訳:塚本直樹 / Twitter

Apple Payがベイエリアの交通機関でようやく使えるようになる

サンフランシスコでバスに飛び乗ったら、(ニューヨークや北京その他の主要都市と違って)Apple Payを使えなかったという人にグッドニュース!それが変わる。Apple(アップル)は、Clipper(BART、Muni、Caltrain、AC Transitをはじめとするベイエリアの多くの交通機関が利用している決済システム)を近くサポートすることを発表した。もうすぐiPhoneやApple Watchをカードリーダーにかざせば出発できる。

AppleはApple PayがClipperに対応している全24交通機関で利用可能になるとのことなので、以下の交通機関で使えるはずだ。

  • AC Transit
  • BART(ベイエリア高速鉄道)
  • Caltrain
  • City Coach
  • County Connection
  • Dumbarton Express
  • FAST
  • Golden Gate Ferry
  • Golden Gate Transit
  • Marin Transit
  • Muni
  • Petaluma Transit
  • SamTrans
  • San Francisco Bay Ferry
  • Santa Rosa CityBus
  • SMART
  • SolTrans
  • Sonoma County Transit
  • Tri Delta Transit
  • Union City Transit
  • Vine
  • VTA
  • WestCAT
  • Wheels

AppleはWalletに組み込まれた 「Express Transit(エクスプレスカード)」 機能を使えるといっているので、比較的少額の運賃決済をFace IDやTouch IDによる認証を必要とせずに行うことができる。後ろに10人並んでいて、自分のiPhone相手に本当に自分であると説得したくない時にうれしい機能だ。

いつから正式に使えるのか?良い質問だ。Appleはまだそれに答えていない。Clipperの近日中のサポートを発表したメールで、Appleは「近日公開」としただけで、それ以上詳しく述べていない。@BayAreaClipperアカウントのツイートは、「今春」までと範囲を狭め、Google Payのサポートも近日公開であることを繰り返している。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleApple Pay

画像クレジット:Michael Fraley / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Nob Takahashi / facebook

エンタープライズ・グラフ・データベースのTigerGraphが111.3億円を調達

グラフデータベースと分析プラットフォームを提供しているエンタープライズスタートアップのTigerGraph(タイガーグラフ)が、米国時間2月17日、1億500万ドル(約111億3000万円)のシリーズC資金調達ラウンドを実施したことを発表した。今回のラウンドを主導したのはTiger Globalで、これによって同社の総資金調達額は1億7000万ドル(約180億3000万円)を超えた。

「TigerGraphは、従来のような行と列で大きなテーブルを結合するやり方ではなく、事前接続されたエンティティを用いたスケーラブルでネイティブなグラフ技術を用いて、データを接続し分析するパラダイムシフトをリードしています」と語るのはTigerGraphの創業者でCEOのYu Xu(ユー・シュウ)氏だ。「今回の資金調達によって、当社のサービスを拡大してより多くの市場に提供できるようになり、より多くのお客様にグラフ解析とAIのメリットを実感していただけるようになります」。

現在のTigerGraphの顧客に含まれているのは、たとえばAmgen(アムジェン)、Citrix(シトリックス)、Intuit(インテュイット)、Jaguar Land Rover(ジャガー・ランド・ローバー)、UnitedHealth Group(ユナイテッドヘルス・グループ)といった企業たちだ。SQLに似たクエリ言語(GSQL)を使用することで、顧客は同社のサービスを使ってグラフデータベースに迅速に保存し、問い合わせを行うことができる。同社が提供するサービスの中核は、データベースと分析プラットフォームのTigerGraphDBだが、AWSまたはAzure上でホスティングされた従量課金制のTigerGraph Cloudというサービスも提供している。同社はまた、データモデル作成とビジュアルでの分析を可能にするGraphStudioというグラフィカルUIを提供している。

同社のデータベースが有望な点は、数十億以上のリンクを含む数十テラバイトのデータを扱うことができるというところだ。利用者はこの技術を不正検出、顧客総合分析、IoT、AI、そして機械学習などの広範なユースケースに適用することができる。

この分野の他の多くの企業同様に、TigerGraphもまた、パンデミックの中で多くの企業がデジタルトランスフォーメーションプロジェクトを加速していることによる追い風を受けている。

同社は米国時間2月17日の発表で「過去12カ月の新型コロナウイルスのパンデミックで、企業はデジタルトランスフォーメーションをより速いペースで取り入れ、顧客、製品、サービス、サプライヤーに関する新たな知見を見つけることを急務としています」と説明している。「グラフ技術は、こうした問題領域をリレーショナルデータベースから切り離すことで、データ準備のための開発サイクルを短縮し、データの品質を向上させ、次にとるべき最善の行動を推奨するための類似パターンなどの新たな洞察を発見するといった機会を提供します」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:TigerGraph資金調達

画像クレジット:CatEyePerspective / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

ローコードに注力するOutSystemsが1兆円の評価額で158.8億円を調達

米国時間2月17日、ローコードアプリ開発サービスのOutSystems(アウトシステムズ)が1億5000万ドル(約158億8000万円)の新規資金を調達したと発表した。このラウンドは、Abdiel CapitalとTiger Globalが主導した。注目すべきは、このポルトガルと米国を拠点とするソフトウェア企業にとって、今回のものが最大の資金調達イベントではないことだ。TechCrunchは、OutSystemsが2018年に行った3億6000万ドル(約381億1000万円)のラウンドを取材している。

関連記事:ポルトガルの超高速開発ツールOutSystemsが、KKRならびにゴールドマンサックスから3億6000万ドルを調達

OutSystemsは2001年に設立され、TechCrunchが取り上げているほとんどの会社よりも古い企業だが、今でも非公開企業のままだ。そして同社も、多くのスタートアップ企業と同様に、企業の規模を問わず加速するデジタルトランスフォーメーションの追い風を受けているように見える。

今回OutSystemsは、95億ドル(約1兆円)の評価額の下に、1億5000万ドル(約158億8000万円)相当の自社株をで売却することで、約1.6%の自社株を手放した。もし投資家たちが、同社の将来の業績に確信を抱いていないのならば、こんなわずかな株式をこんな値段で買おうとは思わないだろう。

新たな資金はOutSystemsをIPOに向かう軌道に乗せたと思われるが、同社は上場に関する計画を私たちと話すことを拒んだ。それは思ったよりも早く行われるかもしれない。今回のラウンドはPre-IPO投資の匂いがするし、OutSystemsはその新しい資金調達についての説明の中で、TechCrunchに対してそのモデルを「効率的」だと主張した。最悪でも現金消費は適度に行われていることを示唆している。

TechCrunchは同社に対して、新しい資本を、どのように市場展開(Go-to-market、GTM)と製品開発(R&D)に振り分けるつもりなのかと質問した。OutSystemsのCEOであるPaulo Rosado(パウロ・ロサド)氏は、今回の発表の前の時点ですでに、TechCrunchに対するメールの中で、OutSystemsが「R&DとGTMの両方を着実に増強している」、つまり「成長のための投資をしている」と語っていた。同社は引き続き「効率的な方法で拡大することに注力している」とCEOはつけ加えた。

OutSystemsはローコードアプリ開発に取り組んでいる。これはノーコードプロジェクトに焦点を当てたスタートアップやより成熟した非公開企業たちのやり方とは対照的だ。ノーコードツールにはコードは含まれないが、ローコードサービスには、ビジュアルプログラミングインターフェースとともにある程度のコーディング作業がともなう。

2020年後半に行われたロサド氏へのインタビューでは、彼はTechCrunchに対してノーコードとローコードの違いを、複雑さ(過酷な社内ワークフローに取り組む能力)と拡張性(適応できる能力)の違いとして説明した。

OutSystemsの見解では、ローコードの方が、重要な企業アプリを作成するのには単純に適しているのだ。CEOの説明はこのようなものだ。

ローコードの方がノーコードよりも劣っているわけではありません。ほとんどのノーコードツールがそうなのですが、ノーコードがカバーできる範囲がとても狭い場合には、ビジュアルで行えることを超えた変更要求が出た瞬間に、そこでおしまいになってしまいます。そのときお客様へは「私たちにはできません」とお答えするしかありません。

それがローコードでは解決可能になるのです。もちろん、それはコードで実現しなければなりません。先に進んでコードを追加し、そのコードがノーコードで作られた部分に組み込まれるのです。つまり、ローコードとは、コードに飛び込むこともできるノーコードの能力を意味しているのです。

ノーコードファンはおそらく、使っているツールのコード回避能力が向上すれば、ロサド氏が語るような開発におけるコード必須部分は減少すると主張するだろう。とはいえ、最近の資金調達を見る限り、OutSystemsの市場へのアプローチはうまくいっているように見える。

ラウンドの話に戻って、TechCrunchは、競争力と完全性の両方の意味でのOutSystemsの市場での位置をよりよく理解するために、顧客からのプライシング要求における相対的な強みについてCEOに質問を行った。これに対して彼は、OutSystemsの価格モデルは通常見られるSaaSの価格体系とは異なり「プラットフォームの利用率に基づいています」と答えた。私たちはそれに文句をつけることもできるだろう、何しろ同システムの低価格で行える範囲は狭いのだ、だがOutSystemsが従来のSaaSよりも利用率に重点を置いている点は、Salesforceが開拓したものよりもオンデマンドソフトウェアをより強く思い出させる。最近のSaaS市場で見られる変化を考えると、これは心にとどめておく価値のある違いだと思う。

最後に、OutSystems社が新たな資金を得て挑戦しているローコード市場は、どれほど魅力があるのだろうか?同社CEOによれば、彼らの主な競争相手は、他のスタートアップではなく、「経済が停滞すること」だと語る。これはNetflixがHBOではなく「睡眠」と競合しているのと少し似ている。

TechCrunchは、ノーコードとローコードを長期にわたってカバーしてきた。たとえばOutSystemsの2016年に行われた、5500万ドル(約58億2000万円)のラウンドも取り上げている。最近では、それがノーコードであろうとローコードであろうと、企業向けアプリの需要が加速しているように見える。ここ4~6四半期で、低コード市場のスタートアップたちへの一貫して高い需要がTechCrunchの耳には聞こえている

今のこの状況が、OutSystemsの公開に十分なものかを注視して行きたい。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:OutSystemsノーコードローコード資金調達

画像クレジット:skynesher / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)